楓「奥深き言葉遊びの世界」芳乃「でしてー」 (18)

・アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
短編数本で、楓さんと芳乃ちゃんがひたすら言葉遊びに興じます。

よろしくお願いします。

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1.

莉嘉「みんなでお花見楽し~!桜、チョー綺麗だね☆」

楓「ええ。それに、こういうイベントで食べるおべんとはまた格別ですね……フフッ」

芳乃「……」



楓「凛ちゃん、知ってますか?」

凛「何を?」

楓「血流が悪いと悩んでる人って居ますけど、お酒を飲むとそれだけで、結構血行が良くなるんですよ」

凛「それを言うためだけに、また事務所でお酒飲んでたんだ……プロデューサーに怒られるよ?」

芳乃「……」



美優「楓さん、これ、この間山歩きのロケをした時に採ってきたんですけど、良かったらどうですか?」

楓「まあ、ふきのとうに、タラの芽に、わらびまで……。どれも立派な山菜ですね。ありがとうございます、美優さん」

美優「いえ、私も一人では食べきれない量でしたし」

楓「フフッ。大人が食べてもさんさいとは、これいかに……なーんて♪」

美優「えっ?」

楓「あ、ええと、何でもないです……」アセアセ

芳乃「……!」



芳乃「楓殿ー」

楓「あら、どうしました?芳乃ちゃん」

芳乃「大人が食べても"山菜(3才)"とはー」

楓「……!これいかに?」

芳乃「3才児でも"小児(小2)"と呼ぶが如しー……などというのは、どうでしょうー」

楓「……」グッ

芳乃「……」グッ



乃々(楓さんと芳乃さんの話し声が聞こえると思って、机の下から覗いてみたら、お二方ががっちり手を繋いでたんですけど……何なんでしょう、この光景……)

2.

仁奈「飛鳥おねーさん、飛鳥おねーさん!」

飛鳥「おや、何だい?仁奈」

仁奈「パンはパンでも食べられないパンは何でごぜーますか?」

飛鳥「フフッ。ずいぶんと懐かしいなぞなぞだね」

仁奈「知ってやがりますか?」

飛鳥「ああ。答えまで含めて、ね。『フライパン』だろう?」

仁奈「ぴんぽーん!正解でごぜーます!簡単すぎでごぜーましたかね?」

飛鳥「さてね。たしかに有名な問題ではあると思うけど、ボクがたまたま知っていただけかもしれないし……おや、あそこに楓さんと芳乃さんがいるよ。彼女たちにも問題を出してみればどうだい?」

仁奈「あ、ほんとーだ!仁奈、行ってきやがります!」



仁奈「楓おねーさん!芳乃おねーさん!」

楓「あらあら、仁奈ちゃん、こんにちは」

芳乃「わたくしたちに、何か用でしてー?」

仁奈「はい!突然だけど、なぞなぞですよ!パンはパンでも食べられないパンは何でごぜーますか?」

楓「鉄板」

芳乃「審判」

楓「プロパン」

芳乃「活版もでしてー」

仁奈・聞き耳立ててた飛鳥「!?」

楓「……では、ベタですがジーパンで」

芳乃「らいぶでの、物販も当てはまりましてー」

楓「サイパン」

芳乃「かんぱんでしてー」

楓「あら、乾パンなら食べられますよね?」

芳乃「その乾パンではなくー、船の『甲板』の事なのでー」

楓「……アルセーヌ・ルパン!」

芳乃「ふれでりっく・しょぱん殿でしてー♪」

仁奈「何だかよく分からねーですが、二人ともすげーです!」キラキラ

飛鳥(ずいぶんと白熱した戦いを見せてくれるじゃないか、二人とも……)



飛鳥(だけどそれ、子供の前でやることかな!?)

3.

「教えて……ズンドコベロンチョって、何?」

こずえ「……」

「チョットマッテチョットマッテオニイサンwwwラッスンゴレライナンデスノwww」

こずえ「……」



こずえ「かえでー……」トテトテ

楓「あら、こずえちゃん。どうかしたの?」

こずえ「てれびみてたら、わからないことばがあったからー……おしえてー」

楓「ふふ、いいですよ。どんな言葉かしら?」

こずえ「えーっと……ずんどこべろんちょっていうのと……らっすんごれらいって、いうの……」

楓「ズンドコベロンチョに、ラッスンゴレライ……」

こずえ「しってるー……?」

楓「それは、いわゆる『ハナモゲラ』に分類される言葉ですね」

こずえ「はなもげらー……?それ、なにー……?」

楓「そうですね。一言で説明するのも、なかなか難しいんですけど」

芳乃「ふむー。はなもげらの創始者の一人は、こう解説しておりまして―」ヒョコッ

楓「あら、芳乃ちゃん。解説なんて私も聞いたことがないんですけど、どんなものなんですか?」

芳乃「それによればー、『モケサのこの状況を、ハラメヨジレマイオして考えれば、すでにケセラの方向性が、ハナモゲラの自然発生を、アカザネめいているところに、現代社会のヘケメロしたモロヘテをケサマラしているといえよう』とのことでしてー」

こずえ「……?」

楓「フフッ……なるほど。つまり、モロにセケメケときたら、ハカマカになるということですね?」

芳乃「まことにその通りでしてー」

こずえ「ふわぁ……こずえには、よくわかんないのー……」

楓「それで正解です♪芳乃ちゃんの言っていることも、私の言っていることも、意味なんて何もないんですから」

こずえ「ええー……?じゃあ、さっきのかいせつはー……?」

芳乃「単なるぎゃぐなのでして―」

こずえ「ええー……」

楓「ハナモゲラは、無意味な言葉の中にそれっぽさを見出したり、音の響きを楽しんだりする言葉遊びなんですよ。でたらめなのが楽しい言葉遊びですから、意味なんて何もないんです」

こずえ「じゃあー……こずえがわからなかったの、あたりまえー……?」

芳乃「むしろ、意味が分かったら教えてほしいくらいなのでしてー」

こずえ「そうなんだー……わかったー……かえでー、よしのー、ありがとー……」トテトテ

楓「……みじかびの きゃぶりきとれば すぎちょびれ」

芳乃「すぎかきすらの はっぱふみふみ……有名なはなもげらですが、それがどうかしましてー?」

楓「いえ、さっきのこずえちゃんと同じで、私も前から『どういう意味なんだろう』と気になってた言葉だったので。きっと意味なんてないんでしょうけど、それが分かっていても、ついついこういう言葉に惹かれちゃうのは何故でしょうか」フフッ

芳乃「……ずんどこべろんちょの放送された翌日、てれび局にはおよそ650件もの問い合わせがあったそうでしてー」

楓「!」

芳乃「つまるところ、分からないものを知りたいと思うのは、人の性なのでしてー。楓殿の場合でも、それは例外ではないかとー」

楓「芳乃ちゃん……」

文香「呼びましたか……?」スッ

楓・芳乃「……」

文香「お呼びでない……?お呼びでないですね……こりゃまた、失礼いたしました……」ススッ

楓(『ふみふみ』に反応して出てきたというのは分かるとして、文香ちゃん、19歳でしたよね……?)

芳乃(わたくしたちも、人の事は言えないのでして―)

楓(芳乃ちゃん、直接脳内に……!?)

4.

薫「仁奈ちゃん仁奈ちゃん!」

仁奈「薫ちゃん、何でごぜーますか?」

薫「『てぶくろ』を、うしろから読んでみて!」

仁奈「てぶくろを、うしろから……えーっと、ろ・く・ぶ・て、でごぜーます!」

薫「えーい♪」ポコッポコッ

仁奈「わわっ、いきなり何するでごぜーますか!」

薫「仁奈ちゃんが『ろくぶて』って言うからだよ~♪」ポコッポコッ



楓「ありましたねぇ、ああいう遊び」

芳乃「見ていて非常に微笑ましいのでして―」

楓「言葉を後ろから読むと別の意味になる、という言葉遊びは、たしか……」

芳乃「『倒語』と言いましてー。ちなみに、意味は変わらなくとも、"寿司"の事を"しーすー"と言ったり、"そっくり"を"くりそつ"と言ったりするのも、この倒語に当てはまりまして―」

楓「そうなんですか。でも、私が知ってるのは、もっと違う名前だったような気が……。そうそう、『たいこめ』っていう言い方をしませんでしたか?」

芳乃「……たしかに、そういう言葉遊びもあるのでしてー」

楓「あ、やっぱり。そういえば私、昔から疑問だったんですけど、『たいこめ』って、どうして『たいこめ』っていうんでしょう……。芳乃ちゃん、知ってますか?」

芳乃「……楓殿―」

楓「?」

芳乃「例え同性間でも、せくはらは成立するのでして―」プイッ

楓「!?」

5.

―事務所近くの商店街―

こずえ「……」

晴「こずえー?そんな所でぼーっとして、どうしたんだよ?」

こずえ「はるー……このかんばんのいみー……わかるー……?」

晴「ん?」

立て看板『一斗二升五合』

晴「何だこりゃ……おーい、ありすー」

ありす「どうしたんですか?二人とも」









楓「私としたことが、事務所で飲むためのお酒を切らしてしまうなんて」

芳乃「事務所で飲んでいると、またぷろでゅーさー殿に怒られるのでして―」

楓「……あら、酒屋さんの前にいる、あの子たちは……」タタッ

こずえ「かえでー……よしのもいるー……」

晴「おー、楓さん!芳乃さん!ちょうどいい所に来てくれたぜ」

芳乃「ちょうどいい所、でしてー?」

ありす「はい。ここにある立て看板なんですけど、意味がいまいち分からなくて、悩んでたんです」

楓「ああ、この看板ですか……なるほど」フフッ

こずえ「こずえもー……よめるんだよー……『いっとにしょうごごう』でしょー……?でも……どういういみー……?」

芳乃「ほほー、こずえ殿は漢字が得意なのでしてー」ナデナデ

こずえ「えへへー……♪」ナデラレ

晴「でも、こずえの言う通りで、読めたからって意味が分かんないよな。いっとにしょうごごうってだけ書かれても、だから何だって話だし」

ありす「事務所へタブレットを置いてきてしまったので、調べることも出来なくて、困ってたんです」

楓「ふむ。では、楓おねーさんが、この看板の正しい読み方をレクチャーしてあげましょう♪」

こずえ「おー……」パチパチ

ありす「よろしくお願いします」ペコリ

晴(いや、何キャラなんだよ、楓さん)

楓「まず、この看板を正しく読むには、お酒やお米を計るときに使う、斗・升・合という単位について、理解をする必要があります」

楓「といっても、ここでは『一斗は十升、一升は十合』という事だけわかっていれば大丈夫ですよ」

ありす「一斗が十升で……」

晴「一升が十合だな」

こずえ「わかったー……」

楓「では上から読んでいきましょう。一斗は十升、というのは今説明しましたが、これを別の言い方へ言い換えるとどうなると思いますか?」

ありす・晴・こずえ「……?」

芳乃「一斗を半分にすると、どうなりましてー?」

こずえ「えっとー……はんぶんだからー……ごしょうー……?」

晴「そうだな。五升……でも、それが何か意味あるのか?」

芳乃「とても大切な事なのでして―」

晴「ふーん……一斗がどういう数字に言い換えられるか、だろ?で、五升が一斗の半分だから」

こずえ「じゃあー……ごしょうが、にばいになったらー……いっとだねー……」

ありす「ごしょう……2倍……ばい……?もしかして、一斗が五升の倍ということで、『ご商売』ですか?」

楓「ふふっ。ありすちゃん、勘が良いですね。その通りですよ。では次に二升ですが、これは簡単です。こずえちゃん、『升』を訓読みすると?」

こずえ「『ます』だよー……」

晴「ます、か。ってことは、二升は『似ます』とか『煮ます』とかになるのか?」

ありす「それだと、あんまり意味が通らない気がしますね」

晴「そうだよなあ……あ!『ます』が2個あるから『ますます』か!」

楓「晴ちゃん正解です♪最後は五合……これも、さっきと同じ言い換えが必要になります」

ありす「五合を、別の言い方に変えないといけないんですね」

こずえ「いっしょうが、じゅうごうなんだよねー……?」

晴「ってことは、五合はその半分っていうことになるな」

ありす「一升の半分……0.5升じゃないでしょうし……半升……?」

こずえ「……はんじょうー?」

ありす・晴「! 繁盛!」

楓「ご名答。では、正解は?」

晴「ご商売」

こずえ「ますますー……」

ありす「繁盛、ですっ」

芳乃「お見事でしてー♪」パチパチ

晴「すげー……面倒くさいこと考えるやつもいるもんだなー」

ありす「分かってすっきりしましたけど、何だか、疲れました……」

こずえ「でも、おもしろかったー……」

楓「ちなみに、こういう風に、文字や絵へ意味を隠して、それを当てさせるものを『判じ物』というんですよ」(ふふっ。たまには頼れるおねーさんぶりを発揮できたかしら?)



ありす「楓さん、ありがとうございました。やっぱりお酒が絡んだ問題の時の楓さんは頼りになりますね!」

晴「ありがとな、楓さん!お酒絡みの時の楓さんは、ほんとすげーや!」

こずえ「かえでー……ありがとー……また、おさけのことでわからないことがあったら、おしえてねー……」

楓「……」


楓「芳乃ちゃん……」

芳乃「?」

楓「私って、そんなに飲んでばかりのイメージでしょうか……?」グスッ

芳乃「まず今日酒屋さんへ来た目的から振り返ってみると良いのでして―」

6.

―事務所―

ガチャッ

菜々「おはようございまーす!菜々、今日も張り切ってお仕事しちゃいますよー!」ミミミーン!

薫「あ、菜々さんじゅうなな才だー!おはよーございまー!」

仁奈「菜々さんじゅうなな才!おはよーごぜーます!」

こずえ「ななー……さんじゅうななさい……おはよー……」

菜々「」

凛「菜々さんじゅうなな才、おはよ」

菜々「凛ちゃんまで!?ここ、これは一体どういうことですか!?」

凛「麗奈が言ってたんだ。菜々さんじゅうなな才が、周りからあんまり17歳として扱ってもらえないことを気にしてたって。だから、こうやって呼びかければ周りに年齢アピールできるだろうってさ」

菜々「麗奈ちゃーん!!!」



楓「典型的な『ぎなた読み』ですね」

芳乃「でしてー。区切りが変わると意味が変わる文、有名な例で言えば『おしょくじけん』や『ここではきものを脱いで』といったものがありますがー」

楓「ちなみに、上手いなぞかけを作ろうと思ったら、このぎなた読みは必須となるテクニックなんですよ」

芳乃「そうなのでしてー?どんなものか、是非お聞きしたいのでしてー」

楓「いいですよ♪そうですね……では、芳乃ちゃんとかけて、温泉と解きます」

芳乃「そのこころはー?」

楓「すごく素敵で、広いん(ヒロイン)です♪」

芳乃「……///」(ポッ)



菜々「二人とも、イチャついてるんだったら麗奈ちゃん探すの手伝ってくださーい!」ウワーン

7.

―事務所 PC前―

楓(そういえば、この前芳乃ちゃんにセクハラだって言われちゃったあれ、何が悪かったのかしら)

楓「えーっと、『たいこめ 語源』……あ、出てきた」カチカチッ

楓「……こ、これは……こんなことを説明させようとしてたなんて、セクハラと言われても仕方ないわ……」

楓「芳乃ちゃんに謝らなくちゃ……でも、何て言えば……」フラフラ

麗奈「……」ソーッ……

麗奈(楓のやつ、セクハラがどうとか言ってたわね。何調べてたのかしら……)チラッ


―――



~アキペディア~

できたぞ!『たいこめ』の記事だ!

たいこめとは、日本の言葉遊びの一種で、ある文を後ろから読んだときに、全く違う意味の文章が出てくるというものだ。
これと似た言葉遊びに『倒語』があるが、倒語が単語単位で後ろから読むのに対し、たいこめは文章単位で後ろから読むという違いがあるようだな。

名前の元ネタになった文章は『鯛釣り船に米押しダルマ(たいつりぶねにこめおしだるま)』。これを略してたいこめと呼ぶようになったんだ。
1970年代に、ラジオのコーナーとしてブームになったことから有名になったと言われているな。あまりの人気ぶりから、コーナーで紹介した作品の傑作選を、本として刊行するまでになったらしい。

……ち、ちなみに……たいこめの作品としては他にも『雲雲崖にこんち旅無し(くもくもがけにこんちたびなし)』や『気さくなあの娘目を閉じ閉じ(きさくなあのこめをとじとじ)』などが知られているが……
ど、どれも、逆から読むとえっちな意味の文章になっちゃうからな!///たいこめはそういう作品が多いから、楽しむときは、あくまで個人でこっそりとだぞ!



―――



麗奈「ふーん……よく分かんないけど、たいこめって、えっちな言葉遊びなんだ……」

麗奈「……!」

麗奈(ふふふっ……いいイタズラ思いついちゃった……!)


薫「あ!あいおねーちゃーん!」

仁奈「美優おねーさんもいるでごぜーます!待ってくだせー!」

あい「おや、薫に仁奈くんじゃないか」

美優「薫ちゃん、仁奈ちゃん、こんにちは。私たちに、何かご用かしら?」

仁奈「仁奈たち、麗奈おねーさんから、すげーことを教えてもらったですよ!」

あい「すごいこと?」

薫「うん!左から読んだときと、右から読んだ時で、意味が全然違っちゃう文があるんだって!」

美優「左から読んだ時と、右から読んだ時で、意味が違う……『てぶくろ』を逆から読むと『ろくぶて』になる、みたいなことかしら?」

仁奈「そうでやがりますけど、もっとなげー文ですよ!でも、仁奈たちじゃ、右側から読んだ時の意味が分からなかったです」

薫「れいなちゃんも、そういうのがあるって知ってるだけで、詳しい意味は知らないんだって。だから、大人の人に教えてもらおうとおもって」

あい「そういうことか。いいよ。どんな文章なんだい?」

薫「えーっと、左から読んだ時が『鯛釣り船に米押しダルマ』でー」

仁奈「右から読むと『まるだし(自主規制)』でやがります!」

美優「」

仁奈「もう一つの方が、左から読んだ時が『気さくなあの娘目を閉じ閉じ』で」

薫「右から読んだ時が『じとじと(自主規制)』だよ!」

あい「」

薫・仁奈「どういう意味―?(でやがりますかー?)」

美優・あい「」

麗奈「……」ソーッ

麗奈(アーッハッハッ!美優もあいも困ってる困ってる……このレイナサマの予想した通りね!)

麗奈(でも、美優はともかくとして、あいまであんなに固まっちゃうとは思ってなかったけど……あれ、そんなにえっちな文章だったのかしら?)

麗奈(まあいいわ。何にせよ、この手は使えそうね!そうと決まれば、早速他のチビたちにもたいこめを吹き込んで……)

芳乃(そこまでなのでしてー)

麗奈(よ、芳乃!?直接脳内に!?)

芳乃(年端もいかない、いたいけな幼女に放送禁止用語を教え込むとはー、重罪なのでして―)

麗奈(放送禁止用語!?)

芳乃(そのような悪い子には、仕置が必要かとー。今そちらへ向かっているので、覚悟しておくと良いのでして―)

麗奈「ちょ、芳乃!それ、どういう意」ガシッ

麗奈「……」チラッ

マストレ「……」ニコッ



………ギャ―――ッ!!!………



楓「本当にすみませんでした、芳乃ちゃん。私、たいこめがあんな意味だったなんて、知らずに……って、今、誰かの悲鳴が聞こえたような……」

芳乃「知らなかったのだから、仕方がないのでして―。あと、悲鳴は気のせいかとー」

8.

楓「今年の夏も、もうおしまいですね……お疲れサマー、なんて」

美優「ふふっ。楓さんったら……そろそろ事務所出ますよ?準備は大丈夫ですか?」

芳乃「……」



芳乃「楓殿―」

楓「何ですか?芳乃ちゃん」

芳乃「楓殿は、あれだけ言葉遊びに詳しいのに、普段だじゃれしか言わないのは、どうしてなのでしてー?」

楓「そうですね……そんなに深い理由があるわけでもないですけど。やっぱり、ダジャレが一番分かりやすいと思うんです」

芳乃「分かりやすい、でしてー?」

楓「ええ。色んな言葉遊びがありますけど、どれもその遊びにおけるルールを分かっていないと『上手い』と感じたり『面白い』と思えたりしないので……。知らない人からすれば『何を言ってるの?』ということになっちゃいます」

楓「その点、ダジャレだったら、誰でも知っているものですから。会話のツールとして使うには、最適なものだと思うんですよ」

芳乃「ほほー」

楓「……でも」

芳乃「?」

楓「最近、芳乃ちゃんみたいに、色々言葉遊びを知っている人と話すのも、すごく面白いことに気づいてしまって……。良ければ、これからも色んなお話に付き合ってくれますか?」

芳乃「もちろんでしてー。わたくしも、楓殿と話していると、とても楽しいのでー」

楓「フフッ。よろしくお願いします、芳乃ちゃん♪」

以上になります。

ダジャレばっかりのイメージの楓さんですが、個人的にはこんな"能ある鷹は爪を隠す"タイプだったら良いなーと思ってます。
芳乃ちゃんは言葉遊びというより、伝統的な文化芸能だったら何でも一通り知っているようなイメージ。

以下、解説になります。

・「大人が食べても"さんさい"とは、これいかに」

楓「『無理問答』といいます。〇〇というのに××ってどういうこと?と、矛盾を感じる言葉の問いかけをして」

芳乃「△△でも□□というのと同じこと、というように返す言葉遊びでして―」

楓「分かりやすい例で言うと、山があっても山梨(山無し)とはこれいかに?という問いかけをして」

芳乃「初めて行っても秋田(飽きた)というが如し、などと返しましてー」


・「モケサのこの状況を……」

芳乃「はなもげらの創始者の一人、タモリ殿のお言葉でして―」

楓「元々ハナモゲラというのは『日本語を初めて聞いた外国人の耳に聞こえている日本語のモノマネ』という、すごくマニアックな所から始まっているんです」

芳乃「なので、一見それっぽいけれど、でたらめな言葉が並ぶことになるのでしてー」

楓「本文に出ている他の有名所では、ラーメンズさんのコント『日本語学校』がこの発想ですね」


・「お呼びでない」

楓「昭和における伝説のコメディアン、植木等さんのギャグです」

芳乃「丁度どらまをやっているので、案外若い人でもご存知の方も多いかとー」


・「寿司のことを"しーすー"といったり……」

芳乃「一般的には『業界用語』と呼ばれているいめーじがありますがー、本文通り、言葉遊びの世界では『倒語』と呼びまして―」

楓「意外ですけど、"ネタ"という言葉も、元からあったわけじゃなくて、"種"の倒語なんですよ」

芳乃「元の意味とはすっかり変わって、独立した言葉になってしまっていますがー。それと、"だらしない"という言葉も、元々は"しだらない"の倒語だったものが、いつの間にか定着したものなのでして―」

楓「探せば、他にもそういう例がありそうなのが面白いですよね」


・「典型的な『ぎなた読み』ですね」

楓「元々は『弁慶が、なぎなたを持って』という文章を『弁慶がな、ぎなたを持って』と読み違えたのがきっかけで産まれた言葉遊び、とされていますね」

芳乃「ぎなた読みといえばー、つボイノリオ殿は忘れてならない存在なのでして―」

楓「芳乃ちゃん……同性間でもセクハラは成立するんですよ?」ジトッ

ありがとうございました。html化の依頼を出してきます。

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