【刀剣】堀川「過去も未来も」兼定「この旗の下」沖田「そう、私達が…」【FGO】 (30)

土方「―――新!―――選!!―――組!!!だあああああああああああああっ!!!!」ダンッ!!


斎藤「気合を入れるのは構いませんがね、連れ合いが起きるのでもう少し声量を下げていただければ助かります」スパー



※タイトルの通りのクロスオーバーです。
※更にもう一つ加えこんでおります。が、流浪人の方は出てきません。北海道編の前ぐらいを見て貰えれば。
※あんなアニメ魅せられたらもう辛抱堪らなかったんです。
※新選組スタンス・各タイトルを罵倒・侮辱する類ではありません。
※FGOで土方さんと沖田を呼ぶ方法をですねry
※それでは楽しんで下されば幸いです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1505426122

土方「おっとすまねえな、斎藤。こう気が昂るとつい、な!」バリバリ

土方「旨え!やっぱ夕餉は刻んだ沢庵に京の茶のぶっかけだな!!」

斎藤「京は京でもその茶の産地は東"京"です」

斎藤「…あと、今の自分は"藤田 五郎"と名乗っておりますので斎藤(そ)の名はもう…」

土方「呼び辛ぇ!!斎藤の方がしっくりくるからそっちにしろ!」

斎藤「…ですから、私はもう新選組では―――」


土方「 堀 川 ぁ っ ! ! ! 」

堀川「は、はいっ!?」

土方「夕餉のおかわりだ!沢庵と茶は増々!!」ダンッ

堀川「う、うん…解ったよ。土方さん」

土方「沢庵はきちんと賽の目にな!!」

沖田「好きですねえその食べ方」ポリポリ

兼定「資金繰りに困窮してた時だろうが潤ってた時だろうがほぼ毎日だったもんなあ」ポリポリ

斎藤「………、」

土方「で、何か言ったか斎藤?」

斎藤「解りました、呼び方云々はこの際捨て置きましょう」フー

斎藤「確かに私はあなた方をここに招き入れましたよ」

斎藤「腹に何も入れてないということでしたので簡素なモノでよろしければと夕餉に招待したのも私です」

斎藤「ですが」

斎藤「ここの家長は憚りながら自分であり土方さんあなた方はお客人だ昔のよしみ世話になった恩は確かにありますし懐かしさも感じえなくもないがここは諸々ひっくるめて出来うるならば三杯目はそっと出しの精神を以て―――」


沖田「斎藤さん!」バッ!

斎藤「…何ですか、沖田(?)君?」

沖田「その、私も出来れば沢庵茶漬けのおかわりを所望したいのですけれども…」オズオズ

斎藤「………、」


土方「何だ沖田お前もか、しょうがねえ奴だな。おい堀川!悪ぃが沖田の分もたのまあ!」


                                           堀川「―――は、は~い!」

斎藤「土方さん貴方は曲がりなりにも新選組元副長でかつては私の上であり剣の師でもありましたからね、私も風呂敷に包むように言わせていただいてましたがもうそろそろここは一家人同士ド直球に言葉にさせていただきたくお願いしたいのですが―――」


兼定「―――そうだぜ、土方さん」

土方「…あん?」

兼定「さっきっからあんただけそう一方的に捲し立てたんじゃあ相手の立場ってモンが無くなるだろうがよ」

土方「…何が言いてえ?」

斎藤「………、」スー

兼定「堀川はアンタの刀であって小姓じゃねえ、おかわりなら…」

兼定「俺も今無くなったとこだからよ、行くついでに4人分を分担して持ってくるようにすりゃいいだろうがよ」

斎藤「……………、」パー

土方「成程、そりゃあ確かだ」

斎藤「( 違 う そ う じ ゃ な い )」

沖田「じゃあ、ついでのついでですから。戸棚に入れさせて貰ってた和菓子、開けちゃいません?」

土方「名案だな。ま、ちょいと血が付いてはいるが食えねえこたねぇだろう」

沖田「心配しなくても、斎藤さん一家で食べる分はちゃんと残しておきますから!」

沖田「じゃ、お兼クン。宜しくね」

兼定「…その、"お兼クン"ってのはよしてくれよ…あ~、沖田、さん?」

沖田「………?何か?私の顔に何か付いてます??」

兼定「あ~、…悪ぃ。そういうんじゃあなくてだな…」

沖田「????」

兼定「(…どーも"その顔自体が慣れねんだよ"。なんて言えねえよなあ…)」


土方「…んで、何か言ったか斎藤?」オチャズズー


斎藤「……………………………………………、」

斎藤「 も う お 好 き な よ う に し て 下 さ い 」スパー

堀川「~♪」トントントントン…

堀川「まず沢庵を賽の目に切る、ただし大きさは歯ごたえが残るぎりぎりで…」

堀川「これを冷めたご飯の上に乗せて、アツアツのお茶をかける」トポトポ

堀川「最後に醤油を一回しして」タラ~リ

堀川「これで完成。よし、早く土方さんと沖田さんの所に持ってってあげないと!…」

堀川「…………………。」

堀川「………………いや」

堀川「いやいやいやいやいやいやいやいやいや」



堀川「 お か し い よ ね ! ? 」


堀川「そりゃ、"おかしいって、何が?"とか言われると何もかもがおかしくて、もうどこから指摘すればいいのか解らないって言うか…!」

堀川「まず、何で僕曲がりなりにも一般のご家庭で包丁を持って、深夜にも関わらず沢庵を刻んでるの!?」

堀川「それはまあ、本丸でも調理云々には多少なりとも覚えがあるし全然苦でも無いけど…違う違うそうじゃない」

堀川「冷静になれ堀川国広…!重要なのはそっちじゃなくて…!」

堀川「……………。そうだ」



堀川「(どうして…僕と兼さんだけが…)」



堀川「(………"いいや")」

堀川「("そうじゃない")」

堀川「(どうして……どうして、土方さんと沖田さん、あの二人が……)」


―――コンコン。



堀川「―――っ!」バッ



兼定「…邪魔、するぜ?」


堀川「…兼、さん」

兼定「…土方さん達がな、昼に買った茶菓子を所望だとよ。何処に入れてたっけか?」

堀川「…戸棚は、そっちの奥の方ににあるよ」

兼定「そうか。…ここだな?(ガラッ)…うっわ。何が"ちょっとばかし"だよ、これ完全に血糊でべったべたじゃねえか!よくこんなもん土産だなんて渡したもんだよな全く…」

堀川「……、」

兼定「流石にコレを斎藤さんの御新造さんに食わせるのは無いだろうが。…とすると俺達の誰が喰うんだ、これ…土方さんにしれっと出すか…いやなんかあの人雰囲気がちょっとなー。下手すっと切られんな…じゃあ、沖田さんか?いやー血の味に慣れてそうだってのは不謹慎が過ぎるんじゃあないのか俺」

堀川「…兼さん」

兼定「後は消去法で考えると…俺ぇ?俺喰わないと駄目になる空気か?…そりゃ、元鉄っちゃあ鉄だけど別に鉄味の何かを食ってたワケじゃあ無いんだがなあ…」

堀川「兼さん」

兼定「………、」ピタッ

兼定「…何だ、国広」

堀川「兼さんは、平気なの?」

兼定「何が?」

堀川「……………、」ギュッ

堀川「―――"土方さん"だよ?」

堀川「あの土方さんが、僕達の前に居るんだよ?」

兼定「…沖田さんと斎藤さんをハブんなよ」

堀川「"そうじゃなくって!"」

兼定「………、」

堀川「兼さんは、"聞かないの?"」

兼定「………、」

兼定「お前はどうなんだ、国広」

堀川「…………、」






兼定『―――"武士よりも、武士らしく"…』


堀川『―――覚えてるよ、一人になった時…よくそう呟いていた…』




堀川『―――だから…!土方さんはその最後を全うしたんじゃねえか!!』


兼定『―――兼さんは…その最後を見てないから…!』







堀川「……………、」


堀川「ぼ……」


堀川「僕、は……」


堀川「僕は……!」


―――………。



斎藤「所で…土方さん?」


土方「あん?」ズズー


斎藤「こんな所(実家)まで招き入れておいて、こういう質問は何なんですがね…」


斎藤「―――貴方、どうして生きてんです?」


土方「…………、」ピタ
沖田「…………。」シン…


斎藤「そこの沖田クン…いや、沖田"さん"と御呼びした方が?」

沖田「あ、"君"呼びで結構ですよ?私、剣の道を志した瞬間に性別棄てたようなモノなので」

土方「の、わりには屯所の空き部屋に見張り立たせてこそこそサラシ巻いてたじゃねえか」

沖田「…何で知ってんです何で知ってんです?見ましたか見たんですか?ことと次第によっては試衛館時代の怨念晴らさせて貰いましょうか?」チャキッ

土方「見るかんなもん!部屋同士の壁が薄くなってるから布ずれの音まで響いてるのぐらい気を回せってこった…待て待て、刀に手を置くんじゃねえよ洒落にならんぞ」

斎藤「…まあいいでしょう」

斎藤「"私"の知る沖田総司が一億歩譲って実は女性であったと仮定するとしても―――」


沖田「酷い、花の乙女に何という言い草」

土方「お前自分で性別棄てたっつったろーが」


斎藤「(無視して)―――土方さん、アンタは別だ」

斎藤「私が眼前で見ている光景が、胡蝶の夢か若年性の暈けか、悪質な狐狸の類が魅せた幻覚でなければ…」

斎藤「あんたはあの北の地で…永遠の眠りについたハズだ」





斎藤「―――"俺"の耳にした情報が確かならば、だ」ギラリ


沖田「―――っ」ピクッ

土方「…は、そっちがお前の素面ってワケか斎藤?中々いい殺気してんじゃねえか」


斎藤「どうも。これでも一応は新選組の諜報隊長だった身故、自己の情報がすれ違っていると…どうにも"我慢がならない"、これが半分」

土方「…半分?」

斎藤「ええ。もう半分は…強いて言うのなら、アンタが生きている"理由そのもの"とでもしましょうかね?」スパー

斎藤「確かに俺はアンタや近藤さんが掲げた旗の下に集い、一時は信念を以て身を立てていた」

斎藤「……だが」

斎藤「あの戦いの直前から、俺はどうにもならんすれ違いを感じ…結果としてアンタとは袂を分かつ事になったが」

土方「………、」ズズー

斎藤「ハッキリ言わせて貰おう」

斎藤「別に俺はアンタがあの戦いをどうにか凌いで生き延びていたとしても、それ自体は"どうでもいい"」

斎藤「生きていた事に関しては気を置かぬ仲だったアンタだ。礼も言おう、謝辞の心も抱こう」

斎藤「しかし」


斎藤「アンタ達が拠り所としていた新選組は…"もう影も形も無い"」

土方「…………、」ズズー
沖田「……………」


斎藤「今の世は文明開化の真っただ中。今更薩長がどうとか、幕府がどうとか言うのはお門違いも甚だしい」

斎藤「増してや、当時その時の姿のまま…俺の目の前に現れたその理由は?…土方さん、アンタの口から直接聞きたいもんだ」


土方「…聞いて、どうすんだ?」コト


斎藤「知れたこと」

斎藤「旧知の茶飲み話に来たならそれも良し、あの世からただ迷い出て来たというならいい坊主を紹介しよう」

斎藤「俺が危惧しているのは、だ」



斎藤「土方さん、アンタ…"新選組を蘇らせるつもり"ではあるまいな?」



土方「………、」

土方「そうだと言ったらどうする、斎藤?」


斎藤「それも知れた事」

斎藤「新選組から袂を分かち、今や明治政府の狗として動いていようが…俺の信念はただの一所にある」チャキッ

斎藤「土方さん、沖田君。あんたら二人共にも共通したその感情…つまりは」




「悪」


「即」


「斬」




斎藤「それ以外に何がある?」チキ…。


土方「…俺は悪党か、斎藤?」


斎藤「言ったろう、それはアンタの心根次第だ」

斎藤「今の世に、不要となった新選組を蘇らせることはソレ即ち国家転覆を図るに等しい所業」

斎藤「いや、俺自身。その言葉は飾りに過ぎん」

斎藤「俺はただ、アンタが未練がましく過去の信念に縋り付き、見るも無残な亡霊に成り果てたというなら」




斎藤「それを見続けている今という時間全てが俺にとって―――" 我 慢 が な ら な い "」



斎藤「幕末の亡霊は悉く消え行く定め…新選組然り、俺然り、"あの男"然り」


沖田「(あの男?)」

土方「……………」

土方「…面白え」



土方「 俺 を 斬 る つ も り か 斎 藤 ? 」ゾルリ


沖田「―――っ」ビクッ


斎藤「再三言わせて貰おう、"それもアンタ次第だ"。…返答や、如何に?」


土方「壬生浪の頃からお前との斬り合いはそこそこだったと思うが…どう斬ってくれるってんだ?」


斎藤「勝ち負けの問題じゃない。ただ俺は全力を以てアンタの全てを否定してやるだけだ」


土方「………、」ニィィィ


沖田「ちょ、ちょちょちょちょちょちょ…土方さん土方さん!?顔が怖いですって!本気じゃないですよね!?ねっねっ!」

沖田「斬り合いなんかしたらあれですよ!?マスターに怒られますよ!?…第一!」

沖田「局中法度!復唱始めぃ!!!」






沖田「――― 一ぉつ!"士道に背きまじきこと能わず"!!」


兼定「――― 二ぁつ!"局を脱するを許さず"!!」


堀川「――― み、三つ!"勝手に金策いたしべからず"!!」


土方「――― 四ぉぉっつ!"勝手に訴訟取り扱うべからず"、だ!!!!」



沖田「―――そして、五ぅぅつ!!!」

沖田「……………、」チラ



斎藤「………………、」※(突きの構え中)

堀川「………………、」※(アツアツの茶漬けが乗った盆運び中)

兼定「………………、」※(鉄臭いみたらし団子だけを選別したやつを運び中)

沖田「………………、」※(ええからさっさと言えよこの三白眼という視線を向け中)

土方「バリバリバリバリ!!」※(待ちきれなくなったので沢庵に噛り付く中)


斎藤「………………………、」



斎藤「…"みだりに私の闘争を許さず"」ボソッ。


土方「つまりは俺が切腹かっ!!!!!」


土方「面白え…兼の字!介錯をしやがれ!!」


兼定「…おい!?台所から帰って早々なんだそれ!(兼の字って俺か!?)」


堀川「だ、だめだよそんなの!土方さん!!」


沖田「なんでそんな愉快な事考え付くんですかねこの人は!これだからメガな方に狂化入ってるサーヴァントは困るんですよ!!具体的には渚の第六天魔王とかほざく鯖(やつ)!!」



―――ぎゃーぎゃー!

―――わーわー!

―――ぐだぐだー!



斎藤「……………、」



斎藤「(なんだこれは)」スパー


Q:どうなってるのか説明して頂戴! A:次回だ。

次回ぃ!?おお嫌だ!!

というわけで今回はここまでにしとうございます。
次回、「それぞれの理由」とでもしときます。

特に理由の無き略奪()が藤田家を襲う!屯所時代の家人達の苦労が解ろう物だ!!

※6行目の台詞 堀川君と兼さんが逆になってました、申し訳ありません。

土方「…ま、切腹(それ)は冗談にしても、だ」


兼定「冗談にしちゃ目がワリとマジだったんだが」

沖田「すみませんねこの人洒落と本気(ガチ)が交じり合った思考してるんで」


土方「斎藤、手前の質問に答えてやるよ」

斎藤「…………、」


土方「まず一つ、俺と沖田が生きてんのかくたばったのかっつー点だが…」

土方「そこは、半分はオメーの言う通りだ斎藤」


斎藤「……………(半分?)」


土方「俺はあの地…五稜郭で確かに、腹に銃弾喰らってぶっ倒れた」

土方「そのまま肉体は朽ち果てて…その後の顛末は概ねお前が知ってる通りでいいと思うぜ?」

土方「はっ。…鬼の土方とまで呼ばれた俺が、ざまがねえ噺だ」


堀川「………、」

兼定「土方さん…」


沖田「私は、それに間に合う事なく長屋で一人散りでしたけどね…」


斎藤「では、今ここにいるアンタ等は?幽霊とでも?」

土方「"違う"…言いてえとこだが、"まあいい"大体はそんなトコだ」

土方「俺達が身を置いているトコが、そういう技術に長けていてな。他にも色々と"面白い"」

土方「何せ彼の"宮本武蔵"やら"織田信長"やらも居やがる上、両名とも大層な別嬪所ときた」


斎藤「…………………、」スー


土方「信じられねえって言いたげなツラしてんな?」


斎藤「ええ。"阿呆の世迷言は大概にしておけ"…と吐き捨てたいですがね」

斎藤「だがしかし」

斎藤「その物言い、その剣筋、何より全身から滲み出ている…匂い、とでも言いましょうかね…」

斎藤「あの血風渦巻く幕末の動乱を生き抜いてきた者のみが纏うであろう空気」

斎藤「その全てが、俺に訴えかけて来るのですよ…これは"是"だ」


斎藤「アンタは徹頭徹尾―――"土方歳三そのものだ"とね」


斎藤「この所幕末の亡霊共がぞろぞろと迷い出ていた所でしてね、そこにかつての上司と同僚が加わった所で気にする事も無かろうでしょう」

沖田「(先刻は斬るとか言ってた癖に…)」

土方「…まあ、俺達の場合は"迷い出た"とは立場がちと違うんだが…まあいい。"そんなことぁ問題じゃあねえ"」


斎藤「……?」

沖田「…………、」


土方「こっちの話だ。…俺等が今所属している組織(カルデア)の事まで言及すっと夜が明けちまわあから手短に言うとだな、あー…」

沖田「…まあ。8割がた幽霊みたいな、かと言って他人を憑り殺したり忘失して襲い掛かったりせず、お腹も人並みに空くという感じの人達が集って人類の未来の為に戦うぞー!的な?」


斎藤「…………随分と、まあ夢のある話だ」

沖田「(あ、これあんま信じて無い感じの目だ)」


土方「幕府に殉じてた俺が言うのも何だが、世界は広いってこった。…案外、そう遠くない将来にお前もそこに加わるかもしんねえぞ?」


斎藤「謹んで遠慮申し上げましょう。…あの世というモノが存在するかもしれんというだけで辟易するというのに、朽ちた後も諜報に駆り出されるのは御免被りますよ」スパー

土方「言ってろ」

沖田「(まあどうなるかなんて文字通り"神のみぞ知る"って所なんですが…)」


斎藤「…まあ、お二方の事情は大体解りましたが…」

斎藤「……、」ジロリ



兼定「…………、」

堀川「…………、」


斎藤「そっちの二人は?…見た所、新選組(俺達)に似た異装はしちゃいるが、屯所時代の記憶にとんと覚えが無い」


兼定「あ、いや、俺達は―――」



土方「"俺の刀だ"」



堀川「―――っ」

兼定「―――、」



斎藤「………はあ?」


土方「いいツラ構えだろうが。だがやらんぞ?」ニヤッ


斎藤「……………………………………………、」


斎藤「あの世に逝ったら女性に飽きましたか?」スパー

土方「ぶった斬るぞテメエ」チャキッ


沖田「そー言えばお二人についてあんまり聞いてませんでしたね。滅茶苦茶ごたついてた所為もありますけど」


堀川「…………、」

兼定「…………、」

兼定「(どうしたモン、か…)」

兼定「(ここで俺達が洗い浚いぶちまけちまったら、それは歴史に深く介入するという事に他ならねぇ…)」

兼定「(そうなっちまったら、これから先の未来がどうなるか…)」

堀川「…………、」


堀川「……ぼ」

堀川「僕達、は…」


兼定「…!おい、国広―――「今は!」―――!?」


堀川「………………、離反を決意したから、だとか」

堀川「土方さんを救いたいって、口にしたからだとか…そういうんじゃなくて…」


土方「………、」

沖田「("救う"…?)」


堀川「上手く、言葉に、出来ないけれど…」

堀川「何が起こっているのか、これから何をすればいいのか」

堀川「主さん達と連絡が取れない今、僕等だけじゃ出来ることなんて、たかが知れてる」

堀川「だから」

堀川「だから…今は、"その時"なんじゃないかって、そう…思うんだ…」


兼定「………………、」

堀川「………………、」

兼定「(歴史を守る為に)」

兼定「(俺は。そうする事が正しいことだと信じて、かつての主を…"見捨てようとした")」

兼定「(どんな言葉を以てしても覆す事は出来ねえ、それが真実)」

兼定「(今はどうだ?)」

兼定「(あの時の言い争いにしたって、俺は…"俺達"は、未だに何の決着もつけちゃいねえ)」

兼定「(だけれどもだ)」

兼定「(国広は、変わらず俺に…(もしかすると、土方さんにかもしれねえが)…着いて来てくれている)」

兼定「(それは。この場に来る前に、俺に言い放った言葉…"土方さんを救うため"か?)」

兼定「(勿論、それだってあるだろう…)」

兼定「…………、」

兼定「(ここで、言葉を濁すことも出来る)」

兼定「(一先ずは共に行動をして、いざとなれば歴史に深く関わる事柄からは離れちまえばいい)」

兼定「(俺達は"歴史"を…人間が、"正しい歴史を紡ぐ為"…その為に造られた、主の使命を果たす為の…文字通りの"剣"なのだから)」

兼定「(ならば俺が…"和泉守兼定"(オレ)として行うべきことは…)」


兼定「……、」

堀川「……、」


兼定「…………ちっとばかし長くなるんだけどよ」ポツッ

堀川「兼さん…」

―――………。



兼定「―――以上が、俺達…"刀剣男士"が今所属している本丸の顛末だ」


斎藤「………、」

土方「………、」

沖田「つまりお兼クン達は、私達が使っていた刀に宿った英霊…というより、"付喪神"のようなモノだと?」


兼定「…どうもその呼び方だと妖怪めいて好きじゃねえんだが」

兼定「神様なんて大層なモンじゃねえさ、飽く迄も出来る事は人間のソレとほぼ変わんないからよ?」


兼定「感情もありゃあ痛覚もあり、味覚もあれば記憶も…………―――刀だった頃のソレだって、残ってる」


斎藤「……………………、」スパー

土方「どうした斎藤、頭でも痛えのか?」

斎藤「立て続けにこっちの脳細胞が刺激されすぎてどう処理したものかと考えているだけなのでどうぞご心配なく」カチッカチン

沖田「(それにしては煙草の向きが逆なような)」


沖田「しかし…そうですかぁ…へぇ…へー!」

土方「なに嬉しそうにしてんだ沖田」

沖田「だって!だってですよ!刀に宿ったヒトガタだなんて浪漫の塊じゃないですか!!」


沖田「ねぇねぇ堀川君、お兼クン!私の!私の愛刀ちゃんはそのホンマルってとこに居るんですか!?」

沖田「どういう感じの子ですか!?色白?病弱?それとも線の細い?カッコイイですか色男ですかそれともイケメンですか!?」


兼定「それ全部同じようなモンじゃねえか!」

堀川「え、ええっと…」







―――オーラオラオラァ!

―――フェイントに見せかけて攻撃!攻撃ぃ!




―――出撃するぞ!オラァ!

―――おお、殺してやるよ! 子猫ちゃぁん!



兼定「…………………、」

堀川「…………………、」


沖田「え、何故に沈黙?」


兼定「………いい男士(やつら)だぜ?」

堀川「………いい男士(こ)達ですよ?」


沖田「……えっそれは喜んでいい部類で?」


二人「「勿論(です)(だぜ)」」


沖田「わ、わーい…?」



この時、沖田が誇らしげに掲げた刀が行灯の光でキラリと光った。
…ような気がした。

土方「…さて、互いの身分はこれで吐き出し切ったワケだが」

土方「解せねけこたぁまだまだある」

沖田「まぁ寧ろこっからが本番ってとこですね」


土方「何故……"俺達二人だけ"がここに飛ばされた?」

沖田「一応、マスター達との"パス"は切れてない処かばりばり繋がってる感覚があるのは幸いでしたね」

土方「にしちゃあカルデアからの連絡が一向にありやがらねぇのは妙だ」

兼定「その疑問、俺達の方もだぜ?」

兼定「ここに来たのは俺と、堀川の二振りだけ。その上本丸とは未だに連絡が繋がらねえしよ…」

堀川「………、」


沖田「うぅ~ん、こういう場合、当事者たちに通ずる"共通点"というか。或いはここに引っ張られる"何か"があったんでしょうかねえ?」

兼定「"共通点"ねえ…」

兼定「………、」


土方「…………」
沖田「…………」
堀川「…………」
斎藤「…………」


沖田「…誰か、何か言って下さいよ」

兼定「いや、だって…なあ?」

堀川「う、うん…」

土方「んなもん、"新選組"以外に何があるってんだ」

沖田「いや、そうなんですけどねぇ…」

沖田「普通、みすてりぃ物ならここから話を広げて読者があっ!と驚くような展開を創り出すというのがミソで」

土方「朝餉は味噌汁より沢庵だな」

兼定「もう朝餉の話かよ」

沖田「どんだけ沢庵ジャンキーなんですかこの人」

堀川「土方さん、野菜も取らないと駄目だよ?」

沖田「いやー、沢庵はきちんとビタミンが…言ってて何ですけど朝餉というか、沢庵から話遠ざけません!?」

斎藤「………………、」スパー

沖田「ほらぁ、斎藤さん呆れて物も言えなくなってるじゃないですか!」

兼定「(いや、この人割と最初からこんなんだったぞ)」

斎藤「与太話(みすてりぃ)の類には全く関心は無いが…」

斎藤「共通する"事件"とやらには、少し心当たりがありますがね」


沖田「―――!」

土方「…何だそりゃ、斎藤」


斎藤「それは―――…」



―――バン!バン!!バン!!!



5人「「「「「―――!!!!」」」」」ジャキッ!!!



土方「……」(誰だ、という目線)

沖田「……」(もしかすると今朝やりあった"あれ"ですか?という目線)

堀川「……」(僕が行って様子を…という目線)

兼定「……」(いや一人じゃ危ねえ俺も…という目線)

斎藤「……」(…あれは…)





???「―――藤田、藤田。夜分遅くにすまん、居るか?」バンバンバン!


土方「……」
沖田「……」
堀川「……」
兼定「……」


斎藤「……どうやら、"藤田五郎"(おれ)の客人のようで」ガラッ!



藤田「これはこれは先輩。こんな時分にどうされましたか?」ニッコリ



土方「(うわなんだあのツラ似合わねえ!)」

沖田「(本人に言ったら斬られますよ間違いなく)」



先輩「おう藤田、起きていてくれたか。帰宅の身で申し訳なき事なんだが急いで仕度を頼む!応援が必要だ」

藤田「………何か、起こりましたかね?」

先輩「ああ、河の近くで今しがた惨殺死体が見つかってな」

藤田「………被害者(ガイシャ)の身元は?」

先輩「"解らん"例によって"何もかもグシャグシャ"になっちまってる……"ただ"」


先輩「被害者の側に布切れが一枚縫い付けてあってだな、見ると、矢張り先日の二件と全く同じだったそうだ」


藤田「………では」

先輩「ああ」




先輩「また―――"新選組"の仕業だ。少なくとも、上はそう見ているようだ」

壮大に、何か起こるようで、起こらない。

沖田「季語がないじゃないですか」土方「うるせえな、ほっとけ」

今回はここまでで。
書き溜めないもので、すみません。

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