ミリP「これから百合子腹と呼ぶ!」百合子「後生ですから止してください!」 (42)

===
N『ある日の、765プロ事務所』

プルルルルル……。

小鳥「あっ、プロデューサーさん。"いつものトコ"からお電話です」

P「あいあい、ありがとうございます小鳥さん」ガチャ

P「はい、こちらニコニコ765プロ! 只今お電話変わりまして――」

小鳥「……ふっ、始まりましたよ律子さん」ニヤリ

律子「えぇ。分かってますとも小鳥さん」ニヤニヤ

美咲「?」

P「うん。はいはい。あー、えー、それはまた、なんですねぇ……」

P「ええ、それはそれは……てっめー! ざけんなこの野郎っ!」

美咲「!?」ビクッ!!

律子「きたっ!」

小鳥「始まった!」

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P「お? 言ったな、こら!? やる気か? このっ! おうおうおうおう上等じゃねーかこん畜生め!!」

美咲「えっ? えぇっ!?」

P「今さら冗談でしたじゃ済まねーかんなっ! 絶対泣かせる! 絶対泣かせるっ! 首を洗って待ってやがれ!」

P「てーいっ!!」ガチャ、チーンッ!

美咲「なっ、なっ、一体……。何があったって言うんです!?」

P「けっ! 全く忌々しい……。青羽さん!」

美咲「は、はいっ!」

P「電話に塩撒いといて、塩っ!」

美咲「そこまでですか!?」がたたっ!

小鳥「美咲ちゃん!」

律子「塩持って来ようとしなくていいですから!」


P「くっあぁぁぁ~~~っ!! ちょおおおおっと事務所がウチよりデカいからって、調子に乗りやがってあんにゃろうめ!」

P「律子! ちょっくら出掛けてくらぁ!」

律子「どこ行くんです?」

P「もち、劇場っ!」

ドカドカドカドカ、バタンっ!


美咲「あ、嵐のように去って行った……」

律子「……はぁ~、参った」

小鳥「ふふふんっ♪ 今回は早めに切りましたね、ジャッジの必要がないほどに」

美咲「え、えーっと?」

律子「いえいえいえいえ、小鳥さん。確かに電話は切りました。三分経たずに切りました」

律子「それでも少し涙目でしたし、あれは完璧なまでの負けですよ」

小鳥「物言いですか? またですか? たまには潔く勝負を降りましょうよ」

美咲「なんの話をしてるんです……?」

律子「それじゃ、私の財布が持ちませんし……ビデオ判定!」

小鳥「撮ってません」

律子「なら、今回も間を取ってプロデューサーに出してもらう」

小鳥「賛成! ……と、言うワケなんで美咲ちゃん?」

美咲「はい? な、なんでしょうか音無先輩」

小鳥「プロデューサーさんを追いかけて」

律子「晩御飯の約束、取り付けちゃって来てください♪」

美咲「は、はいぃ?」

===

N『ところ変わって、ここは765プロ劇場事務室前』

コンコンコン

紬「失礼します」

このみ「あら、紬ちゃんじゃない。いらっしゃい」

紬「えっ……このみさん?」

響「紬。事務室になにか用?」

紬「……と、響さん?」

紬「私はプロデューサーを探しているのですが、お二人のその恰好は……」

響「自分たちは、手が空いてる時のバイトだぞ」

このみ「アダルトな事務のお姉さんに見えるかしら?」

志保「あ、アルバイトですか?」

P「そうだ、バイトだ。ウチはスタッフが足りないから」

志保「ひゃあ!? プ、プロデューサー!」


このみ「あ、来た来た」

響「はいさい、プロデューサー!」

P「しょくぅん、元気にぃ、やっとるかねぇ?」

このみ「相変わらず、社長に似てない物真似ねぇ」

P「そういう事を言わんでください」

志保「そ、それよりなにより急に背後に立たないでくださいっ!」

P「急に背後に立つなって……。ぼーっと入り口を塞いでる方が悪い!」

志保「えっ? そ、そんな。並んで立ったら夫妻だなんて……」

このみ「言ってない言ってない」

響「どういう耳をしてるんだか」

紬&P「こういう耳です」

このみ「やると思った!」

響「……で、なんの用なのプロデューサー」

P「なんの用って……。俺はPだぞ? 仕事しに来たに決まってるじゃん」


このみ「仕事ねぇ」

響「椅子に座って雑誌読むのが?」

P「ちっちっち、分かってないなぁ我那覇君」

P「流行に合わせて方針を変える。それはプロデュースにおける基本の基本!」

このみ「NU<ヌー>だったかしら? 愛読書」

響「オカルト専門雑誌だぞ」

紬「……ものの見事に偏って」

P「必要不可欠な知識なの! アイドル事務所のハズなのに、ワケのわからん怪奇現象ばかり起きおって!」

このみ「あ、それよそれ!」

響「ちょうど今朝も報告があって。見回りしてる当直さんが、また妙な物音を聞いたって」

このみ「今月入って十回目」

響「二日に一回のペースだね」

P「ほらな? ほらな!」

紬「そ、それはまた……。物の怪の類なのでしょうか?」


このみ「妖怪の仕業かどうかは知らないけど……」

響「結構みんな聞いてるよね。夕方一人で居る時とか」

紬「ひっ……!」

このみ「レッスンルームに会議室――」

響「衣装室にだって出るらしいぞぉ~!」

紬「…………っ!」

P「なっ、どうした紬? 急に俺の方寄って来て」

紬「……いざとなったら盾にしようかと」

P「その時は逆に差し出しちゃる」

紬「プ、プロデューサーなら大事なアイドルを守るのも、務めなのではないですか!?」

P「だったら日頃から愛想よくしろ、この強情気むずか泣き虫娘っ!」

紬「……あ、それはそうと私、アナタにご用事が」

響「おっ、喚き散らさず切り返した」

このみ「うんうん、すっかり逞しくなって」

紬「そんな、まだまだ未熟です」

P「ああ、純情おぼこが染まって行く……何故だっ!?」

響「そりゃ、いつもからかう」

このみ「アンタが悪い」

>>7訂正
○紬「……あ、それはそうと私、アナタに用件があったのです」
×紬「……あ、それはそうと私、アナタにご用事が」

===

・劇場楽屋兼控え室

P「……で、なんだな」

P「揃いも揃ってお前たち。一体全体どうしたって?」

可奈「あの、えっと」

百合子「そのぉ……」

未来「プロデューサーさん。どうか怒らないで聞いてくださいね?」

志保「この二人、衣装が入らなくなりました」

P「何、またか!? ……おい紬ぃ!」

紬「ここに来る途中で言いましたが?」

P「今すぐ紗代子を呼んで来い」

紬「使い走りでもないのですが……」スタスタ

百合子「だったら行こうとしないでください!」

可奈「お願い、まだ見捨てないでっ!」

未来「可奈ちゃん敬語が抜け落ちてる」

P「反省っ!」

可奈「ウキッ!」

P「よく知ってんなぁ」

志保「……笑いを取りに来たんですか?」

P「いや、できるだけこの場を和ませようと」

百合子「だったら多分に逆効果です~!」


紬「…………」そわそわ

紬「あの、プ、プロデューサー?」

P「ああ、うん。紬も紬でよくできました、えらいえらい」

紬「それだけ……ですか?」むすぅ…

未来「おざなりだ!」

百合子「協力したのに」

可奈「ちょっと紬さん可哀想かも」

志保「……あなた達、怒られる割には平気そうね」

百合子「はっ、針のむしろに座る気持ちだよ!」

可奈「地獄の責め苦に耐えていますっ!」

未来「わ、私は、私は! えーっとぉ……!?」

P「落ち着け未来。お前は違う」

未来「あっ、そっか。そうでした」でへへ~♪

P「……ただ、センターとしての責任がなぁ」

未来「生クリーム舐めるの我慢しますぅ!」

志保「プロデューサーさんっ!!」

P「ごめーんちゃい」


志保「……はあああぁぁ~!!!」

百合子「ああ、すっごくイライラしてる……!」

可奈「あの怒りがこっちに来るんだよぉ……?」


志保「二人は黙って!」

百合可奈「はい!」

P「解散!」

一同「はいぃっ!?」

P「いや、まぁ、なんつうかね?」

P「手間が省けてよかったよかった」あっはっはー

可奈「何がよかったって言うんですかぁ!?」

百合子「成り行き次第じゃ血を見ますよ!」

未来「私たちがっ!」

紬「未来さんは関係ないのでは……?」


志保「……はぁ」

志保「もちろん、納得のいく説明はあるんですよね」

P「志保ぉ……!」

志保「な、なんです? 急に改まって」

P「お前は静香より優しいなぁ」

志保「……は?」

可奈(マジ泣きだ!)

紬(一体なぜ……?)

百合子(静香ちゃんなら一呼吸も置かずに噛みつくから……)


未来「後で教えてあげちゃおっと」

P「やめてっ!」

未来「はっ! 私ってば声に出てた!?」

P「勘弁して! もうマジであの子はメンドイから!」

P「毎回機嫌を取るのが大変なの!」

志保「……うどんでいいんじゃないですか」

百合子(あ、志保ったら急に投げやりに)

P「見るか、俺の財布の中。うどんのレシートで一杯だぞ?」

可奈「うわぁ……半分以上が領収書」

P「これが経費で落ちなくてさぁ」

未来「経費で落ちないとどうなるんです?」

P「全額自腹」

紬「おとろしか……!」

百合子「止めてくださいお金の話は! 紬さんが怯えてしまってます!」

P「紬、東京の家賃は高かろう?」

紬「うぅ、うぅぅ……!」コクコクコク……!

P「払う物も払ってしまったら、仕送りもそんなに残るまい」

紬「世知辛か……!」

未来「良くないですよ、いじめるのは~」

志保(そういえば今月はウチも厳しくて……)

可奈「志保ちゃんまでもがちょっとブルー!?」

===

P「まぁ、うどんは怖いって話だよ」

紬「後はお金も大事」

志保「凄く大事」

百合子「嘘みたい。さっきまでイライラしてたあの志保が」

可奈「すっかり大人しくなっちゃった……!」

未来「プロデューサーさん、魔法みたい!」

P「ふぐぅっ!?」

可奈「えぇっ! なんでダメージ!?」

P「ま、魔法使いになりそうだから……?」

百合子「風のですかっ!!」

P「違うけど、そうじゃなくて」

百合子「違うんですか……」

未来「なんですか?」

P「……ちょっと言いはばかられる事柄です」

百合子(……っ! エッチなやつだ!)

未来「っ! エッチだー!」

P「未来はお口を閉じようねー?」

未来「お菓子があれば閉じれるんですけど……えへへっ♪」


志保「はっ! ……そ、そうです。ソレです!」

志保「二人の衣装が入らない話。すっかり忘れるところでした」

P「えぇ~? まだするのぉ~?」

志保「まだも何も、一切話は進んでませんっ!」

可奈「あーあ、魔法でお腹が引っ込めばなー」

可奈「引っ込め、引っ込め、引っ込め込め~♪」

志保「夢みたいなことを歌わない!」

未来「だけど夢を忘れちゃ!」

百合子「ダメだよ志保! ……くっ! やはりダークセーラーの力に引っ張られて……!」

志保「フッ……生意気なマイティセーラーは、そのぷにぷにお腹が恥ずかしくないの?」

百合子「的確に弱点を突く攻撃っ!」

P「いやぁ、実に素晴らしい攻めですねぇ~」


紬「……なんなん、茶番?」

百合子「いや、そのぉ……」

百合子「ごっこ遊びでカロリー消費できないかなって」

可奈「かなかな~♪」


P「そういえば、カラオケで痩せるってのもあるよなぁ」

志保「説得力はありますね。恵美さんの例がありますし」

紬「ひゃっ!? お、お化け? どこっ!?」

百合子「紬さんが!」

可奈「プロデューサーさんに引っ付いた!?」

未来(もうホントびっくり!!)

P「驚いてるのは顔で分かるぞ」

未来「ビックリしました!」

P「うん、分かる!」

紬「……はっ!? う、うちは一体なんてことを……!」

可奈「あっ、紬さんが部屋の隅に……」

未来「座っちゃった」

百合子「……なんだか座敷童みたい」

紬「もうほうっといてぇ……見んといてぇ……」

P「こうしてまた一人の若い娘が、厳しい現実に打ちのめされてしまったのだ……完!」

志保「終わってません」

P「琴葉と対だな」

===

琴葉「へくちっ!」

エレナ「へくちだって!」

琴葉「も、もう! 笑わないでよ」

恵美「可愛いって噂されてるんじゃないの~?」

琴葉「からかわないで! わ、私なんかがそんなワケ……」

エレナ「止めなよメグミ。またコトハが部屋のスミに行っちゃうヨ~?」

===

P「なーんて光景が目に浮かぶようで」

百合子「ちょうど窓の外にある景色です」

可奈「外は天気も良さそうだ~♪」

未来「遊びに飛び出しちゃいたいね~」

志保「あーなーたーたーちー……!」

可奈「冗談でーす!」

未来「言っただけでーす!」


P「あー、志保志保そのな? 実はな? ホントのトコな?」

志保「……はい。ササッと説明してください」

P「ある撮影の仕事が入ってさ。百合子と可奈に任せてみようと思ったのよ」

志保「お菓子と休養の取り過ぎで、衣装の入らないこの二人に?」

P「あ、ああそうだ。衣装の入らないこの二人にだ」

志保「……まぁ確かに。ちょっと太めのモデルが必要だとか、ダイエット器具のモニター役にはピッタリなのかもしれませんね」

百合子「……一言一言の確認が」

可奈「針の先っぽでつつくようで!」

志保「聞こえてるのなら遊んでないで、走り込みでもしたらどうですか?」

百合子「私、体力無いんだぁ」

可奈「体力はあるけど痩せないんだぁ」

志保「そういうの、根性が無いって言うんですよ」

紬「……やっぱり紗代子さんを連れてきます」

可奈「ついでに千早さんも! 千早さんも!」

百合子「未来!」

可奈「これ以上事態を煽っちゃダメー!」

一旦ここまで

>>17訂正
○未来「ついでに千早さんも! 千早さんも!」
×可奈「ついでに千早さんも! 千早さんも!」

===

P「とにかく、この百合子腹問題については置いといて」

百合子「置いとけません、百合子腹!?」

可奈「食べられません」

未来「お腹一杯っ♪」

紬「そも、昔から腹八分目と言いまして――」

百合子「ちょっと話題が逸れてる逸れてる!」

志保「何を今さら……」

百合子「百合子腹って何ですか!?」

P「薔薇の種類じゃないのは確かだな」

未来「またまたそんな、プロデューサーさん」

可奈「言われなくても分かってますよ~」

三人「あっはっはー!」

百合子「笑い事じゃあありませんっ!」


紬「百合子さん、先ほどと変わってえらく強気な……」

志保「自分に火の粉がかかったので」

百合子「なんなんですか百合子腹って! 私のお腹のことですよね!?」

P「お、わかってんじゃーん」

P「食べ過ぎて太った百合子の腹はまるでビーズの枕のような手触りで、しかも! 頭の置き心地だって抜群だと!」

P「だからそういう見事な腹のことを、これからは百合子腹と呼ぶ!」

百合子「後生ですから止してください!」

志保「誰の言葉です?」

P「偉大なるアンナ・モチヅキー」

百合子「杏奈ちゃーんっ!!?」

===

チュドーン!

杏奈「あ……凡ミス」

奈緒「珍しいこともあんねんなー♪」

ロコ「オブビアリ。ウォークゲームなんかするからです」

===

P「なーんて光景」

志保「廊下ですね」

未来「ロコちゃん歩きながら彫刻してた」

可奈「木くずが一杯落ちてるねー」

紬(……誰が後片付けするんやろ?)

百合子「だから、話が、逸れてますって!」

志保「いいんじゃないです、百合子腹?」

可奈「分かりやすいし」

未来「異議なし!」

P「異議なし!」

百合子「大有りですっ!」

紬「さて、"大有り名古屋は城でもつ"。これは伊勢音頭に使われている句の一節で――」

百合子「"伊勢は津でもつ、津は伊勢でもつ、尾張名古屋は城でもつ"。この尾張と大有りをかけた洒落なんです! つまり、尾張には金のしゃちほこでも有名なかの名古屋城が"大有り"だと! ……はっ!?」


紬「百合子さん……」

百合子「つ、紬さん……」

紬「今のはうちの、うちの見せ場やったのに」

百合子「ご、ごめんなさい紬さん! 私、決して出番を取るとかそんなつもりは――!」

P「一度ならず二度までも、しかも今度は中断どころか解説役を奪うとは……」

可奈「流石はオールマイティ百合子ちゃん……!」

未来「私たちの出番、奪ってるのだって知ってるから!」

百合子「えぇぇ!? そ、そんな噂は濡れ衣だよ!」

===

ジュリア「ジャカジャンッ♪」

茜「呼ばれてないけどとうっじょーうっ! ここで茜ちゃんの突然ちゅうしゃーく!(注釈)」

茜「百合子ちゃんってご存知の通り、多彩な役柄をこなせるうえに
誰とでもソツなく絡めちゃうってゆー、いわゆる主人公気質の子なんだよね」

茜「だからさー、ドラマや劇の脚本さんたちの間では、
『困った時は七尾に頼め。今なら望月もついてくる』なーんて話が常識として語られてるとかいないとか」

茜「そーしてその分の割りを喰っちゃうのが、元祖正統派系主役である未来ちゃんと可奈ちゃんの二人なワケ。
だからあながち濡れ衣って話でも無さそうな――」

ジュリア「……茜。解説中に悪いけど、レイにプリン喰われてるぞ」

茜「にゃーっ! またなの!? またまたまたまたこのオチなのっ!?」※1



※1このように、『オチに困ればプリンを奪え』なんて話も語られてるとかいないとか。


ゾクゾク……!

可奈「あ、あれ?」

未来「なんだか、急に部屋が寒くなった?」

紬「……レイです。霊の気配です」

P「ま、まさか! まだ昼間だぞ……」

志保(紬さん、またくっついてる)

百合子「じゃなくて!」ダンダンダン!

百合子「私の! 私のお腹の話ですっ!」

P「だから触り心地が抜群だって」

百合子「百合子腹という呼称について! 太ったお腹をさすのなら、可奈腹でも良いワケじゃあないですか!」

未来「そ、それは酷いよ百合子ちゃん!」

可奈「友達を売り払うような行為だよっ!」

志保「買った!」

P「待った!」

紬「そうです! 日本における人身売買の歴史と言えば――」

P「可奈の身柄はウチのもんだ! まずは事務所に話を通してもらう!」

志保「そ、そうすれば可奈が買えるんですか?」

P「オフコース。貸し出し、移籍、アナタがドリンクをお持ちなら、トレードなんかもできますけども」

紬「あのんねぇ! うちの話も聞きまっしぃっ!!」

百合子「もおぉっ! 私の話が先ですよぉ~~っ!!」


P「でも結局のところはアレじゃんか。語感と語呂が全てじゃない」

百合子「はぁ……」

P「可奈腹なんて声に出してほら言ってごらんよ。なんだか地名みたいでしょ?」

百合子「か、可奈腹県可奈腹市……」

未来「可奈がバラバラ」

紬「ひっ、殺人事件っ!?」

志保「そんな! 私が手に入れた可奈が!?」

可奈「買われてないよ!? 買われてない……よね?」

未来「犯行現場に残された、うどんのダイイング・メッセージ」

紬「一体誰がこんなことを……?」

可奈「華麗にスルー、されてる可奈~……♪」


百合子「ふっ、どうぞ皆さん落ち着いて」

P「あ、アナタは!?」

百合子「この世にも凄惨な殺人事件。私、七尾百合子が解決します!」


N『読書探偵、七尾百合子の事件ノート!』


百合子「……って、違いますよ! どうして話が進まないの!?」

志保「アナタが参加するからでしょう?」

P「警察、誰か警察も呼べ!」

未来「はいここに、捜査一課の春日です!」

P「良かった! 警察官がここにいた!」

百合子「良くないっ!」

志保「触れない!」

可奈「……隅っこ中々落ち着くな~♪」

未来「あ、座敷童」

紬「っ!!?」ガターンッ!!

P「紬、首が絞まる絞まるっ!」

===

P「……まぁ結局だ。二人に来たのは食レポの仕事、求められてるのは美味しい表情。
撮影中はたらふく食べることになるだろうから――」

未来「最初にぷくぷく太ってても、後からダイエットするんですね!」

P「正解っ!」

未来「やったー!」

百合可奈「ちょっと待ってーっ!!?」

志保「ようやく話が進みましたね」

紬「本当に、ここまで来るのが大変で……」

P「と、言うワケで。現時点で衣装が入らなくても問題無し! 細かい予定は改めて言うから――」

可奈「待ってくださいプロデューサーさん!」

百合子「ダイエットって一体なんですか!?」

P「……紬ー」

紬「はい。ダイエットとは体調管理や肥満改善を目的に、食事の量やカロリーを調整、
時に運動や生活習慣の改善までも視野に入れ――」

未来「はー、活き活きしてる」

志保「よっぽど話したかったのね」

>>28訂正
○紬「はい。ダイエットとは体調管理や肥満解消を目的に、食事の量やカロリーを調整、
×紬「はい。ダイエットとは体調管理や肥満改善を目的に、食事の量やカロリーを調整、


N『――十分後』

紬「――そうした活動が最終的に、着物を着るのに最適な体型を作るのです。以上、講釈は白石紬でお送り致しました」

紬「……っ!!」ドヤァ!

P&百合子&志保「おぉー」パチパチパチパチ

紬「……って、なんですこれは!? 歴史とも全く関係のない!」

P「えっ、さっきから解説キャラがやりたいのかと」

紬「そんなワケが……! 私はただ、先ほどから日本のことわざや文化に関連する着物の逸話を語りたく」

百合子「そうだったんだ」

P「気づけないよねー」

志保「先生、二人ほど寝ている生徒がいるんですが……」

みらかな「……ぐぅー」

紬「この際寝かしておきましょう」

百合子「話が進まなくなっちゃうから」


P「ま、心配しなくても百合子腹」

百合子「百合子です!」

P「ダイエットって言ったって、常識的な範囲だよ」

志保(信じられない)

紬(怪しすぎる)

百合子「た、例えばどんなことするんですか?」

P「えぇ……知りたい?」

百合子「一応まぁ、心構えが」

P「一つ目の候補が……登り」ぼそっ

紬「? もう少し大きな声で――」

百合子「いいですいいです結構ですっ!!」

紬「ゆ、百合子さん?」

P「二つ目が……キャンプ」

志保「キャンプ?」

P「プロデュースby桜守」

志保「歌織さんじゃあないんですか?」

P「桜守だね。間違いない」


紬「プロデューサー、先ほどから一体どういう意味……」

P「ちなみに命の危険は五分五分だ」

志保「えっ」

百合子「ああ、やっぱりぃ……!」

P「実弾飛び交うって聞くからなぁ」

紬「何をさせる気なんですかっ!?」

百合子「マグロ漁船の経験が、よっぽど温く感じます……!」

P「はっはっはっ! まぁいつものことさ、気にするな!」

百合子「いつもこうだから気にするんです!」

P「それより撮影本番までに、のり子から技の一つも習っとけよ」

百合子「技って……また、なんですか? この後に及んでまだなにか!?」

P「当日は他所の事務所との合同だ。のこのこやって来たあちらさんにお前の力を見せてやれ!」

百合子「ヤダヤダヤダ! 絶対絶対嫌ですってば!」

P「狙うなら顎だ、顎にしろ!」

志保「今のプロデューサーさんのアドバイスを、どう思われますか白石さん?」

紬「そうですね。出会い頭に顎を砕くことができたなら、相手は食事も会話もままなりません。
そんな状態の人間が、その後に続く食レポの仕事など当然こなせるワケもなく」

志保「なるほど。一見非道に思えますが、確実に相手を潰す堅実な戦法なんですね」

百合子「そこ! 物騒な話題を広げないで!」


P「頑張れ僕らのマイティ百合子! 絶好の枠を奪うチャンスだぞ!」

百合子「セーラーは正義の戦士です! 後枠も奪ってませんから!」

志保「……一度闇堕ちしましたよね?」

百合子「リアル犯罪者になんてなりたくないっ!!」

P「あ、それと最終手段でもある三つ目のダイエット候補だけど」

紬「また、アナタの話は唐突ですね」

P「佐竹飯店で開かれる、脂肪燃焼のための薬膳中華料理三昧」

志保「ダイエットなのに食べるんですか?」

P「三日三晩食べ続けることができなければ、逆にカロリーを消費しきって死ぬと言う……」

百合子「地獄の責め苦か何かですかっ!?」

P「美奈子はいつでもオッケーだって」

百合子「アイドルの命が安すぎますよぉ~……!!」

志保「今さら往生際が悪いですよ、百合子さん?」

紬「765に入所する時に、保険にも入っていたと思いますが……」

百合子「それ事故とかなんとかのヤツですよね!?」

P「だから事故とかなんとかで命のやり取りしてるんだろ。……と、言うワケで百合子。本番当時はよろしくなっ!」

百合子「ぜ、ぜ、絶対ヤダ……っ!!」

===

N『それから時が過ぎる事早や数日。ついに食レポの撮影当日がやって来た!』

・某所、人気スイートパーラー店舗前

P「いいか? 今日までの特訓を思い出せ、相手を絶対泣かせてやるんだぞ!」

百合子「はい……」

可奈「はぁい……」

P「気合入れろ! 拳あげろ! 先手必勝でヤって来い!」

トボトボトボ……。

百合子「はぁ~……。折角人気スイーツ店の食レポなのに」

可奈「気持ちが重い~、体重も重い~……♪」

百合子「上手く痩せれるかが心配で、食べる前から胸いっぱい」

可奈「……あっ、見てみてアレ見て!」

百合子「ん~?」

可奈「あそこにいるの、今日一緒に撮影する相手事務所のアイドルさんじゃ……」


?「はぁ~……。最近のプロデューサーさん、ちょっと前より厳しいよね」

?「このお仕事が決まってからだよ~。わたしメモしてたから、覚えてる!」

?「うん。ホントそう……て、それはメモじゃなくて日記って言うんじゃあ――」


可奈「ほら、あそこの二人、百合子ちゃん」

百合子「あっ、ホントだね――」


百合子&?「「カナちゃん!」」


可奈「はい!」

?「はいっ!」

可奈&?「んんっ?」



かな子「……あっ、今日ご一緒する765プロさんですか? 私、三村かな子って言います」

加奈「同じ事務所の今井加奈です。今日はよろしくお願いしますねっ♪」

百合子「へ、あ、あぁ! 765プロのな、七尾百合子です!」

可奈「矢吹可奈です! 今日はよろしくお願いしますっ!」

可奈「……かなかなかな子で~、かなななトリオ~♪」

加奈「可奈さん……。わたしとお名前、一緒なんだっ!」

百合子(……丸い)

かな子(服の上からでも分かる。……この子も結構"肉付きのいい子"だ!)

百合子「……えへ♪」

かな子「……ふふっ♪」


P「……妙だな、百合子と可奈のヤツ」

P「なーんか和気あいあいとしてんだよなぁ。ササッと挨拶代わりの一発をさぁ~」

P「ハッ、そうか! アイツら初めに油断させておいて、後から奇襲するつもりだな」

・「……お言葉を返すようですが、初対面の相手にそんな事しようと思うのは先輩ぐらいしかいませんよ」

P「むっ!?」

・「まぁ、あの様子ではもうそんな心配もしなくて良いでしょうが」

P「……てんめー、よくもノコノコ来やがったな」

・「それはそうです。自分がついておかないと、どんな"事故"を装った妨害を受けるか知りませんから」

P「ふん! ダーティーはそっちの十八番だろ?」

・「961プロも変わりました。今ではイメージカラー以外真っ白です」

P「よく言う! 人の営業先を人海戦術で潰しておいて」

・「我が社のエースを引き抜いて、倒産寸前のところまで追い込んだ方の言葉とは思えませんね」

P「フェアリーは勝手に美希について来たんだ。それよりジュピターにまで逃げられて、ざまあねぇでやんの、黒井のオヤジ」

・「全くアナタは変わらないな……。そうそう、その社長から一言伝言です」

P「……なによ?」

・「『美希ちゃん返して』」

P「やなこったっ!」

===

可奈「このケーキスッゴク美味しくて~、思わずほっぺも落ちちゃいそ~♪」

加奈「シュークリームもふわっふわ!」

かな子「なのにしっかりとした歯ごたえも」

百合子「パリパリ食感、堪りません!」

加奈「いいのかな、こんな美味しい物を食べてるだけのお仕事なんてっ」

可奈「でも、この甘さの誘惑には勝てないよ~!」

かな子「ふふっ、二人とも本当に美味しそうに食べるよね……でも」

百合子「? どうしたんです、かな子さん」

かな子「うん。実は今回の撮影、心配事もちょっとあって」

百合子「心配事……ですか?」

百合子(まさか、顎破壊を狙ってた話がバレてたとか……?)


加奈「プロデューサーがね、食べ過ぎて戻ればその分ダイエットさせるって言うの」

かな子「美味しいスイーツは食べたいけど、痩せられる気がしないんだぁ~」

百合子「ああそっち」

かな子「そっちって、どうかした?」

百合子「いえいえいえ! 分かります、それ、その気持ち!」

百合子「……ホントは忘れてたかったけど、私たちもこの撮影が終わったら山籠もりを」

かな子「……山籠もり?」

加奈「なんで?」

百合子「ああ、いえ! 山登りです、山登り!」

可奈「そっ、そうだね! それとキャンプ!」

かな子「へぇ、キャンプだなんて楽しそう♪」

加奈「765プロっていいなぁ~」

百合可奈「は、あは、あははは、はは……はぁ~」


百合子(目の前のお菓子は美味しいけれど……)

可奈(明日から地獄のダイエット……)

百合可奈(だから今だけは、今だけはこの幸せ以外何もかも忘れて貪りたいっ!!)


スタッフ1「お、いいねぇ765のあの二人。涙が出る程美味しいみたいで」

スタッフ2「……ちょっと大げさすぎやしませんか」

スタッフ1「オーバーな方が良いんだよ。テレビ映えだってするだろう?」


N『と、まぁ。このような調子でつつがなく撮影を終えた百合子と可奈は予定通り登山&キャンプを実施することになりかけたが、
プロデューサーが自分も引率として同行しなくてはならないという理由から二人の参加を断固拒否』

N『代わりに佐竹飯店で行われた薬膳中華三昧会。後に『脂肪遊戯』として語られる、
悲劇的食事会に彼女たちは参加することになったのだが……それはまた、今回の話とは別の話になるのである』



どっとはらい。

===
以上、おしまい。書きたいネタはとにかく全部詰め込めれたんで満足です。

では、お読みいただきありがとうございました。


デストルドー化すれば痩せられるらしいな

そういうお仕事か、二人とも美味しそうに食べるなあ
http://i.imgur.com/uIMcTUw.jpg
http://i.imgur.com/CHzVNV2.jpg
乙です

>>22
望月杏奈(14) Vo/An
http://i.imgur.com/m6Y8Lf2.jpg
http://i.imgur.com/4eHfLZQ.jpg

横山奈緒(17) Da/Pr
http://imgur.com/ondvToc.jpg
http://imgur.com/a1q3tlW.jpg

ロコ(15) Vi/Fa
http://i.imgur.com/g4g3wDP.jpg
http://i.imgur.com/EpEocw4.jpg

>>24
ジュリア(16) Vo/Fa
http://i.imgur.com/ijqQ0Sk.jpg
http://i.imgur.com/fAvSAp4.jpg

野々原茜(16) Da/An
http://i.imgur.com/Dw8L7lm.jpg
http://i.imgur.com/Vlw6Nlg.jpg

シンデレラガールズより
三村かな子(17)
http://i.imgur.com/sQYDN8P.jpg
http://i.imgur.com/I14Nwf3.jpg

今井加奈(16)
http://i.imgur.com/lwVpe1E.jpg
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