ことり「花になろう」 (427)

~放課後

絵里「ことり!」

ことり「あ、絵里ちゃんどうしたの?」

絵里「…今日何の日か分かる?」

ことり「……知ってるよ、知ってて当たり前だよ」

絵里「そう…ならいいけど…」

絵里「ねぇあの言葉の意味…分かる?」

ことり「ううん…全然分からないよ…」

『一年経ったら、雨の季節に戻って…くるよ…!』

絵里「……幽霊になって戻ってくるなんてやめてよ…?」

ことり「あはは…はは…ははっ…」

絵里「今日で一年…よ?」

ことり「うん…」


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絵里「みんなどうだった?気にしてた?」

ことり「ううん、みんなその話には触れなかった」

ことり「多分触れたくないんだと思う…」

絵里「…まぁそうよね」

絵里「希が言ってたのよ」

希「雨の季節にして今日、奇跡が起きる!」

希「ってカードが告げてるんや!!」

絵里「ってね…」

絵里「って、え?希?!」

希「今日で一年、だけどそんな暗い顔してちゃあ穂乃果ちゃんも悲しむよ?」

希「分かってても笑顔でいなきゃ」

ことり「そう…だよね!」

ことり「……もういくね!」ニコッ

ダダッ

絵里「…あんまり無理させても穂乃果は悲しむわよ?」

希「あはは…ことりちゃんは今でもはち切れんとばかりに溜め込んでるからまずいことしたかもね…」

絵里「穂乃果が死んで一年…か」

絵里「穂乃果が生きてたら今頃どうしてたのでしょうね?」

希「…きっと破天荒起こしてたんやろうなぁ」

絵里「ふふふ、そうね」

タッタッタッ

ことり「はぁ……」

ことり(穂乃果ちゃんが死んで一年が経った)

ことり(穂乃果ちゃんは病気で死んだ、当時の私はどうすることも出来なかった)

ことり(酷く重い病気でお医者さんもただ黙って首を横に振ってたのを今でも鮮明に覚えてる)


ことり(そんな頭に焼き付く記憶が怖くて仕方が無かった)


ことり(振り切れない絶望感、何を犠牲にしても欲しくなった恋しすぎる日常、どうにもできない過酷な未来…あの時を思い出すとそんなものが一緒にやってくる)

ことり(だから穂乃果ちゃんを記憶の片隅に置いてた、思い出さないように)

ことり(大事な人だけどそれだけ失った時の記憶は忌々しいものだったから)

ことり「……!」フルフル

ことり「いけないいけない!ことりがしっかりしてないと穂乃果ちゃんが悲しんじゃう!」

ことり(穂乃果ちゃんだってことりが悲しむことなんて望んでないはずだから、今日も“ことりらしく”していかなきゃ)

ことり「…あの言葉」


『一年経ったら、雨の季節に戻って…くるよ…!』


ことり「…なんなんだろう」

ことり(絵里ちゃんも言ってたあの言葉)

ことり(穂乃果ちゃんが死ぬ間際にことりの手を握って言ったんだ)

ことり(悪あがきだったのかな、穂乃果ちゃんが死んだ今じゃ答えなんて分からないないよ)

ことり「……」

ことり(そして穂乃果ちゃんが死んでから一年、今は丁度梅雨で雨の季節なんだ)

ことり(…その答えがそろそろ分かってもいいと思うんだ)


ことり「穂乃果ちゃん…」


~帰り道

ことり「るん♪るんるるん♪」

ことり「マカロン♪アルパカさん♪もふもふ♪」

ことり「あ、そうだ穂乃果ちゃんの為にも神社でお祈りしとこう」

ポツ…ポツポツ…

ことり「ひゃっ…今雨はないよぉ…」

ことり(鼻先にポツンと落ちた雨粒)

ことり(梅雨だし雨が突然降ってもおかしくないけど急すぎる雨だった)

ザーザーザーザー…

ことり「はぁ…近くに神社があって運よく雨宿り出来たけど…」

ことり「まだ帰れそうにないかな…?」

ことり「あ、そうだお祈りしなきゃ」

ことり「……濡れるの承知でダッシュ!」ダッ

タッタッタッ

ことり「うひゃあ…結構濡れた…」

ことり「と、取り合えずお賽銭だね!」

チャリン…パン…パン!

ことり「………」

ことり「…うん、これで穂乃果ちゃんも安心だね」


「隣、いいですか?」


ことり「あ、は…い…?」




「こんなところで会うなんて奇遇だね」ニコッ



ことり「ほ、穂乃果ちゃん?!」



「ちょっと雨宿りしようか」

ことり「う、うん…」

ことり(突然横から聞こえた声、その声はことりを照らして導いてくれる人の声だった)


ことり(私を変えてくれたかけがえのない人、私を永遠に照らしてくれるはずだった太陽の声)


グイッ

ことり「いたいっ…」

ことり(夢だと思ってほっぺをつねった、でも夢なんかじゃなかった)

ことり(今見てる夢みたいな景色が夢じゃないってことりのほっぺが言ってるんだ)

ことり「…あ、あの」

「ん?どうしたの?」

ことり「穂乃果ちゃん…だよね?」

「うん!そうだよ!」

ことり「…ホントに?」

「ホント!」

ことり「……」

ことり(確かにことりが見てるのは穂乃果ちゃんなんだろうけどそれでも信じられなかった)

ことり(だって死んだ人がここにいるんだよ?ことりは穂乃果ちゃんが死んだのをこの目で見たんだよ?)


ことり(それなのに今穂乃果ちゃんはことりの前にいる)


ことり(意味…わからないよ…)

ことり「ホント…?」

「もーどうしたのさーいつものことりちゃんらしくないよ?」

ことり「!」

ことり「い、いつもことりって…」

「何言ってるの?みんなに優しさを振りまくことりちゃんのことじゃん!」

ことり「う、うーん…」

ことり「…ホントに穂乃果ちゃん…?」

「もー!私は穂乃果だって!」


穂乃果「正真正銘!ことりちゃんと一緒にいた高坂穂乃果だよっ!!」


ことり「…!」

ことり(穂乃果ちゃんだと思う人が放った穂乃果だよっの言葉、前に聞いた時とそっくりだった)

ことり(中学の時何回、何十回と聞いたあの時とそっくりだったんだ)

ことり「穂乃果ちゃん…穂乃果ちゃんっ!」

ギューッ!

穂乃果「わーあはは苦しいよことりちゃーん」

ことり「なんで…なんで死んじゃったの…!」

ことり「私寂しくて…!寂しくて…!!」

穂乃果「…ごめんね、ことりちゃん」

ことり「うわああああん穂乃果ちゃあぁん……!」ギューッ

ことり(その時はいっぱい泣いた)

ことり(ことりが触れてたのは幻覚とか幻とかそんなものじゃない、確かな感触もあったし“温もり”だってあった)

ことり(どうして?何故?という気持ちはあってもその時は“また”穂乃果ちゃんに出逢えた嬉しさが心の底から溢れ出てた)

ことり(例えこの出逢いが偽物だとしてもことりはそれをかけがえのない出逢いと捉えよう)


ことり(きっとこの出逢いは人生で一番幸せな出来事だっただろうから…)


ことり「ふぇええええん…穂乃果ちゃあん…」

穂乃果「よしよし私はここにいるよー」ナデナデ

ことり(泣き始めてなお時間が経っても涙は枯れなかった)

ことり(穂乃果ちゃんに情けない声をずっと出してたと思う)

穂乃果「よしよし私はここにいるからもう泣かない、わかった?」

ことり「う、うん…」グスンッ

ザーザーザー…

穂乃果「雨、止まないね」

ことり「…梅雨だから」

穂乃果「そうだよね、梅雨だもんね」

ザーザーザー…

穂乃果「ことりちゃんはさ、この雨好き?」

ことり「雨…?」

ことり(灰色の雲を見つめて穂乃果ちゃんは言った)

ことり(雨ってどうだろう、景色として見るならすごく好きだけど濡れるし気分的にも晴れないし、雨なだけに…というのはともかく好きか嫌いかでいったらやっぱり…)


ことり「雨は…あんまり好きじゃないかな…」


穂乃果「…そっか」

穂乃果「実はいうとね、私も嫌い」

ことり「え?」

穂乃果「濡れるし気分もなんか晴れないし何より」


穂乃果「空の上の人が泣いてるみたいでやだじゃん」


ことり「う、うん…?」

穂乃果「帰ろっか」

ことり「えぇ?!今?!」

穂乃果「うん!ちょっと待ってて!」

スタスタスタ

ことり「ちょ、ちょっと濡れちゃうよ!」

ことり(大粒の雨が…いやこの場合は“涙”っていうべきなのかな、大粒の涙が打ち付ける外に穂乃果ちゃんは飛び出した)

穂乃果「………すぅ」


穂乃果「雨止めー!!!」


ことり「え……」

ことり(灰色の雲で覆われた空に向かって叫んでた)

ことり(その叫びは何重にもなって響いてた、風で靡く葉の音が共鳴してその声は透き通った声に変わってた)

ザー…ポツポツ……ポツッ…

キラキラキラ…

ことり「ウソっ…なんで…?!」

ことり(穂乃果ちゃんの叫びに反応したかのように雨は止んだ)

ことり(雲間から日が差し込みはじめてそれと同時に穂乃果ちゃんは振り向きことりに太陽と等しい笑顔を見せてくれた)


穂乃果「空、晴れたね!」ニコッ


ことり「…!」

ことり(驚きはあったけどその感情は弱かった、弾ける笑顔を見せてくれる穂乃果ちゃんに対して抱いた一番の感情は)


ことり(穂乃果ちゃんならなんでも出来るっていう穂乃果ちゃんへの期待と信頼だった)


ことり「うんっ!!」


ことり(そしてことりも涙を弾く笑顔を穂乃果ちゃんに見せた)


穂乃果「人間その気になればなんだって出来るよ!雨だって止ませることもできるし」


穂乃果「また私と会うことだって出来た!」


穂乃果「そしてそれはことりちゃんだって同じ!」

穂乃果「ことりちゃんだってその気になればなんだって出来るよ!」

ことり「ことりも…?」

穂乃果「うん!」

タッタッタッ!

ギュッ

穂乃果「帰ろっ!」

キラキラキラ

ことり「!!」

ことり(穂乃果ちゃんの瞳は輝いてた、何かに反射したわけでもなく穂乃果ちゃん自身の瞳が輝いてた)


ことり(何物にも囚われない一人だけでも輝ける瞳にことりは果てないほどの憧れを感じた)


ことり(そしてそのことりの憧れの全てを持つのが穂乃果ちゃんなんだから、いつまでも輝いてるのが穂乃果ちゃんなんだからまたことりもその輝く穂乃果ちゃんについていくんだ)

ことり「うんっ!帰ろ!」

タッタッタッ!

ことり(今止んだばかりというのにことりたちが走る向こう側には虹が出来てた)

ことり(ことりと穂乃果ちゃんはそれに向かって走ったんだ)

穂乃果「ねえことりちゃん!今日はことりちゃんの家に泊まっていい?」

ことり「えっ…」

ことり(ここで新たな疑問がことりの頭をグルグル回る)


ことり(まず前提として穂乃果ちゃんは“この世界では死んだ人”なはず、それを今になってことりが穂乃果ちゃんをつれて帰ったらどうなるんだろう?)


ことり(ただじゃ済まないよね、行方不明者が見つかった…ってことにもならないよね)

ことり(だって穂乃果ちゃんは病気で死んだんだもん、少なくとも穂乃果ちゃんの周辺にいる人は穂乃果ちゃんが死んだことを“周知の事実”として受け止めてる、またことりのお母さんもその一人だということ)

ことり(それはつまりどうだろう…生きてる穂乃果ちゃんを連れて帰ったら大問題だよね)

ことり「……そ、それはダメだよ」

穂乃果「どうして?」

ことり「だって…穂乃果ちゃんは…っ…」

ことり「………」

穂乃果「ことりちゃん?」

ことり(喉の辺りにまで上がった言葉が出てこなかった、仮にも今の穂乃果ちゃんは“生きている”)

ことり(そんな中でことりが穂乃果ちゃんは死んだんだよなんて言えるはずがないよね、死んだならここにいる穂乃果ちゃんは何なのさってことになるよね)

ことり(だから…言葉が出てこなかった、穂乃果ちゃんにどう説明してあげればいいかわからなかった)

ことり「…ううんなんでもない!いいよ!お泊りしよっか!」

穂乃果「わーい!やったー!」

穂乃果「このままことりちゃんのお家にいくね!」

ことり「う、うん!」

ことり(これについてはあえて追及しなかった、穂乃果ちゃんが死んでる状態のこの世界で穂乃果ちゃんの家族となんか会わせられないよ)

ことり(だからことりが穂乃果ちゃんを導いてあげないといけないんだ)


タッタッタッ!


ことり(今まで穂乃果ちゃんがことりを支えててくれたんだから)


ことり(今度はことりが支えてあげないといけないんだ)

~南家

ガチャッ

穂乃果「おじゃましま」

ことり「しーっ」

穂乃果「ん?どうしたの?」

ことり「う、ううんなんでもない、でもことりのお部屋にいくまで静かにしてて」

穂乃果「う、うん」

スタ…スタ…スタ…

ことり(私のお母さんは私の通う学校の理事長だけど今日お母さんは早く帰ってた、穂乃果ちゃんが死んでからちょうど一年だからね)

ことり(だからお母さんは今家にいる、そんな中で穂乃果ちゃんをみせることなんて出来ない)

ことり(ペットを飼うのを禁止されてる中秘密で野良猫を持ち帰る気分だった)

ガチャッ

ことり「!!」ビクゥッ!

ことりママ「あらことり」

ことり「お、お母さん…」ビクビク

ことりママ「…?なんでそんなに怯えてるの?」

ことり「あ、ううん…」

ことりママ「にしても…」チラッ

穂乃果「…あ」

ことり(お母さんと穂乃果ちゃんと目があった)


ことり(絶体絶命だと思った)


ことりママ「なんだ、穂乃果ちゃんじゃない、楽しんでいってね?」


穂乃果「はいっ!おじゃましてます!」

ことり「あっ…えっ…」

ことりママ「どうしたの?」

ことり「あ、ううんなんでもない!」

ことり「いこっか穂乃果ちゃん」

穂乃果「うんっ!」

スタスタスタ

ことり「…」

ことり(状況についていけなかった、どういうことなんだろう)

ことり「…」チラッ

穂乃果「?」

ことり(穂乃果ちゃんはこの世界では死人扱いのはずなのにお母さんはあたかもいつも通りのように振舞ってた)


ことり(何が起こってる?)


ことり(なんで怪しまれなかった?穂乃果ちゃんは死んでる人なんだよ?それなのに…それなのに…)

穂乃果「ことりちゃん?」

ことり「…ん?なぁに?」

穂乃果「さっきから難しい顔してるからさ、何かあった?」

ことり「う、ううんなんでもない!」


穂乃果「……嘘つき」ボソッ


ことり「え?」

穂乃果「ううんなんでもない」

ガチャッ

穂乃果「わー!ことりちゃんのお部屋久々に入ったなー」

ことり「えへへ、そう…だね?」

ことり(いまいち考えがまとまらず疑問形で返しちゃった、久しぶりも何も穂乃果ちゃんはあの時死んだんだから久々もクソもないよね)

ことり(穂乃果ちゃんの思考は一年前なのかな、それともパラレルワールドの穂乃果ちゃんなのかな)

ことり(分からない、けど直接聞くほどことりも無神経じゃない、ここは心の中だけに溜めておくことにする)

ことり「あ、飲み物持ってくるね」

穂乃果「うん!」

ガチャッ

ことり「………」

スタスタスタ

ことりママ「ことり、これ穂乃果ちゃんと食べなさい」

ことり「あ、ありがとう」

ことり(お母さんからお饅頭をもらった、やっぱりお母さんも何かおかしい)

ことり「ねえお母さん」

ことりママ「何?」

ことり「穂乃果ちゃんって…生きてるよね?」

ことりママ「何いってるの?当然じゃない」

ことり「う、うんそうだよね!」

ことり「あ、じゃあ去年のこの日のこと覚えてる?」

ことりママ「ええ覚えてるわよ、穂乃果ちゃんが病気から立ち直った日よね?」

ことり「!」

ことり「立ち直った…」

ことり(状況は把握できなかったけど理解にまでは至ってた)

ことり(過去が変わってる)


ことり(穂乃果ちゃんが生きてる世界になってるんだ)


ことり(どうやってそんなこと出来たの…?そもそも今思えばなんで穂乃果ちゃんがこの世界にいるの…?)

ことり(分からないよ…あの時は嬉しさのあまり焦点が当てられなかったけど今思えばおかしな話だよね…?)

ことり「……」

ことりママ「ことり?」

ことり「…あ、お饅頭ありがとう穂乃果ちゃんと食べるね」

ことりママ「ええ」

スタスタスタ

ことり(飲み物を取って二階へ上がった)

ことり(もう一生会えないと思ってた穂乃果ちゃんに会えたのはものすごく嬉しい、けどその裏側ではあまりにも不可解で現実離れしてて“魔法”でもないと説明がつかない超常現象に頭を悩ましてた)

ことり(きっとあの穂乃果ちゃんは本物、抱き着いた時の温もりもあの輝く瞳も穂乃果ちゃんしか持ってないモノだったから)


ことり(でもそんな本物の穂乃果ちゃんがどうして“今”ここにいるのかな)


ことり(それが分からないよ…)


ガチャッ

ことり「お待たせ穂乃果ちゃん」

穂乃果「あ、待ってたよー」

ことり「はい、これお母さんから食べてって」

穂乃果「わーお饅頭だ!」

ことり「うふふふっ」

ことり(でも、とりあえずは今を楽しんだ)

ことり(もしかしたらこれは夢なのかもしれない、そう思ったりすると今ある時間の中で楽しまなきゃって思うんだ)

ことり(だから、今は穂乃果ちゃんのことだけを考えて楽しんだんだ)


ことり(分からないこと全てを後回しにして…)

~次の日、学校

穂乃果「おっはよーう!」

ことり(次の日、穂乃果ちゃんは何事もなく学校へ来た)

海未「おはようございます、穂乃果、ことり」

穂乃果「おはよう海未ちゃん!」

ことり「おはよう海未ちゃんっ」

ことり(そして何事もなかったかのように海未ちゃんと会話してる)

ことり(やっぱりことり以外の人は穂乃果ちゃんが死んだことを知らないみたいなんだ)

海未「宿題やってきましたか?」

穂乃果「ふっふ~ん!昨日はことりちゃんの家に泊まったからやってきたよー!」

海未「ほう…珍しいですね」

海未「でもまぁことりが一緒にいるなら納得ですね」

穂乃果「えへへーでしょー?」

海未「なんでそんな自慢気なんですか!たるみすぎです!」

穂乃果「んもー…」

ことり「あはは…」

ことり(すごく見たことのある景色だった)

ことり(こうやってあの二人が言いあうのは何回も何十回も何百回も見た)

穂乃果「もー海未ちゃんになんかいってあげてよことりちゃーん!」

海未「ことりを盾にしないでください!」

ことり「ま、まぁまぁ二人とも…ねっ?」

穂乃果「はーい」

海未「まったく…」

ことり(そしてことりが二人を止めるんだ)

ことり「ふふふっ…」クスクス

ことり(こんなことするなんて久しぶりで思わず笑みが出てた)

穂乃果「あ、私絵里ちゃんと希ちゃんのところ行ってくるね!」

タッタッタッ!

穂乃果「じゃあ!」

海未「まったく穂乃果は…」

ことり「ふふふ」

海未「…にしても穂乃果ホントに元気ですね」

ことり「そうだねっ」

海未「一年前、病気だったのがウソみたいです」


海未「やはり穂乃果は強いのですね」クスッ


ことり「えっあ、うん…そうだね」

ことり(過去が変わってるだけに複雑な気持ちだった)

ことり(ごめん海未ちゃん、穂乃果ちゃんが強いのは否定しないけど)


ことり(ことりの元いた世界の穂乃果ちゃんは死んじゃったから…)


ことり(きっとパラレルワールドなんだよ、ここは)

海未「あの元気さに私たち惹かれていったのでしょうね」

ことり「うんっそうだね」

海未「一年前はホントにどうなるかと思いましたけどホントによかったですよ」アハハ

ことり「…うん」

海未「なのにまったくいつもだらしない生活で…少しは気を付けてほしいところですよ…」

ことり「う、うんそうだね…」

ことり(昨日まで穂乃果ちゃんが死んで一年だなんて悲しんでたのがウソみたいだった)


ことり(ねえ穂乃果ちゃん、どうしてこの世界では生きてるのにことりの世界では死んじゃったの?)


ことり(正直に言えばこの世界の過去なんてどうでもよかった、というか聞きたくなかった)


ことり(だってそうでしょ?例え今穂乃果ちゃんが生きてようとことりの世界の穂乃果ちゃんが死んで今に至るまでは空っぽなんだからさ)

ことり(ことりには“過去が変わってる事実”さえ知ってればどうでもよかったんだ)

海未「そういえばことり」

ことり「ん?何?」

海未「今日は保健委員の方で集まりがあるのでは?」

ことり「…あっ」

ことり「そ、そうだよ!どうして言ってくれなかったの海未ちゃんっ?!」ウルウル

海未「い、いや昨日言ったじゃないですか!明日忘れないでくださいよって!」

ことり「はっ…」


海未『あ、ことり!明日忘れないでくださいよー?』


ことり「そうだった…」

海未「とりあえず早くいかないと…」

ことり「う、うん!じゃあね!」

海未「はい、それでは」フリフリ

タッタッタッ!

ことり「…ん?」

ピタッ

ことり「昨日…?」

ことり(過去が変わってるなら昨日という過去も変わってるはずだと思うんだけどそこはどうなんだろう、ふと疑問に思う)

ことり「…ま、いっか」

ことり(集会に遅刻してるしとりあえずは後回しにした、今考えててもろくな答えなんて出てこないだろうから)

タッタッタッ

「絵里ちゃーん!!」

ことり「!」

穂乃果「絵里ちゃん絵里ちゃん!」ギューッ

絵里「わぁ…困った子ね」フフフ

穂乃果「希ちゃんにもぎゅー!」

希「まったく…大きな妹やなぁ」ナデナデ

ことり「ふふふっ穂乃果ちゃんらしいなっ」クスッ

穂乃果「えへへ~二人とも抱き着きたくなるオーラを出してるんだもーん!」

絵里「何よ抱き着きたくなるオーラって」クスッ

希「穂乃果ちゃんは相変わらずやなぁ」

穂乃果「とーぜん!せっかく希ちゃんと絵里ちゃんっていう優しい先輩がいるんだから抱き着かないわけにはいかないでしょー?」

絵里「ふふふっこんなにも愛されてて幸せね」クスッ

希「そうやなぁ」

ことり「ふふっ」

ことり(穂乃果ちゃんがいるだけこうも違うんだ、そう実感した)

ことり(私とあの二人じゃきっと浅く笑いあうだけなのに穂乃果ちゃんといるあの二人はとても楽しそうだ)

ことり「…すごいな、穂乃果ちゃんは」

ことり(もし空白の一年の中で穂乃果ちゃんという太陽がいたらあの景色も日常風景だったのかな、当たり前のように見てたのかな)

ことり(分からないな…でも穂乃果ちゃんがいるだけでみんなも違ってたからやっぱり)


ことり(穂乃果ちゃんには敵わないよ)


ことり「…あ、いけない集会だった」ダダッ

~昼

ことり「穂乃果ちゃん、お昼一緒に食べよ?」

穂乃果「うんっ!」

「ほっのかちゃーん!」

穂乃果「ん?」

ことり「あ、凛ちゃん」

凛「やっほー!一緒にお昼たーべよっ!」

花陽「だ、大丈夫かな?」

穂乃果「うん!全然おっけー!」

穂乃果「おーい!海未ちゃーん!海未ちゃんも一緒に食べよー!」

海未「はいっ!」

穂乃果「じゃあじゃあ屋上で食べよっ!」

凛「よーっしいっくにゃー!」

タッタッタッ

ことり「わ、待ってよー」

ことり(穂乃果ちゃんがいるだけでお昼も全然違ってた)

ことり(穂乃果ちゃんと凛ちゃんが眩しい笑顔を見せながら走っていってそれを後の三人が追う形、空白の一年と比べると賑やかすぎてなんだかな…)

タッタッタッ!

ガチャッ

穂乃果「ふうー!風が気持ちいいなー!」

凛「にゃー!」

ことり「はぁ…はぁ…」

花陽「疲れた…」

海未「ほんとあの二人は…」ヤレヤレ

ことり「あははは…」

ことり(その後は五人でお昼を食べた、昨日がまるで悪い夢であったと錯覚に陥ってしまうほど今日という日は明るく賑やかだった)

穂乃果「ことりちゃん!その卵焼きちょーだい!」

ことり「あ、うんいいよ」

穂乃果「あーん」

ことり「あ、あーん」

穂乃果「んっ」パクッ

穂乃果「ん~!おいしいっ!」

ことり「ならよかったよ」

穂乃果「これことりちゃんの手作り?」

ことり「そうだよ」

凛「おお~手作りなんてさっすがことりちゃーん!」

花陽「やっぱりことりちゃんはすごいね」

ことり「えへっそうかなっ?」

穂乃果「うん!そうだよっ!」

ことり「えへへありがとうみんな」

穂乃果「卵焼きくれたお礼にぎゅーっ!」


ギューッ!


ことり「わぁ…じゃあことりもぎゅー!」

穂乃果「あはははっ」

ことり「うふふふふっ」

ことり(この再度昇ってきた太陽はいつまでことりの上にいてくれるんだろう)

ことり(いつ、ことりに月のない夜が訪れるんだろう)

ことり(抱きしめ合ったこの瞬間が懐かしくて嬉しくてことりの中の全てが弾けてしまうほどに心地が良くて)


ことり(今度こそ穂乃果ちゃんを手放したくないって思ったんだ)

穂乃果「えへへーやっぱりことりちゃんの抱き心地はナンバーワンだよ!」


凛「おー流石みんなを抱いてる穂乃果ちゃんは言うことがすごいやー」

花陽「その言い方だと色々誤解を生むような…」アハハ

海未「わ、私を何番なのでしょうか…」

穂乃果「うーん海未ちゃんはねー…」


穂乃果「分からない!」


海未「わ、分からない?」

穂乃果「ことりちゃんが一番ってこと以外はよくわからないかなー」

海未「そ、そうですか…」

凛「ふーんじゃあ凛もことりちゃんにぎゅーっ!」

ことり「もー凛ちゃん苦しいよぉ」

凛「確かにこの抱き心地は…最高にゃ!」

凛「かよちんもきてきて!きてぎゅっとしてみてよ!」

花陽「え…で、でも…」

ことり「ふふふっいいよ花陽ちゃんおいでっ」

花陽「じゃあお言葉に甘えて…」

ギューッ

花陽「…あっなんだか温かい」

ことり「そ、そうなの?」

穂乃果「うんうん!なんだかは~んって感じ!」

海未「なんですかその“は~ん”って…」

凛「いやいやそんな感じだよ!は~んだよ!」

花陽「は~ん…うん、そんな感じだと思う」

海未「え、えぇ…?」

ことり「海未ちゃんもくる?」

海未「……分かりました、ぎゅっとしましょう」

ギュッー

穂乃果「どう?海未ちゃん」

海未「確かにこれは…」


海未「は~んですね…」


穂乃果「でしょー?」

ことり「あはは…なんだろは~んって…」


穂乃果「は~んはは~んだよっ!」


凛「そうだよっ!」

花陽「うんうん」

海未「ふふっそうですね、は~んですね」クスッ

ことり「も、もーは~んって何なの~?」

ことり(こんなに盛り上がったのもいつぶりだろう、ことりが、そしてみんながこんな本当の意味で笑いあえたのっていつぶりだろう)

ことり(いつもいつも海未ちゃんや希ちゃんがことりに見せる笑顔はことりを労わるような慰めの笑顔、凛ちゃんや花陽ちゃんが見せる笑顔はことりを悲しませないようにと無理をしてる作り笑顔)

ことり(ことりはみんなの笑顔の裏に気付いてたよ、だって海未ちゃんや花陽ちゃんの笑顔ってすごくわかりやすくて、希ちゃんが見せてくれた笑顔っていうのは海未ちゃんにそっくりだったから、それは凛ちゃんも同様に)

ことり(でも今はどうだろう、みんな心から笑えてると思う、慰めの笑顔もないし作り笑顔もない)

ことり(穂乃果ちゃん一人だけでこんなに違う、月のない夜に突然太陽が現れた)


ことり(だからことりは、ただその太陽に感謝をしたんだ)

~放課後

穂乃果「うへへへ…希ちゃーん」

ワシッ

希「ひゃんっ!」

希「…って穂乃果ちゃーん?ウチにワシワシをするとはいい度胸やね~」ニコニコ

穂乃果「えっ…あっ…それはー…」ダラダラ

希「悪い子にはお仕置きが必要やね!わしわしー!!」

穂乃果「やあああああああ!!!」

絵里「何やってるのよあの二人は…」

ことり「た、楽しそうだね」アハハ

絵里「それで穂乃果、何の用かしら?」

希「ほれほれー!」

穂乃果「やー!助けてことりちゃーん!!」

ことり「え、ええ?!え、えっと…」

絵里「こらっ希」ペシッ

希「あいてっ…もーいいところなのにー」

穂乃果「がくりっ…」

希「これに懲りたらウチにわしわしなんてしないことやね」ニッコリ

穂乃果「うー…肝に銘じます…」

絵里「それで、もう一回言うけどどうかしたの?」

穂乃果「あーあのねっ!クレープ食べに行こうって言おうとしたの!」

絵里「クレープ?」

穂乃果「そうそう!なんか気分的にクレープ食べたくなって丁度希ちゃんと絵里ちゃんがいたからさ!」

穂乃果「そしていったら希ちゃんの無防備な後姿が…これはやるしかないと思って」

絵里「いやそこは言わなくていいわよ」

希「んー流石に警戒はしてなかったけどまさか穂乃果ちゃんに後ろを取られるなんて…」

絵里「なんかバトル漫画の模擬戦後のセリフね、それ」

穂乃果「それでいいかな?クレープ!」

絵里「え、ええまぁいいけど」

希「ウチもいいよー」

穂乃果「わーい!やったー!」

ことり「よかったね、穂乃果ちゃん」

穂乃果「うん!」

穂乃果「それじゃあクレープ屋さんにレッツゴー!レッツゴー!」ダッ

絵里「あっ!廊下は走っちゃダメよ穂乃果!」

穂乃果「分かってるよー!」タッタッタッ!

絵里「分かってないじゃない…」

ことり「穂乃果ちゃんらしいね…」アハハ

希「まぁとりあえずいこ?」

絵里「ええ」

ことり「うんっ」

ことり(穂乃果ちゃんがこの世界に帰ってきて初めての学校の帰りはこの四人で歩いた)

ことり(今思えばみんな小学校の頃からずっと一緒だった人達だ、小学生の頃は毎日この四人に海未ちゃんを入れて帰ってた)

ことり(今日は海未ちゃんは家の用事で早く帰っちゃったけどここに海未ちゃんがいれば、小学校の頃とまた同じだね)

ことり(そしてことりたちの足はクレープ屋さんに移る)

希「ほーなんか見ないうちに色々メニュー増えたねー」

絵里「そうね、バナナ雪見だいふく…ユニークね」

希「そうやねーアイスチョコなんてものもあるし」

希「穂乃果ちゃんは何にするんー?」

穂乃果「それはもちろんイチゴチョコ!」

希「おっやっぱりそれかー小さい頃から変わらんね」クスッ

穂乃果「伝統の味だからね」エッヘン

絵里「いやいやそこ威張るところじゃないわよ…」

穂乃果「えへへ…ことりちゃんは何にするの?」

ことり「んーどうしよっか、迷っちゃってて」

希「そうだよねー迷っちゃうよね」

絵里「んー私はこのバナナチョコでいいわ」

希「普通やね」

絵里「そりゃそうよ、希はこのツナアボカドでも食べてなさい」フフッ

希「もー酷いよえりちー」

希「じゃあウチはー…これっ!」

穂乃果「おー豪華…」

ことり「アイスティラミス…」

希「ふへへーたまにはこういうのもアリだよね」

絵里「まぁそうね」

絵里「ことりはどうする?」

ことり「うーん…そうだなー…」

ことり「うーん…うーん…」

希「迷ってるねー」クスッ

絵里「まぁことり甘いモノにはうるさいからね」フフフッ

穂乃果「ことりちゃんはこのイチゴショコラにしなよ!」

ことり「え、あ、うん!」

絵里「こら穂乃果は横やりを入れない」

穂乃果「あ、そうだよねごめんことりちゃん」

ことり「ううんいいよいいよ、どうせ決められなかったからこのイチゴショコラにするね」

絵里「いいの?」

ことり「うん、大丈夫」

穂乃果「よーし!けってーい!レジにいこいこ!」

絵里「もうっ穂乃果ちゃんははしゃぎすぎよ」

希「そういうえりちは堅すぎな気もするけどねー」クスクス

絵里「なんですってー?」

希「ひゃー!これが噂の鬼生徒会長やー!」

絵里「のぞみぃー!」

希「ことりちゃんウチは逃げる!クレープは頼んどいて後で取りに行くから!」ダッ

ことり「あ、うん!」

希「巫女のバイトで鍛えたウチの体力舐めるんやないでー!」

絵里「それならバレエで鍛えた私の体力舐めるんじゃないわよー!!」ダッ


絵里「待ちやがれー!!!」


希「ひええええええ!!!」

タッタッタッ…

ことり「あはは…あの二人はほんとに…」

穂乃果「ことりちゃーってあれ?二人は?」

ことり「鬼ごっこしにちょっと遠くに行っちゃった」

穂乃果「えー?!鬼ごっこなら私もしたかったよー!」

ことり「んー今は行かないほうがいいかも…なんて」クスッ

穂乃果「??」

穂乃果「あ、それでちょっと時間かかるって」

ことり「うん、分かった」

ことり(穂乃果ちゃんはことりが迷ってる時代わりに選んでくれる)

ことり(どうせことりじゃ選べないんだから穂乃果ちゃんが選んだ選択肢がことりの選択肢なんだ、穂乃果ちゃんがまたことりの前に現れてくれたからことりの足りないものが、欠けてたものが元通りになっていってるんだ)

穂乃果「時間かかるみたいだし座ろっか」

ことり「そうだね」

ストンッ

穂乃果「ふー…なんか歩いてるだけなのに疲れたー」

ことり「運動不足かもね」

穂乃果「どうかなー?」

穂乃果「…あ、あんなところに花がっ!」

ことり「ホントだ…あんな場所に咲くなんて力強いね」

穂乃果「ねっ」

ことり(公道の道沿いのコンクリートの隙間から白い花が咲いてた、その姿は弱さを感じさせないシャキっとした姿だった)

ことり「でもこんなところで咲いちゃったら…」

穂乃果「すぐ枯れちゃうかもね…」

ことり「なんか…不幸だね」

穂乃果「…まあね」

チリンチリンッ


グシャッ


ことり「…あ」

穂乃果「あっ…」

ことり(ことりの視界に自転車が入る、そして次の瞬間には視界から消える、そしてその一瞬の間で)


ことり(白い花が散った)


ことり「………」

穂乃果「………」

ことり「…あはは、そんなこともあるよ」

穂乃果「そ、そうだね」アハハ

ことり(穂乃果ちゃんの死もそうだった、それは突然すぎる出来事でまたそれはどうしようもない一瞬のことで)

ことり(考えすぎかもだけど、不思議なことにあの花には既視感を覚えてた)

タッタッタッ

希「はぁ…はぁ…」

ことり「あ、希ちゃん」

穂乃果「希ちゃん酷いよー!鬼ごっこするなら私も誘ってよ!」

希「いやいやそんな鬼ごっこなんてお子様の遊びをしてるわけやないんよ穂乃果ちゃん」

穂乃果「え?」

希「これは戦なんよ、死闘と書いてデスゲームって言うんよ」

穂乃果「なんかすごそうだね…」

ことり「た、大変そうだね…」

希「いやーあのポンコツ生徒会長には困ったものだよ、副生徒会長としては…」ハァ

絵里「へぇ~ポンコツ生徒会長ねぇ…」ニッコリ

希「!!」ビクゥッ!

希「あ、えっと今のは…あはっ…あははは…」アハハ

絵里「へぇ~副生徒会長さんがこの生徒会長である私に向かってポンコツ呼ばわりか~」ニッコリ


絵里「うふふふ…ちょ~っと絵里さん怒っちゃったかな~」


穂乃果「絵里ちゃんの顔が笑ってない…」

希「こ、ここはワシワシで対抗や!」

絵里「一瞬で終わらせるわ!」

ワイワイガヤガヤ ワシワシ

ことり「ちょ、ちょっと二人ともここ公共の場所だよ!!」アセアセ

穂乃果「は、破廉恥だね…」

「こぉら!こんな場所でなんてことしてんのよ!」

ことり「!」

穂乃果「ん?」

希「あ、にごっぢぃ…!」

絵里「にごぉ…!」

にこ「こんな場所で胸の揉み合いなんてあんたらはプライバシーの欠片も無いの?」

希「それとこれと話が別で!」

絵里「そうよ!」

にこ「ったくあんたらは本当に頭お花畑ね…」

絵里「はぁ?!なんでこんなスピリチュアル野郎と一緒にされなきゃならないのよ!」

希「なんやスピリチュアル野郎って!」

絵里「そのままの意味よ!」

にこ「あーまぁ確かにスピリチュアル野郎はあってるわ」

希「にこっちまでえりちの味方して!」

希「…んまぁにこっちには揉み合える胸が無いから仕方ないかー」クスッ

にこ「!」ピキッ


希「あっちゃーのんたん意地悪しちゃったなーいやーごめんなー?」


にこ「おうおう言ってくれるじゃない、じゃあ私はあんたの胸が潰れるまで揉んでやるわよ!!」ダッ

希「うひゃっ?!また死闘かいなー!」ダッ

にこ「待ちやがれー!このスピリチュアルおっぱい野郎おおお!!!!!」

希「なんやその怪物ー?!?!」

タッタッタッ!

絵里「これじゃあミイラ取りがミイラになってんじゃないの…」

穂乃果「あはは…仲いいねホントに」

絵里「あれは仲が良いっていうのかしら…?」

ことり「仲良しだよっ」

ことり(突然現れたのは希ちゃんと絵里ちゃんの親友のにこちゃん)

ことり(にこちゃんは絵里ちゃんと希ちゃん関係で知り合って体は小さいけどすごく頼りがいがあって穂乃果ちゃんが死んじゃってからもことりのこと熱心に励ましてくれたりしてとっても人情深い人)

ことり(穂乃果ちゃんが死んでことりが悲しんでる時まず最初にことりを抱きしめてくれたのがにこちゃん、にこちゃんって水臭いこととか後は暗い雰囲気とか苦手みたいで最近はことりも暗いオーラ駄々洩れだったからにこちゃんと関わらずにいた)

ことり(でも穂乃果ちゃんがきて一気に雰囲気は良くなってにこちゃんも気軽に入れる輪っかが出来上がってるのだと思う、これがきっとことりと希ちゃんと絵里ちゃんだけだったらにこちゃんも入りづらかったんだろうなってすごく思うから)

穂乃果「あ、クレープ出来たみたいだから取ってくるね!」

ことり「はーい」

絵里「はぁ…ほんとこの五人だとテンション上げ要員しかいないから困るわね」

ことり「こ、ことりもテンション上げ要員なの?」

絵里「いやことりはお味噌汁でいうダシよ、ことりは唯一のまとめ役、この絶望的アホしかいないメンツの希望だから頑張って」グッ

ことり「え、えぇ…」

絵里「ここに凛とか放り込んだらもうすごいことになるわね…」

ことり「小さい頃からのメンバー集めたら色々起こりそうだね」アハハ

絵里「ホントにね」

穂乃果「お待たせ!」

ことり「あ、ありがとう」

絵里「ありがとう」

希「ぜぇ…ぜぇ…」

穂乃果「あ、希ちゃんはいどうぞっ」

希「あぁ…どうも…」

にこ「待ち…なさいっ…」ガクッ

絵里「やれやれ」

穂乃果「絵里ちゃんがそれをいうのはなんか違うような…」

絵里「にこもそこでくたびれてないで座りなさい、そんなに苦しいなら」

にこ「ぜぇ…くだらない理由で走るんじゃなかった…」

穂乃果「鬼ごっこなら私も混ぜてほしかったよ」

にこ「鬼ごっことかそんなお子様がやるようなものじゃないのよこれは…」

ことり「希ちゃんと同じこと言ってる…」

穂乃果「はーこんなに盛り上がるなら凛ちゃんたちも誘えばよかったなー」

にこ「誘わなかったの?」

穂乃果「凛ちゃんたちの帰り道とこっちの道が逆方向だからさ、なんか悪いじゃん?」

にこ「なるほどね」

穂乃果「私とことりちゃんは遠回りしてく感じだし絵里ちゃんや希ちゃんに関しては寄り道程度だし」

にこ「なんで私を呼ばなかったの?」

穂乃果「呼ぼうと思ったけど教室にいなかったからだよ」

にこ「…まぁそうよね、でもまぁ今日はちょっと用事あったし誘われても断ってたと思うけど」

希「どうせにこっちのことやからアイドルアイドルちゅっちゅーって感じやろ?」

にこ「ぶっ飛ばすわよ?」

希「やーんやめてやークレープ持ってるんやし」

ことり「…」

穂乃果「どうしたの?そんな嬉しそうな顔して」

ことり「ん?ううんなんだか微笑ましいなって」

絵里「ほら希とにこの漫才が微笑ましいってよ、ことりのお墨付きよ」

にこ「勝手に漫才化させるな!」


希「なんでやねん!」ビシッ


にこ「定石か!」ビシッ


絵里「いや漫才でしょそれ…」

穂乃果「あははははっ!」

ことり「ふふふふっ」クスクス

ことり(まだ今日が終わったわけじゃないけど、今日という一日はもう既に満足出来たくらいだよ)

ことり(ホントに面白かった、そして今思えばことりたち中学生の頃はいつもこんな時間を過ごしてたんだ)

ことり(当時は何も思わなかったけど失ってからだと痛いほど感じるよ)


ことり(あの日常がどれだけ幸せで溢れていたのかが)


ことり(この今という今を楽しんでる半面心はその痛さが染みて過去と今の違いがハッキリ目に映ってた)

にこ「大体漫才なら絵里の方が向いてるから!」

絵里「いや私はやれないしやりたくないしやらないわよ」

希「拒否の三段構えやん…」

穂乃果「じゃあじゃあみんな!」

希「?」

にこ「ん?」

絵里「何かしら?」


穂乃果「凛ちゃんと言ったら~?」


のぞにこ「イエローだよおおお!」絵里「やっぱりラーメンが好きなところじゃないかしら」


穂乃果「じゃ、じゃあどんなに逃げてもずっと追いかけてくるものってなーんだ?」

希「やっぱりえりちやね」にこ「いやワシワシしようとしてるあんたでしょ」


絵里「死、かしら」


穂乃果「………」

のぞにこ「………」

穂乃果「…ぁえっとじゃあ最後におばあさんが川で洗濯をしてる時に川から何が流れてきたのでしょう?」

にこ「ももでしょ」希「ももやね」


絵里「川から流れてくるものなんてゴミくらいでしょ」


穂乃果「絵里ちゃん…」

絵里「…?何よ」

希「えりち、えりちは天才だよ」グッ

にこ「絵里、見直したと同時に見損なったわ」

絵里「えっ?!なにそれ?!どういうこと!」

希「自覚無し…やはりえりちはすごい人や…」

絵里「どういうことよそれ!」

にこ「あんたがお笑い体質だってことよ」

絵里「何よその不名誉な体質は!」

穂乃果「絵里ちゃんお笑い芸人になりなよ!」

絵里「ならないわよ!」

ことり「…」クスッ

ことり(ことりの目に映る光景が今と昔の違いだった)

ことり(今こうやってゲラゲラ笑いあえる環境が整ってるって思うと嬉しすぎて幸せ過ぎて舞い上がりたくなって)

ことり(でもここで舞い上がるなんて出来なくて、そんな自分の欲望を我慢してたらその欲望は思わぬ形で漏れ出した)

ことり「…」

ポロポロ…ポロポロ…

穂乃果「ん?ってことりちゃんどうしたの?!」

絵里「どうしたの?!どこか痛いの?!」

希「ごめんごめん!仲間外れにしてたわけじゃないんよ!」

にこ「そ、そうよ!ことりも大事な仲間よ?」

ことり「違うの…!違うの…!!」

絵里「違う!?何が違うの?!」

ことり「またっ…みんなとこうやって笑いあえるのが嬉しくて…!」

希「んん?ウチらはいつもこんな感じやん?」

絵里「違うわよ、きっと改めて身に染みたのよ」

希「おー理解があるねえりちは、そこは素直に感心やわ」

にこ「そもそもそれ当たってるの?」

ギューッ

希「寂しくなったらいつでも言ってな?ウチら親友以上の仲やん」

にこ「なにその怪しい言い方」

希「超超超ちょーう仲がいい関係って言ってほしいな~」

絵里「そもそもずっと一緒にいるし私たち全員恋人ですっていうのも悪くはないと思うけどね」

穂乃果「ありかも!」

ことり「うん…!うんっ…!ありがとうみんな…!!」

絵里「まったく急に泣きだしたから何かと思ったわよ」

希「μ’sのウチらはずっと一緒やん?」

にこ「何よミューズって」

希「穢れなき女神たちと書いて《ミューズ》!どうやウチのネーミングセンス!」

にこ「厨二ね」

穂乃果「永遠フレンズとかでよくない?」

絵里「いやなんでそこ永遠にする必要あるのよ」

穂乃果「そこはご愛嬌!!」

穂乃果「…まぁとにかくこんなにもみんな優しいんだからことりちゃんが気にする必要なんて何もないんだよ」

ことり「うん…!うん!」

ことり(なんてことりは幸せなんだろう)


ことり(人生の最大の不幸が人生の最大の幸せになって帰ってくるなんて)


ことり(穂乃果ちゃんの死が不幸であり穂乃果ちゃんとの出会いが幸せであった)

ことり(ことりが泣き止んだ後も会話は弾んで気付けば帰り道は穂乃果ちゃんと二人きりだった)

スタスタスタ

ことり「今日…ごめんね」

穂乃果「泣いたやつ?」

ことり「そうそう」

穂乃果「別にいいよ、私もことりちゃんの気持ち…すごくわかるから」

ことり「穂乃果ちゃんも?」

穂乃果「うんっ私も同じようなこと感じてたから」


穂乃果「…時間がないから痛いほどに」ボソッ


ことり「え?」

穂乃果「ん?どうしたの?」

ことり「あ、ううんなんでもない」

ことり「あ、もうすぐお別れだね」

穂乃果「そうだね~今日もことりちゃんの家にお泊りって流石に迷惑か」エヘヘ

ことり「あ、ううん別に」

穂乃果「ううんやっぱいいよ!ごめんことりちゃん私走るね!」

ことり「あ、う…うん」

穂乃果「じゃあね!また明日!」

ことり「また明日!」

タッタッタッ!

ことり(穂乃果ちゃんは背中を消す最後の最後まで明るい姿を見せてくれた)

ことり(そんな明るさを肌で感じてたらこの一人の時間がものすごく寂しくて自然と俯いてた)

ことり「…ううんダメダメ!“ことりらしく”いかないとっ!」

ことり(ことりらしく、そんな意味深な言葉を使ってことりの足を動かした)

ことり(その後は何もなかった、昨日と違う点があるっていうなら穂乃果ちゃんとメールしてたくらいかな)

ことり「ふぅ~おやすみぃ…」

ことり(今日は色々あって疲れちゃった)

ことり(だからすぐに眠りにつけたし見てた夢もいい夢だったと思う)

ことり(寝て起きるその間は感じた限りだと一瞬だから穂乃果ちゃんがいないあの時は明日になるのがイヤでよく夜更かししてたけど今はそんな抵抗がない)


ことり(これもまた、一つの違い)


ことり(早寝早起きも、悪くはないね♪)

~次の日、学校、昼

希「穂乃果軍曹!穂乃果軍曹!」

穂乃果「なんだね希隊長!」

希「お昼を一緒に共にしたいのですが!」

穂乃果「うむっ!よかろう!」

穂乃果「ことり司令部~ことり司令部~!」

ことり「は、はい!」

穂乃果「お昼を共にしてもらおう!」

ことり「は、はい!了解ですっ!」

海未「あなたたちは何をしているのですか…」

ことり(次の日、今日も何事もなく穂乃果ちゃんは来た)

ことり(今日穂乃果ちゃんがいることを実感するともう夢でないことに自覚を持つようになった)


ことり(そして穂乃果ちゃんが来てからは楽しいことばかりだ)


穂乃果「何って私たちではよくあることじゃん!」

海未「いやまぁ知ってますけど…」

希「そうだよ海未ちゃん、初めは小さい部隊だったよ…」

希「凛二等兵と希隊長の二人だけ…そこから穂乃果軍曹のおかげで絵里中将やにこ大佐…強力な仲間が増えていって…くぅ…!」

海未「なんか語りだしましたよ…」ハァ

希「えへへまぁウチらは少数精鋭部隊なんやからテンションあげてこ?」

海未「精鋭…なのでしょうか?」

穂乃果「精鋭だよ!!」

ことり「食い気味だね…」

海未「は、はぁ…そうですか…」

穂乃果「まぁいいや、そういえば絵里ちゃんは?」

希「今日はなんでも忙しいらしくてウチとなんか構ってられないって追っ払われたよ」

海未「まぁ生徒会長ですからね」

ことり「それをいうなら希ちゃんは副生徒会長だけど…?」

希「ん?あ、いや別に生徒会関係じゃないよ?生徒会ならウチもちゃんとやってるし」エッヘン

海未「そうなのですか?」

希「そうそう、まぁえりちの好きにさせてあげよ」

ことり「そうだねっ」

海未「じゃあ行きましょうか、屋上でも中庭でもいいので」


穂乃果「あ、待って待って一人呼びたい子がいるんだ」


ことり「呼びたい子?」

穂乃果「そうそう!ちょっと待ってて!」

タッタッタッ

海未「あ、ちょっと!」

希「行っちゃったね」

ことり「凛ちゃんとかかな?」

希「どうやろうね、名前を言わない辺り別人っぽいけど」

海未「それ外したら究極にダサい人ですよ」

希「ウチの占いは90%当たるから」ドヤ

海未「…それ占いと関係あります?」

希「ウチの心には小宇宙《コスモ》が存在してるからね、未来が見えるんよ」ニッ

海未「あっはい」

海未「では試しに私がこれから20秒以内にすることを予言してください」

希「海未ちゃんはこれから20秒以内に息を吸うよ」

海未「小学生ですか!」

希「強ち間違ってないやん?」

ことり「確かに…」

希「これが勝利の力《スピリチュアルパワー》やで?」

海未「一々ルビ振らなくていいですから…後それはハンドパワーのパチモンですか?」

希「パチモンとは人聞きの悪い!ウチの固有魔法やで?」

海未「そうですか…」

ことり「関心すらないし…」

希「こう見えても心理学は得意なんやけどな~…」

海未「…じゃあそのわけわからないルビと言葉の数々も心理学の何かですか?」

希「これはウチの個性《オリジナリティー》やで?」

海未「一々ルビ振ってるのに腹が立ちますね」

ことり「あはは…」

穂乃果「お待たせ!」

希「お、帰ってきた」

海未「どこに行ってたのですか?」

穂乃果「えへへちょっと一年生の教室に行っててね」

ことり「一年生の教室?」

穂乃果「はい、入っていいよ」

のぞことうみ「…?」

「あ、え、えっと……」

希「おっ?」

海未「穂乃果、この方は…」

ことり「お友達?」

穂乃果「そうそう!今日知り合ったばっかりの」


穂乃果「真姫ちゃんだよっ!」


真姫「よ、よろしくお願いします」ペコリ

希「ほうほう真姫ちゃんかーウチ東條希よろしくなー」

ことり「南ことりです♪よろしくね♪」

海未「園田海未と申します、後そこの希はちょっと頭にお花畑が咲いてるらしいのであまり気にしないであげてください」

希「なんでや!ウチは100%…ひゃっくぱー健全やで!!」

海未「希が健全なら私は200%健全ですよ」

希「じゃあウチは300%健全や!」

海未「なら私は1000%健全ですよ!」

希「一気に桁上がったね?!」

海未「限界は超えるためにあるんです」

希「おお…名言っぽい…」

海未「ふっ…」キリッ

希「…ないわ」

海未「あぁん?!」

穂乃果「も、もう二人とも!」

ことり「あははごめん、これがアットホームな雰囲気だからもしかしたら肌に合わないかも…」

真姫「い、いえ大丈夫ですよ」

ことり「ならいいけど…」

ことり(三人の前に現れたのは穂乃果ちゃんが今日知り合ったという真姫ちゃんという子)

ことり(つり目でなんだかちょっと怖いけどすごく常識はありそうな感じがする)

ことり(まぁとりあえずこの五人で中庭でお昼を食べた)

穂乃果「それでそれで~真姫ちゃんが音楽室にいてー」

希「それで出会ったと?」

穂乃果「そうそう!」

海未「へー…ピアノが出来るのですか」

真姫「は、はい少しですけど…」

穂乃果「少しじゃあんなに弾けないよ!真姫ちゃんはすごい人だよ!天才だよっ!」

真姫「うぇええ?!そ、そんな別に…普通よっ!」

海未「希希」ボソボソ

希「なんやなんや?」ボソボソ

海未「顔赤くしてますよ、真姫」

希「あぁあれは内心超嬉しがってるパターンやね」

海未「チョロいですね」

希「チョロイね」

ことり「希ちゃんと海未ちゃんって不思議な関係だよね…」

海未「何がですか?」

ことり「い、いやさっきのあの言い合いがウソみたいで…冗談なのは分かってるけど」

希「ウチらはああいう関係が望ましいんよ、ふざけられるときに思いっきりバカやってでも真面目な時は一心同体、海未ちゃんが死がウチの死と同義であるように協力し合うそんな仲間やろ?ウチら」

海未「ええ希にしては満点を上げたいくらいにいいことを言いますね」

希「せやろー?ちなみにテストの点数は海未ちゃんより勝ってるからな?」

海未「あ?」

希「負け惜しみべろべろべー」

海未「もしかして死にたいのですか?」ゴゴゴゴゴ

ことり「う、海未ちゃん抑えて」アセアセ

真姫「…ホントにあの人達私より先輩なんですか?」

穂乃果「う、うんそうだよ、でもすごく優しくて頼りになる人だから」

真姫「そ、そうなんですか…」

穂乃果「希ちゃんはいつもあんな感じだけど真面目な時は超がつくほど人が変わるよ、この中で一番頼りになる人なら絶対希ちゃんだし」

穂乃果「海未ちゃんはちょっと抜けてるところあるけどどんなことにも真摯に受け止めてくれる人だからすごく悩み事とか相談しやすいし」


穂乃果「ことりちゃんは私が一番信頼してる人だから、困ったらまずことりちゃんのところに行けばいいよ」


真姫「ことりさんのところに?」

穂乃果「うん!頼りないって思うかもだけどことりちゃんはすごい力を秘めてるからさ」

真姫「すごい力…?」

穂乃果「うんうん!もう言葉じゃ説明出来ないくらいにすごい力だよ!!」

真姫「そ、そうなんですか…」

希「いやー小さい頃の海未ちゃんはあんなに可愛かったのに…今も可愛いけど」シクシク

海未「な、なんですか急に」

希「真姫ちゃん聞いてよぉ~ウチの独り言だと思ってぇ」

真姫「えっは、はい…」

希「海未ちゃんはね…小さい頃は希お姉さまなんて呼んでくれて…ホントに可愛かったのに今じゃこんな…反抗期になってしまってお姉さん悲しいよ…」シクシク

海未「なっ…!」カアアア

海未「あ、あれ一時の気に身を任せてただけで!」

希「ほらほら見てよこれ…こんな堅物が希お姉さまなんて言ってたんやで?あり得んやろ??」

真姫「そ、そうですね…」

海未「大体ですね、今と昔は違うのですよ!希が本当の姉ならまだしも違うのであれば言わなくなることも何も不思議ではありません!」

希「ぐすんっ…小学校の頃はにこっちが長女でウチが次女でえりちが三女でそれからそれから…」

穂乃果「あーあったなー懐かしい!」

ことり「ねっやったね」

真姫「小さい頃から一緒なの?」

穂乃果「そうだよ!長い付き合いの人は幼稚園から、それ以外は小学校から!」

真姫「へ、へぇー…」

穂乃果「でもこれからは真姫ちゃんも一緒だからっ!」

希「そうやで!」

海未「ですねっ!」

ことり「うん!」

真姫「………」ウルウル

真姫「あ、ありがとう…!」

希「いいっていいって!」

ことり(真姫ちゃんは涙目ながらに笑顔を見せてくれた)

ことり(ことりたちのこの関係は切っても切れぬ強い絆で結ばれてる、それは穂乃果ちゃんが死んでもなお続いてたと思う)

ことり(ただそんな絆も知らないうちに手を当てただけですぐに綻んでしまいそうな絆に成り下がってた)

ことり(みんながみんなを支えてたから穂乃果ちゃんが死んだとき、穂乃果ちゃんの代わりがいなくて崩れちゃったんだ)


ことり(ただね、代わりなんて世界のどこにもいないよ)


ことり(私たちの穂乃果ちゃんは穂乃果ちゃんしか務まらない、海未ちゃんは海未ちゃんしか務まらない)

ことり(穂乃果ちゃんが帰って来て二日目になるけど感じるモノはまだ懐かしさとか昔がどれだけ幸せであったかとかことりでもくどいなと思うほどにしつこく思ってるんだ)

ことり(学校の帰り道、穂乃果ちゃんと二人っきりでお話ししてた)

スタスタスタ

穂乃果「……」

ことり「…」

穂乃果「真姫ちゃん、どうだった?」

ことり「すごく礼儀正しくて、それにしっかりものだったなって思ったよ」

穂乃果「そっか、ならよかったよ」

ことり「どうして?」

穂乃果「ことりちゃんがイヤな思いとかしてないかなって思ってさ、急な話だったから」

ことり「そんな気持ちは全然ないよ、むしろ私たちの輪に新しい人がきて嬉しいくらい」

穂乃果「そっかそっか」

穂乃果「…真姫ちゃんね、音楽室で一人ピアノを弾いててさ」

ことり「うん」

穂乃果「私はそのピアノの演奏を終わるまでドアの窓からじっと見つめてたけど終わったときにね俯いて悲しそうな顔をしててね」

穂乃果「私、それみただけで分かったんだ」

ことり「分かった?」

穂乃果「この子、独りぼっちなんだって」

ことり「!」

穂乃果「だから私が手を差し伸べなきゃって思って真姫ちゃんと知り合ってみんなのところに呼んだんだ」

ことり「…そっか」

ことり「………」

ことり(ことりもその穂乃果ちゃんの優しさに救われた)

ことり(穂乃果ちゃんがこんな何も出来ないことりを引っ張ってくれて今ことりが希ちゃんや絵里ちゃんなんかがいるあの輪に入れてることが奇跡でしかなかった)

ことり(絵里ちゃんが言ってたでしょ?ことりは唯一のまとめ役、この絶望的アホしかいないメンツの希望だって)


絵里『いやことりはお味噌汁でいうダシよ、ことりは唯一のまとめ役、この絶望的アホしかいないメンツの希望だから頑張って』グッ


ことり(絵里ちゃんにそんなつもりはないのは知ってるけどことり的にはただあの輪にしては異色の存在だ、と言われてるように感じた)

ことり(穂乃果ちゃんがいなかったらことりはあの輪にはいなかった、だってことりはみんなみたいにツッコミを入れることもボケを挟むことも出来ない、いうなればみんなのノリについていけない人だから)


ことり(絵里ちゃんのいうように私はみんなとは違う存在だったから)


ことり(だから余計に穂乃果ちゃんの優しさは“痛かった”)

ことり(長いこと感じていなかったその優しさはあまりにも鋭すぎる優しさだった、優しさに触れてるはずなのに痛みを感じるなんておかしな話だよね)

ことり(でもこの優しさはことりを救ってくれた時感じた優しさによく似てたから…また…)

ことり「………」


ポロポロポロ…


穂乃果「もう、ことりちゃんは泣き虫なんだからっ……」

ギューッ

ことり「うぅ…穂乃果ちゃあぁ…!!」

穂乃果「ことりちゃんは笑顔が可愛い人なんだから、笑顔でいようよ?」

ことり「ふぇええええええええええん!!」

穂乃果「あはは…」

ことり(感情が抑えきれなかった、今まで心の内に溜め込んだ感情にブレーキが無くて、あったとしても効かなくてとにかく涙が止まらなかった)

穂乃果「ほらほら泣かない泣かない、私はここにいるから」ヨシヨシ

ことり「ぐすっ…ひぐっ…」

穂乃果「よくわからないけどことりちゃんは色々溜め込みすぎだよ、私だけじゃなくて希ちゃんや海未ちゃんとかだっているんだからさっ」

ことり「そうだけど…そうだけどぉ…!」

穂乃果「もうっ泣かない、それ以上泣いちゃうとことりちゃんを置いてっちゃうぞ」

ことり「!」

ことり「な、泣き止むから、ま、待って…」グズグズ

穂乃果「ふふふっうんうん分かった分かった」クスッ

穂乃果「…でもまぁね、ことりちゃんが泣いた理由さっなんとなく分かるよ」

ことり「えっ…?」

穂乃果「過去、思い出しちゃったんでしょ?真姫ちゃんとことりちゃんが似てたから」

ことり「う、うん…」

穂乃果「やっぱり…今思えばことりちゃんの時もよく似てたね」

ことり「…」

穂乃果「でも、あの時は真姫ちゃんの時よりもっともっと運命的だったよね」

ことり「そう…かな…?」

穂乃果「そうだよ、道端で迷子のことりちゃんを私が見つけて、でも結局私も一緒に迷子になっちゃって夜遅くまで近くにあった公園で野宿したよね」

ことり「…あはは、あの時はね」

穂乃果「…私、すごく思うんだ」

ことり「何が?」


穂乃果「例えばの話をしない?」


ことり「例えばの話…?」


ビュンッ!

ことり「きゃっ?!」

ことり(突然ことりと穂乃果ちゃんの周りに突風が吹いた、思わず両の腕で顔を隠し目を瞑った)

ことり(そして少し経つとなんだろう、とても甘い香りがした)

ことり(身体に何かが当たってる感触もする、だけど風が止むまで目を開かなかった)

ことり「んん…?」

ことり「!」

ことり(そして目を開くとどうだろうか、地平線の彼方、無限に広がる花園に目先数十mの地点には湖があった)

ことり(穂乃果ちゃんはその湖の近くで黄昏てた、湖の先、白い花が咲く一面を見てた)

ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「ことりちゃん」

ことり「ここって…ここはどこなの?!」

穂乃果「…ここはどこでもないよ」

ことり「どこでもない…?」

穂乃果「それより例えばの話をしようよ」

ヒラヒラヒラ

ことり「!」

ことり(ふとことりが触れたものに意識を向けるとこのお花畑は赤い花びらが舞ってるのに気が付いた)

穂乃果「よいしょっ」

ことり「穂乃果ちゃん…?」


穂乃果「今、この何百、何千とある花びらの中で掴んだこの一つの花びら」



穂乃果「これがことりちゃんだよ!」



ことり「それが私…?」

穂乃果「私とことりちゃんが出逢えたのはホントに奇跡だったんだよ、この花びらに、いやことりちゃんに出逢えたことが私の一番の幸せだよ!!」

ことり「!」

穂乃果「こんな数えきれない花びらがあるのにそんな中で私がことりちゃんという花びらを掴んだ、それってホントに夢みたいな出来事だと思わない?!」

穂乃果「何千、何億といる人の中で何十、何百とある国の中更に、何百、何千とある地域の中、そしてそして偶然という必然が重なって出来た私とことりちゃんの出逢い!」


穂乃果「これってキセキでしょ?!誰が何と言おうとそれをバカにすることなんて出来ないでしょ?!」


穂乃果「だからことりちゃんは一生忘れないでほしいんだ!」




穂乃果「穂乃果が一番大切してるのはことりちゃんだってこと!!!」


ことり「!!!」ウルウル

ことり(穂乃果ちゃんの瞳はまたしても輝いてた)

ことり(ことりの瞳はその輝きに反射し輝きを宿してた)

ことり(そして穂乃果ちゃんが“その言葉“を言った瞬間、地面に咲く花が花びらに変わっていった)

穂乃果「だからもう泣かないで!」

穂乃果「ことりちゃんは笑顔が一番だからっ!」ニコッ

ことり「うぅ…ううっ穂乃果ちゃん!」ダッ

タッタッタッ!

ことり(ことりは穂乃果ちゃんに向かって全力疾走をした)

穂乃果「ねえことりちゃーん!」

ことり(そんな中穂乃果ちゃんがこんなことを言ったんだ)


穂乃果「これだけは覚えといて」



穂乃果「今ここで起こってることは夢なんかじゃないよ」



ことり(穂乃果ちゃんがその言葉を言い終えた瞬間にことりの視界は)


ことり(暗転した)


ことり「はっ…!」バサッ

ことり「…」キョロキョロ

ことり「…家だ」

ことり(目覚めたら家だった、しかも外を見る限り朝だった)

ことり「…夢?」

ことり(あの、お花畑の出来事から今に至るまでの記憶がない)


穂乃果『今ここで起こってることは夢なんかじゃないよ』


ことり「いや…夢じゃないのかな」

ことり(穂乃果ちゃんは言った、あれは夢じゃないと)

ことり(当時考えても、今考えてもあそこは謎だらけの世界だった)

ことり(ただあれが夢じゃないっていうならあそこで平然としてた穂乃果ちゃんはなんなんだろう、疑問に思う)

ことり(よく分からない…けどあまり驚きはしなかった)


ことり(あそこにいたのが穂乃果ちゃんだったから、穂乃果ちゃんだから何が出来ても全然驚かないよ)

穂乃果『私とことりちゃんが出逢えたのはホントに奇跡だったんだよ、この花びらに、いやことりちゃんに出逢えたことが私の一番の幸せだよ!!』


ことり「ふふふっ」

ことり(穂乃果ちゃんのあの言葉が今も心の中をクルクルと回ってる)

ことり(あの言葉が一生ことりの宝物になるのをこの胸に秘めて確信した)

ことり「!」

ことり「そ、そうだ穂乃果ちゃんは…!」

ピッピッピッ

ことり(穂乃果ちゃんとのメールのやり取りを確認した、夢ってそもそも今までの穂乃果ちゃんの出逢いさえも夢なんじゃないかって思って焦りだした)

ことり「…ある」

ことり「よかった~…」ホッ

ことり「…行かなきゃ」

ことり(あの穂乃果ちゃんの言葉で胸が弾んだ)

ことり(あの言葉一つで清々しい朝になった、朝ごはんを食べて笑顔を振りまきながら走って学校へ向かった)



「こっとりちゃーん!」


ことり「!」

ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「やーやー!朝から元気だねー!」

ことり「それは穂乃果ちゃんもねっ」クスッ

穂乃果「うふふっまぁ元気にやっていかないとね」

ことり(そろそろ感じなくなったよ)


ことり(穂乃果ちゃんが死んだ時の、そして後のお話)


ことり(あの言葉一つでこんなにも胸がときめいてたから今はイヤなこと、何も感じない)

ことり(だから思いっきり走った、この気持ちを胸も内側だけに止めとくなんてもったいなくてただ今は)


ことり(私の心の中から何かが弾けだしそうなくらいに幸せが溢れてたんだ)

~その後、学校


穂乃果「文化祭?!」


絵里「違う違う、文化祭じゃなくて音ノ木坂のお祭りみたいなものよ」

ことり「去年そんなのあったっけ?」

希「えりちがもっと音ノ木坂には熱気が必要だって理事長に提案したんやって」

にこ「熱気ぃ…?あんた何企んでんのよ」

絵里「いやー…私はただわいわい盛り上がりたいなって…」

にこ「うわー…陽キャの鑑じゃない」

希「違う違う、えりちは陽キャじゃなくてポンキャや」

にこ「あぁ…まぁ確かにそうね」

絵里「何よポンキャって」

海未「まぁ…そうですねポンキャですね」

ことり「あははは…」

穂乃果「絵里ちゃんは賢い可愛い」


絵里「えりーちか!」


希「えっ…」

海未「絵里…?」

絵里「……あ、えっち、違うのよ!口が勝手に動いたのよ!」

にこ「そう…」

穂乃果「絵里ちゃんはやっぱり可愛いね~」

ことり「そ、そうだね」アハハ

絵里「んむぅ…もういいわよ話を戻すわよ?」

希「戻したいの間違いじゃない?」クスクス

絵里「やかましい!!」

海未「ふっ…」

絵里「まぁ文化祭と差別化はするけどやることは文化祭とほぼ変わらないわ」

絵里「各クラスでお店出したり体育館で見せ物見せたりとかそんな感じよ」

ことり「気分は文化祭でやればいいんだねっ」

穂乃果「だねっ!」

海未「そういえばこの前クラスで話し合いがありましたね」

絵里「ええ、今は何をやるか決めて準備をする頃なの」

絵里「だからこれからは祭りに備えて各クラスで色々やると思うわ」

穂乃果「へー」

ことり「そっか」

希「そっかー祭りかー楽しみやなぁ」

にこ「ここはにこの魅力でお客さん呼んじゃうよ~!」

希「うーん10点」

にこ「ぬぁんでよ!」

絵里「それでなんだけど…」

ことり「?」

絵里「今日ここに集まってもらったのはもちろん本件が他にあってね」

穂乃果「なになに?」

希「ここで明らかになるえりちの野望《インサイド》…」

絵里「それはね…」


絵里「私たちで何か出し物をしない?」


にこ「はぁ?出し物?」

絵里「そう、凛と花陽も入れてやりたいの」

海未「出し物ですか…して何か案でも?」

絵里「いや特に決めてないの、というか私だけで決めちゃまずいかなって」

希「なるほどなー」

にこ「王道的には劇よね」

ことり「劇かー」

海未「劇…私たちだけじゃ絶対に完成度が高い劇は出来ないと思うのですが…」

絵里「まぁ劇じゃなくてもなんでもいいの、とりあえず私たちで楽しめる出し物をしたいの」


穂乃果「楽しめるもの…か」

希「マジックとかどう?」

にこ「それ私たちいる?」

希「人を使ったマジックみたいな?」

ことり「お金とかかからないかな?」

希「うーん…確かにそう言われるとキツイかもなぁ」

絵里「無理しない程度で行きましょう?」

希「そうやねぇ…」

海未「無理しない程度で私たちが楽しめるもの…劇しかないのでは?」

ことり「うーん確かにそうだね」

絵里「じゃあ劇をやるってことで話を進める?」


穂乃果「待って!」


絵里「ん?どうしたの?」

穂乃果「あるよ!みんなで出来る最高の出し物!」

にこ「なによ」




穂乃果「ライブだよ!ライブ!」



ことり「ライブ?」

穂乃果「ダンスと歌!アイドルみたいなものだよ!」

海未「あ、アイドル?!」

希「面白そうやね!」

絵里「でも歌はどうするのよ」

穂乃果「真姫ちゃんだよ!真姫ちゃんなら作曲出来る!」

絵里「真姫?」

にこ「誰?」

希「あ、そっかえりちとにこっちは知らないんだっけ」

海未「確かに真姫なら可能…かもしれませんね」

ことり「真姫ちゃんは昨日知り合ったお友達だよっ穂乃果ちゃんが連れてきてね」

穂乃果「そうそう!」

絵里「ふむ…まぁ確かに作曲出来るならアリかもしれないわね」

にこ「ダンスは?」

絵里「振り付け程度なら出来るわよ」

希「流石えりち!よっ!生徒会長!」

絵里「でしょ?」フフッ

にこ「調子いいわね…」

にこ「それで衣装は?」

ことり「衣装は私に任せて!曲にあった最高のやつ用意するよ♪」

穂乃果「よーしっ!そうと決まれば早速真姫ちゃんに相談だーっ!」ダッ

ガチャッ!

タッタッタッ!

海未「ちょ、ちょっと穂乃果!」

絵里「相変わらず穂乃果は行動が早いわね」クスッ

希「ウチらの先導役やからなぁ」

海未「はぁ…というか私はアイドルなんてしませんよ?!」

にこ「は?なんでよ」

海未「だ、だってアイドルなんて恥ずかしいですし…」

希「いやいや小学校の頃にやった漫才に比べたら微々たるものやろ?」

海未「や、やめてくださいもう思い出したくないんです!」

希「みんなのハートを打ち抜くぞ~♪」


希「ラブアローシュート!!」バァン


海未「うわあああああああああああ?!?!」ガタガタ

絵里「ちょっと海未!」

ことり「あははは…海未ちゃん昔は結構やんちゃだったからね…」

にこ「ここが生徒会室でよかったわね…」

ことり「よしよし…」ナデナデ

海未「うぅ…」

希「そんな角で頭抑えるほどなんか…」

絵里「悪いけど海未は強制参加だからね」

にこ「慈悲も容赦もないわね…」

海未「そんなぁ…!」

海未「ことりぃ…助けてくださいよぉ…!」

ことり「海未ちゃん…」


ことり「ファイトだよっ」


海未「うわあああああ!!」

にこ「やれやれ…」

希「海未ちゃんの破廉恥センサーは効き目がすごいからなぁ」

ことり「アイドルなんて面白そうじゃん!出来るかもしれないのにやらない手はないよ!」

絵里「その通りよ海未、凛や花陽を含めた私たちが集まるのは今日一年しかないんだからその間に思いっきり輝きたいでしょ?」

希「うむっえりちの言う通りだよ」

海未「ううううぅ…」

にこ「唸り始めたわよ」

希「今海未ちゃんは自分と戦ってるんよ、そう聖戦《ジハード》や!」

ことり「海未ちゃん頑張って!」

絵里「何の応援よ…」

トントン

絵里「あ、はーいどうぞ」

花陽「おじゃまします」

凛「おっじゃまー!」

にこ「りんぱなじゃない」

絵里「その呼び方はやめなさい」

花陽「面白そうなことするんだねっ」

絵里「ええそうよ」

ことり「真姫ちゃんはなんだって?」

花陽「いいけど歌詞がないと作れないって言ってた、でも穂乃果ちゃんはそのことより協力してくれることが嬉しかったみたいで真姫ちゃんにぎゅーってしてたよ」

希「おー協力してくれるんか、よかったよかった」

にこ「それで歌詞ってどうするの?」

絵里「歌詞と言えば…」チラッ

海未「…な、なんですか?!」

希「やっぱ歌詞と言ったら海未ちゃんだよね~」ニッコリ

花陽「詩…とか小さい時よく読んでたもんね」

絵里「海未」

海未「な、なんでしょう…」

絵里「ますますしない理由が無くなったわね、もう諦めなさい」


絵里「これは生徒会会長の命令よ」


にこ「職権乱用もいいとこね…」

希「いや職権乱用に分類されるんかそれ…」

凛「頑張ってねー」

海未「何を…そんな他人事みたいに…!」


凛「だってアイドル、凛はやらないもん」


にこ「は?」

絵里「は?」

海未「は?」


花陽「は?」


凛「えっ…いや凛はやらないよ?知ってるでしょ?凛がみんなが着てるような服が着れないことくらい」

希「いやいや何を言ってるん?やるやらないの問題じゃないんよ、やるしかないんよ」

ことり「そ、そうだよ凛ちゃんもアイドルやろ?」

凛「い、いや…」

花陽「どうして!凛ちゃんは可愛いじゃん!可愛いからアイドルしてもいいんだよ!」

花陽「私みたいな人がしていいのかは分からないけど凛ちゃんはちゃんとやる権利があるんだから!」

凛「い、いやかよちんの方が可愛いよ…」

にこ「そういう問題じゃないでしょ」

絵里「そうよ」

海未「そうですよ!」

希「海未ちゃん、開き直ってやろうとしない凛ちゃんに口出ししてるやん…」

ことり「あはは…」

花陽「やろうよ!凛ちゃん!」

ギュッ

花陽「絶対楽しいから!こんな私でもやりたいって思えるんだから!」

希「そうやで!ウチらがついてるから!」

ことり「うんうんっ!」

海未「そうですよ!」

凛「…やだっ!凛は見てる方がいい!」ダッ

ガチャッ!

タッタッタッ!

にこ「あ、ちょっと!」

絵里「困ったわね…」

希「んまぁ当然と言えば当然かもしれないけどね」

ことり「そうだね…なんせ凛ちゃんは可愛いって言われるのが好きじゃないもんね…」

花陽「凛ちゃん…」

ガチャッ!

穂乃果「みんな!」

海未「穂乃果」

絵里「おかえりなさい」

穂乃果「なんか凛ちゃんがすごい勢いで走ってったけどなんかあったの?」

にこ「まぁ…察せられるでしょ?」

花陽「凛ちゃん可愛い服苦手だから…」

穂乃果「やっぱり…」

真姫「どうしたの?」

穂乃果「まぁちょっと身内でちょっとあってね」

絵里「その子が真姫?」

真姫「せ、生徒会長…」

絵里「あ、生徒会長だからそんないつもと違う対応とかはしなくていいのよ?私たちはアットホームな関係でありたいからね」

希「おーこのえりちは賢いわー」

絵里「いつだって賢いわよ?」フフッ

希「……賢くないわ」

絵里「それで曲を作ってくれると聞いてるのだけど」

真姫「は、はい歌詞さえあれば…」

希「大丈夫やで!歌詞を書いてくれる人がここにはいるから!」

ことり「じーっ」

海未「な、なんですか!」

にこ「この人が書いてくれるから作曲の方をお願い」

真姫「わ、分かりました」

穂乃果「あ、というかにこちゃん絵里ちゃんとか後花陽ちゃんも初対面だから簡単に自己紹介してよ!」

にこ「矢澤にこ、よろしくね」

絵里「絢瀬絵里よ、さっき言った通り生徒会長をしてるのだけどもっといつもの感じで接していいからね?」

花陽「小泉花陽ですっ一応真姫さんと同じクラスなんだけどよろしくねっ」

真姫「西木野真姫です、えっと…よろしくお願いします」

穂乃果「もー真姫ちゃんはもっといつもの感じでいいんだよ?後さんじゃなくてちゃん付けとか!」

穂乃果「花陽ちゃんもそうだよ!これからいっぱい関わるんだから真姫さんじゃなくて真姫ちゃんでいかないと!」

花陽「う、うん!真姫ちゃんっ!」

絵里「じゃあ私は真姫、馴れ馴れしいかもって思うけどごめんね」

真姫「い、いえ」

にこ「じゃあ私も真姫ちゃんで」

絵里「私たちのことはなんて読んでくれるのかしら?」

真姫「絵里…さんで」

絵里「それはダメよ」

希「そうやで?」

真姫「で、でも…」

絵里「いいから」

真姫「…絵里」

絵里「はいっよくいえました♪」

海未「子供をあやしてる時みたいですね…」

ことり「絵里ちゃん気を遣うのあんまり好きじゃないもんね」

にこ「くそ不器用な女だからねぇ…」

花陽「それはいいすぎじゃ…」

穂乃果「よしっ!じゃあ早速取りかかろう!」

海未「…ん?そういえばその音ノ木坂祭りはいつでしたっけ?」

絵里「えっとー約二週間後かしら、12日後よ」

海未「はぁ?!二週間で曲を完成させてダンス覚えて歌を歌えるようにしないといけないのですか?!」

絵里「ダンスは簡単でいいわ、それより必要なのは踊りきる体力とチームワークよ」

真姫「つ、ついでにいえばちゃんと人に聞かせられるレベルの歌唱力も必要…だと思います」

穂乃果「おーそれぞれ特化した人がいるからなんか困らなそうだね」

海未「楽観的すぎます!」

にこ「衣装は大丈夫なの?大変なら制服でもいい感じはあるけど」

希「ねっお金もかかるしすごく大変だし」

ことり「ううん大丈夫!せっかくの機会に遠慮なんていらないよっ!」

希「おっことりちゃんやる気やね!」

ことり「当然!」

ことり(これからに対して期待で胸がいっぱいだった)

ことり(再びみんなで何かが出来る喜び、これを感じれただけでことりは舞い上がりそうなくらいに心が弾んでた)

穂乃果「じゃあとりあえずこれからどうすればいいのかな?」

花陽「曲を作ることからかな?」

真姫「歌詞がないと作れないから海未…にお願いするわ」

希「おっタメ口になってきてる」

絵里「これからの変化に期待ね」

真姫「い、一々言わないでください!」カアアア

希「ほらー戻っちゃったじゃん」

絵里「なんで私の方みて言うのよ」

希「えりちが悪いからだよ」

絵里「は?」

にこ「はいはいストップ、海未、あんたから始まるから歌詞頼んだわよ?」

海未「は、はい…」

花陽「が、頑張ってね」

絵里「困ったことがあったらなんでもいうのよ?」

希「そうやで?」

真姫「む、無理はしないように…」


海未「はい……」

~その後、教室

海未「はあああ…」

ことり「あはは…やっぱり作詞は難しい?」

海未「難しいどころじゃないですよ…何を書けばいいのかまったく分かりません…」

穂乃果「ならみんなに言えばよかったじゃーん」

海未「あ、あんな期待の眼差しを向けられたら言うにも言い出せないでしょう!!」

ことり「海未ちゃん、小さいときから控えめだったもんね」

穂乃果「成長して弱気は直ったと思ったんだけどやっぱりまだふりきれてないんだね…」

海未「うぅ…」

ことり「よしっここは私たち三人で考えよう?」

穂乃果「うんっ!そうだね!」

海未「ことり…穂乃果…!」

ことり「困ったときはお互い様だもんねっ」

海未「ありがとうございます…!本当に…本当に…!!」


穂乃果「それでだけど……」





キーンコーンカーンコーン

穂乃果「結局なにも決まってないじゃん!」

ことり「お昼になっても何も決まってないなんて…」

海未「やっぱり作詞なんて無理ですよぉ!」

穂乃果「諦めたらそこで終わりだよ!」

ことり「そうだよ!」

海未「うぅ…ですがぁ…!」

穂乃果「うーんどうしよっか」

ことり「テーマとか決めた方がいいんじゃない?」

海未「テーマ…うーん…」

穂乃果「やっぱりさ、こう…なんていうか自分の気持ちを歌詞にしたらいいんじゃないかな?」

海未「自分の気持ちを…うーん…」

ことり「なんか簡単そうで難しいね…」

穂乃果「そっかなー?」

海未「穂乃果は何か案でも?」

穂乃果「ん?いやーせっかくみんなの前で披露するなら盛り上がれる歌がいいなって」

海未「なるほど…確かにしんみりしたようなものでは盛り上げに欠けるかもしれませんね」

ことり「いいね!盛り上がれる曲!」

穂乃果「でしょー?」

海未「ですがテーマを決めたらますます何を書けばいいか…」

穂乃果「んもーそれじゃあ一生作れないじゃん!」

海未「仕方ないでしょう!」

ことり「とりあえずお昼にしよっか?早くしないと終わっちゃうし」

海未「そうですね」

穂乃果「はーい」

スタスタスタ

ことり(昼、曲の歌詞を三人で考えてた)

ことり(歌詞って聞いて簡単なんじゃない?って思う人いるかもしれないけどこれが案外難しくてね、そもそも曲の方向性が決まってないし決まったとしてどんな言葉を使えばいいのか全然分からないんだ)


ことり(結果、歌詞作りは難航中だった)


ことり(昼が終わり放課後になっても歌詞作りに進行はほとんど見受けられなかった)


ことり(ただ、難航中なのは歌詞作りだけじゃないんだ)

花陽「凛ちゃん!」

凛「いやいやいや!」

希「もー…強情やなぁ…」

ことり「凛ちゃん…」

絵里「凛、お願いよ…こういう機会じゃないと私たち、一緒に何かが出来ないのよ…」

絵里「この音ノ木坂という、高校生という場所でしか私たち一緒が出来ないのよ…」

凛「い、いや…凛はそんなアイドルなんて似合わないから…」

希「似合うどうこうの問題じゃないんよ、やりたいんよウチら」

絵里「その通りよ、みんなでやりたいの」

凛「凛は…いい…」

絵里「んーもう!」

希「えりちイライラしちゃダメだよ」

絵里「分かってるって…!」

希「イライラしてるやん…」

ことり(凛ちゃんが頑なにことりたちのしようとしてることに参加しようとしなかった)

ことり(凛ちゃんは昔っからそうだった、女の子らしい服は着ないし女の子らしいこともしなかった)


ことり(昔っから男の子みたいだねって言われそしてバカにされ続けて自分が女の子のその一人だっていうことに抵抗を持っちゃったんだ)


ことり(小学校低学年以来凛ちゃんがスカートを穿いたのを見たことがない、ことり的には凛ちゃんがそれでいいならことりは何も言わないようにしてた)

ことり(だってことりが人の都合にあれこれいうことなんて出来ないから、ことりが望むのはいつだってみんなが笑いあえる平和だから)

ことり(でも、ことりがそんなこと思ってる今にその平和は消え去ろうとしてた)

花陽「凛ちゃん!」

凛「何さっ!凛には似合わないの!」


凛「そんなにやりたきゃ凛以外の人誘ってやってよ!!」


ことり「り、凛ちゃん…」

希「んー…」

花陽「みんなでやるんだから凛ちゃんも一緒がいいんだよ…」

絵里「…凛」

凛「…何?」

絵里「凛、お願いよ…みんなでやりたいのよ…」

凛「…やだ」

絵里「どうして…?!なんでなの?」

凛「凛には似合わない、凛がやることじゃない」

希「そんな凛ちゃんだからこそじゃん?」

ことり「そうだよ!」

凛「違う、凛は…出来ないしやらない」

バンッ!

凛「?!」ピクッ

絵里「こっちは…こっちは…」プルプル

ことり「え、絵里ちゃん…?」


絵里「こうやってみんなで立てるステージは最後になるかもしれないのに!それなのに一人でも欠けちゃ意味がないのよ!」

絵里「希だって!花陽だって!ことりだって!!」


絵里「やるのは今じゃなきゃいけないの!このみんなが当たり前のように集まれる今が好きだから今やりたいの!」



絵里「だから凛がどうであれ参加は絶対なのッ!!!いい?!」



凛「…!」ウルウル

凛「ひぐっ…うぅ…うわああああああああああん!!」ダッ

希「あ、凛ちゃん!」

希「もーえりち言い過ぎ!凛ちゃんにだって事情があるんだからそんな直球に言っても何のためにもならないよ!」

絵里「だ、だって仕方ないじゃない!」

希「仕方ないにしても不器用すぎるんよ!えりちは自分の気持ちだけでぶつかりすぎなんよ!」


希「もっと考えて口に出してや!!」


絵里「じゃあどうしろって言うのよ!」

花陽「ふ、二人とも…」

ことり(絵里ちゃんはすごく聡明で高校の時だけじゃない、中学の時も生徒会長をしたし小学生の時は学級委員長をしてた)

ことり(それだけ頭がいいし人格も優れてるし何より優しい)


ことり(けど絵里ちゃんは致命的に不器用だ)

ことり(まるでそれ以外が優れてるからそれだけが弱点であったかのように、それは良くも悪くも接し方に難があり言葉を選べない)

ことり(それに対して希ちゃんは人の気持ちを大切にする人、絵里ちゃんももちろん大切にはするけどそれに対しての反応が希ちゃんとは大分違う)

ことり(希ちゃんの温かい気持ちがあって絵里ちゃんの優れた計画性があってこそ二人の良さが出てくる、それは誰と誰を組み合わせても同じこと)

ことり(希ちゃんの優しさは誰かの行き過ぎた行動にブレーキをかけてくれたり絵里ちゃんの計画性は誰もが認めるものすごい未来を作ってくれる)

ことり(ただそれは隣に“誰か”がいないと発揮できないチカラ)

ことり(希ちゃんの優しさっていうのは常に独りじゃ生まれない、絵里ちゃんの計画性は誰かのためじゃないと生まれない)


ことり(ことりたちっていうのは独りじゃ輝けない、ことりだって海未ちゃんだって)



ことり(穂乃果ちゃんだって)



にこ「あんたたち何やってるのよ…」

ことり「あ、にこちゃん…」

にこ「花陽、凛を早く追いなさい」

花陽「あ、うん!」

ことり「ことりもいく!」

花陽「うん!」

ダッ

にこ「ったくあんたらはホントにめんどくさいわね…」

希「なんでウチも入るん?!」

にこ「当たり前でしょ、希は本音を言わなさすぎなのよ」

希「そ、それは…そうだけど…」

にこ「絵里は希の言う通り自分の気持ちだけでぶつかりすぎなのよ」

絵里「だ、だって…」

にこ「…廊下まで聞こえてたわよ?あんたらの声」

絵里「えっ…」

にこ「あんたら二人の不仲説浮上しても知らないわよ?」

希「…むぅ」

にこ「…ま、凛をどうにかするのはあんたらじゃなくて花陽やことりの役目でしょうよ」

絵里「どうしてよ?」


にこ「あんたら二人じゃ無理だから」

タッタッタッ

花陽「私は上の階を探すね!」

ことり「じゃ、じゃあことりは下の階を探すね!」

花陽「うん!それじゃあ!」

タッタッタッ

ことり「…まず下駄箱を見ようか」

ことり(帰っちゃったかもしれない、そう思って下駄箱へかけた)

ことり「あれ…靴はある…」

ことり「じゃあ…」

ことり(どこかの教室にいるのかな…)

タッタッタッ!

ことり(その後色々なところをしらみつぶしで探した)

ことり(でもどの教室にも凛ちゃんの姿は無くて、もしかしたら花陽ちゃんがもう見つけてたのかななんて思って走ってた足はスタスタとゆっくりになりそのうち探すのをやめてた)

スタスタスタ

ことり「凛ちゃん…大丈夫かな…」

ことり(ことりは凛ちゃんがイヤっていうだろうから何も言わなかったけどもし可愛い服を着てくれる気が少しでもあるんだったら着せてあげたい)

ことり(ことりは手芸が好き、だからことりは将来着る側じゃなくて作る側になりたいって思ってる、そんな作る側の端くれとしては凛ちゃんに思いっきり可愛い服着せてあげたい)


ことり(凛ちゃんに自分が可愛いんだって気付いてほしい)


ことり(ただ…やっぱり凛ちゃんがイヤっていうならことりはそれ以上は何も言わない…)


ことり(ことりにとってその人の一番がことりの一番だからさ…)


スタスタスタ

ことり「…!凛ちゃん!」

凛「!」

ことり(何を思ったのか体育館に寄ったらステージの上で凛ちゃんが座ってた)

ことり(寂しげに上の空をしててことりがふと声をかけるとピクっと動いて顔をごしごししてた)

凛「こ、ことりちゃん…」

ことり「…大変だったね」

凛「…うん」

スタスタスタ

ことり「隣、座っていい?」

凛「う、うん」

ことり「ふう」

ことり「…ことりたち、ここで踊ろうと思ってるんだ」

凛「…知ってる」

ことり「凛ちゃんは思わない?」

凛「何が?」

ことり「このステージに立って、ここで踊ってみたいって、輝きたいって思わない?」

凛「…ごめん、思わない」

ことり「そっか…」

ことり(案の定凛ちゃんは否定し続けてた)

ことり(まぁね、凛ちゃんがイヤって言うならことりは何も言わない…)


ことり(はずだったんだ…)

ことり「…あのさ、凛ちゃん」

凛「何?」

ことり「ことりね、すごく思うんだけど」


ことり「凛ちゃんがもし可愛い服着れたらきっと誰よりも可愛いんだろうなって思う」

ことり「女の子らしくないっていうけど反応や仕草なんかは誰よりも女の子らしくて、きっと幼い頃から一緒にいるみんなの中ならきっと、一番女の子らしい子は凛ちゃんだと思う」



ことり「ううん!絶対に凛ちゃんだよ!」



凛「ち、ちが」


ことり「違わないよ!」


凛「!」ピクッ

ことり「凛ちゃんが可愛いの!ことりが一番可愛いって言ったら可愛いのっ!!」

ことり「可愛い可愛い可愛い可愛い!」


ことり「可愛いのっ!!!」


ことり「こんなに可愛いのに自分のこと可愛くないだなんてそんなのみんなに失礼だよ!!」

ことり「凛ちゃんは何がなんでも可愛いの!!!」

凛「えっ…あっ…え、えっと…」

ことり「…あ、えっと…ごめん…」

凛「う、ううん大丈夫だよ」

ことり「………」

凛「………」

凛「…その、ありがとう」

ことり「うん…」

凛「なんか…正直ことりちゃんにはビックリした」

ことり「ごめんね…」

凛「あ、ううん!そういう意味じゃないよ!」

凛「なんか…穂乃果ちゃんみたいな感じになるんだなって…」

ことり「穂乃果ちゃん…」

凛「うん、とにかく前へ進みたい感じがすごくて…」

ことり「そ、そんなだったかな…」

凛「そんなだよ」

ことり「……」

ことり(抑えてたものが弾けでた感じだった)

ことり(ことりが抱く凛ちゃんに対しての気持ちが爆発してた)

ことり「その…昔っから凛ちゃんは可愛いのにどうしてって思ってたんだ」

凛「…」

ことり「それなのにこんなみんなで楽しめるいい機会を逃すだなんて、それも自分が可愛くないなんていう理由でやらないなんてそんなのもったいなくて…」

ことり「ちょっと言いすぎたかもしれないけど…でも…」


ことり「でもそれだけ凛ちゃんのことが好きだから!凛ちゃんは大切な仲間だからっ!」

ことり「それなのに、それなのに本音で言い合えないなんてそんなの…」


ことり「寂しいって思ったから…!!」


凛「!」

ことり「凛ちゃんが本当に、本当の意味で諦めたって言うまでことりは一生懸命凛ちゃんを素敵にしたい!」


ことり「凛ちゃんを幸せにしたい!」


凛「し、しあわせ…」

ことり「凛ちゃんに可愛い服着せたいんだ!凛ちゃんに可愛い服の良さを知ってもらいたいから!」


ことり(そしてその幸せはことりの幸せでもあって…みんなの幸せでもあるから…)


凛「…うん、うんっ…うんっ!」

凛「ありがとうことりちゃん、凛…凛ちょっとだけ頑張ってみる!」

ことり「!!」パアアア

ことり「うんっ!」

凛「じゃあ凛みんなのところに行ってくる!」

ことり「う、うん!」

凛「ことりちゃんも一緒いく?」

ことり「ことりは…もうちょっとここに残ってるよ」

凛「そっか!分かった!じゃあね!」

タッタッタッ!

凛「…あ、ことりちゃん!」

ことり「ん?なーに?」


凛「ありがとう!!」


ことり「うん!」

ことり(凛ちゃんはとびっきりの笑顔でみんなのところへ走っていった)

ことり(ことりの想いが届いたのかな、ただ一生懸命にことりの想いを伝えたけど、届いたのかな)

ことり(今思えばみんなにあんなわがままみたいな叫び、言ったことない)

ことり(ただことりが思ってることを言った、ことりが言いたいことをいった)

ことり「このステージで…きっと…」

ことり(みんなでこんな楽しいこと出来るんだから、楽しむことも一生懸命でありたい)


ことり(その一生懸命が“臆病”であったとしても、楽しみたいから)


ことり「…歌詞、ちょっと思いついたかも」


穂乃果『やっぱりさ、こう…なんていうか自分の気持ちを歌詞にしたらいいんじゃないかな?』


ことり「…自分の気持ち」

ことり(自分の気持ちを歌詞にしていいなら、きっとの今の気持ちは…)


ことり「一生懸命…」

スタスタスタ

ことり(ことりが踏み出した一歩は、力強い一歩だった)

ことり(ことりの心が弾ける、ことりの心に熱が宿る瞬間だった)

ことり(死んだはずの穂乃果ちゃんも今はちゃんといる、やる気がなかった凛ちゃんもちゃんとやる気を出してくれてる)


ことり(メンバーは揃ってる、楽しむには何も欠けてるものがないんだ)


ことり(そんな中で…いやそんな中だからこそ輝けるってホントにホントにほーんとに)


ことり(素晴らしいことだと思わない?)


タッタッタッ

ことり(だから走った、この気持ちのままずっとずっと走っていたくなった)

ことり(歌詞作りはまだまだ難航中だけど、メンバー問題は解決しそうだった)

ことり(大きな一歩を歩んだと思う、これからに向けて最高の出だしだったと思う)

ことり「みんなっ!」

希「おっ凛ちゃんを救ったヒーローさんが登場やで?」

にこ「よくやったわねことり」

花陽「ことりちゃん!やったね!」

絵里「ことり…ありがとう」


凛「ことりちゃんありがとう!」


ことり「う、うん!」


ことり「やりたいことはみんなでしないと!」


ことり「みんなでやるから面白くて頑張れる、凛ちゃんだって可愛いくせして頑張らないなんて損だよっ!」


ことり「私はただ…ただ凛ちゃんの背中を精一杯押しただけっ!」


ことり(大きな手振り素振りを使って表現した、それは姿は、そしてその瞳はいつしか)



ことり(穂乃果ちゃんに似てるかも、なんてことりの太陽と並べて自惚れてた)



ことり(でも、それでよかったのだと思う)

ことり(穂乃果ちゃんの後ろを歩くのじゃなくて隣を歩きたいと思ったから)

凛「ばいばいっ!」

花陽「三人ともさよなら~!」

希「ばいばーい!」

ことり「ばいばい!」

絵里「気を付けて帰るのよー!」

にこ「そうよー!」

凛「はーい!」

花陽「分かってますよー!」

花陽「ではっ!」

凛「またあっしたー!」

スタスタスタ

希「…大丈夫そうやね」

絵里「ええ」

にこ「一時はどうなるかと心配だったけどことりが凛の背中を押してくれたおかげでなんとか収まったわね」

ことり「えへへ…」

スタスタスタ

希「凛ちゃんになんて言ったん?」

ことり「んーえっとね、凛ちゃんは可愛いから絶対にやった方がいいって、ことりの我が儘で押し切っただけだよ」

絵里「なにそれ…」

希「ふふふ…そっか」

にこ「大したものねぇ…」

希「凛ちゃんを説得して帰ってきた時のことりちゃん、なんだか穂乃果ちゃんみたいだったね」

絵里「奇遇ね、私もそう思ったわ」

にこ「あ、それは私も」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん?」

希「なんだろうなー…理屈じゃ説明できないんよ、感覚というか…」


絵里「雰囲気?」


希「そう!」

希「あ、でもちょっと違うかな?」

にこ「私は目つき、というか弾け方がそっくりだなと思った」

希「あ、それもあるね」

希「ウチが思うのは瞳かな?」

ことり「瞳…」

希「穂乃果ちゃんの瞳は不思議だよね、いつもキラキラしててなんだか魅了されちゃうよ」


希「でも、さっきのことりちゃんも同じように輝いてた」


希「流石、穂乃果ちゃんと一番長い付き合いしてるだけあって似てるのかな?」

ことり「そ、それはないよ」

絵里「そうかしら?似た者同士がくっつくってよく言うじゃない、穂乃果とことりはよく似てると思うけど」

希「えぇ…?えりちみたいな鬼と一緒にはされたくないわ…」

絵里「あ?」ピキッ

にこ「あんたは一言余計なのよ…だから副生徒会長止まりなのよ…」

希「いやにこっちも一言余計やろ!!」

にこ「いやいや実際そうでしょ」

希「違うわ!!」

絵里「ねえ私が鬼っていうの説明してほしいんだけど」

にこ「いやあんたは鬼でしょ」

絵里「なんでよ?!」

にこ「鬼だからよ」

希「ほーらみろ!にこっちだって鬼っていってるやんこの鬼ー!!」

希「同志やでにこっちは…」

にこ「何よその変わり身の早さは…」

絵里「はああああ?!」

ことり「ちょ、ちょっと三人とも…」

にこ「…ぷっ」

希「あははははっ」

絵里「ふふふふっ」

ことり「あ、え…?」

にこ「ごめんなさいね、やっぱりことりは真面目ね」

希「ことりちゃんのその真面目さがウチは好きやで?」

絵里「ええその通りよ」

希「ことりちゃんのその真面目さが多分、凛ちゃんを救ったんだと思う」

希「何物にも真摯に受け止めるそのことりちゃんの真剣さが、ことりちゃんの強みだと思う」


希「ただしそれは強みであると同時に弱みでもあるよ」


ことり「弱み…?」

希「そう、ことりちゃんの考え方はとても筋が通ってて俗にいう常識中の常識がことりちゃんには備わってる、だけどそれを返せば考え方に柔軟性がなくて」


希「今みたいにウチらの冗談を冗談だと捉えられなかった」


希「ことりちゃんにはもっともっと自分に素直になった方がいいよ、自分の中の“普通”にいつまでも囚われてちゃダメ」



希「抜け出すことこそがことりちゃんが一番幸せになれる道だから」



希「…ってカードが告げてるんよ」クスッ

にこ「せっかくいいこと言ってたのにそうやってカードで濁すのね…」

絵里「ホント、希の素直になれないところは玉にキズだわ」

希「な、なんや二人して…」

希「…ま、そういうことだよ」

ことり「そっか、ありがとう希ちゃん」

希「いいっていいって」

希「というかウチじゃなくてカードのお告げやからね?」

にこ「はいはい分かった分かった」

希「もー!カードのお告げっていったらカードのお告げなんだから!」

絵里「我が儘か…」

にこ「…あ、ここでお別れね」

絵里「そうね」

ことり「うん、今日はありがと!」

ことり「じゃあねっ!」

希「気を付けて帰りなよー!」

ことり「はーい!」

タッタッタッ!

ことり(途中の帰り道が違うから三人と別れた)

ことり(今日は穂乃果ちゃんも海未ちゃんも早く帰っちゃった、だから今日は一人だ)

ことり(今思えば空白の一年はよく一人で帰ってた)

ことり(海未ちゃんといてもなんだか気まずくてね、話が弾まないからさ)



希『でも、さっきのことりちゃんも同じように輝いてた』

希『流石、穂乃果ちゃんと一番長い付き合いしてるだけあって似てるのかな?』


ことり「穂乃果ちゃんに似てる…か」

ことり(もしそうだとしたらすっごく嬉しい)

ことり(それと同時に凛ちゃんがことりの言葉を信じてくれたのもすごく嬉しい)

ことり(弱い私でも、誰かのために動くことくらいは出来る)

ことり(そうと自覚してやったこと、精一杯の本音を凛ちゃんにぶつけたんだ)


ことり「…大丈夫そうかな」


ことり(こうして、ことりたちは音ノ木坂祭りのライブ実行への道を出発した)

ことり(やることは山積みだけど、今はなんだか大丈夫な気がする)

ことり(穂乃果ちゃんも、凛ちゃんも、みんなもいる)

ことり(そんな中で何を不安がるのだろう?全てが揃ってるのに何を悩むんだろう?)

ことり「よしっ!」

ダッ!

タッタッタッ!

ことり(ただ、ことりはみんなを信じてまた走った)

ことり(ただただ、全力で走った)


ことり(ただただただ、ことりの目指す未来に向かって走ったんだ)


ことり(果ての無い未来を)

~二日後

海未「ふむ……」

にこ「むむむ…」

花陽「むー……」

絵里「ふーん……」

希「なるほど」

穂乃果「ほー…」

凛「ほーほー…」

ことり「………」

真姫「……どう?」


穂乃果「すっごくいいよ!!」


絵里「ええバッチリね!」

真姫「!」パアアア

海未「歌詞はどうなるかと思いましたがことりのおかげでなんとか終わりましたね…」

ことり「えへへ」

穂乃果「真姫ちゃんすごいよー!!」スリスリ

真姫「うぇええ?!」

希「ふふふっとりあえず第一段階突破やね」

絵里「そうね」クスッ

凛「これからどうするの?」

絵里「これからはダンスと歌の練習よ、ただ一週間でダンスなんてできるはずないから誰でも出来るくらいの簡単な振り付けにするわ、歌を集中的に練習しましょう」

にこ「そうね」

花陽「おぉ~!なんだか本格的!」

ことり「ねっ」

ことり(あれから二日後、ことりたちの曲が完成した)

ことり(ことりたちは確実に、前へ前へとその一歩を踏み出してた)

ことり(衣装は練習の合間や家にいる時に作ることになってる、ただことりだけじゃ手が足りないから絵里ちゃんとかにこちゃんとかと手伝ってギリギリ間に合わせるような形になると思う)


ことり(踊るのはもちろん小さい頃からのメンバーに真姫ちゃんを加えた九人だよ)

凛「よーし!張り切っていくにゃー!」

海未「張り切りすぎて体調を崩さないようにお願いしますよ?」

凛「わかってるわかってる!」

真姫「体力はあまりないから踊りは自信ないのよね…」

希「おっ弱気発言?これからって時なのにそれはいただけないなぁ」ニコニコ

真姫「ち、違うわよ!頑張りますってことよ!!!」

希「はいはいそうやね」ニコニコ

真姫「流し方腹立つわね…」

絵里「はいはいちょっと注目」

花陽「?」

にこ「何よ」

絵里「理事長に屋上の使用許可を貰ったの、だから放課後に一度練習がどんな感じなのかっていう流れだけでも掴みに行きましょう?」

海未「そうですね、それはいい案です」

穂乃果「流石絵里ちゃん!」

希「流石えりちは用意周到やね」

絵里「当然よ、なんてったって生徒会長なんだから」フンスッ

ことり(ひとまずやることが終わったけど、次やることはすぐにまわってきた)

ことり(音ノ木坂祭りまでのスケジュールは言うまでもなくぎゅーぎゅーであまり休めなさそうだなと、先のことを少し考えてた)


ことり(だけどそれはみんなと踊るため、思い出を作るためだから苦でもないよ)


ことり(ただそんな中でことりが思うのは)

ことり(これからのことで穂乃果ちゃんが隣に居て当たり前だなんて考えてるから)



ことり(こんなにも穂乃果ちゃんってことりの支えだったんだって思うんだ)



ことり(でも、当然と言えば当然だよね)

ことり(ことりの太陽だもん、こんなにもことりを大切にしてくれた人はまずいない)

ことり(一緒にセミを捕まえに行った、一緒に海に行った、一緒にお饅頭作った)

ことり(一緒に肝試しに行った、一緒にお風呂に入った)

ことり(一緒に寝た、一緒の学校に入った)


ことり(一緒に最期を共にした)


ことり(そんなことりのかけがえのない人、そんな感慨深いことりの気持ちがくるくると回ってた)

ことり(そして時刻は放課後…)

ガチャッ

凛「んー!気持ちいいにゃー!」

希「ちょっと暑いけどね」アハハ

にこ「ここで何するの?」

絵里「ダンスレッスンよ、まぁ今日は何も用意してないからちょこっとだけだけどね」

花陽「大変そうだね…」

絵里「最初はね、慣れれば全然よ」

ことり「絵里ちゃんが言うと説得力あるね」

絵里「でしょ?」フフンッ

絵里「それでなんだけどね、ごめんなさい先に言っておくわ」

にこ「…?何よ」

凛「どうしたの?」

絵里「今から言うことは決定事項、何がなんでも決まりだからね?」

花陽「う、うん?」

希「何のこと?」

絵里「…今回の歌は」



絵里「ことりがセンターを務めることになってるから」



ことり「?!?!?」

ことり「な、なんで?!」

絵里「曲作り始める時から決めてたの、ことりがセンターだって」

ことり「だからなんで?!」


穂乃果「私が提案した!」


ことり「ど、どうして?ことりがやるくらいなら穂乃果ちゃんがやったほうが」

穂乃果「ううん、ことりちゃんじゃないと務まらない」

穂乃果「海未ちゃんも、真姫ちゃんも、絵里ちゃんもことりちゃんにセンターを任せたいっていったら快く受け止めてくれた」

ことり「海未ちゃん…」

海未「あんな歌詞を私に渡してくるんですから、正直まいっちゃいましたよ」

海未「私なんかまだ何も決まってなかったのにことりはすらーっと書いてくるんですから」

ことり「真姫ちゃん…」

真姫「ん?私は別に…」

真姫「ライブをするんだしこういう歌詞が良いなと思ったの、それに穂乃果さんがことりさんのことすごく推してくるから信じてみたくなっただけ…」

ことり「絵里ちゃん…」

絵里「私もことりを推したい、確かに穂乃果もいいのかもしれない」


絵里「けどこの歌はことりが一番似合ってるから」


ことり「私が一番…」

穂乃果「そうだよっ!だからことりちゃんがセンター!」

穂乃果「みんなもその方がいいよねっ!」

凛「うんっ!凛もそう思う!」

花陽「ことりちゃんが考えた歌詞なんだもん、ことりちゃんがするべきだよっ」

希「そうやね!」

にこ「はーあっしょうがないわね~センターは譲るわよ」

ことり「みんなっ…」

ことり(今度歌って踊るこの曲はことりがセンターだった)

ことり(穂乃果ちゃんが提案し、それをみんなが何の疑問も否定も口にせずただただことりを認めてくれた)

ことり(ことりがセンターを務めるっていうのは穂乃果ちゃんにそしてみんなに認められた証でありことりが一番輝ける場所にいるってこと)

ことり(それはすごく嬉しい、またことりの中で何かが弾けそうってくらいに嬉しかった)

ことり(でもそれと同時に不安とか懸念とかマイナスな感情もあることは確かだった)


ことり(だってことりがセンターなんて務まる思う?)


ことり(無理だよね、絵里ちゃんみたいにダンスにも気持ち的な問題でも自信がないから胸を張れないし穂乃果ちゃんのような明るさや真っ直ぐな瞳のように魅力があるわけじゃない)

ことり(だから帰り道に至るまでの最終的な気持ちはプラス半分マイナス半分というのが最もだと思う)

スタスタスタ

ことり「穂乃果ちゃんと二人っきりで帰るのは…久々じゃないか、えへへ」

穂乃果「そうだねー」

ことり「…ねえ、聞いてもいいかな?」

穂乃果「なーに?」

ことり「なんでことりをセンターに薦めたの?」

ことり「ことりじゃないと務まらないってどういうことなの?」

穂乃果「そのままだよ、あの歌のセンターはことりちゃんじゃないと務まらないんだ」

穂乃果「私や絵里ちゃん、海未ちゃんがセンターをしても最終的には失敗に終わると思う」

ことり「ど、どうして?」

穂乃果「…ふふふっことりちゃんの持ってるチカラはすごいんだよ?」

ことり「ことりの持ってるチカラ…?」

穂乃果「そうそうっ!」

ことり「何なのそれって?」

穂乃果「それは口にするものじゃないよーことりちゃん自身で気付くもの」

ことり「ことり自身…」

穂乃果「そうそう!」

穂乃果「…でもまぁね、ことりちゃんをセンターに薦めたのはそれだけが全てじゃないよ」

ことり「え?」

穂乃果「ことりちゃんにもっと輝いてほしくてね、もっともっとことりちゃんのいいところ、みんなに見てほしくてさ」

穂乃果「余計なお世話って思ったかもだけどことりちゃんはしっかり者だし勉強も出来たし何よりものすごく可愛かったから小さい頃はよく劇の主役に推薦されてたよね」

ことり「う、うん…」

穂乃果「でも、ことりちゃんって引っ込み思案だからぜーんぶ主役の推薦を断ってやりたい人に譲ってた」

穂乃果「中学生の時のロミオとジュリエットとか、幼稚園の時のきよしこの夜とか全部、ぜーんぶ譲ってた」

穂乃果「…こんなこと自分で言うのも難だけどね私だってクラスの中心してたつもりだから主役に誘われるくらいの名声はあったと思う」

穂乃果「ただそんな私を凌いでことりちゃんは毎回毎回主役に抜擢されて、でもそんな主役の誘いを幾度となく断って私すごくもったいないなって、微量ながら怒りも感じてた」

ことり「い、怒り…」

穂乃果「だってそうじゃん!ことりちゃんみたいな可愛い子がなんでそんな臆病にしてるのさっ!もっと自分に自信もって動いた方がことりちゃんは輝けるしことりちゃん的にも楽しいから!」

穂乃果「だからことりちゃんをセンターにした!ことりちゃんに輝いてほしくて、もっと楽しんでほしくて!」



穂乃果「もう、臆病な自分を演じるのは飽きたでしょ?」



穂乃果「ことりちゃん」

ことり「!」

穂乃果「知ってるよ?ことりちゃんが本当はものすごいわがままな人だって、ことりちゃんは平和主義者だからその人のいいようにやらせてるようだけど本当はああしてほしいこうしてほしいって心の中ではお願いしてること」

穂乃果「皮肉なことにそのことりちゃんの考えてることが一番正しいんだから余計にもったいないよ」

穂乃果「その人にとってベストなことが考えられるんだから、私と違って完璧なことを考えられるんだからことりちゃんはもっと…自分を出していかないとさ」

ことり「自分…か」

穂乃果「そっ!自分!」

穂乃果「だから今回の歌、みんなで歌うステージは絶対絶対ぜーったいにことりちゃんがセンターじゃないとダメなの」

穂乃果「だからお願い、これは私からの一生のお願い」


穂乃果「ことりちゃんがセンターをしてくれれば私はもう救われるから」ボソッ


ことり「…?何?」

穂乃果「ううんなんでもない!」

穂乃果「とりあえずお願いっ!」

ことり「…うん、分かった!頑張ってみるっ!」

穂乃果「うん!」

ことり「よしっ明日から頑張ろうね!」

穂乃果「…あ、うん!」

ことり(帰り、穂乃果ちゃんがことりの背中を押してくれた)

ことり(やっぱり穂乃果ちゃんはすごいな、そう思った)

ことり(結局さ、ことりの持ってるチカラがすごいっていっても今みたいにことりを勇気づけてくれるそのチカラが本当に羨ましいよ)

ことり(…ううん違うね、きっと穂乃果ちゃんだからなんだ)

ことり(穂乃果ちゃんが言ってくれるからことりはまた頑張ろうって思える、穂乃果ちゃんだけにしかない、穂乃果ちゃんだけのチカラだよね)

ことり「…ねぇ穂乃果ちゃん」

穂乃果「なに?」

ことり「私の持ってるチカラ…ヒントだけでもくれないかな?」

ことり「とても…ことりだけじゃ気付けそうにないや」

ことり(穂乃果ちゃんのチカラは~って考えれば次に出てくるモノは“ことりのチカラ”だよね)

ことり(でもそんなことりの持ってるものなんて分かるわけないよね、だってことりにあるこれっていう魅力が見当たらないんだもん)

ことり(絵里ちゃんのような“強さ”はないし希ちゃんのような“頼り甲斐”もない)

ことり(花陽ちゃんのような“愛らしさ”もないし凛ちゃんのような天性の“可愛さ”もない)


ことり(そして穂乃果ちゃんのような何かを引っ張る“カリスマ性”もない)


ことり(こうしてみんなとことりを隣り合わせで比べるとスポットライトが自然とことりの隣の人に照らされていくような気がした)


ことり(ただ、ことりはそれに何とも思わないよ)


ことり(そんな輝いてる人の隣にいれるだけでことりは幸せだから、他人の幸せがことりの幸せだから)

穂乃果「そうだね~ヒントか」

ことり「ない…かな?」

穂乃果「ううんあるよ、そうだねヒントだよね」

穂乃果「うーんとね、自分のことを見るだけじゃ…分からないことかな?」

ことり「…?どういうこと?」

穂乃果「人のこと…うーんもっと限定的に友達とか家族の人、そのくらい身近な人のことを考えてみることが自分のチカラに気付く鍵だと私は思う」

穂乃果「ことりちゃん自身がどういうチカラを持ってるのか、なんて考えても答えは出ないと私は思う」

穂乃果「私はことりちゃんの全てを知ってるわけじゃないけど、少なくともことりちゃんのチカラをことりちゃんより知ってるつもり」

穂乃果「ただ私だってことりちゃんのチカラを本質的には知らないよ、でも自分のことの多くなんて自分で気付けるわけないよ、私だって私がどんなチカラを持ってるのか知らない」

穂乃果「でも、ことりちゃんは気付いてない?私のチカラ、ううん気付いてなくてもいい…ただ私に何かがあるって思うだけでもいいんだ、それってやっぱり分かってるんだ」


穂乃果「その人にしかない、その“何か”があるって」


ことり「…うん、ことりは穂乃果ちゃんのチカラ…分かると思う」

穂乃果「でしょ?自分に自惚れてるわけじゃないけど、人一人に必ずそういうものがあるんだよ」


穂乃果「私は最近それを知ったから」


ことり「最近…?」

穂乃果「そっ!最近!」

穂乃果「だからさことりちゃん、仕方ないから出血大サービスしちゃうよ!」

ことり「出血大サービス?」

穂乃果「ヒントだよっ私だって絵里ちゃんだって海未ちゃんだって真姫ちゃんだって」


穂乃果「ことりちゃんだって」


穂乃果「そのチカラは“何か”の為に使ってるチカラなんだよ?」



穂乃果「ただ、ことりちゃんはその何かが“誰か”のために、であること、これを忘れないで」



ことり「誰かのために…」

穂乃果「そう!誰かのために!」

穂乃果「ここまで言ったんだから気付いてよね、自分で気付くからこそ意味があるんだから!」ダッ

タッタッタッ!

ことり「あ、ちょっと穂乃果ちゃん!」ダッ

穂乃果「あははっ!走ろうよ!」

ことり「な、なんで急に?!」

穂乃果「走りたくなったから!だから走ろうよ!」

ことり「どこに?!」

穂乃果「走れるところまで!」

ことり「え、えええ?!」

穂乃果「あはははっ!ほらほらおいでよー!」

ことり「は、速いよぉ!」

穂乃果「ダンスは体力使うって絵里ちゃんも言ってたしこのくらいは走らなきゃ!」

ことり「そ、そうだけど!」

ことり(この強引さが穂乃果ちゃんの魅力なんだと思う、強引なのに、打算もないのについていきたいって思っちゃうんだからホントにすごいよ、穂乃果ちゃんは)

ことり(だから“今日も”穂乃果ちゃんの背中を追いかけてた)

ことり(穂乃果ちゃんと笑いあえる日々に帰ってきたことを実感してた)

ことり「ただいまー」

ことりママ「おかえりなさい」

ことりママ「最近楽しそうね?」

ことり「音ノ木坂祭りで出し物するからそれに励んでんだよっ」

ことりママ「へぇー出し物…何するの?」

ことり「それは知らなくてもいいでしょっ」

ことりママ「いやいやことりの母たるもの可愛い娘がすることくらい知りたいでしょ?」

ことり「もーなんでもいいでしょ!」

タッタッタッ

ことりママ「あ、ことり!」

ことりママ「まったく…反抗期かしら…」

ことりママ「でも…」

ことりママ(心なしか常に楽しそうに感じるわね、その出し物ってやつも順調なのかしら)

スタスタスタ

ことり「ふぅ…」

ことり「疲れたー…」

ボフッ

ことり(クッションとぬいぐるみがいっぱい置いてあるベッドにダイブした)

ことり「………」

ことり(毎日そうだけど、今日は頭も使ったし体力も使ったから特に疲れちゃって何も考えずに目を瞑ってた)

ことり(肌触りの良いクッションがとにかく気持ち良くて一瞬で眠りの世界へトリップしてた)

ピピピピピピピ!

ことり「…ん」

ことり(突然意識の外から音が聞こえた)

ことり「んん…」チラッ

『6:10』

ことり「…え?!なんでそんな…えぇ?!」

ことり(目が覚めたら朝だった)

ことり(夜ご飯を食べた記憶はない、感覚で言えばさっき寝て一瞬で起きたようなものだった)

ことり「こんな…早かったっけ…」

スタスタスタ

ガチャッ

ことりママ「あら、おはよう」

ことり「おはよう、ことり夜ご飯食べたっけ?」

ことりママ「食べてないわよ、起こしに行ったんだけどぬいぐるみ抱きしめて気持ちよさそうに寝てるからなんか悪いなって思って」

ことり「そ、そっか」

ことりママ「ええ」

ことり「…ってことりの寝てるところ見たの?!」

ことりママ「え、ええそうだけど」

ことり「もー!なんで入ってくるの!」

ことりママ「だって起こすためには部屋に入らないといけないじゃない」

ことり「そうだけど…そうだけど!」

ことりママ「ふふふっとりあえず朝ごはん食べなさい、遅れるわよ?」

ことり「まだ余裕はあるよ…」

ことりママ「ふふふっそうね」

ことりママ「あ、後夜食べなかったから朝はちょっと多くしておいたわ、たくさん食べなさいよ?」

ことり「う、うん」

スタスタスタ

ことり(今日に限った話じゃないけど、こうやってまず実感して思うことって)


ことり(穂乃果ちゃんがきて時の流れがすごく早くなってるってことなんだ)


ことり(楽しい時ほど時間を忘れて何か全うしちゃうよね、そんな最近のことりは常時楽しいって感じてるんだ、感じちゃってるんだ)

ことり(“あの時”とは違う日常がやってきて、新鮮味や懐かしさ、他にも新たに感じるものも数多くあってこの日常に飽きがこないんだ)

ことり(だから朝ごはんを食べて、登校して、みんなと会って、笑ってなんてことしてるだけで時間は早送りをしてるかのように過ぎ去っていった)

海未「穂乃果、太りました?」

穂乃果「えっ…そんなつもりはないんだけどなー…」アハハ

海未「まったく…ここからだっていうのに何をしてるのですか…」

穂乃果「んーごめんね、気を付けるよ」

海未「そうですよ、気を付けてください」

穂乃果「はーい」

海未「さて…もう三時間目ですか、なんだか早いですね」

穂乃果「あ、海未ちゃんも感じる?」

海未「感じる?」

穂乃果「時間の流れだよーなんか私も早いなーって最近思うんだ」

ことり「穂乃果ちゃんも?」

穂乃果「あれ?ことりちゃんも?」

ことり「うんっなんかすごく早くて…」

海未「ふむっ…私たち三人はきっと今を楽しんでるのかもしれませんね」

穂乃果「そうだねっ!」

ことり「うんっ!」

ことり(そしてこの楽しい時はみんな同じように感じてるようだった)

ことり(だって時の流れが早いっていうのはそういうことだから)

「では穂乃果さんここのところを答えてください」

穂乃果「え、ええ?!」

穂乃果「え、えぇっと…わかりません!」

アハハハハハハハ

海未「まったく穂乃果は…」

ことり「あはははは……」

穂乃果「だって難しいじゃん!」

海未「難しいから頑張って解けるようにするんですよ!」

ことり「ま、まぁ今授業中だから…ねっ?」

海未「し、失礼しました…」

穂乃果「むー…」

ことり(こういったことはよくあるけど、どんな顔をしていても心なしか楽しそうだった)

ことり(穂乃果ちゃんはムードメーカーだよ、先生だってくすくす笑ってて楽しそう)

穂乃果「…あ、えへへへ」

ことり(ことりと目が合いことりもニコッとした)

~昼、音楽室

凛「あーあーあーあー」

真姫「違う、もっと響かせるように」

真姫「私の真似をして」

真姫「あーあーあーあ」

凛「あーあーあーあー」

真姫「んー…何か違うのよね」

凛「えへへ…ごめんね…?」シュンッ

真姫「あ、いや!そうじゃないの!凛は悪くないのよ!」

凛「…んえへへへっ!なーんて!真姫ちゃんは優しいね!ちょっとシュンとしただけで気を使ってくれて!」クスクス

真姫「は…?はああああ?!」

凛「真姫ちゃんはちょろいなたちつてとー!!」

真姫「歯を食いしばる準備は出来てるでしょうね?!」ダッ

凛「うわあ?!ここは逃げるが勝ちだー!」ダッ

タッタッタッ!

花陽「い、いっちゃった…」パクパク

ことり「真姫ちゃんも大変だね…」パクパク

ことり「というか真姫ちゃんも凛ちゃんもお昼ご飯食べてないけど大丈夫なのかな…」

花陽「大丈夫…なんじゃないかな?」

ことり「どうして?」

花陽「なんか今は食べるというより歌ってた方があの二人は幸せそうだったから」

ことり「…!」

ことり(花陽ちゃんの顔は輝いてた、それは明らかに“何か”に気付いてる顔だった)

ことり(花陽ちゃんはあの二人の事、よく理解してるように見えたんだ)

花陽「私たちも発声練習頑張らないとね」

ことり「そうだねっ!」

凛「ふー逃げた逃げたー」

花陽「あ、凛ちゃん」

真姫「ぜえ…ぜえ…」

ことり「あはは、おかえり真姫ちゃん」

真姫「なん…なのこいつ…速すぎる…」

ことり「凛ちゃんは元陸上部だから…」

花陽「中学の時も一番速かったから…」

真姫「それを…先いってよ…」

ことり「言う暇もなくいっちゃってね…」

花陽「ドンマイ真姫ちゃんっ」

凛「勝利!ぶいっ!」

花陽「とりあえず凛ちゃんと真姫ちゃんもお昼ご飯食べなよ」

凛「うん!」

真姫「はぁ…ホント凛といると骨が折れるわ…」

花陽「あはは…凛ちゃんはやんちゃだから…」

ことり「凛ちゃんもほどほどにね?」

凛「はーい」

凛「でもでも最近はなんか早く時間が流れるように感じてるんだよねー」

花陽「あ、それは私も思う」

真姫「私も」

ことり「え…みんなも?」

凛「ことりちゃんも?」

ことり「う、うん」

凛「そっかーなんかもう一日があっという間でああやって真姫ちゃんと鬼ごっこしてる時もこうやってお話してる時も全てが一瞬で終わったって勘違いしちゃうんだ」

花陽「そうそう、寝たら起きるまでの感覚が一瞬なんだよね」

真姫「分かるわ、曲作りだって出来たと思ったら何時間も経ってた」

ことり「………」

ことり(やはり二年生のことりたちだけじゃない、一年生のみんなも感じてるようだった)

ことり(このみんな一緒にいる時間が幸せで、みんな同じように感じてる“新しさ”に胸を弾ませて、楽しい未来が目に視えるほどの希望に心を躍らせてた)

花陽「やっぱり今が楽しいのかな?」

真姫「そうね、そうかもしれないわ」

凛「凛はすっごく楽しい!」

花陽「うんっ!私もすごく楽しい!」


真姫「この時間が一生続いていたらいいわね」


ことり「!」

ことり「そ、そうだね!」

ことり(ことりも長らくはそう思い続けると思う)

ことり(穂乃果ちゃんといると、笑顔のみんなといるとその幸せを永遠にしたくなるんだ)


ことり(一度穂乃果ちゃんを失ってるのだから、その永遠が永遠でなくなる辛さはイヤというほど知ってる)


ことり(だから真姫ちゃんのいう思いを仮にことりたち全員が持ってるとしてもきっとその思いの強さはことりが一番強いのだと思う)


ことり(失うことの辛さ、再開して分かる幸せ)


ことり(この二つを経験してることりに勝る気持ちなんてないんだからっ)

~放課後、屋上

絵里「はい、そこで啓礼ポーズ」

ことり「け、啓礼?」

絵里「その名の通りよ、片方の手は横っ腹においてもう一つは啓礼よ」

ことり「わ、分かった」

絵里「よしっそのポーズ忘れないで、後笑顔も」

にこ「いい?笑顔っていうのは営業スマイルとかそういう笑顔じゃないんだからね?」

にこ「もっともっと素の笑いだからね?自分が楽しめてる時の笑いだからね?」

凛「おーにこちゃんがすごいまともなこといってる」

にこ「とーぜんよ!アイドルたるもの笑顔が一番大事なんだから!」

花陽「そうですよ!笑顔のアイドルこそ勝利を掴むんですから!」

海未「…笑顔もいいですけどあなたたち二人はまず」


海未「体力の方をなんとかしてくださいね?」


花陽「…はい」

にこ「思った以上にきついわこれ…」

凛「二人ともだらしないなー」

穂乃果「凛ちゃんはやっぱり余裕だねー」

真姫「化け物か…」

希「う~ん!ウチはバイトしてたからみんなより幾分かはマシかな~」

穂乃果「ずるーい!」

希「ふっふ~ん!」

絵里「はいはい希は威張らないの」

絵里「ことりはセンターなんだからみんなの見本になるようにやるのよ?踊りの初めはことりからスタートだし多くの人はセンターのことりを見るんだから自信が持てる出来に仕上げましょうね?」

希「あはは…大変だねことりちゃんも…」

ことり「は、はい…頑張ります…」

ことり(ダンスの進み具合をいえば良くも悪くも普通だった、みんな踊りなんてしたことないしその辺は運動神経とかセンスが問われるんだけど凛ちゃんや希ちゃんは体力使う経験をよくしてたから大丈夫そうで、絵里ちゃん海未ちゃんはもう余裕で、ことりと穂乃果ちゃんがちょっときついかもって感じで花陽ちゃんとにこちゃんと真姫ちゃんが体力面で非常にまずいみたい)

ことり(まぁダンスといってもそこまで本格的じゃないからまだ深刻な問題ではなさそうだった)

海未「朝練が必要ですねこれは…」

真姫「あ、朝練…」

海未「やはり体力が必要です、もちろんそれはそこの三人に限った話ではありません」

海未「ダンスでは技術を必要としますがそれ以前に体力が必要ですから、やるに越したことはありません」

絵里「でもみんな物覚えはよかったわよ、ダンスはちゃんとやれてるし一連の流れをするなら問題なく出来そうだけど」

絵里「それにダンスっていうのは完成度よりどれだけ見てる人を魅了するかが大事なのよ?そりゃあ大会とか本当のアイドルのステージに出れば技術も必要だけど私たちに必要なのはそれじゃないから」

穂乃果「うん!その通りだよ!」

花陽「絵里ちゃんが言うと頼もしいね!」

にこ「悔しいけど信憑性はめちゃめちゃあるわ…」

絵里「でしょ?」フフンッ

絵里「なんてったって賢い可愛いえりー」

希「はいポンコツ」

海未「マイナス100KKEポイントですね」

絵里「ちょっと?!なにそのポイントは?!」

海未「絵里の賢さを表すポイントです、今マイナス4300ポイントなのでなんとかプラスにしてくださいね」

絵里「なんか海未私だけにひどくない?!」

海未「気のせいですよ」

凛「あーあっ絵里ちゃんはあれさえなければ完璧なのになー」

花陽「おっちょこちょいだもんね」アハハ

真姫「確かにあのギャップはすごいわね…」

ことり「でもあれが絵里ちゃんの良さでもあるから…」

にこ「そうね、あれが絵里の良さでもあるわ」

凛「まぁね、あれがなかったら凛は絵里ちゃんには近づきたくなかったなー」

花陽「頼れる存在だけど厳しいと関わりづらいからね」

絵里「でしょ?この優しさが私のいいところなのよ?」

絵里「分かったら海未はそのKKEポイントだかをプラスにしなさい」

海未「マイナス300KKEポイントで」

絵里「なんで?!」

希「いやそれは賢くないわえりち…」

穂乃果「絵里ちゃんはもっとキリってしてよう!」

絵里「こう?」キリッ

海未「ふっ…」

絵里「あー!今鼻で笑ったわよね?!」

海未「気のせいですよ、ぷっくふふふ…!」

絵里「ほらー!!笑ってるー!!!」

凛「あはははは!!」ゲラゲラ

花陽「あははは…」

にこ「ったく真面目と言われてるあの二人があれだと先が思いやられるわね…」

真姫「やはりここのグループの良心はことり、あなた一人よ…」

ことり「え、えぇ?!」

希「というか教える側の二人が別のことしてたらこっちも何も出来ないやん…」

海未「そうですよ、絵里」

絵里「なんで私?!」

海未「ぷっふふふふ…すいません、からかうのが面白かったもので」

絵里「も、もう…」プクー

希「海未ちゃんもなんだかんだ凛ちゃんレベルのやんちゃもんだからね」アハハ

絵里「困ったものよ…」

絵里「まぁいいわ、さぁ休憩終わり、練習再開するわよー!」


「おー!!」


ことり(雰囲気は言うまでもなく最高、これは完成がますます楽しみになってきた)

ことり(みんな放課後という自由な時間を削ってやってるけど誰一人として嫌がってる人はいなかった)

ことり(これがことりの理想形であったんだ、みんな同じ気持ちを持って同じことに挑戦すること)


ことり(それが空白の一年に儚く抱いた叶わないはずだった願い)


ことり(それを今、感じているんだ)

穂乃果「ことりちゃん!一緒に帰ろう!」

ことり「うん!あ、じゃあ海未ちゃんも」

穂乃果「…あ、えっとね海未ちゃんは先帰っちゃったみたいで…」

ことり「そ、そっか…じゃあ一緒に帰ろっか」

穂乃果「うん!」


スタスタスタ

海未「…あれ?ことりと穂乃果知りません?」

凛「んー?ことりちゃんと穂乃果ちゃんなら先帰っちゃったけど」

海未「えっ…」

凛「何かあったんじゃない?」

海未「そうだといいですけど…」

花陽「あの二人に限って仲間外れなんて無いと思うから心配する必要はないと思うよ?」

真姫「ええそうよ」

海未「そ、そうですよね!」

海未「じゃあ私も帰りますね」

凛「はーい」

花陽「お疲れ様でした」

真姫「お疲れ様」

海未「お疲れ様でした、体調管理はしっかりしてくるように」

凛「はーい」

真姫「そっちこそね」

海未「当然です、それでは」

スタスタスタ



穂乃果「それでさことりちゃん、今日は神社寄ってかない?お祭り成功祈願!」

穂乃果「もうすぐだしどうかな?」

ことり「うん!いいよっ!」

穂乃果「じゃあいこっか!」

ことり「うん!」

ことり(帰り、穂乃果ちゃんと帰った)

ヒラヒラヒラ

ことり「あれ…」

穂乃果「ん?どうしたの?」

ことり「い、いやなんでもない」

穂乃果「?」

ことり(どこからともなく無数の花びらがひらひらと飛んでた)

ことり(別にそれに関しては何とも思わなかったけど、何か違和感を感じた)

ことり(空気の変化…なのかな、湿った空気が風と一緒に流れ出したような気がした)

穂乃果「後一週間だね…」

ことり「…あ、うん、そ、そうだね」

ことり「今日のダンス、大変だったね」

穂乃果「そうだね、でも頑張らないと!」

ことり「もちろん!」

穂乃果「…でもなんか安心したよ」

ことり「え?どうして?」

穂乃果「ことりちゃん、センターをちゃんとやってくれそうだなって思って」

ことり「もちろんだよっ」

穂乃果「頑張ってね、ことりちゃん」

ことり「うんっ!」

穂乃果「あ、階段だから気を付けてね」

ことり「分かってるよ」

スタスタスタ

ヒラヒラヒラ

ことり(神社に行くための階段を上ってる最中、何かを感じた)

ことり(ただその何かの正体が掴めない、ただ“さっきの何か”と違うのはもっと違和感が鮮明に感じられること)


ドクンッ


ことり(階段を一段上がるごとに、鼓動の音が大きく聞こえた)

ことり(最初こそ何も聞こえなかったのに、だんだんと…だんだんとだんだんと大きくなっていった)

穂乃果「よしっとーちゃくっ!」

ことり「!」ピタッ

穂乃果「ん?ことりちゃんどうしたの?」

ことり「あ、ううんなんでもない」

ことり(階段を上り終え境内に入ると急に違和感が消えた)

ことり(ことりの感覚がリキャストされたんだ)

スタスタスタ

穂乃果「…ねぇ覚えてる?」

ことり「何が?」

穂乃果「私とことりちゃんが会った時のこと」

ことり「う、うん覚えてるよお母さんが穂乃果ちゃんのお母さんが」


穂乃果「違うよ」


ことり「!」

穂乃果「そんな昔のことじゃない、もっと最近のことだよ」

ことり(ちょっぴり早く歩く穂乃果ちゃんを追いかけた)

ことり(さっきの穂乃果ちゃんと雰囲気が全然違ってそれはまるでいつもとは対極に存在する穂乃果ちゃんのようだった、ことりはその変化に困惑を隠せなかった)

ことり「な、何言ってるの?」

穂乃果「一週間経ったら言おうって思ったんだ」

ことり(穂乃果ちゃんの後ろを歩いてる最中)

穂乃果「だからお願い、ことりちゃん」

ことり(大きな赤い門をくぐろうとした時に)



穂乃果「真剣に聞いて」

ことり(ことりの見ていた世界は急に反転したんだ)



ことり「し、真剣に…?」

穂乃果「もう一回、そしてもっと詳しく言うよ」


穂乃果「ねえ覚えてる?私とことりちゃんが一週間前、ここで出会ったこと」


ことり「!」

ポツ…ポツポツ…


ザー…ザーザーザー…


ことり(雨が降り出した、これまた突然すぎる雨だった)

穂乃果「あの時もそうだったよね、雨が降ってた」

ことり「…」

穂乃果「その時、あそこのお賽銭を投げるところで雨宿りをしてたことりちゃんと何気ない感じで出会ったよね」

ことり「…うん」

穂乃果「疑問に思わなかった?」

ことり「何が…?」


穂乃果「私はどこから来たんだろうって」


ことり「!」

穂乃果「ことりちゃんは聞くべきだったんだ、いや聞かないほうがよかったのかもしれない…」

ことり「何…?どういうこと?!」

穂乃果「私はね…私はね…!」

ことり「穂乃果ちゃん…?」

ことり(胸をギュッと抑えて何かを言おうとしてた…いや、違う)


ことり(何かを吐き出そうとしてた)


ことり(もちろん吐瀉物とかそういうものじゃなくて、何か…そう何かを吐き出そうとしてた)

穂乃果「うっ…うぇっ…」

ことり「ちょ、ちょっと大丈夫?!」

穂乃果「ご、めんね…なんか急に気持ち悪くなって…」

ことり「と、とりあえず座ろう?」

穂乃果「いや…ダメ」

ことり「どうして?!」

穂乃果「ことりちゃんに言わなきゃならないことがあるから…」

ことり「言わなきゃならないこと…?」

穂乃果「ことりちゃん…私はね…」

穂乃果「………」ギリッ




穂乃果「後一週間しか生きられないのッ!!!」




ことり「はっ…?!」

穂乃果「…ごめん、最初は会ってから言うつもりだったんだ」

穂乃果「だけど、ことりちゃんの嬉しそうな顔見てたらそんなこと言うのが怖くなって…」

穂乃果「だから、一週間経ってから言おうって思ったんだ」



穂乃果「…ごめん、ことりちゃん」



穂乃果「私は後一週間しか生きられない」



ことり「何…どういうこと…?!」



ことり「どういうこと?!??!」



ことり(ことりの感情は一瞬にしてぐちゃぐちゃになった)

ことり(再び掴み取った穂乃果ちゃんという存在をまた、手放さなきゃならないなんてそんなの認められるわけないじゃん)

ことり(だから穂乃果ちゃんの両肩を掴んで迫るように言ったんだ)

穂乃果「元々私がこの世界にいられるのは二週間だけだった」

穂乃果「この、雨の季節…雨の季節の二週間だけ…この世界に帰ってくることが出来たんだ」

ことり「そんな…!せっかくまた会えたのに…!会えたのになんでまたいなくなるの?!」

ことり「ずっと一緒のはずだったじゃん!!」

穂乃果「ずっと一緒にいたかった…!私だってずっと一緒にいたかった!!」

穂乃果「だけど私はもう死んでる人だから!この世界にいることが間違ってるんだよ!」


ことり「間違ってないよ!!」


穂乃果「やめてよ!!!」


ことり「!」ピクッ

ことり(穂乃果ちゃんの間違ってるという言葉に対して間違ってないと食い気味に返したら同じように食い気味に返され突っぱねられた)

穂乃果「どうにか出来る問題じゃないの!だからこの一週間を、そして後の一週間を精一杯楽しもうとしたよ?!」


穂乃果「ねぇ私が病気を克服したって何なの?!私たちずっと一緒だったって何なのッ?!?!」


穂乃果「私知らないよ!!私は死んだ!私はあの一年間どこにもいなかった!」

穂乃果「それなのに…それなのに…!」ギリッ

穂乃果「なんでなの…?私をいじめるみたいにみんなが空白の一年のことべらべらと喋るんだ…!」

穂乃果「気持ちはことりちゃんと同じだったよ…?何が起こってるのか分からない、私自身だってそうだった」

穂乃果「でも…この二週間、どんな気持ちであっても私がいなくなることが決まってるっていうのなら、もし全てがまたなくなってしまうというのならこの二週間という奇跡の時間に」


穂乃果「精一杯感謝して、精一杯遊んで、精一杯本気を出すこと」



穂乃果「そして精一杯、死ぬまで、死んでもいいくらいに時間に抗いながら生きていくこと…それはなんも不思議ではないでしょ…?」



ポロポロ…


ことり「…っ」

ことり(穂乃果ちゃんの瞳は涙のせいで皮肉にも輝いてた)

ことり(何かの光に瞳に反射し、その光が左斜め上へと何回も何回も通過していった)

ことり「…」

ポロポロ…

ことり(怒り混ざった穂乃果ちゃんの涙とその顔が一つの剣となってことりの心に突き刺ささった)

ことり(そうするとことりは声も出せなくなって次第には…)


ことり「はっ……は…は…はっ…あぁ…はは…」


ことり(過呼吸になりだした、視界がぼやけ始めた)

ことり(動悸も酷くなり耳が遠くなった)


ことり(穂乃果ちゃんを確認する術が消えていった)


ことり「…いやっ!!!」

穂乃果「!」

ことり(ただ、前がよく見えなくても声が遠くなろうともコンディションが最悪だろうともことりも穂乃果ちゃんのように、死にもの狂いに抗った)


ことり(……考えるチカラを捨てて)

ことり「いやっ!いやいやいや!!いやっ!!!」

穂乃果「こ、ことりちゃん…」

ことり「いやー!いやだいやだ!やだ!!」

ギューッ

穂乃果「…ことりちゃん」

ことり「やだやだやだやだやだやだやだ!!!」

穂乃果「ことりちゃん」

ことり「いやだいやだ!やだっ!」


穂乃果「ことりちゃんっ!!」


ことり「!」ピクッ

穂乃果「やめてよ…やだっていってもどうしようもないんだから…!」

穂乃果「…でもことりちゃんが私に本音を言ってくれたのはすごく嬉しいよ」

穂乃果「だからさ、ことりちゃんの本音の気持ちに対して私も本音で答えるね」

ことり「…ぅえ……?」

穂乃果「…ことりちゃんはさ、小さい頃から自分が弱いって分かってるくせに人のことばっか心配してたよね」

穂乃果「何をやるにしてもまずは人の心配から、そうしていると自分のことなんか後回しにしちゃって自分が…ううんことりちゃんがどんどん他の人に埋もれていっちゃってたんだ」

穂乃果「それにことりちゃんはわがままだったよね、口にはしなかったけどいつも心の中でああしたいってこうしたいって思ってて、自分が意見を出していいって言われた時だけ色々いってさ」

穂乃果「…だからこそね、ことりちゃんが進んで本音を言ってくれるのはすごく嬉しい」

穂乃果「私たち、ずっと一緒にいたんだからさ…」


穂乃果「本音をぶつけあって仲良く出来る仲だと思うの、違う?」


ことり「…」

穂乃果「…ごめん、だからもう無理なんだ」

穂乃果「私は後一週間したらここにいないから」

ことり「…やだ」

穂乃果「ごめんね…」

ことり「いやだ」

穂乃果「どうしようも出来ないんだ」

ことり「いやだ」

穂乃果「ことりちゃんが何を言っても無理、それは変わらないよ…」

ことり「やだ」

穂乃果「お願い…もう…時間がないんだよ…」

ことり「やだ」

穂乃果「………」

ことり「や」

穂乃果「いい加減にして!!」

ことり「!!」

穂乃果「私だっていやだよ!家族と…みんなと…ことりちゃんともう一生会えなくなるなんてさっ!!」

穂乃果「やだなのは私だよ!ことりちゃんと同等に…ううんそれ以上に!!」


穂乃果「別れるのがイヤなのは私なの!穂乃果なのッ!!!!」


穂乃果「ことりちゃんだってさ…気付いたら私が消えてたなんていやでしょ…?」

穂乃果「だから今、一週間を残した今言ったんだから…!」

穂乃果「ことりちゃんだって…もう一生会えないってなった時、何も言わずに一生離れ離れなんていう…そんなさっ…」



穂乃果「そんな最悪の最後/最期はイヤでしょ!?」



穂乃果「お願いだよことりちゃんッ…!受け止めてよ…!」


穂乃果「受け止めてよぉ…!!」


ギューッ


ポロポロ…

ことり「……ぁ」

ことり(穂乃果ちゃんの本音、そして心からの叫びだった)

ことり(一生隣にいてくれると思ってたことりの太陽、ことりはそれをただの打ち上げ花火と錯覚してたのかもしれない)

ことり(ことりはずっと朝の来ない夜を見てたから、夜だからこそ打ちあがって弾ける花火はとてつもなく明るく感じたのかもしれない)

ことり(もし、夜の来ない朝を今まで描いてたっていうなら穂乃果ちゃんは笑ってくれるかな)

ことり(儚く散る打ち上げ花火を太陽だと思ってた話をみんなに聞かせたら、みんなはどう感じてくれるのかな)

ことり(分からない、分からないよ)

ことり(そしてことりはこの太陽が消えることを受け止められるのかな?)



ことり(答えは無理、そんなのできっこないよ)



ことり(…ただ、ことりがどうにか出来る問題じゃなかった)

ことり(助けたいのに、離れたくないのにことりはそれをただそんな今にも消えそうな泡沫の穂乃果ちゃんの傍にいることくらいしかできなかった)

ことり(そうこうしてるうちにこの何とも言えない二人だけの時間に楔が打たれた)




希「なに…して…るん……?」


ことり「!」

穂乃果「!」

希「きょ、今日バイトやったからここでお仕事してたんだけど急に怒鳴り声が聞こえて…」

穂乃果「あ、えっと…」

ことり(希ちゃんがやってきた、ここにきて場の空気の悪さに気付いたのか目を泳がせながらしゃべってた)

穂乃果「…ごめんなんでもない、ただちょっと喧嘩しちゃっただけ」

希「そ、そっか…仲直りはしたの?」

穂乃果「…まぁ」

ことり「ひぐっ……」

希「…してないよね?」

穂乃果「…まぁ」

ことり「ぐすっ…」

希「………」

穂乃果「…とりあえず今日は帰るよ」

穂乃果「ばいばい、希ちゃん、ことりちゃん」


穂乃果「ごめんね、ことりちゃん」ボソッ


ことり「ま、まっ…!!」

ことり(声がでなかった、足が震えてどこかに穴でもあるんじゃないかと思うくらいにスーッと力が抜けてった)

ズキッ

ことり「っ!!」

希「ことりちゃん?!」

ことり(胸が、心臓がすごく痛かった)

ことり(これが今のことりの傷の痛みとでもいうのかな)

ことり(溜まりに溜まってたのに気付かないふりをしていた分の傷が沁みてるのかな)

ことり「ま…まっ…て…!」

ことり(胸が痛いから下を向くたびに、雨に濡れる穂乃果ちゃんが遠ざかっていった)

ことり(ことりはその後ろ姿を追うことが出来なかった)

ことり(枯れた落ち葉がひらひらと飛んでた)

ことり(次第にことりの視界は黒くなった、穂乃果ちゃんがいなくなって意識を保とうと頑張る必要がなくなっちゃったから)

ことり「あ…ぁ…」

バタッ

希「こと…ちゃん?!…と…ちゃ…!!」

ことり(希ちゃんの声が遠ざかっていった、それだけでことりの意識も遠ざかっていく自覚が持てた)

ことり(そこからは何も知らない、ことりも完全に意識を切り離しちゃったから何が起こったのか全く分からないままだった)

一旦中断します

ことり「ん……」

ことり「ここは…」キョロキョロ

ことり「…どこ?」

希「あ、目が覚めた?」

ことり「希ちゃん?!」

希「ここはウチの家、今日は泊まってっていいよ、ことりちゃんのお母さんにも言っといたから」

ことり「えっ…でも…」

希「大丈夫大丈夫、それに」


希「何があったか聞きたいし」


ことり「……」

希「ま、ゆっくりしてって?何かあったら言ってね、出来る限りのことはするから」

ことり「う、うん……」

ことり「…」

ことり(目が覚めたら希ちゃんの家にいた)

ことり(急に意識を失ったからきっと希ちゃんの家にまで連れてってもらったのだと思う)

ことり(可愛いお人形さんが置かれてるベッドで目覚めて、周りを見渡せば可愛らしい小物がいっぱいあって正直希ちゃんらしくないな、でもなんだか可愛いなって微笑んでた)

希「や、やめてやあんまり部屋じろじろ見るのは~」

ことり「ご、ごめん…でもなんか可愛いね、希ちゃん」クスクス

希「も、もー!からかうの禁止!」

ことり「はーい」

希「そ、それでさ話をぶった切って単刀直入に聞くけど」

ことり「…!」


希「何があったん?」


ことり「………」

ことり(穂乃果ちゃんの本当のこと、もとい後一週間しか生きられないという事実を話そうか迷った)

ことり(だってこれは空白の一年に創られた記憶が埋め込まれてる希ちゃんにとってはあまりにも無理矢理すぎる話、それに穂乃果ちゃんのためにも話すのは危ないこと)

ことり(そう頭の中で収束させたことりは希ちゃんにこういった)

ことり「…希ちゃん」

希「何?」

ことり「…ちょっと前に本を読んだんだ、一週間前」

希「…?う、うん」

ことり「その本にはね、こう書いてあったんだ」


ことり「後一週間しか生きられない親友がいたら、あなたはその親友と何をするのか」


ことり「…希ちゃんなら何をする?」

希「…ふむ」

希「んーと、その親友はもうどうしようも出来ないの?例えば過酷な山奥にある果実を食べたら寿命が延びる!みたいな」

ことり「そ、そんなファンタジーな話じゃないよ、ただ…そうだな…不治の病みたいなものだよ」

希「あーなるほどね」

希「じゃあ場所は現実世界なわけだ」

ことり「そうそう」

希「そっか、それならウチはその親友と残りの一週間、出来ることで精一杯楽しむかな」

ことり「えっ…」

希「ん?何かおかしいこと言った?」

ことり「悲しくないの…?」

希「うーん…悲しいけど、そこで立ち止まってたらその子の最期は最悪やん?」

ことり「!!」


穂乃果『そんな最悪の最後/最期はイヤでしょ!?』


希「その子のために、残りの一週間を一緒に楽しむのが親友としての役目じゃない?」


ことり「…うん」

ことり「どうしてそんな早く決められるの?」

希「そんなの簡単じゃん、答えがそれしかないからだよ」

希「今言った通りその子のために残りの一週間を楽しむことが親友の役目、逆に聞くけどことりちゃんはそれ以外に答え、あるの?」

ことり「えっ…」

ことり(答えなんてなかった、だから希ちゃんに救いの手を伸ばした)

ことり(それなのに希ちゃんはいとも簡単に答えを出してきた)


ことり(この差はなんだろう)


ことり(何が影響してこの差が出るんだろう)

ことり(それに、答えが一つしかないっていうのも驚きだ)

ことり「ことりは…答えなんてなかった…」

ことり「ただ…希ちゃんに聞きたくて…」

希「…そっか」

希「…分かった、ご飯にしよっか!」

ことり「え?」

希「もう言わなくてよしっ!ほらほら明日もダンスレッスンあるんだからよく食べなよー?」

ことり「あ、うん」

ことり(ことりの顔を見て察したのか、それとも話の内容で何かを感じ取ったのか、とにかくよく分からないけど希ちゃんはキッチンの方に向かっていった)

ことり「…!」

ことり(ふと、枕に下に写真があることに気付いた)

ことり(中学時代のことりたちの写真だった、みんな幸せそうな笑顔をしてた)

ことり(そんな写真を見てふと思ったんだ)


ことり(穂乃果ちゃんが消えてなくなるまでにことりと穂乃果ちゃんは何回笑いあえるんだろうって)


ことり(分かりそうで分からない疑問がことりの頭を駆け巡ってた)

ことり(だって答えなんて簡単じゃん)



ことり(答えは分からない、で済むはずなのに)



ことり(その答えさえも疑ってしまうほど、今の状況と心境は深刻なのかもしれない)

希「その写真、懐かしいね」

ことり「!」

希「勝手に人の枕の下を見ちゃダメだよ?」

ことり「ご、ごめん…」

希「別にいいよ、とりあえずもうご飯は作ってあるから食べよ?」

ことり「う、うん!」

スタスタスタ

ストンッ

希「今日はことりちゃんもいるから頑張ってカレー作ってみたんよ、召し上がれ」

ことり「いただきます」

希「はいっいただきます」

ことり「…」パクパク

希「どう?」

ことり「おいしいよ!」

希「えへへ…ならよかったよ」

ことり「ん」パクパク

希「ねえことりちゃん?」

ことり「ん、何?」

希「…ウチ今という一瞬でちょっとだけ考えたんだけど、話していいかな?」

ことり「…何を?」

希「あ、ごめんごめん、さっきことりちゃんが言った親友のお話」

ことり「あ、うんいいよ」

希「ありがとっじゃあ話すね」

希「まずさことりちゃんに聞きたいんだけど」

ことり「?」


希「その物語は最終的にどうなっちゃうの?」


ことり「……分からない、最後まで読んでないから」

希「…そっか、なるほどね、うんうんなるほどっ」

希「つまりことりちゃんは今、展開の読めないストーリーにもどかしい気持ちを抱いてるわけか」

ことり「…うん」

希「…そっか、それならやっぱりそうだよ、ことりちゃん」

ことり「何…?」

希「例えばさ、ことりちゃんが今からウチとそこのベランダから身を投げたとしよう」

ことり「…うん」

希「ことりちゃんとウチは地面に叩きつけられて即死、つまりこの世界にはもういないんだ」

ことり「…」

希「じゃあもし来世があるとしよう」

希「ウチとことりちゃんはほぼ同時に死んだから来世で産まれる時もほぼ同時で産まれる、という理屈で話を通したとして」



希「そこでウチらが出逢う確率って何%なんかな?」



ことり「なんぱーせんと…」

希「小数点はおろか、もっともっともーっと低い確率だと思うよ」

希「そうと分かって、来世で逢えるなんて確証がないのに今を無に帰させてるなんてただのバカがすることやん?」

希「残り一週間しかないなら、その出逢い/出会いに感謝しなきゃ」


希「その一週間を全力で楽しまなきゃ」

希「悲しいことなんて後回しでいいんだよ、夏休みの宿題だって最後の日にやればいいんだよ」

ことり「…!」ウルッ

希「…なんて、物語に夢中になっちゃったけど」エヘヘ


希「もし、本当にそういうことが起こったらウチはそうするかな」


希「それが相手のためでもあるし、自分のためでもあるから」

希「…これがウチの意見の全てかな!」

ことり「ありがとう…ありがとうっ!」

希「おおぅ…よ、よくわからんけど何かになったならよかったよ」アハハ

ことり「うんっ!」

ことり(全体的な解決になってないけど、気持ち的な面では救われた気がした)

ことり(希ちゃんにだいったんに背中を押してもらった)


ことり(これが希ちゃんのすごさだよ、これが希ちゃんのチカラだよ)


ことり’(改めてそう感じた)

希「さてっご飯に戻ろっか」

ことり「うん!」

希「ことりちゃんセンター頑張ってなー?」

ことり「う、うん!」

希「練習は真剣にやって本番楽しめばいいんよ」

希「ウチらも結構順調だから、ことりちゃんはことりちゃんの問題を抱えて頑張ってな?」

ことり「う、うん」

希「よーしっ!この後お風呂!ちゃちゃっと食べてちゃちゃっとお風呂入っていっぱいあそぼっ!」パクパクッ!

ことり「は、はやいよ~…」

ことり(その後、お風呂に入った)

ことり「ふう~…」チャプンッ

ことり(そして入ってる時に考えた)

ことり「…今思えば、自分のこと…全然見てなかったな……」


穂乃果『…ことりちゃんはさ、小さい頃から自分が弱いって分かってるくせに人のことばっか心配してたよね』


ことり「…」

ことり(ホントのこと言えば別にそんなつもりはなかった)

ことり(ただ単に、穂乃果ちゃんが、みんなが眩しくて綺麗で明るくて、そんな何かに魅了されてしまって自分のことになんか目も当てられなくて)

ことり(ふと下を見ても自分の足元さえ見えずに、ただ…ただただみんなの背中を追いかけてきたから自分の心配なんて出来るはずがなかった)

ことり「…よしっ」

ことり(とりあえず覚悟を決めて、明日…明日穂乃果ちゃんと真剣に話し合う…いや、違う)


ことり(明日は穂乃果ちゃんと全力でぶつかり合おうと思う)


グッ

ことり(今はちゃんと全身に力が入る、あの時みたいに置いていかれる心配もない)

ことり「………」

ガララ

希「おっじゃましまーす!」

ことり「?!」

希「いやー待てなくてきちゃった!」

ことり「い、いや来ちゃったじゃないよ?!」

希「いいやんいいやん女の子同士なんだから!」

ことり「そ、そういう問題じゃ!」

希「裸の付き合いっていうやろ?せっかく今日はお泊りしてくれるんだからお風呂だって一緒に入りたいやん」

ことり「そ、そうかなぁ…?」

希「そうやで?」

ことり「ま、まぁいいけど…」

希「よしよしっ」

ことり(希ちゃんが突然裸でお風呂に入り込んできた)

ことり(希ちゃんは一度心を開示するとどこまでも突っ走ってくるから、こういうところではデリカシーの欠片もない)

ことり(まぁとりあえず希ちゃんとお風呂に入った、日常会話をしてあははと笑いあってそんな中でやっぱり希ちゃんはすごいなってそう思うばかりだった)


ことり(だからみんな、そんなすごいチカラを持ってるんだろうな、なんてちょっと考えてた)

ことり(それでお風呂から出て勉強したり何気ないことをしてたらあっという間に深夜だった)

ことり(ベッドは一つしかないから希ちゃんの隣で寝ることになった)

ことり(そんな家の明かり全てを消して眠りにつこうと思った時のこと)

希「…ことりちゃん、起きてる?」

ことり「ん…何?」

希「今日、聞きたかったこと…実はもっといっぱいあったんだ」

ことり「…」

希「…でも、今はいいよ」

希「きっとことりちゃんにも事情があると思うから、今は聞かなくていい」

希「…だけどいつか聞かせてほしいな、いつか」


希「ウチもことりちゃんの言ってたストーリー、続きが、終わりが超気になるからさ」


希「完結したら、それも是非教えてな?」

ことり「…うん」

ことり(背を向け合ってたからあまり細かいことは分からないけど、希ちゃんは多分無理した笑顔をしてたと思う)

ことり(希ちゃんの声は実に儚げで、何故か切なく感じてしまう笑い混じりの声だった)

ことり(そう感じていると、希ちゃんも心底ことりと穂乃果ちゃんのことを心配しているようで、空元気ではないけどそれにものすごく近いものをことりはみせられてるのかもしれないと思った)

ことり「…ありがとう、希ちゃん」

ことり「でも…大丈夫だよっきっと明日には…解決してるから」

希「…そっか」

ことり「ことりの読んでた物語はね、ものすごく短いけど…でも一日にちょっとしか物語を進められなくて…読み終えるのに最低でも後一週間はかかるんだ」

希「分かった、じゃあそれまで待つよ」

希「聞きたいことも、ストーリーのことも」

ことり「…うんっ!」

ことり(希ちゃんも安心してくれたみたいで、無理してる感はなくなった)

ことり(だからことりも安心しちゃって今日の疲れがどっと押し寄せてきてすぐに眠りについちゃった)


ことり(そして気が付けばもう朝だった)

ことり「おはよう!」

希「おはよ~」

凛「あ、ことりちゃん希ちゃんおはよっ!」

花陽「おはようことりちゃん希ちゃん」

ことり「今日も練習頑張ろうねっ」

凛「もちろんっ!!」

希「ごめん、生徒会関係でちょこっとお仕事あるからウチは先にいくね」

ことり「あ、うん!」

凛「いってらっしゃい!」

花陽「いってらっしゃい」

希「あーいよ!」

タッタッタッ!

ことり「ことりたちもいこっか」

花陽「そうだね」

凛「うん!」

スタスタスタ

花陽「…あ、真姫ちゃんだ」

凛「ホントだ!おーい!真姫ちゃーん!」

タッタッタッ!

ことり「あ、ちょっと!」ダッ

グイッ

ことり「!」

花陽「待ってことりちゃん」

ことり「どうしたの?」

花陽「ねぇことりちゃんってさ」

ことり「…?」


花陽「何か問題を抱えてるでしょ?」


ことり「?!」

ことり「ど、どうしてそう思うの?」

花陽「なんか…苦しそうに笑ってるから」

ことり「苦しそうに…」

花陽「うん…私も何かあってもみんなの前じゃ普通を演じてたいから…ことりちゃんの気持ちは痛いほど分かるんだ」

ことり「そ、そっか…」

花陽「…何があったの?」

ことり「……」

ことり(返答に困った、穂乃果ちゃんと喧嘩したなんて言って花陽ちゃんに不安を抱かせたくない、そのためにはどう返答すればいいんだろう)

ことり「…あのね」

ことり(だからこう返答した、勘のいい花陽ちゃんならすぐ察してしまうかもしれないけどことりはこう返したんだ)

ことり「一週間前、物語を読んだんだ」

花陽「物語…?」

ことり「うん、親友が残り一週間しか生きられないとしたらあなたは何をするのかっていう物語」

花陽「余命一週間か…」

ことり「…うん、花陽ちゃんならどうする?」

花陽「え…私か…」


花陽「うーん…私は最後の最期まで楽しく過ごしたいかな」


ことり「!」

花陽「悲しいことは全部後にして、その人が死ぬまではずっとずっとずーっと!楽しい時間で一緒にいたい」

花陽「きっとその親友の人だって、最悪な最期は望んでないから…」


花陽「それに、その親友の人のためだけに出来ることなんてそのくらいしかないから」


ことり「!!」

ことり(ビックリした、希ちゃんと全く同じ答えを返された)

ことり(心の中だけに溜めておくことが出来なくて思わず目を丸くしてた)

花陽「…?もしかしてことりちゃんの友達にはそういう子がいるの?」

ことり「…その…えっと…どうだろうね…」

花陽「…そっか、なら答えは一つしないと思うよ」

ことり「えっ…」


花陽「その人のために最後の最期まで全力で走ることがその人に出来る唯一のこと」


花陽「無理なんて重々承知でとにかく前へ進むこと、むしろ限界なんて恐れないくらいに突っ走ること…」


花陽「いなくなっても悔いのないように楽しく過ごすことがことりちゃんにとって最高の選択だと私は思う」

ことり「最高の…選択…」

花陽「そうだよ」

花陽「…これが私の勘違いだったらただの痛い人だけどもしこれが違っても、ことりちゃんが別のことで悩んでいても私は…ううん…」


花陽「小泉花陽はことりちゃんを全力応援したい!」


ことり「!!」

花陽「私、いつもは言いたいことが言えなくて…心の内に溜めとくけどもし言いたいことが言えるならその人と本気でぶつかり合いたい、本気でぶつかって本気で笑いあって本気で怒り合って本気で泣きたい!」

花陽「だから…本気でことりちゃんに言うけど、私はことりちゃんのこと死ぬほど大好き!いいやみんなことりちゃんのことが超大好きだと思う!」

ギューッ

ことり「えっ…」

花陽「えへへ…もちろんそんな変な意味はないよ?でも私の大好きなお米より好き、だからそんなことりちゃんに悲しい顔をしてほしくないの」

花陽「ことりちゃんが今悩んでること、失敗とかそんなの恐れずにとにかく前へ走ってほしいの」

花陽「だってみんなが隣にいるんだもん!私たちは死なないから!死なないからこそ、失敗したんだったら、迷ったんだったらいつでも隣にいる私たちに頼ってほしいの!」

ことり「っ!」ウルッ

花陽「…えへへ、だから…頑張ってことりちゃん」




花陽「“本当の”小泉花陽は、みんなに“本気の”エールを送る人だから♪」




ことり「花陽ちゃん…!」

ギューッ

花陽「わぁ…苦しいよぉ」

ことり「ありがとう…ありがとう…!!」

ことり(これが花陽ちゃんのチカラだと思った、穂乃果ちゃんにも負けない前向きな心と素直な言葉で相手の背中を押す優しい心の持ち主だ)

ことり(このチカラは花陽ちゃんだけにしかないチカラだよね、本気で相手を思う気持ち、本気で相手を応援する気持ち、相手のこと本気で理解する気持ち、本気で何かをしてあげる気持ちを持ってること)


ことり(それは実に花陽ちゃんらしくて、花陽ちゃんの最高のチカラだと思う)


ことり(感受性がすごくて人を理解する心があって観察眼が凄まじくてとにかく心の広い持ち主だから、ただそれを表に出さないだけでもしいつでも表に出してる状態だったらきっと穂乃果ちゃん並みの名声があったと思う)

ことり(…だからちょっとだけもったいないな、なんて思っちゃった)

ことり(まぁとにかく希ちゃんに、そして花陽ちゃんにも背中を押してもらってことりという自分に自信が持てた)

ことり「ありがとう、花陽ちゃん」

ことり(だからこの背中を押してもらって進んだ二歩を無駄には出来ない)

タッタッタッ

ことり(急ぎ足で、そして走ることりの向こう側にいる穂乃果ちゃんの背中にぶつかってみようと思う)


希『その子のために、残りの一週間を一緒に楽しむのが親友としての役目じゃない?』


ことり(ことりも気持ちは同じ)


花陽『無理なんて重々承知でとにかく前へ進むこと、むしろ限界なんて恐れないくらいに突っ走ること…』


ことり(花陽ちゃんに勇気をもらったんだから、失敗なんて、限界なんて恐れない)

ことり(場所は正門ら辺から人気のない廊下へ移った)

ドンッ

穂乃果「ことりちゃん…?」

ことり「ご、ごめん前見てなくて…」

穂乃果「そ、そっか…」

ことり「うん…」

穂乃果「………」

ことり「………」

ことり「あのね」

穂乃果「あのさ」

ことほの「!」

穂乃果「…先いいよ」

ことり「……じゃあ先言うね」

穂乃果「うん…」

ことり「昨日のことで…いっぱい考えたんだ」

穂乃果「…」

ことり「ことりはこれからどうするべきなのかって、ことりは穂乃果ちゃんとどう向き合えばいいんだろうって」

ことり「…正直、ことりだけじゃよく分からなかった」

ことり「けど、ことりには仲間が、親友がいたから分かったんだ」

ことり「穂乃果ちゃん」

穂乃果「…はい」

ことり「ことりは…ことりは…」


ことり「ことりはこの一週間を穂乃果ちゃんと全力で楽しみたい!!」


穂乃果「!」

ことり「穂乃果ちゃんと本音でぶつかり合いたい!やり残しがないように精一杯遊びつくしたい!最後の最期まで突っ走っていたい!」

ことり「これがことりの答えだよ!どう?!」

穂乃果「…バッチリだよ、ずっと…ずっとそう言ってほしかったんだ…」

ポロポロ…

穂乃果「やっぱり…ことりちゃんが一緒にいてくれてよかった…!」

ギューッ

ことり「ことりも…!ことりも穂乃果ちゃんが一緒にいてくれてよかった!!」

穂乃果「私ね…怖かったんだ、ことりちゃんをまたイヤな気持ちにさせて…この二週間が最悪なものになっちゃうんじゃないかって…」

ことり「違う…!そんな、そんなことない!ことりだってあんなわがままみせちゃって…穂乃果ちゃんがイヤイヤになってると思ってずっと悩んでて…」

穂乃果「ううん、私だって違う」

穂乃果「…でもある意味私はことりちゃんを信じてたのかもしれない」

穂乃果「きっと私のこと受け止めてくれるって、きっと本当のことりちゃんに気付いてくれるって」

ことり「本当のことり…?」

穂乃果「うん!気付いてなくても、まだいいよまだ…」


穂乃果「きっと近いうちに気付くから」


ことり「う、うん…?」

穂乃果「…あはは、なんか安心して、嬉しくて涙が出ちゃうよ」

ポロポロ…

ことり「えへへ…ことりも…」

ポロポロ…

穂乃果「あははははっ」

ことり「えへへへへっ」

ことり(その時は本気で笑いあえてたと思う、それに本気で泣けてたと思う)

ことり(本気でうれし涙を流したとことりは思う、このことりの想い…届いたと思う)

ことり(穂乃果ちゃんも嬉しそうだった、だからとにかくその時は泣きながら笑いあった)

穂乃果「ことりちゃんがその気になら私も、精一杯楽しむ!」

穂乃果「ことりちゃんには本音でぶつかり合うし最後の最期まで突っ走るよ!」

穂乃果「だから…この残りの一週間…ホントに…ホントに…ほーんとに悔いのないようにしよう?」

ことり「…うんっ!」


穂乃果「残りの一週間、精一杯楽しめるようどうぞ、よろしくね」


ことり「もちろん!よろしくねっ!」

ギューッ

ことり(抱き合ってた状態だけど、抱き合うことりと穂乃果ちゃんに再び力が入った)

ことり(窓の外をチラッと見ると赤い花びらがひらひらと飛んでた)

ことり(すごく幻想的で、また誰かの心情を表してるようにも感じた)

キーンコーンカーンコーン

穂乃果「あ、いけない早く戻らないと!」

ことり「う、うん!」

ギュッ

ことり「!」

穂乃果「いこっ!」

ことり(強く手を握られた、ほのかな高揚感がことりの全身をかけて太陽の温かみを直で感じてた)

ことり(それからは昨日よりもずっとずっと明るい時間だった)

ことり(精一杯楽しむからには疲れるなんて概念はどこにもないんだから、悔いのないようにするってことはやれるところまでやるってことなんだから)


ことり(そこからのことりと穂乃果ちゃんはいつだって本気モードだった)


海未「…?何かありました?」

穂乃果「ううん!何もないよ!」

海未「しかしですね…ダンスのキレも歌唱も昨日とは別人レベルで…」

絵里「それはことりも同じよ」

ことり「えへへ」

真姫「なんかあったの?」

ことり「ううん!ただやる気が昨日よりあるだけ!」

穂乃果「そうそう!私もそんな感じ!」

希「…ふふっだってよみんなーウチらも負けてられんよ?」

花陽「その通りです!私たちも頑張りましょう!」

凛「おぉ…!二人ともやる気にゃ…」

にこ「闘志を感じられるわね…」

海未「ですがやる気があるのはいいことです!みんなもやる気を出していきましょう!」

のぞことほのぱな「おー!」

真姫「お、おー?」

凛「おー!」

にこ「あーい」

絵里「ふふふっ」クスッ

ことり(練習はより楽しい時間に変わってた)

ことり(コンディションがバッチリだからダンスも歌もよく出来るし雰囲気もすごくいい、この上ないくらいに今を楽しんでた)

ことり(そして気付けばあっという間に帰りだった)


穂乃果『今日は希ちゃん絵里ちゃんにこちゃんと死ぬほど遊んでくるから先帰るね!』


ことり(穂乃果ちゃんはそう言ってあの三人を強引に引っ張って帰ってった)

ことり(だから、今日は海未ちゃんと二人だった)

スタスタスタ

海未「今日のことりはいつもとは段違いで輝いてましたよ」

ことり「そ、そう?」

海未「ええ、何かいいことありましたよね?」

ことり「まぁね」フフンッ

海未「私に教えてはくれないのですか?」プクー

ことり「んー秘密!」

海未「あ、酷いです!教えてくれてもいいじゃないですか」

ことり「だーめっ」

海未「もう…」

海未「…でもことりはホントにスッキリとした顔になりましたね」

ことり「え?」

海未「一週間前からでしょうか?なんとなく違和感を感じてたんです、ことりの顔に」

ことり「ことりの…顔?」

海未「感覚的な問題ですよ、いつものことりとはなんか違うなって思ったんです」

海未「歪がある…というかしこりがあるような顔をしてて、ですがことりは何か面白いことが会った時は本当に嬉しそうに笑うんです」

海未「ですが違和感は消えませんでした、あんないい笑顔をしてるのにどうしてでしょうと思いました」

海未「…ですがいい顔になりましたね、ことり」

ことり「えへへ」

海未「まったく…挙句の果てには穂乃果までことりとおんなじ違和感を感じさせてたんですから心配させないでください」

ことり「あはは…ごめんね」

海未「…ことりと穂乃果の間での問題なんでしょう?」

ことり「…うん、そうだね」

海未「ことりと穂乃果の顔が晴れたのは嬉しいですが、穂乃果とことりの問題に私が関われないのは少し……残念です…」

ことり「あっ…」

ことり(泡沫の笑顔をして下を向いて両手の人差し指を合わせツンツンしてた)

ことり(少し、という言葉の後の海未ちゃんは何か言いたげだった、喉にまで上がってた言葉だったけど次に出た言葉はその言葉じゃなくて残念という言葉だった)

ことり「あ、えっとそういうわけじゃないんだよ?そんな巻き込みたくなくて」

海未「分かってます、ですが何故か心にきてしまって…」アハハ

ことり「海未ちゃん…」

海未「ふふふっ私の悪いクセなんです」

海未「迷惑だって分かっていてもどうしても関わりたくなってしまって…穂乃果にはこんなこと言えませんけどね、私は二人の仲がこじれるのがとても怖いんです」

ことり「…!」

海未「…普段は穂乃果にあーだこーだ言ってますけど、正直いってあれも言った後に激しく後悔してしまうんです」

海未「考えすぎかもって思うんですけどやっぱり同じ事を毎回考えてしまうんです」


海未「明日穂乃果がいなくなったら、私は一生後悔してしまうのではないのかと」


ことり「!!!」

海未「でも、もし明日死ぬって分かってたなら話は違うんです、縁起でもない話ですけどもし穂乃果が明日死ぬとしてそれが分かれば私は穂乃果に精一杯のお礼をします、もちろん言葉だけじゃなくて態度でも行動でもお礼をします」

海未「ただ…もちろん穂乃果は明日に死なないですし私もそんな素直なことを穂乃果にさらけ出すなんてことは出来ません、もちろんそれはことりにもみんなにも」


海未「だからこそ私はみんなの役に立ちたいんです」


海未「正直に言えば今回の件は悔しいです」

海未「こんなのただの痛い勘違いだって分かってるんですけど私はこうあるべきだ、と思うんです」


海未「お節介なくらいが私らしいと」


海未「ですから私は無理やりにでも穂乃果とことりの問題に介入したかったです」

海未「…そしてこれはことりにだけお話するのですが」


海未「本当の私というのは、全てを元通りにしたがる平和主義者なのではないか、と思います」


ことり「平和主義者…」

海未「逆にそれが私のチカラでもあります、これは私自身小さい頃から自覚を持ってきたことなので自信を持って言えますが私は―――――――」


海未「あのメンバーの中では誰よりも相手を思う気持ちと相手を理解する気持ちを持っていると思ってます」


ことり「………」

海未「私は友達もあまりいませんでしたしそういう人間関係はかなり大切にしてきたつもりでしたから」

ことり「う、うん…」

海未「…ってなんで私こんな話してるんでしょう…すいません」

ことり「…」

海未「…まぁ何が言いたいのかというと」



海未「困った時は、泣きたい時は、縋りたい時はいつでも頼ってください」



海未「私はことりの困り果てた姿なんて見たくありませんから、もちろんみんなのもそうですけど」

ことり「海未ちゃん…!」ウルウル

ギューッ

海未「もう…ことりも穂乃果に似てきましたか?」クスッ

ことり「からかわないでよぉ…」ポロッ

海未「何があったかはわかりませんが、とりあえず解決したみたいでよかったです」


海未「これから頑張っていきましょうね?」


ことり「うんっ!」

ことり(海未ちゃんのチカラ、それは優しすぎること)

ことり(みんなのチカラ、形程度ならなんとなく分かってるつもりだったけどいざ触れてみて分かるんだ)


ことり(みんな眩しすぎるチカラを持ってるんだなって)


ことり(穂乃果ちゃん言ってたよね)


ことり(こんな数えきれない花びらがあるのにそんな中で穂乃果ちゃんはことりという花びらを掴んだ、と)


ことり(つまりはそういうことなんだ、ことりと海未ちゃんが出逢ったのだって、ことりがみんなと出逢ったのだって奇跡なんだ、夢みたいな出来事なんだ)


ことり(こんな夢みたいな出来事が起こってることに驚きと喜びを感じ続けたんだ)

ヒラヒラヒラ

ことり「!」

海未「花びら…?ここら辺にこのような花びらが散る花は…」

ことり(ふと、ひらひら落ちる花びらを掴んだ)


ことり(これがみんなとの出逢いなんだろう)


ことり(何気ない感じだけど、その何気ない感じにとんでもないほど低い確率の奇跡が存在して人生の一生を変えてしまうほどの運命がそこにはある)

ことり「ふふふっ」

ことり「ねえ海未ちゃん!」

海未「なんでしょう?」

ことり「近いうち…うーんと後一週間以内に穂乃果ちゃんと海未ちゃんとことりの三人でどこか遊びにいこうよ!」

海未「いいですね!是非行きましょう!」

ことり「うんっ!」

ことり(一週間後、そこには二度目の人生最大の悲しみが待ってるというのにことりは呑気だった)



ことり(ただ、これでいいんだ)


ことり(これが穂乃果ちゃんの望んだこと、海未ちゃんの望んだこと、希ちゃんの望んだこと、花陽ちゃんの望んだこと)


ことり(ことりが望んだこと)


ことり(この一週間、悔いのないように楽しむことが今ことりのやるべきことだと決心がついたんだ)

ことり(だからこそ後一日と後一日と時間を求めてしまうから、時の流れは無情にも早く感じるようになっちゃうんだ)

~次の日

にこ「ああぁ……」ゲッソリ

凛「うわー…にこちゃんどうしたの…」

ことり「随分疲れたみたいで…」

にこ「当たり前よ…あいつよ…あいつのせいよ…」

凛「あいつ?」

にこ「穂乃果しかいないじゃない…あいつが昨日放課後から私たち三年生三人を連れてかっ飛ばしたせいで今日にまで影響してるのよ…」

ことり「かっ飛ばしたって…」

凛「バイクにでも乗ってきたの?」

にこ「まさかそんなわけないでしょ、デザート屋でなんか食べたりアクセサリーショップで色々見たり…あぁそうよゲーセンで暴れまくったせいだわ…」

ことり「暴れまくったって…」

にこ「そのままよ…エアホッケーをするつもりが希と穂乃果が闘志燃やして空中戦始めるしクレーンゲームでは絵里があまりにも下手すぎて取ってあげようかって言ってるのにあいつプライド高すぎるせいでなんとか自分で取ろうとするのよ!」

にこ「おかげで1000円程度で取れる景品を5000円かけて取る超無駄遣いをしてたし、しかもそれで何が酷いって絵里本人は全然損した気分じゃないってとこがあまりにもひどすぎたわ」

にこ「それに聞いてよ、ダンスゲームでは穂乃果が最高難易度でやったせいで絵里も対抗心燃やして遊びでやるつもりがまさか息切らすほどにまでなるなんて思わないでしょ?しかもその後すぐにマリカーを四人でするのがまた滑稽なこと」

にこ「全員アイテムはランダムなはずなのに希にだけ強いアイテムが来るからもう全然勝てなくて!!」

にこ「でも希を一位じゃなくて二位にしたときはざまあああ!って思ったわこの私のアイテムで二位に引きずり落としたんだから!」

にこ「……あっ」

凛「楽しそうだねー」

ことり「ねっホントに楽しそうだね」クスクス

にこ「ち、違うのよ!」

凛「うんうん知ってるよー疲れたとかいいながらにこちゃんが一番楽しんでるんでしょー?知ってる知ってるー」クスクス

にこ「だああああ!違う違うちがーう!!」

ことり「ふふふっ」

希「朝から盛り上がってるやん」

凛「あ、希ちゃん!」

希「学年の違う三人がここの廊下に集まってお話してるのもなかなか無いシチュエーションやね」

にこ「言われてみればそうね」

ことり「そうだね」

希「にこっちの声聞こえてたんやけど昨日は楽しかったなぁ、あそこまで盛り上がったのも久々だったなぁ」

にこ「ことりや凛も誘いたかったわね」

希「そうやね、すごい盛り上がりやったんよ?」

凛「えーそんなにすごいなら凛も行きたかったなー」

にこ「…でもまぁ行かないほうがよかったわよ、おかげさまで私は疲労がやばいし……」ドヨーン

希「体力がないなぁにこっちは」

にこ「なによ…というかなんで希はそんな余裕そうなのよ」

希「そりゃあバイトで体力は使ってるしそれなりにはあるんよ?というかこれ前に行ったやん」

にこ「いやまぁね」

凛「今度凛たちも連れてってね!」

ことり「あ、ことりも!」

希「そうやね、今度はみんなで行こうか」

ことり「うん!」

キーンコーンカーンコーン

希「あ、いっけないもうそんな時間なんや…」

にこ「じゃあね、二人とも」

凛「うん!ばいばーい!」フリフリ

ことり「ばいばいっ」

希「ばいばーい」フリフリ

スタスタスタ

ことり「はぁ」

ことり(時の流れは実に早いモノだった)

ことり(チャイムが鳴り席についた、席について次時計を見た頃にはもう終わりの時間だった)

ことり(その間は瞬くほど一瞬のこと、ことりはただポカーンと唖然をしてるのみだった)

ことり「イメージの貧困は、イメージが過剰なことだけではなくて、例えばテレビを通じてみんなが同時に同じイメージを受け取っていることからも生じている」

ことり「どんなイメージも共有されているような世界ではあらゆることが“あ、あれだね”“知ってる知ってる”“もう分かってるよ”で済まされてしまうことになる」

「はい、ありがとうございました」

「次園田さん読んでください」

海未「はい」

海未「そこではそれぞれの人が持つ単独性は失われて、みんなが―――――――」

ことり(ただの授業なのに過ぎる時間はは早かった、時間というのはことりたちに楽しむ時間を中々与えてくれなかったんだ)

海未「誰でもない、なんとなく“みんな”みたいな存在になってしまう」

ことり(今日、想像力についてという授業をした)

ことり(ことりにはあまり関係ない話のような気がしたけどことりは真剣に聞いてた)

ことり(なんだかためになる話のような気がして真剣に聞いてた)

海未「想像力、というのは“実際に経験していないことを、こうではないかと推し量る“ものである」


海未「いくら同じイメージを共有していても、他の人の経験やその時の気持ちは、本当は見えていないのだ」


ことり「…!」

ことり(心のグサッときた)

ことり(ことりの全てを全否定された気持ちになった)

ことり(ただ教科書に書いてある文ってだけなのに、何故かことりの喉元に何かが突き刺さる感覚がした)

ことり(そうするとどうだろう、ことりが次の瞬間何をしたか、答えは簡単だった)


ガタッ


海未「!」

穂乃果「ことりちゃん…?」



ことり「そんなことない!」


~その後

ことり「うー…うぅ…」

穂乃果「よしよしことりちゃん」ナデナデ

海未「まったく…考えすぎなのですよ」

穂乃果「そうだよ!」

海未「ことりは想像力が豊かすぎです、あの短い文で自分のことを指してると想像するのはことりくらいですよ」

ことり「だってぇ…」

穂乃果「…ふふっでもその豊かさがことりちゃんのいいところだと思う!」

海未「…まぁそうですね」クスッ

ことり「ふぇ…?」

凛「やーやー!三人ともー!」

穂乃果「あれ?凛ちゃん?」

海未「どうしてここに…」

スタスタスタ

ことり「どうしたの?」

凛「どうしたのもこうしたのも今日は凛のクラスとことりちゃんたちのクラスの合同体育だよー!」

穂乃果「え?!そうなの?!」

「ええそうよ」

ことり「!」

穂乃果「真姫ちゃん!」

真姫「合同体育って何するものなのかしら…」

海未「合同…ちょっと想像できませんね…」

ことり「合同…なんかみんなでわいわいやるんじゃないかな?」

真姫「まさか…」

花陽「二人ともー!」

凛「あ、かよちーん!」フリフリ

花陽「もー…なんで授業が終わったと同時にことりちゃんたちのところへ駆け出すのさぁ…」

凛「だって合同じゃん!」

真姫「ご、ごめんなさい花陽」

花陽「別にいいけど…」ツンツン

海未「あれは気にしてますね…」

ことり「う、うん」アハハ

花陽「そ、それで…」



ヒューン!

ズサー…


花陽「なんでドッジボールなんかやってるんですかー!!!」


凛「かよちんこれは遊びじゃないよ!」


凛「授業だよ!」


花陽「なんでドッジボールが授業?!」

穂乃果「忘れたの花陽ちゃん?!今日は合同体育だよ?!」

花陽「合同体育なら体育してくださいよ!」

穂乃果「もう走ったじゃん!残って時間でドッジボールをするのは当然だよ!」

花陽「小学校か!」

海未「どこを見てるんですか二人とも!まずはあなたたちから外野送りにしてあげましょうか!」ブンッ!

穂乃果「うわぁ?!」

花陽「ぴゃっ…」

凛「もー海未ちゃん手加減してあげてよー!」

海未「敵に情けをかけるほど私は優しくありません」

ことり「あははは…」

ことり(ホントは超優しいクセに…)

穂乃果「くっ…ことりちゃんと海未ちゃんと真姫ちゃんが敵なんて…!」

凛「ここはとりあえず敵の主力の海未ちゃんを落とそう!」

穂乃果「もちろん!」

花陽「そ、そうだね」

シュッ

凛「はいキャッチ!」

凛「そしてこれを海未ちゃんにー…」


凛「と見せかけて真姫ちゃんにシュート!!」


シュッ!!

真姫「うぇえ?!?!」

スッ

穂乃果「あ、しゃがんだ」

凛「ちぇー今度から足狙おっと」

真姫「なんで私なのよ!」

凛「だって隅っこでずっと逃げてるんだもん!」

真姫「そりゃあ得意じゃないから逃げるのは当たり前でしょ!」

ことり「ま、まぁ二人とも落ち着いて」

ことり(昼前、ドッジボールをした)

ことり(童心にかえってのことらしいけどたまにはこういうのも悪くはないと思う)

海未「ことり、はいどうぞ」

ことり「えっ?!ことりが投げるの?!」

真姫「そうよ!ぶちかましてきなさい!!」

ことり「えぇ?!」

ことり「じゃ、じゃあ…えいっ!」

穂乃果「よっと!キャッチ!」ニヘヘ

凛「おー!穂乃果ちゃんも投げてきなよ!」

花陽「うん!頑張って!」

穂乃果「うん!ほいっとー!ことりちゃーん!」ブンッ

ことり「きゃっ…」キャッチ

海未「ことり!これは穂乃果からの挑戦状ですよ!穂乃果に投げましょう!」

ことり「う、うん!」

ことり「えいっ!」

穂乃果「にひひーキャッチー!」

ことり「あうぅ…」

穂乃果「これでも食らえー!」ブンッ!

ことり「わわわ」キャッチ

花陽「おお…」

真姫「いい勝負してるわね…」

ことり「えいっ!」

穂乃果「とお!」

ことり「やあっ!」

穂乃果「それっ!」

海未「熱いですね…」

凛「これは邪魔出来ないにゃ…」

ことり「ふふふっ!」

穂乃果「あはははっ!!」

ことり(久々に汗水流す体験をしたと思う)

ことり(ダンスをしてる時以上に盛り上がってそれは熱かった)

ことり(そして不思議なことに空気中に散乱する汗が煌いてた)

ことり(その光景は他の人にとってどう見えてたんだろう、答えはすぐにやってきた)

穂乃果「ほいっとー!」

ことり「ひゃっ…」ドンッ

真姫「あっ」

花陽「あっ…」

ことり「あちゃー…負けちゃった」

穂乃果「よっしゃー!勝ったー!」

凛「おお、おめでとう!」

海未「残念でしたね…」

ことり「う、うん…」

海未「ですがあの時のことりの姿、最高にかっこよかったです」

真姫「ええ!見てるこっちにまで熱気が伝わってきたわ!」

花陽「うん!すごかった!」

凛「ことりちゃんも結構やるねっ!」

「お疲れ様!」

「頑張ったね!」

「めっちゃ燃えた!」

ことり「あは…えへへへ…」

ことり(穂乃果ちゃんとの勝負には負けちゃったけどみんなが歓声をくれた)

ことり(みんながくれる歓声が心地よくて、なんだかクセになっちゃいそうで)

ことり(もしかしらライブっていうのもあんな感じなのかなって想像してたらなんだか高揚が止まらなくて、お腹の辺りからすーっと力が抜けていくような感覚に陥ってた)

穂乃果「えへへ、ことりちゃんやるね」

ことり「穂乃果ちゃんこそっ」

穂乃果「あははっ」

ことり「えへへ」

ことり(もちろん最後は笑顔、後一週間しかないっていうのが分かってるから)


ことり(その“楽しさ”がより身に沁みた)


ことり(楽しいがすごく楽しいに変わって、悲しいがすごく悲しいに変わっていった)


ことり(お昼は三年生のみんなと食べた)

希「それで大丈夫なん?」

ことり「大丈夫って?」

希「衣装だよ、お金もかかるし第一大変やん」

ことり「大丈夫だよ、絵里ちゃんとかにこちゃんも手伝ってくれてるし」

にこ「まぁ悪くはないわよ、もう何人かは完成してるし」

希「そっか、ならよかったよ」

にこ「…でも私と絵里はただのアシスタントだからね、ことりはあまり無理するんじゃないわよ?」

ことり「分かってるよ」

絵里「…空、青いわね」

希「急にどうしたん?」

にこ「そうよ」

絵里「…自分語りだけどいい?」

ことり「うん、いいよ」

にこ「別にいいわよ」

希「うん、ウチもいいよ」

絵里「じゃあ…言うわね」

絵里「…私、みんなと出逢ってからこの青い空と、オレンジ色の空しか見てない気がするのよ」

絵里「あ、あと曇り空も」

ことり「どういうこと?」

絵里「夜に空を見上げる時がないの、ふと空を見上げるとその空は毎回青色なのよ」

にこ「なんか…深そうね…」

絵里「…そうね、深いかも」

絵里「私ね、空って何も考えてない時に見上げるものだと思ってた」

希「思ってた?」

絵里「ええ、昼休みはよく見上げてたわ、何も考えてなくていい時間だったから」

絵里「でもそれは夜も同じだったはずなの、宿題してご飯食べてお風呂入って後は自由だったはずなの」


絵里「それに夜の空には綺麗な星があるでしょ?この青空とは違う美しさがある」


にこ「ふむ…」

絵里「条件は夜も昼も同じであるはずなのに、何故私は夜空を見ないの…いや見なかったのかしら」

絵里「…ねえなんでだと思う?」

にこ「えっ…私に聞くの…」

絵里「ええ、というかみんなに聞きたい」

希「そうやねぇ…単純に昼の空が好きだった、或いは夜はえりちも他にやりたいことがあったから、とかかな?昼休みはほーんと仕事もないし遊ぶ道具もないしなーんもしなくていいからね」

絵里「なるほどね」

にこ「じゃあ私はこう、昼は何も考えてなくていい時間とか言ってたけど本当は悩み事がめちゃくちゃあって、だからこそ無限に広がる青い空を見て忘れたかった、私が空を見る時は何かあった時何か忘れたいがために見るのよ」

絵里「なるほど、いい回答ね」

にこ「違うの?いやそもそもこれはクイズなの?」

絵里「…まぁクイズみたいなものかしら」

絵里「ことりはどう?」


ことり「…太陽が見たかったから、かな」


絵里「…!へえ面白いわね、どうしてそう思うの?」

ことり「半分は希ちゃんと同じかな、太陽がある昼が大好きだったというのが大まかな答え」

ことり「そもそもことりは絵里ちゃんと全く逆だった、夜によく空を見上げてた」

ことり「理由は簡単、月が好きだったから」

希「月が好きだった?」

ことり「そうだよ、あの静かに光る感じが“今の”ことりにはお似合いだと思ったから」

ことり「…ただこの昼頃にある太陽という存在はもっと好きだった」

ことり「どんなに曇っていても光を見せてくれる太陽が好きだった」

ことり「…まぁことりは太陽を見ようとはしなかったけど」

にこ「どうして?」

ことり「それは…なんでだろうね」

ことり(にこちゃんの問いをことりは軽く流した)

ことり(見ない理由なんて簡単だ、穂乃果ちゃんがこの世にいない昼で太陽を見るとどうしてもあの忌々しい記憶が脳裏を過るから)


ことり(ただ、それでも太陽は大好きのままだった)

ことり「でもね、最近は絵里ちゃんと全く同じ」

ことり「この時間帯に黄昏るように空を見てる」

ことり「だから絵里ちゃんのそのどうしてそう思うという質問に対して返す答えは」


ことり「ことりも太陽が大好きだから、かな」


ことり「ついでに言えば絵里ちゃんは夜、空が見れる状況下にいなかったんじゃないの?」

絵里「というと?」

ことり「簡単に言えば、気付いたらもう朝になってたというのが毎日あると言えばいいのかな」

絵里「…なるほどね、ことりはすごいわね、全部正解よ」

にこ「えっ…」

希「わーお」

絵里「そうなの、夜の空って何故か見れないの」

絵里「時間の流れが異常に早くてね、さっきも言ったけどふと思い見上げればその空は青かったの」

希「確かにウチもその感覚は分かる気がする、夜なんて一瞬でさっ…気付いたら朝になってるもん」

にこ「あー…まぁ私の家はちびもいるから忙しいってのもあるけど確かに夜の空は全然見ないわね…」

絵里「最近になるまで全然分からなかったけど、その最近になってようやく分かったの」

にこ「何に?」

絵里「この時間が異常に早く感じる理由は」


絵里「みんなと会うのを楽しみにしてるからなんだって」


ことり「!」

希「おぉ~いいこといいやんえりちー!」ツンツン

絵里「やめっつつかないでよ!」

希「あははーごめんって」

にこ「へぇ…い、いいこというじゃない」

希「突然の告白に、にこっち困惑してるやん」クスッ

絵里「ごめんなさいね、にこ」

にこ「ふんっいいわよ別に」

ことり「ふふふっ」クスッ

にこ「何よ!」

ことり「なんでもないよー」ニコニコ

にこ「なんでもなくないでしょ!」

ことり「なんでもないって~!」

絵里「やれやれ…」


希「今が最高、やね」


ことり(絵里ちゃんの話にはとても共感できた、絵里ちゃんも強ちことりと似た心境をしてたのかもしれないなんて親近感がわき始めてた)

ことり(ちょっと真面目な話もしたけどそれを押し止めるように明るい話もすぐに流れ込んできた)

希「それでな!えりちがにこっちのことばっか狙っててな」

にこ「ホントよ!私の事ばっか狙ってるのは何なのよ絵里!」

絵里「だ、だって希のところ行ったらボコボコにされちゃうし穂乃果も一応経験者っぽくて私で太刀打ちできるのがにこくらいしかいなかったのよ!」

にこ「それで私だけ狙うのはおかしいわよ!」

ことり「まぁまぁ」アハハ

希「でも、意外にその行動は賢いんよね」

ことり「確かにそうだね」

絵里「で、でしょ?」

希「うむっえりちは考えて動けるから意外にセンスあったりするんやない?」

絵里「ほ、ホント?!」

にこ「今はへたくそだけど」

絵里「あうぅ…」

ことり「ふぁ、ファイトだよ」

ことり(そんな話をしてたら昼も終わってた、午後の授業も同じようにすぐ終わった)

ことり(こんなにも誰かと会うのを、誰かとお話するのを楽しみにしてたなんて当たり前の事すぎて逆に自覚が持ててなかったんだ)

ことり(絵里ちゃんのあの一言で気付かされた、今思えばすごくその通りだと思った)

ことり(放課後はいつもと変わらずダンスレッスンだった)

海未「はい、わん、つー、すりー、ふぉー」

凛「ほっほっほっほ」

海未「凛、駆け出し過ぎです、ダンスはもっと遅くていいんですよ」

凛「はーい」

絵里「ことり、そこもうちょっと胸張って」

ことり「こ、こう?」

絵里「そうそう、それを忘れないで」

ことり「う、うん」

にこ「ふー…相変わらずダンスっていうのは疲れるわね…」

花陽「で、でも始めたての頃と比べると大分マシに…」

にこ「ええそうね…」

穂乃果「まだまだこれから!がんば」

ポツンッ

穂乃果「わっ…?」

ポツ…ポツ…

ポツポツポツ

ザーザーザー…

凛「わわわ!雨だー!」

真姫「うぇええ?!は、早く室内に入らないと!」

花陽「待ってー!」

絵里「最悪ね…放課後はここくらいしかダンス練習で使える場所ないし…」

海未「ダンスレッスンは中止ですかね…」

ことり「そうだね」

スタスタスタ

ことり(突然の雨にダンスレッスンは中止、発声練習かなと思ったけどは今日は解散になった)

ことり(多分真姫ちゃんとか海未ちゃんは残って発声練習すると思うけどことりは傘を持ってきてなくて雨が酷くなる前に帰った)

ことり「…嘘つき」

ことり(下駄箱から出ようとした時、ふと呟いた)

ことり(昨日見た天気予報に騙された)

ことり「はぁ…」

ことり(下駄箱からことりの家までびしょ濡れマラソンの開幕が見えてきてなんともやるせない気持ちになった)

凛「ことりちゃん!」

ことり「ん?凛ちゃん?」

凛「そ、その…」

ことり「…?」


凛「か…傘、入る?」




ことり「ふふふっありがとう、凛ちゃん」

凛「ううん、これくらい当然だよ」

ザーザーザー

ことり「雨…すごいね」

凛「突然だったね」

ことり「そうだね」

ザーザーザー

凛「………」

ことり「………」

ことり(会話が長く続かなかった、実はいうと凛ちゃんとことりの二人っきりっていうのは滅多になくてこういう時、何を話していいんだか全く分からない)

ことり(お互い中学生カップルの成り始めみたいに前とは違う方向を向いてなんだか気まずかった)

ことり(そんな気まずさを振り払ったのは凛ちゃんの方だった)

凛「…今日、かっこよかったよ」

ことり「あ、ありがとう」

凛「見てたらね、心が熱くなったんだ、穂乃果ちゃんとことりちゃんの熱気を感じ取ったって凛は思った」

凛「思わず弾けたくなるような、応援したくなるような気持ちになった」

凛「あ、それにね、感じ取ったのは凛だけじゃない、多分あそこにいた人のほとんどが熱気を感じ取ってたと思う」

凛「そうすると自然に凛は思ったんだ」

ことり「思った?」

凛「うん、そう」


凛「これ、この気持ちってもしかしたらライブに通ずるものがあるんじゃないかなって」


ことり「…そっか」

凛「そう!だから凛、早くもライブの日が楽しみになってきちゃって」エヘヘ

ことり「…うん!ことりもとっても楽しみ!」

凛「でしょー?!そう考えたらなんか心が踊っちゃってね」

ことり「ふふふっ凛ちゃんらしいね」

凛「えー?凛らしいって何さー」

ことり「可愛いって意味だよー」クスッ

凛「もーからかわないでよー!」

ことり「からかってないってー」

スタスタスタ

凛「…あ、凛じゃあ学校戻るね!」

ことり「が、学校…?!」

ことり「…あっ」

ことり(そうだった、凛ちゃんの家とことりの家は方向が真逆、凛ちゃんが帰りにこっちの道に来ることはないんだ)

ことり「ちょ、ちょっと待ってじゃあここまで来たの?」

凛「それはことりちゃんに濡れないように送るためだよ」

凛「あ、傘は月曜日の明々後日返してくれればいいから!」

凛「じゃあねっ!」ダッ

ことり「あ、ちょっと!」

ことり(大粒の雨に打たれながら大きい水たまりの上を駆けていった、傘を貸してくれるというのなら尚更凛ちゃんがここまでくる理由が分からない)

ことり「…なんだったんだろう」

ことり(そう思いながら黄色の傘をさして帰った)

ことり(今度凛ちゃんにはお礼をしないと、そうことりの責任感が強く警告してた)

ことり(そして時刻は次の日の昼)

ことり「…」ダダダダ

ことりママ「それが例の出し物の衣装ってやつ?」

ことり「そうだよ、後絵里ちゃんと希ちゃんとにこちゃんのだけなんだから」

ことりママ「あら、もうそんなに進んで…というか絵里ちゃんや希ちゃんも出るの?」

ことり「うんっそうだよ」

ことりママ「何するか…聞いていい?この間も聞いたけど」

ことり「…いいよ、ライブをする」

ことりママ「ライブ?」

ことり「ダンスを踊りながら歌を歌うの」

ことりママ「えっ…そんなことできるの?」

ことり「うんっなんとか出来てるよ」

ことりママ「そう…ならいいけど」

ことりママ「というか歌って?何の歌?」

ことり「オリジナル曲だよ、音ノ木坂祭りのためだけに作ったオリジナル曲」

ことりママ「あらまぁ…どんな曲なの?」


ことり「…これから未来を進む人たちに向けての歌かな」


ことりママ「…?なんか深そうね」

ことり「…どうかな」

ことりママ「とりあえずことりたちが順調そうなら私は何よりよ、私も見に行くから頑張ってよね」

ことり「えー…見に来なくていいよー!」

ことりママ「ダメよ、愛すべき我が娘のステージを見ない親がどこにいるのよ!」

ことり「はぁ…」

ことりママ「まぁ頑張りなさい、海未ちゃんや穂乃果ちゃんもいるんでしょ?」

ことり「う、うん!」

ことりママ「そういうダンスとかっていうのはみんなで協力しないといけないんだから」


ことりママ「互いが互いを本当に信頼できる関係であるのが重要なのよ」


ことり「わ、わかってるよー」

ことりママ「ならいいけど」クスッ

ことりママ「そういえば…」

ことり「ん?」

ことりママ「凛ちゃんいるじゃない?」

ことり「あ、うん」

ことりママ「凛ちゃん風邪ひいちゃったらしいわよ、凛ちゃんもきっと見せ物の中のメンバーでしょ?練習の方はちゃんと体調管理とか出来てるんでしょうね?」

ことり「え…」

ことりママ「別にことりたちのやり方にケチつけるつもりはないけど」


ことりママ「あまり無理しないようにね…?」


ことり「う、うん分かってる」

ことり「ちょっと凛ちゃんの家行ってくるね!」

ことりママ「いってらっしゃい」フリフリ

ことり(ことりのせいだ、と思ってミシンを止め黄色の傘を持ち水たまりに青空が映る外に飛び出した)

ことり「じゃーんぷっ!」ピョーン

ことり(水たまりなんてなんのその、高く跳んで乗り越えた)

ことり「ふぅ…はぁ…」

ことり(息を切らしながらも走った、急ぐ必要なんて全く無かったのにことりの体はものすごく急いでた)

ことり(車のよく通る街中を超えて、音ノ木坂高校を通り過ぎて、小さな子供たちがボール遊びをしてる住宅街を抜けた

ことり(途中花屋に寄ってお花を買ったりスーパーでリンゴをいくつか買った)

ことり(そしてまた走ってようやく…)

ことり「ついたぁ…」

スタスタスタ

ピンポーン

「はーい」

ガチャッ

ことり「あ、こんにちは」

凛ママ「おー!ことりちゃん!どうしたの?」

ことり「風邪をひいたときいて凛ちゃんのお見舞いに…」

ことり「あ、これどうぞ…」

ことり(凛ちゃんのお母さんにお花とリンゴを渡した)

凛ママ「あらー悪いわね…でも大丈夫?風邪移っちゃうかもよ?」

ことり「大丈夫です!」

凛ママ「そ、そう…なら行ってきな、二階だよ」

ことり「はい、お邪魔します」

スタスタスタ

トントン

「いいよー」

ガチャッ

ことり「お邪魔します」

凛「あれ…ことりちゃん…」

ことり「ご、ごめんね…ことりが傘持ってきてなかったばっかりに…」

凛「ち、違うよ!凛が好きでやったことだから!」

凛「だから…別にことりちゃんは悪くないよ?」

ことり「…凛ちゃんは優しいね」

凛「……ううん」

ことり「え?」

凛「とりあえずどこか座ってよ、そこの凛のイスでもいいよ」

ことり「あ、うん」ストンッ

ことり「熱とかは大丈夫?」

凛「うん!そこまで酷いやつじゃないから大丈夫!」

ことり「そっか、ならよかったよ」

ことり「…」

凛「…」

ことり(凛ちゃんのお部屋にきては如何せん会話が続かない)

ことり(だから凛ちゃんの部屋をきょろきょろと見てた)

ことり(凛ちゃんの部屋は何年前というレベルで久々だったけど昔とさほど変わってなかった)

ことり(…いや、変わってるのかもしれない)

ことり「これ…」

凛「…あ、それは……」アセアセ

ことり(縦長の鏡の横にはそれはそれは綺麗な)


ことり(純白のワンピースがあった)


ことり「…凛ちゃんが着たらきっと可愛いよ」

凛「えっ…」

ことり「まだ着てないでしょ?」

凛「ど、どうしてそう思うの?」

ことり「値札がついてるもん…」


ことり「…18900円」


凛「!」ギクッ

ことり「凛ちゃんは可愛いよ?」

凛「…ずるいよ、ことりちゃんは」

ことり「えっ?」

凛「ことりちゃんに言われたら本当に凛が可愛いって錯覚しちゃいそうなんだもん!」

ことり「錯覚なんかじゃないよ!本当に可愛いから!」

凛「っ……」

ことり「…」

凛「…はぁ、あのメンバーの中ならことりちゃんが一番女の子らしいって思ってたんだ」

ことり「ことりが?」

凛「うん、手芸とかお菓子作りとか出来るし頭もいいし何より可愛いし」

凛「そんなことりちゃんに、そして後にかよちんに背中を押されたんだからみんなと一緒にステージたたないとって思ったんだ」


凛「…だからお礼がしたかったんだ」


ことり「お礼?」

凛「凛に出来ることなんて限られてるからさ、絵里ちゃんのような頭脳はないし穂乃果ちゃんのような人を喜ばせる天性の才能もない」

凛「真姫ちゃんのような歌を作ったりする特技があれば海未ちゃんのように強い人でもない」

凛「だから昨日みたいに身近で、凛でも出来そうなことでお返ししたかったんだ」


凛「凛のチカラは、そのくらいのことしか出来ないから」アハハ


ことり「…!」

ことり(凛ちゃんの控えめな笑いに心が震えあがった、自分をよく理解しているから、理解しているからこそ分かる自分の限界に絶望してる顔だった)

ことり(この時ことりの頭に凄まじいほどの電流が走った、思わず目を丸くしてしまうような、何か大切なことを思い出す…いや気付くような感じだった)

ことり(だから次の言葉を喋る時はまず口を“い”にしてから喋った)

ことり「…凛ちゃん」

凛「なに?」

ことり「もしかしたらだけどさ…」

凛「…うん」

ことり「凛ちゃんって…凛ちゃんがあの時ライブをしようと思わなかったのってさ」


ことり「自分と他の人に存在してる差を見たくなかったからじゃないの?」


凛「!!!」

ことり「…違う?」

ことり(違うのか、と疑問形で聞いたけど凛ちゃんの目は既に丸くなってた、だから確信したよ)

ことり(この問いに間違いはないってね)

ことり「…それは結果的に自分が可愛くないからっていう建前でもあって本音でもある理由を盾にして」


ことり「本質的な理由をいえばそれは他の人との差に絶望したくなかった、そうでしょ?」


凛「………」ウルウル

ことり「あ、やっ…ち、違うのこうじゃないの?って思って…あ、えっと…」

凛「どうして…気付いちゃうのかな…」ポロッ

ことり「!」

ことり(凛ちゃんは泣くことはなかったけど頬に一粒、そしてまた一粒と涙を流してた)

ことり(ことりのインスピレーションは間違ってなかったみたいだった)

凛「…そうだよ、ことりちゃんの言う通りだよ」

凛「今は、一番可愛いって思ってたことりちゃんに可愛いって言ってもらってなんとか首の皮一枚繋げてる状態なんだ」

ことり「…」

凛「…あ、でもね!ちゃんとライブはやるよ!昨日言ったけどすごく楽しみにしてるし」

ことり「りん…ちゃんっ…」

ことり(違う、凛ちゃんの本心はそんな簡単な言葉だけじゃ振り切れない)


ことり(ことりは凛ちゃんの本心を聴きたい)


ことり(聞いて、みんなが最高の状態であのステージにたてる状態にしたい)

ことり(ここまで話してくれた凛ちゃんを、連れていかないと)



ことり(ここで凛ちゃんの中にある輝きを気付かせてあげることが今の“ことりの役目”であるんだから)



ことり「凛ちゃん」

ナデナデ

ギューッ

凛「にゃっ…」

ことり「…凛ちゃんはね、誰かと一緒にいてあげることで凛ちゃんのチカラは発揮されるんだよ」

ことり「凛ちゃんがいうこれくらいのことっていうのは力量の問題じゃなくてそのチカラがそれであるっていう意味なんだ」

凛「ん…?」

ことり「つまりはね」


ことり「凛ちゃんのチカラっていうのは誰かと一緒にいることで発揮される、傷を舐めるようなくすぐったい優しさなんだよ」


ことり「きっとこれから凛ちゃんと一緒にいる人全員はこう思うよ」


ことり「凛ちゃんと一緒にいるだけで救われるって」


凛「そ、そんなことないよ…」

ことり「そんななの!」

ことり「凛ちゃんはとにかく可愛いの!愛らしいの!見てるとギュッと抱きしめたくなるの!」

ギューッ!

凛「うぐっ…」

ことり「だからもっと自分に自信を持っていいの!凛ちゃんが他の人と劣ってるところなんて少しくらいしかないから!」

凛「そ、そうなの…?」

ことり「そう!この前もいったけど凛ちゃんが一番可愛いの!」

ことり「だから、もっと本気で楽しも?」


ことり「ことりはみんなと不安なんて持たずにあのステージに立ちたいの!」


ことり「あそこで本気で楽しみたいの!!」


ことり「憂鬱なんて全て後々!イヤなことなんて全て投げ捨てて笑顔で、汗が無限に出るくらい動いて、心いっぱいに表現してあそこで本当の本気で楽しみたい!」


ことり「凛ちゃんは違う?」


凛「…違わない」

凛「凛もそうしたい…」


凛「凛もそうしたい!」


ことり「でしょ?だからいこうよ、やろうよ!」




ことり「本気で!」


凛「うんっ!」

ことり(凛ちゃんは決して他の人と劣ってたりはしない、それは何を比べても劣りはしない)

ことり(凛ちゃんのチカラは直接的な強さは持たないチカラだとことりは思う、誰かといることで、誰かといるだけで発揮される癒しのチカラ)


ことり(凛ちゃんにしかない“可愛い”のチカラ)


ことり(…ホントにずるいチカラだよ)

凛「えへへ、ことりちゃーん」

ギューッ

ことり「もお…風邪が移ったら凛ちゃんが責任とってよ?」

凛「ことりちゃんからくっついてきたらことりちゃんが悪いもーん」

ことり「まったく…」アハハ

ことり(凛ちゃんが元気になって何よりだった、その後ちょっとだけお話をして帰った)

ことり(凛ちゃんが自分の良さに気付いてくれただけで今日凛ちゃんの家にきた甲斐があったと満足してた)

ことり(帰り、小さい時よく穂乃果ちゃんと海未ちゃんとで遊んでた公園に寄った)

ことり(ブランコが空いてたからブランコを軽くこいでた)

「わー!待ってー!」

「こっちこっちー!」

ことり「…ふふふっ」

ことり(小さい子たちが鬼ごっこをしてた、ことりはそれになんとなく懐かしさを感じて自然とほほ笑んでた)

キィコ キィコ

ことり(ブランコが揺れて軋む音が寂しく響いた)

ことり(またこの音も、懐かしさにめり込むような音だった)

「わっ!そこ水たまりあるからみんな気を付けてよー!」

「分かってるよー!」

ことり「…水たまりか」

ことり「そういえば昔穂乃果ちゃんが…」

ことり(昔穂乃果ちゃんがこの公園で水たまりを跳び超えるって駄々こねてた時があった)

ことり(何回も跳びこえようとして十何回目でやっと跳べた、当たり前だけど今のことりならあのくらいの水たまりは簡単に跳べると思う)

ことり「…よしっ」

ダッ

タッタッタッ!


ことり「跳べるっ!」


ピョーンッ

ことり(そして何を思ったのか小さな子たちに紛れて水たまりに向かって高く跳躍した)

ことり(無意識だったのかな、その行動はことり自身でも理解出来ないくらい突然だった)

ビシャッ!

ことり「ひゃっ?!」

ことり「!」

ことり(まず、結果からいってことりはびしょ濡れだった)

ことり(そして、次に気付いたのはことりの落ちた水たまりは公園の水たまりではないということ)

ピチャッピチャッ

ことり「これ…」


ことり「この花びら…この花…」



ことり「この花畑…!」



ことり「…間違いない、あの時の……」

ことり(あの時のお花畑だった、穂乃果ちゃんが連れてきた…のかは分からないけど穂乃果ちゃんがいたあのお花畑)

ことり「あ、いけない」

ことり(カバンが水たまりのど真ん中に置かれてるのに気付いて取りに行った)

ピチャッピチャッピチャッ

ことり(この水たまり、実際歩いてみると分かるけど結構深くて正直いえば水たまりというよりかは湖に近い感じなような気がした)

ピチャッピチャッ

ことり(カバンを取り後ろを向くと赤い花が大々と広がり、よくよく見ると花の無い道には穂乃果ちゃんが踏みしめたと思われる足跡があった)

ことり(そして前を向くと地平線の彼方まで広がる白い花々が見える)

ピチャッピチャッ

ことり(濡れたカバンを抱きしめてその白い花畑に向かった)

ことり(何枚、何十枚、何百枚、何千枚の花びらがひらひらと飛んでた)

ことり(その何枚もの花びらがことりの服や肌、顔にぺたぺたとくっついてきた)

ことり(ただおかしなことにその花びらは一定以上経つと勝手にことりの元から離れていくんだ)

ことり(…別に変なモノは感じてないけど、何も感じてないと言えばそれはウソになる)

ピチャッピチャッ

ことり「よしっ」

ことり(まぁとりあえず白い花畑に足をつけようとしたんだ)

ことり(ただ、次の瞬間ことりは後ろを振り返ることになる)

ことり(そしてこれまた結論から言ってことりはその白い花畑に足を踏み入れることはなかったんだ)

ことり(その“出来事”が起こったせいで…)


「ダメっ!!」


ことり「?!」ピクッ

ことり「誰?!」

ことり「…あれ?」

ことり(後ろから声が聞こえたからすぐに後ろを振り向いた、だけど後ろに人はいなかった)

ことり(この花畑は広すぎるからもしかしたら目に届かないところにいるのかも、そう思ったけどことりが聞いた声の声量はかなり大きく近かった感じがした)

ことり(だけど、そんな人影はどこにも見当たらない)

ことり「…何なんだろう」

ことり(声が気になって白い花畑の逆方向である赤い花が咲く花畑を目指して歩いた)

ピチャッピチャッピチャッ

ことり「…びしょびしょ」

ことり(真ん中にいけばいくほど深くなっていって、おかげで靴下はびしょ濡れ、そのせいもあって足がなんとなく重い気がした)

ことり「よいしょ…よいしょ…」

ことり(なんとか足を進めて今度は赤い花の咲く地に足をつけようとした)

ことり「よい…しょ」

ことり(足をつけた、ただその地に降り立った瞬間、声が聞こえたんだ、大きな声が後ろから)


ことり(そして聞こえてきたその声は紛れもない“太陽の声”だった)




「よーしっ!もう一回!」



ことり「!!」

ことり「穂乃果ちゃん?!」

ことり(後ろを振り向いた…と同時に)


ことり(ことりの視界はブラックアウトした)


ことり(ただ、そのブラックアウトする前に微かに見えたんだ)


ことり(白い花畑に立って手を振る穂乃果ちゃんが)


ことり(だけど、それをことりの記憶に留めておくことは出来なかった、あまりにも瞬間的すぎてすぐにその景色は記憶に残らなかった)

ことり(またしても不思議体験をした、あの世界は一体何だというのだろう)

ことり(全てが謎すぎて一つの解明にも繋がらない)

ことり「ん…んっ…?」

ことり「ここは…」


ことり「…家だ」


ことり(目を覚ませば案の定、家のベッドで寝てた)

ことり「…あれ?濡れてる……」

ことり(足が濡れてた、靴下は履いてないし勉強机に置かれてるカバンもあの世界ほどではないけど濡れてた)

ことり「…どういうこと?」

ことり(あまりにも難解すぎる現象で混乱した、あの花畑の世界は何?現実なの?現実ならなぜことりは濡れてるの?なぜことりは家で目を覚ますの?)

ことり(…分からない、分からないことだらけで思わず後ろ髪をかいた)

ことり(それであの世界の謎に戸惑ってると突然お母さんの声がした)

「ことりー!ご飯よー!」

ことり「あ、うん!」

ことり(ことりの思考が、なのかな、それとも運命が、なのかな…一度あのことは忘れるようにと促されているようだった)

ことり「…ま、いっか」

ことり(ただことりはそれに従った、理由は分からないけど強いていうなら難しいことは全部後回しにしたくてとにかく今は穂乃果ちゃんがいる日常を楽しんでいたかった、というのが理由かな)

ことり(だからとりあえずこの件は後回しにしたんだ)

ことり(後に色々思ったこともあったけどことりの考えが後でいいっていうならそれは後でいいんだ)

ことり(そして次、時間を意識する頃はもう既に次の日だった)

ピンポーン

ことり「はーい」

ガチャッ

穂乃果「やっほー!」

海未「こんにちはことり」

ことり「あ、あれ穂乃果ちゃん?!海未ちゃんまでどうしたの?!」

海未「いえ今お暇ですか?」

ことり「あ、うん大丈夫だよ」

穂乃果「なら遊びにいこうよ!」

ことり「遊びに?」

穂乃果「うん!そうだよ!」

海未「言ってたではありませんか近いうち私たち三人で遊ぼうと」

ことり「あ、うん!そうだったね!」

ことり「ちょ、ちょっと待ってて準備するから!」アセアセ

タッタッタッ

海未「まったく…ことりは突然のことだとすぐ焦るんですから…」

穂乃果「アドリブに弱いもんね」クスッ

海未「ええホントですよ」

ことり(日曜日、穂乃果ちゃんと海未ちゃんとことりの三人で遊ぶことになった)

ことり(突然でちょっと驚いたけどすごく嬉しかった)

ことり「…そうだよね、後少ししかないんだもん」


ことり「たっぷり遊ばなきゃ…!」


ことり(そう思ってありったけのお金を持ってさいっこうに可愛いと思うファッションをして外に出た)

穂乃果「わお…ことりちゃんその服…」

海未「随分と…は、破廉恥で…」

ことり「えへへ」

ことり(気合いをいれる方向を間違えて胸元をちょっと見せつけるような服を着てきちゃった、これじゃあ可愛いとは別で、なんというかデートに行くときみたいな感じになっちゃって)

ザワザワ ヤザワザワ

ことり「うぅ…」

穂乃果「すごーい!ことりちゃん注目の的だよ!」

海未「そりゃあことりがそんな服着たらなりますよ…」

ことり「着てくる服間違えたぁ…」

穂乃果「私も着てくればよかったー…ん?いや着てくればいいんだ!」

海未「な、なんでですか!」

穂乃果「えっ…いやー…だってね…?」チラッ

ことり「!」

ことり(穂乃果ちゃんの言いたいことはよく分かった、もう数日後にはいなくなっちゃうんだから何をしたって後悔なんてないんだよね)

ことり(だからことりは穂乃果ちゃんに助け船を送ることにした)

ことり「そりゃあ気の変わりようだよね?穂乃果ちゃん」

穂乃果「そうそう!よしっ!そうと決まればせくしーな服を着よう!私の家にごー!!」

ことり「おー!」

グイッ

海未「なんでですかぁ!」ズルズル



穂乃果「わー!すごいすごい!」


穂乃果「大人だよっ!」


海未「……」

ことり「ん?海未ちゃんどうしたの?」

海未「…あ、いや二人ともなんかすごく大人っぽくて魅了され…ってなんで私まで着てるんですか!」

穂乃果「そりゃあ三人いるんだから三人着るものでしょ!」

ことり「でも二人ともすごく可愛い!いや綺麗なのかな?」

穂乃果「なんかこういうの初めてだからすごい楽しいね!」

ことり「ねっ!」

海未「…まぁ」

穂乃果「よーし!これで街中に出発だー!」

ことり「おー!」

海未「はぁ?!」

ことり(ことりほど派手じゃなかったけど二人もセクシーな感じの服を着て街中に飛び出した)

ことり(もちろん街中に足を踏み入れれば大量の視線を感じるし辺りがざわつき始める)

ことり(そんな街では色々なところに寄りそして遊んだ)

ことり(ゲーセンに寄った、ただのゲームに命をかけた感覚で遊ぶほどのノリで盛り上がった)

ことり「おらおらおらぁ!!」ドドドド!

穂乃果「ことりちゃん左は任せたよ!!」ドドドド!

ことり「了解!」

海未「ふ、二人熱くなりすぎでは…」ドドド

穂乃果「このくらいが普通だよ!」

ことり「最初から最後までクライマックスだよ!!」

海未「は、はぁ…」

海未「…っ?!ひぃ?!なんですか気持ち悪い生物は…」

穂乃果「いくよ!ことりちゃん!海未ちゃん!」

ことり「うん!」

海未「は、はい!」


穂乃果「よーし!ここで負けたら死だからね!」


海未「はいっ!」

ことり「うんっ!」

ことり(ゲームセンターで遊んだ、疲れることを知らないままで限界に挑戦した)

穂乃果「よーし!もちろん最高難易度の最難関やるよ!」

海未「はぁ?!無理ですよ!これダンスゲームですよ?!」

ことり「いいじゃんやってみようよ!」

海未「なんでさっきからことりは穂乃果寄りの意見なんですか!」

ことり「いいのっ!今日は遊びつくすって決めたんだから!」

穂乃果「そうだよ海未ちゃん!遊びつくすよ!」

海未「え、えぇ…」

穂乃果「ほっよっ!」

海未「はっふっ!」

ことり「二人とも頑張れ!」

ことり(ゲームセンターで知った、限界なんて存在しないこしないことに)

ことり「すっごいすっごいよ穂乃果ちゃん!」

海未「こ、こんな大量のメダル何に使うんですか!!!」

穂乃果「まだまだ増やすよー!!」

ことり「次はこれやろうよ!」

穂乃果「いいね!!もうどんどん増やしていこう!」

海未「いくらなんでも増やし過ぎですよ!!」

海未「なんですか50000枚って!!」

穂乃果「この強運の穂乃果に限れば余裕だよ」キリッ

海未「今日帰れますかこれ…」

穂乃果「いざとなったら預ければいいじゃん!」

ことり「そうだよ!」

海未「ま、まぁそうですけど…」

ことり(その後も色んな場所に寄った、カラオケにいった、ボーリングをした、ダーツをした)

ことり(アクセサリーショップに寄った、コスプレをした、動物園にいった)


ことり(ずっと楽しんでた)


ことり(帰り、海辺によった)

ことり(水平線の彼方に見える夕日を見ながら歩くとピチャっという音がした)

ことり「ふふふっそれっ!」

ビシャッ!

穂乃果「きゃっ!やったなー!それそれっ!」

ことり「あはっ!海未ちゃんも食らえ!」

海未「ちょっ!やりましたね…」

海未「ほらほらほらっ!」

ビシャビシャッ!

穂乃果「あははっ!」

ことり「えいっ!」

海未「もうびしょ濡れになったって知りませんからね!!」

ピチャピチャッ!

穂乃果「あはは!あは…あははは……」

穂乃果「あはっ…うぅ…ぐすっ…あははっは…」


ポロポロ…ポロポロ…


海未「穂乃果…?」

ことり「…あはっ…あはは…」ポロポロ

海未「ことりまで…どうしたんですか…?」

ことり「う、ううん…!なんでもない…よっ!」ニコニコ

ポロポロ…

海未「いやそれでなんでもないわけないじゃないですか!」

ことり「なんでもないったらなんでもないの!」

ことり「ねっ!穂乃果ちゃん!」

ポロポロ…

穂乃果「うんっ!」

ポロポロ…

ことり(いよいよことりの心も感極まってきちゃった)


ことり(この三人でこんなに楽しく遊べるのが嬉しくて、でも悲しくて)


ことり(今という今がホントに面白くて、でもそんな面白さももうじき消えてしまいそうで)


ことり(もう、ことりは何を感じればいいのか分からなくなっちゃって、ことりの頭の中がもうぐっちゃぐちゃで)


ことり(笑いながらも泣いてちゃって、そんな中で感情の波でぐちゃぐちゃに心荒らされたことりはどうすればいいのか分からなくてただ、時の流れで動く何かに身を任せてた)


ことり「えへへへへ…!」

穂乃果「あははは…!!」

海未「ふ、二人ともどうしたんですか…」

ことり「なんでもない!ただ、楽しくて!」

穂乃果「そうそう!楽しくて!」


ポロポロポロ…


海未「穂乃果…ことり…」

ことり(今が楽しすぎて、今日の…ううん今までの幸せを一つ一つ意識して数えていく度にこれから変わっていく未来に恐怖を覚えてしまって、自分が何考えてるのかよくわからなくなっちゃって)




「ねぇ!ことりちゃん!海未ちゃん!」



ことり(そんな時声がしたんだ)


ことり(再臨する恐怖に怯えていたら、太陽に等しい眩しい声が聞こえたんだ)

ことり(ことりはその声の生る方向へ顔を向けた)


穂乃果「四日後のライブ!ぜーったいに楽しくやろうね!!」


海未「は、はい!」

ことり「…うんっ!」

穂乃果「私ねー!ライブまでの四日間、何に対しても本気でやるよー!」

穂乃果「だからー!二人も本気でやろー!!」

ことり(穂乃果ちゃんはことりたちにじゃなく夕日に向かって叫んでた)

ことり(だからことりもそれ同様に夕日に向かって叫んだ)

ことり「分かったー!!ことりも本気でやるねー!」

穂乃果「あはは!」

ことり「えへへっ!」

キラキラキラ…

ことり(涙はもうさよなら、涙が無くなれば残るのは笑顔だけ)

ことり(今日、お出かけしてほんと良かった)

ことり(もうこの感動は言葉じゃ表しきれないよ、幸せ過ぎて…楽しすぎて…!)

海未「…仕方ありませんね」


海未「私も本気ですよー!!」


海未「本気で穂乃果とことりが好きですー!!」


穂乃果「おー!海未ちゃん言ったなー!」


穂乃果「私もことりちゃんと海未ちゃんが本気で好きー!!!」


ことり「ことりもっ!」


ことり「ことりも穂乃果ちゃんと海未ちゃんが好き!本気で好きだよー!!!」


穂乃果「あははっ」

ことり「えへへっ」

海未「うふふっ」

ことり(あぁ…この出逢いに感謝しないと、そう思ってしまうんだ)

ことり(ことりの真横にいる太陽がいつか無くなるとしたら、もっと感謝しないと)


ことり(無くなることが分かってるなら、ずっと感謝しないと)


ことり(その後びしょびしょになりながら帰った)

ことり(お母さんに怒られた、でもことりは怒られてすごく嬉しかった)

ことり(お母さんに心配された、でもことりは心配されて嬉しかった)

ことり(感じたもの全てが“素晴らしいモノ”に変わってた)


ことり(ことりは、もう穂乃果ちゃんが消えてしまうことを受け入れたんだ)


ことり(後は楽しむだけ、違うかな?)

ことり(不安なんてないよ、もう楽しむだけ)

ことり「…おやすみなさい」

ことり(今日は色々やって疲れちゃったから早くも明日へとトリップした)

ことり(そして次の日に聞こえてくるのはうるさい目覚まし時計の音)

チリリリリリリーン

ことり「…!」

チリリリリ ガチャッ


ことり「おはようっ!」

~学校、昼

キーンコーンカーンコーン

ことり「はぁ…疲れたぁ…」

にこ「あんたも人気者ね」

ことり「違うよぉ…」

にこ「パソコン開いたらびびったわよ、ことりたち二年生の写真がネットにアップされてて何事かと思ったら超美人が街中を歩いてるとか書いてあってなんだと思ったわよ」

ことり「まさか話題になるなんて…」

にこ「いいやあの二人はまた別の方向だけどあんたは話題になると思うわよ」

ことり「な、なんで?」

にこ「その無自覚なのが腹立つのよ」

ことり「無自覚…?なんか…ごめん…」

にこ「…はぁ別に良いわよ、そうよねことりってそういう人だものね」

ことり「…?」

ことり(次の日の昼、にこちゃんとお昼を食べることになった)

ことり(穂乃果ちゃんと海未ちゃんは絵里ちゃんと真姫ちゃんとでライブの話し合いをするみたいでことりはひとりぼっちだったから丁度よかった)

ことり(暇なお昼に話し相手が出来るのはすごく嬉しいんだけど、話の雲行きがちょっと怪しかった)

にこ「ことりは小さい時から控えめだったわよね」

ことり「うん、そうだね」

にこ「私はもっと自分を出していけばいいのにってずっと思ってた」

ことり「え?」

にこ「だって昨日話題になったみたいに可愛いんだもの、ああいう服こそことりの良さがよく映えるしなんで前からああいう服を着なかったのか不思議が仕方がないわ)

ことり「だ、だってそれはそんな…ことりには…」

にこ「それ!それなのよ!」

ことり「…?」

にこ「それのせいでダメダメなのよ、ことりは」

ことり「えっ…」


にこ「とても今のことりのままじゃセンターなんて任せられない」


ことり「!」

にこ「まずね、気迫がない」

ことり「気迫…」

にこ「練習中見てて何にも感じられないの、ただ踊ってるだけで」

にこ「絵里も言ってたでしょ?」


にこ「練習は真剣にやって本番は楽しめばいいって」


にこ「あの程度がことりの真剣だっていうならセンターなんてやめて、あんなんじゃ私はやりたくない」

ことり「…」

にこ「それにね、ことりの一番って教えられたことをちゃんとやろうとする義務感でしょ?」

にこ「義務感が一番だっていうなら尚更センターなんてやる資格はないわ」


にこ「おとなしく絵里か海未にでもセンターを譲っときなさい」


ことり「…」

ことり(にこちゃんの言うことが最もだなと思った)

ことり(だからことりはこう言った)

ことり「…うん、分かった」


ことり「じゃあ…その二人のどっちかにセンター…譲るね…」


ポロポロ…

にこ「っ!?ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

ことり「…?」

にこ「今の場面は私センターやりたいって奮いをたてる場面でしょ?!なんでそんなすぐに認めちゃうのよ!!」

ことり「えっ…だってにこちゃんが…」

にこ「違うの!あ、えっと…その…」

ことり「…?」

ことり(にこちゃんにきっついことを言われてものすごくへこんだ、けどその後にこちゃんが慌ただしくして何かを言おうとしてたんだ)

にこ「ん、んん!」

にこ「…私はね、小さい時からアイドルになりたかった」

ことり「…うん、知ってるよ」

にこ「笑顔って言葉に惹かれてアイドルっていう職業にものすごく憧れを感じた」

にこ「でもまぁ私の家庭ってホント無理が出来るような家庭じゃなくて、ちびたちもいるからお金を無理して使って不自由な生活は出来ないし、私がいなかったら家にはちびたちしかいないから時間も取れないの」

にこ「それだけで諦めるような夢だったっていったら違うけど、人の命かかってるくらいなんだから諦めるしかなかった」

ことり「…」

にこ「そんな時、私の近くに南ことりというさいっこうに可愛いのに、アイドルとして最高のポテンシャルを持ってるのにそれを無下にするじんぶちゅ…がいた」

ことり「じ、じんぶちゅ…?」

にこ「うるさい!人物よ!悪い?!」

ことり「い、いやーあはは…」

にこ「…まぁいいわ、私は当時ことりに対して腹が立ったわ」


にこ「アイドルじゃなくても、他の事に対しても活かせる個性を持ってるのにそれを使おうとしないから」


にこ「私には持ってないもの全てをことりが持ってたのにそれを使おうとしないから」


ことり「…」

にこ「中学校の頃、学年全体でやる劇にヒロインとして抜擢された時あったわよね」

ことり「あ、うん…」

にこ「私はやっとことりが輝ける時が来るのねって思った、実はいうとね、イライラしたのは最初だけ、もう後はずっとことりを応援してた」

ことり「え?」

にこ「こんなにもすごいチカラを持ってる人が近くにいて、それに対して私は夢を追いかけることも出来ないんだからそりゃあ夢に追いつける人を応援するしかないでしょ?」


にこ「口では言わないけど何か私でもしてあげられることをするの、それが私なりの優しさだから」


にこ「…でもね、ことりはそのヒロイン抜擢のやつでさえも他の人に譲った」

にこ「流石に頭にきたわね、あの時は」

ことり「えっ…ご、ごめん…」

にこ「別に良いわよ、昔のことだし」

にこ「ねえことり、あなたってものすごいチカラを持ってるのよ?」

ことり「ものすごいチカラ…?」


穂乃果『…ふふふっことりちゃんの持ってるチカラはすごいんだよ?』


ことり(穂乃果ちゃんも言ってた、一体何なんだろうことりのチカラって)

にこ「それに気付けないのがことりの最大の弱点なの」

にこ「最高に可愛いし頭もいいしまず人としての個性もバッチリある、それなのにその自分のステータスに気付けないし気付いたとしてもそれを使わないのがことりの最大の失敗なの」

ことり「ことりの…失敗…」

にこ「そうよ、だからねこの際包み隠さず私のスタンスを切り離していうけど」



にこ「今度のステージ、あんたがセンターやるんだから思いっきりことり自身という“自分”を出しなさい」



ことり「自分を出す…?」

にこ「ええそうよ、やっとことりが主役になってステージに立てるの、だからこそこの主役というステージではことりがいつも演じてる脇役のような控えめな感じはいらない」


にこ「今回はことりが主役なんだから遠慮は必要ないの」


ことり「…」

にこ「きっとこんなこと誰も言ってくれないと思うから私が言った、絵里は気付いても多分何かを恐れて言わないだろうし希は気付いてもあえて言わない、穂乃果も同じだし海未や花陽はことりのやり方に任せるだろうし凛や真姫ちゃんはそもそも気付かない」

にこ「だから私がいうの、私がことりの背中を精一杯押すの」


にこ「ことりを応援するの」


ことり「!」

にこ「さっきダメダメっていったのはことりにもっと頑張ってほしかった、もっと自分を出してほしかったの」

にこ「技術的な面でならもう問題ない、けどまだ最後に、ことりの良さを出し切れてないから」


にこ「それをにこが出させてあげたかったの」



にこ「私のチカラは、誰よりも強く相手の背中を押してあげることだから」



ことり「…!!」

にこ「…この大人気アイドルのにこにーに背中を押されたんだから絶対に頑張りなさいよね?」


ことり「うん…!うんっ!!」

にこ「まったく…ことりが泣くから私まで泣きそうになったじゃない…」

にこ「後…ごめんなさいね、こんな不器用で」

ことり「ううん…いいの、ありがとう」


ことり「ことり…自分を出してみる!」


にこ「ええ!頑張りなさいよね!」

ことり「うんっ!」

ことり(にこちゃんのチカラ、それは他の人に言えないことをハッキリ言えること)

ことり(それは悪い意味にも繋がっちゃうかもだけど、本音が言えるっていうのはすごくいいことだと思う)

ことり(にこちゃんは根っから優しい人だから、どんなに強くっていっても優しいんだ)

ことり(ことりはにこちゃんの言葉を聞いて心底安心した、そしてにこちゃんに背中を押してもらったんだからこれは頑張らないといけないってそう強く思った)

ことり(なんか不思議だな…きっとこれがにこちゃんのチカラの強さなんだと思う)


ことり(にこちゃんに背中を押された瞬間体が軽くなるようなそんな感覚を覚えちゃって)


ことり(練習も頑張れそうな気がした)

ことり「ほっほっほっ!!」

絵里「はい、そこで決めポーズ!」

ことり「はいっ!」ビシッ

海未「おお…」

絵里「腕をあげたわね…なんか前と全然違うわ…その…気迫っていうか…」

海未「ええ分かります、なんか自然と魅せられるような感じになりました」

にこ「…ふふっ」

希「なんやにこっち急ににやけて気持ち悪い」

にこ「ぬぁんでよ!笑ったら悪いの?!」

希「急に笑うから奇妙さがあるんよ、にこっちの場合は特に」

にこ「私の場合って何よ!」

凛「いやーことりちゃん輝いてるねー」

穂乃果「そうだね!私も感激しちゃった!」

真姫「なんかもう…オーラを感じるわよね」

花陽「あ、分かります!なんかものすごいピカピカなオーラですよね!」

真姫「そうそう」

ことり「ふふふっ」

ことり(ことり、少しは変われたかな、心の中で自分に、誰かに問いかける)

ことり(にこちゃんのおかげであのステージを更にいいものに出来そうだよ)


ことり(あのステージは九人の本当の本気の想いを乗せて踊るステージだから)


ことり(また一つ、ことりは想いを紡ぐんだ)

ことり(センターの役目はしっかり果たすよ、にこちゃん)


ことり「よーしっ!もうちょっと頑張る!絵里ちゃんやろ!」

~その後、家

ガチャッ

ことり「ただいまー」

ことりママ「おかえりなさい、練習の方は順調?」

ことり「うん!順調だよ」

ことりママ「そう、ならよかったわ」

ことりママ「今から何するの?」

ことり「衣装を作るよ」

ことりママ「じゃあ私にも手伝わせてくれない?」

ことり「…え?」




ことりママ「手芸なんて久しぶりね」

ことり「ほんと、さっき聞いた時は出来るか不安だったけど意外に出来るじゃん」

ことりママ「当たり前よ、これでもことりのお母さんをしてるんだから」

ことり「伊達にね」クスッ

ことりママ「…みんなとは上手くやってる?」

ことり「うん、上手くやってるよ」

ことりママ「そう、希ちゃんとかとはどう?」

ことり「仲良くしてるよ、希ちゃんは小さい時から頼り甲斐があってみんなのお姉さんだよ」

ことりママ「ええそうね…希ちゃんはそうだったわね」

ことり「どうしたの?急に」

ことりママ「いや昔のことりとはもう違うんだなって」

ことり「昔のことり?」

ことりママ「昔のことりは引っ込み思案で、友達も中々作れずにいたじゃない」

ことりママ「…我が子が成長してる姿を見るのは意外と泣けてくるのよ」ウルッ

ことり「お母さん…」

ことりママ「最近のことりはね、すっごく楽しそうなの」

ことりママ「朝は元気な声でおはようって言ってくるし帰ってきたら楽しそうな声でただいまって言うからなんだか私まで嬉しくなってね」

ことりママ「小さい時のことりを思い出したの、無邪気でいつも泥だらけになって帰ってくるから、何をしたんだろうって毎回思いながら洗濯をしてたわ」

ことり「あぁ…えっと…そんな時もあったね」アハハ

ことりママ「でも中学生になって身の丈を知ったのかしら?急におとなしくなっちゃって」

ことりママ「私は最近の元気なことりが好きなんだけど?」

ことり「むー…身の丈を知ったって学校の理事長が生徒に向かっていう言葉じゃないでしょ」

ことりママ「我が子だからセーフ」フフッ

ことり「困った理事長だね…」

ことりママ「いいのいいの♪」

ことりママ「…まぁきっとことりの近くにいるみんながことりの毎日を楽しくしてるんだって思って、感謝しなさいよ?みんなに」

ことり「それはもちろん!」

ことりママ「ならいいけど」クスッ

ことり「…ねえお母さん」

ことりママ「何?」

ことり「音ノ木坂祭りのステージ…来なくていいって言ったけど、やっぱり…見に来ていいよ」


ことり「…最高のステージにするから」


ことりママ「…!」パアアア

ことりママ「言われなくても行くわよ!カメラもバッチリ持っとくから任せておきなさい!!」

ことり「そ、そんなことまでしなくていい!」

ことりママ「いいや、可愛い我が子のステージをカメラに収めないなんてもったいなさすぎるわ!」

ことりママ「待ってなさいことり、高性能のカメラでことりのステージをおさえとくから」キラキラ

ことり「はぁ…」

ことり(親バカとはまさにこのこと、まぁそれがお母さんのいいところでもあるんだけど)


ことり(ことりの晴れ舞台、みんなの晴れ舞台を本気で見てほしい、それがことりの想い)


ことり(その想いの強さに、ことりの持ってた針も形を歪ませた)

ことり「あれ…」

ことりママ「あら…珍しいこともあるものね」

ことり「そ、そうだね」アハハ

ことり(お母さんが一緒にやってくれたから衣装作りはかなり捗った)

ことり(ここまでくるとホントに本格的で、本番がより楽しみになってきた)


ことり(不安も悲しみもない、楽しみだけがあるんだから)

ことり「…さあ、出発だよ」


ことり(ふと呟いた歌詞のワンフレーズ)

ことり(ことりの心は既に乗り気だ、衣装作りをやめ、一日にやることをやってすぐに寝た)

ことり(その日が待ち遠しくて、みんなと会うのが楽しみで)


ことり(早く太陽が見たくて)


ことり「おやすみぃ…zzz」


ことり(誰もいない部屋に一言、おやすみの言葉をかけて今日を終えた)


ピピピピピピ!


ことり(そしてすぐに次の日はやってくる)



絵里「みんなっ!音ノ木坂祭りまであと二日よー!!」

希「おー盛り上がってんなーえりち」

海未「テンションがハイですね」

絵里「当然よ!ここまで頑張ってきたんだから本番は楽しんでいくわよ!」

穂乃果「おー!」

花陽「お、おー!」

真姫「おー?」

凛「おー!」モグモグ

にこ「こらっ食べながら大声を出さないこと、口から出るわよ?」

凛「えへへごめんごめん」

希「おーにこおかあさーん!」

穂乃果「私を養って~!」

ギューッ

にこ「どわぁ?!急にこっちくんなっ!」ペシッ

穂乃果「ぶーにこちゃん酷いなー…」

海未「ふっふふふふ…」

にこ「あ?何よ?」

海未「い、いや…にこがお母さんって聞いたらなんか笑っちゃって」

にこ「はあああ??!それバカにしてるわよね?!」

海未「い、いえ…ぷっふふふ…」

にこ「あぁ!いっちょやるかこの破廉恥野郎!」

海未「破廉恥野郎ってなんですか?!」

希「ネーミングセンスバツやね」

凛「海未ちゃんだかららぶあろ」

海未「凛、死にたいですか?」ニコッ

凛「い、いえ…」

絵里「海未が怖い…」ビクビク

ことり「絵里ちゃんが怯えてどうするの…」

キーンコーンカーンコーン

花陽「あ、あれ?!もうそんな時間?!教室戻らないと!」

にこ「このチャイムは昼の始まりよ?授業がみんな思った以上に早く終わったらこうやって集まったんじゃない」

花陽「あ、あれ…?」

ことり「ふふふっ」クスッ

穂乃果「あはは…」

花陽「うぅ…」カアアア

凛「はぁ~今日も疲れたねー」

希「ホントやね~…」

海未「特に何もしてないような気がするのですが」

穂乃果「いやいやもう座ってるだけで疲れるじゃん!」

海未「それは穂乃果だけです!」

凛「いや~凛は頭の方が疲れたよ~」

花陽「あ、私はお腹が疲れたかな…」グウウ

ことり「あはは…花陽ちゃん食いしん坊だね…」

真姫「色々疲れすぎでしょ…」

絵里「そうよ、今日はまだまだあるわよ?」

穂乃果「まぁね」


穂乃果「…後二日か」


ことり「…!」

ことり(控えめな笑みを浮かべて穂乃果ちゃんはそう言った)

ことり「…そうだね」

ことり(後二日、それは色んな意味で後二日)

ことり(でも、もう振り返らないって決めたから)

ことり「はい、タッチ♪」

海未「はえ?」

ことり「むふふー海未ちゃんが鬼-!」

凛「わー!逃げろー!」

希「お、鬼ごっこやね!屋上だからちょうどいいやん!」

穂乃果「お、やるやるー!」

花陽「え、え…みんな待ってよー!」

絵里「楽しそうじゃない!海未は10秒数えなさいよー!」

にこ「きゅ、急すぎない?!」

真姫「ほんとそれよ!なんで急に鬼ごっこなんか!」

ことり「気分だよー!!」


海未「ええええ?!なんで私が鬼なんですか?!」


穂乃果「早く早く!」

凛「こっこまでおいでー!!」

海未「え…お、お昼はどうするんですか?!」

希「そんなの後ででいいよー!」

海未「むぅ…仕方ありませんね…」

海未「じゃあ手始めに真姫!あなたを捕まえます!」ダッ

真姫「っ?!なんで私?!」

海未「まてまてまてー!」

真姫「ちょ…まっ…ここ狭い!!」

にこ「狭いくらいがちょうどいいのよ」

真姫「くっ…ここは誰かになすりつける!」

穂乃果「うわっこっちきた!」

凛「逃げろ逃げろー!」

ことり「おー!」

花陽「ま、まって~…」

ことり「あははははっ!」

ことり(無理矢理にでも流れを変えるのがことり式、もう残りの二日は悲しい思いはしたくないからね)

にこ「あっつ…」

ことり「ぶふぅ~…」

希「いやー走った走った」

海未「結局お昼食べれてないじゃないですか!」

凛「いいんだよ海未ちゃん!楽しみは放課後にとっておこう!」

海未「もう楽しみでもなんでもないですよ!」

花陽「うぅ…ぐすっ…お昼がぁ…!」

真姫「よしよし…」ナデナデ

絵里「あははっまぁ残りちょっとあるし食べたい人は急いで食べちゃいなさい」

穂乃果「今日もパンが上手いっ!」パクッ

にこ「はっや…」

ことり(お昼が終わる頃にはみんな汗びっしょびしょだった)

ことり(お昼は急いで食べて昼の終わりのチャイムがなれば一斉に自分の教室に戻っていく)

ことり(ただ、もう残りの時間は音ノ木坂祭りでやることをまとめるような時間だった)

「ことりちゃんたち出し物するんだよね?」

「頑張って!」

ことり「う、うん!」

「何するのー?」

ことり「それは秘密っ!」

ことり(ここのクラスは学校のお祭りの定番中の定番、メイドカフェをする)

ことり(接客や呼び込み、何か作る人などの係決めをしそれに対して何が必要かなどの確認をした)

ことり(元々そういうのはもっと前から話し合ってたんだけど最終確認って意味で最後にひとまとめ)

ことり(明日は朝から飾り付けや品の準備をしたりで忙しくなりそうだ)

ことり(話し合いが終われば今日のHRは終わり、明日は大変な一日になるからそれの備えだね)


ことり(明後日はもっと大変だけど…)


ことり(そんなHRの終わり、穂乃果ちゃんは凛ちゃんと遊ぶらしくて海未ちゃんは弓道部に顔を出すみたいでことり一人、廊下を歩いてた時)

ことり「あ、絵里ちゃん」

絵里「あら、ことり」

ことり「何してるの?」

絵里「生徒会の仕事よ、こんな早く帰れる日でも生徒会はやることがあるっていうのはホント憂鬱よ…」

ことり「じゃあ手伝うよ」

絵里「いいわよ、大変よ?」

ことり「ううん大丈夫!」

ことり「ほらっ!やろっ?」

絵里「え、ええ」

スタスタスタ

絵里「あら、あれは」

ことり「真姫ちゃん!」

真姫「二人とも…」

絵里「真姫は帰り?」

真姫「ええ、まぁ」

ことり「じゃあことりたちと一緒に生徒会のお仕事しよ!」

真姫「…えっ?」



スタスタスタ

真姫「ことりって生徒会だっけ?」

ことり「ううん違うよ、今日は絵里ちゃんのお手伝い」

絵里「ごめんなさいね、真姫まで巻き込んで」

ことり「えっ?」

真姫「えっ…」

絵里「…あ、違うの!わざとじゃないの!」

真姫「お、面白いわね」

絵里「やめて!面白くないなら面白くないって言って!」

ことり「絵里ちゃん強く生きよう…」

絵里「当たり前よ!」

ことり「…」

真姫「…」

絵里「…ぷっ」

絵里「あはははは!」

ことり「ふふふふっ」

真姫「まったく…」

絵里「私たち、小さい時からこのノリね」

ことり「ねっ」

真姫「そうなの?」

絵里「ええそれは仲良しこよしだったわよ」

真姫「そうなの…」

真姫「…私ね、ことりや絵里たちの輪に入れてすごく嬉しい」

ことり(突然真面目な顔をし、丁度空いてた窓辺から外に顔を出して真姫ちゃんはふとそう言った)

絵里「ええ、私も真姫と出会えてすごく嬉しい」

ことり「ことりも!」

真姫「ありがとう」

絵里「私もあのグループに入れたこと、いつ思ってもすごく嬉しかったわ」

ことり(絵里ちゃんは真姫ちゃんの隣の壁に背中を寄せながら、優しい声でそう言った)

絵里「私ね、すごく思うんだけどもしみんなに会ってなかったら今頃どうしてたのかしら」

ことり「うーん…分からない…」

絵里「ええそうね、分からないのよ」


絵里「でも怖いの」


真姫「怖い?」

絵里「私は小さい頃から接し方が不器用不器用って言われ続けてきた」

絵里「だから希やにこ、穂乃果やことりと逢ってなんとか人との接し方を学んだの」

絵里「そんな中で私は一つの到達点に辿り着いた」

ことり「到達点?」


絵里「私、みんなが頼ってくれるような賢い人になればいいんだって思った日があった」


絵里「だから超勉強して今では生徒会長!」

絵里「今の私がここにこうしているのはみんながいたからなの」

絵里「だからこそ怖いの」


絵里「みんなと出逢わずに、人との接し方を、歩き方を知らない私が今ここにいたらどうなってたのかが」


ことり「…」

真姫「…」

絵里「…ふふっごめんなさい、こんな話になっちゃって」

ことり「ううんことりも同じようなこと思ったことある分かるよ」

真姫「やっぱり…そういうものなのね」

絵里「ええそういうものなの」

絵里「だからさっき言った通り、困ったことがあればなんでも相談しなさい?」



絵里「私のチカラはその人にしてあげられることに全力を尽せることだから」



絵里「みんなにいじられたりしてるけどこれでも私は」


絵里「賢い可愛いエリーチカ、なんだから♪」フフンッ


ことり「ふふふっそうだね」

真姫「珍しく頼り甲斐あるじゃない」

絵里「なによ珍しくって!」

真姫「冗談よ、絵里がしっかりしてるっていうのは全員が知ってるから大丈夫だと思うわよ」

絵里「そ、そう…」

真姫「…ねえついで私の話も聞いてくれない?」

ことり「うん、いいよ」

絵里「分かったわ」

真姫「私もさっき言った通り、みんなに出逢えてホントによかった」

真姫「…元々私って友達とか全然いなくて、小学校も中学校もほとんど一人で過ごしてきた」

ことり「そ、そうなんだ…」

真姫「ええ、だからついこの前、約一週間半前、穂乃果に出会った時は身体が火照るような“熱さ
”を感じた」

絵里「ふむ…」

真姫「話っていってもね、ほんの少ししかないの」

真姫「私が言いたいことはただ一つ」


真姫「これからも、どうぞよろしくお願いしますってね」


絵里「ええ!」

ことり「もちろん!」

真姫「それで、私みんなと一緒にいて分かったの」

ことり「?」


真姫「私の出来ること、それは私にか出来ないことでみんなを輝かせること」



真姫「それが本当の私のチカラ」



ことり「…!」

ことり(真姫ちゃんの目は輝いてた)

ことり(穂乃果ちゃんのような自分という存在だけで輝く瞳をしてた)

ことり(絵里ちゃんもそうだった、ピカピカな笑顔をしてた)

真姫「だから私にだって頼っていいんだからね、これでも頭はかなりいい方なんだから」

絵里「知ってるよわよーそれ、学年一位らしいじゃない」

真姫「当然よ!」

ことり「す、すごい…」

絵里「ふふ、こんなところに出逢えて私たち、幸せね」

真姫「ええそうね」

ことり「うんっ!」

絵里「…大切にしていきましょう、このグループを」

真姫「そりゃあね」

ことり「それはみんな同じだよ」


ことり「みんな同じ気持ちを持ってる、それは間違いないよ」


海未『いくら同じイメージを共有していても、他の人の経験やその時の気持ちは、本当は見えていないのだ』


ことり(あの言葉は違う、そうことりの経験が物語ってる)

ことり(絵里ちゃんも真姫ちゃんも、みんな同じ)


ことり(みんながみんなに、出逢えてよかったって思ってた)


ことり(その言葉が、何よりの証明だ)

ことり(本当は見えていないなんてただの屁理屈だ)

ことり「…」ギュッ

ことり(胸元にあるリボンをぎゅっと掴んだ)


ことり(ことりの心はもう、折れない)


ことり(一つの矢だと簡単折れてしまっても、九つ束ねれば折れない)

ことり(もう、本番はすぐそこなんだ)

ことり(残りの二日、ただ楽しむだけじゃ終わらせない)


ことり(この二日間にことりの一年分の、ううんもっと一生分の元気を込めるよ)

絵里「明日は音ノ木坂祭り準備よ?明後日もだけどちゃんと体調管理はするのよ?」

ことり「もちろん!」

真姫「分かってるわよ」

絵里「…ホントに生徒会の仕事手伝うの?」

ことり「それはそうだよ!」

ことり「…あ、なんかまずかった?」

絵里「い、いやホント時間かかるわよ?今日早く帰れるしもったいなかなーって」アハハ

真姫「別に私は家に帰っても暇だし」

ことり「私も大丈夫!」

ことり(その後真姫ちゃんと絵里ちゃんの生徒会の仕事を手伝った)

ことり(三人だったからすぐに終わった、外に出て正門を抜けた)

スタスタスタ

ピタッ

ことり「…」

ことり(立ち止まり後ろを振り向いた)

ことり(学校のまたその奥に見える藍色の空が今の時間の遅さを示してた)


ことり(すぐってどのくらいだろう、一日かな、一時間かな)


ことり(ことりのすぐっていうのはホントに、何時間だろうと一瞬のことだった)

ことり(だからすぐに時間は過ぎ、気付けば学校は祭りの準備で大騒ぎだった)

ことり「わわわわわっ!」

穂乃果「こ、ことりちゃん落ち着いて運ぼう!」

ことり「う、うん!」

穂乃果「よいしょ…よいしょ…」

ことり「ふう…」

穂乃果「やっぱり機材系は重たいね…」

ことり「ねっ…」

希「おーやってるか諸君たち」

穂乃果「あー!希ちゃんどうしてここに?」

希「ちょっと必要なもの取りに行くついでに」

ことり「そっか、そっちは順調?」

希「まあまあかな、まぁやるのはなんてたって平日だからお客さんも文化祭ほど大量にくるわけやないし隅から隅まで完璧にする必要はないんやないかな」

ことり「まぁ確かに…」

穂乃果「でもでも出来るところまではやるよ!」

希「そうやね!じゃあウチはいくね!」

ことり「うん!わかった、ばいばい」

希「ばいばーい」

スタスタスタ

穂乃果「さて、メイド服は…ってあれは…」

ことり「…!!」


海未「ちょ、ちょっとカメラこっちに向けないでください!」


ことほの「海未ちゃん!」

ことり「おーい!海未ちゃーん!」

穂乃果「何やってるのー!」

海未「ほ、穂乃果…ことり…」

ことり「きゃー!!可愛いー!!!」

モギューッ

海未「ぐふぅ…」

穂乃果「すごいすごい!海未ちゃんメイドだ!!」

穂乃果「…ところで何でこんなに人がいるの?」

海未「た、試しに着てみてって言われてきたらいっぱい人がきちゃって…」

ことり「そりゃあ海未ちゃん可愛いんだもん!いつもは凛としててカッコいいのにメイド服を着た時の可愛さギャップ萌えがすごすぎるんだよ!!」

海未「は、はぁ…?」

ことり「これはお客さんの数も期待できるね!」

穂乃果「おお!」

ことり「とりあえず海未ちゃんもそこで突っ立ってないで早く準備に移るよ!」

海未「は、はい!」

海未「で、では失礼いたします!続きは明日のお祭りでさせていただきます!」

「きゃー!!」

「絶対行きますー!!!」

穂乃果「すごい人気…」

ことり「海未ちゃん後輩にも先輩にもモテモテだから…」アハハ

スタスタスタ

「ねー!ことりー!」

ことり「あれ?絵里ちゃん?」

絵里「今こっち体育館の飾りつけしてるんだけど、出し物の確認とかあるの!」

絵里「だからちょっと来てー!」

ことり「あ、うん!」

ことり「ご、ごめん行ってくるね」

穂乃果「うん!行ってらっしゃい!」

海未「いってらっしゃい」

タッタッタッ

絵里「よしっ行きましょう?」

ことり「うん!」

タッタッタッ!

絵里「お待たせ!連れてきたわ!」

「あ、ことりちゃん!」

ことり「ごめん待たせちゃって」

「ううん!大丈夫!」

絵里「えっとさっき言った通りことりを中心とした九人で歌とダンスを披露するの」

絵里「CDはもうそっちにいってるでしょ?」

「はい!」

絵里「衣装とかもこっちで準備してあって、今日の朝ことりから預かったわ」

絵里「それでお願いがあるんだけど」

「お願い?」

絵里「私たちのやるステージは本物よ、だから最後にしてほしいの」


絵里「私たちが最高のパフォーマンスをするから」


ことり「えぇ?!絵里ちゃんちょっと?!」

「はい!分かりました!超期待してます!」

絵里「ふふふっ任せときなさい」

絵里「よーしっ!MVP取るわよ!」

ことり「えむぶいぴー?」

絵里「出し物で一番すごいと思ったところに送られる称号よ!これ取って最高の思い出にしましょう!」

ことり「す、すごいね気合いが…」

絵里「当然よ!でもそういうのを取る取らないの前に」


絵里「思いっきり、本気で楽しみましょう?」


ことり「…!」

ことり「うんっ!」

「リハーサルしまーす!出し物を出す人たちはこっちに集まってくださーい!」

絵里「はーい」

ことり「は、はーい!」

ことり(体育館の内装を見れば分かるけど、この空間は“本気”だった)

ことり(私たちが躍るにさいっこうの舞台、さいっこうの熱気を集められる空間だった)

「スポットライト準備おっけー!」

「音楽いいよー!」

「マイクもバッチリ!」

ことり「……」


ドクンッ


ことり(私、ここで踊るんだ、そう胸が高鳴った)


ことり(今日はただのリハーサルでみんな出し物を披露するわけじゃないけど、そのリハーサルでさえ見ようとギャラリーが少し来てた)

ことり(ざわざわと聞こえる喧騒に緊張感を感じた)

「最後-ことりさんたちのーえっとー…」


絵里「μ’s!希命名!グループ名はμ’sよ!!」


「最後はみゅ、μ’s!」

絵里「さっことりいくわよ」

ことり「う、うん」

スタスタスタ

ことり「!」

ことり(いざ本気の場所で本気のステージに立つと分かる)

ことり(ここで踊る偉大さと難しさが)

ことり「…」

プルプル

ことり(足が震えてた)

ことり(ものすごく怖くなった)

「はい、そこでμ’sの出し物が終わってそこで少し間を開けてMVPの発表に移る、という感じで!」

絵里「ことり、戻るわよ」

ことり「あ、うん!」

スタスタスタ

ことり「………」

ブルブル

ことり(まだ足は震えてた)

ことり(あのステージに立ち、スポットライトに照らされた時、ことりは緊張感のあまり爆発しそうになった)

ことり(これで当日はあれを、あのダンスをたくさんの人の前で踊るんだ)

ことり(ずっと踊るつもりで頑張ってきたけど、今になってその踊ることが果てしなく遠く見えた)

ことり「…」

ドクンッ

ことり「!」

ことり(胸に両手を当てると聞こえる鼓動、あのステージに対して混乱やどよめき、後は恐怖を覚えてる証拠だった)

ことり「…」ゴシゴシ

ことり(額に流れる汗、ことりは何かに焦りだしてた)

ことり(あのステージに怖気ついちゃったのかな、とにかくことりの心が今のままじゃダメって危険信号と警告を鳴らし続けてる)

絵里「…どうだった?あのステージ」

ことり「…!あ、えっと…ものすごく緊張した…」

絵里「でしょうね、だってあのステージに立ってたことりは全然笑顔じゃなかったもの」クスッ

ことり「絵里ちゃんは…ああいうの平気なの?」

絵里「もちろんっ仮にもバレエをしてたのよ?人前で踊ることくらい慣れっこよ」

ことり「…」

絵里「…答えはすぐに見つかるわよ」

ことり「え?」


絵里「さっきステージには欠けてるものがある、だからことりはあそこで笑うことさえ出来なかった」


ことり「欠けてるもの…?」

絵里「その答えはすぐに出るから、今は今に集中しなさい」

ことり「う、うん…」

ことり(リハーサルを終えて教室に戻った)

ことり(そしたら穂乃果ちゃんがとんでもないことを言いだした)


ことり「お泊り?!」


穂乃果「そう!学校にお泊り…出来ないかな…?」

海未「む、無茶かと…」

ことり「…ううん!無茶じゃない!お母さんに頼んでみる!」

穂乃果「うん!お願い!」

海未「ええ?!大丈夫なのですか?!」

ことり「大丈夫!お母さん優しいから!」

タッタッタッ!

海未「あ、ちょっと!」

ことり「絶対説得しないと…!」

ことり(やってそうでやってなかったお泊り、とても楽しそうだと思った)

ことり(穂乃果ちゃんと過ごす時間も残り少ないんだ、さいっこうに楽しめる時間を作らないと)

ガチャンッ!

ことり「お母さん!!」

ことりママ「ど、どうしたのことり…」


ことり「今日学校でお泊りさせて!!」

~夜

凛「んにゃあああ!!!ごきぶりいいいい!!!」

花陽「ぴゃああああああ!!!?」

海未「きゃああああああ?!?」

にこ「うっわ…」

穂乃果「な、なんか早いね…出るの…」

希「まぁ廊下なのが救いやん、早く調理室にいこ?」

穂乃果「あ、そうだね」

ことり「…」キョロキョロ

希「ん?どうしたん?」

ことり「ご、ゴキブリもういないかなって…」

穂乃果「あははは!大丈夫だよ!」

希「あっ!ゴキブリ!!」

ことり「っ?!」

ことり「きゃあああああああああ?!?!」ピョンピョン

希「あっははははは!嘘だよウソ!」

真姫「ぷっくくく…ぷはっ…」

穂乃果「ことりちゃんか~わいい~」クスクス

ことり「も、もー!希ちゃんっ!!」プンプン

絵里「からかうのも大概にしときなさいよ希は…」

希「あははごめんって」

にこ「あ、ゴキブリ」

絵里「ひゃああっ?!」ビクゥ!

絵里「っていないじゃない!」

にこ「ふっ…」

絵里「にこ!あなたねぇ…」

穂乃果「あはは…でもやっぱり学校でお泊りするのはなんかワクワクするし楽しいね!」

凛「ねっ!」

海未「まさか本当に受諾するなんて…」

ことり「お母さん、なんだかんだすごく甘い人だから…」

プワプワプワ


ことりママ『お泊り…?!そういうのは事前に報告を入れないとダメなんだけど…?』

ことり『えっ…じゃあ…』シュンッ

ことりママ『……でも今回は特別よ?いいわよお泊りして』

ことり『ホント?!』キラキラ

ことりママ『教室とかは飾りつけやらなんやらでごっちゃだろうし寝る時はここを使いなさい、料理は調理室を使いなさい』

ことりママ『食材とかは大丈夫?私が持っていこうか?』

ことり『あ、うんじゃあお願い』

ことりママ『ええ分かったわ』


プワプワプワ…

ことり「…甘いなぁ」

ことり(改めて感じる親バカさ、でもこの甘さに感謝しないといけない)

ことり(ことりもいいお母さんを持ったなって悔しいけどなんだか誇りに思ってきちゃって、今日だからこそ言えるけどことりのお母さんは最高のお母さんだった)


ことり(そして今、学校の薄暗い廊下を歩く九人の姿がある)

にこ「料理は私主体でやるからちゃんとやりなさいよ、食べるものなんだから」

凛「わかってるよ~」

穂乃果「もちろん!本気でやるよ!」

ことり「ついたね、ちょっと待ってて鍵開けるから」

ガチャッ

ガララ

にこ「そこに食材置いといて、作るのは無難にカレーよ」

花陽「おお!!」

希「定番やね!」

凛「テンションあがるにゃー!」


絵里「よしっ!料理作るわよー!」


「おー!」


ことり(みんなでカレーを作った、こんな経験滅多にないと思う)

にこ「だー!にんじんの皮向きはもっと丁寧にやりなさい!」

穂乃果「ご、ごめんなんか難しくって」アハハ

絵里「こ、こう?」

ことり「そうそう、そんな感じ」

希「ふふふっ玉ねぎの切り方も知らんの?えりちは」クスクス

絵里「だ、だって玉ねぎを切ることなんてないから仕方ないじゃない!」

真姫「ことりは流石ね」

ことり「ま、まぁお料理好きだからね」

花陽「ご飯炊けたよー!!」

希「お、いいね」

にこ「こっちももう出来てるわ、後はあいつらだけね」

ことり「ことりのはもう大丈夫だよ」

絵里「うぅ…ぐすっ…」ポロポロ

希「玉ねぎ切っただけでそんな泣くんか…」

凛「凛もいいよー!」

穂乃果「私もー!」

にこ「んー…あんたらは相変わらず雑だけどいいわ、妥協するわ」

穂乃果「やったー!」

凛「いえーい!」

ことり(みんなと一緒にいる泡沫の時間の中で感じるものは些細なことでも膨張してとても大きなものに感じた)

ことり(息を吸うタイミングが重なったり、連鎖するようにあくびをしたり、喋るタイミングがかぶったり、そんな些細なことが嬉しく楽しく照れくさく感じた)

ことり(まぁ結局何を思っても最後に感じるのは)


ことり(ホントに楽しかった、ということ)


ことり(カレーを食べ終わったら次はどうしようという話になった)

ことり(色んな案が飛んだけど採用されたのはこれだった)



穂乃果「屋上に行かない?」


ことり「屋上?」

穂乃果「うんっ!星とかあると思って!」

希「いいやん、みんなで夜空を見に行こうや!」

絵里「そうね、そうしましょう」

凛「よーしっ!いっくにゃー!」

花陽「おー!」

真姫「お、おー」

にこ「おー」

ことり(屋上に上り夜空を見ることだった)

ことり(食器を洗ってやることをやって調理室から出た、如何せん廊下にはゴキブリがいたからドタバタ走りながら屋上についた)

ことり「うわあ…!」

穂乃果「すごーい!」

海未「…綺麗ですね」

ことり(まず屋上に出て放たれた言葉は、驚きと魅了の言葉だった)

絵里「幻想的ね」

にこ「…そうね」

希「ええなぁこういうの」

凛「…」

花陽「どうしたのそんなぽかーんとしちゃって」

凛「あ、ううんすごく綺麗で見惚れちゃって…」アハハ

真姫「綺麗ね…」

ことり(幻想的な空に全員が見惚れてた)

ことり(ことりの瞳には満天の星が映ってた、久々の夜空で夜の景色も忘れてしまってた)

ことり(月が光ってた、白く黄色く光ってた)

ことり(月が綺麗で、星が綺麗で、次第にその夜空が滲みだした)

ことり「…」

ポロポロ

穂乃果「わぁ?!ことりちゃん泣いてどうしたの?!」

ことり「あ、ううん…綺麗で…」

海未「ふふふっ想像力豊かなことりは何を想像したのですか?」クスッ

ことり「も、もーからかわないでよ」

海未「すいませんね」フフッ

ことり「もー…」



穂乃果「…明日、頑張ろうね」


ことり「もちろん!」

海未「はいっ!」

絵里「超頑張るわよ!」

希「精一杯楽しもな!」

にこ「弾ける準備は出来てるわよ!」

凛「凛もっ!」

花陽「頑張りましょう!」

真姫「本気でやるわよ!」


「おー!」


穂乃果「…ふふっ」

絵里「あはは」

ことり「えへへっ」

凛「んふふふ」

にこ「さっ理事長室に戻るわよ」

希「戻ったらトランプとかジェンガとかで遊ぼっか!」

真姫「いいわね、負けないわよ」

凛「凛もいくいく!」

花陽「私も!」

スタスタスタ

ことり(夜景と夜空に満足したのか、みんなは帰っていった)

ことり(そして三年生、一年生のみんなが屋上から離れた時のこと)

海未「穂乃果とことりはどうしますか?」

ことり「ことりはもうちょっとここにいたいかな」

穂乃果「私も」

海未「そうですか、じゃあ先行ってますね」

穂乃果「うん!後でいくよ」

ことり「ことりも!」

海未「はい、それでは」

スタスタスタ

ガチャンッ

ことり「…」

穂乃果「…」

ことり(海未ちゃんも理事長室に戻り穂乃果ちゃんとことりの二人っきりになったんだ)

ことり(だからこそ、話す内容もちょっぴり切ない話だった)


穂乃果「……“明日”だね」


ことり「…そうだね」

穂乃果「さよならは…言わないよ」

穂乃果「私とことりちゃんはいつでも一緒、そうでしょ?」

ことり「…うん」

ことり「いつ…消えちゃうの?」

穂乃果「分からない…けど、ダンスを終えるまでは消えないと思う」

ことり「そっか…」

穂乃果「私ね、みんなで、みんなと一緒に何か大きなことをするのが夢だったの」

ことり「…」

穂乃果「欲張りをいえばもっともっと大きなこと、たくさんしたかったけど私が生きれるのは二週間だけだから、あのステージでみんなで踊れるっていうのはホントに嬉しかった」


穂乃果「だからあのステージに悲しみはいらない」


穂乃果「例え私の命日だとしても、あのステージだけはさいっこうのステージにしよ…?」ウルウル

ことり「…!」

ことり(穂乃果ちゃんの潤んだ瞳をみてこっちまで泣きそうになった)

ことり(ことりは穂乃果ちゃんと別れること、人生で最大の不幸だと思ってる)


ことり(ただ、穂乃果ちゃんにとっては明日という日を迎えることが全ての終わりであることにことりとの差を感じるんだ)


ことり(一番泣きたいのは、一番悲しいのは穂乃果ちゃんであることをことりは知ってる)


ことり「…泣かないでよ」

穂乃果「えへへ…ごめんね…」

ことり「悲しいことはやめよう?もうみんなのところいこうよ!」

タッタッタッ

ことり(本番前に辛い思いなんてしたくないから、穂乃果ちゃんの泣き顔なんて見たくないから、また別れに怯えるのが怖いから)

ことり(無理矢理話をぶった切ってみんなのところへ行こうとした)


ことり(そんな時、聞こえた)


ことり(後ろから、響くような叫ぶような囁くような声が聞こえた)


穂乃果「ことりちゃん」

ことり「!」

フワァ…

ことり(振り返った瞬間、浮遊感を感じた)

ことり(そして次に感じるのは生暖かい風と無数に飛び散る花びらの舞)

ことり「穂乃果…ちゃん?」

ことり(そして次第に見えるのは大きな水たまりのその向こうの白い花畑に凛々しく立つ穂乃果ちゃんの姿)



『よーしっ!もう一回!』


ことり『!!』

ことり『穂乃果ちゃん?!』


ことり「!」

ことり(あの時の続きなのかな、あのブラックアウトした視界の続きなのかな)

ことり(全く頭になかったあの記憶が突然脳裏を過った)

ことり(空は、夜でもなく昼でもなく)


ことり(日が沈もうとしてる夕方だった)


穂乃果「ねえことりちゃーん!」

ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「ちょっとお話しようよー!」

ことり「お話ー?!」

穂乃果「そうだよー!」

ことり「何なの話ってー!」

穂乃果「えっとねー!ことりちゃんはねー!」

ピチャピチャッ

ことり「!」

ことり(喋りながら、あの水たまりを歩いて穂乃果ちゃんはこっちへ向かってきた)

穂乃果「みんなに信用されてるんだよ!」

穂乃果「この二週間、みんなの想い聞かなかったー?!」

ことり「みんなの想い…」



希『もし、本当にそういうことが起こったらウチはそうするかな』


花陽『“本当の”小泉花陽は、みんなに“本気の”エールを送る人だから♪』


海未『困った時は、泣きたい時は、縋りたい時はいつでも頼ってください』


凛『…だからお礼がしたかったんだ』


にこ『私のチカラは、誰よりも強く相手の背中を押してあげることだから』


絵里『私のチカラはその人にしてあげられることに全力を尽せることだから』


真姫『これからも、どうぞよろしくお願いしますってね』

ことり「…聞いたよ!聞いた!」

穂乃果「どう思った?どう感じた?」

ピチャピチャッ

ことり「ことり、頑張らなきゃって思った!困った時は手を貸してくれて!相手が悩んでる時はことりが手を貸す!ううん!手を差し伸べる!」


ことり「今あそこにいる九人がさいっこうのメンバーだと思った!」


ことり「その人にしか出来ないことを尊重して!本気で笑いあって本気で何かをして本気で今という日を走り抜ける!」

ことり「本気の集団だよ!いつだって!ずっとずっとことりたちは!」

穂乃果「そうでしょー!だからこそことりちゃんはもう大丈夫なんだよ!」

ことり「大丈夫?」

穂乃果「私がいなくてももう大丈夫!」


穂乃果「ことりちゃんは強いから!」





穂乃果「ことりちゃんのチカラは既に輝きだしてるから!!!」



ことり「ことりの…チカラ…?」

穂乃果「うん!」

ピチャッピチャッ

穂乃果「ことりちゃん、この前はこの水たまり飛び越えられなかったでしょ?」


ことり『跳べるっ!』


穂乃果「あの時のことりちゃんにはみんなの想いがなかったら飛べなかった!」

穂乃果「ことりちゃんがまだ自分のチカラを発揮出来てなかったから飛べなかった!」


穂乃果「でももう“翔べる”よ!」


穂乃果「翼なんていらない!ことりちゃんの足だけで!駆けて翔んで!」


ギュッ

ことり「!」

ことり(ことりの手と穂乃果ちゃんの手が合わさった)

ことり(その瞬間花びらは空高く舞い上がった、下から上へと突き抜ける風と花びら)

ことり(それはどこまでも、空高く空高く宇宙へと舞い上がっていく)

ことり「と、翔ぶって」

穂乃果「そのままだよ!この水たまりを翔び越える!」

ことり「え、えぇ?!無理だよ!」


穂乃果「無理じゃない!」


ことり「!」

穂乃果「もう、明日この空になる頃には私はいない」

穂乃果「今度はことりちゃんの番」



穂乃果「ことりちゃんがみんなを引っ張る、みんなの太陽になる番だよ」



ことり「!!」

穂乃果「ほらっ!あそこに足跡があるでしょ?」

ことり「う、うん」

ことり(ことりの後ろの坂にはこちらへと向かう足跡がしっかりと残ってた)

穂乃果「あれが私の足跡、あれが私の翔んだ軌跡」

穂乃果「次はことりちゃんが翔ぶんだよ、ことりちゃんがその道に」



穂乃果「新しい軌跡/奇跡を生むんだよ!!」



ことり「!」

穂乃果「だから走って!」

穂乃果「あの坂のてっぺんから!あの坂のてっぺんから走って翔んで!」

ことり「…うん!」

ことり「ことり翔ぶよ!」

穂乃果「うんっ!」

スタスタスタ

ことり「すー…はー…」

ことり(坂のてっぺんに上り目を瞑って深呼吸をした)

ことり「…よしっ」

ことり「行くよ!」

穂乃果「うん!」

ダッ

タッタッタッ! タッタッタッ!


穂乃果「いっけええええええええええ!!!」

ことり「はああああああああああああッ!!!」


ピョーンッ!


ことり(浮いた、空高く翔んだ)


ことり(空へと続く花びらと一緒に翔んだ)


ことり(翔び空中に浮いてる間に聞こえた)

ことり(穂乃果ちゃんの言葉)


穂乃果「ことりちゃん」


ことり「!」

ことり「穂乃果ちゃん?」



穂乃果「私のチカラはみんなを本気にさせること」


穂乃果「みんなを引っ張ってやる気を出させてみんなで楽しめる場を作ること」

穂乃果「ことりちゃんが翔んだ今、私の役目はもう終わった」

穂乃果「…頑張れ!ことりちゃん!ずっと応援してる!」

穂乃果「後は楽しもう!後は笑おう!」

穂乃果「ことりちゃんのチカラで!」


穂乃果「ことりちゃんはホントにすごいチカラの持ち主だよ!」


ことり「何それ?!ことりのチカラって何なの?!」


穂乃果「ことりちゃんのチカラは―――――――!」


ことり(その声が耳に届いた瞬間ことりは白い花畑に足をつけた)

ことり(そして同時に視界が)


ことり(ホワイトアウトした)

「正解は、一つじゃないよ」


「ことりちゃんがそう思ったなら、それが正解なんだから」


「明日、頑張ろうね」




「私とことりちゃんの“最後の日”」


ことり「…はっ!」

絵里「おきなさーい!朝よー!」

海未「絵里、もうちょっと静かにした方が…」

絵里「こうでもしないと起きない人がいるのよー!」

穂乃果「むにゃむにゃ…あと五分…」

絵里「ほらっ!」

海未「まったく…」

ことり「…朝」

ことり(気付いたら朝だった、あの水たまりの場所を翔んでから記憶がない)

ことり(もう、本番は目の前だった)

にこ「うるさいわね…」

真姫「ホント何よ…」

絵里「やっと目が覚めたわね、今日よ!音ノ木坂祭り!」

花陽「うぅん…?もう朝…?」

海未「おはようございます花陽」

花陽「お、おはよう」

凛「ぐー…ぐー…zzz」

ガチャッ

希「お、みんな起きてるやん!」

ことり「希ちゃん、起きてたんだ」

希「ウチはいつも早起きやからね、それより早く着替えよう?みんなそれぞれクラスで使う服あるやろ?」

海未「そうでした…メイド服って意外に着るの大変なんですよね…」

ことり「ふふふっじゃあことりが手伝うから」

海未「す、すいません」

絵里「こらっ!穂乃果おきなさーい!」

穂乃果「うわー!遅刻ー!!?」

穂乃果「…て、あれ?」

にこ「なにやってんだか…」

ことり「あはは…」

凛「んん…」

海未「おはようございます、凛」

凛「あぁおはよう…」

真姫「凛には珍しいひっくいテンションね…」

花陽「凛ちゃん寝起きには弱いから…」アハハ

海未「じゃあ穂乃果、ことりメイド服に着替えますよ?」

穂乃果「あ、うん!」

ことり「はーい」

海未「あ、お手洗いに行くので先に行っててください」

ことり「分かったよ」

ガチャッ

スタスタスタ

穂乃果「…もうすぐだね」

ことり「そうだね」

ことり「…!穂乃果ちゃんそれ…!」

穂乃果「…ん、あぁ大丈夫、ステージが終わるまでは持つから」

ことり「う、うん…」

ことり(穂乃果ちゃんの体が透けてた)

ことり(少ししたら元に戻ったけどなんか実感しちゃったんだ)


ことり(本当に終わりが近づいてるんだって)


ことり「…よしっこれで大丈夫」

穂乃果「うわー!メイド服ってかわいいね!」ヒラヒラ

海未「ええお二人ともすごく似合ってますね」

穂乃果「海未ちゃんも似合ってるよ~!」

海未「そ、そうですか?ありがとうございます」テレッ

ことり「ふふふっ」クスッ

ことり「じゃあ穂乃果ちゃんは今日、呼び込みお願いね」

穂乃果「うん!任された!」

ことり「私はお料理作る係と接客の兼業だからよろしくね」

海未「分かりました」

穂乃果「海未ちゃんは何係だっけ?」


海未「…マスコット係と接客の兼業です」


穂乃果「マスコット係?」

海未「お客さんと写真を撮ったりご奉仕する係だそうで…」

ことり「海未ちゃん可愛いからマスコットに選ばれて当然だよ♪」

海未「うぅ…」

ことり(朝早くから三人で盛り上がった)

ことり(時間が立てばクラスのみんながきて各自準備に取り掛かってた)

希「お、メイド服いいね~後でお客さんとしていくな~」

穂乃果「おお!そのなにその恰好!」

希「魔女やで?ウチらはお化け屋敷をするんだけどウチは呼び込み係やから怖くない恰好でも大丈夫!」

ことり「ふふふっ可愛いね」

凛「にゃー!ソーラン!ソーラン!」

海未「あれは…」

真姫「ちょ、ちょっと待ちなさいって!」

穂乃果「おーい!凛ちゃーん!」

凛「えっへへー!みんなー!」

ことり「その服ははっぴ?」

凛「そうそう!凛のクラスは無難に射的とかそういうのをするから!」

海未「なるほど…」

ことり「真姫ちゃんも凛ちゃんも似合ってるね♪」

真姫「あ、ありがとう…」

凛「えへへっ!」

ことり(みんなも準備万全のようでことりたちに顔を見せに来てた)



絵里「音ノ木坂祭り、始まりよ!!」


ことり(そして始まった音ノ木坂祭り、平日とはいえどお客さんの数は文化祭と勝るとも劣らないほどの大盛況だった)

ことり「いらっしゃいませ♪」

海未「い、いらっしゃいませ!」

ことり(ここのクラスには海未ちゃんもいて、穂乃果ちゃんの元気いっぱいな呼び込みもあってお客さんが行列を作るほどだった)

海未「ことり!ご指名入ってますよ!」

ことり「え、またことり?!」

「いいよ!私たちで作っとくから行ってきな!」

ことり「う、うんごめんね」

スタスタスタ

ことり「いらっしゃいませ♪今日はどうなさいますか?お料理ですか?写真撮影ですか?」


ことり「それともわ・た・しですか?」ニコッ


ことり「…ふふふっなんて冗談です、どうなさいますか?」

ことり(不思議なことにことりが人気だった)

ことり(それに海未ちゃんもいたからホントにホントに休める時間が無くて、大変だった)

ことり(でも、この時間が楽しくて楽しくて仕方がなくて、呼び込みを終え帰ってきた穂乃果ちゃんも接客に参加して更なる混沌の渦を巻き起こした)

穂乃果「いらっしゃいませ!」

海未「いらっしゃいましぇ…ううぅ…!」

穂乃果「あははー!海未ちゃん噛んだー!」

海未「う、うるさいです!」

ことり「あはは…」

ことり(時計を見るたびに小さい方の針が大きく動いてて、気付けば昼が過ぎてた)

海未「ことり!ご指名入ってます!」

ことり「い、今いく!」

ことり「ごめん任せるね」

「いってらっしゃい!」

穂乃果「ことりちゃんご指名きてるよー!」

ことり「ま、待ってぇ~!」

絵里「ことり!そろそろ準備しないと間に合わないわよ!」

ことり「え、えぇ~?!」

穂乃果「じゃあそっちいこっ!」

海未「す、すいません!私たち穂乃果、ことり、海未は体育館の見せ物ステージでダンスと歌を披露させていただきます!よかったらそちらの方でもよろしくお願いします!」

ワーワーワー!

海未「いきましょう、ことり、穂乃果」

ことり「うん!」

穂乃果「ほいさっさ!」

絵里「よしっ行きましょう」

タッタッタッ!

絵里「というかそっちは大盛況ね!」

ことり「お客さんが全然減らないよ!」

海未「ホントですよ!もう休める時がなくて」

穂乃果「ねー!」

絵里「いいじゃない!人気の証拠よ?」

穂乃果「そうだね!」

絵里「衣装は理事長室に置いてあるからそこで着替えましょう」

穂乃果「うん!」

海未「分かりました」

ことり「了解!」

ことり(理事長室で衣装に着替えた、事前にサイズは確認してことりが完璧に仕上げてきたから衣装問題は特になかった)

凛「うわー!すごいよこれ!」

穂乃果「ねっ!すごいすごい!」

にこ「いい衣装じゃない」

花陽「そうだね!」

ことり「…よしっ」

海未「頑張りましょうね」

希「楽しんでいこうな?」

穂乃果「超盛り上げちゃうよ!」

ことり「よしっ!体育館に向かうよ!」


「おー!」


ことり(体育館のステージ裏に向かった、今ちょうどことりたちのラストステージから一つ前の出し物が行われてる)

ことり(来るなりなんなりで曲や人数の最中確認をし、後は待つだけになった)

ことり「…」


ドクンッ


ことり「…っ」

ことり(そして襲うはあの時の恐怖)

ことり(怖くて喋ることも笑うことも出来なかったあのステージ、緊張感、圧迫感、失敗出来ないという気持ちから生まれる強い念)

ワーワーワー!

ことり「うっ…」クラッ

ことり(耳の奥にまで響き渡る歓声で目が眩んだ)

ことり(ここで踊れるのかな、ここで歌えるのかな、ここで楽しめるのかな)

ことり(そんな三つの思いが心の中でくるくるくるくる回ってる)

トンッ

ことり「!」

ことり(そんな時肩に何かを感じた、何かが置かれるようなそんな感覚)


穂乃果「ことりちゃんはもう、一人じゃないよ」


穂乃果「みんないる、みんないるから怖くない」

穂乃果「みんながついてるから失敗だって恐れない」

穂乃果「みんなを信じることで乗り切れるんだ、ことりちゃんはもう一人じゃない」


穂乃果「ことりちゃんには信じる相手がいるから、大丈夫」


絵里「…分かった?ことり、あの時の答え」


絵里『さっきステージには欠けてるものがある、だからことりはあそこで笑うことさえ出来なかった』


ことり「!!」

ことり「…」チラッ

海未「ふふふっ任せてください」

にこ「私が背中を押してやったんだからぜぇったいに楽しくするわよ!」

花陽「この機会を逃していつ楽しむんですか!今しかありません!」

希「その通り!お客さんをウチラの本気《カオス》の渦に巻き込んじゃうよ!」

凛「ことりちゃんが教えてくれたんだからね!輝くことの楽しさを!」

真姫「ここまで来たんだから頑張りましょう、最後の最期まで、本気よ」

「頑張れ!」

「応援してるよ!」

「期待してるぞ~!」

ことり「みんな…!」

ことり(あの時の答え、分かったよ絵里ちゃん)

ことり(そういうことなんだね、欠けたものって)

ことり(…そうだよね、あの時はなかった)

ことり(いなかった)


ことり(みんな、という存在がなかったんだもん)


ことり(みんなとならどこまでもいける、みんなとなら笑いあえる)



ことり(みんなとならこのステージで踊れる!)


ことり「よーしっ!みんな頑張ろう!」


「おー!」


穂乃果「始める前に何かしよ!」

海未「何か?」

穂乃果「みんなピースして!」

凛「ピース?」

穂乃果「そうそう!これをこうやって繋げるの!」

絵里「おお」

希「なんかいいねこれ」

穂乃果「でしょー?この状態でえっと…ことりちゃん耳貸して!」

ことり「え?あ、うん」

穂乃果「えっとね―――――」ゴニョゴニョ

ことり「…うん!分かった!」

ことり「μ’s!番号言っていくよ!」

にこ「番号?」

真姫「なにそれ?」

ことり「いち!」

穂乃果「に!」

海未「え、あ、さんっ!」

凛「じゃあ凛はよん!」

花陽「じゃあ私も続いてごっ!」

真姫「ろ、ろく!」

希「じゃあななもーらい!ななっ!」

にこ「じゃあはち!」

絵里「きゅう!」



ことり「μ’s!ミュージックスタート!」



「おー!!」

穂乃果「あはは!みんなノリいい~!」

真姫「何かするならちゃんと言いなさいよ…」

希「でもでもいいやん!ウチららしくて」

絵里「そうね、とにかく何も考えずに前へ突っ走る姿勢はちょっと合ってるかも」

ことり「えへへ」

「μ’sのみんな!もうだよ!」

ことり「!」

にこ「きたわね」

海未「楽しみましょうね!」

絵里「ええ!」

凛「よーしいっくにゃー!!」

真姫「すー…はー…よしっ準備おっけーよ!」

花陽「私も!」

希「みんな見といてよー!ウチらのステージ!」

「続きましてラストステージを飾るのは、この学校の生徒九人で結成されたグループ」


「μ’sの皆さんです!」


ウオオオオオオ!

ことり「よしっ!いくよ!」

タッタッタッ

ことり「皆さんこんにちは!μ’sです!」

ことり「私たちμ’sは今日のために!今日のこのステージのためにダンスを練習し歌を作り、それを歌えるようにしてきました!」

ことり「笑いがあってちょっぴり涙があって、時に問題があったりしました!」

ことり「そんな大量の想いが詰まった今日の一曲、聴いてください!」



ことり「Wonderful Rush!」



ことり(辺りが静まった、スポットライトの光とことりたちの想いだけが輝くこのステージ、注目はもちろんステージに立つみんなと、センターのことりだった)

「Dan dan ココロ!Dan dan アツク!夢いっぱい叶えてみせるっ!」

「Dan dan ススム!Dan dan ハジケル~!」


ことり「未来をしっかり見てっ!」


「Hi hi ススメ!まだまだLet's go!Hi hi ススメ!ほらほらlet's go!!」

ことり(歌が始まると同時に歓声が沸きあがった、一部の人はサイリウムを持ってたみたいで観客の間にはちらちらと光が見えた)

ことり(まだ始まりだというのに会場のボルテージはMAXといっていいほどだった)

ことり(ダンスも歌も完璧、このステージは見る人を魅了するパフォーマンスそのものだったと思う)

「これからのWonderful Rush!みんな幸せになるため~!」

「新しい世界♪探し行こうよ~!」

「迷ったらWonderful Rush!僕は~輝きを信じて~♪」

「遥か遠くの虹だけど…そうきっと掴んで!」

「uh~hi!」

ワーワーワー!

ことり(会場の熱気は更に熱くなった、このステージでは汗も煌いて何もかもが輝きだしてたんだ)

「Hi hi ススメ!まだまだLet's go!Hi hi ススメ!ほらほらLet's go!!」


ことり「未来をつかまえて!」

にこ「人生気分で上下左右♪」

真姫「運命ときに急展開!」

花陽「最低↓!」

穂乃果「最高↑!」

希「最大↑!」

海未「最新↑!」


えりりん「Let's go!遠くに Super jump!!」ピョーン!


ことり(よく見れば観客の数は体育館じゃ入りきらないほどのフルだった、熱気が、歓声が、私たちの声が体育館の外にまで聞こえて、それにみんなつられてくるんだ)

ことり(時々歌って踊ってるとみんなと目が合う、それに合わせてウィンクをするんだけど、それだけで伝わってくるんだ)


ことり(今がどんなに楽しいか、見える瞳が全てを語ってるんだ)


ことり(それは言わずもさいっこうの、さいっだいの、さいっしんの本気のステージだった)

海未「大事だよ♪」

ほのえり「なんだっけ?」

花陽「小さな努力!」

のぞりん「そうだった!」

にこ「いまが好きで♪」

ことまき「愛なんだ?」

穂乃果「ぶつかるんだ!!」

うみえり「そうなんだ!」

希「勢いよくね♪」

りんぱな「大胆に?」

真姫「一生懸命!」

ことにこ「そうだった!」

絵里「勢いつけて♪」

ほのうみ「大胆に?」


「一生懸命だっ!!」


ことり(瞳と瞳を合わせて掛け合いのバトンタッチをした、笑顔も忘れてないよ)

「始まりのWonderful stage!みんな次の場所立つんだ~♪」

「めぐり逢う季節~新鮮な景色~♪」

「胸はずむWonderful stage!ぼくが~目指すのは綺麗な~♪」

「遥か遠くの虹だから…さぁ、出発だよっ!!」


パチンッ


ことり「!」

穂乃果「?!」

真姫「うそ…」

絵里「こんな時に…!」

ことり(歌が止まった、照明が消えた、何かのトラブルだと思う)

ザワザワ ヤザワザワ

ことり(ざわつく観客とステージの上のみんな)

ことり「…」


ギュッ


ことり(ただ、ことりは焦らなかった)


ことり(心の中にあるのはただ一つの未来と答え)

ことり(口から出たものはことりの執念と想い)


ことり(あぁ、これなんだ、これが私のチカラなんだ)

ことり(なんで気付かなかったんだろう)

ことり(ことりのチカラって、こんなにもすごいものだったんだ)

ことり「すー…はー…」

ことり(ことりのチカラは)

ことり「…よしっ」

ことり(誰よりも明るく)

ことり「いくよっ」

ことり(誰よりも優しく)

ことり「はー…」

ことり(誰よりも楽しく)



ことり「Wonderful…♪」



ことり(みんなを幸せにすること!)



ことり(無理矢理を押し通して不可能を可能にすること!)


ことり(みんなを引っ張って楽しい未来を作ること!)


ことり(真姫ちゃんごめん、ここのWonderfulは真姫ちゃんのパートだったけど…今は…仕方ないよね)

ことり「…」チラッ

真姫「!」パチパチッ

ことり「ふふっ」

ことり(真姫ちゃんの方に向いたらウィンクをしてくれた、いいよって瞳が語ってた)

ことり「…」チラッ

にこ「!」コクンッ

ことり(次のパートはにこちゃんだ、にこちゃんに顔を向けてバトンタッチをした)

ガタンッ

ことり(スポットライトも照明も回復した、音楽は出ないけど熱気ならまだまだある)

ことり(もう、輝ける準備は出来てるよ)


ことり(もう、本気でやれる準備は出来てるよ!)

にこ「Wao!どうしようか?Dreams Come True!」

にこ「当然!Let's go!」


「Three!Two!One!ZERO!」


「Hi hi Super jump!Oh yeah Super jump!」

「Life is Wonder!まだまだ Let's go!」

「Hi hi Super jump!Oh yeah Super jump!!」


ことにこまき「Life is Wonder!Wonderful Rush!」


「はいっ!」

ことり「もっと近くで~語りあいたいな~♪」

ことり(ことりの想いはみんなに、観客に届いてるだろうか)

ことり「頷いた君とどこまで♪走ろうか~?」

ことり(ことりの瞳は輝いてるだろうか)

真姫「果てまで~♪」

ことり「走ればいいさっ♪」

ことり(ことりの心は限界を迎えてるのだろうか)

にこ「限界なにそれ?No Thank you!OK!」

ことり「Oh Yeah~♪」

ことり(…うん、そうだよね)

ことり(限界なんてないよ、どこまでもずっとずっといける)

ことり(みんなとなら、出来ないことなんてないよ)

ことり(ことり、もう決まってたよ、穂乃果ちゃんがずっと傍にいてくれたから、辛い時にそっと支えてくれたのは穂乃果ちゃんだったから)

ことり(この出逢いに再び感謝して、この出逢いに一生の運命を感じて、この出逢いを無駄にしない)



ことり(ことりは一生、幸せでい続ける!)


ことり(絶望にも負けない!一人じゃないから!みんなを笑顔にしてみせる!一人じゃないから!)

ことり(穂乃果ちゃんがいなくても笑ってみせる!一人じゃないからっ!!)


ことり(だから…ことりの隣、ずっと歩いてくれるよね?)


ことり「みんな…」


「心配いらない All right!!」


ことり「!」

絵里「当たり前でしょ?」

希「いつでも一緒やん♪」

にこ「しょうがないわねぇ…」

凛「凛はいつでもみんなと一緒だよ!」

花陽「私だって!」

真姫「多少の無理くらい突っ走ってやりましょうよ!」

海未「私たちは、九人で一つですから!」


穂乃果「ことりちゃん、私もずっと一緒だよ!」

ことり「えぇ?!みんな…どうして…?」

海未「ことりの考えてることくらいわかりますよ」

絵里「ねっ」

希「ねー」

ことり「えぇ?!そ、そんなわかりやすかったかな…」

にこ「ええわかりやすすぎよ」

真姫「…でもわかりやすすぎるからこそ」

凛「ことりちゃんの本心が聴けた!」

花陽「私たちも後に続くよ!」

穂乃果「いこう!」


ことり「みんなっ…!」


ポロポロ…


ことり(このみんなのところが、ことりがいるべき場所だってこと、痛いほど感じた)

ことり(幸せすぎて涙が出てきた、涙を流しながら思ったんだ、誓ったんだ、決意したんだ)



ことり「このステージ、踊り切るよ!」


「うんっ!」


~~~♪


ことり(歌が流れ出した、さいっこうのタイミングだよ)


ことり(これなら、精一杯輝けるねっ!)


「これからのWonderful Rush!みんな幸せになるため~♪」

「新しい世界~♪探しに行こうよ~♪」

「迷ったらWonderful Rush!僕は輝きを信じて~♪」

「遥か遠くの虹だけど~」


「いつか手にする!」

「Wonderful stage!みんな次の場所立つんだ~♪」

「めぐり逢う季節♪新鮮な景色~♪」

「胸はずむWonderful stage!僕が目指すのは綺麗な~♪」

「遥か遠くの虹だから…さぁ、出発だよ!」

「uh~hi!」


「Dan dan ココロ!!Dan dan アツク!!夢いっぱい叶えてみせるっ!!」

「Dan dan ススム!!Dan dan ハジケル~!!」



「未来をしっかり見てっ!!」



「Uh~Hi!!」


ワアアアアアアアア!ウオオオオオオオオ!


ことり「ありがとうございました!」

アンコール!アンコール!アンコール!

ことり「ええ…アンコール…?!」

真姫「歌用意してないわよ?」

絵里「困ったわね…」

ことり「どうする…?穂乃果ちゃん…」

穂乃果「…ふふふっもう決まってるんじゃない?」

にこ「え?」

穂乃果「ことりちゃんはもうどう答えるか、心の中で決心がついてると思うんだけど違うかな?」

ことり「…ふふっ正解」

海未「なんだ、でしたらそれを言ってくださいよ」

ことり「…いいの?」

希「渋る必要なんてないよ、主役《センター》はことりちゃんだよ?」

ことり「…うん!」


ことり「皆さん!」


ことり「大変申し訳ないのですが今日はアンコール用の曲を用意してなかったのでアンコールをすることは出来ません!」


花陽「えぇ?!そういう?!」

凛「意外にゃ…」



ことり「ですが!安心してください!」



ことり「次回のステージは文化祭!」



ことり「文化祭で皆さんが楽しめるパフォーマンスをご用意しておきますので、文化祭も是非!」


ことり「私たちのステージを見に来てください!」


ワアアアアアアアアアアア!!


ことり「えへへ」

希「なるほど」

絵里「いい答えじゃない」

凛「おお!ってことはまた出来るんだね?!また踊れるんだね?!」

真姫「ええ」

海未「あはは…ことりらしい…んですかね」アハハ

花陽「これはまた頑張らないといけませんね!」

穂乃果「ことりちゃん、やっぱりすごいよ」

ことり「えへへ、そうかな?」

穂乃果「うんっ!」


「μ’sの皆さんありがとうございました!素晴らしいダンスと歌でしたね!」


ことり「いこっか」

穂乃果「うんっ!」

海未「はいっ!」

スタスタスタ

ことり(ステージ裏に戻りほっと一息をついた)

絵里「お疲れ様!最高のステージだったわ!」

希「ねっ!」

海未「歌とかが無くなった時はどうなるかと思いましたがことりのおかげで助かりましたね」

真姫「ありがとう、ことりのおかげで乗り切れたわ」

ことり「ううんいいのいいの!」

凛「次回も頑張るよー!」

にこ「ええ!」

花陽「もちろんだよ!」

絵里「次回は三曲くらいやっちゃう?」

海未「えぇ?!それは負担が大きいのでは…?」

真姫「私は別にいいわよ?」

希「おっじゃあやっちゃう?」


「あははははは!」


ことり(みんなで笑うのも束の間、とうとうの魔法が解ける鐘も間近なようだった)

穂乃果「!」

ことり「穂乃果ちゃん…!それ…!」

穂乃果「…終わりが近づいてるんだ」

穂乃果「…行かなきゃ」ダッ

絵里「あ、穂乃果?!」

ことり「っ!」ダッ

海未「こ、ことり?!」

タッタッタッ!

ことり「どこいくの?!」

穂乃果「神社だよ!帰りはあそこだから!」

ことり「…!行っちゃうの…?」

ピタッ

穂乃果「…うん、ごめん」

ことり「……そっか、じゃあ最後までついてっていい?」

穂乃果「……うん、いいよ」

タッタッタッ!

ことり(穂乃果ちゃんの背中を追いかけた)

ことり(ライブ後だというのに穂乃果ちゃんの足は速くて、時々追いつけなくなりそうな時があった)

ことり(ことりの後ろにみんなの姿はなかった、Wonderful Rushの衣装を着たままで街中を二人で駆け抜けてた)

ことり(出し物の方はどうなったのかな、MVP取れたかな)


ことり(…取れてるといいな)

「えぇ~MVPの発表です!」

ザワザワ ザワザワ

「MVPは…」


「μ’sの皆さんです!」


オオオオオオオオ!!


「それではμ’sの皆さんに登場していだきましょう!」

「どうぞ!」

シーン…

「…あれ?」

ことりママ「うふふふっごめんなさい、ちょっとμ’sの皆さんは席を外してて」

「理事長!?」

ことりママ「代わりに、センターの南ことりさんから皆さんへ向けてのメッセージを預かっています」

ことりママ「えー今回はMVPになった感想の代わりとしてこれを読ませていただきますね」

ペラペラ

ことりママ「では読みます」


「皆さん、この度は私たちμ’sのステージを見ていただき誠にありがとうございます」

「大変申し訳ないのですがおそらく今この場には私たちμ’sはいないと思います」

「ですから感想をいうことは出来ませんが、ちょっとしたお話を皆さんに聞いてもらおうと思ってこのメッセージを残しました」


ことり「穂乃果ちゃんまってぇ~…」

穂乃果「ほらほらっ!速く速く~!」

「今回歌ったこのWonderful Rushという歌はみんなに楽しい未来があるんだよ、という想いを込めた歌です」

「だから曲も歌詞もとにかく元気で、明るいモノにしたんです」

「ですが元々、この歌にはちょっとした秘話があるんです」


穂乃果「後半分!」

ことり「速いよぉ~…」

「始まりは二週間前、私はとある大切な親友と出逢いました」

「久々の再開に胸をはずませました、そしてその親友がいたことにより毎日がものすごく楽しくなって、いつしか時を忘れてしまったんです」

「そんな中で丁度再開してから一週間が経ったとき、その親友からこんなことを言われました」


「私は後一週間しか生きれない、と」


ザワザワ ザワザワ


穂乃果「…クレープ買ってこうか!」

ことり「い、いいの?」

穂乃果「うん!いいよ!私が奢るよ!」

「私は酷く絶望しました、その一週間の余命に私はどうすることも出来なくてただ死に近づく時間に恐怖を感じていました」

「そんな時、私の他の親友がこんなことを言ってくれたんです」


「残り一週間しかなくてどうにもできないなら、その一週間で精一杯楽しむのがその人の為でもあって自分のためでもある、と」


「その言葉は心にグサッと刺さりました、そして同時にこれだ、と思いました」

「その後、その親友と思いっきり遊びました」

「カラオケにいってゲームセンターによってコスプレをしてそしてこうやって歌とダンスをして…」


穂乃果「…もうすぐだね」

ことり「…そうだね」



「…それでお気づきの方もいるかもしれません、その親友の命日は今日なんです」


ザワザワ ザワザワ


「だから、その親友のためにさいっこうのステージを踊りたかった」

「そしてその親友のさいっこうの舞台を用意したかった」

「ここまで聞いて何の話だ、って思うかもしれませんがこの会場を皆さんが盛り上げてくれたこと、大いに感謝します」

「皆さんのおかげで親友のために、さいっこうのステージでライブをすることが出来ました」

「だから、このメッセージを聞いてる今はきっと私はその親友と会ってるのだと思います」

「勝手ながら申し訳ないありません、今ここにμ’sがいないのは私の我が儘です」

「ライブの最後に言った通り、次のステージは文化祭です」


「その時にまた、皆さんに会えるのをお待ちしております」


ことりママ「…以上です」

タッタッタッ!

穂乃果「…ついたね」

ことり「…うん」

穂乃果「…!」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん…!」

ことり(穂乃果ちゃんの体は更に透けてた)

ことり(まだ触れられるけどもうちょっとしたら、完全に消えてしまいそうだった)

ことり「穂乃果ちゃん…!」


ことり「ほのがぢゃん!!」


ポロポロポロ…


穂乃果「ことりちゃん…!泣かないでよ…ッ!!」

穂乃果「いきなり神社にきて…そんな…泣かれたら…私だって…」ギリッ


ポロポロ…

ことり「ふぇええええええええん!!!」

穂乃果「うわああああああああ…!」

ギューッ

ことり「もっと一緒に…!もっと一緒にいたいよぉ…!!」

穂乃果「私だって…!私だってもっといたいよ…!」

ことり「ねえ行かないでよ…!!行かないでよ!!」

穂乃果「無理なんだよぉ…うえええぇぇん…!!」

穂乃果「この二週間…さいっこうに楽しかったね…!」

ことり「うんっ…!」

穂乃果「いっぱい遊んでいっぱいバカやっていっぱい本気を出した…!」

穂乃果「もっともっと遊びたかったね…!!」

ことり「うんっ…!!」

ことり(涙を堪えようとしても無限に出てくる涙を止めれなかった)

ことり(もう泣かないって密かに決めてたのにどうして別れというのはこんなにも切なくて心にくるんだろう)

ことり(段々と感触が薄れる穂乃果ちゃんの体、それでもことりはまだ穂乃果ちゃんの体を必死に掴んでた)

ことり「穂乃果ちゃん…穂乃果ちゃん…!」

穂乃果「ことりちゃん、私ことりちゃんのことだいっすきだよ…!」


穂乃果「世界で一番好き…!宇宙で一番好き…!!前世でも前前世でも来世でもずっとずっと一生いっちばん大好き!!!」


ことり「ことりだって穂乃果ちゃんのことが大好き!!」


ことり「世界で一番!この世で一番!宇宙で一番!どこの時代の誰よりもずっとずっとずーっと大好き!!!」


ヒラヒラヒラ


ことり(花びらが舞ってた)

ことり(もう、終わりなのかもしれない)

ことり(ただ、皮肉にもこの若干オレンジ色の空に赤い花びらが舞うこの光景は綺麗だった)

ことり(ことりたちの叫びも“何か”と共鳴してどこまでも木霊してた)

穂乃果「この世界での出逢い、ずっと忘れないよ!」


穂乃果「私という花とことりちゃんという花が出逢った奇跡!」


穂乃果「花びらとして舞い、その花びらが重なった奇跡!!」


穂乃果「私は一生忘れない!来世になっても絶対に忘れない!」


ことり「ことりだっておんなじだよ!!」


ことり「穂乃果ちゃんはことりの運命の人だよ!」


ことり「来世でも絶対に会おうね!」


穂乃果「もちろん!」

タッタッタッ!

ことり「あ、穂乃果ちゃん!」

ことり(突然走り出して門の下をくぐりことりと穂乃果ちゃんが出逢ったあの場所に辿り着いた)

穂乃果「…えへへ、もう時間みたい」

ことり「…!」ウルッ

穂乃果「さよならは…言わないよ」


穂乃果「来世でまた逢うんだもん…でも、やっぱり言うよ」


穂乃果「さようなら」


ことり「!」

ポロポロ…

ことり「うぅ…ぐすっ…ひぐっ…」ゴシゴシ

穂乃果「…勘違いしないでね、さようならっていうのは」


穂乃果「いつかまたねの意味だよ」


ことり「えっ…」

穂乃果「きっと私が消えたら世界はまた、私が死んだ世界に戻ると思う」


穂乃果「でも、消えないよ」


穂乃果「私がこの二週間に残した軌跡と想いは、どこにもいかない」

穂乃果「ことりちゃん自身が持ってくれてるしこの世界にも形として残ってるし」

穂乃果「ことりちゃん、最後にもう一度だけいうね」



穂乃果「大好きだよ、ことりちゃん」


キラキラ


ことり「!!」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん!」

穂乃果「ありがとうことりちゃん、この二週間は私の宝物」

穂乃果「あ、あとこれだけは忘れないで」


穂乃果「私はいつでもことりちゃんの傍に――――――――」





「いるからね♪」



キラキラキラ…


ことり「穂乃果ちゃん…!」

ことり「…うああああああああ…!」

ことり「ああああああああああああああ!!!」

ことり「うぅうおぇっ…ひっ…うぐぅ…!!」

ことり(穂乃果ちゃんは消えた)

ことり(穂乃果ちゃんと踊って歌って最高に楽しんだのにどうしてことりの心はこんなにも悔しがってるんだろう?)


ことり(なんでこんなにも涙が出るんだろう?)

ことり「ひっ…ぐすっうっ…」

ことり「うはあはあああああん…」

ギューッ

ことり「!」

ことり(大きな声を出してただ泣いてた時、後ろから誰かが肩に手をかけるよう優しく抱きついてきたんだ)


ことり「海未…ちゃん…?」


海未「何があったかわかりませんが、きっと辛いことがあったんでしょう?」

ことり「うぅ…うん…!」

海未「そうですか…」


ギューッ


ことり「…」

海未「今は…何も言いません…」

海未「今は…」


海未「本気で泣いてもいいですよ…?」


ことり「…うぅ…うああああああああ…!」

ことり(その時は海未ちゃんに抱き着いてずっと泣いた)



海未「…パーティーでもしましょっか!」



ことり「…ぅえ?」



海未「泣いてたら穂乃果も悲しみますよ!ほらっ!早く早く!」



ことり「わわわー!」



ことり(その後はみんなでパーティーをした、あまりことりは盛り上がれなかったけどそれでも楽しさだけは伝わってきた)

ことり(だから、穂乃果ちゃんがいない今でも楽しいという感情を感じられるのだから)



ことり(ことりもまた、この人生を楽しく生きないとね)


~一ヶ月後

キーンコーンカーンコーン

ことり「さよならー!」

タッタッタッ!

海未「あ、ことり!明日忘れないでくださいよー?」

ことり「はいはーい!」

タッタッタッ!

凛「あ、ことりちゃん!」

ことり「凛ちゃん!どうしたの?」

凛「えへへーねえ見てよ見てよ~この白いワンピースの凛!!」

ことり「おお!可愛いいい!!」

凛「えへへ…ことりちゃんのその言葉が聞きたくって~」デレデレ

ことり「可愛いよ!凛ちゃん!」

花陽「ま、待って~!」

真姫「こらー!その姿で学校中を走り回るなー!」

凛「えへへ~ごめんねことりちゃんに見せたくて!」

真姫「まったく…」

花陽「ことりちゃんは今帰るところ?」

ことり「ん?んーまぁ10分程度だけど用事があってね」

花陽「…?よくわからないけどそっか」

絵里「あ、ことり!」

ことり「あ、絵里ちゃんどうしたの?」

絵里「…今日何の日か分かる?」

ことり「…え?分からない」

真姫「なんかあったっけ?」

花陽「なんかの記念日とか?」

凛「あ、誰かの誕生日?!」

絵里「ちっがーう!今日はお泊り会する約束だったでしょ!真姫の家で!」

真姫「…あ、そうだった」

ことり「そうだったー?!」

凛「え、みんな忘れてたの?」

花陽「私も度忘れしてた…」

絵里「もー!せっかくの楽しみが無に帰すところだったわよ!」

ことり「あははごめんね?家に帰ってすぐ準備するね!」

絵里「え、ええ」

凛「じゃあ凛も準備してこよっとー!」

真姫「あ、その着替えてから外に出なさいよね!」

凛「わかってるー!」

花陽「じゃあ私も準備するね、そのまま真姫ちゃんの家向かえばいいかな?」

真姫「え、ええいいわよ」

花陽「分かった、じゃあね」

ことり「うん!ばいばい!」

絵里「よしっこれで」


希「後は希だけね!」


絵里「そうそう!」

絵里「ってあれ?!」

希「ふっふ~んえりちの探してるのんたん登場やで~」

ことり「希ちゃん!」

希「お泊りならバッチリ覚えてるから安心しとき~」

絵里「ならいいけど…」

ことり「じゃあとりあえずことりはいくね!」

希「ほーい」

絵里「真姫の家よ~」

ことり「はーい!」

タッタッタッ!

希「…最近のことりちゃん、変わったね」

絵里「ええ、ものすごく変わったわ」

希「まるで穂乃果ちゃんみたいやん」

絵里「ええ、穂乃果みたい…だけど厳密にいえば違うのかしら」

希「…そうやね、ウチもそう思う」

絵里「なんか、ことりの姿をみてると私も頑張らなきゃって思うのよ」

希「奇遇やね、ウチもそうなんよ」


絵里「…あれがことりのチカラなのかしらね」

ことり「ふふふっ」

ことり(穂乃果ちゃんがいなくなって一ヶ月が経った)

ことり(穂乃果ちゃんが消えちゃったのは悲しかったけどもう大丈夫、今ではみんなと仲良く過ごしてる)

ことり(そして一ヶ月経った今でも、あの二週間を鮮明に覚えてる)


ことり(忘れるはずのないさいっこうの二週間を)


ことり(喜怒哀楽だけじゃ表現出来ない多すぎて激しすぎる感情の数々とみんなで笑いあったあの光景)

ことり(寂しくなったらその二週間を思い出してる)

ことり(それだけ大事な人との記憶だったから)

真姫「ことり!」

ことり「!」

ことり「真姫ちゃん?」

真姫「ねえ突然だけど話を聞いてくれない?」

ことり「う、うんいいけど」


真姫「私ね、このグループにはもう一人、誰かがいたような気がするのよ」


ことり「!」

真姫「そう考えると心にぽっかりと穴が空いたような感覚がするの」

真姫「それでこの感覚は何なんだろうと思って…」

ことり「…」

ギューッ

真姫「うぇっ?!どうしたのことり…」

ことり(真姫ちゃんは感覚で覚えてるんだ)

ことり(あの二週間を、本物ではあったけど幻でもあったあの二週間を)

ことり(だから、ことりはそっと抱きしめた)

ことり「…九人いたのかもしれないね」

ことり「九人…うん、でも今は八人だから」


ことり「真姫ちゃんのその心の穴はことりで埋めて?」


ことり(ことりはそう言った、この世界に穂乃果ちゃんはもういない)

ことり(だからことりが頑張っていく)



ことり「…お参りしてこっと」

スタスタスタ

ことり「…よしっ」

ことり(真姫ちゃんと別れ、正門を抜け少し歩いて階段を上り境内に入った)

ことり(もう、悲しさなんてないよ)

ことり(今でも穂乃果ちゃんが近くにいてくれるから、何も悲しくなんかない)

ポツ…ポツポツ…

ことり「ひゃっ?!あ、雨?!」

ことり(デジャヴを感じる突然の雨、梅雨も終わったと思うんだけどそれはそれは奇妙な雨だった)

ザーザーザーザー…

ことり「…ふふふっ」

スタスタスタ

ことり(ただ、今日の、今のことりは違う)

ことり(雨も素直に受け止めることりだから、“歩いて”お賽銭に向かった)

ことり「うひゃあ…結構濡れちゃったなー…」アハハ

ことり「ま、とりあえず!」

チャリン…パン…パン!

ことり「………」

ことり「…うん、これで穂乃果ちゃんも安心だね」

ことり「…」

ことり(“隣、いいですか?”という言葉を待ってたことりがいたのかもしれない)

ことり(あの時はそうだった、穂乃果ちゃんが突然現れてそれでそれで…)

ことり(…ふふふっなんでこんなに焦ってるんだろう)

ことり(穂乃果ちゃんには感謝しないといけない)

ことり(穂乃果ちゃんがことりに残したもの)



ことり(それは“今”という現実の宝物)



ことり(今がすごく楽しい、今がすごく面白い)

ことり(さいっこうの人生だよ、ことりの人生は)

ことり「…」

ことり(ねえ穂乃果ちゃん、今ことりの近くにいるのかな?)

ことり(ことり、すごく楽しく生きてるよ)

ことり(“あの時”とは違うよ)

ことり(それもこれも全て、穂乃果ちゃんのおかげだよ)

ことり「すぅ…」



ことり「雨、止めー!!!」



ザー…ポツポツ……ポツッ…

キラキラキラ…

ことり「わぁ…?!」

ことり(ことりの想いよ、時を超え永遠に響け)

ことり(喜び、悲しみ、怒り、楽しみ、全ては花びらであること)

ことり(ことりはまだ“花”であること)


ことり(これから咲き誇っていこう)


ことり(これからまた花を咲かせよう)

ことり(そして明日も)

ことり(明後日も)

ことり(来週も)

ことり(再来週も)

ことり(来月も)

ことり(来年も)

ことり(十年後も)

ことり(来世も)

ことり(来来世も)

ことり(来来来世も)

ことり(来来来来世も)

ことり(その先の未来時代永劫にずっとずっとずっとずーっとずーっとずーっっと!)




ことり「たまたまだよね、きっと」




ことり(穂乃果ちゃんの傍で――――――――――――)




ことり(――――――――花になろう)




END

ということで終わりです
ここまで見てくれた方本当にありがとうございました
次回もまたよろしくお願いします
https://i.imgur.com/ejtUfum.jpg

それと歌詞の指摘してくれた方ありがとうございました
以後気を付けます

最後に、良かったら前作と前々作もよろしくお願いします

凛「天使と悪魔…?」
凛「天使と悪魔…?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500395007/)

海未「二つの光に導かれて」
海未「二つの光に導かれて」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496426196/)

ORANGE RANGEかな?

<<418 そうですそうです!
言い忘れてましたがORENGE RANGEの「花」という歌と「いま、会いにゆきます」という作品から色々もらってます
展開はオリジナルなのでネタバレにはならないかなと思います

>>419 失礼>>418

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