曜「きみからみたわたし」 (18)

曜(私は普通にやってきただけなのに…)

曜(そんなの本当の私じゃない!)

曜(どうすればいいんだろう、この気持ち…)


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あれ、トリ間違えた
これで合ってるかな?

こっちで合ってたのでここから再開します

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好奇心が旺盛なようで小さい頃からいろいろやってきた。

何事も全力で取り組むのがモットーなので、いつも楽しみながら全力でやってきた。

その中でも飛び込みは私と相性が良かったらしく、それなりに結果も出ている。

おかげで強化合宿に呼ばれる程度にはすごい選手になったみたいだけど、最近はスクールアイドルの活動がメインになってきたかな。

千歌ちゃんと梨子ちゃんと三人で始めたスクールアイドルは楽しくもあり忙しくもあった。

歌やダンスの練習は勿論の事、私は衣装作りもしなければならない。

二人もそれぞれやる事はあるからお互い様ではあるんだけどね、でも三人分の衣装を作るのは大変だったなぁ。

と言っても好きだからやれちゃうんだけどね。

でも"好きだからやれちゃう"おかげで私の事を『何でもできる人』という目で見る人も少なくない。

もちろんそんな事はない、私にだってできない事は当然あるし、今できている事も最初からできていたワケではないのだ。

こうしてやれてきたのは継続してきた結果、ただそれだけ。

楽しかったから飛び込みを続けてこれた。

休日の日中に両親が家にいない事が多かったから料理を覚えた。

勉強は決して得意ではないけど、赤点をとったりしてその補修で時間を奪われたくなかったからそれなりに勉強もした。

スクールアイドルも楽しいから頑張れるし、何より千歌ちゃんと一緒に何かをやれている事がうれしい。

それだけの事なんだけど…周りの目はそうでは無いようだ。

顧問『さすがだな渡辺、お前にはみんなが期待しているよ』

モブ1『また入賞したんだ、すごいね渡辺さん!』

モブ2『何でも器用にできるし、できない事なんて無いんじゃない?』

曜母『手がかからない娘で本当に助かるわ』

千歌『曜ちゃんが一緒にスクールアイドルやってくれるなら百人力だよ!』





曜(違う、そんなこと無い…!)

曜「おはよーそろー!」

梨子「おはよう、曜ちゃん」

千歌「おはよー!ナイスタイミングだね」

曜「え?何が?」

梨子「今ちょうど曜ちゃんの話をしてたところなんだ」

千歌「普通怪獣の私と違って曜ちゃんは何でもできちゃうヒーローなんだ、って!」

梨子「怪獣とヒーローが仲良しってなかなかシュールね」

曜「ヒーローだなんて…そんな事は…」

千歌「あるよ!曜ちゃんにそんなこと無いなんて言われたら私はどうなっちゃうの!?」

梨子「まぁまぁ、千歌ちゃんにだって良い所はあるよ」

曜「そうそう、私には無い千歌ちゃんの良い所もあるよ」

千歌「そうかなー?」

曜(それに、私は本当にヒーローなんかじゃないんだよ…)

梨子「…」

曜(まぁ幼馴染の千歌ちゃんや果南ちゃんでさえそう思ってるんだもん、そりゃ他の人だってそういう目で見るよね)

梨子「曜ちゃん」

曜(でも、本当の自分を解ってもらえないのも辛いというか寂しいというか…うーん)

梨子「曜ちゃん!」

曜「ぅへい!?」

千歌「ぷっ、曜ちゃん変な声~」アハハ

曜「わ、笑わないでよ~…それで梨子ちゃんどうしたの?」

梨子「今日は部活が無いけど、放課後って何か予定があったりする?」

曜「ううん、今日は特に予定も無いよ」

梨子「じゃあ良かったらウチに来ない?」

千歌「え~、何で私は誘ってくれないの~?」

梨子「千歌ちゃんは今日はお手伝いがあるって言ってたじゃない」

千歌「ハッ、そうでした…」

梨子「もし早く終わるようだったら来たら?」

千歌「うん、そうする!」

曜「じゃあそれまでは二人でお喋りしてようね」

・・・・・
・・・

曜「お邪魔しまーす」

梨子「適当に座って」

曜「そういえば梨子ちゃんの家に来るのって初めてだなぁ」

梨子「そうだっけ?ところで曜ちゃん、今朝の話は覚えてる?」

曜「今朝?…なんだっけ?」

梨子「曜ちゃんはなんでもきるヒーロー、って千歌ちゃんが」

曜「あぁ、その事…」

梨子「千歌ちゃんやクラスメートもそう言ってるけど、実は私には違和感があるんだ」

曜「え…?」ドキッ

梨子「誤解しないでね、何でもできてすごいなとは思ってるの」

梨子「でもね、それは曜ちゃんが頑張ってきた結果だと思うの」

びっくりした、すっごくびっくりした。

一生誰にも気付かれないんだと思った、一生この気持ちと付き合っていくものだと思った。

どうして梨子ちゃんは解ったんだろう。



曜「どうして…」



あ、口に出てた。

そしてすぐに梨子ちゃんは答えた。



梨子「私も似たところがあるから、かな」

梨子「曜ちゃんほど色々とやってきたワケじゃないけど、私も小さい頃からピアノをやってきたからね」

梨子「始めたきっかけは忘れたけど、とにかくピアノを弾くのが楽しかった」

梨子「ピアノの先生にコンテストに出てみないかって言われて、出てみたら入賞できて、それから周りの目が少しずつ変わっていって」

梨子「先生や家族、友達に期待されている事がわかってからは徐々にピアノの練習が息苦しくなった」

梨子「その他にも色々な要因が重なって、そしてある日…弾けなくなった」

梨子「その頃、ここ内浦に引っ越してきてAqoursのみんなとスクールアイドルをやるようになった」

梨子「最初は三人だったから二人の事をよく見てた、そしたら気付いちゃった、もしかしたら曜ちゃんは私と同じなんじゃないかって」

梨子「だから、何とかしてあげたいと思った」

梨子「私がピアノとまた向き合えたように、今度は私が曜ちゃんの事を助けたい…!」

ヤバい、泣きそう。

現状から大きな変化があったワケではない。

ただ一人、解ってくれる人がいた。

梨子ちゃんだけが解ってくれた、それだけなのに心がすごく軽くなっている。



梨子「みんなは曜ちゃんがなんでもできる完璧な人に見えてるかもしれない」

梨子「でも、私から見た曜ちゃんは…頑張り屋で、責任感が強くて、とっても優しい女の子だと思ってるよ」

曜「そうかな…そこまで言われるとそれはそれで何か違うような…」

梨子「ううん、そんなこと無いよ」

梨子「期待に応えたいという責任感、期待している人に喜んでもらいたいという優しさ、それが曜ちゃんの原動力になっているんじゃないかな」

梨子「でもね、ずっと飛び続ける必要はないの」

梨子「たまには木に止まって休めないといざ羽ばたこうって時に頑張れないよ?」

梨子「ずっと頑張ってきたんだもの、たまに休んでも誰も文句なんて言わないしガッカリもしない」

曜「でも…でも…」

梨子「千歌ちゃんや周りの人に弱い姿は見せたくない?」

梨子「なら…私が曜ちゃんの止まり木になるよ、だから私の前でくらい思いっきり甘えてもいいよ?」

梨子「本当の曜ちゃんを見せて…」

曜「うわぁーん!」ダキッ

梨子「よしよし」ナデナデ

曜「辛かった、頑張らなくちゃいけないと思った、弱音を吐いちゃいけないと思った…」グスッ

梨子「そんなこと無いんだよ、辛いことや悲しい事は一緒に分け合おう?」

曜「梨子ちゃん…」




ガチャッ バァーン!!

千歌「高海千歌、遅れて登場…って梨子ちゃんが曜ちゃんを泣かせてるぅ!?」

梨子「千歌ちゃん!?違うのこれは…」アタフタ

千歌「何があったか知らないけど曜ちゃん!千歌が来たからにはもう大丈夫だよ!」

梨子「違うの、話を聞いてー!」

・・・・・
・・・

あの日からよく眠れるようになった気がする。

思いっきり泣いた事、解ってくれる人がいた事、そして甘えられる場所ができた事でモヤモヤは晴れて心もスッキリした。

本当に梨子ちゃんには感謝だね。

となるとお礼の一つでもしたいけど…どうしよう、全く浮かばない。

なんて貧相な頭なんだ、トホホ。。。



ルビィ「あ、いた!」

曜「ルビィちゃん…と花丸ちゃん? また何か用?」

花丸「今度は梨子さんの苦手克服大作戦に付き合ってほしいずら」

曜「はい?」

ルビィ「梨子さんはピーマンが苦手なんだって。それでみんなで考えたんだけど、曜さんにこのメモの感じで料理してもらえば克服できるんじゃないかって梨子さんが」



なるほどなるほど、つまりは梨子ちゃんに私の手料理を食べさせるって事だね。

私がしてもらった事と比べたら大したことじゃないかもしれないけど、でもせっかくの機会だしこれをお礼として活用させていただこうかな。

それに梨子ちゃんもピーマンを食べられるようになれば一石二鳥だね!

待っててね梨子ちゃん、感謝の気持ちを込めて一生懸命作るからね!



曜「了解であります!それでは家庭科室へ、全速前進…ヨーソロー!」







おしまい

この話を経て…
花丸「苦手を克服するずら!」
花丸「苦手を克服するずら!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488467859/)
…につながる感じです。


周りから良い評価をしてもらえるのは嬉しいけど過剰に評価されると逆につらいよね、って話でした。

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