ゆずこ「あいちゃーん、今度の日曜あいてる?」千穂「へっ?」 (37)

ゆずこ「おはよー」

縁「おはよ~、ゆずちゃん」

唯「おはよ」

ゆずこ「はぁ……終わった」

縁「終わっちゃった? 朝から?」

唯「どした、新学期早々」

ゆずこ「いやー、だって夏休み終わっちゃったじゃん。何かもうあつ過ぎて燃え尽きたって感じ」

縁「あー、分かるぅ。夏休みって何かあついもんね」

唯「まあな、夏だからな」

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ゆずこ「宿題のテキストもあつかったよね……ページ数」

縁「あつ? あー、うん、あつかったぁー」

唯「あ、そういうあついもあり?」

ゆずこ「夏の甲子園とか、あつい中たいへんだよね」

縁「ベンチとかあつくなってそう」

唯「試合もあつかったよな」

ゆずこ「負けたほうがさ、毎回、甲子園の土を袋に入れてるじゃん?」

縁「そうなの?」

唯「うんうん」

ゆずこ「あれ見ていつも思うんだよね。あついなあって」

縁「あつい?」

唯「あついか?」

ゆずこ「信仰心あついなって。甲子園崇拝」

唯「信仰心! 崇拝っ!」

縁「あはははははははっ」

ふみ「おはよ」

佳「おう」

千穂「おはようー」

ふみ「何かあついね」

佳「まあな」

千穂「もう9月なのにね」

ふみ「あつくて溶けそうだね、佳が」

佳「はあ? そこまであつくねーし。つか溶けねーし」

ふみ「佳が溶けたら何になるんだろうね」

千穂「溶けたら……」

佳「……」

ふみ「チョコレート?」

佳「何でだよっ」

ふみ「だって茶色いし」

佳「茶色?」

千穂「茶色? あ、髪の毛?」

ふみ「そ」

佳「髪の毛も溶けるのかよ?」

ふみ「でも夏場にチョコってちょっとあれだね。あんま食べたくないね」

千穂「うーん、あついとすぐ溶けてどろどろしちゃうし」

ふみ「ちょっと塩辛そうだしね。チョコなのに」

佳「うるせーな。お前も溶けたらチョコになるだろ、ブラックの」

ふみ「え、溶けないよ? 何言ってるの」

佳「あぁ!?」

千穂「ぷっ……あは、あははっ」

ゆずこ「いきなり異世界から召喚されて『戦わなければ生き残れない』とか言われたらどうする?」

縁「えぇー、すごい困る」

唯「困るな……てか誰に召喚されるんだよ」

縁「魔王とか?」

ゆずこ「魔王!」

唯「敵側なの? あたしら勇者にやられちゃうの?」

ゆずこ「召喚されて即親衛隊の3幹部に抜擢されたから簡単にはやられないよ」

縁「わー、大出世だねっ」

唯「いや、ていうか異世界から来た人をいきなり幹部登用ってどうなんだよ。ほら、親衛隊間の信頼関係とか」

ゆずこ「最近売り手市場だし魔王城も人材不足なんだよ、きっと。何となくブラック企業っぽいし」

唯「まあ確かにブラックだろな。イメージ的に」

縁「じゃあ異世界のホワイト企業はー?」

唯「やっぱ勇者一行かな。いや、企業……ではないか」

ゆずこ「ベンチャー企業じゃない? 少数精鋭でアドベンチャーするし」

縁「おお~」

唯「なるほど」

ゆずこ「剣と魔法で戦って魔王を倒すだけの簡単なお仕事です!」

縁「やりたい!」

唯「ちょっとやりたい」

ゆずこ「あ、労災下りないから死んだら自己責任ね」

縁「やっぱやりたくない」

唯「ブラック企業か!」

ゆずこ縁「あはははははははっ」


キーンコーン カーンコーン

生徒会役員「お疲れー」

千穂「お疲れ様です」

千穂(……ふう。今週も忙しかったけど週末までに片付いてよかった)

千穂(あ、野々原さんたちだ)

千穂(部活帰りかな?)

ゆずこ「じゃ、駅前のコンビニ前で11時ね」

縁「うんー、わかった」

ゆずこ「唯ちゃん、ちゃんと起きれる? 目覚まし代わりのモーニングコールしようか」

唯「いいよ。起きてるよ11時。てかモーニングの時間じゃないし」

縁「新作パフェ楽しみだねー」

ゆずこ「唯ちゃんのおごりだしねー」

唯「はい? おごりませんよ? 高そうだし」

縁「この~しぶちんめ~」

唯「はい、しぶちんですけど……」

ゆずこ(おや。あれは、あいちゃん?)

千穂(休みの日に遊びに行く話してる)

千穂(休みの日の櫟井さんってどんな感じなんだろ)

千穂(野々原さんから写メもらったりはするけど……)

千穂(実際、休みの日に櫟井さんと会ったりしたことって……ないし)

千穂(一度、櫟井さんと一緒に遊びに行きたいな……なんて)


ゆずこ「あいちゃーん、今度の日曜あいてる?」

千穂「へっ?」

唯「お前はまた唐突に……」

縁「みんなでスイーツ食べにいこーって、話しててね」

ゆずこ「どう、あいちゃんも一緒しない?」

千穂「あ、えっと……」

唯「あ、別に無理にって話じゃないから。相川さん、忙しそうだし」

千穂「う、ううん。大丈夫……日曜、空いてるから」

千穂「甘いもの……私も好きだし」

ゆずこ「じゃ、決まりだね!」

縁「えへへ、楽しみだね~」

唯「あ、それじゃ、駅前のコンビニ前で11時集合で。あ、場所分かる? 東口側の、角曲がったところの」

千穂「あ、うん。分かるよだいたい。たまにその辺り通るし」

唯「そうなんだ。そういえば、相川さんの家って」

千穂「あ、うちはね、反対側の――」


ゆずこ「縁ちゃん縁ちゃん」

縁「ん、なにーゆずちゃん」

ゆずこ「ごにょごにょ」

縁「ふむふむ、おお~!」

【日曜日・駅前】

千穂「櫟井さん」

唯「あ、相川さん」

千穂「ごめんね、時間ぎりぎりになっちゃって」

唯「ううん、あたしもさっき来たばっかだし」

千穂「……」じー

唯「ん、なに?」

千穂「あ、ううん。櫟井さんの私服って、あんまり見たことないから。か、かわいいなー……って」

唯「へ、そう? すごいフツーの普段着なんだけど。相川さんこそ、そのワンピース、よく似合ってるよ」

千穂「え、そ、そう……かな」

唯「うん」

千穂「あ、えっと、野々原さんと日向さんは?」

唯「まだ来てないみたいだけど。あ、二人からメール来てる」

唯「………………」

千穂「何て?」

唯「……二人とも寝坊したから遅れてくるって」

千穂「そうなんだ」

唯「先、店行ってていいって」

千穂「へえ……へっ!?」

千穂(二人とも遅れてくるってことは……二人が来るまで櫟井さんと二人っきり?)

唯「まったく、人にちゃんと起きれるかって聞いておいて自分が寝坊するんだからな」

唯「どうする、相川さん? 直接、店行く? それともちょっとその辺ぶらぶらする?」

千穂(二人きりで休みの日に遊びに……これって、何だか)

唯「相川さん?」

千穂「あ、う、ううん! 櫟井さんはどうしたい? 私、櫟井さんについてく、から」

唯「あ、そう。じゃ、ちょっとそこの本屋に寄ってっていい? 好きな作家の新刊が出てて」

千穂「うん、いいよ」

唯「じゃ、いこっか」

千穂(何だか……すごく友達っぽい!)

【書店】

唯「へー、相川さんってこの作家の本好きなんだ」

千穂「うん、小さいのころからずっと読んでて。野々原さんもこの作家さん好きで」

千穂「前に本屋でばったり会った時、いろいろ話してね。それで仲良くなって」

唯「あー、なるほど。そういやゆずこもそんな話してた」

千穂「野々原さんってそんなに本読む人だって知らなくて、ちょっと意外で」

唯「あー確かに、あいつ一見アホだし」

千穂「野々原さんって、昔からああいう感じだったの?」

唯「ゆずことは中学からのつき合いなんだけどさ――」

【喫茶店】

唯「相川さん、どこの席座る?」

千穂「あ、じゃあ奥の方で」

唯「あ、荷物こっちの端に置けそうだから。貸して」

千穂「あ、うん。ありがとう」

千穂(野々原さんや日向さんのこと、櫟井さんの昔の話とか……いろいろ聞いちゃった)

千穂(最近は割とよく話すようになったけど……まだまだ私の知らないことってたくさんあるんだな)

千穂「そういえば、二人はまだ来れないのかな?」

唯「うん。二人とももうちょっとかかるってメール来た」

「お待たせしましたー♪ 季節限定トロピカルパフェと期間限定チョコバニラマロンパフェになりまーす。それではごゆっくりぃ~」


千穂「わぁ~、おいしそう」

唯「そうだね。結構ボリュームあるし」

はむっ

千穂「甘くておいしいー」

唯「こっちも。何かすっきりしててさわやかな感じ」

千穂「へぇ、さわやかな感じもいいよね」

唯「一口食べてみる?」

千穂「へっ!?」

千穂(櫟井さんのパフェを? 櫟井さんのスプーンで? そ、それって……)


「ほら、あずにゃん。あ~ん♪」
「ちょ! やめてくださいよ唯先輩!」

「うみこさんのも一口食べたいなあー」
「しょうがないですね。一口だけですよ」
「あ~~~ん」

「はい、るんちゃん」
「あーむっ。んん~、おいしい~」

「リョウのも一口食べさせて!」
「五杯も食べちゃったのにまだ食べるんですか、きりん。もう、一口だけですよ」

「べ、別に陽子に一口食べてほしいなんて思ってないんだからね! 勘違いしないで!」
「何だいきなり!?」

「うう……両腕を骨折しちゃって何も食べられないよー。誰か食べさせて欲しいなあ(チラッ)」
「まったくしょうがないな」
「わーい。あ~~~~ん。って、えーなにこれぇ!?」
「栄養補給だ(点滴)」

千穂(そ、そうだよね。友達同士ならよくやるよね。おかちーやふみおちゃんともやったりするし)

千穂「そ、それじゃ……一口、だけ」

唯「うん、じゃ、はい」

コトリ

千穂「へ?」

千穂(櫟井さんがパフェを私の手前に差しだして……あ、自分のスプーンですくって食べてってことだ)

千穂「あ、あはは」

唯「?」

千穂「あ、ほんとだ。さわやかでおいしいね」

唯「でしょ?」にこっ

千穂(まあいいかな……櫟井さん、笑ってるし)

「またのご来店を~お待ちしておりまぁーすっ!」


千穂「お店、出ちゃって良かった?」

唯「あんまり長居するのも悪いし」

千穂「野々原さん達は?」

唯「さっきからぜんぜん連絡来なくって」


ゆずこ「おいっす、唯ちゃん~」

縁「おいっす~」

唯「あ、お前ら! 今ごろ来たのか」

ゆずこ「いやー、ちょっと来るの遅くなって、で道中で縁ちゃんと会ってね」

縁「もう唯ちゃんたち二人でパフェ食べてるだろな~って思って」

ゆずこ「私らも対抗して二人でスイーツ食べてきました!」

縁「でへへへ~」

唯「何だよー、それならそうと連絡しろよな全く」

縁「あいちゃん、楽しかった~?」

ゆずこ「唯ちゃんとのデートは楽しかったかい?」

千穂「へ、ええぇ~」//////

唯「そんな、デートって……」

ゆずこ「唯ちゃん、ちゃんとあいちゃんをボディーガードできた? 殺し屋とかに狙われなかった?」

唯「あたしSPとかじゃないし。ていうか街中に殺し屋いたら怖いわ」

ゆずこ「じゃ、あいちゃん。唯ちゃんに変なことされなかった?」

千穂「へ?」

唯「いや何だよ変なことって」

縁「おっぱい触るとか?」

千穂「えええっ!?」//////

唯「するかっ!」

ゆずこ「ちょっとセクハラ容疑で署までご同行願おうか?」

唯「いや聞けよコッチの言い分! そもそも認めてないし!」

ゆずこ「あ、話は署で聞くから」

唯「それ絶対聞かないやつ!」

縁「あ、ふみおちゃんだー」

千穂「おかちーも」


ふみ「お」

佳「相川? 日向に……櫟井たちも? 何してんの?」

ゆずこ「ちょっと唯ちゃんがあいちゃんのおっぱい触って補導してるとこ」

佳「あ”?」

唯「いやいやいや」

ふみ「おぉー、やるね櫟井さん」

――――

佳「へぇー、二人で本屋行ってパフェ食ったんだ」

唯「岡野さん、何か怒ってる?」

佳「別にぃ」

縁「ふみおちゃん達は何してたのー? 二人でおでかけ?」

ふみ「佳がひとりで寂しいから来てくれっていうから来てあげた」

佳「は? ちげーし。暇だったからぶらついてたら、たまたま部活帰りのこいつに会ったんだって」

唯「あ、そうなんだ」

ふみ「その後ひとりで寂しいからついて来てくれっていうからついて来てあげた」

佳「むんっ!!」

縁(あ、そうなんだー)

唯(やっぱりそうなんだ……)

ゆずこ「いやー、天気もいいし風があって涼しいし今日は行楽日和だねー」

千穂「そうだね」

千穂「あの……野々原さん」

ゆずこ「んー?」

千穂「野々原さんと日向さんが遅れたのって……もしかして」

ゆずこ「ふふふ、みなまでゆうでない」

千穂「へ?」

ゆずこ「あいちゃん、今日唯ちゃんと二人きりでいろいろ話せた?」

千穂「うん、いろいろと」

ゆずこ「楽しかった?」

千穂「うん、楽しかったよ。とても」

ゆずこ「だったら――それでいいんだよ」にこっ

千穂「野々原さん」

千穂「……ありがとう、野々原さん」

ゆずこ(ま、ほんとはドッキリさせるつもりだったんだけど。あまりに和やかな雰囲気だったしね)

佳「これからどこいくとか決めてるん?」

唯「いや、とくには」

ふみ「うち来る? 今ならわんこが無料で触れるよ」

縁「おおー! あの子可愛かったぁ~~」

佳「またお前んち? ま、別にいいけどさ。櫟井は?」

唯「うん、いいよ。駅も近いし」

佳「おーい、相川ー」

縁「ゆずちゃーん、行こー」


ゆずこ「今行くぜっ」

ゆずこ「じゃ、行こっか。あいちゃん」

千穂「うん」



ありふれた言葉だけど 優しさ伝わるよ
少し照れちゃうけど いつもありがとうね

 
                                     (おしまい)

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