極北戦線異常ナシ (9)

艦隊これくしょんの二次創作小説です。
艦これから艦娘をパクり、アルペジオから船を操作するアイデアをパクリました。
なので少しだけ毛色が違うかもしれません。
また、地の文が割りと多めです。苦手な方は注意してください。
最後に、主は小説が初めてです。更に、都合上更新はとても不定期です。それでも書きたいので書きます。
楽しんでいただけるなら、とても嬉しいです。


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この物語は私が書かなければならない。

彼を長年見てきた私が。彼に連れ添う女性でもなければ、幼馴染というわけでもない私が。

どうか、全ての人に読んでほしい。

彼のことを、正しく理解してほしい。

彼の壮絶な人生を、読んでほしい。

この物語は事実であり、創作である。

物語という形式を取り、小説を書くのであるから、会話部分を書かなくてはならないのだ。彼がした会話の一言一句まではさすがに誰も知らない。

・・・そして、彼が語ろうとしない学校生活も、私でも書くことはできない。

だから、半分創作だ。


大日本帝国海軍は、ミッドウェー海戦、第一、二、第三次ソロモン海戦、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦などで戦力の殆どの戦闘艦艇を失ってしまっていた。

これら艦艇の喪失により、装備はもちろん、熟達した操縦士や水兵を多数喪失、残った兵士は実戦においてほとんどが戦果を挙げられず、帰還すら危ぶまれるほどとなった。

その状況を鑑み軍が捻り出した対策が、「戦後」、忌まわしきものとして記憶されることになる「人間魚雷回天」や「神風特攻隊」などの兵器に人間が乗った状態で体当りするという悲惨な作戦だった。

1944年の終わり頃、正式な部隊として特攻部隊の編成が始まり、それは最終局面の沖縄戦において、米軍の侵攻を阻止するために多数用いられることとなる。

今から話すのは、1945年4月6日-11日から6月21日-22日において行われた、菊水作戦だ。

この日から、全てが始まった。



4月6日、太陽が頂点に達した時、特攻機が海軍から215機、陸軍から82機航空基地から飛び立っていった。

それら特攻機は、海軍及び陸軍の航空機が沖縄本島上空で囮としての行動をとっている隙を突き、次々と米艦隊に突入、駆逐艦三隻、輸送船二隻、揚陸艦一隻を沈めるなどの戦果を上げることに成功する。

また、その日の15時、大和率いる第二艦隊が特攻機含む航空隊による航空作戦に追随すべく、徳山沖を出港した。

だが、翌7日の8時15分、米海軍の航空機により第二艦隊が発見されてしまう。

そして、12時32分、米航空機による第一次攻撃が敢行され、大和を護衛する駆逐艦浜風、朝霜が轟沈。

続く13時20分から14時15分に渡って行われた第二次、第三次攻撃により軽巡洋艦矢矧が轟沈、駆逐艦磯風も魚雷などの攻撃を受け航行不能となった。

その攻撃により、多数の被弾による損傷を受けた大和も浸水がひどくなり傾斜が加速、轟沈。

第二艦隊による海上特攻は失敗、・・・となるはずであった。それが歴史となるはずだった。

4月7日14時5分、北緯30度52分東経128度8分。それは姿を現した。

既に傾きつつあった戦艦大和の右舷後方200m。

「海が突然黒く盛り上がり、大きな黒い物体が海面から突き出してきた」

当時の大和高角砲の弾薬運搬を担当していた兵士は、そう述懐するほどの不気味な光景だった。

今まさに大和に襲いかからんとしていた航空各機も直ちに攻撃を中止。その物体から離れるように高度を取った。

あれは何だと伊藤長官から尋ねられた大和見張員は、

「わ、わかりません!」

と怯えた様子で返事をしたという。

ともかくも、巨大な水飛沫を上げながら海面に着水したその物体を見た途端、日本海軍は震え上がった。


「真珠湾の・・・、まさか・・・」


見紛えようもない。

真珠湾攻撃に際して、日本海軍が沈めたはずの、ネバダ級戦艦二番艦「オクラホマ」。

一人が間違いないといえば、その情報が一瞬にして艦内を駆け巡る。

あれは、オクラホマだ、と。

そのオクラホマが、今、「大和」に主砲を向けている。


天罰だ。


沈めたはずの戦艦が、復讐のために蘇った。

その場に居たもののほとんどが、これを神の御業であると信じ、もはや何を言うこともできず、金縛りにあったように動けなくなったという。

それほどまでに、異常な光景だったのだ。

だが、その光景に酔いしれていた気持ちもすぐに元に戻る。

見張員が叫ぶのだ。

「敵攻撃機、六時の方向、来ます!」

米航空機が、突如出てきた艦の標的が自分たちではないと判断するやいなや、反復攻撃に移ったのである。

「まずい!」

伊藤長官が言った時、耳をつんざく轟音が辺り一面を覆った。

オクラホマが主砲による一斉射撃を行ったことによる音だ。

思わず前に掲げた腕を下ろし、伊藤艦長は大和の損傷状況を自分の目で確認しようとする。

前甲板は、後ろは、右舷は、左舷は、どこかから煙が上がっているのではないか。それとも不発弾か。
副官に被害状況の報告を命じたが、副官からの返事は、


「大和、被弾なし」


・・・答えは、前でも後ろでも右でも左でも、どれでもなかった。

オクラホマが砲撃したのは、急降下爆撃に移った米航空機。

気づいたときには、火達磨になった飛行機が海面に衝突、爆発していた。


「・・・どういうことだ・・・・・・?」


訳がわからない。

あの戦艦は一体何をやっている?

あれは間違えようもなく、日本の戦艦ではない。

日本海軍の戦艦ならば艦首にあるはずの、菊花紋章がないのだ。

・・・迷っている暇はない。

伊藤艦長が副官に命じる。


「撃ち方用意!目標右舷後方の戦艦!」


すかさず副官が復唱、麾下の部隊へ伝声管を通して下令した。

「撃ち方用意!目標右舷後方戦艦、オクラホマ!」

戦艦「オクラホマ」は現在、大和と同航戦の形で平行に水面に浮いている。波の立ち方からして、微速ではあれど航行もしていると見える。

よって、撃つのは主砲三番砲塔、及び後方の副砲一門の計九門だ。

戦艦と打ち合うために前甲板の一番二番主砲も使いたいところだが、ここで無理に回頭し船腹を晒すような真似をする訳にはいかない。

大和の主砲が目標へ指向するのに約5秒、副砲は4秒程度かかる。

オクラホマの主砲は先程の対空射撃の為に仰角をとっているから、必然的に発射するのは大和のほうが早かった。

命中を期すために、一斉射撃ではなく、全門間隔を開けて砲撃を開始。

主砲が爆音を伴って三発発射。

副砲がそれに追随して三発発射。

副砲弾が二発、艦橋下及び艦首に直撃した。

火炎が飛び散るが、大した損害を与えることはできていない。

副官「主砲左右夾差!次弾装填、準備完了次第一斉射!」

副砲の外れをカバーするように、主砲がオクラホマの右舷及び左舷に水柱を発生させた。

第二射への次弾装填が終了するまでの間、ようやく艦隊から離れていた駆逐艦霞が帰還、大和の後方300mにつく。

既にオクラホマと大和による水上戦が行われているのを見て取ると、魚雷発射管に魚雷を装填後、雷撃を開始。

意味は無いかもしれないが、駆逐艦主砲による艦橋への集中攻撃も並行して行う。

そして、予告なく再び主砲副砲による砲撃が行われた。

オクラホマとの距離は800m。さっきまで1500m以上離れていたはずなのに、もうすぐそこにまで迫っていた。

この至近距離、そして一回目の射撃で夾差をとったため、今度は一斉射撃を行う。

主砲と副砲が同時に火を噴き、耳を聾するほどの轟音と船体が軋むほどの衝撃波を発生させた。

副官「主砲弾二発、オクラホマ一番主砲及び艦橋下部に命中、一発右舷近に着水!副砲弾第二主砲に全弾命中、目標炎上中!」

だが、おかしい。

長官「なぜだ・・・、なぜ撃ち返してこない・・・?」

弾薬庫に火が回るのは時間の問題だ。そこまで切迫した状況になっているのに、なぜオクラホマは一発も応射してこないのか。

オクラホマの主砲は未だ大和とは全く違う方向を向いている。

このまま撃っていても埒が明かない。撃ち返してこないのなら・・・、

長官「取舵一杯、全砲門でオクラホマを狙え!あいつばかりに気を取られている暇はない!」

副官「了解、取舵一杯!」

大和の船体が傾きながら、オクラホマの方へ腹を見せた。

長官「全主砲、撃ち方はじ

め!と、続くはずだった言葉は、出てくることはなかった。

明後日の方向を向いていたはずの砲塔が、瞬きの瞬間に大和へ向けられ、驚く間もなく、大和は爆沈した。

大和轟沈後、その艦は日本艦隊へは一切の攻撃をせず、反対に米国の艦艇へ攻撃を開始した。

しかし、その後の動向は日本はおろか各国も把握できないまま、半年が過ぎていった。

散々待った挙句、届いたのは米国の事実上の無条件降伏宣言だった。

米国陥落の急報は直ちに世界各国へ響き渡り、もちろんそれはドイツ等枢軸国へも知らせられた。

小国に過ぎなかったはずの日本が、大国であるアメリカを下したというのは、連合国を震撼させる出来事であったのは、言うまでもない。

連合国側の雰囲気を察知した日本は、思い切って日本海軍を太平洋から撤収させ、奪われていた植民地を奪還、ドイツやイタリアへ援軍を送って寄越し、戦線の構築に注力し始めた。 (残った海軍の規模は相当小さいものであったから、援助の程は察しの通りであるが、連合国を覆った敗戦の雰囲気による士気の低下は、筆舌に尽くしがたいものであった)

米国陥落以降、戦争は終始枢軸国有利に運び続け、1945年6月6日、第二次世界大戦は枢軸国勝利として終戦を迎えたのだった。

正式な降伏文書の調印を終えた大日本帝国は枢軸国各国に号令をかけ、世界統治のための最高機関、枢軸国軍最高司令部を設立。

そしていわゆる、暴政が始まった。

それは1945年8月1日に行われた、世界安全保障義務と呼ばれるもの。

第一条:全ての国家は、世界の平和のために義務を遂行しなければならない。違反は、枢軸国はこれを許さない。

この一条のみで構成されるものだ。

あまりにも抽象的で、具体性に欠けるこの条文は、暴政のための手段とし使われることになることは明白だった。

するはずもない平和利用を誓約し、枢軸国以外の国家の軍事研究資料を剥奪。

綺麗事でしかない世界平和のために、枢軸国以外の国家のこれ以上の軍事研究、拡大を強制停止。

その中でも、日本から米国に対する制裁は凄惨を極めるものだった。

戦後、米国が日本に対し核兵器による攻撃を画策していたことを知った日本軍は、その分野に携わった研究者、軍人からそれらの人々の知人・血縁関係にあるものまでを全て射殺、計画の完全な頓挫を図った上で、資料を強奪したのだ。

この行為に関しては、いくら第二次世界大戦での殊勲国家であろうとも、枢軸他国から会議の場で怒号と非難が浴びせられた。

それに対して日本はこうとだけ言ったと、議事録に記されている。

「それだけのことをしても許されるほどの事を、我々は受けたのだ」


これから語るのは、この時代に生まれ、この時代を鮮烈に生きた男の話だ。





「いい加減起きないとまた授業に遅れますよ!」

パシッと乾いた音をたてて、人差し指でおでこを叩かれた。

運時「・・・」

花姫「寝ぼけてないでください。次の授業が始まりますから」

運時「今日の授業はもう終わったんじゃなかったのか?さっき数学をやっただろ」

顔をうつ伏せにしたまま言った。

花姫「まだ一時間目です!」

運時「そんなことは知ってる。誰かが今日は一時間目で終わりって言ってた気がするんだよ」

まだうつ伏せのままだ。

花姫「そんなのあるわけないじゃないですか。夏休みなんて一週間しかない学校ですよ。午前で終わりなんて、戦争でも起きない限りないですから」

むくりと顔を上げた。

運時「わかったよ・・・。で、次の科目は?」

花姫「英語です」

運時「また英語か!昼休み前に語学をやると眠くなって仕方ないのに」

遼弍「同感だな」

運時の後ろに居た遼弍もむくりと起き上がった。

運時「なんだお前も寝てたのか」

遼弍「数学の授業はつまらなさすぎるんだ。あの先生も先生だ。わざとかと疑うくらい喋るのが遅い」

運時「でも授業中に寝るお前と終わってから寝る俺とでは評価は雲泥の差だろうな」

遼弍「進級できればいい」

運時「席次気にしないのか?」

遼弍「そんなの気にしてたら、学校が全然楽しくなくなる」

運時「でもお前、貴族の出なんだろ?親御さんが黙ってないだろ」

遼弍「自分の人生だ。親でも口出しされる謂れはないね」

運時「なかなかの度胸の持ち主だな・・・。俺はそんなことしたら勘当されるかもしれない」

遼弍「成績を気にし続けなきゃいけないっていうのもなかなか辛いだろう」

花姫「でも学生って本来そういうものなんじゃないですか?成績表とか親に渡して、悪かったら叩かれる、みたいな?」

運時「ドラマの見すぎだな、それは」

花姫「ユキさんだってあったんじゃないですか?」

運時「俺の場合は優秀な姉がついてたから・・・。成績について困ったことはなかったと思う。かなり厳しかったけど」

遼弍「専属の家庭教師がついてるんなら心配いらんだろうね」

運時「いい姉さんだった。自分も帝大の学科試験が迫ってたのに、ほとんど俺にかかりっきりと言ってもいいぐらいだった」

その話を聞いてか、花姫が妬ましそうにため息を付く。

花姫「いいなぁ・・・、私もそんな兄とか姉とか欲しかった・・・」

運時「今産んでもらってももう弟か妹しかいないな」

真顔のまま運時が冗談を言った。

花姫「そういう生々しい答えは全然期待してないのでやめてください」

返答が思いの外冗談を真に受けた感じだった。

笑いを取れないなら仕方がないので、授業の話に普通に戻す。

運時「とりあえず教室を移動しよう。次の英語は確かどこかのクラスと合同だったよな?」

花姫「・・・昨日先生言ってたの、ちゃんと聞いてたんですね」

運時「俺は遼弐とは違って人の話は聞くタイプだからな。聞き漏らしはない」

花姫「聞き過ぎとか聞き間違いが多いんじゃあんまりあてにならないですね」

遼弍「ふたりとも何やってる。はやく行くぞ」

いつの間にか遼弍は席を立って教科書を脇に抱えていた。

運時「あの野郎・・・、澄ました顔しやがって。どうせ寝るくせにエリート面してんじゃねぇぞ」

遼弍「聞こえてる」








運時(ユキトキ)、花姫(ハルキ)、遼弍(リョウジ)、読み方最初に書くのを忘れていました・・・。
出自は後になってちょいちょい出していきます。
ここがどこかも、わかっていただけると思います。
第一回はここで締めますね。ありがとうございました。

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