姉「目が覚めた?」 弟「なんだこれは……」 (12)

姉「夜更かしのし過ぎよ」

弟「なぜ俺は縛られているんだ……」

姉「わからないのかしら?」

弟「なぜ浴槽なんだ……」

姉「フフフ……」

弟「そしてこの黒い液体は何なんだ……!?」

姉「ククク……」

弟「答えろッ!」

姉「醤油よ」

弟「!?」

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弟「醤油だとォ……?」

姉「新鮮生搾り塩分控えめよ」

弟「俺を醤油に浸してどうするつもりだッ!」

姉「まだ気づかないの?……呆れたわ」

弟「何だとォ……?」

姉「あんた白すぎるのよ」

弟「!?」

弟「俺が白すぎるゥ……?」

姉「そうよ」

弟「ちゃんと説明してもらおうか」

姉「いいわ……ロングストーリーかもしれないわよ」

弟「望むところだ」

姉「あんたは中学まで運動部だった」

姉「それなのに高校に入ってからは帰宅部ですって……?」

姉「日焼けもせず白鳥のように白くなりおって……」

姉「黒くないあんたなんて私の弟じゃあないわ!」

弟「何ぃ~!?」

姉「わかったかしら?」

弟「それだけか……?」

姉「そうよ」

弟「姉ェ……」

姉「これは当然の仕打ちよ」

弟「くっ……俺はどうすればいいんだ!」

姉「運動部に入りなさい、外でやる部活のね」

弟「いやだ!俺は運動部になんて入らない!スローライフを送るんだ!」

姉「ならずっと醤油風呂よ?」

弟「いやだ!とにかく俺を解放しろ!」

姉「聞き分けの悪い子ね」スッ

弟「な……まさかそれは……!」

姉「ククク……わさびよ」ニュニュニュ

ポチャン

弟「ぐわーーーっ!ヒリヒリする気がするーーーっ!」

弟「ガハッ……こんなことをしても俺は黒くならんぞ……!」

姉「フフフ……いつまで強がっていられるかしら……?」

弟「馬鹿な真似はやめて俺をここから出すんだ……!」

姉「ほーら体にわさび塗っちゃう」ヌリヌリ

弟「ガハッグハッ!」

姉「醤油も追加しておくわね」ジョジョジョ
弟「ヤメロォ……ヤメロォ……」

姉「それじゃあ、気が変わったら教えてちょうだい」ガチャ

バタン

弟「くっ……!」

~5時間後~

弟「ォ……ォ……」

ガチャ

姉「ひどい顔ね」

弟「当たり前だぁ……」

姉「ご飯、まだだったわよね」

スッ

弟「こ……これは……」

姉「そう、あんたの好きなマグロの刺身よ」

弟「あ……あ……」

姉「魚塚鮮魚店で買って来たのよ。おじさんが今朝仕入れたばかりだって」

弟「あ……は……はわ……食わ……食わわわわわ」

姉「たくさん食べなさい、ほら、解いてあげるわ」パラパラッ

弟「い……いただきますよぉ……」

姉「お醤油につけるの、忘れないでね」



ピチャ……



パクッ……



弟(…………ウ………………マ…………イ……)ブルッブルッ

姉「フフフ」

弟「ウマイィ……ウマイィィ……」

姉「ほら、ご飯もあるわよ」

パクパク

弟「アアア……マグロ……白イゴハン……最高ダァ……」

姉「お腹が空いてる時のご飯、おいしいでしょう」

弟「オイチィ……オイチィヨォ……」パクパク

姉「それとね」

弟「……?」

姉「あんたが入ってるその醤油……」

姉「お刺身用なの」ニコッ

弟「!!」

弟「ウッ……ウッ……」ポロポロ

姉「マグロの味がより引き立つでしょう?」

弟「ウン……ウン……」

姉「さ、もっと食べなさい」


弟「…………お姉ちゃん」


姉「なぁに?」


弟「……俺、漁師になる」


姉「応援するわよ」ニコッ

その後、弟は漁師になった。

あの醤油風呂に入っていた頃とは比べものにならないほど、こんがり日に焼けた、立派な漁師だ。

今ではベーリング海のゴジラと呼ばれている。

でも最近は紫外線は後々シミになるし皮膚ガンとかもあるからちょっとアレかなって思っている……。




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