晃「お前を助けてくれたのは藤木遊作君だ」 (32)

葵「藤木遊作…?」

晃「お前の同級生だと言っていたが、知り合いか?」

葵「少し前にデュエル部に入ってきました」

晃「ちなみに、その…彼とはどんな関係が?」

葵「ただの同級生です」

晃「そうか…とにかく、わざわざ病院まで付き添ってくれたんだ。きちんとお礼を言っておきなさい」


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葵「…お兄様、彼は他になんて」

晃「ん?なんて、とは?」

葵「いえ、新型デュエルディスクを欲しがっていたとか…SOLテクノロジー社に就職出来ないかとか…」

晃「いや、そんな話は聞いていないが…どうして?」

葵「…なんでもありません。そろそろ寝ます」

晃「ああ、お休み」

深夜

葵(眠れない…)

葵(藤木遊作…今までは気にもしなかったけど…新型デュエルディスクやSOLに就職するなら、又とないチャンスだったはず…私の思い違いだった?なら、悪い事言っちゃったかな?)

「では、Playmakerは我々の近くに居るというのか?」

葵「?」

「あくまで可能性の話よ。私の勘が間違ってないなら、妹さんと接点がある事も捨てきれないわね」

葵(お兄様?誰かと電話してる?)

晃「Playmakerが、葵の?」

エマ「あの時、リボルバーは言ってたじゃない。Playmakerの正義感を利用して、あなたの妹を人質に取ったって。それってつまり、Playmakerにとってブルーエンジェルは赤の他人じゃなかったって事にならない?」

晃「Playmakerが、葵と…」

エマ「まあ、全部私の妄想だけどね。少しは参考になった?」

晃「また何かわかれば連絡をくれ」

エマ「OK、次は高くつくわよ」

晃「ああ、わかっているさ」

葵「…………」

翌日

島「おっ、財前じゃん。久しぶり」

葵「島君、おはよう」

島「どうしたんだよ、何日も休んで。病気?」

葵「ちょっとね…それより、藤木君の席ってどこかわかる?」

島「藤木?藤木ならあそこに…」

遊作「…………」寝てる

島「って、また寝てるし。あんなんで進級出来るのかねえあいつは」

島「どうする?なんなら起こしてやるぜ」

葵「いいわ、放課後になったら私から声をかけるから」

島「そうか、ならいいけどよ」


昼休み、屋上

遊作「…………」ホットドッグ食べてる

Ai「昼飯までホットドッグかよ…お前、それしか食うもんねぇのか?」

遊作「学校では喋るな、目立つ」

Ai「その為の屋上だろ?大丈夫だ、誰も来やしねぇよ」

遊作「お前は楽観的過ぎる」

Ai「はいはい、Playmaker様は慎重でかっこいいですねぇ」

遊作「学校でその呼び方はやめろ」

Ai「あー言えばこうだな。人間ってのは…」


ビビビビ!

遊作「…?俺だ」ピッ

草薙『遊作、今は大丈夫か?』

遊作「ああ、丁度昼休みだ。何かあったのか?」

草薙『緊急だ。詳しい事情は後で話すが、今すぐ来て欲しい』

遊作「すぐに?」

草薙『無茶なのは十分承知だ。だが頼む、一大事なんだ』

遊作「…わかった。すぐに向かう」ピッ

Ai「どうしたんだ?」

遊作「緊急だ。行くぞ」

Ai「行くって、お前まだ午後の授業が…」

遊作「緊急だと言ったはずだ。何かあるに違いない」

Ai「ったく、本当に人間ってのは…」


放課後

葵「…帰った?」

島「ああ、どうもあいつ、最近サボり癖がひでぇよな。Playmakerとブルーエンジェルのデュエルの時だっていなかったしよ」

葵「…Playmakerとブルーエンジェルのデュエルの時?」

島「なんだ?どうしたんだ?」

葵「…なんでもないわ。ごめんなさい、私も帰るわね」

島「デュエル部には寄ってかないのか?おーい!……って、行っちまったし」

島「財前の奴、藤木と仲よかったっけ?」


葵(流石に、お礼を言うだけの為に家まで行くのはね…そもそも、彼の家なんて知らないし)

葵(…Playmakerは、私の身近にいる誰か)

葵(私がPlaymakerが戦った時、彼は授業に出ておらず、私がログアウト出来ずに屋上で倒れていたところを発見してくれたのは彼だった)

葵「…………」

葵(ないない、いくらなんでも考え過ぎ…)

「財前葵ちゃんね?」

葵「え?」

「晃の妹さんでしょ?初めまして」

葵「あなたは?」

エマ「私?そうね…端的に言うなら、お金で雇われる魅惑の謎の美女ってところかしら」


エマ「そう…やっぱりあなたもPlaymakerの事が気になってるんだ」

葵「私はそんな…」

エマ「クールよね…LINK VRAINSの救世主として颯爽と現れて、ハノイのリーダーもやっつけちゃうんですもん」

エマ「あなたを陥れたと誤解した晃や無関係のあなたの為に戦ってくれた時は、ちょっと胸がキュンとしちゃったかな?」

葵「………」

エマ「藤木遊作君…」

葵「っ!?」

エマ「だったわね?ログアウト出来ずに、屋上で倒れているあなたを運んでくれたのは」

葵「…………」

エマ「その様子じゃ、あなたも薄々勘付いてるみたいじゃない。どう?共通の目的を持つもの同士、手を組まない?」

エマ「これは多分、あなたでなければ出来ない重要なミッションになる」


翌日

遊作「ふわぁ…」

Ai「随分とでかいあくびだな…寝不足か?」

遊作「黙れ、話しかけるな」

Ai「なんだよ、まだ学校じゃないんだからいいじゃん」

遊作「昨日あった事を忘れたのか?何者かが草薙さんのパソコンにハッキングをかけてきた。おそらくは、Playmakerの正体を掴む事を目的としたものだろう」

Ai「最近はハノイやリボルバーの件でその辺が雑になってたからな、目立たないようにして来たのに残念だったな」

遊作(しばらくは、LINK VRAINSに行くのも避けた方がいいかもしれない)





葵「やっぱり、ここからじゃよく聞こえない…」

葵(誰かと通信している?何かを耳に当ててる様子はないし、他に誰かがいる訳でもない)

葵(SOLテクノロジー社…そしてハノイは、Playmakerの持つ手に入れたAI(エーアイ)を狙っている)

葵「まさか…」

学校

遊作(草薙さんのデータバンクに発見出来る程の者…心当たりがあるとすれば、やはりゴーストガールしかいない)

遊作(一つ、SOLテクノロジーに雇われている。二つ、俺とリボルバーとのデュエルを観戦していた。三つ、奴自身、Aiを狙っている。これらの事から、Playmakerの正体を探りに来ているのにも理由がつく)

遊作(だがどうする…?これ以上こちらから動くわけには…)

葵「藤木君、ちょっといい」

遊作「?」

葵「少し話があるの」

遊作(財前葵…?)


デュエル部、部室

遊作「何の用だ?」

葵「ありがとう、私が屋上で倒れていた時、あなたが発見してくれたんでしょう?」

遊作「別に大した事じゃないさ、気にするな」

葵「それから、ごめんなさい。私、あなたの事誤解してたみたい。てっきり兄さんの事で私に近付いて来たとばかりに思ってたから」

遊作「それはあんたが思い詰める事じゃない。それに…」

葵「え?」

遊作「俺があんたに近付いたのは、連中と同じだ。俺はあんたと、あんたの兄さんを目的にあんたを利用しようとした」

葵「っ!?」

キーンコーンカーンコーン

遊作「授業が始まる…」

葵(今の目…どこか寂しそうな…)

葵(あなたは、Playmakerなの?だとしたら、何で…)


Ai「おいこら、Playmaker様よ。何であんなこと言ったんだよ!お前、今自分が正体バレそうな状況だって事忘れたのか!?」

遊作「事実は事実だ」

Ai「ゴーストガールはSOLテクノロジーに雇われている。あのねぇちゃんも兄貴の差し金かもしれないんだぞ?」

遊作「わかってる。わかってるさ…」

遊作「………」

とりあえず今日はここまで
個人的に葵に正体がバレるなら、こんな感じになってほしいかも



放課後

島「よっしゃあ終わったぁ!おい財前、今日は部室来いよな、部長から連れて来いって…って、いねえし!」

島「しょうがねぇな…藤木、お前も少しくらい顔出せよ?初日以来全然来て…」

島「こっちもいないーー!?」





草薙「よう、お疲れさん」

遊作「ひとつ頼む」

草薙「まいど!」

葵(ホットドッグ屋…?この店、営業してるの初めて見たかも…)


草薙「どうだった?学校は」

遊作「思った通りだ、そろそろ限界かもしれない」

草薙「そうか…ネットにも、Playmakerの正体は学生、それもブルーエンジェルの関係者じゃないかって記事も出てるくらいだからな」

葵(…………)

草薙「いくら記録は消せても、記憶を消す事は出来ない。なぁ、覚えてるか?Go鬼塚と戦った時の事」

草薙「今はハノイだけではなく、SOLテクノロジーまでもが脅威になっている。俺達二人だけじゃあ…」

遊作「だから、彼女を仲間に?」

草薙「俺達に関わらないにしろ、彼女がSOLテクノロジーの関係者である事は事実だ。だったら尚のこと、共に戦った方が安全なんじゃないかってな…」

遊作「ハノイとの戦いに敗れれば、何が起こるかわからない。何より、彼女には家族がある。これ以上巻き込む訳にはいかない」

草薙「いいのか?せっかく…」

遊作「所詮、デュエルは1対1。俺は一人でもやれる。サポートはあんた一人で十分だ」

草薙「そうか…ま、そう言うとは思っていたけどな」

Ai「さっすがPlaymaker様!クール~!ぶげっ」

遊作「黙れ」

葵(…………)

遊作(これが俺の覚悟だ…)

遊作(聞いてたろう?だからもう俺に関わるな、お前には大切な人が居る、心配してくれる家族が居る)

遊作(復讐の重荷を背負うのは、俺だけでいいんだ…)

数分後

エマ「葵ちゃん、こっちこっち。どうだった?Playmakerは?」

エマ「いえ、藤木遊作は」

葵「…………」

エマ「今更隠す事でもないでしょう?いかにPlaymakerでも、人間の記憶までは消す事は出来ない。ブルーエンジェルとデュエルした事、屋上で倒れているあなたを発見した事。赤の他人であるはずのあなたの為に危険な橋を渡ろうとした事」

エマ「安心なさい、世間に広めるつもりはないわ。今はただ、Playmakerの正体が知りたいだけ。決して悪いようにもしないわ」

葵「藤木君は…」

葵「彼は、Playmakerではありません」

エマ「え?」

葵「どうやら、私達の勘違いだったみたいです。考えてみれば、以前にデッキも見せてもらいましたが、サイバース族のカードはなかったですし」

エマ「……ふ~ん。そう」

エマ「なら他を当たるわ。悪かったわね、彼には謝っておいて」

葵「はい…」

エマ(良かったわね、藤木遊作君。いい子に好かれて。でも私も諦めが悪いのよねぇ。次はどうしようかしら…)

エマ「楽しみ…」

財前家

葵「巻き込みたくない、か…」

葵「…………」

晃「どうした、葵?」

葵「はい?」

晃「いや、やけに嬉しそうだなと思ってな。何かいいことでもあったのか?」

葵「いえ、決していい事では…」

晃「そうなのか?その割には随分と」

葵「その話は置いといて、お兄様…」

葵「明日からはお弁当を作ろうと思うのですが、何かリクエストはありますか?」

葵「特に、男性が好みそうなメニューがいいのですが」

翌日、屋上

Ai「昼休みになってもPlaymakerの話題はなし…どうやらバレてはいないみたいだな。でもまあ、覚悟を決めといた方がいいかもな」

遊作「わかってる」

Ai「で、お前はまたホットドッグな訳ね」

遊作「黙れ、飯が不味くなる」

「そこ、普段は鍵がかかってるはずだけど」

遊作「?」

Ai「げっ」

葵「まさか、毎日こんなところで食べてる訳?本当に目立つことが嫌いなのね」

遊作「…………」

Ai「次回、Playmaker 死す!デュエルスタンバ…あがっ」


遊作「何故ここに?」

「思った通り…毎日それだけじゃ、栄養が偏るわよ」

遊作「?」

葵「隣、いい?」

遊作「良くない。俺は失礼す――」

がしっ

遊作「…………」腕を掴まれた

葵「座る」

遊作「…………」

葵「座る」

遊作「…………」座る

葵「隣、いい?」

遊作「…勝手にしてくれ」

Ai(こええ…)


葵「これ」

遊作「これ?」

葵「食べて」

遊作「?」

Ai「なんだこりゃあ?小包か?」

葵「………」ギロッ

Ai(ひぃっ)

葵「食べ終わったら返して、放課後にまた来るから。あなたなら屋上も自由に開けられるんでしょう?」

遊作「まさか、わざわざこれを渡す為に?」

葵「そうよ、悪い?」

遊作「いいや」

葵「そう…じゃあまた、放課後に屋上で。じゃあね、遊作」

遊作「ああ」

Ai「…………」

Ai(あれ?今、遊作って…)


ガチャン!

葵「…………」

葵「~~~~~っ///」





Ai「おい、遊作だってよ。良かったなぁ、やっと友達らしい友達が出来て。いや、女の子に名前を呼ばれたって事は、もう彼女……ぐはっ」

遊作「…………」パクパク

遊作「…美味いな」

終わり

短いですが、ここまで
個人的に一番近い葵が一番最初に遊作の正体がバレるんじゃないかと予想した結果、こうなりました。もっと絡み増えないかな?
遊作も葵も自分好みの主人公とヒロインなので、これからの絡みを待つことにしよう

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