佐久間まゆ「魔法の四文字?」 (23)

@事務所

モバP「あーあーあーあーあーあーあーあー」

ちひろ「プロデューサーさん、仕事してください」

モバP「いやだぁー夏のー夏の魔力がぁー」

ちひろ「なんかあったんですか?」

モバP「いやさぁ、ちっひ。夏だよ? 青い春が最も青くなる夏だよ?」

凛「呼んだ?」

モバP「呼んでない。あ、でもしぶりん会えて嬉しい」

凛「ぷ、プロデューサー……」テレテレ

ちひろ「………………」パキポキ

モバりん「……すみませんでした」

ちひろ「解ればよし」

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※凛はレッスンに行きました

ちひろ「で、どうしたんですか?」

モバP「いや夏だしさ、なんか夏らしくアホなことでもしたいなぁ……って」

ちひろ「そうですか」カタカタ

モバP「うっわ、ちっひ冷たい」

ちひろ「あなたが企画したクリスマスライブに向けて色々見積もってるんですよ」

モバP「おっつー。あぁぁぁああぁああ、夏が終われば秋、秋が過ぎればクリスマスか……」

ちひろ「今年だってアイドルたちと過ごせるじゃないですか。何か不満でも?」

モバP「たまには俺だって可愛い彼女と過ごしたいんですよ」

ちひろ「たまには?」

モバP「なんでそういう小さな強がりも許してくれないの?」

ちひろ「はぁー……しょうがないですね」

モバP「おっ? ちひえもん?」

ちひろ「哀れで醜い可愛い我が同僚に魔法の言葉を授けましょうか」

モバP「わーい、ちっひサイコー!!」

ちひろ「ただし、これは呪いのようなものですよ? 一度この言葉を唱えると、とある女の子に魅せられてしまうそんな呪いです」

モバP「その子が俺を好きである可能性は?」

ちひろ「きっしょ」

モバP「いや、いいじゃん……」

ちひろ「まぁまぁ。ただどうなっても知りませんからね?」

モバP「なんか怖くなって来た……」

ちひろ「大丈夫、少し目を瞑ってる間に終わりますから……」

モバP「やだ、やめて……」

ちひろ「天井のシミでも数えてれば終わりますよ……」

モバP「きっしょ、おっさんかよ」

ちひろ「………………」ニッコリ

モバP「あ、ごめ、調子のtt


ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!

えぇ、その時のことは鮮明に覚えています。

机の下から一部始終をずっと眺めていましたから。

ちひろさんがプロデューサーさんに近づいて、耳元で何かをぼそりと呟いたんです。

たぶん、そんなに長くないです。短い言葉。

プロデューサーさんは始め、拍子抜けをしたような顔をしていました。

でも、変化はその日のうちに起こりました。

なにやら一人でブツブツと呟く頻度が高くなったんです。

まさかあの言葉が……プロデューサーさんを狂わせるなんて、誰もが思っても見ないことでした。

そうです。

結局あれから1週間経つまで、プロデューサーさんはずっと事務所を休み続けていたのです。

以上、回想のもりくぼでした。

〜1週間後〜

@事務所

まゆ「おはようございます」

ちひろ「まゆちゃん、おはようございます」

まゆ「あの、ちひろさん……モバPさん今日もですか?」

ちひろ「昨夜連絡がありましたよ。今日から完全に復帰だそうです」

まゆ「ホントですか!?」

ちひろ「えぇ。多分まもなくくると思うんですが……」

モバP「おはようございまーす」

まゆ「モバPさん!」

モバP「お、まゆじゃん。おはよう。痩せた?」

まゆ「お世辞でも嬉しいですよ」

加蓮「おはようございまーす。あ、モバPさん。やっほ」

モバP「おう加蓮。元気だったか?」

加蓮「それはこっちのセリフ。モバPさんこそどしたの?」

モバP「どした? ってなにが?」

加蓮「え、だって無敵のモバPが倒れるなんて今までなかったじゃん」

モバP「あははは……まぁまぁ」

加蓮「大丈夫? 無理してない?」

モバP「ちょ、加蓮、近い」

加蓮「はいはい。じっとしててね」オデコアワセ

モバP「なっ」

まゆ「………………」

ちひろ(加蓮ちゃん……なんで地雷原を踏み抜いていくの……)

加蓮「んー、熱はないみたい?」

モバP「い、いいよ! 離れて!」ノケゾリ

加蓮「それとも、却って熱が上がっちゃった?」クスクス

モバP「お前なぁ……」ポリポリ

まゆ「………………」

ちひろ(っべーよ。完全にやべーやつでごぜーますよ……)

フレデリカ「フレちゃんと!」バンッ!

志希「志希ちゃんで!」バンッ!

フレ志希「「おはようございまーす」」

モバP「お前らは普通に入ってくることができんのか」

フレデリカ「プロデューサー! ぼんじゅー!」

モバP「ぼんじゅー」

志希「プロデューサー、Я рад познакомиться с вами」

フレデリカ「!?」

モバP「Говорят в России, почему?」

フレ志希「「!?!?!?」」

モバフレ志希「Fuuuuuuu!!!!」ハイタッチ

まゆ「…………………………」ピクピク

ちひろ(まずい、このままじゃ非常にまずい)

ちひろ(一週間まるまる休んでアイドルに飢えたプロデューサーと)

ちひろ(一週間プロデューサーとの連絡の一切を遮断されたアイドル)

ちひろ(普段よりもスキンシップが過激になることは確実!!)

ちひろ(そして何よりも……)チラリ

まゆ「……………………」ニコニコ

ちひろ(さっきからまゆちゃんめっちゃ青筋立ってるし! すごいこわい!!)

そのときちひろに電流走る!

ちひろ「プロデューサーさん、お仕事の件なんですけど……」

ちひろ(アイドルと戯れていようが所詮は社畜……っ! 仕事を優先するはず……っ!)

モバP「はい! あ、まゆが午前中からでしたよね? もうちょっとで幸子が来るはずなんで一緒に送っていきますよ」

ちひろ(かかった! 意識がまゆちゃんのほうに向いた! これで事務所に平和が……!!)

まゆ「モバPさん、まゆともおしゃべりしてください」ピトリ

えぇ、それはありふれた光景でした。

まゆさんが他のアイドルに嫉妬して、ちょっぴりボディタッチが激しくなるんです。

そうです、ほんのちょっぴり。手のひらで軽く腕を触るくらいなんです。

いつもなら別に気にしない、それかちょっと困った顔をするはずのプロデューサーさんが、

なぜかその日だけ、



モバP「あ、ああっあ、ああ、あ、あああぁぁぁああぁぁあ…………」カヒューカヒュー



突然過呼吸になって虚ろに天井を見つめ始めました。

その後?

アイドルの皆さんが凍りついてプロデューサーさんを見つめる中、

プロデューサーさんは事務所の外へと走って行きました。

5分くらい……でしょうか。

戻って来たプロデューサーさんは変わり果てた姿になっていました。

まるで幽鬼のようにふらつき、光は目から失われていました。

もりくぼたちはただその姿をじっと眺めているだけだったんです。




もりくぼ、これ以上は回想むーりぃー……。

モバP「………………」ボソボソ

フレデリカ「ぷ、プロデューサー?」

モバP「ん、どしたフレちゃん」

フレデリカ「あれれれー? フツー?」

モバP「フランス人だけにってか?」

モバフレ「HAHAHAHAHAHAHA!!!」

まゆ「モバPさん?」

モバP「………………ィ」ボソボソ

志希「……大丈夫?」

モバP「病み上がりって言っても大したことないし、別に異常はないと思うが……」

まゆ「モバPさん!!」

モバP「…………キィ」ボソボソ

ちひろ「何ふざけてるんですか! しっかりしてくださいよ!」

モバP「ちっひうるさいよ。なんのこと?」

ちひろ「さっきからまゆちゃ……」

モバP「マユスキィ…………」ボソボソ

アイドル「こ、これは…………!?」

志希「う〜ん、どうやらまゆちゃんの声とか名前を聞くだけでおかしくなっちゃうみたいだねぇ〜」

まゆ「そ、そんな! まゆは何も!」

加蓮「何も? 何もかなぁ……?」

まゆ「加蓮ちゃんまで!」

志希「原因はよくわかんないけど、でもさっきのまゆちゃんのタッチがトリガーになった可能性は高いね〜」

志希「もともとまゆちゃんへの想いはあったみたいだけど、今はリミッターがバカになってるみたい」

まゆ「まゆはただ……! まゆは、まゆは……!!」

フレデリカ「まゆちゃん」

モバP「マユスキィ…………」ボソボソ

フレデリカ「志希ちゃん」

モバP「志希がどうかしたのか?」

フレデリカ「佐久間まゆ」

モバP「マユスキィ…………」ボソボソ

フレデリカ「奏ちゃん」

モバP「奏にも最近会ってないな。元気か?」

フレデリカ「ままゆ」

モバP「マユスキィ…………」ボソボソ

フレデリカ「あはははは。プロデューサーおもしろーい!」

モバP「うぅ……なんか頭が痛くなってきた…………」

まゆ「モバPさんで遊ばないでください!」

モバP「マユスキィ…………」ボソボソ

>>10
ミス。こっちです


フレデリカ「まゆちゃん」

モバP「マユスキィ…………」ボソボソ

フレデリカ「志希ちゃん」

モバP「志希がどうかしたのか?」

フレデリカ「佐久間まゆ」

モバP「マユスキィ…………」ボソボソ

フレデリカ「奏ちゃん」

モバP「奏にも最近会ってないな。元気か?」

フレデリカ「ままゆ」

モバP「マユスキィ…………」ボソボソ

フレデリカ「あはははは。プロデューサーおもしろーい!」

モバP「うぅ……なんか頭が痛くなってきた…………」

まゆ「モバPさんで遊ばないでください!」

モバP「マユスキィ…………」ボソボソ

まゆ「あぁっ!?」

安価もミスった……
>>13>>12です


ちひろ(まずいまずいまずいまずい)ダラダラ

ちひろ(最近ネットで『まゆすき』なんて言葉を見かけるからちょっとからかっただけなのにこんなことになるとは……)

ちひろ(他のアイドルはさておいても、まゆちゃんに知られるとまずい)ダラダラ

加蓮「もしかすると、なんか他の原因があるんじゃないの?」

ちひろ(!?!?!?!?)

まゆ「どういうことですかぁ?」

加蓮「ほらモバPさんずっと休んでたし、もしかすると1週間前からおかしかったのかも」

ちひろ(大丈夫、あの場には私とプロデューサーさんしかいなかったはず……!)

ちひろ(凛ちゃんはレッスンに行ってたし、他のアイドルの子は見かけてない!)

フレデリカ「聞いてみよっか。よいしょ」

乃々「むぅーりぃー……」ズルズル

ちひろ(森久保ォ!?!?!?)

幸子「カワイイボクが到着しましたよ!」

ちひろ(さっちゃん! 勝った!)

ちひろ「幸子ちゃん、せっかくですがお仕事に行きましょう! ね? ね?」

幸子「なんですかちひろさん。押さないでください!」

ちひろ「いってきまーす!!」ドタバタ

乃々ちゃんが見ていたのはちひろさんが何かを呟いたというだけ。

結局それ以上のことは聞けませんでした。

あとでちひろさんを問い詰めてみても返って来たのは「まゆすき」の四文字だけ。根本的な解決にはなりませんでした。

それからというもの。

生気を失ったまゆちゃんと、まゆちゃんに触れることができないプロデューサーさんとの不思議な関係が事務所の空気を並々ならぬものへと変えてしまいました。

『まゆすき』なプロデューサーさんはお仕事どころの話ではないので、ちひろさんをはじめとした多くの人たちがまゆちゃんとプロデューサーさんを遠ざけようと必死でした。

それに当のプロデューサーさんは自覚がありません。

朝起きたら毒虫に変わっていたグレゴールのようなプロデューサーさんと、

禁じられた関係に苦しむウェルテルのようなまゆちゃん。

そして、その他のアイドルたち。

その均衡が破られるのも時間の問題……。

以上、回想を引き継いだ鷺沢文香でした。

@事務所

モバP「なんか最近まゆに避けられてる気がするんだが……」カタカタ

加蓮「いやぁー、そんなこともないと思うよ?」

モバP「マジで?」

加蓮「マジのマジ」

モバP「じゃあ最近加蓮がベタベタして来るのも?」

加蓮「そんなこともないと思うよ?」ベタベタ

モバP「……マジで?」

加蓮「マジのマジ」ニコニコ

凛「まったく、最近ちょっと変だよ?」ベタベタ

モバP「そうかな……。ちょくちょく記憶が飛んだりするんだが……」

凛「リフレッシュしたほうがいいよ?」

モバP「でもなぁ、先週もずっと休んでたし……」

凛「マッサージしてあげる」

加蓮「凛。さすがにやりすぎ」

凛「なんで? 私はただ疲れてるプロデューサーを癒してあげたいだけだよ?」

加蓮「そんな瞳孔全開で言われても説得力ないっての……」

ちひろ(ナチュラルに女はべらせてますよあいつ……)カタカタ

まゆ「…………おはようございます」ガチャリ

モバ凛加蓮「!!」ビクンッ

凛加蓮(………………まずい。尋常じゃないくらいまずい)ダラダラ

モバP「マユスキィ…………」ボソボソ

まゆ「………………」

ちひろ(こぇええ!! まゆちゃんこええええええええ!!)

凛「あ、おはようまゆ。あっはっは、プロデューサー相変わらずだね」ダラダラ

加蓮「ホントホント! 早く元に戻らないかなぁなんて」ダラダラ

まゆ「………………うっ」プルプル

凛加蓮「う?」

まゆ「うえええぇぇえぇぇええぇぇえええええんん」ボロボロ

凛加蓮ちっひ(な、泣いたぁあああああああああああああああ!!??!?!?!?)

ちひろ「ま、まゆちゃん?」

まゆ「まゆは、まゆはただモバPさんとお話ししたいだけなのに……」ポロポロ

まゆ「こんな、こんなことになるなんて……まゆ何にもしないのに……」ポロポロ

まゆ「なのに……!」ポロポロ

まゆ「も、モバPさぁん…………」フラフラ

モバP「マユスキィ…………」ボソボソ

まゆ「まゆと、まゆと前みたいにお話ししてくださいよぉ…………」ダキシメ

モバP「!?」ビクンッ

モバP「あ、ああっあ、ああ、あ、あああぁぁぁああぁぁあ…………」カヒューカヒュー

凛「プロデューサー!?」

モバP「ああぁあ、ああ、あままままっままあゆゆゆゆっゆままゆ」ガタガタ

まゆ「うぇぇえええええええぇぇえんんんん」ボロボロ

加蓮「まゆ!? モバPさんが壊れちゃう!!」

モバP「まままっままままっまままゆゆゆっゆゆゆうすきまゆすきまゆすきまゆすきままままま」ビクビク

ちひろ(泣きながらプロデューサーさんを抱きしめるまゆちゃんと、痙攣するプロデューサーさん……)

ちひろ(なんという地獄絵図…………)

モバP「」

まゆ「ひっく、えぐ、ひっくっ」ポロポロ

凛「ぷ、プロデューサー?」

加蓮「モバPさん……?」

モバP「…………ッッハアッ!?」ビクン

モバP「……まゆ?」

まゆ「!?」

まゆ「も、モバPさん……?」

モバP「泣いてるのか……まゆ?」

凛加蓮ちっひ「治ったっ!?」

まゆ「はい…………モバPさんのまゆですよぉ……」ポロポロ

モバP「なんかよくわかんないけど、よかったなまゆ」

まゆ「はい…………はいっ!」ポロポロ

モバP「ってうええぇえぇぇ!? めっちゃ時間経ってるじゃんまゆ!」

まゆ「……はい?」

モバP「凛、加蓮、そろそろ出る準備しとけまゆ!」

まゆ「まゆは今日レッスンだけですけど……」

モバP「ん? 知ってるよまゆ。凛と加蓮の撮影だよまゆ」

まゆ「はぁ…………まゆに言われても…………?」

ちひろ(………………これは?)

凛「プロデューサー」

モバP「なんだよ凛まゆ。そろそろ準備……」

凛「なまむぎなまごめなまたまごって言ってみて」

モバP「……はぁ?」

凛「早く!」

モバP「……なままゆなままゆなまままゆ。…………はっ!?」

志希「どうやら言語野にちょっぴりまだ異常があるみたいだね」

加蓮「解説ありがと」

志希「どういたしまして〜♪」

まゆ「……………………」

ちひろ「…………まゆちゃん?」

まゆ「はぁい……」ニコニコ

ちひろ「Oh...All right....」

モバP「えぇぇ……これどうしようまゆ」

まゆ「はぁい」ニコニコ

モバP「いや、いまのまゆはそういうまゆじゃないまゆ……」

まゆ「あなたのまゆですよ」ニコニコ

モバP「ち、違うまゆ!」

まゆ「うふふ……何がですかぁ?」ニコニコ

マユマユマユマユ
ソンナニヨバナクテモキコエマスヨォ

ちひろ「………………」

ちひろ「終わりましょうか」



終わり

お疲れちゃんです。
ヤンデレP VS ドン引きまゆをやろうと思ってたんですが変な方向にねじれました。
まゆすきまゆすきまゆすきまゆすき。

以上です。
美優さんはまた今度。

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