ディアボロ「このわたしがアイドルのプロデューサー?」 (170)

ディアボロ「」

高木「~~~~~、というわけだ。そこは、まぁ同僚にサポートしてもらいながら学べば良い。」

ディアボロ「……ハッ!?ここは!?」

高木「?」

高木「突然どうしたのかね?ここは765プロの事務所だが……?」

ディアボロ「……」

ディアボロ「……」

ディアボロ「……そうか、なるほど。」

高木「?」

高木「特に問題がないようなら話をすすめるよ?」

ディアボロ「あぁ、理解した。」


((『次の死に場所』はここという事をな……。あぁ、これは何回目だ))

高木「ふむ。とはいえ、事務上の手続きは終えているからね」

高木「私から伝える事はもうないんだがー」

ディアボロ「とにかくわたしはどうすればいい?やりたいようにしてくれ」


((わたしは『死ぬ』という真実にさえ達する事はない。ただ死までの経過を永遠に繰り返すだけだ))

((抵抗などしたところで無駄なのは知っている))


高木「それでは、さっそく同僚のプロデューサーにあいさつしにいこうか」

高木「デスクまで案内しよう」


((何百回と繰り返してきたのだ。喋る事や……考える事すらも、億劫になってきた))




ディアボロ「フフ……丁寧だな。さっさと始めればいいものを」

高木「おぉぉぉぅ!!やる気に満ち溢れているねぇ!!よし、あいさつとデスク整理がすんだら早速アイドル達と会ってくれ!」

ディアボロ「」

---765プロダクション事務所---

高木「ここが君のデスクだ。うぉぉん!しかし君いい目をしているね!!」

高木「いやぁ私も君くらいの時には情熱に燃えていたものだよ!」

高木「あぁいや、もちろん今だってバリバリだけどね!そういえば――」ペチャクチャ

ディアボロ「……」


((なんだこいつは))


高木「~~そうなんだ!ハッハッハ、笑ってしまうだろう!?」

ディアボロ「あぁ、その、なんだ」

ディアボロ「……」

???「もう社長!新入社員さんが困らせちゃだめですよ!まだやる事はたくさんあるんですから!」

ディアボロ「ハッ!?」バッ

???「あらごめんなさい、驚かせちゃいました?」


((なんだこの女は……ッ!?))

高木「彼女はここの事務員をしてくれている音無君だよ。」

小鳥「よろしく。小鳥ちゃんって呼んでくださいね!」

ディアボロ「あ、あぁ……」


((素人に後ろをとられた、か。注意力も落ちている))


律子「はぁ、小鳥さんも十分困らせてますよ!」

律子「ごめんなさいねプロデューサー。みんな元気はあるんですけどね……あはは」

ディアボロ「気にしないでくれ。」


((気にしないで……))

((気にしないではやくやれ))


・・・

律子「デスクの整理は大体おわったようですし、みんなにあいさつしにいきましょうか」

ディアボロ「ああ。アイドルたちのところへ案内してくれ。あぁええと、アキヅキ……?だったか」

律子「あはは。同僚なんだし律子でいいですよ。」

---レッスンスタジオ---

春香「ふーみんなお疲れさまー」

千早「お疲れ様。今日は充実していたわね」

やよい「うっうー!なんだかうまくいった気がしますー!」


ワイワイ
 ガヤガヤ


<ガチャ

律子「はーいみんなおつかれさまー!」

ディアボロ「……」

春香「お疲れ様です律子さん!」

春香「律子さん……と?」

春香「……あれっ?」

真美「おつかれちゃ→ん!……むむむ??」

真「ねぇ雪歩、あの人誰かな?」

雪歩「見た事ないよね……あっ」

千早「もしかして、この前言っていた」

ディアボロ「……」

律子「そうよ!新しくプロデューサーとして入社された」

律子「ディアボロプロデューサーです!」

「わあぁぁぁ!」
「かっこいー!」ワイワイ
「えぇでもちょっと怖そう?」
「すごいピンク」
「何歳なのかな?」ガヤガヤ


律子「こーらーみんな!あいさつできないでしょう?」

春香「えへへ、ごめんなさい」

律子「プロデューサー、どうぞ」

ディアボロ「あっ?あぁ、わたしか。え、えぇと」

ディアボロ「……」

ディアボロ「何を言えばいいのだ……くっ……」

ディアボロ「ええと、俺の名前は――」

律子「プロデューサー。」

ディアボロ「えっ?」

律子(第一印象、大事ですよ)ボソッ

ディアボロ「」


((この女ッ!何を言っているんだ……!))


((アイドル、プロデューサーに自己紹介……?どれもわたしは経験など))


((ああっ、やめろ……!こっちを見てるんじゃあないぞ、そこの銀髪……!))


((なんということだ。よく見れば銀髪の女だけじゃない、全員がオレを見ている……ッ!))


((な、なんとかして自己紹介しなければ……だが何を言えば……!))

律子「プロデューサー?」

千早「緊張なさっているのでは」

伊織「ていうか、スタジオまで連れて来られて突然そんなのフられたら当然こうなるわ……」

亜美「しかたないね」

真美「ね→」

春香(かっこいい人だなー)ポケー


ディアボロ「あ……あ……ッ!」





((仕方ないッ!何かわからんがくらえッ!))

ディアボロ「『P』はこのディアボロだッ!依然変わりなくッ!」
ズギャァァァァァァァーーーーーン








一同「えっ」

ディアボロ「えっ」

一同「」

シーン


ディアボロ「あっ」

シーン

((殺せッ!!何をしているゴールド・エクスペリエンス!!))

((俺に無意味な辱めを与えて楽しんでいるのかックソ~~~~~ッ!!))

((悪質だ……今まで経験したどんな『死』よりもむごたらしい……ッ!))

((はやく殺せ……殺してくれ……!!!))






ディアボロ「……ディ、ディアボロだ。以降よろしく頼む」


春香「あ……あはは、おも、しろい?人だね……?」

真「う、ん……。あはは。よろしくー!」

伊織「また強烈な……」

律子「初っ端からやってくれますねープロデューサー。」

ディアボロ「すまない」


((キング・クリムゾンで時間を飛ばせばよかった))

・・・
・・


美希「ねぇっプロデューサー!プロデューサーは何歳なの?」

ディアボロ「わたしか……わたしは33だ」

春香「えぇっ!全然そんな歳に見えませんよー!?」

美希「とにかくミキ的にはカッコイイから全然問題ナシなのー!」

真「スタイルもすごくいいけど、なにかスポーツをやってるんですか!?」

貴音「ですが、この方から感じる空気はすぽーつまんや武道者のそれではなく……いや、気のせい?」

真美「ピンク色の髪なんてなかなか攻めるファッションだNE!これは見どころがありますな!」

亜美「765プロのファッションリーダーですかい?楽しみですなー!」

伊織「ファッションリーダーってあんたねぇ……」

響「この業界だし色んな人がいるとはいえ、自分プロデューサーみたいな人は初めてさー」

あずさ「765の名物プロデューサーって感じかしらねえ?うふふ」

ディアボロ「そうか?歳など考えた事もなかったが」

ディアボロ「あ、あぁ……スポーツ?やってないが鍛えてはいた」

ディアボロ「次はなんだ?髪?髪は別にいいだろう髪は……」

ディアボロ「ええい露骨に引くんじゃあないッ!!!」


((まさか今までのレクイエムが終わったわけではないだろう。やるならはやくやれ))

((こんな……こんな訳の分からない事をさせるのが目的なのかジョルノ・ジョバァーナ))

律子「さて、あいさつも一通り済みましたし、事務所に戻りましょうか」

ディアボロ「あ?あ、あぁ」

律子「あーっ、プロデューサー。まさか今日はこれで終わりなんて思ってませんよね?」

律子「プロデューサーにはやってもらう仕事のアレコレについて説明しないといけないんですから、休む暇なんてありませんよー!」

ディアボロ「そうだな」


((フフ……死に続けるわたしに休む暇などあるわけないと言いたいのか?))



---765プロダクション事務所---

<ガチャ

一同「ただいまー!」

ディアボロ「今戻った」

小鳥「おかえりなさい、みんな!」

・・・

ワイワイ
ガヤガヤ

ディアボロ「しかし、皆元気なもんだな……活気にあふれている」

律子「えぇ、それがいいところなんですけどね。」

ディアボロ「ああ。本当に……な。わたしとは無縁の……」

律子「え?何か言いましたか?」

ディアボロ「いやなんでもない。さぁ、仕事について説明してくれ」

律子「~~~なので、基本的には週を一つのタームとして行動してください。」

ディアボロ「あぁ分かった」

律子「ふむ、プロデューサーはなかなか呑み込みがはやいですね。」

ディアボロ「そうか?」

ディアボロ「……そうでないと、生きてこれなかった」

ディアボロ「無理やりでも、理解はするさ」

律子「いったいどんな戦場で生きてきたんですか……」

ディアボロ「……オレは一体何を言っているんだ。すまない、気にするな」

律子「うーん……良く分らないけど、とにかく今はプロデューサーってことですよね」

律子「一緒にがんばりましょう」

ディアボロ「一緒に、か」

コトッ

雪歩「あ、あのぅ……。お茶を入れたので……どうぞ!」

雪歩「そして失礼しますぅ~!!」シュタタッ

ディアボロ「?」


((今のはなんだ))


春香「あはは~……。ごめんなさい、雪歩もまだ緊張してるみたいで」

ディアボロ「緊張?……フフ、気にするなと伝えてくれ」


((いつでも死ぬ準備はできている))


春香「分かりました。しっかり伝えておきますよ」

春香「雪歩は人見知りなところがありますけど、すごく優しい子なんですよ!」コソコソ

ディアボロ「そうか」

春香「はい」

ディアボロ「……」

春香「」ジー

ディアボロ「……」

春香「」ジー

ディアボロ「……」







ディアボロ「……なんだ?」



ドドドドドドドドドドドドド
         ドドドドドドドドドドドドドドド

春香「そ、それはそーとォ~~~~~……」



春香「……プロデューサーさんに『これ』を」

ゴゴゴゴゴゴゴ
   ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!




ディアボロ「」



((ッ!))

((こいつッ!後ろ手に何か隠している……ッ!))

((銃か、ナイフか、なんのつもりだ……))

((今それをこちらに向けようとしている!))

((やはりレクイエムは終わってなどいなかったッ!))

((やられるッ……オレは……オレはッ!))

((ここで終わるのかッ!?))

ディアボロ「オレはッ……!」

ディアボロ「……くっ!」





ディアボロ「さあ、はやく……やれ……!」

((無駄なんだ,無駄無駄))

((もはやわたしには何をする術も残されていない))

((ここで終わる?……いや違うな。オレは既に終わっている))

((吐き気を催す馴合にはちょうど嫌気がさしていたのだ))



ディアボロ「……ッ!」





春香「じゃっじゃーん!お砂糖たっぷりのドーナツですっ♪」

ディアボロ「……は?」

春香「あれ、どうしたんですかプロデューサー?」

春香「あっ……。もしかして苦手、でしたか?こういうの」

ディアボロ「……?」

シーン

響(なんだかやばい雰囲気だぞ)

真(どっどっどうしようボクはなんかフォローとか、したほうがいいのかなどうしよう!?)

雪歩(やっぱりプロデューサーは怖い感じの人ですぅ!)


春香「ごめん、なさい」

ディアボロ「ドー、ナツ?」

春香「えぇ、ドーナツ。ごっ、ごめんなさいぃ!甘いのが苦手なんて知らなくてっ―――」

ディアボロ「いや」

春香「えっ」

ディアボロ「嫌いではない……。ひとつもらおう」

春香「」

春香「ほんとですかっ?よかったぁ~。てっきりプロデューサーさんは嫌いなのかなって思っちゃって!」

ディアボロ「こういうのは慣れないもんでな」ヒョイッ



((レクイエムは、わたしに何を見せようとしているんだ))

((何かは分からんが、見せようとしている))

((俺をここまで生かす理由))

((この生温いアイドル達と、765プロダクションの行く先を))

((何らかの究極的な真実を、見せようとしているのだ……!))



貴音「……」

((あぁ、いいだろう。辿り着いてやる。))

((プロデューサー?やってやろうじゃないか。))



ディアボロ「帝王はこのディアボロだ、依然変わりなく……ッ!」

パクッ




ディアボロ「あ゙まっ!!!」

---765プロダクション事務所---

ディアボロ「しかし甘いなこれは」

ディアボロ「まぁ、疲れた脳には効くというからな」

春香「んふふ~、私のお手製なんですよ!」

春香「なんだかプロデューサーさん、ずっと疲れた感じだったから丁度いいやと思って!」

春香「あっ、みんなの分もあるよー!どうぞどうぞ!」

真美「さっすがはるる~ん!やっぱり持つべきものははるるんですな!」ピョーイ

亜美「お嫁さんにできたら最高だNE!」ピョーイ

美希「ミキもドーナツほしいの~!」ピョーイ

「あらあら~、じゃあ私ももらおうかしら~」
「あぁっ!春香、ボクの分も残ってるよね!?」ワイワイ
「もちろん!全員分あるよ!」
「うっうー!じゃあ私もらおうかなーって!」ガヤガヤ
「ん~!あま~~~い!」

ディアボロ「おぉう……随分盛り上がるな」

小鳥「ふふっ、プロデューサーさん、覚えておくといいですよ♪」

小鳥「女子はあま~いお菓子には目が無いんです!」

ディアボロ「そうか」

小鳥「えぇ、そうですとも!私も一女子として断言しておきましょう!」

ディアボロ「」


「あ、あぁ」
「あっ!プロデューサーさん今『女子じゃないだろ』って思いましたね!」ワイワイ
「何っ!なぜ分かった!ハッまさかスタンド攻撃ッ!」
「なにいってるんですか~も~!」ガヤガヤ


貴音「……」

貴音(先程の、春香にどーなつを渡された時の『気』……)

貴音(やはりあの方は……)


春香「はい、四条さんもどうぞ!」

貴音「え、えぇ。いただきます。ありがとう春香」

・・・

春香「じゃあ、私たちはそろそろ帰りますねー」

千早「お疲れ様でした」

やよい「おつかれさまでしたー!」

律子「はーいお疲れさま」


<ガチャ


ディアボロ「はぁ」

小鳥「ふふふ、プロデューサーさん、ひと段落という感じですか?」

ディアボロ「ひと段落だ」

律子「今日はみんな勢ぞろいでしたからねー」

小鳥「やっぱりみんな揃うと違いますね!」

ディアボロ「普段は揃わないのか?」

律子「そうですねー。それぞれに仕事がありますから」

小鳥「竜宮小町もいますしね」

ディアボロ「竜宮小町か。高木社長から聞いた」

律子「えぇ、そういうことなんです。ちなみに竜宮は私が主に担当しています」

ディアボロ「ふむ」

ディアボロ「なるほど、ならば律子は同僚であると同時に敵というわけだ」

律子「敵……ですか。なるほど、たしかにそうとれなくもないですが」

律子「一緒に互いを高めていけるようなライバルって感じでいれたらいいと思います」

小鳥「うんうん。みんな仲間ですからね。」

ディアボロ「……」

((仲間であり、敵でもある。か……))

((わたしはそういう世界でやってきた))

((しかし、それは律子がいうような都合のいいものではなかったぞ))

((勝負において最後に残るのは『結果』だ。どれだけ切磋琢磨しようと、その『過程』は加味されないのだ))


律子「プロデューサー、どうかしました?」

ディアボロ「いや、なんでもない」


・・・

社長「ふむ、夜も遅くなってきたな。」

社長「律子君も帰ってしまったし、今日のところはディアボロ君を家まで送ってやろう」

ディアボロ「助かる」
((自宅の場所など知らないからな……))

小鳥「わかりました。戸締りはしておきますので」

小鳥「お疲れ様でしたー」

社長「お疲れ様音無君」

<ガチャ

---ディアボロ宅---

ディアボロ「普通の現代日本家屋って感じだな。マンションってやつか」

ディアボロ「冷蔵庫にはシャンパンと最低限の食料」

ディアボロ「冷凍庫にはネアポリスのピッツァか」

ディアボロ「テーブルの上には銀行口座の通帳等々生活に不可欠な物がおいてあるぞ」

ディアボロ「本来の住処と比べるとみみっちいもんだが……仕方ないな」

ディアボロ「日本の様式になれていかなければ」


ディアボロ「プロデューサーか……」

ディアボロ「いいだろう。つきあってやる」

ディアボロ「……」ジー




ディアボロ「しかし、そんなに変な髪か?」

翌日

---765プロダクション事務所---

春香「おはようございますー!」

千早「おはようございます」

小鳥「おはよう二人とも」

ディアボロ「……」ジー

ディアボロ「ふむ」カキカキ

春香「プロデューサーさん、ホワイトボード見つめてなにしてるんですか?」

ディアボロ「春香か。今日一日の仕事の流れをメモしているのだ」

ディアボロ「どうやら最初の仕事は春香。お前との営業だそうだ」

春香「あっ、そうなんですか!」

春香「よろしくおねがいしますね!」ニコォッ

小鳥(天使や……誰とでも分け隔てなくあんなエンジェルスマイル放てるなんて)

小鳥(間違いなく天使やないか……!さすがのプロデューサーもこの攻撃には)

ディアボロ「ああ。聞いてるかもしれないが9時40分に出発だ」




小鳥(あの笑顔をモロに受けてなぜノーダメなんや?)

ディアボロ「車を用意してあるので乗っておいてくれ」

春香「了解ですっ」

小鳥「初仕事がんばってくださいねプロデューサー!」

千早「いってらっしゃい春香」

ディアボロ「よし、それでは行ってくる」

---車内---


ディアボロ「出発するぞ。おおよそ1時間で着く予定だ」

春香「はーい」

ブロロン……ブォォォォォン

ディアボロ「……」

春香「……」


・・・


ディアボロ「……」


春香「……」
春香(なにか喋った方がいいかな)


ディアボロ「……」


春香(気まずいなあ)

春香(うーん、やっぱり気まずいなあ)

春香「あのっ」


ディアボロ「なんだ」


春香「プロデューサーさんって、765プロに来る前はなにをしてたんですか?」


ディアボロ「……以前か」

春香「はい」



ディアボロ「以前はな、イタリアの……」

春香「えぇっイタリアにいたんですか!」

ディアボロ「そうだ」


デャイボロ「イタリアの……ギャングだ」



春香「!?」

春香「あはは~プロデューサー私は騙されませんよ」

ディアボロ「……」

ディアボロ「冗談だ」
((言う必要などなかったな))

春香「なんていうか……けっこうおもしろい人ですねプロデューサーさん」

春香「シュールっていうか、あっ、でも喋ってて楽しいんですけど」


ディアボロ「そうか」


春香「あはは……はぁ。」
春香(失礼な事言っちゃったかな)


ディアボロ「……」

春香「……」

ブロロン……ブォォォォォン


ディアボロ「ちなみにギャングのボスをやっていた」


春香「えぇっ!?」

ディアボロ「冗談だ」
ディアボロ(なかなかいいリアクションをする)

ブロロンブロロン

ディアボロ「着いたぞ」

春香「はーい」


---営業先---


ディアボロ「CDショップでの宣伝販売……か」


「みなさんこんにちはー!天海春香でーす!」ワイワイ
「毎日寒いですけど、私たちのCDを聴いてホットになりましょ~!!」
「こんにちは~、あっありがとうございます!!」ガヤガヤ
「次はこっちですね!ありがとうございますー!!」
「えぇと……あっ、はい!ありがとうございますー!!」
「うわわ、わぁ!」ドテッ
「あいたた……ごめんなさい~」
「あ、はい……ありがとうございますーどうもー」



((俺の想像していたアイドルと違うな。下積みというやつか))

((必要なのはトップアイドルになったという結果だからな))

((こんな小さな過程にまで出張る必要はないだろう))

ディアボロ「……それに、見ていられないほどドジが過ぎるぞ。あれは」

ディアボロ「何かトラブルを犯してしまいかねないな」

ディアボロ「……久しぶりだが腕が鳴るなああ~~~」

ディアボロ「『エピタフ』」


((ほんの少し先の未来を覗き見るッ!))


■■■■エピタフ(ほんの少し未来)■■■


春香「―――、―――っ!」

店員「―――……。――。」

春香「……。―――、――。」


((この光景は……))

((積み上げたCDを、躓いた事で崩してしまったのか))

((そしてショップの店長が激怒、春香がしょんぼり。と))

((はぁ……頭が痛くなるな))

■■■■現在■■■■


((久々だが……今の一件が終わるまで飛ばしてやるか))

((こんな事に使うべきではないが、ここで失敗すると今後に響きかねない))



春香「はい、どうぞ!ありがとうござ―――」



ディアボロ「『キングクリムゾン』」


ディアボロ「……結果だけだ。結果だけが残る」


・・・


春香「……」

春香「あれっ!?」

春香「おかしいな、今あの人たちとお話してたはずなのに……」

春香(疲れてるのかな)

ディアボロ「春香」

春香「っはいぃぃ!全然!全然気を抜いてなんかいませんよっ!」


((驚いているのか、無理はない))


ディアボロ「そろそろ時間だ。上がるぞ」

春香「あっ、分かりました……」



春香「って何イィィーーーッ!?」

春香「ひ、ひどい……積み上げてあったCDがかくも無残な……ッ!」

春香「誰がこんな事を……ッ!」


((お前だ))

ディアボロ「何かを運んでいたときにぶつかったんだろう。後処理は店側がやるそうなのでわたし達は先に帰ろう」


オツカレサマデシタ-
マタヨロシクオネガイシマス-

---車内---

ディアボロ「……」

((ここへきて初めて時間を飛ばしたが……))

((特におかしな点はなく、かつてと同じような感覚で使えるな))

((それでも、無茶な使い方はまずいだろうが))


ディアボロ「春香」

春香「……」

春香「……」スヤァ

ディアボロ「寝ているのか……。ならいいか」

・・・

((疲れてしまうという結果はキングクリムゾンでも覆せない))

((しかしせめて、神経の使う場面では俺がスタンドでサポートしていった方がよさそうだ))

((トップアイドルにさせるために、な))



・・・
・・

---765プロダクション事務所---

<ガチャ

ディアボロ「おはよう」

小鳥「おはようございますプロデューサーさん!」

律子「おはようございます」

律子「プロデューサーがウチに来てからもう1週間経ちましたけど、調子はどうですか?」

ディアボロ「そうか、そんなに経ったんだな」

小鳥「お仕事の方はけっこう順調そうですよねー」

ディアボロ「ん?あぁ……周りがどうか知らないので具合は分からないがな」

律子「いやいや、正直すごい腕前ですよ。処理がはやくて驚いちゃいます」

ディアボロ「目指すのはトップアイドルだからな。並ではいかんだろう」

律子「さすがですね……私もうかうかしてられませんよ」

ディアボロ「わたしの第一目標は律子に追いつくことだ」

律子「ううっ!……怖い存在ですね。いい意味ですけど」

ディアボロ「フフ……まぁ待っていてくれ」



((それもただの通過点だがね))

・・・

ディアボロ「今日は確か営業だったな。連れて行くのは、たしか」

律子「千早ですね」

ディアボロ「千早だったな」

律子「みんなプロデューサーと打ち解けてきてるみたいですけど、千早はどうですか?」

ディアボロ「どうだろうな……分からん」


((打ち解けているかどうかなどあまり考えた事がなかったな))


律子「あはは、そうですか……」

小鳥「今日の営業でそこを感じれるといいですね!」

ディアボロ「あぁ」

---営業先---

ディアボロ「ラジオの営業だな。聞き手からすると姿が見えないので、できるだけつよく印象をもたせるといい」

千早「はい……」


((こいつ、気乗りしていないのか……))

((トップアイドルになりたいと思っているのか、この小娘))


ディアボロ「緊張しているのか?」

千早「いえ、そういうわけではないのですが」

千早「……ごめんなさい。なんでもありません」

ディアボロ「おい、待てッ……!」


((このまま仕事をさせるのはまずい……!))

((なんとしてでも視聴者に好印象をもたせなければ……しかしどうするッ))

千早「……なんでしょうか?まだ用が?」

ディアボロ「緊張ではないなら一体なんなんだ?えぇ?嫌な仕事なのか?」

ディアボロ「わたしはプロデューサーだ。なにかお前につっかえているものがあるなら、それを取り除くのが仕事だ」

ディアボロ「目指すのはトップアイドルだ。お前が気持ちよく仕事をこなせるように調整したい」

千早「プロデューサー……」

千早「……」

ディアボロ「言ってみろ」

千早「……ごめんなさい。正直に言います」

ディアボロ「あぁ」

千早「実は……」

・・・

ディアボロ「疲れているだとォ~~~~?えぇ?」

千早「はい……」

千早「あのっ!決して、やる気が無いとか……そういう訳では」


((冗談じゃあないぞ……こんな理由で営業を失敗にされては困る))

((クソッ……オレの説得でなんとかなるのか……!))


ディアボロ「アイドルは人前にでる仕事だ。これは大変な重圧がかかる」

千早「……」

ディアボロ「人に見られる、注目されるなんて事はストレスがかかって当然だ」

ディアボロ「だがな、千早。そこは何とか自分で管理していかなければならないんだ」

千早「あの……違うんです。」

ディアボロ「なに~~?」


((いい加減面倒臭いぞッ貴様……!))

((やはりオレにはこんな仕事できないのか……ッ!?))


千早「体調管理は、人一倍気をつけているんです。オフの日はしっかり体を休めていますし」

千早「なのに……ここ一週間くらいでしょうか」



千早「『ふと気が付くと、時間が過ぎているときがあるんです』」



ディアボロ「……!」

千早「10秒とか、それより短いようなわずかな時間ではあるんです。だけど……」

千早「急に我に返ったようになって……。少し前の記憶がない、というか……」

千早「多少の疲れなら我慢します。だけど、もし営業中やレッスン中にこうなってしまうかもと考えると……」

ディアボロ「千早」


((まずい……ッ!))

((まずい、まずい状況だ……ッ!))


ディアボロ「そうだったのか……千早、お前はそれを心配していたのか」


((落ちつけ、このディアボロに不可能は無い。無敵だ……!))

((今まで何度か時間を消し飛ばしたが、どれも必要なタイミングだった……ッ!))

((あぁ確かに、765にくるまでは1秒の使用でさえためらっていた))

((だがここでは違う、戦闘などはない!レクイエムの世界……!))

((ゴールド・エクスペリエンスがスタンドの使用を許しているんだ))

((そうだ……オレは間違っていない……!))

千早「はい」

ディアボロ「心配なのは分かる。数秒前の自分を覚えていないわけだからな」

ディアボロ「『気にするな』すべてうまくいっているのだ。わたしが保証しよう」

ディアボロ「恐れることはない。本気で仕事に打ち込めるなら、消えてしまうその時間もきっとお前はアイドルなんだ」

ディアボロ「それに、大事なことは結果的にお前がアイドルでいることだろう?消えた時間など気にするな」



千早「プロデューサー……」



ディアボロ「俺は千早、お前をずっと見ているぞ。そして断言しよう。お前は765の如月千早だ」



千早「……!」

千早「ありがとうございますプロデューサー。少し、安心できた気がします」

ディアボロ「あぁ。そろそろ時間だ。行け」

千早「はい!」

タッタッタ……

ディアボロ「行ったか」

ディアボロ「心配する必要はない。お前が感じているのは俺のサポートなのだからな」





((さて))

((収録で危なくなったら、サポートしてやるか))

千早「~~ですので、歌には力を入れています」

MC「なるほど!でもさ、このPVはダンスも可愛らしいよね!」

千早「ダンス……ですか?え、えぇ。ありがとうございます」

MC「ちょっとさ、ここでやってみてくれない?ダンスwww」

千早「ここでですか……?えっと、それは」

MC「いや、サビの部分だけでいいからさwwww」

千早「えーと、リスナーの皆さんには分からないのに、ですか?」

MC「ちがうちがう、俺が見たいのww個人的にwww」

千早「え?え、えぇと……」


ディアボロ「ッッ」
((まずいッ!千早頼むッここはMCに従ってくれえぇーーーーーッ!!))



千早「そんな事、する必要が分かr―――」



ディアボロ「『キングクリムゾン』」

ディアボロ「……結果だ。結果だけが残る」

・・・

千早「……」

千早「……!」
千早(まただ、またこの感覚……!)



スタッフ(うわァーーッ!もう時間じゃないか~~~~!気付かなかったッ!!)キュッキュッキュ

カンペ『EDトークへお願いします』

MC「んー?あらら、残念ですがそろそろお時間ということで!」

千早「あ、はい。あの、ありがとうございました」



ディアボロ「今日もうまくいったな」

ディアボロ「無駄な一悶着を起こさずに済んだ。順調だ」

千早「プロデューサー……?」

・・・

---765プロダクション事務所---

やよい「おはようございます!」

春香「プロデューサーさん、おはようございます♪」

ディアボロ「あぁ、やよいに春香か。おはよう」

小鳥「おはようございます!」

美希「ミキもいるの!おはようなのハニーそして小鳥!」



ディアボロ「勘弁してくれ……マジにな……まだ続けてたのか……」

美希「どうしたのハニー?……ミキにだけおはよう言ってくれないの?」



小鳥「」

小鳥「あ゙?」

春香「は、は……」

やよい「は、ハニー?」

小鳥「美希ちゃん?ハニーって、え?」

美希「ハニーはハニーだよ?どうかしたの?」


ディアボロ「なあ……頼む……やめてくれ……」

ディアボロ「ファンには絶対に『ハニー』を聞かせるわけにはいかない……!!」


美希「ごめんねハニー」

春香「え?えぇ?」ポカーン

小鳥「プロデューサーさん、あ、いやえっと……ハニー?」

ディアボロ「あ゙?」



ディアボロ「……小鳥ィ~~~~、お前までハニーと呼ぶのかぁーーーッ!!貴様ッ!」

小鳥「あぁんごめんなさいっ!」

やよい「で、でもびっくりしましたー……あの、ハニーってどういう意味ですか?」

春香「え、えぇー……」ポカーン

ディアボロ「何か分からんが、そう呼びたいらしい」

小鳥「問題になる事じゃ……ありませんよね?」

ディアボロ「まさか」

美希「えぇっ!?」

美希「ハニー!ミキとは遊びだったのっ!?」

ディアボロ「仕事だ」

美希「しょんぼりなの……」

ディアボロ「はぁ……困ったもんだな」

やよい「美希さん、おちこまないでください……うぅー、プロデューサー」

小鳥「あ、あわわ……ハニー、ハニー……」

ディアボロ「分かった。わけを話すから落ちついてくれ」

・・・

春香「なんだそういうことだったんですね私びっくりしちゃいましたよー!」

・・・


((千早とのラジオ営業が終わってからも、俺は営業を中心にアイドル達をプロデュースした))

((あれからキングクリムゾンを使ったのは数回ほどだ))

((アイドル達はやはりそれを奇妙に感じているようで、千早と同じように『疲れているのかも』と悩んでいた))

((俺は彼女たちに、これまた同じように『心配するな』と諭したつもりだ))

((美希がこうなってしまったのは、この時に俺がヘタなフォローをしてしまったからだ。どういう経緯かは省こう。結果だけが残ればいい))

((以前律子に言われたように、アイドル達と打ち解ける事ができているかどうかは依然分からない))

((トップアイドルになるためにはある程度悩みを吐露してくれないと困るからな。できるだけ積極的に接して行くつもりだ))

((現状、1対1で時間をとった会話をできていないのは貴音だけだ。そして今日は……))


・・・

千早「オイプロデューサー!ダイジョウブカヨッ!」

高木「眉間に風穴開けてやるぜィ」

---車内---


ディアボロ「では出発しよう」

貴音「……はい」

ディアボロ「目的地は遠い。1時間強かかるので何かあれば言ってくれ」

貴音「分かりました」



ブロロンブロロン
ブォーーー


ディアボロ「……」

貴音「……」



ディアボロ「貴音」

貴音「はい」


ディアボロ「お前には、前から聞きたい事があった」

貴音「……」


ブロロンブロロン
ブォーーー


ディアボロ「俺の聞きたい事についてだが」

貴音「はい」



ディアボロ「近頃、いや……俺がプロデューサーになってからずっと気がかりな事がある」

貴音「はい」



ディアボロ「貴音。お前事務所にいる時はいつも俺を警戒しているだろう?」



貴音「……!」

貴音「……はい」

ディアボロ「んっんー、なるほど否定はしないんだな。まぁいい」

ディアボロ「何の警戒なのか。当ててやろう」

ディアボロ「敵意だな」




貴音「……!」
貴音(やはり只者ではない)

貴音「はい」

ディアボロ「……こうしている今も、俺から目をはなしていない」

貴音「はい」



ディアボロ「さて、今一つ分からないな。俺はお前のプロデューサーに過ぎないのに……」

ディアボロ「どうして警戒などする」

貴音「それは……」

貴音「……」

ディアボロ「それは?」

貴音「わたくしにも……詳しくは分かりません」

ディアボロ「ほう?」

貴音「今日まで見てきましたが、プロデューサーは確かに皆を引っ張っています」

ディアボロ「当然だ」

貴音「まだ1週間やそこらではありますが、確実に皆の士気が高まっているのが分かります」

ディアボロ「当然だな」

貴音「仕事も……すこしずつではあるのかもしれませんが、今後増えて行くのでしょう」

ディアボロ「フンッ!当然だよなあ~~~~」

貴音「……ですが」

ディアボロ「当然!『P』はこのディアボロだ!依然変わりなくッ!!」

貴音「聞いて下さい」

貴音「わたくしは、プロデューサーに危うさを感じます」



ディアボロ「……危うさ、だと?」


貴音「恐ろしい」


ディアボロ「何が恐ろしいというのだ」


貴音「プロデューサーから流れてくる空気、雰囲気……あまりにも危険だと魂が感じるのです」


ディアボロ「おい貴様!説明しろ……意味が分からんぞ……」

・・・

貴音「プロデューサーが目指している物は、確かにわたくし達と一致している」

貴音「『トップアイドル』」


ディアボロ「そうだ!」


貴音「ですが、わたくしには、ただそれだけであるような気がしてなりません」


ディアボロ「……」

ディアボロ「それだけ……?どういうことだ……」

ディアボロ「意味が……わからんぞ、キサマ 貴音ッ……!」


貴音「皆はプロデューサー、あなたを信頼し始めている」

貴音「ですが、あなたは何を見ているのです?」

貴音「皆を見てはいても、あなたが見ているのはその向こうの何か別のものです」

ディアボロ「……」


貴音「トップアイドルになるには……それではいけない」

貴音「信頼は時間をかけてゆっくり築いていけばよい。そう思いますか?」

貴音「……いいえ、あなたはそんな事を考えてはいない」

貴音「わたくし達は、あなたの目的を達するための道具に過ぎない。そう思っているのでしょう」


ディアボロ「……」

ディアボロ「……」
ディアボロ(クソックソッ!なんだこの女は……!)

ディアボロ「なんだ貴音キサマは……」

貴音「わたくしは本気です。トップアイドルへの道を妥協するつもりはありません」

貴音「どんな壁があろうとも、仲間と乗り越えます」

貴音「ですがプロデューサー、あなたは」


ディアボロ「もういい……」


貴音「プロデューサー」


ディアボロ「もういいと言っているッ!もう会場に着く。だから……ッ!」


貴音「……」

貴音「あなたが、真実の意味でわたくし達の仲間となるのを待つしかありません」

貴音「それまでは……わたくしはあなたには心を預けられない」



ディアボロ「くっ……!」

((このオレが……押されている))

((今までなら、殺してしまえば話は済んだ))

((だが今は違う……ッ!目的はトップアイドルへ導くこと))

((全員揃って……!その為には、皆の信頼を得る事が必要……?))

((なんだ…………))

((オレは何を真剣に考えているんだ……こんな、みじめに……オレは……))



ディアボロ「降りろ、エンペラーレコードのパーティ会場だ……。着いたぞ」


・・・

ASBのPVでディアボロの声がかっこよすぎて辛い

>>117
kwsk

---エンペラーレコード・パーティ会場---


ディアボロ「大物レコード企業の創立記念パーティか」

ディアボロ「芸能界の猛者も集まるそうだ」

ディアボロ「高木社長によると、ここに出て顔を売っておくという戦略だそうだが――」


貴音「はい」


ディアボロ「……」


((一件のせいで、俺も貴音も動揺している……。落ちつかなければ))



ディアボロ「かえって不自然だ……。あまり力むとな、貴音……。」

ディアボロ「これはパーティだ、楽しんでいる体を忘れるんじゃあないぞ」


貴音「……はい」


ディアボロ「では行こう。挨拶しておくべき人物は既にリストアップしてある」

>>118
詳しくってお前……

>>117
ASBLで花京院圧倒するボスクッソかっこいい。あとカーズの突進をキンクリ回避するのも

・・・

貴音「765プロダクションの四条貴音と申します」

作曲家「765っていうと……あぁ、高木くんの所の!ふぅーん、なるほどー」


貴音「高木社長を御存じなのですか?」

作曲家「彼とは長い付き合いなんだ。なるほど、四条さんね。覚えておくよ」


貴音「ありがとうございます!」

作曲家「そして……えーと、あなたがこの子のプロデューサーですか?」


ディアボロ「ああ、そうだ」

作曲家「なるほど、なかなか個性的な……あはは、本当に765のひとは強烈なキャラだなー」
作曲家(タメ口て!)


ディアボロ「目指すのはトップアイドルだ。並の人間では成せない」

作曲「うん……そ、そうなのかもしれないね。君も、覚えておこう」
作曲(一見無礼なだけだし、すごい事を言っているわけではないけど……)
作曲(このプロデューサーには、何か大きなものを感じる。カリスマ……)

ディアボロ「それではわたしはこれで。貴音、行こうか」

・・・

ディアボロ「ふむ」

貴音「今の方で、終わりですか?」


ディアボロ「そうだな」

ディアボロ「主催者である大富氏にも挨拶は済ませたからな。後はパーティを楽しむといい」

貴音「はい……しかし」


ディアボロ「どうした」

貴音「プロデューサーはどうするのです?」


((何を言っているんだこいつは))


ディアボロ「俺は外へ出る。時間になれば戻って来るからお前は好きにしろ」

貴音「……はい」
貴音(この男を一人にするのは気が進みませんが……)

・・・
---パーティ会場・テラス---

ディアボロ「もう夜か。……寒いな」

ディアボロ「……」



((人と接する仕事をしているとはいえ))

((やはり大勢の人が集まる場所は恐ろしいと感じる))

((存在を知られるという恐怖……))

((もうそんな恐怖は無いはずなのにだ))



ディアボロ「……」

ディアボロ「ドッピオ、か……」

『皆はプロデューサー、あなたを信頼し始めている』

『ですが、あなたは何を見ているのです?』




((ドッピオも、俺をただ信じていただけだった))

((俺がどう考えているかも知らずに))

((フフ、まるで今の春香たちと同じだな……))

((懐かしい))





ディアボロ「ハッ!」




ディアボロ「ちがう……オレは……!」

ディアボロ「ちがうんだ……くっ……!」

ディアボロ「オレは何を考えて……ッ!」

ディアボロ「クソッ……!」

ディアボロ「戻るか……」

・・・


ざわざわざわ……


ざわざわざわ……


ディアボロ「様子がおかしい。なんだこのざわめきは」

ざわざわざわ

ざわざわざわ


ディアボロ「あの集団ッ!何か起こっているのか!?」ダッ

ディアボロ「嫌な予感がする!」

・・・

貴音「……おやめ下さい!私は、そのようなことのために来たのではありません!」


大富「なに、その柔肌をじっくりと見せるだけでよい」


貴音「ッ!!」ゾクッ


貴音「このっ!無礼m」







ディアボロ「なにをやってんだああああああ貴音ぇーーーーーっ!」





ディアボロ「危なかった……『キングクリムゾン』……!」

ディアボロ「大富氏は超重鎮だ。ここで何か事を起こせば間違いなく終わる……ッ!」







貴音「」

貴音「はっ!?」


ディアボロ「……」

貴音「」

貴音「はっ!?」


ディアボロ「……」


貴音「……ここは」


ディアボロ「……」


貴音「……なぜ車内に!」





貴音(この感覚!これはッ!)

貴音「そんな……まさか……っ」



ディアボロ「どうした?貴音……」ゴゴゴゴゴ

貴音「い、今まで……!このような感覚に陥る事は何度もありました……!」

貴音「そんな時、周りの者も大抵何かおかしな表情を浮かべている!」

貴音「わたくしは理解したのです!そういう者はわたくしと同じ感覚を経験していたのだと……っ!」

貴音「お、恐ろしい……!」




ディアボロ「なんの事だ」ドドドドド
              ドドドドドドド

ディアボロ「なんの事だ」ドドドドド
              ドドドドドドド



貴音「い、今までの『それ』は、それほど強い違和感を感じなかった」

貴音「せいぜい気を抜いていたんだろうとか、そういった程度……!」

貴音「ですが、今のっ!……今の感覚は最も強い違和感っ!!!」

貴音「そして何より!」

貴音「なぜ……なぜ『あなただけ』が……」

貴音「なぜ『あなただけ』がこの状況で飄々としていられるのかッ!?」

・・・

貴音「間違いない……魂で感じる危険を、今大きく感じている……!」

ディアボロ「……」


貴音「あ、あなたは……!あなたは一体……!」

ディアボロ「パーティは終わったのだ。だからオレたちは帰る。それだけだ」


貴音「あ……!あ……!」

ディアボロ「どうした貴音。様子がおかしいぞ」


貴音「め、面妖な……一体どんな術を使って……!」
貴音「はぁっ……はぁっ……」


ディアボロ「……」

ディアボロ「分かるぞ、貴音」


貴音「!?」

ディアボロ「春香をはじめ」

ディアボロ「他の皆もお前と同じような感覚に陥る事があるといっていた」

ディアボロ「疲れているそうだ」

ディアボロ「心配なのは分かる。数秒前の自分を覚えていないわけだからな」

ディアボロ「『気にするな』わたしが保証する。すべてうまくいっているのだ」

ディアボロ「本気でトップアイドルに向かい全てに打ち込んでいるなら、消えてしまった時間もお前はアイドルなんだ」

ディアボロ「消えた時間など気にするな。日本では『結果良ければすべて良し』と言うそうじゃあないか」

ディアボロ「『結果』が残ればいい。すべての『過程』は消え去ってもいいんだ」

貴音「そ、それを……本気で?」

貴音「本気で……言っているのですか……!?」


ディアボロ「なに?」


貴音「『結果』だけでよいと!」


ディアボロ「……?」


((こいつ何を言っている……))

((だが、マズいのはキングクリムゾンについて何か感じられること))

((対処しなければ……落ちついて……))

ディアボロ「どうした貴音。様子が―――」


貴音「『過程』は不要であると!!」


ディアボロ「……」



貴音「わたくし達の、時間がッ!価値の無いものであるとッ!」


ディアボロ「……!」


貴音「確信しました……!」

貴音「あなたはトップアイドルを目指している……ただそれだけであるという事を!」

貴音「心のどこかで、わたくしはあなたの事を信用したがっていた……!」

貴音「しかし、これでは!」

ディアボロ「おい……!」


貴音「この面妖な感覚とあなたに関係がなくとも……それ以上に!」


ディアボロ「……ッ」


((なんだ、内臓が浮くような、この感覚))

((今から、オレは、あの日々の記憶を思い出す))

((予感……?ちがう、エピタフで見ていたわけでもなんでもない))

((『運命』だ。オレは、この世界に生まれた瞬間にこうなることが決まっていた))

((そうとさえ……なぜか、信じられる……))

((運命から、逃げてきたのに……))

貴音「あなたは……あなたは……!」




貴音「『邪悪』ですッ!!!」


ディアボロ「……ッ!?」

・・・

ディアボロ「じゃっ、邪悪……だと?フフ、何を言うかと思えば」

ディアボロ「お前たちを、導くためなのだ……」

ディアボロ「ただ、それだけだ……」

ディアボロ「な、なぜ……」







ディアボロ「貴音貴様ァァァーーーッ!なぜッ!?そう感じるッ!!!」

貴音「うぅっ」ビクッ

貴音(こ、この圧力……!やはりただびとのそれでは……!)

貴音「ですが……(負けられません)」

貴音「『邪悪』……とは!」

貴音「『邪悪』とは!何も知らぬ者を、自分のためだけに利用する事です……!」

貴音「信頼しきっている皆を!自分だけの都合で……ッ!」


ディアボロ「く、クソ~~~~~ッ……!」

ディアボロ「このオレが助けてやっているんだぞッ……!」

ディアボロ「グ……ググ……」

ディアボロ「……っ、……!」

ディアボロ「帰、るぞ……!」


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書き溜めが尽きた。途中でスレ始めたのは後悔している
明日また最初から初めてちゃんと終わらせる
後悔している

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