モバP「アイドルたちが異能力者になったから安価でなんとかしろって!?」 (462)

PM6:50 事務所

ドンドン、ドンドンドン! ……ガチャッ

池袋晶葉(以下、晶葉)「やっと来たか助手」

モバP(以下、P)「晶葉! ……いつもの晶葉だよな?」

晶葉(以下、晶葉)「ああ、もちろん。入ってくれ、ドアを早く閉めなきゃいけない」

P「なあ、一体何があったんだ!? なんでみんなあんなことに────」

晶葉「落ち着いてくれ。今この部屋に入って来られたら終わりなんだ」

P「あ、ああ、分かった……」

バタン、カチャカチャッ

晶葉「よし、これでこの部屋を嗅ぎつけられても少しは足止め出来るだろう」

P「晶葉……教えてくれ、みんなどうししちまったんだ?」

晶葉「その前に一つ聞かせて欲しい。事務所に入ってからここに来るまで、何を見てきた?」

P「営業から戻って来て、広間で茶でも飲もうかと思ったら……アイドルが、俺の知ってるみんなが、何か物凄いエフェクト出しながら暴れてるんだよ! ズバーン、ドッカーン! って感じで!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1503211060

晶葉「…………」

P「それで命からがら、こんな無茶苦茶なことを引き起こしそうな元凶の所へやって来たんだ!」

晶葉「心外だな。私だって失敗はするが、その時は事務所ごと吹き飛ぶ勢いだぞ」

P「余計ヒドいじゃないか……って、今回のコレは晶葉の発明品が暴走したとか、そういうわけじゃないんだな?」

晶葉「うむ。おそらく志希の仕業だろうな」

P「もう一つの元凶の方だったか……だったら早く志希を探してみんなを止めないと」

晶葉「待つんだ、闇雲に出て行ってもケガをするだけだぞ」

P「だからって、ここに居てもどうしようもないだろ!?」

晶葉「ふっふっふ、助手が来るまで私が何の対策も考えていなかったと思うか? アレを見ろ!」

P「ん?」

緒方智絵里「…………」バタンキュー

P「ちち智絵里! どうしたんだ!?」

晶葉「彼女も『発現』していたのでな、ロボを使って捕獲し、騒動の原因を調べさせてもらった」

P「な、なるほど。それで、アイドルが変になった原因は?」

晶葉「どうやら何らかの薬を投与されたらしいな。その薬でアイドルは『異能力者』になってしまったんだ」

P「……なんだって?」

晶葉「『異能力者』だ。つまりその薬を飲んだ、あるいは吸った一人一人が、助手が言ったように『ズバーン、ドッカーン!』な力を『発現』したんだ」

P「そ、そうか……そういうものだと思うしかないな……」

晶葉「安心してくれ、その薬の成分分析は完了してる。その能力を打ち消す薬、つまり解毒剤もこのとおり……完成済みだ」スッ

P「すげえぜ晶葉! だったらあとはその薬をアイドルたちに飲ませればいいってことだな!」

晶葉「そうなんだが、一つ問題があってだな……智絵里との戦闘でロボが壊れて使えないんだ。解毒剤を飲ませようにも、肝心のアイドルを捕獲する手段がない」

P「だったら修理すればよかったじゃないか!」

晶葉「薬の分析で時間が無かったんだ!」

P「じゃあ、今からでも────」

トントン、ガチャガチャ、ガチャガチャガチャ……ドンドンドン!

P「!?」

晶葉「まずいな、見つかったぞ……」

P「ど、どういうことだ!?」

晶葉「どうやらあの薬には副作用があるようでな、服用した者は太陽が沈んでくると凶暴になり、夜になると完全に理性を失うんだ」

P「今は……もう19時、日は沈んでいる! じゃあ手当たり次第に人を襲うってことなのか!?」

晶葉「いや、おそらく────」

???「……デューサーさん? プロデューサーさーん!」ドンドンドン!

P「えっ何、俺!?」

晶葉「理性を失って、己の欲望に従って動くんだ。……あとは言わなくても分かるな?」

P「なんてこった……っていうか、薬の成分を分析しただけでそんなことまで分かったのか?」

晶葉「私を誰だと思っているんだ? 池袋晶葉だぞ!」ドヤッ

ドンドンドン! ドンドンドン! ギギギ……

P「言ってる場合かーっ! どうするんだ、もうドアが破られちまうぞ!」

晶葉「……最終手段だ。助手、これを飲んでくれるか」

P「おいおい、まさか例の薬か!? 解毒剤があるからって、理性を失うんじゃどうなるか分からんぞ!」

晶葉「いや、これは成分を少し変えた物だ。だからその副作用は発症しないようになっている……はずだ」

P「はず!? はずってなんだよ!」

晶葉「この一錠を作るのが限界で実験出来ていないんだ。……やはり、私が飲もうか?」

ドンドンドンドンドン! ……ガタッ!

P「……いいや、俺が飲む! 理性を失っても恨まないでくれよ!」ゴクッ

晶葉「ああ。私を誰だと思ってるんだ? ……君のアイドルだぞ」

P「!」ドクンッ

晶葉「助手……?」

P「……さすが晶葉だ、なんともないぜ」

晶葉「よ、よし! さすがだな!」

P「自画自賛だな」

晶葉「べ、別にいいじゃないか!」

キイーッ……

P「ちっ、くっちゃべってる暇は無さそうだな!」

高森藍子(以下、藍子)「プロデューサーさん。もう、やっと見つけましたよ」

P「あ、藍子……お前、あのドアをどうやって壊したんだ……?」

藍子「……? なんのことですか? ドアならちゃんと開けましたよ」

P「いやいやいや……」

晶葉「おそらく『異能』の力だ。気を付けるんだぞ、助手がどんな能力を身につけたのかは知らないが」

P(あれ、そういえば身体は何ともないけど、俺はいったいどんな異能を発現したんだ……?)

藍子「……プロデューサーさん。ちょっと、一緒に散歩でもしませんか?」

P「さ、散歩? ……おい晶葉、どういうことだよ」

晶葉「欲望に従って動くと言っただろう。素直に従った方がいい、隙を見てこの解毒剤を飲ませるんだ」

P「よ、よし、分かった」

藍子「……何話してるんですか?」

P「えっ? ああいや、なんでもない。散歩ね、うんうん、じゃあ行こっか、散歩」

藍子「ふふっ、プロデューサーさん面白い……写真に撮ろうかな」スッ

P「……え?」

晶葉「まずい助手、それが彼女の異能だ!」

P「な、何ィーッ!?」

藍子「えいっ!」パシャリ

藍子のドアを破壊出来る(?)ほどの異能、「お散歩カメラ」の能力とは!?


↓2

P「!?」シュン

晶葉「き、消えた……!?」

ウィー、ヒラヒラ……

P(な、なんだ!? 目の前が真っ暗になったと思ったら今度は天井が見える……)

藍子「どれどれ……」スッ

P「あ、藍子!? 顔が近いぞ!?」

藍子「あっ、プロデューサーさんいい表情♪ いい一枚が撮れましたね」

P「は……? 何を言って……」

晶葉「ま、まさか、その写真に……」

藍子「そう。これでずうっと一緒ですね、プロデューサーさん……」

P「!!!」

P(ここは写真の中! 藍子の異能とはつまり、あのカメラで撮ったものを閉じ込める能力ッ!)

P(……って、これでどうやってドアをぶっ壊したんだ?)

晶葉「私の声が聞こえるか助手! 返事をすることは出来るか!?」

P(そうだ、呑気なこと考えてる場合じゃない。この状況を何とかしなくては!)

P「ああ、聞こえてるぞ晶葉! 身動きこそ取れないがな!」

藍子「無駄ですよ。プロデューサーさんの声はもう、私にしか届きませんから」

P「なっ、藍子……!」

晶葉「……なるほど。今の言葉、助手が私の呼びかけに対して何か応答したということだな」

藍子「さあ、どうなんでしょう……?」

晶葉「助手! こうなったらもう君の異能を使う他にない! どうにかして写真の中から脱出するんだ!」

P「っ、んなこと言われたって、どうすりゃ異能が使えるのか……」

藍子「……もう1枚撮ろうかな」

晶葉「!」

藍子「えいっ!」パシャリ

シュン……

P「晶葉!? くそっ、閉じ込める人数に制限は無いってことかよ!」

ウィー、ヒラヒラ……

藍子「この写真はどうしようかな?」

P「晶葉、晶葉!?」

藍子「ダメですっ。プロデューサーさんとお話しできるのは、私だけなんですから」

P「っ……」

藍子「……うん、しまっておこうっと」スッ

P(写真に閉じ込められた人間は藍子としかコミュニケーションを取れない! つまり藍子を説得して、外に出してもらうしかないってことか!?)

P(いやしかし俺の異能……発現したっていうなら、早く使わせてくれ!)

藍子「どうしたんですか? プロデューサーさん。思いつめた顔をして」

P「……そりゃあ、担当アイドルがいきなりこんなことをしてきたらそういう顔もするさ」

藍子「そう、ですか……じゃあ、出して欲しいですか?」

P「あ、ああ! こんなことやめてくれ! お願いだから!」

藍子「……ふふっ、ダメです。出してあげません!」

P「くっ……」

P(どうすれば……いや待てよ、今の藍子は理性を失って欲望のままに動いている。それでこんなことをしているんだから────)



選択肢(一つだけハズレ)


1:藍子はずっとこうしたかったのか?
2:藍子は俺のことが嫌いだったのか?
3:そんなに写真が撮りたかったのか!


↓2

正解!

P「藍子はずっとこうしたかったのか?」

藍子「……はい。プロデューサーさんとこうしてずっと────」

P「ずっと、写真の俺を眺めてるだけでいいっていうのか!」

藍子「!」

P「確かにこうして俺を写真に閉じ込めればいつでもどこでも一緒に居られるし、話だって出来る」

藍子「そ、そうです! だから────」

P「でもな藍子、それはもう二度とお互い触れ合えないってことだぞ」

藍子「えっ……」

P「横に並んで一緒に散歩することも、LIVEの後によくやったと肩に手をおくことも、俺が藍子の写真を撮ってあげることも、全部出来ないんだぞ!」

藍子「…………」

P「それでも、これが……写真の俺をずっと眺めることが、藍子のやりたかったことなのか!?」

藍子「違う……私は……」ブルブル

P(よし、いける!)

P「分かったら早く俺と晶葉を写真から出すんだ。怒ってないからさ」

藍子「私が……本当にやりたかったことは……」

P「……藍子?」

藍子「……私が本当にやりたかったことは、こういうことだったんですよ?」スッ

P「何ッ!?」

パシャリ、シュン……

P「あ、藍子、お前……」

藍子「私とプロデューサーさんのツーショット……こうして一緒の写真に映れば、触れ合うことだって出来ますよね」

P「……ああ、そうだな。脱帽したよ、自分から写真の中に入ってくるなんてな」

藍子「ふふっ、初めからこうすればよかったんですよね」

P「負けたよ。もう、藍子に写真の外へ出してもらうのは諦める」

藍子「今度こそずうっと一緒ですね、プロデューサーさん……」

P「……それはどうかな?」

藍子「!?」

タッタッタッ……

藍子「な、何を────」

P「こうするんだよ!」ダキッ

藍子「!?!??!?」カァァァァ

P(不意に頭の中に浮かんできた俺の「異能」は!)

能力名:お願い!シンデレラ
能力:10秒以上抱きしめた相手の異能をコピーする。ただし、時計の長針が12時を指すと能力は消える。

P(7、8、9……10秒!)パッ

藍子「はうぅ……」パタリ

P「能力名は『お散歩カメラ』か。さて、とっとと外に────」

ピカァァァッ、バタッバタッ、バタッ

P「……って、あれ?」

晶葉「痛たたた……ん? 助手! やったんだな!」

P「え? いや、これからやろうとしたんだけども……」チラッ

藍子「」バタンキュー

P「本体が気絶したから異能も解除されたってこと、か」

晶葉「そのようだな。今のうちに解毒剤を飲ませるんだ」

P「よし。しばらくここで寝ててくれよ、藍子……」スッ

藍子「……んっ」ゴクッ



高森藍子『お散歩カメラ』────再起可能

続きはまた今度書きます


……
………

晶葉「なるほど、中々便利な能力を身に付けたな」

P「ああ。だけどコピーが一時間ごとにリセットされる以上はぐずぐずしてられない、解決を急ごう」

P(今は19時半。「お散歩カメラ」を使える間に志希を見つけられれば一番いいが……)

晶葉「うむ。志希が普段実験等に使っている部屋は西棟の9階だ、真っ直ぐそこへ向かうか?」

P(事務所は西棟と東棟に分かれており、それぞれ10階建てで、この部屋は東棟の三階にある)

P(東棟から西棟へ向かうには7階の渡り廊下を通るか、一旦外へ出るしかない)

P「……でも、そこに志希が居るとは限らないよな?」

晶葉「解決を急ぐのなら、一番確率の高い場所から探すのがスジじゃないか」

P「…………」



選択肢(ルートで戦闘回数が変わります)

1.エレベーターを使って7階まで行き、渡り廊下を通ってまっすぐ西棟9階を目指す

2.階段で一階まで下り、外を通って西棟を目指す

3.階段で一階ずつ上がり、各階をじっくり調べながら7階渡り廊下を目指す


↓2

P「……じゃあ、外から西棟を目指そう。一階までは階段を使う」

晶葉「ここからならエレベーターの方が近いが、いいのか?」

P「エレベーターはほら、なんか罠っぽいだろ?」

晶葉「そ、そうか。……そうか?」

P「それに外を通って行けば途中アイドルに会う確率も低いだろうしな」

晶葉「なるほど、無用な戦闘を避けるのは鉄則だな」

P「よし、それじゃあ出発だ!」

ガチャン、スタ,スタスタ……

P「……こうして歩いているときに突然襲われたりしないよな?」クルッ

晶葉「うわっ、び、ビックリするじゃないか!」

P「なんだ? 意外とビビりか?」

晶葉「違っ、違うぞ! ……心配なら、カメラを構えておけばいいと思うぞ」

P「それもそうだな。極端な話、アイドルを発見するなり撮ってしまえばこっちの勝ちなわけだし……」スッ

スタスタ……

P「二階……なんだか妙に暗くないか?」

晶葉「廊下の電気がところどころ付いていないようだな」

スタ、スタ、スタ、スタ……

P「……」

P(さて、一階までは難なくたどり着いたが────)

P「真っ暗だな……」

晶葉「懐中電灯ならちゃんと持ってきたぞ。一本だけだが」

P「晶葉ともあろうお方が時代遅れですねえ。今どきはスマホのライト機能で十分!」パッ

晶葉「……」ムスッ

P「お、おい拗ねるなよ……ちゃんと付いてくるんだぞ?」

晶葉「……眩しい」

P「あ、悪い悪い。じゃあ、進むぞ?」

晶葉「ああ」カチッ

スタ、スタ、スタ……

P(ヤバい、晶葉をビビりだなんだ茶化しておいてアレだが俺も怖くなってきたぞ……)

P「晶葉? ちゃんと付いてきてるか?」

「……」

P「お、おい。無視するなよ、仲良くいこうぜ!」

「…………」

P「うんとかすんとか言ってくれよ!」

「………………」

P「……」スタッ

P(…………! 懐中電灯の灯りがいつの間にか消えている!?)

P「晶葉!」クルッ

骸骨「」ケタケタケタ

P「うぎゃあああああああ!? 」

パシャッ、パシャパシャパシャッ!

骸骨「」スゥ……

P「はあっ、き、消えた、いや、撮ったのか……?」ゼエゼエ

ウィー……ペラッ

P「……い、いない。これも、これも、どの写真にも何も写っていない!」ペラッペラッペラッ

P「じゃ、じゃああの骸骨は一体……幻覚だったのか……?」

「…………」

P「そ、そうだ晶葉! 晶葉ーっ! どこ行っちまったんだよっ!」キョロキョロ

P(居ない……消えてしまった……ほんの数メートルを歩いている間に晶葉が消えてしまった!)

「こっち、だよ……」

P「!!!」クルッ

P(姿は見えないが、居るッ……!)

「一緒ニ遊ボウ……?」

P「小梅、なのか……!?」


晶葉を消し去って(?)しまった異能、「小さな恋の密室事件」の能力とは!?

↓2 (ここまでの描写は気にしなくてOKです)

能力名:小さな恋の密室事件
能力:対象の目に映る相手(人だけでなく無機物も含む)を骸骨やゾンビなどに錯覚させる


P「はあっ、はあっ、小梅……なんだな!」

「……ウン、そうだよ?」

P「晶葉をどこへやったんだ! それにどうしてこんなことをする!?」

「そんなことより、一緒ニ遊ボウよ……」

P「なっ、そんなことってなあ────」

ビチャッ、ビチャビチャ……カタカタカタ……

骸骨「」ケタケタケタケタ

P「!?」

P(まただッ! 今度は一体ではない! 数は分からないがとにかく通路の前後から俺を挟み撃ちにしようとしているッ!)

ゾンビ「ヴゥ……ヴァアア……」

P(しかも骸骨だけじゃなくてゾンビみたいなのまで混じってやがるじゃねえかッ……苦手なんだよ、こういうの!)

P「くっ、『お散歩カメラ』ッ!」スッ

P(さっきの骸骨は撮れば消えた、だったら……!)

P「そらそらそらそらそらそらーッ!」パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ

骸骨たち「」「」「」「」スゥ…

ゾンビども「」「」「」「」スゥ…

P「はは、どうだ! 『お散歩カメラ』の前に敵無し!」

「わあ、すごいね、その能力……」

P「そ、そうだ! だから観念して出てこい、小梅!」

「…………」

ゾロゾロゾロ……

P「っ、またなのか!?」

「まだまだ、始まったばっかり……」

P「同じことの繰り返しだ!」パシャパシャパシャパシャ

「」「」「」「」「」スゥ…

骸骨「」ケタケタケタケタ

ゾンビ「ヴォァ……」

「消しても、同じことのことの繰り返し、だよ……?」

P「くっ! 数が多すぎる……!」

「ふふ……」

P「なーんて言うと思ったか?」パシャリ

スゥ……

「! みんな、消えちゃった……」

P「別に一枚につき一人しか消せないなんて制限は無いんだぜ? 前と後ろ、二回シャッターを押すだけのことだ!」

「…………うしろ」

P「!?」クルッ

ゾンビ「ウゥ……ヴァア……」ピトッ

P「うわああああああっ!」パシャリ

ゾンビ「」スゥ

P(いっ、いつの間に接近したんだ!?)

トントン

P「!」

骸骨「カカカカアカアカカカカカカ」ケタケタケタケタ

P「────ッ!」パシャパシャパシャパシャ

「……おもしろかった?」

P「面白いわけあるか! 心臓バクバクだよ!」

「ふふ、よかった……」

P「よくないっての……」

P(しかし、これじゃあ本当にキリがない。本体である小梅を見つけなくては……!)

P(そもそも小梅はどこから俺を見ているんだ? それにこの異能は……ゾンビや骸骨を出す能力?)

P(不意に晶葉が消えたことに俺はまったく気づかなかった。異能がただ単にゾンビたちを召喚するものだったら晶葉が消えた説明が付かない)

P(だとしたらまさか、「対象をゾンビや骸骨に変える」異能! ……いやいや、だったら俺をとっととゾンビでも骸骨にでも変えてしまえばいいじゃないか)

P(それに第一、小梅が攻撃を仕掛けてきた理由はいったい────)

「ねえ、考え、まとまった……?」

P「ま、まだ考え中だ! ちょっとタンマ!」

「じゃあもっと必死に考えて、もっと遊ぼうね……」

P「…………」

P(もしかすると小梅に攻撃の意図はなくて、単純に遊んで欲しいだけなのか? あーくそッ、わけわかんなくなってきたぞ!?)

P(とにかく本体だ、本体の位置さえ分かればいい……!)



選択肢

1.本体は天井に貼り付いているッ!

2.来た道を引き返せば必ず本体が居るッ!

3.本体はすぐ近くに居たッ!

4.土下座して見逃してもらえるように頼む


↓2

正解!


P「……すぐ近くに居るんだろう、小梅!」

「どうして……そう、思うの……?」

P「さっきから小梅は俺の一挙一動に反応しているじゃないか」

「それが……?」

P「ゾンビにビビったり、こうして考え込んでいたりなんてことは……この暗闇の中では、俺のすぐ近くに居なければ分からないはずだ!」

「……そうだね、私は、すぐ近くに居るよ……でも、見えないでしょ……?」

P(そうなんだよ……ライトで360見渡しても、小梅の姿はどこにも見えない)

P(「そこにいるはずなのに」居ないんだ!)

P「…………!」

「ねえ、もっと遊ぼう? いっぱい、いっぱいお化けたちに囲まれて……楽しい夜にしようよ」

ゾロゾロゾロ……

P「いいや、遊びはもう終わりだ!」スッ

「消しても、いっぱい出すよ。何十でも、何百、でも……」

P「だったら出せない状況にしてやるよ……『本体』ッ!」ジーッ

「……?」

P「……見つけたぞ」

「!?」

パシャリ!

P「やっぱり『そこに居た』んだな」ペラッ

「ウソ……閉じ込められた……?」

P「もう小梅の真似をするのはやめろ、『あの子』」

あの子「あ……バレちゃった?」

P「そこにいるはずなのに見えないもの……それは幽霊だ。本体は小梅じゃなくてお前だったんだ」

あの子「でも……どうして私が見えたの?」

P「どうしてもこうしてもないよ。カメラのファインダーの向こうに居ると信じて目を凝らしただけだよ」

あの子「目を凝らしたら、見えたの?」

P「見ようとしないやつに幽霊は見えない。その逆」

あの子「そっか……じゃあ、私の負けだね……認めるよ」

P「結構結構。ってか顔初めて見たな……」

あの子「かわいいでしょ?」

P「あーかわいい。いいから早く異能を解除して、晶葉をどこへやったか教えるんだ」

あの子「……? もう力は使ってないよ」

P「え? ……もしかして、ここに落ちてる人形とかおもちゃがあの骸骨やらゾンビやらだったのか!?」

あの子「うん。錯覚させてただけ」

P(種が分かるとなんつーしょうもない能力……って)

P「じゃあこの散らばってる写真から晶葉が写ってるのを探さなきゃいけないのかよ!?」

あの子「頑張ってね♪」



あの子『小さな恋の密室事件』────再起可能
ちなみにこの力はあの子が元から使えるもので、正確には異能ではない……

続きはまた今度書きます


……
………


P「すまんっ!」

晶葉「いや、別に謝ることはない。敵の攻撃だったんだから仕方ないさ」

あの子「敵って私のこと?」

P「お前は黙っとれい!」

晶葉「……どうした?」

P「あ、いやなんでもない、こっちの話……」

P(「お散歩カメラ」で閉じ込めた相手の声は本体である俺にしか届かないッ!)

晶葉「しかしその、『あの子』だったか。どうして私たちに攻撃を仕掛けてきたんだ?」

P「! そうだ、すっかり聞きそびれてた。答えろあの子!」

あの子「あの子ってどの子?」

P「お前以外に居るかァーッ!」

あの子「う、うるさいな君……ちょっとイタズラしてみただけだよ」

P「は?」

晶葉「何だって?」

P「……ちょっとイタズラしてみただけだそうだ」

晶葉「は?」

あの子「状況が状況だし? 面白いかなーなんて」

P「状況が状況だし、面白いと思ってやったらしい」

晶葉「…………」

P「……ペンある?」

晶葉「油性だぞ」

P「いいねぇ……」カキカキカキ

あの子「ちょっ、落書きするなー!」

P「ふんっ、お前はしばらく写真の中で反省してなさい」スッ

P「よし、先を急ごう。……ちなみに今何時だ?」

晶葉「19時57分。あと3分だな」

P「なんとか、ここを出るまでは『お散歩カメラ』をもたせたいが……」

スタスタ……

P「……光だ! 出口が近いぞ!」

晶葉「お、おい助手! 先走るな!」

タッタッタッ……スタッ

P「!!!」

美嘉・莉嘉「……………」

晶葉「どうした?」ヒョイッ

P「しっ! ……まだ気付かれてない、いける!」スッ

パシャリ!

P「危ない危ない、いきなり2対1になるところだったぜ」ペラッ

晶葉「出入口の前に居るとは……まるで番人だな」

P「ああ……おい美嘉、莉嘉?」

美嘉・莉嘉「…………」

P(なんだ? 呼び掛けても反応がない)

晶葉「! まずい、もう20時になる! その写真は捨てて早く外へ出るぞ!」

P「……お、おう!」パッ

タッタッタッ……ウィーン

ピカァァァッ! バタッ、バタッ

美嘉・莉嘉「…………」



タッタッタッ……、スタッ

P「はあっ、はあっ、ここまで来れば大丈夫だろう」

晶葉「ああっ、追ってくる様子も、ない……」ハアッ

P「……、『お散歩カメラ』!」

シーン

晶葉「出ないか」

P「ああ。次に出会ったアイドルからコピー出来ればいいが……」

晶葉「そういえば『あの子』はどうなったんだ?」

P「……写真からは居なくなってるな。落書きだけそのままだ」ペラッ

ゾンビ「ヴヴォァ?」

P「うぎゃあ!?」

晶葉「!?」ビクッ

「また、遊ぼうね……」シュウゥゥ……

P(あ、あの幽霊~ッ!)

晶葉「だ、大丈夫か? 助手」

P「ああ……一瞬晶葉が晶葉ゾンビに見えただけだ」

晶葉「そ、そうか。それで大丈夫というなら信じるぞ」

スタスタ……

P(美嘉と莉嘉の様子は明らかにおかしかった。理性を失っているというよりも、意識を操られているような感じがあった)

P(もしかしたら、本当に番人として東棟の出入口を守らされていた可能性もある……)

P(でもいったい誰がそんなことを? 黒幕は本当に志希なのか?)

P(それにもし、そんな人を操る異能を誰かが持ってるとしたら、その子に勝てるのか俺……?)

P「……にしても、今日はやけに外が明るく感じないか?」

晶葉「言われてみればそう感じるが……さっきまで暗い場所に居たからだろうな」

P「そうか、そうだな。……今日は満月か」

晶葉「残念だがお月見ウサちゃんロボは調整中だ」

P「そうなのか? って、月見してる場合じゃないなんて分かってるよ」

「じゃあお花見する? プロデューサーさん♪」

P・晶葉「!!!」

相場夕美(以下、夕美)「でもその前に……たくさんお花を咲かせなきゃねっ」スタッ

P「夕美ッ……!」


夕美のお花をたくさん咲かせる(?)異能、「lilac time」の能力とは!?

↓2

シュルシュル……

P「こ、この音は!?」

晶葉「……じ、地面だ! 地中から何かが来るぞっ!」

ズトン!

P「これは!? ……植物の茎ッ!?」

P(アスファルトを突き破ってくるこのパワー……相当ヤバいぞ!)

夕美「捕まえちゃえっ!」

シュルル!

晶葉「!!」

P「晶葉ッ!」バッ

タッタッタッ……

晶葉「どうするつもりだ助手!?」

P「どうするって!? 逃げるんだよォーーッ!」

夕美「逃さないよ!」

ズトン!

P「ッ、こっちだ! 手を離すなよ晶葉!」

晶葉「あ、ああ!」

ズトン!

P「こっちもかよ!」クルッ

ズトン! ズトン!

P「クソッ!」クルッ

タッタッタッ……

夕美「……♪」スタスタ……

晶葉「……ま、待て助手! 止まるんだ!」

P「な、なんだよ!?」スタッ

晶葉「どうやら……私たちはまんまと誘導されたらしいぞ」

P「…………!? ここは中庭! いつの間にッ!?」

スタスタ……スタッ

夕美「そう、プロデューサーさんは私から逃げるどころか、逆に追い詰められたんだよ」

P「しまった……地中から出てくる茎を避けているうちにまんまと誘き寄せられたってことかよ……!」ズサッ

夕美「ここからはもう逃さないよ?」

シュルルル……

P「っ……」

夕美「隠しても仕方ないから教えてあげるね。私の『lilac time』は『植物を操る』能力! 植物が多いこの場所では……無敵かもしれないねっ」

P(シンプルであるがゆえに能力を隠す必要もなく、効果も強い……!)

P「晶葉……これはもしかして、絶体絶命ってやつか?」

晶葉「……うむ。だがつけ入る隙はあるはずだ」

P「どういうことだ?」

晶葉「彼女は助手の能力を知らない。接近して異能をコピー出来れば────」

夕美「作戦会議の時間はあげないよっ!」スッ

シュルルル!

P「この茎を避けながら夕美に近づけってのか!?」タッタッタッ

晶葉「バラバラに動いて的を絞らせないようにするんだ!」タッタッタッ

夕美「どんな風に動いても、二つしかない的は外さないよ?」

ズドン! ズドン! シュルルル!

P「くっ!」

P(地中からだけじゃない、プランターもその辺の雑草も全部俺たちを狙ってくるッ!)

パシッ

P「!」

夕美「捕まえた♪」

P(クソっ、引っ張ってもちぎれない!)ジタバタ

晶葉「ぐっ……!」

P「晶葉!」

夕美「えーいっ!」

ギュルルル……

P「っ、このっ……!」

P(両手両足が植物の葉や茎で縛られ、大の字で宙に固定されたまま動けない!)

夕美「綺麗なお花が二つ咲いたねっ。どれどれ……」スタスタ

晶葉「……向こうから近づいてきてくれたぞ」

P「動けないんじゃどうしようも出来ないって……」

夕美「えっとー、花弁の数は……ひとつ、ふたつ、みっつ……」コショコショ

P「あひっ、く、くすぐったいってっ!」

夕美「あははっ。こんなに楽しい『お花見』初めてかもねっ」

P「お花見って俺たちは桜かっ!? 見られる方なのか!?」

夕美「ふふっ。……私の大好きなお花だよ、プロデューサーさん」

P(結局そういうことか……! 藍子といい、好きな人を拘束って考えはどうにかならないのか!?)

P「こうなったら……!」


選択肢(正解は二つ)
1.思う存分お花見させてやるよ!
2.夕美、好きだーーーっ!
3.なんとかしてくれ晶葉!
4.もう負けを認める

↓2

ハズレ


P「……分かった、分かったよ。もう負けだ。諦める」

晶葉「助手!?」

夕美「負け? 何言ってるの?」

P「いや、だからもう抵抗はしないってこと。はいはい負け負け!」

晶葉「……」

夕美「……『勝ち』も『負け』もないんだよ? だってこれは『戦い』じゃない」

P「なに……?」

夕美「プロデューサーさんが私の『lilac time』から逃れられないことは分かってたもん。言ってみれば、プロデューサーさんは最初から負けてるの」

P「…………」

夕美「『戦い』じゃなくて、私が一方的に『蹂躙』してるだけ。勘違いしたらダメだよっ」

P(なんつー言い草だ……)

夕美「それとも、負けを認めればこの拘束を解いてあげると思っちゃったのかな?」

P「……クソッ」


選択肢(正解は二つ)
1.思う存分お花見させてやるよ!
2.夕美、好きだーーーっ!
3.なんとかしてくれ晶葉!

↓2


ちなみにゲームオーバーとかは特に無いので、ハズレを選んでも戦闘終了時の時間経過が多くなるだけです。

正解!


P「あーそうかいそうかい。だったらもう好きにしなさい!」

夕美「好きにされることしか出来ないもんね?」

P「そうとも言う……」

晶葉「…………」

夕美「じゃあどうしようかな……そうだ!」

シュルルル……プチッ、プチッ

夕美「お花を飾ってあげるねっ」モゾモゾ

P(とにかく今は耐えることだ……そうすれば勝機は巡ってくる!)

夕美「……よし! どうかな? って、自分じゃ分からないよねっ」

P「頭にめちゃくちゃ花が乗ってるのは分かるよ……」

夕美「お花見だから桜をイメージしてみたんだ。写真撮るね♪」

パシャッ

夕美「一緒に映ってるのも」

パシャッ

P「じゃあ俺が夕美に抱きついてるところを撮るっていうのはどうかな?」

夕美「え~っ!? そ、それは……恥ずかしいからダメ!」

P「チッ……」


……

夕美「はぁ~っ、楽しい……次は何をしようかな」

P「ま、まだ続くのか……」

P(飾りつけ、写真撮影に留まらず花言葉クイズ、品種当て、挙げ句の果てには勝手に歌い出す……)

P(一体いつになったら夕美は満足するんだッ……!?)

夕美「あれっ? その顔、もしかして疲れちゃったのかな?」

P「そりゃあもう……晶葉なんてほら」

晶葉「…………」

夕美「寝てるのかな?」

晶葉「起きてるぞっ! ……この姿勢は大分辛いが」

夕美「そっか。私もちょっと疲れちゃったし……もう終わりにしてあげるねっ」

P「! じゃあ────」

シュルルル!

P・晶葉「!?」

P(な、なんだ!? 俺と晶葉をどこかへ動かそうとしているッ!?)

夕美「あの辺りがいいかな?」スッ

シュルルル……ドサッ、ドサッ!

P「花壇の上ッ!? どういうつもりだ夕美!」

夕美「……お花は実をつけて、枯れるときにまた種を地面に埋めるんだ」

シュルルルッ! グググッ……

P「な……!?」

晶葉「これは……私たちを生き埋めにするつもりなのか!?」

P「お、おい晶葉ッ! アイドルたちは理性を失って欲望のまま動いているって、確かにそう言ったよなッ!?」

晶葉「あ、ああっ!」

グググッ……ズボッ

P「だったら、夕美は俺たちを地面の中に埋めたがってるってことかよ、おい!」

晶葉「わ、分からない! もしかすると、私たちを本当に花にしたと信じこんでいるのかもしれないぞ……っ」

P「んなわけあるかーっ! 明らかに、明らかに俺たちを『倒す』もしくは『殺す』つもりで攻撃しているじゃないかッ!」

夕美「殺したりしないよっ! 種からまたお花が咲くんだから」

グググッ……

P(まずい、もう半分埋まって来ている! 止めなくては……!)ジタバタ

夕美「抵抗しないんじゃなかったのかな? しても無意味だけどねっ」

P「ハアッ、く、クソッ……夕美!」

夕美「?」

P「埋める場所は本当にここで良かったのか!」

夕美「……どうして?」

P「夕美の大好きな花がたくさん潰れてるぞッ……俺と晶葉の下で!」

夕美「!!」スッ

シュルルル……バッ

タッタッタッ……

夕美「そんな、こんなに……ううっ、私……」ドサッ

P(慌てて俺と晶葉を移動させたうえに、植物の拘束も緩んだ……そして)

P「動揺している……自分のやったことが信じられないといった様子で……」

晶葉「何か別の『原因』があるのかもしれない。アイドルの正気を失わせている原因が……」

P「ああ……だが、今やるべきことは一つ!」

スタスタ……ダキッ

夕美「ひゃっ!? えっ、なっ、ちょっと、プロデューサーさん!?」

P「動くな!」

夕美「は、はいっ!?」

P「……10秒! そして『解毒剤』!」スッ

夕美「んんっ!?」

ゴクッ……パタッ

P「……飲ませると気絶するのか? これ」

晶葉「即効性だからな。多少体に負荷がかかる」

P「そうか。……手強い相手だった、『lilac time』!」

シュルルル……

P「潰れた花を元通りにすることは出来ないが、花はまた咲かせることが出来る。夕美なら育てられるよ……」



相葉夕美「lilac time」────再起可能

今日はここまでです

PM8:30

P「……っし、こんなもんだろう。行こうか」

晶葉「何だ? その腕に巻き付けている蔦は」

P「『lilac time』は植物を操る能力。だからこう使うんだよ」シュルルル

晶葉「なるほど、私たちがされたように相手を拘束するというわけだな」

P「ああ、他にも草花や木の枝をちょっとばかり集めてたんだ。植物が無くちゃ、この異能はまったく使えないからな」

晶葉「そうだな……」ガサゴソ

P「なんだ、どうした?」

晶葉「いや、なんでもない。西棟へ向かうぞ」

P「……? ああ」

スタスタ……

西棟 一階

ウィーン……スタスタ

美波「あっ、おはようございます! プロデューサーさん」

P「! 美波……」

P(待ち伏せ、いや、東棟に居た美嘉と莉嘉のような門番……!?)

美波「どうしたんですか? そんな幽霊を見たようなビックリした表情をして」

P「はは、なんだよその例えは……でも俺は幽霊を見たってもう驚かないぞ?」

美波「あれ、プロデューサーさん怖いの結構苦手じゃありませんでしたか?」

P「いや、まあ、そうなんだけど……」スタッ

P(なんだ……まさか今の状況をまったく分かっていない部外者なのか……?)

晶葉「…………」スタ、スタッ

美波「……『この先』に進むむつもりですか? 『9階』に」

P「!」

美波「既に知っていますよ。プロデューサーさんが『私たち』を止めようとしていること」

晶葉「助手っ、やはり彼女も異能力者だ! 先手を取れ!」

P「あ、ああ────」

美波「遅いッ!」


名前がカッコいい(?)美波の異能、「ヴィーナスシンドローム」の能力とは!?

↓2

ダキッ

P「んなっ!?」

美波「プロデューサーさん……」ボソッ

P「!!」

P(な、なんだッ!? 何か変な、クラクラした感じが────)

晶葉「助手っ! 離れるんだ!」

P「ッ!?」バッ

美波「っと……あと数秒だったのに」

P「はあっ、はあっ、なんだ、これはッ……!?」

晶葉「どうした!?」

P「体が熱いような、フワフワしたような、とにかく、これは……っ」

美波「……ふふっ」スタスタ

P「み、美波っ……」

晶葉「接近されているぞっ! もう一度抱きつかれる!」

P「くっ……『lilac time』ッ!」

シュルルル……バシッ

美波「やっ!」

P「ッ……! みな、みっ……!」スタ、スタ……

美波「そう、そのまま来ていいんですよ、プロデューサーさん……」

P「はあっ、ハアッ……」

晶葉「待て助手! 危険だ! 迂闊に近づくな!」

P「危険だからこそ確かめる……コピーすればどんな異能かは、分かる……」

晶葉「いやダメだ! 接近するにしても腕や足をしっかりと拘束してからにするんだ! 腰を縛っただけの今の状態ではまた『抱きつかれる』ぞ!」

P「…………」スタ、スタ……

美波「……」ニヤッ

晶葉「助手っ……!」

P(なんだ……頭では晶葉が言ったことを理解出来ているのに、体が言うことを聞かない……!)

スタ、スタ……

P(美波を抱きしめたい、美波に抱きしめられたい、それで、そのまま────)

スタッ

P「! 晶葉、何をっ……」

晶葉「私が解毒剤を飲ませる。この異能をコピーする必要はない」

P「なんだと……!」

美波「それはダメだよ、晶葉ちゃん」

晶葉「!」

ダキッ

P「晶葉ッ! このっ────」

晶葉「今だ! 今のうちに解毒剤を飲ませるんだっ!」

P「なっ……」

美波「動かないでくださいプロデューサーさん。でないと……」ギュッ

晶葉「ぁ────、っ、は、早くっ……!」

P(クソッ、どうすれば……!)


選択肢
1.解毒剤だッ! そうするべきなんだ!
2.美波の異能をコピーするッ!
3.黙って静観する

↓2

P「くっ……!」タッタッタッ

晶葉「助手っ……何を……!」

P「『お願い!シンデレラ』でコピーする能力の数に制限は無いッ!」ダキッ

美波「やっ、まだプロデューサーさんの番じゃないですよっ!」

P「『lilac time』ッ!」シュルルッ

美波「!?」パッ

晶葉「っ……」ドサッ

P「俺は美波を抱き締める、だが美波に俺は抱き締めさせない!」

美波「くっ……!」

P「10秒だッ! 続いて解毒剤を飲ませるッ!」スッ

美波「そんなの、絶対に飲まな────」

ズキュウウウウウン!

美波「んぅっ!? っく……」ゴクッ

P「っ……はあっ、飲ませたぞ……」

美波「ぷ、ぷろでゅーさーさん、反則、ですっ……」パタッ



新田美波「ヴィーナスシンドローム」────再起可能

P(き、キスしてしまった……いや仕方ない! これは勝つために仕方なかったんだ!)

P(そうだ、この「ヴィーナスシンドローム」の能力的にもこれは仕方のないことで────)

晶葉「……」スタッ

P「晶葉! ……あ、晶葉?」

晶葉「…………」スタ、スタ……

P(晶葉も美波に抱きつかれていた! しかも明らかに10秒以上ッ! つまり今の晶葉は、理性を失って性欲だけで動くケダモノということに────)

ダキッ

晶葉「身体が、熱いんだ……どうすればいい……?」

P「どどっ、どどどどどうすれいいって!?」

P(こ、これは知らないのか!? 知らないから聞いているのか!?)

P「あ、晶葉、こういうときはだな、心を落ち着かせて冷静になればいいんだ。例えばおばあちゃんの顔を思い浮かべるとか……」

晶葉「…………」パチパチ

P「……晶葉?」

晶葉「ひっ、やあああああああっ!?」ボスッ

P「うおおっ!?」ドサッ

P(こっ、これは押し倒されたってことになるのかッ……!?)

晶葉「な、なんだ……助手がいきなりゾンビに……それより、私は……」

P「……ん?」

『じゃぁ~ね~』スウッ……

P「『あの子』ッ! あの野郎また────、いや、ここは感謝しておくべきか……」

晶葉「……じょ、助手、わ、私はいったい、何をしようとしたんだ……?」プルプル

P「……どっちにしてもこりゃ地獄だな」

P(「ヴィーナスシンドローム」……倒してからが一番厄介な能力じゃないかっ!)

PM8:40

晶葉「…………」

P「……まあ、その、なんだ。気にせず行こうぜ。うん」

晶葉「……ああ」

P(しかし本当に厄介な能力だ……オンオフが利かない以上は「お願い!シンデレラ」を使うとき必ず一緒に発動してしまう)

P(まあ9時まであと20分ほどだし、これ以上無理に異能をコピーしなければいい話ではあるが……)

晶葉「……9階まではエレベータを使うか?」

P「ん、ああそうだな、どうしよう……」

晶葉「エレベーターを使えばもちろん早くたどり着くが、黒幕が俺たちの存在を認知している以上は罠を張ってある可能性も高いと言えるな」

P「かといって階段はな……」

P(西棟の建物は面倒な構造になっており、例えば三階に行こうと思っても一階の階段から直接は上がれず、二階まで上がった後通路の反対側まで歩かなければいけない)

P(つまり建物の端と端を行ったり来たりするハメになる。移動距離も長いうえ、アイドルに出会う確率ももちろん高いだろう)

晶葉「どちらにしよ、戦闘は避けられないだろう。助手が決めてくれ」

P「うーん……」

選択肢
1.リスクを考えて階段で一階ずつ上がる
2.罠があるのを承知でエレベーターに乗る

↓2

P「……やっぱりエレベーターは駄目だ。階段で一階ずつ上がろう」

晶葉「うむ、そうか。では急ごう」

スタスタ……

P「ここから階を一つ上がるごとに戦闘って可能性もあるんだよな」

晶葉「一階あたり一人ならまだいいだろう。集団で待ち構えてるかもしれないぞ」

P「確かに……さっき美波が言ってたことからして、『黒幕』は全員でないにしろ、何人かのアイドルと協力していることは確かだ」

晶葉「ああ……この異変は事故ではなく、何者かが故意に起こしたものだったということだな」

P「そして、そんなことが出来る『黒幕』は志希である可能性が今のところ高い、と」

晶葉「しかし、アイドルを異能力者にする必要があったんだろうな……」

P「……それは黒幕に聞いてみなきゃ分からんよ」

晶葉「…………」

二階

晶葉「東棟のように暗くはない、か」

スタスタ……

P「来るなら来い……でも不意討ちするなよ、正々堂々来い……」

晶葉「……」ガサゴソ

P「どうした? 晶葉」

晶葉「いや、実はだな────」

「ボクが正々堂々来てあげましたよ!」

P・晶葉「!!!」

輿水幸子(以下、幸子)「フフーン! プロデューサーさん、今日もボクはカワイイですか?」

P「お、おう、可愛いぞ幸子。つかどっから出てきた?」

幸子「人を虫みたいに言わないでください! そこのお手洗いに入っていたんです!」

P「そ、そうか。……ここ通ってもいい?」

幸子「……? いいですよ、どうしてボクにそんなことを聞くんですか?」

P「おい晶葉、もしかするとこれは……」

晶葉「さっきもそのパターンで先手を取られただろう! たとえ相手が無能力者でもとりあえずこちらから攻撃するんだ!」

P「いや、さすがにそれはちょっと……」

幸子「……ただし! その前に────」

晶葉「ほらみろ! 敵だ! 異能を出して────」

幸子「ボクのことをたくさん褒めてからにしてください! さあ、早く!」

晶葉「……来ない」

幸子「さっきから晶葉さんは何を言ってるんです? 異能? おいしいんですかそれ?」

晶葉「古典的なボケを……」

P「……幸子ォ!」ギュッ

幸子「な、なんですかいきなり手を取って!?」

P「良かった……幸子みたいな子が居て本当に良かった……」

幸子「は、はぁ……」

P「よし! 褒めて欲しいっていうならいくらでも褒めてやる! 幸子カワイイ!」

幸子「フフーン! それでいいんです!」

晶葉「おい助手、無関係のアイドルに構っている時間は────」

P「幸子カワイイ! 可愛いぞ幸子!」

幸子「そうです! ボクは存在そのものがカワイイ! ボクが居てプロデューサーさんは幸せですよね」

P「幸せ! めっちゃくちゃ幸せ! 幸子の名に偽り無し!」

幸子「もっとです! もっとボクを褒めてください!」

P「カワイイプリティーキュート最高! 広辞苑に載る日も近い!」

幸子「もっと……もっともっともっともっと!」

晶葉「……! ま、まさか!?」


幸子カワイイ(!?)異能、「To my darling…」の能力とは!?

↓2

P「も、もっとか……ちょっと疲れちゃったかな……」ゼエゼエ

幸子「だらしないですね、それでも男ですか!」

P「いやね、ここに来るまで俺と晶葉がいったいどれだけ苦労したと……」

幸子「そんなことより! もっともーっと、いつまでもボクを褒めてください! ボクはカワイイ!」

P「分かった分かった。カワイイ! はいカワイイ!」

幸子「そうです、ボクはカワイイ、ボクはカワイイ……!」

晶葉「……助手!」スッ

P「なっ、なんだよ晶葉」

晶葉「おそらく幸子も異能力者だ。理性を失って、『自分を褒めて欲しい』、『認めてもらいたい』という欲望のまま行動しているんだよ」

P「何……!?」

晶葉「試しに可愛くないとか、何か否定的な言葉を言ってみればいい」

P「な、なんだか気が引けるが……幸子!」

幸子「ボクはボクだからカワイイ、カワイイボクだからカワイイ……、はい?」

P「幸子、カワイクナイ!」

幸子「!?!!?」ズガガーン

幸子「こ、このボクがッ! 可愛くないっていうんですかッ!?」

P「あ、ああそうだね!」

幸子「なんですと……プロデューサーさん……言ってはいけないことを言ってしまいましたね!」

晶葉「来るぞ!」

P「……って、おい! これは『避けられた戦闘』ってヤツじゃないのか!?」

幸子「こうなったら逃がしません! プロデューサーさんがボクのことを褒めて褒めて褒めちぎるまで絶対に逃がしません!」

P「お、おう。……それで異能は?」

幸子「だからその異能ってなんですか! 伊能さんですか! ボクよりカワイイんですか!?」

P「いや、普通の人間には無い特別な力のことだよ……」

幸子「……あ、もしかしてボクの『To my darling…』のことを言ってたんですか?」

P「そうそれ! ずっと待ってたんだよッ! どんな能力だ!?」

幸子「『カワイイと褒めるほど幸運になる』能力! ボクは異能までカワイイ! 」

P「は?」

幸子「あ、またラッキーになっちゃいましたね。名は体を表す、幸子の幸は幸運の幸です!」

P「……おい晶葉、これは本当に敵じゃあなさそうだぞ」

晶葉「そ、そのようだな……」

P(……)

選択肢
1.野放しにすると後々敵になるかもしれない。一応異能をコピーして解毒剤を飲ませる
2.無害そうなので仲間にしてやらんでもない
3.もうほっといて先に進む

↓2

P「……まあ、戦う必要が無いならそれでいいよな」

晶葉「なら解毒剤を飲ませるか?」

P「その必要もない。幸子ー、ほら、行くぞ」

幸子「はい? どこに行くんですか?」

P「俺たちは今9階を目指している。ついてくるならいくらでも幸子を褒めてちぎってやるよ!」

幸子「本当ですね!? もう可愛くないなんて言わないですよね!?」

P「あんなの嘘嘘、本当はみんな幸子のことが大好きだよ」

幸子「み、みんな? どこからみなさんの話に……? まあいいですけど、事実ですから!」

晶葉「助手、いいのか? もしかすると敵になるかもしれないんだぞ」

P「敵になったとしてもあの能力なら簡単に勝てるよ。それに味方にしておけば幸運が味方して、敵を勝手に倒したりしてくれるかもしれないしな」

晶葉「……助手が決めたなら構わないが」

P「なんだ~? 二人パーティーじゃなくなってちょっと残念か?」

晶葉「そんなわけないだろう!」ムスッ

P「お、おい、怒るなよ!」スタスタ

幸子「ちょっと! ボクをおいてけぼりにしないでください! 一歩につき1カワイイで進むんです!」スタスタ


輿水幸子「To my darling…」が仲間になった!

PM8:50 三階

幸子「ふむふむ、なるほど……つまりボクはカワイイということですね!」

P「違うわ! この事件を起こした黒幕を探しに9階にある志希の部屋を目指しているって言ってるんんだよ!」

晶葉「理性を失っているんだ。真面目に話すだけ損だと思うぞ」

P「ああ、そうか……いつもとあんまり変わらないようにも見えるんだけど」

幸子「24時間365日ボクはカワイイですから! ですよね?」

P「オーケー。幸子はカワイイよ」

幸子「はい!」

P(しっかし自画自賛しまくってるけど本当に段々幸運になってるのか? さっきからラッキーの一つも起きないが……)

P「……あれ、もう階段か」

晶葉「この階に敵は居なかったようだな」

幸子「ボクのおかげですね」

P「……そうなのか?」

スタスタ……

四階

スタスタ……

P「なあ、こうして一階ずつ進んでいるわけだし、やっぱり部屋を一つ一つ調べた方がいいんじゃないか?」

晶葉「その意見には反対だ。黒幕が私に気づいている以上、ただ進んでいるだけで敵はやって来る。それに加えて余計な戦闘をしている余裕はないだろう」

P「まあ、な」

晶葉「美波も私たちが『9階』に行くことを強調していた。まずはそこへ行くべきだ」

P「……そうだな」

幸子「そういえばどうして階段なんです? 9階に行くなら、エレベーターを使えばいいじゃないですか」

P「いや、エレベーターは罠がありそうな感じだからさ……」

幸子「罠? 何言ってるんですか?」

P「いや、近道に罠が張ってあるなんてありがちだろ?」

幸子「ふーん、そうですねえ……だったら」タッタッタッ

P「お、おい! 幸子!?」

幸子「ボクが確かめてきてあげます!」ポチッ

ガチャン、ウィー……

P「お、おいおい、行っちまったぞ……」

晶葉「…………」

P(エレベーターの位置は9階を指し、そしてしばらくするとまたここへと戻ってきた……)

チーン、ウィーン

P「幸子?」

「…………」

P「!! さ、幸子が居ない! エレベーターが無人で下りてきたッ!?」

晶葉「やはり罠だったか!」

P「クソッ、幸子めとんだアンラッキーを運んできやがったな!」スタスタ

晶葉「乗るのか!? 乗れば確実に敵の攻撃を受けるぞ!」

P「どの道戦うならエレベーターの中でで戦ってやる! それにアイドルを見捨てたらプロデューサー失格だ!」

晶葉「くっ、仕方ないな……!」

P「行き先は9階ッ!」ポチッ

ガシャン、ウィーン……

P(さあ、いつ仕掛けてくる……!)

ガタッ、ガタガタ!

P「うおっ、ゆ、揺れているッ! まだ5階だぞッ!?」

晶葉「っ!?」フラッ

P「晶葉! ……大丈夫か?」ダキッ

晶葉「あ、ああ。……ッ! 離してくれ!」バッ

P「えっ? あ……『ヴィーナスシンドローム』! やっちまった……!」

晶葉「…………。いや、少しくらくらするだけだ。突き飛ばしてすまなかった」

P「そうか、良かった……」

晶葉「もうすぐ9時になる。戦闘途中で異能が使えなくなるのを覚悟した方がいいぞ」

P「……ああ」

……ガチャン! チーン

P「止まった……何階だ?」

晶葉「どの階も指していない……!?」

ウィーン……

P「扉が勝手に……!」


「ようこそプロデューサーさん。私の『Hotel Moonside』へ」


幸子が運んできたアンラッキー(?)速水奏の異能、『Hotel Moonside』の能力とは!?


↓2(ここまでの描写は無視してもOKです)

P「奏か!」

奏「ええ。早くこっちへいらっしゃい、プロデューサーさん」

P(エレベーターの外はホテルの一室のような部屋になっている……)

P「…………」ポチッ、ポチッポチッ

奏「あはは、ダメダメ。『閉』も『開』も利かないわ、どのみちこっちへ来るしかないの」

P「そうかよ……だったら先手必勝! 『lilac time』!」シュルルル

奏「あら。いつになく乱暴なのね」スタッ

ギュウウウン

P「!?」

P(な、なんだ!? 奏が宙に浮いているッ!?)

奏「驚いた? あなたの攻撃はここまで届くかしら」

P「舐めるなよ!」スッ

奏「薔薇? それをどうするのかしら」

P「プレゼントだッ! 綺麗な薔薇にはトゲがあるってね!」シュシュシュッ

奏「それって、私のこと? 」クスクス

ギュウウン……スタッ

P「!」

P(着地して避けたか。しかしなんだ、この動きは……!?)

奏「マジックショーはもう終わり? それなら早く、こっちへ来て」

P「ま、まだ!」スッ

P(今度は木の枝を成長させて────)

……ギュウウン

P「!」

晶葉「こっ、これは……!」

P「身体が浮いたッ!? 足に少し力を込めただけなのにッ!?」ブンブン

奏「あははっ、マジック勝負は私の勝ちのようね」

P(くっ、思うように動けない……!)

晶葉「この感覚は……いわゆる『無重力』! それが彼女の異能か!」

奏「正解。私の『Hotel Moonside』は一定の範囲内を無重力にする。どう? 宇宙に行ったような体験でしょ?」

P「はは、こいつは面白いじゃないか……ッ」

P(クソッ、思うように動けない!)

晶葉「助手! 足をこちらに向けるんだ! 私は手すりに掴まる!」

P「そうか、足の裏を合わせて蹴ればッ!」スッ

晶葉「いくぞ……っ!」ゲシッ

フワァ~ン

P(このまま近づいて「ヴィーナスシンドローム」でケリを着ける!)スイー

奏「やっとエレベーターを出てくれたわね。でもゆっくり近づくのを待ってたんじゃ時間がもったいないし……」スッ

ギュウウン……

P「いいっ!?」ビターン

奏「あっ、ごめんなさい。能力を解いちゃった」クスクス

P「っの……! 『lilac time』!」シュルルルッ!

奏「!?」

P(よし、捕まえた……!)

……カチッ

P「!」シュゥゥン……

P(こ、これは……まさか……)

奏「んっ……激しいかと思ったら、意外に優しい攻撃ね」プチッ,プチッ

P(9時になってしまったッ! これでもう「lilac time」も「ヴィーナスシンドローム」も使えない!)

晶葉「助手っ! 彼女が油断しているうちに近づいてコピーするんだ!」

P「それしかないッ……!」タッタッタッ

奏「油断? 言ってくれるわね。でも違うわ」スッ

ギュウウン

奏「これは『余裕』っていうのよ」スタッ

P「くっ……! 自分の周りを無重力にして空中へ逃げたか! しかし!」ダッ

奏「ベッドを足場にして跳んでくるつもり? でも、無意味よ」ギュウウン

P(跳ぶ直前に無重力の範囲を広げた!?)

P「くっ、届かないのか!?」

奏「大丈夫。ゆっくりでも私のところへ確実に近づいているわ。あと少し、もう少しよ」クスクス

P「このッ……!」

奏「ほら、手を目一杯伸ばして……あと数センチで指先が触れそう。でも、ダメっ♪」スッ

P「うわあっ!?」ビターン!

P「はあっ、く、クソ……!」

奏「悔しい?」

P「痛いんだよ! ここまで4,5人と戦ったがこんなに物理的ダメージを喰らったのは初めてだッ!」

奏「ふふっ、そう。じゃあ今までの相手は生ぬるかったのね」

P「何を……!」

奏「私の『Hotel Moonside』に死角はない。プロデューサーさんの攻撃は私に届かないし、私はその気になればいつでもプロデューサーさんを倒すことが出来る」

P「……そういうセリフを吐く奴に限って、情けなく負けるってことを教えてやるよ!」

奏「ちょっとからかったらこれだもの。……だからやめられないんだけど」

P「行くぞ!」


選択肢(2つ正解)
1.無重力ということは動きが鈍いということッ!
2.晶葉、一緒に戦うぞ!
3.無重力にするだけの能力で本当に俺を倒せるのか?
4.……パンツ見えてるぞ?
5.そういえば幸子は?

↓2

特に連取制限する必要もないと思うので>>107を使います
続きはまた今度

ハズレ


P(いや、ちょっと待てよ。そういえば────)

奏「あら、どうしたの? やっぱり怖気付いちゃったのかしら」

P「違う! ……お前、幸子はどこへやった?」

奏「ああ、幸子ちゃん。あなたたちを誘い出すのにちょうど良かったから、先にここへ連れて来たの。そっちのベットを見て」

P「ん?」チラッ

幸子「ボクはカワイイ……そうなんです……」zzz

P「ね、寝てる……」

奏「持ち上げてみて」

P「お、おう……?」スッ

ズウゥゥゥン

幸子「zzz……」プカー……

P「む、無重力幸子……」

幸子「重力が無くても、ボクはカワイイ……」zzz

P(だ、ダメだこりゃ。何か幸運が起きてもしかしたら奏を倒してくれるかもと思ったが……)

奏「もういい? それより早く、続きをしましょう」

P「…………」




選択肢(2つ正解)
1.無重力ということは動きが鈍いということッ!
2.晶葉、一緒に戦うぞ!
3.無重力にするだけの能力で本当に俺を倒せるのか?
4.……パンツ見えてるぞ?


↓2

正解!


P(「お願い!シンデレラ」を使うには、俺が奏のところまで跳ぶか奏を着地させるしかない)

P(しかし、奏が無重力にする範囲を操作出来る以上は俺から近づくのはほとんど不可能!)

P(どうにかして奏を地面へ下ろさなくてはならない、そのための手段を……)スタ,スタ……

P「……ん?」スタッ

奏「どうしたの? あれだけの事を言っておきながら全然攻撃して来ないじゃない」

P「いや、たった今攻撃しようと思ったよ。……でも一つ、とんでもないことに気づいちまってさ」

奏「私にはどうあがいても絶対に勝てない、それに気付いてしまったってことかしら?」

P「違うね。奏、お前さっきから……パンツ丸見えだぞ?」

奏「!? どっ、どこ見てるのよっ!」バッ

P「隠そうとしても無駄ァ! 宙に浮いたままのその体勢じゃ、どうあがいてもパンツ見放題よッ!」スタスタ

奏「な……!? とんでもない変態ね……!」

晶葉「そうだぞ助手! いつからそんな下衆に成り下がったんだ!」

P「う、うるせえ! とにかく奏、パンツを見られたくなければ大人しく下りてこい!」

奏「くっ、そういうことね……いいわ、下りてあげる」

P(よし、そのまま抱きついて異能をコピーすれば……!)

奏「……でも、私に触れさせはしない」スッ

P「!」

ズウゥゥン……

P「か、身体が浮いていくッ!? 今度は俺の周囲を無重力にッ!?」

奏「見下ろされるのはイヤだけど、パンツを見られるのはもっとイヤだわ。だから大人しく浮いてなさい、プロデューサーさん」

P「チッ、だがな! 解毒剤を持っているのは俺一人じゃあ無いんだぜ!」プカー

奏「!」

晶葉「わ、私か!?」

P「おいッ!? そこは何も言わなくても連携取れてるトコだろ!」プカー

晶葉「くっ……!」ダッ

奏「ふふっ。残念ね、ほんの一瞬だけ私の不意を突けたのに」スッ

ズウゥゥン……

晶葉「!」 ブンブンブン

奏「空中を走る経験は初めて? 漫画そのものの間抜けな姿だけど」

晶葉「っ、すまない助手っ……」

P「……いいや! 十分だぜ晶葉! もう奏は避けられない!」

奏「!? そんな、どうやって接近を……!」クルッ

P「無重力ではな……『天井も床』なんだよ!」

ダキッ、バタッ!

奏「離して!」ジタバタ

P「駄目だね!」ギュッ

奏「っ……」

P「自分が浮いている間は天井にぶつからないよう逐一制御していたようだが、今回は晶葉に気をとられて制御出来なかったようだな!」ギュウッ

奏「天井を蹴ったのね……! そしてそのまま私の背中に飛びついた……!」

P「そう! わずかな勢いでも、奏の周囲には重力があるから近付けたのさ!」

奏「くっ……!」スッ

ズウゥゥン……

P「無重力にしても無意味! 完全に奏を捕らえているんだからな! 一緒に浮くだけよ!」

奏「こんな……こんなはずじゃあっ……!」

P「言ったはずだ、大口叩くやつに限って情けなく負けるってな。……とっくに10秒! 続いて解毒剤!」

晶葉「抱きついている状態でどうやって飲ませるつもりだ!?」

P「……『1,2,kisskiss』」

ズキュウウウン!

奏「んっ……!?」ゴクッ

晶葉「なっ……んだと……!?」

ズウゥゥン……スタッ

P「ふぅ……これも仕方ないことだったのさ……」

晶葉「…………、上」

P「え?」スッ

幸子「んっ、ふああっ……って、うええええええ!?」ヒューン

ゴッチーン!

P・幸子「痛ッたーーーっ(い)!!!」


速水奏「Hotel Moonside」────再起可能

PM9:10

P「あー、痛ってえ……今日一番のダメージだぞおい……」

幸子「こっちのセリフですよっ! だいたいなんで目が覚めたら落下してるんですか!」

P「それはまあ、無重力だったからとしか……」

幸子「は? 無重力? カワイイボクは、物理法則をも越えてしまった……!?」

P「違うわ! そもそも幸子さあ……俺たちはお前を助けるためにわざわざ敵の罠に嵌まったんだぞ? それ分かってる?」

幸子「……罠? そういえば、4階に戻ろうとしているときにエレベーターが止まって、そこからボクはいったい……?」

P「だから、敵の罠だったんだよッ! そこ!」

奏「」

幸子「奏さん!? ボクのあまりのかわいさに気絶してしまったんですか!?」

P「あーもういいわ、真面目に話すだけ時間の無駄だ……」

晶葉「……おい、助手」

P「ん、どうした。そういえば晶葉は怪我とか大丈夫だったか?」

晶葉「身体は大丈夫だ。それよりだな……さっきのアレはなんだ! 何故きっ、キスをする必要がある!」

P「ああっ、いや、それはだな……抱き締めた状態で解毒剤を飲ませるにはあれが一番なんだよ!」

晶葉「私が飲ませればそれでいいだろう!」

P「無重力! 無重力で浮いてたからっ!」

晶葉「異能をコピーしたのだからそれも解除出来たはずだ!」

P「うっ」

晶葉「それに間違えて飲み込んでしまったらどうする!まともに戦える人間が居なくなってしまうんだぞ!」

P「ううっ!」

晶葉「第一、キスなんてうら、けしからん事を、いくら正気を失っているからとはいえアイドルにするなど……」ブツブツ

P「ん? うら……?」

晶葉「なっ、なんでもないっ!」

P「あっはい。もうしません……」

晶葉「……そういえば、一つすっかりいい忘れていた」

P「? ああ、そういや幸子と会う前に何か言いかけてたな」

晶葉「解毒剤は助手が持っている物を含めてあと『10個』しかない」

P「……なんだって!? 晶葉、お前いっぱい持ってなかったか!?」

晶葉「どうやら、夕美から逃げているときにポケットから落ちてしまったようなんだ。……すまない」

P「あの時か……まあ俺が晶葉を引っ張って逃げ回ってたんだし、仕方ないよ」

晶葉「私は万が一のときのために一つ持っていれば十分。残りは助手が持っていてくれ」スッ

P「よし、分かった。落とさないようしっかりしまっておくよ」

晶葉「……もし手持ちの薬を使いきっても黒幕が見つかっていないようなら、探しに戻るしかない」

P「大丈夫大丈夫。奏を倒したってことはおそらくエレベーターも使える、もうすぐこの事件も解決さ」

P(……もし探しに戻ることになっても、こっちにはラッキー体質なアイドルも居るしな)

幸子「へくしゅっ……今日もどこかの誰かが、ボクのかわいさを噂してますね!」

P「OK、幸子はカワイイよ。じゃあそろそろ出発しよう」

晶葉「うむ。といっても、エレベーターに乗るだけだが」

P「行き先は『9階』、今度は大丈夫だろうな……」ポチッ

ガチャン、ウィーン……

P(扉が開いたらまた敵が居た、なんてことは勘弁してくれよ……)

チーン

9階

ウィーン

P「……つ、着いたな」

晶葉「敵は居ない、のか……?」

幸子「だから罠は無いって言ったじゃないですか!」

P「既にあったんだよッ!」

幸子「えっ、そうなんですか?」

晶葉「……行くぞ」

P「……ああ」

幸子「ちょ、ちょっと! 無視しないでください!」

P(ま、本当なら階段でちまちま上がるはずだったのを、幸子のおかげでショートカット出来たと云えなくもないよな)

P(敵が居たとはいえ一人だけ。あのまま階段で進んでいれば何人と戦っていたのかは分からないわけだし……)

スタスタ……スタッ

P「ここだな」

晶葉「志希が居るか、居ないか……」

P「居ないにしても、何か手がかりはあるか……」

P・晶葉「……」ゴクッ

幸子「もしもし? 志希さーん、中に居るんですかー?」トントン

P「うおおおお前ってやつは本当になあ幸子ォッ!?」グイッ

幸子「なっ、ノックしただけじゃないですか!」

P「しなくていいッ! ……開けるぞ?」

晶葉「……」コクッ

キィー、スタ、スタッ……バタン

P「……誰も居ないな、暗いし」パチッ

晶葉「…………。詳しく調べてみよう、一応マスクを着けてな」スッ

P「サンキュー。じゃ、俺はこっち」

晶葉「私は反対側だな」

幸子「ボクは────」

P「いいッ! ここで待っててくれッ!」

幸子「なんですかもう……」

P「さて……」スタスタ

P(ビーカーや試験管の中に薬品っぽいものが入っているが、この中にアイドルの異能力者にした薬も入っているのだろうか?)

P(まあその判断は晶葉にまかせるとして……マスクしてるのにけっこうキツい臭いがしてくるな)

P「晶葉、そっちはどうだ?」

晶葉「いや、まだ何も手がかりはない」

P「そうか……ん? 貼り紙がある……」スタスタ

幸子「……」スーッ……

『にゃはは! 残念、志希ちゃんの居場所はここじゃありませんでした~! 頑張って探すがよいぞよ?』

P「……」イラッ

P(ん? 裏にも何か書いてあるのか……?)ペラッ

『※DANGER※これより先はプロデューサー以外見てはいけません!』

P「…………」ベリッ

『あたしは黒幕じゃない……かもね?』

P「……なんだって?」

『……ちなみに、ここまで読んだキミには黒幕からの刺客をプレゼント!』

P「な……!?」クルッ

プツン!

P(電気が消えたッ!?)

P「晶葉! 幸子!」

シーン……

P(クソッ、迂闊だった……!)

……パチッ!

P「戻った! ……なんだ、誰も居ないじゃないか……『誰も居ない』ッ!?」ダッ

「…………」

P「晶葉、幸子っ!返事を────、!」スタスタ

晶葉「……」

P「良かった……って良くはないが、倒れて気絶しているだけだ。消えてはいない……」

P(……誰がやった!? 電気が消えていたのはほんの1,2分。そんな時間で誰がこんなことを────)

「プロデューサーさん♪」ダキッ

P「え……?」チラッ

佐久間まゆ(以下、まゆ)「やっと……やっと二人きりになれましたね♪」

P「まゆッ、お前が……!」

まゆ「『邪魔者』は『始末』したんですよ……ここには、私とプロデューサーさんの『二人だけ』でいいんです」

P「し、『始末』だとッ!? おい、まさか────」

キィー……

P「!」

幸子「ふぅ……あぁすいません、またちょっとお手洗いに行って……あれ、まゆさん?」

まゆ「……まだ、居たんですね」

P「幸子ッ! 部屋から出るんだッ!」

まゆ「誰にも邪魔はさせないから……『エヴリデイドリーム』!」


黒幕からの刺客(!?)まゆの異能、『エヴリデイドリーム』の能力とは!?

↓2

続きはまた今度書きます

幸子「なっ、ななな何ですか!?」

P(くっ、幸子が攻撃される前に何とか解毒剤を────)

キィィィン!

P「………、あ、あれ……?」

まゆ「うふふ、どうしたんですかぁ……?」

P「いや、俺は、まゆに……」ドサッ

幸子「プロデューサーさん!?」

P(どういうことだ……まゆに解毒剤を飲ませなければならないのにッ!)

まゆ「そのままでいいんですよ、プロデューサーさん。まゆを『倒す』だとか『止める』だとか、そんなことは考えなくていいんです」

P「そうか……そう、だよな……」

P(駄目だ……出来ない……俺はもう、何も出来ない……戦えない……)グッタリ

まゆ「……少しだけ待っててください。邪魔者を片付けてきますから」

幸子「も、もしかしてボクのことですか……!?」

P「ま、待ってくれまゆ! 幸子には手を出さないでくれ!」スタッ

まゆ「…………」スッ

キィィィン!

P「あうっ! ぐっ、く……」

P(敵意を向けられない……! 身体から力が抜けてしまう……)ガクッ

まゆ「さて、幸子ちゃん」

幸子「は、はい? まゆさん、何かちょっと、様子が変ですよ……?」

まゆ「変? うふふ、そんなことありませんよ。これっぽっちもまゆはおかしくありません……」スタ、スタ

P「幸子っ、逃げろ……逃げるんだ……」

まゆ「……」スタ、スタ……

幸子「まゆさんっ! そ、それ以上近づかない方が……」

まゆ「大丈夫ですよ、苦しいのはほんの少し────」

ズルッ、ステーン!

P「……!?」

幸子「あぁ、やっぱり……だから近づかない方がいいって言ったんです」

まゆ「ど、どうしてこんなところに雑巾が……」イタタ

幸子「さあ、それはボクにも分かりませんけど……ってまゆさん!? その机に手を置いたら────」

スタッ……ブチュン

まゆ「……?」スッ

幸子「血、血じゃないですか!?」

まゆ「ひっ……!?」

幸子「あ、ごめんなさい嘘です。ただの絵の具ですね。……でもなんで絵の具が?」

まゆ「幸子ちゃん……あなた……」ギロッ

幸子「ひいっ!? ぼ、ボクはなにもしてないですからね!?」

P(これは「To my darling…」ッ!? 幸運が幸子を守っているってのか!?)

まゆ「そうですね、幸子ちゃんは何もしていない。でもその『異能』は厄介ですねぇ……」スタ、スタ……

幸子「ボクの『To my darling…』が何をしたっていうんですか……?」

P(まずい……幸運にも限界がある! まゆを止め続けることは出来ないッ!)

P(やはり……俺が戦わなくては……!)スタッ

まゆ「プロデューサーさん?」クルッ

キィィィン!

P(まただッ……攻撃の意志が、薄れていく……)

P「…………」グッタリ

まゆ「大人しくしていてください。もうすぐ、終わりますから」スタッ

幸子「ま、まゆさん!? 何をするつもりですか!?」

まゆ「……二つ、いいことを教えてあげます」

幸子「は、はい……?」

まゆ「一つ目……『エヴリデイドリーム』は戦意を完全に喪失させる異能。この能力から逃れることは出来ません」

P(そうか、そういうことか! しかし分かったところで……クソッ)

まゆ「……もっとも、この異能はプロデューサーさん専用。プロデューサーさんだけのための物ですけどね」

P(おいおい……)

幸子「い、いかにもまゆさんっぽいですね」

まゆ「そして、二つ目。……私の異能は一つじゃないんですよ」

P・幸子「!?」

P(馬鹿な、異能は一人一つだけでは……!?)

まゆ「永遠の魔法をかけて……『マイ・スイート・ハネムーン』!」


佐久間まゆ第二の異能! 「マイ・スイート・ハネムーン」の能力とは!?

↓2

まゆ「幸子ちゃんには特別に見届けてさせてあげますッ! まゆとプロデューサーさんが『一つになる』のを!」スタッ

幸子「ええっ!? 一つになるって、それはどういう……」

まゆ「見ていれば分かります……!」ダキッ

P「な、まゆ……っ!」

まゆ「『エヴリデイドリーム』!」キィィィン!

P「っ、あ、が……」

まゆ「抗うことはないんです……そのまますうっと、まゆを抱き締めてくれさえすれば……」ギュウッ

P「……」ギュッ

幸子「ボクはこのまま見ていればいいんですね!?」

まゆ「はい。……やっと、やっと……!」

ピカァァァァァッ!

幸子「眩っ……!?」

「…………」

幸子「な、何がどうなったんですか……?」

まゆ「やっと、一つになれましたね……♪」パッ

P「はあ……、そうだな……」グッタリ

P(なんということだ……)

幸子「な、何が一つになったんですか? どう一つになったんですか?」

まゆ「これを見てください♪」スッ

幸子「! 左手の薬指に指輪……ということは!?」

まゆ「……はい。私たち、結婚したんです!」

幸子「なるほど、一つになるってつまり夫婦になるってこと……ってえええええええっ!?」

P「なんという……なんという恐ろしい異能……俺の負けだ、完全に……」

P(不意をついて解毒剤を飲ませようにも────)

まゆ(エヴリデイドリーム!)キュイイン!

P「ううっ……」ガクッ

P(この能力で一つになった者の思考はお互い筒抜けになってしまう……)

まゆ(変なことは考えないでくださいね?)

P(…………)

P(「お願い! シンデレラ」はまゆの異能を両方コピーしたが、「マイ・スイート・ハネムーン」を解除するには────)

まゆ(ダメです♪)

P(両人が解除の意志を持たなければいけない……離婚届にハンコが必要なように……)

P(……ん? というか、ちょっと待てよこの能力)

まゆ(なんですか?)

P(「一つになる」という言葉はつまり10秒抱き合った二人が夫婦になる……それだけの異能なのか?)

まゆ(いいえ。その気になれば文字通り「一つになる」ことも出来ますよ)

P(そ、それは勘弁してくれ……)

まゆ(……もっとも、この異能も「プロデューサーさんと一つになる」ためだけのものですけどね。まゆの異能はプロデューサーさんだけのものです♪)

P(つまり、俺なら誰にでも使えるってことか)

まゆ(……どういう意味ですか?)ジロッ

P(違っ、違うぞ! 浮気とかそういうのじゃないからな! 戦いで使えるかもってだけで)

まゆ(戦い……?)

幸子「あ、あのー……さっきから二人とも見つめあって何をしているんですか?」

P「あ、すまん。心と心で通じあってた」

まゆ「やだ、プロデューサー、いや、Pさんったら♪」

幸子「え、えぇ……?」

まゆ「そんなことよりPさん、今すぐハネムーンに出発しましょう♪」

P「ま、待てまゆ。今すぐっていうのはちょっと無理だよ」

まゆ「……どうしてですかぁ?」

P「いや、だからそのな────」


……


晶葉「……どうして目が覚めたら助手が結婚しているなんてことになっているんだ」

幸子「さあ、ボクにはさっぱりです」

P「いや……まゆの異能は俺に特化しすぎてて、勝ち目が無かったんだよ……」

まゆ「♪」

晶葉「なら、私が解毒剤を飲ませる。そうすれば助手一人で能力は解除出来るんだろう」

まゆ「はい……?」

P「ま、まあまあ、落ち着けって。まゆも事情を話したら協力してくれるっていうし、もう俺たちを攻撃する意志もない」

まゆ「Pさんと一つになれたんですから、当然です♪」

P「解毒剤が10個しかない以上、無理に飲ませる必要も無いんじゃないかな?」

晶葉「……はあ、ならそうすればいい。一生まゆと結婚したままでも私は知らないからな」

P「お、おいおい、それはちょっと困る────」

まゆ「……」ジロッ

P「わけないな! うん、結婚万歳!」

まゆ(隠しても分かるんですから、ね?)

P(ひっ……)


佐久間まゆ「エヴリデイドリーム」「マイ・スイート・ハネムーン」が仲間になった!

PM9:25 志希の部屋

P「……薬?」

晶葉「そうだ、アイドルを異能力者にする薬とは別に、異能力者となったアイドルを支配下に置く薬がこれだ」スッ

P「ほうほう……」スーッ

幸子「ふむふむ……」スーッ

晶葉「ばっ、嗅いだらダメだ! 一定量吸い込むとアウトなんだぞ!」グイッ

P「あっ、そうか、悪い悪い。……まゆもこれを嗅がされたのか?」

まゆ「いえ。そんな覚えは無いですけど……」

P「でも、この貼り紙には黒幕からの刺客と書いてあるぞ? まゆの事じゃないのか?」

まゆ「まゆはただ、志希さんにプロデューサーさんがここに来ると聞いただけで────」

P「志希だとッ!? それはどこで!」

まゆ「……直接会ったわけじゃないんです。この異能を手に入れて、Pさんを探していたら、頭の中に声がして」

幸子「直接脳内に! というやつですね!」

P(こんな感じか!)

まゆ(まさにそうです!)

晶葉「なら結局、志希の居場所は分からないということか……」

P「今度はアテもなく探さなくちゃいけないな……」

まゆ「ごめんなさい。まゆ、この異能を手に入れて舞い上がっていたんです。他のみんながおかしくなっている事にも気付かないで……」

幸子「大丈夫です! このカワイイボクが居れば、探し物なんてすぐに見つかります!」

P「幸子はずっとそのテンションだなぁ……」

幸子「劣化しない永年保証のかわいさです!」

P「オーケー、オーケー……とりあえず、ここを出よう」

キィー……バタン

「にゃーっはっはっは! 黒幕からの刺客、参上だにゃ!」シュタッ

P「何ッ!?」

スタッ

前川みく(以下、みく)「Pチャン、その首もらい受けるにゃ!」

P「本当の刺客はみくだったかッ!」

みく「中々出てこないから、みーんな部屋の中で気絶でもしちゃったのかと思ったにゃ」

晶葉「……わざわざ部屋から出てくるのを待ってたのか」

まゆ「律儀な人ですね」

幸子「の割には不意討ちっぽく登場しましたけどねぇ」

みく「うるさいにゃ! 一人で四人相手にしなきゃいけないみくの気持ちにもなってみるにゃ!」

P「四人つっても、まともに戦えるのは俺一人だけどな……」

みく「とーにーかーくーっ! 戦闘開始っ!」

P「来るなら来い!」


黒幕からの刺客(本物)、みくの異能「おねだり Shall We ~?」の能力とは!?


↓2

みく「先手必勝! 『おねだり Shall We ~?』!」 シュビビビ

まゆ「危ないっ!」ドサッ

P「っ、まゆッ!」

まゆ(猫)「……ンニャ?」チョコーン

P「げーっ!?」

幸子「ま、まゆさんが猫に!」

晶葉「中々まずい能力だぞ……!」

まゆ「~♪」ゴロゴロ

みく「じゃじゃ~ん、的は違ったけど可愛い猫チャン出来上がり! おいでおいで~!」チッチッ

まゆ「……」フンッ

みく「んにゃっ!?」

まゆ『まゆはPさんがいいんだにゃ♪』シュタッ

P(! 「マイ・スイート・ハネムーン」でまゆの思考が伝わってきたのか)

P「よーし、よしよーし」サスサス

まゆ『照れちゃいますにゃ~ん♪』

みく「みくを差し置いて猫チャンを手懐けるなんて……許さんにゃ!」

P(まゆの思考から考えるに猫にされると知能も猫レベルにまで落ちてしまうッ! それはまずいッ!)

みく「『おねだり Shall────」

P(まゆッ! あのネコミミ着けた女の子を攻撃するんだッ!)

まゆ「ニャーッ!」シュタタッ
まゆ『了解ですにゃ♪』

みく「あっ、まゆネコチャン! やっぱりみくのところに来てくれるのかにゃ?」

まゆ「!」フシャーッ!

バシッ!

みく「い、痛あっ!? 飼い猫に手を噛まれ、いや引っ掛かれたにゃ!」

P「今だッ! 『Hotel Moonside』ッ!」

ズゥウウン……

みく「しまっ、って、わわっ、なにこれっ!?」フワァ

まゆ「フニャーッ!」ジタバタ
まゆ『身体が浮いていくにゃ~んっ!』

P「『無重力』にさせてもらった。思うように身動き取れまい!」

みく「ぐぬぬ……でもっ! 『おねだり Shall────」

ズゥウウン……

みく「ふにゃああっ!? お、落ちっ……!?」

ズウゥゥン……

みく「……っない!? ま、また浮いていくにゃ!?」

P「重力を付けたり消したりってのは中々面白いなァ~、晶葉?」

晶葉「なぜ私に振る……」

ズゥウウン……ズゥウウン……

みく「ううっ、自分が浮いてるのか沈んでるのか分からなくなってきたにゃ……」

まゆ「ニャーニャーニャー」クルクル
まゆ『目が回りますにゃあ~……』

P「っと。まゆに悪いし、そろそろケリを着けるか!」

P(といったものの、近づくと猫にする異能を喰らってしまう可能性があるな……どうする)


選択肢(二つ正解)
1.このまま重力を操作するッ!
2.幸子、代わりに解毒剤飲ませてくれ
3.まゆを元に戻したら見逃してやるよ
4.まゆ、合体するぞ!


↓2

正解!


P(……待てよ? 猫にする異能ということは、猫になっていれば関係ないんじゃあないか?)

P「ふっふっふ……思い付いたぞ! 『おねだり Shall We ~?』破り!」

みく「な、なんですとー!? ハッタリだにゃ、みくの異能に隙は────うわああっまた落ちるにゃっ!」

P(……まゆ、聞こえるか?)

まゆ『Pさん、まゆ、くらくらするにゃぁ……』

P(まずい、こりゃ一旦無重力を解かないとダメそうだな……)スッ

ズゥウウン……

みく「うわっ落ちっ、今度は本当に落ちてるー!?」ビターン

まゆ「ニャーッ!」シュタッ
まゆ『やっと収まりましたにゃ~♪』

P(よしっ! まゆ、合体するぞ!)

まゆ「ンニャ?」
まゆ『合体? それなんですにゃ?』

P(しまった、異能のことも分からないのか……!?)

みく「いたた……もう怒ったんだからね!」スタッ

P(ヤバいッ……まゆ! 合体だ! 『一つになる』んだ!)

まゆ「ニャー……ニャニャ!」
まゆ『一つに、なる……!』

まゆ「にゃー!」シュタッ

みく「『おねだり Shall We ~?』ッ!」ビィィィッ

晶葉「助手っ!」

ピカァァァァァッ!

P(まゆ)「ふふふ、『おねだり Shall We ~?』破れたり!」

みく「ななななんだにゃ!? その姿!?」

幸子「プロデューサーさんが女になって、ネコミミが生えて……あれ、まゆネコさんは?」

P(まゆ)「合体したんです! まゆと俺はまさしく一つになったのだです!」

P(って口調が安定しないぞ!)

まゆ(心も一つにするんですにゃ! Pさん!)

P(猫っ! 猫が抜けてないっ!)

みく「がが合体!? そんなのアリかにゃ!?」

P(まゆ)「ええいとにかく、抱きついて解毒剤を飲ませれば勝ちだですにゃっ♪」シュタタタタッ

みく「速っ!?」

P(まゆ)「フシャアアアアアアッ!」

みく「怖っ!?」

ダキッ

みく「んにゃっ!?」

晶葉「ネコとヒトの良いとこ取りか……悪くない」

P(まゆ)「……10秒ですっ! 続いて解毒剤! ええと……?」ガサゴソ

晶葉「どうした? 早く飲ませるんだ!」

P(まゆ)「服も合体しちゃったから、解毒剤どこにいったか分からないんだにゃッ!」

晶葉「んな……!?」

みく「み、みくは……まだ負けるわけにいかないんだにゃー!」バシッ

P(まゆ)「っ!」

みく「必殺、マタタビ乱れ投げ~!」シュバババ

P(まゆ)「!!!」

みく「半分とはいえネコチャンはネコチャン! このマタタビの量を見れば~!」

P(まゆ)「ニャーッ♪」シュタッ

P(だ、駄目だッ! 抗えないッ……!)

まゆ(にゃあっ♪)

P(まゆ)「……」ゴロゴロゴロ

みく「ふ、ふふふ……今回は引き分けということにしておくにゃ! さらばーっ!」

タッタッタッ……

幸子「逃げちゃいましたよ!?」

晶葉「……仕方ない。それよりこの二人、いや一人を何とかするぞ」

P(まゆ)「にゃ~♪」

PM9:35

P「まさか合体があんなに強力だとは……」

晶葉「それはまゆが猫になっていたからだろう?」

P「『おねだり Shall We ~?』もコピーしたんだ、その気になれば再現可能だよ」

まゆ「Pさんとならいつでも合体します♪」

幸子「合体してる間って、どんな感じなんですか?」

P「んー? いや、それは言葉で説明出来るものじゃないな……」

幸子「そう、ですか……」

P「どうした? リアクション芸人の血が騒ぎ始めたか?」

幸子「騒いでないです! だいたい、プロデューサーさんと合体なんかしたらボクのかわいさが50%も失われてしまうじゃないですか!」

P「そ、そうね……」

晶葉「……それより、これからどうする」

P「そうだな。どうやって志希を探すか……」

晶葉「居場所の手がかりはない。行き先は助手が決めてくれ」

P「…………」



選択肢(ここから先は一部を除いて移動中に戦闘になることはありません)
1.西棟1階:大浴場
2.西棟2階:食堂
3.西棟5階:レッスンルーム
4.渡り廊下を通って東棟へ
5.外に出る

↓2

続きはまた今度書きます

1階 大浴場

晶葉「……それで、どうしてここが怪しいと思ったんだ。そろそろ理由を聞かせて欲しいぞ」

P「いや、別にここが怪しそうとかそういうのじゃないんだけど。みんなそろそろお風呂に入りたいんじゃないかなー、なんて」

晶葉「……は?」

幸子「この時間にお湯張ってあるんですかねぇ?」

まゆ「大丈夫だと思いますよ。鍵は開いてますし」

P「ほら、こういうことだし、な! 戦いばっかりで疲れたしちょっと休憩しよう!」スタスタ

晶葉「……おい、助手。なにさらっと自分も入ろうとしてるんだ?」

P「えぇ? そりゃあ俺だって休憩したいし……」

晶葉「大浴場はアイドル専用、つまり女湯だっ! 男子禁制!」

P「くっ、バレたか!」

まゆ「まゆは別に、Pさんとなら一緒でも……」

P「ま、マジ? っていうか合体する? 合体すれば俺も女に────」

幸子「さすがにマズイですよ! ほらまゆさん、行きますよ!」

まゆ「はぁい……」

晶葉「……まあ、一応中を調べる目的で少しだけ入ってくるよ」

スタスタ……

P「ちぇっ、結局おいてけぼりかぁ」

P(しかし、アイドルが風呂に入っているとなればやることは一つなのでは……!?)

P「…………」

P(そうだ、ここは「選択肢」だッ! 「覗く」が選ばれちゃったら不可抗力でなんとでも────)

まゆ(……Pさん?)

P「ヒッ!」

P(び、ビックリさせるなよ。変な声出たじゃないか……)

まゆ(それより……今、変なこと考えてませんでしたかぁ?)

P(かっ、考えてない! 断じて考えてないぞッ!)

まゆ(……隠しても分かるって言いましたよね?)

P(思考を覗くなッ! 覗きは犯罪だぞッ!)

まゆ(覗きじゃないですよぉ、お互いに見せ合っているんですから)

P(な、なるほど、言わば露出ということか。でも露出だって犯罪なんだからな……)

まゆ(何言ってるんですかもう……)

浴場内

チャポン……ムムム

まゆ「……うふふっ」

幸子「どうしたんですかまゆさん?」

まゆ「あ、いえ。いい湯ですね♪」

幸子「は、はあ……」

晶葉「誰も居ないようだし、長湯はしないぞ」

まゆ「分かってます。……それにしても、誰も居ないのにどうしてタオルを巻いているんですか?」

ムムム……

晶葉「…………」ブクブク

幸子「そ、それは……まゆさんもじゃないですか」

まゆ「一応、です♪」

晶葉「……そうだ、一応だ」

幸子「ま、まあボクは別に取ってもいいですけど!」

晶葉「なっ、誰か入ってきたらどうする!?」

まゆ「プロデューサーさんは覗きなんてしませんよ?」

晶葉「そ、それは分かってるが……」ブクブク

ムムムム……ムムーン! ……ザッバーン!

「きゃあああああっ!」

P「!」

タッタッタッ……ガラララッ!

P「ど、どうした!?」

堀裕子(以下、裕子)「むむむ……? これは、サイキックテレポーテーション成功……?」ザブン

P「ゆ、ユッコ!?」

晶葉「お、おい……助手……」

P「あっ……いや、これ悲鳴がきこえたら来ただけだぞ! 体が勝手に動いただけだ!」

まゆ「……結局こうなるんですね」

幸子「と、取らなくてよかった……」

裕子「あっ、プロデューサーさん! 見てください! 私ついに、本当に本物のエスパーユッコになれたんです!」

P「お、おう……その格好、もしかして一緒に入ってたのか?」

幸子「違います! いきなり目の前に現れたんです!」

P「何?」

裕子「あ、私はサウナで精神統一していたんです! この前読んだ本に、薄着だとサイキックパワーが溜まりやすいと書いてあったので!」

P(タオルを巻くのは薄着に入るか……? っていうかどんな本だよ)

晶葉「……しまった。サウナルームは見ていなかった」

裕子「そして精神統一していたら……なんと! サイキックテレポーテーションに成功してしまったんですよ! 三人とも、見ていましたよね!?」

まゆ「え、ええ……」

晶葉「認めたくはないが……」

幸子「この目でバッチリと……」

P「な、なるほど」

P(ユッコも異能力者になったのか、それともマジのエスパーだったのか……?)

裕子「今ならどんなエスパーでも超能力でも、何でも使えそうです!」

晶葉「……それなら裕子、助手を実験台にしてみるのはどうだ?」

P「は? っておい、何言ってんだよ!?」

幸子「ボクも見たいです!」

P「幸子ッ!!」

裕子「なるほど、それは面白いアイデアですね!」

P「おいおいおい……!」

P(やはり異能か!?「理性を失っている」のか!?)

P「……ま、まゆは止めてくれるよな?」

まゆ「…………」

P「う、嘘だろ……」

まゆ(プロデューサーさん、さっきから目線がいやらしいです……)

P(そんな目で見てない! 決していやらしい目線なんか送ってないッ!)

裕子「それではいきますよ~っ。ムムムム~ン……『ミラクルテレパシー』!」


裕子の異能、それともエスパー(!?)、「ミラクルテレパシー」の能力とは!?


↓2

P「!!!」キィィィィン!

裕子「……はっ、はあっ、どうですか!?」

P「わ、分からない……」

幸子「外見的な変化はありませんけどねえ」

晶葉「不発、か」

裕子「そ、そんなぁ……」

P「いや、違う……確かに俺は何かされた、身体に何か変化があった……!」

裕子「どんな変化ですか!?」

P「それよりユッコ……お返しだ! 『Hotel Moonside』ッ!」

裕子「え? うわあっ、こ、これは、サイキック空中浮翌遊!?」フワァン

P「サイキック無重力だ! 覚えておけ!」

裕子「は、はい! というかこれ、あのっ、タオルがっ……!」フワーッ

P「!!!」

晶葉「は、早く重力を元に戻せ!」

P「お、おう!」スッ

裕子「えっ? ひゃああっ!?」ヒューン

P「まずい、しまったッ!」タッタッタッ

ザッバーン!

P「あいてて……お湯に落ちるなら受け止めに行かなくてもよかった、びしょびしょだよ……」

タプン……

P「!!!」

裕子「だ、大丈夫ですか? プロデューサーさん」チャプン

P「ゆ、ゆゆゆユッコ、たたタオルが……」

裕子「え……、っ!? み、見ないでくださいーっ!」バシャッバシャッ

P「そ、そうは言っても何か、色々当たってて────」

まゆ「……『エヴリデイドリーム』」ス

P「ううっ! ま、まゆ……!?」

まゆ「戦意は『喪失』させました。『どこの』とはいいませんが」

P「どっ、どこのって……変なこと言うなよ……」

まゆ「……裕子ちゃん、早くタオルを着けて上がってください」スッ

裕子「は、はい。ごめんなさい……」ザブン

まゆ「さあて……」

P「ま、まゆ……?」

晶葉「……南無三」

幸子「オーマイガッ、ですね」

まゆ「プロデューサーさん、ちょっと、やり過ぎましたね?」

P「ちっ違う! 不可抗力なんだ! 仕方なかったんだ! サイキックラッキースケベだったんだあああああっ!」


……

裕子「大変なことになってたんですね。……でもそれならなぜお風呂に?」

晶葉「それはこの変態がどうしてもと言ったからだ」

P「違う……変態じゃない……俺は何もしてない……」グッタリ

幸子「プロデューサーさん、ボクがカワイイからって変な目で見るのは止めてくださいね」

P「だからちがーうッ!」スタッ

まゆ「『エヴリデイドリーム』♪」

P「ううっ! 反則、反則だって……」グタッ

晶葉「……まあ、とにかく。裕子も私たちと来た方が安全だと思うぞ」

裕子「そうですね。私のエスパーでみなさんをサポートしますっ!」

幸子「大人数になってきましたねえ」

P「……そういえば、結局ユッコの異能はなんだったんだ? ちょっとコピーさせてもらっても────」

まゆ「♪」スッ

P「ああもう拗ねるぞッ! 本当に俺が戦わなくなってもいいのかよーッ!」ガクッ

裕子「私に異能なんてありません! あるのはエスパーだけですから!」

P「はい、もうそういうことでいいです……」


堀裕子「ミラクルテレパシー」が仲間になった!

P「じゃあ、次はどこを探そうか……」グターッ

晶葉「……ちょっとやり過ぎたんじゃないか? まゆ」

まゆ「そ、そうですね……合体します? Pさん」

裕子「が、合体……?」

幸子「さも普通のことかのように合体を提案しないでください!」

P「いいよもう、合体とか……もういいよ、もういい……」

晶葉「スタミナドリンクが欲しいところだな」

裕子「志希さんを探すなら私に任せてください! サイキックテレポーテーションで一発ですよ!」

P「そう、そうね……」


選択肢
1.西棟2階:食堂
2.西棟5階:レッスンルーム
3.渡り廊下を通って東棟へ
4.外に出る
5.サイキックテレポーテーション!

↓2

P「よし、じゃあユッコに任せてみよう」

裕子「分かりました!」

晶葉「いいのか?」

P「まあアテはないんだし、こっちにはエスパーに加えてラッキーウーマンも居るんだから案外うまくいくかもしれないだろ?」

幸子「フフーン!」

晶葉「……そうか」

裕子「では、輪になって手を繋ぎましょう。みんなも集中してください……」ギュッ

P「よし……」ギュッ

まゆ「Pさんの隣はまゆです♪」ギュッ

晶葉「…………」ギュッ

幸子「ボクはどの位置でもカワイイ!」ギュッ

裕子「いきますよ……ムム、ムムムム、ムムムムムム~……サイキック、テレポーテーション!」

ビシュン! ドサドサドサッ

PM9:50 ???

P(凄い、本当に移動したぞ!)

P「ってここ、どこだ……? っていうか、なんか暗い……?」スッ

ゴチン!

P「あいたっ! なんだ? 天井……?」

晶葉「その声は、助手か……?」イタタ

P「晶葉……あれ、お前これ、何で目の前に顔が……」

晶葉「……ど、どうやら私は助手の上に寝そべるようにしているようだ。それでおでことおでこがぶつかったんだりう」

P「そ、そうか……めちゃくちゃ顔近いな」

晶葉「じ、じろじろ見ないでくれ! 上に何かあるのか、身動きがとりづらいんだ……、っ」ムズムズ

P「へ、変に動くなよっ!」

晶葉「違っ、なんとか退こうとしているだけだ!」ムズムズ

P「…………」

P(なんでまたこう変な体勢でテレポーテーションしちまったんだよォ~ッ!)

まゆ(Pさん?)

P(ま、まゆッ! 俺は何もしてない! 何もしてないぞッ!?)

まゆ(そうじゃなくて、どこにいるんですか……?)

裕子「プロデューサーさーん! 他のみなさんも、ちゃんとテレポーテーション出来ましたか?」

幸子「ボクはここにいます!」ボスッ

裕子「ここ? ここってどこです? 暗くてよく……あうっ!」ドテッ

まゆ「今、照明のスイッチを探してますから」スタ、スタ……

まゆ(プロデューサーさん、みんなの声は聞こえましたか?)

P(ああ、みんな同じ部屋にはいるみたいだな。晶葉は俺のすぐ近くに居るよ)

晶葉「くっ、なんだこれは……重くて動かせない……」グググ

P「そういうときは……『Hotel Moonside』ッ!」

ズウゥゥン……

幸子「あ、あれ? これ、何か……」プカァッ

P「どうした! 幸子!」

幸子「う、浮いてます! なんですかこれ!?」

P「クソッ、敵かッ! 早く電気を付けてくれまゆ!」

まゆ「は、はい!」スタスタ

晶葉「お、おい助手! 私たちも一緒に浮かんだら意味がないんじゃないか!?」プカー

P「そ、そうか、そりゃそうだな!」

裕子「何がどうなってるんですか~?」

まゆ「……ありました!」パチッ

P「っ、敵はどこだ!?」クルッ

裕子「……?」キョロキョロ

まゆ「敵って……本当に居るんですか?」

P「あれっ?」

幸子「ちょっと! プロデューサーさん、これ無重力じゃないんですか!? ボクの座ってるソファが浮いてるんです!」

P「えっ?」

晶葉「なるほど、私たちはソファの下のわずかな隙間に居たわけか。人が座っているんじゃ動かないはずだ」

P「そういうことかよ……」

幸子「ちょ、ちょっと、早く止めてください! 天井が……!」

P「あ、悪い悪い! つっても、今解除したら床に叩きつけられてシャレにならんダメージが……」

裕子「だったら任せてください! ムムムム~ンッ!」

幸子「早くっ! 早く~っ!」

まゆ「……志希さんは居なさそうですね」ハァ

「あ、あの……まゆさん、ですか……?」ヒョコッ

まゆ「……?」スタスタ

東棟9階 Pルーム

P「あー、死ぬかと思った……」

晶葉「今回は運が良かっただけで、次は石の中にでも飛んでいきそうなテレポーテーションだったな」

裕子「おかしいですね……完璧なエスパーをマスターしたはずなのに」

幸子「テレポーテーション出来るだけでも凄いとは思いますよ」

P「そりゃそうなんだけどな。……っていうかここ、俺の部屋だな」

P(西棟1階から東棟の9階って、やっぱどう考えても凄いわユッコ……)

晶葉「見たところ誰も居ないようだか」

幸子「ハズレですかね。……そういえばまゆさんは?」

まゆ(こっちです)

P(こっち? というかみんなに聞こえるように言いなさい)

まゆ「こっちです、プロデューサーさんの机の下ですよ」

晶葉「誰か居るのか?」

まゆ「怖がらなくて大丈夫ですよ。ほら、出てきてください」スッ

森久保乃々(以下、乃々)「あぅ……ど、どうも……」

P「森久保! また机の下に隠れてたのか!」

乃々「そ、そうです……怖くて……」

P「部屋を真っ暗にして机の下に居る方が怖いと思う」

まゆ「違うんですよPさん。どうやら乃々ちゃん、志希さんに会ったみたいなんです」

P「なんだって!? ど、どこで!」

乃々「6階のフリールームを通りすぎようとしたら、中から出てきて……脳が、どうとか……なんとか……」

P「異能かッ!?」

乃々「は、はいっ!? そ、そうかもしれません……もりくぼは、違うって言われたんですけど……」

P「違う? 森久保は異能を持っていないのか?」

乃々「はい……何のことかよく分からないですけど……」

晶葉「だから見逃されたというわけか……」

P「……6階のフリールーム。こいつは本命と見ていいな」

裕子「私のサイキックパワーは正しかったんですね!」

幸子「いいえ、カワイイボクが幸運を運んで来たんです!」

P「ええいっ! んなもんどっちでもいい!」

まゆ「一番は乃々ちゃんのおかげ、ですね」

P「ああ、サンキューな森久保。これでこの事件も一気に解決だ!」

乃々「そ、そうですか……頑張ってください……」

P「あれ、一緒に行かないのか?」

乃々「えっ……む、むーりぃ……」モジモジ

晶葉「おい助手、無能力者を連れていっても────」

P「分かってるって、冗談だよ。森久保はここに居なさい、それが一番安全だ」

乃々「もとからそうするつもりですけど……」

P「よし、じゃあ早速6階に────」

バタン!

「ハーッハッハッハ!」

乃々「ひいっ!?」

P「ちっ、見計らったように出てきやがる!」

神崎蘭子(以下、蘭子)「月の女神に逆らいし者どもよ、我が魔翌力を以て葬り去らん!」ビシッ

P「何言ってるか全然分かんねえんだよ! 日本語喋れ!」

蘭子「あぅ、ひ、ひどいです……」

晶葉「今のは酷いな」

幸子「個性は否定したらダメなんですよ!」

P「わ、分かったよ……フン、ブリュンヒルデの魔翌力など、我が麗しの姫君(シンデレラ)たちの異能で打ち砕いてくれる!」

まゆ「蘭子ちゃんの真似をしろとは言っていないのでは……?」

P「いいんだよッ!」

蘭子「よかろう……往くぞッ!」



本物の魔翌力を手に入れた(!?)蘭子の異能、「華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~」の能力とは!?


↓2

蘭子「グリモワールッ!」スッ

P「そんなスケッチブックで何をする! 夢物語でも紡ぐつもりか?」

蘭子「否! グリモワールこそが我が魔力の根源! ……『華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~』ッ!」

P(長い名前だなぁ……)

ピカァァァァン!

蘭子「……見よ、これこそが我の真の姿。ブリュンヒルデとしての存在の現れ」バサアッ

乃々「ふ、服が一瞬で……」

裕子「サイキック衣装チェンジですね!」

晶葉「あのスケッチブックに書いてあるものと同じだな……分かるか、助手」

P「フン、ブリュンヒルデの魔力とは己を飾り立てるだけのものなのか? そんな虚飾には何の意味もない!」

蘭子「我が纏いし衣装には魔王の力も宿っている……断じて泡沫に消える偽りなどではない!」

P「では見せてみよ! 戦女神と魔王を騙る小娘がどれほどの力を秘めているのか!」

蘭子「ふっ、現れし我が宝具に刮目せよッ!」キュイイイイン!

幸子「す、スケッチブックから次々と武器が!」

晶葉「やはり、あのスケッチブックに書いた物を具現化する────」

P「正体見破ったぞ神崎蘭子(ブリュンヒルデ)! その力、自らがグリモワールに描きし魂を導くものなり!」

晶葉「……いいかげん、そのテンションは止めてくれ」

蘭子「ハーッハッハッハ! 褒めてあげるわ、姫君(シンデレラ)を従えし者。しかし我が魔力は看破されたところで輝きを失うことはない!」

P「ならばその宝具を携えて我に向かってくるか!」

蘭子「もちろ……んっ、ぐっ、あれっ、ちょっと……」グッ

P(重くて持てないのか……ハンマーとか槍とかゴツいのばっか出すから)

蘭子「ふ、フフ……ほっ、宝具など使わずともこの魔装に宿りし力のみで十分ッ!」

P「ほう……では我が『姫君』の力を少しだけ見せてやろう。『月』よ、歌を奏でろッ!」

P(「Hotel Moonside」!)スッ

ズウゥゥン……

蘭子「……! こ、これはっ……!?」フワァン

P「クハハハハ! 『月』の前にはいかなる抵抗も無意味! そして次が決着の一撃となる!」

蘭子「くっ……!」フワフワ

P「はああああっ!」ビシュッ

P(「おねだり Shall We ~?」!)

シーン

P「……あれ?」

ヒューン……

蘭子「ひゃうっ!」ドサッ

P「これは、まさか……!?」

晶葉「10時だ! コピーした異能がリセットされてしまったんだ!」

P「や、やっぱり……」

裕子「えっ? どういうことです?」

幸子「それはですね────」セツメイ

裕子「ええっ!? だ、大ピンチじゃないですか!」

晶葉「調子に乗っているからだぞ……!」

P「す、すいません……」

まゆ「大丈夫ですか? 合体しますか?」

幸子「事あるごとに合体を提案しないでください!」

蘭子「クク、ハーッハッハ! 姫君を従えていない主は翼の折れた天使も同然! 最早我が魔力の前に屈するのみ!」

P「コピーした異能が消えても俺にはまだ『お願い!シンデレラ』がある! もう手加減無しだからな!」

晶葉「おいっ、手加減していたのか!?」

P「あっいや、それは言葉のあやで……」

蘭子「ククク、力を隠していたのは我も同じ。我が魔力は『華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~』だけに非ず!」

P「何ッ!?」

P(ま、まさかまゆのように異能を二つ持っているのか……!?)

蘭子「これこそが我が最大の魔力にして神髄ッ! ……『LEGNE』ッ!」



ここからが本気の戦い(?)蘭子第二の異能、「-LEGNE- 仇なす剣 光の旋律」の能力とは!?


↓2

シュルルルッ

P(な、なんだ!? 蘭子の影が変化していくッ!?)

バサバサバサ……シュタッ

蘭子「我が影が作りししもべ、『LEGNE』……漆黒の翼は全てを呑み込みし暗黒」

影カラス「グァーッ!」

P「相変わらず何言ってるか分からんが……カラス一匹で俺を止められると思うか!?」タッタッタッ

蘭子「『一匹』……? 否ッ!!!」クイッ

バサバサバサ!

乃々「ひゃううっ!? か、カラスがたくさん……!?」ガタガタ

P「何ッ!? カラスを生み出せるのは自分の影からだけではないのかッ!」

幸子「ぼ、ボクたちの影もカラスに……!」

蘭子「往けッ! 『LEGNE』!」

影カラス「グァーッ!」バサバサバサ

P「くっ、この野郎!」バシッ

影カラス「グァッ……」シュウゥ……

P(! パンチ一発で消えた……?)

影カラスたち「グァーグアーガー!」バサバサバサッ!

P「ぐあああああっ!」

まゆ「Pさんっ!」ダッ

晶葉「待てまゆ! 今近づくとやられるぞ!」ガシッ

まゆ「でもっ……!」

裕子「わ、私のサイキックならこの距離からでも!」スッ

影カラス「グアーッ!」シュバババッ

乃々「ひいっ!? は、羽根が……」

蘭子「この戦いは我と姫君を従えし者との決闘……『瞳』持たざる者が介在するのは禁忌!」

影カラスたち「グアーッ、ガー……」バサバサバサ……

P「っ、参ったな……ここまで物理で押してくる相手は初めてだぜ……」ボロボロ

晶葉「助手……!」

蘭子「……やはりこの魔力には対抗出来ないようね」

P「そいつは、どうかな……何匹かはパンチ一発で消えるほど弱っちかったぞ」

P(もっともそれは強い個体も居るということ……影が関係しているのか)

蘭子「フッフッフ、我が『LEGNE』は仇なす者を討つための魔力……そして『魂ノ導』と『LEGNE』が合わさることによって我の真の力が目覚めるのだッ!」

P「何回真の姿だとか力だとかが出てくるんだよ……ッ」

蘭子「『華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~』ッ!」ピカァァァァァッ!

P「っ、眩しい……」

蘭子「『魂ノ導』の光によって影はその闇を更に深め、『LEGNE』はその魔力を高める……」

P(濃い影はより強いカラスを生み出すということか……!?)

蘭子「その『光の旋律』によって『LEGNE』は『仇なす剣』を持つ者になるッ!」

P「…………。?」

P(ヤバい、今度は何言ってるかマジで全然分からんッ……!)

影カラスたち「グァーッ!」ガシッガシッガシッ

P「こ、これはッ……!?」

晶葉「カラス一匹一匹が具現化された武器を拾った!」

幸子「あ、あれでプロデューサーさんを攻撃するつもりじゃ……」

まゆ「そんな……!?」

P「ちょっ、ちょっと待て蘭子ッ! それはマジに死んでしまうッ!」

蘭子「クックック、決闘とはすなわち互いの魂を懸ける戦い……その終焉は神々の黄昏ともに我を緋に染めるの」

P(お、俺を本気で殺すつもりってことかよッ! まずいッ! あのカラスどもを何とか消さなくてはいけない!)

P(その方法は分かる、光を完全に消せばいい! ……しかし、そのための手段はッ!? )

P(電気のスイッチはちょうど蘭子が立っている位置のすぐ左……そこまで近づけるのか!?)

P「いや、やるしかない……やらなきゃやられる……!」


選択肢(二つ正解)
1.一か八か特攻する
2.幸子! 「To my darling…」だッ!
3.サイキックテレポーテーション!
4.合体ッ!
5.森久保、ひっそりお願い!
6.土下座して負けを認める

↓2

正解!


P(正攻法じゃどう考えても無理だ……こうなったら!)

P「幸子! 『To my darling…』だッ! 異能をコピーさせてくれ!」

幸子「ええっ、ぼ、ボクですか!?」

P「頼む……!」

幸子「プロデューサーさん……フフーン! 分かりました、このカワイイボクにお任せです!」タッタッタッ

蘭子「従えし者自ら禁忌を犯すと……!?」

P「悪いがここで死ぬつもりは無いんでな! ……幸子!」ダキッ

幸子「プロデューサーさんっ!」ギュッ

蘭子「『LEGNE』! 禁忌を犯した者に血の断罪をッ!」スッ

影カラスたち「」バサッバサッバサッ

P(これは……重い武器を持っている分、動きが遅いのか!)

P「……10秒! よし、幸子カワイイ! 幸子カワイイ! 幸子カワイイ!」

幸子「こ、今度はどうしたんですか!?」

P「カワイイと褒めるほど幸運になるッ! 幸子ももっと自画自賛しろ! じゃないと……死ぬぞ」

幸子「! ぼ、ボクはカワイイ、ボクはカワイイ、ボクはカワイイ……」

P「そうだ! 幸子カワイイ! 幸子カワイイ 幸子カワイイカワイイカワイイ!」

影カラス「グアーーッ!」ビシュン!

P「や、槍がッ!」

P(ええい、ままよ!)ヒラッ

幸子「ボクは、死んでもカワイイ……?」

ビリリッ!

P「さ、幸子ッ! ……って」

幸子「な、ななっ……なんでスカートがきれいに破けるんですかーっ!」スルッ

P(や、やばい、チラどころかモロだっ、下半身パンツだけだーッ!)ギュッ

幸子「何でまた抱きつくんですかぁっ!」

P「隠すためだから! 隠すためだから!」ギュウッ

P(やはりさっきから何かおかしいような、ラッキースケベ的な事が起こりすぎなような……!?)

蘭子「あの、わざとじゃない、から……」カアアッ

P「しめたッ! 蘭子がちょっと申し訳なさそうに恥ずかしがってるッ!」

幸子「やけに説明口調ですね!?」

P「今しかないッ……行くぞ幸子ッ! パンツもカワイイ!」タッタッタッ

幸子「とか言いつつお尻から持ち上げないでくださいーーーっ!」

P「急いで移動するためだから! ……蘭子ッ! 光を消せば影は生まれないぜ!」

蘭子「! しまっ────」

パチッ! シュゥン……ガタンガラン!

蘭子「我がしもべ達が……!」

P(よし……カラスたちは消え、武器は床に落ちた!)

P「暗闇でも蘭子はすぐそこに居ると分かっているッ!」バッ

幸子「わっ!?」 ドサッ

ダキッ

蘭子「! 従えし者よ、我もそなたの軍門へ下そうというのか……!?」

P「ブリュンヒルデの魔力は我が貰い受ける! 堕天使は姫君となり、そして浄化を! (10秒だッ! 続いて解毒剤!)」

蘭子「それも、月の女神が決めし運命(さだめ)……なのか……」ゴクッ

パタリ

P「勝ったッ! ……幸子、もう電気付けていいぞ?」

幸子「むっ、無理に決まってます! まだぱっ、パンツだけなんですからねっ……!」

P「あ、そうか……」

まゆ「……Pさん?」スタッ

P「ヒッ! ま、まゆ、この暗闇でどうして俺の位置が……」

まゆ「何度も言ったじゃないですかぁ。『通じあってる』って……」スッ

P「結局こうなるのォーーーッ!?」


神崎蘭子「華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~」「-LEGNE- 仇なす剣 光の旋律
」────再起可能

続きはまた今度書きます


……

P「蘭子の異能は『自分で書いた物を具現化する』と『影をカラスに変化させて襲いかからせる』か……両方強力だな」

P(能力名が長いのが難点だが)

晶葉「紙とペンはすぐ出せるようにしておいた方がいいぞ」スッ

P「ああ。でも俺あんまり絵上手くないからなぁ……」

乃々「そ、そんな魔法使いみたいな力が、本当にあるんですね……」

P「森久保も今の戦いを見てただろ?」

乃々「そうですけど……まだ信じられません……だから」

P「だから?」

乃々「もりくぼはまた、机の下に隠れておきます……」スゥ

まゆ「いつも通りですね」

P「よし、それじゃあ行こうか。……そういえば幸子は?」

幸子「す、スカートの替えが無いんですっ! もう一緒にいけません!」ヒョコッ

乃々「もりくぼの定位置が取られちゃったんですけど……」

P「まったく、しょうがないなぁ」カキカキ

幸子「何をしてるんですか……?」

P「『華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~』ッ!」ピカァァァァァ

幸子「!」

P「ほら、これでいいだろ? 出てきなさい」

晶葉「幸子の服を描いたんだな」

幸子「は、はい、ありがとうございます。でもどうしてジャージ……?」

P「スカート上手く書けないから……」

幸子「あ、そうですか……ボクはジャージでもカワイイから、問題ないですけど!」

P「はいはい。じゃあ今度こそ出発だ」

裕子「はい! 私のサイキックテレポーテーションで────」

P「それは妙な位置に飛んだら面倒だから却下で」

裕子「あう……」

晶葉「助手、6階に行く前に一度私の部屋に戻ってしっかりと準備をしておいた方がいいかもしれない。おそらく次が最後の戦いだろうからな」

P「そうだな……」


選択肢
1.晶葉の言うとおりにする
2.いや、すぐにでも志希を倒しに行く!
3.その前に腹ごしらえだ!

↓2

P「晶葉の言うとおりにしよう。フリールームに行くのは準備を整えてからだ」

晶葉「うむ」

まゆ「それじゃあ乃々ちゃん、行ってきますね」

P「まあ大丈夫だとは思うが、ちゃんとじっとしてるんだぞ!」

森久保「は、はい……行ってらっしゃい……」

ガチャ……バタン

森久保「…………」スッ、チラッ

蘭子「」

森久保「うぅ……気絶してる蘭子さんと二人きりなんて、むーりぃ……」

森久保「じゃあやっぱり、プロデューサーさんたちと……」スタッ

森久保「でも……それもやっぱり、むーりぃ……無理くぼです……」ブツブツ

スタスタ……

幸子「部屋に戻って準備すると言ってましたけど、何か持っていく物でもあるんですか?」

P「……確かにな。ロボの修理とかするのか?」

晶葉「それもあると言えばあるが……やはり解毒剤の補充をしておきたい。精製は自動で行うようにしておいたからな」

P「んー、つってもまだ9個あるわけだし大丈夫なんじゃないか?」

晶葉「多く持っておくに越したことはない。ここまでは無かったが、敵が集団で襲ってくる可能性もあるんだ」

まゆ「事務所のアイドルのうち1割だけが異能力者になったとしても、9個じゃ全然足りませんものね」

P「でも、要は志希を倒してしまえばいいんだろ?」

晶葉「フリールームに志希が一人で居る可能性は限りなく低い! ……それに、志希が黒幕かどうかはまだ確定していないだろう」

P「まあ、そうか……」

裕子「任せてくださいムムムム……サイキックビジョンでフリールームの様子を……」ムムム

P「力みすぎてテレポーテーションするなよ」

晶葉「……それにだ、助手。一番は君のためだぞ」

P「え、俺?」

晶葉「これまで何人もの異能力者と戦って、感じていなくとも疲れは確実に溜まっているはずだ」

P「まあここまで勢いでなんとか乗り気って来たが、そう言われるとな……」グターッ

晶葉「まだ22時になってから5分ほど、異能がリセットされるまでは長い。……しっかり休むんだぞ」

P「晶葉……ああ、サンキューな。でも晶葉だって疲れてるだろ? 着いたら肩でも揉んでやろうか?」

晶葉「い、いいっ! 座ってゆっくりしていろ!」

P「そうか……残念」

まゆ「Pさんの肩はまゆが揉んであげますね♪」

P「おっ、そうか! じゃあ幸子には膝枕でも頼むかな~せっかくスカートじゃなくなったことだし」

幸子「なんでそうなるんですかっ!」

晶葉「……着いたぞ」スタッ

P「ああ、ここだったな。なんだかここを出発したのがずっと前に感じるよ」

裕子「私、初めて入ります!」

幸子「なんか、ドアが派手に壊れてるるんですが……」

P「まあ、ちょっとあってな……」

ギーッ、ガシャッ……

晶葉「……!?」タッタッタッ

P「な、なんだとッ!? 荒らされてやがる!」

まゆ「一目見るだけで、機械の類いは壊れてると分かりますね……」

P「それだけじゃない……ここで寝かせておいた智絵里と藍子も連れ去られてしまっているッ!」

裕子「えっ、二人がここに居たんですか?」

P「ああ。智絵里は晶葉がロボで捕まえて、藍子は俺が戦った最初の異能力者だったんだ。もちろん二人とも解毒剤は飲んだ」

まゆ「……つまり二人は無能力者だった。なのに連れ去られたんですか? 乃々ちゃんは見逃されたのに」

P「! 確かに、そうなるな」

幸子「目が覚めて帰っちゃったんじゃないですかねぇ?」

P(そうなのか? いや、それは希望的観測過ぎる……)

晶葉「……無い」

P「えっ?」

晶葉「精製されているはずの解毒剤が消えている……ここを荒らした何者かが奪ったんだ!」

「にゃーっはっはっは! そのとーり!」シュタッ

みく「黒幕からの刺客、再び参上だにゃ!」

P「みくッ! ……お前どっから出てきた!?」

みく「ネコチャンは神出鬼没なの! それよりPチャン、さっきの借りはここで返してあげるにゃ! なんたってみくには────」スッ

晶葉「解毒剤!」

みく「そう! これでPチャンやみんなを無能力者にしちゃえば、みくの完全な勝利なんだから!」

晶葉「人の部屋をこうも荒らしてくれた上に発明を勝手に持ち出すとは、許せん……!」

P「そうだぞ、やっていいことと悪いことの区別もつかないのか!」

まゆ「……この泥棒猫」

みく「うっ、うるさいにゃ! みくの新しい異能で、4人だろうが5人だろうがまとめて相手してやるにゃー!」

P(新しい力……第二の異能か!)

裕子「もしかしてみくちゃんとは以前にも戦闘を……?」

幸子「そういうことです」

P「みく、戦いを始める前に一つ聞くぞッ! ここの居たはずの智絵里と藍子もお前が、『黒幕』が連れていったのか!」

みく「さぁ~? それはどうなのかにゃあ~?」

P「……そうかよ。だったらお望み通り、ぶっ倒してから聞き出してやるよッ!」

みく「『ぶっ倒す』のはみくだよっ! 新しい異能……『ニャンと☆スペクタクル』!」


もはや人としての尊厳も失った泥棒猫(?)みく第二の異能、「ニャンと☆スペクタクル」の能力とは!?


↓2

みく「えいっ!」

ニャニャニャニャニャニャ!

P「な、なんだッ!? 頭に何か違和感が……!」

まゆ「Pさん、頭にネコミミが!」

P「何ッ!? そういうまゆこそ!」

晶葉「全員だ! みくを含めてこの場にいる全員、頭にネコミミを装着されたっ!」

みく「『ニャンと☆スペクタクル』は問答無用で相手にネコミミを着けちゃう能力! もちろん何人でも可!」

P「なんだ、このネコミミ……いったい何をしてくるッ……!?」

みく「……? かわいいでしょ?」

P「……は?」

まゆ「みくちゃん、相手を猫にする異能も持ってましたよね……?」

みく「『おねだり Shall We ~?』は一人ずつしか狙いを付けられないし、避けられちゃうこともあるしで使いづらいモン」

P「いやだから、ネコミミ付けるだけの異能でどうやって俺を倒すんだ……?」

みく「……げ、解毒剤!」

P「させるかッ!」バシッ

みく「ふにゃぁーっ!? と、取られちゃった……」

P「みくちゃんよォ~、ネコに傾倒するあまり頭の中までネコレベルに退化しちゃったんじゃないんですかァ~?」

みく「なっ、なんてこと言うんだにゃ! それにネコチャンは賢いもん!」

晶葉「……まあいい。さっさと決着を着けてくれ助手」

P「そうだな、別にどうやっても倒せるが……」

みく「それはどうかにゃ……!?」


選択肢(全部正解です)
1.速攻抱きついて異能をコピー
2.みくもカワイイ! みくもカワイイ!
3.合体して倒すのがお約束!
4.晶葉、恨みを込めてやってしまえ!
5.裕子、サイキックでネコキャラを封じててくれない?
6.せっかくだし蘭子の異能を使ってみる
7.あえて負けを認める


↓2

正解!


P「まあ、まどろっこしいことなんかせずこれが一番だよなッ!」タッタッタッ

みく「! 『おねだり Shall ────」

P「ネコのすばしっこさはこんなもんかァ!?」ダキッ

みく「速いっ!?」

晶葉「最初に比べて抱きつくまでの速度は実際上がっているな……」


P「このまま異能をコピーさせてもらうッ!」ギュウッ

P(……しかし、こうして密着するとやはり胸の膨らみがッ……!)

まゆ(Pさん?)

P(ハッ! ち、違う、あくまで異能をコピーするためだ!)

P「じゅ、10秒! 続いて解毒剤!」スッ

みく「み、みくはまだ負けるわけにはいかないんだにゃあーっ! 絶対飲まない!」ンググ

P「絶対飲ませるッ!」ゴリゴリ

みく「んんんん!」ングググ

P「ええい鬱陶しい! 『おねだり Shall We ~?』ッ!」ギュイイイイン

みく「!?」

みく(猫)「ニャニャ!? ニャーニャーニャー!」

P「本物の猫になれて良かったですね~」

みく「ニャッ! ニャーッニャッニャッ!」シュタッ

P「んん~? 小さくなったかた逃げられるって? 無理だね! みんな出せッ!」

晶葉・幸子・まゆ「」スススッ

裕子「な、なんですかそれ!?」

P「必殺! マタタビ乱れ投げ~ッ!」シュバババババ

みく「!!!!」

P「あのときみくがぶちまけたのをしっかり回収しておいたのさ……自分の技で苦しむんだな!」

みく「にゃーっ、にゃにゃーん!」ゴロゴロゴロ

P「解毒剤ッ!」スッ

みく「!!!」ゴロン

P「ふぅ、しつこい相手だったぜ」

晶葉「自分の技で倒されるとは、哀れだな……」

まゆ「因果応報ですね」

P(「ニャンと☆スペクタクル」はともかく、これでまた強力な「おねだり Shall We~?」も使える……猫合体も出来る!?)

みく「…………」

裕子「みくネコさん、かわいいですね!」サスサス

幸子「そうですねぇ……まあ、ボクの方がカワイイですけど!」ナデナデ

P「こらこら、離れなさい。そろそろ元に戻すから」スッ

みく(人間)「み、みくは……自分を曲げない、諦めないっ!」スタッ

P「何ッ!? 気絶していないッ!?」

晶葉「助手っ、また逃げられるぞ!」

P「あ、ああ────」

みく「ネコチャンは逃げ足も速いんだにゃああああああっ!」ヒョイッ、シュタタタタタタタッ

P「ま、マジで速い!?」

幸子「また逃げられましたけど!?」

まゆ「……逃げ足『だけ』は速いですね」

P「……晶葉、みくが持ってた解毒剤のビンは!?」

晶葉「……! しまった、持っていかれた!」

P「あの泥棒猫、手も早いじゃねーか……!」

続きはまた今度書きます

P「しかしどういうことだ……解毒剤を飲ませたのになぜ気絶しなかったんだ!?」

晶葉「解毒剤は体に少し負荷がかかると言っただけで、必ず気絶するとは言っていない。……私も油断していたが」

幸子「飲ませたときみくさんは猫になってましたから、そのせいじゃないですか?」

晶葉「可能性はある」

まゆ「それより、早く追いかけた方がいいんじゃないでしょうか」

晶葉「ああ、アレが敵に渡ればこちらは不利になるのは確実だ」

裕子「まだ間に合います! サイキックテレポーテーションで追いかけましょう!」

P「…………」

P(今から追い付こうと思ったら多少無理をすることになるし、おそらくそのまま志希や他の敵とも戦闘になる)

P(解毒剤が敵に渡るのは厄介だが、ここは追いかけず準備を整えた方がいいのかもしれない……)

晶葉「助手、どうした?」


選択肢
1.追いかける
2.追いかけない


↓2

P「いや、なんでもない。追いかけよう!」

裕子「分かりました! みなさん、輪になって手を繋いでください!」

晶葉「……テレポーテーションでいいのか?」ギュッ

P「チンタラ走ってたんじゃ追いつけないからな。ユッコ、6階フリールームの入り口だ」ギュッ

裕子「任せてください!」ムムム

P「頼むから正確に、正確にな……」

裕子「大丈夫です、サイキックは常に進化していますから……」ムムムム

幸子「信じますからね!?」

裕子「行きますよ~、サイキック……テレポーテーションっ!」

ピシュン!

6階

みく「はあっ、はあっ……逃げ切れたみたいだにゃ……」スタッ

P「誰から逃げ切れたって?」

みく「にゃにゃにゃにゃにゃ!?」ビクッ

裕子「サイキックテレポーテーション、大大大成功です!」

みく「テレポーテーション!? もうなんでもありかにゃ!?」

晶葉「解毒剤を返してもらおうか!」

P「ついでに『黒幕』の正体も吐いてもらうぜ!」

みく「うう~っ、『おねだり Shall We ~?』!」

シーン

P「ついさっき解毒剤を飲まされたのも忘れちまったのかッ!」タッタッタッ

みく「ハッ! そうだったにゃ!」

P「『LEGNE』ッ! 解毒剤を奪え!」

みく「っ!? み、みくの影が!?」

バシッ、コロンコロン……

晶葉「確かに返してもらったぞ」スッ

みく「そ、そんな……」

P「さて、今度は『黒幕』の正体を聞かせてもらおうか」

みく「うぐぐ……」

まゆ(Pさん、ちょっと待ってください)

P(まゆ? どうしたんだ、っていうかなんで脳内?)

まゆ(とにかく聞いてください。志希ちゃんの部屋にあったのは「異能力者になったアイドルを支配下に置く薬」でしたよね?)

P(ああ、そうだな)

まゆ(みくちゃんは解毒剤を飲んで、確実に無能力者になりました。なのにまだ、元のみくちゃんに戻っていないんですよ?)

P(……!)

P(「黒幕」は志希ではない、そしてみくの意識は「黒幕」が直接支配しているのか……!?)

みく「……っ!?」パタッ

P「みく!?」

幸子「突然倒れちゃいましたよ!?」

バタン! シュルルルルル!

P「!?」

P(「何か」がみくをグルグル巻きにしたッ!?)

ズルズルズル!

裕子「みくちゃんがフリールームの中に……!」

「さあ、プロデューサー。キミの欲しがる『真実』はこの先にある、知りたければ足を踏み入れるがいい」

キィーッ……

P「…………」

晶葉「どうやら、行くしか無さそうだな」

P「ああ、ここまで来たら引き返せるかよ。お望み通り、足を踏み入れてやるッ!」

「それでこそボクのプロデューサーだ。ようこそ、歓迎するよ……」

スタ、スタスタ……バタン

P「……!」

二宮飛鳥(以下、飛鳥)「やあ。……驚いたかい? ここはキミが見知ったセカイでも、予測していたセカイでもない……ボクのセカイだ」

幸子「フリールームって、こんな雰囲気でしたっけ……?」

P「こんな痛々しいルームにした覚えはない。勝手に改装しやがったな」

飛鳥「フフ……ボクがそう願った訳じゃない。『そうなって』しまったんだ……理解るだろう?」

P「分かるかいッ!」

晶葉「……志希の姿が見えない」

まゆ「部屋に引きずり込まれたはずのみくちゃんも……」

飛鳥「彼女達は『この先』に居るよ。もっともボクは、キミ達をそこへ辿り着かせないために今存在しているんだがね」

P「ようするに飛鳥を倒さなきゃ先に進めないってことだろう!」

P(でも、「この先」っていったいどういう……?)

飛鳥「その通りさ。……笑えるだろう? 中二病を患ってるただの痛い奴だったはずのボクが、本物の異能に覚醒めてしまったんだよ」

P「…………」

飛鳥「そしてまんまと意識を操られ、傀儡としてキミと踊るのさ……醜い戯曲をね」

P「……ああ、なんて酷いストーリーだろうな。こんな茶番はとっとと終わらせるに限る!」

飛鳥「行くよ。……『共鳴世界の存在論』」



いよいよ敵の本陣へ(!?)飛鳥の異能、「共鳴世界の存在論」の能力とは!?


↓2

シュルルルルッ……

P「腕に巻いたその包帯、新しいファッションかと思ったら異能で操るための物だったんだなッ!」

飛鳥「そういうのは蘭子の性分でボクのそれではない。しかしまあ、これも与えられた異能、なんでねっ!」シュルル!

P「だったらその蘭子の異能で相手してらァ! 『LEGNE』ッ!」シュイイン!

影カラス「グァーッ!」ビリイッ

飛鳥「ほう……影、か。いかにも蘭子が好みそうだ」

シュルルルル!

まゆ「Pさんっ! 後ろです!」

P「何ッ!? 『包帯』が本体に巻かれている必要はないのかッ!」スッ

影カラス「グァーッ……ッ」シュウゥン……

P「貫かれた!?」

飛鳥「思ったよりも脆い生き物だね。『存在論』の物理的なパワーは強くない方だと思っていたんだが」

P(黒を基調とし、全体が薄暗いこの部屋では映し出される影も薄い……『LEGNE』も必然的に弱くなってしまう)

P(ならば、影を映し出す光を強くするのみ!)カキカキ

飛鳥「はははっ、ボクを無視していきなりペンを走らせるか。面白い」

P「そいつはどうも……クソ、中々上手く書けない」カキカキカキ

飛鳥「……だけどプロデューサー、ボクはキミが何かするのを待ってはあげられないんだ。……ッ!」シュルルルル

晶葉「助手! その異能は隙が大きすぎるぞ!」

P「分かっている! ……ギリギリセーフ、『華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~』ッ!」

ピカァァァァァッ!

飛鳥「っ、この光は……」

ビリイッ!

影カラス「グアーッ!」

P「この『LEGNE』はさっきと一味違うぜ?」

飛鳥「……後ろにあるスポットライト、それも蘭子の異能かい?」

P「その通り。『華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~』は自身が描いた物を具現化する異能ッ!」

飛鳥「二つも力が覚醒めるなんて、さすがは蘭子と言ったところか。描いた物を具現化する異能なんて、彼女はさぞ喜んだだろう」

P「ああ、ハイテンションでカッコいい武器とか色々出してたよ。自分じゃ扱えなかったけどな」

飛鳥「……だったらキミは、ボクを操るこの糸を切るハサミでも具現化するのかい?」

P「あいにく画力が無いんでな、そう上手くはいかないんだよ」

飛鳥「そうか、残念だな。……そのカラスは影から生まれ、影は光が強ければ強いほど濃く映し出される。簡単な仕掛けだね」シュルルルルッ!

P「このライトを狙うかッ! だが非力な異能で壊せるかな!?」

飛鳥「壊す必要はない。光を無くせばいいんだろう?」

シュルルルルッ……

P(そうかッ! 包帯で光を遮りさえすれば影は薄れる!)

P「しかしッ! 『LEGNE』は一体だけじゃあないぜ!」シュイイン!

飛鳥「! ボクの影も操るか」

P「みんなの影も使わせてもらうぞ! 『LEGNE』たちッ! 伸びてくる包帯をビリビリに破くんだ!」

影カラスたち「グアーッ! グァーツ!」バサッバサッバサッ

ビリッ、ビリビリビリ……

飛鳥「やれやれ、多勢に無勢だね」

P「さて、追い詰めたぞ飛鳥!」

影カラスたち「グァーッ、グァーッ」バサバサバサ

P(……なんだ? 何か違和感がある……カラスの強さ? 大きさ? 数……数!)

P「こ、これは……『LEGNE』がなぜ『7羽』居るんだッ!?」

飛鳥「…………」

裕子「ええっと、本当は何羽居るのが正しいんですか?」

幸子「ボクと、プロデューサーさんと、まゆさんと、晶葉さんと────」

晶葉「私たちが5人、加えて飛鳥がいる。だから『6羽』が正しいはずだ」

P「俺たちが認識してない『誰か』の影が一つ混じっている……!」

飛鳥「気づいたか。……教えてあげるよ。『誰か』じゃない、『前川みく』さ。キミたちのすぐ近くに居るじゃないか」

幸子「えっ……? ど、どこにですか?」キョロキョロ

P(すぐ近くだと……?)

シュルルルル……

P「!」

幸子「み、みくさん……!」スタッ

P「ミイラのようにグルグル巻きにされていたのかッ!」

P(部屋の雰囲気に馴染んでいてまったく気がつかなかった……)

幸子「みくさん、みくさん! 大丈夫ですか!」



まゆ「大丈夫です、気を失っているだけみたいですから」



P「……あれ?」

飛鳥「……フフ、理解るかいプロデューサー?」

P(まただ……! また違和感がある! しかし今度は何もおかしくはない、みくはそこにちゃんと居る! なのに、確かに、何かがおかしいッ!)

P「みくッ!」



P「……みく? みく!」



P「…………!」

P(で、出てない! 『みく「…………」グッタリ』みたいなのが、まったく出ていないんだッ!)

飛鳥「理解したみたいだね。そう、彼女はこの『セカイ』から『追放』されたのさ」

P「つ、追放だと……!?」

飛鳥「存在はそこにある。ボクたちはそれを認識することも出来る。だが、このセカイで彼女は二度とそれを証明することは出来ないんだ」

P「…………???」

飛鳥「疑問符が3つも浮かんでいるじゃないか。感覚では理解っていても、言葉を聞いて理解するのは難解だったかい?」

P「あ、飛鳥……お前の『共鳴世界の存在論』は、いったいどんな異能だっていうんだ!」

飛鳥「知りたいかい? ボクの異能の正体を……渇望するほどに、敵であるボクへ素直に尋ねるほどに」

P「ああ……知りたいねッ!」

飛鳥「……フフ、だったら、キミの一番大切な人で教えてあげるよ」

P「!」

P(床に散らばっている包帯の破片一つ一つが伸びていくッ!?)

シュルルルル!

裕子「きゃっ!」バシッ

幸子「はうっ!?」バシッ

P「幸子っ、ユッコ! クソッ────」

シュルルルル、ギュウッ!

P「!!」バタッ

P(両手両足が拘束された!? 動けないッ……!)

飛鳥「包帯をビリビリに破いたのは失敗だったね。決定的にボクを優位にしてしまった」

P「クソッ、『LEGNE』────」

バリィン!

P(スポットライトが! 壊そうと思えば壊せたのかッ!)

飛鳥「照明さえ消せば、ただのカラスだ」

シュルルルル……バスッ! バスッバスッ!

影カラスたち「グァー……グア……」シュウウッ……

P「クソッ!」

飛鳥「さあ、『正体』をその目で確かめるといい」

シュルルルル!

まゆ「きゃああっ!」バタッ

P「まゆ!」

……ギュウウッ

晶葉「くっ、このっ……!」

P「……晶葉ッ!?」

飛鳥「そう……彼女さ」

グルグルグルグル!

晶葉「────!」

P(晶葉は全身が包帯でグルグル巻きにされ、まったく身動きがとれない!)

P「やめろ飛鳥ッ! その異能を使うなら俺に使えッ!」

飛鳥「正体を知りたいと言ったのはキミじゃないか。……ほら、もう彼女は『追放』された」

シュルルルル……ドサッ

P「晶葉ーーっ!」ジタバタ



P「……!」

P(ま、まただ……みくと同じ!)

裕子「晶葉ちゃんっ、大丈夫ですか!?」



裕子「晶葉ちゃん……?」

P(晶葉は気絶していない……少し痛いような素振りを見せているが、普段の晶葉だ)

P(なのに────)

P「なのにどうして何も言わないんだ、晶葉……! 声を聞かせてくれっ!!」



P「っ……!」

飛鳥「それは出来ないな。彼女はもう声を失ったんだ」

P「な、に……!」



飛鳥「ハハハ、あまり表情を崩さない彼女もさすがに驚きを隠せないようだね」

P「『声を奪う』……それが『正体』か!」

飛鳥「そうだ、とも言えるし、違う、とも言える。ボクたちにとっては『声を奪う』以上のことは観測出来ない」

P「『ボクたちは』、だとッ!?」

飛鳥「だが、この醜い戯曲を楽しんでいる者……彼らはもう、彼女の存在を観測出来ないんだ」



飛鳥「こうして彼女が疑問符を浮かべながらボクの言葉の意味を考えている姿も、彼らに見ることは出来ないのさ……」

P(何を宣っているか分からんが……晶葉が声を奪われたのは、事実)

P「……すぅー、はぁーっ。スゥーーーッ……ハァーッ」

飛鳥「どうしたんだい? まさか、怒ってるんじゃないだろうな?」

P「怒ってるさ……はらわたが煮えくり返りそうなのを何とか静めてるんだよ」

飛鳥「怒ってるというのは変だな。ボクはキミの望むことをしてあげたんだよ?」

P「……本気で言ってるのか?」

飛鳥「……冗談さ。晶葉がああなってしまって、ボクに対する怒りが止まらないんだろう」

P「違うぞ、飛鳥……俺は自分に腹が立ってるんだよ。どうしようもなく迂闊で、馬鹿な自分にな……」

飛鳥「自己批判、か。だったら、キミのすることは一つの筈だ」

P「ああ。……飛鳥、お前を倒す!」

飛鳥「そう、キミにはボクを倒す役という役目がある。そしてボクには、キミを倒すという役目がある」スッ

ギュウウッ!

P「ぐっ……!」

飛鳥「動けないだろう。キミの存在も『追放』してあげるよ……!」



P「そんな顔をするなよ、晶葉っ……すぐに飛鳥を倒し、異能をコピーして元に戻してやるからさ……!」


選択肢(一つだけ正解)
1.「おねだり Shall We ~?」ッ!
2.「おねだり Shall We ~?」+「マイ・スイート・ハネムーン」ッ!
3.「おねだり Shall We ~?」+「-LEGNE- 仇なす剣 光の旋律 」ッ!


↓2

ハズレ


P「まゆ! あれをやるぞッ!」

まゆ「…………」

P「まゆ、聞いているのかッ!? 合体だ!」

まゆ「あ……は、はいっ!」

まゆ(Pさん……)

飛鳥「合体……?」

P「『おねだり Shall We ~?』ッ!」ビビビビビビ

飛鳥「! キミは仲間を攻撃するのか……!?」

まゆ(猫)「ニャーニャーニャー」
まゆ『また猫になっちゃいましたにゃ~♪』

裕子「まゆちゃんを猫に!?」

幸子「本当に驚くのはここからですよ……」

飛鳥「おいおい、仲間を猫にしてどうするつもりだい?」

P「どうするって? 合体だよッ! まゆ、『一つになる』ぞ!」

まゆ「ニャーッ!」
まゆ『一つになる……分かりましたにゃん♪』

シュタッ……ピカァァァァァッ!

飛鳥「!?」

P(まゆ)「よっしゃ! 合体猫人間再び誕生ですにゃっ!」

裕子「……えっ、えええええええっ!?」

P(まゆ)「こんな包帯なんて……!」ビリッ、バシッ

飛鳥「は、はは、は……これは、驚いたな……」

P(よし、飛鳥がうろたえてる内にケリを着けるぞまゆ!)

まゆ(…………)

P(まゆ……?)

P(まゆ)「行くぞ飛鳥……あうっ!?」ズルッ、ステーン!

P(なんだ? 身体が思ったように動かない!?)

まゆ(…………)

P(まゆッ! 心も一つにするんだ! シンクロしろ!)

まゆ(Pさんにとっての一番は……まゆじゃないんですね)

P(は……!? 何を言ってるんだよ!)

まゆ(飛鳥ちゃんはPさんの大切な人で異能の正体を見せると言っていました。そしてそれは……晶葉ちゃんだった)

P(それは飛鳥が勝手にそう判断しただけだ!)

まゆ(じゃあ今言ってください! まゆが一番、大切だって……)

P(ああもう、今はそんなことやってる場合じゃないだろう!?)

P(まゆ)「…………」

裕子「どうしたちゃったんでしょう……転んだまま動かないですよ?」

幸子「そうですね……プロデューサーさ、いやまゆさん? じゃなくて、プロまゆさん?」

飛鳥「合体の次は死んだフリでもしているのかい?」

シュルルルルッ……ギュウッ!

P(まゆ)「!」

飛鳥「おや、違ったようだね。ならこのまま『追放』するとしよう」

P(まゆ、今は飛鳥を倒すんだ! 話は後ッ!)

まゆ(ごめんなさい……本当に、ごめんなさい。今は、一緒に戦えないです……)

P(なんだって……!?)

グルグルグルグル!

P(まずいッ! クソッ……じゃあ「解除」するぞ!)

まゆ(……はい。「解除」!)

ピカァァァァァッ!

ドサッ、ドサッ

P「っ、拘束からは逃れたか」スタッ

飛鳥「元に戻ったか。しかし一体、キミ達は何のために合体したんだ?」

P「ホントならもうケリは着いてたんだがな……」

まゆ「ごめんなさい……プロデューサーさん」

P「いや、いいよ。俺一人でなんとかするさ。飛鳥の異能を喰らわないように下がっているんだ」

まゆ「……はい」スタスタ

P(あれ……まゆの心の声が聞こえない。……指輪も無くなっている!)

飛鳥「さあ、今度こそ終わらせよう。これ以上ボク達に言葉は要らない」


※「マイ・スイート・ハネムーン」による婚姻が解除されました


選択肢(一つだけ正解)
1.「おねだり Shall We ~?」ッ!
2.「おねだり Shall We ~?」+「-LEGNE- 仇なす剣 光の旋律 」ッ!

↓2

正解!


P「ああ、これ以上の茶番は勘弁だ! ……『おねだり Shall ────」

飛鳥「猫にする異能は使わせないよ!」シュルルルル

影カラス「グァーッ!」バサッバサッ

飛鳥「っ、二つの異能を同時に繰り出すか……!」

P「猫にするのは『影』だッ! 『おねだり Shall We ~?』ッ!」ビィィィッ!

影ネコ「ニャーッ!」シュバババッ

飛鳥「それが、どうしたと……!」シュルルルル!

影ネコ「ニャニャッ!」シュタッ、シュタッ

P「猫は素早いんだぜ。そして『LEGNE』は一体では無いッ!」スッ

影カラスたち「グァーッ!」バサッバサッ

飛鳥「っ……!」シュルルルル!

バシッ、バシッ、シュウゥゥ……

飛鳥「ふぅ、やはり強さは大したこと無いようだ」

P「ああ。だが光ある限り、影は消えないッ!」シュイイン

影カラスたち「グァーッ! ガァー!」

飛鳥「まったく、鬱陶しい……!」

P「『おねだり Shall We ~?』ッ! 『LEGNE』たち、空と陸でかき回せ! 」

影ネコたち「ニャーッ!ニャニャー!」シュタタタッ

影カラスたち「グァーッ! ガァー!」バサッバサッ

P「どうだ、ゴミ捨て場を荒らす動物コンビの威力はッ! 」

飛鳥「このっ、ボクにまとわりつく影め……!」

P「トドメだッ! 『ニャンと☆スペクタクル』ッ!」

飛鳥「!」グルグルグルグル

ニャーッ!

P「包帯を防御に回したか。しかし無駄だぜ、この異能は『問答無用』だ。いかなる防御も意味はない」

飛鳥「なんだと……しかし、ボクは何もされていないぞ」

P「頭をちょこちょこっと触ってみるんだな」

飛鳥「……、これは?」

P「それはただのネ・コ・ミ・ミ。トドメだなんて嘘だよ~ッ!」タッタッタッ

飛鳥「くっ、キミはどこまでも────」

ダキッ!

P「今度こそトドメ、だ。醜い戯曲の終幕だよ」ギュウッ

飛鳥「ふっ……最後が抱擁とは、この戯曲はどうやら凡庸なハッピーエンドのようだ」

P「いいじゃないか、救いようの無い最高のバッドエンドより、ご都合主義で最低なハッピーエンドの方が俺は好きだね」

飛鳥「……キミらしい言葉だ」

P「10秒! 続いて解毒剤ッ!」スッ

飛鳥「やれやれ、これでやっと糸が切れる、か……」

ゴクッ……パタッ

P「……晶葉! 今声を元に戻────」

晶葉「……」コホンッ

P「晶葉!?」

晶葉「本体が気絶して能力が解除されたんだ。もう何とも無い」

P「そうか、よかった……」ホッ

晶葉「…………。ありがとう、プロデューサー」ボソッ

P「えっ、なんだって?」

晶葉「なっ!? ……知らん、なんでもない!」

P「あーウソウソ! どういたしまして!」


二宮飛鳥「共鳴世界の存在論」────再起可能

PM10:25

P「まゆ、俺はもちろんまゆの事も大切だ。でも晶葉だって他のみんなだって大切で、誰が一番とか、そういうのは無いんだ。……分かってくれるか?」

まゆ「はい……まゆだって本当は分かってます。さっきは問い詰めてしまって、ごめんなさい……」

P「うん。じゃあ、結婚しようか」

まゆ「!」

幸子「えっ!?」

晶葉「な……」

裕子「ええっ!?」

まゆ「いいんですか……?」

P「『マイ・スイート・ハネムーン』があればこの先心強いからさ……そういう意味でいいなら」

まゆ「えいっ♪」ギュッ

P「おおっ!? い、いいんだな?」

まゆ「Pさんも抱き締めてください。でないと、『マイ・スイート・ハネムーン』は発動しませんよ?」

P「お、おう。じゃあ遠慮なく……」ギュウッ

裕子「お、おめでとうございます……でいいんです?」

幸子「まあ、いいんじゃないですかねぇ?」

晶葉「…………」

P「よし、10秒! サンキューな、まゆ!」

まゆ「死がふたりを分かつまで、ずっと一緒です」

P「ははは、結婚式か? じゃあ誓いのキスでも────」

チュッ

まゆ「はい、します♪」

P「冗談だったのに……」

晶葉「……もういいか、助手?」

P「ん、ああ、先へ進もう。つってもこの部屋に先なんて無いはずなんだが……」

裕子「もしや、あの扉では?」

P「『運命の扉』か。開けても何も無いはずの扉だが……他に目ぼしい物も無いしな」

幸子「開けてみるだけならタダです!」タッタッタッ

P「ちょっ、おい幸子────」

ガチャ、ピカァァァァァッ!

幸子「眩しいっ! ……けど、先に部屋があるみたいですよ?」

晶葉「当たりのようだな」

P「よし、じゃあ先へ進むとしよう」

まゆ「あっ、ちょっと待ってください。みくちゃんはどうしますか?」

みく「」

P「あー、まだ気絶してるのか。面倒だけど、起きたら聞きたいこともあるし連れて行こう」

晶葉「そうなると、助手が背負って行くしかなくなるが……大丈夫か?」

P「それならいい方法があるよ。『おねだり Shall We ~?』!」ビイイイイイイッ

みく(猫)「」

裕子「なるほど、ネコさんにすれば連れて行くのも簡単ですね!」

P「そういうこと。じゃ、ユッコよろしく」

裕子「えっ、私ですかぁ!?」

キィーッ、スタスタスタ……

???

P(運命の扉の先には短い通路があり、その奥にどこかの部屋へと続いているだろう扉があった)

P「『Hotel Moonside』のときのような異空間なのか……?」スタッ

晶葉「おそらくはな。……この先に志希が居るはずだ」

まゆ「いよいよ、ですね」

P「ああ。……時に、ユッコ」

裕子「なんですか?」

P「最後の戦いに挑む前に、少し抱き締めていいか?」

裕子「えっ……?」

P「ちょっとだけ、ほんのちょっとだけだ。それでユッコが異能力者かどうか分かる」

裕子「わ、私は異能力者じゃなくてエスパーですから!」

P「大浴場で何かされたのがずっと気になってたんだよッ! 抱き締めれば分かるんだから!」

裕子「ええっ、で、でも恥ずかしいですしっ……プロデューサーさん、結婚してるじゃないですか!」

P「今なら、10秒だけなら大丈夫さ……な、まゆ?」

まゆ「別に怒ったりしないですよぉ」

P(「エヴリデイドリーム」は使うけど、っていうのは勘弁してね)

まゆ(使いません!)

裕子「それなら……優しくしてくださいね」

P「遠慮なく」ギュッ

P「…………」パッ

裕子「ど、どうですか?」

P「……やっぱりユッコも異能力者だったよ」

裕子「そ、そんな……じゃあ本物のサイキックパワーだと思っていたのは、異能の力だったんですね……」ショボン

P「いや、あながちそうとは言えんのだが……」

裕子「本当ですか!?」バッ

晶葉「助手、裕子の異能はどんな能力だったんだ?」

P「……言いづらい」

まゆ「Pさん♪」

P「はいはいッ! 『対処の理性を弱めたあとラッキースケベ体質にする』、それが『ミラクルテレパシー』の能力!」

P(しかも、能力を持つ俺自身にも解除出来ない永続能力!)

まゆ「ラッキー、スケベ?」

晶葉「……そういえば」

幸子「何か、そんなことがあったような気が……」

裕子「ラッキースケベ、ってどんなラッキーなんです?」

P「……さすがに冗談だろ?」

P(にしても、これでかなりの数の異能をコピーしたな……全部でいくつだ?)

能力名:「To my darling…」
能力:カワイイと褒めるほど幸運になる

能力名:「華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~」
能力:自身が描いたものを具現化する

能力名:「-LEGNE- 仇なす剣 光の旋律」
能力:影をカラスに変化させて襲いかからせる(影が濃いほど強力に)

能力名:「おねだり Shall We ~?」
能力:相手を猫にする

能力名:「ニャンと☆スペクタクル」
能力:相手にネコミミを付ける

能力名:「共鳴世界の存在論」
能力:包帯を操り包んだ相手の声を奪うことで世界(ss)から追放する

能力名:「エヴリデイドリーム」
能力:Pの戦意を完全に喪失させる

能力名:「マイ・スイート・ハネムーン」
能力:10秒以上抱き合うことでPと一つになる

能力名:「ミラクルテレパシー」
能力:対象の理性を弱めたあとラッキースケベ体質にする(永続)


P(全部で9つ、これだけあれば複数人で来られてもなんとかなりそうだ。一つ二つ役に立たん異能も混じってはいるが……)

P(っていうか、「共鳴世界の存在論」の世界から追放するって結局どういうことなんだ? ss……?)


幸子「……というようなことです」

裕子「な、なるほど、そういうのをラッキースケベと言うんですね」

まゆ「でもそれが異能ってことは、テレポーテーションは裕子ちゃんが自力でやってるってことですよね?」

裕子「はいっ! やっぱり私、本物のエスパーだったんですね!」

晶葉「……信じられないが、そうなんだろう」

P「じゃあ裕子がモノホンのエスパーと分かったところで、そろそろ……行くか」

「ああ」「はい」「はいっ!」「はぁい」

P「…………」スッ

ガチャ、キィーッ……

続きはまた今度書きます
「おねだり Shall We ~?」は着ている服も猫仕様にするということで……

モワワァ~ン

P「うわっ、なんだこりゃ!?」

晶葉「霧状の……アロマ、だな。大量のディフューザーが置いてあるようだ」

まゆ「なんというか、いい香りなんですけど……濃いですね」

幸子「……へくしゅっ! へくしゅ!」ズルズル

裕子「大丈夫ですか? 幸子ちゃん」

幸子「くしゅっ! こっ、この香り、何か、だ、くしゅっ! ダメかもしれませんっ!」

晶葉「マスクを着けるか? といっても防毒マスクだが」スッ

幸子「あ、はい……くしゅっ! ありがとうございます」シュコー

「にゃはは、とうとう見つかっちゃったね~」スタスタスタ

P「志希ッ!」

志希「すごいねキミ、数々の異能力者相手にここまで連戦連勝、負け無しじゃん!」

P「いや、まあ……うん。一応な」

P(まゆには完全に負けてたけど……)

晶葉「志希! 今回の事は全て君が起こしたのか!」

志希「ん~、この際だから正直に言うと……」

P「正直に言うと……?」

志希「『半分』だよ。あたしがやったのはね」

P「半分……!?」

晶葉「半分とはどういうことか、説明してもらおう!」

志希「ダメダメ、教えてあげないよ~♪ 教えて欲しかったら……」

P「戦うしかないってことだろ結局ッ! 容赦しないからな!」

志希「うん、あたしもそのつもりだよ?」

スタスタ……

まゆ「! 部屋の奥から誰か来ます」

智絵里・藍子「…………」

P「智絵里ッ! 藍子ッ! まさか────」

志希「そーゆーこと。二人ともつよーい異能を持ってたから、また異能力者にした!」

晶葉「まずいぞ、助手……藍子の異能は言わずもがな、智絵里も────」

P「……それ以上言う必要は無いぜ、晶葉」スッ

ピカァァァァァッ!

P(「華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~」ッ! スポットライトを具現化する!)

志希「それで目眩ましでもするつもり?」

P「スポットライトはアイドルを照らすためあるんだよ。……『LEGNE』ッ!」シュイイン!

影カラスたち「グアーッ!」 バサッバサッ

智絵里・藍子「きゃあっ!?」ドサッ

志希「!」

P「続いて『共鳴世界の存在論』ッ! 二人を拘束する!」シュルルル!

P(包帯はフリールームに山ほどあったッ!)

ギュウウッ!

藍子「っ、あっ……」カラッ、コトッ

智絵里「うぅ……」

P「藍子のカメラは床に落ちた。智絵里も身動きとれない以上異能は使えまい」

志希「…………」

P「このまま終わらせるッ! 『おねだり Shall We ~?』、藍子を猫にッ!」ビィィィッ

藍子(猫)「!」チョコン

P「そして『存在論』ッ!」

グルグルグルグル! ……シュルルル、パタッ

P「智絵里は『追放』した。もっとも、俺たちには関係ないらしいがな」

裕子「すごい! あっという間に倒しちゃいました!」

まゆ「さすがPさん♪」ギュッ

P「先手を取れればこんなもんよ!」

晶葉「逆に言えば、これまでは相手が異能を使うのを待って後手に回っていたということだな」

P「う、まあそうなんだけど……」

志希「これは、予想以上……けど」ズサッ

P「志希ッ! ここまで来て逃げるつもりか!」

志希「逃げるんじゃないよ~? これを飲むだけ」コトッ

晶葉「何の薬だ……まさか、異能を目覚めさせる!」

P「異能が一つだけじゃあ俺に勝てないと踏んだか!?」

志希「違う違う、自分で自分を『支配』しないためのクスリっ」ゴクッ

P「支配……!?」

志希「この匂いで気づかなかったのかな~?」スンスン

晶葉「……!」ハッ

……ギュウッ

P「……まゆ?」

まゆ「『エヴリデイドリーム』」スッ

P「! な……に……!?」グタッ

晶葉「これアロマのような香りは『異能力者を支配下に置く薬』だったんだ! 部屋に入ってから私たちはそれを吸い続けた!」

志希「この部屋に入った時点で、キミたちは志希ちゃんの罠に嵌まっていたのだよ~っ! 」

P「く、ということはッ……」

裕子「ふふふ……エスパーユッコはサイキックの力でプロデューサーさんを倒さなきゃいけないようですね……!」ムムム

まゆ「Pさんは、まゆのためなら死んでくれますよね……?」ギュウッ

P「なんとぉッ……!?」

幸子「プロデューサーさんっ!」ガシッ

まゆ「!」

ズルズルズル……

P「幸子……!? お前は────」

幸子「ボクはこのマスクを着けていたのでので大丈夫です! プロデューサーさんの味方ですよ!」

P「さ、幸子ぉ……!」ガシッ

幸子「フフーン! 幸運がボクを守ったんです!」

志希「んん~? 幸子ちゃんはともかく、キミはどうして平気なままなのかな?」

P「っ、さぁな……」スタッ

晶葉「助手が飲んだのは私が作った薬だ。厳密には他の異能力者とは違う」

志希「ふむふむ、そっか……でも、キミに二人を倒せるかな~?」

P「くっ!」

P(サイキックがあるとはいえ、ユッコは攻撃性のある異能ではないし問題はない)

P(問題は……!)

まゆ「『エヴリデイドリーム』からは逃れられませんよ、Pさん……?」

P「くっ、あ……ぐ」グラッ

P(体から力が抜ける上、戦意まで喪失させるこの異能だッ! コピーしたから自力で解除出来るとはいえ────)

まゆ(解除しても無駄、です)スッ

P(同じことの繰り返し……先へ進めないッ……!)

裕子「ムムムム……火山の噴火口か、それとも南極にでも飛ばしてしまうのがいいでしょうか……」

P(ユッコまで何か恐ろしいことを呟き始めているじゃないかッ! 早く、まゆを止めなければ……!)

幸子「晶葉さん!」

晶葉「……ああ」

スタッ

P「二人とも……!」

幸子「フフーン、このボクに任せてください!」

晶葉「まゆの異能は助手以外に効果はない。私たち二人で抑えれば解毒剤を飲ませるくらいは出来る」

P「悪いな、ここまで来て……」

晶葉「何を言ってるんだ。君の異能は『シンデレラ』に『お願い』するんだろう?」

P「ふっ……じゃあ頼むぜ、シンデレラ……!」

志希「にゃは、熱いね~っ! でもキミたち、私を忘れてないかな?」

P(そうだ、志希の異能はまだどんな能力か分からないッ!)

志希「今の状況は3vs3、キミが実質戦えないことを考えれば2vs3だよ~? しかも、晶葉ちゃんは無能力者」

P「…………」

晶葉「確かに、まゆと裕子の異能が戦闘向きでないことを考えても状況は不利だな。だが、私たちはそんな状況を何度も乗り越えてきた!」

幸子「カワイイは最強、ラッキーは最強、『To my darling…』は最強の二乗です!」

志希「熱い、熱いって! ……でもそういうの、もう見飽きちゃった。あたしの周りに居た人、みんなそうだったから」

晶葉「……どういう意味だ」

志希「初めはあたしを越えてやるって意気込んでるんだけど、みーんなそのうち諦めちゃうんだ。『ギフテッドのお前には勝てない』って、つまんない」

P「…………」

志希「でもキミは違う匂いがした……だから楽しませてよね、言っとくけどあたし、異能もちょー強いよ?」

P「……ああ、なんと言われようが諦めはしない!」

志希「オッケー、志希ちゃんの異能発動! 『秘密のトワレ』!」



いよいよ大詰め、ちょー強い(!?)志希の異能、「秘密のトワレ」の能力とは!?

↓2

P「…………」

P(なんだ、何をされた!?)

志希「……♪」

P「……晶葉、幸子ッ! 何とも無い以上は今がチャンスだ!」

まゆ「プロデューサーさんはダメ、ですよ♪」スッ

P「ぐうっ……!」ガタッ

晶葉・幸子「…………」

P「晶葉、幸子どうした? ……やはり攻撃を受けたのかッ!?」

晶葉「いや、そうではない……」

P「そうか、だったらまゆを頼む。まゆさえ何とかすれば────」

晶葉「……どうして私がそんなことをしなければいけないんだ?」

P「え……?」

幸子「そうですよねぇ……どうしてプロデューサーさんのためにそんな、ボクたちが……」

P「お、おいっ幸子! カワイイボクの力で助けてくれるんじゃないのかよッ!?」

幸子「……プロデューサーさんがボクに気安くカワイイなんて言わないでくれません? まあ、ボクがカワイイのは事実ですけど」ドヤッ

P「な……二人とも、どうして……」

P(待て、動揺するなッ! おそらくこれが志希の異能!)

P「……二人とも、俺の事がずっと嫌いだったのか!」

晶葉・幸子「………」

P「晶葉! さっき俺に言った『ありがとう』の言葉、本当は感謝なんて微塵もしてなかったのか!?」

晶葉「あり、がとう……? くっ、私は……」ウググ

P「幸子ォ! 俺は幸子を褒めて褒めて褒めて褒めちぎるまで逃がさないっていうのは、嘘だったのかよ!?」

幸子「ボクが、プロデューサーさんに褒めてもらいたい……? そんな、こと……」グヌヌ

志希「やるね~、人の感情を操作する上で一番の弱点になる『記憶』をすぐに刺激するなんて」

P「志希、その異能を使うなら俺にしろッ! 晶葉や幸子が苦しむのは見たくない!」

志希「えぇ~? じゃあキミがそこの二人に『マイナスの好意』を持つようになってもいいのかな、そっちの方がもっと苦しい思うよー?」

P「マイナスの好意……!? 好意のマイナスってことは、敵意ってことか!」

志希「そそ。でも今度は『プラス』に振り切らせてみるかなー?」スッ

P(どうやらこの異能は防御出来ない! その上複数人を対象にすることも可能ッ! 全容は分からないが、「感情を操作」されるのは志希の言うとおり超強力……!)

晶葉「っ……! す、すまない助手! 私はまんまと志希の異能に……」スタッ

P「ああ、大丈夫だよ。それにおそらく、まだ攻撃は続いているッ!」

晶葉「うむ。……でも、本当に……ごめん」ギュッ

P「えっ! お、おう、落ち着けよ晶葉……」

P(「プラス」に振り切らせる、つまりこういうことなのか……!?)

幸子「……プロデューサーさん」スタッ

P「幸子、お前もとりあえず敵意は無くなった、か……?」

幸子「はい。だからボクを……ボクをもっともっと褒めてください!」

P「なっ、お前この状況でな……!」

幸子「ボクはプロデューサーさんに褒めて欲しいんです、いつでも、いつまでも、ボクだけを!」

志希「にゃははは、忘れてたかもしれないけど幸子ちゃんは今、『理性を失っている』んだよ~?」

P(そうか、そうだったッ! 感情を操作されたことで本来の欲望がまた前面に出てしまったのか……!)

晶葉「そんなことをしている暇はないぞ幸子! 私と幸子で早くまゆを止めなければいけない!」

幸子「……なんですか晶葉さん、プロデューサーさんがボクばかりに構うのが嫌なんですか?」

晶葉「な、何を……!?」

幸子「ボクは知ってますよ? ボクやまゆさんがプロデューサーさんと仲良くしているときにずっと、拗ねたような顔をして睨んでましたよね?」

P「おい、何を言ってるんだ幸子! やめろ!」

幸子「自分が素直になれないだけなのに、どうしてボクが睨まれないといけないんでしょうねぇ……?」

志希「ふっふー、面白くなってきた~♪」スッ

晶葉「……お前こそ」

幸子「はい? 言いたいことがあるならはっきり言ってくれませんか?」

晶葉「お前こそ、いつもいつも助手にくっついて……! 本当は誰でもいいんだろう! ただ自分を褒めてくれるのに助手が都合いいというだけなんだ!」

幸子「あなたに言われたくありませんね!」

P「二人ともやめろッ! これは全て志希の異能によるものなんだ!」

晶葉「助手、しかし……!」

P「おそらく志希の異能は俺たちの感情を自在にコントロールするという物ッ! だから惑わされるな、お互いに本心じゃないんだ!」

志希「それはどうなんだろうね~? 隠されてる本心を剥き出しにしてるだけかもよ?」

P「それならさっきまで俺を嫌っていた二人が急にくっ付いて来るなんてことはないッ!」

志希「あ、それはそうだね。失敗失敗♪」スッ

幸子「例え本心じゃなかったとしても、こんな人と協力するなんてボクには出来ません!」

晶葉「幸子……!」

P「幸子! 今お前と晶葉は互いへの敵意が膨らんで、反対に俺へは好意が強くなっているんだよ!」

幸子「それがどうしたんですか! ボクはプロデューサーさんが好きです! 晶葉さんは嫌いです! それで終わりじゃないですか!」

P「幸子……どうして分かってくれないんだ!」

幸子「プロデューサーさん、もっとボクを褒めてくださいっ! 晶葉さんなんかより、まゆさんなんかより、もっとボクを────」ギュッ

P「ッ、鬱陶しいんだよ……! 人の話も聞かないで!」バッ

幸子「えっ……」

P「! お、俺は……っ」

志希「傍観者のようにしてるけど、キミも既に異能を受けているんだよ? この場に居る人間は全員、あたしの手のひらの上♪」

P(クソッ、冷静になれ、これは異能のせいなんだ……!)

P「幸子……! すま、ない……」

幸子「い、いえ……」

晶葉「……いい気味だな」

幸子「はい? 何か言いました?」

晶葉「いい気味だな。はっきり言ったぞ?」

幸子「…………」スタッ

P「や、やめろと言ってるだろッ……!」ガシッ

幸子「! ど、どうしてボクを掴むんですか……?」ウルッ

P「!」

P(ダメだ、幸子に対して俺は確かに敵意を持ち始めているッ! 自分のアイドルを、嫌いになりかけている……ッ)

志希「ギスギスだね~? さっきまでは一致団結してたのに」スッ

P「クソッ、志希……!」

まゆ(……もうやめましょう、プロデューサーさん)

まゆ(志希さんには勝てません。でも素直に負けを認めれば、きっと志希さんも許してくれます)

P(お前……分かっているのか、それも志希の異能がそう思わせているんだぞ!)

まゆ(そうかもしれません。だけど、まゆはプロデューサーさんの事が本当に好きだから忠告を────)

P「黙れ! 洗脳されているんだろう、異能を喰らっているんだろう! そんな奴の言葉を聞き入れる奴が居るかよ!」

晶葉「!? 助手、どうした!」

P「晶葉、早くまゆを止めてくれ……いつまでグズグズ喧嘩しているんだ!」

晶葉「あ、ああ、すまない。だが……」

P「だがじゃないッ! いいからやれ!」

晶葉「…………」

P(なんなんだ……今まで仲良くやってきたはずなのに、俺はもう……!」

まゆ「……志希さん。『逆』にしてくれませんか?」

志希「ん、りょうかーい」スッ

P「!」

まゆ「『エヴリデイドリーム』……諦めて負けを認めてください。そして今度こそ、まゆとハネムーンに行きましょう」

P「あ……ま、まゆ……」スタスタ

晶葉「助手っ! 行くな、君はまだ戦えない!」

まゆ「まゆの手を握ってください」

P「……」ギュッ

まゆ「一緒に言いましょう? もう戦わない、抵抗しない、だから許して欲しいって……」

P「……まゆ、本当に俺のことが好きか?」

まゆ「はい。本心です。本心で、プロデューサーさんに言っています」

P「そっか……強く言ってごめんな、俺もまゆのことが好きだ。ここに居る誰よりも……」

まゆ「はい♪」

スタ、スタ……

志希「にゃはは、これじゃあまるで結婚式だね。あたし、牧師の経験はないんだけど」

P(勝てない……まゆの言うとおりだ。俺が何をしても、志希には敵わない、もう戦うのも疲れた……)

晶葉「待つんだ助手! それ以上志希に近づくな!」

まゆ「晶葉ちゃんと幸子ちゃんを拘束してください」

P「…………」シュルルルル!

晶葉「ぐっ……!」

幸子「プロデューサー、さん……」グスッ

P(もうあんな晶葉や幸子は見たくない……それに、こんな俺も見せたくない……)

スタッ

まゆ「さあ、プロデューサーさん」

志希「諦めちゃう? さっきの自分が言った言葉を、自分で裏切っちゃう?」

P「ああ。俺の、負けだ……だから異能を解いて、元に戻してくれ……」

志希「そっか、結局キミもそうなんだ。……つまんないの」

P「頼む志希、どれが本当の自分の感情なのか、もう分からないんだ……!」

志希「全部ホントだよ、そして全部ウソ。あたしの『秘密のトワレ』は『好意』そのものを操作する。誰が好きで、誰が嫌いか……人の感情なんてただの信号なのにねー」

P「説明なんてどうでもいい、早く……!」

志希「じゃあ、解毒剤を渡してもらおっか。それをキミに飲ませたら、元に戻してあげる」

P「……」

晶葉「ダメだ助手! それを渡したら本当に終わりだぞ!」

志希「さ、早く早く。まゆちゃんとハネムーンに行くんでしょー?」

まゆ「行き先はどこにしましょうか、うふふ……」

P「…………」スッ────

裕子「…サイキック来ました! サイキックパワーマックス! ムムムム~ン!」

P「え……?」

裕子「地の果てまで飛ばしますよ~……サイキック! 遠隔テレポーテーション!」

ピシュン!

志希「!」

まゆ「プロデューサーさん!?」

裕子「やりました! ……でも、どこにテレポーテーションしたんでしょう?」

志希「にゃはは! やっぱりこれくらいのサプライズが無いとね~!」

晶葉「助手っ……」

PM10:45

P「んがっ!?」ドサッ

ドサッ、ガサガサ……

P「痛たた、ユッコのやつ本格的なエスパーになってきたな……」スタッ

P(ここは……外のカフェテラスか。夕美と戦った中庭の近くだな)

P「……逃げ延びちまった」

P(「To my darling…」が幸運を引き寄せたのか? いや、そんなのどっちでもいい……)

P「はあ、どうすりゃいいんだ……」

ガサガサガサ!

P「! 誰かいるのか!?」

猫「ニャーッ! ニャーニャーニャー!」シュタッ

P「なんだ猫か。よし、こっちおいで」チッチッ

猫「フシャーッ!」ギラッ

P「痛ぁーっ!? テメー猫ごときが……ん? そういえばこの猫どっかで……」

猫「ニャッニャッ! ニャーニャ!」

P「あーっ、みくじゃねーか!」

みく(猫)「ニャーッ!」ピーン

P「悪い悪い、いま元に戻すよ」スッ

シュイイイイン

みく「……もうっ! Pチャン気付くのが遅い!」

P「すまんすまん、ユッコの近くに居たから一緒にテレポーテーションしたんだな」

みく「……テレポーテーション? みくは起きたらここに居たにゃ」

P「だからテレポーテーションだよ。志希が居た部屋からここに飛ばされた衝撃で目が覚めたんだろう」

みく「なるほど……って志希チャンの所に行ったの!?」

P「ああ。……それより、もう俺には攻撃してこないのか?」

みく「え、う、うん。もう異能は使えないし、頭の中がなんだかスッキリした感じだにゃ」

P「そうか。みくは多分、薬に加えて志希の異能で操作されていたんだろう、それで俺に敵意丸出しだったんだ」

みく「そうなのかにゃ……? 志希チャンからは異能が目覚める薬を貰ったけど……」

P「…………」

みく「あ、あのっ! ……ゴメンだにゃ、Pチャン。みく、悪いことしちゃったんだよね……」

P「別に。もういいよ、何とも思ってない」

みく「そ、そっか……ねえ、なんでみくとPチャンだけテレポーテーションしちゃったの?」

P「……偶然だよ。ユッコのサイキックは俺だけを狙っていたはずだ」

みく「あれ? ユッコチャンってPチャンの仲間だったよね?」

P「……ああ。『だった』んだ」

みく「そう……なんだ」

P「……みく、お前は『黒幕からの刺客』だったよな」

みく「あー、それ恥ずかしいからあんまり言わないでほしいにゃ……」

P「教えてくれ。『黒幕』は志希なのか? 志希は『半分』だと言っていた」

みく「え、っと……ごめん、みくにはよく分からないにゃ。志希チャンの命令に従ってただけ……」

P「じゃあ『黒幕からの刺客』ってのも志希からそう名乗れと言われただけってことか?」

みく「うん……」

P「はあ、そうか……結局、志希を倒さなきゃ先へは進まないんだよな……」

みく「志希チャンとは戦わなかったの?」

P「戦ったよ。それで負けた、いや……自分から諦めたんだ」

みく「そっか……だからPチャン元気無かったんだ」

P「アイドルにも酷い事言っちゃうしさ……踏んだり蹴ったりだよ」

みく「……それならきっと大丈夫だにゃ」

P「え?」

みく「だってPチャンはみくを許してくれたでしょ? Pチャンも謝れば、きっとみんなも許してくれるにゃ!」

P「そうか……そうだといいな」

みく「ほら、だったら謝るために行かないとダメだにゃ! 落ち込んでる暇なんてないにゃ!」

P「でも、志希には……」

みく「自分で諦めちゃったなら、最後まで戦ってみれば勝てるかもしれないよ!」

P「みく……」

みく「分からないけど、そう信じることが大事なんだにゃ!」

P「……なんだよ、急に仲間面して」

みく「なっ、倒したら敵が改心するのはよくある話……ってあれ? Pチャン、泣いてる……?」

P「ばっ、泣くかよこんなとこで!」ゴシゴシ

みく「えーっ、今絶対ウルッって来てたよ~?」

P「来てないッ! ……男の涙は、勝った時に嬉しくて流すんだよ」スタッ

みく「おおっ、じゃあ行くんだね!」

P「ああ。志希……今度こそお前を倒すッ!」

P(そのための作戦は────)


選択肢(二つ選んでください)
1.他のアイドルには一切目もくれず志希だけを狙う
2.最優先でまゆに解毒剤を飲ませる
3.強力な「LEGNE」を召喚しておく
4.「華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~」で様々な道具を具現化しておく
5.やっぱり猫が好き
6.みく、合体してくれ!
7.俺と志希以外を追放するッ!
8.みんなと一つになる!

↓2

3+7ですね
続きはまた今度書きます

タッタッタッ……

P「いいかみく、お前が扉を開けたら俺が2体の『LEGNE』を突っ込ませる」

影カラス「グァーッ!」

影ネコ「グニャーッ!」

P(満月の光から生み出されたこの「LEGNE」は特別強力……そう簡単には消えない)

みく「うんうん、それでどうするの?」

P「みんなが怯んでいる隙に、何とかこの解毒剤をまゆに飲ませて欲しい。後は俺がやる」

みく「分かったにゃ!」

P(志希の異能の正体は分かっている。先制出来れば勝てるはず……!)

タッタッタッ……スタッ

P「…………」ゴクッ

みく「……いい、Pチャン?」

P「ああ……行くぞ!」

ガチャ……パシャリ!

P「!?」

P(み、みくが消えたッ!? いや、今の音は……!)

藍子(猫)「ニャオン?」ペラッ

P(藍子は猫になった! しかし猫でもカメラのシャッターは押せるッ!)

志希「やっほー。惜しかったねー、二人とも消すつもりだったのにキミは写ってなかったみたい」

P「読んでいたのか、俺の作戦をッ……!」

志希「ん~、さすがにあたしでも君の思考を完璧に読むなんて出来ないよ? でもこっちには『覗ける』子が居るから」

P「そうか、まゆ……!」

まゆ「プロデューサーさん……どうしてまだ戦うんですか……?」

P「どうして? そんなこと決まってる、勝つために、そしてちゃんとみんなに謝るために戦うんだ!」

志希「いいよー、その調子その調子。でも、キミが謝ったらみんな許してくれるとは限らないと思うけどなー?」

晶葉・幸子・裕子「…………」

P「みんな……!」

志希「晶葉ちゃんと幸子ちゃんはさっきキミが拘束してそのまま。あ、裕子ちゃんはサイキックが暴走しないように眠ってもらってるけど」

P「くっ……すまない二人とも、今拘束を────」

晶葉「その必要はない! ……私たちにはもう構うな、助手」

P「晶葉……」

志希「晶葉ちゃん、キミが諦めて負けを認めたのを見て相当ガックリ来てるみたいだよ?」

幸子「……プロデューサーさんは、ボクのことが嫌いだったんですか……?」

志希「幸子ちゃんもキミに酷い事を言われて傷ついちゃってるし、謝って終わり……なんて上手くいく? あたしは知らないけどねー」クスクス

P「…………」

志希「ところで、キミは二人のこと、どう思ってるのかな~?」スッ

P「……はぁ、まったく性格悪いぜ。本当に」

志希「おやおやぁ!? そんな風に言っちゃっていいの?」

P「お前だよ、志希。人の心を弄んで笑うマッドサイエンティストが……!」

志希「にゃははは!心外だなぁ、あたしは異能を最大限に活用してキミを倒そうとしているだけだよ?」

P「……だったら俺も、『作戦通り』お前を倒すッ!」シュルルルッ!

志希「まゆちゃん!」

まゆ「『エヴリデイドリーム』はもうプロデューサーさんを捉えています!」

P「……しかし、戦意が消えても既に俺が発動させた異能が消えるわけではないッ! 『LEGNE』!」

影ネコ「ニャーッ!」シュタタタッ

まゆ「きゃあっ!?」ドサッ

影カラス「グァーッ!」バサッガシッ

藍子「ニャ~? ニャニャ~!」ジタバタ

P「みんなすまない……攻撃させてもらう!」

グルグルグルグル!

志希「! どうするつもり……!?」

シュルルルルル……ドサッ、ドサッドサッ……










P「声を奪って『追放』した。……今この『世界』には俺と志希の二人だけだ」

志希「あたしとキミの二人だけでラン[ピザ]ーしようってこと? ふー♪」スッ

P「声を奪ってしまえば、もう誰の好意をどう操作しても言葉で傷つくことはない」

P(まゆの心の声も、今の俺には届かない……もちろん反対も)

志希「それは考えたね~♪ でも、肝心のあたしはどうやって倒すつもり?」スッ

P「…………」

志希「キミにあたしが攻撃出来────」

シュルルルルル!

志希「! なっ……」

P「俺のお前に対する好意をいくら操作しようと無駄だ、志希」

志希「どういう、こと……あたしの異能から、逃れられるはずは……」

P「確かにその通りだ。はっきり言って今お前のことがとても好きだよ、志希。包帯で縛り付けるのもかわいそうな位な」

志希「あはは……だったらこれ、解いて欲しいかな……っぐ」ギュウッ

P「……どれだけ好意を操られても、たった一つ変わらない物があるんだよ」

志希「へえ……教えてくれる……?」

P「『志希を倒さなくてはいけない』、その目的だけは頭の中から消えないのさ……!」タッタッタッ

ギュウッ!

志希「にゃはっ、抱き締められちゃった」

P「……お前の負けだ、志希」

志希「そっか、これが敗北……ヘンな匂い」スンスン

P「気絶されると困る。解毒剤を飲ませる前に『半分』の意味を聞かせてもらうぞ」

志希「いいよ、教えてあげる……『異能力者を支配下に置く薬』を作ったのはあたしだけど、『異能力者になる薬』を作ったのはあたしじゃない。だから『半分』」

P「なに……! だったら志希も、誰かに薬を飲まされて異能力者になったのか!?」

志希「そゆことー。美味しかったな、あのお団子」

P「団子!? 志希、お前は『もう半分』の正体も知っているんだなッ!?」

志希「知ってるよ~? でもそれは、教えてあげない。んっ……」スッ……

P(なんだ!? 顔を近づけて……キス? いやッ!)バッ

シュルルルッ……バタッ

P「晶葉から解毒剤を奪っていたなッ! そしてキスで俺に飲ませようとしたッ!」

P(考える手はみんな同じってわけか……)

志希「あーあ、バレちゃったかぁ。じゃあ大人しく……」ゴクッ

P「!」

P(自分から解毒剤を……!?)

志希「キミに好意を操られたら、志希ちゃん多分、喋っちゃうから、ね……」パタッ

P「…………」

カランカラン……プシューッ!

P「!?」

P(なんだこれは、アロマ、いやガス!?)



P「なんだ、どうした晶葉ッ!?」

P(「共鳴世界の存在論」解除ッ!)ヴィイイン!

晶葉「……催眠ガスだっ! これを着けろ!」ヒョイッ

P「あ、ああ! しかし晶葉、お前はいいのかッ!?」スチャッ

晶葉「マスクは二つだけだ、早く幸子と部屋を出ろ! おそらくそれを着けていても長くは────」

スチャッ

幸子「晶葉さん、行くのはあなたです」

晶葉「幸子……!? どうして……」

幸子「ボクがついていっても、何も出来ないですから……それより、早く……」フラッ

P「晶葉、行くぞ!」

晶葉「ああ! ……ごめん、ありがとうっ」スタッ

P「他のみんなは────」

裕子「うぅん……」zzz…

智絵里「すぅ……」zzz…

藍子「ニャーゴ……」ゴロゴロ

P(そうだ、藍子は猫から元に戻しておかなくてはッ!)スッ

藍子「んん……」パタッ、zzz…

写真「」ヒラヒラ

P(……ヤバい、みくが写真に捕らわれたままだった!)

晶葉「助手っ!」

P「くっ……後から必ず戻ってくるッ! すまないみんな!」

まゆ(はい、ずっと待ってます、Pさん……)パタッ

ガチャ、バタン! タッタッタッ……


一ノ瀬志希「秘密のトワレ」────再起可能

PM11:00

P「はあっ、はあっ……」

晶葉「っ、志希は、自分が負けても私たちを無力化出来るように、あらかじめ用意をしておいたんだ」ハアッ

P「本当に抜け目の無い……危ないところだった」フウッ

晶葉「あの部屋はガスが充満してしばらくは入れない。もう半分の黒幕は私たちで探すしかないだろう」

P「そうだな……また二人になっちまった」

晶葉「……ああ」

P「晶葉……さっきは本当にすまなかった。俺が情けないばっかりに、嫌な思いをさせてしまって……」

晶葉「いいんだ。助手の言った通りあれは志希の異能、誰も本心じゃない」

P「……そう言ってくれると助かる」

晶葉「しかし……また手がかりが無くなってしまった」

P「いや、手がかりなら一つあるぞ。志希が『団子』と言っていた、誰かが例の薬と共に団子を志希に食わせて、そこからこの事件が始まったんだよ」

晶葉「団子か。他のアイドルもそれを食べて異能に目覚めたのだとしたら、幸子たちに話を聞いてすぐに正体が掴めたかもしれないが」

P「言っても仕方ないよ。晶葉は今日、誰かに団子を勧められた覚えはないのか?」

晶葉「いや、私はずっと部屋にこもっていたから……」

P「レッスンとか無かったのか?」

晶葉「うむ。……サボりじゃないからな!」

P「分かってるよ。じゃあ、どうするかなぁ……」

P(11時になってコピーもリセットされてしまった。「黒幕」と戦うならやはり異能を少しでもコピーしておきたいが……)


選択肢(一つはすぐラストバトルになります)
1.食堂へ行く
2.自分の部屋に行く
3.晶葉の部屋に行く
4.屋上へ行こうぜ……
5.外へ出よう


↓2

スタスタ……

晶葉「助手の部屋に……? 何かあるのか?」

P「晶葉が言ったように、その団子を食べたであろうアイドルに話を聞くのが手っ取り早いだろうからな」

晶葉「なるほど、気絶した蘭子を起こすんだな」

P「うん。それに森久保のこともちょっと気になるし」

スタスタ……スタッ

P「もしもーし? 森久保、ちゃんと隠れてるか?」トントン

晶葉「自分の部屋にノックするのも変じゃないか?」

P「あ、そうだな……森久保ー? 入るぞー」ガチャ

P(電気が付いている……?)スタスタ

晶葉「……誰も居ない?」

P「どうせ机の下だろ? 森久保俺だ、出てこいよ」

「…………」

P「なんだ、顔を見るまで安心出来ないのか?」スッ

蘭子「」ウニョウニョ

P「うぎゃあああっ!?」ドサッ

晶葉「どうした助手! ……っ!?」ビクッ

P「らっ、蘭子の全身からキノコが……なんてこった……!」

パァン!

P「あひいっ!?」ビクビク

「ドッキリ、だーいせいこーう……」ドヨーン

P「えっ?」

晶葉「乃々に……輝子?」

輝子「フヒ、いい驚きっぷりだな、親友……」

森久保「あの……これは、冗談、ですけど……」

輝子「だから、ドッキリって言ってるだろ? ボノノちゃん」

森久保「あ、そうでした……」

P「えっ……えっ?」


……

P「あぁそう、二人して蘭子のした……気絶した蘭子で遊んでたのね……」

晶葉「……いま『死体』と言いかけなかったか?」

P「い、言ってない言ってない!」

森久保「プロデューサーさんがノックしたのを聞いて、輝子さんがビックリさせようって……」

輝子「えー、ボノノちゃんがプロデューサーはビックリしやすいからやろうって言ったんじゃないか……」

森久保「や、やろうとは言ってないですけど……」

P「どっちでもいいっ!」

森久保「あう……」

晶葉「しかしよく出来ているな。本当に生えているようにしか見えない」

蘭子「」ウニョウニョ

P「もう、マジでビビったんだからな! ……蘭子、蘭子。起きてくれ」ユサユサ

輝子「おい……どうして、起こすんだ……?」

P「え? いやちょっと、蘭子に聞きたいことがあるからさ」

輝子「ダメだ。起こしたら、キノコが消えちゃう……」

P「え……?」ピト

森久保「まっ! まま、まさか、本当に生えてたんですか……!?」

輝子「それでも、起こすっていうなら……」

晶葉「助手、どうやらこの流れは────」

輝子「この私を倒してからにしてもらおうか! ヒーヤッハハハハハッ!」

P「こ、これ、本物なの……」ビクビク


蘭子の身体がキノコまみれに(!?)輝子の異能、「毒茸伝説」の能力とは!?


↓2

晶葉「やはり! 助手、戦闘態勢を……」

P「ほっ、本物……蘭子から本物のキノコが生えてるう!」

晶葉「……助手」

モギッ

輝子「レッツイート! 美味しいぞ?」スッ

P「ヒイッ! むりっ、無理無理むーりぃー!」

森久保「それはもりくぼのセリフなんですけど……」

輝子「ボノノちゃんは?」

森久保「遠慮しておきます……」

晶葉「輝子の異能は身体からキノコを生やす能力か……?」

輝子「違うな! 私の『毒茸伝説』はもっとヘヴィ! このキノコを食べれば……ゴートゥヘール!」

P「や、やっぱ食べたらダメなんじゃねーか!」

輝子「しかし、食べないでいられるかな……!? ヒャッハー!」モギッモギッ

P「食べないッ! いくら差し出されようが人から生えたキノコなんか食うかッ!」

輝子「そ、そうか……残念だな……」シュン

晶葉「……戻った」

輝子「でもな……そう言われると何としても食べさせたくなるんだよ! プロデューサァァアアア!」グイッ

森久保「あ、また戻りました……」

P「ヒイイッ! やめて! 食べさせないでええええっ!」

輝子「キノコはなァ……美味しいんだぞ! 菌だからってバカにしたらいけないんだぞ!」タッタッタッ

P「してないっ、してないよォッ!」タッタッタッ

晶葉「もしかしてキノコ嫌いか? 助手」

P「普段は食べるよッ! でも人から生えたヤツ食うか!? 人キノコ生でイケるかッ!?」

晶葉「まあ、それはそうだな……」

輝子「だったら地獄のキノコ料理を振る舞ってやるぜ! ついてきなっ!」タッタッタッ

P「俺いま追われてるんですけどッ!?」タッタッタッ

ガチャ、バタン!

晶葉「……私は追うが、乃々はどうする?」

森久保「あぅ……仕方ないから、一緒に行きます……」

晶葉「なら、このキノコ蘭子というか……とにかく、運ぶのを手伝ってくれるか?」

森久保「あ、はい……」

8階 給湯室兼キッチン

輝子「地獄のキノコ料理その1ィーッ! バター風味キノコソテー!」

トントントントンジュワアァァッ!

P「ひいいっ! 炒めたキノコにソースが絡み付いてるうッ!?」

輝子「主にエリンギなどを使うんだよ! 分かったかぁー!?」

P「何一つ材料調理法分かんないいっ! そもそも地獄要素がないっ!で、でも────」

ホワワァン

P「……でも美味しそうッ! 食べそうッ……! 俺ずっと何も食べてないからめちゃくちゃ腹減ってるしッ!」

輝子「さあ、食え! あまりの美味しさに舌を巻けェ!」

P「しょ、輝子は食べないのか……!?」

輝子「あ、私は次の料理の下ごしらえだ……」トントン

P「そ、そうか。…………」ゴクッ

P(こいつはマジにヤバい、食べそう……人から生えたっつっても、ちゃんと調理してたし……)


選択肢
1.ちょっとくらい食べても大丈夫!
2.一口だけ! 一口だけ!
3.ダメっ……食べるな……!

↓2

P(ダメっ……食べるな……! 食べたらアウト、輝子の異能に嵌まる……!)

輝子「……あれ、ホントに食べないのか……?」

P「う、うん」

輝子「そうか、残念だな……」スッ

P「ああっ!」

輝子「ど、どうした? やっぱり食べる……?」

P「た、食べない!」

輝子「残念、無念……でもまだ次の料理もあるからなぁ!」スタスタ

P「…………」

グウウッ

P(こいつはタフな戦いになりそうだぜ……)

森久保「よいしょ、よいしょ……」

晶葉「人を運ぶのは大変だな……」セッセ

森久保「というか、二人はどこへ行ったんですか……?」

晶葉「……わからん。キノコを食べさせると言っていたが」

森久保「じゃあ、下のキッチンで料理しているかもしれないです……」

晶葉「なら、まずはそこに行こう。……っ」ヨイショ

森久保「あの、もうここで蘭子さんを起こしてしまった方がいいのでは……?」

晶葉「……確かに。蘭子が起きればキノコも消えると言っていたしな」

森久保「じゃあ、降ろしましょう。よいしょ……」

晶葉「蘭子、蘭子!」ユサユサ

森久保「起きてくださーい……」ツンツン

P「…………」グウウッ

タッタッタッ……

輝子「さあ、地獄のキノコ料理その2の時間だぞプロデューサーァ!」

P「くっ、来たか……!」

輝子「キノコのじっくりことことクリームシチューだ! 腹が限界になるまで食え!」ドンッ

P「じっくりする時間もことことする時間も無かったのに一瞬でシチューを作ったってのか……!?」

輝子「フヒ、凄いだろう。まず私が一口……」ハム

P「う、美味いのか……!?」

輝子「ヒャッハー! こいつは最高だ、食べない奴はそれだけで不幸になるぜ!」

P「そ、そんなに……!」

グウウウウッ

P(腹の虫が悲鳴を上げているッ! 耐えきれるのか、耐えきれるのか俺……!)

輝子「毒なんて入ってないよ、安全だよ……」

P「……」ゴクッ


選択肢
1.それでもっ……食べたら終わり……!
2.一口だけ! 一口だけ!
3.もう我慢とかむーりぃー!

↓2

P「は、はは、は……」

輝子「ど、どうした?」

P「そんなに食べて欲しい?」

輝子「うん。キノコは、いいぞ」

P「食べてくれたら嬉しい?」

輝子「もちろんだ。美味しいと言ってくれたら、これ以上ないくらい……」

P「そう、か……」

輝子「…………?」

P「…………、もう我慢とかむーりぃーっ!」ガタッ

輝子「!」

P「いただきますッ!」ヒョイッパクッ

輝子「ど、どうかな……?」

P「こいつは……こいつは、ッ……!」ビクビク

晶葉「……はあ。起きないな」

森久保「蘭子さーん、朝です、あさくぼですけど……」

晶葉「…………」

「うまあああああい! もうとびっきりうまあァーイッ!」

森久保「ひいっ!?」

晶葉「ま、まさか……助手っ!」タッタッタッ

森久保「あっ、晶葉さーん! ……そ、そんな……もりくぼ置いてけぼりですか……」

蘭子「……んん」パチッ

森久保「! 蘭子さん、よかった……っえ、あれ……?」

蘭子「あれ、私は確か、姫君を従えし者に敗れて……」ムクッ

森久保「あ、あのっ、とにかくついてきて欲しいんですけど……」

タッタッタッ……

晶葉「助手っ! キノコを食べてしまったんじゃあないだろうな!?」

P「ハーッハッハッハ! そうだよ晶葉ァ! キノコはトモダチ怖くなァーい!」

晶葉「なっ!? な、なんという……」

輝子「さあ、地獄のキノコ料理その3の時間だ! キノコの五目炊き込みご飯だぞ!」

P「待ってましたあ! 作るのが早ぁーい!」

輝子「次の料理が最後だ! ゴートゥヘエエエエル!」スタスタスタ

P「はーい、いただきまーす!」パクパクパク

晶葉「お、おいっ! 人から生えたキノコだぞっ! いいのか!?」

P「あぁ!? キノコはキノコだろうが!」

晶葉「なっ……」

P「晶葉も食えッ! お腹すいてるんだろ!」パクパク

晶葉「私は絶対に食べないぞ!」

グウウウッ……

晶葉「うっ……」

P「こんな美味しい料理を食べられない奴はそれだけで不幸せだな! 人生終わってる!」パクパク

晶葉「……」

P「あー美味しい、すごく美味しい! 主にキノコが美味しいけど野菜も美味しい!」

晶葉「…………」

P「クヒヒッ、しゃもじですくって直接食べてやるうッ!」ゴクゴク

晶葉「わ、私は……絶対、食べないからな……!」

スタスタ……ガヤガヤガヤ

蘭子「騒がしいわね……かの者たちの呼び声が聞こえるわ」ウニョウニョ

森久保「あ、あの、蘭子さん……」

蘭子「どうしたの?」クルッ

森久保「き、きの……」モジモジ

蘭子「きの? ……はっ、『気』の力を感じると……!?」

森久保「い、いや、あの……きのこ……」ボソボソ

蘭子「……?」

「地獄のキノコ料理その4! 和風キノコスパゲッティ!」

蘭子「スパゲッティ!? ……いや、あそこで黒ミサが行われているわ、行くわよ乃々ちゃん!」タッタッタッ

森久保「あ、あの、き、キノコー! ……まだ生えてますけど……」ボソッ

パクパクパクッ……

P「最高! 究極! オランジェント!」パクパク

晶葉「はははは! こんな美味しいパスタ初めて! すっごい!」パクパク

P「キノコのおかげなんだよ! 全部キノコが美味しくしているんだッ!」

晶葉「パスタの茹で加減はあえてアルデンテじゃない! キノコの食感とマッチするよう硬めにしてあるんだ!」

輝子「え、そうなの……間違えたかも……」パクッ

晶葉「えっ……」

輝子「ヒャッハー! こっちの方が美味しいじゃないか! 感謝するぜ晶葉!」

晶葉「はははっ、キノコと料理は紙一重だからなっ!」

P「今のどういう意味? でもとにかく美味いっ!」パクパク

P(……でも何か忘れてるような?)

タッタッタッ……スタッ

P「ん?」

森久保「はあっ、やっと見つけましたけど……」

輝子「ボノノちゃん。それに、蘭子……って、あれ?」

蘭子「ハーッハッハッハ! 生け贄を捧げる儀式を行いし者どもよ! 我こそが贄を喰らいし魔王なり!(仲間に入れてくださーい♪)」

晶葉「蘭子……君は……」

P「お、おい輝子、起きたらキノコは消えるんじゃなかったか……?」

輝子「わ、分からない。勝手にそう思ってたんだけど……」

蘭子「矮小なる意思の集まり? 我に────って何これぇっ!? キノコが、キノコがぁっ!」アタフタ

P「ヒャッハー! イキのいいキノコだァ!」タッタッタッ

晶葉「生で食べるのか!? ……ズルいぞ一人占めは!」タッタッタッ

蘭子「きゃあっ!? ぷ、プロデューサーさんっ? 何するんですかぁ……!?」ドサッ

P「キノコ狩りだよォ!」モギッ

蘭子「はうっ!?」

晶葉「失礼するぞ!」モギッ

蘭子「ははうっ!?」

輝子「フヒ、みんなキノコの良さを分かってもらえたようで何よりだ……」

森久保「あ、あの、輝子さん……」

輝子「ん? どうした、ボノノちゃん」

森久保「え、ええと……」


選択肢
1.そろそろ元に戻してあげてください
2.もりくぼも仲間に入れてください
3.やるくぼですけど……

↓2

カチャッ

輝子「へ……?」

森久保「輝子さんを倒さないと、止まらないようなので……」

輝子「じょ、冗談だよ、な? というか、どこから銃を……」

P「生うまっ! 生が一番いい!」モギッモギッ

晶葉「どの部分から生えたキノコが一番おいしいのか、これは研究が必要だ……!」

蘭子「た、助けてぇ……」ヘロヘロ

森久保「冗談ではないですけど……撃たせないでください……」スッ

輝子「は、話せば分かる。私は、キノコの良さをもっと知って欲しかっただけ、なんだ……」

森久保「そうですか……」スタ、スタ

輝子「ボノノちゃん! 危ないから、置こう、な……このキノコ料理でも食べて、落ち着こう」スッ

森久保「どうやら、説得は無理そう、です……」

輝子「お、おいおい……」ゴクッ

森久保「ごーとぅへーる……殺(や)るくぼですけど……」

バァン! ……パタッ

蘭子「もう、もう生えてないのにっ……」

晶葉「あれ、私は……」パクッ

P「……ハッ!」ムニュン

蘭子「どこ掴んでるんですかぁ!」パシーン

P「サイキックラッキースケベェッ!?」ドサッ

晶葉「わ、私は……何を……」ソワソワ

森久保「大丈夫、ですか? みなさん……」

P「も、森久保……輝子はどうしたんだ……?」ムクッ

森久保「あ、何故か、勝手に倒れちゃいましたけど……」スッ

輝子「おぅ、おぅ……」ピクピク

P「じ、自滅? っていうか完全にやられてたような……げふっ、腹いっぱい」

晶葉「は、はは、ははは! キノコのせい、キノコのせい……」ソワソワ

P「……よく分からんが、コピーして解毒剤を飲ませる!」

輝子「私は忘れても、キノコのことは、忘れないでくれ……」パタッ


星輝子「毒茸伝説」────再起可能

PM11:15

P「フーム、まんまと操られていたんだなぁ」

晶葉「しかし、あの状況でどう自滅したんだ……?」

森久保「さ、さあ……転んだんじゃないですか?」

P「見てなかったのか?」

森久保「みっ、見てましたけど……分からないです……」

P「なんだそりゃ。……そうだ、それより蘭子!」

蘭子「我が名は傷ついた悪姫……ブリュンヒルデ……」

P「ら、蘭子ー? 今のお前は心が傷ついてるなってそうじゃなくて、大丈夫か……?」

蘭子「フフ……我が魂は穢れによって新たな魔翌力を得るのだ……」

P「そ、そう? じゃあ大丈夫?」

蘭子「大丈夫じゃありませんっ!」

P「ご、ゴメン……」

蘭子「…………」プクーッ

P「あ、あのさ、聞きたいことがあるんだけど……」

蘭子「……なんですか?」

P「今日、団子食べた?」

蘭子「だ、だんご? 食べま、した……?」

晶葉「疑問系か」

蘭子「ううん、食べた……美味しかった」

P「誰にだ! 誰に貰った!?」グイッ

蘭子「ええっ!? っと……あれ……? あの……」

P「思い出せないのか?」

晶葉「何かの異能が作用しているのかもしれない」

蘭子「あ、月の女神……です」

P「誰だよ」

蘭子「それは、えっと……あれ……?」

P(……これ以上はダメみたいだな)

P「ありがとう蘭子、もういいよ。十分な手がかりだ」

蘭子「う、うむ!」

晶葉「月の女神か……どうする、助手」

P「…………」


選択肢(一つはラストバトルに入ります)
1.食堂に行く
2.晶葉の部屋に行く
3.屋上へ行こうぜ……
4.外へ出よう


↓2

続きはまた今度書きます

スタスタ……トタトタ

P「蘭子!」クルッ

蘭子「っ!」ビクッ

P「付いてくるなって言ったろ!? 遊びでやってんじゃないんだから!」

蘭子「し、しかし、導かれし魂が────」

P「駄目だ!」

蘭子「あぅ……」

晶葉「……別にいいんじゃないか? もしかしたら、途中で何か思い出すかもしれないぞ」

P「いいや、もしまた志希みたいな俺たちの感情や意識を操作する異能力者が現れたらどうする。側に居るのは晶葉だけで十分だよ」

晶葉「……そうか」

蘭子「プロデューサーぁ……」ウルウル

P「あーもう……これなーんだ?」スッ

蘭子「きっ、キノコ!?」

P「正解。あーんしてね」ヒョイッ

蘭子「はむっ!?」パクッ

P「蘭子! 回れ右して戻れ!」

蘭子「…………」スタスタ

P「クククなるほど、人の意識を操るとはこういうことか」

晶葉「おいおい……」

西棟2階 食堂

P「木を隠すなら森に、団子を隠すなら……食堂でしょう!」スタッ

晶葉「……もうお腹は空いてないぞ」

P「俺もだよ、でもこんな時間に誰も料理してないだろ? ……電気はついてるけど」ガチャ

島村卯月(以下、卯月)「いらっしゃいませー! って、プロデューサーさん?」

P「卯月! ってかメイド!?」

小日向美穂(以下、美穂)「プロデューサーさん! こんな時間にどうしたんですか?」

P「いや、俺が聞きたいんだが……」

五十嵐響子(以下、響子)「いいじゃないですか♪ ほら、どこでもいいので座ってください」

P「あ、ああ……」スタスタ

晶葉「助手、まずいぞ3人相手は……」ヒソヒソ

P「分かってる、だが例の薬で操られてるわけじゃなさそうだし、うまくすれば戦闘は回避出来るはず……」ヒソヒソ

スタッ

P「ええと、メニューは……ていうかここ食券だったよな?」

美穂「この時間はオーダー制なんです。はい、メニューをどうぞ」スッ

P「そ、そう。あの、聞きたいんだけどいつの間にメイドカフェになっちゃったの……?」

卯月「さっきからですよ、さっきから!」

P(なんだよその某天海的な口調は……)

響子「それより! ご注文をどうぞ!」

P「あーはい。えっと……」

P(何か変なのが混ざってるが、選ぶべきか選ばざるべきか……)


選択肢
1.オムライス(ケチャップデコレーション付き)
2.卯月の愛情たっぷり「S(mile)ING!」
3.ポッキー
4.みほたんハートっ♪「Naked Romance」
5.ウサギさんの手作り団子
6.お料理得意なんですっ!「恋のHamburg♪」


↓2

P「じゃあ、この『恋のHamburg♪』を一つ貰おうかな」

響子「私を選んでくれるんですね! ありがとうございます!」

卯月「いいなぁ、響子ちゃん」

美穂「『Naked Romance』、オススメだったんですけど……」

P「はは、また今度ね……」

響子「じゃあ二人とも、プロデューサーさんをしっかり抑えてください!」

卯月・美穂「はい♪」スッ

P「えっなっちょっ、ハンバーグは!?」ガタッ

響子「食べさせてあげます、私の『恋のHamburg♪』!」

晶葉「異能だ!」

P「嘘ぉっ!?」


3vs1(!?)響子の異能、「恋のHamburg♪」の能力とは!?


↓2

響子「はいっ! 出来上がり!」コトッ

P「えっ、やっぱりハンバーグ!?」

響子「じゃ、じゃあ食べさせてあげますね、ごご、ご主人様っ……」スーッ

P「い、いただきます! っていうか俺を抑える必要はあるのか!?」

卯月「サービスです♪」ガシッ

P(サービス!? た、確かに何か柔らか~い感触が……)

響子「ああっ! プロデューサーさん、他の子のことは今考えたらダメですよ! 私を見てください!」

P「うんうん、響子の事だけ見てるよ」

響子「えへへっ。はい、あ~ん」

P「あーん、もぐもぐ……うん、おいしい!」

響子「いっぱい食べてくださいね♪」スーッ

P「はーい!」モグモグ

晶葉「なんなんだ、この緊張感の無さは……」

響子「最後の一口、あ~んっ」

P「あーん、っ~! おいしかった! 食べごたえあったよ」

響子「そうですか! じゃあ、もっとたくさん食べてくださいね!」スッ、コトッ

P「いいっ!? そ、それはちょっと……」

美穂「逃げたらダメですよ? プロデューサーさん」

P「わ、分かった、食べるよ……でもこれが最後、約束してくれ」

響子「……やっぱり美味しくなかったんですか?」

P「いや美味しい! おいしいけど、お腹が……」

P(腹の中でキノコとハンバーグが暴れている……)ゲフッ

響子「そうですか……じゃあ最後の一皿、じっくり味わってください!」スッ

P「あーん、もぐもぐ……あーん、もぐもぐ……」

P(拷問だよ、拷問……)モグモグ

P「……ごちそうさま」

響子「ありがとうございます! プロデューサーさんにお腹いっぱい食べてもらえて、私すっごく幸せです!」

P「うん、それは、よかったね……」ゲフッ

卯月「じゃあプロデューサーさん、次のメニューを選んでください」

P「えっ次!? 次があるの!?」

卯月「はい♪」

P「はいってお前そんなはっきりと……」

美穂「次は私を選んでくれますよね、プロデューサーさん」

P「何か重いぞ、美穂……」

晶葉「……助手、攻撃の意志は無さそうだしほどほどにして切り上げるぞ」

P「そ、そうね……」


選択肢
1.卯月の愛情たっぷり「S(mile)ING!」
2.ポッキー
3.みほたんハートっ♪「Naked Romance」
4.ウサギさんの手作り団子
5.ところでこのキノコを見てくれ
6.お会計お願いします……


↓2

P「じゃあ、軽くデザートということでポッキーを貰おうかな」

卯月「かしこまりました、ご主人様♪」スタスタ

美穂「あっ、卯月ちゃん! ……私が持ってきたかったのに~」

晶葉「…………」ハァ

P「ま、まあ束の間の休息ってことでいいじゃないか……」

卯月「お待たせしました!」スッ

P「えっ? な、なに、それ?」

卯月「ポッキーですよ?」カリッ

P「いや、なんで、口……」

響子「メイドさんとポッキーといったら、やることは一つしかないですよ! ほらっ」ガシッ

美穂「楽しんでくださいね♪」ガシッ

P「ま、マジで!? いいの!?」

卯月「ポッキーゲーム、がんばります!」

P「よ、よーし! やってやろうじゃない!」パクッ

P(普通のポッキーより少し長いらしい、一口の大きさにもよるがお互いが三回進めば口と口が触れ合うッ!)カリッ

卯月「♪」カリッ

P(あと2回ずつッ! 行くか、最後までいくのか……!?)

卯月「えへへっ」ニコッ

P「!」カリッ

P(ハッ! 思わず近づいてしまった、しかしそれほど笑顔がまぶしい!)

卯月「……っ」カリッ

P(あ、あと一回ずつッ! いいのか、本当にいいのか!?)

晶葉「お、おいっ! もうキスはしないとあの時言ったはずだぞ!」

P(! そ、そうだ……ってそれは解毒剤を飲ませるときの話では?)

カリッ

P「!」

美穂「わぁっ、もうキスしちゃいそう……」

響子「するかどうか、ご主人様が決めてくださいね」

卯月「…………」ドキドキ

P(おお、これは、これはもう……!)


選択肢
1.軽く触れる
2.ガッツリする
3.ダメだッ! ゲーム終了ッ!
4.美穂と響子を振りほどいて抱きつく


↓2

P(……待てよ、これは卯月の異能をコピーする絶好のチャンスなのでは!?)

卯月「んーっ……」

P(行けるッ! 両腕は掴まれているが、二人は所詮女の子!)

P「うおらぁ!」ブンッ

響子「きゃっ!?」ドサッ

美穂「プロデューサーさん!?」

P「卯月!」ダキッ

卯月「ふえっ!? ぷぷっ、プロデューサーさん!?」

P「キスがアリなんだから抱き締めるのもアリだよなぁ!?」

卯月「ええっ、き、キスもアリなんて言ってませんー!」

P(と言いつつ抵抗しない)

P「……! こ、この能力は……!?」


異能もがんばります(!?)卯月の異能、「S(mile)ING!」の能力とは!?


↓2

P(首を絞めた相手をポッキーに変えてしまう……!? というか、これポッキーって……)

卯月「……知ってしまいましたね、プロデューサーさん。私の『S(mile)ING!』を」

P「…………」

卯月「ところで美味しかったですか? そのポッキー」

P「卯月、お前……そんな、馬鹿な……」

卯月「あっ、勘違いしないでくださいね! そのポッキーはただのポッキーですよ?」

P「……」ゴクッ

P(別の異能を取り込んだ感覚は無い、本当なのか……?)

響子「……『ルール』を破りましたね、プロデューサーさん」スタッ

P「!」

ガシッ、ガタッ!

晶葉「助手!」

P「ふ、二人とも何のつもりだ、押し倒すなんて女の子のする事じゃあないぞ……」ジタバタ

美穂「どこにでもルールを破っちゃう人って居ますよね。『見るな』というものを見たり、『するな』ということをしたり……」

響子「『ポッキーゲーム』はキスするかどうかの緊張感を楽しむゲーム、なのに私たちを振りほどいて抱きついちゃうなんて」

卯月「そんなプロデューサーさんには────」

卯月・美穂・響子「『罰ゲーム』です!」ガシッ

ギュウウッ!

P「ぐっ、があッ……!」

P(卯月に馬乗りにされて首を絞められている、起きようにも響子と美穂が脚と腕を抑えて身動きがとれない!)

響子「ねえ、プロデューサーさんはどんな味がすると思う?」

P(ポッキーにするつもりかッ!?)

美穂「私は甘いと思う。プロデューサーさん、優しいから」

卯月「少ししょっぱさもあると思うな。だってプロデューサーさん、汗臭いですもん」クスクス

P「が、あッ……!」

P(ヤバい、ポッキーにされる以前に絞め殺されるんじゃないのか……!)

晶葉「このっ、助手を離せ!」ガシッ

P(晶葉……!)

響子「……邪魔な人はお掃除しないと」スッ、バババババ!

晶葉「!?」ヒューッ、ドサッ

P「あき、はっ!」

P(ハンバーグをマシンガンのように出して射撃攻撃!? んなことする奴初めて見たぞ、おいッ……!)

美穂「あーっ、響子ちゃん、それじゃあそれじゃあ余計に周りが汚れちゃうよ」

響子「あはは、失敗、失敗……後でちゃんと掃除しないと」

P「っ、ぐ……づき……」

卯月「あっ、もう10秒経ってましたね! それじゃあいきます、『S(mile)ING!』」

ピカァァァァ!

晶葉「っ、助手……?」

卯月「ふぅ。お菓子、上手に作れました!」

美穂「ぱちぱち!」パチパチパチ

晶葉「!? じょ、助手をどこへやった!」

響子「これのことですか?」スッ

Pッキー「」

晶葉「な、なに……?」

卯月「私の『S(mile)ING!』でポッキーにしちゃいました。一本しかないので、みんなで一口ずつ食べましょう!」

晶葉「そ、そんな……嘘、だ……」ガタガタ

美穂「誰から食べる?」

響子「じゃんけんしましょう!」

ジャーンケーン、ポン! アーイコデ……

晶葉「お、おい助手っ! 卯月の異能はコピーしたんだろう!? だったら自分で解除出来るはずだ!」

響子「あ、負けちゃった……」

卯月「言い出しっぺのなんとやら、ですね」

美穂「元より長くなってるよ卯月ちゃん」

卯月「あははっ、それじゃあ気を取り直して。負けませんよ!」

美穂「私だって! じゃーんけーん────」

晶葉「聞いているのか助手! 早く解除しないと、本当に食べられてしまうぞ!」

卯月「……晶葉ちゃん」

晶葉「なんだ、このっ……!」ウルッ

卯月「ポッキーになった人に、意識があると思います?」

晶葉「! そんな……本当、に……」ガクッ

卯月「じゃあ今度こそ、じゃーんけーん────」

「ぽん!」

美穂「やった、私の勝ち!」

卯月「負けちゃいました……」ガクッ

響子「美穂ちゃんが美味しいところを持っていったね、文字通り」

卯月「おおっ、うまいですね~!」

美穂「さっきから二人ばっかりで羨ましかったんだもん、次は私の番だよ」

卯月「それじゃあおいしく頂いてください、文字通り♪」

美穂「うん。あー────」スッ

晶葉「やっ、やめろーーーっ!」

美穂「んっ」カリッ

晶葉「!!!」

卯月「どうですか、どんな味ですか!」

美穂「……一口じゃ分からないや。えいっ!」カリッ

響子「あーっ! 二口目!」

卯月「美穂ちゃん、ズルいですよ!」

美穂「えへへっ、でも、長いからみんな二口食べられるよ」

響子「もー……美穂ちゃんにも罰ゲームしちゃうよ?」

美穂「ごめん、ごめんなさい!」スッ

卯月「響子の分が残らないかも……でも、私も二口食べちゃおっ」カリッ

響子「ああっ、卯月ちゃーん!」

晶葉「ううっ、く、なんで……っ」グスッ

アハハハハハ!

晶葉「プロデューサー、本当に……っ」

響子「あむっ。……もう終わり、だね」

卯月「無くなっちゃいましたね……」

美穂「もっと食べたかったなぁ」

晶葉「くっ、この……おいっ! 分かっているのか!」

卯月「何がですか?」

晶葉「プロデューサーだったんだぞ! 君たちの、そして、私の……! それをどうして、笑って食べられるんだっ!」

卯月・美穂・響子「…………」

晶葉「もう二度とプロデューサーは戻ってこない……っ、二度と戻ってこないんだ! ううっ……」グスッ

卯月「あの……」

晶葉「言い訳なんて聞きたくない!」

響子「そうじゃなくて、プロデューサーさんは……」

美穂「戻ってきますよ?」

晶葉「え……?」

美穂「私の『Naked Romance』は『食べた物を元に戻す』能力。ほら、二人とも口を開けて……」

シュウウウッ……

Pッキー「」

卯月「そして『S(mile)ING!』を解除して、元に戻します!」

P「……ハッ!」

響子「プロデューサーさん? ルールを破ったらダメですよ!」

美穂「もしまた破ったら、私たちが────」

卯月「今度こそ、本当に食べちゃいますよ? えへへっ♪」

P「え、あ、はい……」

P(なんだ、ポッキーにされて食われたのか……? しかし、身体は無事のままでいる……)

ダキッ

P「っ、あ、晶葉!?」

晶葉「良かった、本当に良かったっ……」ギュウッ

卯月「……あれ、もしかしてこの罰ゲーム────」

美穂「プロデューサーさんより晶葉ちゃんへの罰ゲームになっちゃった、かな?」

響子「ハンバーグで汚してごめんなさい! ちゃんと洗濯して返すから!」アタフタ

P「えぇ……?」


……

P「趣味悪すぎるだろ、おい……」

晶葉「そうだぞ……元に戻ったとはいえ、本当に一度殺したのと同じなんだぞ!」

卯月「ご、ごめんなさいっ! つい、うっかり」

P「うっかりで殺されたんじゃたまったものじゃないぞ、冗談じゃなく!」

美穂「ごめんなさい、お腹が空いてて……」

響子「イタズラしてみたくて……」

P「…………」

P(いくら薬で理性を失ってるとはいえ、頭のネジが何本か飛んでないとこんな罰ゲーム実行しないと思うんだが……)

P「……よぉし、じゃあ罰ゲームの罰ゲームだ! まず美穂と響子、俺に10秒抱きしめられる刑!」

美穂「ええっ!?」

響子「ば、罰ゲームで、そんなっ……!」

P「問答無用!」ダキッ

ギュウッ……

P「よし、二人は終わり!」

響子「はう……」

美穂「ぷ、プロデューサーさんと……」

卯月「わ、私には何を……?」

P「そうだな、実行犯は一番刑が重いよなァ晶葉?」

晶葉「そうだな。私は死刑でいいと思うぞ」

卯月「し、死刑!? ごめんなさい、本当にごめんなさいっ! 反省してます!」ペコペコ

P「さてどうしてやろうか……」


選択肢(黒幕へのヒントがあるのは2つです)
1.団子を食べた覚えがないが聞く
2.意識が残ったままポッキーにして食べる
3.ハンバーグ地獄
4.床に頭擦り付けて土下座しろ
5.キスしろ、なんて
6.罰ゲームなんてウソウソ、なにもしないよ


↓2

ハズレ(ヒントなし)


P「……そうだ」

卯月「な、なんでしょう?」

P「俺にキスしろ、なんて────」

チュッ

P「!」

卯月「よろしいですか、ご主人様♪」ニコッ

P(ああ、この笑顔に癒される~……)ヘナヘナ

晶葉「おいっ! キスしてどうするんだ! そこはもっとこう……何かあるだろ!?」

P「やっぱりキスが好きなのよ……」

晶葉「なんだと!? くっ……」

P「……っと、それはそれとして。お前たちの異能は危険だッ! 解毒剤を飲ませる! 口開けろッ!」

響子「な、なんですか────」

P「『恋のHamburg♪』ッ! 解毒剤入ハンバーグ!」シュッ

響子「!?」パクッ

美穂「きょ、響子ちゃん!?」

P「戻させはしないぞ、美穂ッ!」シュバッ

美穂「えっ!?」パクッ

卯月「えええっと、大人しく飲めばいいんでしょうか?」

P「そゆこと。はい」ヒョイッ

卯月「んくっ……あれ……?」パタッ



島村卯月「S(mile)ING!」
小日向美穂「Naked Romance」────────再起可能
五十嵐響子「恋のHamburg♪」

PM11:35

P「なんか……さっきからいいようにやられてないか俺たち?」

晶葉「輝子もこの三人も、もし志希の薬で洗脳されていたらアウトだったな」

P「だよなぁ、なんでいきなり弱くなっちゃったんだろう俺」

晶葉「それは今まで使えた異能が使えなくなったからだ」

P「ああ、そりゃそうだな。でもこんなんで『黒幕』を倒せるんだろうか……」

晶葉「……分からない」

P「…………、ぷっ」クスクス

晶葉「どうした、いきなり笑って」

P「いや、キノコとハンバーグとポッキーで団子を倒しに行くと考えたらちょっと笑えてきてさ……」

晶葉「…………」プクク

P「お、どうした? にやけ顔隠すなよ~!」

晶葉「にやけてないっ!」


選択肢(一つはラストバトルになります)
1.晶葉の部屋に行く
2.屋上へ行こうぜ……
3.外へ出よう


↓2

晶葉「外に出るのか?」

P「ああ。ずっと考えてたんだが、どうしてアイドルたちは家に帰ろうとしないんだ? もう夜中だぞ、夜中」

晶葉「理性を失ってるから、それで納得出来るだろう?」

P「本当にその一言で済ませていいのか? いくら理性を失ってるからってさあ……普通帰らない?」

晶葉「それはメタ的な都合だ。 そんなことを言ったらアイドル以外誰も居ないのもおかしいだろう」

P「ばっ、そういうことは言うな! ……とにかく今から、事務所を出て帰ろうとしたらどうなるかを試すんだ」

晶葉「なるほど、私たちが帰ろうとすれば黒幕が出てくる可能性もある」

P「それに中庭には夕美が居るから、話を聞くことも出来る」

晶葉「外の月を見れば、『月の女神』が誰なのかも検討がつくかもしれないな」

P「つまりいいことずくめってことよ! 急ぐぞ!」

晶葉「ああ!」


スタスタ……



P「退勤押してないけど帰っちゃうぞ!」タッタッタッ

晶葉「おい助手! 走らなくてもいいだろう!」

P「……うっ!」スタッ

晶葉「ど、どうした!? 攻撃を受けたのか!」

P「ち、違う、吐きそう……」

晶葉「な……馬鹿か、君は!」タッタッタッ

P「おええっ、マジで崩壊するっ……」ビクビク

晶葉「こんなところで戻すな! 一旦中に戻って────」

P「……いや、『戻す』と聞いて思いついた! 『Naked Romance』!」チュッチュワ

ボトッ、ボトッ

P「やっぱこのハンバーグが重かったんだよ」サスサス

晶葉「お腹の中のハンバーグを戻したのか……」

P「ゲロじゃないだけちょっとマシだろ?」

晶葉「……本当にちょっとだけな」

スタスタ……

P(さて、出口……)スタッ

ゴチン!

P「あ痛っ!?」

晶葉「これは……透明な壁のようなものがあるようだ」コンコン

P「壁ならちゃんと色付けておけよ……」

晶葉「…………」

P「どうした?」

晶葉「いや、この透明な壁といい、異能力者にする薬といい……黒幕はどこからそんなものを作り上げたのか気になってな」

P「確かに、そうだよな……志希でもお前でもない誰か、他にこんなすごい科学や化学の知識を持ったアイドルなんて居たかな?」

晶葉「……まあ、黒幕も『偶然』このような超技術を手に入れてしまったということもある」

P「そうかもなぁ。やりたいことが分からないんだよ、この黒幕。アイドルを異能力者にしていったい何がしたいんだ?」

晶葉「志希はそれらを知っていたからこそ、自分に追及出来ないような状況を作ったんだろう」

P「どっちにしろ帰るのは無理、なら中庭に言って夕美を起こそう」

晶葉「ああ、満月を見ても黒幕の検討はつかない……」

中庭

P「ん……誰か居る?」

晶葉「もう夕美と戦ってから大分経っているし、自分で起きたんじゃないか」

P「ああ、そうか。おーい、夕美ーっ!」

夕美「! プロデューサーさんっ」タッタッタッ

P「夕美……って、おいおい、泥だらけじゃないか」

夕美「泥じゃなくて土! もう、中庭中の草花がめちゃくちゃで……」

P「いや、それは……」

夕美「……分かってる、自分でやったんだよね。こんなかわいそうなこと……プロデューサーさんも晶葉ちゃんも、本当にごめんねっ」

P「ああ、別に夕美が自分の意志でやったんじゃないから気にしてないよ」

夕美「……どういうこと?」

P「事情は一見簡単そうに見えて複雑なんだが────」

晶葉「ややこしい言い方をするな」

夕美「そうだったんだ……じゃあ、後は悪の親玉を倒すだけなんだねっ」

P「そういうこと」

P(悪の親玉って……)

夕美「私に出来ること、何かあるかな? もう力は使えないけど……」

P「あるよ、だからここに来たんだ。夕美、今日団子を────」

ガサガサガサ!

晶葉「誰か居るぞ!」

P「くっ、まったくいいタイミングで……!」

川島瑞樹(以下、瑞樹)「いえーい! 川島瑞樹ちゃん登場ーっ!」ザザッ

P「……」

晶葉「……」

夕美「あ、あはは、は……」

瑞樹「か、完全に滑っちゃったじゃない……ノリを合わせてくれても良かったのに」

P「あの、あなた誰ですか」

瑞樹「か・わ・し・ま・み・ず・き! プロデューサーくん、これ以上先へは進ませないわよ?」

P「ゴール一歩手前で、勘弁して欲しいですけどね……!」



多分次がラストバトルね、わかるわ(?)瑞樹の異能、「Angel Breeze」の能力とは!?


↓2

晶葉「助手、この口ぶりからして私たちを確実に倒すつもりだぞ。絶対に油断するな!」

P「ああ、分かって────」

ビュヒュオオオオッ!

P「うわあっああっ!?」ヒューン!

晶葉「助手っ!? くっ、体が……!」

夕美「すごい風っ、お花が飛んじゃう!」

瑞樹「『名は体を表す』って言うけれど、私の異能に限っては真逆よね……『Angel Breeze』が強い風を起こす能力なんて」

P(夕美の時と同じ……シンプルゆえに強い異能ッ!)

瑞樹「でもこれはもう一人の私、誰しも裏があるってことなのよね……わかるわ」

P「一人で何キメてるんですかッ! 勝ったつもりじゃあないでしょうねッ!」

瑞樹「だってプロデューサーくん、その状況で何が出来るの? 私があとほんの少し力を込めて吹き飛ばせば、落下の衝撃で気絶確実よ?」

P「それはどうでしょうね……それに川島さん、晶葉は夕美も巻き込んで吹き飛ばせるっていうんですか!」

瑞樹「……出来るわよ?」

P「!?」

ヒュウウウウッ!

夕美「きゃあああっ!」

晶葉「くっ、助手っ……!」

P(本当にやりやがったッ……!)ヒューン

瑞樹「大人って非情なのよ、プロデューサーくん。……まあ、川島のお姉さんは優しいけど?」スッ

ヒュウウウ……

晶葉「……!」

夕美「落ちて、ない……?」

瑞樹「二人は風で受け止めればいい。地面に落ちるのはプロデューサーくん、あなた一人だけよ!」

P「うおおおっ!?」ヒュー……

P(まずい、このままでは本当に落ちて気絶する! 一か八かだがやるしかないッ!)

P「『恋のHamburg♪』……最大パワーッ!」

ヒュー……ボトッ!

瑞樹「えっ? な、何あれ……」

夕美「大きな、ハンバーグ……!?」

P「『恋のHamburg♪』は美味しいハンバーグを無限に作りだす能力ッ! その大きさや形、ソースは決められていないッ!」

晶葉「巨大なハンバーグを自分を受け止めるマット代わりにしたということか!」

P「そういうことよ……って熱いッ! 美味しいハンバーグだから熱いッ!」バッ

瑞樹「ハンバーグを無限に作り出すって、物理法則も何もあったものじゃないわね……」

P「シンプルな能力ほど強力、それは『恋のHamburg♪』も同じですよッ!」バシュンバシュン!

瑞樹「!?」ヒュウウウウッ!

ボトッ、ボロッ……

P「一口大のハンバーグを弾丸のように射出するッ! ……やはりその風は身を守るのにも使えるらしいですね」

瑞樹「……その『恋のHamburg♪』、舐めてかかると一瞬でやられちゃうわね」ヒュウウッ

P「ええ、手加減はしませんよ!」スッ

夕美「すごい……ハンバーグで戦ってる」

晶葉「異能も使いようだな……」

瑞樹「ハンバーグを出す間もなく吹き飛ばしてあげるわ!」ヒュウウウウッ!

P「無駄ァ!」スッ

ドスンドスンドスン!

瑞樹「ハンバーグで自分の身を囲む……!? そんなのってありかしら?」

P「風よけにハンバーグは最適ですよ、川島さん」

瑞樹「それは結構だわ。でも『Angel Breeze』の風力はこんなものじゃないわよっ!」ヒュウウウウッ!

P「!」

P(ハンバーグごともっていかれるッ!)ヒューン

瑞樹「そのまま吹き飛びなさい!」

P「まだッ! ハンバーグ!」ドバババババ

晶葉「ハンバーグの射出を推進力にするのか……!? そんなことが……」

瑞樹「それじゃあ足りないわよーっ!」ヒュウウウウウウッ!

P「まだだっ、ハンバーグの力はこんなものではないはずッ……! 」ジュバーッ!

夕美「両手から茶色い液体が勢いよく出てきたっ! ……あれはなに?」

P「ソースッ! ハンバーグとソース両方ならば!」ブシュウウッ

瑞樹「くっ、少しずつ近づかれてる……!?」

晶葉「いいぞ助手! そのまま本体まで接近するんだ!」

P「言われなくてもッ!」ドバババババッ

瑞樹「やるわね、でも風の吹く方式は一つじゃないわよ!」ヒュオオオッ

P「ぬおおおっ!」ドヒューンッ

P(下から吹き上げたッ!? 横に吹き飛ばそうとする風と合わせて二方向からの攻撃ッ! ハンバーグのパワーが足りない!)

瑞樹「終わりよ、プロデューサーくん。今と同じことを『上』からやったらどうなると思う?」

P「!」

晶葉「そんなことをすれば、助手の体はとてつもない勢いで地面に叩きつけられる……!」

夕美「そんなっ! プロデューサーさん!」

P(くっ、どうする……!?)

瑞樹「巨大なハンバーグを出しても関係ない勢いで落としてあげるわっ!」スッ

ヒュオオオオオオオッ!

P「!」スッ

ベチャーン!

瑞樹「また巨大なハンバーグ……でも、そんな物は関係無いって言ったはずよ」スタスタ

夕美「ど、どうなっちゃったのかな……」

晶葉「ハンバーグの表面に助手の姿はい……貫いたが途中で止まったか、あるいは地面まで……」

瑞樹「……! ハンバーグに穴が空いていない!?」

晶葉「何……!?」

夕美「プロデューサーさんっ!?」

瑞樹「確実にここへ落としたはず……プロデューサーくん! 生きているなら返事をしなさい!」

バシュッ、ガシッ

瑞樹「!」

P「俺はここですよ、川島さんッ!」スタッ

晶葉「は、ハンバーグの中から……!」

瑞樹「どういうこと、なぜハンバーグの中に空洞がっ……」

P「『空洞のあるハンバーグ』、そして俺のこの姿を見て分かりませんか?」ベチャベチャ

瑞樹「その黄色いものは……まさかチーズ!?」

P「チーズインハンバーグ! 自分を包み込むように作り出したんですよッ! ……チーズと肉汁の熱さで気絶しかけましたけどね」

瑞樹「まさか、そんなことまで出来るなんて……!」

P「さあ、今度はこっちが攻撃する番ですよ川島さん! 風を破るハンバーグは……こいつだッ!」


選択肢(二つ正解)
1.キノコソースッ!
2.イチゴソースッ!
3.石焼きハンバーグッ!
4.大事なのは付け合わせ!

↓2

正解!


P「石焼きハンバーグッ! 喰らえ!」ドシュッ

瑞樹「これで私の風を破る? わからないわ!」ヒュウウッ!

P「……」ニヤリ

瑞樹「な、何、その不敵な笑みは……」

ジュウウウッ……

瑞樹「! こ、この音はなに!?」

P「石焼きハンバーグってプレートに乗って出てきますよねぇ、ジュージューでたまに油が飛んでくるやつ……」

瑞樹「何が言いたいの!?」

P「石焼きにしたのはこのチーズインハンバーグッ!」

瑞樹「!?」

ジュワアアアアッ!

P「プレートの上へ落ちれば高温の油で火傷しますよ!」

瑞樹「それがどうしたの! むしろプロデューサーくんを倒しやすく────」

P「『Naked Romance』ッ!」ゲボオッ

シュウウウン!

瑞樹「あ、足が……!」

P「ハンバーグの中から出てくる時その部分を食べていたッ! そして川島さんの足もろとも元に『戻した』!」

ジュウウウ……

瑞樹「熱いっ……! 石焼きにしたのは油の飛沫を当てるためではなく、再加熱して私の足へ確実にダメージを与えるため……!」

P「さあ、レディーにその熱さは酷でしょう。負けを認めてください」スタスタ

瑞樹「そうね……引き際も肝心って言うし」

P「そうですよ。すいません川島さん、解毒剤を飲ませる前にちょっと抱き締めても────」

晶葉「助手ーっ! 油断するなっ!」

ヒュウウウウッ!

P「!?」ヒュー……

瑞樹「甘いわね、プロデューサーくん……大人は非情なのよ、他人だけじゃなく、自分にも」

ジュウウッ!

瑞樹「……丸焼けかしら。はぁ……こんな勝ち方しか出来ないのね」

P「……誰が丸焼けですってッ!?」ヒューッ

瑞樹「!」

ダキッ

P「『Naked Romance』で『戻す』力はとてつもなく強い! チーズソースを口に含んだまま戻せば、こいつに引き寄せられるってわけですよッ!」シュウウウ……

瑞樹「そして、私の足の隙間から中に戻っていく……負けたわ。甘かったのは、私の方ね……」

P「年は川島さんの方が上でも、戦いの経験は俺の方が上だったんですよ」ギュウッ

瑞樹「くーっ、言うわね~若輩者!」

P「ははは……10秒! 続いて解毒剤を飲ませます!」

瑞樹「超能力でバトルなんて、凄く若々しかったわ……ありがとう、プロデューサーくん」

ゴクッ、パタッ

P「……超能力じゃなくて異能ですって、川島さん」


川島瑞樹「Angel Breeze」────再起可能


……

夕美「やったねプロデューサーさん! 凄いハンバーグ捌きだったよっ!」

P「いやぁ、自分でもハンバーグをああも使えるとは思わなかったよ」

晶葉「異能のコピーもまずまずの数になった。『黒幕』と戦う準備は整ったな」

P「ああ。夕美、話を聞こうとおもったがちょっと荒っぽい方法で行くぞ。口を開けててくれよ」

夕美「……? うん」・ワ・

P「『Naked Romance』! 夕美が食べたはずの団子を元に戻す!」

晶葉「で、出来るのか!?」

P「分からんが、やってみる価値はある!」ググググ

夕美「……! な、何か、来ちゃうっ……!」

ポヒューンッ!

P「うおっととと!」パシッ

夕美「お、お団子が出てきちゃった……」

P「一応聞くが、これ、誰から貰った?」

夕美「えっ、と……あれ……? 誰だったかな……」

P「……そうか、無理に思い出さなくてもいいよ。この団子を調べれば正体が分かるはずだ」

夕美「ちょ、ちょっと待って! 確か、う、じゃなくて、な……?」

P「……分からん」

夕美「……ごめん」

P「いいっていいって、これをくれただけで十分」

夕美「でも、それ私の口から出てきたんだよ! ……汚いよっ」

P「いや、別に食べるわけじゃないから。気にしないよ」スッ

晶葉「それを調べるなら私の部屋だな」

P「……ああ。いよいよだ」


選択肢(一つはラストバトルになります)
1.晶葉の部屋に行く
2.屋上へ行こうぜ……


↓2

続きはまた今度書きます

東棟三階 晶葉の部屋

P「あ~、マジかよ……」

晶葉「……しまったな」

P(晶葉の部屋にあるパソコンなどの機械類はみくがすべて壊していたんだった……)

晶葉「一応、顕微鏡はあるが……調べてみるか?」コトッ

P「おお、懐かしいなこれ。理科室にあるやつじゃないか」

晶葉「助手」

P「はいはい。つっても、顕微鏡だけでなんか分かるのか?」

晶葉「……正直、これまでに分かっていた以上のことを見つけるのは難しい」

P「そうか……」

ウィーン、ウィーン

P「なんだ!?」

晶葉「調整中だったウサちゃんロボが何かに反応している!」スタスタ

P「なんだ、ロボは無事だったのか」

晶葉「頑丈だからな、そう簡単には破壊出来ない」カチャカチャ

P(それぶっ壊した智絵里の異能ってどんなのだったんだ……?)

晶葉「しかし、いったい何に反応を────」

「そこまでよ!」

P「!」

片桐早苗(以下、早苗)「プロデューサーくん? ちょ~っとオイタが過ぎたようね!」スタッ

P「早苗さん……よりにもよって婦警の格好で」

早苗「悪者を捕まえるにはこれが一番よ。さ、大人しくお縄につきなさい!」

P「ちょ、ちょっと待ってください! 俺が何したっていうんですか!」

早苗「事務所をこんなめちゃくちゃにしておいて『俺が何した』はないわね~、プロデューサーくん」

P「いや、まあそりゃ確かに俺がめちゃくちゃにした部分もあると思いますけど……」

P(おもに中庭とか)

P「けど、本当に逮捕しなくちゃあいけないのはこの事件を起こした『黒幕』でしょうがッ!」

早苗「問答無用! これ以上口ごたえするなら武力行使に移るわよ!」

P(くっ、やはり志希の薬で操られているか……)

晶葉「これは……どういうことだ……?」

P「あのですね! 川島さんといい、夜が深まったからってあなたたちの時間じゃないんですよ! ……って、どうした晶葉?」

晶葉「ウサちゃんロボが反応していたのは────」

早苗「言ってくれるじゃない! だったらもう容赦しないわよ、『Can't Stop!!』」

P「っ……!」



ラストバトルじゃなかったよ川島さん(!)早苗の異能、「Can't Stop!!」の能力とは!?


↓2

早苗「てやっ!」バシッ

P「うおっ!? か、格闘ッ!?」

早苗「柔道剣道合気道! お姉さん強いのよ!」バッベシッ

P「そっ、そりゃ分かってますって……!」

早苗「隙あり!」ガシッ

P「うわあああっ!?」

バシーン!

晶葉「助手!」

早苗「背負い投げ、一本! 弱いわね~プロデューサーくん」

P「い、痛え……マジで痛え……」

早苗「受身とらないからよ。立てる?」スッ

P「あ、はい、すいません……」スタッ

早苗「……ほら、自分が何をやったか、私に話してみなさい」グイッ

P「えっ……?」

ムニュン

P「なっ、なな何してるんですかッ!? 右手胸に当たってますよッ!」

早苗「当ててんのよ。……恥ずかしいんだから、早く吐いちゃいなさい」

P「あっ、は、はい……」

P(なんだ……自分の罪をはっきり認めなきゃいけない気がしてきたぞ……)

早苗「『事務所をめちゃくちゃにしたのは自分です』……そうでしょ?」

P「……はい、俺がやり────」

晶葉「助手っ! 敵の好きにさせるな! それが異能だ!」

P「ハッ! そ、そうか! 早苗さん、俺はやってない、信じてください!」

早苗「なによ、往生際が悪いわね。この際プロデューサーくんが本当にやったかどうかなんて関係無いの!」

P「それが警察のやり方ですか!」

早苗「うるっさいわね、これならどう!?」ガシッ、スーッ

ムニュン

P「はひゃあっ!? りょ、両手が両胸にぃッ……」

早苗「このダイナマイトボディにかかれば男なんてイチコロよっ。さあ、罪を認めてもらおうかしら!」

晶葉「ダメだ! それは負けを認めるのと同じだぞ助手!」

P「……晶葉」

早苗「ウソ、まだ平気なの……!?」

晶葉「よし、それでこそ私の────」

P「俺もう、このダイナマイトボディを好きに出来るならなんでも吐いちゃうッ! 何でも認めちゃうよッ!」モミモミ

晶葉「な……っ、この変態! スケベ! 好色男っ!」

早苗「誰が……」プルプル

P「なんとでも言えッ! 認めます早苗さん! 俺が全部やりました~!」モミモミ

早苗「誰、がっ……」プルプル

P「早苗さん? 早苗さ~ん?」

早苗「誰が揉んでいいって言ったのよッ!」ガシッ

P「へっ?」

ドガッ! ボゴッ! グシャアッ!

P「は、ひ……」ピヨピヨ

早苗「はあっ、はあっ……プロデューサーくん、いつの間にこんな変態になっちゃったのよ」

P「こ、これは、サイキックラッキースケベというやつで……」

早苗「あぁ!?」ゲシッ

P「うぎゃあ!?」ドサッ

早苗「なにがラッキースケベよっ! 明らかに自分から揉んだじゃない! それにサイキックでもなんでも無いわ!」ゲシゲシ

P「ほひょぉ……」

晶葉「さ、早苗、もうそのくらいで────」

早苗「早苗?」クルッ

晶葉「早苗、さん……お願いします」

早苗「はあっ。そうねぇ~、ボロ雑巾みたいになっちゃったし、さすがに可哀想かしら」ガシッ

P「…………」

早苗「プロデューサーくん? ノビちゃったの~?」ペシペシ

晶葉「これまでのどんな異能より、暴力が一番強いとは……」

早苗「何か言った?」

晶葉「い、いや……」

P「今、だッ……!」

早苗「!」


選択肢(正解は二つ)
1.最後の力を振り絞って抱きつく
2.吹き飛ばせ「Angel Breeze」ッ!
3.「戻す」!
4.ポッキーにしてやらぁ!

↓2

正解!


P「『Angel Breeze』ッ!」ヒュウウウウッ!

早苗「きゃあっ!?」ビターン、ドサッ

P「っ、はあっ、女相手に大人げないと思う輩もしれないが……戦場ではそれが命取りになるんだ……容赦はしないッ!」

晶葉「……誰に話しかけているんだ?」

P「独り言さ、ボコボコにされてアドレナリンが止まらないんだよ……っ」グラッ

晶葉「大丈夫か!?」タッタッ

P「そのまま返すぞ、大丈夫か? 変態スケベ好色男に近づいて……」フラフラ

晶葉「冗談を言ってる場合か! 今手当を──── 」

早苗「っつー……やってくれるじゃない」スタッ

P「なっ、壁に叩きつけたんだぞッ!? ほとんどダメージを受けていないなんて……」

早苗「ちっちっち、あたしを誰だと思ってるの? 片桐の早苗さんよ!」バイーン

P「はっ、そうか! そのHカップのグラマラスが衝撃を和らげたんだなッ!」

早苗「んな訳あるかーい!」タッタッタッ

P「くっ、しかしもう近づかせはしないッ! 『Angel Breeze』ッ!」ヒュウウウウッ!

早苗「きゃあっ! なによ、この風……!」グググ

P「めくれないタイトスカートなのがちと残念だが、まあいい。これで近づけないですよッ!」

晶葉「おい」

早苗「つくづく変態になっちゃったわね! もう逮捕よ、絶対に逮捕するんだから!」

P「やれるものならやってみろッ! 28
歳ッ!」ヒュウウウウッ!

早苗「年を……年を言ってくれたわねえええっ!?」グイグイグイ

P「うおおっ!? こ、この強風の中突き進んでくるッ!?」

晶葉「も、もっと風力を強めるんだ! 捕まったら今度こそ殺されてしまうぞ!?」

P「し、しかし、それやると本気でケガさせちゃうし……」

晶葉「その甘さが命取りになると言ったのは誰だ!」

早苗「さあ、プロデューサーくんの罪を数えてあげるわ……一つ! 事務所をめちゃくちゃにした罪!」スタッ

P「一つ罪を数えるごとに一歩進んでくるッ!?」

早苗「二つ! その罪を認めず抵抗してきた罪!」スタッ

P「いや認めましたよねッ!? さっき認めましたよね!?」

早苗「そして三つ! よりにもよって、このあたしの両胸をめちゃくちゃに揉みしだいた罪っ! これは重罪よ!」スタッスタッ

P「二歩進んだッ!?」

晶葉「実況している場合か! 早く風を強めるんだ!」

P「くっ……し、仕方ないか……」スッ

晶葉「! ど、どういうつもりだ!?」

早苗「両手を上げて降参、ってこと? いいわよ、この風を止めてくれたらそれを認めてあげる」

P「ふふ、ありがとうございます……でも風を止める前に、早苗さんも両手をあげて、これ以上俺をボコボコにしないと言ってくださいよ。じゃないと安心出来ませんから」

早苗「はぁ、しょうがないわねぇ……これでいい?」スッ

P「今だッ!」

早苗「!?」

ビャオオオオッ!

……ファサッ

P「下から吹き上げる風で制服を脱がせたッ! お似合いのブラジャーですね早苗さん!」

早苗「な、なんてことしてくれるのよ……信じた瞬間裏切ったわね!」

P「言ったはず! 女だからなんだからと情けをかければ、戦場ではそれが命取りになるッ!」

早苗「……そう、じゃあいいわ。そのまま風で私を攻撃しなさい」

P「負けを認めるんですか?」

早苗「認めない。でもこんなブラジャー、さっきみたいな強風が吹いたら一瞬で飛んでっちゃうでしょうね」

P「!!!」

早苗「プロデューサーくんがその最後の一線を越えるっていうなら、もう私の負けよ。ただし、そんなことをすればもう終わりよ……人としてね」

P「…………」

早苗「私はまた一歩ずつ進む。もし風を吹かさず素直に私を近づけてくれたら、その時は痛みを感じないように気絶させてあげるわ」スタッ

P「くっ、早苗さん……!」

晶葉「助手……なんとか別の手を考えるんだ、アレだけは吹き飛ばしてはいけない……」

P「…………」

早苗「あと三歩」スタッ

P「……痛みを感じさせず気絶させるっていうのは、どういう?」

早苗「ん? 首の後ろをこう、シュタッ! とやるのよ。あと二歩」スタッ

P「…………」

早苗「あと一歩……良かったわ、更正の余地はあるみたいね」スタッ

晶葉「助手……!」

P「……ふふ、ハハハ。更正の余地はある? そんなことを決める権利が早苗さんにあるんですか?」

早苗「! まさか────」

P「あと一歩というところまで待ったのは! より近くでそのボディを堪能するためだッ! 『Angel Breeze』!」

晶葉「お、おいっ!?」

プチッ、ヒュウウウウッ!

早苗「や、やりやがったわね!? ホントのホントに、私のブラを剥いだわねえええっ!?」バッ

P(早苗さんが胸を両腕で隠すこの一瞬しか、抱きつく隙は無い!)タッタッタッ

ダキッ!

早苗「なっ、ちょっと、プロデューサーくん!? どこまでやるつもり!?」

P「勝つためなら何だってやってやりますよッ! 『黒幕』まであと一歩なんだ!」ギュウウッ

早苗「くうっ、『Can't Stop!!』 プロデューサーくん、己の罪を自白しなさい!」

P「……ここで負けてゲームオーバー、そしたらそれが一番の罪になっちゃうんですよッ!」ギュウウッ

早苗「なんです、って……!?」ウググ

P「10秒! 続いて解毒剤を飲ませる、『恋のHamburg♪』ッ!」バシュン!

早苗「んぐっ!?」ゴクッ

P「……解毒剤入りのハンバーグは、バブルのように弾ける味ですよ、早苗さん」

早苗「適当言うんじゃないわよ……美味しい、じゃない……」パタッ


片桐早苗「Can't Stop!!」────再起可能

P「はあ……っ、勝つにはかったが、冗談抜きで一番ダメージを負った戦いだった……」ガタッ

晶葉「それに人としても終わったな」

P「し、仕方ないだろ!? 勝たなきゃいけないんだから」

晶葉「まあ私は責めないが、早苗……さんが起きたあとどうなるかは知らないぞ」

P「うわぁ、今から嫌になってきた……」

晶葉「……さっきの話の続きだ。ウサちゃんロボはそのお団子に反応していた」

P「これか」スッ

晶葉「うむ。それが意味するのは……」

P「意味するのは?」

晶葉「この団子を作った人物が[ピーーー]、ということだ」

P「え……!? 嘘だろ、おい……!」

晶葉「私も信じられない。まさか、彼女が……」

ウィーン!

P「ウサちゃんロボが動いた!?」

晶葉「そんなはず、まだ修理は済んでないぞ!」

ガシャーン、ガシャーン

P「と、とにかくついていくぞ!」

晶葉「……ああ」

PM11:52 屋上

ガチャ、キィーッ……ヒュウウッ……

P(夜風が涼しい……ってそんな場合じゃない)スタスタ

ガシャーン、ガシャーン……プシューッ……

P「止まった……?」

晶葉「動力が切れたんだ。しかし、どうして勝手に……」スタスタ

P「…………」

晶葉「……助手?」クルッ

P「満月って、あんなに近かったか……?」

パッ!

P・晶葉「!?」

「そのとき空から、不思議な光が降りてきたのです……」ピカァァァ

晶葉「あ、あれは……」

P「誰だ、誰だー、誰なんだー!」

安部菜々(以下、菜々)「それは……ナナでーっす☆」スタッ

P・晶葉「…………」

菜々「ああっ、ちょっと引かないでくさい! ……って、いつまでやらせるんですかーっ!」

P「いや、そっちが振ってきたんでしょうが……」

菜々「そんなことより! ……よくぞここまでたどり着きましたねプロデューサーさん、晶葉ちゃん」

P「まあ、ロボに案内されたんだけどな」

菜々「私がしたんですよ! ブイッ☆」

晶葉「……ウサミン、本当に君がやったのか? 今回のこと、全て」

菜々「はい。このお団子……『USAMIN錠』を食べさせてみなさんを異能力者にしたのは、私です」スッ

晶葉「どうしてだ! それに、どこからそんなものを……」

菜々「……聞きたいですか?」

P「当たり前だッ! こんなことをした目的はたっぷり喋ってもらうぞ!」

菜々「そうですか、じゃあ、驚かないでくださいね。……ナナは、カシオペア座の第28惑星系『ウサミン星』から来た宇宙人なんです」

P「……は?」

菜々「この『安部菜々』という体も、本当は借り物でしかないんです。……ナナはウサミン星から、地球を征服するためにやって来たんですよ」

晶葉「な……そんな、そんなことが……」

P「信じられるかッ! ウサミン星ってのは、電車で向かえば一時間の場所にあるんだろう!」

菜々「そ、それはただの歌の歌詞ですよ……」

P「だからって、いきなり『宇宙人です』なんて言われて『はいそうですか』なんて納得出来るわけない!」

菜々「プロデューサーさんは見てきましたよね、数々の異能を、事務所の外にあった透明な壁を……それは全部、ウサミン星のテクノロジーなんです」

P「そりゃあ、アレは宇宙人の技術って言われたら納得する代物だけど……菜々が宇宙人なんて!」

菜々「……本当ですよね、私も信じたくないです」

P「え……」

晶葉「どういうことだ?」

菜々「ナナは元々、地球人の文明や軍事レベルを調べるための、いわゆるスパイだったんです。母星から一人でこの地球に来ました」

P「それで永遠の17歳として地球を探ってたと?」

菜々「……いいえ、ナナは地球に降りてこの体になった時、記憶を失ってしまったんです」

晶葉「なんだって……!?」

菜々「宇宙船の呼び出し方も母星との通信方法も、自分のやって来た目的も全部忘れて……地球に来る時に作った『安部菜々』の記憶だけが残ったんです」

P「その安部菜々は、ウサミン星人であることを自称していたじゃないか!」

菜々「そうですよ。そして安部菜々は歌って踊れる声優アイドルを目指していました……『ウサミン星』という単語を地球人に刷り込んでおくためとは知らずに」

P「……そういうことかよ、くっ」

晶葉「ずいぶんと小規模な刷り込み活動だな……」

菜々「ナナはあくまでスパイですから。地球人のことを報告すれば、それで任務は終わりのはずでした」

P「……しかし、記憶を失ってその任務は長い間遂行出来なかった」

菜々「はい。……ナナが記憶を取り戻したのはほんの1ヶ月前のことです。満月に向かって『ウサミン星のバカヤロー!』と叫んだら、それが宇宙船を呼び出す合図でした」

P「お、おう……」

菜々「何が起きたのか分からなくて、でもそれに入らなきゃいけないような気がして、ああでもやっぱり────」

P「分かった、もう分かった! 宇宙人であることは信じる! でもどうしてこんんなことをしたんだ!」

菜々「言ったじゃないですか、地球を征服しに来たって。ウサミン星は悪い星だったんですよ」

P「征服ったって、菜々はただのスパイだったんだろう!?」

菜々「そうですよ。でもナナが急いでみなさんを異能力者にしないと、ウサミン星から大艦隊がやって地球は終わりですから」

晶葉「なんだと……!?」

菜々「ナナが記憶を失っている間に母星は別のスパイを送り込んで……その人が『地球人の文明はとても危険』とかなんとか報告しちゃったみたいで……」

P「巨大な戦力を投入して征服することにしたっていうのかよ!?」

菜々「はい。大艦隊が来たら、多分なすすべ無く人類は滅ぼされちゃいます」

P「嘘だろ、おい……」

菜々「征服は避けられないにしても
……ナナは助けたいんです、プロデューサーさんを、晶葉ちゃんを……。この事務所のみんなだけは、なんとしても」

晶葉「だから異能力者にしてウサミン星人の手先にしたと、そう言いたいのか……!?」

菜々「はい。USAMIN錠が足りなくて全員とはいきませんでしたけど、アレは地球にあるものでも複製できるので、大艦隊が来るまでには、なんとか」

P「なんつースケールのデカい話だ……」

晶葉「……大艦隊自体をどうにかすることは出来ないのか?」

菜々「無理ですね。アニメに出てくるスーパーロボット、分かりますか? ああいうのがウサミン星には本当にありますから」

晶葉「…………」

菜々「プロデューサーさん、晶葉ちゃん、投降してください。きっと……きっとみんなウサミン星で幸せに暮らせます! アイドルって文化はないですけど……」

P「……それは無理だな。本当は分かってるんだろ?」

菜々「え……」

P「わざわざアイドルを異能力者にしたのは、そうでもしないとウサミン星には行けないからだ」

菜々「ち、違います! 事情を話しても誰も信じてくれないと思って────」

P「いいや、今みたいに真摯に話して透明な壁でも見せれば誰かは信じたはずだぜ、少なくとも俺は信じる」

菜々「…………」

P「そうしなかったのは……異能力者という兵隊にしなければ、俺たちみたいな一般市民は捕虜にもならない……ってところだろ?」

晶葉「……やはり、異能力者にしたアイドルは侵略者の手先というわけか」

菜々「分かってくださいっ……ただ殺されてしまうよりはずっとマシなはずです! ウサミン星と地球の軍事レベルに差がある以上は、戦争を生き残ることだって難しくはないんです!」

P「……だが、それを話すことはしなかった。志希だけには教えたのかもしれないが、他のみんなに事情を話して、異能力者にするかどうか尋ねることはしなかった!」

菜々「っ……」

菜々「それは……仕方のないことだったんです」

P「あるいはそれは正しい選択なのかもしれない。間違っていたとしても、菜々は本当に俺たちのことを考えてこうしたことは分かった」

菜々「はい、だからお願いします。私と────」

P「だが、プロデューサーとして言わせてもらえば……俺のアイドルを兵隊にして戦わせようって奴を、見過ごすわけにはいかないんだよ!」スッ

P(その先で、みんな死んでしまうとしても……)

菜々「そんなっ……戦うしかないんですか!?」

晶葉「…………」

菜々「晶葉ちゃん……!」

P「……晶葉、多分俺がやろうとしてるのは間違ったことだ。ここまできて最後はバッドエンドさ。それでもいいか?」

晶葉「私には……もう、どうすればいいか分からない……」

P「……そっか。全部終わったら、どっか旅行でも行くか」

晶葉「……それなら月に行きたいな、あの大きな月に」

P「じゃあ、ロケット作れよ? いっそ人類全員乗れるぐらいのスペースシャトルをさ……」

晶葉「ははは、無茶を言うな、本当に……」

菜々「プロデューサーさん、ナナは、ナナはっ……!」

P「23時57分。時間がないから、速攻でケリを着けるぞ……!」


ラストバトル! 菜々の異能、「メルヘンデビュー」の能力とは!?

↓2

P「『Angel Breeze』ッ! 吹き飛ばせ────」

ヒュウウウウッ!

P「なに……ッ!?」ドサッ

菜々「やめてください! どんな異能力者でも……ナナの『メルヘンデビュー』に勝つことは出来ないんです」

P「はは、こいつめ……戦うつもりは無いとか言っておきながら、異能を使ってるじゃないか」

菜々「プロデューサーさん! もうやめてください!」

P「勝てないとか言われると張り合いたくなるんだよッ! 『恋のHamburg♪』、ハンバーグを弾丸にして────」

バァン!

P「ぐ、はっ……」ドサッ

晶葉「助手!」タッタッタッ

P「くっ……そうか、分かったぞ……俺の能力を跳ね返しているんだな! そいつは、強力だ……!」スタッ

菜々「……『跳ね返す』なんて弱い能力じゃありませんよ」

P「なに……?」

菜々「『メルヘンデビュー』の前で異能はまったくの無意味です。なぜなら、『私が発動した』ことになるんですから」

P「だったら、俺が異能を使った瞬間菜々がそれを使ったことになり、俺が異能を使った事実は消えるということか……!?」

菜々「すべての異能力者はナナの前では等しく無能力。この力さえあれば、みなさんを異能力者にしてもナナは反逆されたり、裏切られたりはしないんです」

P「そうかな! だったら異能を使わず倒せばいいだけだッ!」タッタッタッ

菜々「……もう、やめてください」スッ

ゴチーン!

P「ぐうっ、透明な壁……!?」

菜々「プロデューサーさんは異能のパワー無しにこの壁を壊せません。ですが、菜々がいる限り異能は発動出来ないのと同じ。……詰みですよ」

P「くっ!」

晶葉「……この絶対防御は完璧だ。投降しよう、助手……私たちでは、勝てない」

P「晶葉……!」

菜々「晶葉ちゃんの言うとおりです。さあ、プロデューサーさん」

P「あ、諦めないぞッ! 志希との戦いで分かったんだ、諦めなければ、最後まで戦えば勝機はある!」

菜々「無理なんですよ……プロデューサーさんがナナに勝つことも、地球がウサミン星との戦争で勝つことも……絶対にあり得ないんです」

P「どうしてそんなことが分かる! 宇宙人だからって神様じゃないだろうに!」

菜々「…………」

P「その防御が本当に絶対どうか、試してみようじゃねえかッ!」スッ

菜々「……いいですよ、満足するまでいくらでも」

P「『恋のHamburg♪』ッ!」

P(こいつを「メルヘンデビュー」が代わりに発動するその瞬間に!)

P「『Angel Breeze』、うわあっ!?」ヒュウウンッ、ドサッ

菜々「…………」

P「ちっ、ダメか……だったら二つ同時だ! 『Angel Breeze』、『恋のHamburg♪』ッ!」

ヒュウウウウッ!

P「ぐうっ……!?」ヒューン

ドサッ、ベチャァッ

P「はあっ、これも、ダメかよ……」

菜々「『お願い! シンデレラ』でコピーした異能をいくら同時に発動させても、無駄です。『メルヘンデビュー』は敵とみなした相手に対して自動で発動します」

P「『自動』と言ったな……! ならば、自分で自分を攻撃しようとすればどうなるかなッ!」

……カチッ!

P「!! くっ、おい、このっ、どうした! 『Angel Breeze』ッ!」

晶葉「……時間切れだ、助手。たった今、日付が変わった」

P「クソッ!」

菜々「もう終わりにしましょう……お願いですからっ……」

P「まだだッ! まだ終わりじゃない!」タッタッタッ

ゴンッ! ドカッ!

P「こんなッ、壁ぐらいッ! 殴ってぶっ壊す!」ゴンッゴンッ

菜々「…………」

P「はあっ、ちくしょう、ちくしょう! 壊れろよッ! この────」

晶葉「もうやめてくれっ!」ダキッ

P「っ、晶葉……!」

ポタ、ポタ……

晶葉「拳から血が出ている……これは殴る蹴るで壊せる代物じゃない。もう、何も出来ないんだ……」

P「……ッ!」ドンッ!

コロッ、コロコロ……

P「……?」

P(夕美が食べたのを戻した団子……ハッ!)

菜々「それはUSAMIN錠!? いったいどこから……」

P「ほらみな……戦い続ければ勝機は必ずやってくるのさ!」ヒョイッ

菜々「!」

晶葉「助手、それは私が作ったものではないんだぞ! 食べれば理性を失って────」

P「欲望のまま動く、そうだろ! だったら俺の望みはたった一つ、菜々を倒すことだッ!」

パクッ

菜々「そうまでして、ナナを……」

P「行くぞ……! 『イリュージョニスタ!』ッ!」


「メルヘンデビュー」を倒せるのか(!?)P第二の異能、「イリュージョニスタ!」の能力とは!?

↓2

ポヨンッ

ぷち菜々「ウサー」ピョコン

P「…………」

菜々「か、可愛い何かが……」

P「……な、なんじゃこの能力はッ! これだけかいッ!?」

晶葉「自分の能力だろうに……」

P「だってさ、だってさ……こういうときはスゲー強い能力で逆転する流れだろッ!?」

晶葉「確かにこの能力、強くはないかもしれない……しかし、『壁の内側』に干渉することには成功したぞ」

P「ハッ! そ、そうだな! よし、いけぷちデレラッ! 菜々を攻撃しろ!」

ぷち菜々「ウサー」

P「……あれっ?」

菜々「『私が発動した』んですよ、だから私の側にこの子は居る、コントロール出来るのは当然ナナだけです!」

ぷち菜々「ナナー!」キャピ

P「だ、ダメじゃねーか晶葉……」チラッ

晶葉「……投降しよう」

P「おいッ!」

P(まだだ、何かこの能力を活用する方法を考えろ……!)

P「もう一体召喚すれば────」

ぷち菜々2「ウサー」ピョコン

P「だ、ダメだ……『メルヘンデビュー』を攻略するにはこの異能、まるで役に立たん……」

菜々「その異能が悪いわけじゃありませんよ。どんな強力な異能でも『メルヘンデビュー』には決して敵わないんですから」

ぷち菜々たち「ウサー!」ピョン

菜々「それにしても……可愛いっ」ナデナデ

P「クソっ、無理なのか……倒せないのか……!?」

菜々「……どうしても、菜々を倒すつもりですか?」

P「ああ、絶対にだ! そんで、ウサミン星の大艦隊とやらも何とかして止める、地球は征服させない!」

菜々「羨ましいですね、諦めない心を持っていられるのは……ナナはもう、ハッピーエンドを諦めちゃってますから」

P「どうしてだ! どうして可能性を模索しない! みんなが助かる道だって────」

菜々「どんなものか知らないからそんなことが言えるんです! 実際大艦隊を目の当たりにすれば、そんなことは決して言えません」

P「っ……」

菜々「だから、どうしてもナナを倒すというなら……ナナがプロデューサーさんを倒して、終わらせます」

P「! まさか、第二の異能を────」

菜々「『メルヘン∞メタモルフォーゼ!』」


「メルヘンデビュー!」だけでも攻略不可能なのに(!?)菜々第二の異能、「メルヘン∞メタモルフォーゼ!」の能力とは!?


↓2

ピシュンッ!

P「! 消え────」

菜々「こっちですよ」ガシッ

P「!?」

ドガァッ!

P「っ、がはっ……!?」

菜々「一分間です。一分間でプロデューサーさんを倒してあげますよ」

P「なんだ、って……?」

バキイッ!

P「ず、うっ!?」

P(なんだこの身体能力は……ウサミン星人本来のパワーなのかッ……!?)

菜々「メルヘ~ン、ラリアットーッ!」タタタッ

P「!!!」ドガァーン!

晶葉「助手ーっ!」

菜々「どのみち一分ですから、教えてあげます。『メルヘン∞メタモルフォーゼ!』は一分間だけ私の身体能力を倍にする異能!」

P「ば、倍だって……? 17歳の倍ってことは、34歳か……?」

菜々「違いますっ!」ボゴォッ

P「うぐぁっ!」ドサッ

P(と、とても倍とは思えん、そもそも身体能力の倍とはなんだ、何を基準にしているんだ……!?)

菜々「……100メートル走、ナナのタイム何秒か知ってます?」ボコッ

P「ぐうっ、じゅ、17秒……」

菜々「あははは、そうだったら良かったんですけど……20秒なんです」 バキッボコッ

P「があっ!? そ、それで、どうしたと……」

菜々「でも今のナナなら10秒で走れます……それでも世界最速じゃないんですから、地球人も凄いですよね」ガシッ

P「!?」

菜々「それと、握力。ナナは両手とも25キロぐらいですから、今は50キロほどということになります。成人男性程度ですね」ググググ

P「ぁ、ぐ、うっ……」

P(首を絞めて確実に気絶させるつもりか……!)

晶葉「助手!」

菜々「大丈夫です、晶葉ちゃん。絶対に殺しはしませんから」グググ

P「ず、ぁ……『イリュージョニスタ』……!」

ぷち菜々「ウサー!」ピョン

菜々「無駄です。『メルヘンデビュー!』はこの戦いが終わるまで解除しません」

P「く、そ……」

菜々「能力が続くのはあと20秒ほど、その半分の10秒もあればプロデューサーさんは気絶します」ギュウッ

P「ぁ、な、な……やめ……」

菜々「やめません。倒す以外では、プロデューサーさんを止められそうにないですから」ググググ

晶葉「助手……っ」

菜々「あと5秒。4、3……」

P(意識が薄れていく……結局、このまま負けちまうのか……)

P(あーあ……こんなことなら、最初から戦わなくてもよかったじゃないか……)

P(これまでの戦いなんて……全部、無駄だったんじゃないか……)

(……無駄じゃありません)

P「!」

(Pさんのこれまでは、決して無駄なんかじゃありません……!)

菜々「……ゼロっ!」ギュウッ

ガシッ

菜々「!」

P「握力、俺は60キロもあるんだぜ……!」ググググ

菜々「そ、んな……!」

P「さっきの団子がよく効いちゃってさ……お前を倒すまでは、死んでも死にきれないんだよッ!」バシッ!

菜々「くうっ……!」

P「はあっ、はあっ、つっても、死にかけたがな……っ」ドサッ

P(しかし、今の声はもしや……)

……カチッ

菜々「!」パタッ

P「ど、どうした!?」

菜々「あははは……体力持つのは一時間どころか、一分間なんですよ……」

P「身体能力が倍になる一分を過ぎれば、その反動が来るってことか……!」

ピシュン!

P・晶葉「!?」

裕子「もう完っ璧ですね! テレポーテーション完全マスターです!」

志希「やっほーっ、志希ちゃん再び登場~」

P「志希! それにみんなも、あの部屋で眠っちまったはずじゃ……」

幸子「フフーン、寝ても覚めてもボクはかわいいんです!」

P「答えになってねえ……」

志希「朝までぐっすりするクスリだったはずなんだけどねー、まゆちゃんに叩き起こされちゃった」

まゆ「聞こえたんです、戦ってるPさんの声が。そんな時に寝てられません!」ガシッ

P「そっか、じゃあやっぱりさっきのはまゆが……ありがとな!」

まゆ「うふふっ♪」ギュッ

幸子「晶葉さん? ボクの代わりにしっかりプロデューサーさんをサポートしてくれたんでしょうね~?」

晶葉「……ほどほどにな」

P「投降しようつったのはどこのどいつだ……」

ガヤガヤ……

菜々「はあ~っ、もう負けですね。菜々の企みも終わりです……」グターッ

志希「にゃはは、あたし以上にちょー強いの持ってる菜々ちゃんも負けちゃったかー」

菜々「……最後まで諦めない人に、勝利の女神が微笑んだんですよ」

志希「ねね、『お前を倒すッ!』って言われなかった?」

菜々「あっ、言われましたね~。続けて死んでも死にきれないとも。凄い剣幕でした」

志希「自分のアイドルを『お前』呼ばわりして、本気で倒そうとするなんてさ……あの人だけだよ、きっとね」

菜々「……はい」

……スタッ

菜々「プロデューサー、さん……」

P「信じているから、解毒剤は飲ませない……だから諦めないで、大艦隊をなんとかする方法を考えよう、菜々」

菜々「…………」

P「……安部菜々、もしくはウサミン! プロデュース方針に従えないならクビだぞ、クビ!」

菜々「もう、プロデューサーさん……そういうのってズルいですよっ。涙腺、緩いんですから」ウルッ

P「ほら、俺の手を掴んで。自分で立つことも出来ないんでしょ?」スッ

菜々「分かりました、っしょっ……菜々もまだ、諦めないで夢を追いかけてみます」ギュッ

P「よし! じゃあとりあえずめちゃくちゃになった事務所を元に────」

ヴィヴィヴィヴィヴィヴィ……ゴゴゴゴゴ

P「なんだ!?」

菜々「そ、そんな……早すぎます!」

志希「まさか、例の大艦隊が来ちゃったの!?」

菜々「……はい」

P「嘘だろ……!?」

幸子「だ、大艦隊?」

裕子「それってどんな拍手です?」

まゆ「それは大喝采です。大艦隊、大きな艦隊のことですよ」

裕子「なるほど……(かんたい……寒帯?)」

「AB77、帰還せよ。繰り返す、AB77、帰還せよ」

P「おい、言葉が分かるぞ!?」

晶葉「そんなことを気にしている場合か! どうするんだ、私たちはまだ何も策を練ってないぞ……!」

菜々「菜々が戻って、何とか時間稼ぎを……っ」フラッ

志希「無理しないの。といっても、これは本気でヤバいかもしれないけどね……」

P(考えろッ! 何か、何か方法があるはずだ! アレをどうにかする、とっておきのアイデアが……!)

P「……晶葉、幸子、まゆ、裕子、志希。一か八か、5人にやってもらいたいことがある」

晶葉「私たち5人で何をすると……!?」

P「それは────」

二週間後

P「ふああっ、おはようございます……」

千川ちひろ(以下、ちひろ)「おはようございます。お疲れさまです、プロデューサーさん」

幸子「プロデューサーさんっ! ちょっと見てくださいよこれ!」タッタッタッ

P「んん? なんだよ藪から棒に……」

ガシャーンガシャーン

晶葉「新開発のカワイイボクロボだ! 喋るんだぞ!」

ロボ「カワイイ、ボク、カワイイ」ガシャーン

幸子「これのどこがカワイイボクなんですか! 1パーセントもボクが再現されてないじゃないですか!」

晶葉「なんだと!?」

幸子「なんですか!?」

P「あーはいはい。仲良いね二人とも……」スタスタ

幸子「ちょっと、プロデューサーさん!」

晶葉「幸子、そこまで言うならカワイイボクロボの改良に付き合ってもらうぞ!」ガシッ

幸子「なっ、ボクだって暇じゃないんですよ? ……そこまで言うなら付き合ってあげないこともないですけど!」

P(雨降って地固まるだな、仲良きことは美しきかな……)スタスタ

P「えっと……ああ、エレベーターに乗ってこう」スタッ

ピンポーン、ウィーン

裕子「あっ、プロデューサーさん! おはようございます!」

P「おっ、裕子。エレベーターなんか乗っちゃって、テレポーテーション使わないのか?」

裕子「……実は昨日、学校から事務所へテレポーテーションしようとしたら何故か職員室に飛んでしまって……しばらく封印することにします」

P「そうか。というか、あんまり人の見てる前では使うなよ?」

裕子「はいっ。それでは!」タッタッタッ

P「廊下は走らないんだぞー」スタスタ

「そのエレベーター、ちょっと待ったにゃー!」タッタッタッ

P「うわっ! おいみく、危ないだろ?」ポチッ

みく「ご、ごめんにゃ、はあっ……」

P「そんなに急いで、どこに行くつもりだ?」

みく「と、とにかく上だにゃ。晶葉チャンの部屋を荒らしたのまだ恨まれてて……」

P「ああ、ロボで追いかけられてたのね。あれカワイイと思う?」

みく「え? 全然」

P「じゃあ晶葉に言っとこ」

みく「ああっ、ちょっと、これ以上恨みを買ったらどうなるか分からないにゃ!」

ピンポーン、ウィーン

P「ははは、頑張れよ」スタスタ

P「んー、渡り廊下から見える景色が元に戻るのはまだまだ時間がかかりそうだな」スタスタ

P(でも夕美と藍子が毎日頑張ってるし、中庭にはきっとまた綺麗な花が咲くだろう)

P「というか、咲いてくれなきゃあのとてつもない量のハンバーグを処理した俺が報われない……」

「Pさんっ」トントン

P「うわっ! まゆ、驚かすなよ」

まゆ「ごめんなさい。一緒に歩きましょうか」スタスタ

P「なんだよ、いつの間に俺の居場所が分かるようになったんだ?」

まゆ「分かりますよ? だって────」

P「『結婚』は解除しただろ? もう誰も異能は持ってないんだから」

まゆ「でも分かるんです。Pさんのまゆですから♪」

P「なんだそりゃ」

まゆ「……志希さんの部屋に行くんですか?」

P「ああ、そこに菜々も居るだろうから」

トントン

志希「あ、来た来た。どうぞ~」ガチャ

P「よっ。AB77さんも」

まゆ「こんにちは」ペコリ

菜々「べ、別にその名前で呼ばなくてもいいじゃないですか……」

P「それでどうだ、薬はできそうか?」

志希「う~ん、まだ難しいかも。っていうかぶっちゃけかなり難航中」

P「そうか……こいつとももう少し付き合わなきゃいけないな」ピョコン

菜々「……本当にごめんなさい、『USAMIN錠を飲んでしばらくするとウサミミが生える』なんて……菜々はウサミン星人だから分からなくて」

P「まあ俺に関して言えば自分から飲んだからいいんだけど……ウサミン星人ってみんなこうなのか?」

菜々「ナナも本当の姿に戻れば生えてるんですよ。見ます?」

P「いや、いいです」

菜々「きっぱり!?」

まゆ「それにしても、能力を無くす薬はすぐできて、このウサミミを無くす薬が中々できないっていうのも変な話ですよね」ピョコン

志希「そうだね~、志希ちゃん頑張ってるんだけどな」ピョコン

P「…………」

P(ワザとできないフリをしてるんじゃないかと少し思うが、詳しいことはよく分からんしな……)

ピピピピピ!

菜々「あ、定時報告の時間です。みなさん、少し静かにお願いしますね」スッ

志希「りょーかい」

まゆ「お願いしますね、菜々さん」

P「地球を守れ、ウサミン!」

菜々「茶化さないでくださいっ! あーテス、テステス。こほん。……ナナでーすっ、ブイっ☆」


P(あのとき────)

幸子「う、歌を歌う!?」

P「そうだ。ウサミン星にアイドルの文化は無いんだったよな!」

菜々「は、はい。そうですけど……」

晶葉「だからってどうしてそんな発想になる!?」

P「はっきり言って戦って勝てる相手ではない! しかし、土下座して白旗を上げても相手は聞き入れてくれないだろう!」

志希「だろうねー」

P「だから地球の、ひいては日本の文化を見せる! 歌で戦争を終わらせるんだ!」

菜々「な、何かどこかで聞いたような作戦ですね……」

P「もうこれしかない! っていうかこれしか思いつかなかった! ヤックデカルチャー!」

「どうしたAB77、応答しろ。応答がなければ、そこに居る地球人たちに攻撃を受けたと判断する」

菜々「ああっ! ち、違います! この人たちは……そう! みなさんを歓迎しているんです!」

「歓迎だと? どういうことだ。状況を説明しろ、AB77」

菜々「そ、それは、ええと……」

P「とにかく歌うんだッ! ミュージック、オーケー!?」

幸子「どこに音源があるんですか!? マイクは、衣装はどうするんです?」

裕子「ムムム、サイキックで呼び寄せましょうか~?」

志希「にゃはは、地球の危機なのに恐ろしいほど平和だね~」

P「言っとる場合かっ! くそっ、やっぱりダメなのか……!」

晶葉「……ウサちゃんロボのカラオケモードを作動させれば音源マイクはなんとかなる。やるだけやってみよう」

P「晶葉! さすが~ッ!」

志希「まあここまで来たらやるしかないよね。衣装なんて要らないよ、このままで全然おっけー。だって相手は宇宙人だもん」

幸子「そうですね、ジャージでもボクはカワイイ! 宇宙にまでボクのかわいさを轟かせます!」

まゆ「これが最後になったとしても、プロデューサーさんのため、地球のために歌えたなら……まゆは本望です」

P「志希、幸子、まゆっ……!」

晶葉「しかし、あんな遠くに居る艦隊に声が届くか……」

菜々「音質最悪ですけど、菜々の通信機で────」

裕子「ムムムム、私は今あなたの脳内に直接語りかけています……」

「なんだこれは! 誰の声だ!?」「地球人か」「地球人が話しかけてきたぞ!」

P「でかした裕子ぉっ!」

裕子「はいっ! サイキックは宇宙人相手でも通用すると証明されました!」

P「よし、宇宙人相手に野外ライブだ! 曲名は『イリュージョニスタ!』、スイッチオン!」

晶葉「そんな曲は無い! 入っているのは『お願い! シンデレラ』だけだ!」

P「なにっ!? まあいい、頼むぞシンデレラたち!」ポチッ


……『お~ねがい、シーンデレラ♪ ゆめはゆーめでおーわれないっ! 動き始めてる、輝く日のために────』

P(その歌がウサミン星人たちのカルチャーショックを引き起こし、地球は侵略を免れた……なんて言っても、きっと誰も信じないな)

菜々「ウサミンパワーでメルヘンチェーンジ! ……とまあ、こういう具合で元気にやってます」

「オオ……!」「早く新しい曲を送ってくれ!」

菜々「分かりました、今夜にでもまた送ります。それでは!」プツッ

志希「おっつー、さすが~♪」

菜々「いやぁ、最近は誰かアイドルを出して生歌披露させろとか、写真集寄こせとか要求がキツくなってきてて……」

まゆ「私でよければいつでも手伝いますから、言ってください」

菜々「はい、ありがとうございますっ」

P(菜々は地球とウサミン星とを繋ぐ大使のような役割で地球に残ることとなり、今日も元気にアイドルをやっている)

P(そしてそれは他のみんなも変わらない。俺も元気でプロデューサーをやっている)

P(こんなご都合主義で最低なハッピーエンド、この「世界」を見ている誰かは気に入らないかもしれないけど、こんな結末で良かったと俺は思う)

P(……しかしあの事件が終わってから、頭のウサミミとは別に一つ大きな悩みのタネが出来てしまったのだ)

志希「あ、失敗した」

P「え?」

プシューッ! ペチャ、ペチャペチャッ!

P「うわっ、大分飛び散ったぞ……って!」

ジワワワ……

まゆ「ふ、服が溶けていきますっ!?」

志希「あちゃー、ウサミミを消すクスリのつもりが服を消すクスリになっちゃった♪」

P「なっちゃったじゃなーい! どうすんだよこれ、め、目のやり場に困るぞ!」

P(そう、ラッキースケベ体質が未だに治らず一日一回はこういう目にあってしまうのだ……)

菜々「手で隠せばいいじゃないですかっ!」

P「あっ、そ、そうだな」スッ

P(と言いつつ指の間から見たり? この体質をけっこう気に入っていたり?)

バターン!

早苗「プロデューサーくん居る? って、な……」

志希「あ、また出る」

ブシューッ! ベチャッベチャッ

P「さ、早苗さん!?」

早苗「また……また、こんな……プロデューサーくん、逮捕よーーーーっ!」タッタッタッ

P「ひえええっ! 志希っ、早くラッキースケベを治す薬も作ってくれえええっ!」タッタッタッ

志希「ん~、それは多分ムリかな」

P「うわああっ、もう異能バトルはこりごりだぁ~っ!」

おわりです
読んでくれた人、安価に参加してくれたみさんありがとうございました
いやぁ、メルヘンデビューは強敵でしたね……

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