理樹「見ただけでパニックを起こすメール?」佳奈多「ええ……」 (21)

校内の茶室

あーちゃん先輩「能美さーんお茶もう一杯ちょーだーい」

クド「分かりました。リキはどうですか?」

理樹「あ、じゃあよろしく……」

理樹(今、何故僕がクドと女子寮長との3人で茶室にいるかというと、全ては真人と恭介と謙吾から逃げるためだった。例の「お家の者達」の全員が実刑判決を受けるまでの数ヶ月、二木さんと葉留佳さんと僕の3人は念のため学校を休学していたのだが、その間あの3人は退屈が募っていたのか昨日僕らが学校へ舞い戻ってくると、そこから先ず僕はずっと彼らに振り回されていた)

理樹(1日3食付きっきりなのは当たり前、放課後から寝るまでずっと野球盤や人生ゲームをし、挙げ句の果てにはシャワーまで一緒に浴びることになった。寮に帰ってきたばかりで疲れが溜まっていたんだけど、この調子じゃあと一週間はなかなか離してくれそうになかった。そんな時クドがタイミング良く「女子寮長と一緒にお茶でもどうですか?」と茶室に呼んでくれたのだ。流石に今はハードな冒険よりものどかなお茶会を取りたい。そうして招待を口実にここへ避難した訳だった)

あーちゃん先輩「にゅふふ~そりゃ災難だったわね~。まあ直枝君とあんまり喋った事なかったけどこんなに可愛いかったら構いたくなる気持ちも分かるわ」

理樹「や、やめてくださいよ1つしか年変わらないじゃないですか…」

理樹(というかこの人とは結構それなり喋ってた気がするけど、あっちはそうでもないのかな?確かに言われてみればあんまり会ったことないような気もするけど…)

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クド「あっ、そういえば聞いてくださいリキ。最近私と寮長さんで茶道部のサイトを立ち上げたのです!」

理樹「へぇサイトを」

あーちゃん先輩「流石にこの時季から新入部員が来るとは思ってないけど次の新学期には私はいないし、新入部員歓迎だって茶道部みたいなのはどうしても受け身な事しか出来ないからせめてこういうのでもだけでも作っておこうと思ったの」

理樹「せっかくのここも使われなかったら意味ないですしね」

クド「掲示板にサイトの”ゆーあーるえる”なんかを乗っけたりメールで知り合いの皆さんに宣伝してるのです。直枝さんにもあとで送ってもいいですか?」

理樹「うん。別に構わな……」

「『メール』といえば」

理樹「!?」

理樹(後ろからいきなり声がした)

クド「あっ、佳奈多さん!お久しぶりなのですー!」

あーちゃん先輩「おっ、もう荷ほどき終わったの~?」

佳奈多「はい。2人ともお久しぶりです」

理樹(二木さんが仁王立ちしてた。この間までずっと一緒に暮らしていたとはいえ、いきなり後ろに現れたらやっぱり心臓に悪い)

理樹「な、なんだ二木さんか……それでメールがどうしたって?」

佳奈多「…さっき風紀委員の子から聞いたばかりなんだけど最近妙な事件が起きてるらしいの」

……………………………………

理樹(二木さんから聞かされた事件は確かに”妙”としか言えないものだった)

理樹「見ただけでパニックを起こすメール?」

佳奈多「ええ……とある生徒がある時、携帯からメールが届き、画面を見た瞬間、パニック状態になって自室に駆け込んでそのまま引きこもることがあったの。その後、教師や保険の先生が心配して見に行ったんだけど本人はなにも話したがらずただ震えて続けていたらしいわ。パニックが治ったあとも携帯でなにを見たのか絶対教えたがらず、その話を思い出すのも嫌だと言うの」

佳奈多「それだけならまだ不可解な話で終わったんだけど、実はそれと全く症状を起こす人間がこの前から立て続けに何人も出てきたの。そしてそのパニックに陥る直前に確認出来ただけでも全員『誰かから届いたメールを見ていた』。そこで流石に何かおかしいと風紀委員が動き出したって訳」

クド「わ、私もそれは知っているのです!私のクラスでもそうなった人がいて……」

理樹「な、なんだか謎が謎を呼ぶ事件だな……」

佳奈多「本来、私はもう風紀委員ではないから無関係なんだけど、この状況を黙って見ていられる性分でもないしこれから彼らとは別に単独でそのメールを送った犯人を突き止めようと思うの」

あーちゃん先輩「フゥ~かなちゃんカッコイイー!」

佳奈多「茶化さないでください……じゃ、今からさっそく被害者の聞き込み行くわよ直枝」

理樹「ち、ちょっとなんでナチュラルに僕まで巻き込むの!?」

佳奈多「どうせここでお茶飲んでるくらいだし暇なんでしょ?それにその被害者は西園さんよ」

理樹「えっ………」

続く(∵)

女子寮

佳奈多「ここね」

理樹(二木さんがドアをノックしようと軽く叩いたら、その力だけでドアが開いてしまった。一瞬戸惑ったが、決心したように僕にアイコンタクトを送ってきた。中に入るつもりなんだろう)

佳奈多「西園さん?入るわよ……」

理樹(昼前だというのに部屋の中は真っ暗だった。扉から差し込む光を頼りに奥へ進むと、西園さんはそこにいた)

美魚「…………」

理樹(窓のカーテンは閉められたまま。ベッドにうつ伏せのまま身動き一つしていなかった。恐らく昨日からずっとこのままだったんだろう)

佳奈多「西園さん……?」

美魚「ハッ……!」

理樹「や、おはよう……」

美魚「………そう、寝てたんですね……お二人とも何の用ですか?」

佳奈多「……実は、昨日あなたが受け取ったメールについて聞きたいの」

理樹(その言葉を聞いて思い出したのか西園さんの顔はみるみるうちに赤くなっていった)

美魚「あっ……う、うぅ……!」

佳奈多「内容までは聞かないわ。せめて送り主とか……」

美魚「や、やめてください……お願いします…これ以上過去を掘り返すのは…!」

理樹(西園さんの目には涙が溜まっていた。とんでもなく恥ずかしいことを思い出したような顔だった)

佳奈多「あ、いや……」

美魚「こ、これはとても個人的な事なんです!多分、皆さんの言う事件には関係ないと思います。だからしばらく放っておいてくれませんか……っ」

理樹「二木さん……」

佳奈多「そうね…ごめんなさい」

理樹(これ以上、西園さんの部屋にいるのは悪い気がした。二木さんも同意見のようだ。しかし、あの西園さんがこれほどまでに動揺するのはいったい……)

食堂

理樹(作戦会議はサンドウィッチ片手に行う事となった)

理樹「とりあえずみんなには知らない人からのメールを受け取ったら連絡してもらえるように言っておいたよ」

佳奈多「あまり効果はないかもしれないけどね……ところで直枝、今回の事件をどう見る?」

理樹「ちょっと飛躍してるかもしれないけど西園さんの反応から見て犯人が被害者の弱みをメールで送っているとか?西園さん自身は事件には関係ないと思うって言ってたけど……」

佳奈多「それが奇妙なことに被害者のほぼ全員が同じことを言っていたらしいわ。でも既に十数人にもなる人数の弱みを握るなんて出来ると思う?」

理樹「そりゃそうだけど……あっ、その被害者達って何か共通点はないの?」

佳奈多「一応リストを見せてもらったんだけど実はその被害者、全員2-Dの人間よ」

理樹「なんだって!?」

理樹(2-Dは僕やクドのいるクラスだった。恭介と葉留佳さんを除けばリトルバスターズ全員が入っている)

佳奈多「クドリャフカには不安がらせないためにさっきは言わなかったんだけどね。さっき効果ないかもって言った意味分かった?」

理樹「た、確かに休みが多いなと思ったけど……」

佳奈多「私は西園さんの様子から見てただ苦しんでいるだけのようだし、なにか精神的に訴えかけるような画像かなにかを送りつけること自体が目的の愉快犯と睨んでるわ」

理樹「でも西園さんの言った”過去を掘り返す”ってセリフも気になるな」

佳奈多「とりあえずあなたのクラスに行って何か探しましょう」

理樹「何を?」

佳奈多「何かをよ!………うっ」

理樹(二木さんがなにか変な声を漏らしたかと思うと今齧り始めたばかりのサンドウィッチを差し出してきた)

理樹「えっ、なに?」

佳奈多「……これカットのトマト入ってる。あなたのタマゴのと交換して」

理樹「えー食べかけじゃん!」

佳奈多「こっちはベーコンも入ってるわよ」

理樹「別にいいけどさ……」

2-D教室

ガヤガヤ

佳奈多「流石私が仕込んだ部下ね……」

理樹(教室の中では既に風紀委員の腕章を通した人達が捜査していた。僕らが教室の前にいると、メガネをした男子生徒がこちらに向かってきた。確か二木さんが現役の頃よくその後ろについていた人だったな)

生徒「二木先輩…もう帰ってきていたんですね」

佳奈多「まあね。そっちはどう?なにか見つかった?」

生徒「!」

生徒「いえ、そういったことは元風紀委員長とはいえ申し上げられません」

佳奈多「相変わらずお堅いわね」

理樹「二木さんだけには言われたくないよなあ……」

佳奈多「何か言った?」

理樹「あっ、いえ何も!」

生徒「ではそろそろ捜査に戻ります。この事件は我々に任せていただきたい」

生徒2「委員長!また新たな被害者が現れました!」

生徒「なに!?誰だ!」

生徒2「それが……2-Aの三枝葉留佳という生徒で……」

生徒・佳奈多・理樹「「「!!」」」

生徒「2-Aだと!?」

佳奈多「葉留佳が!?」

葉留佳部屋

葉留佳「ぐ、ぐぁぁあああ!!ひぃぃやぁぁあ!!」

佳奈多「は、葉留佳……」

理樹(葉留佳さんの部屋に行くとなんか枕に顔を埋めて足をバタバタさせていた。いったいなにが起きたんだ!?)

佳奈多「聞こえる!?私よ!」

葉留佳「うぅぅおぉおむほんめをこ!!」

佳奈多「……ダメね。もう少ししてから出直しましょう」

理樹「うん……」



…………………………………………………



廊下

佳奈多「2-Aである葉留佳がやられたって事はいよいよ被害者の共通点が2年生であることくらいしか無くなってきたわね」

理樹「葉留佳さんにも知らない人からのメールが来たら連絡を寄越すように言ってた。だのに被害を受けたということは……」

佳奈多「犯人は葉留佳の知り合いってことね……」

理樹「これからどうする?」

佳奈多「とりあえず2-Dの葉留佳の連絡先を知っている人間を辿っていくわ。あなた達リトルバスターズの人間は除外するにしても誰か知ってそうな人心当たりある?」

理樹「うーん……」

「よっ、やってるかい二人とも」

理樹(昨日から散々聞いた声だった)

理樹「恭介!」

佳奈多「棗先輩?どうしたんですか」

恭介「ふっ、その様子じゃまだ犯人には辿り着いてないようだな……」

佳奈多「どういうことですか?」

理樹「えっ、まさか恭介…!」

恭介「ああ!見つけたぜ真犯人をな!」

理樹(とてもウキウキしながらそう言い放つ恭介。恭介はこういう時に冗談を言う人間ではない。それがもし本当なら呆気なく事件解決だけど……)

佳奈多「だ、誰なんですか!?」

恭介「まあ落ち着けって……まずはその犯人を見つけた経緯を話そう……あれはついさっきのことだった……ホワンホワンホワン」

理樹(自分で回想の効果音を言いながら恭介は語り始めた)


…………………………………………………………



………………………………


……

恭介(俺のクラスでは次の文化祭の出し物を早めに決めようと全員集結していた。事件はそれが終わった直後、クラスの奴らがまばらに去っていく時に起こった)

???「……………」

カチカチッ

恭介「……なんだ?あいつがメールなんて珍しいな」

恭介(”そいつ”はよく連絡するならメールより電話派だと言っていたからたまたま目についていたんだが、驚くべきはその後だった。そいつがメールを送り終えたのか携帯をポケットにしまったすぐに、俺の目の前にいた奴の携帯から着メロが鳴った。携帯の外面から誰が送ってきたのか分かる機種だったんで”そいつ”が送ってきたってのは分かった)

恭介(すぐ近くにいるなら尚更なんで直接話さないのか不思議に思ったぜ。内緒話がしたいなら教室の外でやればいいんだからな。ま、とにかくその受け取った哀れなクラスメイトは御察しの通り噂通り顔を真っ赤にさせて叫びながら教室を出て行ったのさ。んでその場の全員かクラスメイトの逃げた方を見ている中、”そいつ”は一瞬ニヤリと笑っていたよ)



……


………………………………


…………………………………………………………


恭介「これで犯人じゃないっていうなら俺にはもう分からんね」

理樹「凄いや恭介!お手柄じゃないか!」

恭介「いや、なに偶然さ」

理樹(そう言いつつ恭介は満更でもなさげだった)

佳奈多「それで犯人の名前は?」

恭介「ああ、聞いてびっくりするなよ?名前は………」

ピロンッ

理樹(その時、恭介の携帯からメールの着信音が鳴った)

恭介「おっと失礼」

理樹(そして携帯を取り出した時、僕はなにか嫌な予感がした)

理樹「…………待って恭介!そのメール開けちゃダメだ!」

恭介「ハッハッハッ!いや、心配するな理樹。これは…………なっ……」

理樹(恭介は最初こそ余裕綽々といった感じでメールを見ていたが、”それ”を読み進めるにつれてその顔はだんだん引きつっていった)

恭介「グッ……そ、そういう……事だったのか……!」

佳奈多「例のメールですね!?」

恭介「理樹……二木……この件はこれ以上追わないほうがいい……」

理樹「恭介!?」

恭介「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

理樹(恭介は悲鳴とも雄叫びとも言えるような大声をあげると僕らの前から一目散に抜け出していった。たった今、僕らは犯人を見つける一歩手前で真実を知る証人を消されたのだ)

理樹「ああ……そんな……嘘だろ……」

佳奈多「…………必ず犯人を探し出すわよ理樹」

寮長部屋

理樹(二人でもう一度事件を整理することにした。ちなみにここはホワイトボードを借りる為だけに使っている)

理樹「ここ……なんだか前にも来たことがあるような……」

佳奈多「私はあーちゃん先輩に手伝いを頼まれてた時期があってここでよく作業してたけど、その時はあなたが来たことなんか無かったわね。まあ、それはそれとして事件のおさらいをするわよ」

佳奈多「まず2-Aの生徒達はほぼ同時期に宛先不明の人間からメールを受け取り、パニック状態に陥る。回復した後もその事件については話すことを拒み、メールの内容が漏れることを恐れているのか宛先の人間まで自ら隠して話そうとしない。その後別のクラスである2-Dの葉留佳が被害に遭い、さっきも棗先輩が言ったように三年生一人と彼自身もメールが届いてきた」

理樹「さっきも少し話したけど葉留佳さんには警戒するよう言っておきながらもメールを見てしまったことから犯人と知り合いであって油断した可能性が高いね」

佳奈多「………最初私はこう考えたの。棗先輩、2-Dの生徒達、そして葉留佳。彼らとの連絡先を全て持っているような特殊な交友関係を持っている人と言えば……」

理樹(二木さんが言いたい事は分かる。何故なら僕も恭介が襲われた時点で薄々そうなんじゃないかと思っていたからだ)

理樹「リトルバスターズの誰か……って言いたいんだよね?」

佳奈多「ええ……でも幸い棗先輩の話によれば犯人は三年って事だからそれはないわね」

理樹「ますます犯人のパイプが分からないな…だとしたら犯人は何故最初に二年生を狙ったんだろう?僕たちのような嗅ぎ回る人間に犯人を二年生と思わせるブラフ?」

佳奈多「だとしたらなんで結局自分のクラスでもやったの?まだもう一つ不自然なことがあるわ。棗先輩があの時、犯人からメールを受け取っていたとして、もし本当に犯人を知っていたのなら何故わざわざそのメールを開いたの?」

理樹「た、確かに………」

理樹(三年でありながら最初の犯行はまるで二年生がやったとしか思えないターゲット。しかし、さっきは自分のクラスでも行動を起こし、恭介もやられてしまった。でも恭介のやられ方にはどうも矛盾がついて回る)

理樹「………いや、そうか!分かったぞ!」

佳奈多「どうしたの!?」

理樹「どうしてこんな簡単な事に気づかなかったんだ!二木さん、犯人は少なくとも2人いるんだよ!」

佳奈多「………ああ、ついつい犯人を1人と決めつけてしまっていたわね……なるほど。それなら矛盾しないわ」

理樹「まだ推測の域を出ないけど多分犯人は2-Aで葉留佳さんを知る者と、恭介のクラスメイトの三年生」

佳奈多「そんな二人組、私ちょうど心当たりがあるわ」

理樹「奇遇だね。僕もだ」

茶室

ガラッ

理樹(その二人はさっきとほとんど変わらない体勢でのんびりお茶を啜っていた)

クド「あっ、リキ、佳奈多さん!お帰りなさーい!なのです!」

あーちゃん先輩「やっほーお帰り~~」

理樹「………」

佳奈多「………」

あーちゃん先輩「………にゅふふ……その様子だとどうやら犯人を見つけたようね」

佳奈多「ええ、多分」

クド「えっ、どういう事ですか?」

佳奈多「これまでのメール事件の犯人…それはあなた達ですね?」

理樹(ビシッと二人へ指を指す二木さん。かっこいい)

クド「わ、わふ~~!?どどどどどういう事ですか!?」

あーちゃん先輩「うふふっ!その通りよ!!」

クド「わ、わ、わふ~~!?」

佳奈多「……案外あっさり認めるんですね……」

あーちゃん先輩「こういう時、真犯人は素直に白状するのが世の常よ」

クド「あ、あの!も、もしかして犯人ってその、さっき言ってた噂のですか!?」

理樹「うん、そうだけど……」

あーちゃん先輩「ふふっ、確かに能美さんは何のことやらよねぇ~」

佳奈多「どういう意味ですか?」

あーちゃん先輩「ま、私達が送ったメールを見れば分かると思うわ。色々とね」

理樹「えっ、それは……」

あーちゃん先輩「大丈夫、大丈夫!多分直枝君は見ても平気だと思うから!かなちゃんは分かんないけどぉ~」

佳奈多「むっ!よく分かりませんが私だってそう簡単にパニックにはなりません。例えなっても絶対ことを公にする自信はありますから」

あーちゃん先輩「はいはい。それじゃ一緒に見ましょ!みんなに送ったメール。実はあるサイトを直接リンクした物なの」

理樹(そういうとあーちゃん先輩はどこから持ってきたのかパソコンを取り出してあるサイトを開いた)

カチッ

理樹「えっ、これって……」

あーちゃん先輩「にゅふふ~」

理樹(それはどこからどう見てもただの茶道部のホームページだった)

……………………………………………………………………………

        すちゃらか茶道部!

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……………………………………………………………………………

あーちゃん先輩「デザインはほとんど私がアドバイスしたのよ?まず!背景はどぎつい原色の青でしょー!今は音切ってるけど実はオルゴールで第九とか流れるの!それからもちろん右クリックは禁止!まあ特に意味はないんだけど……。そんでもってこの一番下にある『。』は実は裏口なのよ~。開いたところで工事中なんだけどねっ」

理樹「工事中……右クリック禁止?」

クド「わふー…私も実はその辺りは一緒に作っててよく分からなかったのです」

あーちゃん先輩「にゅふふ~分かる人には分かるのよね~かーなちゃん!」

佳奈多「あ……あわわ……」

理樹「ふ、二木さん!?」

理樹(二木さんが尋常じゃないほど動揺していた)

あーちゃん先輩「他にもダイアリーに乗せてる茶道部日記では注目してほしい単語だけ無駄に大きいフォントを使って強調したり、『始めて来た方へ』では茶道部マスコットキャラクターのサドー君と管理人を自演で喋らせながら説明とかもやったわ!」

佳奈多「うぅっ……ふぅ……っふぅ……っ!」

理樹「ふ、二木さん!大丈夫!?」

理樹(顔がどんどん真っ赤になっていった。西園さんと同じ反応だ……しかし、このサイトのどこにそんな反応をしているんだ?)

あーちゃん先輩「極め付けに管理人のプロフィールの性別欄に”生物学上は女”って書いちゃった☆」

佳奈多「う、うわぁぁああー!!!ああぁぁあーー!!」

理樹「ふ、二木さんーー!?」

理樹(そして彼女はそそくさと茶道部を去っていった。多分自室に籠る気でいるんだろう……)

理樹「……いったいどういうことなんだ……」

あーちゃん先輩「説明してしんぜよー!実はこういう形式のホームページ、昔めちゃくちゃ流行ったのよね~」

クド「えっ、そうなんですか!?とっても斬新で新鮮だと思っていたのですが……」

あーちゃん先輩「まあ今はもうほとんど廃れてるから見ないのも無理ないわよね。でも、ネットに中学生の頃からお熱だった子は違ったわ。その若さから自分のホームページを作りたいって気持ちが前倒しになりすぎてさっきも言ったような小っ恥ずかしいサイトの『仕掛け』をたくさん作りまくったものよ」

理樹「なるほど。いわゆる黒歴史とか言う奴ですね」

あーちゃん先輩「ええ…もちろん流行っていた頃は全然自覚はないし、むしろ他の人のを見て憧れていた人もいるくらい」

理樹「でもそれが分かってて何故あえてこんなものを作ったんですか?」

あーちゃん先輩「ふふっ!最初はちゃんと作ろうとしたんだけどホームページつい閃いちゃってね!もし昔のこういうのを知ってる人が見たらきっとその頃を思い出して悶絶するだろうなーって!つまり黒歴史誘発機ね」

理樹(恐ろしい発想だった。幸運にも僕は中学の頃なんかはネットに疎く、恭介達と遊びまわっていてあまり触る機会もなかったが、一歩間違えると今回の被害者のみんなのようにその恥ずかしいと言われる過去にこんなところでぶち当たるところだったのか)

理樹「寮長……人が悪いにもほどがありますよ…」

あーちゃん先輩「そう?かくいう私も昔は憧れてたんだけどなあ~」

クド「わ、私は知らないうちに皆さんに地雷を撒き散らしてたんですね……」

あーちゃん先輩「いやー最初はほんの遊び本位だったんだけどまさかここまで煩わせてた人がいるとはねえ~途中から勝手に陰謀みたいな噂になってた時は思わず笑っちゃった!そういえば棗君にも送ったけど全然返事が返ってこないわね~」

理樹「……………」

理樹(かくして事件は解決した。風紀委員の人たちには僕が説明すると微妙な顔で納得された。学校側と相談した結果、一般生徒には何も言わずに噂の沈静化をゆっくり待つらしい。しかし、今回の事件で僕はなんとなく若いって怖いなと思った。何故ならこうしている間にも無自覚に黒歴史を作っているかもしれないからだ)






終わり(∵)

おまけ



女子寮

二木部屋前

コンコンッ

理樹「ふ、二木さーん!荷物整理の時そっちに僕の歯ブラシ紛れ込んでると思うんだけど!」


ベッド内

佳奈多「忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ」


理樹「二木さーん!頼むから返事してよ~~~!!」






終わり

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