ヴォルツ「この俺を殺れるヤツは居ねぇよ」(20)

マクベス「ヴォルツ傭兵隊!お前達にいくら金を払ったと思っておる!」

マクベス「グランベルの者共をアンフォニー城に近付けてはならん!さっさと出撃せぬか!」

ヴォルツ「あいよ。あと、あんたの配下が村から金品を略奪し終わるまでの時間稼ぎもしろって事でいいんだな?」

マクベス「なっ、何を言うか人聞きの悪い!あれはグランベルのヤツらから村の財産を守る為にだな…」

ヴォルツ「まあ、理由は要らねぇ。俺たちゃ金さえ貰えればそれでいい」

ヴォルツ「グランベルを退けたら、前払い金の他にもたっぷり礼金弾んでくれよな」

ヴォルツ「よし、行くぜ!野郎共出撃だ!」

ベオウルフ「畜生…マクベスの野郎気に入らねぇ」イライラ

ベオウルフ「前から言おうと思っていたが、俺は雇い主を変えようと思う。こっちにだって雇われる相手を選ぶ権利はあるってもんだぜ」

ヴォルツ「昨日は味方で今日は敵。それはそれで良いじゃねぇか。俺は止めはしねぇ。お前の好きにしな」

ベオウルフ「ああ。だが、あんたとはやり合いたくねぇな。俺じゃとても勝ち目は無いからな」

ヴォルツ「ふっ…。この俺を殺れるヤツは居ねぇよ。例え世界ひろしと言えどもな」



「ほう、ならば試してみるか?」ザッ

ヴォルツ「ん?何だお前は?」

世界ひろし「今お前が呼んだ、世界ひろしだ」

ヴォルツ「あん?何言ってんだお前?」

ベオウルフ「よう、あんたの知り合いか?」

ヴォルツ「知らねぇよこんなヤツぁ」

世界ひろし「自分呼んどいて知らんとはいささか無礼と言うものではないかな?しかもこんなヤツとは」

ヴォルツ「呼んでねぇよ!」

世界ひろし「さっき君は、世界ひろしと言えども俺は倒せないと言っただろう?だからそれが本当かどうか確かめにやって来たのだよ」

ベオウルフ「それでどうしてあんたが出て来るんだ?」

世界ひろし「だから、私がその世界ひろしだ」

マクベス「ヴォルツ!何をモタモタしておる!グランベルの軍勢が目前にせまっ…ひいいっ」

ヴォルツ「そんなビビんなよ。ヴォルツ傭兵隊は何が相手だろうと一歩も引きはしねぇ」

マクベス「お…お前、とんでもないものを呼び出してくれたな…」ワナワナ

ヴォルツ「あ?」

マクベス「終わりだ…。アンフォニーだけではない!アグストリア全体の終わりだ…」ガクブル

ベオウルフ「こいつ、何にそんなに怯えてんだ?グランベル軍がそれほどのものか?」

ヴォルツ「ふっ、今すぐ安心させてやるぜ。グランベルのヤツらを全滅させてな!」

世界ひろし「おい。私を置いて何処に行こうと言うのだ。私と言えども君を倒せないかどうか、試してみようではないか」

ヴォルツ「テメェの様なアホウを相手にしている暇はねぇんだよ!邪魔だから向こうに行ってろ」シッシッ

マクベス「あああ…何て事を…何て事を~」ガタガタ

シグルド「マクベス!民を守るべき立場に在りながら、その民から略奪を働くなど私が許さ…うおおっ!」ゾワッ

オイフェ「あ…あれは、まさか…そんな…」ブルブル

ヴォルツ「ほら、お前のせいでもう来ちまったじゃねぇか。こっちが先手を取る腹積もりだったのによぉ」

ベオウルフ「よぉ、ヴォルツ。何か様子が変だぜ?」

ベオウルフ「マクベスの野郎だけじゃねぇ。グランベルのヤツらまで怯えてやがる」

オイフェ「誰が…一体誰がこんな大それた事を!」

シャガール「マクベス!貴様がくだらん欲に駆られたせいでグランベルに足元まで攻め込まれたではないか!」

シャガール「この責任をどう…うわあっ!」

世界ひろし「」

シャガール「マクベス貴様~!貴様というヤツは~!」ガバッ

マクベス「ひいいっ!お待ちくださいシャガール様!この事態を引き起こしたのは私ではございません!」

マクベス「ヴォルツの、ヴォルツのヤツめにございますぅ!」ピシッ

シャガール「何だと!貴様、自分が一体何をしでかしたか分かっておるのか!」

ヴォルツ「俺が何したってんだよ」

シャガール「だったらアレは何だ!?何でアレを呼び出したー!」

シグルド「何という事だ…あの男がアレを!」

オイフェ「ああ…もうおしまいです…どうにもなりませんよ」

シャガール「もはやグランベルどころの騒ぎではないわ!どうしたら良いのだ!」

シグルド「ああ、確かにその様な次元の話ではない。一先ずエルトシャンを…エルトシャンを連れて来てくれないか」

シャガール「しかし如何な奴とてどうにかなるものでもないぞ!」

シグルド「早くしろ!間に合わなくなっても知らんぞー!」

ベオウルフ「ヴォルツ…。どうやらあんたはとんでもないものを呼び出してしまったようだな」

ヴォルツ「よく分からんが仕方ねぇ。俺がこのヤロウを殺ればいいんだろ」チャキッ

世界ひろし「ほう、ようやくその気になってくれたようだね」

世界ひろし「さあ、私と言えども倒せないという君の実力を見せてもらおうか」

【世界ひろし】
クラス:世界ひろし
HP:世界ひろしと言えども攻撃を受けないので不明
力:世界ひろしと言えども一撃で倒れる力
魔力:世界ひろしと言えども一撃で倒れる魔力
技:世界ひろしと言えども回避不可能な技
速さ:世界ひろしと言えども追撃不可能な速さ
運:世界ひろしと言えども命中不可能な運
守備:世界ひろしと言えどもダメージを奪えない守備
魔防:世界ひろしと言えどもダメージを奪えない魔防
スキル:世界ひろし(あらゆるスキルを無効化する)

※ヴォルツにはパラメータが見えていません

ヴォルツ「よく分からんが、証明してやろうじゃねぇか」

ベオウルフ「まあ、待ちな。物事には順序ってモンがあるぜ」ポン

ヴォルツ「ベオウルフ。貴様があいつの相手をするのか?」

ベオウルフ「あんた自慢の傭兵隊も居るじゃねぇか。まずは俺と傭兵隊で相手をしてやるぜ」

ベオウルフ「なぁ、あんたもそれで良いだろ?真打ちは最後の楽しみに取っておくものだぜ」ニヤッ

世界ひろし「よかろう。久々に体を動かせる機会だ。存分に楽しませてもらおうか」ニヤッ

マクベス「バカだ~!コイツらはバカだ~!」アタフタ

シグルド「おい君!バカな真似はやめるんだ!」

ベオウルフ「しゃらくせぇ!皆、俺に続け!」

傭兵隊「「「おお~!」」」ドドドドドド…

ズバガガガ! サッ! ズバガガガ! サッ! ズバガガガ! サッ! ズバガガガ! サッ!

マクベス「砂煙で何が起こっているか見えん!だが…」

シグルド「私には砂煙の中で何が起こっているか分かる…」

シュウウウ… モクモク…

ヴォルツ「殺ったか!?」

傭兵隊「」チーン

ベオウルフ「…ぐ…すまねぇ…とても俺がかなう相手じゃ…なかっ…た…ぜ」ガクッ

マクベス&シグルド『やっぱりな…』

ヴォルツ「…ベオウルフと俺の傭兵隊相手に無傷とはやるじゃねぇか」ニヤッ

世界ひろし「流石は私と言えども倒せないと豪語する男!この程度では動じないようだね」ニヤッ

ヴォルツ「さあ、真打ちのご登場と行こうじゃねぇか」ズイッ

シャガール「待て待て待て~いっ!」

マクベス「おお、シャガール様!アヴスティ騎士団も引き連れておいであそばされましたか!」

シャガール「手を出してしまったか…!かくなる上は止むを得ん!」チャキッ

エルトシャン「結果は分かっていてもやるしかありませんな」スラッ

エルトシャン「お前達と共に戦えるのもこれが最後かも知れぬ。お前達の忠義、俺は忘れはしない」

クロスナイツ「「「エルトシャン様の為!」」」ザザッ

ザイン「出陣だ!祖国の為に死ねる事を誇りに思え!」

アヴスティ騎士団「「「アヴストリア万歳!」」」ザザッ

ヴォルツ「おいおい…何で負ける前提なんだよ。クロスナイツって言ったら大陸最強騎士団の一角だろ?」

ヴォルツ「しかもあの男が持ってる剣は神器の一つ、ティルフィングじゃねぇか」

ヴォルツ「おまけに騎士団まで居るんだ。負ける方がおかしいだろ」

シグルド「君は何も分かっちゃいない」ブルブル…

シグルド「私にはこの彼らがどうなってしまうのか、その結果が見える。いや、見えてしまうのだ…」

ヴォルツ「?」

シグルド「その結果を見て、君が如何に大それた事をしてしまったか、思い知るのだな」ジロッ

オイフェ「ですね」ジロッ

ヴォルツ「あの軍勢相手じゃ流石に俺でもどうにもならねぇよ。心配すんなって」

世界ひろし「ほう、それはガッカリだな」

ヴォルツ「そんな…まさか…」

クロスナイツ「」チーン

アヴスティ騎士団「」チーン

シャガール「わ…私の…私のアヴストリアがぁ…」ガクッ

ザイン「ぜ、全部お前の…せい…だ」ガクッ

エルトシャン「ミストルティンすら…壊れた剣と何も変わらかっ…た…」ガクッ

世界ひろし「君は彼らにすら及ばないのに、私と言えども倒せないと大口を叩いていたのかね…?」ズォォッ

ヴォルツ「う…うああ…」



-この時ヴォルツは初めて自分の言動が引き起こした事の大きさを知り、そして死ぬ程後悔したのであった-



ヴォルツ「お、おい。何とかならんか?!」チラッ

シグルド「ならんな」

オイフェ「なりませんね」

ヴォルツ「ちくしょォ~!」

世界ひろし「さあ、自分の発言の責任は取ってもらおうか」ズイッ

ヴォルツ「そんなつもりは…そんなつもりは無かったんだよぉ~」アトズサッ

世界ひろし「ならば何故、世界ひろしと言えども自分は倒せない等とほざいたのだ?」ズイッ

ヴォルツ「世界ひろしって、この広い世界でもって意味だったんだよ!まさかそんな名前のヤツが居るなんて思っても居なかったんだよ!」アトズサッ

世界ひろし「この期に及んで言い訳とは実に見苦しい!君には勝てないと言っていたベオウルフ君の方がはるかに漢だったよ」

ヴォルツ「ベオウルフ!」チラッ

ベオウルフ「」

世界ひろし「君にはもう興味は無い。期待した私が愚かだったと思う事にしよう」

世界ひろし「さあ、君もオネンネの時間だ。そこのベオウルフ君の様に」ニヤッ

ヴォルツ「て…てめぇ…」

ヴォルツ「俺と俺の傭兵隊をナメる奴ぁ許しておけねぇ」

ヴォルツ「例え世界ひろしと言えどもな!」

【ヴォルツ】
クラス:フォレストナイト
HP:60
力:14
魔力:2
技:21
速さ:18
運:0
守備:14
魔防:5
スキル:連続、世界広し(相手の世界ひろしを無効化)←

-後にシグルドは語る-

シグルド「私は信じられないものを見た。だが、これは実際に起こった事だ」

シグルド「世界ひろし」

シグルド「それはまさに神そのものと言って良い存在だった」

シグルド「12人の聖戦士はおろか、その血を与えた竜族達ですら、纏めて掛かっても彼には人形を薙ぎ倒すのと大差無かっただろう」

シグルド「ロプトウスやナーガだったら?」

シグルド「まあ、彼にとってはシビリアンと同列かな?動くだけ人形よりはマシってだけで何も変わらないよ」

シグルド「そんな世界ひろしを、たった一人の傭兵が撃ち破ったのだ」

シグルド「しかも一方的に…だ」

シグルド「あれは凄かった。いや、凄いという言葉では語れないな」

オイフェ「その先は僕に言わせてください。興奮していても立ってもいられなくて」

オイフェ「世界ひろしにはあらゆる攻撃が意味を成しませんでした」

オイフェ「神器を以ってしても、命中させる事すら不可能だったのです」

オイフェ「指揮官レベル5でミストルティンを携えたエルトシャン様の命中率、幾つだったと思います?」

オイフェ「0ですよ、0!」

オイフェ「当たらないんだから勝てるわけないじゃないですか」

オイフェ「でも、あのヴォルツという傭兵ははがねの大剣一本でそんな世界ひろしを撃破したんです」

オイフェ「信じられませんでした」

オイフェ「世界ひろしに攻撃する間もなく、一撃で…ですよ」

-時は流れて…-

ジャコバン「この雷の剣の恐ろしさ、たっぷりと味わわせてやろう」チャキッ

レイミア「あんたを倒せばたんまりご褒美が頂けるんでねぇ。悪いけど殺られてもらうよ」チャキッ

ヴォルツ「ふっ、雷の剣士ジャコバンに地獄のレイミアか。なかなかに名の知られた奴らだが、俺とやり合うには随分早過ぎた様だな」

レイミア「私達二人を同時に相手にして勝てると思っているのかい!」

ジャコバン「ふっ、喰らえ!雷の剣!」

ヴォルツ「俺を殺れるヤツは居ねぇよ。例え世界広しと言えどもな!」



-その後、彼を見た物は誰も居ない-

-確かに彼は世界ひろしと言えども倒せない男ではあったが、広い世界には彼を倒せる者はゴマンと居た事を、彼は知らなかったのだ-

熱烈なご支援ありがとう(`・ω・´)ゞ

これにて完結!( -`д-´)キリッ

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