紗夜「ポテトは野菜」 (18)

~放課後・ファミレス~


友希那「…3人共、遅いわね」


紗夜「まったく…テストで赤点を取って補習だなんて」


紗夜「ロゼリアのメンバーとして相応しくない振る舞いです…もぐ」モグモグ


友希那「ええ、そうね」


友希那「ところで…紗夜?」


紗夜「何でしょうか?…もぐ」モグモグ


友希那「確か…その山盛りのポテトは3人の為に頼んだはずじゃなかったかしら?」


紗夜「そうですが、それが何か?…もぐ」モグモグ


友希那「とりあえず食べるのをやめてもらえるかしら」


紗夜「はぁ…」シュン


友希那「悪いわね」


友希那「それで…なぜ3人の為のポテトをあなたが食べているのか説明してちょうだい」

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紗夜「湊さんはこのフライドポテトが何から生成されているかご存知でしょうか?」


友希那「紗夜あなた私をバカにしてるの?」


紗夜「まさか、そんなつもりは滅相もありませんから答えてください」


友希那「…フライドポテトと言うくらいだからジャガイモから出来ているに決まっているじゃない」


紗夜「ではジャガイモとは何でしょうか?」


友希那「芋でしょう?」


紗夜「ええ、芋ですね、では芋とは?」


友希那「…野菜かしら?」


紗夜「そういう事です」


友希那「どういう事か説明してちょうだい」

紗夜「いいですか、ジャガイモは野菜です」


紗夜「しかしながら、それを揚げるとなればそれは野菜ではなく、フライドポテトという料理になります」


紗夜「このフライドポテトという料理は極めてジャンキーで健康にも悪い低俗な料理です」


紗夜「揚げたてはまだましですが、一旦冷めてしまえばその低俗さはさらに増します」


紗夜「そうして冷めたポテトは補習を受けるような3人にはちょうどいい罰だと思ったのですが…」


紗夜「生憎、3人が到着するより前にこのポテトは完全に冷め切ってしまいました」


友希那「…まだ仄かに温かいと思うのだけれど」


紗夜「気のせいです」

紗夜「冷め切ってしまったフライドポテトには、衣からジャガイモの内部まで油が染み込んでしまいます」


紗夜「そうなってしまえば、それはもはやフライドポテトにあらず」


紗夜「野菜のアヒージョです」


友希那「アヒージョ…?」


紗夜「熱した油に野菜や肉を浸し、油漬けにして食べる料理の事です」


友希那「そんな料理があるのね」


紗夜「ええ、しかも困った事に…」


紗夜「このアヒージョはフライドポテトとは比べものにならない高尚な料理です」


紗夜「つまり…補習を受けるような3人に食べさせるには相応しくない」


紗夜「なので私が仕方なく食べているというわけです…もぐ」モグモグ


友希那「なるほど、そういう事ね」

友希那「…しかしいくら高尚な料理とはいえ、その量を1人で食べきるとなると身体に悪影響が出るんじゃないかしら?」


友希那「ここは私も手伝った方が…」


紗夜「それには及びません…もぐ」モグモグ


紗夜「先ほども言いましたが、これはフライドポテトではなく、ジャガイモという野菜です…もぐ」モグモグ


紗夜「肉や魚とは違い、大量に摂取したとしても身体に及ぼす悪影響はわずかです…もぐ」モグモグ


紗夜「むしろ、ジャガイモには豊富な栄養素が多く含まれているので、大量に摂取するほど良いとも言えるでしょう…もぐ」モグモグ


紗夜「なので、ここは私1人に任せて頂きたいと思います…もぐ」モグモグ


友希那「頼もしいわね」

友希那「…紗夜の食べている姿を見ていたら私も小腹が空いてきたわね」


友希那「私も何か食べようかしら」ペラッ


紗夜「ハンバーグなどいかがでしょうか?…もぐ」モグモグ


友希那「ハンバーグ…ですって?」


友希那「既に学校で昼食を済ませ、数時間後には家で夕食を食べるというのに、今ここでハンバーグを食べるというのは悪手ではないかしら」


紗夜「そうとは限りません」


友希那「…聞かせてもらおうかしら」


紗夜「ハンバーグが何から生成されているかご存知でしょうか?」


友希那「紗夜あなた、やっぱり私をバカにしているわね」


紗夜「バカになどしていませんので答えてください」

友希那「ここのハンバーグは…牛肉100%と書いてあるわね」ペラッ


友希那「つまり牛肉で出来ているわ」


紗夜「牛肉とは?」


友希那「紗代やっぱり私をバカに…」


紗夜「してませんから答えを」


友希那「…牛のお肉でしょう?」


紗夜「では牛は何を食べて生きていますか?」


友希那「詳しくは知らないけど…草を食べて生きているはずよ」


紗夜「ええ、つまり牛は草から出来ていると言っても過言ではありません」


紗夜「なので牛肉は野菜です」


友希那「なるほど、そういう事ね」

友希那「野菜なら…多少、取りすぎたとしても大した問題ではないわね」


紗夜「そういう事です」


友希那「注文するわ」ピンポーン


彩「はーい!ご注文、お伺いしまーす!」タタタッ


紗夜「!?」ビクッ


友希那「このハンバーグを1つお願いするわ」


彩「はい!他にご注文はありますか?」


友希那「いいえ、以上よ」


彩「ではご注文を繰り返させていただきます、ハンバーグが一点、以上でよろしいでしょうか?」


友希那「ええ、お願いするわ」


彩「ご注文承りました!少々お待ちくださいねっ!」タタタッ


紗夜「…」


友希那「無駄に元気な店員さんだったわね」


友希那「…紗夜?」

紗夜「あっ、いえ…今の店員さんが、日菜の良く行くファストフード店の店員さんにそっくりだったもので」


友希那「そう」


紗夜「仕事の掛け持ち…でしょうか?」


友希那「かもしれないわね」


紗夜「だとしたら大変ですね」


友希那「きっと…無駄に元気そうに見える彼女も、彼女なりに苦労しているのでしょうね」


彩「ハンバーグお待たせいたしましたー!」タタタッ ゴトン


友希那「ありがとう」


彩「ご注文は以上でおそろいでしょうか?」


友希那「ええ、大丈夫よ」


彩「では失礼しまーす!」タタタッ


友希那「大変ね」


紗夜「大変ですね…もぐ」モグモグ

彩ちゃんがバイトしてるファミレスはここですか?

友希那「…さて、それじゃあ冷めないうちに頂こうかしら」カチャカチャ


友希那「いただきます」


紗夜「召し上がれ」


友希那「…もぐ」モグモグ


友希那「…ごくん」ゴクン


友希那「美味しいわね」


紗夜「それは何よりです…もぐ」モグモグ


友希那「まさか、これほど肉汁溢れるハンバーグが実質、野菜だったとは…」


友希那「現代の食品加工技術は凄いのね」


紗夜「まったくです…もぐ」モグモグ


友希那「紗夜、ハンバーグが野菜だと教えてくれて助かったわ」


紗夜「礼には及びませんよ」


紗夜「…いや、お礼という事でしたら、そのハンバーグの付け合わせの皮付きポテトをいただけますか?」


友希那「ええ、かまわないわ」

友希那「なんなら、もう1つの付け合わせである人参のソテーも…」


紗夜「いいえ、それには及びません」


友希那「何故かしら?私があげると言っているのだから断る理由は無いと思うのだけれど…」


紗夜「私の功績は、あくまでも皮付きポテトの分にすぎません」


紗夜「なので、いくら湊さんの方から、あげると言ってくださったとしても受け取るわけにはいきません」


紗夜「それに風紀委員として、必要以上の賞賛や報酬を受け取るのはモラルやポリシーに反しますので」


友希那「なるほど、等価交換というわけね」


友希那「やるわね、紗夜」


友希那「あなたのような人格者がロゼリアに居ることを誇らしく思うわ」


紗夜「ありがとうございます」ホッ

面白い会話だな

リサ「ごめーん!2人ともお待たせー!」


あこ「遅くなってごめんなさいっ!」


燐子「…お待たせ…しました…」


友希那「ようやくね…もぐ」モグモグ


紗夜「まったく、宇田川さんと今井さんはともかく、白金さんまで補習とは…」


紗夜「ロゼリアのメンバーとして自覚が足りないのでは?」


燐子「…ごっ、ごめんなさい…」


リサ「あー、燐子は私とあこを待っててくれただけだから、あんまり怒んないであげて?」


あこ「ホントは先に行ってて良かったのにわざわざあこ達を待っててくれたんです!」


紗夜「…そういう事なら仕方ないですね…もぐ」モグモグ


燐子(本当は私が友希那さんと紗夜さんの3人だけになると居心地が悪いから…とは言えない)

リサ「…って、あれっ!?友希那、ハンバーグ食べてんの!?」


リサ「紗夜もポテト食べてるし!」


リサ「2人とも、こんな時間にそんな重いもの食べて大丈夫?」


友希那「安心して、リサ」


友希那「これらは野菜よ」


リサ「へ?」


紗夜「ゲフンゲフンッ!」ゴフッ


あこ「紗夜さん大丈夫ですか!?」


紗夜「…ええ、問題ないわ…もぐ」モグモグ


紗夜「ごくん…ごちそうさまでした」


燐子「…あの…ハンバーグが野菜って…どういう…?」


紗夜「さて、それでは全員揃った事ですしスタジオに向かいましょうか」スクッ


リサ「え、ああ、うん、そうだね」


リサ「何かとんでもない事を聞いたような気がするけど、まあいっか」

友希那「ふぅ…ごちそうさま」フキフキ


あこ「あっ!友希那さんいつの間に食べ終わってる!?」


友希那「ロゼリアは一刻も無駄に出来ないわ」


友希那「さあ早く練習にゲェ~プ」ゲプッ


リサ「げっぷ出てんじゃん!」


燐子「…あの…ハンバーグが野菜って…どういう…」


紗夜「白金さん、世の中には詮索すべきではない事もあります」


紗夜「わかったら、さっさと練習にゲェ~プ」ゲプッ


リサ「2人とも練習前に食べ過ぎだよ!」


END

元ネタはポテト 野菜じゃん でググると出てくる例のアメリカンな4コマ漫画です

ガルパSS過去作
友希那「猫可愛い」紗夜「犬の方が可愛いですが」

スクストSS過去作
ティエラ「メンタル強化特訓期間」などなど

この他の過去作はツイッターで#スクストSS #ガルパSSで検索すると出てきます

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