ジャンヌ「貴方に炎の導きがあらんことを」 (9)

#1 開幕前夜


アストルフォ「えーと…君がセイバーだね。君の真名は?」



黒のセイバー「うーむ…うーむ…」コックリ コックリ



アストルフォ「あ、あれぇ…聞こえてる?」

黒のセイバー「ウムムムム…」

ゴルド「……(何者なのだコイツは…)」

カウレス「本当にセイバーなのか? 随分と太ってるように見えるけど…」


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アストルフォ「もしもーし、起きてる?」トントン

黒のセイバー「うーむ…うーむ…」コックリ コックリ

ゴルド「おいっ!! 聞こえているのかセイバー!?」

黒のセイバー「! お、おお! すまぬ、考え耽っていた」

ゴルド「貴様は――」

黒のセイバー「私はカタリナのジークバルト。あまり見慣れた格好ではないかもしれんが、これでも立派な騎士(セイバー)なのだ」

ゴルド「ば…!(ジークバルト!?  聞いたことないぞそんなヤツ!)」

ダーニック「…(何者だ? このサーヴァントは…)」

フィオレ「カウレス、知ってる?」

カウレス「い、いぇ…」



ゴルド「よく聞けセイバー、お前はこれから余計な口は出さず、黙って命令に従っていればいい」

ゴルド「それと、以降は真名を口にするな。お前がどこの英雄か知らんが、自分から正体を明かすような真似は慎め。それから…」

ジークバルト「ぐぅ…ぐぅ…」フゴーッ フゴーッ

ゴルド「……(寝ている!? マスターである私の話を聞かずに居眠りだと!!?)」ピキピキ

ゴルド「このっ、起きろセイバー!!」ガンッ

ジークバルト「! お、おお!! すまぬ、つい眠ってしまった」

ゴルド「いたっ…!!」ヒリヒリ


ダーニック「あのジークバルトというサーヴァントですが、どこにもそのような名の英雄は見当たらず…」

ヴラド三世「そうか。しかし、重要なのは出自ではなく、我が配下となる将に相応しい実力を持っているかということ」

ダーニック「では…」

ヴラド三世「其奴の力、試させてもらうとしよう」


#2 黒のセイバー


ジャンヌ「赤のランサー……英雄“カルナ”ですね」

カルナ「サーヴァント、ルーラーとお見受けした。我がマスターの命により、お前を抹殺する」

ジャンヌ「くっ…」ジャキッ

カルナ「言葉は不要か。では、行くぞ」


ゴルド「そこまでだ!!」

ジャンヌ「貴方は…」

ゴルド「間に合いましたな、ルーラーよ」

ジャンヌ「黒のセイバーと、そのマスターですね」

ゴルド「赤のランサーよ! 貴様がルーラーを抹殺しようとしたことは明白だ! 大人しく我がセイバーと、彼女の裁きを受けるがいい!!」



ゴルド「」ワナワナ

カルナ「…?(奴が、黒のセイバーなのか?)」

ジャンヌ「? どうしたのです?」

ゴルド「貴ッ様ァ!! サーヴァントの分際で戦いの前に居眠りとは、どれだけ私をコケにすれは気が済むのだ!!?」ガンッ

ジークバルト「! お、おお! すまぬ、考え耽っていた」

ゴルド「あたっ…!」ビリビリ



ジークバルト「実はな、少し難儀しているのだ」

ジャンヌ「な、何がですか?」

ジークバルト「貴公に見えるだろう。あの、いかにも強そうな英霊が」

カルナ「……」

ジャンヌ「…(赤のランサーのことを言っているのでしょうか)」

ジークバルト「私も手練れ、決して臆病ではないのだが、どうしたものかと思案していてな。貴公も、軽々しく手を出すんじゃあないぞ」

ジャンヌ「あ…いえ、そもそも私は手を出すことはないのでご安心を」

ジークバルト「話せば分かるだろうか……無理だなぁ、燃えすぎだ。どうしたものか…悩ましい…」ウーム ウーム

ジャンヌ(戦意がまるで感じられません)



カルナ「どうした? 黒のセイバーよ。お前が来ぬのなら、こちらから行くが」ジャキッ

ゴルド「! 何をしているセイバー! やれ!! 奴を殺し、貴様の有用性を証明してみせろ!!」


ドゴォッ


ジークバルト「ぬおぁっ!?」ドテ

カルナ「?(傷が浅いな…)」

ジークバルト「え、えぇい! こうなっては仕方ない。カタリナ騎士ジークバルト、いざ参る!!」ダダダッ

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