モバP「飛鳥と夏祭り」 (19)

飛鳥「どうだい?」

モバP(以下P)「蘭子とかと行かないのか?」

飛鳥「誘ってみたが、生憎仕事が入っていたようでね。仕方なくキミを誘いに来たと言うわけだ」

P「癪に触る言い方だなぁ。まぁせっかくだし、行くか」

飛鳥「フフッ、では来週の日曜だ。よろしく頼むよ」

P「おう」

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夏祭り会場

P「結構人いるもんだなぁ……」

トントン

飛鳥「お待たせ、プロデューサー」

P「お、ようやく来……!? どうしたんだよその格好……」

飛鳥「浴衣だよ。祭りだし、不思議でもないだろう?」

P「それはわかるけど……その、なんて言うか、足りなくないですか?」

飛鳥「足りない? あぁ、エクステのことか。今日は外して来たよ」

P「な、なんだって……!? あの飛鳥が、エクステを……外す……?」

飛鳥「一体ボクのことをなんだと思っているんだ」

P「痛い奴」

ゴスッ

P「痛い」

飛鳥「それはキミも一緒だろう? まぁその、なんだ。今日はキミと二人っきりだし……別に、抵抗するものもないかな、って……

P(なにこの可愛い生き物……)

飛鳥「そんなことより、これでもボクは女の子なんだが、何か一言無いのかい?」

P「えーっと……いつものイメージと違うけど、少女らしさが出て良いんじゃないか? 紫の髪飾りでエクステが無くても地味になることがないし。とても綺麗だぞ」

飛鳥「……あ、ありがとう。今日のために周子さんと用意したんだ。そう言って貰えると頑張った甲斐があるというものさ」

P(ナイス周子! 今度和菓子を買ってやろう)

飛鳥「さぁ行こう! 時間は限られてるしね」タタッ

P「あ、待て! アイツめっちゃ楽しそうだな」

飛鳥「お店が多くて悩んでしまうね」

P「そうだな。なんか目に入ったら教えてくれ」

飛鳥「そう言われてもね……。あ!」

クイクイ

P「ん?」

飛鳥「プロデューサー、アレで勝負だ」

P「射的か。流石に負けないぞ?」

飛鳥「フッ、生憎だけどボクも負ける気はないよ」

P「すみません、二回お願いします」

飛鳥「では早速、先行は頂くよ」

P「まずはお手並み拝見と言ったところか」

スッ

P(構えがとてもそれっぽい)

パン! スカッ

P(しかし外れ。次は当ててくるか?)

パン! スカッ

P(二発目もハズレ。構えだけはとてもそれっぽくてかっこいいんだが……)

パン! パン! パン!……

P(まさかの全弾ハズレ)

飛鳥「……」

P「……まぁ、その、なんだ。そういう日もあるさ」

飛鳥「……さぁ次はキミの番だ。せいぜい足掻くと良い」

P「おう、任せとけ」

P(まぁしっかり構えるより、体を前に出した方が距離が詰められて良いんだよな)

パン! カンッ

P(大物に当たったけど、倒れないよなぁ。小さいお菓子狙うか)

パン! ポンッ パン! ポンッ パン! ポンッ

P「ふぅ。小さなお菓子だけど、三個落としたし俺の勝ちかな?」

飛鳥「異議あり」

P「え?」

飛鳥「その構えはなんだい? やる気はあるのか!?」

P「射的では体を前に出すのはありだぞ」

飛鳥「ズルじゃないか! キミとボクじゃ体格の差がありすぎる!」

P「落ち着け落ち着け。無効でいいから。これもあげるよ」

飛鳥「……ありがとう」モグモグ

P「それにしてもやけに構えは決まってたな」

飛鳥「最近杏や美玲、紗南たちとゲーセンに行くんだ。そこでちょっとね」

P「なるほど、美玲や紗南はまだしも、杏ってシューティングゲームできるのか……?」

飛鳥「紗南と二人でプレイしてるとギャラリーができる程度には」

P「その杏のやる気が仕事に向けば……って、お? 金魚すくいだ。やっぱりお祭りと言ったら金魚すくいだよな!」

飛鳥「え、そういうものなのかい……?」

P「そうだぞ! 早速いくぞ!!」

飛鳥「急にテンションが上がりすぎだろう……」

P「早く行くぞ!」

飛鳥「やれやれ、これじゃどっちがコドモでどっちがオトナかわからないな」

P「二回お願いします!」

飛鳥「こんなに輝いてるキミを見るのは初めてだよ……」

P「よっと」スイッ

P「おらっ」スイッ

飛鳥「凄いな……ここまで来ると尊敬に値するな。しないけど」

飛鳥「さてボクも」スイッ

飛鳥「あ、おい、逃げるんじゃない。別に獲って食おうって訳じゃないんだ。大人しく……!」スイッ ベリッ

飛鳥「っ……半身がやられた……まだだ、まだいける!」スイッ

ベリッ

飛鳥「……」

P「飛鳥、こう、垂直に入れて、水平に動かして、スッとすくうんだ。すみません、もう一回お願いします」

飛鳥「垂直に入れて、水平に動かして……っ!」スイッ ベリッ

飛鳥「あ……」

P・飛鳥「……」

飛鳥「もう一度だ」

飛鳥「……」スッ

飛鳥「……!」スイッ

ピチャ

飛鳥「やった……!」

P(かわいい)

飛鳥「あ、いや、あれだ、三度目の正直と言うだろう?」

P「嬉しいなら素直に喜んでいいんだぞ」

飛鳥「そんなのボクのキャラじゃない」

P「難しいやつだなお前も」

飛鳥「いいかい? ボクにとってこのセカイと言うのは」

P「わかった、わかったから。次行こう、な?」

飛鳥「……理解った。今度じっくり話してあげようじゃないか」

P「あっ! たい焼きあるぞ! たい焼き食べるか?」

飛鳥「全く、キミは露骨に話を逸らすね」

飛鳥「たい焼きおいしい」←結局食べた

P「お祭りとなると無性に食べたくなるんだよなぁ」

飛鳥「あ」

P「どうした?」

飛鳥「ちょっと買いたいものが出来たんだ。悪いけど、先に行っててくれるかい?」

P「ん。じゃあ先進んでるよ」

飛鳥「すぐ戻る!」

P「気をつけろよー」

P(なんだかんだめっちゃ楽しんでるな。まぁそれは俺も一緒か)

P「とは言ったけどそんなに離れるわけにもいかないしな」

P「お、りんご飴あるな。これも祭りで食べたくなるよなー」

P「すみません、二つください」

アザーッス

P「うん。両手が塞がってなにも出来ない」

トントン

P「飛鳥か?」

P「……何してんの?」

飛鳥「ペルソナ」←お面つけてる

P「……りんご飴食う?」

飛鳥「あの、いわゆるツッコミ待ちってやつなんだが」

P「あ、あぁ。とりあえず、りんご飴食べる?」

飛鳥「食べる」

P「何でひょっとこなの? 飛鳥的にそれはありなのか?」

飛鳥「ハッ……これはその、冗談だ。冗談だから。いや、やっぱりナシで」

P「心の中では大爆笑してるぞ」

飛鳥「ダウト」

P「ほんとほんと。普段とのギャップにやられて何も言葉が出なかっただけだ」

飛鳥「それは笑ってないも同然だろう!」

P「さて、ここらへんかな。綺麗に見えると思うぞ」

飛鳥「花火……打ち上がってから一瞬だけ輝き儚く消えていく。フフッ、アイドルに通じるものがあるね」

P「カッコつけてるところ申し訳ないけど、頭のお面で全部台無しだ」

飛鳥「それもまた可能性の一つさ……」

P「正直何も考えずに買ったよね、それ」

飛鳥「うっ……否定できない……」

ヒュ~~~ ドーン ドーン

P「始まった!」

飛鳥「とても、綺麗だ」

飛鳥「……少し、いいかい?」

P「どうした?」

飛鳥「……花火には様々な形、色があって、たくさんの花を夜空に咲かす。ただ、どれも長くは輝けない」

飛鳥「見ている時は綺麗、美しいと思えるが、終わったあとはその輝きを鮮明に覚えているものは少ない」

飛鳥「さっきも言った通り、アイドルみたいだなと思っただけさ。この世界にはいろんな個性のアイドルがいて、様々な花をステージに咲かす」

飛鳥「時々考えるんだ。ステージで歌ってる時、他者と共鳴できている……とは感じる。しかし、終わったあとはどうなんだろうと

飛鳥「ボクは存在を証明できただろうか、このステージのことを覚えていてくれているだろうかと」

P「……難しいな」

P「俺は観客としてその場にいるわけじゃないからしっかりとした解を与えられないが、俺はしっかり飛鳥のステージを覚えているぞ」

P「それに飛鳥だって、アイドルでもアイドルじゃなくても他人のステージを見て、心に残ることはあるだろ?」

P「そんなもんじゃないのかな。こんな答えしか出せなくてごめんな」

飛鳥「あ、いや、いいんだ。これはボクの問題だ。ただその、安心した、かな。これからも頑張ってボクは輝く。それが存在証明への近道だと信じて」

P「その心意気だ。とりあえず、今はこの花火を楽しもう」

飛鳥「あぁ。今だけはこの景色を……」

「以上を持ちまして、花火大会を終了致します」

P「終わったか。どうだった?」

飛鳥「とても綺麗だった。ボクはこの景色を忘れないよ」

P「そうか、なら良かった」

飛鳥「……もし、誰かが忘れてしまったのなら、それは悲しいことだ。だけど、ボクはそれに存在証明をしていく」

飛鳥「そうすればいつか、このセカイ中の人に存在を知らしめることができるだろう?」

P「そのためには、俺も頑張らなくちゃな」

飛鳥「頼りにしてるよ、プロデューサー。フフッ」


おわり

飛鳥と夏祭り行きたいだけの人生だった
今更だけどデレステのフルコンボイスの存在を知り、飛鳥で殺されました

依頼出してきます

>>16
今更誤字脱字に気付く……


飛鳥「……もし、誰かが忘れてしまったのなら、それは悲しいことだ。だけど、ボクはそれに存在証明をしていく」

飛鳥「……もし、誰かが忘れてしまったのなら、それは悲しいことだ。だけど、ボクはそれ以上に存在証明をしていく」

でした……

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