御坂「……?(誰よアイツ……見ない顔ね……)」 (138)

(学園都市 とある公園)

??「いやー、ここが学園都市か。やっと着いたぜ」

自動販売機(バチッ!、ジーガー…、ゴトン)

??「ってーと、とりあえずどこ行きゃいいのかね…お?なんか新年早々自販機にケリ入れてる人が…」

御坂「…」

??「あの人は確か…。おーい!!」

御坂「…?(誰よアイツ…見ない顔ね…)」

??「いやいや、そこにいらっしゃるのは学園三位の能力者、(超電磁砲:レールガン)こと御坂美琴さんではないでしょうか?」

御坂「だったら何よ…サインならお断りよ」

??「いやいや、おれも運がいい。学園に来ていきなり会えるとはねえ…」

御坂「(何よ、ファンか何か?シカトするに限るわね…こういうのは)」

??「いやどうも、おれは詠矢…詠矢空希(ヨメヤ ソラキ)ってもんだよろしくなー」

御坂「(はいはい無視無視。相手するとロクな事無いわ)」

詠矢「あ、おいおい、どこ行くんだ!(って…会えたはいいがどうするかね…あ、そうだ!)…ちょいと御坂さん」

御坂「…」

詠矢「それ犯罪だろ?」

御坂「…」

詠矢「電流を操作して自動販売機を誤作動させ、金を払わずに商品を手に入れる。普通に窃盗だよな?」

御坂「…」

詠矢「いいのかねえ、学園第三位の能力者とあろう人が、小銭ケチって窃盗なんて」

御坂「…」

詠矢「あんたは強くて、その振る舞いを周囲が容認してるのかも知れないが、こう公然と…」

御坂「うっさいわねぇ!!どうせもいいでしょそんな事!」

詠矢「いや、よくないっしょ。刑法的に」

御坂「だいたい、アンタに何の関係があるのよ!!」

詠矢「俺が関係してようがいまいが、それが犯罪であることは事実」

御坂「(ビキッ…)何よ、喧嘩売ってるワケ?(バチッ)」

詠矢「…まあ、そんな感じかな」

御坂「…いい度胸ねぇ…。じゃあ、お望み通り私の電撃で躍らせてあげるわ(バチッ)」

詠矢「ちょちょ!ちょっと待って!」

御坂「何よ!今更逃げれるとでも思ってんの!?」

詠矢「いや、違う。ちょっと離れただけ。5メートルも有れば十分かな」

御坂「?何言ってんの?私の能力知らないの?」

詠矢「いや、知ってる知ってる。ちゃんと調べてきた。超強力な発電能力だよな?」

御坂「知ってるなら、無駄だってわからない?…もういいわ、死んでなさい!!(バチバチッ)」」

詠矢「大丈夫、空気は絶縁体だ。ここまでは届かない」

御坂「…?(あれ、おかしい、電撃が飛ばない)」

詠矢「ごく近い距離なら、空気中でも放電現象が起こる場合は有るけど、これぐらい離れてればまず大丈夫」

御坂「…!?(あれ、あれ、何度やっても飛ばない!!…電気はちゃんと起きてるのに!)」

詠矢「(お、効果アリ…かな?)」

御坂「…アンタ…なんかやったわね…」

詠矢「多分…ね」

御坂「能力…者…」

詠矢「そうなるかな」

御坂「…なんか、アンタ嫌な雰囲気ね。その軽口、後悔させてあげるわ!!…!!(最大級の電撃を!)」

詠矢「お…電圧を上げてるのかな?それはいい判断だ。空気の絶縁限界を超える約300万V/mが有れば空気中でも電子雪崩が起こって雷を起こすことが出来る。但し!!」

御坂「さっきからゴチャゴチャうるさいわね!!でも…これでっ!!(バチッ!…バリバリ!)

詠矢「空気中に放電された電気は、一番近くにある電気抵抗の少ない物質に向かって流れる。この状況では、恐らく…」

自動販売機「(バチッ!!…ガガ…。プツン)」

御坂「えっ!?電撃が…」

詠矢「窃盗に器物破損が追加…か」

御坂「なによ…これ…どういうこと!?アンタ何したのよ!!」

詠矢「いや…もういいんだ、十分使えることわかったし」

御坂「はあ?」

詠矢「ご協力ありがとうございました。そんじゃまた」

御坂「ちょっと、アンタみたいな得体のしれない奴、このまま逃がすとでも思ってんの?」

詠矢「あ、いやいや、ゴメンゴメン。怒らせたのは謝るからさ…」

御坂「うるさいっ!!電撃が飛ばないならこれよ!!(チャキ)」

詠矢「おっと、そのコインはレールガンですな!。えーっと、どうだっけかな(ポチポチ)」

御坂「…ナニ携帯なんか見てるのよ…」

詠矢「いや、うろ覚えなもんで…。と、電気伝導体の二本のレールの間にこれまた伝道物質を配置し、回路を形成して荷電することよってローレンツ力を発生させて打ち出す…。てことは…レールはどこにあるんだ?」

御坂「はい?レール?」

詠矢「うん。安定した加速を行う為には、かなり長いレールが必要となる。コインは恐らく鉄をクロムメッキしたものだろうから弾丸としては使えるけど、砲身が無いのが問題だな」

御坂「…空気中の物質をプラズマ化して、加速レールとする…簡単な話よ」

詠矢「…え?空気をプラズマ化…いや、それなら伝導体にはなるけど飛散しちゃうし、空中に固定する方法がないと…」

御坂「関係ないわよ。今までだってそうやって来たし、何も問題ないわ」

詠矢「(ヤベ、居直った。もしかしてヤバイ?)。いや、だからですね…原理が…」

御坂「うるさいっ!!死っねえええええぇぇ!!(ビシュゥゥゥゥ…ン!!!)」

詠矢「どおうわっ!!ヤバイヤバイ、ヤバイってマジで!」

御坂「へえ…上手く避けたわね…(さすがに威力は落としたけど、ホントに上手く避けた…)」

詠矢「(撃ちやがった…。論証が弱かったか?。ってーと、別の切り口が必要だな…)」

御坂「…さあて、アンタの能力、詳しく聞かせてもらいましょうか?それとも…消し炭になりたい?(チャキ)」

詠矢「そういやあ、そろそろ昼時だけど…御坂サン、腹減ってないか?」

御坂「…あんたバカじゃないの?何の関係があるのよそんなこと!!」

詠矢「御坂サンが発電を行っているとして、電気を発生させてるのは体細胞だ。だとすれば、発電のために大量のエネルギーが必要になる。細胞活動のエネルギーは糖。血中の糖だ。空腹時は危険だぞ…」

御坂「…(あれ?なんか、体が…)」

詠矢「急激な血糖値の低下は発作を引き起こす。具体的な症状としては、大量の冷や汗、動悸、振戦、譫妄!!」

御坂「(冷や汗が止まらない…、何で急に…た、立ってられない!)(ガクッ)」

詠矢「いや、いろいろゴメン。えーっと…さっき盗ってたジュース、あ、あったあった。『黒豆サイダー』?。ま、糖度高そうだからこれ飲めば多分回復するよ」

御坂「ちょ…っと…待ちなさ…」

詠矢「んじゃ、失礼しまっす」

白井「お姉さま!!お姉さま!!」

御坂「く…黒子…っ…」

白井「どうなさいましたの!?真っ青ですわよ!!」

御坂「ちょっと…それ…取って…」

白井「(缶ジュース?)は、はい、こちらですの?」

御坂「(プシッ)…(ゴクゴク)」

白井「…(ハラハラ)」

御坂「…ふう、ちょっと落ち着いた…」

白井「どうなされましたの?」

御坂「なんか変な奴に合って…、最初は追っ払ってやろうと思ったんだけど…」

白井「ま、まさか…お姉さまを退けたと?」

御坂「いや、そうじゃないんだけど…。なんかゴチャゴチャうるさい奴でさ、話聞いてるとなんか調子出なくって」

白井「少なくとも、お姉さまから逃げおおせたのは確かなようですわね。何かの能力者…ですの?」

御坂「そうみたい…。はぐらかして、詳しくは分からなかったけど…」

白井「それは見過ごせませんわね…。黒子がたまたま通りかかったからよかったものの…」

御坂「なんか、ヤな感じの奴だったわね。強さは感じないんだけど…なんていうか、掴みどころの無い感じ…」

白井「これは、ジャッジメントとして対応する必要がありますわね。お姉さま、相手の特徴は覚えていらして?」

御坂「うん、それは覚えてる…。黒縁メガネで、眉毛が太くて…」

白井「支部で詳しくお聞きします。移動しましょう」

(ジャッジメント177支部)
初春「(ヨメヤ ソラキ)ですか…。在学者の名簿にはありませんね…(カタカタ)」

白井「しかし、自分から名前を名乗るとは大胆なお方ですわね」

御坂「聞いてもいないのに勝手に名乗ったのよね…。背格好からして、多分高校生ぐらいかなあ…」

初春「ダメです。中等部、高等部含めて検索しましたけどヒットしませんね」

白井「能力者なら、学園のバンクに登録があるはずですのに…まさか偽名?」

御坂「偽名なら、もっと普通の名前にするでしょうし…あ…そういえば」

白井「何か思い出されまして?」

御坂「学園に来ていきなりアタシに会ったって言ってた…もしかして…」

白井「学園都市に初めて来たと…初春!転入者名簿ですわ!」

初春「はい!!(カタカタ)あ、ありました!(詠矢空希 高等部1年)2日前に転入届が受理されたばかりです。また正式に生徒名簿には登録されてなかったみたいですね」

御坂「やっぱり高校生か。えーっとなになに…レベル0、無能力者。ただし学園での正式な測定は未実施…」

白井「外部での簡易検査では、能力は検出されなかったようですわね…」

御坂「なーんか、ますますよくわかんないわね」

白井「なんにせよ、お姉さまに危害を加えたことは事実。捨て置けませんわ…居場所さえ分かれば…」

初春「…あの…」

白井「何ですの?」

初春「転入者名簿に顔写真があります。これを監視カメラの記録と照合すれば…」

白井「足取りが分かりますわ!流石ですわね初春」

初春「はい!ありがとうございます!では早速(カタカタ)、第7学区の、170号カメラの記録と照合できますね…5分前のログです」

白井「そこなら、ここのすぐ近くですわね…。私なら一瞬ですわ」

御坂「じゃあ、アタシも一緒に行くわ。このままじゃ気が済まないし!…って…と…(グラッ)」

白井「いけません!お姉さまはまだ本調子ではありませんわ。ここは黒子が…その殿方をひっ捕らえて、お姉さまの前に引き出して差し上げますわ!」

初春「それに、これはジャッジメントとしてのお仕事でもありますから、御坂さんはどうか休んでて下さい」

御坂「…わかった、今回ばかりはおとなしくしといたほうがよさそうね…」

白井「どうかご自愛下さいませ。では初春、正確な位置をお願いしますわ!」

初春「はい!」

(第7学区 路地裏)
店主「はーい、かけそばお待ちどう!」

詠矢「うーい、どうもー。(これからいろいろ物入りだろうし、節約しとかないとなあ)(ズルズル)」

詠矢「(しかしかけそば一杯じゃ腹膨れねえなあ、おにぎり食っちまうかなあ)(ズルズル)」

詠矢「(でもおにぎりまで買っちゃうと牛丼の方が安いんだよなあ)(ズルズル)」

詠矢「(腹減ってたから勢いで入っちまったけど、やっぱ牛丼屋探せばよかったかなあ)(ズルズル)」

詠矢「ごちそうーさまー」

店主「あい、まいどー」

詠矢「さて…転居申請だっけか。どこ行きゃいいのかな(ポチポチ)」

白井「ちょっと、そこのお方…」

詠矢「あ、はい?俺のことっすか?」

白井「詠矢空希…ご本人に間違いございませんこと?」

詠矢「ええ、まあ…間違いございませんが…どちらさん?(お、結構かわいいじゃねえの。中学生ぐらいかね…)」

白井「ジャッジメントですの!!(ビシッ)」

詠矢「ジャッジメント…えーっと、確か、学園内の治安維持に努める学生で構成された組織…だったかな」

白井「お分かりなら話は早い…。ジャッジメントの権限にてあなたを拘束します!」

詠矢「でーっ!!て、なんですかいきなり容疑者ですか!(流石にいろいろマズかったかな、さっきのは…)」

白井「あなたにはいろいろとお伺いしたいことがあります。素直に同行して頂けませんか?」

詠矢「…」

白井「…お答えなさい!」

詠矢「…俺の容疑は?」

白井「は?」

詠矢「俺が拘束されるのは何の容疑だって聞いてるんだよ」

白井「…いえ、まだ罪状が確定したわけではありませんが…」

詠矢「容疑者じゃなけりゃ、任意同行にすらならねえだろう。不審者への職質レベルなら、従う必要はねえよな…」

白井「いえ、あなたにはお姉さまに危害を加えたという疑いがありますわ!」

詠矢「お姉さま?って…もしかして、えー…あの第三位の人かな」

白井「そうですわ。ご本人の証言から、先ほどお姉さまと関わったのはあなたであることは明白!」

詠矢「そりゃ関わったかもしれんが、俺はあの人には指一本触れてない。因果関係が成立するか?」

白井「何らかの能力を使われたと、ほのめかしていませんのこと?」

詠矢「どうだったかなあ…。それに、俺はレベル0、無能力者だぜ?」

白井「あなた…いろいろと面度なお方ですわね」

詠矢「昔から理屈っぽい性格でねえ。友達いねえんだこれがまた…」

白井「聞いてせんわそんなこと…。いずれにせよ、素直に従わないのはやましいことがある証拠!」

詠矢「いやー、権力側の人間っていつもそう言うんだよねえ」

白井「(イラッ)、では、同行していただけないと?」

詠矢「とりあえず、今の段階では『やだね』だ」

白井「では、力ずくですわね。やはりあなたを野放しには出来ません!!」(シュン!!)

詠矢「(消えた…?)…!!(って、いきなり目の前に!)」

白井「はっ!!(ガシッ)せいっ!!」

詠矢「(襟首と袖を!投げる気か…!!)よっと!(ババッ)」

白井「…!(引き手を切った!!体を裁いて釣り手も!!)…」

詠矢「あぶねえあぶねえ。テレポーターさんか…ちょっと離れさせてもらうぜ」

白井「やりますわね…、わたくしの捕縛術から簡単に逃れるとは…」

詠矢「一応心得はあるもんでね。さあ、どうする?いくら瞬間移動が出来ても、拘束するには俺を組み伏せる必要があるぜ?」

白井「他に方法はいくらでもありますわわ!いきますわ…」

詠矢「あーちょっと待ってくれ!!」

白井「…なんですの」

詠矢「テレポーターってさあ、瞬間的に位置を移動するわけだよな?」

白井「そうですわよ。それが何か?」

詠矢「転移先の物体はどうなるわけ?分子の重複とか起こらないのかな?」

白井「問題ありませんわ。わたくしの転移は…!(そういえばお姉さまがおっしゃってましたわ『ゴチャゴチャうるさい奴』と。まさか能力と何か関係が…)」

詠矢「えーっと、どう問題ないのかな?」

白井「…答える必要はありませんわ。あなたのご質問には何か別の意図を感じます」

詠矢「(あ、気付かれたか…。ま、しょうがない)いやあ、単なる好奇心だけどね」

白井「ご質問なら後で支部でゆっくりと。但し、わたくしの質問に答えて頂くのが先ですけど…(シュン)」

詠矢「…(また消えた、今度はどっから来る!)・・・どあっ!(上かっ!!)」

白井「(よし、倒しましたわ!。後は針で拘束!)…ふっ!!」

詠矢「(な!針!どっからあんなもん、投げる気か!)…!!(ゴロゴロ)」

白井「(キイン、タスタスタス)…!(針が地面に!転がって逃げた…)」

詠矢「…よいしょっと・・・。っとにあぶねえなあ…。手裏剣か。投げた…訳じゃなさそうだな」

白井「…」

詠矢「投げただけじゃ、金属の針がアスファルトに刺さるわけねえ。地面に向かって転移させた、ってとこか」

白井「あなた…何者ですの…」

詠矢「ただの理屈っぽい高校生ですよ」

白井「なら今のはどうやって避けたと…」

詠矢「いや、偶然あんたの手に針が見えたんでね。投げられるかと思ったんで転がって逃げた。そんだけさ」

白井「…たったそれだけのきっかけで…」

詠矢「だが、今のでわかった。テレポーターがどうやって転移先を指定しているか」

白井「…」

詠矢「指定先は『座標』だな。物を投げるのと同じ。『どの位置に向けて転移する』と指定して物体を送り込んでいる。俺が回避行動を取って針を避けられたのが証拠」

白井「それが…どうかしましたの?」

詠矢「座標なら、対抗する方法はある。要するに、狙いを定めさせなければいい(ザッ)常に動きまわってる対象には、当てにくいはず!(ダッ)」

白井「く…!(どういうことですの!針が当たらない…。この状態では細部を狙って拘束するのは無理ですわ!)…仕方ありません!多少の怪我は覚悟して頂きます!」

詠矢「しかも、銃弾や投擲と違って到達点までの軌道がない。つまり!!」

白井「(方向転換する瞬間なら、動きが止まはず。直接体に針を!)…そこっ!!(シュン)」

詠矢「相手に近づいても、流れ弾に当たる心配はねえ!一旦狙いをつけさせれば、距離を詰めた方が有利!!(ザッ)」

白井「(まさか!いきなりこっちに向かって!外したっ!!)…!」

詠矢「どっせい!!上段正拳!!」

白井「…!!(ダメ!演算が間に合わない!!)」

詠矢「…」

白井「…」

詠矢「あー…」

白井「…え?…(寸止め?)」

詠矢「殴るつもりはなかったんだわ。忘れてた…」

白井「…(ガシッ)…(シュン)」

詠矢「のごあっっ!(なんだ、いきなり頭から落ちた!?)」

白井「…(キイン)…(タスタスタス)…ふう、拘束完了ですわ」

詠矢「ひでえなー、転移した対象の方向まで変えられるのか。受け身とれねえっての…」

白井「手こずらせてくれましたわね…」

詠矢「いやー、ゴメン。悪気はなかったんだけどねえ。『論証』に入るとつい熱くなっちまって」

白井「では、おとなしくご同行して頂けると?」

詠矢「はいはい、転がされて、一張羅の袖口を縫い付けられて抵抗する気力もございません。どこなりとお連れ下さい」

白井「最初からおとなしくそうおっしゃっていれば…。とりあえず、あなたの能力、手短にご説明いただけます?」

詠矢「すいません、せめて立って話したいんですがー」

白井「口まで拘束した覚えはございません。そのままでどうぞ」

詠矢「うわ地味にひでえ」

白井「で、なんですの?あなたの能力。お姉さまの言った通り、あなたの言葉を聞いてると調子が狂いましてよ?」

詠矢「ふっふっふ…よくぞ聞いてくれました!。俺の能力はなあ!『論証を立てることによって、相手の能力を変質させる力』だ!」

白井「変質?まさそのような能力が…」

詠矢「いや、今日俺は確信に至った。この能力は間違いなく有る。そして、おれはこの力をこう名付けた。絶対反論(マ ジ レ ス)と!!!!」

白井「最低のネーミングセンスですわね…」

詠矢「あ、ダメかな?でも気に入ってるんで変えねえぞ」

白井「ご自由に…。ですが、もしその力が本当なら、かなり特殊な能力ですわね。まさか、パーソナルリアリティに干渉する力…?」

詠矢「はい?ぱーそなる・・・りありてぃ?

白井「そういえば、学園に来られたばかりでしたわね。ご存知無いでしょう。ご心配無くとも、カリキュラムの中で習いますわ」

詠矢「はあ…ソウナンデスカ。楽しみにしときます…」

白井「では、連行致します。よろしいですの?(ガシッ)」

詠矢「えー、あ、そうか。転移するんですな。接触者と同時転移も可能とは便利ですなあ」

白井「わたくしはレベル4ですのよ。これくらいは朝飯前」

詠矢「あ、でもでもさあ!」

白井「なんですの…行きますわよ…」

詠矢「こうやって、移動するときに、おれだけ上空に転移させられるとさあ」

白井「え?・・・(シュン)」

詠矢「死ぬしかないよなあ…(シュン)」

詠矢「あー、おれ落ちてるなあ…」

詠矢「うわこれどうしょうもなくね?…」

詠矢「…」

詠矢「……つまんねえ人生だったなー……」


第一部おわり

絶対反論(マジレス)こと詠矢空希(ヨメヤ ソラキ)は落ちていた。

それは比喩的表現ではなく、ただ真っ当な「落下」である。

地面まで数秒。その落差を計測する余裕などなかったが、それが殺意を持った高さであることは容易に想像できた。

「……つまんねえ人生だったなー……」

彼の命脈は既に尽きていた…かに見えた。

時間は数秒ほど遡る

>>63
お、2期以降やるのかすまんな

打止「おかいものっ!おかいものっ!とミサカはミサカはうれしさのあまりお出かけの目的を連呼してみたり!」

一方「ったく、っせーな…。食料の買出しに行くだけだろーが…」

打止「でも一緒にお出かけはそれだけで楽しいんだよ?なんてミサカはミサカは素直に同意を求めてみたり!」

一方「ケッ…ナニ言ってやがんだ…。いいから静かにしやがれ!」

ショッピングモールに向かう橋の上を歩く少女と、それを追う学園第一位能力者の青年。青白い首筋をもたげて、なんとなく空を見る。

一方「しっかし…腹立つぐれえいい天気だな…あ?」

青年の視界、つまりは上空に何かが写った。そしてそれはすぐに人の形をしていることに気づく。

だが、形より圧倒的に重要なことは、それが自然落下してくるということだ。前を小走りに進む少女の頭上に。狙い済ましたように。

一方「ちょ…なんだアレは!!…あぶねえっっ!!!」

青年は走る。だが杖が必要な足は付いていかず、上半身だけが先行する。半ば飛び掛るような状態で、なんとか少女の頭上に手をかざすことが出来た瞬間、落下物が彼の腕に触れた。

一方「っつ!!…!」

彼の能力「ベクトル変換」が発動する。落下物は水平に弾き飛ばされ、橋の欄干を通り越し、水柱を上げながら水面に叩きつけられた。

打止「ひゃあっ!!とミサカはミサカは驚きを隠せないでいたり・・・」

一方「なンだ……?」

詠矢「(あれ、俺まだ意識あるな)」

詠矢「(なんかものすごい衝撃を感じたんだが)」

詠矢「(感じたってことは生きてるんだよな?)」

詠矢「(そうだ、確か水に落ちたんだ)」

詠矢「(えーっと、つまり今水中にいるわけで)」

詠矢「(…取り合えず浮上しないと死ぬ!)」

詠矢「ぶわっ!」

詠矢「あぶねえ、せっかく命拾いしたのにまた死ぬとこだった!」

今何期だっけ?7期か?
新キャラ増えたよな

一方「なンだテメェは!!自殺ならヨソでヤレやァ!!!!」
詠矢「えー、なんと言うか。事故なんですよ」
一方「ンだぁ?…事故だと?」
詠矢「事情を説明すと簡単なようなややこしいような…」
詠矢「とにかく、助かったよ。あんたも何かの能力者なのかな?」
詠矢「確か俺は橋の上に落下するはずだった」
詠矢「だが気づいたら川に落ちてた」

詠矢「突風が吹いたとかそんなチャチなレベルじゃなく、俺の体は弾き飛ばされてる」

詠矢「なら、やっぱり何かの能力によって助けられたと考えるべきだよな」
詠矢「というわけで、ありがとう。助かったよ」

一方「……なンかゴチャゴチャ回りくどい奴だな」

打止「…(ジー)」

一方「どしたぁ?」

打止「…(オカイモノ)」

一方「アア、そうだったな…」

詠矢「あー、なんか用があるなら行ってくれ。後は自力でなんとかするから」

一方「言われ無くてもそうすらァ…。じゃあな飛び降り野郎…おら、行くぞガキ…(スタスタ)」

打止「…(ペコリ)…(スタスタ)」

詠矢「行っちまったか…」

詠矢「ていうかあの顔どっかで見たことあるような…」

詠矢「…まあいいか、そのうち思い出すだろう」

詠矢「さあて、これからどうするかな」

詠矢「取り合えず位置検索か(ポチポチ)」

詠矢「あ…」

詠矢「完全水没、だよな…。携帯が…電源も入らねえ…」

詠矢「水没じゃ保障対象外だよなあ…。か…金が…」

詠矢「しょうがねえ、適当に地図見ながら歩くか」

詠矢「取り合えず置いてきた荷物を回収しねえとな」

詠矢「さっきのソバ屋どこかな」

詠矢「フロ屋も探さねえとな…(トボトボ)」

詠矢「あ、そうだ、俺は連行される所だったんだよな」

詠矢「嫌疑がかけられてるんなら、ちゃんと出頭しとかないとな…」

詠矢「これ以上ジャッジメントと事を構えるつもりもないし」

詠矢「とはいえ、何処に行ったもんだか…」

詠矢「その辺の人に聞いてわかるかな?」

詠矢「…不審者扱いされるのがオチか」

詠矢「あのツインテールの娘、名前ぐらい聞いとけばよかったな」

詠矢「さあて、どうするかな…」

嘆いたって始まらない。取り合えず俺は歩きながら考えることにした。

都市の案内板を頼りに、どうにか元の場所に戻った俺は荷物を回収することに成功した。

フロでも入りたかったがあいにく銭湯は見つからず、ネットカフェのコインシャワーで体を流すと、
万が一にと持ってきた私服に着替える。
水に落ちたときの打ち身で体のあちこちが軋む。まったく落ち着ける状況ではなかったが、考える
時間だけは十分に確保出来た。

俺は思考に結論を出し、一番近くにある図書館へ向かった。

第七学区 図書館)
白井「探しましたわよ…詠矢さん」

詠矢「お、いいタイミングだねえ。ちょうど一冊読み終わったとこだ」

白井「まるで見つかるのを待ってたかのような口ぶりですわね」

詠矢「そう、その通り。自分で出頭しようと思ったんだけど…」

詠矢「何処に行ったらいいかも分からなくてね」
詠矢「今日最初に会ったときも」
詠矢「俺をピンポイントで見つけてたろ?」
詠矢「だから、そちらさんには何らかの位置検索の方法があると考えた」

白井「変な所には頭が回りますわね…」
白井「確かに、監視カメラの記録であなたの姿を追跡しましたわ」

詠矢「やっぱそうか。ならここで待ってて正解だったな」
詠矢「図書館の中なら監視体制はバッチリだろうし」
詠矢「ついでにいろいろと情報を仕入れられるしな」

白井「ま、ご無事で何より…」
白井「そのご様子ですと、特に危険な場所に転移したわけでもなさそうですわね」

詠矢「それがそうでもなくてさ。気づいたら空中だっんだよ」
詠矢「これがまた結構な高さでさ。マジで死ぬかと思ったぜ」

>>69
まだ続いてるが?

白井「え…?ではそこからどうやって…」

詠矢「いや、なんか能力者の人が偶然通りかかってさ」
詠矢「多分念動系か何かだと思うんだけど」
詠矢「弾き飛ばして川に落としてくれたんだわ」

白井「たまたま?能力者に助けられたと…?」

詠矢「たまたま。運が良かったってことになるのかな」
詠矢「まあ、どっちかっていうと悪運になるんだろけどね」
白井「そうでしたの…。でも、わたくしもその悪運に感謝しないといけませんわね」
白井「危うく殺人犯になるところでしたわ」
詠矢「まー、基本俺が余計なこと言ったからだからな…以後自重するよ」
白井「そうしていただけると助かります」
白井「では、早速ご同行いただきましょうか?」

詠矢「はいはい、じゃあ読んだ本は元の位置に…」
詠矢「お待たせ。んじゃ行きましょうか」

白井「はい。では向こうの出口から行きますわ」
詠矢「あ、あれ…?」
白井「なんですの?」
詠矢「テレポートで移動しねえの?」
白井「…ここからでは距離がありすぎます。徒歩で向かいますの」
詠矢「なるほど距離、か。ってーことは転移にも射程があるってことだ…」
白井「…(ジロッ)」
詠矢「あ…いやいやいや、もう余計なこと言わないって…!(アセ)」
白井「…参りますわよ…」
詠矢「うーい…(なんかやりずれーな…)」

(ジャッジメント177支部)
白井「こちらですわ…(ガチャ)」
詠矢「まいどどーも」
御坂「あ…!」
詠矢「あ……」
御坂「アンタ……さっきはよくもやってくれたわね!!(バチッ)」
詠矢「や、やめろって…!だから怒らせたのは謝るからさ…」
御坂「…謝ってすむ問題かしら?…(ビリバチッ)」
白井「お、お姉さま。支部で電撃はちょっと…」
初春「や、やめてください!パソコンが!!」
詠矢「……」
詠矢「……わかった…確かにそうだ。謝ってすむ問題じゃないかもな」
詠矢「俺も腹は括った。御坂サンの気の済むようにしてくれ」
御坂「…え?」
詠矢「まあ、正直俺も、副作用まで誘発出来るとは思わなかった」
詠矢「だが、御坂サンを危険な状態にしたことは事実だ」
詠矢「だから、煮るなり焼くなり、好きにしてくれ」
御坂「…アンタ、いきなり居直るなんてどうゆうつもりよ!」
白井「そんな勝手な言い分が通ると思ってらっしゃいますの!?」
詠矢「どうもこうもねえさ。俺はただ謝りたいだけだ」
詠矢「それでも許されねえってんなら」
詠矢「そっちの気の済むようにしてもらうのが一番いい」
詠矢「俺は一切の抵抗はしない。もちろん『論証』もだ」
御坂「…」

インデックス「…?(ヨメヤ…ソラキ…?知らない人なんだよ…)」
インデックス「…?(ヨメヤ…ソラキ…?知らない人なんだよ…)」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1366839981#)
前スレは>>1000到達したが続きはこっちにあるぞ?
まだ完結してない

今お前が貼ってる奴が本人のでまだ完結してなくて続いてて2スレ目に突入してんだよ

絶対反論(マジレス)こと詠矢空希(ヨメヤ ソラキ)は落ちていた。
絶対反論(マジレス)こと詠矢空希(ヨメヤ ソラキ)は落ちていた。 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1325603888/)

これじゃないの?

>>82のは>>1000まで行った
その続きが>>79

(続いてるって知らなかったよ・・・完全に晒しageじゃん…恥ずかしい)

>>79もSS速報2スレ目で1スレ目もあったよな

>>85
1スレ目が>>82

あとは勝手にしてくれ
恥ずかしいから寝る

ヨメヤwikiによると派生はいっぱいあるらしいぞ

>>89
ループ2期やらまどマギプロローグやら
レイプ展開やら外伝やらあるよな

詠矢空希
このお話の主人公。オリジナルキャラクター。絶対反論(マジレス)という能力を持つ能力者。
自らの平穏な日々と、自分に関わってくれる人たちを守るために、ただ淡々と戦う高校一年生。

上条当麻
言わずと知れた主人公。詠矢と偶然に共闘したことにより知り合う。詠矢にとっては一番の友人。
バイト仲間でもあり、寮の部屋も近い。御坂美琴とお付き合い中で、関係はかなり良好。


御坂美琴
言わずと知れたレベル5の超電磁砲(レールガン)詠矢が学園都市で最初に会った人物。
所見の悪さから詠矢との関係は険悪だったが、紆余曲折あって良好に。
詠矢の取り成しによって上条当麻のとお付き合い中。

白井黒子
詠矢と本格的な戦闘を繰り広げた人物。御坂美琴と同じく詠矢との関係は良くなかったが現在は改善。
一定量の信頼を置いており、ジャッジメントに誘ったことがあるほど。
熱狂的な御坂美琴の信奉者だが、上条当麻との関係は既に容認済み。

佐天涙子
詠矢と何かとかかわりの有る女性。紆余曲折あって現在はレベル1の能力者。
能力は空力使い(エアロハンド)。手のひらの中心から半径15cm程度の範囲の空気を制御することが出来る。
詠矢との関係は極めて良好。ただ、本人曰く「そういうの」ではないらしい。

初春装飾
白井黒子と同じくジャッジメントの女の子。詠矢と直接的な関わりは無いが、関係は悪くは無い。
職務上、いろんな場面に遭遇する事が多く、意外と事情通。

土御門元春
謎多き人物。上条当麻のクラスメイト。特殊な能力を持つ詠矢には一目置いている節がある。

一方通行
レベル5、学園都市第一位の能力者。詠矢の命の恩人であり、詠矢によって支配から解放された身でもある。
関わりはあるが面識は皆無。彼にとって、詠矢は変な飛び降り方をしてきた男に過ぎない。

結標淡希
詠矢確保のため戦った人物。頭蹴られるわ屁理屈でやり込められるわ詠矢への印象は悪い。
戦闘したというだけで今のところ殆ど関わりのない人物。

木山春生
大学教授。詠矢が相談に行った人物。詠矢のことを「変わっているが面白い人物」と評する。

真々田創
オリジナルキャラクター。人形の創造の為、学園都市を勝手に利用しようとして騒動を起こす。
現在は学園都市に住み着き、模型店を経営する。
圧倒的な才能と実力を持つ陰陽師で、傀儡術にも通ずるが、ガチのオタク。
本業はフィギュアの原型師で、魔術側とのかかわりは無い。

一人忘れていました。

ミサカ10032号
御坂妹の一人。詠矢の能力と御坂美琴と上条当麻の関係を知ったことにより暴走してしまう。
自分の気持ちを整理してくれた詠矢には感謝している模様。それ以後は会っていない。

まあでも本家シリーズが1番面白い

派生で好きなのはそば食いに行く話

派生はループ2期とそばが面白い

本家は黒子と詠矢さんが仲良くなる話が好き

名前:真々田 創(ママダ ツクル) 性別:男 年齢:32才 身長172cm 体重70kg

職業:フリーの原型師

家族:実家に健在。だが既に勘当状態のため音信不通。

来歴:古い陰陽師の家系に生まれる。その類希なる才能から、幼少の頃から他に並ぶものがいないほどの実力を身につけるが本人は陰陽師として大成することは望まず、アニメや漫画、ゲーム等のいわゆるオタク趣味に傾倒する。その中でも
特に興味が深かったフィギュアの造形にのめりこみ、その流れから独学で傀儡の製作技術を身につけた。
高校卒業を機に、フィギュアの原型師になることを夢見て独立を申し出るが、一族からは猛反対を受け出奔する。
術者の流出を許さない一族から追っ手をかけられるものの、これを全て独力で撃退、現在に至る。
原型師としてて活動する際は『形屋 創一(カタヤ ソウイチ)』(御形屋 創一より改名)と名乗り、その筋ではかなりの高名である。

性格:自らを天才と名乗ってはばからない超然とした性格。社会的な禁忌も薄く、自分の価値観に沿って行動するため考えの読めない人物である。
ただ、人としての感情はそれなりに持ち合わせており、表面上は単なる気さくな男。深く関わらなければそう付き合いにくい人物ではない。

容姿:見た目はそれなりに好人物。いわゆるキモオタにならないように、身だしなみにはそれなりに気をつけているらしい。

技能:身体能力は低く、年齢層の平均を下回るレベル。逆に知識に関しては深く、特に呪術に関してはかなり広い知識を持つ。

能力:陰陽師を基本とした式神及び傀儡を主に操る。圧倒的な才能を持ち、その技術はAIM拡散力場に魔術で干渉する方法を独力で生み出すほど。
自分の価値観を最優先するのは能力においても同じ。興味の向かないことや、自分が必要と思わない場合には積極的に能力は使わない。
学園都市来てから創造した傀儡や式神には、「女性にまつわるメカの名前」を付けており、外見や能力もそれになぞらえてたものとなっている。

名前:詠矢 空希(ヨメヤ ソラキ)性別:男 身長170㎝ 体重65kg

学年:高校一年生

家族:父親は元警察官で既に故人、母親は健在。兄弟は無し。

来歴:ごく普通の高校に通っていたごく普通の高校生。
子供のころから理屈っぽく、不用意に正論を吐くため周囲から煙たがられ孤独な少年時代を過ごす。
とある能力者と口論になったことにより偶然自分の能力に気づき、学園都市にやってくる。能力開発を受けないまま能力を発揮している『原石』に分類される。

性格:飄々としていて常に冷静沈着。あまり感情の動きが少なく、誰に対してもほぼ同じ態度で接する。
独特の正義感を持ち、反社会的な対象には強い憤りを表す一方、物事に対する割り切りや諦めも早い。
長年孤独であったせいか、他人との距離の取り方が下手な部分があるが、学園都市でさまざまな人と関わるうち、改善されつつある。

容姿:特徴的なのは、太めの眉毛と黒縁眼鏡。だが、それ以外はこれと言って特徴の無いいわゆる『モブ顔』。
容姿としては悪く良くも無い。ただし、『論証』を行う際はすさまじいドヤ顔になる。

技能:父親の影響で子供のころから柔道を習い、その後も部活等で長年格闘技をたしなむ。だがそれほど思い入れがあるわけでもなく、あくまで身を守る手段として割り切っている。
いろいろなジャンルに浅く広い知識を持つが、全ては雑学のレベルであり深く知る知識は少ない。また、勉学に関してはそれほどでもなく、成績は中の上、もしくは上の下程度である。

能力:絶対反論(マジレス)
相手の能力に対し、論証を立てることによってその効果を変質させることができる。
論証の方向性は科学的、物理的、倫理的と多岐に渡り論旨が正確でなくただのハッタリだとしても、相手がそれを一定の範囲で認め、精神や感情に揺さぶりをかける事ができれば効果が発動する。
変質の方向には「抑制」と「増幅」あり、前者は否定や矛盾の提示、後者は肯定や拡大解釈等を軸に論証を展開すことで、それぞれの方向性で能力の変質が可能となる。
また、論証の方向性が特殊になるものの、魔術にも効果を発揮することが確認されてい。
現在、増幅の論証は、学園都市統括理事長より「不確定で不安定な能力」として、むやみな使用は禁じられている。
明確に能力が発揮されているにも関わらず、学園都市にて受けた正式なスキャンでは数値は検出されず、レベル0のままである。
能力の弱点としては、相手が能力に対して絶対の自信を持っており、論証によって揺さぶりをかける事が出来ないとき、効果が発動しないこと。
また、能力の発揮方法が言葉であるため、対象が話を聞いていない、もしくは物理的に音を遮断された場合は全く効果を発揮しない。

(ジャッジメント177支部)

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…(カリカリ)」

初春「…(カタカタ)」

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…(カリカリ)」

初春「…(カタカタ)」

白井「…初春、出来ました。入力をお願いしますわ」

初春「あ、はい…わかりました…」

白井は書きあがった書類を初春に手渡す。

詠矢「…忙しそうだ…ねえ…」

スマートフォンの上に指を走らせながら、詠矢はポツリと言った。

白井「そう、ではなくて実際に忙しいのです!」

白井「…詠矢さんも…お忙しそうで…」

当然ながら、その口調には皮肉が込められていた。

詠矢「んー、まあ、調べ物とかね…忙しくはねえけど…」

詠矢「…あ、なんか手伝おうか?」

白井「結構です!!ここには部外者に頼める仕事などありません!!」

詠矢「そっか、そりゃ失礼しました…」

軽く答える詠矢を白井はじとっと睨む。今更ながら、この人物に支部への出入りを許したことを少し後悔していた。

初春「…えっと…、今の書類で今日の分は終わりですから…」

初春「白井さんも少し休憩したらどうですか?」

白井「…そうですわね…では、お言葉に甘えてひと息入れさせていただきますわ…」

初春の助け舟に促され、白井は手を休め、ふうと小さく息を吐いた。

詠矢「…ん、と…食うかい?(ポチポチ)」

指を休めないまま、詠矢は紙袋を差し出す。

白井「…なんですの?」

詠矢「差し入れだよ…シュークリーム…美味しいと思うよ…」

白井「あら…ありがとうございます…。頂きますわ…」

詠矢「初春サンも手が空いたら食べなー」

初春「あ、はい!いつもありがとうございます…」

白井「では早速…(ガサ)…(パク)…」

白井「…(モグ)…美味しいですわね…」

詠矢「そらよかった…(ポチポチ)」

白井「…」

詠矢「…」

白井「…(モグ)」

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…」

白井「…はあ…」

思わず大きなため息を付く白井。

詠矢「どした…幸せが逃げるぜー」

白井「…逃げるほどの幸せもござませんわ」

詠矢「そりゃまたお疲れだねえ…」

詠矢「その雰囲気は…仕事疲れ…ってだけでもなさそうだね…」

白井「…その無遠慮な洞察力…相変わらずですわね…」

詠矢「ん、まあ、いろいろと想像は付くからね…」

詠矢「確か…御坂サンと同室なんだっけか…まあ、そりゃ疲れるわな…」

白井「お姉さまが毎日幸せそうなのはよろしいのですが…」

白井「毎度毎度…お二人の話を聞かされるのは…少々…」

詠矢「うわあ…結構すごそうだなあ…それ」

白井「さすがに最近はお姉さまも気を使っていただいて…」

白井「あまりお話はされないのですが…」

白井「全身から発せられるオーラというか…雰囲気がどうも…食傷気味でして…」

詠矢「そりゃ大変だねえ…。俺だと聞かされるのはバイト中ぐらいだからなあ」

詠矢「同じ部屋だと逃げる場所もねえもんな…」

白井「かといって部屋を変わるつもりは毛頭ございませんし…。慣れるしかないのでしょうが…」

詠矢「ま、そのうち二人とも安定してくるだろ。しばらくのガマンさ…」

白井「だとよろしいのですが…」

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…(モグ)」

初春「…(カタカタ)」

初春「…!!」

初春「白井さん!!事件みたいです!!」

白井「…!!どこですの!初春、詳細を!!」

白井は椅子から勢い良く立ち上がると、初春の後ろに回りパソコンのモニターを覗き込む。

初春「えっと…別支部で起こった強盗事件みたいです…犯人は取り逃がしたみたいで…」

初春「逃走中みたいです。応援要請が来てますね…」

白井「こっちに向かって逃げてくる犯人を、先回りして抑えればいいのですわね?」

初春「それがですね…(カタカタ)。相手は監視カメラの死角を選んで移動しています」

初春「かなり地の利があるようですね…」

白井「やっかいですわね…。ですが…逆に…」

白井「移動経路を予測できるかもしれませんわ…初春、お願いできますの?」

初春「はい!やってみます…。えと…犯人は風貌からしてスキルアウトらしいので…」

初春「予想できる目標の場所と…監視カメラの抜け道の情報を組み合わせて…(カタカタ)」

初春「…んでもって…ちょっと加工を…(カタカタカタ)」

初春「出ました!!」

白井「流石ですわね初春…。あら…これは…道が2本…ですの?」

初春「はい…条件を設定して絞り込んでみたんですけど…どうしてもこの2系統が残ります…」

白井「まずいですわね…固法先輩は今別の事件の対応中ですし…」

白井「初春にはここに残ってもらわないといけませんし…」

初春「先回りするにしても…二分の一になっちゃいます…ね…」

詠矢「…」

スマートフォンから目線を外し、詠矢は二人の方に向き直る。

詠矢「手伝おう…か?」

白井「へっ?」

白井「いえ…お気持ちはありがたいですが…お断りします…」

白井「一般人を事件に巻き込むわけにはまいりません!」

詠矢「巻き込まれるのは今に始まったことじゃねえけどな…」

白井「これは既にジャッジメントで対応している事件です。あくまでこちらで対応します!」

詠矢「まあ…正論…だけどね…大丈夫かい?」

白井「お気になさらず…なんとかしてみますわ」

初春「…」

初春『白井さん白井さん…』

白井『なんですの!』

初春『せっかくだからお願いしちゃいましょうよ!』

白井『何をバカな事を!この程度の事件、部外者の力を借りなくても…』

初春『でも今の状況じゃ完全に賭けになっちゃいますよ?』

白井『う…それは…』

詠矢「…(なんか揉めてるねえ)」

白井『ですが、状況的にはかなり危険です。もし何かあったら…』

初春『その辺は、ほら、大丈夫じゃないですか?』

初春『なんだかんだいって、詠矢さん、お強いですし…』

白井『それとこれとは…話が別です!』

初春『うーん…じゃあ、ですね…』

初春『危なくない範囲で、協力してもらえれば…いいんじゃないでしょうか…』

白井『…』

白井「そうですわね…」

白井「詠矢さん…では、ご協力いただけますか?」

詠矢「ういよ…喜んで!」

詠矢は立ち上がると、やる気をアピールするかのように首を回し腕を回す。

詠矢「んで、何やればいい?」

白井「見張り、ですわ」

白井「逃走経路の一方に待機していただき、犯人が通過するかどうかを確認してください」

白井「わたくしは別の経路を確認します」

詠矢「…んで、見つけたらどうすりゃいい?」

白井「こちらに連絡頂ければ結構です」

白井「更に先回りして、犯人を確保します」

詠矢「なるほど…白井サンなら、追いつくのは簡単だもんな」

白井「間違っても、ご自分で犯人と対峙しないように…」

詠矢「わかってる…その辺はわきまえてるさ…」

白井「約束ですわよ?」

白井「では、参ります!」

白井が詠矢の腕を掴むと同時に、二人の姿は掻き消えた。

(とある路地 廃屋)

二人は、朽ちた室内に現れる。

白井「…ここですわ」

詠矢「っと…なるほど…張り込みのポイントか…」

白井「この前の路地が、予想される逃走経路の一つです」

白井「詠矢さんは、ここを対象が通過するか確認してください」

詠矢「わかった…んで、見かけたら白井サンに連絡すればいいわけだね?」

白井「ええ、その通りです」

白井「対象の風体に関しては、初春から詠矢さんの携帯にデータが送られて来ます」

白井「そちらで確認してくださいまし」

詠矢「うい。で、いつまで張ってりゃいいのかな?」


白井「撤収するタイミングはこちらで指示します。それまではよろしくお願いします」

詠矢「了解。逆にこっちが発見されるとマズイだろうから…」

詠矢「隠れながら監視できるポイントでも探しとくか…」

白井「あと、しつこいようですが…」

詠矢「わかってるっての…出過ぎたマネはしねえよ…」

白井「なら結構ですわ…」

白井「わたくしも移動します」

詠矢「おう、んじゃ頑張って…」

白井「…では(シュン)」

詠矢「ってと…」

詠矢は辺りを見回しつつ張り込むポイントを探す。

詠矢「(おあつらえ向きに壁のトタンは穴だらけだな)」

詠矢「(覗き込むには苦労しねえが、相手から発見される可能性も高いな)」

詠矢「(ま…進行方向は向こうみたいだから…この辺…かね)」

適当な場所を見つけると、詠矢は静かに腰を下ろした。

詠矢「(ブブブ)…(お、メール来た…添付写真をっと…)」

詠矢「(…下品なツラしてやがんなあ…なんでこの手の奴って)」

詠矢「(判で押したような悪人面なのかね…)」

詠矢「(ま、確認しやすくていいがね…)」

詠矢「(…さて…)」

詠矢「(…暇なもんだな…)」

詠矢「(当たり前か…)」

詠矢「…」

詠矢「…お?」

五分とかからず変化が起こった。

足音と思われる、地面を蹴り上げるような音が近づいてくる。

強盗犯「ハアッ…ハアッ…」

息を切らせ、男が走ってくる。先ほどの悪人面の主である。

詠矢「…(来たか…こっちが当たりとはね…)」

詠矢「…(さて…集中しますか…)」

足音はあっという間に大きくなる。そして、それが最大音量となったとき。

詠矢のいる廃屋の前を通過した…。

強盗犯「ハアッ…ハア…」

詠矢「…!」

詠矢は息を潜め、走り抜ける男の顔を確認する。

詠矢「…(間違いねえ…コイツだ…!)」

送られてきた写真と対象を再度確認すると、すばやく詠矢はスマートフォンを操作する。

詠矢「(対象が目の前を通過。容貌から犯人であることを確認)…(約一分前に通過…っと)」

必要最小限の情報を入力すると、詠矢はすぐさまメールを送信した。

詠矢「…」

詠矢「…(こんで、仕事終わりかな?)」

詠矢「…(ブブブ)…(お、返信か…)」

詠矢「…『ご苦労様です。後はこちらで対処します。撤収願います』…か…」

詠矢「本格的に終わりだね…さて…」

詠矢「もう行っちまった…よな?」

路地に人の気配が無いことを確認すると、詠矢は人の通れる場所を探して外に出た。

詠矢「もう、白井サンが先回りしてるんだよな…」

詠矢「んじゃ、大人しく帰りますかね…」
詠矢「…」

詠矢は、犯人が走り抜けていった路地の先をなんとなく見る。

詠矢「なんか…やな予感するなあ…」

詠矢「…どうするか…ねえ」

(とある路地 空き地)

強盗犯「ハアッ…ハアッ…ここまで…逃げれば…」

かなりの距離を走り続けた男は、周囲の静かさに安心したのか、その足を緩めた。

強盗犯「ハアッ…さすがに…ハア…追ってこねえ…だろ…」

膝の上に手を置き、息を整えようとした直後。

(キイン タスタスタス)

強盗犯「…!!何だ!!」

突然、男の足元に金属の矢が突き立った。

白井「そこまでですわ!!」

強盗犯「…テメエ…」

白井「ジャッジメントですの!」

白井は腕章を見せ、自分の立場を誇示した。

白井「ずいぶんとお疲れのようですわね?そろそろ終わりにしてはいかがでしょう?」

白井「鉄格子の向こうで、ゆっくり休んで頂けますわ」

強盗犯「野郎…ナメやがって…」

白井「あなたのような小物に、時間をかけるわけに参りません」

白井「とっとと終わらせていただきます(シュン)」

白井は消えた、得意の転移ドロップキックだ。

強盗犯「ぐわっ!!」

突如、後頭部を襲う攻撃など避けられるわけもなく、男は簡単に地に伏した。

白井「終わりです!」

拘束するための鉄矢を手に取った瞬間、白井は勝利を確信していた。

だが、男は突然身を翻す。

強盗犯「けっ!!これでも食らえ!!」

男は台詞の直後に目を閉じる、そして。

白井「…!!!」

白井の目の前に突然強い閃光が発生する。

その視界が真っ白に塗りつぶされた。

白井「し…まっ…!!」

強盗犯「うるあぁ!!」

上体を起こしながら、男は白井の胴体に拳を放った。

白井「ぐはっ!!!」

たまらず膝が落ちる白井。

強盗犯「まだまだあぁ!!」

男は完全に立ち上がると、前のめりになった白井の腹部を力任せに蹴り上げた。

浮き上がった白井の体は宙を舞い、落下し地面に叩きつけられた。

白井「ゲフッ…ん…ぐ…」

白井「…あなた…能力…者…」

強盗犯「ヘっ…爆裂閃光(フラッシュボム)ってな…空間に光を発生させるだけの」

強盗犯「チンケな能力だがなあ…」

強盗犯「使い方によっちゃあ…刺さるだろ!?」

言葉と同時に男は白井の背中を踏みつける。

白井「…ぐ…ぎっ!!」

強盗犯「さあて…どうしてやろうかねえ…」

強盗犯「アジトに連れ込んで…イジメ倒してやろうか…?ええ!!」

白井「…こ…の…!!」

強盗犯「まあ、どっちにしろ、もう少し弱らせてから…だなあ!」

(ザッ)

再び男が背中を踏みつけようとした瞬間。誰かが走りこんできた。

詠矢「ハアッ…ハア…」

強盗犯「なんだ…テメエは…!?」

詠矢「なんか、ヤバそうだったんで…急いで追っかけてきてみたんだが…」

詠矢「間に合った…いや、合わなかったのかな?」

強盗犯「仲間…か?」

詠矢「仲間ってのは間違いないが…通りすがりの一般人だよ…」

白井「…!(この声は…詠矢さん!)」

白井「詠矢さん、逃げてください!!。あたなたが関わることではありません!!」

詠矢「お小言なら後で聞くよ」

詠矢「そんな状態の白井サンを置いて、逃げれるわけねえっしょ…」

白井「…っ!!」

強盗犯「テメエもナメた野郎だなあ…。コイツは、使いたくなかったが…」

男は腰のベルトからバタフライナイフを取り出した。

詠矢「おーおー…定番だねえ…」

詠矢「そういうもの出せばビビると思ってんのならお生憎様」

詠矢「こちとら結構見慣れててね…」

強盗犯「なんだ…やるってのか…?」

詠矢「逃がすつもりなら追って来ねえいっての…」

白井「詠矢さん!コイツは光を使います!!気つけてください!」

詠矢「ああ…こっちに向かってるときに…なんか光が見えたんだが…能力者だったのか…」

強盗犯「…このアマ…」

強盗犯「余計なこと口走ってんじゃねえ!!」

男は力の限り白井の背中を踏みつける。

白井「が…っ…は…!!」

詠矢「…!」

いつもゆるいの詠矢の表情が、一気に鋭くなる。

ぎりっと奥歯を噛み締めると、静かに相手の距離を詰める。

詠矢「来い…相手してやるよ…」

強盗犯「…ナニ余裕かましてんだテメエェェ!!死んどけやあぁあ!!」

男は躊躇無く顔面を突いてくる。

詠矢「…!」

上体を反らし、詠矢はそれをギリギリでかわす。頬に浅い切創が浮かび、血がにじむ。

詠矢「…!!」

すぐさま詠矢は男の手首を取り、ひねり上げようとするが…。

強盗犯「(今だ!!)」

詠矢「…っ!!」

詠矢の目の前に強い閃光が発生する。と同時に、しばし両者の動きが止まる。

強盗犯「ケッ…チョロイもんだ…」

勝ち誇った男は目を開ける。だが、その視界に移ったのは…

正面から自分の顔面に向かってくる、相手の拳だった。

強盗犯「なっ…!!ガフッ!!」

詠矢の拳は、男の鼻筋に正確に命中した。

だが、腕をとられたまま倒れることも出来ない。

詠矢「ナントカに刃物って奴だな…。とりあえず大人しくしてもらおうか?」

詠矢は取った腕をひねり上げると、相手の体をうつぶせに倒し、そのままのしかかって肩と肘を極める。

強盗犯「い…いでででで!!…てめえ…目は…」

詠矢「あ?アホかてめえは?」

詠矢「まぶしいのはお前も同じなんだろ?能力を使う前に目を閉じないと、自爆するわけだ」

詠矢「同じタイミングでこっちも目を閉じれば、影響なんぞ受けるわけねえだろ…」

詠矢「初見ならともかく…わかってて引っかかるような能力じゃねえな」

強盗犯「…く…っそ…て…めえ!!」

詠矢「はいはい、暴れると余計痛いよ…」

極めた腕を詠矢は更に締め上げる。

強盗犯「いぎぎぎぎぎぎぎいい!!」

詠矢「白井サン!無事かい!!」

詠矢「動けるんなら!コイツの拘束を頼む!」

白井「…はい…なんと…か…」

よろよろと立ち上がる白井。視界はどうにか回復したようだ。

白井「…んっ!!」

鉄矢が転移され、男の上着の数箇所を地面に縫い付けた。

強盗犯「なっ!!」

詠矢「これで動けんな…」

強盗犯「…く…っそ…おぉぉぉお!!」

詠矢「ま、観念しな…」

強盗犯「…おい、テメエ!」

詠矢「何だよ…」

強盗犯「いつまでのしかかかってんだよ!もういいだろうがよ!」

詠矢「…まあ…そうだな」

強盗犯「ならとっととどけよ!!」

詠矢「…」
詠矢「…あ、手が滑った…(ゴキャッ)」

強盗犯「へっ?…ガ…ギィャアアアアァァァァアアア!!!」
強盗犯「…(ガクッ)」

肩関節を外された痛みで、男は気を失った。

詠矢「やれやれ…静かになったな…」
詠矢「白井サン!大丈夫か!!」

まだおぼつかない足取りの白井の傍に詠矢は駆け寄る

白井「はい…この程度…なんてこと…(ゴホッ)」
詠矢「無理すんなって…ほら…」

詠矢は白井の腕を抱えて体を支える。

白井「詠矢さんこそ…血が…」

詠矢「まあ、この程度カスリ傷さ…白井サンに比べればね…」
詠矢「とにかく、容疑者は確保した。応援を呼んで、早いこと医者行こう!」

白井「ええ…その方が…よろしいですわ…ね…」

(常盤台中学女子寮 御坂と白井の自室)

白井「ということがありまして…」

御坂「アンタも大変ねえ…こんなに生傷増やして…」

胸に巻いた包帯を取り替えつつ、御坂は後輩の体の傷を確認しながら呟いた。

白井「職務上仕方ありませんわ…覚悟の上です…」

御坂「そんなこと言って…アンタも女の子でしょ?…まったく…」

御坂「はい、これでいい?」

白井「ありがとうございます…お姉さま」

御坂「なに水臭いこと言ってんのよ。これぐらいお安い御用よ」

包帯と、湿布の交換を終え、御坂はねぎらうように白井の肩をぽんぽんと叩いた。

白井「しかし…今回ばかりは詠矢さんに助けられました」

白井「あの方が居なかったらどうなっていたことか…」

御坂「まあ…意外と頼りになるもんね…あの人…」

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