【モバマス】「重甲ウサミンロボ」 (33)


 池袋晶葉によって完成したウサちゃんロボは、バックダンサーからお団子作り配布までこなす優れロボである!
 ときどき中身を抜いて、代わりに市原仁奈や橘ありすが入っていることもある!!

 しかし、中身がウサミン超科学によって改良されたウサちゃんロボもいたっ!
 
 その名は、ウサミンロボ! ウサミニアックブレイン超AIを搭載した、自我を持つロボットである!!

 ウサミン竹槍、ウサミンスクランダーなどの数々の武装を使い、アイドル達にお役立つのだ!






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 今日は城ヶ崎莉嘉のサイン会です。
 カリスマとも呼ばれる姉、城ヶ崎美嘉にも負けない人気の莉嘉です。
 対象年齢こそ違えど、莉嘉だってカリスマなんです。

「莉嘉ちゃーん! 可愛いいいーーー!」
「りっかっちゃーーーん!!」
「りっかー!」
「リッカー!!」
「ヘッダー!」
「トラングー!」
「レッガー!」

 大きいお友達もたくさんいます。勿論、大きいお友達だって大事なファンです。応援してくれる、ありがたいファンです。あだやおろそかにはできません。
 それに、莉嘉だってファンのみんなが大好きです。大きくても小さくても関係ありません。


 だけど、中には不埒な悪行三昧のファンもいます。
 手を洗わずに握手会に参加したり、歯を磨かずに参加する人たちです。髪を洗わない人もいます。
 マナーは守るべきです。
 それどころか、握手した手をいつまでも離さない人、変わった握手をする秘密結社員、鼻で深呼吸を始める人、突然人生設計を語り始める人、泣きだす人、白飯を三杯食べる人、四つん這いになって踏んでくださいと頼む人、色々な人がいます。
 ちなみに、桜井桃華に変わった握手をすると「まあ、お久しぶりですわね」と言われます。財前時子さまに踏んでくれと頼むと踏んでくれます。大原みちるの前で白飯を食べると対抗してコッペパンを食べ始めます。

 とにかく困ったファンもたまにはいるのです。

 そんなときの、ウサミンロボによるボディガードです。
 ウサミンロボならば、そんな時は拳を振り上げて、恐れず戦いを挑めばいいのです。


 しかし、今日のサイン会ではウサミンロボの出番はないようです。

 うーさー

 ウサミンロボは安心していました。
 ウサミンロボが静かに眠れるサイン会が、平和で一番素晴らしい時なのです。それをモバPも遠い世界で祈っています。(死んでません)

 そしてサイン会も無事終了しました。明日は地元のテレビ局のイベントに出演するので、今日はホテルにお泊まりです。

 うさっ!

 ウサミンロボは厳戒態勢に入りました。しっかりとウサミン竹槍を握りしめます。

 今から莉嘉はお風呂、それも温泉に入ります。すると、覗きが時々現れるのです。これは絶対に許してはなりません。

「よろしくね、ロボくん」

 うーさー


 ウサミンロボは貸切個人用温泉の入口に陣取ります。この先は例え同性であっても許可なく通すことは出来ません。

 ここから先に絶対行かせない覚悟がバリケードなのです。

「誰も通さないでね」

 他のアイドルは誰もいないので、知り合いが現れるということはありません。

 しいて言うならば、

「あ、Pくんは入ってもいいよ」

 うさっ!?

「ジョーダンだよ」

「わかってるわかってる」

 うーさー

 遠い世界にいたはずなのにいつの間にか現れて入口に待機しているモバPに、ウサミンロボはウサミン竹槍を向けます。


「よし、その竹槍は下ろそうか」

 うさ

 ウサミンロボの構えは崩れません。

「……お前、俺を疑っているのか」

 うさ

「おいおい、俺は確かにスケベかもしれんが、ロリコンではないぞ」

 うーさー

「仮に、温泉に入っているのが美波や雫、卯月、みくやきらりだったとしよう」
「その時はロボ、お前との戦いの幕を切って落とす」
「恐れず怯まず退かず、正義の名において打ち破るつもりだ」

 覗きは正義ではないウサ、とウサミンロボは思いました。


 うさぁ……

 それでも、ロリコンではないと言われればその通りです。
 プロデューサーはちょっとエッチですけれど、子供や動物には普通に優しい人です。

「今、中にいるのは莉嘉。俺は覗こうという気すら起きない」

 うさ

 ウサミンロボは頭を下げ、ウサミン竹槍を背中に背負いました。
 プロデューサーを疑ってしまって反省です。

 しかし、それならば何故モバPはここにいるのでしょうか。

「近くで美嘉がロケをしていてな。妹を溺愛しているあいつのことだ、莉嘉がここにいると知れば多少遠くても駆けつけて一緒に温泉に入ろうとするに違いない」

 うさ


「美嘉が入ってから俺が現れれば覗きだが、美嘉が入る前からここに居るのだから不幸な事故だろう?」

 ウサミンロボは即座にウサミン竹槍を突き出します。

 ぷすり

「いきなり尻を刺すなぁぁぁぁぁっ」

 ぷすり

「はうっ、待て、ロボ、落ちつけ。尻を狙うんじゃない。尻を狙うと何故か由里子が喜ぶんだ」

 大西由里子、すなわちアイドルが喜ぶならばウサミンロボに否はありません。

 ウサミン竹槍が二本に増えました。


 ぷすりぷすり

「増やすなぁあああっ!!! そして尻を執拗に狙うんじゃないっ!! 必要以上に由里子を喜ばすなぁっ!! 」

 モバPのお尻が刺される影で由里子の笑いが谺します。

 ウサミンロボはそのままモバPを追い立てて、ホテルの部屋に封じ込めました。

「もしもしフロントですか、包帯と薬お願いします」

 モバPはおとなしくお尻の応急手当を始めるようで、ウサミンロボも安心です。
 由里子も満足です。

 そうこうしているうちに、莉嘉が温泉から上がったので、ウサミンロボは冷たいコーヒー牛乳を持っていきました。

 うさっ


「ありがとうね、 ロボくん!」
「あ、そうだ、明日のスケジュール、聞いてる?」

 うさっ

 ウサミンロボは、モバPから預かっていた書類を差し出します。明日のスケジュールを一枚の紙にコンパクトにまとめた物です。
 普段は戦うこともありますが、アイドルとのお仕事に関してはモバPとウサミンロボは真面目に協力するのです。

「今晩はもう何もないし、明日の朝は余裕があるね」

 うさー

「それじゃあ、 ロボくん、明日、カブトムシ取りに行こうか!」

 うさっ!!


 こんなこともあろうかとカブトムシ狩猟の準備は万全です。虫かごも虫取り網も、さらにはカブトムシの餌も準備してあります。
 城ヶ崎莉嘉のボディガードには、カブトムシ対応能力も必要なのです。

 翌朝、ウサミンロボは朝食にサンドイッチを準備し、水筒にはコーヒー牛乳を入れました。
 準備は万全、あとは莉嘉を起こすだけです。

 部屋の前にはモバPがいました。

 うさ?

 ウサミンロボはドアにトラップを仕掛けています。そのトラップが作動していないと言うことは、モバPは部屋に入ろうとはしていないと言うことです。
 紳士です。

「おはよう」

 おはようございまウサ


「莉嘉が身支度して、俺が部屋に入っても良くなったら言ってくれ。一応今日のスケジュールの確認がしたい」

 うさっ

 仕事は真面目なモバPです。仕事中はとっても信頼できる人なのです。

 ウサミンロボは莉嘉の部屋のドアをノックします。返事は聞こえません。
 トラップを解除して部屋に入ります。

 うさっうさっうさっ

 寝ている莉嘉を軽く優しく揺すります。
 どうやらモーニングコールの設定を忘れていたようです。

 うーさーうさうさうさー
  
「ん……」

 ごろりと寝返りを打って莉嘉が目を覚ましました。

「ロボ……くん?」


 うさ

「莉嘉ーー、起きたかーー?」

 ドアの外からモバPも声を掛けました。

「ん……んーーーーっ、起きたよーっ!」

 うさ

 顔を洗って歯を磨いて、シャワーを浴びて着替えたら、カブトムシ採集に出発です。

 モバPも虫取り網をかついで参加です。

「ふふふ」


 ホテル裏の雑木林に入る少し前、莉嘉とウサミンロボに向き直ったモバPは、自信ありげに言いました。

「かつてはカブトキラーと呼ばれた俺の実力、たっぷりと見せてやるぜ」

 ぷすり

「ふおうっ!! 何者かが俺の尻を突き刺すぅぅっ!!??」

 うさ?

 ウサミンロボは不思議そうにモバPを見上げ、次にお尻に注目します。

 うーさー

 カブトムシが3匹、取り付いていました。


「Pくん、動かないで、カブトムシだよ!」

 莉嘉が手を伸ばすと、カブトムシは飛んで逃げ出しました。

「ロボくん!」

 うさっ!

 ウサミンロボは虫取り網を振るいます。これはウサミン科学によって作られた超高性能虫取り網で、空気抵抗はほぼゼロに抑えられているため、とても振り回しやすいのです。

 飛んでいく3匹のカブトムシを追いかけるウサミンロボ。
 その後ろではモバPが、何者かにお尻を挟まれていました。

「意外! それは尻っ!!」


「Pくん! 今度はクワガタだよっ!! 3匹!」

「くっ……だが、莉嘉の尻が無事ならば俺の尻など……この程度の痛み」

「Pくん……」

 モバPの根性にウサミンロボは遠くから惜しみない拍手を送りました。
 莉嘉も感動しています。

 そしてお尻のクワガタは5匹に増えました。

「ふぉおおおおおぉっ!!!」

 モバPは耐えています。サナギマン並みに耐えています。しかし超力招来は出来ないのでいつまでも耐えていることになります。

 うさーっ


「ロボくん! Pくんは私が見てるから、カブトムシをお願いっ!」

 うさっ!

 見ているだけです。城ヶ崎莉嘉、割と容赦がありません。

 ウサミンロボはカブトムシを追います。しかし、このカブトムシたちはどういうわけか素早いのです。

 ウサミンロボの機動力であればとうに捕まえていても良いはずなのです。
 タダのカブトムシではありません。

 うさっうさっ!

 ウサミンロボはカブトムシに語りかけます。

(そこまでだ、異星の客よ)

 うさっ!?


 どこからか厳かな声が聞こえてきます。気が付くと、ウサミンロボは雑木林のかなり奥へと入っていました。
 そこには、どこか不思議な雰囲気を持ったお社が鎮座しています。

 うーさ

 ウサミンロボはすぐにデータバンクと照合します。
 最も近いのは依田芳乃、そしてイヴ・サンタクロース、遊佐こずえの気配です。
 つまり、人というよりも精霊、神に近いということではないですか。

 うさ……

 ウサミンロボは虫取り網を背中に背負うと立ち止まりました。

 神様には敬意を表しなさい、とクラリスや道明寺歌鈴に教えてもらっています。
 人外の存在は大切に、と白坂小梅にもよく言われます。

 うーさー

 ウサミンロボは礼儀正しく頭を下げました。


(ふむ、礼儀は知るか……)
(だが、許すわけにはいかん)

 うさ?

 もしかして、虫取りに対する抗議でしょうか。

 ごめんなさウサ。ちゃんと飼ってもらえるように莉嘉ちゃんにも言ウサ。

(虫取りもまた我らの運命。などとおとなしく狩られるわけはいかん。ちゃんとした世話をされる保障などないではないか)

 それは大丈夫ウサ。莉嘉ちゃんはカブトムシのプロウサ。
 
(信用できんっ!)


 大丈夫ウサ、莉嘉ちゃんは優しいウサ

(俺が知るかっ!!)

 お社から、一筋の光がウサミンロボを貫くように伸びます。

 うさっ!

 ウサミンロボはウサミン竹槍でその光をはじきました。

(やるな……)

 光の正体はカブトムシです。カブトムシが超高速で飛んできたのです。

(天呼ぶ地呼ぶ虫が呼ぶ! 森を守れと俺を呼ぶ! 聞け、人間ども! 俺はこの森の主! ストロンガー!)


 ウサミンロボのセンサーが激しく警告を告げます。

 カブトムシの潜在能力はとても高く、ウサミンロボと充分張り合えるという分析結果が出ているのです。
 つまり、このカブトムシが十二匹居れば、ホワイトハウスは三時間で落とせます。強いカブトムシさんです。

 ストロンガーは言います。

(この隙に人間達をクワガタ部隊が撃退している頃だ! 尻を挟まれて泣きながら帰るがいいわ!)

 うさっ!?

 まさか、とウサミンロボは思います。

 ウサミンロボはストロンガーの攻撃を受け流す振りをしながら二人の元へ急ぎます。


(なんだとっ!)

 驚いたのはストロンガーでした。

 ストロンガーの計画通りなら、クワガタに挟まれた莉嘉が泣きながら帰っていくはずなのです。
 しかし、全てのクワガタはモバPの尻を挟んでいます。
 モバPのお尻のクワガタは10匹を超えていました。

「おおおおおおっ!!!」

 モバPは耐えています。クワガタが沢山いるので、莉嘉も大喜びしています。

「戻ったか、ロボ!」

(いったいこれは……)


 クワガタたちはモバPと莉嘉を襲いました。しかし、モバPはそのクワガタを全て自分のお尻に引きつけることによって莉嘉を守っていたのです!!
 ウサミンロボは気付きました。モバPのお尻には、いつの間にかムシ用の餌が塗りたくられています!

(なん……だと……)

「ロボ、事情はなんとなくわかった! 莉嘉は俺の尻が守るっ! お前は、俺の尻と莉嘉を狙ったそのカブトムシを懲らしめるんだっ!!」

 普段から熊本弁やふごふ語を理解しているモバPにとって、この程度の状況把握は朝飯前なのです。

 うさっ!!

 でも、これ以上のクワガタに挟まれると、モバPのお尻が大変なことになるかも知れません。

 ウサミンロボはほんの少しだけ躊躇いました。しかし……


「バカやろーっ!! 何を躊躇うっ! お前はアイドルを守る、俺もアイドルを護る! ただそれだけのことだろうがっ!!」

 うさ……

 忘れてはいけないことでした。
 モバPだって、アイドルのために働いているのです。
 そうです、全てはアイドルのために。

「俺の尻のことは気にするなっ! 行け、ロボっ!!」

(待てっ!)

 ウサミン竹槍が止まります。

(その大きい人間は、それだけの数のクワガタに挟まれて平気なのか)

 クワガタは17匹に増えていました。 


「めっちゃ痛いです」

(何故我慢している)

「理由あってのこと」

(貴様は何故そこまでする、そして何者だっ)

「アイドルの平和のため。プロデューサー」

 飛んでいたストロンガーは地面に着地しました。

(ウサミンロボとやら)

 うさ

(莉嘉という人間、信用できるのか)

 うさ

(……そのプロデューサーとか言う人間に免じて、我らは狩られよう。ただし、境遇によっては牙を剥くぞ)

 うさ、うさ

 ウサミンロボは恭しくストロンガーを両手に乗せると、莉嘉に差し出すのでした。

「うん。大事に、お世話するよ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「おかえりなさい、地方はどうでしたか?」

「ええ、おかげさまで上手くいきましたよ、ちひろさん」

「あら、莉嘉ちゃん、かっこいいカブトムシ取ってきたのね、強そう」

「俺の尻のおかげだな」

「は?」

 その夕方から、「Pの尻のせいで地方営業に成功した」と勘違いした大西由里子が執拗に詳細を聞こうとするのだが、それはまた別の話である。



 ちなみに、カブトムシは莉嘉の元で幸せに暮らすことになりました。
 時々、ウサミンロボと一緒に悪いファンを懲らしめています。

以上お粗末様でした


最初は「甲虫王者ウサミンロボ」のタイトルの予定でした

自分がムシキングを全く知らないことに気付きました

ビーファイターなら少し知っているのでタイトル替えました

魂ライブで聞く石原慎一の生OPは感動ものです
たまに中の人が客席に居るので東京でのライブは侮れない


コミケ三日目、東テ37bでウサミンロボの本出します。良かったらどうぞ

申し訳ない。

桃華ファンの人たちごめんなさい


体調も気ぃつける、ありがとう

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