タプリス「何度も溺れる少年?」 (13)



タプリス「………これです!」

タプリス「あの悪魔を川に誘き寄せる!そして川に浮かぶメロンパンに気を取られ溺れる!」

タプリス「そして、私が素早く助ける!これであの悪魔も反省し心を入れ換変える完璧な作戦です!」




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タプリス「よし!それでは早速準備です!」


タプリス「ここが、あの子が溺れた川ですねー
では真ん中の所にメロンパンを置いて濡れないようにジプロックで………」

タプリス「よし!後はあの悪魔が勝手に誘き出されて!」


タプリス「ってあぁぁ!メロンパンが流されています!これでは誘き寄せられないじゃないですか!」



タプリス「待ってください!あっ!」

タプリス「この川!深い!」

タプリス「おぼぼぼぼ!誰か!助けてください!」

タプリス「天真先輩!白羽先輩!月野瀬先輩!」

薄れる意識の中で、私は今までの人生を思い出した。悪魔を罠に嵌めようとした私への罰……受け入れれば何でも無い事。

私は冷たい冷たい川の底に落ちていった…最後まで空気に触れていた腕も今は冷たい………



…………否
体温を感じる、戻ってこない意識
しかし体は冷たくない、空気が通り抜ける…

「返事しなさい!」

誰だろう、目が開かない…開く力もない
あぁ体の力が抜けていく、抜けていく度に強くなる私を締め付ける強さ

タプリス「かはっ!ゲホゲホ!」

「やっと、目を覚ました様ね!」

あれ?何でこの人が目の前に…
そんな有り得ない………

「感謝するのね!」

「この!胡桃沢=サタニキア=マクドュエルにね!」

タプリス「何で………何で貴女なんですかぁ!」ポロポロ

「はぁ?どうしたのよ?」

タプリス「何でも…何でもありません」

「はぁ…よしよし」ナデナデ

タプリス「ふぇっ!?」

「怖かったんでしょ?死ぬかもしれなかったんだもん当たり前よね………大丈夫よ…あんたは私が助けたんだからね!」




温かい……この人の体が心が
愚かだった、こんな人を陥れようなんて考えた私が………

「にしても流石天使ね……」

タプリス「ん?」

「貴女も例の動画を見て個々に来たんでしょ?」

タプリス「えっえぇまぁ」

「悔しいわね、天使に先を越されるなんて!でも此れでハッキリした!」

タプリス「なっ何がですか?」

「やはり、此処には居る!あんたも引きずり込もうとしたあいつが!」

タプリス「それって…」




「ボォォォォォォォ!」

「早速御出座しの様ね………」

タプリス「うえぇ!?あれってなんですかぁ!?」

「はぁ?あれこそ私達の探していた元凶!」

タプリス「えっと……」

「確かに予想以上の大きさなのは分かるけど……そんなんでビビってんじゃないわよ?」

突然の出来事、二人で会話をしていたら川から現れた巨大な化物
実態らしいものは無く、表面が何やら紫色の泥が流れている様な皮膚を持ち
目の代わりに赤い物が2つ……これを化物と呼ばず何と呼べと!?

「楽しませてよね?」

胡桃沢先輩は、とても嬉しそうに拳を構えている…こんな化物に負ける何て考えていない…そんな真っ直ぐな瞳をそれに向けていた…





「ボォォォォォォォボォォォォォォ!!」

化物は両手を作り出すと辺りにそれを振り回していく。当たらなくても当たるまでそれをひたすら繰り返す…しかし彼女はそれを軽快に避け拳を少し後ろに下げた………

「喰らい…なさい!」

「究極!サタニキアァァァァァスマーッシュ!!」

激しい轟音と共に放たれた拳は当たっていた。


しかし…それはビクともせず彼女に襲いかかっていく。不意を突かれ苦戦するも…逃げるように自分の元へと戻ってきた。


「ハァハァ………あんたも…攻撃…しなさいよ……ハァハァ」



そう、気が付けばただ見ていただけ。
動きに見惚れ…行動に見惚れ

ただ突っ立ていただけ……拳を固く握っていたのが分かったそして少し生温かい感触も……

「どうしたの……まさか本当にビビって……」

タプリス「胡桃沢先輩!」

「っ!?」

タプリス「先輩が側に居るのにビビる筈がないでしょう?」

「言うじゃない!」

しかし、私が持てる攻撃手段…
それは一般の人が取る行動と何も変わらない……非力すぎる私ではアレをどうする……そんな事は…

「無理じゃないわよ!」

タプリス「………先輩っ」

「ふふっ、貴女に取って置きのサタニキアスマッシュ……これを教えてあげるわ!」




先程使っていた技、私なんかが使っても…

「やってみるのよ!」

タプリス「はいっ!」

「先ずは拳を固く握る。そして思い描くの自分の理想を!」

「目指す先を……こうなりたい自分。
そう思う事で少しだけでもその未来に繋がる…そしてその理想を前借りする事で強力な威力を生み出す!」

タプリス「えぇ!?前借りなんてそんなの…」

「大丈夫、未来の自分と少しでも繋がっていると感じればその理想へと届く為の力を感じれる筈!」

タプリス「そんな感情論なんて………」

ボォォォォォォォォォォォォォ!

「危ない!」




目の前に伸びていた相手の拳、それを私の代わりにあの人は受けていてくれた。
頬を何かが伝った。無気力な自分が許せなくて…また見ていただけの自分を殺したくて……

タプリス「………っせっ」

「……馬鹿さっさと潰しなさい…あんな…くたばり損ない…」

その後しばし沈黙が続いた…今度は見ているだけじゃない

今度は歩いていた、立ち塞がる腕に吹っ飛ばされそうになろうとも歩みを寄せていた

血だらけの道を作りながら、歩いてき拳を固く作り込んだ





タプリス「あなたは…ただの残留思念……」

タプリス「溺れる事を義務付けられた、少年を何度もこの川に引き込む為に生まれた…魔物…」

タプリス「あの子の為にも…此からの人の為にも此所でっ!」

タプリス「全てを…終わらせるぅ!!」

「ゥグオォォオオォォォォ!!」

決死を掛けた全力の攻撃に怯む事も逃げ出す事も無く。拳を軽く引き踏み込んだ…

タプリス「……聞こえてますか?私の理想は……貴女と馬鹿な事してみる事ですよぉ!!」

衝突音と共に、その化物の姿は消えていた。




「まさか、一撃なんてね……」

タプリス「先輩が弱らせたから出来たんですよ……」

「まぁ、そういう事にして置こうかしら?」

タプリス「あの……先輩…」

「んっ?何よ……」

タプリス「ごっごめんなさい!実は此処に来たのは先輩を罠に嵌めようとして………」

「はぁ、そんな事?まぁ私を嵌めようと思ったその勇気に免じて許してあげるわ!未来の大悪魔何ですもの此れぐらいじゃ何とも思わないわよ!」

「ナッーハッハッハッ!」

タプリス「………流石です…」

タプリス「あの、今日……」

「何?はっきりしなさいよ!」

タプリス「今日はまだ先輩と………居たいです…」

「我が儘な後輩を持つと大変ね……良いわよ!何処までも付き合ってやるわよ!」

タプリス「えぇ!?そんないきなりそんな告白なんて……」

「はっ?」







?「川の中に!石が~あるっ!拾いに……行く!」

?「うわっ!この川深い!ボボボボ!」

?「溺れちゃう!この川この川………!」

「深いから……」

?「ぼっ!ぼほぼほっ!おっお姉さんは?」

「通りすがりのヒーローです!」

?「ヒーロー…でも天使みたい名前は?」

「………タプリス…」

「です!」

続く!


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