モバP「人狼ゲーム風犯人当て番組開催!」【ミステリ】 (73)


P「ちひろさん、ちひろさん! 企画通ったんで見てもらえますか!」

ちひろ「へー!、どうんな企画ですか?」

P「人狼ゲーム風な犯人当てゲームの企画です!」

P「犯人役にはトリックを使って殺害(するフリ)をしてもらい、犯人以外はトリックと犯人を推理してもらう企画です!」

ちひろ「ほほう?面白そうですね!」

P「ってわけで出演者決めたいんですけど、空いてる子いますか?」

ちひろ「はい!それならこの子達が良いんじゃないでしょうか?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1500808647


・・・・・・事務所・・・・・・

ガヤガヤ…

未央「次の企画とかで呼び出されたけど…」

藍子「何なんでしょうね?」

輝子「フヒ…」

幸子「9人となるとユニットにしては多いですね?」

美玲「うーん…なんだろうな?」

志希「zzz…」

ありす「志希さん、寝ないでください」

飛鳥「無駄だよありす…」

小梅「ぅ…」

輝子「…小梅ちゃん?」

小梅「ゲホッ…」ドバドバッ

 ドサッ…

藍子「きゃああああ!?」

ありす「え?…え?」


幸子「小梅さん!?しっかりしてください!!」

輝子「小梅ちゃん! じょ、冗談だよな…?」ユサユサ…

未央「ど、どどどどうしようとりあえず救急車…」

P「…」トコトコ

藍子「あ!Pさん!小梅ちゃんが…-」

P「…」スゥー







P「犯人は、この中にいる!!」バン!

全員「!?」

P「ありす…おまえやろ?」

ありす「え?え?違いますよ!? なんなんですかこれは?一体何が起こってるんですか?」

P「じゃあ志希、おまえやろ!」

飛鳥「『じゃあ』ってなんだい、『じゃあ』って」

志希「にゃふふ…バレてしまっては仕方ない…」ムクリ

飛鳥「ノリノリじゃないか!!なんなんだいこれは!!」

志希「…zzz」パタリ

美玲「この状況でコイツまた寝たぞッ!? 起きろー!!」

P「自由過ぎる…」

藍子「Pさんも大概ですからね?」


 パンパン!

ちひろ「はい!皆さん揃ってますね!」

藍子「ちひろさん!?」

P「よーしもういいぞー小梅ー、ありがとなー」

小梅「えへへ…みんな驚いてくれたかな…」ムクリ

輝子「よ、良かった…」ヘナヘナ

幸子「ボクのカワイイ心臓が止まってしまうかと思いましたよ…」

ちひろ「…というわけで、皆さんには犯人ごっこ&探偵ごっこ番組に出演してもらいます!」

飛鳥「『というわけ』と言われても全く因果関係が見えないのだが…」

ありす「そうですよ!いきなりなんなんですか!!」

ちひろ「まあまあ、詳しい話はロケ地まで移動しながら話しましょうか!」


・・・・・・バス内・・・・・・

ちひろ「…ということで、皆さんには番組でバレないように殺したり、殺した人を解き明かしたりしてほしいです。」

飛鳥「なるほど、推理番組のような展開をゲームになぞらえて自らの手で作り出すということか…面白い」

未央「うーん…要は犯人ごっこと探偵ごっこを番組でやるって感じ?」

藍子「私はまだ理解できてないです…」

ちひろ「まあまあ、詳しいルールはロケ地についてから話しますから」


・・・・・・ロケ地・・・・・・

ちひろ「ロケ地である取り壊し予定のホテルにやってまいりましたー」

小梅「わぁ…」パチパチ…

輝子(小梅ちゃんが喜んでるってことは…フヒ…やめよう、私の勘違いかもしれない)

ちひろ「ではルール説明に入ります!」

ちひろ「犯人役はトリックを駆使して、バレないように誰かを殺(すフリを)してもらいます!」

ちひろ「犯人でない人たちは犯人のトリックを見破り、誰がどうやって殺したかを推理してもらいます!」

ありす「質問です」

ちひろ「はい?どうぞ!」

ありす「念のため聞きますが、本当に殺すわけではないですよね?」

ちひろ「それはもちろんです! あくまで殺すフリですよ!」

ちひろ「ちなみに殺された人は事件が解決するまで一旦退場してもらいます」

ちひろ「そして死体の代わりとして、スタッフが外傷を再現した人形をその場に置いていきますので、死体から何か情報を得たい時は人形を観察してくださいね!」

ありす「なるほど、把握しました。」

飛鳥「ははは、ありす、番組で本当に人を殺すわけないじゃないか」

ありす「わかってます、一応確認したかっただけです」ムッ


未央「はいはーい!犯人役かどうかってどこで分かるの?」

ちひろ「各自の部屋に端末が置いてありますのでそこで確認してできます!」

ちひろ「ちなみに各自の部屋はこんな感じです!」

http://i.imgur.com/V43nEgE.png

ちひろ「言葉で説明するより実際にやってみた方が早いです!とりあえず1戦やってみましょう!」

未央「おー!」
小梅「おー…!」
美玲「おー!」

ちひろ「それじゃあ皆さんの部屋のカードキーを配りますね!」


・・・・・・幸子の部屋・・・・・・

幸子「さて…自分の部屋にひとまず来てみましたが…」

幸子「部屋はきちんとしたところですね!」

部屋にはベッド、クローゼット、机、そして備え付けのトイレ、バスルームがあった。
机の上にはスマホが1台置かれている。

幸子「端末って言ってたのはスマホの事でしょうか?」

まずはスマホを手に取り、電源を入れてみる。
一般的なAndroidのスマートフォンのようだ、

幸子「ボクはiphone派なんですが…、まあ言っても仕方ありませんね」

見慣れないアプリケーションがある。「配役アプリ」という名前のアプリだ。

幸子「…配役アプリですか、これを見れば自分が犯人役が分かるんでしょうか」

アプリケーションのアイコンを押し、起動する。
少し起動に時間がかかるようだ。しばらく待つと画面が表示された。







P『ブアアアアアアアアアアア!!!!!』ヴヴヴヴヴ!!

幸子「ぴぃぃっ!!」ビクゥ

P『幸子は良い声で鳴くなぁ』

幸子「お、お、脅かさないでください!!なんなんですか!!」

P『なおこれは録音された音声を流している。苦情は言っても無駄だぞ』

幸子「このっ…!」

P『だが幸子の表情は透けて見えるわ、フハハハ』

幸子「ぐぬぬ…言っても仕方ないですが…腹が立ちますね…」プルプル


P『さて、まず配役だが 犯人1、一般人6、管理人1、コック1だ』

幸子「…なんとなく想像はつきますが、これはなんですか?」

P『それぞれ一人に1つだけ配役が配られる。 なんとなく想像がつくと思うが、各配役を説明するぞ』

P『犯人、これは名前の通り、今回人を殺す役だな。』

P『ちなみに犯人以外の殺人は禁止されてるから注意だ』

幸子「まあ、これは予想通りですね」

P『次に、一般人…これは犯人のトリックを暴く側だな。特に特別な能力はない』

P『見てわかる通り大半は一般人だ』

幸子「これも予想通りですね!」

幸子「次の管理人って何なんでしょうか」

P『管理人…これはマスターキーの持ち主だ。さらに言うと一般人サイドだ。犯人に協力したりはしない』

P『各自に部屋のカードキーが配られているな? 管理人役のカードキーはすべての部屋を開けることができるマスターキーになる。』

幸子「なるほど…」

P『次にコックだが…これは今日の料理当番だな』

幸子「そのまんまですね」

P『みんなも分の料理を用意しないといけないこと以外は一般人と同じだ』

幸子「…なくても良いんじゃないでしょうか、この役職」


P『さて、ここで幸子の配役だが…』ドン

幸子「…」ハラハラ

P『コックだ』

幸子「ホッ」

P『あ、あと配役を忘れたときとかはアプリ開きなおせば見ることができるぞ』
P『ルールの詳細もあるから見ておくのを推奨する。』

幸子(大体ルールを把握したつもりですが…一応後で確認しておきましょうか)

P『以上だ、幸運を祈る』ピッ


==========

ルール詳細

・ゲーム毎にそれぞれに役職が渡されます。
 役割はスマホのアプリから確認できます。

・殺人が起こったときは、現場を調査し、犯人とトリックを当ててください。
 推理が割れた場合、半数以上の支持を得た推理が採用されます。
 推理の支持率が半々で全員推理を譲る気がない場合は、引き分けとなります。
 
・殺された人はゲームから退場、次のゲームでは復活しています。

・当然ですが番組ですので、本当に殺人をするわけではありません。
 ナイフなどで切りつけるフリさえすればナイフで斬殺した事になります

・また、死体の状態を忠実に再現するために、殺害された人は人形に置き換わります。
 死体と人形の入れ替えはスタッフが専用の隠し通路を使って痕跡を残さないように行います。
 スタッフ専用の隠し通路は出演者には使うことはできません、
 死体と人形の入れ替え、スタッフ専用の隠し通路について推理に組み込むことは禁止します。


・役割について
 【犯人】●犯人サイド
  ホテルに紛れ込んだ殺人鬼、誰かの命を狙っています。
  あなたは自分の欲望を満たすため、誰かを殺さなくてはいけません。
  ただし、殺人、トリックに使う道具は、外部から持ち込んだものは利用してはいけません
  例)私物のスマホで撲殺はNG、配布されたスマホで撲殺はOK
  
 【一般人】〇探偵サイド
  特に能力はありません。
  あなたの推理と行動で犯人を暴くのです。
  
 【管理人】〇探偵サイド
  ホテルの管理人、すべての部屋に入ることができるマスターキーを持っています。
  ホテル内の施設を利用するためには、管理人による開錠が必要な部屋があります。
  
 【コック】〇探偵サイド
  ホテルのコックさん。
  みんなの料理を作ってあげてください。

・利敵行為は禁止です。
 探偵サイドの人間が故意に犯人に有利になることはしてはいけません
 犯人サイドの人間も故意に探偵サイドに有利になることはしてはいけません。

・配役、ルールは随時追加されます。

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・・・・・・13:30 ゲーム開始 幸子視点・・・・・・

幸子「さて…ゲームが始まりましたし、まず外に出てみましょうか」

幸子「コック役ですし、まずは食堂に行ってみましょう!」

扉を開け、幸子は自分の部屋から出る。
ふと、オートロックの場合カードキーが無いと困ることに気づき、ポケットを確認する。
ポケットの中にカードキーの存在を確認すると、安心してドアを閉めた。

幸子「…」ガチャガチャ

ドアを閉めた後、開くかどうかを確認する。
どうやら扉はオートロックのようだ

幸子「…うっかり閉め忘れて部屋に入られることはありませんね」

幸子「…ええと、食堂は…あ、ボクの部屋の正面にありますね。」

幸子「失礼します!」ガキッ

ドアノブが回らない、どうやら鍵が締まっているようだ

幸子「ええと、ボクはコック役なのですが…入れないと困りますよ!」
幸子「っと、あれは…」


ドアの隣を見るとカードキーを通す機械がある。
これにカードを通せば鍵が外れるだろうか、試しにカードを通してみる。
『ビー!ビー!ビー!』と警告音が鳴った。多分駄目だと思いつつもドアノブを回してみる。
もちろんドアノブは動かない、硬いままだ。

幸子「うーん…管理人役に開けてもらうしかなさそうですね」

美玲「幸子か? どうしたんだ?」

幸子「あ、美玲さん!役職はなんですか?」

美玲「な、なんだよッ!ウチは一般人だぞッ! いきなり疑うのかッ!」

幸子「い、いえ!違いますよ! 実はボクはカワイイコック役に選ばれたのですがーー」


美玲「なるほどなっ! 食堂に入るために管理人を探してたのか」

幸子「ええ、なので美玲さんに管理人かどうか確認したんですが…」

美玲「残念だけどさっき言ったとおりだ。ウチは一般人だ。他を当たってくれ」

幸子「そうですか…」

美玲「じゃあなッ」トコトコ…

幸子「あっ…何処へ行くんですか?」トコトコ…

美玲「ドコって…ショーコのところだけど…」

美玲「アイツ多分部屋の隅で小さくなってるだろ、番組なんだしウチが引っ張って外に出してやらないとなッ」トコトコ…

幸子「なるほど…確かに輝子さんならあり得ますね…」トコトコ…

美玲「…ん?ついてくるのか?」

幸子「いえ、ボクは管理人役の人を探しますよ。」

幸子「ただ、道がこっちにしかないので…」

美玲「ああ、同じ道になるんだな…」


・・・・・・13:45 飛鳥視点・・・・・・

飛鳥「フム、ルールの把握はこんなところか」

飛鳥「しかし、ホテル内にあるものしか犯行に使ってはいけないとは…」

飛鳥「いや、当然か、あの天才娘なんかは毒の一つや二つは持ち込めてしまうだろうからね」

飛鳥「そうなるとフェアじゃない、このゲームは皆、同じ手札で戦うのが一番面白はずだ」

飛鳥「となると、今の自分の持ち札は何なのか?…それを把握すべきだ」

飛鳥「把握しておくべきはこの施設の様子だな…」

飛鳥「まずはこの部屋を調べるとしようか」


飛鳥は、クローゼットの中、机の中身などを確認していった。
机の中にはメモ用紙とペンが入っており、
クローゼットの中には、着替え、タオル、そして衣装をかけるためのハンガーが入っている

飛鳥「ふむ…特別なものは何もないか」

飛鳥「次は、食堂と娯楽室、大浴場の様子を把握しに行こうか。何かあるかもしれない」

そう考えると飛鳥は外に出るためドアを開く、
するとそこには、小梅が居た。


小梅「あ、飛鳥ちゃん…」

飛鳥「小梅じゃないか、キミも部屋を見て回るつもりかい?」

小梅「見て回る…? ううん、そうじゃないよ。娯楽室に行くつもり」

小梅「娯楽室にテレビとかがないかなーって…」

飛鳥「テレビ…ホラー映画でも見るのかい?」

小梅「うん…みんなで一緒に見れたらいいな…」

小梅「飛鳥ちゃんもいっしょに見る…?」

飛鳥「…いや、ボクは遠慮しておくよ」

小梅「飛鳥ちゃんは怖いのダメなの…?」

飛鳥「ダメというわけではないさ、人間の感情として痛い、怖いといった負の感情は避けるべきだ」
飛鳥「ただ、そういった避けるべき負の感情をわざわざ体験することに意味を見出せないだけさ」

小梅「そっか…残念…」シュン…

飛鳥「…まあ、ボクも娯楽室には居座るだろうからね、気が向いたら見るとしよう、これも挑戦さ」

小梅「! ありがと…えへへ…」


二人が娯楽室に向かおうとしたとき、
廊下の角から人が現れた。隣の部屋…ありすの部屋の前に立っている。

志希「ありすちゃーん!お邪魔していいー?」ドンドン

ありす『嫌です。あと名前で呼ばないでください』

志希「えー?暇なんでしょー?」

ありす『…暇じゃないです』

志希「えー?」

飛鳥「何をしているんだキミは…」

志希「んー?ありすちゃんにちょっかいかけてるとこ」

飛鳥「…まあいいさ、他人の行動にどうこう言うつもりはないよ」

飛鳥「行こうか、小梅」

小梅「え…?いいの…?」

飛鳥「いつものことさ、ああ見えてありすも嫌がってないから、あまり干渉しない方が良い」スタスタ

小梅「良いのかな…」トコトコ


歩いて娯楽室に向かう途中、2人の人影があった。

飛鳥「美玲に幸子じゃないか」

幸子「飛鳥さん、それに小梅さん!」

美玲「娯楽室か食堂に向かってるのか? だったら意味ないぞッ」

小梅「え?…どうして?」

幸子「鍵がかかってるんですよ… ボクはコック役なんですが、食堂に入れなくて困ってるところです」

飛鳥「なるほど…つまり君たちは管理人を探しているわけだ」

飛鳥「コチラ側には部屋しかない…特筆すべき施設もないわけだから来るわけがないと思っていたが…なるほどそういう理由か」

美玲「ウチはフツーにショーコに会いに来たけどな?」

飛鳥「なっ… そうか、人に会いに行く、というのもあるのか」

飛鳥「孤独だからかな…ボクにその発想はなかったよ フフ…一つ勉強になった、ありがとう美玲」

幸子(飛鳥さんって本当にブレないですね…)

美玲「相変わらず飛鳥は色々考えてるなッ」

藍子「あれ?皆さん何してるんですか?」

幸子「藍子さん! ええと…管理人を探しているんですが…」

藍子「あ!私管理人ですよ!」スッ

藍子はカードキーを取り出して、みんなに見せた


飛鳥「ちょうど良かった。藍子、娯楽室と食堂のカギを開けてくれないか?」

藍子「あ、やっぱり鍵がかかってるんですね。分かりました。行きましょう♪」

美玲「よかったな。ウチはショーコのところに行くから…じゃーなッ!」

藍子「あ、美玲ちゃんは輝子ちゃんのところに行くんですね」

幸子「それじゃ、また後で会いましょう!」


・・・・・・14:00 藍子視点・・・・・・

幸子、美玲、飛鳥、小梅と合流し、娯楽室の前に立つ
ドアの横にカードリーダーが取り付けられている。
カードリーダーにマスターキーを通すとピピッという軽快な音が聞こえた。

藍子「あ、空きましたね」ガチャリ

小梅「娯楽室…テレビあるかな…」

飛鳥「ボクとしては、ダーツやルーレットがあると嬉しいのだが、どうかな」


・・・・・・
・・・

娯楽室は落ち着いた洋室のようになっていた。
ソファーが並び、電気をつけると灯りとしてシャンデリアが灯った。
遊び道具としてはトランプやボードゲームが設置されている。
備え付けに冷蔵庫がある所を見ると、中にはドリンク類が入っているのだろう。
そのほかテレビやDVD、マガジンラックや本棚がある



飛鳥「…ボクの考えていた娯楽室とは少し違うようだ」

飛鳥「ダーツやルーレット設置されて、バーがあるような施設を想像していたんだが、期待とは違ったようだ…」

小梅「テレビがある…ビデオデッキもあるから、映画が見れるね…」

飛鳥「冷蔵庫の中身は… ジュースだけだね」

藍子「雰囲気的にはお酒が入っていそうでしたけど…さすがに未成年しかいないから配慮されたんでしょうか?」

幸子「藍子さん、今度は食堂を開けてほしいんですが…」

藍子「あ!そうでしたね。食堂も鍵を開けましょうか」

幸子「お願いします。」

飛鳥「ボクはまだこの場所を調べるとするよ、中途半端に調べるのが一番無駄だからね」

小梅「私も残るね…なんのDVDがあるか見たいから…」

幸子「そうですか…では藍子さん、2人で行きましょう!」

藍子「はい♪」


・・・・・・食堂・・・・・・

扉の近くにテーブルとイスが並んでおり、最大で12で座ることが出来そうだ。
奥には厨房があり、一般家庭の厨房を少し大きくした程度になっている

幸子「ここが食堂ですか、食堂という割には簡素ですね!」

藍子「厨房も専門的な器具がたくさんあるわけではさそうですね」

幸子「それでも蒸し器だったり、ミキサーだったり…えーと変な形のスプーンみたいなのが」

藍子「あ、パスタサーバーですね、パスタをゆでるときに使うんですよ」

幸子「ふ、フフーン、名前が分からないだけで知ってましたとも!」

幸子(この形状でどうやってパスタを茹でるんでしょうか…?)

藍子「当然ですけど包丁もありますね…」

幸子「…まあ、当然ですね。この番組で凶器が無いとは思えませんので」

藍子「でも、普通の食堂でしたね。特に変なところはなさそうです。」

幸子「そうですね…凶器はたくさんありましたけど…」


・・・・・・娯楽室・・・・・・

藍子「ただいま戻りましたー」

飛鳥「藍子か、食堂はどうだった?」

藍子「普通の食堂でしたね…包丁とか凶器はありましたので、注意は必要ですね」

飛鳥「なるほど、食堂である以上凶器の存在は避けられないか」

幸子「娯楽室はどうでしたか?」

小梅「特に変わったところはなかったよ…」

小梅「ただ、アイスピックや栓抜きがあったから…これが凶器にならないかだけ注意しないとね…」

幸子「娯楽室にも凶器がありましたか…」

飛鳥「あとは雑誌やDVDにボードゲームといった娯楽品がある程度だね」

飛鳥「特に気になったのはボードゲームなんだが…」

幸子「ボードゲームですか、ボクは詳しくないんですが…」

飛鳥「それはボクも同じさ、まあこのゲームを見てくれ」スッ


藍子「これは…人狼…ですか」

飛鳥「ふふ、ご丁寧に定石集まで書いてある」

藍子「これがどうかしたんですか?」

飛鳥「いや、この番組と似ているな、と思ってね」

飛鳥「この番組は犯人と探偵に分かれて犯人を捜す…」

飛鳥「このゲームは人狼と村人に分かれて人狼を処刑する…」

飛鳥「…気にならないかい?」

藍子「確かに似ていますね…」

幸子「確かに…何かヒントになるかもしれませんね」

小梅「み、みんなでやってみる…?」

飛鳥「…ちなみに推奨プレイ人数は12人~から18人だそうだ」

幸子「全然足りないじゃないですか!!」

飛鳥「一応4人でも遊べるみたいだが…ゲームにならないみたいだ」

藍子「うーん…プレイしてみたいですが…それじゃ意味がなさそうですね」


 ガチャ

美玲「どうしたんだ?騒がしいな」

小梅「あ…美玲ちゃん…」

輝子「フヒ…お邪魔します…」

藍子「あ、輝子ちゃんも来たんですね」

輝子「フフ…美玲ちゃんに誘われて…」

小梅「人も増えたし…みんなで何かして遊ぶ…?」

美玲「なんだ!?遊ぶのか!? ウチも混ぜろー!!」

飛鳥「やれやれ、賑やかになってきたじゃないか」

美玲「何があるんだ?」

小梅「ええと…ここの棚にトランプとかボードゲームが…あるよ」ヒョイ


美玲「どれどれ…?トランプはありきたりだからこっちのデッカイ箱に入ってるやつが良いなッ」グイッ

輝子「なんだこれ…『カタンの開拓所』って書いてあるぞ」

美玲「なんでもいいからやるぞッ」

小梅「最大プレイ人数4人だって…」

美玲「なんだよ!人数オーバーじゃないか…じゃあこっちは…」

輝子「『十二季節の魔法使い』だって…フヒ」

美玲「カッコイイなッ これやろう!」

小梅「最大プレイ人数4人だって…」

美玲「コイツもか! じゃあこっちだッ!」

輝子「『ドミニオン』…」

小梅「最大プレイ人数4人だって…」

美玲「4人用ゲームばっかじゃないかッ!!なんなんだよッ!」

輝子「お、落ち着いて美玲ちゃん…」

小梅「じゃあ、これやろ…?」スッ

美玲「『ラブレター』…? まあこの際なんでもいいや」

小梅「最大プレイ人数4人だって…」

美玲「結局4人じゃないかッ!!ウチのこと馬鹿にしてんのかッ!!」

藍子「ふふ、みんな仲がいいんですね」

幸子「小梅さんが冗談を言うのは仲のいい相手だけですからね」


飛鳥「さて、ボクはここで失礼させてもらうよ」

藍子「あれ?みんなで遊ばないんですか?」

飛鳥「そうしたいのは山々だが…、まだ調べてないところがあるだろう?」

藍子「あ、大浴場ですか?」

飛鳥「そうだ、マスターキーが必要かもしれない、藍子…付いて来てくれないかい?」

藍子「いいですよ♪ 行きましょう!」

美玲「なんだ、行くのか」

小梅「じゃあちょうど4人だね…」

輝子「フヒ…何しようか…」


・・・・・・15:00 大浴場 脱衣所・・・・・・

大浴場は脱衣所と浴場の2部屋に分かれていた。
入り口から手前側には着替えを入れる棚が並び、
奥には洗面台が並んでいる。

飛鳥「まあ予想はついていたが…ここにも特に奇抜な仕掛けはなさそうだ」

藍子「そうですね…食堂も娯楽室も特別なことはありませんでしたし、大浴場だけ奇抜というのも考えづらいですから…」

飛鳥「着替え用の棚には小さなタオルとバスタオルが入っているな」

藍子「洗面台には使い捨ての歯ブラシと歯磨き粉がありますね」

飛鳥「穿った見方をするなら、バスタオルは絞殺に使えるか…」

藍子「歯ブラシは…ひたすら相手をゴシゴシ擦れば痛みでショック死させられ…」

飛鳥「藍子、君は案外怖いことを考えるな?」

藍子「あはは…さすがにないですよね」


・・・・・・大浴場・・・・・・

入って右奥には大きな四角の湯舟があり
左側にはシャワーが並んでいる。

藍子「わ、温泉はこんな風になっているんですね」

飛鳥「こっちも普通の温泉だな、備え付けのシャワーにはシャンプーやボディソープが設置されている」

飛鳥「木製の椅子と桶もある…湯舟は…今はお湯は張ってないのか、」

藍子「表に『17:00~24:00』までの立て札がありましたから…お湯が張られるのは17時からでしょうか」

飛鳥「おそらくそうだろうね」


藍子「…こんなところでしょうか」

飛鳥「ああ、ここには凶器になりそうなものもない、あまり注意しても意味がなさそうだ」

飛鳥「では、ボクは娯楽室に戻るとしよう」

藍子「そうですね。みんなで遊びましょうか」

藍子「輝子ちゃん達は何で遊んでいるんでしょうか?」

飛鳥「彼女たちのことだ、何か尖ったゲームでもしているに違いないさ」


・・・・・・娯楽室 15:30・・・・・・

飛鳥「……」

藍子「……」

幸子「いやー良い庭園ですねぇ」

小梅「うん…この船石が…詫び寂びを感じるね」

美玲「三尊石からの桂馬置きの配置が美しいな」

輝子「フヒヒ…ありがとう…お礼にタイル…いるか?」

幸子「ありがとうございます!いただきましょう! いやぁ輝子さんは徳が高いですねぇ」

輝子「フフ…幸子ちゃんの乱れのない砂紋も素敵だ…」

藍子(日本庭園作って褒めあってる…)

飛鳥「なんなんだこれは…」

幸子「あっ藍子さんに飛鳥さん!」

小梅「自分の日本庭園…枯山水を作ってみんなで褒めあうゲーム…だよ」

飛鳥「渋すぎる…こんなゲームもあるのか…」

藍子「飛鳥ちゃんが苦い顔してる…」

飛鳥「…渋いのは苦手だからね」


幸子「人数も増えましたし…何か別のゲームでもやりますか?」

飛鳥「フッ、ではボクも混ぜてもらおうか」

小梅「あ…ゲームも良いけど映画見ない…?」

藍子「…ホラーですか?」

小梅「あ、ううん…ここにあったDVDで面白そうなのがあったから…」

美玲「ん?どんなのだ?」

小梅「『紫電ノ刻印<<エンドレスライジングクラッシャー>>』とか…」

飛鳥「待ってくれ小梅」

小梅「『生存本能ヴァルキュリア THE MOVIE』とか…」

藍子「映画化してたんですか!? 私聞いてないですよ!?」

小梅「『大地になった輝子2』とか…」

輝子「私も聞いてないぞ!? っていうか2作目なのか…!?」

小梅「『聖靴学園の七不思議』とかもあるけど…せっかくだからここでしか見れないのが…いいな…」

美玲「ウチ『紫電ノ刻印<<エンドレスライジングクラッシャー>>』が見たい!」

飛鳥「美玲!!」

美玲「なんで止めるんだ? カッコイイだろ?」

飛鳥「いや…自分の内なるセカイは易々と他人に見せるべきではなくてだな」

藍子「…私、せっかくですから自分の映画がみたいなーって」

美玲「ん?…そうだな、そっちも見てみたいし、藍子がそういうなら見てみるか」

飛鳥「…ありがとう、藍子」ボソリ

小梅「じゃあヴァルキュリア再生するね…」カチャ


・・・・・・娯楽室 17:00・・・・・・

「……」シーン…

小梅「結局…誰も生き残れなかったね…」

幸子「ひ、ひどい…こんなのってあんまりです…」

輝子「一応、一人生きのこってはいる…」

飛鳥「いや…あれは生きているといえるのだろうか…」

美玲「誰だよ!こんな話考えたヤツ!」

藍子「ええと…脚本は…この名前なんて読むんでしょう…きょ…ふちげん?って書いてありますね…」

飛鳥「ああ……察したよ……」


幸子「…じゃあボクはコック役なので、料理を作りに行きますね」

藍子「あ、良かったら手伝いましょうか?」

幸子「良いんですか?お願いします!」

美玲「ん…もうこんな時間か」

輝子「フヒ…そろそろキノコたちの面倒を見に行かなきゃ…」

小梅「じゃあ…私も部屋に戻ろうかな…」

美玲「ウチも戻るか」

飛鳥「ボクはもう少しここに居座るとするよ」

美玲「じゃあ一旦解散だなッ」


輝子「あれ…そういえば私…カードキーどこやったっけ…」

美玲「あっ!ウチのもない!」

藍子「ええっ!?」

幸子「…その机に雑においてませんでした?」

輝子「ええっと…」ゴソゴソ

美玲「あ、あったぞ! ボードゲームの箱の中に紛れてたな」

幸子「また見つかりづらいところにありましたね…」

幸子「っていうか!不用心ですよ!」

輝子「フヒ…面目ない…」

美玲「じゃあ気を取り直して帰るか!」


・・・・・・娯楽室前 17:15・・・・・・

藍子「じゃあ食堂に行きましょうか」

幸子「ええ、皆さんにカワイイボクの手料理をふるまいますよ!」

美玲「楽しみにしてるぞッ」

そう言うと美玲は自分の部屋の扉を開いた。
開いた扉の先には……
本田未央の死体(の人形)が転がっていた。

美玲「うわぁぁぁ!!」

藍子「どうしたんですか!?」

美玲「し、死体が!ウチの部屋に死体が!」

幸子「ええ!?」


ピンポンパンポーン

ちひろ『死体が発見されました!速やかに現場『美玲ちゃんの部屋』に集まってください!』

美玲「うわぁ!?」

輝子「アナウンスがはいるんだな…フフ…」

 ガチャ

ありす「…何事ですか?」

幸子「ありすさん!? なんで志希さんの部屋から…」

ありす「……ハァ」ジトッ

幸子「な、なんですか…なんだかすごい苦労された目をしてますね…」

 パタパタ
 
志希「にゃははー、事件が起こったみたいだねー」

藍子「志希さんの方は廊下から来ましたね…」

幸子「…何があったんですか?」

ありす「…話せば長くなります」


・・・・・・17:30 美玲の部屋の前・・・・・・

幸子「全員揃ったみたいですね」

ありす「はい」
飛鳥「ああ」
美玲「集まるの早かったな」

幸子「ええと、まず何をすればいいんでしょう」

志希「まずは死体の確認と、部屋の様子をみるべきだねー」

幸子「…な、なるほど!」

志希「じゃあ失礼~」ゴソゴソ

小梅「わ、私も…」

幸子(…人形とはいえ結構グロテスクなんですが…皆さん平気なんでしょうか)


未央の死体は仰向けに倒れている
胸に刺し傷があり、そこから大量の血が流れ出ていた。
そのほか手首には赤黒い痣が出来ていた。

死体のそばには包丁が転がっている。
包丁は刃の血に染まっている。しかし柄の部分には血がついていない
そのほか長めのタオルが血だまりの中に落ちている。

幸子「…死因は心臓を一刺し、でしょうか」

小梅「…まだわからないけど、可能性は高そう…だね」

輝子「柄の部分には血がついてないな…」

飛鳥「近くに血に染まったタオルが置いてある…」

飛鳥「指紋を残さないために包丁の柄を拭いたんじゃないだろうか」

ありす「と言っても指紋鑑定なんて私たちにはできないですが」

藍子「せめて死因についての資料が欲しいですね…」


ピロリン!

藍子「あ、番組の端末にメールが届きましたね」

幸子「えっと、何でしょうか?」スッ

============

件名:未央の死因について

死因:出血によるショック死

死亡時刻:16:00 ~ 17:00

備考:手首に長時間拘束された形跡あり
   2時間~4時間ほど高速されていた模様

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幸子「未央さんの死因ですか」

飛鳥「…なるほど、ふむ」

藍子「…飛鳥ちゃんは、何かわかったんですか?」

飛鳥「ああ、志希、ありす 君たちが今日一日何してたか教えてくれないか」

志希「ほほう?何かわかったみたいだねーいいよー」


志希「まずあたしはゲーム開始から15分くらいは自分の部屋を調査してたねー」

ありす「私も同じです。その後は持ち込んだタブレットで推理小説や定番のトリックについて調べていました」

志希「で、大体見終わったから、他の人の部屋も同じか見るためにありすちゃんの部屋にお邪魔しに行ったのだー」

飛鳥「ああ、なにやらありすの部屋の前でやっていたね」

美玲「ウチがショーコの部屋まで行くときもやってたな」

ありす「部屋に入れるつもりは無かったので、無視をしていましたが…」

志希「最後にはありすちゃんが折れて志希ちゃんを部屋に入れてくれたんだ~」

ありす「ええ、大変不本意でしたが、あのまま居座られていても迷惑でしたので…」


志希「で、ありすちゃんの部屋も隅々まで調べたよ!」

志希「あたしの部屋と変わらなかったねー、みんな一緒の部屋なんじゃないかな?」

美玲「そうだな、ウチの部屋とショーコの部屋も一緒だったぞ」

ありす「…そしたらこの人が私のベットの匂いを嗅ぎ始めました」

美玲「何してんだッ!?」

志希「にゃははー」

ありす「そしたら次に何したと思います?」ムスッ

輝子「…何をしたんだ?」

ありす「私のベットを占領して寝始めたんです!」プンプン

ありす「起こそうとしたら『動きたくないから私のベット使ってー』って自分の部屋のカードキーを渡して…」

志希「そしたら『ふざけないでください!』ってありすちゃん怒っちゃって」

藍子「当然じゃないでしょうか…」

ありす「それでも本格的にこの人が寝始めたので、あきらめて志希さんの部屋に行きました」

美玲「災難だったな…」

ありす「それからは事件が起こるまで志希さんの部屋に居ました」

志希「あたしもー」

飛鳥「なるほど、突っ込みどころは絶えないが、理解したよ」


志希「そういう飛鳥ちゃんたちは何してたのー?」

飛鳥「ああ、ボクたちは…--」


・・・・・・
・・・

飛鳥「…というわけだ」

志希「ふーん、みんなで娯楽室に居たんだ」

ありす「遊んでいるときや、映画を見てるときに席を立った人はいなかったんですか?」

美玲「んー、みんなトイレに席を立つくらいはしてたな」

小梅「あ、でも私と輝子ちゃんはずっと娯楽室に居たよ」

輝子「フフ…そうだな…トイレにも行ってないぞ」

志希「なるほどねー」


飛鳥「おっと、話がそれてしまったが、最後に輝子、話を聞かせてもらえるかな」

輝子「フヒ…なんだ? なんでも答えるぞ」

飛鳥「美玲がキミの部屋に遊びに行ってから、娯楽室に来るまでずっと一緒だったかい?」

輝子「そうだな…ずっと一緒だったぞ」

飛鳥「なるほど、ありがとう」

飛鳥「フフフ、どうやらボクにはこの事件の犯人が理解(わか)ったようだ」

幸子「本当ですか?」


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ちゃんみお殺人事件

難易度 ★☆☆(かんたん)

問題:この事件の犯人を『消去法を使って』明らかにせよ

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解きたい人がいるかもしれないので、
30分ほど投下ストップします。
特に居なさそうなら、21:30に投下再開します。


ありす「犯人が分かったって…本当ですか?」

飛鳥「ああ、ではボクの推理を披露しよう」

飛鳥「まずこの事件、真っ先に犯人から除外できる人がいる」

幸子「それは…誰ですか?」

飛鳥「ありすと志希、…あとは被害者の未央だね」

輝子「それは…どうしてだ?」

飛鳥「被害者は美玲の部屋で見つかったからさ」

飛鳥「部屋の扉はオートロックだ、カードキーが無ければ入ることができない」


志希「なるほどー、でもそれだとみんな入れないんじゃないの?」

飛鳥「いや、美玲の部屋のカードキーは、娯楽室に雑に置かれていたのさ」

飛鳥「娯楽室に居たメンバーなら少しの間だけ盗むことは可能だろう」

ありす「…なるほど、娯楽室に居た人たちなら犯行は可能だったんですね」

飛鳥「だが、置かれていた美玲のカードキーだが…まず見つからない場所に置いてあったのさ」

*****************************

美玲「あ、あったぞ! ボードゲームの箱の中に紛れてたな」

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飛鳥「これは4人がボードゲームをしている最中に紛れたんだろう」

飛鳥「美玲、輝子、小梅、幸子の4人がボードゲームをやっているときにはボクと藍子は大浴場を見て回っていた」

飛鳥「つまり、ボクと藍子は美玲のカードキーの場所が分からない…だからカードキーを使うことができないのさ」

美玲「確かにウチはボードゲームをしてる時にカードキーを置いたな」


飛鳥「次に、小梅と輝子だが…」

飛鳥「未央の殺害時刻を見てみよう」

ありす「ええと…メールによると『16:00 ~ 17:00』のようです」

飛鳥「このときボクたち6人は映画を見ていた…」

飛鳥「その中で小梅、輝子はトイレなどで席を立っていない…ずっと娯楽室に居たんだ」

飛鳥「つまり小梅と輝子には未央を殺害は不可能だ」

輝子「フフ…良かったな小梅ちゃん」

小梅「えへへ…良かったね輝子ちゃん」


飛鳥「次は幸子だ」

幸子「ようやくボクですか…、まあボクはコックなので当然犯人ではないですけどね!」

飛鳥「幸子はゲーム開始直後に部屋を出ている」

飛鳥「そしてすぐ美玲と行動を共にしていて、トイレで席を立つ時間以外は常に誰かと一緒だった」

ありす「それがどうかしたんですか? 席を立った以上、犯行は可能ですよね」

飛鳥「ああ、殺害は可能だったさ」

飛鳥「だが、メールによると未央は長時間拘束されていた」

飛鳥「殺害する時間とは別に『拘束する時間』が必要なのさ」

飛鳥「メールによると少なく見積もっても15時には拘束されていただろうね」

藍子「ええと…それが何か関係が…?」

飛鳥「ああ、幸子は15時までは常に誰かと一緒にいた…幸子には未央を拘束する時間がない」

飛鳥「つまり、幸子も犯人じゃない」


飛鳥「…最後に美玲だが…」

飛鳥「美玲も基本的には誰かと一緒にいた…」

飛鳥「だが、ボクたちと別れて、輝子を呼ぶ間があったね」

美玲「あったけど…すぐにショーコの部屋に行ったぞ」

志希「あたしがありすちゃんの部屋の前に居るときに、輝子ちゃんの部屋まで入っていったね」

飛鳥「そうだ、そして輝子の証言だと…その後ずっと一緒だったみたいだね」

飛鳥「美玲にも未央の殺害は不可能だ」


美玲「なるほどなっ!」

美玲「じゃあウチとサチコに犯行は不可能で!」

美玲「シキ、アリス、ミオにも不可能で」

美玲「アスカとアイコにも不可能」

美玲「それでショーコとコウメにも犯人じゃない!」

美玲「って全員犯行が不可能じゃないか!」

飛鳥「いや、一人残っているだろう?」

美玲「ん?」

飛鳥「あくまで『美玲のカードキー』をボクと藍子は使えないってだけさ」

飛鳥「一人、美玲のカードキーが無くても、美玲の部屋に入れる人がいるだろう?」

藍子「……」

飛鳥「藍子、キミだよ」

飛鳥「まだ謎は多いが…これだけ情報があればキミを犯人だと証明できる」


藍子「…待ってください」

藍子「『配役は一人につき一役配られる』はずですよね?」

藍子「『管理人』の私が『犯人』なわけないじゃないですか!」

飛鳥「やれやれ、往生際が悪いよ」

飛鳥「『未央が管理人』で『そのカードキーを使っている』だけだろう」

藍子「う…」

飛鳥「何か反論はあるかい?」

藍子「うう…ないです…」ガックリ


 ピンポンピンポーン!

ちひろ『はい、大正解です! 今回の犯人は藍子ちゃんでした!』

ちひろ『今回の配役は…』

犯人:藍子
管理人;未央
コック:幸子

ちひろ『…です!』


幸子「まあそうなりますよね」

ちひろ『次のゲーム開始は明日の朝になります!それまでゆっくり休んでてください』


・・・・・・第一ゲーム 終了・・・・・・


・・・・・・幕間 反省会・・・・・・

未央「はーい!まったく出番のなかったみおちゃんだよー!!」

幸子「すぐに藍子さんに捕まってましたからね…」

藍子「ご、ごめんなさい…」

美玲「そーいや、ギモンだったんだけどさ、藍子は未央がマスターキー持ってるってなんでわかったんだ?」

藍子「あー…それは…」

未央「はいはーい!それには私が答えようじゃないか」

未央「実は…」


・・・・・・未央の部屋 13:30・・・・・・

P『未央の配役は「管理人」だ』

未央「ほほう…じゃあこのカードキーで全部のドアが開くわけだね!」

P『ああそうだ…』

未央「じゃあ早速使ってみよう!」ガチャ

P『お、おい…ってもう部屋出てくのか!?』


・・・・・・藍子の部屋 13:30・・・・・・

藍子「は、犯人ですか…ええとどうしましょう」

藍子「何かトリックを考えないと…」

藍子「何か部屋にないでしょうか…」ゴソゴソ

 ガチャ
 
未央「あーちゃんやっほー!」

藍子「ひゃっ!?み、未央ちゃん!? どうやって入ってきたんですか?」

未央「ふっふっふ、私は管理人役を引いたんだよ」

藍子「あ、あのマスターキーを持ってるって役でしたっけ」

未央「そうそう!このマスターキーを使って入ってきたわけ」

藍子「なるほど…」


藍子(あれ…?ここで未央ちゃんを殺して、カードキーを奪えば密室殺人トリックを作れる…?)

藍子(で、でもいくらなんでも大胆でしょうか…?)

未央「娯楽室とか鍵がかかってるかもしれないから一緒に行かない?」

藍子(…でもこのチャンスを逃したら、今考えたトリックは使えないですし…)

藍子(マスターキーの持ち主が真っ先に部屋に来てくれるなんて状況、滅多にないですから…やるなら…今しか…)

未央「あーちゃん?」

藍子「未央ちゃん? 背中にゴミがついてませんか?」

未央「え?ドコドコ?」

藍子「ちょっと後ろ向いてください」シュルッ

 ギュッ
 
未央「…あーちゃん? え?何?何で縛るの?動けないんだけど」

藍子「ごめんなさい…私犯人なので…」

未央「ええ!?」

藍子(さて、どうしましょうか… 殺すのはいつでも出来ますし…)

藍子(皆の様子を見てからどう動くか決めましょうか)


・・・・・・
・・・

未央「ということがあったんだ」

ありす「…それは、軽率すぎませんか?」

未央「うっ」

志希「そうだねー、皆が居るタイミングで管理人って明かすべきだったねー」

ありす「そうです。そうすれば犯人がマスターキーを使うのを避けられます」

ありす「加えて、一人ほぼ犯人じゃないことが確定するので、探偵側なら軽率に動くべきではありませんでしたね」

未央「ごめんなさい…」


藍子「軽率といえば私も…」

未央「お?なんだいあーちゃん」

藍子「犯人側はマスターキーの持ち主を殺すべきじゃないなと」

未央「ほほう?」

藍子「犯人がマスターキー取ってしまうのがバレると、密室殺人系ができなくなるんですよね…」

藍子「それに色んな鍵を開けるのを頼まれるので、トリックのために動きづらいです」

藍子「しっかりした考えがないなら『管理人』は殺さないほうが無難ですね」

飛鳥「ああ、たしかにキミはいろんな部屋の解錠に付き合わされていたね」

藍子「今回だと殺すのに理想なのは幸子ちゃんでしたね」

幸子「ボクですか!? なんでです?」

藍子「今回は特殊ですけど、管理人とコック役を自称したらほぼ犯人じゃないですよね」

藍子「そうなると犯人と一般人の7人が疑われる対象ですよね」

藍子「ここで一般人を殺すと…」

幸子「疑われる幅が6人に減りますね!」

幸子「なら管理人かコックを殺したいところですが…」

幸子「管理人を殺すとマスターキーが使えるようになるので、トリックの幅が狭まってしまうわけですね!」

藍子「はい!」


美玲「そういや、まだ一つわからないことがあるんだけどさ」

飛鳥「ん?なんだい? まだ何かあるのかい?」

美玲「事件後に娯楽室に行ったら『紫電ノ刻印<<エンドレスライジングクラッシャー>>』が無くなってたんだけど」

美玲「なんでだろうな?」

飛鳥「…」

藍子「それは…そっとしておいてあげましょう?」

美玲「??」


・・・・・・1ゲーム目 反省会終了・・・・・・

以上です。呼んでくださってありがとうございます。
4ゲームほど続ける予定です。

スレッドを分けてやる予定なので、HTML化依頼をしてきますね

簡単な推理を短く作るつもりがガッツリかかってしまった…

ついでに前作も置いておきます
よければコチラもよろしくおねがいします

モバP「湯けむりアイドル女子寮の館殺人事件!?」【ミステリ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389968815/)

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