マリ「非・日常編」[スクストSS] (43)

スクストことスクールガールストライカーズのSS



※ほんの少しだけ関係のある過去作
あから「エテルノから夜ふかし」[スクストSS]
http://ssmatomesokuho.com/thread/read?id=344371

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1500803281

~夕暮れ時~


[河川敷の芝生]


タケヤー…サオダケー…


イミナ「…」ボー…


カァカァ…


イミナ「…」ボー…


マリ「…こんな時間にこんな所で何してるのさ?」ザッ


イミナ「…おっ、マリじゃないか」


イミナ「いやな、ここで座って川と夕日を見ながらボーっとしてると落ち着くんだよ」


マリ「…何かあった?」


イミナ「ははっ、まさか」


イミナ「こいつはただの趣味みたいなもんだよ」


マリ「…なら、いいけどさ」ストン


イミナ「おっ、マリも見ていくのか?」


マリ「…まあね」


イミナ「そうかそうか」

マリ「…」


イミナ「…」ボー…


マリ「…」


イミナ「…」ボー…


マリ「…」


イミナ「…」ボー…


マリ「…」


イミナ「…」ボー…


マリ「…あのさ」


イミナ「…ん?どうした?」

マリ「普通“何かあったか?”って聞かれたら“そっちは?”って聞き返さない?」


イミナ「お、おぅ…悪かったよ」


マリ「英語だって“ How are you?”って聞かれたら“I’m fine thank you, and you?”って…」


イミナ「わかった!わかったよ!」


イミナ「っていうか言いたい事があるなら自分から言い出せばいいだろ!面倒くせぇな!」


イミナ「…で?なんかあったのかよ?」


マリ「…ああ、実は聞いてほしい事があってね」


イミナ「へぇ」


マリ「最近…身の回りでおかしな事が続いていてね」


イミナ「…おかしな事?」


マリ「そう」


マリ「最初は1ヶ月前の事だったんだけど…」


イミナ「あっ、回想いくんだ」

~1ヶ月前~


[ベガ・チームハウス]


リョウコ「…今日の夕食はー!」


リョウコ「じゃーん!東雲家の特製カレーでーす!」


リョウコ「それじゃあみんな手を合わせて…!いただきます!」パチン


ハヅキ「いただきます」パチン


アコ「いただきますなのだ」パチン


イミナ「いただきます!」パチン


マリ「…いただきます」タン


リョウコ「はい!どうぞ召し上がれ!」


アコ「…うん、相変わらず抜群の安定感なのだ」モグモグ


ハヅキ「これほど中の上なカレーを作れるってのも才能だよねぇ」モグモグ


イミナ「こういうのをお袋の味って言うんだろうなぁ…」モグモグ


リョウコ「なんでみんな普通に“美味しい”って言えないのかな?」

ハヅキ「だって普通に美味しいって言うと怒るじゃないか」


リョウコ「普通に美味しいじゃなくて、美味しいって言ってくれればいいんですって!」


アコ「リョウコっちのこだわりが良くわからないのだ」


イミナ「普通に美味しいってのも褒め言葉なんだけどなぁ」


マリ(そう)


マリ(リョウコの作るカレーは、いわゆる普通のカレー)


マリ(具材もルーも隠し味さえも普通で
、意外性の欠片もない、ただ普通に美味しいカレー)


マリ(お袋の味とやらに縁のない私やイミナからしても、どこか家庭の温かさを感じさせる普通のカレーだ)


マリ(正直、嫌いな味じゃない)


マリ「…」モグモグ


マリ「…!」モッ


マリ(えっ、凄い美味しいんだけど)

マリ(どうした?リョウコどうした?)


リョウコ「…あっ!マリさんは美味しいって言ってくれますよね?」


イミナ「というか美味しい以外の感想を聞いたこと無いよな」


アコ「そういえば何食べても美味しいとしか言わないのだ」


イミナ「しかも表情変わらないしな」


ハヅキ「で、今日のカレーはどうなんだい?マリ?」


マリ「…美味しいよ」クスッ


アコハヅキイミナリョウコ「!?」


アコ「マ、マリっちがリョウコっちのカレー食べて笑ったのだ!」


イミナ「おいマリ!具合でも悪いのか!?」


マリ「いや、別に…」


ハヅキ「なら明日は槍かジャベリンが降るよ!」


リョウコ「みんな私のカレーを何だと思ってるんですか!?」

~現在~


マリ「…って事があってさ」


イミナ「あー…あったなぁ、そんな事…」フイッ


イミナ(っていうかそれ、エテかしでボツった、マリを笑顔にしようドッキリのやつだわ)


イミナ(確か…マリのカレーだけ悠水のカレーとすり替わってたんだっけ)


イミナ(当時はまだアタシも知らされてなかったから焦ったなー)


イミナ(…って事は、アコがすり替えてたのか)


イミナ(アコ…演技派なんだな)


マリ「…今まで食べてきたどのカレーよりも美味しくてさ」


イミナ「そうか」


イミナ「まあ、マリが今までにどれだけカレー食べてきたか知らないから何とも言えないけど」


マリ「…で、その次の日なんだけど」


イミナ「まだ話すのかよ」

~カレー事変の翌日~


[チームハウス・マリの部屋]


マリ「…」ゴロゴロ


マリ(…暇)


マリ(眠くないから昼寝は出来ない)


マリ(かといって外に行くのも面倒)


マリ(さて…どうしたもんかね)


テレビ〈パッ


マリ「…!」ビクッ


マリ(テレビが勝手に点いた…?)


マリ(まさか…ポルターガイストってやつかい?)


マリ(…エテルノにも幽霊って出るんだ)


マリ(…ま、オブリなんてのが出るくらいなら何が出てきても不思議じゃないか)

テレビ〈ザッザッザッ


マリ(寂れた街を3人の男が横並びに歩いている)


マリ(これは…西部劇だろうか?)


マリ(カラーだけどなかなかに古い洋画みたいだね)


テレビ〈ガチャン


マリ(…ん?3人の内の1人が持っていたギターケースを肩に担いで…)


マリ(…って、このポーズは…)


テレビ〈シュッボッ! ドカーン!


マリ「えっ」


マリ(…ギターケースからロケット弾が発射された…)


マリ(…いやこれ、完全にベラスネーシュカの打ち方なんだけど)


マリ(何?どこかのチャンネルの私はこれの真似してたってわけ?)


テレビ〈バン! ウッ!


マリ(ギターケースのやつ、もう撃たれてるし)

テレビ〈シュッボッ!


マリ「あっ…」


マリ(どうやら撃たれて倒れ込む拍子に引き金を引いたらしい)


マリ(真上を向いた発射口からロケット弾が空に放たれ…)


テレビ〈ヒュー…ドカーン!


マリ「ふふっ…」クスッ


マリ(推進力が尽きたロケット弾は男の元へと垂直落下し…爆発した)


マリ(えっ?なにこれコメディ?)


マリ(そしてこれを真似した私って…)


マリ「ふふふふふ…」プルプル


マリ(おっと、笑いが…)


マリ「ふふふふふ…」プルプル

~現在~


マリ「…って事があってさ」


イミナ「へぇ」


マリ「常々、ベラスネーシュカって何でこんな撃ち方してるんだろうって思ってたんだけどさ」


イミナ「まぁ、確かに撃ち辛そうなポーズだよな」


マリ「まさか映画の真似だとは思わなかったね」


イミナ「そういう事するようなキャラじゃないもんな、マリは」


イミナ「何かに影響されるってより、我が道を行くって感じだもんな」


マリ「…で、ベラスネーシュカの撃ち方ってデスペラード撃ちって言うらしいんだけど…」


イミナ「そうか」


マリ「というのもその映画のタイトルがデスペラードってタイトルでさ…」


イミナ「ほう」

マリ「3部作ある“エル・マリアッチ”シリーズの二作目でさ」


イミナ「シリーズ物なのか」


マリ「ギャングに恋人を殺されたエル・マリアッチが、そのギャングに復讐する映画なんだ」


イミナ「へぇ」


マリ「ちなみにデスペラード撃ちをするのはエル・マリアッチの旧友のキーノってやつでさ」


イミナ「エル・マリアッチが撃つわけじゃないんだな」


イミナ「っていうかその映画シリーズ気に入ったのか?」


マリ「…暇つぶし程度にはね」


イミナ「しかし…エル・“マリ”アッチか…」


マリ「…不思議な偶然もあるもんだね」


マリ「それからこんな事もあって…」


イミナ「なあ、一旦帰ってもいいか?」

マリ「…何でさ?」


イミナ「見りゃわかるだろうがもう日が落ちてんだよ」


イミナ「夕暮れ時をとっくに過ぎてもう夜なんだよ」


マリ「別にそれくらいどうって事ないだろ?」


マリ「まさか…暗いのが怖いとか?」


イミナ「そうじゃなくてだな?」


イミナ「こんな時間に制服でうろついてると警官に職質かけられるから嫌なんだよ」


マリ「まるで経験したかのような語り方だね」


イミナ「昔は何度か、な…」


イミナ「というかアタシが警官でも、こんな時間に河川敷で座って話してるやつらがいたら声かけるわ」


マリ「…じゃあ続きは明日、エテルノでって事でとりあえず帰るとするよ」スクッ


イミナ「お前どんだけ話したいんだよ」

~翌日~


[チームハウス・イミナの部屋]


イミナ「~♪」ヌイヌイ


ドア〈コンコン


イミナ「あー、悪い!今、手が離せないからそっちで開けてくれ!」


イミナ「鍵なら開いてるから!」


マリ「…じゃまするよ」ドアガチャ


イミナ「おおっ、マリじゃないか」ヌイヌイ


マリ「…どうも」


マリ「それ…なに縫ってるのさ?」


イミナ「ああ、これか?」ヌイヌイ


イミナ「こいつはパッチワークだ」ヌイヌイ


マリ「…へぇ、なかなか可愛いね」


イミナ「だろ?」ヌイヌイ


マリ「それじゃあ昨日の続きを…」


イミナ「マジですんのか」ヌイヌイ


イミナ「お前そんなに話したかったのかよ」ヌイヌイ


マリ「…あれは先々々週の事で…」


イミナ「聞けよ」ヌイヌイ

~先々々週前~


[チームハウス・マリの部屋]


マリ「…」ゴロゴロ


ドア〈コンコン


マリ「…ん」


マリ「…入れば?」


悠水(猫耳)「お邪魔しまっす!」ドアガチャ


マリ「…!?」ビクッ!


悠水「ねこ悠水の~!ギャグ100連発~!」


マリ(えっ、何?)


悠水「ラッセッラー!ラッセッラー!ラッセッラー!ラッセッラー!」バタバタ!


悠水「うーん、リライター!リライター!」シュッシュッ!


悠水「てんちしんめーけーん!」シュバ!


マリ(えっ、何?)


悠水「あったまテカテカー!」


悠水「さえてっピカピカー!」


悠水「そ~れがどうしたっ!ボクあからちーん!」


悠水「陽奈!小織!これが食べられる野草だよ!」


マリ「…」


悠水「にゃー!」

~30分後~


マリ「…」


悠水「はぁはぁ…」ゼェゼェ


マリ「…」


悠水「くっ…貴様やるなっ!」ゼェゼェ


マリ「…」


悠水「今日はここまでにしておいてやる!」


マリ「…」


悠水「覚えてろよぉ!」


マリ「…」


悠水「サラダバー!間違えた!さらばだー!」ドアガチャ


フハハハハハ…


マリ「…」


マリ「…」


マリ(なんだったんだろう…?)

~現在~


マリ「…って事があってさ」


イミナ「地獄だな」


イミナ「30分間ギャグやり続ける悠水も悠水だけど、30分間じーっとしてるマリもどんなメンタルしてんだよ」


マリ「本当…何がしたかったんだろうね」


イミナ「そりゃお前…マリを笑わせたかったんだろうよ」


マリ「私を笑わせて何の得があるっていうのさ」


イミナ「そういうのは損得とかじゃないんだよ」


マリ「…そういうもんかね」


イミナ「そういうもんだよ」ヌイヌイ


イミナ「…っし!完成!」ジャーン!


マリ「…なかなか良い出来、なんじゃない?」


イミナ「だろ?」ドヤァ


マリ「じゃあ続きなんだけど…」


イミナ「もう少し達成感に浸らせろよ」

~ねこ悠水襲撃の3日後~


[ココナッツ・ベガ・チームハウス]


マリ(リョウコのカレーや、勝手に点くテレビ)


マリ(最近…なんだかおかしな事が続いているような気がする)


マリ(幸い、悠水が来てからは何事もないけど)


マリ(さて、部屋に入ろうか)ガタン!


マリ「…ん?」ガタンガタン!


マリ(私の部屋の扉が開かない…?)


マリ「…よっ」ガタン!


マリ(力を加えてみても変化なし…と)


マリ(鍵…はかかってないね)カチャカチャ


マリ(さて…どうしたもんかね)ガラララッ!


マリ「…おや?」

マリ「…開いた」


マリ(いや、開いたけどさ)


マリ(何で押し戸が引き戸になってんのさ?)


マリ「…」ガラララッ!


マリ(床と天井にレールまであるし)


マリ(何?わざわざ壁に穴まであけて引き戸に改造したの?)


マリ(意図が分からない)


マリ「…」ガラララッ!


マリ(病室の扉じゃないんだからさ)


マリ「…ふふっ」ガラララッ!

~現在~


マリ「…って事がさ」


イミナ「意味が分からないな」


マリ「もうさ、あまりにも意味不明過ぎて笑うよね」


イミナ「あー、わかるわその気持ち」


イミナ「理解が追いつかなくて笑うしかないって感じな」


マリ「ドアノブが付いた引き戸とか初めてみたね」


イミナ「すげぇシュールな光景だな」


イミナ「しかし手間のかかる事を…」


マリ「誰が何のためにやったんだか」


イミナ「あー…ホントになー…」フイッ


マリ「それでそれから3日後なんだけどさ」


イミナ「おう」

~引き戸になってから3日後~


[ココナッツ・ベガ・チームハウス]


マリ(やはり最近おかしな事が続いている…)


マリ(一体、誰が、何のために?)


マリ(今までの事を考えると、嫌がらせ…という感じでもないし、本当になんなんだろうね)


マリ(さて…部屋に戻ろうか…)ウィーン


マリ「…!?」ビクッ!


マリ(自動ドアになってる!?)


マリ「…ふっ」


マリ「ふふふふふ…」プルプル

~現在~


マリ「そこまでされると笑うよね」


イミナ「それはアタシでも笑うわ」


イミナ「っていうかマリが部屋に入る時にドア開ける音がしないと思ったらそんな事になってたのかよ」


マリ「そう、割と便利」


イミナ「後でティエラ先生とかに怒られねぇかなぁ…?」


マリ「…そうそう、先生といえばー…」


イミナ「いくら時間の流れが違うエテルノだからといって、いつまでも話し聞いてやれると思ったら大間違いだからな?」


イミナ「聞くけど」

~先週~


[エテルノ・プリズムルーム]


シュイーン


マリ「任務完了…っと」スタッ


ティエラ「あら、雪代さん、任務お疲れ様でした」


マリ「…どうも」


マリ「じゃあ、そういう事で…」スタスタ


ティエラ「あっ、ちょっとお話しが…」ツルッ


ティエラ「がっ!?」ゴンッ!


マリ「えっ?」


ティエラ「いたたた…」


マリ(今時バナナの皮でコケるとか)


マリ(というより、なんでプリズムルームにバナナの皮があるのさ)


マリ(マリオカートじゃないんだからさ)


ティエラ「…あぁ!」


マリ「…大丈夫?」


ティエラ「すみません…今のでぎっくり腰になってしまったようで…」


マリ「ふっ」


マリ「ふふふふふ…」プルプル

~現在~


マリ「漫画じゃないんだからさ」


イミナ「バナナの皮が落ちてる事なんて滅多にないからな」


イミナ(っていうか、今のはドッキリ関係なくね?)


マリ「いくらドジっ子キャラでもバナナの皮でコケてぎっくり腰起こすっていうのは無いと思うんだ」


マリ「だから…あれは演技でこの一連も先生が裏で手を引いてるんじゃないかと」


イミナ「軽い人間不信になってるな」


イミナ「あと先生のはリアルガチなドジだと思うぞ?」


マリ「…で、なんでこんな話をイミナにしてるかって言うとさ」


マリ「実は3日前に…」


イミナ「ようやくそこの説明すんのか」


イミナ「今更感凄いな」


イミナ「聞くけど」

~3日前~


[エテルノ・中庭]


マリ[…]


マリ(自分の部屋にいると何か起こるような気がする…)


マリ(まぁ元々…外に出歩く時間の方が多かったし、こうして外の風にあたるのも悪くないか)


マリ「…よっと」ストン


マリ(たまには…こうしてベンチに座ってゆっくりするのもいいね)


小織「…」トコトコ


小織「…!」


小織「…」タタタッ


マリ「…ん」


小織「…」


小織「…ねぇ…」


マリ「…小織じゃないか」


マリ「…私に何か用かい?」


小織「…うん…隣…座ってもいい…?」


マリ「お好きにどうぞ」


小織「…ありがとう…」ストン

マリ「…」


小織「…」


マリ「…」


小織「…」


マリ「…」


小織「…」


マリ「…」


小織「…あのね…?」 


マリ「…なんだい?」


小織「…小織…マリさんみたいな誰にも頼らない人になりたい…」


マリ「それは…おすすめしないね」


小織「…覚悟なら出来てる…から色々…教えて…?」


マリ「…少し考えさせてもらえるかな」


小織「…わかった…」


小織「…それから…これからマリさんの事…マリ姉って呼んでもいい…?」


マリ「…それも考えさせてもらえるなな」


小織「…わかった…」スクッ


小織「…じゃあ…答え…待ってるね…マリ姉…」


マリ「小織」


小織「…じゃあね…マリ姉…」タタタッ


マリ「小織」

~現在~


マリ「…って事があったんだけどさ」


マリ「私はどう答えればいいと思う…?」


イミナ「知るか」


イミナ「…と言いたいところだが、小織ちゃんの将来がかかってるからなぁ…」


イミナ「小織ちゃんがマリみたいになったら取り返しがつかないからな」


マリ「…そうだね」


イミナ「…あっ、マリが人としてどうこうじゃなくてな?」


イミナ「小織ちゃんも最近は色々な人と接するようになったし…」


イミナ「この調子なら、あからや陽奈のようになれるんじゃないかなって思ってさ」


マリ「…確かにその方が小織の為になるだろうね」


イミナ「問題は…それをどう伝えるかだな」


マリ「…小織は割と頑固だからね」

イミナ「他人と接する方が自立しやすくなるから、結果としては“他人に頼らない生き方が出来る”…って言っても納得しないだろうしなぁ…」


マリ「…まぁ、無理に他人とコミュニケーションを取る必要もないしね」


マリ「ほら…IQ(知能指数)の高い人間はEQ(感情知能)が低いっていうしさ」


イミナ「自分のIQが高いとでも言いたげだな」


イミナ「…っていうか、マリ姉呼ばわりしても良いかって聞かれた時に、動揺しすぎて噛んでるじゃねぇか」


イミナ「…それも考えさせてもらえるなな」キリッ


イミナ「ってさ」


マリ「…流石の私でも“マリ姉”という呼び方には動揺するさ」


マリ「マリネじゃないんだからさ」

イミナ「…で、どうするよ」


マリ「…やっぱり、小織には今の環境がいかに恵まれているかを分かってもらいたいんだよね」


イミナ「アタシ達と違って家族がそばにいる有り難みな」


マリ「…そういう事」


マリ「ただ…私だけだと説得出来ないと思うからさ」


マリ「イミナも一緒についてきてよ」


イミナ「なんでだよ」


イミナ「なんで高三が一人で中一を説得出来ないんだよ」


イミナ「行くけど」

~現在・同日~


[エテルノ・宿直室]


マリ「…」コンコン


ドア〈…どうぞ!


イミナ「急に邪魔して悪いな」ドアガチャ


あから「やぁ!居吹君に雪代君じゃないか!」


あから「またボク達に食べ物を恵んでくれるのかい?」


マリ「えっ」


イミナ「お前そんな事してんの?」


マリ「いや、してないけど…」


あから「ははっ、冗談さ」


イミナ「その恰好でそういう冗談言うのやめてくれよ」


イミナ「笑えないから」 
 

あから(村娘コス)「からかって悪かったね」


イミナ「コスとの親和性凄ぇな」


マリ「…で、何でそんな恰好してるのさ」


あから「これ部屋着なんだよ」


イミナ「もっとマシなコスがいくらでもあるだろうに」

マリ「…にゃんこTシャツとかジャージとかでもよくない?」


あから「このコスの方がなんかしっくりくるんだよね」


あから「有るべき姿というかさ」


イミナ「そういう悲しい事言うなよ…」


あから「冗談だよ、これ見た目より着心地がいいんだ」


あから「ところで君達は何の用だい?」


マリ「…ちょっと小織に話があってね」


イミナ「ああ、実はそうなんだよ」


あから「わかった、今呼んでくるよ」


あから「…おーい!小織ー!お友達がきてるぞー!」


イミナ「アタシら小学生じゃねえんだからさ」


マリ「…小織もね」

陽奈「なになに!?小織の友達っ!?」ダダダッ!


イミナ「別の降神が来ちゃったよ」


陽奈「…ってなーんだ、イっちゃんとマっちゃんじゃん」


イミナ「イっちゃんって」


マリ「マっちゃん…」


陽奈「小織ー?イっちゃんとマっちゃん来てるよー?」


イミナ「それで伝わんのかよ」


小織「…マリ姉…!」タタタッ!


イミナ「伝わんのかよ!」


マリ「小織、呼び方」

あから「じゃあ後は若い3人で話を…と」


イミナ「そっちの方が年下だろ」


あから「陽奈、少し外に…」


イミナ「いや、出来ればあからと陽奈も一緒に聞いて貰えるかな」


あから「どういう事かな?」


イミナ「ああ、実はな…」


[イミナ説明中…]


イミナ「…って何でアタシが説明してんだよ」


陽奈「小織がマっちゃんみたいになりたい、ねぇ」


陽奈「まぁ、マっちゃん小織の理想っぽいもんね」


マリ「マっちゃんはやめてくれないかな」


小織「…ひな姉…マリ姉…マっちゃん呼びはヤダって…」


マリ(陽奈を非難…)


マリ「…ふっ」


イミナ「どうした」

小織「…それで…答えは…?」


マリ「…ああ」


マリ「小織には…私が誰にも頼らず生きている様に見えるかもしれないけど…」


マリ「実際は…色々な人達の助けがあって辛うじて生きていけてるだけで…」


マリ「結局のところ…誰かに頼らず生きていく事は出来ないのさ」


小織「…」


マリ「…重要なのは頼るか頼らないじゃない」


マリ「“誰を頼るか”だよ」


マリ「…幸い、小織にはあからと陽奈という家族がそばにいるんだ」


マリ「私なんかに憧れるより、もっと家族を頼りなよ」


小織「…マリ姉…」


マリ「あとマリ姉はやめてくれないかな」


小織「…わかった」


マリ「そしてなにより…」

マリ「多分、私より小織の方が交友関係が広い」


イミナあから陽奈「あー…」


マリ「私から学ぶ事はないよ」


マリ「そういう事だから…納得してくれるかな?」


小織「…うん…」コクン


小織「…ありがとう…マリさん…」


マリ「…どういたしまして」


マリ「…じゃあ、そういう事だから…そろそろ失礼するよ」


イミナ「そうだな、後は家族で話し合った方がいいだろうしな」


あから「ああ!任せてくれ!」


陽奈「うんうん!私達お姉ちゃんだからね!」


マリ「…それじゃあ、またそのうち」


イミナ「んじゃ、またな」ドアガチャ


小織「…バイバイ…」


マリ「…バイバイ」ドアガチャ

あから「…まぁ、うちには根暗・がり勉・眼鏡の三重苦を乗り越えた陽奈がいるから大丈夫さ!」


陽奈「お姉!?」


小織「…ひな姉…色々教えて…?」


陽奈「もー!しょーがないなぁ!」


陽奈「じゃあ、小織も、ひなみたいなパリピに…」


あから「ギャルにはしなくていいからな」


陽奈「あっ、はい…」


陽奈「じ、じゃ、まずは髪型から…」


小織「それはいい」キッパリ


陽奈「あっ、さいですか…」


ドア〈コンコン


あから「あれっ、またお客様かな?」


陽奈「どぞー」


天音「お邪魔するわ」ドアガチャ


陽奈「おー!あっちゃーん!」


天音「誰があっちゃんよ」

天音「あたしゃオリエンタルラジオか」


陽奈「あっちゃんいつものやったげて!」


天音「OH!聞きたいかあたしの武勇伝!…じゃないわよ!」


陽奈「エテルノでも欠かさず美容ケア!」


天音「効果なくても高価な化粧品使っちゃう!」


陽奈天音「武勇伝!武勇伝!武勇伝伝伝伝!」


陽奈「あっちゃんカッコイいー!」


天音「何やらせんのよ!」


あから「いつも通りノリがいいね」


小織「…中堅の貫禄…」


天音「いつもいつもアンタらがネタ振ってくるからでしょうが!」


陽奈「それで今日は何の用?」


天音「…これ、うちのいつみから渡してこいって押しつけられたのよ」


天音「肉じゃが」ズイッ


あから陽奈小織「ははー」

~現在・同日~


[ココナッツ・ベカ・チームハウス]


イミナ「…って事があってよぉ」


アコ「あー!マリっちゴメンなのだ!」


アコ「アコっち、すっかりネタばらしするの忘れてたのだ!」


アコ「一連の事はエテかし用のドッキリで…」


マリ「…そういう事ね」


アコ「あっ、でも先生の件はノータッチなのだ」


イミナ「やっぱな」


リョウコ「カレーを食べて笑ったのは私のカレーだったからじゃないんだね…」ズーン


ハヅキ「そこまで気を落とさなくてもいいじゃないか」


リョウコ「…うう…料理に少し自信が出来たのに…」


マリ「…リョウコの料理も美味しいよ」


リョウコ「マ”リ”ざぁーん!」グスッ


イミナ「泣くなよ」


END

イミマリ(大嘘)


メインストーリー等ではシリアスな会話が殆どなイミナとマリですが、日常では割とどうでもいい話をしているんじゃないかなーと(セトウツミみたいな感じ)

マリも出会った頃から比べると随分笑うようになりましたね


マリに出会った三年前から考えるとまさか彼女が歌って踊る日が来るとは驚きです

私事ではありますが、SSの感想・リクエスト用にTwitterを始めました

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