キャンディアイランドのとにかく毒にも薬にもならないおしゃべり (19)


・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・概ねアニメ寄りの世界線ですが、その他のコンテンツの要素や独自の解釈を含むことがあります



-----事務所-----

ガチャ
杏「お疲れ様でしたー」

かな子「おつか……あ、あれ?」

智絵里「ま、まだ今日のお仕事終わってないよ、杏ちゃん……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1500382863

杏「えー……朝からずっとレッスンってだけでもきついのに」

杏「更にそこから撮影と取材だなんて、残機がいくつあっても足りないよ……」

かな子「ざんき……? よ、よく分からないけど、頑張ろう? ね?」

智絵里「大変だけど、でもプロデューサーさんが頑張って取ってきてくれたお仕事だし……」

智絵里「それにレッスンも、ステージを成功させるために必要なことだから。わ、私もいっぱい頑張るから、杏ちゃんも一緒に頑張ろうよっ」グッ

杏「ぐぬぬ……」

杏「……いや、ステージ成功させたいのは杏だって同じだよ?」

杏「それにしたってさ、あんなにレッスン厳しくすることないと思わない? せめてもうちょっと楽なレッスンをさぁ……」

かな子「例えば?」

杏「え? そうだなぁ……」ウーン

杏「……ラジオ体操とか?」

智絵里「それ、レッスンになるかな……?」

かな子「もう、夏休みの小学生じゃないんだから」

智絵里「懐かしいな、ラジオ体操」

智絵里「よく体操が終わった後、公園に残って四つ葉のクローバー探したっけ」

杏「ブレないなぁ」

かな子「私は……スタンプを集めるとお母さんがご褒美にお菓子を買ってくれて、それで頑張ってたなぁ」

杏「あんなの今思えば、休日に早起きしたうえに運動させられるって、ただただ酷い話だよねぇ」

智絵里「ほら、早起きは三文の徳って言うし……」

杏「いやいや、三文って、二束三文の三文だよ? はした金の代名詞みたいなもんじゃん」

杏「それだけのために苦労するなら、杏は昼までゆっくり寝るほうを選ぶね」

かな子「三文……モンブランが三つで、三モン、とかならいいのにね」

智絵里「あ、朝からケーキ三つは、ちょっと……」

かな子「え~? 美味しいから大丈夫だよ♪」

杏「いつも言ってるけど、かな子ちゃんのその美味しいものに対する全幅の信頼は何なのさ」

かな子「えぇと、だって美味しいものを食べると、みんな幸せな気分になるじゃない?」

杏「……それはまあ、うん」

かな子「自然と笑顔になっちゃったりして」

智絵里「なりますね」

かな子「だから、大丈夫なんだよ!」フンス

杏「……駄目だ、その解へ至る計算式が見えてこない……!」

智絵里「か、かな子ちゃんは、ほら……かな子ちゃんだから」

かな子「?」キョトン

杏「……まあ、いいや」

智絵里「でも、かな子ちゃんが美味しそうに食べてるところ、本当に幸せそうで素敵だと思うな」

杏「あー、それはわかる。あの笑顔見せるだけで、ファンが五人は増えるね」

かな子「そうかな? えへへ、面と向かって言われると照れちゃうよ」

杏「食べてる姿が魅力的……」フム

杏「……つまりは、ただ何か食べてるだけでこれ以上ないアピールになり、ひいては仕事として成立する……!?」ガーン

杏「かな子ちゃんずるい!!」

かな子「えええっ!?」

智絵里「い、いきなりだね、杏ちゃん……」

杏「杏も、ただゴロゴロするだけで成立する仕事とか、そういうのがいいなぁ」

智絵里「えぇと……あっ、新商品のお布団の、モニター役とか?」

杏「そうそう! そういうのだよ!」

かな子「うーん……あっ、おむすびころりんの、おむすび役とか!」

杏「……それ、ゴロゴロするの意味違くない?」

智絵里「で、でも、もしかしたらそういう舞台のお仕事がくる可能性も……?」

杏「いや、舞台というか学芸会レベルだから」

杏「……ま、転がって穴に落ちるだけの出番なら、確かにラクそうだけどさ」

かな子「奈落がある舞台でやらなきゃダメだね」

智絵里「それじゃあ、私がネズミさんの役をやろうかな……?」

杏「おっ、それいいじゃん」

智絵里「こほん。……ちゅ、ちゅう!」

智絵里「……こ、こんな感じかな?」

かな子「わぁ! 可愛いよ智絵里ちゃん! よっ、名演技!」

杏「なんというか智絵里ちゃん、小動物やたら似合うよね」

智絵里「あ、あはは……よく言われます」テレテレ

かな子「あっ。じゃあ、私がおむすびを落とすおじいさん?」

智絵里「……かな子ちゃんだと……おむすび、落とさないで綺麗に食べきっちゃいそう……」

杏「むしろ、おむすびが大きすぎて穴に入らなさそう」

智絵里「そもそも、おむすびよりも、バウムクーヘンとか持ってるほうが想像しやすいかも……?」

杏「それはそれで、おむすびより転がりやすそうだし、いいんじゃない?」

かな子「ちょ、ちょっと! どんどんお話の内容が変わっちゃってるよ!?」

杏「むかしむかし、三村かな子ちゃんという、大変お菓子作りが上手な女の子がいました」

かな子「な、なんか始まっちゃった」

杏「ある日、かな子ちゃんは大きなバウムクーヘンを持って山に出掛けました」

智絵里「そこで出会ったネズミさん達にも、分けてあげました」

杏「かな子ちゃんとネズミさん達は、美味しいバウムクーヘンをお腹いっぱい食べて、幸せになりましたとさ」

杏・智絵里「めでたし、めでたし」

かな子「ええっ!? も、もう終わりなの? ……短すぎない?」

智絵里「でも、ハッピーエンドですし」

杏「そうそう。美味しいから大丈夫、でしょ?」

かな子「うーん……まぁ、みんなが幸せなら、いいよねっ」

杏「平和な世界だなぁ」

智絵里「……なんだか、こんなお話してたら、私もバウムクーヘンが食べたくなってきちゃった」

かな子「あはは、私も」

かな子「でも、今日はマシュマロしか持ってきてないから、また今度持ってくるね!」

杏「あ、杏マシュマロ食べたい」

かな子「はい、どうぞどうぞ」

杏「ありがと」モキュモキュ

杏「智絵里ちゃんも食べる? ほいっ」ポーイ

智絵里「わわっ!?」パク

杏「おぉ、ナイスキャッチ」

かな子「もう、お仕事ならともかく、そんな風にお菓子で遊んじゃ駄目だよ、杏ちゃん」

智絵里「び、びっふりひまひた……」モキュモキュ

智絵里「……ナイスキャッチといえば、マッスルキャッスルの時のかな子ちゃんも凄かったよね」

かな子「あれは、智絵里ちゃんが上手にマシュマロを飛ばしてくれたおかげだよ」

杏「いやいや。倒れ込みながらキャッチするなんて、超スーパープレイだって」


ガチャ
友紀「なになに!? 野球の話!?」


智絵里「わわっ!?」

かな子「ゆ、友紀さん……? お疲れさま、です……」

友紀「……ありゃ? もしかして、カン違いだった……?」

杏「いや、だってよく見てよ。どう見ても野球に縁があるようなメンバーじゃないでしょ?」

友紀「そっかー。てっきり、昨日のキャッツの試合の話だと思ったよー」

友紀「ツーアウト満塁、一打逆転の大ピンチで、キャッツのセンターが難しい当たりを見事ダイビングキャッチ! いやー、あれはしびれたなぁ……!」

智絵里「そ、そうなんですか……」

かな子「野球にもアイドルユニットみたいに、センターの人がいるんですね」

杏「外野の真ん中の人だね」

友紀「おっ!? さてはかな子ちゃん、野球に興味持っちゃった!?」グイグイ

かな子「えぇっ、と、その、そういうわけでは……」

杏「お、押しが強い……テンション高い時のきらりみたいだ」

智絵里「な、なんというか……パッション、って感じだね」

かな子「あっ。でも野球といえばひとつだけ、前から気になってたことがあって」

友紀「なになになに!? 何でも聞いちゃって!」

かな子「ピッチャーの人が、たまに小麦粉みたいなのを持ってるの、どうしてなんだろうって……」

友紀「こむぎ……? あ、そういうこと!」

友紀「アハハ、あれは小麦粉じゃないよ。ロージンバッグっていって、滑り止め用の粉なんだ。汗でピッチャーの手元が狂わないようにするためのね」

かな子「なるほど~。そうだったんですねっ」

杏「そりゃあ、グラウンドに小麦粉置いててもどうしようもないし」

智絵里「かな子ちゃんちのキッチンなら、たくさん小麦粉がありそうだけど……」

杏「むしろ庭で栽培してたりして」

友紀「マジで!? 凄いねかな子ちゃん!」

かな子「そ、そんなことしてませんっ!」

杏「ちなみに、智絵里ちゃんちはビニールハウスでクローバーを育ててるよ」

かな子「そうなの!?」

智絵里「ち、違いますよっ!?」

友紀「アハハハ! やるじゃん杏ちゃん! 見事なボケのダブルプレーだね!」

杏「ふっふっふ、それほどでもあるかな」

友紀「いやー、同じバラエティ班として、あたし達も負けてられないなぁ」

智絵里「そんなっ、友紀さんたちの方がもっと凄いですし……」

かな子「幸子ちゃんや紗枝ちゃんとも、ばっちり息が合ってるって感じだもんね!」

友紀「えへへ、やっぱりそう見えちゃう?」

杏「一人だけ結構歳離れてるのに、違和感無いよね」

友紀「うーん、あたしがコドモっぽいからかなー? それでいて、あの二人がその分しっかりしてるからさ。バランスがとれてるんだよ、きっと」

智絵里「バランス、ですか……」

かな子「私たちも、友紀さんたちみたいになれるかな……?」

友紀「だいじょーぶ、なれるなれる! 三人のチームワークなら、きっと最強のクリーンナップが組めるよ!」

智絵里「よ、よく分からないけど……が、頑張りますっ!」グッ

かな子「可愛くて面白い、そんなアイドルになれるように!」

杏「もうバラエティ路線は揺るがないんだね……。まぁ、仕方ないか」

智絵里「よぉし、明日からもレッスン、頑張ろうね」

杏「……二人がやる気出してるぶん、杏がだらけてたらバランス取れるかな?」

友紀「特訓なら、いくらでも付き合うよ! ダンスでもランニングでも、シートノックでも!」

かな子「さ、最後のはたぶん、アイドルに関係ないよね……?」

智絵里「まだラジオ体操のほうが現実的、かな……?」

友紀「えー? 体力も根性も付くし、アリだと思うけどなぁ」




ガチャ
卯月「お疲れさ……」

友紀「ノック百連続とか、思い切ってやってみようよ!」

卯月「えっ」



卯月「……?」コンコンコンコンコンコンコンコン

かな子「わっ、卯月ちゃん!? どうしたの、そんなに扉を叩いて?」



おわり


以上、お付き合いありがとうございました。
小学校の頃実際におむすび役をやった経験が、ここで活きるとは思わなんだ

前回
キャンディアイランドの不思議と毒にも薬にもならないおしゃべり

も、よろしければどうぞ。

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