ゼルエル「メイド服か……ふむ」 (45)


-ガヴリールの実家-


ゼルエル「……そう言えば、ハニエル」

ハニエル「なに? ゼルお姉ちゃん」

ゼルエル「この前ガヴリールの着ていた服、あれは何という服なのか知っているか?」

ハニエル「えっと、この前……?」

ゼルエル「ガヴリールを更生させる為に、あいつを連れ帰ったときに着ていた服だ」

ハニエル「うーん……あ! もしかして、メイド服のこと?」

ゼルエル「メイド服?」

ハニエル「白と黒の、フリフリしたお洋服のことでしょ?」

ゼルエル「ああ、うん。それだ。……なるほど、あれはメイド服と言うのか」

ハニエル「可愛かったよねー、ガヴお姉ちゃんのメイド服! ネコ耳も似合っててー……」

ゼルエル「しかし、変じゃないか?」

ハニエル「え?」



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ゼルエル「メイド服と言うからには、あれは給仕や清掃を行う女性の為の服なのだろう」

ゼルエル「だがそれにしては、少し装飾が華美すぎると言うか……」

ハニエル「あー、違うよゼルお姉ちゃん」

ゼルエル「違う? 何がだ」

ハニエル「あれはそう言うメイド服じゃなくて、『可愛いメイド服』なの」

ゼルエル「可愛い……?」

ハニエル「そう。あれは、着て楽しむ為のメイド服なんだよ」

ゼルエル「つまり、メイドの服ではない……と?」

ハニエル「いや、メイドの服ではあるんだけど……」

ゼルエル「?」

ハニエル「……そう、コスプレ! あれはメイドのコスプレなの!」

ゼルエル「コスプレ?」


ハニエル「他の人の服を着てなりきることだよ」

ゼルエル「なりきる……なるほど」

ハニエル「……もしかしてゼルお姉ちゃん、メイド服に興味あるの?」

ゼルエル「ん? いや、そう言う訳ではないぞ。ただ少し気になっただけだ」

ハニエル「そうなんだ」

ゼルエル「しかし、ハニエルは物知りだな」ナデナデ

ハニエル「えへへー。学校で下界のことをいっぱい勉強したんだー」

ゼルエル「そうか。偉いぞ」ナデナデ

ハニエル「♪」

ゼルエル「……」ナデナデ



ゼルエル(メイド服か……ふむ)



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-ゼルエルの部屋-


ゼルエル「……」ジーッ



ガヴのメイド服「……」ヒラヒラ



ゼルエル「……」



ゼルエル(以前ガヴリールから没収したこのメイド服)

ゼルエル(少しサイズが小さいが、これを着れば私も……?)



ゼルエル「……」



ゼルエル(いや、いくら没収したとはいえ、他人の服を勝手に着るのは良くないだろう)

ゼルエル(だからこうして、身体の前に重ねてみるだけで……)



ゼルエル「……」ピラッ



ゼルエル(……それと、被り物も)



ゼルエル「……」スッ


ゼルエル「……!」


ゼルエル「これは……」



ゼルエル(似合っているとは言い難い……しかし、今までにない自分を見ているようで……)



ゼルエル「……」チラッ


ゼルエル「……」



ゼルエル(……1回だけ、1回着るだけなら……)



ゼルエル「……」パサッ


ゼルエル「……」シュルル…


ゼルエル「……」ヌギヌギ



ゼルエル(まずは着物を脱いで、次にこのメイド服を……)



ゼルエル「……」



ゼルエル(……どうやって着ればいいんだ?)





ガチャッ





ハニエル「ゼルおね……」

ゼルエル「神足通ッッッ!!!」パァァ

ハニエル「えっ?」





ゼルエル「ふーっ……ふーっ……」

ハニエル「ゼ、ゼルお姉ちゃん……?」

ゼルエル(あ、危なかった……! あと一歩神足通が遅れていたら確実に見られていた!)



ゼルエル「どうしたんだハニエル。何か用か?」ニコッ

ハニエル「えっと、学校の宿題で分からない所があるから聞きたくて……」

ゼルエル「そうか、宿題か。ハニエルは勉強熱心で偉いな」

ハニエル「うん……あの、ゼルお姉ちゃん、今なんで神足通を……」

ゼルエル「何となく」

ハニエル「え?」



ゼルエル「何となく、神足通を使いたくなったんだ」

ハニエル「何となく……?」

ゼルエル「特に理由はないが、何となく神足通をしてみたい。そういう時って、ハニエルにもあるだろう?」

ハニエル「ううん。ない」フルフル

ゼルエル「そうか。私にはあるんだよ、それが」

ハニエル「そうなんだ……」



ゼルエル「……さ、宿題をやるんだろう? ここでは少し狭いから、下のリビングで教えてあげよう」

ハニエル「ありがとう、ゼルお姉ちゃん。……でもその前に」

ゼルエル「なんだ?」

ハニエル「服、着よう?」

ゼルエル「……あ」カァァ



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-数日後-


ハニエル「それじゃあゼルお姉ちゃん、いってきます!」

ゼルエル「いってらっしゃい、ハニエル」



ガチャッ



バタン



ゼルエル「……」



ゼルエル(今日は、ハニエルは友人の誕生日会へ行って、夕方まで帰ってこない)

ゼルエル(お父さんもお母さんも、仕事で夜まで帰ってこない)

ゼルエル(……いける!)




ガサガサ…



ゼルエル「……」スッ



メイド服「……」ヒラヒラ



ゼルエル「……」



ゼルエル(私の為に用意した特注のメイド服。柔らかな白いフリルに、小さな黒いリボンがアクセントの素晴らしい一品だ)


ゼルエル(やはり、ガヴリールのものを勝手に着るのは良くないからな……それに、これならサイズの心配もない)


ゼルエル(そしてもちろん、メイド服の着方もちゃんと調べてある。抜かりはない)



ゼルエル「……」



ゼルエル(ではさっそく)



ゼルエル「……」パサッ


ゼルエル「……」シュルル…


ゼルエル「……」ヌギヌギ


ゼルエル「……」スッ



ゼルエル(えーっと、確かここを開けて……)












ゼルエル「……」キュッ



ゼルエル(よし、着れたぞ。やり方が分かっていれば大したことはないな)



ゼルエル「!」



ゼルエル(おっと、忘れる所だった)



ゼルエル「……」スッ



ゼルエル(白いフリルのブリム。これもちゃんと身に付けなくてはな)



ゼルエル「……」スチャッ



ゼルエル(姿見は……あそこだな)



ゼルエル「……」スタスタ



ゼルエル(さて、どんな感じだろうか……)



ゼルエル「……」チラッ


ゼルエル「……!」



ゼルエル(おお……!)



ゼルエル「……」クルクル


ゼルエル「……」フワッ



ゼルエル(素晴らしい……見違えるようだ。これがメイド服……!)



ゼルエル「……♪」ヒラヒラ



ゼルエル(スカートを長めにして正解だったな。これなら私にも十分似合う)

ゼルエル(正直、こんな可愛らしい服には縁がないと思っていたが……こういうのも存外、悪くはないな)



ゼルエル「……」クルクル


ゼルエル「……」フワッ


ゼルエル「♪」



ゼルエル(それにこの、身体を回したときにスカートが軽く持ち上がる感覚……)

ゼルエル(これが中々に楽しい)



ゼルエル「ふふふ……♪」クルクルフワフワ



ゼルエル(ああ、心が軽くなったようだ……)

ゼルエル(もう少し、このままで……)





ガチャッ





ハニエル「ただい……」

ゼルエル「神足通ァァッッッ!!!!」パァァ

ハニエル「うぇっ!?」ビクッ





ゼルエル「ハァーッ……ハァーッ……!」

ハニエル「ど、どうしたの? ゼルお姉ちゃん……」

ゼルエル(あ、危なかった! 完全に油断していた! あと一瞬でも反応が遅れていたら最悪の事態になっていた……!!)



ゼルエル「ハ、ハニエルこそどうしたんだ。まさか、もう誕生日会が終わったのか?」

ハニエル「ううん。そうじゃなくて、私のプレゼントを部屋に置き忘れちゃってて……」

ゼルエル「そうか、忘れ物か……」

ハニエル「うん……それで、ゼルお姉ちゃん、今なんで神足通を……」

ゼルエル「うっかり」

ハニエル「え?」



ゼルエル「うっかり、神足通を使ってしまったんだ」

ハニエル「うっかり……?」

ゼルエル「くしゃみをした拍子に、うっかり神足通をしてしまった。そういう経験って、ハニエルにもあるだろう?」

ハニエル「ううん。ない」フルフル

ゼルエル「そうか。私にはあるんだよ、それが」

ハニエル「そうなんだ……」



ゼルエル「……さ、友人を待たせているんだろう? 忘れ物を取って、早く戻った方が良いんじゃないか?」

ハニエル「うん……それとゼルお姉ちゃん」

ゼルエル「ん? 何だ?」

ハニエル「風邪ひいちゃうから、早く服を着た方が良いよ」

ゼルエル「……そ、そうだな」カァァ



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-更に数日後-


ゼルエル「ハニエル、忘れ物はないか?」

ハニエル「うん、大丈夫だよ! いってきます、ゼルお姉ちゃん!」

ゼルエル「いってらっしゃい、ハニエル」



ガチャッ



バタン



ゼルエル「……」



ゼルエル(今日は創立記念日で大学は休み。ハニエルは学校。お父さんとお母さんはもちろん仕事)

ゼルエル(そして、今日のハニエルは忘れ物をしていない。これは千里眼で何度も確認した)

ゼルエル(……いける! 今度こそ!)




ガサガサ…



ゼルエル「……」スッ



メイド服「……」ヒラヒラ



ゼルエル「……」



ゼルエル(今日着るのは前回よりもスカートの丈が短いメイド服。聞けば、下界の『メイド喫茶』の制服として使われている物だとか)


ゼルエル(背中に大きな白いリボンがあしらってある、可愛らしい一品。素足がかなり見える為、黒のニーハイも履く予定だ)


ゼルエル(少々派手で、私に似合うか不安ではあるが……物は試しだ。着てみるとしよう)



ゼルエル「……」パサッ












ゼルエル「……」スチャッ



ゼルエル(うむ。2回目ともなれば、小慣れたものだな)

ゼルエル(しかし……)



ゼルエル「……」ヒラヒラ



ゼルエル(この丈の短さ、やはり少し落ち着かないな。普段、これほど素足を出す事がないからか)

ゼルエル(これはこれで可愛らしくはあるが……やはり、私は丈の長いメイド服の方が好みかもしれないな)



ゼルエル「……」クルクル



ゼルエル(そういえば、下界のメイド喫茶では、これを着た従業員が言う決まり文句があったな)

ゼルエル(確か……『お帰りなさいませ、ご主人様』だったか)

ゼルエル(せっかくだ。これも試してみよう)



ゼルエル「んっん……」





ゼルエル「お帰りなさいませ、ご主人様」キリッ





ゼルエル「……」



ゼルエル(いや、違うな。これは違う)

ゼルエル(これではメイドと言うより、執事か秘書のようだ)

ゼルエル(そうではなく、以前私が聞いたのはもっとこう、可愛いらしい声で……)



ゼルエル「……」



ゼルエル「……お」





ゼルエル「お帰りなさいませ、ご主人様♪(裏声)」ニコッ





ゼルエル「……」



ゼルエル「……」ボッ



ゼルエル(な、なんだこれは! とてつもなく恥ずかしいぞ……!)



ゼルエル「……」カァァ



ゼルエル(い、いやしかし、先程よりはメイド喫茶のそれに近付いているはず)

ゼルエル(だが未だ少しぎこちなさが残る。何がいけないのか……)

ゼルエル(……そうだな、変に恥じらいを持って中途半端にやるのは良くない。もっと恥を捨て、思い切りやればきっと……)



ゼルエル「……」



ゼルエル「……」スゥッ





ゼルエル「お帰りなさいませっ♪ ご主人さ……」





ガヴ「何してんの姉さん」

ゼルエル「ま〝ッ……!?」ピシッ






ガヴ「……」

ゼルエル「なっ……ガ、ガヴ……リール?」

ガヴ「うん」



ゼルエル「な、何故、ここに……下界に居るはずでは……」

ガヴ「あー、えっと、ヴィーネたちと話してたら、みんなの昔の写真を見せ合おうって流れになってさ」

ガヴ「それで、私の昔のアルバムとかを取りに」

ゼルエル「ア、アルバム……?」

ガヴ「そーそー。……で」



ガヴ「ゼルエル姉さん、メイド服なんて着て何してたの?」

ゼルエル「……」


ガヴ「もしかして、ゼルエル姉さんもコスプレに興味があるとか……」

ゼルエル「……」

ガヴ「姉さん?」



ゼルエル「……主よ」

ガヴ「え?」





ゼルエル「愚かな私をお許しください……」スッ

ガヴ「わーー!! 待て待て待て!!! ラッパはやめろーーー!!!」





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-数分後-


ガヴ「……つまり」

ゼルエル「……」

ガヴ「私のメイド服が羨ましくなって、自分でも着たくなったと」

ゼルエル「はい」

ガヴ「それで一度着てみたら思いの外楽しくて、ついついテンションが上がってしまったと」

ゼルエル「はい」

ガヴ「で、私に見つかったと」

ゼルエル「……はい」

ガヴ「……」

ゼルエル「……」カァァ



ガヴ「……いや、まあ、気持ちは分かるよ?」

ゼルエル「……」

ガヴ「可愛いコスプレをしたいって気持ちも分かるし、それがバレて恥ずかしいって言うのも分かる」

ゼルエル「……」

ガヴ「けどさ」



ガヴ「流石にラッパはないでしょ。ラッパは」

ゼルエル「申し訳ない……」シュン




ガヴ「恥ずかしさのあまり世界滅ぼすとか、そんなアホなこと私でもやらないよ?」←やりかけた天使

ゼルエル「いや、本当に……先程の私は気が動転していたようだ。すまない」

ガヴ「まったく……」

ゼルエル「……」



ガヴ「それで」

ゼルエル「え?」

ガヴ「さっきゼルエル姉さんがやってたやつ、あれ、メイド喫茶のマネ?」

ゼルエル「えっ、いや、あれはその……なんと言うか……!」カァァ

ガヴ「違うの?」

ゼルエル「……いや、違……わないが」

ガヴ「やっぱり」

ゼルエル「……」



ゼルエル「……幻滅しただろう?」

ガヴ「え?」

ゼルエル「実の姉が、メイドのコスプレをして、メイドの真似事をするのが好きな天使だったなんて……」

ガヴ「……」

ゼルエル「神の腕だなんだと持て囃されておきながら、この体たらく……まったく、これではガヴリールを叱る事など出来んな。ははは……」

ガヴ「……」

ゼルエル「……本当に、ダメな姉だな。私は」

ガヴ「姉さん……」

ゼルエル「……」

ガヴ「……」



ガヴ「良いんじゃない」

ゼルエル「え?」



ガヴ「似合ってると思うよ。メイド服」

ゼルエル「な、何を……」

ガヴ「正直、ゼルエル姉さんがそういう服を着るのは少し意外だったけど」


ガヴ「でも……うん。良いと思うよ。リボンとかカチューシャとか、結構似合ってて可愛いし」

ゼルエル「お、お世辞はやめてくれ。これが私に似合っていない事くらい、自分でも分かって……」

ガヴ「お世辞じゃないって。……大体、幻滅なんて言ったら私なんてどうなるんだよ」

ゼルエル「……」

ガヴ「元天使学校主席が、今や半引きこもりだよ? 幻滅どころの話じゃないって」

ゼルエル「……それはそうだな」ゴゴゴ…

ガヴ「うっ……」



ガヴ「と、とにかく! 私は姉さんがコスプレしたくらいで幻滅したりしないから!」アセアセ

ゼルエル「……」

ガヴ「むしろそう言うゼルエル姉さんの方が自然体で、私は好きというか……」

ゼルエル「本当か?」

ガヴ「え?」



ゼルエル「……」ジッ

ガヴ「えっと……」





ガヴ「……うん。私は今の姉さんの方が……」

ゼルエル「本当に私は可愛いか?」

ガヴ「ん!? そっち!?」



ゼルエル「どうなんだガヴリール」ズイッ

ガヴ「い、いや、その……」

ゼルエル「可愛いのか?」ズズイッ

ガヴ「う、うん。可愛いよ。姉さんってほら、美人だし……」

ゼルエル「……そうか」

ガヴ「だーもー! 近いって! 離れろ!」グイッ

ゼルエル「あ、ああ。すまん」



ゼルエル「……」

ガヴ「ったく、何なんだよもう……」

ゼルエル「……」

ガヴ「なんでそんなに必死に……」

ゼルエル「……い」

ガヴ「え?」



ゼルエル「可愛い……私が……そうか……ふふふ……」ブツブツ

ガヴ「……」

ゼルエル「……♪」

ガヴ「……」

ガヴ(これは、もしかして……)



ガヴ「ゼルエル姉さん」

ゼルエル「な、なんだ? ガヴリール」ビクッ

ガヴ「メイドの振る舞い方、教えてあげようか?」

ゼルエル「え?」

ガヴ「やりたいんでしょ? そういうの」

ゼルエル「……い、いいのか?」

ガヴ「もちろん」

ゼルエル「し、しかし、こんなコスプレのためにガヴリールの手を煩わせる訳には……」

ガヴ「もー、だから言ったでしょ。私はコスプレがどうとか、そう言うことは気にしないって」


ガヴ「それに、姉さんが困っているなら、私は力になってあげたいんだ」

ゼルエル「ガヴリール……」

ガヴ「だって、ゼルエル姉さんは私の……」ギュッ

ゼルエル「!」





ガヴ「たった1人の、大切なお姉ちゃんだから……!」キラキラ

ゼルエル「ガヴリール……!」ジーン





ガヴ(クックック……こうやってゼルエル姉さんをコスプレにハマらせて、しかも恩を売っておけば当分は私に甘くなるはず!)


ガヴ(所詮は世間知らずの天使……ちょろいもんだね!)



ゼルエル「本当にありがとうガヴリール……何とお礼を言ったらいいか」

ガヴ「いいのいいの。私とゼルエルお姉ちゃんの仲じゃない」

ゼルエル「こんなに姉思いの妹を持てて、私は幸せ者だな……」

ガヴ「もう、お姉ちゃんったら」クスッ



ガヴ(そして駄目押しの萌え萌え妹モードも発動!)

ガヴ(さあ、メイド色に染まるがいい……ゼルエル姉さん!)



ガヴ「……それじゃあ、早速教えていくね」

ゼルエル「ああ、頼む!」

ガヴ「いくよ! 天真流メイド術その1……『おもてなしの心』!」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-ヴィーネ宅-


ガヴ「……ってな感じで、ゼルエル姉さんに私の萌え萌えメイド術を色々教えてあげたんだ」

ヴィーネ「いや、何教えてんのよあんた」



ガヴ「仕方ないだろ。私の駄天を認めさせるには、こうするしかなかったんだよ」

ヴィーネ「それ、ガヴが元に戻れば済む話なんじゃ……」

ガヴ「やだ。絶対に嫌だ」

ヴィーネ「はぁ……まあいいけど」



ヴィーネ「……それで、ゼルエルさんは前より優しくなったの?」

ガヴ「ああ、うん……確かに、前よりは駄天を大目に見てくれるようにはなったんだけど……」

ヴィーネ「けど?」





ガヴ『ただいまー』ガチャッ



メイドゼルエル『お帰りなさいませ、ガヴリール♪』ニコッ

メイドハニエル『お帰りなさいませ、ガヴお姉ちゃん♪』ニコッ



ガヴ『……お、おう』





ガヴ「完全に吹っ切れた姉さんが、家でずっとメイドのコスプレをするようになったんだ……しかもハニエルまで巻き込んで」ズーン

ヴィーネ「良いじゃない。可愛らしくて」



ガヴ「良いわけあるか! 実の姉がずっとメイドコスしてるんだぞ! 色々と精神的にキツいわ!」

ヴィーネ「でも、ゼルエルさんのメイド服、似合ってるんでしょ?」

ガヴ「いや、まあ、似合ってはいるんだけど……」

ヴィーネ「ゼルエルさん美人だものね。羨ましいなー」

ガヴ「だからって四六時中メイド服はないだろ……」

ヴィーネ「そうなるように仕向けたのはガヴでしょ。自業自得じゃない」

ガヴ「いや、確かにハメようとしたのは私だけどさ、まさかここまでハマるとは思わなかったんだよ……」ズーン

ヴィーネ「贅沢な悩みねー」



ガヴ「……というかヴィーネ、驚かないんだな」

ヴィーネ「え、なにが?」


ガヴ「ゼルエル姉さんがコスプレしてるって話」

ヴィーネ「……あー」

ガヴ「だって、神の腕で堅物なあの姉さんだぞ? もっと驚くと思ってたんだけど……」

ヴィーネ「えーっと……確かに今日初めて聞いたならびっくりしたと思うけど……」

ガヴ「……へ?」

ヴィーネ「私はその話、先に知ってたから……」

ガヴ「いやいやいや、ちょっと待って」

ヴィーネ「なに?」



ガヴ「なんで知ってるの?」

ヴィーネ「え?」


ガヴ「私ヴィーネにこの話したの初めてだよね?」

ヴィーネ「うん。初めてだけど……」

ガヴ「なのにゼルエル姉さんのことは先に知ってたの?」

ヴィーネ「う、うん」

ガヴ「え、なんで? どういうこと?」

ヴィーネ「あー、えっとね、実は……」




ヴィーネ「ゼルエルさんのメイド服を用意してあげたの、私なのよ」

ガヴ「え?」




ヴィーネ「……」

ガヴ「……」




ガヴ「……え、マジで?」

ヴィーネ「マジよ」


-おしまい-

最近変態なゼルエル姉さんしか見ないから、たまには可愛いゼルエル姉さんも見たいなーって思って書きました。

HTML化依頼出してきます。

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