喪黒「なるほど...歌手になりたいのですか。」ジャイアン「ああ。」 (19)

喪黒「私の名は喪黒福造、人呼んで笑ゥせぇるすまん」

喪黒「ただのセールスマンじゃございません」

喪黒「私の取り扱う品物はココロ……人間の心でございます」


喪黒「この世は老いも若きも男も女も心の寂しい人ばかり」

喪黒「そんな皆さんの心のスキマをお埋めいたします」

喪黒「いいえ、お金は一銭もいただきません」

喪黒「お客様が満足されたら……それが何よりの報酬でございます」

喪黒「さて、今日のお客様は……」


≪剛田 武(11) 小学生≫



オーッホッホッホッホッホ……

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ー空き地ー


ジャイアン「ボエェエエエエエエェエエェエェエェエ!!!!」


のび太「う、うええ...」


スネ夫「毎回だけどなかなか辛いね...」


ジャイアン「ふう...どうだった!?俺の新曲は?」


のび太「あ、ああ!もちろん最高の曲だったよ!!」


スネ夫「き、君は音楽界のスターになる男だ!!」


ジャイアン「だろ?今度も聞いてくれよな!!」

ー帰宅中ー


ジャイアン「今日も全力で歌えて気持ちが良かったなぁ~。だがのび太とスネ夫は俺の曲をあんまりいいとは思ってねえみたいだな。」


ジャイアン「クソっ!!なんで俺様のセンスと美声が理解できねえんだ...よッッ!!!」


???「痛っ!!」


ジャイアン「あ!すみません!!わざとじゃないんです!!」


???「いえいえ、小学生なら仕方のないことです。ところで何やら怒っていたようですが...」


ジャイアン「あ、ああ...それはな...って何だアンタいきなり。」


喪黒「ホーホッホッホ...これは失敬。私はこういうものです。」


ジャイアン「喪黒福造...ココロのスキマお埋めします...?」


ジャイアン「いや、俺のお小遣いで何か買うことはできないしいらねえよ。」


喪黒「いえいえ、お代は結構です。あなたに満足していただけるのなら。さあ、話してごらんなさい。」


ジャイアン「...実は。」

喪黒「なるほど...自分の歌が他人に理解されないのですか。」


ジャイアン「ああ!あいつら感想を聞くたびおべっかばっかり使いやがって!きっと内心じゃ散々に言ってやがるんだ!」


ジャイアン「歌唱コンテストも出禁になるしな!本当にムカつくぜ!」


喪黒「ホーホッホッホ...その悩み、私なら解決できるかもしれません。剛田さん...いえ、ジャイアンさん。あなたの歌のCDを頂けますか?」


ジャイアン「ああ、いいぜ!これから売ろうと思ってたんだ。」


喪黒「ジャイアンさん、あなたには他人がいいと思っても自分がいいと思えない曲がありませんか?あなたの歌を理解する人を探してライブを開きましょう。」


ジャイアン「え、いいのか?そこまでしてもらって...」


喪黒「ええ、私があなたの歌を好きな人を世界中から探して連れてきます。そして私が指定する場所で、好きなだけライブを開くといいでしょう。お世辞ではなく本当にあなたの歌を愛する人からの賛辞は気持ちがいいものでしょうねえ。」


ジャイアン「よし!わかった。俺様の美声で世界を変えてやるぜ!」


喪黒「ただし!一つだけ守っていただきたいことがあります。ライブ会場以外の場所でいくら歌っていただいても構いません...が、ライブ会場にあなたの知り合いなどを誘ってはいけません。それを守って頂けますか?」


ジャイアン「ああ、いいぜ!!俺の歌を理解しないあいつらなんかきてもらっても迷惑だ!」

ー数日後ー


ジャイアン「あ、喪黒さん。」


喪黒「ホーッホッホッホ...それでは来て頂けますか?なに、そう時間はかかりません。すぐに着きますよ。」


ジャイアン「ああ、分かった。本当に1万人ぐらいくるのか?


喪黒「ええ、『あなたの歌』を好きな人は『いくらでも』いますからねぇ....」


ジャイアン「?」

ーライブ会場ー


ジャイアン「こ、ここが...いつの間にこんな場所。」


喪黒「さあ、ここで思う存分に歌うといいでしょう。ステージ衣装なら大丈夫。控え室にきっとおいてあるはずですよ。」


ジャイアン「よーし、いくぜー!」




ワーワーキャーキャー



ジャイアン「こ、これが全部...俺の歌のファン...?」


ファンクラブ「L・O・V・E タケシー!キャー!!」


ジャイアン「...あー、オホン...みんなああああああああああ!盛り上がってるかあああああああぁぁぁあっぁ!!!!」


観客「イエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!」


ジャイアン「今日は俺の新曲三連発!!とくと聞いて言ってくれええええ!!」


キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!タケシイイイイイイイイイイ!!!

馬鹿なジャイアンだから約束破りそうだな……

ー数時間後ー


喪黒「大満足のようですなぁ。」


ジャイアン「ああ、ここまで俺の歌を聞いて笑顔になってくれる人なんかいなかった。ありがとな喪黒さん!」


喪黒「ホーッホッホッホ....これからはこの場所で好きなだけ歌うといいでしょう。ただし約束は守ってくださいね......」


ジャイアン「ああ、そんなことわかってるよ。」

ー数週間後ー


ジャイアン(どうしてだ...こんなに俺の歌を聞いて喜んでくれる人がいるのにちっとも嬉しくねえ...)


のび太「ねえ、ジャイアン。どうしたの?最近全然野球もリサイタルもしないじゃないか。」


スネ夫「それはそれでありがt...いや!とても残念だなぁアハハアハハハハ。」


ジャイアン(そうだ...今の俺ならこいつらをも喜ばせる歌ができるはずだ!。)



喪黒『絶対に知り合いの方を呼んではいけませんよ...。場所も教えてはなりません。』



ジャイアン(一回ぐらいいいだろ。)


ジャイアン「よし、お前ら!今日は俺様のライブを聴きにこい!場所は....」

ーライブ会場に向かう道ー

ジャイアン「よーし、今日はあいつらをギャフンと言わせるほどの俺の美声を...」


喪黒「困りますねえ、ジャイアン...いえ、剛田さん....」


ジャイアン「も、喪黒さん!!あ、いや...今のはその...」


喪黒「私は場所も教えてはならないと何度も忠告したはずです。...約束を破りましたね。」


ジャイアン「ヒイ!!や、やめろ!!」


喪黒「ドーーーーーーーン!!!!!」

ー数日後ー

ジャイアン「あの後気絶したけどなんともないな...さて、今話題の曲を聞いて参考にするか。」


流行りの曲「ボエエエエエエエエエエエエ!!!!」


ジャイアン「ウギャアアアアアアアアアアア!な、なんだこの曲は!!」


ジャイ子「あ、お兄ちゃんその曲のCDかしてー、ファンなのよ。」


ジャイアン「え!?こんな曲のファンなのか!!?」


ジャイ子「な、なによこんな曲って!!」


ジャイアン「まさか他のグループの曲も....」


「ボエエエエエエエエエエエエ」「ボエエエエエエエエエエエエ」「ボエエエエエエエエエエエエ」


ジャイアン「嘘だあああああああ!!!!」

喪黒「ホーッホッホッホ...自分が変わろうとせずに周りに受け入れることを望んだ彼は、正真正銘世界を変えて...いえ変わった世界に行ってしまったようですねえ。」


喪黒「音楽の美醜の概念が真逆の世界に....」


喪黒「ホーッホッホッホッホッホッホッホ......」



解説は必要ですか?

ジャイアンよく読めたな喪黒の名前、ふり仮名ついてたっけ?

要するにもしもボックスオチか
喪黒が闇のドラえもんに思えてきた

いつも思うんだけど、なんでみんな約束破ったらどうなるのか事前に確認しないんだろうね
この程度ならマシな方だけど…

>>16
条件によっては普通に死ぬしな

楽に[ピーーー]るならまだいい。生き地獄も結構ある

たまにハッピーエンドもある

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