星梨花「16センチ、つまさきだち」【ミリマス】 (33)

『星梨花は可愛いわね』

頭をなでられました

『星梨花はイイコね』

また、なでられました

こういうことは昔からよくあります

大人の人はいつもわたしが笑うだけで誉めてくれて、頭をなでてくれます

わたしは誉められるようなことをしてないのに って思いますけど、なでられるのは大好きです

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だけど…… なんででしょう…… 誉められて頭をなでられても嬉しくない時があります

それは……

「星梨花は本当に偉いわ、未来とは大違い」

「もー! 静香ちゃんまた星梨花ばっかり誉めるの~!」

「だって星梨花は未来と違ってイイコなんだから、ね?」

静香さんはまたわたしの頭をなでてくれました

前はとっても嬉しかったのに、今は……

静香さんはとってもスラッとしていて、見た目も大人っぽくて、とてもわたしのひとつ年上とは思えません

わたしがひとつ歳をとっても、きっと静香さんみたいにはなれないと思います

ステージで歌う静香さんはとっても堂々としていて、わたしが本番前に緊張していたら『大丈夫、星梨花なら出来るわ』って励ましてくれます

静香さんの言葉はとっても凄くて、わたしの心臓が緊張で潰れそうになっても静香さんが居てくれるだけでもう大丈夫、その上なでてくれたなら100万パワー! でした

わたしはひとりっこだから、静香さんみたいなお姉さんが欲しいって言ったことがあります

そうしたら静香さんは『私も星梨花みたいな妹が欲しいわ』って言ってくれました

その時も静香さんは頭をなでてくれて、とっても嬉しかったのを覚えています

だけど、今そのことを思い出すと何故か胸がきゅんってしちゃいます……

わたしは静香さんの辛そうなところを見たことがありません

静香さんはとても頑張っていて、わたしはそのことを知っています

だからそんな静香さんを少しでも元気付けてあげたくてわたしは静香さんに近寄ります、すると

静香さんはすぐにいつもの静香さんに戻って『どうしたの? 星梨花』って……

…… ズルいです

静香さんはずっとわたしを励ましてくれるのに、わたしには何もさせてくれないんです……

ズルい、そうズルいんです

静香さんはわたしに無いものを沢山持っています

可愛いだけじゃなくて、綺麗でかっこよくて歌が上手くて大人らしくて、背も高くて

わたしがどれだけ頑張ったって手に入れられないものを沢山たくさん、いっぱい持っています……

静香さんはいつだってわたしを見下ろすだけ、わたしと目線を合わせて話してくれません

わたしがいくら背伸びしたって静香さんと同じ景色を見ることは出来なくて

わたしは子どもで静香さんは大人、たった1年生まれるのが早かっただけなのにどうして……?

決めました、わたし大人になります

静香さんにいつまでも頼っているからわたしは子どものままで、静香さんはわたしを子ども扱いするんです

大人になって静香さんにまっすぐ見てもらうんです

妹みたいじゃなくて…… えっと……

うん……? 静香さんにどう扱ってもらいたいのかな……?

うーん…… でもまずは妹とか子どもとかそういう扱いをされないようになりましょう

「うん…… んんっ……」

プロデューサーさんが忙しそうにお仕事をしていたからお手伝いをしています

このファイルを棚に戻してって言われたけど…… 高くて届かない……

わたしがめいいっぱい背伸びしていると不意に手からファイルの感触が消えて

「ここに戻したらいいの?」

後ろから来た静香さんがファイルを戻してしまいました……

「っ……」

わたし…… ひとりで頑張ろうとしていたのに……

拗ねちゃダメです…… 静香さんは困っているわたしを見て助けてくれたんです、ここで素直にお礼を言えないのは子どもなんです……

「…… ありがとうございますっ」

「?」

わたしはプロデューサーさんに報告をするために急いでその場を去りました

「桃子はひとりで大丈夫って言ってるでしょ!」

「ダメだよ! プロデューサーさんが『ふたりで協力して』って言ってたでしょ!」

「もう! お兄ちゃんだけじゃなくて育まで子ども扱いして!」

「桃子ちゃんはまだ小学生でしょ? 子どもだよ!」

「育より1歳年上だもん!」

…… あっちで育ちゃんと桃子ちゃんが喧嘩しています、仲直りさせないと!

「ふ、ふたりとも落ち着いてー!」

「何星梨花、関係無いでしょ!」

「そうだよ! 悪いのはプロデューサーさんの言い付けを守らない桃子ちゃんなんだから!」

うぅ…… ダメでした……

わたしが子どもだからふたりを仲直りさせられないんでしょうか? こういう時どうしたら……

「どうしたの?」

「静香さん…… 大変なんです、ふたりが喧嘩してて」

「何が原因なの?」

「それは……」

あれ…… そう言えば…… ふたりはどうして喧嘩しているんでしょう?

「どうしたの、ふたりとも」

「静香さん……」

「聞いてよ! 桃子ちゃんがね!」

「ゆっくり聞くから、落ち着いて話してみて?」


その後、静香さんはあっさりとふたりを仲直りさせちゃいました

うぅ…… わたしが子どもだから育ちゃんも桃子ちゃんも話を聞いてくれなかったんでしょうか……

ダメです…… わたしが頑張ろうとしても静香さんに助けてもらってばっかり……

「うぅ……」

なんだか悲しくなってきました、頑張っても空回りしてばかり…… どうして……

「星梨花、どうしたの?」

「あっ…… 静香さん……」

いつもみたいに静香さんに甘えそうになって、わたしは踏み止まりました

甘えちゃダメなんです、しっかりした大人にならないと

「な、なんでもないです……」

「本当に?」

「だ、大丈夫ですから……」

本当は大丈夫じゃありません、どうしたらいいかわからなくて今すぐ静香さんに慰めて、励まして欲しいです…… けど……

「そう…… でも困ったことがあったらすぐに言ってね? 私に出来ることならいくらでも協力してあげるから」

「……」

「どうして静香さんはそんなに優しいんですか?」

「なんでって……」

静香さんは少しだけ考えるような素振りを見せて

「星梨花が可愛いから、かな」

にっこり笑ってわたしの頭に手を乗せ……

「やめてください!」

「え…… ?」

「わたしは…… っ」

言いかけて、やめました

大声を出して恥ずかしくて、子どもみたいに拗ねてるのが情けなくて、静香さんを困らせたのが悲しくて

わたしは今怒っているのか、悲しんでいるのか、わたし自身にも全くわかりません

困惑している静香さんの顔、うつむいているわたしには見えませんが見上げなくてもわかります

「ご、ごめんなさい!」

わたしは下を向いたまま、静香さんに背を向けその場を離れました 静香さんが引き止める隙を作らないように素早く 素早く

 * * *


「…… で、星梨花に何があったと思う? 未来は何か知ってる?」

「う~ん…… 星梨花が静香ちゃんにそんな態度とるなんて信じられないなぁ~」

「私も…… 星梨花があんなに怒るなんて…… 私何かしちゃったのかしら……」

「星梨花が怒るとこなんてわたし見たこと無いかも~ 星梨花ってさ、いっつもニコニコしてて、天使さんみたいって思ってたよ~」

「そうよね……」

「……」

「ねぇ志保」

「何」

「志保は何で星梨花が怒ったかわかる?」

「…… 何で私に聞くわけ」

「貴女はもう答えにたどり着いてそうだから」

「えっ! 志保は星梨花が何で怒ったかわかるの!?」

「わかるわけ無いでしょ、そんなこと」

「本当に?」

「……」

「静香は星梨花のことどう思ってるの」

「えっ…… 星梨花のこと……?」

「あぁ、別に答えなくていいわ だいたい察しはつくし」

「何が言いたいの?」

「別に、星梨花だって怒ることはあるでしょ あの子は天使じゃない、貴女と同じただの人間なんだから」

「どうして星梨花が怒ったか、自分の胸に聞いてみたら? それでわからないようなら静香はまだまだ子どもね」

「子どもって……! 志保だって私と同い年でしょ! ……あ」

「そうね、その通りよ」

「あれ? 志保行っちゃうの?」

「そろそろ星梨花が謝りに来る頃でしょ? 私たちはどこか行きましょう」

「星梨花が私に謝りに?」

「ほんと、近くに居るのに星梨花のこと何も知らないのね、あの子はたとえ相手が100%悪くたって謝りに来るわよ それじゃあ後は御勝手に」

「あ~ 待って待って志保~」

「…… ねぇ志保」

「今度アドバイスしてくれるならもっとわかりやすくお願い」

「…… 考えておくわ」

「え? 志保今アドバイスしてたの!?」

「さぁ」

 * * *


「うぅ……」

わたしはドアの前で立ち尽くしています

この先に静香さんは居ます、さっきのこと謝らなきゃって思っています けど……

『謝る』とは何を謝るのでしょうか

そもそもわたし自身どうしてさっき大声を出してしまったのかよくわからないんです

何が悪いのかわからないのに謝っていいのかな……

と、悩んでいると目の前のドアがいきなり開いて

「いたっ」

ぶつかっちゃいました……

「あっ、星梨花…… ごめんなさい」

「だ、大丈夫星梨花!?」

「はい……」

ドアから出てきたのは志保さんと未来さん

志保さんは転んじゃったわたしに手を伸ばすと、しゃがんでわたしの顔を見ながら優しく話し始めました

「静香ならこの先に居るわ、静香に言いたいことがあるんでしょう?」

「は、はい……」

「静香は…… 人のことを見てるけど鈍感で無神経なところがあるから、思うことがあるならちゃんと言った方がいいわよ」

穏やかな表情で目線を合わせて話してくれる志保さんはやっぱりとっても大人で、お母さんみたいでした

志保さんは穏やかで気配りが出来て、それに…… む、胸が大きい…… です

今の志保さんの少し屈んだ体勢だと志保さんの胸がとっても強調されていて、思わず自分のそれと見比べてしまいます

1年後わたしもあんな風に…… ならないんだろうなぁ……

「静香はきっと星梨花が何をしたって許すだろうし、少しは未来の無遠慮なとこを見習ってもいいんじゃない? 少しだけ、だけど」

「む、ちょっと! それわたしが『ぶえんりょ』みたいじゃん!」

「誉めてるのよ」

「あ、『ぶえんりょ』って褒め言葉だったんだ~ でへへ~」

「…… 呆れた」

「あ、あの……」

「ふたりとも、ありがとうございます!」

「あ、静香ちゃんに謝るの わたしも手伝お

「余計なことしないの」

「え~ しほぉ~……」

改めて、部屋の中に入るとそこには

「静香さん!」

「せ、星梨花…… ほ、ほんとに来た……」

いざ静香さんとふたりきりになると緊張します…… えと、まずは静香さんに謝らないと……

「静香さん、さっきはごめんな

「ちょっと待って!」

「へ?」

「謝る前に……」

「星梨花、貴女のこと子ども扱いしてごめんなさい」

静香さんは綺麗に、深々とわたしへ頭を下げました

「あっ、えっ……」

いきなりの事態にわたしは戸惑って、何も言葉が出てきません

「志保に言われて気付いたの、私星梨花のことをいつも子ども扱いしてたことに」

「私は普段子ども扱いされると怒るのに、自分がそれをするなんてね」

「ち、違うんです! わたしほんとに子どもで、大人な静香さんと自分を比べて、それで」

「ふふっ、私だって星梨花より少し早く生まれただけ、星梨花と同じ子どもよ」

「そんなことないです! 静香さんはかっこよくて、弱音も吐かなくて、みんなの悩みも解決して、それに背も高くて……」

「…… ねぇ、星梨花『大人』ってどういうものかわかる?」

静香さんは少し屈んで、先生が生徒に問題を出すように優しくわたしに問いかけました

「えっと……」

「星梨花の思うように、かっこよくて弱音を吐かなくてみんなの悩みを解決して、背が高くなったなら大人なのかしら?」

「うぅん……」

難しいです…… わたしがそれを出来るようになったら大人なんでしょうか…… ?

「多分…… これが出来たら大人、なんて明確な条件は無いんだと思うわ」

「私みたいにならなくていい、星梨花は星梨花の目指す大人になればいいのよ」

「これから星梨花は沢山のものを見て、沢山の人に会って、そこから勉強していけばいい」

「私も同じよ、一緒にどういう大人になりたいか考えていきましょう?」

「はいっ!」

後日


最近、わたしは少し不満があります

あんまり不満を言うと子どもっぽいので我慢してましたが……

「うぅ……」

「ど、どうしたの星梨花…… ?」

「最近の静香さん、わたしのことあんまり誉めてくれないし、頭も撫でてくれません!」

「えぇっ!?」



おわり

読んでくれた人ありがとうございます。

しずせりいい関係ですな
乙です

>>1
箱崎星梨花(13) Vo/An
http://i.imgur.com/8rCAWmV.jpg
http://i.imgur.com/XSFZWDn.jpg

>>2
春日未来(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/aQyOApp.jpg
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最上静香(14) Vo/Fa
http://i.imgur.com/Ptu8skG.jpg
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>>8
周防桃子(11) Vi/Fa
http://i.imgur.com/UST4RPI.jpg
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中谷育(10) Vi/Pr
http://i.imgur.com/44kLkdJ.jpg
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>>14
北沢志保(14) Vi/Fa
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