【ガヴドロ】ヴィーネ「幸せの気持ち」ガヴ「幸せの約束」 (48)

アニメ版をベースにした話になってます

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ガチャ


ガヴ「zzz……」

ヴィーネ「はぁ、やっぱり寝てる……。こらっ、起きなさいガヴリール!」

ガヴ「ふぁっ!? なんだよ、こんな時間に……って、ヴィーネ!?」

ヴィーネ「何でこんな時間まで寝てるのかしら? 待ち合わせの時間、とっくに過ぎてるんですけど?」

ガヴ「え? まだ全然そんな時間じゃないでしょ……げっ!?」(余裕で過ぎてる!?)

ガヴ「いや、違うんだよ、これはさ。部屋の掃除に夢中になってて……ね?」

ヴィーネ「じゃあ、何でパソコンの前で寝てたのよ?」

ガヴ「パ、パソコンを綺麗にしてたら寝落ちしちゃって……」

ヴィーネ「その割にはお菓子が散らばってて汚いわね」

ガヴ「うっ……!」

ヴィーネ「またずっとネトゲしてたんでしょ?」

ガヴ「ま、まぁ……」

ヴィーネ「……もういいわ。ほら、早く着替えてきて」

ガヴ「え? う、うん……」

ガヴ「ふぁ~…。んじゃ、行こうか」

ヴィーネ「ん? ちょっと待って」クンクン

ガヴ「え、なに? どうかした?」

ヴィーネ「凄く臭うんだけど……」

ガヴ「あー、そう言えば、しばらく風呂入ってなかったっけ?」

ヴィーネ「もう! こんな日位ちゃんと入ってよ! シャワー浴びてきて!」

ガヴ「え~、やだよ、面倒臭い。ただ遊びに行くだけじゃん」

ヴィーネ「いいから! その間、部屋掃除しといてあげるから!」

ガヴ「ちぇー。まぁ、部屋綺麗にしといてくれるなら良いけどさ」

ヴィーネ「何であんたが上から目線なのよ…」



ヴィーネ「はぁ~、まったく……部屋もちょっと見てないと、すぐ汚くなるんだから」

ヴィーネ(ただ遊びに行くだけ……か。まぁ、覚えてるわけないか。初めて会った日の事も忘れてた位だし……)

ヴィーネ「あっ、これ宿題のプリント! こっちは進路の……もう、こういうのはちゃんと机にまとめなさいよ……」

ヴィーネ「ん? これって、あの時の……?」

― 去年4月 ―


モブA「君、可愛いね!」

聖ガヴ「はい?」

モブB「暇なら俺達と遊ぼうよ!」

聖ガヴ「えっ? あの、私は……」

モブA「ひょっとして、誰かと待ち合わせ?」

聖ガヴ「は、はい、友人と……」

モブB「じゃあ、その友達と一緒に遊ぼうよ!」

聖ガヴ「えっ、で、ですが……」

モブA「俺達がいるとまずいの? そんなぁ」

聖ガヴ「あっ! いえっ、そういうわけではっ……」

モブB「じゃ、決まりだね! そこの喫茶店で待とうよ、あそこなら中からここが見えるしさ」グイッ

聖ガヴ「え!? そ、そんなっ、待って……!」



ヴィーネ「ちょっと」

モブB「ん?」

聖ガヴ「あっ、ヴィーネさんっ!」

モブA「えっ、この子が友達!? あっ、俺達、この子と一緒に遊ぼうって話しててさ、君の事待ってたんだよ」

ヴィーネ「ごめんなさい。私達、今日は大切な用事がありますから。さっ、行きましょ」グイッ スタスタスタ

聖ガヴ「あっ、ヴィーネさん!?」

ヴィーネ「ここまで来れば、もう良いわね」

聖ガヴ「すみません、私のせいで……」

ヴィーネ「謝らなきゃいけないのは私の方よ。ごめんね、私がもっと早く来てれば……」

聖ガヴ「いえ、そんなっ。私が早く来過ぎただけですからっ」

ヴィーネ「ガヴは優しいわね。でも、ああいう時は、はっきり断らないと」

聖ガヴ「そうですよね……。でも、お断りして傷つけてしまったら、申し訳ないと思って……」

ヴィーネ「そうなんだ。私、傷ついちゃったなぁ」

聖ガヴ「えっ!?」

ヴィーネ「だって、今日ガヴと遊ぶの楽しみだったのよ? それなのにガヴは見ず知らずの人達と一緒でも良いなんて凄くショック……」

聖ガヴ「えぇ!? ちっ、違うんですっ! そんなつもりではなくてっ! 私も今日のお買い物が楽しみでっ……!」


ヴィーネ「なーんてね♪ 冗談、冗談!」

聖ガヴ「ヴィーネさん!? もう! 冗談は止めて下さい!」

ヴィーネ「あははっ、ごめんごめんっ」

聖ガヴ「全く誠意が感じられない謝罪ですね」ニコッ

ヴィーネ「ご、ごめんなさい」

聖ガヴ「はい♪」

ヴィーネ「ねぇ、次からはガヴの家まで迎えに行って良い?」

聖ガヴ「え、どうしてですか? それではヴィーネさんに迷惑がかかってしまいます」

ヴィーネ「そんな事ないわよ。ただ、さっきみたいな事がまたあったらいけないから……」

聖ガヴ「だっ、大丈夫ですよ。今度は、はっきりとお断りしますから」

ヴィーネ「でも、傷つけたくなかったから、断れなかったんじゃ?」

聖ガヴ「ちゃんと納得して頂ける理由を説明すれば大丈夫ですっ」

ヴィーネ「断る理由ってどんなの?」

聖ガヴ「そうですね。さっきの場合ですと……こっ、これからデートですから……でしょうか?」

ヴィーネ「えっ……」カァァァ

聖ガヴ「あっ、ち、違うんですよっ。あくまで納得して貰う為の理由で、今日デートのつもりというわけでは!」

ヴィーネ「あっ、そ、そうよねっ。大丈夫っ、わかってるからっ!」


聖ガヴ「///」

ヴィーネ「///」


ヴィーネ「じゃ、じゃあ、そろそろ行こっか?」

聖ガヴ「そ、そうですねっ。行きましょう、百貨店へ」

― 百貨店 ―


ヴィーネ「凄い人の数ね。逸れない様にしないと……って、あれ? ガヴ?」


聖ガヴ「ヴィ、ヴィーネさん! 私はここです~!!」

ヴィーネ「わーっ! ガヴが人混みにっ!!」



ヴィーネ「大丈夫、ガヴ?」

聖ガヴ「ありがとうございます。すみません、着いた途端にあんな事になってしまって……」

ヴィーネ「何言ってるの、ガヴは悪くないでしょ?」

聖ガヴ「いいえ! 私の体がもっとガッチリして背も高かったら、こんな事にはなりませんでした! 本当にすみません、ヴィーネさん!」

ヴィーネ「ガヴ!!」

聖ガヴ「は、はい!」

ヴィーネ「あなたは今のままで良いのよ?」ニッコリ

聖ガヴ「はい?」

ヴィーネ「じゃあ、まずは文房具の売り場に行こっか」

聖ガヴ「はい、文房具は5階ですね。エスカレーターで行ってみましょう」

ヴィーネ「ガヴ、今度は手を繋いでいきましょ」

聖ガヴ「は、はい。よろしくお願いします……///」

ヴィーネ「う、うん(何だか私まで恥ずかしくなってきた///)」


聖ガヴ「これがエスカレーターですか……」

ヴィーネ「思ったより早く動くのね……。じゃ、じゃあ、1,2,3でいくわよ!」

聖ガヴ「あっ、まっ、待って下さい! まだ心の準備が!」

ヴィーネ「えっ!? で、でも後ろで待ってる人達が!」

聖ガヴ「あっ……」

モブ「…………」

聖ガヴィーネ『す、すみませ~ん!!』ダッ

聖ガヴ「ああ、なんという事でしょう……。人々を幸せに導いていく天使の私が、その人々の障害となってしまうなんて……!」

ヴィーネ「今までいた世界と違うんだから、戸惑うのも無理ないわよ。元気だして、ガヴ」

聖ガヴ「ですが、ヴィーネさんは大丈夫でしたよね?」

ヴィーネ「そんな事ないわ。実は私も緊張して怖かったんだから」

聖ガヴ「そ、そうだったんですか?」

ヴィーネ「ええ。あのまま無理して行ったら、怪我をしてたかもしれない。そんな事になったら、もっと周りに迷惑がかかっていたと思うわ」

聖ガヴ「あっ……」

ヴィーネ「ありがとう、ガヴ。あれ位で済んだのは、あなたのおかげよ」

聖ガヴ「ヴィーネさん……良かった。私は天使としての務めを果たせていたのですね。ありがとうございますっ。次はしっかり乗れる様になりますっ!」

ヴィーネ「何かお腹空いちゃったわね。先にお昼食べに行かない?」

ガヴ「そうですね、えっと、食事なら8階ですね!」

ヴィーネ「8階ならエレベーターの方が早そうね」


聖ガヴ「た、沢山人が入ってきましたね」

ヴィーネ「ええ、端の方に行きましょ……きゃっ!?」

聖ガヴ「だ、大丈夫ですか!?」

ヴィーネ(な、何これ……沢山人が押し込んできて体勢が……ガヴまで押し潰されない様にしないと……!)

聖ガヴ「あ、あの、ヴィーネさん、本当に大丈夫ですか?」

ヴィーネ「大丈夫よ、すぐに着くわ。それに途中の階で降りる人もいるだろうし……うぅっ!?」

ヴィーネ(ちょっ!? さっきより人が入ってきたじゃない!)

聖ガヴ「ヴィーネさん、私に体を預けて下さい」

ヴィーネ「だ、駄目よ。それじゃあ、ガヴまで……」

聖ガヴ「私は平気です。このままではヴィーネさんの体が……」

ヴィーネ「ガヴ……ありがとう。じゃあ、少しだけ……むぎゅっ!?」

聖ガヴ「きゃあっ!?」

ヴィーネ(更に人が入ってきて抱き合う形になってしまった……)

聖ガヴ「……っ」

ヴィーネ「だ、大丈夫?」

聖ガヴ「わ、私は平気です」

ヴィーネ(髪がふわふわで気持ち良くて良い匂い……この小さな体でいつも一生懸命なガヴ……このまま抱きしめてずっと守ってあげたいな)ギュゥ

聖ガヴ「ヴィーネさんっ!?」

ヴィーネ「あっ、ごっ、ごめん! 痛かったよね!?」

聖ガヴ「い、いえ、平気です……」

ヴィーネ(もう! 何考えてるのよ私は! 早く着いて!)


聖ガヴ「……あっ、着きましたね。8階です」

ヴィーネ「え? ああ、うん。じゃあ、出ましょうか……」

ヴィーネ「ガヴ、大丈夫だった?」

聖ガヴ「……」

ヴィーネ「ガヴ?」

聖ガヴ「あっ! すみません! 私、ボーッとしてしまって!」

ヴィーネ「え! それ大丈夫なの!? さっきのエレベーターで気分が悪くなったとか!?」

聖ガヴ「あっ、い、いえっ! ただヴィーネさんの匂いが……」

ヴィーネ「へっ? 私の匂い? ご、ごめんねっ。昨日ちゃんとお風呂に入ったんだけど……」

聖ガヴ「そ、そんな事ありませんっ。むしろ、とても良い匂いで抱きしめて貰ってる間も凄く温かくてっ……あっ……」カァァァ

ヴィーネ「ガ、ガヴ……」

聖ガヴ「あ、あのっ、あのっ、もうお腹ペコペコになりましたね! 早く行きましょう!///」タタッ



ヴィーネ(もしかして、私と同じ気持ちだった……?)カァァァ

ヴィーネ「どこも高そうなお店ね……」

聖ガヴ「私、何だか場違いな気がしてきました……」

聖ガヴ「あっ、地下にも食べる所があるみたいです。こちらに行ってみませんか?」

ヴィーネ「そうね!」

聖ガヴ「また押し潰されない様に今度は階段で降りましょう」

ヴィーネ「えっ、そ、そうね。またあんな風になったら大変よねっ」

聖ガヴ「あの、エレベーターの方が良かったですか? 私はエレベーターでも構いませんが……」カァァァ

ヴィーネ「そ、そう? じゃあ、エレベーターにしよっか? 8階から降りて行くのも疲れそうだし……」

聖ガヴ「そ、それもそうですね。では……」

ヴィーネ(これでガヴともう一度さっきみたいに……)ドキドキ


 
ピンポーン シュゥゥゥ


聖ガヴ「……今度は空いてましたね」

ヴィーネ「……うん」

― 百貨店周辺のベンチ ―


ヴィーネ「ふぅ、やっと外に出れた。地下も凄い人の数だったわね。今回は逸れなくて良かったわ」

聖ガヴ「……」

ヴィーネ「地下のお店は、持ち帰り出来るのが良かったわよねっ。今日は気持ち良い天気だから、外で食べる方が美味しいわよ♪」

聖ガヴ「……」

ヴィーネ「だ、大丈夫? やっぱりどこか痛む?」

聖ガヴ「私は、いけない天使です……」

ヴィーネ「え?」

聖ガヴ「もはや天使と言うのも烏滸がましいです……」

ヴィーネ「え? え? ちょっと、一体どうしたのっ!?」

聖ガヴ「多くの人に踏まれて、ぶつかられて、押されて……あろうことか、私はラッパを吹きたくなってしまったんです!」ニュッ

ヴィーネ「突然ラッパが!?」

聖ガヴ「これは世界の終末を告げるラッパなんです……。私は、こんな恐ろしい事を一瞬考えてしまったんですぅっ!」

聖ガヴ「うぅ……。もう天界の方々に合わす顔がありません……」

ヴィーネ「ガヴ……。大丈夫、あなたは悪くないわ」

聖ガヴ「で、ですが、私、こんな酷い事を!」

ヴィーネ「考えただけでしょ? それも一瞬の事じゃない」

聖ガヴ「それはそうですけど、こんな考えを抱いてしまった時点で天使として失格です……」

ヴィーネ「今までと違う環境で暮らし始めて、今までにない経験をしてるのよ? 色んな考えが出るのは当り前よ」

ヴィーネ「ガヴは、今回考えた事が悪い事だって思ったから止めたんでしょ? なら、何も悪くないじゃない」

聖ガヴ「それは……」

ヴィーネ「天使風に言うと、これは神が与えた一つの試練で、ガヴは見事それを乗り越えた。そういう風に考えられないかな?」

聖ガヴ「か、神様の試練……!」

ヴィーネ「あっ、ごめん。何か偉そうな事を言っちゃって……」

聖ガヴ「いえ、ヴィーネさんの言葉で心がスーッと軽くなりました。ありがとうございます!」

ヴィーネ「でも、ガヴがそういう事考えてたのは意外だったな」

聖ガヴ「やっぱり幻滅しましたか!?」

ヴィーネ「うぅん、そうじゃなくて、ガヴもイラッて来る事があるんだなぁって。意外な一面が見れて可愛いって思っちゃった」

聖ガヴ「かっ!?///」

ヴィーネ「え!? あっ、い、いや、そういう意味じゃなくて……」カァァァ

聖ガヴ「そ、そういう意味って何ですか?」

ヴィーネ「そ、それは……」


ぐ~っ


ヴィーネ「……ぷっ」

聖ガヴ「……クスッ」

ヴィーネ「そろそろ食べよっか?」

聖ガヴ「はいっ」

聖ガヴ「はむっ、んっ……あつっ!」

ヴィーネ「大丈夫!? ほら、お水飲んで」

聖ガヴ「すっ、すみません! んっ……ふぅ、助かりました。ありがとうございます」

ヴィーネ「良かった。まだ結構熱いわね。ふーっ、ふーっ、はい、あーん」

聖ガヴ「えっ!? あ、あの、私は別に……」

ヴィーネ「ん? もうそんな熱くないから大丈夫よ。はい、あーん」

聖ガヴ「あ、あーん……」

ヴィーネ「おいしい?」

聖ガヴ「は、はい……」

ヴィーネ「あっ、ふふ、口にソース付いてる。ちょっと待ってね。はい♪」フキフキ

聖ガヴ「んっ……」

ヴィーネ「はい、綺麗になったわ。ん? ガヴ?」

聖ガヴ「///」

ヴィーネ「あっ、嫌だった!? ごめんなさい! 私ったら、つい……」

聖ガヴ「いえ、そんな事は……。自分で食べるより、お美味しく感じられて……」

聖ガヴ「ヴィーネさんは優しく口も拭いてくれて……と、とても気持ち良かったですっ」カァァァ

ヴィーネ「そう、良かった。じゃあ、次も食べさせてあげるわね」

聖ガヴ「はい、んっ……」

ヴィーネ(!! キスを待ってる様に見えるのは気のせい、気のせい……!)

ヴィーネ「ふーーっ、ふーーっ……は、はい、あーん。(き、緊張する……!)」

聖ガヴ「んっ、はむっ…………ふふっ、こんなに美味しく感じるのは、きっとヴィーネさんに食べさせて貰ってるからですね」 

ヴィーネ「そ、そんな事ないわよ。ここのタコ焼きが美味しいからよ、きっと」

聖ガヴ「ヴィーネさん、口にソース付いてませんか?」

ヴィーネ「う、うん。ちょっと待ってね、今拭いてあげるから」フキフキ

聖ガヴ「んんっ……ありがとうございます。自分で拭くより、拭いて貰った方が気持ち良いのは何故でしょうか?」

ヴィーネ「さ、さぁ……?」

聖ガヴ「きっとヴィーネさんに拭いて貰ったからですね♪」

ヴィーネ「えぇ!?」

聖ガヴ「最初に私を揶揄った仕返しです♪」

ヴィーネ「なっ、まだ怒ってたのっ? ちゃんと謝ったのに~」

聖ガヴ「勿論、冗談ですよ♪ ふふふっ♪」テヘペロ

ヴィーネ(ガヴって、こんな風に笑ったりもするんだ……)キュンッ

ヴィーネ「ふぅ、美味しかったわね。私もタコ焼き作りたくなっちゃった」

聖ガヴ「えっ、家でも出来るんですかっ?」

ヴィーネ「うん、お店で使ってた物より小さい奴だけどね」

聖ガヴ「私も出来るようになりたいですっ!」

ヴィーネ「じゃあ、今度一緒にやりましょ♪」

聖ガヴ「はいっ!」


???「……」


聖ガヴ(今の方は……)


ヴィーネ「ガヴ? どうかした?」

聖ガヴ「いえ、何でもありません。あの、そろそろ百貨店に戻りませんか?」

ヴィーネ「あっ、いけない! あんまりのんびりしてたら、日が暮れちゃうわね!」

百貨店 5階


聖ガヴ「ヴィーネさん、何を見ているんですか?」

ヴィーネ「あ、うん、これ可愛いなぁって思って」

聖ガヴ「わぁ、熊さんのぬいぐるみ! 可愛らしいですねっ」

ヴィーネ「うん、欲しいんだけど、値段がちょっとねぇ……」

聖ガヴ「では、私がヴィーネさんにプレゼントしますっ」

ヴィーネ「えっ、そんなのガヴに悪いわ」

聖ガヴ「今日、私はヴィーネさんに色々と迷惑をかけてしまいました。でも、ヴィーネさんはそんな私に優しくしてくれて……」

聖ガブ「ですから、何かお礼がしたいんですっ!」

ヴィーネ「ガヴ……わかったわ。じゃあ、こっちの方を買って貰おうかな」

聖ガヴ「小さいぬいぐるみの方で良いんですか?」

ヴィーネ「うん、私は小さい方が好きだから」

聖ガヴ「わかりました。では、こちらをプレゼントしますね」

ヴィーネ「ありがとう、ガヴ。大切にするわね♪ そうだっ。ねぇ、ガヴは何か欲しい物ない?」

聖ガヴ「えっ、どうしてですか?」

ヴィーネ「私も何かガヴにプレゼントしたくなっちゃって」

聖ガヴ「そんな悪いですよっ。迷惑をかけてしまった上に、プレゼントなんてそんな……」

ヴィーネ「じゃあ、ガヴの誕生日って何時?」

聖ガヴ「えっ……えぇっと……」

ヴィーネ「?」

聖ガヴ「……4月20日……です」

ヴィーネ「え、4月20日……?」


ヴィーネ「えええええ!! そ、それっ、昨日じゃない! どうして言ってくれなかったの!? 言ってくれれば、プレゼントもケーキも用意したのに!」

聖ガヴ「で、ですが、こんな事、自分から言うのは……」

ヴィーネ「いいわっ、今から買いに行きましょう! ほらっ」グイッ

聖ガヴ「あっ、待ってっ! そんなに引っ張らないで下さい~!」

ヴィーネ「さぁ! 何か欲しい物ない!? 遠慮なく言って良いからねっ!?」

聖ガヴ「は、はい(ヴィーネさんの目がまるで貰う側の様にキラキラ輝いてます…)」

聖ガヴ(ヴィーネさんが私にプレゼントと思うとドキドキしてきます。ヴィーネさんも、さっきこんな気持ちだったら嬉しい)

ヴィーネ「ガヴ? 何か決まった?」

聖ガヴ「いえ、まだ……あっ、これ……」

ヴィーネ「ん? これ、フォトフレーム?」

聖ガヴ「私、これが良いです」

ヴィーネ「ぬいぐるみとかじゃなくて良いの?」

聖ガヴ「はい。これは大切な人から貰った物で、大切な人との思い出を飾る1つで2つのプレゼントになるとても素敵な物ですっ」

ヴィーネ「ええ、確かに素敵ね。(そんな風に思えるガヴが……)」

聖ガヴ「あの、本当にこれを選んでも良いのでしょうか?」

ヴィーネ「ふふっ、遠慮しないでって言ったでしょ? ガヴの誕生日プレゼントなんだから」

聖ガヴ「ありがとうございますっ! 嬉しいですっ!」

聖ガヴ「それでは一緒にレジに持っていきましょう」

ヴィーネ「あっ、ちょっと待って。私、やっぱりこっちにするわ」

聖ガヴ「それは日記帳ですか? 素敵なデザインですね、苺の絵が可愛いですっ。ですが、どうして変えようと思ったんですか?」

ヴィーネ「折角プレゼントし合うんだから、ガヴと繋がりがある物が良いなって。ガヴが思い出を飾って、私が思い出を言葉にしていく。どう?」

聖ガヴ「!」

ヴィーネ「ガヴ?」

聖ガヴ「あっ、すみません。私、感動して……とても素晴らしい考えだと思いますっ」

ヴィーネ「ふふっ、良かった♪」

聖ガヴ「私、今日という日を一生忘れませんっ」

ヴィーネ「もうガヴってば、本当大袈裟なんだから。でも、私も同じ気持ち」

聖ガヴ「こんなにも嬉しく思えるのは、相手がヴィーネさんだからですね」

ヴィーネ「もう、またそうやって揶揄うんだから///」

聖ガヴ「ち、違います」

ヴィーネ「え」

聖ガヴ「本当の気持ちです。公園の時も……」

ヴィーネ「え……」

聖ガヴ「……///」モジッ

ヴィーネ「ガヴ……」

聖ガヴ「ヴィーネさん……」


???「……」

聖ガヴ「!!」

ヴィーネ「えっ、ど、どうかした?」

聖ガヴ「あっ、いえ、何でもありません」

ヴィーネ「そう?なら、良いけど……」


聖ガヴ「……」

聖ガヴ(やはり私は求めてはいけないのですね……)

ヴィーネ「結構、遅くなっちゃったわね」

聖ガヴ「そうですね。あら? あの公園……」

ヴィーネ「へぇ、まだ桜が咲いてる所があったんだ」

聖ガヴ「もう全部散ってしまいそうですね……」

ヴィーネ「ガヴ?」

聖ガヴ「明日からまた頑張らないと……」

ヴィーネ「ガヴ……あ、そうだっ。晩御飯も一緒に食べない? 良かったら、家においでよ。何か作ってあげる」

聖ガヴ「そんな、晩御飯まで御馳走になるわけには……」

ヴィーネ「平気よ。1人増えても、やる事はたいして変わらないんだから」

聖ガヴ「……」

ヴィーネ「ガヴ?」

聖ガヴ「お誘いありがとうございます。ですが、その……」

ヴィーネ「え?」

聖ガヴ「すみません!!」

ヴィーネ「ど、どうして? 昼間はまた一緒に食べる話で喜んでくれたのに……」

聖ガヴ「……」

ヴィーネ「何かあった? 何だか元気ない様に見えるけど?」

聖ガヴ「別に何も……。今日は少し疲れてしまったかもしれません」

ヴィーネ「……そう。じゃあ、今日はもう帰ろっか」

聖ガヴ「すみません……」

ヴィーネ「謝らないで。今日は沢山遊んだし、疲れるのも無理ないわよ」

聖ガヴ「はい……」

聖ガヴ「今日はありがとうござました。それではまた明日……」

ヴィーネ「やっぱり駄目」

聖ガヴ「え?」

ヴィーネ「ガヴが触れて欲しくないなら、聞かないでおこうと思ったのよ? でも、そんな悲しそうな顔されたら、黙って帰すわけにはいかない」

聖ガヴ「ヴィーネさん……」

ヴィーネ「本当は何かあったんでしょ?」 

聖ガヴ「……っ」

ヴィーネ「ね? 話して?」

聖ガヴ「……本当にすみません」

ヴィーネ「それは話せないって意味?」

聖ガヴ「いえ、これはまたヴィーネさんに迷惑をかけてしまった事への謝罪です。お話します、全て……」

ヴィーネ「ガヴ……」ホッ…

聖ガヴ「実は天界の学校で一緒だった方が見ていたんです。お昼ご飯を食べてる時やプレゼントを選んでる時に……」

ヴィーネ「特に問題ない様に思うけど……」

聖ガヴ「私は、家族や天使学校の方達の期待を背負って人間界に来ました。ですが、今日私は色んな失敗をしてしまいましたよね?」

ヴィーネ「それで期待を裏切ると思ったの? でも、今日の事はどれもガヴのせいなんかじゃ……」

聖ガヴ「ヴィーネさんは私と一緒でしたから……。周りからは、ヴィーネさんが私に救いの手を差し伸べ正しく導いてる。そう見えても、おかしくはありません……」

ヴィーネ「で、でも、家の中なら!」

聖ガヴ「天使には、距離も障害物も関係なく見通せる千里眼という力があります。結界を張れば無効化できますが、より力の強い方なら破る事も出来るんです」

ヴィーネ「そんな……天界の事は良くわかんないけど、何か言われたら説明すれば良いんじゃないの? これで期待を裏切るなんて考えすぎよ!」

聖ガヴ「……そうかもしれません。ですが、今日は問題がなかったとしても、今後もそうとは限りません。多分、私は繰り返してしまいます。次はもっと酷くなる可能性も……」

ヴィーネ「そんな、どうして……」

聖ガヴ「私、恐らく駄目になってしまいます。天使として……」ジワッ

ヴィーネ「!!」

聖ガヴ「ですから、すみませんっ。今日はもうここで……!」タッ

ヴィーネ「ガヴ!!」ガシッ

聖ガヴ「え!? ヴィーネさん!?」

ギュゥゥゥ


聖ガヴ「は、離して下さいっ。また誰かに見られてしまいます……」

ヴィーネ「平気よ。これでガヴの評価が落ちたら、私が天界に行って抗議しに行くから」

聖ガヴ「駄目ですよ! ヴィーネさんに迷惑がかかってしまいます!」

ヴィーネ「ガヴは優しいわね。いつも笑顔で誰かの為に頑張って、相手の事ばかり考えてる。それって凄いと思う」

聖ガヴ「そんな事……」

ヴィーネ「だから、今日は一緒に遊べて嬉しかったの。ご飯食べたり、プレゼント買ったりして喜んで楽しんでるガヴが見れて楽しかった。嬉しかった」

聖ガヴ「ヴィーネさん……」

ヴィーネ「それに怒ったり、冗談も言ったりする意外な一面が見れたのも嬉しかったの。ガヴとの距離が縮まった気がして」

聖ガヴ「もう離して……お願いです……」ギュウウッ

ヴィーネ「その割には抵抗してないわね。むしろ、こっちも抱きしめられてる感じがするけど?」

聖ガヴ「!」

ヴィーネ「ガヴ、あなたの本当の気持ち聞かせて?」

聖ガヴ「で、ですから、私は人々を幸せに……」

ヴィーネ「それは本当の事だと思う。でも、それだけじゃないでしょう?」

聖ガヴ「それだけです……」

ヴィーネ「じゃあ、どうして帰ろうとした時、泣きそうになってたの? そんな辛そうな顔して本当に全ての人を幸せにできるの?」

聖ガヴ「できます! それが天使の使命であり私の夢なのですから!」

ヴィーネ「無理ね」

聖ガヴ「ど、どうしてそんな事がわかるんですかっ?」

ヴィーネ「私が幸せじゃないからよ」

聖ガヴ「えっ?」

ヴィーネ「ガヴが辛い気持ちだと私も辛い」

聖ガヴ「!!」

ヴィーネ「ガヴが今一番幸せに思う事って何? ガヴが今一番したい事。私はそれが知りたい」

聖ガヴ「わ、私は……」

聖ガヴ「私は求めても良いのでしょうか……?」

ヴィーネ「うん」

聖ガヴ「ヴィーネさんとお買い物して、ご飯も一緒に食べて、そんな日々をこれからもずっと……。そんな我儘を、神様は本当に許して下さるのでしょうか?」

ヴィーネ「許すも許さないもないわよ。楽しい事したいなんて誰にでもある気持ちなんだから、我儘な訳ない」

聖ガヴ「ヴィーネさん……。私も、今日とても楽しかったです。ヴィーネさんに優しくされるのが嬉しくて、ヴィーネさんに触れられると心が温かくなって……」

聖ガヴ「その度にヴィーネさんにもっと甘えたい気持ちになりました。ですから、天使学校の方に見られた時、怖くなってしまったんです」

ヴィーネ「どうして?」

聖ガヴ「私が私でなくなる気がして……ですが、それは嫌な感覚ではなく、むしろ、その変化を受け入れたい自分がいて……」

ヴィーネ「だから、私と距離を取ろうとしたのね」

聖ガヴ「すみません。この気持ちは、天使としてあってはならないものだと思うのです。天使は人を幸せに導く事が使命ですから……」

ヴィーネ「ねぇ、ガヴ。私は幸せって、分かち合うものなんじゃないかって思う」

聖ガヴ「分かち合う……ですか?」

ヴィーネ「自分の幸せな気持ちを相手に伝えるの。その為には、まず自分が幸せにならなきゃ」

聖ガヴ「まず自分が……」

ヴィーネ「私の幸せはね、大切な人が笑顔でいてくれる事なの。自分の幸せが伝わって、その人も幸せな気持ちになってくれたら、私はもっと幸せになれる」

ヴィーネ「だから、ガヴ。あなたのその気持ちは、天使としても間違ってない。ガヴは思うままに生きて、幸せになるべきだわ」

聖ガヴ「思うままに……」

ヴィーネ「ガヴには幸せになって欲しい。それが私にとって幸せな事よ」

ギュゥウウウ


聖ガヴ「エレベーターの時、本当はもっとこうしていたいと思っていました……」

ヴィーネ「ガヴ……うん、実は私も……」

聖ガヴ「嬉しいです。私と同じ気持ちでいてくれて……」

ヴィーネ「ガヴ、あったかい……」

聖ガヴ「ヴィーネさんは、良い匂いもします」

ヴィーネ「もうガヴったら……」

聖ガヴ「身も心も温かくなって満たされていきます。これがヴィーネさんの言う幸せなんですね、こんな気持ち初めてです……」

ヴィーネ「そっか、私が初めてなんだ、嬉しい……」

聖ガヴ「私もヴィーネさんが初めてで良かった……。いえ、ヴィーネさんだからこそ、こんな気持ちになれたのだと思います」

ヴィーネ「ガヴ……」

聖ガヴ「私、もっと幸せになりたいです。その気持ちをヴィーネさんと分かち合って、ヴィーネさんにももっと幸せになって欲しいです……!」

ヴィーネ「ガヴ!私も……!」

ヴィーネ「周りに見られてたかな」

聖ガヴ「もう大丈夫ですよ。天界の方から何か言われても、今日学んだ事をしっかり報告して納得させてみせますからっ!」

ヴィーネ(見られてたら恥ずかしいって意味で言ったんだけど……。でも、ガヴが元気になってくれて本当に良かった……)

聖ガヴ「ヴィーネさん、本当に今日はありがとうございました。ヴィーネさんに教えて貰わなかったら、ずっと気付かずにいたかもしれません」

ヴィーネ「ガヴは自覚してなかっただけで、ちゃんとわかってたと思うわよ」

聖ガヴ「え?」

ヴィーネ「だって、今日の買い物の時、幸せそうにしてたじゃない」

ヴィーネ「その感謝の気持ちとして、私にも幸せになって欲しかったから、プレゼントしてくれたんじゃないの?」

聖ガヴ「あっ! は、はい。私はヴィーネさんにも喜んで貰いたくて……」

ヴィーネ「ちゃんと伝わってたよ。だから、私もガヴにプレゼントしたくなったの」

聖ガヴ「ヴィーネさん……。気持ちを分かち合うって素晴らしいです。私、また幸せな気持ちになれました♪」

ヴィーネ「私もよ♪」

ヴィーネ「そろそろ暗くなる頃だから帰ろっか?」

聖ガヴ「はい。あっ、帰る前に少し良いですか?」

ヴィーネ「ん、なに?」

聖ガヴ「ヴィーネさんとこの桜を撮りたくて……このフォトフレームに飾りたいんです。私の大切な思い出として」

ヴィーネ「私も今日の事、日記に書くわ。大切な記念日として……そうね、ズッ友記念日とかどう?」

聖ガヴ「ズッ友ですか?」

ヴィーネ「これからもずっと友達って意味よ」

聖ガヴ「それは私がこれからどう変わっても、受け入れてくれるという事でしょうか?」

ヴィーネ「どう変わってもガヴはガヴでしょ。そんなの当たり前じゃない」

聖ガヴ「ヴィーネさん……嬉しいですっ。約束ですよ?」

ヴィーネ「ええ、約束♪」

ヴィーネ「ねぇ、この後ケーキ買って帰らない? やっぱり誕生日ちゃんと祝いたくて。それと、今日の記念も兼ねて」

聖ガヴ「ヴィーネさん……ありがとうございますっ。私は本当に幸せ者ですね。誕生日の翌日にも記念日が出来たのですから……」

ヴィーネ「そうだっ、今日は家に泊まりに来ない?」

聖ガヴ「えっ!?」

ヴィーネ「もう遅いからそうしないと、お祝いする時間もあんまりないと思うし、どう?」

聖ガヴ「急に泊まらせて貰うなんて迷惑がかかりませんか?」

ヴィーネ「迷惑になんてならないわよ、私がそうしたいんだから」

聖ガヴ「ヴィーネさん……」

ヴィーネ「ガヴのお祝いなんだから、もっと素直に甘えてくれて良いのよ?」

聖ガヴ「私の思うままに……ですか?」

ヴィーネ「うん」

聖ガヴ「ヴィ、ヴィーネさんの家に泊まりたいです。よろしくお願いしますっ」

ヴィーネ「ふふっ、良かった。じゃあ、行こっか♪」ギュッ

聖ガヴ「あっ……はいっ///」



ヴィーネ「ガヴ、私、今凄く幸せだからねっ」

聖ガヴ「はい、私も今とても幸せですっ」

― 現在 ―


ガヴ「ふぃー、さっぱりした。あれ? あんま片付いてなくない?」

ヴィーネ「ガヴ、このフォトフレーム……」ポロポロ…

ガヴ「あ、それ……」

ヴィーネ「覚えててくれたんだ……」グスッ

ガヴ「別に泣かなくても……。普通の事でしょ?」

ヴィーネ「だって、もう忘れてると思ってたから……。初めて出会った日の事もそうだったし」

ガヴ「ああ、あれはえっと……」

ヴィーネ「?」

ガヴ「今回は、たまたま机の中開けたら見つけてさ。それで折角だから、ちょっと飾ってただけなんだよ、うん。」

ヴィーネ「ガヴ、もしかして……照れ隠しとか? 初めて会った日も最初から……」

ガヴ「い、いや、別にそれもたまたま思い出しただけでっ」

ヴィーネ「やっぱりそうなんだ!」

ガヴ「ち、違う!」

ヴィーネ「あははっ、かわいいー♪」

ガヴ「だから違うって!」


ヴィーネ(そっか。そうだったんだ。ガヴは全部覚えててくれたんだ、最初から全部……)グスッ

― 百貨店周辺のベンチ ―


ヴィーネ「もうそろそろ機嫌直してよ。タコ焼き食べさせてあげるから。ほら、あーん」

ガヴ「ガキじゃあるまいし、こんな事で機嫌直る訳ないでしょ……むぐむぐ」

ヴィーネ「今のあんたが子供でしょうに……。どう、美味しい?」

ガヴ「普通」

ヴィーネ「そ、そう……」

ガヴ「でも、ヴィーネに食べさせて貰わなかったらイマイチだったかな」ボソッ

ヴィーネ「!」

ガヴ「てか、次はヴィーネが作ってよ。ヴィーネの方が店のより美味いし」

ヴィーネ「ふふっ、よし! 任せといて!」

ガヴ「うむ。天真流は任せたぞ」

ヴィーネ「未だによくわからないけど、それは遠慮しとくわ」

― 百貨店 ―


ガヴ「ここは相変わらずの人ゴミだな……」

ヴィーネ「……あんた今別の意味で言ったでしょ」

ガヴ「いって!また体当たりされた! くっそ、天使をなんだと思ってるんだ。悔い改めろ」ブツブツ…

ヴィーネ「ガヴも人の事言えないでしょ? ほら、また逸れるといけないから、手を繋いでいきましょう?」

ガヴ「う、うん……///」

ヴィーネ「……」カァァァ

ガヴ「ちょ、何で言い出したヴィーネが照れてんのっ?」

ヴィーネ「しょ、しょうがないでしょっ! あんたが、そんな反応見せるからっ!」

ガヴ「私のせいなのかっ!?」

― 百貨店5階 ―


ガヴ「で、今日はここで何買うの?」

ヴィーネ「うん、日記帳を新しく買おうと思って。今度は、うさぎの絵がある日記買おうかなぁ」

ガヴ「今月もう金欠だから、百均の物にしてくれ」

ヴィーネ「プレゼントしようとしてくれるその気持ちだけ貰っておくわ……」

ガヴ「ちなみに私はこれが欲しい」

ヴィーネ「自分はしっかり要求するんだ!? ん、これフォトフレーム?」

ガヴ「デジタル式らしいよ。今ある奴は入れ替えるのが面倒でさ」

ヴィーネ「へぇ。ガヴって、思い出の写真、入れ替えて飾ったりしてたの?」

ガヴ「……まぁ、気が向いた時だけど」

ヴィーネ「そっか♪ じゃあ、これも買いましょ!」

ガヴ「え、マジで良いの? 私、何にもプレゼントしてないけど」

ヴィーネ「日記帳だけ買っても意味ないじゃない。それにプレゼントなら貰ったわよ」

ガヴ「え?」

ヴィーネ「ガヴの気持ち」


ガヴ「ばっ、馬鹿じゃないのっ!」カァァァ

ヴィーネ「ふふふ♪」

― 公園 ―


ヴィーネ「良かった、今年もまだ桜咲いてる……」

ガヴ「うん」

ヴィーネ「なんだか懐かしい。ついこの間の様な気もするけど」

ガヴ「うん……」

ヴィーネ「ね? また写真撮ろっか?」

ガヴ「……」

ヴィーネ「ガヴ?」

ガヴ「えっ?」ポロポロッ

ヴィーネ「ガヴ!?」

ギュウウ


ガヴ「……いきなり何すんの」

ヴィーネ「だって、ガヴが泣いてたから……」

ガヴ「そ、そんなんじゃないって。これは目にゴミが入っただけだしっ」

ヴィーネ「ふふっ、そっか。なら良かった」


ガヴ「そう言えばさ、今日は寝過ごしても、あんま怒らなかったよね。なんで?」

ヴィーネ「ゲームの中で困ってる人達を救うのがガヴの幸せなら、それも良いかなって思えたのよ。その人達もガヴに救われて幸せなんでしょ?」

ガヴ「ヴィーネ……」

ヴィーネ「なんて、こんな風に思えるのは、今日が特別な日だからかもね。でもそれと、あんたの自堕落な生活は別問題だからね?」

ガヴ「えぇ……でも、私が辛いとヴィーネも辛いんでしょ? 生活習慣改めるのって辛いからさ……ね?」

ヴィーネ「何がね?よ、もう……。後で苦労して、もっと辛くなるのはガヴよ?」

ガヴ「それは大丈夫だよ」

ヴィーネ「え?」

ガヴ「ずっと一緒……そう約束したよね?」

ヴィーネ「そこまでは言ってないと思うけど?」

ガヴ「あれって、そういう意味にしかならないでしょ。だからさ……」

ガヴ「私をこんな風にした責任……ちゃんと取ってよ?」

ヴィーネ「ガヴ……」


ガヴ「ヴィーネ?」

ヴィーネ「私、責任なんて取らないから」

ガヴ「!? そ、そう……か。まぁ、やっぱ流石にずっと今みたいには……」

ヴィーネ「馬鹿ね」

ガヴ「え?」

ヴィーネ「私は義務感やお世話するのが好きで一緒にいるわけじゃない。言ったでしょ? ガヴの幸せが私の幸せだって」

ガヴ「それって……」

ヴィーネ「これからもずっと一緒よ、ガヴ」




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