ハニエル「もう1人のお姉ちゃん」 (46)



今回は…前回の物を、少し長めに直したものとなります。



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あぁ、何故?何故私では無いの

私は…負けた…

憧れのあの人が、私では無い他の人の物になった。…私はただ二人を見ていただけ、あぁ何故?何故私ではないのですか?
心の奥底より湧き出るこれは何か…怒りでは無い…落胆でも無い…嫌悪……自分自身に対する嫌悪

私はずっと見ていました。

お二人の結婚式…素晴らしかった。もう勝ち目は無いと思い知らされる位…茶番はあったものの…あの時の言葉に偽りは無いのでしょう。

ふと、携帯の画面へと目を向けた。そのには憧れの人から久しぶりに送られたメールが一件、内容は子供が産まれたので招待したい…あぁ、本当に惨めだ会ったら辛いなのに会いたい気持ちに勝てない。



ガヴ「おっタプリス来てくれるみたいだぞ!」

ヴィーネ「本当!暫く避けられてた感じがしてたから来てくれるか不安だったけど……よし!頑張るぞぉ!」

ガヴ「本当にこういうイベント事好きだよなぁ」

ヴィーネ「うぅ、だって楽しい事は分かち合いたいじゃない?」

ガヴ「駄目とは言ってないだろ?頑張れよヴィーネ」

ヴィーネ「えぇ、ガヴ大好き!」ギュゥ

ガヴ「ばっ、ハニエル達も居るんだぞ!」

ハニエル「もぅ、慣れてるよ」




後悔……はしていないと思う。

色んな覚悟を持って、先輩の家に行く…今までみたいに避けてしまうのか……

受け入れて貰えるか、頑張ってみるのかどちらになっても構わない。そう決めたから……でも拭えないこの感情…あぁとにかく寝てしいたい。

今だけでも良いから何も考えなくて済む夢の中へ逃げさせ……て…


夜は明けてしまった。先輩に会うための時間が迫っていく逃げる事は出来ない

急いで、家へと向かい玄関で動きが止まる。まるで糸の切れた人形の様に体は重く、インターホンの音を鳴らすのにひどく時間が掛かってしまった。

ドア越しに聞こえる足音にこの場から逃げ出してしまいたい…そんな考えが頭に過るがそんな事はさせないと扉は開き、憧れの先輩が顔を覗かせる

ガヴ「よぅ、タプリス久しぶりだな?」







ガヴ「いやー、本当に久しぶりだよなぁ~」

久しぶりの先輩の声に少しだけ涙が出そうになる。

ガヴ「それにしても成長したなぁ私なんか、あれから全然背も伸びないし…… 」

タプリス「?」

先輩の声が止まった、何かしてしまったのだろうか…

ガヴ「チッ、まぁ中に入れよ、おーい」

視線がやや胸の方に来ていた事が気掛かりですが、悪意は無いみたいで少し気持ちが楽になっていた。

ヴィーネ「わぁ、千咲ちゃん! 」

タプリス「お久しぶりです。」

ヴィーネ「わぁ、大きく……大きくなったわね」マジマジ

タプリス「…………」



タプリス「お邪魔します。」

玄関からお部屋へ入らせて貰うと、先輩の妹さんが視界に入った…軽く会釈をすると嬉しそうに声を掛けてくる

ハニエル「お久しぶりです。タプリスさん」

タプリス「ハニエルちゃんも大きくなりましたね~、私なんか直ぐに抜かれちゃいそうです」ナデナデ

ハニエル「むー、ハニエルはもう子供じゃないよー!」

タプリス「あっ可愛かったのでつい…」

無理して作っているかそれとも自然になっているのか分からないけど、私は笑っていた。そんなやり取りをしていると見えてしまった。

お二人の大事な大事な宝物……

タプリス「この子が……先輩の子ですね?」




ガヴ「あぁ……いや違うな…私とヴィーネの子供だ!」

先輩は一度否定した後、凄く自慢気にそう言い放つと近くに居た月野瀬先輩を抱き寄せていました。


ヴィーネ「ちょっ!ガヴっ!」

タプリス「熱々ですねぇ~羨ましいです!」

ハニエル「今日はお客様が居るんだから控えめにね?」

ガヴィーネ「はーい」

本当に、羨ましい。私にもう少し勇気が合ったのならそこで抱き締めて頂いてるのは………多分有り得ないでしょう。

ヴィーネ「さってと!千咲ちゃんお腹はどうかな?」

タプリス「えっ、そう言えば空いています……」

事実、昨日から何も食べていないのだからお腹は空いていた。すると意識していなかったがとても美味しそうな匂いが鼻孔の奥を燻る

ヴィーネ「じゃーん!千咲ちゃん歓迎用の料理です!」

ガヴ「おぉ、随分と豪勢だなぁ流石、イベントとなると…凄いなー」



タプリス「私なんかの為に為にすみません!」

あぁ、この優しさが私を苦しめる。優しさがまるで私の体を心を撫で回す様に苦しく…

ヴィーネ「だって、千咲ちゃんは大切なお友達ですもの!久しぶりなんだから奮発位させて?」

タプリス「本当に、有り難う…」グー

タプリス「はわわわ!」

ガヴ「クスッんじゃ飯にするか…」

ハニエル「わーい、ご飯だぁ」

楽しそうにテーブルに座る皆さん。先輩はゲームでもしているのか行儀悪く片手をテーブルの下に隠しています。

料理を口に運ぶと、色々な感情が混ざっていく。嬉しさ悲しみ嫉妬等、美味しい筈なのに味も分からない。

ガヴ「やっぱりヴィーネの料理は最高だな」

ハニエル「私もこれくらい出来るようになりたいなぁー」

ヴィーネ「大丈夫よ、ハニエルちゃんのご飯も、とても美味しいもの!」

ハニエル「ヴィーネお姉ちゃん、今度料理教えて~」

ヴィーネ「良いわよ?いくらでも教えてあげる!」

タプリス「………やっぱり作ってあげる人は上手くなるんですかね?」

ガヴ「………そうかもな、ヴィーネはずっと私に作ってくれてたしな」

ふと気が付くと、月野瀬先輩も片手をテーブルの下に隠していた…

タプリス「そう言えば、先程聞けなかったんですがお名前はなんて言うんですか?」

ガヴ「………?」

タプリス「あっ、御二人の子供の…お名前です!」

ガヴ「あぁ、サリエル……姉さんが付けてくれた名前だよ」




タプリス「素敵なお名前ですね!あっこれ美味しいです!」

タプリス「」モグモグ

ガヴ「…………」

ヴィーネ「…?ガヴあんまり食べていないみたいだけど……」

ガヴ「あっ、いや」

ヴィーネ「……今日はあーんは無しよ?」ボソボソ

ガヴ「いや!ちげーよ?」

サリエル「ふえっ…うぅ…」

ヴィーネ「あっ、お腹空いたのかな?」

月野瀬先輩は少し手間取りながら、二人の宝物へと向かっていく。

ヴィーネ「お腹空いたんでちゅね~今あげますからね~」

タプリス「ご馳走様です。とても美味しかったです!」

ヴィーネ「えっ、千咲ちゃんもう良いの?」

タプリス「あまり多くは食べれないので……すみません…」

ヴィーネ「あっ、大丈夫よ!後はガヴが食べてくれるもの」

ガヴ「いやいや、私でもこの量は……」

ヴィーネ「うぅ、やっぱり作りすぎちゃったか……」





ガヴ「うぅ~腹一杯だぁ」

ヴィーネ「無理に食べなくても良かったのに…」

ガヴ「ヴィーネのご飯を残したら勿体ないだろ?」

ヴィーネ「もぅ、ガヴったら//」

ハニエル「んんっ!」

ガヴィーネ「」ビクッ

ガヴ「………そういや、風呂沸いてるからタプリス入ってきたらどうだ?」

タプリス「そっ、そんな一番風呂なんて!」

ガヴ「別に気にし無いぞ?」

タプリス「でもっまだお腹残ってるみたいなので……もう少ししてからに……」

ガヴ「そっか、ならヴィーネ入ってくれば?」

ヴィーネ「そうね、今日はハニエルちゃんがサリちゃんと入る日だしゆっくりと入ってようかな~」

タプリス「えっ?ハニエルちゃんと入ってるんですか?」

ガヴ「おぅ、天使の加護で溺れたりしないようにしているし…千里眼でちゃんと見ているからな、それにハニエルならもう十分に出来るさ」

ハニエル「えへんです!」

タプリス「………」

ヴィーネ「じゃぁ、入ってくるね行こっガヴ………あっ!いやその1人で…」

ガヴ「………今日はタプリスの手前一緒には無理だ…」ゴニョゴニョ

ヴィーネ「じー」モノホシゲニ

ガヴ「」フルフル

ヴィーネ「けちっ、ふん!」

お二人は本当に、仲が良いみたいです。
とても羨ましい…羨まし過ぎます。



ガヴ「所でタプリス、お前最近どうだった?」

タプリス「どう……とは?」

ガヴ「嫌な……事……あったとか」

タプリス「なっ何でですか?」

ガヴ「何か元気が無いように見えたし、無理して笑ってる様に見えたから…」

あぁずるい……私の本当の気持ちは分からないのに…貴女は見透している様に当ててくる…

タプリス「……ちょっと…ちょっとだけお仕事とかで疲れちゃいまして……」

ガヴ「…………」

ガヴ「…そうか、辛い時には頼ってくれて良いから…こんな駄目な天使だけどそれでも良かったら話してくれ……お前の悩みとか…」

言える訳が無い……やはり本質までは見抜いてはくれない…その中途半端が私の心を更にもどかしくする…

タプリス「天真先輩は、駄目な天使何かじゃありません!私の……」

大好きで…憧れの先輩

タプリス「私の目標なんですから!」

ガヴ「でも、それ駄目になる前のだろ?」

タプリス「いえっ、今の先輩も含めて目標です!」

ガヴ「ははっ、駄天は流石に止めておけよ?」

少しスッキリした顔を見せると、軽くなった足取りでお風呂場へと向かっていった。多分お二人で………






ハニエル「あ~あぁ、長くなるなぁ~」

タプリス「…………」

ハニエル「あっ、タプリスさん何か飲みますか?」

タプリス「あっ、いえ大丈夫です!」

ハニエル「そうですか?じゃぁ私はお茶でも」ゴクゴク

タプリス「………びっくりしました…」

ハニエル「何がですか?」

タプリス「本当に、お姉さんになっているんですね……」

ハニエル「あぁ、えへん!勿論、サリエルちゃんの事も家事とかも上手になってるもん!」

タプリス「……本当に、私なんかより立派に………」

ハニエル「?」

ハニエル「ハニエルじゃ、タプリスお姉ちゃんには敵わないと思うけどなぁ」

タプリス「えっ…」

ハニエル「だって、タプリスお姉ちゃんも、ガヴお姉ちゃんみたいになりたくてすっごい頑張って……色々覚えて…私なんかよりも凄いんだもん!」

タプリス「くすっ有り難う御座います。」

あぁ、可愛い…こんな小さい子に励まされてしまいました。つくづく私は駄目だなぁと思ってしまいます。





ヴィーネ「………ガヴの…ばか」

ヴィーネ「体洗ってさっさと上がっちゃおー」ザバッ

ガヴ「……誰がばかだって?」

ヴィーネ「うわぁ!?」

ガヴ「大丈夫か、転んだら危ないぞ!」ダキシメ

ヴィーネ「えっえぇ」

ヴィーネ(安全の為に滑り止め付けていて助かったぁ)

ガヴ「まったく、ヴィーネは目が離せませんなぁー」

ヴィーネ「うぅ、ガヴだって人の事言えないじゃない!」

ガヴ「うん、だからずっと一緒に居てくれよ…」

ヴィーネ「なっ、あんたっ良くも恥ずかしげも……んっ?」

ガヴ「」ミミマッカ

ヴィーネ「ふ~ん」

ガヴ「うっさい!」

ヴィーネ「何も言ってないけど?」

ガヴ「顔がうっさい!」カオヲオシ






ヴィーネ「所で、来ないんじゃなかったの?」

ガヴ「そしたら、誰が私の髪を洗ってくれるんだ?」

ヴィーネ「自分で洗ったら?」

ガヴ「めんどい」

ヴィーネ「はぁ、そんな事だろうと思ったわ……まったく駄天使なんだから…」ニヘラ

ガヴ「頬が緩んでますぞー」

ヴィーネ「二人きりだもの構わないでしょ?」

ガヴ「まぁな………んじゃ宜しく」

ヴィーネ「はーい!」




ヴィーネ「ふぅ良いお湯だった」

ガヴ「まぁな…タプリス入って来いよ」

タプリス「あっ、ハニエルちゃん一緒に入りませんか?」

ハニエル「ハニエルはサリエルちゃんと入るので大丈夫です!」

タプリス(あぁ、さっきのが裏目に……)

タプリス「……じゃっじゃぁ……」

私はタオルを受け取り、浴槽へと足を運んでいく。その足取りは重い、先程貰った元気も散っていく程…1人になるのが嫌になっていた…

タプリス「ふぅ………」

湯船に浸かると、心が落ち着く…ただ湯に浸かっているだけで良いのに余計な思考が頭の仲を支配する。

優しさなんて嘘、私の居ない所でどう思われているか…私への感情…

体は暖まっていくのに震えていた、恐くて震えていた?得体の知れない何かに怯えていた?とにかくそこに居たくない気持ちだけが強くなっていき、お風呂場から逃げ出した……


ガヴ「おっ、タプリスは早風呂派なのか?ほれアイス食うか?」

タプリス「はぁはぁ……いっ頂きます…」

ガヴ「なぁ、大丈夫か?息も荒いし……何か…怯え…」

タプリス「あっ、ちょっと考え事していたら何か怖い事が浮かんじゃいまして」

ヴィーネ「あぁ~、お風呂場とかって何か嫌な事考えちゃうもんね~怖い映画とか思い出しちゃうし…」

ガヴ「ヴィーネ、ちょっと」

タプリス「あはは、子供っぽいですよね?」

ヴィーネ「ううん!私も良くなるもん」

ガヴ「たまに抱き付いてくるのそのせいか……」

ヴィーネ「はぅっ」 ボン





ヴィーネ「さってと、こういう時は夜と遅くまでボードゲームよね?」

ガヴ「何でそうなった?」

ヴィーネ「定番って奴よ!じゃーん!天命ゲーム!」

ガヴ「それ、サターニャがやろうとしてた奴じゃん…」

タプリス「面白そうです!」

ハニエル「おもしろそー!」

ヴィーネ「じゃぁ、始めるね?」ガヤガヤ

そのまま暫く遊んでいましたが、途中でハニエルちゃんが眠くなってしまいお開きとなりました。


ガヴ「んー、じゃぁそろそろ寝るか……」

ヴィーネ「」ギュウ

ガヴ「何だよ……」

ヴィーネ「今日は…その…」

ガヴ「一緒に風呂にも入ったし、食事中もずっと手握ってたろ?」

ヴィーネ「うぅ………」




ガヴ「………まぁ、私が寂しいから良いけどな」ギュッ

ヴィーネ「ふえっ?ガヴ……」

ガヴ「甘えん坊はヴィーネだけじゃ無いぞ……私にも甘えさせろ」

ヴィーネ「ふふっ、素直じゃないんだから……」

ガヴ「っさい!意地悪言うなら……」

ヴィーネ「あっ!ごめんごっんん!?」

ガヴ「プハッ、どうだ?」

ヴィーネ「………やっぱり、素直じゃないんだか…」

ガヴ「おっ?まだ言うのか?」

ヴィーネ「言ったらどうする?」

ガヴ「」チュッ

ガヴ「…こうする」

ヴィーネ「……もっと」

ガヴ「我が儘…」チュッ



ガヴ「ふぅ寝ちゃったか………じゃぁ私も…?」

ガヴ「誰か居るのか?」

少し物音がする事に違和感を覚えた、私はその音の元へと近づいく

タプリス「あっ天真先輩?」

そこには、タプリスがハニエルの部屋の前でうろうろしていた。

ガヴ「いや、物音がしたんで…ちょっとな?」

タプリス「あぁ~その、1人で寝るのが少し…何と言いますか…」

あぁ、お風呂場で何かそんな事を言っていたな…

ガヴ「でっ、ハニエルの部屋にか…」

タプリス「はいっ、お二人の部屋ですと邪魔になると思いまして…」

ガヴ「んな訳ないだろ、来いよ…」

がっ実際はタプリスが居たら、邪魔とは言わないがヴィーネとイチャイチャ出来なかったと思う。

タプリス「そうですか?でもまだちゃんとお子さんを見ていなかったので寝顔だけでもこっそり見てみたくて…」

ガヴ「あぁサリエルなら、夜泣きが多くてな。私達の部屋に居るんだ……」

タプリス「そうなんですか、お風呂も一緒に入ってたのでてっきり一緒に寝ているのかと………」

そのまま、タプリスを自分達の部屋へと連れていくと愛おし気に見詰めていた……

タプリス「可愛いですね……本当に」





本当に、可愛い……
先輩達や皆様が眠りについた後に、私はそっとサリエルちゃんの眠るベットの方へ足を運んだ。

軽く抱き上げてみた。少し力を込めれば壊れてしまいそうな弱く守ってあげたい存在。

先輩に愛され、その愛によって産まれたこの子が羨ましい。
……やはり、私は駄目なんだ。もぅ隣に居る事は出来ない、隣に居て欲しいのに近くに居れば苦しくなる。辛くなる

きっと逃げても私を心配し追いかけくるでしょう。でしたら逃げられない場所へと逃げてしまえば良い。そう思うでしょサリエルちゃん?




ガヴ「ん~良く寝た……」

そう、この日私は良く眠れた。

ヴィーネ「……ガヴ!」

ヴィーネも良く眠れたらしい。

ヴィーネ「サリちゃんが居ないの!ハニちゃんも場所を知らないみたいなの!」

ガヴ「………えっ?」

昨夜、私達は一回も起きる事無いと今気付いた………私は即座に千里眼を使いサリエルを探した……

ガヴ「……嘘だろ…」

ヴィーネ「ガヴぅ……どうしたの?」

ヴィーネは今にも泣きそうだ、一瞬でも早くサリエルを……焦った私は神足通を使った。

ガヴ「…………なぁ、どうしてなんだ?」

ガヴ「………タプリス」

タプリス「……早かったですね天真先輩」



ガヴ「どうして、こんな事をしたんだ?」

タプリス「この子とても可愛いですね……私にくれませんか?」

ガヴ「なっ!サリエルは物じゃ無いんだぞ!出来るか!」

タプリス「えー、だって先輩達なら………また…産めば良いじゃないですか…」

ガヴ「私を怒らせて何がしたい、だが生憎…お前の事、少しは理解してるつもりだ!それが本心じゃ無い事位分かるぞ!」

あぁ、駄目ですね。嫌われてしまう…そんな簡単も許されないんなんて…
分かっていました。サリエルちゃんを拐っても…酷い事を口にしても…

私を……嫌いに何かなってくれない事を

タプリス「本心ですよ?」

ガヴ「いや、違うな!だったらそんな悲しい顔してる訳無いだろ!」

本当にこの人は………

ガヴ「辛い事があるなら聞くって言ったろ!嫌な事を話してくれって!何で……何で話してくれないんだ……そんなにっ」

私を悩ませる……

ガヴ「…そんなに、私が頼りないか!そんなに私に話したく無いのか!」

ガヴ「…確かに、駄天する様な先輩なんかに頼れる訳が無いかも知れない……」

この人は闘っている、自分自身と
私をここまで追い詰めた、こんな事をさせてしまったのは………

ガヴ「……それでも、頼られる先輩になる為に努力する…頑張るから……」

自分のせいなのだと思っているのでしょう。やはり……私はこの人の隣に居てはいけない…………

ガヴ「…許して欲しい…そして話しくれお前の悩みも悲しみも全て私が……私がっ!」

その場に崩れ落ちてしまった先輩。悲願するかの様に口から溢れる言葉…それはもぅ私の耳には届かない。
どんなに、距離が近くなっても……

ガヴ「……たっタプリス?」

タプリス「先輩は悪くありません。悪くなってしまったのは私だけ何です。」



誤字に関しては申し訳ありませんでした。今後、その様なミスが減るように努力します。





そっと先輩へ託す。その子をちゃんとした両親の元へ……先輩は瞳の中に水滴を溜めながらも差し出す腕に手を伸ばし…サリエルちゃんを抱っこする。

もう、離さないそう言い聞かせる様に優しく抱き締めていた……あぁやっぱり…この手を…この汚れてしまった手までは握ってくれませんよね?

ガヴ「タプリス……お前…本当に…!」

神足通…私は今足場の無い場所に浮かんでいる。当然私は下へと落ちていく、上で先輩が声を張り上げている…


ガヴ「馬鹿!そこから落ちたらその先にあるのは地獄だぞ…っ!」

先輩の目にはどんな風に写っていたのだろうか?
天使の証とも言えるその羽は、純白などでは無かった真っ黒に染め上がっていてまるで悪魔の様に……

堕天した翼は、その者の罪の象徴
故に堕天した翼は飛ぶ為にあらず。

私はゆっくり…ゆっくりと落ちていく。






ガヴ「タプリスの奴……」

私はただ傍観しているだけ、後輩が落ちていくのを本当は直ぐにでも助けたい。
しかし、私には出来ないまたこの子を手離す事なんて……

サリエル「あぁっうぅ~」

もう離したく無い!けどこの子を抱いたままタプリスを助ける事は不可能……

「………神足通!」

ふと後ろから声がした聞き覚えのあるなんてレベルじゃない。その声を聞かなかった日は無い位……この声は…

ハニエル「お姉ちゃん!」

ガヴ「……ハニエルお前神足通が使える様に…」

ハニエル「うん!早くガヴお姉ちゃんみたいになりたかったから頑張ったの!」

ガヴ「そうか……」

少し胸が痛む、私に憧れ…絶望し落ちていった天使を見てしまった…否まだ落ちては居ない…私が救い出す!

ヴィーネ「ガヴ!サリエルちゃん!」

ガヴ「……ヴィーネ、サリエルを頼む」

まただ、私は何も告げずに追っていた。
地獄へと向かってしまった後輩の後を…

???「大丈夫ですよ、タプちゃんは私が……」

ガヴ「へっ?お前は……」



「貴女が望んで此処に来たのならば迎え入れましょう。しかし逃げる為の場所として選んだのならば…困ります。」

……私はただ我が儘だった…勝手に逃げて周りを振り回して挙げ句はそれをたった今自覚した……

堕天してしまった、私の羽を広げながら自傷気味に笑って見せる


「綺麗な羽……良いですね」

突然の言葉に私は首を傾げるしか出来なかった…これ程までに黒く染まったそれを綺麗だと……?

「ふふっ、貴女は堕ちて何か居ませんよ…だって…」


何も見えない世界に1つ天使の羽でも無く、悪魔の翼でも無い…異形なそれが視界に入り込んだ…

「これは、貴女の気持ち……でもこれはまだ飛ぶ為の羽なんです。堕ちる為のでは無く………」


ふと体が軽くなった。落ちていくだけの感覚から風に乗って空を舞う羽の様に…
気が付けば、声が遠くなっていた…私に優しい言葉をくれた声が……

「此方にはもう……来ては駄目ですよ?……ちゃん」

微かに耳に入った言葉…ふと思い出す…

タプリス「……っ白羽…先……」




…また声が近付いてくる、けど今度はあの声じゃない…私が憧れる声…

「…プリ……ス!」

段々、はっきりと………

ガヴ「タプリス!」

タプリス「せっ先輩……?」

気づけば、私は天真先輩の腕の中で泣きそうな顔を見てしまった。

ガヴ「……良かった…戻って来れたんだな!」

ヴィーネ「大丈夫!?」

タプリス「えぇ、すみません…色々と迷惑を掛けて…」

ガヴ「いや、お前の気持ちを理解してるつもりになっていた私の責任だ……」

タプリス「先輩……」

ガヴ「どうした?」

タプリス「私、先輩の隣に居ても良いですか?」

ガヴ「…………あぁ勿論…」

タプリス「先輩の喜ぶ姿を見て一緒に嬉しくなっても良いですか?先輩の悲しむ姿を見て一緒に泣いても良いですか?」

瞳には今にも溢れそうな程の涙で溜まっていく、決して悲しくて流れる物ではない……嬉しさから溢れる為……

タプリス「私が先輩の傍に!近くに!見ていても!」

ガヴ「」ギュッ

タプリス「!」

先輩の声は………先輩の温もりは…

ガヴ「あぁ、好きにしろ……私の責任だ……何だって受け入れてやるさ…」

タプリス「…………私の手を……伸ばしたら…求めたら…私の手も…握って…くれますか?」ポロポロ

最早、溜めて要られず行き場の無いそれは頬を伝い…溢れ零れていく

ガヴ「そんなのお安いご要だ」

あの人は汚れてないと言った……その手を優しく包み込まれていく…

ヴィーネ「じゃぁ、私も!」

ハニエル「ハニエルもー!」

ガヴ「どうする、タプリス…手が足りなくなったな……」

タプリス「…本当ですね………」






ガヴ「さてと………まぁそれはそれこれはこれと言った感じで……お前のした事についての償いをして貰おうかな?」

タプリス「………えぇ!?」

ガヴ「……お前はどうやら私と一緒に居たいみたいだし…だから家の家事手伝いをして貰う」

タプリス「へっ?」

ガヴ「ハニエルにだって学校があるからな…サリエルの面倒をみてくれる奴を探してたんだ……今回の罰としてそれを銘ず!」

タプリス「………先輩や月野瀬先輩達と……」

ヴィーネ「そうね、一緒に住む事になるわね……どうかな?」

タプリス「………ずるいです…断る理由なんか無いです!私も一緒に暮らしたいです!」

ガヴ「そうか……」

こうして、私を含めた同居生活が新たに…

ガヴ「んじゃ、これ」

タプリス「………先輩これ…」

ガヴ「お前のサイズに合わせたメイド服だ!私の家に仕えるんだからそれなりの服装をだなぁ………」

タプリス「聞いてませんよー!」

ガヴ「言ってないからな……」





それから月日は流れていき…

ハニエル「今日も楽しい1日だったっと!」

私は、あの日から何となく日記を付けみました。日々の思い出をどんな形でもと残せる様に………

ですが、此に書けない程の大事やイベントはまだ起きてません。そう毎日が同じように………

コンコン

タプリス「失礼します。ハニエルお嬢様、お食事の準備が整いました。」

ハニエル「タプリスさん!お嬢様と呼ぶのは止めてって何度言ったら……」


タプリス「いえ!お嬢様はお嬢様ですので!」

新しい私のお姉ちゃんは、メイドさんのお仕事も板に付いてきました。
私は沢山のお姉ちゃんに囲まれて、毎日楽しく生きています………かしこ!

~fin~

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