事務所の人「それじゃ撮影は来週だから、ダイエットしておいてね」

新人声優「え、ダイエット？」

事務所の人「ああ、今度のグラビア水着だから」

新人声優「ええっ！？ 水着なんですか……」

事務所の人「当たり前だろ。今の声優は脱がなきゃやっていけないんだし、お前は新人声優なんだからこのグラビアで知名度上げないと」

新人声優「はぁ……」

事務所の人「そんじゃ、体調管理には気をつけてな！」

新人声優「………」

その日の夜、新人声優の自宅にて____、



新人声優「うえぇぇぇーーーーん｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡」

新人声優「なんで、なんで声優なのに水着でグラビアやらないといけないのーーーー！？」

新人声優「こんなのあんまりだよ……。いくら私が知名度のない新人声優だからってさ、声優はアイドルじゃないんだよ！？」

新人声優「でもなぁ、最近の声優さんって活動の内容が完全にアイドルだもんなぁ……。売れっ子の声優さんも写真集で水着や下着になってる人あるし……」

新人声優「でも私は声優になりたくて声優になったのに、なんで水着グラビアなの！？ こんなの駆け出しのアイドルの仕事じゃん！ どうせグラビアやってもツイッターでキモいオタクに『素直に射精です』とか書かれて嫌な思いするだけじゃん！」

新人声優「はぁ……でも私新人だし断りづらいし、断っても今後の仕事に影響するのは嫌だな……」

新人声優「どうすればいいんだろう……」ﾎﾞｿｯ

？？？「お困りのようだね！」

新人声優「えっ、一体誰！？ どこから声が？」ｷｮﾛｷｮﾛ

？？？「ここだよ、ここ！」

新人声優「ここって……お腹！？」

？？？「そうだよ！」

新人声優「あなたは誰！ どうして私のお腹から声がするの？」

うんこ「僕はうんこ！ 君のうんこだよ！」

新人声優「えっ、うんこ！？」

うんこ「そうそう、うんこだようんこ！ 僕は君の腸の中でたまっているうんこだよ！」

新人声優「うんこって……あ、そういえば最近便秘気味でずっと出てないけど」

うんこ「うんこはね、ずっとたまってると自我を持ち始めるようになるんだ」

新人声優「そうだったんだ……」

うんこ「ところで、水着グラビアのことで悩んでいるようだね」

新人声優「そうなの、どうして声優なのに水着グラビアやらないといけないの……。声よりも水着姿を先にお披露目なんて嫌だよ」

うんこ「確かに、君が嫌に思うのはもっともだね。でも、今の声優はアイドル声優といって声豚たちを性的に愉しませるのが仕事になっているから。こうして水着グラビアでもして肌を露出しないと太いオタクをつけることができないんだよ」

新人声優「うう……、事務所の人も言ってたよ。いまどきの声優は声じゃない、顔と身体だって……」

うんこ「だろ？ 確かに今の声優はビジュアルのレベルも上がっていて、本当に可愛くて美人な人も多い。だから事務所もオタクに金を使わせるためアイドルのような売り出し方をして、それに魅せられたキモい声豚どもはアイドル声優を性的に見ちゃうんだよ。だから声優が水着や下着のグラビアやっても当たり前の時代になってしまったんだ」

新人声優「ううっ、なんか説得力ある」

声豚「それに考えてごらんよ。声優とか関係なく美人で可愛い人が肌を露出してるのを見たら、みんなそれを好きになったり求めたりしちゃうでしょ？ 声優はグラビアアイドルよりも性的な仕事なんだよ」

新人声優「そんなぁ……それじゃ私はこのまま事務所のいいなりになるしかないの？」

うんこ「いや、まだ手はあるよ！」

新人声優「え、本当に！？」

うんこ「ああ、僕にまかせて！」

そして撮影当日____、




カメラマン「いやーお待たせ、それじゃ撮影始めようか」

新人声優「はい」ﾇｷﾞﾇｷﾞ

カメラマン「ちょ、君！？ 一体どうしたのそのぽっこりしたお腹は？それじゃ撮影にならないよ！」

新人声優「うぅぅ………」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

カメラマン「いきなり座り込んでどうしたんだい？ まさか具合でも悪いのか？」

新人声優「うぅぅ………で、出るーーー！！」

カメラマン「え、出るって……」


ﾌﾞﾌﾞﾌﾞ､ﾌﾞﾘﾌﾞﾘﾌﾞﾘﾌﾞﾘ……ﾌﾞｩｩｯｰｰｰｰ､ﾌﾞｯﾁｯﾊﾟ！！


カメラマン「うぎゃぁぁぁぁぁーーーーーーーー、カメラがぁぁぉーーーー！！」

うんこの作戦はこうである。

まず撮影の当日までうんこを出さないでお腹の中でため込んで、そして撮影当日に現場で思いっきり排出して撮影をメチャクチャにしてやろうというものである。

声優がグラビア撮影の現場でうんこをするなど前代未聞であり、今の世の中ネットなどでこうした問題はすぐに取り上げられる。うんこをしたという不名誉なレッテルを貼られるが、同時に何故新人声優が水着でグラビアなの？という一般世間の好奇の目をさらうことも狙いである。

この新人声優はもともとアニメが好きで、そこから声で芝居をすることに興味を持ちアルバイトをしながら養成所に通いようやく声優になれたのだである。しかし声優界は予想以上に厳しく、なかなか仕事がもらえず、自分たちを応援するのは純粋な気持ちで声優を応援するファンよりもキモくて汚い声優を性的な目で見るおっさんの声豚たちが主なのだ。

新人声優は次第に声優というものに疑問を持ち、今後売れる見込みがなければ声優を辞め普通に就職を目指すつもりでいた。
そんな彼女は、もはや自分が現場でうんこをした声優という悪名が広まることすらかえりみずに半ば自暴自棄でうんこの提案に乗ったのである。

当然、このグラビア撮影は中止になり、後日新人声優は事務所から呼び出しを受けたのだった。



新人声優「事務所の人、怒ってるだろうな……。でも、私は決めたんだ！ 声優なんてやめてやるって。うんこしたことを一生笑われても、声優界の問題を世間に提起できるなら犠牲になってもいいわ！」

事務所の人「おお、来たか新人声優。なんで今日呼び出したかわかるね？」

新人声優「はい……」

事務所の人「いやぁ……、まさかこんなことになるなんて思わなかったよ」

新人声優「………」







事務所の人「いやぁぁぁぁぁーーーーーーーー、良くやったぞ！！」



新人声優「えっ……」

事務所の人「撮影は中止になったけど、今回のことであのカメラマンさんが君のことをえらく気に入ったんだよ！」

新人声優「えっ、ええ！？」

事務所の人「実はあのカメラマン、以前スカトロビデオの撮影をしてた人でね、君のクソっぷりを偉く評価してたよ。また次回、コンディションを整えて撮影頼むってさ！」

新人声優「え、いや、あの……」

事務所の人「それだけじゃないぞ！ 実は君に依頼が殺到しいるんだ。アニメのうんこの排出シーンで君の排出音を使いたいって。この業界は変態が多いからね、需要があるよ！」

新人声優「えっ、じゃあ私はクビにならないんですか？」

事務所の人「クビだって？ そんなことするわけないだろ。これから君をうちの看板声優として売り出していくつもりだよ。業界初"スカトロ声優"としてこれからもよろしくな！」

新人声優「えぇぇぇぇーーーーーーーー！？」



新人声優は思いました……


この業界はまさにクソであると____。



終わり