佐久間まゆ「遠く届かなかったあなたへ」 (30)

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佐久間まゆ「プロデューサーさん、お疲れさまです」

P「おう、お疲れさま 今日もいいライブだったぞ」

どうもこんにちは、佐久間まゆです
今日も一日のお仕事を終えて大好きな運命の人のもとへ

まゆ「プロデューサーさん、今日もご褒美は無しですか?」

ここのところプロデューサーさんが冷たい
今まであんなに優しくしてくれたプロデューサーさん
ライブでもテレビでのお仕事でも
いつも頑張ったまゆの頭を優しく撫でてくれていたはずなのに…

P「あぁ、周りに人も居るしな」

最近こうやって避けられることが多くなった気がする
確かにプロデューサーさんとまゆはプロデューサーとアイドル
繋がってはいけない存在

でも…

まゆ「プロデューサーさん…まゆ何かプロデューサーさんの気に障ることでもしましたか?」

P「ん?いきなりどうした」

まゆ「前までは仕事終わったら撫でてくれていたのに、最近はしてくれなくなりましたよね」

P「怒ってなんかいないぞ、まゆは俺の大切なアイドルだ」

まゆは『大切なアイドル』
まゆはそれ以上の存在になりたいのに
あなたに一番大切にされる存在になりたいのに
アイドルとしては最低かもしれない
けど、まゆにとってはプロデューサーさんの『一番』になる
それだけだった

数日後

まゆはレッスンを終えて帰ろうとしていた時

川島瑞樹「プロデューサー君、お疲れさま」

P「あぁ、川島さん お疲れさまです」

瑞樹「聞いたわよー?」

P「何をですか?」

瑞樹「もう、とぼけちゃて」

瑞樹さんとプロデューサーさんがお話をしている
プロデューサーさんの右手にはいつもの缶コーヒー
仕事が大変な時にいつも飲んでいるもの
でも、いったい何の話なんでしょう?
まゆの知らないプロデューサーさんの話
まゆは二人の会話がよく聞こえるような位置まで移動する
プロデューサーさんの話なら何だって知っていたい
だって運命の人だから

P「ほんとになんのことですか?」

瑞樹「ちひろちゃんと結婚するんでしょ? おめでとう!」

その一言でまゆの頭の中は真っ白になりそうになる
どうせ何かの間違いだ
そうあって欲しいと願いながらその後の会話に耳をかたむける

P「情報早いですね、どこから聞いたんですか」

瑞樹「この間飲み会でちひろちゃんがやけに上機嫌だったから問い詰めたら白状したわ」

P「はぁ、ちひろのやつ…迷惑かけてないですか?」

瑞樹「あら、もう亭主面?」

P「まぁ一応亭主になるんですから」

瑞樹「うわー、もうのろけ始めたわよ」

P「そんなんじゃありませんよ」

話をしているプロデューサーさんはとても幸せそう
まゆの前ではあんな顔は見せなかったのに

瑞樹「まぁ何はともあれ、おめでとう!」

P「ありがとうございます」

瑞樹「あーぁ、先超されちゃったわねぇ」

プロデューサーさんと瑞樹さんの会話はまだ続いていたけど
まゆの耳はこれ以上この会話を聞くのをやめてしまっていた
耳を塞ぎ、嘘だ嘘だと自分に言い聞かせる
心臓がバクバクいっているような気がする

しばらくすると瑞樹さんは立ち去り
プロデューサーさんが一人になる

まゆは頭が真っ白のまま
プロデューサーさんの後ろに立つ

まゆ「プロデューサーさん…今の話本当ですか」

P「…まゆか、今の話聞いていたのか?」

プロデューサーさんの声が聞こえる

まゆへ向けた優しい声

P「まゆにはできるだけ隠そうとしてたんだがな」

プロデューサーさんは優しい声のまま、でも少し悲しそうに言葉を紡ぐ

P「俺は、結婚する」

まゆ「そう…ですか…」

最近少し冷たくなったと思っていたのはこれが原因なのか
まゆはプロデューサーさんの顔をまっすぐ見ることができない

まゆ「おめでとう…ございます」

まゆはこみ上げる何かを必死に押さえながら
消え入りそうな声で言葉を絞り出す

P「あぁ、ありがとうな」

プロデューサーさんはそう言って部屋へと戻っていく
まゆは一人残される
こういうとき少女漫画ではどうなるのだろうか
一人で膝をついて泣き崩れるのかな
でもまゆはそうはならなかった
ただ一人呆然と立ち尽くすだけ
意識がどこにあるのかすらわからない

その日はどうやって家に着いたかわからない
気がついたら家に帰っていて日は変っていた
次の日になっても正直心の整理ができない
一週間経ってもプロデューサーさんの顔を見ると
頭の中が真っ白になって
なんにも考えられなくなる

そして時は流れて
プロデューサーさんの結婚式の日

まゆは学校の制服に身を包み
式場である教会へと入っていく

いつもとは違う
素敵なウエディングドレス姿のちひろさん

そして
いつもと違う
まゆの知らない幸せそうなプロデューサーさん

式の間は黙って見ているだけでいい
今、口を開いてしまうと何かが壊れてしまう気がした

式は着実に進み
誓いのキス

プロデューサーさんがヴェールを捲り
にっこりと笑って
ちひろさんに優しく口づけを…

そこから式の記憶は無い

そして気がついたら披露宴が始まっていた

目の前に運ばれてくる料理も美味しそうに見えなくて

まゆは一人
会場の隅っこにぽつんと座っていた

何も考えられない
…何も考えたくない

一時間くらい経っただろうか
新郎新婦のプロデューサーさんとちひろさんが各席に挨拶回りをしている

そしてまゆがいるはずのテーブルへの挨拶を終わらせると
まゆが隅っこにいることに気がついたのか
ちひろさんに一言かけて
まゆの方へと歩いてくる

P「まゆ…」

まゆ「プロデューサーさん、ご結婚おめでとうございます」

P「あぁ、ありがとうな」

まゆはこの運命の人を
諦めなければいけない

いまもまだ
プロデューサーさんを前にすると言葉は何一つ出てこない

P「まゆ、ごめんな」

プロデューサーさんが謝る

P「本当なら一番に報告するべきだったんだ、でもまゆが俺を好きで居てくれているのはわかっていた」

プロデューサーさんは悲しそうな顔で続ける
まゆはプロデューサーさんのそんな顔が見たいわけじゃ無いんです

P「俺はいつの間にかそんなまゆに甘えていたのかもしれないな」

プロデューサーさんの言葉には優しさとぬくもりが溢れている

P「まゆ、今までありがとう これからもよろしくな」

でも、その優しさが今はつらく感じる


まゆは一つの決心とともに重い口を開く


そう大好きだったあなたに……

まゆ「まゆはプロデューサーさんのことが大好きでした」

それはアイドルとしては最低かもしれない言葉

まゆ「正直今でも好きです」

プロデューサーさんはその言葉を聞くと少し困った顔をする
それでもかまわずに続ける

まゆ「初めて会った時から運命の人と思っていました」

言葉を紡いでいると自然と目から涙が溢れる

次の言葉を最後にまゆは言葉を出せなくなる



まゆ「でもプロデューサーさん、あなたはまゆの運命の人じゃ無かったみたいです」

ここまでのお付き合いありがとうございました

また次回会いましょう

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