渋谷凛「アイドルの才能」 桐生つかさ「生み出せイノベーション」 (38)

1作目 渋谷凛「私をアイドルに……?」 モバP「愉快な仲間達もいます」
渋谷凛「私をアイドルに……?」 モバP「愉快な仲間達もいます」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453748601/)

2作目 渋谷凛「アイドルになった」 水本ゆかり「一緒にがんばりましょう」
渋谷凛「アイドルになった」 水本ゆかり「一緒にがんばりましょう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454008481/)

3作目 渋谷凛「アイドルデビュー」 池袋晶葉「歌を歌うぞ!」
渋谷凛「アイドルデビュー」 池袋晶葉「歌を歌うぞ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454790300/)

4作目 渋谷凛「アイドル、邁進中」 桐生つかさ「トップしか見てないんで」
渋谷凛「アイドル、邁進中」 桐生つかさ「トップしか見てないんで」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455367743/)

5作目 渋谷凛「アイドルに必要なもの」 木場真奈美「強靭な肉体と鋼の精神だな」
渋谷凛「アイドルに必要なもの」 木場真奈美「強靭な肉体と鋼の精神だな」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455862045/)

6作目 渋谷凛「アイドル、上昇中?」 小関麗奈「テーマは悪!」
渋谷凛「アイドル、上昇中?」 小関麗奈「テーマは悪!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1457158113/)

7作目 渋谷凛「アイドルの可能性」 水本ゆかり「新しい自分を見つけましょう」
渋谷凛「アイドルの可能性」 水本ゆかり「新しい自分を見つけましょう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1457885063/)

8作目 渋谷凛「アイドルの日常」 池袋晶葉「ひとやすみも大切だな」
渋谷凛「アイドルの日常」 池袋晶葉「ひとやすみも大切だな」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1463670518/)

の、続きです
過去作を先に読んでいただけると、より話がわかりやすいかと思われます


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1497791257

凛「おはようございます」

つかさ「おはーっす」

凛「あれ、つかさだけか……」

つかさ「なんだその反応。アタシとふたりきりは不満?」

凛「違うよ。ユニットまで組んでるのにそんなわけないでしょ」

つかさ「ジョークだよ。でも凛、事務所に来たばかりのころはアタシとサシになりたがらなかっただろ」

凛「そんなつもりはなかったけど……距離感がつかめてなかったのは事実かも」

つかさ「あの頃は結構かわいげがあったなー、懐かしい」

凛「今は?」

つかさ「年上に対して生意気」

凛「それ、つかさには言われたくない」

つかさ「言えてる」ハハ

凛「ふふ」

つかさ「ほら、冷たい麦茶」

凛「ありがとう。ちょうど喉が渇いてたんだ」

つかさ「できるオンナは気配りがいいってわけよ」

凛「さすが。ところで、さっきから何食べてるの? パン?」

つかさ「これ? コンビニで売ってたチーズカレードーナツ。結構イケるぞ」

凛「チーズにカレーにドーナツ……てんこもりだね」

つかさ「どうせならカツも入れて、チーズカツカレードーナツにすれば最強だったのにな」

凛「さすがに盛りすぎじゃない?」

つかさ「いーや、4つならギリギリセーフっしょ。日曜朝の戦隊モノだって、ロボは合体したほうが強いしな」

凛「つかさって、少年漫画好きそうだよね」

つかさ「人生のバイブルだけど」

凛「そこまで?」

つかさ「嘘」

凛「だよね」

ガチャリ


晶葉「おはよう諸君。今日はいいものを持ってきたぞ」

つかさ「おはーっす」

凛「おはよう。いいものって?」

晶葉「ふっふっふ。知りたいか。そうだろうそうだろう」

晶葉「今回私が発明したのは……これだ!」テレレテッテレー

つかさ「これは……カレー? いや、本物じゃないな」

凛「攻撃力は?」

晶葉「こらこら。さも私の発明品のすべてに戦闘能力が備わっているかのような決めつけはやめないか」

凛「確かに」

晶葉「まあ1900くらいはあるが」

凛「あるんだ」

つかさ「ブラッドヴォルスと同じか。やるじゃん」

凛「それで、このお皿に載ったカレーの模造品はいったいなんなの?」

晶葉「まあ待つんだ。発明品はこれだけではない」

晶葉「このカレーの他に、チーズの模造品ととんかつの模造品を添えてはじめて完全体だ」

凛「………??」

つかさ「チーズカツカレーは好物だけど、さすがに食べられないんじゃターゲット層が不明だな。店の玄関に見本用で置くならアリか」

晶葉「むう、ダメか……本物の食べ物に見えるように頑張って再現したのだが」

凛「まあ、確かに再現度は……あれ、なにこのボタン」ポチッ


ガキンッ! ガキンッ! ガショーン! 

バーンッ!!


晶葉「ああ。カレーの皿についているスイッチを押すと変形合体してチーズカツカレーロボになるんだ」

つかさ「これいくらで買える?」キラキラ

凛「つかさ切り替え早い! というか、食べ物の再現度よりも明らかにこっちの機能がメインでしょ!」

晶葉「いや、こういう機能は普段からよく使っているからたいした労力は」

つかさ「これは絶対バズるわ。アタシが保証する」

凛「ええ……? 本当に?」

つかさ「なんならみんなに聞いてみれば?」

30分後


ゆかり「これ、おいくらですか?」

麗奈「これいくら?」

真奈美「言い値で買おう」

凛「みんな欲しがってるし……あと、真奈美さん男前」

つかさ「な?」

晶葉「ふふふ……我ながら才能が恐ろしいよ」メガネクイッ

真奈美「晶葉……やはり天才か」

晶葉「ちなみに合体すると攻撃力5000になるから真奈美に壊される心配もないぞ!」

真奈美「ほう」

晶葉「……こ、壊そうとはしないで、ね?」

真奈美「しないさ。というより、私は一度も君の発明を壊そうとしたことはないが」

晶葉「結果的に壊れてるから恐れているのだ……」

麗奈「真奈美は晶葉キラーね」ニヤニヤ

つかさ「麗奈キラーでもあるけどな」

麗奈「うっ」←よく叱られている

凛「つかさキラーでもあるけどね」

つかさ「うっ」←よく走らされている

ゆかり「真奈美さん、本当のお姉さんのようで私はお慕いしています」

凛「ゆかり、相変わらず強い……」


今日はここまで
続きは明日の予定です

久しぶりだな楽しみ
このシリーズには鳥つけてないけど鳥つける基準ってあるの?

>>10
このシリーズに関しては一作目で酉をつけ忘れたので、その流れでなんとなくつけないままでやっています

別の日


ゆかり「………」パシャ

ゆかり「うーん………」パシャ


凛「ゆかり、さっきから何してるの? 自撮り?」

ゆかり「あ、凛さん。はい、自撮りをしていました」

凛「誰かに送るの?」

ゆかり「特に送り先は決めていないのですが……今流行りの『彼女とデートなう』に挑戦してみようと思いまして」

凛「あー……なんだっけ。確か」

つかさ「有名人が『彼女とデートなう、に使っていいよ』と自撮りをアップして、一般人がそれを見ることであたかも自分がその有名人とデートしているかのような気分を味わえる。ってヤツだな」

凛「あ、そうそう。それ」

ゆかり「つかささん、詳しいんですね」

つかさ「トレンドには敏感なんで。特にSNSは要チェック」

凛「ゆかりもネットにあげるの? その自撮り」

ゆかり「いえ、私は単純に遊びでやっていただけなので……どちらかといえば、自撮りの練習ですね」

凛「ふーん、そうなんだ」

つかさ「アタシはてっきりPに送りつけるのかと思ってたわ」

ゆかり「え?」

凛「私も。ゆかりならプロデューサーに送るかなって」

ゆかり「ええっ?」

ゆかり「そ、そんな。私はPさんの彼女ではありませんし……」ソワソワ

つかさ「別に、他の芸能人も恋人限定で送ってるわけじゃねえし。こういうのはある程度ノリでやるもんだ」

ゆかり「ノリ、ですか?」

凛「そうだね。たぶん、深く考えなくていいと思う。遊びみたいなものだよ」

ゆかり「私、Pさんとの関係は遊びでは考えたくないのです」

凛「いや、そういう意味の遊びじゃなくて」

つかさ「変なところで真面目なんだよな、ゆかりは。そういうところ、嫌いじゃないけど」

凛「私もそうかも」

ゆかり「? どうして私は褒められているのでしょう?」

凛「ゆかりがいい子だからだよ。だから素直に喜べばいいと思う」

ゆかり「そうですか……では、素直に喜びます。うふふ♪」

つかさ「まあそれはそれとして、このまま状況が進まないのも面白くないから……はい、チーズ」

ゆかり「?」ピース

つかさ「ナイスショット」パシャ

つかさ「『彼女とデートなう、に使っていいよ』っと。ほい、送信」

ゆかり「………」

ゆかり「つ、つかささんっ!?」

つかさ「んー、我ながらカメラマンとしての腕もなかなかだな。たまには撮られる側じゃなくて撮る側に回るのもいい経験か」

ゆかり「あ、本当。よく撮れています……ではなくてっ」

つかさ「お、いいノリツッコミ。凛に続くツッコミ担当の誕生か?」

凛「そもそも私ツッコミ担当じゃないんだけど……というか、本当に送ったの?」

つかさ「いや、画像保存しただけ」

凛「やっぱり」

ゆかり「え? 送っていないのですか?」

つかさ「送ってないよ。本人が乗り気じゃないみたいだし、アタシがそこまでやるのはさすがにな」

ゆかり「そ、そうですか……」

つかさ「お、なにその反応? 実はマジで送ってほしかったとか?」ニヤリ

ゆかり「そんなことは………」

ゆかり「………」

ゆかり「ある、かも……」

凛「認めるんだ……」

ゆかり「えっと。先ほどの自撮りの練習の中で、うまく撮れたものがあったんです。ですから、Pさんに写真を送りたい気持ちはあるんですけど……」

凛「彼女とデートなう、に使われるのは恥ずかしい?」

つかさ「ちょっと意外だな。ゆかりはもっとアグレッシブなイメージだった」

ゆかり「以前なら、さほど躊躇いもなく送っていたと思います。でも……最近は、なんだか……」

ゆかり「彼女とか、恋人とか。そういったことを考えると、身体が火照ってしまって……」

凛(乙女だ)

つかさ(恋する乙女だ)

ゆかり「私、もしかして体調が悪いのでしょうか?」

凛(天然乙女だ)

つかさ(恋する天然乙女だ)


つかさ「けどまあ、こういうトレンドに便乗して攻めてみるのはアリだぞ。タイミングを逃さないのは大事だからな」

ゆかり「タイミングを逃さない……」

ゆかり「……わかりました。私、『彼女とデートなう』をやってみます」

凛「頑張って」

ゆかり「はいっ。ええと、まずは送る写真を選ぶところから――」



ガチャリ


P「ただいまー」

ゆかり「ひゃわっ」

P「ひゃわ?」

凛「おかえり、プロデューサー」

つかさ「お疲れ。会議、どうだった?」

P「俺の管轄……つまり、君達の頑張りが褒められていたぞ」

凛「そうなんだ」

つかさ「最近は自分でも手ごたえ感じてたけど、他人からの評価が入るとまた違うな。アタシもあとで資料チェックするわ」

ゆかり「いい写真、いい写真……」

P「……ゆかりはなにをしているんだ?」

凛「今はそっとしておいてあげて。集中してるから」

P「そうか。ならしばらくひとりにしておいてあげよう」

P「……写真といえばだけど。ついさっき、今流行りの『彼女とデートなう』の写真が携帯に送られてきたんだ」

ゆかり「!」ビク

凛「ついさっき? ……つかさ、まさか」

つかさ「あ、アタシじゃねえよ!? さっきも言ったろ、送ってはないって」

凛「じゃあいったい誰が――」

P「誰がって、真奈美さんだけど」

凛・つかさ「って、あの人かっ!」

ゆかり「真奈美さんも、そういったことをされるんですね」

P「ほら、これ」

つかさ「……うわ、めっちゃ男前な自撮りだな」

凛「彼氏とデートなうにも使えるレベルだね」

P「そうか? 女らしさ満載だと思うけどなぁ」

凛「プロデューサー的にはそうなんだ」

つかさ「まあ、言われてみれば確かに……あの人、時々ガチでPを落としにくるイメージだわ」


ゆかり「………」グッ

ゆかり「……あら? どうして私、今、力んでしまっていたのでしょう?」

今日はここまでです

つかさ「つか、それなら全員でやっちゃう? 彼女とデートなう」

凛「全員って、私達みんなってこと?」

つかさ「そ。そのほうがゆかりもやりやすいだろ。アタシも凛も、そこで遊んでる麗奈と晶葉も、それぞれPに写真を送るってわけ」

つかさ「ゆかりはどう?」

ゆかり「………」

凛「ゆかり?」

ゆかり「あっ、はい!? あ、えっと、そうですね」

ゆかり「みなさんと一緒なら、思い切って挑むことができそうです」

麗奈「ちょっとちょっとー。なにアタシたちまで巻き込んでるのよ」

つかさ「あ、聞こえてた? ならちょうどいいな」

麗奈「ちょうどいいな、じゃないわよ! なんでこのレイナサマがPに自撮りを送らなきゃいけないのよ! しかも彼女的な設定で!」

つかさ「ノリ」

麗奈「ノリもボンドもないわよ!」

凛「そのフレーズ生まれて初めて聞いた」

麗奈「ほら、晶葉だっていきなり巻き込まれて」

晶葉「ちょっと待ってくれ。今勝負メガネを持ってくるから」

麗奈「撮る気マンマン!?」

晶葉「まあ、たまにはいいじゃないか。助手との関係を新たなステージに置いてみるのも……うむ」

晶葉「………助手兼恋人、かぁ」

麗奈「ど、どうしたのアンタ。なんかピンクなオーラが出てるわよ」

麗奈「凛の蒼いオーラに隠れよっと……」

凛「ちょっと、蒼いオーラってなに」

P「まあ、実際に恋人というのはありえないわけだけど。みんなは俺のこと、一言でどういえばどういう対象として捉えているんだ?」

凛「プロデューサーはプロデューサー、じゃない?」

P「できればそれ以外で頼む」

凛「なら……うちの花屋のリピーター」

P「なるほど。確かに凛をスカウトして以来、贔屓にさせてもらってるからな」

凛「もっとお金落としてくれていいんだよ」

P「なんだか金づるみたいな言い方じゃないか?」

凛「冗談だよ、ふふ」

麗奈「Pは家来ね! いざという時はアタシをかばいなさい!」

つかさ「ビジネスパートナーだな。それも有能なヤツ」

晶葉「助手は……うむ、やはり助手だ。それが一番だ」ニコニコ

P「こうして聞いてみると、みんなバラバラな感じで俺のことを見ているんだな。ゆかりはどうだ」

ゆかり「私は……そうですね」

ゆかり「私が楽器だとするなら、Pさんはその演奏者……私を使って、素敵な音楽を奏でてくれる人です」

ゆかり「私自身も知らない私の姿をさらけ出して、すべてを使って奏でてくださる……とても感謝しています」ニッコリ

つかさ「……P」

凛「えっち」

P「俺が悪いのか!?」

翌週


凛「ランクアップ?」

P「そう。ランクアップだ」

凛「………」

凛「これ?」スッ

P「いや、ランクアップマジックじゃない。というか、どうしてカードを持っているんだ」

凛「最近私もデュエルに毒されているのかもしれない……」

凛「えっと。ランクアップって、アイドルランクのことでいいんだよね」

P「そうだ。そのアイドルのファンの人数などで決まる、アイドルの人気具合を表した指標」

P「今まで凛は、Eランク……いわゆる『駆け出しアイドル』の位置にいた。でも今日からは『一人前のアイドル』のDランクだ。おめでとう」

凛「私が、Dランクアイドル……いいのかな。一人前だなんて」

P「俺が君をスカウトしてから、君はずっと一生懸命努力を続けてきた。俺の言葉を信じて、みんなと一緒に頑張ってくれた。その過程で、たくさんの経験を積んでくれたと思う」

P「その結果が今だ。だから、胸を張っていい。まだまだ未熟な部分もあるけれど、凛はもう一人前のアイドルだよ」

凛「………うん。ありがとう、プロデューサー」

P「お礼を言うのは俺のほうだ。よくここまでついてきてくれた」

P「凛には、アイドルの才能がある。俺の目に狂いはなかった」ニコニコ

凛「才能……ねえ、それって」


「アーッハッハッハ!!」


P「この声はっ」


「アーッハッハハハゲホゲホっ!!」

凛「この咳き込みは麗奈だね、うん」

麗奈「咳き込みで判断するなっ!」



麗奈「コホン! とにかく、Dランクに上がっただけで最終回みたいな雰囲気出してんじゃないわよ!」

麗奈「このレイナサマはひと月前にもうランクアップしてるんだから」

凛「確か、私以外のみんなはもうDランクに上がってるんだよね」

P「凛はウチに来た時期が一番遅かったのもあるけどね」

麗奈「アタシたちの世界征服への道はまだ始まったばかり! こんなところで満足されたら困るのよ!」

凛「いつの間にか世界征服に巻き込まれてる」

麗奈「だってひとりだと大変だし……手伝い欲しいし……」

凛「そんなところでリアルな思考出してこないでよ」

麗奈「アタシが世界を手にした暁には、その半分をくれてやってもいいわ!」

P「太っ腹だな」

麗奈「あ、待って。やっぱり半分じゃなくて三分の一……でもなくて七分の一くらいで……」

凛「ケチ臭い……」

麗奈「うっさいわね! ちゃーんといろいろ計算するのも世界征服には必要な才能なのよ!」

P「それは確かに」

麗奈「でしょー?」フフン

凛「………」

凛(才能、か)



翌日


凛「おはようございます」

真奈美「おはよう、凛」


バーン! ドガーン!


凛「なんだか騒がしい」

真奈美「ああ、麗奈とつかさのいつもの勝負だよ。今日はお昼のパンを賭けているらしい」

凛「あのふたりも飽きないね……それにしても、いつも以上に音がすごくない?」

真奈美「ああ、それは」


つかさ「いけっ、ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン! 滅びのバースト・ストリーム!」

グオオオオオン!!

麗奈「ぎゃーっ! アタシのおジャマ・ブラックが!」

つかさ「よーし、これで勝利は目前。とはいえ油断は禁物」

麗奈「まだまだ、ここから逆転するのがレイナサマよ!」


真奈美「晶葉特製のソリッドビジョンシステムでデュエルをしているからだ」

凛「ふーん」

晶葉「待て待て、もう少し驚け。私の苦労が報われるくらいのリアクションを見せてくれ」

凛「だって、この調子だといつか作るだろうなって思ってたし」

晶葉「むむ……私の計算だと全員ブルーアイズの迫力に腰を抜かすはずだったのに」

真奈美「まあまあ、そうむくれるな。逆に言えば、これくらいわけもなく作ってしまえると思われるほど、普段の晶葉の発明が優秀だということさ」

凛「あ、それは言えてるかも。晶葉だから、みんな驚かないんだよ」

晶葉「む……そ、そうか?」

真奈美「そう。晶葉の才能と努力あってこそのものだ」

晶葉「まあ、私は天才だからな! 天才でも少し照れるが」テレリ

凛「ふふっ」

晶葉「むぅ」

凛「そんな天才晶葉も、プチトマトには弱いんだ」

晶葉「まさか今日の日替わりランチに入っているとは……ちゃんと確認すればよかった」

凛「ランチのメニューにもプチトマトは書いていなかったけどね。メインの唐揚げだけ書いてた」

晶葉「よくない。それは不親切だ」

ゆかり「食べられないなら、私がかわりにいただきましょうか?」

晶葉「いいのか? ならその言葉に甘えて」

凛「あんまり好き嫌いで甘やかすのもどうかと思うけど……トマトって、ダメな人は本当にダメらしいし、仕方ないかな」

ゆかり「今回はたまたま注文してしまったわけですし、優しくしてあげましょう」

凛「そうだね。トマトはふたつあるし、私達で一個ずつ食べようか」

ゆかり「はい♪」

晶葉「あれか、君達は私の両親か。どっちが父でどっちが母だ」

ゆかり「私も凛さんも女性なので、お父さんにはなれませんよ?」キョトン

晶葉「ツッコむところがちょっとずれてるぞ……」

ゆかり「??」


麗奈「あーあ、もうちょっとでつかさに勝てるところだったのに」モグモグ

凛「予定だと、今食べてるカレーパンを奢ってもらうつもりだったの?」

麗奈「そうそう! せっかく『つかさー、カレーパン買ってきなさいよ~♪』って言えるチャンスだったのに」

凛「満面の笑みで言いそう」

ゆかり「ちなみに、勝ったつかささんは麗奈さんになにを頼んだのでしょう?」

麗奈「『カレーパン買ってきて』」

凛「仲いいね、ふたりとも」

晶葉「思考回路が同じなのか」

夕方


凛「真奈美さんとつかさ、遅いね。オーディション、もう終わってるはずなのに」

P「ああ。さっき電話があって」

凛「電車が止まってるとか?」

P「止まってるから一駅分走って帰るって」

凛「走るんだ」



ガチャリ


真奈美「ただいま」

つかさ「た……ただいま……」ゼーゼー

凛「おかえり……大丈夫? つかさ」

つかさ「電車動くまで……ぜぇ、駅で待っとけばよかった……はぁ」

真奈美「そう言うな。いい汗かいただろう」

つかさ「かきすぎたからシャワー浴びてくるわ」

真奈美「私も行こう」

つかさ「浴びてきた」

真奈美「さっぱりしたな。この感覚までセットで、やはり走るのは気持ちがいい」

ゆかり「おかえりなさい。つかささん、真奈美さん。冷たい麦茶、入れましょうか」

つかさ「サンキュ、頼むわ……って、あれ? ゆかり、いつもと髪型が」

ゆかり「これですか? 麗奈さんにならって、おでこを出してみました」

真奈美「いいじゃないか。普段と印象が変わって、これはこれで似合っているな」

ゆかり「あと、涼しいです」

麗奈「涼しいわよ」

つかさ「ふうん。なら、アタシもリスペクトしてみるか」

真奈美「では私も」

晶葉「せっかくだし私も試してみよう」

凛「………」

凛「私も?」

一同「うん」

凛「しょうがないな……」イソイソ

つかさ「たぶん混ざるタイミングうかがってたやつだな」


つかさ「おー、涼しい涼しい。すーっとするな、これ」

P「みんなそろってお揃いか。仲良しだな」

麗奈「アタシの人徳ね! またの名をカリスマ!」

ゆかり「うふふ、そうですね」

麗奈「アーッハッハ……暑くなるから今はやめとこ」

その後


凛「………」

つかさ「………」

凛「………」

つかさ「……アタシの顔、なんかついてる?」

凛「あっ、ごめん。そういうわけじゃなくて」

つかさ「考え事? カレーは麺みたいに伸びたりしないけど、冷めないうちに食べたほうがうまいよ?」

凛「そうだね。ごめん、せっかくごはんに誘ってくれたのに、うわの空で」

つかさ「なんかあった?」

凛「たいしたことじゃないんだけど……最近、才能について考えてて」

つかさ「才能?」



凛「この前、プロデューサーに言われたんだ。私にはアイドルの才能があるって」

つかさ「へえ、Pに」

凛「私には、自分のどういうところが『才能』になるのか、まだわからない。きっとそれは、これから見つけていくものだと思ってる」

凛「だから、それ自体はあんまり気にしてないんだけど。ちょっと、みんなの才能を考えてた」

つかさ「みんなって、アタシら?」

凛「そう。たとえば、ゆかりはみんなを癒す才能。晶葉は発明の才能。麗奈はへこたれない才能。つかさと真奈美さんは……なんか全体的に」

つかさ「アバウトだな、オイ」

凛「だって全体的に強いし。特に真奈美さん」

つかさ「まあ、あの人は弱点らしい弱点ないしな……」

凛「確か、自分で言ってたよね」

つかさ「普通なら自分へのリサーチ足りてねえって言うところなんだけど、あの人の場合はマジだから」

凛「天才?」

つかさ「かもな」


凛「つかさは、自分のことを天才じゃないって言ってるよね」

つかさ「ああ」

凛「どうして? 私から見たら、つかさも十分すごいと思うけど。怖がりなのも含めて」

つかさ「怖がりなの含めんな」

凛「あはは」

つかさ「ったく……天才かそうじゃないかっていうのは、人によって基準が違うからな。その辺口で説明するのは難しいし、説明したところで凛が納得するかどうかもわからねぇ」

つかさ「けど、ひとつだけ言えることがある」

凛「ひとつだけ? それって」

つかさ「天才じゃないヤツがトップをつかむ方が、面白いだろ?」フフ

凛「………」

つかさ「なにその反応。鳩が豆鉄砲食らったみたいな」

凛「………ぷっ。ふふっ……ああ、うん。なんか、安心した」

つかさ「?」

凛「つかさってさ、頭がよく回るし、難しいことをよく考えてるけど……肝心かなめのところは、すごくまっすぐでわかりやすいよね。私、つかさがそういう人でよかったなって」

つかさ「当たり前っしょ。真ん中の核がひん曲がったらそれはもうアタシじゃないし」

凛「うん。私、つかさのそういうところ好き。改めて、ユニットを組めてよかったと思う」ニコ

つかさ「お、おう……なんか、ガツガツ来るな、凛」

凛「変かな」

つかさ「……いや。考えてみれば、お前もたいがいストレートなヤツだもんな」

つかさ「ふたりで起こすか。アイドル界にイノベーション」

凛「うんっ」

つかさ「よし!」ニコッ

つかさ「それはそれとして、今は冷める前にカレー食べるぞ」ガツガツ

凛「ガツガツいってるね」

つかさ「チーズカツカレーに対してはお互いにガツガツ直球勝負なんで」

凛「カレーに負けた気分なんだけど」

つかさ「凛かチーズカツカレーかと問われたら……うーん」

凛「迷ってほしくないんだけど」

つかさ「ははは」

凛「もう………ふふっ」


凛(私にどんな才能があるのか、あるいはないのか。それはまだ全然わからないけど)

凛(とりあえずは、この『天才じゃない』パートナーと一緒に、トップアイドルに挑んでいく。それは面白そうだなって、確かに感じた)



同時刻


ゆかり「………」

晶葉「どうしたゆかり。じーっと100円ショップの商品を見つめて」

ゆかり「あ、はい」

ゆかり「このチョビ髭をつければ、私がお父さんになれるのかな、と」

晶葉「まだ引っ張っていたのか!?」




おしまい

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
一年ぶりに続き書きました。なんとか終わりまでいきたいとは思っているので、最後まで読んでいただければうれしいです


過去作
佐藤心「あんにゅいはぁと」
二宮飛鳥「七夕アフター」 佐藤心「そうめん食べるぞ☆」
などもよろしくお願いします

比企谷八幡

信じていた2人に裏切られたことにより原作よりも捻くれている。
修学旅行で告白したいという依頼をした戸部と、告白を阻止して欲しいという遠まわしに依頼した海老名の間で雁字搦めになりながらも、嘘告白という方法をとり、依頼を解消した。
海老名の依頼には雪ノ下と由比ヶ浜は気が付いておらず、信じていた2人に拒絶されたことにより誰一人信じることが出来なくなった。
依頼を解消した竹林で立ち尽くしていたところ、闇商人と名乗る青年に気に入られ、覚醒していなかった七つの人格を覚醒させてもらったと同時に復讐を決意する。
別の人格の時は見た目が部分的に変化する。
その七つとはべつにもう一つある人格には、八幡は気がついている。
修学旅行後、八幡は山に篭もり、座禅を組んだり、狩りをしたりしていた事で一週間で修行が終えた。残り一つの人格であるバハムートも手なずけようとし、更なる修行を積み重ねた結果、バハムートに気に入られ、全ての人格をコントロール下に置くことができた。その修行が終わる頃には人格が変わることによる見た目の変化を押さえ込むことができるようになったが、どうやっても目の色の変化は押さえ込めなかった為、別人格の時は目の色だけが変化する。修行中、海外の紛争地域で多くの紛争を鎮圧させてきた。一部の人の間でのみ、その存在を公開されており、知っている人の間では『大罪のバハムート』という生きる伝説として伝えられ、鎮圧された紛争地域はすべて武力放棄したという。

ラース(憤怒)
運動能力と格闘能力と動体視力が上がるが、口調が古風で硬派な不良になる。理不尽なことや、曲がったことが嫌いなので、目の前でそれが起きるとキレる。
目の色は紅くなり、髪の毛が逆立つ。

ラスト(色欲)
声や雰囲気から、ものすごく色気が漂うようになる。さらに精力が無制限になる。そこら辺の一流ナンパ師涙目な程のナンパ師となる。時々男が掛かることがあるらしい。屑男を許せない。
引っ掛かった女性は、口を揃えて
「彼と共に過ごした時間は夢の様だった。」といい、後腐れなく別れるらしい。
髪が銀色になり、目の色がマゼンタカラーに変わって眼鏡を掛ける。

グラトニー(暴食)
食べることが大好きで料理の腕前は五つ星ホテルのレストランの料理長レベルを遥かに凌駕する。食べ物を粗末にしたり、食事を邪魔したりするとキレる。時々他の人に料理を振る舞う。目の色がスカイブルーになり、髪が肩まで伸びる。

スロウス(怠惰)
見た目はほぼ変わらないが目の色が紫色になる
動きが早くなったり遅くなったりするようになり、口癖がダルいになるが、相手の心理を読み、攻撃や、人やモノをスルスル避ける様な移動方法になる。考えや心まで読める。基本的に誰からも感知(匂いや、姿形が、感じられなくなり、物質まですり抜ける為。)された事がない。

エンヴィー(嫉妬)
髪が金色になり腰まで伸びる。目の色が緑になり、
嫉妬深くなる。代わりに翼や、推進力なしに空中を移動できる。
性格面はサバサバ系になる。

グリード(強欲)
あらゆる事に欲深くなり、欲しいものはどんな手を使っても手に入れる。所有欲や、独占欲がバカみたいに強くなるので、邪魔するヤツや欲しいものを持っている奴をあらゆる手を使って排除する。
代わりにどんな攻撃もいとも容易く受け止めることが出来るほどに体を硬質化出来る。
見た目は白い髪、白目部分が黒、瞳の部分が赤の喰種カラーの目になる。

プライド(傲慢)
見た目は変わらないが異常な威圧感を纏っている。目の色は金色になっている。
会話を自分の都合の良い様に誘導したり交渉(という名の一方的な命令)を素で行う。基本的に高圧的な態度なのでいつもすごく怖がられる。一応八幡の人格の内、三番目の権限を持っている。(一番は八幡、2番目はバハムート。)

バハムート(漆黒の暴龍皇)
髪の形が龍の角のような形に、背中からは大きな翼、太い尻尾が生えていて目の色は右が赤、左が青になっている。
かなりドSで、別の人格すべての力を使える。
やり過ぎることが多く、被害や損害が激しい為基本的には、眠ってもらっている。
八幡が紛争地域を鎮圧した時の人格はバハムート。まるで、本物の龍のように口から炎を吐いたり、空を飛んだり、出来る。本気を出すと見た目がFFに出てくるバハムート零式のようになる。

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