【プリパラ】ドロシー「いつも僕は迷惑」 (27)

「もしもし、どうしたのママ」

「え?久しぶりに帰ってこい?」

「わかった。次の土日には帰るからさ」

「うん。じゃあ」

そういや引っ越してから1回も実家に帰ってなかったっけ。

「パラ宿か……」

なんとなくつぶやいた。

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- 僕はいつも迷惑 -

久しぶりに”ここ”に来た気がする。数年前まで僕とレオナの部屋だったのに、今は僕1人しかいない。
レオナは僕と違う道に進んじゃったからここにはいない。だから、この部屋に僕1人って言うのも……始めてだった気がする。いつも、レオナと一緒だったから。

そんな部屋にはベッドが1つあるだけで、それ以外には特に何もない。昔はもっと色々あったのになあ。なんか寂しい。

部屋で大の字になって天井を見てみる。もちろん特に何も無いけど。
今日はお店は休業日で、ママとパパは今でかけてるから家には誰もいない。だから退屈。

なんだか疲れて来てなんだか眠くなってきちゃった。誰もいないし少し一眠りしよっと。

「ドロ……さ……」
「……シー……!」

誰かに呼ばれてる。でも誰なのかよくわからない。あれ、なんだっけこれ。どっかで聞き覚えがある。
誰なのか全く思い出せない。……誰だ?

そんなことを考えてるうちに、その”声”はだんだん小さくなってきてついに聞こえなくなった。
間違いなく聞いたことがある声だった。でもよくわからない。

そもそも、いつ僕がこの声を聞いたのか。よく覚えてない……。

グゥ~。

お腹の虫の音が鳴って目が覚めた。あれはなんだったんだろう。何か、何かあったような……。

そういえば、そろそろお昼か……。そういや、引っ越してからもんじゃ作ったことなかったなあ。

「よし、久々に作るか!」

すぐに起き上がってお店のキッチンに行くことにした。今日は久々に腕がなる。
早速下に降りていった。

下に降りていくと、誰かが座っていた。あれ、鍵は閉めたはずなのに。
今日はお店はやってないことを伝えようと、近づいて見ると、頭にお団子が2つ。よく知ってる人だった。

「らぁら?」
「あ、ドロシーさん……」

真中らぁら。トレードマークのお団子は昔から変わらないけど、髪は長くなっていた。お子ちゃまだった昔とは全然雰囲気が違う。

「久しぶりじゃん。どうしたんだ?」
「別に。なんとなくお店に来ただけ」
「うーん、でも今日は休みだぞ?」
「知ってるよ。ただ、なんとなく」

性格も大人になっちゃったらしい。僕なんか未だに子ども扱いされるのに……。

そういえばもんじゃ作るために下に降りたんだった。らぁらいるけどどうしよ。

「そうだ!今からもんじゃ作ろっかなって思ってたんだけど、食べてく?」
「……うん」
「よっしゃ!」

らぁらからOKを貰った僕は2人分のもんじゃを作っていく。久々に作るから、最初は少し注意深く。
でも、すぐにコツは思い出した。体がちゃんともんじゃの作り方を覚えてた。うん、うまくできそうだ。

もんじゃがうまく出来上がった。久々なのになかなかやるじゃん僕。

「ほい!お待たせ!ドロシー特製もんじゃだよ!」
「……ありがとう、ドロシーさん」
「おう!」
「……」

……らぁらがもんじゃを食べようとしない。もんじゃは熱いうちが美味しいのに。

「ほら、早く食べないと冷めちゃうぞ」
「あ、うん、ごめんね」

そう言ってらぁらはふーふーしはじめる。なんかこう言う時だけ、子どもっぽい気がした。

「……いただきます」

もんじゃを食べるらぁらを見るのは久しぶりで、昔はよく食べさせてたのになんか新鮮に思える。

「美味しい……」
「ふふん、あったりまえだろ?この僕が作ったからね!」

そう言いながら、らぁらの顔を見ると。

──らぁらの目から涙が流れていた。

「あれ、らぁら、泣いてる?大丈夫か?」
「えっ……?」

らぁらが驚く声しながら、固まった。……なんか、今日のらぁら、変な気がする。

「ううん!ごめん!なんでもない!」

そう言いながら慌ててらぁらは涙を拭う。

「……本当に?」
「本当に大丈夫だから!うん!」

……間違いなく変だ。なんだか引っかかるんだけど、よくわからない。

「大丈夫なら、いいんだけどさ」
「ううん、ごめんね、ドロシーさん」

らぁらは昔の時から間違いなく変わった。でも、らぁららしくない。何か違う……。

「ありがとうドロシー、じゃあ私帰るね」
「こちらこそありがとならぁら、気をつけろよ」
「……うん」

もんじゃを食べ終わったらぁらは家に帰るみたいで。普通にいつも通り見送る。



らぁらが僕に背中を向けて歩き出す。その背中は、よく見ると何か寂しそうで、なんか、怖かった。
もし、ここでらぁらを、このままらぁらを返したら、僕は、僕は……。

らぁらがドアに手をかける。らぁらが帰っちゃう。やだ、そんなのやだ。

気がつくと僕はらぁらの手を掴んでいた。もう無意識だった。

「ドロシーさん、離して?」
「ごめん」
「ごめんって言うなら、離してよ」

らぁらの声が震えてる。でも僕はただ「ごめん」と言うしかなくて。

「ねえ、離してよドロシーさん!離して!」
「……ごめん」

だから逃げられないように抱きしめた。離したくなかった。

「ドロシーさん、なんで離してくれないの……」
「ごめん……」
「せっかくドロシーさんのこと、どうでもいいって、思えるようになったのに、こんなの、んっく、ずるいよ……」

らぁらのすすり泣く声が聞こえる。らぁらがどんな思いだったかやっとわかった。だから、僕は「ごめん、ごめんね」って謝ることしかできなかった。

他に言える言葉がなかった。

──大学はわざとパラ宿から遠いところを選んだ。今まで僕は色んな人に迷惑かけてきた。だから誰にも頼らなくていいようにした。
レオナとか家族以外には誰も教えなかった。嘘をついた。だから、パラ宿駅で見送りに来たのは家族だけだった。



なのに、新幹線に乗って、発車するときにふと窓から駅のホームを見たら、らぁらがいて。すごく顔をくしゃくしゃにしながら、「ドロシーさん!」って叫んでて。
でも、無情にも新幹線は動きだして、僕には何もできなかった。窓から見えるのは、だんだん遠くなっていくらぁら。そのらぁらが泣きながら走っているのを見て、なんだかつられて泣きそうになった。

でも、迷惑をかけたくないとそのことを自体を忘れようとした。そして、忘れた。

今、僕はやっと思い出した。僕はらぁらに、みんなに、迷惑をかけっぱなしだった。なんて僕はバカなんだろうと。

「ごめん、ごめん、らぁらごめん」

いつの間にか泣いてた。泣きながら、謝るしかなかった。謝っても謝っても謝りきれないから、謝るしかなかった。

「ドロシーさんの……ぐすっ……バカァ……」

店の中で2人だけで、僕たちは泣いていた。今まで抑えていた気持ちが溢れ出した。

泣き疲れてしまったから、僕とらぁらは僕の部屋だった部屋に来た。

「ドロシーさんの部屋、久々だなあ」
「そうだね。らぁらがいるのは久々」

こうやって友達が来たのも久々で新鮮だった。隣にらぁらがいるのが、不思議な感覚。

「なんでドロシーさん、黙って遠い大学行っちゃったの?」
「……みんなに迷惑かけないように、一人暮らししようって思ったから」
「……ドロシーさんって昔から何も変わらないね」
「なっ……違うって言えないのが悔しい」
「ふふっ」

こんな感じで久々にらぁらと話せるのも新鮮だった。

「てか、らぁらなんであの時ホームにいたの?家族以外誰にも教えてなかったのに」

気になることを聞くと、らぁらは口に指をあてて、「それはね……今はまだひみつ」って。
なんだよそれって言ったけど、勝手に黙って遠くに行った僕が深入りできるわけもなく。

そういえば、らぁらのこと最近よく知らなかったや。

「そういや、らぁらは何やってんのさ。もう高3だろ?」
「この前大学受験して、今は結果待ち」
「ふーん。そうか、らぁらも受験生かー。ちょっと前までお子ちゃまだったのに」
「もー!ドロシーさんってば!」

受験生ってことはどこの大学に行く気なんだろう。昔のらぁらは僕と同じぐらいテストの点数悪かったけど、今のらぁらはよくわからない。
まあ遠くに逃げ出すために、必死に勉強した僕よりは、ちゃんとしたところに決めてるんだろうけど。

「ところでらぁらはどこの大学に行くんだ?」
「うん、えっとね。耳貸して?」
「え?いいけどさ」

まだ合格決まってないから、あまり知られたくないのかな?って思いながら耳をらぁらに近づけると。

──。

頬に柔らかい感触があたった。

「えへへ、こう言うことですよ」

……うん、さすがに僕でもわかるよ。

「じゃ、私、今日は帰りますね。またね、ドロシーさん」

……らぁらがいなくなって、部屋に1人だけになった。急に顔が熱くなってきた。胸がドキドキしてきた。やばい。やばい。
らぁらは僕より年下なはずなのに、なんで僕より大人なんだろう。

「あ、そうだ、ドロシーさん!」
「うわぁ?!びっくりさせるなよー!」

急にらぁらが戻ってきたから、びっくりした。なんだよいきなり。

「こっちに帰ってきたなら、私以外にもちゃんと謝らないとダメですよ。特に南委員長とシオンさんにはね」
「わ、わかったよ!ハハハ」

ひぃ~!あの2人は間違いなくやばいって!殺されるって!別の意味でドキドキするよ!

「じゃ、今度こそじゃあね。ドロシーさん」
「うん。またな、らぁら」

今度こそらぁらが帰る。でも、1つだけ言わなきゃいけないようなことがあった気がして。

「あ、らぁら!」
「なに、ドロシーさん?」

なんとなく呼びかけちゃった。まあ大したこと言うつもりはないんだけど。

.      ・・・・・・・
「いや……またよろしくな、らぁら」

その言葉を言った瞬間にらぁらは目を大きく見開いて驚いた顔をしていた。でも、すぐ元の笑顔に戻って。

「うんっ!かしこまっ!」

そう笑顔で言ったらぁらは、下に降りていった。なんだ。やっぱり、おこちゃまじゃないか。



……さて、そろそろ僕はでかけますか。みんなとまた、トモダチになるためにね。

これで終わり
色々幅広げられそうなので、続き書いてみたいですね

ありがとうございました

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