春菜「ひなさなはるなお!」奈緒「眼鏡デビュー」 (23)

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比奈「りなひなつみ!」夏美「サプライズ」
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……第7部署……


奈緒「んん……」グニグニ

比奈「……どーしたんスか、眉毛をぐにぐにつまんで」

奈緒「別に眉毛をつまんでるわけじゃなくてさ……目の上が痛いんだよ……」グニグニ

比奈「あー、典型的な眼精疲労っスねー」

奈緒「だよなぁ……最近夜更かししてアニメ見てるのがまずかったかなぁ……」

比奈「そもそもアイドル的に徹夜はダメっスよ」

奈緒「比奈さんには言われたくないなぁ」

比奈「蒸気で目を温めるタイプの使い切り快眠グッズなら持ってるんスけど、使いまスか?」

奈緒「……なんで持ち歩いてんの……?」

比奈「事務所で寝ることもありまスからね」

奈緒「家でしっかり寝てから事務所に来いよ……いや、今のアタシが言えたことじゃないか。とりあえずそれ貰っとこうかな」グニグニ

比奈「はいどうぞ。今からでも家に帰ってからでもご自由に使ってください」

奈緒「サンキュー」

奈緒「まあでも、眼精疲労は今に始まった事じゃないんだよなー」グニグニ

比奈「テキスト・サム損傷、ストレートネック、ファントム・バイブレーションに並ぶスマホ病っスね」

奈緒「テキスト・サム損傷ってガセネタだったんじゃないっけ……?」

比奈「まあそこの真偽は置いておきまして。その痛みはほぼ間違いなく、若者にありがちなスマホの使い過ぎが原因っスね。あとはPCとか……」

奈緒「どっちもだな、うん。ロケバスとかタクシーは暇な時が多いからスマホは結構使うし、家にいる間はPCの前にいること多いしさ」

比奈「1人だとやることないっスからねぇ……」

奈緒「うーん、そろそろ本気でブルーライト対策した方がいいかも。寝る前にスマホ見出すと眠れないし目が痛いしで堪ったもんじゃないからさ」

比奈「スマホの液晶保護フィルムでも買い替えまスか?」

奈緒「それもいいけど……ほら、ちょっと前に話題になったあれがあるじゃん。ブルーライトカットメガ」

バァン!!

春菜「ブルーライトカットメガネの話と聞いて!!」

奈緒「うおっ」ビクッ

春菜「2人共水臭いじゃないですか! 眼鏡の話題に私を呼んでくれないなんて!」

奈緒「いや、話題の中心は眼精疲労なんだけど」

春菜「しかしご安心を! この上条春菜が来たからには安心安全フィット感抜群の眼鏡を選定して差し上げましょう!」

奈緒「聞けよ!」

春菜「ええ、しっかり聞いていますとも! 聞いているからこそ逆にお聞きしますが、比奈ちゃんも奈緒ちゃんもお時間ありますか?」

比奈「私は暇っスよ。エッセイの仕事も急ぎじゃないんで」

奈緒「アタシも暇……ってちょっと待て! 今からか!?」

春菜「善と眼鏡選びは急げ、ですよ! さあ行きましょう!」

奈緒「別に急いでるわけじゃ……」

春菜「何を甘いことを言ってるんですか!」クワッ

奈緒「うおっ」

春菜「確かに今では即日に眼鏡を手渡してくれる店も多いです……しかし! だからと言って後回しにしていいものではありません! しかも今回の場合眼精疲労ということじゃないですか! アイドル生活に支障が出ますよ! それで急を要さないと言えましょうか!?」グイグイッ

奈緒「行く! 行くから少し落ち着け!」

春菜「比奈ちゃんも行きますよね?」

比奈「まあ時間ありますし……ついでに眼鏡のメンテナンスしてもらうとするっス」

奈緒「悪いな、付き合ってもらっちゃって」

比奈「いえいえこのくらい……ところで春菜ちゃん」

春菜「はい?」

比奈「その、春菜ちゃんが小脇に抱えている紗南ちゃんはどうしたんスか?」

紗南「…………し、死ぬかと思った……」ブラーン

比奈「……まあ元気そうで何よりっスけど」

紗南「何を見てその判断!? 疲弊してるし拘束されてるのわかるよね!?」ジタバタ

春菜「先程までロビーで紗南ちゃんと普段の変装、主に眼鏡について話していたんですが……何やら第7部署からメガネトークの波動を感じてしまい、いてもたってもいられなくてこんな状況に!」

紗南「急に抱えられたから何事かと……人さらいに袋詰めにされて隠し街に連れていかれた狩人はこんな気分なのかな……」

比奈「こら14歳」

紗南「あっ……き、禁止されてるわけじゃないし? CEROもZじゃないし?」アセアセ

比奈「ビルゲンワースの蜘蛛が夢に出る呪いでもかけておきましょうかね」

紗南「やめて」

比奈「かわいいじゃないですか」

紗南「啓蒙の高さを披露しないで」

奈緒「お前ら本当に話を脱線させるのが好きだなぁ……」

春菜「まあそういう訳で、この4人で眼鏡屋に行きましょう!」

奈緒(春菜もぶれないなぁ……)

比奈「じゃあ準備しましょうか」ヨッコラセ

紗南「……比奈さん、なんかこういう展開に慣れすぎじゃない?」

比奈「伊達にユニット組んでないってことっスよ」

春菜「デュオもトリオもクインテットもこなしてますからね!」

比奈「サイバーグラス、レッドBP、ブルーナポレオンと……その内また違うユニットでご一緒しそうっスねぇ」

奈緒「……比奈さんも春菜も大変だな」

紗南「だね」

ひなはるな「「どういう意味です(っス)か!?」」

……眼鏡屋……


春菜「着きましたよ!」

さなお「「…………」」

春菜「おや、どうかしましたか?」

奈緒「いや、普通の眼鏡売り場だなーと……」

紗南「眼鏡マニア御用達の隠れ家的ショップに案内されるかと身構えてたんだよね」

奈緒「そうしたらCMでよく見るような店だったからさ」

春菜「確かにそういう店は知っていますが……」

紗南(知ってるんだ)

春菜「今回はファッションとしてでも変装としてでもなく、あくまでブルーライト対策ということですからね。そういう凝った店は避けておきました。個人営業の店だったり店舗が限られているお店だとメンテナンスも気軽にできませんし」

奈緒「な、なるほど……しっかり考えててくれたんだな」

春菜「もちろんです! 眼鏡の相談に関しては真摯に対応しますよ!」キラーン

比奈「すいません店員さん。これクリーニングしてもらえたりしまスか? 付き添いなのに申し訳ないんでスけど……」

店員「いえいえ、今日はお客様も少ないので大丈夫ですよ」

比奈「よかった、それじゃあお願いしまス」

春菜「折角なので視力検査もしてもらったらどうですか?」

比奈「さ、さすがにそこまでは。それより奈緒ちゃんの眼鏡選びましょ?」

奈緒「……なあ春菜、これってどうやって選べばいいんだ? 箱に入ってるやつ?」ヒョイッ

春菜「それでもいいですけど……どうせならフレームから選んじゃいましょうか! ロケバスの待機時間でも使うかもしれないとのことだったので、業界人らしく見た目にもこだわってみましょう!」

奈緒「そ、そうか……ただ、私は今の今まで眼鏡とは無縁だったからなぁ……。どういうのが自分に合うかわからないんだよ」

春菜「ふっふっふ……奈緒ちゃん、私がここにいることを忘れていませんか?」

紗南「仲間も身体も奪われてたところに助けてくれたビビアンくらいの安心感があるね」

比奈「光堕ちも相まってすごい頼もしかったっスね」

奈緒「だからお前ら」

春菜「それでは早速お役目を果たすとしましょう! 奈緒ちゃんに似合うと判断したフレームを10本選んできましたので、この中でそんなに惹かれないと感じたフレームはふるいにかけてください」

紗南「手際が良すぎる」

比奈「いきなり選ばせるんじゃなくて、まずは直感で候補を減らしていくんスか」

春菜「奈緒ちゃんは多分こういう選び方がやりやすいかと思ったので!」

比奈「なるほど」

紗南(遠回しに決めあぐねるタイプって言ってる気がするけど黙っておこう)

奈緒「うーん、なんとなくだけど黒か赤がいいんだよな……じゃあこの青いのと、このちょっと丸っこいのは除いていいかな」

春菜「なるほどなるほど」ヒョイヒョイ

奈緒「あとは……えーと……」

春菜「じゃあここからは実際にかけて考えてみましょう。この大き目なスクエアタイプのフレームからどうぞ」

奈緒「お、おう」スチャッ

春菜「はい、鏡見てこの顔を覚えておいてください。紗南ちゃんと比奈ちゃんもこの姿をよく覚えておいてくださいね」

紗南「あたしたちも?」

比奈「なるほど、品評会をするってことっスね」

奈緒「な、なんか恥ずかしいな……」

春菜「はい、それじゃあ今度はこのアンダーリムタイプをどうぞ」

奈緒「あ、ああ」スチャッ

春菜「はい、しっかり覚えてくださいね」

ひなさな「「ふむふむ」」

奈緒「う、うう……なあ! これあと何回やるんだ!?」

春菜「フレームの種類的にせめてあと3回は」

奈緒「3回も!?」

春菜「あまりふるい落とされなかったのでこれくらいは我慢してください!」

比奈「すいません。眼鏡預けてるのでもっと近くで見させてほしいっス」

奈緒「寄るな!! 待っててやるから眼鏡とってこい!!」

……10分後……


奈緒「…………///」プシュー…

比奈「お疲れ様っス」

紗南「奈緒さん大丈夫?」

奈緒「……酷い辱めを受けた」

春菜「何言ってるんですか! 全部必要なことですよ!」

奈緒「……わかってるけどさぁ……ファッションショーみたいなのは流石に恥ずかしいよ……」

春菜「アイドルなのに何を情けないことを!」

奈緒「スイッチ切ってる状態なんだからしょうがないだろぉ……」

春菜「さて、みなさんどれがよかったですか?」

比奈「私はその黒いやつがよかったっス。オーバルタイプ? って言うんでしたっけ」

紗南「あー、そっちもいいんだよね……けど! せっかくだからあたしはこの赤の眼鏡を選ぶぜ!」

比奈「ネタ抜きでですか?」

紗南「うん! このあんだーりむ? ってすごいおしゃれだと思う!」

春菜「さて、奈緒ちゃんはどうですか?」

奈緒「……実は、その2択で迷ってるんだよ」

比奈「おや」

奈緒「どうしようかな……どっちもいいんだけど……」

比奈「黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒」ブツブツ

紗南「赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤」ブツブツ

奈緒「やめろ! 耳元で洗脳しようとすんな!」

春菜「悩んでますねぇ」

奈緒「……なあ、春菜はどっちがいいと思う?」

春菜「私ですか? うーん…………実は思いついたことがありまして」

奈緒「ど、どっちだ?」

春菜「赤い眼鏡をブルーライトカットメガネにして……」

奈緒「こっちか!」

春菜「黒い眼鏡は変装用の伊達眼鏡にしましょう!」

奈緒「えっ」

春菜「こちらの黒い眼鏡は私からのプレゼントということで♪」

奈緒「い、いやいや! それは流石に悪いって!」

春菜「何も悪いことなんてありませんよ! 私のプレゼントした眼鏡をプライベートで使ってもらえる……これほど嬉しいことはないんですから!」

奈緒「で、でも……」

春菜「まぁまぁ眼鏡どうぞ。いいじゃないですか、ハレの日ケの日関係なく、思い付きでプレゼントをしたって」

奈緒「…………ほ、本当にいいのか!? 遠慮なく買ってもらっちゃうぞ!?」

春菜「はい! あ、何なら赤い方も私が……」

奈緒「いい!! そっちは私が買うんだから!!」



紗南「春菜さんかっこいい……」

比奈「そうでしょうそうでしょう」

紗南「なんで比奈さんが自慢げなのさ」

比奈「部署が違った時からずっと同じユニットでやってきてましたからね。嬉しいもんっスよ、デュオの相方が褒められるというのは」

……数日後、C県漁港……


七海「今日はTPの皆さんがゲストれしたね。よろしくお願いします~」

凛「うん、よろしく……ねえ七海、この番組ってこんなに朝早くないとダメなの?」

七海「今日は朝釣りれすからね。眠気に負けて船酔いしないよう頑張ってほしいのれす」

加蓮「凛、アタシがダウンしたらよろしくね……」

凛「ちょっと加蓮、今から気弱にならないでよ」

加蓮「ダウンする未来が見えるもん……」

柑奈「じゃあ今のうちに酔い止め飲んじゃいましょう! 私も不安な時は飲んでるんですけど、このブランドの酔い止めは結構きくんですよ♪ はい、お薬とお水です」

加蓮「うう、ありがとう……」ゴクッ

凛「……そう言えば、奈緒はまだ来てないの? TPは全員違う部署になっちゃったせいで各々現場に行くことが多いけど、奈緒と七海たちは同じ部署だから一緒に送迎してもらえるでしょ? だから今日は3人で現場に来てるかも、と思ってたんだけど……」

七海「今日は七海達も含めた全員が現地集合れすからね。でも奈緒さんは遅刻するような人じゃないれすし、きっとそろそろ……」

奈緒「おはようございまーす」

加蓮「あっ、噂をすれ、ば――――」

奈緒「おっと、アタシが一番最後だったか……ごめん!」

凛「もう、姿が見えないから心ぱ――――」

奈緒「まあ、入り時間までまだ結構余裕はあるから許してくれ……って、どうした? そんな鳩が豆鉄砲食らったような顔して」

柑奈「奈緒ちゃん、ひょっとしてそれをかけた姿を見せるの初めてだったりするんじゃ……?」

奈緒「……ああ! この眼鏡のことか?」キラーン

奈緒「そう言えばTP収録じゃこの姿は初めてだったっけ。いやー、これかけ始めたばかりだからさ。いざそうやってびっくりされると恥ずかし」

加蓮「…………」パシャパシャパシャパシャ

凛「…………」パシャパシャパシャパシャ

奈緒「うぉおおおおおおおおい!? 無言で何だいきなり!?」

加蓮「凛、アタシはインスタにあげるから」スマホスッスッ

凛「じゃあ私はTwitterだね」スマホスッスッ

奈緒「何やってんだお前ら!?」

加蓮「SNSだよ?」

奈緒「「だよ?」じゃねぇよ!! 勝手に人のプライベート姿を載せんな!!」

凛「すごい、10秒足らずで300RT超えた」

奈緒「嘘だろ!?」

加蓮「インスタもやばいよ。いいねの数が止まる気配がしない」

奈緒「今すぐ消せぇ!! あとな、こういうのは事務所通さないのはまずいだろ!?」

凛「346の公式アカウントに拡散されたけど?」

奈緒「346ォ!!」



七海「これだけ元気なら酔うことなくいい収録になりそうれすね~♪」ズズゥ

柑奈「ですね! 奈緒ちゃんに眼鏡を見繕ってくれた春菜ちゃんには感謝しておかないと♪」ポロローン

以上です。
春菜ちゃんが多く出てくる話を書きたいな、と思っていたところに劇場で現れた春菜ちゃん。
友達に眼鏡を選んであげる時の春菜ちゃんの笑顔はとっても眩しいんでしょうね。

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