お嬢様「はぁ……」 (8)

ssは二作目なので、お手柔らかにお願いします。
オリジナルです。

安価などはありませんので、ごゆっくり。

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教師「……であるので、――」

お嬢様(今日も学校でお勉強、家に帰れば嫁入り修行と家の中での派閥争い)

お嬢様(そんなのどうだっていいのです)

お嬢様(テストは入学した時からずっと学年一位、部活はしていませんが運動だって他の人には負けません)

お嬢様(みんなが私に敬語を使い、頭を下げる)

お嬢様(もうこんな毎日、飽きてしまいました)

お嬢様(授業も、聞かなくてもわかるものばかり……あらっ)パラッ

お嬢様「プリントが落ちて、こっちに来ましたわ」

男「ごめん、落ちちゃった。とってくれる?」ヒソヒソ

お嬢様(隣の席になった男さんですね。そういえば話したこともなかったです)

お嬢様「は、はい。どうぞ」ヒソヒソ

男「ありがと。集中して授業聞いてたみたいなのに、ごめんね」ヒソヒソ

お嬢様「い、いえ……そんなことはないです……」

お嬢様(本当にそんなことはない。ただぼーっとしていただけ)

お嬢様(それに、私に敬語を使わない人だなんて。随分と変わった人もいるものですね)

キーンコーンカーンコーン

教師「しっかり復習しておくように」

クラスメイト「アーッシター」

男「あ、お嬢様さん。さっきの授業で、わからないところがあったんだけど……」

お嬢様「は、はひぃ!? な、な、なんでしょうか……?」

男(かわいい)

お嬢様(まさかさっきの今で話しかけられるとは思っていませんでした)

男「あはは、そんなに驚かないで。それで、ここなんだけど、わかる?」

お嬢様「あ、えっと、そこはですね……」

男「なるほど……」

お嬢様「わかりましたか?」

男「うん。ありがとう、すごくわかりやすかった」

お嬢様「ふふっ、そうですか? それなら良かったです」

男「」ポー

お嬢様「どうかしましたか?」

男「あ、いや、そんなふうに笑うんだなって思って」

お嬢様(失礼です。私だって人並みには笑うはずです。……あれ、そういえばこのクラスで笑った記憶、ないような)アセリ

お嬢様「何か変でしたか?」

男「ううん、そっちのほうがかわいいよ」

お嬢様(か、かわっ!?)

お嬢様(私のことをかわいいだなんて。やっぱり男さんは変わっていますね)

男「お嬢様さん、ここなんだけど……」

お嬢様「あ、はい」

男「古文が……」

お嬢様「助動詞は難しいですしね」

男「漢文が!」

お嬢様「文法を覚えましょう」

お嬢様(彼はそれからも、私に質問をしてきた)

お嬢様(いつの間にか放課後に彼と一緒に勉強するのが日課になった)

お嬢様(つまらない毎日のなかに生まれた、楽しみだった)

お嬢様(その日は二人とも集中していて、帰るのがいつもより少し遅くなってしまった)

お嬢様「あら、もうこんな時間なんですね。そろそろ帰りましょうか」

男「うわ、外がすごく暗いね。お嬢様さん、送っていくよ」

お嬢様「いえ、そんな」

男「いいからいいから。自分が送りたいだけだから」

お嬢様(むきになって私を送ると主張する彼は、子どもっぽくてかわいらしい)

お嬢様(でも、格好良くもあった)

お嬢様「……ふふ、それではお願いできますか?」

男「うん!」

お嬢様「……そういえば、男さんは私に敬語を使ったりしませんよね」

男「ん? うん、別に同級生だしいいかなーって。使ったほうがよかった?」

お助様「い、いえっ! そのままで大丈夫ですっ! あとさん付けもいらないのでっ、あの、よよよ、呼び捨てとかでだいじょぶですっ」

男「それならよかった、お嬢様さん。あ、お嬢様、だった」

お嬢様「そ、それでお願いします」プシュー

男「お嬢様さんもさ、僕のことさん付けしなくていいし、敬語じゃなくていいよ?」

お嬢様「あ、はい……じゃなくて、うん。わかった」エヘヘ

男(ゴハッ)

お嬢様「敬語を使わないで話すの久しぶりかも。学校の人だと、男くんが初めてかな」

男「そう、なんだ。それはけっこう嬉しいかも?」

お嬢様「あ、あのさ、男くん」

男「ん?」

お嬢様「こ、これからも、こうやって一緒に帰ったりできないかなっ」

男「えーっと……」

お嬢様「ご、ごめんね、やっぱり私とは嫌だよね」

男「いやそうじゃなくて、僕でいいのっていう」

お嬢様「えっ」

男「えっ」

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