【艦これ】駆逐戦隊!ショキカンジャー!!改 (1000)

デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエロー!」

五月雨「五月雨ブルー!」


吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァン!!!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1497268381

このスレは、1年と三カ月くらい前にやった
駆逐戦隊!ショキカンジャー!!
駆逐戦隊!ショキカンジャー!! - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454766780/)
駆逐戦隊!ショキカンジャー!! 2スレ目 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1457888938/)
をリメイクしようと思って建てたスレです

当時私がほとんど戦隊を知らなかったことや、話を行き当たりばったりで考えていたことを思い返し、書き直したくなった次第です。

話の大筋は変わりませんが、設定や会話の内容が割と変わります。特に最後の方は変わると思います。
前の方がよかった、という方もでてくるかもしれませんが……まあ、勘弁してください。

そんなこんなで自己満足で書いていくSSですが、それでもいいという方、どうぞよろしくお願いします。
(リメイク前を知らなくても大丈夫なので、新しく見に来てくれた方も是非読んでみてください。)

漣「……っていうのをやりたいんですよ!」

吹雪「はぁ……」

叢雲「何それ?」

漣「だーかーら、戦隊モノだよ!戦隊モノ!」

漣「面白そうじゃん!?」

電「せ、戦隊モノ、ですか?」

五月雨「私たちで戦隊って言ったら、別のになっちゃうんじゃ……」

漣「あー……まあ、それはそれ、これはこれということで……」

叢雲「そもそも、何で私たちなのよ」

吹雪「第七駆逐隊でやればよかったんじゃないの?」

漣「うーん、それも考えたんだけどねぇ……」

漣「やっぱり戦隊って言ったら、五人いたほうが良いと思いまして!」

叢雲「四人構成の戦隊だっているんじゃないの?よく知らないけど」

漣「いやあ、いるけどさぁ……最終的に五人になるし」

漣「んで、漣と関わりのある五人って言ったらこうかなーと」

電「そういえば、この五人はこの鎮守府に初めて配備されたメンバーなのです」

五月雨「だから『ショキカンジャー』なの?」

漣「イエス!」

吹雪「でも、やるって言ってもねぇ……」

五月雨「具体的には、何をするの?」

漣「うっ!!え、えーと……」

叢雲「……考えずに発案したの?」

漣「さ、サーセン……」

叢雲「はぁ……あんたの計画性のなさには呆れるわ」

漣「うぅ……何も言えねぇ……」

漣「じゃ、じゃあ、今からそれを考えたいと思います…」

吹雪「そ、そもそも私たち、やるって言ってないけど」

漣「わかってる!わかってるけど待って!もう少し話を聞いてよ!」

吹雪「うーん、でも……」

漣「このダイスオーのカードあげるから!」スッ

吹雪「いや、要らないよ……」

五月雨「ま、まあ、いいんじゃない?すごくやりたいみたいだし、もう少し聞いてあげようよ」

電「今日はみんなお休みですし、せっかくだから聞くのもいいと思うのです」

叢雲「暇つぶしにはなりそうだし、私も聞いてあげるわ」

吹雪「……そうだね。漣ちゃん、もう少し聞くよ」

漣「うぅ……みんなの優しさが五臓六腑に染み渡るぜ……」

漣「さて、じゃあまずは何から……」

電「あの、いいですか?」

漣「はい、電ちゃん!」ビシッ

電「戦隊モノ、ということは、敵となる悪の組織がいると思うのですが……」

叢雲「確かに、敵がいないとお話にならないわね」

五月雨「私たちの敵って言ったら……深海棲艦?」

吹雪「でもそれいつもとやってること変わらないよ?」

漣「うーん、いきなり難しい問題が来ましたねぇ」

電「どうするのです?」

漣「深海棲艦と戦うときに、戦隊風に戦う、というのもアリですが……」

漣「確実に怒られてしまうのでそれはナシの方向で」

叢雲「そりゃそうね」

漣「なので、何か別の敵は……」

五人「う~ん……」

吹雪「敵って言ってもねぇ……」

電「思いつかないのです……」

叢雲「やっぱりこの話やめない?」

漣「ちょ、ちょっと待ってくださいよー?もうちょっと考えてよ?」

漣「何かないの!?具体的な敵じゃなくてもいいから何か言ってよ!何かヒントになるかもしれないし!」

漣「最近あった変わったこととか、昨日の晩御飯とかでいいからさー!」

吹雪「昨日はカレーだったねぇ」

電「おいしかったのです」

漣「本当に言うんじゃねーッ!頭脳が間抜けか!?テメーら!!」

叢雲「どっちなのよ……」

五月雨「……あ、変わったことと言えば」

漣「ん!何何!?五月雨ちゃん!」グイグイ

五月雨「うわっ!?え、えっと、大したことじゃないんだけど……」

五月雨「最近、鎮守府で変わったことが起きてるらしいよ」

吹雪「変わったこと?」

五月雨「うん。夕張さんと明石さんの工具がなくなったり、屋根裏や床下から変な音が聞こえたり」

五月雨「時々地響きが聞こえたり、資材が急になくなったりするって……」

叢雲「最後のは大型艦建造しすぎてるからじゃないの?」

五月雨「そうかもしれないけど、とにかくそういうことが最近頻繁に起こるらしいよ」

吹雪「確かに最近変な音よく聞く気がする……ネズミかと最初は思ったけど、ちょっと音が変だもんね」

電「そういえば、電もこの間変なものを見たのです」

五月雨「どんな?」

電「港に、小さな黒い物体が浮かんでたのです。もう一度見たら消えてたので、見間違いと思ったのですが……」

叢雲「潜る練習してたまるゆじゃなくて?」

電「まるゆさんは白いから違うと思うのです……」

電「それに……小さいといっても、大人の人くらいの大きさでした」

五月雨「提督には報告したの?」

電「はい。一応報告して、軽く調べてもらいましたが……特に変わったものはなかったそうなのです」

吹雪「うーん……どう思う?漣ちゃん」

漣「間違いねぇ、奴の仕業だ」

叢雲「誰よ、それ」

漣「乾巧ってやつの……」

叢雲「ぶっ飛ばすわよ」

漣「冗談はさておき……まあ、気になるところではありますな」

五月雨「でも、戦隊モノの敵とは関係ないよね……」

漣「いや!きっとこれは裏で悪の組織が関係しているに違いない!」

吹雪「そうなの?」

漣「漣の中のゴーストがそう囁いている!」

叢雲「半分やけくそでしょ、あんた」

漣「開眼!オレ!!」キリッ

吹雪「え、そっちのゴースト?」

漣「えー、では、ショキカンジャーの目的として、『敵につながるかもしれない異常現象の解明』が提示されました」

電「それは戦隊というか……」

五月雨「探偵っぽいよね……」

漣「いいのいいの!細けぇこたぁ気にすんな!」

吹雪「まあ、戦隊どうこうは置いといて、気になるよね」

漣「ちょ、置いとかないで」

叢雲「そうね。電が見た黒いのとか、もしかしたら深海棲艦が関わってるかもしれないし」

五月雨「じゃあ、今から調べてみる?」

電「そうするのです」

漣「あのー、ちょっと…えー、ちょっと待ってー…」

吹雪「どうしたの漣ちゃん?来ないの?」

漣「……あー!もう!わかったよ!戦隊の話はあとにするよ!」




吹雪「とりあえず電ちゃんの言ってた黒い物体を探しに来たけど……」

叢雲「特に何もないわね」

電「たしか、このあたりだったのですが……」

電「本当に見間違いだったかもしれないですし、そうじゃなかったとしても、今日も現れるとは限らないですから…」

五月雨「まあ、念のためもう少し調べてみようよ。他にすることもないし」

漣「戦隊の話はー?」

叢雲「もう少し内容を考えてから話しなさい」

漣「ぶー」

吹雪「周辺を調べられるよう、艤装も着けてきたし、海上に出ようか」

五月雨「そうだね、じゃあ…」

電「!!み、みんな!あれなのです!!」

四人「!!」バッ


黒いの「……」プカプカ 


電が指さした先には、謎の黒い物体が浮かんでいた!

五月雨「な、何あれ……」

叢雲「ただの漂流物……ではなさそうね」

電「間違いないのです……この前見たのと同じなのです!!」

漣「どうする?吹雪ちゃん」

吹雪「様子を見よう……みんな、目を離しちゃだめだよ」

黒いの「……」プカプカ

五人「……」

黒いの「……」スッ

叢雲「……!?消えた!?」

吹雪「っていうか……沈んだ?」

五月雨「不自然だね、あんな風に急に沈むなんて」

電「もしかして、前に見た時もこうやって見失って……」


黒いの「……」スッ

漣「ありゃ?」


さっきとは違う、少し離れた場所に黒い物体が浮かんできた

黒いの「……」プカプカ

五月雨「あれ、また浮かんできた?」

叢雲「でも別の場所……何、移動してるの?」

黒いの「……」スッ

吹雪「あ、また沈んだ」

黒いの「……」スッ

電「また別の場所で浮かんできたのです」

五月雨「よく見たら、あの水の動き……もしかして、泳いでる?」

漣「つーことは何?生き物?」

電「なのでしょうか……」

叢雲「生き物だとしたら何なの、あれ?」

吹雪「さあ……」

漣「……とりあえず、追う?」

五月雨「だね」

黒いの「……」プカプカ

電「ずっと海辺に沿って追ってきましたが……」

電「鎮守府の敷地の端っこまで来ちゃったのです」

叢雲「本当何なのアレ……」

五月雨「どこまで行く気だろうね」

吹雪「うーん、さすがに敷地外まで追うのはまずいかなあ?」

叢雲「このままだと森に入っちゃうわよ」

漣「へーきへーき。このまま五人でバックレようぜ!」

五月雨「えぇ……」


バシャッ

吹雪「ん?」

バシャッ バシャッ


叢雲「…なんか、アレこっちに近づいてきてない?」

電「ほ、本当なのです……こっちに来てるのです」


バシャッ バシャッ


漣「……今更だけど、やばいもんだったらどうする?」

五月雨「や、やばいもんって?」

漣「……ゴジラとか?」

叢雲「んなわけないでしょ」

吹雪「……みんな。念のため、離れておいて……」

バシャッ バシャッ

吹雪(……謎の黒い生き物……)

吹雪(一体何なの……?)



ザパァッ


五人「!!」

バシャッ ペタペタ


五人「……!?」


イ級?「イーッシッシ……」

駆逐イ級の被り物?をした、全身黒タイツの男が現れた!


五人「……」

イ級?「イーッシッシ、今回もうまく乗りこめたイー」

イ級?「まったく、ここまで来るのも一苦労だイー。疲れるイー」

吹雪「……何あの不審者」

電「と、とっても怖いのです」

イ級?「さて、今日の残りの仕事を……ん?」

イ級?「!!か、艦娘だイー!見つかったイー!!」

五月雨「き、気づかれちゃった!どうしよう?」

叢雲「落ち着きなさい。とりあえず、艤装はあるんだから、いざとなればそれで・・・…」

漣「え、それ死ぬのでは?」

叢雲「正当防衛よ。問題ないわ」

漣「あれがもしイ級のコスプレしたご主人様だったら?」

叢雲「全く問題ないわね。不審者であることには変わりないもの」

漣「Oh…」

イ級?「こ、こうなったら死んでもらうイー!覚悟ー!」ダダダ

電「こ、こっちに来たのです!」

吹雪「えーい、仕方ない!みんな、撃ち方用意!!」

ジャキンッ!

吹雪「撃ち方始めぇー!!」


ドォォォォォォォォォン! ドォォォォォォォォォン! ドォォォォォォォォォン!

シュゥゥゥゥゥゥゥ……


漣「やったか!?」

叢雲「ちょ、なんで自分からフラグ立てていくのよ」

漣「だいじょーぶだって、深海棲艦でも駆逐艦くらいだったら、今の攻撃を喰らったらただじゃ……」


シュゥゥゥゥゥゥゥ……


イ級?「イーッシッシ……そんなものかイー?」


イ級?は、攻撃を喰らったにもかかわらず、何事もなかったかのように立っている!


叢雲「んな……!」

漣「さ、漣のせいじゃないよね?ね?」

五月雨「も、もう一度撃とう!みんな、構えて!」

ジャキンッ!

ドォォォォォォォォォン! ドォォォォォォォォォン!

イ級?「イーッシッシ、無駄だイー。お前たちの攻撃はこのイーには通らんイー」

電「そ、そんな…!」

吹雪(攻撃が全く効いてない……?確かに当たってるはずなのに……!)

プルプル……

吹雪「……ん?」


イ級?「……」プルプル

吹雪「あ、効いてないわけじゃないんだ」

叢雲「やせ我慢してるだけだわ」

漣「脚めっちゃ震えてるし」

イ級?「……イー……」

イ級?「う、うるさいイー!こんなもの痛くもかゆくもないんだイー!!」ダダダッ

五月雨「っ!!でも、やっぱりあんまり効いてない!またこっちに向かって来るよ!」

叢雲「ええい、だったらもう一発……」ジャキンッ

イ級?「イーッ!!」ダダダッ

吹雪「!!だ、駄目だよ叢雲ちゃん!距離が近すぎる!こっちも危ないよ!」

叢雲「……っ!だったらどうすんのよ!」

吹雪「ここは一旦逃げよう!鎮守府に戻って誰か呼んで……」

イ級?「イーッ!!」

電「ふ、吹雪さん!危ないのです!!」

吹雪「!!」


ドゴォッ


吹雪「ぐあっ……!」

イ級?「イーッシッシ……ここまで近づけば艤装での攻撃もできないイー」

イ級?「貴様らは艤装が使えなければ、ただの小娘と同じだイー」

吹雪「ぐっ……」ヨロッ

吹雪(確かにそうだ……このままじゃまずい……!)

イ級?「このまま死んでもらうイー!」ブォンッ

吹雪「!!」

叢雲「吹雪!」

五月雨「吹雪ちゃん!」

電「吹雪さん!」

ブオッ

吹雪(!ダメ、当た……)





漣「漣キィーック!!!」


ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!


イ級?「イーーーーーーーーーーーーッ!!??」ドザァッ

四人「!?」

漣「大丈夫!?吹雪ちゃん!」

吹雪「漣ちゃん!?あ、ありがとう……」

漣「気を付けて、まだ来るよ!」

イ級?「イテテ……こ、この小娘が……!」スクッ

吹雪(どういうこと……?艤装での砲撃より、さっきの漣ちゃんの蹴りの方が効いてた……)

吹雪(よ、よくわからないけど、普通の打撃の方が効くってこと?とりあえず、漣ちゃんに倣って、私も……!)

イ級?「イーッ!!」ブオッ

吹雪「えーい!!」ブンッ

ドゴォッ!

吹雪のパンチがイ級?の顔面?に当たった!

吹雪「よし、これで…!」

イ級?「…」

吹雪「…あれ?」

イ級?「イーッ!!」ブンッ

吹雪「うわっ!」シュバッ

イ級?「こんなもん効くわけないイー!調子乗ってんじゃないイー!!」

吹雪「えぇ!?な、何で!?」

漣「あー、違うよ吹雪ちゃん」

吹雪「え?」

漣「技名叫ばないと」

吹雪「わ、技名?」

漣「そう。漣もさっき叫んだじゃん。『漣キック』って」

吹雪「え?ちょ……え?」

漣「だからね?こう……攻撃するときにさ」

吹雪「いやいや……そんなこと言われても」

イ級?「イーッ!!」ダダダッ

吹雪「って、漣ちゃん、危ない!」

漣「ほぁ?」

イ級?「さっきはよくもやってくれたイー!お前から殺してやる、イーッ!!」ブンッ

吹雪(わ、技名って何?よくわからないけど……)

吹雪(でも、このままじゃ漣ちゃんが……!)

吹雪「えーい、ままよ!」ザッ

吹雪「吹雪パーンチ!!」


ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!


イ級?「イーーーーーッ!!!」ドガァッ

吹雪「あ、効いた」

漣「ね?言った通りっしょ?」

漣「ほーら、次叢雲ちゃーん」

叢雲「え?私もやるの?」

漣「ほらほらなんでもいいからー」

叢雲「……えーい、仕方ないわね!」ダダッ

イ級?「イ……イ?」ムクッ

叢雲「叢雲アッパー!!」

ドガァァァァァン!!

イ級?「イーーーーッ!!」ボコォッ

叢雲のえぐりこむようなアッパー!素人なら一発でノックダウンだ!

叢雲「え、そんなに?」

漣「はいはい、次、五月雨ちゃーん!」

五月雨「え!?えっと、えーっと……」ダダッ

イ級?「ぐふぅ……た、助けて……」ビクビク

五月雨「さみだ…うわぁっ!?」ツルッ

五月雨「さ、五月雨……スマッシュ!!」バキィッ

イ級?「イッーーーー!!??」

五月雨はイ級?の手前で転び、そのまま一回転して踵落としを喰らわせた!

五月雨「いたた…まあ、何とかなったけど…」

漣「じゃあ、ラスト!電ちゃーん」

電「は、はわわ!え、えーと……」ダダッ

イ級?「ひぃっ!許してください!今ので腕と足が折れました!再起不能です!動けませーん!」

叢雲「嘘でしょ」

イ級?「まあね」

電「い、電……ダイナマイト!」ビュンッ

イ級?「えっ」

電のお得意技(衝突)が決まった……


ドゴォォォォォォォォォォォォォ……

──────────

──────

───

電「うぅ……痛いのです」ヒリヒリ

叢雲「強力だけど、危険な技ね……」

イ級?「イ……」ビクビク

吹雪「で、どうしよう?この人」

五月雨「とりあえず、工廠にでも拘束してもらって、提督に報告しようか」

吹雪「そうだね」

イ級?「お、お前ら、何者だイー……ただ者じゃないイー……」

吹雪「え?いや、私たちはただの…」

漣「のんのん、吹雪ちゃん。そこはアレですよ、ア・レ」

吹雪「アレ?」

漣「ほら、最初に説明した奴」

吹雪「あー……あれ?え?今やるの?」

漣「うん。本当は戦う前にやる奴だけど、まあ……今回はいいでしょ」

叢雲「え、本当にやるの?」

漣「いーじゃんいーじゃん!!やってよー!!ねーみんなー!!」ジタバタ

五月雨「そ、そこまで言うなら……」

電「少し恥ずかしいですが、電はいいのです」

叢雲「……仕方ないわね、付き合ってあげるわ」

吹雪「……わかったよ、今回勝てたのは、漣ちゃんのおかげだもんね」

漣「よーし、じゃーいきましょー!」

デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエロー!」

五月雨「五月雨ブルー!」


吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァン!!!


イ級?「イッ、イッーーーーーー!!?」

ドカァァァァァァァァァァン!!!


漣「あ、爆発した」

吹雪「え、何で!?」

電「えっと……あの……」

叢雲「……」

五月雨「……どうしよう、これ」

吹雪「……とりあえず、司令官に報告しに行こうか」

執務室


提督「なるほど。大体わかった……」

提督「お手柄だったな、五人とも」

吹雪「え、こんな話信じてくれるんですか?」

提督「お前たちが五人そろってそんなよくわからない嘘つくわけないだろ」

叢雲「そりゃそうね……」

漣(うひょっ!!これってもしかしてご主人様騙し放題!?)

提督「……漣だけならやりそうだがな」

漣「えぇ!?」

提督「それにしても、不可解なことだらけだな……」

提督「イ級の頭の謎の男、その男への攻撃方法が、技名を叫んでの物理攻撃……」

電「そういえば、どうして漣さんは気づいたのです?」

漣「うん?」

五月雨「最初に攻撃したのって、漣ちゃんだよね」

漣「あー、あれはね……正直思い付きなんだけど……」

漣「ほら、ずっと戦隊モノの話してたじゃん?んで……」

漣「……あの不審者、戦闘員にしか見えなくてさ……」

四人(……確かに)

漣「で、そのままのノリでやってみたら、なんかうまくいって……」

叢雲「技名を叫んで攻撃するのが、戦隊モノと関係あると?」

漣「まあ、それはヒーローもの全般に言えるね。ライダーとか」

漣「さすがに攻撃するごとに技名叫ぶ人はいないけどさ」

漣「で、まあ考えたことがあるんですが……」

提督「何だ?」

漣「……何で爆発したかよくわからないけど、もしかしたら……」

漣「戦隊モノ……ていうか、ヒーローもののノリで戦ったら、倒せる相手ってことなんじゃ……」

一同「……」

吹雪「……まあ、そうなるよね」

叢雲「否定できないわ……」

提督「うーん、なるほど…・・・話を聞く限りではそうだな」

提督「……」

提督「……その男は、何度も来ているようなことを言っていたんだよな?」

五月雨「はい。『今回もうまく乗りこめた』って……」

電「あと、何かここでやっているようなことを言っていたのです」

提督「なるほど……」

提督「……完全に、仮説なんだが……」

提督「その男の出現と、最近鎮守府で起きている異常現象……なにか関わりがあるかもしれん」

五人「!!」

提督「……よし、わかった」

提督「吹雪、叢雲、漣、電、五月雨」

提督「お前たちにはしばらく、普通の艦娘としての任務から外れてもらう」

吹雪「え!?」

提督「その代わり、特別な任務を与える」

提督「その男の仲間の正体、異常現象の原因を探り、必要があれば撃滅せよ。いいな?」

五人「……!」

五人「……はいっ!」ビシッ

提督「よし、こちらからもできるだけサポートはする。頑張ってくれ」

──────────

──────

───

「あら、こっちの動きがバレちゃったのね」


「……できるだけ見つからないようにするよう言っていたんですがね」


「まあ仕方ないわ。いつかはそうなると思ってたし」

「それに、まだこちらのやっていることが全部バレたわけじゃないわ」

「今まで通りやるよう、他の子たちにも伝えておいて」


「はい、了解いたしました」


「……フフフ」

「『ショキカンジャー』、ねぇ……」

──────────

──────

───

吹雪「まさかこんなことになるなんて……」

漣「ヨッシャー!!戦隊結成キタコレ!!」

叢雲「こいつの思い通りになってしまったわね……」

五月雨「まあ、いいんじゃないかな。私は楽しそうだと思うよ」

電「電も、なんだか楽しくなってきたのです」

漣「お、二人も戦隊の良さに気が付いた?」

叢雲「……ま、こうなったからには、最後まで付き合うわよ」

吹雪「よし、みんな、頑張ろう!」

漣「……あ、そうだ、リーダーなんだけど」

漣「吹雪ちゃん、お願いします」

吹雪「え!?何で私!?漣ちゃんじゃないの!?」

漣「だってほら、レッドだし。漣はピンクだし」

吹雪「わけわかんないよー!」

叢雲「いいんじゃない?リーダー」

電「よろしくなのです、リーダー」

五月雨「頑張って、リーダー!」

吹雪「みんなまでー!うう……」

吹雪「わかったよー!やるよ、リーダー!」

漣「おお、それでこそ吹雪ちゃーん!」

吹雪「それじゃあ改めて……」

吹雪「駆逐戦隊、ショキカンジャー!頑張るぞー!!」

五人「おー!!」


第一話「結成!ショキカンジャー!!」 艦

次回予告!

リーダーのレッド、吹雪です!
まさかこんなことになるなんて……でも、司令官から任せられた任務、全うして見せます!
それにしても、戦隊かぁ……必要なものがたくさんあるよね
拠点に武器、戦闘服……どうする気なのかな?漣ちゃん
え?考えてない!?ちょっとー!しっかりしてよー!

次回、第二話「変身したい!」
次回もまた、見てくださいね、司令官!

というわけで、今日はここまで
続きは多分一週間後くらいだと思います

第二話「変身したい!」


吹雪「えー、それでは…」

吹雪「第二回、ショキカンジャー会議を始めます」

ワーワー ドンドン パフパフ


吹雪「……漣ちゃん、それやめようか」

漣「おっと失敬」

叢雲「で、何を話し合うの?」

吹雪「うん。とりあえず、今後どうするか、具体的なことを決めようと思って」

電「具体的なこと……ですか」

五月雨「戦隊に必要な物をそろえるとか?」

吹雪「そうそう、そういうの」

吹雪「で、何が必要かっていうので……何か案はない?」

叢雲「案、ねぇ……」

五月雨「戦隊って言ったら……基地があるよね」

電「そうなのです。拠点が必要なのです」

吹雪「ああ、それに関しては、司令官が用意してくれたよ」

五月雨「え、本当!?」

電「はわわ……何だかすごそうな予感なのです」

叢雲「どこにあるのよ、それ」

吹雪「ここだよ」

四人「えっ」

吹雪「ここ」

漣「……えーっと、ここっていうのは……」

吹雪「うん。この六畳の、ちゃぶ台、座布団、ホワイトボード備え付きの部屋」

四人「…」

叢雲「……まぁ、仕方ないと言えば仕方ないわね」

五月雨「うん、鎮守府内じゃ使えるところも限られるし」

漣「あ~、なんか変なコンピュータがいっぱい並んでたりする近未来的なの想像してたんだけどな~」

電「でも急なことですし、そんな大きな拠点である必要もないでしょうから、ここで十分なのです」

吹雪「そういうことだね。用意してくれるだけありがたいからね」

漣「ロマンがないよロマンがー!!」ジタバタ

五月雨「でもこういうののほうが落ち着くんじゃないかな」

叢雲「そうね。漣はもうちょっと落ち着きなさい」

漣「うぅ……」

漣「ま、いっか。最近はこういうのも多いし」ケロッ

四人(いいのかよ……)

吹雪「というわけで、これから話し合いをしたり、必要なものを置くのはここにします」

吹雪「じゃあ次は……」

五月雨「あ、ちょっといい?」

吹雪「どうしたの?五月雨ちゃん」

五月雨「昨日の敵との戦いについて考えたことがあるんだ」

叢雲「戦い?戦隊らしいことをすればいいんでしょ?」

五月雨「そう。戦隊のノリで戦えば倒せるっていうのが、昨日の結論」

五月雨「それで、昨日は技名を叫びながら攻撃したよね」

漣「しましたねぇ」

五月雨「でも、昨日は敵が一人だったからよかったけど、敵が大勢だったら……」

電「……いちいちそんなことしてたら隙だらけなのです」

吹雪「んー、でもどうしたら……」

五月雨「で、さらに考えたことがあります」

漣「ほほう」

五月雨「『戦隊らしさ』、これが戦いのキーになるんだけど……」

漣「はい!はい!」

五月雨「ん?どうしたの?」

漣「その『戦隊らしさ』を『戦隊パワー』と名付けることを提案します!」

電「え?せ、戦隊パワー?」

叢雲「心底どうでもいいけど……」

五月雨「あはは……わかったよ」

五月雨「戦隊パワーが戦いのキーになるけど、ここで昨日の私たちの姿を思い出してほしいの」

吹雪「昨日の私たち?」

叢雲「普通に艤装つけてただけね」

五月雨「そう。どう考えても戦隊、もといヒーローじゃないよね」

五月雨「艤装で戦ってた時の私たちの戦隊パワーは0」

五月雨「でも、技名を叫んで戦ったことで戦隊パワーが生まれた」

五月雨「つまり、普通の格好じゃ、そのくらいしないと戦隊パワーは生まれないってことだと思う」

電「ということは、つまり……」

吹雪「戦隊らしい格好だったら、常に戦隊パワーが生まれて、技名をいちいち叫ばなくてもいいんじゃないかってことだね」

叢雲「なるほどねぇ……」

叢雲「でも、正直まだ戦隊らしさ……」

漣「戦隊パワー」

叢雲「……戦隊パワーが本当にかかわってるかわからないのよね」

五月雨「うん。問題はそこなんだよね」

電「でも、他に手がかりもないですし……」

吹雪「次に敵と遭遇した時、いろいろ試してみようよ。いざとなったら昨日みたいに戦えばいいし」

叢雲「そうね。他にどうしようもないし」

漣「ということは五月雨ちゃん。あれですか?」

五月雨「ん?」

漣「『変身したい』ってことですか?」

五月雨「…まあ、そういうこと、かな?」

漣「ヨッシャー!燃えてキター!」ボォォォォ

五月雨「え!?ええ!?」

吹雪「まあ、戦隊らしいよね、変身」

電「確かに、今の話の流れからするとそうなりますが……」

叢雲「テンション上がりすぎなのよ、漣」

漣「おっと失敬失敬」

漣「いやー、漣も変身がしたかったんですよー」

漣「変身しなくても戦える戦隊はいるけど、全く変身しない戦隊なんていないからね!」

漣「さすが五月雨ちゃん!よくわかっていらっしゃる!」

五月雨「あ、あはは……」

吹雪「それにしても、変身か……」

電「本当に変身しなくても、スーツは必要ですよね」

叢雲「じゃあ誰かに頼んで……」

漣「あ、そこで漣から提案です」

吹雪「何?」

漣「戦隊モノの、博士ポジの人を提案したいと思います!」

吹雪「は、博士?」

漣「協力者として、博士ポジの人が出たりするんですよ」

叢雲「はぁ……」

電「では、それは誰なのです?」

漣「無難なとこで、夕張さんと明石さんかなーと」

叢雲「まあ、その二人くらいしか思いつかないわね」

吹雪「じゃあ、その変身の話を持って、二人に頼みに行こうか」

電「引き受けてくれるでしょうか……」

漣「大丈夫っしょ。特に夕張さんは五月雨ちゃんが頼めば一発!」

五月雨「え!?何で私!?」

吹雪「あー、夕張さん五月雨ちゃんに甘いもんねぇ」

叢雲「明石さんも電がいれば大丈夫でしょ」

電「な、なんで電なのです!?」

叢雲「あんたに頼まれたら断りづらいのよ……」

三人(確かに……)

電「?」

工廠


夕張「何!?」キラキラ

明石「戦隊ですって!?」キラキラ

夕張「それで変身アイテムがほしい!?」

明石「ほうほう!!」

夕張・明石「よーし!お姉さんたちに、まっかせなさーい!!」グッ

五人「……」

吹雪「まあ、思った以上にスムーズに話が通ってよかったね」

電「あ、あの、本当に変身しなくても、スーツだけでもいいので……」

夕張「えー!?やだやだー!」

明石「つーくーりーたーいー!!」

叢雲「子供か」

夕張「そもそもスーツだけあったって、いつどこで着替えるのよ?」

明石「急に敵が来たときとかどうするのー?」

叢雲「まあ、そうねぇ……」

五月雨「ほ、本当にできるんですか?変身アイテムなんて……」

明石「当たり前よ!私たちを誰だと思ってるの?」

漣「おー、頼もしい限りですな」

夕張「じゃあ二、三日後くらいでいい?」

吹雪「はい。では、お願いします」

電「二、三日後ですか……それまでどうするのです?」

吹雪「うーん、そうだねぇ……何もしないでいるのもどうかと思うし」

叢雲「だったら、鎮守府の異常現象を調べてみましょう」

漣「おー、そんなものもありましたなぁ」

五月雨「ていうか、最初の目的それだったよね」

吹雪「えーっと確か……」


・工具がなくなる

・屋根裏や床下から変な音

・地響きが聞こえる

・資材がなくなる(提督のせい?)

吹雪「こんなところだったね」

漣「……ん?工具がなくなる……?」

五人「……」


工廠のほうからの声「ぎにゃーーーーーーーーー!!!」


五人「!!」

工廠


吹雪「どうしたんですか!?二人とも!!」ダダッ

夕張「もうだめだ、おしまいだぁ……!」

明石「こんな、こんなこと……!残酷すぎる……!」

叢雲「……工具がなくなったの?」

夕張「うん……」グスン

明石「これじゃ、変身アイテムが作れないよぅ……」

電「それは困ったのです」

夕張「今回が最後の予備だったんだよね……」

五月雨「ずっとここに置いてたんですか?」

明石「うん。ここに……」

叢雲「……ちゃんと工具箱とかにしまって、鍵かけた?」

夕張・明石「」ギクッ

五人「……」

夕張「わ、わかってはいるんだけど……最近盗まれること多いし」

明石「作業してると、ついしまうのが面倒になっちゃって……」

漣「うわぁ……これは言い逃れできないですね」

夕張・明石「うう、申し訳ない……」

吹雪「えっと……最後に見たのはいつですか?」

夕張「ついさっきよ。あなたたちが来る、ほんの数分前」

吹雪「じゃあ、犯人はそう遠くまで行っていないはずです。探してみます!」

明石「うう、ありがとう……」

電「次からはちゃんと工具は管理するのです」

夕張・明石「本当に申し訳ない……」

工廠裏


漣「いやー、何だかRPGみたいになってまいりましたなー」

叢雲「あー、何か面倒くさいお使いクエストね」

五月雨「でもどうするの?」

電「遠くに行ってないとは言っても、犯人が誰かわからないのです……」

叢雲「え?昨日のアレみたいなやつじゃないの?」

漣「いやいや、あんなのいたら目立つっしょ」

叢雲「そういえばそうね……確かに、鎮守府内には現れないか……」

吹雪「そうだね。見るからに不審者がいたら騒ぎになるもん」

吹雪「……つまり、『その辺にいても怪しくない人』が犯人ってことだと思う」

五月雨「……それって」

吹雪「うん……」

吹雪「艦娘の中に、犯人がいる」

漣「ご主人様は除外すんの?」

吹雪「司令官が犯人だったら、わざわざ私たちにこのことを調査しろ、なんて言わないと思うよ」

五月雨「……でも誰が、どうしてそんなことを?」

叢雲「……盗むくらいだから、まともな理由じゃないでしょうね」

吹雪「考えても仕方ないよ。とりあえず……」


???「おや、皆さんどうかしたんですか?」


吹雪「あれ、青葉さん」

青葉「どもー!恐縮です!青葉ですー!」

叢雲「何やってるのよ、こんなところで」

青葉「いやー、古鷹さんから逃げてきまして……とりあえずこの工廠裏に」

五月雨「また何かやったんですか……」

電「あの、このあたりで、怪しい人を見ませんでしたか?」

青葉「怪しい人、ですか?」

吹雪「はい。挙動不審だったり、何か運んでたり……」

青葉「……何かを運んでそうな人なら見ましたよ」

吹雪「!?だ、誰ですか!?」

青葉「白雪ちゃんが鞄を持ってました」

叢雲「白雪が……?」

青葉「ここはあんまり人が来ないので、他には見てませんねー」

青葉「その白雪ちゃんも、最近鞄を持ってるのをよく見るので、別段怪しいと思ってませんでしたが。鞄もあまり大きくないですし」

吹雪「最近、ですか……」

古鷹「あー、いたいた!青葉ー!!」ダダッ

青葉「げっ!見つかりました!では皆さん、これでー!」シュバッ

漣「……行っちゃいましたな」

電「吹雪さん……」

吹雪「……探してみよう、白雪ちゃんを」

叢雲「それにしても、白雪が鞄、ねぇ」

吹雪「そんなの持ってるの見たことないよね」

漣「でも最近持ってるのを見るって言ってたよ?」

電「誰も気づかないなんて……おかしいのです」

五月雨「……いや、おかしくないと思う」

吹雪「え?」

五月雨「さっきの工廠裏……人があんまり来ないって言ってたよね」

叢雲「そういえばそうね」

五月雨「隠密行動するなら、人通りが少ないところを通るのは当たり前だよね」

五月雨「きっと青葉さんはよくあそこに逃げてるから、鞄を持った白雪ちゃんをよく見かけたんだと思う」

漣「なるほど。つまり、白雪ちゃんは鞄を持ってるときは、人通りが少ないところを通る、と」

電「では、人通りが少ないところをたどって行けば……!」

叢雲「……まだ、白雪が犯人って決まったわけじゃないのよ」

五月雨「……ごめんね」

叢雲「……いえ、そういうつもりじゃなかったの、ごめんなさい」

吹雪「……急ごう、みんな」

──────────

──────

───

漣「く~みつからね~!!」

叢雲「どこに行ったのよ、あの子……!」

電「つ、疲れたのです……」

五月雨「このままじゃ……」

吹雪「!みんな、あれ!」

四人「!!」


白雪「……」

白雪は、人がほとんど通らない道を隠れるようにして歩いている


吹雪「……鞄を、持ってる」

叢雲「こんなところで……何やってるのかしら」

電「隠れて様子を見るのです」

白雪「……」スッ

白雪は途中で立ち止まり、鞄を道のわきに置いた

白雪「……」スタスタ


五月雨「……行った?」

漣「行ったね」

吹雪「……鞄、見てみようか」

バッ

五人「……!」

鞄の中には、いくつかの工具が入っていた

吹雪「……」

叢雲「……吹雪」

吹雪「……とりあえず、持って帰ろう」

漣「あー、待って待って」

吹雪「?」

漣「中身だけ持って帰って」

電「え?鞄は置いていくのです?」

漣「うん。で、中に石を詰めて置く」ヒョイヒョイ

漣「よーし、これでオッケー!」

四人「……?」

工廠


夕張「ヒャッハー!新鮮な工具だー!」

明石「ありがとう、みんな!」

吹雪「いえ……」

叢雲「……」

電「あの、では、よろしくお願いします」

夕張「うん!任せといて!」

吹雪「……」

叢雲「……吹雪」

叢雲「何か理由があるはずよ」

吹雪「……そうだよね」

叢雲「信じるのよ、白雪を」

吹雪「……ありがとう、叢雲ちゃん」

電「それにしても、何故わざわざ工具をあんなところに……?」

五月雨「鎮守府のはずれ……昨日のあの黒い人と戦ったあたりまで行ってたよね」

漣「ふふっ、それは明日探りましょう」

四人「……?」

漣「あ、吹雪ちゃん、白雪ちゃんと同じ部屋だったよね?」

吹雪「?うん、そうだけど」

漣「悪いけど、部屋に戻ったら見張っといてくれない?」

漣「今日はもう大丈夫だとは思うけど……」

吹雪「……いいよ、わかった」

吹雪と白雪の部屋


吹雪「ただいま……」ガチャッ

白雪「あっ、吹雪ちゃん。お帰りなさい」

吹雪「……」

白雪「?」

吹雪「白雪ちゃん、今日何してた?」

白雪「……」

吹雪「……?」

白雪「……今日は、ずっと訓練してたよ」

吹雪「……そっか、お疲れさま」

吹雪(……どうして、そんな嘘を)

吹雪(人に言えない理由ってこと……だよね)

翌日


五人は朝から、昨日白雪が鞄を置いた地点で張っていた

漣「お~予想通り、鞄がありますな」

叢雲「そら昨日、白雪が置きっぱなしにしたからじゃないの?」

漣「のんのん、甘いですな~叢雲ちゃん」

漣「鞄をよく見てください」

叢雲「……?」

漣「え~まだわかんないの?」

叢雲「うるさいわね……」

電「……あっなるほどなのです」

五月雨「そういうことだったんだ」

叢雲「え?二人ともわかったの?」

吹雪「あ、私もわかった」

叢雲「え!?」

漣「叢雲ちゅわ~ん……ちょっといけてないんじゃな~い?」

叢雲「あーもう、うっさいわね!」

漣「昨日、漣はあの鞄に何をしましたか?」

叢雲「えーと、石を入れて……」

叢雲「!!」

漣「気づいたようですね~」

漣「そう、石を入れた分のふくらみがなくなってるんですよ!」

漣「んで、白雪ちゃんは昨日吹雪ちゃんが見張ってたでしょ?」

吹雪「うん。夜中にも出て行かなかったよ」

漣「つまり、白雪ちゃん以外の誰かがあの鞄の中身を取り出したってことなんだよ」

叢雲「なるほど……」

吹雪「ということは……」

吹雪「誰かが、白雪ちゃんと工具のやり取りをしてる……?」

五月雨「っ!!来たよ!」


白雪「……」スッ

白雪は鞄を手に取って去って行った


漣「さー、尾行しますよー!」

叢雲「あんた、楽しんでるでしょ」

漣「もち!」グッ

叢雲「……」

工廠裏


白雪「……」ピタッ


吹雪「止まった?」

電「入らないのでしょうか……?」

叢雲「そりゃあ入れないわよ……」

五月雨「え?何で?」

叢雲「だって……」


夕張「うおー!!燃えてキター!!」トンテンカン

明石「明石ックストーム!!」トンテンカン


五人「……」

叢雲「……昨日から、こんな感じらしいから」

漣「困りましたな……今回は工具を盗んでいただかないと」

五月雨「やり取りの相手を見つけるためだね?」

漣「その通りデス。何でもいいから、鞄に入れてくれればいいんだけどね……」

五人「う~ん……」

漣「……奥の手を使うか」

吹雪「え?」

漣「電ちゃん、五月雨ちゃん、二人に頼んできて」

五月雨「え!?」

叢雲「もう、それしかないかもね……」

吹雪「二人を生贄に捧げるしか……」

電「ど、どういうことなのです!?」

漣「ほーら、行った行ったー」

五月雨「うう……」

電「どうしてこんなことに……」

工廠


五月雨「あのー……」

夕張「ん!?あ、五月雨ちゃん!?」トンテンカン

電「あの、その……」

明石「電ちゃんも来たの!?ごめん、後にして!!」トンテンカン

五月雨「……どうしよう、電ちゃん」

電「ここは思い切っていうしかないのです」

五月雨「それしかないか……」

五月雨「あの!!二人とも!!」

電「工具を!!貸してほしいのです!!」

夕張・明石「」ピタッ

夕張「……何ですって?」ゴゴゴ

明石「私たちから、この楽しみを奪おうっていうの……?」ゴゴゴ

五月雨「うう……怒ってる……」

電「あ、あの……その……」

夕張「いくら二人の頼みでも、それはちょっと……」

明石「ごめんなさいね……」

五月雨「こ、このままじゃ……」

電「こうなったら……」

五月雨「か、貸してくれないなら、もう夕張さんと口きいてあげません!!」

夕張「グハッ!!」

電「もう第六駆逐隊のみんなで明石さんにマッサージもしてあげないのです!!」

明石「なんですって……」グハッ

五月雨「あ、効いた」

電「意外といけたのです」

夕張「仕方ない……五月雨ちゃんのほうが大事だもん……貸すよ」

明石「くっ……これが、運命……」

五月雨「あ、ありがとうございます!」

電「すぐ返すのです!!」ダダッ

夕張「……」

明石「……」

夕張「……マッサージ、してもらってるの?」

明石「……結構効くのよ」

五月雨「おまたせ……」

吹雪「ど、どうしたの?二人とも」

電「なんだか、とっても申し訳ないことをした気がするのです……」

叢雲「そ、そう」

漣「んで、工具はどうしたんです?」

五月雨「ああ、これだよ」

漣「おー、乙乙。さて、どうしましょうかねぇ……」

叢雲「……その辺に置いてみる?」

吹雪「いや、そんなうまくいくわけ……」


白雪「……」スッ

白雪は置いてあった工具を拾い上げ、鞄に入れた


五人「……」

吹雪「うまくいった……」

漣「さ、さあ、尾行再開だー!」

白雪と五人は、鞄を置いてあった場所に戻ってきた


白雪「……」スッ


電「昨日と同じで、そのまま置いて帰ったのです」

吹雪「ここまでは他に怪しい人とか見なかったね……」

漣「んじゃ、昨日と同じく、中身を出して石を詰めて……」ヒョイヒョイ

漣「ほいじゃ、電ちゃんと五月雨ちゃんは二人に返してきてー」

五月雨「うん、わかった」

漣「我々はここを見張っておきます」

電「じゃあ、お願いしますね」

吹雪「……いつ来るかな」

叢雲「そんなにすぐには来ないんじゃない?」

漣「そんなこと言ってるとすぐに……」

ザッ

三人「!!」

吹雪(来た……?)

叢雲(一体……)

漣(誰が……)



イ級?「……」

イ級?「イー」


三人(お前かーーー!!!)

吹雪「え!?あの人、この前倒したはずじゃ!?」ヒソヒソ

叢雲「わ、わからないけど、別の奴じゃないの!?」ヒソヒソ


イ級?「……」キョロキョロ


漣「な、なんかキョロキョロしてる……」ヒソヒソ

吹雪「二人とも、しっかり隠れて」ヒソヒソ


イ級?「うーん……クウボ様が、バレた可能性があるから気を付けろって言ってたけど……」

イ級?「見たところ大丈夫だイー。きっと昨日の石も何かの間違いだイー」ザッ

漣「あ、鞄持って行っちゃった」

三人「……」

漣「……追う?」

吹雪「いや……行った先で仲間が大勢いたら危険だよ。三人しかいないし、まだ変身できないし……」

叢雲「とにかく、これであいつらと関係していることがわかったわね」

漣「……でも、一番の問題は」

吹雪「……どうして、白雪ちゃんが?」

叢雲「……とにかく、戻りましょう」

その夜 吹雪と白雪の部屋


吹雪「……」

白雪「?どうかしたの?吹雪ちゃん。難しい顔して……」

吹雪「いや……」

吹雪(……聞いたほうが良いのかな……)

吹雪(……でも……)

吹雪「……白雪ちゃん、何か私に、隠してることない?」

白雪「……」

白雪「……ッ」ポロポロ

吹雪「え!?ど、どうしたの!?」

白雪「ご、ごめんね、吹雪ちゃん……」

白雪「急に……泣いたりして……」

吹雪「……」

ギュッ

白雪「……!」

吹雪「……大丈夫、大丈夫だから……」

白雪「……吹雪ちゃん……」グスッ

吹雪「……落ち着いた?」

白雪「うん……ありがとう」

吹雪「……言いたくないなら、言わなくてもいいよ」

白雪「いいえ……言うわ」

白雪「吹雪ちゃん……実は私……」

白雪「最近……昼間、意識がなくなるの……」

吹雪「!!」

白雪「ある時、ふっと意識がなくなって……気が付いたら、時間が経ってて……」

白雪「その間、記憶がないの……」

吹雪「……」

白雪「吹雪ちゃん……私、怖いよ……」

白雪「どうして、こんなことになってるのか……わかんないよ……」

吹雪「……」

吹雪「……大丈夫だよ、白雪ちゃん」

白雪「吹雪ちゃん……?」

吹雪「私が……絶対、助けるから……」

吹雪「……安心して」

白雪「……うん」

白雪「ありがとう……」

吹雪「……」

翌日


吹雪「……ということらしいよ」

叢雲「なるほど……あいつらに、何かされたのかしら?」

五月雨「そうだったら、許せないことだよ」

漣「白雪ちゃんは利用されていた、ということか……」カシャッ

電「なんでブラインドから外覗いてるのです?」

漣「刑事ドラマっぽいかと」

吹雪「それにしても、変身アイテムは今どうなってるんだろ?」

電「工廠に行ってみるのです」

工廠


吹雪「こんにちはー」

夕張「あ、みんな!できたよ、変身アイテムが!」

明石「じゃーん!」

五人「おおっ」

夕張「腕輪型にしてみましたー」

漣「ふむ、無難なところですな」

明石「これが、私たちの血と汗と涙と欲望と希望をコンクリートミキサーにかけてぶちまけた変身アイテム!」

明石「その名も……『ショキブレス』!!」

叢雲「え、これ使うと本当に変身できるの?」

夕張「うん。戦闘用の強化スーツが瞬時に装着されます」

電「そのスーツってどこから来るのです?」

明石「その変身アイテム内に圧縮、収納されてて、そこから……」

漣「デンジマンかな?」

夕張「変身機能の他に、通信機能とかもつけたよ」

五月雨「通信?どうやって使うんですか?」

夕張「ここを押すと……」カチッ


ピピピピッ

吹雪「うわっ!?」

夕張「こうやって呼び出し音が鳴るから、そのボタンを押すと通信できるよ。もちろん、メンバー全員と通話可能ね」

叢雲「……呼び出し音大きすぎない?」

明石「え、そう?」

吹雪「びっくりしましたよ……」

五月雨「そういえば、さっき戦闘用の強化スーツって言ってましたけど……」

明石「ああ、うん。見た目が戦隊っぽければいいって話だったけど」

明石「ただの服だけだと不安だったから、スーツも特殊なものにしたよ」

夕張「その名も『ショキスーツ』!みんなの体にそれぞれフィットするようにできてるよ」

夕張「これを身にまとうことで、身体能力を何倍にもアップできるわ」

夕張「当然防御面も完璧。熱に強いし、普通の銃弾や刃物くらいじゃ傷一つつかないよ」

漣「いつも衣服が弾け飛んでる我々からすれば、画期的なスーツですな」

電「そ、そんなすごい物作れたのです?」

明石「謎技術に突っ込みを入れるのは無粋よ、電ちゃん」

吹雪「これ、普段の出撃でも使えないんですか?」

夕張「それが、どうも艤装との相性が悪いみたいなんだよね……艤装を扱うには、普段の格好が一番ってことね」

叢雲「そういうものなのね……」

明石「さあ、お待ちかねの変身機能の説明だー!!」

漣「ヨッシャー!キタコレ!」

夕張「やり方はとっても簡単!ショキブレスを左腕に装着して、このレバーを引くだけ!」

夕張「そしてその時に、『抜錨』って言ってね!」

吹雪「え、言わないとダメですか?」

夕張「ダメです」

吹雪「えぇ……」

夕張「ほーら、やったやった!私たちも変身見てみたいんだから!」

吹雪「わ、わかりましたよ……それじゃあ」



ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!


一同「!!?」

吹雪「爆発音!?」

叢雲「砲撃音……ではなさそうね」

電「あまり大きくなかったですが……確かにしたのです!」

五月雨「ど、どこから!?」

漣「どうせ工廠じゃね?」

明石「いや、工廠ここだから!それに私たち、そんなに危険なもの作ってないから!」

叢雲「今の音の感じだと、結構距離あるわね。鎮守府のはずれの方じゃない?」

吹雪「……鎮守府のはずれ……」


五人「……!!」


五月雨「夕張さん、明石さん!すみません、ちょっと私たち行ってきます!」

夕張「え、ちょっと!?」

明石「まだ変身シーン見てないのにー!」

タッタッタ……

吹雪「はぁ……はぁ……」

叢雲「……この辺よね、この間、あの黒いのと戦ったの」

電「はい。そして、白雪さんが鞄を置いていったのも……」

五月雨「!誰かいるよ!」


空母棲姫?「もう、あんたたち!失敗しないでって言ったでしょーが!」

イ級?「すみませんイー……」

ロ級?「頑張ったんですがロー」

ハ級?「どうにもなりませんでしたハー」

二級?「まあ、仕方ないですニー」


叢雲「……!あの黒いのがいるわね」

吹雪「予想通り……しかも、仲間もいるみたいだね」

電「……あの人、空母棲姫に似てるのです」

漣「この間のイ級に加えて、ロ級、ハ級、二級がいるし……」

空母棲姫?「開き直ってんじゃないわよ!これで気づかれたら……」 クルッ

空母棲姫?「あっ」

五人「あっ」

空母棲姫?「ほら、見つかったじゃないのー!」ポカポカ

ハ級?「いてて!やめてくださいハー」

叢雲「何こいつら……」

漣「あのー、どちら様ですかね?」

電「ここで何してたのです?」

空母棲姫?「ぐぅっ!え、えーと……」

空母棲姫?「あ、そう!お花見よお花見!桜を見てたのよ!」

五月雨「もう夏ですよ」

空母棲姫?「え、あ……ほ、本当は海水浴に来てたの!泳ごうと思って!」

吹雪「そんな怪しい恰好で、わざわざ鎮守府まで来て?」

空母棲姫?「ぐぬぬ……」

叢雲「まったく……あんたたちが何かやってることはわかってんのよ」

電「工廠の工具を盗んでたのはあなたたちなのです?」

空母棲姫?「っ!!も、もしかして一昨日から妨害してたのは……」

漣「その通りだァ……」ニヤリ

空母棲姫?「くっ……よくも邪魔してくれたわね!」

五月雨「どうしてこんなことを!?あなたたちは、何者なんですか!?」

空母棲姫?「ふん、答える必要はないわ!とにかく、気付かれたからには消えてもらうしかないわね!」ザッ

五人「!!」

イ級?「イー……クウボ様。ここは我々にお任せくださいイー」ザッ

ロ級?「そうですロー。こんな小娘たち、我々だけで十分ですロー」

クウボ「そう……じゃあ、イー、ロー、ハー、二―。任せたわよ」

吹雪「……やっぱり、戦うしかないみたいだね」

吹雪「仕方ない、みんな、変身するよ!」チャキッ

叢雲「ええ!」チャキッ

漣「ほいっ!」チャキッ

電「はいっ!」チャキッ

五月雨「うん!」チャキッ

五人は、それぞれショキブレスを左手に装着した!

五人「抜錨!!」

カチッ

シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……

五人の体に、スーツが装着されていく!


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


クウボ「!?な、何!?」

吹雪「ほ、本当に変身した……」

五月雨「なんだか体も軽いし……これが、スーツの力……」

漣「ヨッシャー!このまま名乗りいくよー!!」

デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエロー!」

五月雨「五月雨ブルー!」


吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァン!!!

クウボ「ショキカンジャー!?あなたたちが……!?」

叢雲「あれ、何で知ってるの?」

イー「先日お前らに殺された、イーの仲間が持って行った通信機器から記録されていたんだイー!」

漣「あいつ死ぬ前にそんなことしてたのか……」

電「気付かなかったのです」

クウボ「なるほど……私たちについて、いくらか知っているわけね」

クウボ「いいわ……お前たち!やっておしまい!」

「イー!」「ロー!」「ハー!」「ニー!」シュババッ

五月雨「来た!」

吹雪「よし……!みんな、行くよ!」

イー「イー!」バッ

吹雪「ていっ!」ドゴォ!

イー「イーーーーーーーーッ!!」ズザァッ

吹雪「よし、通った!」

五月雨「仮説は合ってたみたいだね!」

五月雨「よっと!」ドカッ!

ロー「ローーーッ!!」

ハー「ハッ!ハッ!」ブンッブンッ

叢雲「あーもう!うっとうしいわね!」

ガシッ

ハー「ハ?」

叢雲「大人しく…」


ブンッ!

叢雲はハ級?を背負い投げした!


叢雲「しなさああああああい!!」

ズドォォォォォォォンッ!

ハー「ハーーーーーーーーッ!!」

ニー「ニーッシッシ…お前が一番弱そうだ二ー」

電「はわわ……」

ニー「お前から殺してやるニー!!」ダッ

漣「あー、やめといたほうがいいよ」

ニー「え?」

漣「隙あり!」ドカッ

ニー「ニーーーーッ!!?」ドザァッ

漣「はい、電ちゃんトドメよろしく」

電「はわわ……えっと……」ダダッ

ニー「ニ……?」ムクッ

電「ご、ごめんなさい、なのです!」ドゴォ

ニー「ニッーーーーーーーーー!!??」

いつものが決まった

電「うう……やっぱり痛いのです」ヒリヒリ

叢雲「あなたは普通に戦うことを覚えたほうが良いわ」

クウボ「くっ……戦闘員が全滅とは……」

吹雪「残るはあなただけです!覚悟しなさい!」ダッ

クウボ「っ!!こうなったら……!」パチン

吹雪「はぁっ!」バッ


シュバッ

吹雪「!?」

???「……」

ガシィッ

何者かが吹雪の腕をつかんだ!

吹雪「くっ!離し……」バッ

吹雪「……!?」

クウボ「ふぅ……ここまで呼んでおいてよかったわ……」

吹雪「ど、どうして……?」



吹雪「どうして……白雪ちゃんが……?」

白雪「……」グググ

白雪「……」ドカッ!

吹雪「グハッ!」

叢雲「吹雪!」

吹雪「く……私は大丈夫……」

吹雪「でも……」

白雪「……」

白雪「……」ブンッ

吹雪「くっ」シュバッ

クウボ「ヲホホ!やっぱり私が操ってる方が、戦闘員より役に立つわ!」

吹雪「なっ……!あなたが操ってるの!?」

クウボ「そうよ。私は人を操る能力を持っているの」

叢雲「それで白雪を利用して……!」

白雪「……」ドゴォ!

吹雪「ぐ……!」

電「吹雪さん!」

吹雪「わ、私は大丈夫だから……」

吹雪「あの人を倒して……!」

五月雨「わかった!」ダダッ

漣「漣の本気を見せてやるぅ!!」ダダッ

クウボ「ふふ……そう簡単にいくかしら?」

叢雲「なんですって?」


イーたち「イッー!!」ワラワラ

電「うわぁ!いっぱい来たのです!」

五月雨「援軍!?そんな……さっきより多い!」

クウボ「ヲーッホッホッホ!こんなこともあろうかと、さっき呼んでおいたのよ!」

漣「ありゃりゃ……まいったなぁ……」

イーたち「イーッ!!」ワラワラ

五月雨「ちょっと!……やー!」ドゴッ

叢雲「くそっ……これじゃ、奴に……」バキッ

電「近づけない……のです……!」ドンッ

イーたち「イーッ!!」ワラワラ

白雪「……」ガッ


白雪は吹雪の首をつかんだ


吹雪「ぐっ……!」ギリギリ

吹雪(いつもの白雪ちゃんとは全然違う……!かなり力が強い……)

吹雪(どうにかして抵抗しないと!)グッ

白雪「……」

吹雪「……っ」

ググググ……


吹雪「うう……」

クウボ「どうやらあなたは、その子を傷つけられないようね」

クウボ「その甘さが命取りよ。そのまま死になさい……!」


白雪「……」ギリギリ

吹雪「ぐ……うう……」

吹雪「白雪……ちゃ……ん……」

白雪『吹雪ちゃん……私、怖いよ……』

白雪『どうして、こんなことになってるのか……わかんないよ……』


吹雪(ああ、そうか……)

吹雪(白雪ちゃんは……ずっと、この人に操られて……)

吹雪(ずっと……苦しんできたんだ……)

吹雪『……大丈夫だよ、白雪ちゃん』

白雪『吹雪ちゃん……?』

吹雪『私が……絶対、助けるから……』

吹雪『安心して……』

白雪『……うん』

白雪『ありがとう……』


吹雪「……!」


吹雪(そうだ……白雪ちゃんは、今も苦しんでるんだ……)

吹雪(……だったら、私が……)

吹雪(私が……白雪ちゃんを……)

吹雪(助けるんだ……!)

吹雪「白雪……ちゃん……」

白雪「……」ギリギリ

吹雪「大丈夫……だよ……」


吹雪「私が……」

吹雪「助ける……から……!!」


白雪「……」


白雪(……ふ、ぶ、き……ちゃん……?)

キラッ


吹雪「!!」


白雪の首元に、赤く光る何かを見つけた!

吹雪(……!もしかして…!)ガッ

白雪「……!」

吹雪「えいっ!」グイッ


吹雪は、白雪の首元にあった物をつかみ取り、そのまま引き抜いた!


クウボ「何!?」

白雪「……っ」フッ

吹雪「白雪ちゃん!」サッ

吹雪「……よかった、気を失ってるだけだ……」

吹雪「!これは……」


白雪の首元についていたのは、敵艦載機そっくりな、小さな石であった!


吹雪「なるほど、これを白雪ちゃんにつけることで操っていたんだね……」バキッ!

クウボ「ま、まさか気が付くなんて……」

吹雪「確かに小さくて見えづらかったけど……残念でしたね」

吹雪「これで、白雪ちゃんは操れないでしょう?」

クウボ「クッ……だ、だったら、戦闘員!行きなさい!」

クウボ「戦闘員!何してるの!せんと……あれ?」


イーたち「イー……」ピクピク

クウボが気が付かないうちに、戦闘員は全滅していた


叢雲「これで残るはあんただけよ」

五月雨「覚悟してください!」

クウボ「そ、そんな……」

吹雪「はあああああああああ!!」ダダッ

クウボ「!!」

吹雪「吹雪パァァァァンチ!!」


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!


クウボ「ぐあああああああああ!!!」

吹雪「はぁ……はぁ……」

クウボ「くっ……この……」フラッ

イー「イー……クウボ様……」

クウボ「……分が悪いわね……」

クウボ「撤退よ!ここは引くわ!」

イーたち「イー!!」ワラワラ

叢雲「あっ!逃げる気!?」

クウボ「……ショキカンジャー!!特にレッド!!」

五人「!!」

クウボ「……覚えてらっしゃい!」

シュンッ

電「あっ!消えたのです!?」

五月雨「瞬間移動……?そんなこともできるなんて」

叢雲「もうわけわからないわね……」

漣「戦闘員は海の方に逃げていったけど……どうする?追う?」

吹雪「いや……やめておこう」

吹雪「正直、こっちもギリギリだし……」

夕張「あー!もう終わってる!」ダダッ

明石「変身シーンも戦闘シーンも見れなかったー……」

夕張「せっかくいいカメラ持って来たのにー」

吹雪「あ、二人とも。これ、すっごく役に立ちました!」

五月雨「本当にありがとうございます!」

夕張「え?そう?」

明石「まあ、役だったんならよかったよ。大切にしてね」

叢雲「さて、吹雪……」

吹雪「うん……」

──────────

──────

───

白雪「っ!!」バッ

白雪(ここは……部屋?)

吹雪「あ、起きた?白雪ちゃん」

白雪「吹雪……ちゃん……」

白雪「私…どうしちゃったの……?」

吹雪「うん。急に倒れちゃったんだ」

吹雪「明石さんに診てもらったけど、問題ないって」

吹雪「これから意識がなくなることもないと思うよ」

白雪「そう……」

白雪(でも……何だか……ぼんやりと……)

吹雪「じゃあ、私は行くね?ゆっくり休んでね」ガチャッ

白雪「ふ、吹雪ちゃん!」

吹雪「……」ピタッ

白雪「私……覚えてないの……覚えてないけど……」

白雪「わかるよ……吹雪ちゃんが、助けてくれたんだって……」

吹雪「……」

吹雪「違うよ……」

白雪「違わないよ!吹雪ちゃん、助けてくれるって言ってたから……」

白雪「それに、私……ぼんやりと覚えてるよ」

白雪「私が苦しんでるとき、誰かが……『ヒーロー』が、助けてくれたって……」

白雪「記憶はないけど……」

白雪「……心で覚えてるよ」

吹雪「……」

白雪「……だから」

白雪「ありがとう、吹雪ちゃん」

吹雪「……」

吹雪「どういたしまして、白雪ちゃん」


バタン


白雪「……もう……」

吹雪「……」

吹雪(私は、もっと強くなりたい……)

吹雪(艦娘としても……『ヒーロー』としても……!)

吹雪(大切な人を守るために……!)


吹雪「よーし!」

吹雪「ショキカンジャー、レッドの吹雪!頑張るぞー!」


第二話「変身したい!」 艦

次回予告!

切り込み隊長のブラック、叢雲よ
何か、切り込み隊長に任命されたらしいわ……まあ漣が勝手に言ってるだけだけど
いよいよ敵の幹部まで出てきたわ。十分に準備しないと危険ね
変身できるようになって戦闘服はできたけど、まだ不十分だわ
何か、もっと戦闘に役立つような……
何?電。え?これ?これは……いや、違うわよ


次回、第二話「武器がほしい!」
次回も見ないと、酸素魚雷を食らわせるわよ!

スペシャルコーナー『ショキカンジャーって?ああ!』
~ショキブレスと抜錨~


漣「はい、ちゅーわけでですね。始まりました、『ショキカンジャーって?ああ!』のコーナー」

吹雪「……え、なにこれ」

漣「ショキカンジャーの装備、戦力とかについていろいろ説明するコーナーです」

五月雨「ああ、デカレンジャーみたいなの?」

漣「そうそう、そんな感じ」

叢雲「誰に説明するのよ」

漣「世の中」

電「それで……何について説明するのです?」

漣「はい、今回説明するのはこちら!」デデン

漣「『ショキブレス』です!」

叢雲「まあ、それしかないわよね」

吹雪「明石さんと夕張さんが作ってくれた、変身アイテムだね」

漣「うん。これについて詳しく解説していきましょう」

五月雨「形状は、戦隊モノとしてはオーソドックスな腕輪(ブレス)型。全長は大体15cmくらいかな」

電「あと、先端上部にアンカー型のパーツが付いているのです」

吹雪「装着は簡単。ベルトを左手の手首につけるだけだね」チャキッ

吹雪「ちなみに変身後も装着は解除されずに、そのままつけてるよ」

叢雲「……これ、変身後にブレス壊れたらどうするの?」

漣「一生変身したままなんじゃね?」

吹雪「いやいや……そもそも壊れないで欲しいんだけど」

叢雲「機能は二つ。まず一つ目は通信よ」

漣「ブレスの外側にある、五色のボタンを押すことで通信できます」

五月雨「通信したい相手の色のボタンを押すと、呼び出し音が鳴るよ」カチッ

ピピピピッ

電「はわわっ!?」

五月雨「あ……ごめん、電ちゃん」

吹雪「やっぱり呼び出し音大きいよね……」

叢雲「呼び出し音が鳴ると、通信してきた相手の色のボタンが点滅するわ」

電「て、点滅してるボタンを押すと、通信が開始されるのです……。もう一度ボタンを押すと、通信は終了するのです」

漣「複数人と通信するには、ボタンを同時押し。全部同時に押せば、全員と通信できるよ」

電「……あれ?自分の色を押すとどうなるのです?」

漣「自分と会話できます」

吹雪「えぇ……」

漣「もう一人の僕……!」

五月雨「……本当は、明石さんや夕張さんと通信できるらしいよ」

叢雲「何かトラブルがあったときに使うといいわね」

吹雪「さて、もう一つの機能は変身。ショキブレスが作られたのはこのためだね」

叢雲「まず、ブレスの内側……つまり、右手側にあるボタンを押すわ」カチッ

叢雲「そうすると、レバーが引き出されるの」

電「あとは左腕を下に向けて、『抜錨!』と言って、右手でレバーを引くのです」

五月雨「そうするとブレスのアンカー型パーツが上がって、変身が始まるよ」

漣「……なんか、動きがキュウレンジャーと被ってんね」

叢雲「そういやあんたの口癖も被ってるわね」

漣「ち、違うんじゃ……!向こうが、向こうがパクったんじゃ……!」

吹雪「えぇ……」

五月雨「変身すると、戦闘用強化スーツ『ショキスーツ』が装着されるよ」

電「夕張さんたちが言っていたように、身体能力が向上させ、防御力にも優れたスーツなのです」

吹雪「私たちの体にフィットするようにデザインされていて、動きやすいようになっているよ」

漣「ただ、こういうものには必ず代償があるのですよ……」ククク

叢雲「え、あるの?」

漣「使いすぎると……ジョーカーアンデッドになって」

叢雲「……」ポカッ

漣「痛ぁっ!?」

吹雪「えっと……本当は、体にそれなりの負担がかかるってだけらしいよ」

叢雲「あら、そうだったの?」

五月雨「確かにこの前戦った時、結構疲れたよね……」

吹雪「まあ艤装つけた時と同じくらいらしいから、あんまり気にしなくていいと思うけど」

電「無理に長時間使わないようにしないといけないのです」

漣「あ、あとダメージを受けすぎると変身が解除されるらしいよ」

叢雲「へぇ。どうして?」

漣「ある程度精神を集中させてないと、変身が持たないんだって」

漣「んで、ダメージを受けすぎると体力も精神も消耗しちゃって、意識も集中できなくなることがあるから、そうなっちゃうんだってさ」

五月雨「……あ、思ったんだけどさ」

吹雪「どうしたの?」

五月雨「変身するとき、『抜錨!』って言うよね?」

叢雲「そうだけど……それがどうかしたの」

五月雨「言わずに変身しようとするとどうなるの?」

電「え?普通に変身できるのでは?」

漣「よし、やってみるか」カチッ

吹雪「うわ、行動速い」

漣「何やってんの?みんなもやるんだよ!」

五月雨「えぇ?」

叢雲「まあいいけれど……」

カチャカチャ カチッ

電「準備できたのです」

吹雪「じゃあ、やってみようか……」

吹雪「掛け声なしでの、変身!」

カチッ

シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……

吹雪「……ん?」

五月雨「あ、あれ!?これって、まさか……!」

叢雲「と、止めて!止めてよ!」

漣「無理無理!外れないし!」グイグイ

電「は、はわわ……」


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

ガチャッ

夕張「ごめーんみんな!一個言い忘れたことがあった!」

夕張「変身するときに、『抜錨』って言わないと……」

夕張「スーツが装着されるどころか……逆に服が……脱げ……」




五人「……」スッポンポーン

夕張「……あっ」

五人「……」

夕張「……」


夕張「……着替え、持ってくるわね」バタン

五人「……」


この機能は改善され、掛け声なしでも普通に変身できるようになった
しかし、五人は心に軽いトラウマが残され、変身する際には必ず掛け声を言うようになった……


というわけで今日はここまで。続きは多分来週
序盤はあんまり変わってないことに気づきました。でも勘弁してください

すみません……>>1です
なんやかんやでまだ続きが書き終わってないので、更新は来週になります
ちょっと変えるだけのはずなんですけど、なぜか間に合いませんでした。すみません

第三話「武器がほしい!」


ショキカンジャー本拠地にて


吹雪「はい、それでは、第三回ショキカンジャー会議を始めます」

パンパカパーン

吹雪「漣ちゃん。それ愛宕さんに怒られるからやめて」

漣「ちぇー」

電「それで、今日は何を話し合うのです?」

吹雪「前回、私たちの仮説が正しいことが実証されました」

五月雨「戦隊らしく戦えばいいっていうのだね」

吹雪「しかし、敵も幹部みたいな人が現れて、油断はできなくなりました」

吹雪「これから先、もっと戦いは厳しくなるでしょう」

吹雪「そこで、さらなる戦力増強をしたいと思います」

叢雲「さらなる戦力、ねぇ……」

漣「……ありゃ?叢雲ちゃん。いつものアレはどうしたの?」

叢雲「アレって?」

漣「ああ!」

叢雲「そういうのいいから」

漣「ほら、あの槍みたいなやつ」

叢雲「ああ、アレ?今日は部屋に置いてきたわよ」

吹雪「へぇ。いつもは持ってるのにね」

叢雲「いつもってわけじゃないわよ。こういう日もあるわ」

電「そういえばアレって、何に使うのです?」

叢雲「……え?」

五月雨「艦隊戦じゃ使わないよね」

叢雲「あ、あれは、その……」

吹雪「そういえば、私も知らないな……何なの?アレ」

叢雲「え、ええと、あー……」

漣「……もしかして、ただキャラ付けのためだけに持ってるとか?」

叢雲「ち、違うわよ!ただ、最初に支給された装備の中に入ってて……」

叢雲「……なんか、気に入ってるから、持ってるだけで……」

叢雲「別に……意味なんか、ないわよ……」

四人「……」

吹雪「……なんか、ごめんね」

五月雨「だ、大丈夫だよ!あれ、かっこいいから!」

電「天龍さんたちも同じようなの持ってるから大丈夫なのです!」

漣「完全に無意味だけどね」

吹雪「こらぁ!漣ちゃん!」

漣「おっと、ごめんごめん。大丈夫、結構いけてるよ!」

叢雲「……みじめだわ……」

電「あ、今の話で思いついたのですが」

吹雪「ん?」

電「戦力増強のために、武器を作るのはどうでしょう?」

五月雨「武器かぁ……確かにあったほうが良いよね」

漣「武器は実際大事。古事記にもそう書いてある」

吹雪「武器か……そうだね、考えてみよう」

叢雲「はぁ……」

漣「先生ー、まだ叢雲ちゃんがブルーです。ブラックのくせに」

叢雲「丸くなって死にたい……」

吹雪「む、叢雲ちゃん!気をしっかり持って!」

吹雪「き、気を取り直して……」

吹雪「武器って言っても色々あるよね」

五月雨「剣、槍、弓……どう使うかで戦い方も変わってくるよ」

電「みなさん、何か使いたい武器はあるのですか?」

叢雲「いや、別に……」

吹雪「思いつかないなぁ……」

五月雨「漣ちゃんはある?」

漣「いやー、漣にもないなー」

叢雲「あら、以外ね。てっきり『これが使いたーい!』って、マニアックなのを出してくるかと思ったわ」

漣「こういうのはイメージが大事だからね。個人の願望だけじゃ決められんのよ」

吹雪「なるほど、イメージか……」

漣「そもそも、大体の戦隊では『共通武器』と『個人武器』があるじゃん?」

五月雨「『共通武器』と『個人武器』?」

漣「そそ。『共通武器』はメンバー全員が扱う武器。『個人武器』はメンバーごとに種類や性能が違う武器のこと」

漣「まあ、基本的に個人武器の方が共通武器よりも強力な武器だね」

電「じゃあ、どっちも考えないといけないってことなのです?」

漣「いやあ、どっちか一方でもいいと思うけどね。要はどうすれば一番戦いやすいかが大事だから」

叢雲「ふーん……」

吹雪「うーん、どっちもあったほうが良い気もするけど……」

五月雨「でもいくつも武器があっても、ちゃんと使いこなせるかな?」

電「確かに、艤装みたいにうまくいくかわからないのです」

吹雪「それもそうだね……どうしようか」

叢雲「そうねぇ……個人武器だけでもいいんじゃない?」

漣「ほほう」

叢雲「共通武器だけだと戦いも単調になって敵に対応されやすいでしょうし、その武器が効かなかったときに困るわ」

叢雲「個人武器なら、少なくとも五種類の武器ができるはずよ。ある程度の敵に対応できるはずだわ」

電「なるほど……」

漣「個人武器なら個性も出るしな!」

五月雨「……それ、大事なの?」

漣「何をおっしゃる!個性は大事、古事記にもそう書いてある!」

吹雪「よし、じゃあ個人武器で考えよう」

電「それで、結局どんな武器を使うのです?」

叢雲「ああ、そういえばそうだったわね」

五月雨「うーん……とりあえず何か案を出してみようか」

五月雨「一人ずつ、メンバーのそれぞれの武器の案を考えてみようよ」

吹雪「そうだね。やってみようか」

漣「さっきも言ったとおり、イメージが大事だよ!あと個性!」

叢雲「はいはい……」

数分後


吹雪「じゃあ、みんな考えた?」

電「はいなのです」

漣「じゃあ吹雪ちゃんから出してー」

吹雪「私?これだよ」


吹雪の案


吹雪  剣

叢雲  槍

漣   弓

電   ハンマー

五月雨 銃


四人「……」

吹雪「えっ、何その反応」

叢雲「何というか……」

漣「THE☆普通って感じ?」

吹雪「えー!?ひどい!」

五月雨「いや、無難でいいとは思うんだけど……」

電「というか、何で電はハンマーなのです!?」

吹雪「いや、なんとなく黄色ってパワー系のイメージがあるから……」

漣「電ちゃん、カレー好き?」

電「す、好きですけど……」

漣「じゃあそういうこった」

電「どういうことなのです!?」

吹雪「じゃ、じゃあ次叢雲ちゃんよろしく……」

叢雲「私のはこれね」


叢雲の案


吹雪  ハンドガン

叢雲  ショットガン

漣   アサルトライフル

電   バズーカ

五月雨 スナイパーライフル


漣「バイオじゃねーか!!」

叢雲「いいじゃない強くて」

吹雪「殺伐とした戦場になりそうなんだけど……」

叢雲「勝てばいいのよ、勝てば」

漣「こんな戦隊ヒーローはいやだ」

電「また電が重そうな武器なのです……」

叢雲「やっぱり黄色はパワー系の……」

五月雨「やっぱりそうなるんだ……」

吹雪「じゃあ、次、漣ちゃん」

漣「ほいさっさー!」


漣の案


吹雪  槍

叢雲  バックラー(しかも時間操作できる!)

漣   弓

電   銃(マスケット銃)

五月雨 剣


吹雪「ちょっと!漣ちゃんも私のと大差ないじゃない!」

電「この時間操作できるって何なのですか……?」

漣「時間止めたり、巻き戻したり……」

吹雪「めちゃくちゃだよそれ!どういうことなの!?」

叢雲「あー、吹雪。違うわ」

吹雪「え?」

叢雲「こいつ真面目に考える気0よ」

電「?どういうことなのです?」

五月雨「これってあれだよね……魔法少女だよね」

漣「おや、二人とも知ってたの?」

叢雲「知らなかったらどうするつもりだったのよ……」

吹雪「よくわからないけど、次、電ちゃん」

電「はいなのです」


電の案


吹雪  スコップ

叢雲  チェーン

漣   鍬

電   スリングショット

五月雨 バット


五月雨「なにこれ革命軍!?」

漣「ちょ、電ちゃん……」

電「?剣とかは危ないので、身近にあるものを武器にしたのですが……」

叢雲「ある意味では一番危険よ、これ」

吹雪「スコップを持ったヒーローは想像できないなぁ……」

漣「ショベルバケットはあったけどね」

吹雪「じゃあ、最後に五月雨ちゃん」

五月雨「私のはこれだよ」


五月雨の案


吹雪  メリケンサック

叢雲  ガントレット

漣   トンファー

電   ダガー

五月雨 鉤爪


吹雪「何でそんな超近接武器ばっかりなの!?」

五月雨「いや、なんとなく強そうだったから……」

漣「これはアレですか?漣はトンファーキックすればいいんですか?」

電「トンファーの意味がないのです……」

叢雲「ていうかメリケンサックって……」

五月雨「え、何?」

叢雲「……いや、何でもないわ」

吹雪「で、全員の案が出そろったわけだけど……」

五人「……」

漣「思った以上にひどいことになりましたな」

電「みんな案が個性的なのです……」

叢雲「一名を除いてね」チラッ

吹雪「いや、普通っていうけど、結局私のが一番まともじゃん!」

五月雨「いいと思うんだけどなー、メリケンサック……」

吹雪「何でそここだわるの!?」

漣「仕方ない。吹雪ちゃんの案をベースに考えていきまっしょい」

五月雨「それがよさそうだね」

叢雲「じゃあまず、吹雪の剣から」

漣「ザ・キング・オブ・普通ですな」

吹雪「い、いいじゃん!武器って言ったら剣だよ!」

漣「いやあ、悪いとは言ってないよ。レッドっつったら剣だよ」

五月雨「剣っていっても色々あるよ。片手剣、両手剣、刀……」

叢雲「もっというと、グラディウスやフランベルジェ、クレイモアとか……」

電「レイピアやサーベル、ファルシオンなどもあるのです」

吹雪「そこまで考えてないよ!何かみんな武器に詳しくない!?」

漣「いやー、これまだ序の口ですよ」

電「ジャマダハルとかどうなのです?」

吹雪「いいよもう!普通のロングソードで!」

五月雨「次は叢雲ちゃんの槍だね」

吹雪「あ、これは根拠があるんだよ。ほら、さっきの話の……」

叢雲「……」ズーン

漣「おっと、ここで傷を抉りに来たー!」

電「酷いのです!」

五月雨「なんてタイミング……!」

吹雪「え!?ちょ、ちょっと待って!話を聞いて!」

吹雪「さっきの話のあの武器!あれを利用できるんじゃないかと思って!」

吹雪「あれをベースに武器を作れば、あれにも意味ができるよ!」

叢雲「……意味が……できる……?」

電「そ、そうなのです!ずっと持ってる物ですから、叢雲さんも愛着があるでしょうし!ちょうどいいのです!」

五月雨「そうだよ!きっと、もっとかっこよくなるよ!」

漣「強そう」

叢雲「……」

叢雲「そ、そこまで言うなら……いいわよ」

漣「ちょろい」ニヤリ

吹雪「こらぁ!漣ちゃん!」

電「次は漣さんの弓なのです」

漣「弓であることに異議はないよ~。漣もそうしたし」

叢雲「いや、あんたのは違うでしょ……」

五月雨「弓って言ってもどんなの?和弓?洋弓?クロスボウ?」

漣「まあ洋弓かクロスボウがいいと思うけど」

漣「あっちにちなんで、洋弓かな?」

五月雨「いつまで引っ張るの、それ…」

漣「もう絶望する必要なんて、ない!」キリッ

叢雲「ぶっ飛ばすわよ」

吹雪「次は電ちゃんのハンマー……」

電「しょ、正直うまく扱える自信ないのです……」

漣「確かに黄色と言ったらパワー系だよね」

叢雲「……そういえば、電も武器持ってるじゃない」

四人「え?」

叢雲「ほら、艤装にぶら下がってる……」

五月雨「……もしかして、錨のこと?」

電「あ、あれは違うのです!」

叢雲「そう?雷がそんな感じで持ってるから、てっきり……」

吹雪「あー、確かにそんな感じするねぇ」

漣「あれが振り回せるんならハンマーもいけるんじゃないんですかね」

電「いや、どうでしょう……」

五月雨「いいんじゃないかな?ハンマー。電ちゃんにぴったりだと思うよ」

電「さ、五月雨さんまで……」

五月雨「だってほら、雷属性といったらハンマーだよ」

電「?どういうことなのです?」

叢雲「もしかしてミョルニルのこと?」

吹雪「ミョルニル?」

漣「伝説上のハンマーさ」

吹雪「へぇ……伝説って?」

漣「ああ!」

吹雪「えぇ……」

五月雨「えっと……本当は、北欧神話に出てくる雷神トールが使ったとされるハンマーだよ」

吹雪「へー、そうなんだ」

電「そ、そもそも電は雷属性じゃないのです!」

叢雲「いいじゃない別に。何か問題あるの?」

電「も、問題はないのですが……」

漣「大丈夫大丈夫。意外といけるって」

電「……まあ、そんなに重くないなら……いいのです」

漣「最後は五月雨ちゃん、ですが……」

五月雨「銃かぁ……」

吹雪「え、銃いや?」

五月雨「嫌ってわけじゃないんだけど……いつも似たようなもの使ってるから」

電「そういえば、いつもの艤装と変わらないのです」

五月雨「せっかくだから、別の物使いたいかなぁ」

叢雲「そうねぇ……じゃあ、考え直しましょうか」

吹雪「でも何がいいかなー」

電「えっと、他の意見は……」


『スナイパーライフル』『剣』『バット』『鉤爪』


叢雲「……鉤爪使いたいの?」

五月雨「いや、そういうわけじゃなくて……」

漣「ベアクローのほうがよくない?」

五月雨「どっちも似たようなものだよ……」

吹雪「鉤爪かぁ……悪くないと思うけど」

電「武器としては十分だと思うのです」

叢雲「じゃあ候補その1ね」

叢雲「で、スナイパーライフル……」

漣「却下」

吹雪「結局それ銃だよ……」

電「では、バットは……」

五月雨「バットはちょっと……勘弁かなぁ」

吹雪「剣に切り替えられるとかないと……」

漣「なら釘バットに」

叢雲「もっとヤバくなるでしょーが」

吹雪「となると、残ったのは剣か鉤爪……」

電「でも、剣だと吹雪さんとかぶっちゃうのです」

叢雲「そうねぇ……それなら、鉤爪にする?」

五月雨「そうだね、私はどっちでも……」

漣「ちょっと待ったァーーー!!!」

叢雲「うるさいわよ」ポカッ

漣「あいたぁ!?」

吹雪「な、何?」

漣「いや……ぶっちゃけて言いましょう」

漣「鉤爪は五月雨ちゃんのイメージに合わない!」

五月雨「そ、そう?」

叢雲「他のメンバーは合ってるの?」

漣「合ってる!多分!!」

電「えぇ……」

叢雲「って言ってもどうするのよ。剣はさっき言ったとおり、吹雪と被ってるわよ?」

漣「うむ!その通りだ!」

漣「そこで漣は、刀を提案する!」

吹雪「刀?どうして?」

漣「五月雨ちゃんの名前が刀の名前っぽいから!」

五月雨「えぇ……」

電「五月雨江って刀はあるのです」

漣「ほらほら!」

叢雲「いや、ほらほらじゃなくて」

漣「まあそれは別にしてもだね」

漣「吹雪ちゃんは西洋のロングソード。五月雨ちゃんは東洋の刀」

漣「色彩は赤と青。この対比……アリじゃね?」

叢雲「なにがアリなのよ」

電「うーん、どうなのです?五月雨さん」

五月雨「刀かぁ……」

五月雨「……うん、使ってみたいかも」

吹雪「そう?じゃあ、これで決まりだね」

電「では早速、明石さんたちに作ってもらうのです」

工廠


夕張「来たか……!武器を作る時が……!」

明石「前回から……待っていた……この時を……!」

五人(相変わらずテンション高いなぁ……)

吹雪「じゃ、じゃあ、お願いしていいですか?」

夕張「もちろんよ。あ、ショキブレスも渡してくれる?ちょっと使うから」

五月雨「え?はい、わかりました」スッ

夕張「あと、叢雲ちゃんは、武器も借りておくわね」

叢雲「ええ、わかったわ」

明石「じゃあ三日くらい待ってね」

電「では、よろしくお願いします」

五月雨「三日かぁ……その間敵が来ないといいけど」

漣「いやぁ、大丈夫でしょう。こういう時には襲ってこないのがお約束ですから」

叢雲「そんなこと言ってきたらどうするのよ……」

漣「その時はその時ですよ~」

吹雪「さて、じゃあ三日間どうしようか」

電「前回と同じく、異常現象を調べてみるといいのです」

五月雨「えーと、確か……」

・工具がなくなる(解決!)

・屋根裏や床下から変な音

・地響きが聞こえる

・資材がなくなる(提督のせい?)

叢雲「どれから調べてみる?」

電「一番調べやすそうなのは、屋根裏や床下からの音なのです」

吹雪「そうだね、じゃあ……」




「う……うぅ……」

五人「!!?」

漣「な、何事!?」

五月雨「あっちの方からうめき声が……!」

吹雪「とりあえず、行ってみよう!」

ダダッ

五人「!?」



赤城「うぅ……」

五人が行った先で、赤城が倒れていた!

吹雪「あ、赤城さん!?」

叢雲「どうしたの!?一体!」

赤城「う……み、皆さん……」

電「どうしたのです!?苦しいのです!?」

赤城「ボ……ボ……」

五月雨「ボ?」


赤城「ボーキが……ほしいです……」ガクッ

五人「……」

漣「……とりあえず、空母寮に運ぼうか」

空母寮


加賀「ごめんなさいね……赤城さんが」

吹雪「い、いいえ、大丈夫です」

電「ボーキサイトが、足りないのですか?」

加賀「そうなんです……」

加賀「最近、資材が急になくなったりするのは知ってる?」

叢雲「え、あれは司令官が大型艦建造してるからじゃ?」

加賀「それがどうも違うみたいなの……」

加賀「提督が言うには、最近は全く大型艦建造はしてないそうです」

漣「ほほう。それなのに資材は減る、と」

加賀「詳しいことは提督に聞くといいわ。それじゃあ」

吹雪「は、はい」

吹雪「うーん、資材が消える、かぁ……」

漣「何とも不思議ですな~」

電「どうやら、これから解決した方がよさそうなのです」

五月雨「でも、何でなくなるんだろう……」

叢雲「ボーキに関しては、空母の誰かが食べてるとか?」

五月雨「誰かって?」

叢雲「……誰でしょうね」

電「とにかく、司令官に聞いてみるのです」

執務室


吹雪「失礼します」ガチャッ

提督「おっ、お前たちか。どうした?」

電「あの、司令官さんに聞きたいことが……」

提督「ん?何だ?」

叢雲「最近、資材がなくなってることについて聞きたいのだけど」

提督「ああ、そのことか……」

提督「確かに、最近著しく資材が減っている」

提督「遠征を繰り返しても減っていくくらいだ」

五月雨「それは深刻ですね」

提督「おかげで満足に出撃もできん……困ったものだ」

漣「どんな感じでなくなるんですか?」

提督「普通に倉庫に入れてたら急になくなる。荒らされた形跡はほとんどない」

提督「資材だけがすっと消えるわけだ」

吹雪「倉庫の警備を強化したりは?」

提督「もちろんした。しかし、少し目を離すとアウトだ。すぐに消えてしまう」

提督「いつなくなるかわからないんだ。ずっと気を張ってるわけにもいかんしな」

叢雲「なるほどねぇ……」

提督「今、深海棲艦に攻められたら、満足に迎撃もできないだろう。早急に解決したいのだが……」

吹雪「私たちが調査してみます」

提督「ありがとう。よろしく頼む……」

電「事態は思ったより深刻なのです……」

叢雲「資材が急に消える……普通じゃ考えられないわね」

漣「やっぱあの人たちの仕業なんかね?」

五月雨「とりあえず、問題の倉庫に行こうよ」

吹雪「そうだね。行ってみよう」


倉庫


ギィッ

???「誰だ!!」

五人「うわぁ!?」


長門「……なんだ、お前たちか」

叢雲「な、長門さんか……びっくりした」

電「倉庫の警備してるのって、長門さんだったのです?」

長門「ああ、そうだ。出撃もないのでな。このように資材を見張っている」

長門「その様子だと、あの話を聞いたようだな」

漣「実際、どうなんですか?」

長門「……正直なところ、どうしようもない……」

長門「私以外にも何人かで見張っているが、やはり限界がある……」

長門「目を離したすきに消えてしまうんだ……燃料ならドラム缶ごと消えてしまう」

五月雨「そんなことが起きてたなんて……」

長門「そうはいっても、ひどくなったのはここ数日の出来事だ。それ以前は少しずつ減ってただけだからな」

長門「だがしかし、現状は深刻だ……」

長門「提督は皆に配慮して黙っているが、いずれ全員に知られるだろうな……どうにかせねば」

吹雪「……あの、少しお手伝いさせていただいてもいいですか?」

長門「ん?別にかまわんぞ。むしろお願いしたいくらいだ」

長門「では、あっちの方を見張っててくれ」

漣「うーん、大変なことになってまいりましたな」

叢雲「またあの連中の仕業なのかしら?」

電「そうだと思うのです」

吹雪「とりあえず、実際に見張ってみよう」

五月雨「うん。何かわかるかもしれない」


数分後


叢雲「……」

電「何も起きないのです……」

吹雪「目を離しても変化はなし……か」

漣「そりゃそんな都合よくなくなったりしないよ」

五月雨「ま、まだ始めて数分だし、もうちょっと待とうよ」

さらに数分後


吹雪「す……す……」

吹雪「スベスベマンジュウガニ……」

叢雲「に……ニシキヘビ」

漣「び……び……」

漣「……」

電「はい、負けなのです」

漣「くぅ~……『び』のつく動物って何だよ……」

電「ビーバーがあるのです」

漣「あー、そっかー!」

五月雨「……」

五月雨(なんか、みんな集中力が切れてる……)

五月雨(ダメダメ!私だけでもしっかりしないと……!)

さらにさらに数分後


電「では次の問題なのです。フィンランドの首都は?」

五月雨「オスロ!」

電「ぶぶー。正解はヘルシンキなのです。オスロはノルウェーなのです」

五月雨「あー、そうだった!」

漣「じゃあ罰ゲームで、語尾に『にゃん』をつけて自己紹介してください」

五月雨「い、いやだよ~」

吹雪「ほらほら五月雨ちゃん」

叢雲「罰ゲームなんだから」

五月雨「うう……」

五月雨「し、白露型六番艦……五月雨です……にゃん」

四人「ヒュー!」


長門(何をやっとるんだあいつらは……)

叢雲「……ん?」


気が付くと、近くのドラム缶が一つ消えていた!


叢雲「!ちょ、ちょっとみんな!ドラム缶が消えてる!」

四人「!」

電「ぜ、全然気が付かなかったのです」

吹雪「だ、誰か何か見た!?」

五月雨「いや、何も見えなかったにゃん!」

漣「あ、五月雨ちゃん、もういいよそれ」

叢雲「なるほど……こんなふうに消えるのね」

五人(……でも)

五人(正直、油断してたしなぁ……)

吹雪「……今度は集中しておこう」

三十分後


漣「……」

漣「……」コクリコクリ

叢雲「寝るな」バシッ

漣「あいたっ」

吹雪「……まあ、そんなすぐには来ないよね」

五月雨「結構待ったけどなぁ……」

電「まだ三十分しかたってないのです」

叢雲「やっぱり、ずっと見張ってるのは大変……」



ザッ

五人「!!」


五人は音のした方を見たが、何もなかった

吹雪「……確かに、音がしたよね?」

漣「全員聞いたよね……」

五月雨「うん、聞こえた……」

電「誰か、いるのでしょうか……?」

叢雲「でも何も……」

叢雲「……!」


また近くのドラム缶が消えていた!


叢雲「まただ……!またやられたわ……!」

漣「こりゃあ予想以上にやばいですな……」

長門「どうだ?何かわかったか?」スタスタ

電「あ、長門さん」

五月雨「あの、見張ってるとき、何か音が聞こえたりはしませんか?」

長門「音?」

長門「……やはり、するのか……?」

五人「え?」

長門「実は、たまに聞こえるんだ……足音のようなものが……」

長門「しかし、気を張りすぎて幻聴が聞こえているのだと思ってな……」

長門「音のする方へ行き、いろいろと調べてみたりしたが、やはり何もない……だから気のせいだと……」

長門「だが、他の者たちもそう言うし、お前たちも……なら」

叢雲「誰か、倉庫に入ってきている……?」

長門「そうかもしれない」

漣「他に何か不可解なことは?」

長門「不可解?そうだな……」

長門「……そういえば、偶然かもしれんが……消える資材は、いつもすぐには手の届かないところにある」

吹雪「手の届かないところ?」

電「そういえば、さっき消えたドラム缶も、他の資材に囲まれていたのです」

長門「ああ。だから尚更不思議なんだ」

長門「何故、簡単に持ち運べるところではないのか、と……」

叢雲「まさか、本当に消えてるとか……?」

漣「いいえ、そんなオカルトありえません」キリッ

長門「消えてるにしても、その理由がわからないことは変わらない。どうにかしなければならないことも、な」

五月雨「そういえば、夜も警備してるんですか?」

長門「いや、実はな……夜はなぜか資材が消えないんだ」

吹雪「え?意外……」

長門「そうだろう。消え始めたころは、夜もある程度警戒していたのだが……」

長門「私たちの疲労もたまってきてな。ある日、夜は思い切って休んでしまったんだ」

長門「しかし翌日見てみると、昨日のままだ。資材は全く減っていなかった」

電「では、今はお昼の間だけ監視しているのです?」

長門「ああ。もっとも、その監視もほとんど意味がないがな……」

叢雲「夜は誰も倉庫には来ないの?」

長門「そうだな……正直、我々も限界なんだ」

長門「警備は戦艦や重巡で回しているのだが、全員疲労がたまっている」

長門「できれば、かかわりたくないんだ……」

漣「まあ、夜の間に消えないんだったら来ないでしょうな~」

吹雪「……わかりました。いろいろ聞かせてくれて、ありがとうございました」

長門「何、礼には及ばんさ」

長門「お前たちの話は聞いている。頑張ってくれ」

五人「はいっ!」

吹雪「じゃあ、とりあえず出ようか」

電「そうするのです」

叢雲「……うわっ!」コケッ

漣「え、何やってんの?叢雲ちゃん。何もないところで転んで」

漣「ドジっ子は五月雨ちゃん一人で十分だよ?」

五月雨「ちょ、ちょっと!漣ちゃん!」

叢雲「悪かったわね……」スクッ

叢雲(……何だったのかしら?今の……)

倉庫の外


五月雨「さて、どうしようか?」

吹雪「とりあえず、本拠地に戻って会議を……」

夕張「あー、いたいた!叢雲ちゃーん!」ダダッ

電「夕張さん?」

叢雲「どうしたの?」

夕張「はぁ……はぁ……実は……」

夕張「ごめん!叢雲ちゃんの武器、失くしちゃった!」

五人「え!?」

漣「な、なんであんな大きい物を……」

夕張「実は、さっきのあなたたちが工廠から出た後のことで……」


夕張『うーん、この槍……どう改造してやろうかしら』←槍を手に持ってる

明石『あ、夕張ちゃん。鋼材が足りないから、倉庫で取ってきてくれない?』

夕張『はーい、わかりました』←槍を持ったまま


倉庫


長門『ん?夕張か……なんだそれは?』

夕張『え?……あら、持って来ちゃった』←槍持って来た

夕張『実はかくかくしかじかで……』

長門『なるほど……わかった。持っていけ』

夕張『よし、この辺のを持っていけばいいかな』←槍を一旦地面に置く

夕張『よいしょっと……あ、槍どうしよう。両手ふさがっちゃった……』

夕張『まいっか。あとで取りに来よーっと』


夕張『さて、槍を……』

夕張『……』

夕張『……槍が、ない……?』

夕張『えー!?嘘!何で!?』

夕張「それで、長門さんとかいろいろな人に聞いて回ったけど、誰も知らないって……」

夕張「私が出てから帰ってくるまで、誰も出入りしてないらしいし……」

漣「うわぁ……」

吹雪「何で持って来ちゃったんですか……」

夕張「し、仕方ないじゃない!手に持ったままでいると、持っていること自体忘れて行動しちゃうってあるでしょ!?」

五月雨「ああ、消しゴム探してたら手に持ってた、みたいな」

夕張「そうそう、そんな感じ!」

電「流石に槍は気づくと思うのです……」

夕張「というわけで叢雲ちゃん……ごめんね」

叢雲「……」

叢雲「……別にいいわよ。あれは、別に意味のないものだから……」

電「む、叢雲さん、まだ気にしてたのですか?」

叢雲「い、いやそうじゃなくて……」

夕張「本当にごめんね!代わりと言っては何だけど、いい装備作るから!」

叢雲「気にしなくていいわ。武器、お願いね」

夕張「ありがとう!じゃあ、作業に戻るね!」ダダッ

叢雲「……」

吹雪「……」

ショキカンジャー本拠地


吹雪「さて、どうしようか……」

漣「うちらにできることはあるのかな~?」

電「前回のようにはいかないのです……」

叢雲「今日みたく、監視に参加してもあんまり意味ないでしょうし……」

五月雨「……じゃあ、夜に行くのはどう?」

吹雪「夜に?」

五月雨「うん。夜にだけ資材が消えないなんて、やっぱりおかしいよ」

五月雨「こっそり夜に行って、覗いてみよう」

叢雲「確かにそうね……やってみる価値はあるわ」

電「じゃあ、決まりなのです」

その夜


漣「漣の~怖い話~」ピカッ

叢雲「懐中電灯で遊ぶのやめなさい」

漣「その1……夜に出歩いていると、『夜戦……夜戦……』という謎の声が……」

電「それって……」

五月雨「川内さん、だよね……」

吹雪「確かにいつもそんな声がす……」


「夜戦ー!夜戦ー!」


五人「……」

吹雪「……行こうか」

吹雪「……そういえば叢雲ちゃん、本当にいいの?」コソッ

叢雲「何がよ」

吹雪「あの、武器のこと……」

叢雲「いいって言ってるでしょ」

吹雪「あれ、大切なものなんでしょ?」

叢雲「……何でそう思うのよ」

吹雪「だって、いつも大事そうに持ち歩いてるじゃない」

叢雲「……」

吹雪「それに、昼間のあれ……嘘だよね」

叢雲「あれって、どれよ」

吹雪「あの武器が支給されてたってことと、意味なんてないってこと……かな」

叢雲「……」

叢雲「……なんでわかったのよ」

吹雪「私たちが着任した本当に初めのころは、持ってなかったよね」

吹雪「でもその少しあとから、持つようになった……」

吹雪「支給されてたんなら、最初から持ってるよね」

吹雪「そして、持つようになったのには、何か理由がある、と思ったわけだよ」

叢雲「……すごいわね、あんた」

吹雪「お姉ちゃんだからね」フンス

叢雲「あ?」

吹雪「ごめんなさい何でもないです」

叢雲「確かにそのとおりよ。でも、持つようになった理由は教えないわ」

吹雪「何で?」

叢雲「それは……」

叢雲「……ものすごーく、かっこ悪い理由だからよ」

吹雪「……そっか」

吹雪「じゃあ、この話は終わり。そろそろ倉庫につくよ」

叢雲「そうね……」

倉庫前


漣「さて、開けてみますかな……」スッ

五月雨「待って、漣ちゃん」

漣「え?何?」ピタッ

五月雨「……何か、聞こえる」



「イーッシッシ!今日も大量に奪えるイー!」



五人「……」

電「これって……」

叢雲「間違いなく、あいつらね……」

吹雪「やっぱりか……」

「今日、あのショキカンジャーってやつらが来てたからちょっとビビったけど、なんてことなかったロー!」

「やっぱりセンスイ様の『姿を消す能力』は最強だハー!」


漣「姿を消す能力……?」

叢雲「……なんか、謎が解けそうね」


「それにしても、やっぱり周りに別の資材があると奪いにくいニー!動かしにくいニー!」

「仕方ないだロー。資材がただ『見えなくなってる』だけなのに気づかれたらおしまいだロー」


五人「……!」

五月雨「見えなくなってるだけ……?」

電「どういうことなのです……?」

「手の届くところの資材を消したらすぐバレちゃうイー」

「見えなくなってる資材だけさっさと奪うハー!」

「わかってる二ー!でも、見えてる資材も奪ってしまっていいんじゃないかニー?」

「バカ。そんなことしたら、またあいつら夜の警備始めちまうイー。そうしたら奪える量も減っちまうイー」


吹雪「なんとなく、わかってきたね……」

叢雲「とりあえず、あいつらぶちのめせばいいのかしら?」スクッ

五月雨「ダメだよ!今はショキブレスも持ってないし、また援軍が来たら大変なことになるよ!」

漣「ここは前と違って鎮守府のど真ん中だしね」

叢雲「くっ……」

「じゃあ、そろそろずらかるイー!資材は全部運んだかイー?」

「大丈夫だロー。さっさと帰るロー」


吹雪「!これ、出口に来ちゃうんじゃない!?」

電「ま、まずいのです!今見つかったら……!」


シーン


叢雲「……来ないわね」

吹雪「あれ?」

五月雨「音もしなくなったよ」

漣「どこから帰ったんでしょうな?」

五人「……」

吹雪「……とりあえず、帰ろうか」

ショキカンジャー本拠地


吹雪「とりあえず、あの話を聞いた限りでの、この事件の考察をまとめてみたけど…」


何故資材が減るのか?

・昼間のうちは資材が見えなくなっているだけ。センスイ?の能力らしい

・夜になると戦闘員たちが見えなくなった資材を運び出す


何故このような手段を?

・夜に必要以上に奪ってしまうと、警備を強化されてしまうため、昼に見えなくした分しか奪わない

・夜に警備されると、十分に奪えない(今回のようにのびのびと奪えない?)

・普通では手の届かない範囲しか資材を見えなくしない(すぐに手が届くとバレる)


何故昼に資材を見えなくする必要があるのか?夜に奪うだけではだめなのか?

・夜を中心に警備されてしまうから。昼は普通に人の目があるためどのみち奪えない

・精神攻撃も兼ねていると思われる。疲弊させることに目的が?(夜の警備をさせないため?)

五月雨「見えなくする能力か……」

叢雲「この間の空母棲姫みたいなやつの、『操る能力』と同じね」

電「資材が消える原因はわかったのです。でも……」

漣「奴らは、どこに消えたんでしょうな?」

吹雪「それなんだけど……普通の出入り口とは違う、あの人たちが使ってる出入り口が倉庫のどこかにあるんじゃないかな」

吹雪「そこに資材を運んで行って、そこから帰る……」

電「でも、それどこにあるのです?」

叢雲「資材を運べるほど大きい出入り口なら、すぐわかると思うけど」

五月雨「それも、見えない能力のせいじゃないかな……?」

漣「?どういうこと?」

五月雨「出入り口も資材と同じように、私たちには見えなくしてるんじゃ……」

吹雪「なるほど、それなら」

叢雲「どちらにしろ、普通の出入り口じゃないでしょうね」

漣「さて、どうしましょうか?」

叢雲「警備しても無駄、ということがわかったから、長門さんたちには警備を中断してもらいましょう」

電「確かに、かなりお疲れだったのです」

吹雪「待って。それだと、こちらの考えが気づかれるかもしれない」

叢雲「?どういうことよ」

吹雪「私たちがこのトリックに気が付いたことは、相手に知られちゃいけない」

吹雪「知られると、相手に警戒されて、尻尾がつかみにくくなる」

吹雪「資材が消えた先や、謎の出入り口がどこにあるかわからなくなっちゃうかも……」

叢雲「じゃあ、あのまま警備させろっていうの!?」ガタッ

叢雲「私たちのショキブレスが戻ってくるまで、あと三日あるのよ!?それまで……!」

吹雪「気持ちはわかるよ、よくわかる」

吹雪「私だって、無理はさせたくないよ……」

吹雪「でも……」

五月雨「吹雪ちゃんの言う通りだよ」

五月雨「油断させておいて、一気に畳みかけるのが一番だと思う」

五月雨「……本当に、長門さんたちには申し訳ないとは思うけど……」

叢雲「……そうね。その通りだわ」

漣「珍しく熱いですな、叢雲ちゃん」

叢雲「……別に」

吹雪「……」

吹雪「とにかく、今日はもう遅いし、みんな寝よう」

電「そうするのです」

叢雲「……」

叢雲(なんでかしらね……)

三日後  工廠


明石「ついにできました!みんなの武器!」

夕張「さ、どうぞどうぞ」ササッ

吹雪「あれ?これ、前と同じショキブレスですよね」

電「武器はどうしたのです?」

明石「まあ、とりあえず変身してください」

五月雨「は、はい」

五人「抜錨!!」

カチッ

シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……

五人の体に、スーツが装着されていく!


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


明石「キター!!」

夕張「変身だーー!!」

叢雲「テンション高っ!」

電「そ、それで、武器はどうしたらいいのですか?」

明石「ああ、ごめんなさい。通信ボタンの横に、もう一個ボタンが付いてるでしょ?」

吹雪「あ、ホントだ」

明石「押してみて」

漣「こう?」カチッ

ヒュボッ

漣「へぁっ!?」

吹雪「きゅ、急に出てきた……!」

叢雲「前回も思ったけど、この謎技術どうなってるのよ……」

夕張「ふふふ、ヒーローモノの技術に突っ込むのは無粋ですよー」

夕張「じゃあ、説明するね」

夕張「オーダー通り、吹雪ちゃんが剣、叢雲ちゃんが槍、漣ちゃんが弓、電ちゃんがハンマー、五月雨ちゃんが刀だよ」

明石「私たちの血と汗と涙と欲望と希望をコンクリートミキサーにかけてぶちまけた武器だよ!」

五月雨「お、思った以上に立派な武器ですね……」

明石「やっぱり気合入れて作らないとね!」

夕張「手に持ってる武器は、普通に使ってる分にはただの武器なんだけど……」

夕張「ギミック……特殊な機能を二つほど備えています」

漣「ほほう、二つも!」

明石「共通武器がない分、そのくらいあってもいいかなって」

夕張「まず一つ目の機能!」

夕張「念じると何かできます」

吹雪「何かって何ですか!?」

夕張「何かっていうのは、それぞれの属性のアレよアレ」

電「属性って何なのです!?」

夕張「属性は属性よ。考えるな、感じろ。OK?」

漣「OK!」ズドン

叢雲「やめなさい」

夕張「じゃあ吹雪ちゃん。試しに剣に意識を集中させてみて」

吹雪「は、はい」

吹雪「……」


ボォッ!

吹雪の剣が炎をまとった!


吹雪「うわぁ!?」

明石「ははは。すごいでしょ」

叢雲「なにこれ、魔法?」

夕張「いいえ、科学の力です」

漣「かがくのちからってすげー!」

夕張「こんな感じで出てくるよ。今はまだうまく使えないだろうけど、使いこなすと、もっとすごいことができると思うよ」

五月雨「へぇ……すごいです」

夕張「吹雪ちゃんの属性は炎。叢雲ちゃんは大地。漣ちゃんは風。電ちゃんは雷。五月雨ちゃんは水となっています」

漣「叢雲ちゃんがグリーンだったらマジレンジャーだったんだけどなー」

叢雲「色決めたのあんたでしょうが」

夕張「ちなみにこれを使うと、ショキスーツと同じように、ちょっと体力を奪われちゃうから気を付けてね」

吹雪「ちょ、先に言ってくださいよ!」

夕張「あはは、ごめんごめん」

電「それで、もう一つの機能は何なのです?」

明石「ああ、うん。その前に……」

明石「その武器、船のパーツがモチーフになってるんだよね」

五月雨「え、そうなんですか?」

夕張「うん。叢雲ちゃんの槍がそんな感じだったから、それを参考にね」

叢雲「へぇ……それぞれ何がモチーフなの?」

夕張「それは……この武器名一覧を見ればわかる!」ドドン


吹雪 『ブリッジソード』

叢雲 『マストランス』

漣  『デッキアロー』

電  『アンカーハンマー』

五月雨『キールブレード』


吹雪「え、これ武器名ですか?」

夕張「そーよ」

電「意外と安直なのです」

漣「いやあ、武器名って言うのはこのくらいわかりやすいのが良いんだよ」

五月雨「要するに、それぞれ艦橋、マスト、甲板、錨、竜骨がモチーフなんですね」

夕張「そうそう、そういうこと」

明石「それで、もう一つの機能って言うのは、そのモチーフっぽい力が使えるようになるんだよ」

吹雪「え、何ですかそれ!?」

夕張「だから考えるな、感じろ」

電「全然わからないのです……」

明石「じゃあ叢雲ちゃん。ショキブレスのアンカーパーツを取り外してみて」

叢雲「外せるのねこれ……」ガチャッ

明石「んで、槍の柄の部分につけてみて」

叢雲「こう?」ガチャン

明石「その状態だと、そのもう一つの機能が使えるってわけ」

叢雲「へぇ。それで、具体的にはなんなの?」

明石「それは君の目で確かめるんだ!」

叢雲「……は?」

五月雨「な、何で教えてくれないんですか?」

明石「いやー、説明が面倒で……」

叢雲「……あんたで試してみましょうか?」チャキッ

明石「ひぃっ!?ま、待って!落ち着いて!これあげるから!」ペラッ

叢雲「ん?何よこれ」

叢雲「……説明書?」

明石「うん、五人分全部それにまとめてあるから……」

電「普通に説明した方が速かったんじゃないのですか?」

明石「でも口で説明しただけじゃわかりづらいでしょ?かといって実践されると危ないし……」

吹雪「さっき私に炎出させたのはいいんですか……」

明石「でもそれなら図入りでわかりやすい!バッチリ!」グッ

漣「じゃあ最初から全部これでよかったのでは?」

夕張「それじゃつまらないじゃない!」ブーブー

明石「そーよそーよ!」ブーブー

叢雲「何その意味不明なわがまま……」

明石「ただまあ……まだ武器が使いこなせてないうちはあんまり使わないほうが良いかな?」

明石「ちなみにこの武器、しまうにはもう一度ボタンを押すか、変身を解けばいいんだけど」

明石「叢雲ちゃんの武器にやろうとしてたみたいに、元々ある武器をベースにして作ると、そのまましまわれずに残っちゃうわけ」

明石「だから、いちいち持ち運んでないといけないわけで……そういった点ではよかったかも」

叢雲「そうね……別に、気にしてないったら」

吹雪「……」

吹雪「……とにかく、ありがとうございました!大事に使います!」

夕張「うん、後で感想聞かせてね!」

五月雨「……あ、そうだ。夕張さん、明石さん。これとは別に、作ってほしいものが……」

夕張「ん?何?」



夕張「ああ、それくらいならすぐできるわ」

電「本当ですか?」

明石「多分あれとあれを組み合わせれば……ちょっと待ってね」

吹雪「よし、これで……!」

叢雲「あそこに乗りこめるわね……!」

倉庫


ギィッ

吹雪「あのー、みなさーん」

長門「ん?どうした?」

五月雨「提督がお呼びなので出てきてくださーい」

長門「提督が?いや、しかし……」

漣「倉庫のことなら大丈夫でーす。しばらく出てもらいますがー」

長門「うーん、まあ、仕方ない……」

倉庫前


吹雪「はい、じゃあここで待っててくださいね」

長門「ん?提督に呼ばれたんじゃないのか?」

電「ごめんなさい、嘘なのです」

長門「……?」

叢雲「さーて、ぶちのめしてやるわ……」

「……珍しいわね、警備を放棄するなんて……」

「センスイ様、これはチャンスだと思いますイー」

「あら、いたの?」

「しばらく戻ってこないって言ってたし、昼間ならその辺の少し奪っても大丈夫ですロー」

「ふむ……まあ、いいでしょう。一応、あなたたちも見えなくしてあげるわ」

「ありがとうございますハー」

「じゃあ早速……」


バンッ!!

「!!」

「も、もう帰ってきたイー?」ヒソヒソ

「動くんじゃないニー!バレちまうニー!」ヒソヒソ

「!しかもあいつら……!」ヒソヒソ

「ショキカンジャーだロー!しかもなんかおっかないの持ってるロー!」ヒソヒソ

「だ、大丈夫だハー。俺たちは見えてないんだハー」ヒソヒソ

「そ、そうだイー。このまま身を潜めていれば……」ヒソヒソ

叢雲「……」ピタッ

(……?どうしてここで立ち止ま)


叢雲「そこかぁーーー!!!」

グサァッ!!

イー「イーーーーーーーーーーーー!!!」

イー「ど、どうして……」ガクッ

ハー(なんで場所がわかったハー!?見えてないはずじゃ……)

吹雪「そこぉ!!」ズバァッ!

ハー「ハーーーーーーー!!」

ニー(ふ、二人もやられたニー!偶然じゃないニー!)

電「命中……させちゃいます!」ブンッ!

ニー「二ーーーーーーーーーーー!!」

ロー(に、逃げ……)

五月雨「やー!!」ズバァッ!

ロー「ローーーーーーーー!!」

センスイ(な、なぜ我々の位置がわかる!?あいつらは私の能力で見えていなかったはず!)

センスイ(何者なの!?奴らは!)

漣「お、あそこかー」ギリギリ

バシュンッ!!

センスイ「ヒィッ!?」シュバッ

漣「ちっ、外したか」

センスイ(こ、このままじゃまずい!撤退よ、撤退!)ダダッ

バタンッ

叢雲「ん、そこが出入り口ね」

吹雪「やっぱり効いたね、このサーモグラフィーゴーグル」

五月雨「見えなくなってるだけだからね」

漣「かがくのちからってすげー」

電「じゃあ、ここから降りればいいのです?」

吹雪「そうみたいだね。降りてみよう」

カッ……カッ……カッ……


五人「……!」

五人が階段を下りた先には、倉庫以上の広さの地下空間が広がっていた!


叢雲「なんて広さ……」

五月雨「いつのまにこんな……」

漣「資材もちゃんとあるね~」

吹雪「これで資材がどこにあるかはわかったね」

電「じゃあ、あの人を早く追うのです!」

五月雨「でもどこに……」

漣「あ、あっちに抜け道があるよ」

抜け道をしばらく行くと、外に出た


吹雪「ここは……?」

電「どこなのです……?」

叢雲「まだ鎮守府が見えるから、そう遠くはないわね」

漣「例の採石場にちょっと似てんなー、ここ」

五月雨「あ、見て!」


センスイがさっきとは別の戦闘員を引き連れて逃げていた!

センスイ「はぁ……はぁ……」

イー「だ、大丈夫ですかイー?」

センスイ「つ、疲れた……これだから行きたくなかったのよ……」

ロー「でもセンスイ様じゃないと透明にはできないですしロー」

ニー「それに例の件に関しても……」

センスイ「そ、そうはいっても……」

センスイ「とにかく、ここまで来れば……」

吹雪「待ちなさい!」

センスイ「!!」

イー「あ、あいつら追ってきたイー!」

ハー「グヌヌ……さっき別の個体を殺されてしまったハー……!」

センスイ「な、何者なの!?お前たちは!」

吹雪「お、来たよ。名乗れる時が」

漣「よっしゃ、キタコレ!」

デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエロー!」

五月雨「五月雨ブルー!」


吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァン!!!

センスイ「……そうか、お前たちがショキカンジャー……!」

センスイ「クウボから話は聞いているわ……」

漣「倉庫の資材を奪っていった悪行……許せる!」

叢雲「許してどうするのよ」

漣「あ、間違えた。許せん!」

五月雨「ここで倒させてもらいます!」

センスイ「仕方ない……イー!ロー!ハー!ニー!やっておしまい!」

「イー!」「ロー!」「ハー!」「ニー!」

吹雪「よし……みんな、いくよ!」チャキッ

イー「イー!!」

吹雪「えいっ!」ズバッ!

イー「グェッ」ドサッ

吹雪「え、何かリアル」

叢雲「喰らえ!!」グサッ!

ロー「うぐぁっ!!」ドサッ

叢雲「何でさっきまでと叫び声違うのよ」

ハー「よくもこいつらを……許せる!」ブンッ

五月雨「あなたもですか……たー!!」ドカッ!

ハー「ぐはぁっ!?な、なんのこれしき……」

五月雨「あ、峰打ちだった」

漣「はーい、五月雨ちゃんどいてー」ギリギリ

バシュンッ!

ハー「ば……ばかな……」ガクッ

ニー「ひぃ……!こ、殺されるニー!」

電「あ、あの……」

ニー「く、来るな……!お前の武器が一番凶悪だニー!」

電「で、でも……」

ニー「前も油断してやられたニー……今度は油断しないニー!」ジリッ

電「ご、ごめんなさい!」ブンッ

ニー「え?意外とリーチ長……」

グチャッ

ニー「……」

電「は、はわわ……」

吹雪「……あの、思ったんだけど……」

吹雪「見た感じ、そこまで傷深くないよね!?」

イー「……まあね」ピクピク

ロー「こ、今回はリアルを追及してみましたロー……」ピクピク

ハー「曲がりなりにも、ハーたちは戦闘員……ちょっとやそっとじゃ死なないハー……」ピクピク

漣「マジかよ」

ニー「……」

漣「あれ?一人死んでね?」

ニー「……せ、セーフ……」ガクッ

叢雲「アウトよ」

一方そのころ 倉庫の地下


長門「吹雪の言ったとおり、しばらくしてから来てみたが……何だこれは!?」

陸奥「こんなところに隠してあったのね……」

明石「夕張ちゃん、早くしないと戦闘見逃しちゃうよ!」ダダッ

夕張「ちょっと待ってよー!足は遅いんだからー!」

長門「……何をやってるんだあいつらは」

陸奥「さあ?」

夕張「うぅ……ん?」

夕張「これって……」スッ

明石「ちょっとー!!夕張ちゃーん!?」

夕張「は、はーい!」

センスイ「くっ……やはりただの戦闘員程度では……!」

叢雲「残るはあんただけね。大人しくなさい」

センスイ「ぐぅ……!」


イーたち「イー!!!!」ワラワラ

遠くから、大量のイーたちが走ってきた!

五月雨「うわぁ、また来た!」

電「この間よりも多いのです!」

センスイ「よし、よく来た!お前たち!」

センスイ「私の能力で、ステルス攻撃よ!」バッ

イーたち「イーーー!!」シュンッ

叢雲「!!消えた……!」

吹雪「大丈夫!このゴーグルで……!」スチャッ

イーたち「イーーーーーーーーー!!」ダダダ

吹雪「そこっ!!」ズバッ

イーA「イー!!?」ドサッ

吹雪「大丈夫、問題ないよ!」

漣「一気に攻めろー!!」バシュバシュッ!

イーB「イーーー!!」ドサッ

叢雲「ふんっ!」ズブッ

五月雨「ヤァー!!」ズバッ

電「えーい!」ドゴォ

イーたち「イーーーーーーーーーー!!??」

ドゴォォォォォォォォォォォォン!!!

センスイ「……なるほど、あのゴーグルが私の能力を無効にしているのね」

センスイ「だったら……!」パチン

イーたち「イー!!」ババッ


イーたちは五人のゴーグルを奪おうとし始めた!


吹雪「うわ!?」

叢雲「ご、ゴーグルが……!この……!」

五月雨「と、取らないでー!」グググ

イーたち「イーーーーーー!!!」バッ

吹雪「ッ!しまっ……」

イーたち「イーーーーー!!」バキッ!


五人はゴーグルを奪われて、壊されてしまった!


電「た、大変なのです……!」

漣「ありゃー、大ピンチ?」

イーC「イーーー!!」ドカァッ!

吹雪「ぐぁっ……!」

吹雪「くっ……こうなったら!」チャキッ


ボォォォォッ!!

吹雪の剣が炎をまとった!


吹雪「はぁっ!」ブォンッ

イーD「イー!?アチー!!」メラメラ

吹雪「まだまだ!」ブォンッ

イーE「イー!?」ドサッ!

イーF「そ、そんなの反則だイー!!」

叢雲「やるわね吹雪……私も!」

叢雲「……」

叢雲は武器に意識を集中させた


シーン

が、何も起こらなかった


叢雲「え!?何でよ!」

叢雲「吹雪みたいになんか出るんじゃないの!?」

漣「んあ?何やってんの叢雲ちゃん?」

叢雲「な、なんか何も起こらないんだけど!」

漣「んー?マジグリーンっぽく地面に武器たたきつけりゃいいんじゃね」

叢雲「え、そういうもんなの?」

漣「そういうもんなの」

叢雲「な、なんかよくわからないけどやってみるしかないわね!」

イーたち「イー!!!」ワラワラ

叢雲「はああああああああ!!!」ブォンッ


叢雲が地面に槍を突き刺すと、地面に衝撃波が走った!!

ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!


イーたち「イーーーーーーーッ!!??」

ドガァァァァァァァァァァン!!!


叢雲「地属性って何かと思ったけど、なるほど……こういう感じなのね」

漣「ほいほいっ!」バシュバシュッ!

電「えーーーいっ!!」ドゴォォォォッ!

五月雨「たぁーーーっ!!」ズバァァッ!


イーG「み、見えてないはずなのにかなりやばいイー……」

センスイ「うろたえるな!お前らのほうが有利なのに変わりない!隙を見てその武器を奪うのよ!」

イーたち「了解ですイー!!」ババッ

吹雪「はぁっ!!」ズババッ!!

イーたち「イーーーーー!!?」メラメラ

吹雪「そう簡単には……」

叢雲「いかないわよっ!!」ドゴォ!

イー「イッーーーーー!!??」ドサッ

五月雨「くっ……でも」ズバッ!

電「キリがないのです……!」ドゴォ!

漣「しつこーい!!」シュババッ!

センスイ「ふふふ……いいわよ、そのまま追い詰めなさい……!」

叢雲「……そうだ!まだ機能がもう一つ……」


明石『ただまあ……まだ武器が使いこなせてないうちはあんまり使わないほうが良いかな?』


叢雲「……」

叢雲「……でも、やるしかないわ……!」カチャッ


叢雲は、ショキブレスのアンカーパーツを槍の柄の部分に取り付けた!

叢雲「はあああああああああああああ!!!」

ブォンッ ブォンッ

叢雲は槍を頭上で回転させている!


イーH「な、なんだイー!?」

シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン

回転させていくうちに、叢雲の槍が光を帯び始めた!

センスイ「あれは……何のつもり……!?」

叢雲(あの説明書によると、私の槍は風を受けることでエネルギーをためることができる!)

叢雲(このエネルギーがたまった状態で、さっきと同じことをすれば……!)


ブォンッ ブォンッ

叢雲「はあああああああああああああああ!!!!」

ブォンッ!!

叢雲は槍を地面に突き刺した!!




叢雲「……!?」

しかし、さっきと同じような衝撃波は発生しなかった……

叢雲「な!?ど、どうして!?」

センスイ「……ふん、何かと思えば」

イーI「イー!!」ドゴォッ!

叢雲「ぐあっ!?」

吹雪「叢雲ちゃん!!」

イーJ「よそ見してる場合じゃないイー!!」バッ

イーたち「イーーーーーーーーッ!!」ババッ

吹雪「あっ!」

五月雨「うわぁ!?」

電「そんな!?」

漣「ま、まずいねこれは……」


全員、武器を奪われてしまった!!

センスイ「ホーッホッホッホ!よくやったわ、お前たち!そのまま地面に押さえつけなさい!」

イーたち「イーーー!!」ドンッ!

電「くぅっ!?」

叢雲「ぐっ……!」


そのまま全員、地面に押さえつけられてしまった


センスイ「さーて、どうしてくれようかしら……」

センスイ「このまま殺してもいいけど……何か利用価値あるかしら?」

吹雪「……あなたたち、いったい何者なんですか!?」

センスイ「私たち?私たちは、秘密結社『ディープマリン』」

センスイ「あなたたち艦娘を壊滅させようと目論む団体よ」

五月雨「ディープマリン……!?」

漣「やっぱり、深海棲艦と関係が……!?」

センスイ「ふふ、どうかしらね」

センスイ「さて、とりあえず連れて行かせてもらおうかしら」

センスイ「あなたたちの処分については『あの方』に任せるとしましょう」

叢雲「ぐ……」グググ


叢雲は槍に手を伸ばそうとした


センスイ「あら、まだやる気なの?どうせ奪い返せないのに……」

叢雲「まだよ……まだ、アレがうまくできれば……」

センスイ「ふーん……さっきのをまたやろうとしてるわけ?どうしてできなかったのかもわからないくせに?」

叢雲「何ですって……!?」

センスイ「あなたはあの量のエネルギーを扱える技量を持ってなかったのよ」

センスイ「どうやらまだその武器……上手く使いこなせてないみたいね」

叢雲「ぐっ……」

センスイ「そうね、見せしめに……あんた、それ壊しなさい」

イーI「了解ですイー」グググ


バキィッ


叢雲「……!」

センスイ「ホホホ。いい気味ね」

叢雲「あんたたち……!」ギリッ

センスイ「じゃ、そろそろ……」


「待ちなさい!」

全員「!!?」

夕張「叢雲ちゃん、受け取って!」ビュンッ!

グサッ!

イーK「イーーーーッ!!?」ジタバタ


夕張が投げたものが、叢雲を抑えていたイーに刺さった!

叢雲「……!せいッ!」ズボッ ドカッ!

イーK「ぐふぁっ!?」ゴロゴロ

叢雲「!……これ……」


夕張が投げたのは、夕張がなくした叢雲の武器だった


夕張「消えてた資材と一緒にあったの!」

夕張「ピンチみたいだから、使って!」

叢雲「……」

叢雲「ありがとう……」グッ

──────────

──────

───

五人が鎮守府に着任したてのころ


提督『どうして一人で出撃したりしたんだ!』

叢雲『……悪かったわね』ボロッ

叢雲『解体するならどーぞ。好きにしなさい』

提督『……するわけないだろう』

叢雲『だったら、放っておいてよ』

提督『叢雲、俺は……!』

提督『俺は心配したんだぞ……!勝手に出撃して……沈んだらと思って……!』

叢雲『……』

提督『……どうして、こんなことを?』

叢雲『……あんたには関係ないでしょ』

提督『あるに決まってるだろ』

提督『お前らはみんな、俺の大事な部下だ……』

提督『そんな奴が、沈む寸前だったんだからな……』

叢雲『……』

叢雲『……訓練だけじゃ、足りないのよ』

提督『……何?』

叢雲『実戦がないと……強くなれないのよ』

叢雲『私はまだ弱い……それはわかってる』

叢雲『だから、もっと強くなりたかったの』

提督『……』

提督『……それで沈んだら、意味がないだろうが……!』

叢雲『……』

提督『叢雲。お前は一人じゃない。仲間がいるじゃないか』

提督『吹雪も、漣も、電も、五月雨も……俺もだ』

提督『だから、もっと仲間を……』

叢雲『……だから、強くなりたかったのよ……!』

叢雲『仲間を守れるくらい、強く……!』

提督『そのために仲間を悲しませてどうする!!』

叢雲『……っ!』

提督『……叢雲。お前は艦娘として強くなる前に、まず心を強くする必要がある』

叢雲『心……?』

提督『ああ、心だ』

提督『強い心を持てば、たとえ、力がなくても……』

提督『大切な仲間を、守ることができる』

提督『その心の強さが……本当の強さだ』

叢雲『でも、そんなの……』

提督『……』

提督『叢雲。これをやろう』スッ

叢雲『……?何よ、これ……』

提督『俺が以前、ある人からもらったものだ。マストをもとにした、槍のようなものらしい』

提督『その時に、今俺がお前に言ったことを言われた……』

叢雲『……』

提督『これを握りしめていると……不思議と、強くなれる』

叢雲『強く……?』

提督『ああ。果敢に困難に立ち向かい、決してあきらめない、本当の強さを持つことができる』

提督『そして、仲間を守ることができる……』

叢雲『……』

提督『信じるか信じないかはお前次第だ。だが、持っていてほしい』

提督『いつか、俺の言ったことがわかる日が来る……』

提督『そして……』

提督『……いつか、本当の強さを手にすることができるだろう』


──────────

──────

───

叢雲「……」

叢雲「……司令官」

叢雲「……今、わかったわ!!」グッ

叢雲「はぁぁぁぁ!!」

グサッ!

イーI「イーーーーーー!!??」

叢雲「次ぃ!!」ドガッ!

イーJ「イーーーーーーッ!!」

センスイ「な、何!?」

センスイ「さっきまでと、動きが全然違う……」

イーL「な、何でイーたちの位置がわかるイー!?」

叢雲「あんたたち武器持ってるでしょーが!」グサッ!

イーL「あ、そうか」ゲフゥ

イーM(い、イーは武器持ってないからバレないイー!後ろから近づいて……)


ザッ

叢雲「!!そこかぁ!!」ズブッ!

イーM「イーーーーーーっ!!?」

イーM(な、なんで……!)

イーM(まさか、足音で……!)

吹雪「す、すごい……」

漣「う~ん、流石切り込み隊長」

叢雲「……これで、終わりかしら?」

センスイ「そ、そんなバカな……」

夕張「いいわよー!叢雲ちゃん!予備のサーモグラフィーで確認したけど、敵はいないよ!

明石「持ってきてよかったねー」

センスイ「し、仕方ない……こうなったら私が……!」スッ


シュンッ

センスイの姿が消えた!

叢雲「ふん、馬鹿ね。足音が聞こえた時点であんたをボコボコにしてやるわ」

センスイ「それはどうかしら!?」

ガッ!

吹雪「え!?」

センスイ「そして……!」スッ


シュンッ

吹雪の姿も消えた!


漣「な、吹雪ちゃんが!」

五月雨「まさか、吹雪ちゃんを連れて……!」

電「大変なのです!」

センスイ「フハハハハ!これで私の位置がわかっても攻撃することはできまい!」

センスイ「私に攻撃したら、お前の仲間に当たるかもしれないからね!」

五月雨「そんな……!」

吹雪「叢雲ちゃん!私に構わず!」

叢雲「くっ……」

センスイ「ホーッホッホ!このままこの子は人質にさせてもらうわ!」ダダッ

叢雲「……」


叢雲「……なんてね」


ポチッ

ピピピピッ

吹雪のショキブレスから通信音が鳴りだした!

センスイ「ふっ、何かと思えば……音で位置を探るつもりでしょうが、状況は変わらないわ……」

センスイ「このまま……」

ピピピピッ

センスイ「……」

ピピピピッ

センスイ「……」


ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

センスイ(うるせえええええええええええ!!)

センスイ(なにこれ、どうやって止めるの!?うるさすぎ!)

センスイ(多分、あの腕輪から鳴ってるから、この子の腕輪をどうにかすれば……)

センスイ(……)

センスイ(しまったああああああ!!これ私にも見えねええええええ!!)

センスイ(これ本当に見えなくするから、私にも見えないのよね……)

センスイ(仕方ない、一旦この子への能力を消して……)パチン

センスイ(ええと……持ちづらいわね、一旦地面において、と)

センスイ(あ、この点滅してるボタンを押せばいいのかしら?)ピッ

センスイ「よし、止まった!これであとは……」


『よし、止まった!これであとは……』

センスイ「え?」


叢雲「はああああああああああああ!!!」ダダッ

センスイが気が付くと、叢雲が目の前まで来ていた!


センスイ(しまった!!まだこの子を透明にしてな……)


叢雲「吹っ飛びなさああああああああああい!!!」

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!

センスイ「ちっくしょおおおおおおおお!!覚えてなさあああああああああい!!」ヒューン


キラーン


吹雪「……多分、飛んで行った……よね?」

叢雲「バカで助かったわ」

吹雪「叢雲ちゃん……ありがとう」

叢雲「いいのよ。礼には及ばないわ」

漣「おーい、二人ともー!」ダダッ

電「無事なのですー!?」

五月雨「叢雲ちゃん、かっこよかったよー!!」

叢雲「よかった……全員無事みたいね」

叢雲「本当によかった……私……」

吹雪「……叢雲ちゃん?」

叢雲「……いいえ、何でもないわ」

夕張「いやー、よかったよかった。何とか勝てたね」

明石「武器は……今回はあんまり役に立たなかったかな?」

五月雨「いえ、私たちが使いこなせてないみたいですし」

明石「そうだね……こればっかりは頑張ってというしか」

夕張「でも、叢雲ちゃんのそれは大活躍だったね!」

夕張「見つかってよかったよ本当に!」

叢雲「そうね……本当、よかったわ」

夕張「ところで、それは当初の予定通り改造する?」

叢雲「……あとで、元に戻せる?」

夕張「え?そりゃあできるけど」

叢雲「そう……なら、この戦いが終わるまではお願いするわ」

明石「そっか。あ、あと、さっき話した通り、ずっと持ち歩くことになるけどいいかな?」

叢雲「ええ、構わないわ」

叢雲「むしろ、そっちの方がいいかもしれないから……」

夕張「あら、そう?」

叢雲「……」

──────────

──────

───

執務室

提督「よう。お手柄だったそうじゃないか」

叢雲「ええ、おかげさまでね」

提督「いいや、お前の強さのおかげさ」

叢雲「……そうね」

提督「……ようやく、わかったみたいだな」

叢雲「……」

叢雲「……一つ聞いてもいいかしら?」

提督「何だ?」

叢雲「どうして……これ、私に渡してくれたの?」

叢雲「他の誰かじゃなくて……」

提督「うーん、そうだな……」

提督「お前ら五人は、仲間を守りたいという気持ちは皆強かった」

提督「それこそ優劣はつけられないくらい……」

提督「だが、『強くなりたい』と、一番強く願っていたのは、お前だったからな」

提督「だからお前に、『強さ』を与えた」

叢雲「……なんだかわかったような、わからなかったような……」

提督「はは。正直なところ、俺にもよーわからん」

叢雲「はぁ?なによそれ」

提督「まあ気にするな。それより、今日も活動するんじゃないのか?」

叢雲「ああ、そうね。じゃあ、失礼するわ」

提督「ああ」

提督「……叢雲」

叢雲「何?」

提督「……強くなったな」

叢雲「……」


バタン

叢雲(私は、もっと強くなる……)

叢雲(単純な力じゃない、本当の強さを手にして……!)

グッ

叢雲「……よし!」

叢雲「ショキカンジャー、ブラックの叢雲!行くわよ!」


第三話「武器がほしい!」 艦

次回予告!

ヨッシャー!とうとう漣の出番キタコレ!
おっと失敬失敬……
ピンクと言えばお色気担当!実はショキカンジャーのお色気担当は漣なのですよ!
え、全然合わない?んなバカな!
それにしても、戦隊と言えば物語の中盤あたりで人数が増えるのも定番ですね~
でもさすがにこのショキカンジャーにはもう……え?もう一人いる?マジで?

次回、第四話「六人目の戦士!?」
ライディングデュエル、アクセラレーション!

スペシャルコーナー『ショキカンジャーって?ああ!』
~ショキカンジャーの武器~


漣「さあ今回も始まりました、『ショキカンジャーって?ああ!』のコーナー」

吹雪「またやるんだこれ……」

漣「当然っしょ?毎回やるよこれは!」

叢雲「前回みたいなことにはなりなくないわね……」

電「えっと、今回説明するのは……」

五月雨「新しく手に入った武器、かな?」

漣「その通り。今回はそれについて解説していくよ」

吹雪「まずは私の剣、ブリッジソードからかな?」

叢雲「モチーフはブリッジ、艦橋ね」

電「剣の柄の部分が艦橋みたいなデザインなのです」

漣「持ちにくそう」

吹雪「いや、そんなゴツゴツしてないから……」

五月雨「……なんか、扶桑さんの艦橋に似てない?」

吹雪「モデルはそうかもね……」

叢雲「次は私の槍、マストランスね」

電「言わずと知れた、叢雲さんのマスト型の槍なのです」

五月雨「折られた方の槍も、参考にしてたらしいね」

吹雪「ショキブレスの武器ボタンを押すと、全体が特殊合金で覆われるよ」

叢雲「より丈夫に、より鋭くなるってわけね」

漣「一部では剣かもって言われてるらしいけど」

叢雲「え、そうなの?」

漣「ほい、次は漣の弓、デッキアロー!」

五月雨「弓なのにアローなの?」

漣「いやあ、特撮ではこうなんですよ……」

電「デッキ、つまり甲板がモチーフなのです」

吹雪「特に飛行甲板かな?それっぽい模様が入ってるよ」

漣「形状はプテラアローに似てるよ。矢は普通の弓も撃てるけど、光線状の矢も使えるから撃ち放題」

叢雲「相変わらず謎技術ね……」

電「次は電のハンマー、アンカーハンマーなのです」

叢雲「モチーフは錨ね。錨の話は出たけど、まさか採用されるとはね……」

吹雪「頭の部分に、錨型のマークが彫られてるよ」

電「思ったより軽くて安心したのです」

漣「どれどれ……ふんっ!?」ズシン

五月雨「……夕張さんが言ってたけど、電ちゃんだけが軽く感じるようになってるらしいよ」

吹雪「それって本当はかなり重いんじゃ……」

五月雨「最後は私の刀、キールブレードだね」

電「キール……竜骨がモチーフの刀なのです」

吹雪「刀身の側面に、木造の船の竜骨みたいに横向きの筋が何本も入ってるよ」

叢雲「これって鞘とかないの?」

五月雨「え、ないけど……」

漣「……持った状態で近寄らないでね」

五月雨「え!?どうして!?」

吹雪「それで、私たちの武器にはそれぞれ属性があります」

叢雲「吹雪が炎、私が大地、漣が風、電が雷、五月雨が水ね」

五月雨「私たちは武器に意識を集中させることで、それぞれの属性の物を操ることができるよ」

電「基本的には、武器にまとわせたり、前方に放ったりするのですが……」

漣「叢雲ちゃんだけ仲間はずれ」プププ

叢雲「……まあ、確かに土やら石やらをまとってもしょうがないわよね」

叢雲「私は地面に槍を刺すことで衝撃波を走らせたり、周囲の石を巻き上げたりできるわ」

五月雨「武器にはもう一つ機能があります。それは、ショキブレスのアンカーパーツを武器に取り付けることで使えるんだけど……」

吹雪「まだ、一度も使ったことないんだよね……」

漣「叢雲ちゃんも不発だったし」プププ

叢雲「……」ギリギリ

漣「ぐええええええ!!ギブギブ!!」バンバン

電「ま、まあ、どんなものかは説明書を読んだので知ってるのです」

漣「ぐっ……まあ、今回の説明は叢雲ちゃんだけで」

叢雲「え?なんでよ」

漣「大人の事情ってやつですよ」

叢雲「まあいいわ……マストランスは、風を受けることでエネルギーをためることができるわ」

吹雪「振り回したり、回転させたりするのが条件じゃないんだ」

叢雲「そう。でも実質そんな感じのことをしないとうまくたまらないでしょうね」

漣「土属性のくせに風でエネルギーためるって」プププ

叢雲「……」ポカッ

漣「あいたぁ!?」

五月雨「エネルギーが十分にたまったら、槍が光を帯びるよ」

電「そしたら地面に突き刺して衝撃波を走らせてもいいですし、敵に直接攻撃してもいいのです」

叢雲「……でも、私が失敗したように、これは十分に武器が使いこなせてないといけないわ」

吹雪「鍛錬あるのみ、だね」

五月雨「うん。しっかり使いこなせるようにならないと」

電「頑張るのです!」

漣「いやー、失敗した時の焦ってる叢雲ちゃんの顔、かわいかったなー」プププ

叢雲「……」

叢雲「……抜錨」

カチッ

シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン

漣「……ん?」

漣「あの、叢雲さん……なぜ今、抜錨を?」

叢雲「……」カチャッ

漣「そしてなぜ、アンカーパーツをマストランスに付けたの?」

叢雲「……あんた、こんな風にマスクしてたのに、あの時の私の顔分かったの?」

漣「え、ええと……」

叢雲「じゃあ……今の私、どんな顔してると思う?」

漣「あ……ええ……」

漣「ものすごく……怒ってらっしゃる顔だと……」

叢雲「へえ、よくわかってるじゃない」

叢雲「……ねえ漣。成功したらどうなるか……見てみたくない?」

漣「え!?いや、いいです!結構です!」

叢雲「ほら、早く外行くわよ。室内じゃ危ないもの」グイグイ

漣「やめて!助けて!お願いします!許して!」

漣「さ、三人とも助けてよ!」

吹雪「いやあ、そんなこと言われても……」

五月雨「私たちにはどうしようも……」

電「諦めるのです」

漣「そ、そんな……」

叢雲「安心しなさい。抜錨は許可してあげるわ」

叢雲「ショキスーツがあれば、死ぬことはないはずだから」

漣「う、うわああああああああああああああああああああ!!!!」


今日はここまで。次は来週にできたら……いいな
もしかしたらまた二週間後とかになるかもしれません
こんなもの見てくださる方、本当にありがとうございます

ボウケンイエローの武器好き

こんばんは、>>1です。
実はPCがクラッシュしてしまったため、更新が遅れてしまいます。申し訳ありません
まあ需要もなくて見てる人も殆どいないみたいだし、大丈夫でしょ

楽しみに待ってるワイみたいな人間もおるんやで(小声)

>>329
あ、それはすみません
できるだけ早く更新できるよう頑張ります

第四話「六人目の戦士!?」


鎮守府のとある一角


吹雪「……」

五月雨「……」


二人は変身し、武器を構えて対峙していた


電「二人とも、準備はよろしいのです?」

吹雪「うん」

五月雨「いいよ」

電「では……」スッ

電「始め!!」

ジャキンッ!!

吹雪「はぁっ!!」ブンッ

ガキンッ

五月雨「…!」


吹雪が振り下ろした剣を、五月雨は刀で防いだ!


吹雪「まだまだぁ!!」ガキンガキンッ

五月雨「ッ…!」ガキンガキンッ


吹雪の攻撃を、五月雨は防ぎ続けている!

吹雪「どうしたの、五月雨ちゃん!!この程度じゃ…!」

ガキンッ!

五月雨「…!」グググ…


ザパァッ!

吹雪「!?」バシィッ!


五月雨は刀に水をまとわせ、防いでいた吹雪の剣を弾き飛ばした!


五月雨「やぁー!!」ガキンッ!

吹雪「く…!」グググ

ザバァァァァ!!

吹雪「!!」


五月雨の刀から水があふれだし、吹雪の顔を覆い、視界を奪った!

吹雪「ぐぅ…!」フラッ

五月雨「たぁー!!」ブンッ

吹雪「!!」


ボォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!


五月雨「!!」サッ


吹雪は剣から炎を放射して、五月雨に回避させ、距離をとった!

吹雪「はぁ……はぁ……」

五月雨「……」ジリッ

吹雪「……!」

吹雪「……」グッ

二人「はぁっ!!」バッ!


ボォォォォォォォ!!!! ザバァァァァァァァ!!!!

二人は互いに武器から炎と水を放出した!炎と水がぶつかり合う!


吹雪「うおおおおおお!!!」ダッ

五月雨「はあああああああああ!!!」ダッ


バシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!


吹雪「……」ピタッ

五月雨「……」ピタッ


炎と水がおさまったころ、二人は互いに接近し、武器を突き立てていた……

電「はい、そこまでなのです」パンッ

吹雪「いやー、流石だね、五月雨ちゃん」

五月雨「吹雪ちゃんこそ。すごい攻撃だったよ」

電「二人とも、武器の扱いが上手になったのです。訓練の賜物なのです」

吹雪「そうだね。前よりは上手く扱えるようになったかな」

五月雨「でもまだまだだよ。もっと強くならないと……」

電「じゃあ、次は電ともお手合わせお願いするのです」ズシン

二人「……」

電「?どうしたのです?」

吹雪「……二人がかりでいい?」

電「え!?」

五月雨「下手したら殺されかねないし……」

電「ええ!?」

電「い、電はまだそんなにうまく扱えないのです!」

吹雪「そうかもしれないけど、破壊力がすごいんだよ……」

五月雨「そのハンマー、結構大きいし……」

吹雪「当たったらひとたまりもないよ」

電「と、とにかく、電ももっと強くなりたいのです!お願いするのです!」ブンブン

吹雪「わかったから振り回すのやめて!」

ブンッ ブォンッ 

イナズマノホンキヲミルノデス

ウワッ アブナイ コロサレルッ



夕張「って、あんな感じで訓練してるんですよー」

提督「ふむ……」

提督「ちゃんと頑張ってるみたいだな」

明石「はい。工廠と倉庫の問題も解決してくれましたし」

提督「まああいつらならしっかりやってくれると思ってたがな」

提督「……それで、どうだ?」

明石「……はい。あの子たちが『戦隊パワー』と呼んでいるものについてですが……」

明石「先日、それらしきものの観測に成功しました」

提督「マジかよ…………」

夕張「私たちの科学力をもってすればこの程度!」

明石「あの子たちが変身したり、武器を扱ったりすると大きくなるエネルギーがありまして」

明石「もちろんそれは、スーツや武器が持つエネルギーとは別です」

提督「『戦隊パワー』は確かに存在するってことか……」

夕張「でも、結局のところその正体についてはわかっていません」

夕張「……それに、不可解な点もあります」

提督「不可解な点?」

明石「『戦隊パワー』は、あの子たちだけが持つものではありませんでした」

明石「私たちや他の何人かの艦娘にも、同様のエネルギーが観測されました」

明石「……しかし、それはあの子たちに比べると、ずっと低いものです」

提督「……つまり、あいつらの『戦隊パワー』がかなり大きいってことか?」

夕張「そういうことになりますね」

提督「しかし、だったらどうしてあいつらだけ……」

夕張「それがわからないから、不可解な点なんですよ」

明石「まあまだデータも少ないですし、他の人にも協力してもらいますよ」

提督「……そうだ、あいつはどうだったんだ?データもう取ったのか?」

明石「あいつ?……」

明石「……あ、忘れてました……」

提督「……おい」

夕張「ご、ごめんなさい……」

提督「まあいい。近々データを取らせてもらえ。俺からも言っておく」

明石「じゃ、じゃあこの後ででも」

夕張「今日は彼女、特に出撃とかありませんでしたよね?」

提督「ないけど……この後はやめておけ」

提督「……あいつらと、話をするはずだからな」

一時間後


吹雪「つ、疲れた……」クタッ

五月雨「やりすぎちゃったかも……」クテッ

電「い、今敵が来たら勝てないかもしれないのです……」ヘナヘナ

吹雪「とりあえず、訓練はここまでにして、本拠地に戻ろう」

五月雨「そうだね……あれ?」

五月雨「そういえば、叢雲ちゃんと漣ちゃんは?」

電「本拠地で特殊訓練するって言ってたのです」

吹雪「え?何だろう……」

五月雨「今戻ったら、何してるか見れるかな」

電「じゃあ、帰るのです」

ショキカンジャー本拠地


叢雲「……」

漣「……」


本拠地に戻ると、二人はちゃぶ台を挟んで真剣な表情をしていた
それを吹雪たち三人は、扉からこっそり見ていた


電「はわわ……すごい剣幕なのです」

五月雨「も、もしかして喧嘩?訓練は?」

吹雪「……ん?あれって……」


叢雲「……行くわよ、漣」

漣「どうぞ……どこからでもかかって来い!」



叢雲「私のターン!ドロー!」シュッ

三人「!!?」

叢雲「ジャンク・シンクロンを召喚!」

叢雲「ジャンク・シンクロンの召喚に成功したとき、墓地からレベル2以下のモンスターを特殊召喚できる!」

叢雲「蘇れ、スピード・ウォリアー!」バッ

叢雲「さらに、チューナーモンスターがフィールドにいるとき」

叢雲「墓地のボルト・ヘッジホッグを特殊召喚できる!」バッ

叢雲「レベル2のソニック・ウォリアーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!」

叢雲「集いし星が、新たな力を呼び起こす!光さす道となれ!」

叢雲「シンクロ召喚!いでよ、ジャンク・ウォリアー!」バッ

漣「ここで、ジャンク・ウォリアーだと!?」

叢雲「ソニック・ウォリアーがシンクロ……」

漣「はい、ここで『デモンズ・チェーン』を発動します」ペラッ

叢雲「えっ」

漣「ジャンク・ウォリアーさんは効果を無効にされ、攻撃できません」

漣「よって攻撃力2300のままです」

叢雲「……」

叢雲「……ターンエンド……」

漣「はい、漣のターン、ドロー」シュッ

漣「レッド・デーモンズ・ドラゴンでボルト・ヘッジホッグを攻撃!」

漣「アブソリュート・パワー・フォース!」

叢雲「う、うわあああああああああ!!」900→0

叢雲「ど、どうしてアニメと同じようにいかないのよ……」シクシク

漣「そりゃあ、勝つためにはアニメ再現ばかりはできませんからなぁ」

漣「展開するのに、伏せカードを除去してないのが悪い」

漣「あと、再現のためにボルヘジを攻撃表示にしておくのもいけませんな」

叢雲「くっ……もう一回よ!今度はクェーサー出してやるんだから!」

漣「はいはい」


吹雪「……何やってんの?」

叢雲「!!み、みんな……!これは……」

五月雨「まさか、一時間以上……」

電「遊戯王で遊んでたのです?」

漣「い、いやこれは、頭のトレーニングを……」

叢雲「そ、そうよ!遊戯王は結構頭を使うのよ!?」

三人「……」ジトッ

漣「そんな目で見ないでぇ……」

叢雲「くぅ……!」

吹雪「……あ、いけない。もうこんな時間だ」

電「?どうしたのです?」

吹雪「司令官に呼ばれてたんだった。みんなも来て」

五月雨「うん、わかった」

叢雲「……」

漣「……」

吹雪「はーい、二人も来てねー」グイッ

叢雲「……」ズルズル

漣「……」ズルズル

執務室


吹雪「失礼します」ガチャッ

提督「ん、来たか」

五月雨「何の御用でしょうか?」

提督「……お前らが闘ってる敵……『秘密結社ディープマリン』と名乗ったんだよな?」

電「はい、そうですが……」

提督「……その名前を知っている者がいた」

五人「!!」

叢雲「そ、それって誰!?」

提督「大井だ」

漣「……はい?」

提督「大井がそのことについて知ってるそうだ」

五人「……!?」

提督「な、何だその顔は」

叢雲「いや、だって……」

提督「まあ、正直俺も意外だった。情報通の青葉なら知ってるかもしれん、くらいに思っていたが」

提督「まさか大井がなぁ……」

吹雪「でも、どうして大井さんが……」

提督「詳しいことは本人に聞くといい。今日は出撃の予定は入ってないから鎮守府にいるだろう」

五月雨「はい、わかりました……」

叢雲「大井さんが奴らのことを知ってるなんて……」

電「意外なのです」

漣「世の中何があるかわからないね……」

吹雪「とにかく、大井さんを探して、話を聞いてみよう。敵の正体がわかるかも……」

五月雨「……あれ?あそこ歩いてるの……大井さんじゃない?」


大井「……」スタスタ


漣「おお、なんと都合のいい……」

電「早速話を聞いてみるのです」

漣「あのー、大井さーん?」タタッ

大井「……あら?あなたたち……どうしたの?」

吹雪「今日は、北上さんは一緒じゃないんですか?」

大井「そうなのよ……今日は北上さんだけ出撃で……」

大井「はぁ……提督め……」ゴゴゴ

電「は、はわわ……」

五月雨「あ、あの、それで、聞きたいことがあるんですが」

大井「……はっ、いけないいけない……」

大井「な、何かしら?」

叢雲「……『秘密結社ディープマリン』について、聞きたいのだけど……」

大井「……!!」

大井「……提督から聞いたのね」

電「はい……」

大井「……いいわ。話してあげる」

大井「結構長くなると思うけど、いいかしら」

吹雪「あ、だったら立ち話もなんですから、座れる場所に行きましょう」


ショキカンジャー本拠地


大井「ここ、あなたたちが使ってたのね」

五月雨「ええ、そうです」

大井「……どうして遊戯王が出ているの?」

漣「あ、しまった」

叢雲「片付けてなかったわ……」

漣「……はい、片付けましたよー」

吹雪「どうぞ、お座りください」

大井「ええ……」スッ

大井「……それで、何から話そうかしら」

叢雲「まず……あいつらは何者なの?」

大井「奴らは、『秘密結社ディープマリン』……艦娘の壊滅を目論む集団、と名乗ってるわね」

電「前も、そんなこと言ってたのです」

大井「艦娘を壊滅させようとしている理由はわからないけど、あらゆる手段を尽くして襲ってくるわ」

大井「でも、そのやり口は慎重なのか大胆なのかよくわからないわね」

五人(確かに……)

大井「奴らに関しては、正直なところ、わかっていないことが多いわ」

大井「ただ、わかっているのは……」

大井「……奴らには、いわゆる『ヒーロー』を模した攻撃が有効……ということよ」

五月雨「ヒーロー……ですか?」

叢雲「戦隊ヒーローじゃなくて?」

大井「それも含めて、よ」

漣「ということは、アメコミヒーローやライダーでもいいと?」

大井「恐らくね」

漣「プリキュアや美少女戦士でも?」

大井「……多分……」

吹雪「漣ちゃん、そこまで」

電「でも、どうしてなのです?」

大井「そこまではわかっていないわ……そこが一番の謎なのだけど」

大井「艤装による砲撃とかも、効かないわけじゃない。ただ、戦闘員の足止めくらいにしかならないみたいだけどね」

大井「あと、もう一つ」

大井「その『ヒーロー』を模した攻撃は……誰でもできるわけではないようなの」

叢雲「え?」

大井「以前、ある鎮守府に奴らが現れた時……何人かの艦娘で応戦したわ」

大井「でも、うまく攻撃が通ったのはほんの一握り……その他はやむなく逃走することになったわ」

大井「あなたたちは、どうやらその攻撃が通る者の中に入れたようね」

漣「なんというか……ラッキーでしたな」

電「もしダメだったら、全員最初の時点でやられてたのです」

吹雪「でも、どうして少人数しか攻撃が通らないんでしょうか?」

吹雪「そしてなぜ、私たちが……?」

大井「さっきも言ったけど、奴らに関してはわからないことがほとんど」

大井「わかってるのは、『ヒーロー』を模した攻撃が効くこと」

大井「そしてそれは、誰もができるわけじゃないってことだけよ」

大井「それと……奴らの姿について」

五人「……!」

大井「あなたたちなら、実際に見たからわかるでしょう」

大井「奴らは深海棲艦とよく似た外見をしているわ」

五月雨「戦闘員のイーたちは駆逐艦に似てるし……」

吹雪「似てるっていうか、頭がそうなってるだけだけどね」

漣「最初に戦った……クウボ?さんだっけ」

電「あの人は空母棲姫によく似てたのです」

叢雲「この間戦ったセンスイは、潜水棲姫に似てたわね」

大井「……」

大井「……奴らと深海棲艦……どう関係があるのかはわからないわ」

大井「ただ、私たちの壊滅という目的は一致しているみたいね」

大井「……私が奴らについて知っていることは、これだけよ」

大井「ごめんなさい、あまり役に立てなくて……」

吹雪「い、いえ!いいんです!十分です!ありがとうございます!」

叢雲(なんか、大井さんじゃないみたい……)

五月雨「……大井さん。一つ、気になることがあります」

大井「……何かしら?」

五月雨「何故・・・あなたはそんなに知っているんですか?」

大井「……」

大井「それは……」

五月雨「言いたくないことなら、いいんです……ごめんなさい」

大井「いいえ、そうじゃないの」

大井「……少し、思い出したくないことがあったから……」

五月雨「……」

大井「私は、以前……」

大井「奴ら……ディープマリンと戦ったことがあるの」

五人「!?」

電「ど、どういうことなのです!?」

大井「あれは……一年前のことね」

大井「私がこの鎮守府に着任する前、別の鎮守府にいたときの話よ」

大井「今、この鎮守府で起きているみたいに……ある時から、異常現象が起きだしたの」

大井「流石に困ったわ……資材や工具が消えたりするんだもの」

大井「今起きているのとは、手口が違うみたいだけどね」

大井「何とかしようと、その原因を調査していったら……」

吹雪「……ディープマリンが、関わっていたわけですね」

大井「……ええ」

大井「始めて対峙したときは、かなり追い詰められたわね」

大井「なにせ、艤装での攻撃がほとんど効かないんだもの」

叢雲「なら、どうやって奴らの特性に気が付いたの?」

大井「仲間の一人に、そういう戦隊モノとかがすごく好きな子がいたの」

大井「それで、『敵が戦闘員に見えたから技を叫びながら攻撃してみた』って言ってたわね」

五人「……」

大井「な、何よその表情は」

吹雪「……何か」

五月雨「すごい既視感……」

漣「テヘペロッ」

電「それで、どうなったのです?」

大井「その子がいろいろ試してみてね……さっきのことがわかったの」

叢雲「『ヒーロー』を模した攻撃しか通らない……ってこと?」

大井「そうよ」

大井「それで、その場は何とかなったんだけど、奴らは何度も現れた」

大井「どうにかしようとして、大人数で攻撃を仕掛けたりしたんだけど……」

吹雪「もしかして、さっき言ってた、ある鎮守府っていうのは……」

大井「ええ。私が以前いた鎮守府よ」

大井「攻撃が通るのはごく少数。だったらその少数にどうにかしてもらうしかない」

大井「そして奴らに対抗すべく……私を含んだ、五人の攻撃が通る子が、討伐隊に選抜されたの」

電「そうだったのですか……」

大井「それで、私たちはあなたたちと同じように『戦隊』として戦ったの」

大井「最初は馬鹿らしいと思ったわ。子供がする遊びみたいなことをして戦うなんて……」

大井「でも、それどころじゃなかった。奴らは、容赦なく私たちを襲ってきた」

大井「馬鹿らしくても、戦うしかなかったのよ」

大井「戦ってるうちに、そんなのどうでもよくなってきたし」

漣「なるほど、毒されたわけですな」

叢雲「やかましいわよ」バシッ

吹雪「でも、攻撃が通る人と通らない人の基準って何なんでしょうか?」

大井「うーん……そうねぇ……」

大井「あの鎮守府にいた工作艦が言うには、何か特別なエネルギーが発生しやすいんじゃないかって」

叢雲「特別なエネルギー?」

大井「ええ。ディープマリンに対抗できるエネルギーがあって、それが発生しやすいのがあなたたちや私たちってこと」

大井「詳しいことは結局わからなかったけどね」

漣「なるほど、ダイノガッツみたいなもんか」

五月雨「……でも、一番気になるのは」

電「その戦いの結末、なのです……」

大井「……」

大井「……戦っていくうちに、私たちは少しずつ奴らを追い詰めていった」

大井「あと少し……奴らを壊滅できると思った時に……」

大井「……あいつが、現れた」

吹雪「あいつ、とは……?」

大井「幹部の一人……とんでもない隠し玉よ」

大井「奴は、それまでの幹部とは違った。比べ物にならないくらいに強かったわ……」

大井「やられそうになった時……私は、ギリギリのところで奴から逃げてきたの」

叢雲「……他の四人は?」

大井「……」



大井「殺されたわ」

五人「!!」

五月雨「そ、そんな……」

大井「……私たちだって、決して弱くはなかったわ。戦いの中で、強くなっていたはず」

大井「でも、奴の力は圧倒的だった。ほとんど、何もできなかったの……」

漣「……」

大井「……あの時の事は、今でも忘れられないわ」

大井「何もできずに、仲間が殺されていく……」

大井「沈んでいくのとは違う、別の恐ろしさを持ったものだったわ……」

吹雪「……それから、どうなったんですか?」

大井「……私は、すぐにそのことを報告して、危険を知らせたわ」

大井「とんでもない奴がいる。このままでは皆殺しにされてしまう、と」

大井「でも……それから、ピタリと奴らの動きがなくなったの」

叢雲「動きがなくなった……?」

大井「ええ。それ以来、鎮守府で異常現象も起きなくなったし、奴らが襲ってくることもなくなったわ」

大井「確かに、ずいぶんダメージを与えていたから、奴らは撤退したのかと思ったの」

大井「あわよくば、消えてしまったんじゃないかって思っていた」

大井「……でも、今回……また奴らが現れた」

大井「私の仲間を、無残にも殺した、奴らが……!」ギリッ

漣「……」

五月雨「……大本営は、このことについてはどうしているんでしょうか」

大井「調査は行っているそうよ。でも、何もわかっていないみたい」

大井「わかってないことが多いし、無用な混乱を避けるために情報の公開もしていないみたいね」

大井「あれから、他の鎮守府でも何も起きていないし、私が以前いた鎮守府でも何も起きてないんじゃないかしら?」

電「あれ?大井さん、どうしてそこに残らなかったのです?」

叢雲「確かに。攻撃が通る人が限られているなら、何かあった時のために残っておいた方がよかったんじゃないかしら」

大井「そうね。だからしばらく残っていたんだけど……」

大井「奴らの動きがなくなってしばらくしてから、ここに来たわ」

吹雪「それはなぜ……?」

大井「……」

大井「……仲間が殺されている中、のこのこ逃げてきた者としては、居づらかったのよ」

五人「……」

大井「一応、去る時に提督に、何かあったら呼ぶよう言っておいたわ」

大井「呼ばれないってことは、何もないってことなんでしょうね」

大井「……私の話は、これで終わりよ」

吹雪「……大井さん」

大井「……何かしら」

吹雪「私たちとともに、戦ってくれませんか」

大井「……」

吹雪「話を聞いていて、わかりました。私たちだけでは限界があります」

吹雪「どうか、力を貸してください」

大井「……」

大井「……ごめんなさい」

五人「……!」

電「ど、どうしてなのです!?」

叢雲「そうよ!強敵なら、人数が多い方が……!」

大井「……」

大井「……理由は言えないけど、とにかく私は戦えないの」

大井「私は、もう……」

吹雪「で、でも……!」

大井「……」

五月雨「……吹雪ちゃん。もうやめよう」

吹雪「五月雨ちゃん……?」

五月雨「無理強いは良くないよ。何か理由があるんなら、言っても仕方ないよ」

吹雪「……そう、だね……」

大井「……ごめんなさいね」

吹雪「いえ、いいんです……」

電「まあ、仕方ないのです」

叢雲「そうね……本人が無理だっていうなら無理強いはできないわ」

叢雲「ショキカンジャーはこの五人で頑張りましょう」

大井「……ショキカンジャー、か……」

大井「偶然かしらね……私が以前やってた戦隊も、ショキカンジャーという名前だったわ」

五人「え!?」

吹雪「漣ちゃん、どういうこと!?」

漣「い、いや、漣はただの思い付きで……」

漣「この鎮守府に最初に着任したのがこの五人だったから……」

大井「私たち五人も、あの鎮守府に初めて着任した五人だったの」

五月雨「……偶然、なんでしょうか?」

大井「……ここまでくると、違うかもしれないわね」

大井「じゃあ、そろそろ私は失礼するわ」

吹雪「はい……いろいろ聞かせてくれて、ありがとうございました」

大井「……覚えておきなさい」

大井「あなたたちは、あなたたちが思っている以上に」

大井「死と隣り合わせだってことを……」


ガチャッ バタン


漣「……」

吹雪「……謎は解けるどころか、さらに深まったね」

電「でも、敵が危険だということはよくわかったのです」

五月雨「もっと強くならないといけない……頑張らないと」

吹雪「とりあえず、訓練の続きでもしようか」

電「そうするのです」

叢雲「よし、私も行くわ」

五月雨「……遊戯王はしないよ?」

叢雲「わ、わかってるわよ!」

叢雲「どうやら、遊んでる場合じゃなさそうだからね……」

漣「……」

吹雪「……漣ちゃん?」

漣「……ハッ……な、何?」

電「どうしたのです?さっきからあまりしゃべらないのです」

漣「い、いや、何でもないよ」

五月雨「漣ちゃんもする?訓練」

漣「あー……」

漣「……漣はいいや」

叢雲「は?あんた、さっきの話聞いてたの?」

漣「いや、その……」

吹雪「どうかしたの?顔色も悪いし……」

五月雨「もしかして、体調がよくないの?」

漣「……実は、そうで……」

叢雲「……なら、仕方ないわね。早く良くなるのよ」

漣「……ごめん」

電「気にしなくていいのです。では、行ってくるのです」

吹雪「ゆっくり休んでて」


バタン


漣「……」

その夜


吹雪「はい、それでは、第四回ショキカンジャー会議を始めます」

五月雨「え?夜に?」

吹雪「まあたまにはいいかなーと」

叢雲「で、何について話すのよ」

吹雪「うん。一つ提案があって」

吹雪「この間、センスイと戦った時の事なんだけど」

吹雪「敵は、あの抜け道を通って倉庫まで来てたってことだよね?」

電「そうだと思うのです」

吹雪「外に出てからも、道は続いていた」

吹雪「ということは、そこをたどって行ったら……」

叢雲「何かわかるかもしれない、ということね」

吹雪「うん。それで、明日にでも調査に行こうと思うんでけど、どうかな?」

五月雨「うーん……でも、危険じゃない?」

電「下手したら、敵陣に飛び込むようなものなのです」

吹雪「そこなんだよね、問題は……」

叢雲「危なくなったらすぐ逃走、で行けば大丈夫かしら……」

吹雪「行くとしたらそうだね。どうしようか?」

五月雨「確かに、何かわかるかもしれないし……行ってみようか」

電「たまにはこちらから攻め込むのもいいと思うのです」

吹雪「漣ちゃんはどう?」

漣「……」

吹雪「漣ちゃん?」

叢雲「まだ体調悪いの?」

漣「いや、そうじゃなくて……」

漣「……うん、そうだね。行ってみようか」

電「大丈夫なのです?」

五月雨「無理はしなくていいんだよ」

漣「いやいや、大丈夫大丈夫。明日にはもう完全回復してると思うし」

吹雪「そう?ならいいけど」

吹雪「じゃあ、今日はここまで。また明日ね」

漣「……」

漣(……うん。きっと、大丈夫……)

翌日

五人は、以前センスイと戦った所まで来ていた


叢雲「それにしても、鎮守府の近くにこんなところがあったのね」

電「普段は外に出ないから、知らなかったのです」

五月雨「この道、どこにつながってるんだろう?」

漣「まあ、十分に警戒していこうよ」

吹雪「そうだね。みんな、気を引き締めていこう」


ガサッ


五人「!!」

電「な、何なのです……?」ジリッ

叢雲「もしかして、敵……?」チャキッ

漣「……!」

五月雨「吹雪ちゃん、どうする……?」

吹雪「……みんな、抜錨の準備を」

五人「……」

ガサガサッ

叢雲「……何か、来る……!」


シュバッ


五人「!!」



猫「にゃーん」

五人「ズコー!」ドテッ

電「ね、猫なのです!?」

五月雨「なんてベタな展開……」

漣「思わず昭和のリアクションをとってしまいましたな」

叢雲「ふぅ……全く、驚かせないでよね」

吹雪「何にしても、ただの猫で良かった」


『……ただの猫かと、思った?』


五人「!?」

吹雪「何!?今の声!!」キョロキョロ

五月雨「どこから……!?」

『ここよ、ここ』

叢雲「……?」

漣「……もしかして」

電「この、猫さんから……?」

猫『そうよ。ショキカンジャーの皆さん』

吹雪「……!まさか、ディープマリン!?」

叢雲「まさか、こいつ自身が……!?」

猫『あー、待って待って。それは早とちりよ』

猫『よーく、見てごらん』

五月雨「……あれ?この猫の首輪に……」

漣「小型のスピーカーらしきものが……?」

猫『そう。この猫自体はただの猫』

猫『この声はそのスピーカーから出ているだけよ』

猫「にゃーん」

叢雲「ふーん……」

叢雲「で、あんたは何者なの?」

猫『フフフ……察しはついているんじゃないかしら?』

電「……やっぱり、ディープマリンの方ですか……?」

猫『フフ、そうよ。私はディープマリンの幹部の一人よ』

吹雪「……何のつもりですか」

猫『ちょっとしたお遊びよ。お遊び』

猫『あなたたちがここまで来たから、ちょーっとからかいたくなっただけ』

漣「……」

五月雨「……それだけですか?」

猫『フフフ……さーてね』

猫『私を見つけ出せたら、教えてあげる』



「さて、私はいったいどこでしょう?」

五人「!!」


五人の後ろに、何者かが立っていた!


ズガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!

漣「くっ……危なかったぁ……」

吹雪「みんな!無事!?」

電「けほっ……なんとか」

叢雲「すんでのところで避けられたわ」

???「改めて初めまして、ショキカンジャーの皆さん」

コウワン「私は、ディープマリン幹部のコウワン。以後、お見知りおきを」

叢雲「ふん、いけ好かない奴ね」

電「今度は、港湾棲姫にそっくりなのです」

吹雪「やっぱり、深海棲艦と関係が……?」

コウワン「フフフ、あなたたちなかなかやるみたいね」

コウワン「クウボやセンスイがボロボロで帰ってきたから、何かと思ったら……」

コウワン「なるほど、あなたたちがねぇ……」

五月雨「……戦闘員は呼ばないんですか?」

コウワン「フフフ、私はクウボやセンスイとは違うの」

コウワン「私一人で、十分な戦闘力を誇るわ」

叢雲「随分な自信ね」

コウワン「実際に戦ってみたらわかるわ。ほら、早く準備なさい」

漣「やるしか、ないか……」

吹雪「よし、皆行くよ!」

五人「抜錨!!」

カチッ

シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……

五人の体に、スーツが装着されていく!


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエロー!」

五月雨「五月雨ブルー!」


吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァン!!!

コウワン「フフフ、どこからでもかかってきなさい」

叢雲「はぁっ!」ブンッ

コウワン「ふんっ!」ブンッ

ガキンッ!
叢雲(……!弾かれた!)

吹雪「えいっ!」ブンッ

ガキンッ!

吹雪「くっ……まだまだぁ!」

ガキンガキンガキンッ!

吹雪(駄目だ……全部弾かれちゃう)

吹雪(どうやら、武器は……あの大きな腕)

吹雪(鋭くて、長い爪で防御を……)

ブンッ

吹雪「!!」


ズガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!

叢雲「吹雪!」

吹雪「はぁ……はぁ……危なかった」

コウワン「あら、残念。避けられちゃった」

吹雪(防御力だけでなく、破壊力も高い……)

吹雪(これは純粋に……強い!)

五月雨「やぁー!!」ブンッ

ガキンッ

コウワン「フフフ、何度やっても……」グググ


ザパァッ!

コウワン「!!」ドガッ


五月雨の刀から出た水によって、コウワンの腕は弾かれた!


五月雨(これで、攻撃の隙が……!)

コウワン「甘い!」ブンッ

五月雨「!!」シュバッ


ズガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!

五月雨(あ、危なかった……もう片方の手で、攻撃を……)

コウワン「なかなか面白い技を使うのね……」

コウワン「でもまだまだね。これだけじゃ私を倒すには……」


シュバババッ!!


コウワン「!!」バッ

飛んできた矢を、コウワンは腕でガードした!

漣「……っ」

コウワン「矢……?なかなかだけど、この程度では私は……」

電「えーい!!」ブンッ

コウワン「!?」ガッ


ググググッ


コウワン(なっ……いつの間に……!)グググ

コウワン(……そうか!今の矢は囮!注意をそらして、この子に攻撃させるため……)

コウワン(しかもこの攻撃……重い!)

電「まだ終わりじゃないのです!」グググ


バチバチバチバチィッ !!!


コウワン「ぐっ……!!」

コウワン(電流……!このままじゃ、押し負ける……!)

コウワン(でも、もう片方の手で攻撃を……!)スッ

叢雲「させるかっ!!」ドガッ

叢雲が、コウワンの片手を攻撃した!

コウワン「ぐあっ!?」

コウワン「くっ……この!」ブンッ

叢雲「はぁっ!」ガキンッ

コウワン(くっ……片手で抑えてる分、動きが……)

コウワン(……!しまった、両手が、ふさがれている……!?)

吹雪・五月雨「はああああああ!!」ブンッ

コウワン「!!」


ズガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!


吹雪と五月雨の一斉攻撃が決まった!

モクモク……


吹雪「やった!」

五月雨「これで、何とか……」

漣「……?」

漣「!みんな、気を付けて!」

叢雲「え?」

漣「奴が……いない!」

四人「!!?」


土煙が晴れると、そこにコウワンの姿はなかった

叢雲「い、いつの間に!?」

電「攻撃する瞬間までは、確かにいたのです!」


「フフフ……予想以上ね」

五人「!!」

コウワン「こんな早くに、私の奥の手を見せることになるとは思わなかったわ」


コウワンはさっきと全く別の、少し離れた位置に立っていた

叢雲「あんた、どうやって……!」

五月雨「奥の手って、一体……!?」

コウワン「そうねぇ……あなたたちの強さに敬意を表して、教えてあげるわ」

コウワン「おっと、攻撃はしないことね。変身中や説明中に攻撃をすることは禁じられているわ」

吹雪「そうなの?」

漣「そうだよ」

コウワン「どちらにしろ、攻撃は当てられないでしょうけどね」クスクス

叢雲「……」

コウワン「私の姿……さっきまでと、少し違うと思わない?」

電「姿……?」

吹雪「……腕の大きさが、大きくなくて、普通になっている……?」

コウワン「そのとおりよ。これが私の能力。二つのモード自由にを切り替えることができる」

コウワン「さっきまでの腕が大きかった状態は、言うなれば、攻撃力と防御力が強化される状態」

コウワン「そして今の、腕が大きくない状態は、素早く動ける状態、ということよ」

コウワン「今の状態だと、かなりの速さで動ける……目にも止まらない速さ、とでもいうのかしら」

漣「くそー……どっかのフランス人みたいなことを……」

五月雨「……しかし、その状態ではさっきのような攻撃や防御はできません」

電「そうなのです。少しでもあなたをとらえることができれば……」

コウワン「……その通りよ。素早さを得る代わりに、防御手段や攻撃手段は失う……」

コウワン「攻撃や防御ができる腕を手に入れれば、動きが遅くなる……」

コウワン「これが、私の能力の弱点かしらね」

吹雪「だったら、そこを叩けば……」

コウワン「でも、私を倒すのは無理ね」

吹雪「いいえ……私たちはあなたを倒します」チャキッ

コウワン「……なら、やってみる?」


シュンッ

吹雪「!!?」

コウワンは一瞬で吹雪に近づいた!

吹雪(は、速い!予想以上に!)

吹雪(でも、ここで攻撃すれば……!)

ググググ

吹雪「!!」


コウワンの腕の大きさが元に戻っている!


吹雪(まずい!このままだと攻撃され……)

ズガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!


吹雪「ぐぁぁぁぁっ!」ズザザザ!

叢雲「吹雪!」

吹雪「ぐ……だ、大丈夫……かすっただけ」

吹雪(駄目だ……こっちが対応するよりも早く攻撃をしてくる!)

コウワン「うーん、残念。避けられちゃったわ」

電「えいっ!」ブンッ

電が背後からハンマーを振り下ろした!


シュンッ


電「うわぁ!?」スカッ

コウワン「フフフ……無駄よ、無駄無駄」

コウワン「あなたたちの攻撃は、もう当たらないわ」


コウワン「そして、このまま近づいて……」シュンッ

電「!!」

コウワン「こうやって、攻撃をする!」ブンッ

電「……っ!」


シュバババッ!!

コウワン「!!?」ドガッ


飛んできた矢によって、コウワンの腕が弾かれた!

漣「よーし!やらせないよ!」

コウワン(ぐっ……さっきのと威力が違う……!)

コウワン(……あれは……風……?)

漣(風をまとわせたから、スピードも威力も上がってる……これなら、いける!)

叢雲「はぁっ!」ブンッ

コウワン「!!」シュンッ

叢雲「くそっ……逃げられたか」

コウワン「危ない危ない……」

コウワン(……遠距離攻撃な分、その子の武器は厄介ね)

コウワン(避けたり防御したりするには不利だわ)

漣「もう一発……!」ギリギリ

コウワン(……だったら)

ドガァッ! モクモク……

漣「!土煙が……!」

漣「目くらまし……?でも、どうしてわざわざ……?」

吹雪「……あれ?」


土煙が晴れると、またしてもコウワンはいなくなっていた


吹雪「消えた……!?」キョロキョロ

電「ど、どこに……!?」

五月雨「……もしかして、逃げた……?」

叢雲「まさか。いくらなんでも……」

五人「……」

漣「……出てこないね」

吹雪「本当に逃げたのかな……」

電「だったら、今日はもう帰ったほうが良いのです」

吹雪「そうだね。じゃあ……」



漣「うわぁぁ!?」

四人「!!」


気が付くと、漣はコウワンにつかまれ、巨大な腕で締め付けられていた!

コウワン「フフフ、まずはあなたから始末させてもらうわ」ギリギリ

漣「ぐ……ど、どうして……!」

コウワン「すこーし、隠れていただけよ……あなたたちが油断するまでね」

コウワン「簡単に引っかかってくれて、感謝するわ」

コウワン「あなたは武器が遠距離武器で、少し位置が離れていたから、狙いやすかったわね」

漣「ぐ……あ……」

コウワン「さて、このまま握りつぶして……」グググ

コウワン「……殺してあげるわ」

漣「……!」

漣(殺……され……)



叢雲『……他の四人は?』

大井『……』

大井『殺されたわ』


大井『……覚えておきなさい』

大井『あなたたちは、あなたたちが思っている以上に』

大井『死と隣り合わせだってことを……』


漣「う、うわあああああああああ!!」

吹雪「はああああああ!!」ブンッ

コウワン「!!」


ガキンッ!

コウワンは漣を握っていない方の腕で防御した!


吹雪「漣ちゃんを……離せぇ!!」グググ

コウワン「くっ……もう来たのね」

五月雨「吹雪ちゃん!」

吹雪「!」バッ

五月雨「やぁー!」ザパァァ!


五月雨は水を放出し、コウワンの体のみを濡らした!

コウワン「!?な、何のつもり!?」

五月雨「よーし、電ちゃん!」

電「はいなのです!」ブンッ

コウワン「!!」

ガッ

電「そしてこれを!」


バチバチバチバチィッ!!!!!


コウワン「ぐあああああっ!」

コウワンに電流が流れる!たまらず、コウワンは漣から手を離した!

漣「う……」ドサッ

叢雲「漣!大丈夫!?」ガッ

漣「……」

叢雲「くっ……」

吹雪「よーし、撤退!てったーい!」


ダダダダッ


コウワン「……」

コウワン「……フフフ、今日の所は逃がしてあげるわ」

コウワン「でも……」

コウワン「……次は、ないわよ?」

鎮守府 工廠


吹雪「……明石さん。漣ちゃん、大丈夫ですか?」

明石「入渠させたし、傷はもうないわ」

明石「……ただ」

叢雲「ただ?」

明石「……かなり、精神がやられてるみたいね」

五月雨「精神が……ですか?」

明石「会ってもらえばわかるわ。こっちよ」

漣「……」

電「……漣さん。大丈夫なのです?」

漣「……うん。ごめん……みんな、ありがとう……」

吹雪「……どうしたの?」

漣「……」

五月雨「まだ、どこか悪いところが……」

漣「違うよ。もう体のほうは大丈夫……だけど」

漣「……ごめん。みんな……漣は……」


漣「もう、戦えない……」

四人「!!?」

叢雲「な、何言ってるのよ!?」

叢雲「あんたが言い出したことなんでしょ!?」

漣「……ごめん」

叢雲「謝ってほしいわけじゃない!理由を言いなさい!」

漣「……」

叢雲「このっ……!」

五月雨「叢雲ちゃん、落ち着いて!」

叢雲「くっ……」

吹雪「……理由、言えないの?」

漣「……」

漣「……怖くなったんだよ」

吹雪「え……?」

漣「……死ぬのが」

電「死ぬのが……ですか?」

漣「……大井さんが言ってたよね」

漣「自分たちが思っている以上に、死と隣り合わせだって」

漣「今日だって、みんなが助けてくれなかったら、死んでたかもしれない……」

漣「だから……」

叢雲「そんなの、今までだってそうだったでしょ!?」

叢雲「いつ沈むかわからない、戦争をしてきたんだもの!」

叢雲「それを今更……!」

漣「……」

吹雪「……そっか」

吹雪「わかった。漣ちゃん……」

吹雪「あとは私たちに任せて」

叢雲「ちょっと!吹雪!」

吹雪「……五月雨ちゃん。電ちゃん」

五月雨「はーい」ガッ

電「了解なのです」ガッ

叢雲「え!?ちょっ……離しなさいよ!こらー!」ズルズル

漣「……ごめんね、吹雪ちゃん」

吹雪「いいよ。……仕方ないよ」

漣「……本当にごめん」

吹雪「いいって。じゃあ、私も行くね」

吹雪「……漣ちゃん」

漣「……」

吹雪「もしも……もしもだけど」

吹雪「また……一緒に戦ってくれるんなら」

吹雪「いつでも……待ってるから」

漣「……」


ガチャッ バタン


漣「……っ」

ショキカンジャー本拠地


叢雲「あー、もう!漣の奴、どうしちゃったのよ!」

電「まあまあ。落ち着くのです」

五月雨「でも、困ったよね」

吹雪「あんな状態だと、普通の艦娘としても戦えないよ……」

電「司令官も、困っていたのです」

叢雲「……どうして、今更」

吹雪「うーん、どうしよう……」

五月雨「五人でもギリギリなのに、人数が減っちゃったら……」

叢雲「まあ、負けるでしょうね」

叢雲「またコウワンみたいなやつに会ったら」

ショキカンジャー本拠地


叢雲「あー、もう!漣の奴、どうしちゃったのよ!」

電「まあまあ。落ち着くのです」

五月雨「でも、困ったよね」

吹雪「あんな状態だと、普通の艦娘としても戦えないよ……」

電「司令官も、困っていたのです」

叢雲「……どうして、今更」

吹雪「うーん、どうしよう……」

五月雨「五人でもギリギリなのに、人数が減っちゃったら……」

叢雲「まあ、負けるでしょうね」

叢雲「またコウワンみたいなやつに会ったら」

コンコン

吹雪「ん?」

五月雨「どうぞー」


バンッ!


曙「叢雲ぉ!あんた、漣に何したのよ!?」

叢雲「は!?な、何で私!?」

曙「このメンバーの中で一番何かしそうなのがあんただからよ!」

叢雲「はぁ!?勘違いも甚だしいわね!」

潮「あ、曙ちゃん落ち着いて……」

電「叢雲さんも落ち着くのです!」

叢雲「そもそも、私たちのせいじゃないんだけど!?」

曙「嘘つけ!青葉さんがそう言ってたわよ!」

曙「あんたたちが漣を工廠に連れて行って、それから漣が落ち込んでるって!」

曙「きっとカツアゲされたって言ってたわよ!」

電「青葉さん……」

叢雲「そ、それは誤解よ!あんた何でそんなのほいほい信じるのよ!あんたバカじゃないの!?」

曙「何だとぉ!?」

叢雲・曙「ガルルル……!」

潮「曙ちゃん、ちょっと……!」グイグイ

電「は、はわわ……」

吹雪「な、何事……!?」


ガチャッ


朧「あー、もう曙ったら……」

五月雨「あ、朧ちゃん。どうしたの?」

朧「ごめんごめん。曙が青葉さんから変なこと吹き込まれて、ここに突撃しに来ちゃった」

吹雪「青葉さん……」

五月雨「……朧ちゃんたちは、漣ちゃんと会ったの?」

朧「うん……」

朧「ついさっき会ったんだけど、落ち込んでたっていうか……怯えてたね、あれは」

朧「で、そのあと青葉さんに会って、曙が走り出して、潮が止めに行って……今に至る」

吹雪「な、なるほど……」

朧「それで、詳しいことは知らないんだけど……何があったの?」

吹雪「うん、実は……」

──────────

──────

───

朧「……なるほど」

朧「昨日の夜から様子がおかしかったのはそれか……」

吹雪「え?昨日?」

五月雨「確かに、昨日は体調が悪いって言ってたよね」

朧「うん。そう聞いてたんだけど、やっぱり様子がおかしかったから……」

吹雪「でも、どうして今になって、怖がるようになったのかな」

五月雨「普段の漣ちゃんからは、想像できないよね」

朧「それは、漣は普段はそういうところを絶対に人に見せようとしないから」

朧「普段は明るく振る舞ってるけど、それは不安や恐怖を忘れようとするため」

朧「耐えられないくらいの不安や恐怖があっても、一人で抱え込もうとするんだ」

吹雪「そうだったんだ……」

朧「……本当は、漣は人一倍臆病なんだよ。それを隠しているだけで」

朧「沈むことへの恐怖なんかも、本当はすごく強い」

朧「最近はそんなそぶりは見せないけど……以前、綾波姉さんに何かを相談してたりするのは見たなぁ」

五月雨「じゃあ、何で今まではこんなことがなかったの?」

五月雨「漣ちゃんだって、大破したことくらいあるよね?」

朧「うーん……漣じゃないから、本当のことはわからないけど」

朧「多分……そうやって振る舞っているうちに、本当に不安や恐怖を忘れてしまったんじゃないかな」

吹雪「忘れてしまった……?」

朧「うん。この鎮守府で沈んだ艦は今のところいないし、漣自身も今まで何とかなってきたから」

朧「自分が沈むはずがない、死ぬはずがない……って、無意識のうちに思うようになったんだと思う」

朧「だから、今まではこんなに恐怖を感じることはなかった」

朧「でも、今回……大井さんの話を聞いて、その恐怖がよみがえったんだと思う」

朧「そこに追い打ちをかけるように、自分の命への危機が来て……」

朧「そうして、今まで忘れていたものを思い出してしまった……」

朧「本当は、ずっとため込んでたんだと思う。そういった不安や恐怖を」

朧「それが、爆発しちゃったんじゃないかな」

五月雨「……」

朧「朧がわかることはこれぐらいだよ」

吹雪「うん……ありがとう」

朧「……あ、そうだ。曙を止めに来たんだった」

吹雪「そうだ!叢雲ちゃんと喧嘩してて……」


曙「覚悟はいい?叢雲……」

叢雲「いいわよ、来なさい」


曙「私のターン!」シュッ

吹雪・五月雨(またか……)

曙「くっ……!まさか、クェーサーを出されるなんて……」

叢雲「ふふ、私の勝ちね」

曙「もう一回よ!私のブルーアイズが負けるはずがないわ!」

叢雲「融合もまともにできないようじゃ、無理なんじゃないかしら?」

曙「何だとぉ!?」

曙「もう一回よ!次はマスタールール4やるわ!」

叢雲「うっ!それは……」

朧「はいはい、そこまで。帰ろうねー」ズルズル

曙「あ!?ちょっと、離しなさいよ、朧!」

潮「ご、ごめんね、みんな……!お邪魔しました!」

吹雪「ああ、うん……」


バタン

叢雲「ふん、大したことなかったわね!」フンス

三人「……」ジトッ

叢雲「な、何よその目は」

五月雨「ところで叢雲ちゃん、電ちゃん。さっきの話、聞いてた?」

叢雲「え?」

電「はい。電は対戦を見ながら聞いてたのです」

吹雪「そっか。じゃあいいね」

叢雲「……何の話?」

五月雨「……叢雲ちゃんは、漣ちゃんより遊戯王のほうが大切なんだね」

叢雲「ちょ、ちょっと!?五月雨!?」

吹雪「失望したよ……」

電「なのです」

叢雲「ええ!?」

叢雲「た、対戦しながら聞けるわけないでしょ!ちゃんと話してよ!」

──────────

──────

───

叢雲「なるほど……そういうことね」

吹雪「これ、私たちでどうにかできる問題だと思う?」

五月雨「正直、漣ちゃん本人がどうにかしないと無理だよね」

電「やっぱり、何もできないのでしょうか……」

叢雲「……」

吹雪「叢雲ちゃん?どうしたの?」

叢雲「……ん?いや、何でもないわ」

電「……もしかして、デッキ構築について考えてたのです?」

五月雨「うわぁ……」

叢雲「え!?ち、違うわよ!」

吹雪「まあ、今日はもう解散しよう。これからどうするかは、また明日考えよう」

五月雨「そうだね」

叢雲「……」

その夜 ショキカンジャー本拠地


ガチャッ


漣「……」

漣「……はぁ……」


「……こんな時間に、何やってるのかしら?」


漣「!?」

漣「……叢雲ちゃん」

叢雲「はろー」

叢雲「朧が言ってたらしいわ。漣は臆病だって」

漣「……とうとうバレちゃいましたか」

叢雲「知らなかったわ。あんた、いつも異常なくらいに明るいから」

漣「まあ、そんなもんだよ……」

叢雲「ふーん……」

叢雲「昼間は、その……ごめんなさい。怒鳴ったりして」

漣「……ううん、漣が悪いから……」

漣「急に、こんなことになったりして……」

漣「……ごめんね」

叢雲「……」

漣「本当は、ずっと怖かったはずだった」

漣「でも、それに目を向けたくなくて、ずっとごまかしてたんだ」

漣「そうしないと……きっと、耐えられなかったから」

叢雲「……」

漣「……そうやって、ずっと目を背けてきたから」

漣「こんなことに、なっちゃったのかな」

叢雲「……」

漣「……ねえ、叢雲ちゃん」

漣「どうしたら……死ぬのが、怖くなくなるのかな」

叢雲「……」

叢雲「一つだけ言っておくわ」

漣「?」

叢雲「死ぬのが怖くない奴なんて、居ないのよ」

漣「……!」

叢雲「誰だって、死ぬのは怖い。沈むのは怖い」

叢雲「みんな、その恐怖と戦っているの」

叢雲「私だって、吹雪だって、電だって、五月雨だって……」

叢雲「みんな、心のどこかで恐怖を感じながら、戦っているのよ」

漣「……」

漣「……だったら」

漣「恐怖を感じながら……どうして、戦えるの……?」

叢雲「どうして、か……」

叢雲「……」

叢雲「……もっと、恐ろしいことがあるからよ」

漣「……え?」

叢雲「私から言えることはこれだけよ。今日はもう寝なさい」

漣「……うん」

叢雲「じゃあね」


バタン


漣「……」

三日後 ショキカンジャー本拠地


吹雪「はー……さて、今日も訓練しようか」

叢雲「そうね……でも、普通のやり方だと飽きてきたわね」

五月雨「え?じゃあ、どうするの?」

叢雲「……チェーンデスマッチ形式でやるとか」

電「なんか物騒なのです」

吹雪「……今日も、漣ちゃん来ないね」

五月雨「仕方ないよ……簡単にどうにかなる問題じゃないし」

叢雲「早く復活してくれるといいんだけど、そうもいかないしね……」

電「うーん……とっても心配なのです」

吹雪「私たちが心配しても仕方ない。漣ちゃん自身がどうにかするしかないんだから」

叢雲「そうね。気長に待ちましょう」

電「じゃあ、そろそろ行くのです?」

五月雨「そうだね。じゃあ……」


「にゃーん」

四人「……!」

吹雪「猫……?いつの間に……」

電「そこの窓から入ってきたのです?」

叢雲「そのようね。少し空いてるし」

五月雨「……あれ?この猫……この間の猫じゃない?」

吹雪「え?」

叢雲「……本当ね。この間、コウワンと会った時の猫だわ」

電「ここまで、どうやって来たのでしょうか……?」


『普通に運んだだけよ』

四人「!」

吹雪「……やっぱり、あなたですか」

叢雲「本当だわ、スピーカーもついてる」

猫『フフフ、また驚かせちゃった?ごめんなさいね』

電「それで・・・何の用なのです?」

猫『ちょっとあなたたちに、お願いがあるのよ』

五月雨「お願い?」

猫『この間戦ったところまで来て、私と戦いなさい』

猫『応じない場合は、私がそちらまで行くわ』

吹雪「!そんなことしたら……」

猫『そう。鎮守府はただじゃすまないでしょうね』

猫『それじゃあ、待ってるわ』プツッ

吹雪「……」

五月雨「吹雪ちゃん……」

吹雪「うん……行こう」

叢雲「四人で勝てるかしら……」

電「それでも、やるしかないのです」



漣「……」

漣は、部屋の前まで来ていた

その後、四人は以前コウワンと戦った場所まで来ていた


コウワン「フフフ、来たわね」

吹雪「……どうして、呼び出したりしたんですか?」

コウワン「特に意味はないわ……ただ、あなたたちと戦うのが面白い……それだけよ」

叢雲「……ふん」

コウワン「……あら?あのピンクの子は?」

叢雲「……あいつが来るまでもないってことよ」

コウワン「フフフ、そう……」

コウワン「この間、やりすぎちゃったかしら?残念ね」

電「……四人ででも、あなたを倒します」

五月雨「覚悟してください……!」

コウワン「あら、怖い怖い」

コウワン「それじゃあ、早速……始めましょう?」

吹雪「みんな、行くよ!」


四人「抜錨!」

その頃 鎮守府


漣「……」

朧「……どうしたの、漣」

漣「……いや、何でもないよ」

朧「嘘ついてもだめだよ。漣、すぐ顔に出るから」

漣「……」

朧「……言いたくないなら、いいけどさ」

漣「……ねえ、朧」

朧「ん?」

漣「……どうしたらいいと思う?」

朧「何が?」

漣「悩んでて、何も行動できない時……どうしたらいいと思う?」

朧「……」

朧「……そうだね……」

朧「詳しくはわからないから、はっきりとは言えないけど……」

朧「漣にとって、何が大切なのか……考えてみなよ」

漣「何が、大切か……?」

朧「うん。そうすれば、自ずと答えは見えてくるはず……多分」

漣「……」

漣(漣にとって、大切なもの……)


叢雲『……もっと、恐ろしいことがあるからよ』


漣「……!」

漣「ありがとう、朧!ちょっと出てくる!」ダダッ

朧「はーい、いってらっしゃーい」

朧「……まったく、世話が焼けるなぁ」

漣「はぁ……はぁ……」ダダダ

漣「もう少しで……あそこに……」

漣「……みんな!」バッ

漣「……!」


吹雪「ぐ……」

叢雲「ダメだ、隙が突けない……」

電「このままだと……」

五月雨「でも、まだ……!」

コウワン「フフフ、そんなものなの?」


漣が到着したころには、全員疲弊しきっていた……

コウワン「……あら?来たのね」

四人「……!」

吹雪「さ、漣ちゃん……!」

漣「み、みんな……!」

叢雲「来たのね……!」

電「でも……状況が悪いのです……」

五月雨「どうすれば……」

コウワン「来たはいいけど、大ピンチね」

コウワン「あなた以外は全員疲弊しきっている……つまり、実質一人で戦うということよ」

漣「……っ!」ジリッ

叢雲(……漣、やっぱり、まだ……)

叢雲「……漣!逃げなさい!」

漣「!?」

叢雲「こいつの言う通り、ほとんど一人で戦うことになるわ!」

叢雲「それに……あんた、まだ……!」

漣「!!」

漣「で、でも……」

叢雲「そんな状態で戦っても、殺されるだけよ!だから、あんただけでも……!」

漣「……」

漣「……!」


ダダッ

叢雲「……よし」

吹雪「……やっぱり、ダメだったか……」

電「仕方ないのです……」

五月雨「この四人で、どうにかするしか……!」

コウワン「あらあら、結局逃げちゃうのね」

コウワン「仕方ない……もう少し、楽しませてね?」

鎮守府


漣「はぁ……はぁ……」

漣「……いた!」

漣「大井さん!」ダダッ

大井「……?あなた……どうしたの?」

大井「……ただ事じゃないようね」

漣「……ディープマリンの、幹部が……!」

大井「!!」

漣「今、みんな戦ってて、ピンチなんです!」

漣「漣だけじゃ、どうしようもなくて……!だから……!」

大井「……ごめんなさい」

漣「!」

大井「この間言ったとおり、私はもう戦えない」

大井「悪いけど……」クルッ

漣「……ッ!」


漣「怖いんですか!?」

大井「……!」ピタッ

漣「死ぬのが怖いから、戦えないんですか……!?」

大井「……」

漣「……大井さんは、自分の目の前で仲間が殺されてしまった……」

漣「普段の艦隊戦とは違う戦いへの、恐怖を覚えてしまった……」

漣「……漣も、さっきまでそうでした」

漣「漣は、もう、艦隊戦もできなくなるんじゃないかというくらい、怖かったです……」

漣「でも、さっき……気が付いたんです」

漣「死ぬのは、確かに怖い……だけど」

漣「仲間を失うのは、もっと怖い……!」

大井「……!」

漣「漣は、大切な仲間を守りたいんです!」

漣「だから……!」

大井「……」

『大井さん!もう、私たちはダメ……!だから……』

大井『嫌よ!あなたたちを置いて、逃げるなんて……』

『あなただけでも生き残って……!このままじゃ、全滅しちゃう……!』

大井『でも……』

『誰かが、このことを伝えないといけない!それができるのは、あなただけなの!』

『鎮守府のみんなを、守れるのは……!』

大井『……!』

『ぐ、ああああああああああああ!!!』

グシャッ

大井『!!』

大井『……ッ!!』ダダッ

大井「……」

スタスタ

漣「大井さん……!」

大井「……」

漣「……くっ!」ダダッ

吹雪「……う……」

コウワン「そろそろ限界かしら?」

叢雲「ま、まだよ……まだ、負けてない……」

コウワン「だったら、そこから動いて見せたらどう?」

叢雲「……くそぉ……!」

電「も、もう……ダメなのですか……?」

五月雨「あきらめちゃダメ……!まだ……何かできるはず……!」

コウワン「そんな状態で言ってもねぇ……無理があるわよ」

コウワン「さて、そろそろ、トドメかしら?」ヒョイッ

吹雪「……ぐっ……」

叢雲「吹雪……!」

コウワン「まずはあなたから、あの世へ送ってあげる……」グググ

吹雪「ぐあああああああ!!」


シュバババッ!!


コウワン「!!」バッ

コウワンは、飛んで来た矢をガードし、思わず手を離した!

吹雪「ぐっ!げほっげほっ……」ドサッ

五月雨「吹雪ちゃん!大丈夫!?」

吹雪「だ、大丈夫……」

電「い、今のは……」

コウワン「……命知らずとは、まさにこのことね」

漣「みんなから離れろ!漣が相手だ!」

吹雪「漣ちゃん……!」

叢雲「馬鹿!どうして戻ってきたの!」

漣「……死ぬのは、怖い……怖いけど……」

漣「みんなが死んでいくのを、黙って見ているなんてできない!」

コウワン「いい度胸ね……わざわざ戻ってくるなんて」

コウワン「わかった・・・それじゃあ」

コウワン「あなたから殺してあげるわ!」シュンッ

漣「!!」バシュッ

コウワン「ほらほら、どうしたの?当たってないわよ」シュンッ

漣「くぅ……!」バシュバシュッ

コウワン「他に近接攻撃されているときに、あなたの矢が来るのは厄介だけど……」シュンッ

コウワン「あなただけなら、問題ないわね」

漣「このぉ!」バシュッ

コウワン「ほら、もっとよく狙いなさい」シュンッ

コウワン「そうだわ。サービスしてあげる」

コウワン「あと十発……あなたが矢を撃つまで、攻撃はしないであげる」

コウワン「精々頑張って当てることね」

漣「馬鹿にして……!」バシュッ

コウワン「ほーら、あと九発よ」

漣「くっ……」

漣(やっぱり、漣だけじゃだめだ……)

コウワン「フフフ、死にに来たようなものね」

漣(どうしたら……?)

コウワン「……あら?もう終わり?攻撃しないの?」

漣「……!」ギリギリ

漣(こうなったら、一か八かアレを……!)

漣(でもスキがなさすぎる……外したら、もう……)

漣「……っ」





「そんな挑発に乗って、どうするのかしら?」

漣「!?」

ドカァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

コウワン「!?な、何!?これは!」

吹雪「な、何今の爆発!?」

叢雲「!あ、あれって……」


漣「あなたは……!」

ホワイト「私はホワイト……正義の味方よ」


電「……あれって」

五月雨「大井さん……だよね」

叢雲「一応メットで、顔はわからないけど……」

漣「き、来てくれたんですか!?」

ホワイト「何のことかしら?」

ホワイト「私は、ただの通りすがりの正義の味方よ」

ホワイト「それより、奴を倒すことが優先よ」

ホワイト「仲間を……守るんでしょ?」

漣「……はい!」

コウワン「あら……まだ味方がいたのね」

ホワイト「……あなたね?悪の組織の幹部は」

コウワン「そうよ……あなた、どこかで見たことあるわね」

ホワイト「……」

コウワン「まあいいわ……あなたも後で殺してあげるわ」

ホワイト「それは遠慮しておくわ」バシュッ!

コウワン「……?一体何を」


ドカァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


コウワン「!!?」


吹雪「ば、爆弾!?」

五月雨「あれが、大井さんの武器……?」

コウワン「く……油断したわ」

ホワイト「まだまだ!」バシュッ

コウワン「!」シュンッ

ドカァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

コウワン「ぐあぁ!!」ズザッ


叢雲「……!そうか、奴はあくまでも高速移動しているだけ!」

電「攻撃範囲の大きい爆弾は、有効なのです!」

ホワイト「ほら、何ボサッとしているの」

漣「あ、はい!」バシュッ!

ドガァッ!!

コウワン「ぐっ!!」

コウワン(まずい……爆弾にやられたせいで、隙ができてしまう)

コウワン(しかし……)

バシュッ!

コウワン「!!」シュンッ

ドカァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!

コウワン「ぐっ……!」

漣(!!近づいてきた!)

コウワン「フフフ、残念だったわね!」

コウワン「この距離なら、近すぎて爆弾は放てまい!」

コウワン「ここからさらに近づいて攻撃を……」

ホワイト「あー、ちょっと目をつむってて」

漣「え?」

バシュッ!

コウワン「ん?何を……」


ピカァァァァァァァァァァァ!!


コウワン「うわっ!?な、何、これは!?目が……!」

ホワイト「ほら、今のうちに」

漣「はい!」バシュッ!

コウワン「うあああああああ!!」ビュンッ ドザザザ!

ホワイト「よーし、何とか距離が取れたわね」

漣(よし、風をうまく使えば吹っ飛ばすこともできる……これで何とか)

漣(それにしても、大井さん、すごい……戦いなれている)

コウワン「ぐぅ……何なの、その爆弾は!?」ヨロッ

ホワイト「これは、私の武器『トーピードーボム』。複数の種類を持つ爆弾よ」

ホワイト「それ、『パワーボム』!!」バシュッ!

ドカァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

コウワン「……ッ!くっ……!」

ホワイト「そして、『フラッシュボム』!」ポイッ

ピカァァァァァァァァァァァ!!

コウワン「しまった!また目が……!」


バシュンッ!


コウワン「!?ぐああっ……!」ドンッ

ホワイト「よーし、攻撃するタイミングもわかってきたみたいね」

漣「えへへ、おかげさまで」

コウワン「お、思い出したわ、あなた……!」

コウワン「前に襲った鎮守府にいた……!」

ホワイト「……あの時よりは強いみたいだけど、あなた一人じゃ私……」

ホワイト「……いえ、私たちにはかなわないわ」

コウワン「ぐっ……!」

コウワン「くそぉ……!こうなったら!」シュンッ

叢雲「んなっ!」ガッ

吹雪「叢雲ちゃん!」

コウワン「フフフ、どう!?私を攻撃したら、この子に当たるかもしれないわよ!」

五月雨「またこんな手を……!」

電「卑怯なのです!」

コウワン「フフ、何とでも言うがいいわ!」

ホワイト「く……困ったわね。パワーボムは威力は大したことないとはいえ、どうか……」

ホワイト「フラッシュボムもいい加減効かないでしょうし、どうしたら……」

漣「……あとは、どんな爆弾があるんですか?」

ホワイト「……敵をその場から動かなくさせる爆弾があるわ」

漣「では、それをお願いします」

ホワイト「……わかったわ」

ホワイト「『フリーズボム』!」バシュッ

コウワン「フフフ、今更何をしようと……」

ビチャッ!

コウワン「!?な、何これは……!」グググ

コウワン「う、動けない!まさか……とりもち!?」

ホワイト「さて、これでいいはずよ」

漣「はい、ありがとうございます」ギリギリ

ホワイト「……外したら、あの子が危ないわよ?」

漣「大丈夫です」

漣「……守ってみせます」

ホワイト「……」


バシュンッ

ドガァァァァッ!!!


コウワン「!?ば、馬鹿な……!」


漣は、叢雲に当たらないギリギリの所を射抜いた!

漣「まだまだぁ!」バシュバシュッ

コウワン「ぐあああああああ!!な、何故だ!なぜ……!」グサグサッ

叢雲「漣……!」

コウワン「く……とりもちなら、地面を破壊すればいい!そうすれば動けるようになって、もう当たらないわ!」

コウワン「えーい、あなた、邪魔よ!」ポイッ

叢雲「うわっ!?」ドザッ

電「だ、大丈夫なのです!?」

叢雲「いたた……だ、大丈夫よ」

叢雲「それにしても、あいつ……」

五月雨「うん、フラグだよね……」

コウワン「せいっ!」ブンッ


ズガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


コウワン「よし、これで動け……」


ビュンッ

コウワン(!矢が、もう飛んできている……!?)

コウワン(は、早くモードを切り替えて……)シュルルル

コウワン(……!や、矢が飛んできているどころか……!?)


漣が放った何本もの矢が、コウワンを取り囲んでいた!


コウワン「何いいいいいいいい!?」

漣「いけええええええええええええええ!!!!」


コウワンを取り囲んでいた矢たちが、一斉に襲い掛かった!!

ドゴォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!


コウワン「う、うわあああああああああああああああああ!!!!」

矢にまとわりついていた風が、そのままコウワンを吹っ飛ばす!


バビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!


コウワン「お、覚えてなさああああああああああい!!」ヒューン

キラーン……

漣「汚ねえ花火だ……」

吹雪「……大井さん、ありがとうございました」

ホワイト「大井?誰かしら」

ホワイト「私はホワイト。通りすがりの正義のみか……」

漣「えいっ」スポッ


大井「……」

五人「……」

大井「ちょっと!何でとるのよ!こういうのはとっちゃいけないでしょ!」

漣「うひー、すみません」

五月雨「どうして、助けてくれたんですか?」

大井「……別に。ちょっと癪だっただけよ」

大井「自分が逃げたままでいるのがね」

漣「……」

叢雲「何はともあれ、助かったわ」

電「本当に、ありがとうございました」

吹雪「……大井さん、やっぱり、一緒に戦ってくれないんですか?」

大井「……そうね」

大井「戦わない理由はもうないけど、あなたたちとは別行動で奴らについて調査しようと思うの」

大井「その方が小回りがきくし、それに……」

漣「それに?」

大井「……私にとって、『ショキカンジャー』は、一つだけだから」

吹雪「……そうですか」

大井「それに、あなたたち……」

五人「?」

大井「……『駆逐戦隊』って言ってるじゃない」

五人「……」

五人(……そうだった!)

大井「とにかく、あなたたちの戦隊には入らないけど……」

大井「一応味方だから、困ったときは……助けてあげるわ」

吹雪「……ありがとうございます!」

大井「北上さんとの用事があるなら、そっちを優先するけど」

五人(ですよねー)

大井「じゃあ、私はもう帰るわ」

漣「……本当に、ありがとうございました」

大井「……今回の奴より、もっと手強い奴がいる」

大井「それを忘れないでおくことね」


ザッザッ

漣「……」

吹雪「……漣ちゃん、よかった……」

漣「……みんな、ごめんね」

五月雨「いいよいいよ。気にしないで」

叢雲「それにしても……漣、ありがとう」

漣「いえいえ、礼には及びませんな」

電「叢雲さんだけをよけて矢を撃つなんて……どうやったのです?あれ」

漣「何かよくわからんけどできた」

叢雲「えぇ……」

漣「それに、お礼を言うのはこっちもだよ」

漣「ありがとう、叢雲ちゃん」

叢雲「……そう。まあ、いいのよ、別に」

吹雪「え?何かあったの?」

漣「あー、何かね、この前……」

叢雲「オラァ!」ドゴォ

漣「へぁっ!?」

漣「ちょ……何するのさー?」

叢雲「何かいやだったから……」

漣「いやー、それにしても……」

漣「……」

四人「……?」

漣「……なんでもない!帰るぞ!」ダダッ

叢雲「はぁ?ちょ、待ちなさいよ!」



漣(よかった……ちゃんと、皆を守ることができた)

──────────

──────

───

漣「はぁ……弓を空母の方々に教えてもらえることになったけど……」

漣「やっぱしんどいわー……萎え~……」

大井「あら、ずいぶんお疲れね」

漣「あ、大井さん」

大井「そんなことでは、すぐに負けちゃうわよ」

漣「はーい、わかってまーす……」

大井「……そういえば、この間は言わなかったけど」

漣「はい?」

大井「あなた……すごいわね」

漣「え!?な、なんですか急に!?」

漣「漣はおだてても木に登りませんよ!」

大井「何言ってるのよ……」

大井「……あなた、最初に仲間の元へ向かったあと、私を呼んで、一人で戻って行ったのよね」

漣「はい、そうです」

大井「……私なら、一人で戻るなんて、怖くてできなかった」

大井「私だって、以前、それはできたはずなのに……」

大井「仲間を助けたかったはずなのに、勇気が足りなかった」

漣「……」

大井「でもあなたは、それをやってのけた」

大井「あなたには、それを成し遂げるだけの勇気があったのよ」

漣「……そうですか」

漣「漣には……勇気があったかどうかなんて、わかりません」

漣「ただ……仲間を守りたかった……助けたかった」

漣「それしか考えてなかったから……」

大井「でも、そこから動くことができた」

大井「あなたは、死ぬことが怖かったはずなのに、助けに行った」

大井「その、『仲間を守りたい』という思いから行動するための力……」

大井「それが、勇気よ」

漣「……」

大井「勇気は、とても強力な力となるわ」

大井「でも、簡単に手に入るものではない……でも、あなたはそれを手に入れた」

大井「だから、すごいって言ったのよ」

漣「そう、ですか……」

大井「で、も!」ピンッ

漣「あうっ!」バシッ

大井「勇気と無謀は違うのよ!」

大井「今回はどうにかなったけど、正直、私がいなかったら負けてたわ!」

大井「勝算のある戦いをしなさい!」

漣「は、はい……」ヒリヒリ

大井「勇気だけあっても仕方ない、だから……」

大井「……強くなりなさい」

漣「……!」

大井「これは、ヒーローとしても、艦娘としても、どちらにも言えることよ」

大井「その勇気、無駄にしないためにも……」

大井「強くなることね」

漣「……はい!」

大井「じゃ、私はこれで」スタスタ

漣「……ありがとうございました!」

漣(……もっと、強くなりたい……)

漣(仲間を守るため、勇気を持って戦うため!)

漣「よーし!」

漣「ショキカンジャー、ピンク、漣!いっくぞー!」


第四話「六人目の戦士!?」 艦

次回予告!

ショキカンジャーのマスコットの電なのです
ま、マスコットって何なのです!?戦隊関係ないのです!え、あるのです?
大井さんは戦隊に入ってくれませんでしたが、敵は容赦なく襲ってくるのです
特に、今回みたいに幹部さんが強いときは……
え?戦隊モノの定番がまだ残ってる?それって何なのです!?


次回、第五話「合体技がほしい!」
次回も、電の本気を見るのです!

スペシャルコーナー『ショキカンジャーって?ああ!』
~大井ホワイトの装備~


漣「はい、今回も始まりました、『ショキカンジャーって?ああ!』のコーナー」

叢雲「早くも三回目ね……」

漣「今回はスペシャルゲストをお呼びしました!早速ご紹介しましょう!」

漣「大井ホワイトこと、大井さんです!」

大井「……なにこれ?」

吹雪「……なんか、ごめんなさい大井さん」

五月雨「えっと……ということは、大井さんの装備とかについての解説?」

漣「まあそういうことです」

大井「そう言われてもねぇ……」

電「だ、ダメなのです?」

大井「いや、ダメってわけじゃないけれど、急に言われても……」

吹雪「そりゃそうですよね……」

叢雲「とりあえず漣、場を持たせるためにあんたの必殺技の解説しなさい」

漣「ああ、あれ?はいはーい」

漣「漣のデッキアローは、ショキブレスのアンカーパーツを取り付けることで矢を操れるようになります」

吹雪「軌道をコントロールできるってこと?」

漣「まあそうだね。半分黄色で半分青みたいな感じ?」

叢雲「は?」

電「それって複数操れるのです?」

漣「うん。今回コウワンさん相手にやったように、複数の矢を操ることができます」

漣「んで、複数の矢で相手を取り囲んで、一気にブスリ……ってできるわけ」

五月雨「なるほどね」

漣「っていう感じの解説をお願いします、大井さん」

大井「……まあ、いいわ」

大井「まず、私の変身アイテムはこれ。ショキフォンよ」パカッ

五月雨「携帯電話型ですか?」

大井「ええ。これで変身や通信ができるわ」

叢雲「……真ん中に大きく『出撃』って書かれたボタンがある……」

大井「これを押すと変身が始まるのよ」

大井「特定のキーを入力することで、変身しなくても武器が取り出せるわ」ピピピッ

大井「こんな風にね」シュンッ

電「この間の戦いで使っていた武器なのです」

吹雪「名前は……トーピードーボム、でしたっけ?」

大井「ええ。魚雷発射管型の装備ね。腕に取り付けることができるわ」

大井「そこから、魚雷型の爆弾を射出することで攻撃するわ」

漣「爆弾には種類がいくつかあるんでしたよね?」

大井「ええ。まず通常の爆発を起こす『パワーボム』」

大井「閃光弾のように、光を放って敵の目をくらます『フラッシュボム』」

大井「とりもちを発射して、相手の動きを封じる『フリーズボム』」

大井「以上の三種類を使い分けて戦うわ」

五月雨「どちらかといえば、サポート向けの武器ですね」

大井「ええ。以前の戦いでも主に仲間のサポートをしていたわ」

叢雲「……ところで、この爆弾って限りはないの?」

大井「え?……そういえば、考えたことなかったわね」

大井「爆弾が切れたことは……今までなかったと思うわ」

吹雪「……どうなってるんですか?」

漣「漣の矢みたく、エネルギーを射出してるとか?」

電「でももっと物質的な感じがするのです」

五月雨「……じゃあ、どこから補充されてるの?」

六人「……」

吹雪「気になるけど……」

五月雨「……なんか、触れちゃいけない部分な気がする……」

大井「……まあ、あれよ」

大井「特撮では、『それどこから出したの?』っていうの多いでしょ」

大井「そういうアレだと思えば……」

叢雲「いや、何の解決にもなってないから……」


とりあえず、気にしないことにした六人だった

今回はここまで。続きは……いつだろう
更新が大幅に遅れてしまって申し訳ないです。その割には改変部分ほとんどなかったですが……

第五話「合体技がほしい!」


ショキカンジャー本拠地


吹雪「はい、それでは第五回ショキカンジャー会議を始めます」

ピロピロピロピロピロピロピロピロ ゴーウィーゴーウィ

吹雪「……」

漣「あ、すみませぇん……」

電「今日は何を話し合うのです?」

吹雪「漣ちゃんが提案があるって言ってたけど……」

漣「あー、はいはい。ございますよ」

漣「ほら、この間のコウワンさんみたいな人がまた来たら嫌じゃん?」

漣「なので、さらなる強化をしたいと考えていたのですが……」

漣「ここは戦隊モノらしく、合体技をしたいと思いまして」

電「合体技、ですか」

漣「定番の一つだよ。トドメに使うやつ」

五月雨「具体的にどんなの?」

漣「それを今から話し合いたいと思いまして」

吹雪「合体技かぁ……」

叢雲「どんなのがあるの?」

漣「いろいろなパターンがあるけど、大体こんな感じ」


1.爆弾をパスしあって敵にぶち込む

2.エネルギーの塊をぶち込む

3.連携、一斉攻撃をぶち込む

4.必殺バズーカをぶち込む


漣「他にもあるけど、とりあえずこれ」

吹雪「この爆弾をパスしあうってのは?」

漣「ゴレンジャーが元祖なんだけどさ」

漣「爆弾、もしくはボールをパスしあって、最後に誰かが敵に向かって蹴り込んで爆発させる技です」

叢雲「ああ、何か見たことあるわそれ。パロディで」

漣「なかなか面白い技だと思いますヨ」

五月雨「……でも、なんでパスしあうの?」

漣「えっ」

電「一人が爆弾を投げ込めばいいのでは?」

漣「え、えっと、それはメンバー全員のパワーを集めてですね……」

叢雲「なーんか曖昧ね……」

吹雪「とりあえず、次考えようか」

五月雨「エネルギーの塊を……って何?」

漣「これは、全員が光の塊みたいなのになって相手に攻撃、という技です」

吹雪「何それ怖い」

漣「ダイナマンのスーパーダイナマイトがこんな感じかな」

電「そ、それ大丈夫なのですか?」

漣「正直わかんない。多分明石さんたちに頼めばうまいことできるだろうけど……」

叢雲「でも調整に時間かかりそうね」

漣「まあ謎技術がどこまで通用するか、というのが問題ですな」

五月雨「それよりは他のを考えたほうが良いんじゃない?」

漣「そうだね。とりあえず保留」

電「次の、連携、一斉攻撃というのは……」

五月雨「この間やらなかった?」

漣「いやー、それとは違うんだよ」

漣「もっとこう……凄まじいコンビネーションとアグレッシブな攻撃で……」

吹雪「よくわからないよ……」

漣「例を挙げると、ハリケンの影の舞とか」

叢雲「ふーん……なかなか練習が必要そうね」

漣「そうだね。さっきのボールとかこれは練習要るかも」


吹雪「そして、必殺バズーカ……」

五月雨「これは何となくわかる気がする」

電「全員でバズーカを撃つんですよね?」

漣「そうそう。武器を組み合わせるか、別で用意するかは考えないといけないけど」

叢雲「これは別に問題ないんじゃない?」

吹雪「そうだね。強そうだし、いいと思うよ」

電「……叢雲さんの案だと、電はこれを撃つことになってたのです」

叢雲「わ、悪かったわよ……」

漣「よし、じゃあ候補、と」

吹雪「どうする?今のところバズーカが一番よさそうだけど」

電「戦隊と言えばこれのイメージが強いので、これでいいと思うのです」

漣「バズーカはロマンだしな!」

五月雨「じゃあバズーカの方向で……とりあえず、夕張さんと明石さんに相談しに行こうか」

叢雲「そうね……でも必殺バズーカなんて簡単にできるのかしら?」

漣「これまでの謎技術をお忘れで?」

叢雲「……そうね」

工廠


夕張「待ってたぜェ!この瞬間をよォ!!」

明石「必殺バズーカ……ククク、腕が鳴るわ!」

五人「……」

吹雪「えっと……できるんですか?」

夕張「ふふふ、私たちを誰だと思ってるの?」

叢雲「変人」

明石「グハァッ!」

漣「おーっと!ここで叢雲選手の強烈な一撃が決まったぁー!」

明石「ひ、否定できない……」

叢雲「しなさいよ」

五月雨「じゃあ、今回もお願いしていいんですね?」

夕張「もちろんよ。じゃあ、それ用に改造するからみんなのショキブレス貸してー」

電「はいなのです」スッ

夕張「今回も三日くらいかかると思うから。期待して待っててねー」

漣「はーい、お願いしまーす」

吹雪「どうする気なんだろうね、バズーカ……」

五月雨「大丈夫だとは思うけど、なんか、ちょっと不安……」

漣「まあ大丈夫っしょ。それより、これからどうしようか?」

電「また、異常現象を調査しますか?」

叢雲「そうね、まだ半分くらいしか解決できてないし」

電「えっと……確か」


・工具がなくなる(解決!)

・屋根裏や床下から変な音

・地響きが聞こえる

・資材がなくなる(解決!)

吹雪「さて、天井裏に入れるところへ来たわけだけど」

吹雪「……誰が入る?」

五人「……」

叢雲「わ、私は嫌よ!服が汚れるわ!」

五月雨「私も、虫とかいたら嫌だし……」

電「電も、虫さんや鼠さんはちょっと……苦手なのです」

漣「よし、ここは吹雪ちゃんが行くしかない!」ポンッ

吹雪「ええ!?何で私が!私だって嫌だよ!」

漣「漣も嫌だよ。変なのがいたら嫌だし」

叢雲「どうやら、全員行きたくないようね……」

五月雨「どうする?」

吹雪「どうするって……」

電「じゃんけんで決めますか?」

漣「ああ……限定じゃんけんで……!」

吹雪「何で!?」

屋根裏


ノソノソ

吹雪(……結局じゃんけんで負けちゃった……)ノソノソ

吹雪(思ったよりは汚れてないけど、立てないから動きづらい……)

吹雪(早く調査終わらせたいなぁ……)

吹雪(……音がしたらいいんだけどな)

吹雪(音の調査に来たんだもん。あの音がすれば……)

吹雪(確か、羽音みたいな……)



ブゥゥゥゥゥゥン



吹雪(!!)

吹雪(あっちの方からだ!)ノソノソ

吹雪(……生き物かもしれない。音を立てず、ゆっくり近づいて……)


ブゥゥゥゥゥゥン


吹雪(……このあたりかな?)

吹雪(……!)


音のする方を見ると、深海棲艦の艦載機そっくりな物体が浮かんでいた!

吹雪(!?か、艦載機!?深海棲艦の!?何でこんなところに!?)

吹雪(大きさは小さい……手のひらサイズかな)

吹雪(も、もう少し近くで……)


ギシッ


艦載機?「!!」ピューン

吹雪「ああっ!?」

吹雪「……行っちゃった」

吹雪「……とりあえず、戻ろうかな」

漣「おかえりー、どうだった?」

吹雪「それが……かくかくしかじかで」

叢雲「深海棲艦の艦載機、ねぇ……」

電「今までのことから考えると、やっぱりディープマリンがかかわっているのでしょうか……」

五月雨「その可能性は大きいね。いろいろなものが深海棲艦にそっくりだから」

漣「どうする?床下も調べる?」

吹雪「うーん……いや、やめておこう」

五月雨「どうして?」

吹雪「多分、床下にも同じものがあると思うんだよね」

吹雪「あの艦載機……誰かが操ってる感じだった」

吹雪「私に見つかったことで警戒してるかもしれない。尻尾をつかむなら、やっぱり……」

叢雲「油断したところを一気に、でしょ?」

吹雪「うん、そのほうが良いと思って……」

電「確かにその通りなのです。ショキブレスが戻ってくるまで待ったほうが良いのです」

五月雨「そうだね……じゃあ、調査はひとまずここまでにしようか」

漣「じゃあ戻って大富豪でもしようか」

叢雲「ダメよ。あれローカルルールで差が激しいから」

電「え、そういう問題なのです?」

三日後  工廠


五月雨「こんにちはー」

夕張「おー、みんな。できてるよー」

吹雪「本当ですか?」

明石「はい、これ。返すね」スッ

電「どんな感じになったのです?」

夕張「実際に出して説明するから、外に行こうか」

夕張「まず、バズーカを武器の組み立て式にしたんだけどさ」

夕張「それぞれの武器のどこかに、ボタンがあるでしょ?」

漣「あ、本当だ」

夕張「それを押して、順番に空中に放り投げれば出来上がるわ」

叢雲「え!?どういう原理で!?」

明石「あまり深く考えたらだめよ」

夕張「投げる順番は、電ちゃん、漣ちゃん、叢雲ちゃん、五月雨ちゃん、吹雪ちゃんの順番ね」

夕張「じゃあ実際にやってみようか。スイッチ押してー」

カチッ

電「い、電からですよね?」

夕張「そうそう。やっちゃってー」

電「え、えいっ!」ヒュンッ

漣「とうっ」ヒュンッ

叢雲「それっ」ヒュンッ

五月雨「たぁっ」ヒュンッ

吹雪「えいっ」ヒュンッ


ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!!

五人が投げた武器が空中で合体し、バズーカとなった!


夕張「……はい、完成!これがショキカンジャーの必殺バズーカ、『デストロイキャノン』よ!」

五月雨「え!?何がどうなって!?」

明石「あまり深く考えたらだめよ」

夕張「じゃあ、撃ち方を説明するから、海上に出ようか」

一時間後


夕張「うん。いい感じいい感じ」

明石「あとは、実戦で撃つだけだね」

五人「……」

夕張「ん?どうしたの、みんな?」

吹雪「……すごく、疲れました……」

明石「え?」

夕張「……あ!そうだった!」

夕張「これ、発射するごとに体力がゴリゴリ奪われるんだった!」

叢雲「は、早く言いなさいよ……」

明石「あー、結構撃っちゃったからねぇ」

夕張「まあ、これだけ使えるようになったから大丈夫。問題ないよ」

電「そ、そうですか……」

明石「じゃあ私たちは戻るから。お疲れー」ザァァァ

五人「……」

吹雪「……とりあえず、戻ろうか」

五月雨「そうだね……」

ショキカンジャー本拠地


漣「体力の限界……千代の富士……」

叢雲「何言ってるのよあんた」

吹雪「これはもう今日は無理そうだね……」

電「調査は、明日にするのです……」

五月雨「それがいいよ……」

漣「じゃあ今日は人生ゲームでもしましょうか」

吹雪「あ、じゃあ私銀行やるね」

叢雲「ふふっ、今日もぶっちぎりでゴールしてやるわ!」

電「早くゴールしても負けるときは負けるのです」

五月雨「実際叢雲ちゃんこの間負けてたし」

叢雲「う、うるさいわね!職業がずっとフリーターだったのがいけないのよ!」

ブゥゥゥゥゥゥン


電「……?」

電(……あの音なのです)

漣「次、電ちゃんの番だよー」

電「あ、はいなのです」

その夜


電(……忘れ物しちゃったのです)

電(夜風が気持ちいいので、散歩にちょうど良かったかもしれません)

電(確か、このあたりに持ってきて……)


ブゥゥゥゥゥゥン……


電「……!」

電(この音は……)

電(あっちの方から……)


ブゥゥゥゥゥゥン……


電「!!」

電(敵艦載機が飛んでる……?いや、あれがもしかして、吹雪さんが言ってた……)


ブゥゥゥゥゥゥン


電「……飛んで行っちゃったのです」

電「一体、誰が、何の目的であんなものを……?」

翌日


吹雪「このあたり?電ちゃんが昨日見たっていうのは」

電「はい。ここなのです」

五月雨「どっちの方に飛んで行ったの?」

電「あっちの方なのです」

漣「あれ?あっちの方って……」

吹雪「うん……前、コウワンやセンスイと戦った場所の方向……」

叢雲「これで、ディープマリンが関わっている可能性が高くなったわね」

五月雨「どうする?行ってみる?」

漣「いやあ、その艦載機っぽいのをまた見つけて、追うのがいいんじゃないかな」

電「でも、結構速かったので見失うかもしれません」

五人「う~ん」

五月雨「……ここは専門家に頼んでみよう」

吹雪「専門家?」

五月雨「空母の誰かに頼んで、偵察してもらおう」

叢雲「なるほど。艦載機には艦載機を、ってことね」

五月雨「うん。名付けて『タクシー!前の車を追ってくれ!作戦』」

漣「え、何それ」

吹雪「何そのよくわからない作戦名」

叢雲「やっぱり五月雨はちょっとずれてるわ……」

電「ボケたのです?」

五月雨「ち、違うよ!ほら、早く誰かに頼みに行こう!」

吹雪「というわけで、赤城さんお願いできますか?」

赤城「なるほど。いいですよ」

電「あ、ありがとうございます!」

赤城「ボーキのお礼もあるので!」

叢雲「……そういえば、そんなこともあったわね」

五月雨「それではお願いします」

漣「タクシー!前の車を追ってくれ!」

五月雨「……」

漣「あ、ごめんなさい許してください」

赤城「しかし、まずは見つけないと追えませんよ」

吹雪「そういえばそうですね……」

叢雲「屋根裏に飛ばすことは?」

赤城「暗いので無理でしょうね……」

電「だったら、飛び出してくるのを待つしかないのでしょうか?」

赤城「いえ……それは難しいと思いますよ」

五月雨「どうしてですか?」

赤城「そのようなものが昼間に飛び立っていたとすれば、今までに誰かが見ているはずです」

赤城「しかし、そのような報告はありません」

赤城「電さんがそれを見たのは、夜でしたね?」

電「はい、そうなのです」

赤城「ということは、昼には屋根裏や床下に潜伏し、夜に飛び立っている可能性が高いです」

叢雲「なるほど……」

赤城「そして、夜には私の艦載機も飛ばせません」

漣「うーん、困りましたな」

電「……あの、こういうのはどうでしょう?」

吹雪「ん?」

電「赤城さん。艦載機に何か乗せることはできますか?」

赤城「……はい。あまり重くないものなら」

電「偵察機に軽いライトを取り付ければ、暗くても大丈夫なのではないでしょうか?」

叢雲「え、そんなのありなの」

赤城「……そうですね、それならできると思います」

漣「大丈夫なんですか?」

赤城「今回は艦隊戦ではないので、何かを乗せてスピードを落としても問題ないはずです。追うくらいのスピードは出ると思いますし」

赤城「屋根裏や床下なら少しライトで照らすだけで十分なはずなので、いいと思いますよ」

電「では、お願いするのです」

赤城「はい。ところで、屋根裏と床下どちらに飛ばしましょう?」

五月雨「そうですね……確認が取れてる屋根裏に飛ばしてもらう?」

吹雪「いや、床下の状況も確認がてら、床下に飛ばしてもらおうよ」

叢雲「そうね……一応床下のほうもちゃんと確認しておきたいものね」

赤城「じゃあ、床下に飛ばしますね。少し待っててください」

赤城「……では、準備ができたので……飛ばしてみます」

赤城「では、お願いしますね」

妖精「……」ビシッ


ブゥゥゥゥゥゥン


赤城「……うまく床下に入れましたね」

漣「どうです?何かありました?」

赤城「いえ……まだ、何も発見はないです……」

ブゥゥゥゥゥゥン


赤城「……?これは……」

叢雲「どうしたの?」

赤城「穴……穴がありますね」

漣「穴?」

赤城「はい。少し大きいですね……床下の、更に下……地面へとつながっている穴です」

五月雨「地面、ですか……」

赤城「自然にできた穴とは思えませんね。不自然です」

電「穴、ですか……吹雪さんが屋根裏に上がったときはあったのです?」

吹雪「うーん、少なくとも見てはいないよ。でも、私も屋根裏全部を見たわけじゃないから……」

赤城「私たちが追っているものと関係があるなら、屋根裏にもあるかもしれませんね」

赤城「どうしましょう?入ってみましょうか?」

叢雲「でも、肝心な奴らがまだ見つかってないんでしょう?」

漣「そこってそいつらの出入り口なんじゃね?だったらその辺で待ってたらそのうち来るんじゃないかな」

赤城「わかりました。少し、張ってみますね」

赤城「……あ、何か来ましたね」

赤城「なるほど、敵艦載機にそっくり……あ!」

漣「どうしたんですか?」

赤城「気づかれました!穴に入って逃げました!」

叢雲「すぐに追って!」

赤城「大丈夫です、もう追ってます!」

吹雪「……ライト点けてたから気づかれたんだよね?」

五月雨「しーっ」

赤城「……地上……しかも、鎮守府の外に出ました。そのまま空へと飛んで行ってますね……」

赤城「予想通りの方角です。速いですが、何とか追えてます」

赤城「このまま……あれ?」

電「どうしたのです?」

赤城「高度を落として……地面の方に降りていきましたね。森の中に……」

赤城「……誰か、いる……?」

叢雲「誰か……?」

五月雨「もしかして、ディープマリン?」

吹雪「その可能性は高いね……」

電「直接行ってみるのです」

漣「赤城さん。場所、わかりますか?」

赤城「待っててください。艦載機を戻して、そのまま案内します」

ブゥゥゥゥゥゥン

五人は、戻ってきた艦載機に案内され、謎の人物がいる森へと向かっていた


吹雪「この間、コウワンと戦った場所の近くだね」

叢雲「やっぱり、このあたりに何かあるのかしら」

艦載機「……」ピタッ

五月雨「……どうやら、この近くにいるみたいだね」

叢雲「じゃあここまでね」

電「ありがとうなのです」


ブゥゥゥゥゥゥン……

ブゥゥゥゥゥゥン……

電「……近くで、あの音がするのです」

吹雪「!あそこ……誰かいるね」


北方棲姫?「……」


電「……今度は、北方棲姫そっくりな人がいるのです」

漣(ちっちゃい……)

叢雲「戦闘員は周りにいないけど……」

五月雨「敵艦載機っぽいのがいっぱい飛んでるね」


ブゥゥゥゥゥゥン……

吹雪「……どうしようか?」

叢雲「まあ、あいつもディープマリンでしょ。とりあえず奇襲よ奇襲」

五月雨「乱暴だなぁ……」

電「では、変身を……」



北方棲姫?「……誰だ」

五人「!!」

北方棲姫?「そこにいるのはわかってる。出てこい」

五月雨「ど、どうしよう?」

叢雲「どうするって……」

吹雪「うーん……仕方ない、出ていこう」


ガサガサッ


北方棲姫?「……何だ、お前ら」

漣「いやあ、ちょっとお花を摘みにお散歩をしていたら……」

北方棲姫?「嘘つけ」

電「あ、あなたこそ何をしているのです?」

北方棲姫?「……なんだっていいだろう」

北方棲姫?「用がないならさっさとカエレ。わかったか」

五月雨「……用なら、あるよ」

叢雲「あんた、ディープマリンでしょ?」

北方棲姫?「!?」

吹雪「何か悪いことをしてるなら……私たちは、それを止めないといけないからね」

北方棲姫?「……何者か知らないけど、邪魔をする気なら……」

北方棲姫?「……力ずくで、帰ってもらう」スクッ

電「っ!戦う気なのです……!」

漣「はー、結局こうなるのね……」

五月雨「まあ仕方ないよ」

吹雪「よし……みんな、いくよ!」

五人「抜錨!!」

カチッ

シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン…………

五人の体に、スーツが装着されていく!


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエロー!」

五月雨「五月雨ブルー!」


吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァン!!!

北方棲姫?「……!お前らが、ショキカンジャー……!」

北方棲姫?「前に、お姉ちゃんをいじめたやつら……!」

五月雨「え、お姉ちゃん?」

電「コウワンさんの妹さんなのです?」

北方棲姫?「よくもお姉ちゃんを……!」

北方棲姫?「許さん!カエレ!」

叢雲「だから、帰んないって言ってるでしょ!」

北方棲姫?「お前ら、かかれーっ!」


ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!

敵艦載機のようなものが、一斉に襲い掛かってきた!


漣「うわ、なんか来た!」

吹雪「いくよ!みんな!」

ヒュンヒュンッ!


叢雲「くそっ!すばしっこ……」


ドカッ!

敵艦載機?がぶつかってきた!


叢雲「いたぁっ!?」

叢雲「このっ!」ブンッ


シュンッ!


叢雲「くっ……当たらない!」

吹雪「的が小さいし、動きも速いから……」ブンッ

五月雨「このままじゃ攻撃できないよ!」ブンッ

ドカッ!


電「くぅっ……!」

吹雪「電ちゃん!」


ドカッ!


吹雪「痛っ!?」

電「ふ、吹雪さん!」

電「皆さん、自分の身をとにかく守るのです!」

北方棲姫?「フッフッフ……手も足も出ないだろう」

北方棲姫?「このままボコボコにしてやる!」

ヒュンヒュンッ!


吹雪「くっ……このぉ!」


ボォォォォォォォォォォォォォ!!!

吹雪は敵艦載機?に向かって、剣から炎を放出した!


敵艦載機?「ギャアアアアアアアア!!!」

吹雪「え、これ声出るの!?」

漣「断末魔みたいだね」

叢雲「何かいやね……」

敵艦載機?「ヒー、アツイー!」メラメラ

北方棲姫?「グヌヌ……よくもこいつらを!」

吹雪「と、とにかく効いたみたい……」

吹雪「みんな!普通に武器を振り回しただけじゃだめだよ!特殊能力を使って……!」

五月雨「わかった!」


ザパァァァァァァァァァァァァァァ!!!


敵艦載機?「ヒーッ!ヤメテー!」

五月雨「……なんか、やだね」

叢雲「何でかしらね」

ヒュンヒュンッ!

漣「あー、もうあったま来た!」カチャッ


漣は、アンカーパーツをデッキアローに取り付けた!


漣「くらえ、ファイナルベント!」シュバババババッ!!


大量の矢をコントロールし、次々と敵艦載機?に命中させていく!

バシュバシュバシュバシュゥッ!!!


敵艦載機?「ギャアアアアアアアア!!!」

漣「見たか、この圧倒的な力を!カラテにカラテをかけて100倍だ!わかるか?この算数が。エエッ?」

北方棲姫?「くっこのままだと……」

北方棲姫?「奥の手だ、お前ら!集まって来い!」

敵艦載機?たち「ラジャー!」ワラワラ


敵艦載機?たちが北方棲姫?の周りに集まってきた!


電「な、何をする気なのです!?」

叢雲「なんか、ヤバい感じね……」

北方棲姫?「フッフッフ、お姉ちゃんとこいつらをいじめたことを、後悔させてやる!」

北方棲姫?「お前ら!準備を……」


ポタ ポタ……

吹雪「……ん?」


ザァァァァァァァァァァァァァァァ


五月雨「……雨?」

吹雪「急に降ってきたね……」


北方棲姫?「雨が何だ!そんなの関係な……」


ザァァァァァァァァァァァァァァ 

ピカッ! ゴロゴロゴロ……


北方棲姫?「……っ!」

叢雲「雷まで・・・」

電「これは、早めにどうにかした方がよさそうなのです」


ピカッ! ゴロゴロゴロ……


漣「うわっ、今の結構近かったなぁ」

北方棲姫?「……」ブルブル

五月雨「……あれ?何か様子が……」

北方棲姫?「……か……」

吹雪「か?」




北方棲姫?「カミナリ怖いいいいいいいいい!!」ピューン

敵艦載機?たち「アッ、マッテー!」ピューン

五人「……」

叢雲「……どうする?」

漣「どっか行っちゃったし、もう帰る?」

吹雪「うーん……」

電「一応、探してみませんか?」

五月雨「そうだね。ここまで来たんだし……」

吹雪「よし。別れて探してみよう」

吹雪「見つかったらすぐに通信を入れてね」

四人「了解」

ガサガサ


電「えーっと、どこに行ったのでしょうか……」キョロキョロ

電「……」

電「あの子、今までの幹部さんと少し違ったのです」

電「……どうして、そう思ったんでしょうか……?」


ピカッ! ゴロゴロゴロ……


電「!!」ビクッ

電「はわわ、ビックリしたので……」


「ヒィッ!!」

電「!」

電(あっちの方から……声が?)

電(……洞窟があるのです)


北方棲姫?「うう、カミナリ怖い……」ブルブル


電(……中にいるのです)

電(雷が怖くて、避難している、といったところでしょうか)

電(そういえば、周りにいた艦載機さんたちもいないのです)

電(途中ではぐれたのでしょうか……?)

電(そうだ、通信を……)

北方棲姫?「……」ブルブル

電「……」

電「……大丈夫ですか?」

北方棲姫?「!!」

電「あ、安心するのです!襲う気はないのです!」

北方棲姫?「う、嘘つけ!本当は周りに仲間がいるんだろう!袋叩きにするんだろう!」

電「違うのです!そんなことしないのです!」

北方棲姫?「まあどっちでもいい!外に出て、お前をボコボコに……」


ピカッ! ゴロゴロゴロ……


北方棲姫?「ヒィッ!」ビクッ

電「外はまだ危ないのです。ここにいたほうが良いのです」

北方棲姫?「で、でも……」

電「大丈夫なのです。安心していいのです」

北方棲姫?「……」

電「……となり、座っていいですか?」

北方棲姫?「……好きにしろ」

電「では、失礼しますね」スッ

電「……お名前は、何ていうんですか?」

ホッポ「……ホッポ」

電「ホッポちゃんですか。私は電なのです」

ホッポ「イナズマ……カミナリ!?」ザザッ

電「ち、違うのです!電は怖くないのです!」

ホッポ「カミナリ、怖い……」ブルブル

電(……どうしましょう)

電「さっきまで周りにいた方たちはどうしたのですか?」

ホッポ「……途中ではぐれた」

電「そうですか……」

電「あの方たちのお名前は?」

ホッポ「……私は、キーって呼んでる」

電(艦載機の機からとってるんでしょうか……)

ホッポ「……何故、私を襲わない?」

電「え?」

ホッポ「私は、お姉ちゃんみたいに一人じゃ戦えない……」

ホッポ「キーたちの力を借りて、ああして戦える」

ホッポ「今、キーたちはいない……私を襲うなら今のうちだろ?」

電「……そうですね」

電「でも、電はあなたと戦いたくないのです」

ホッポ「……え?」

電「できることなら、戦いたくはないのです……」

ホッポ「……」

キーA「アッ、ボス!ブジデシタカ!」

ホッポ「ん、キーたち。来てくれたか」

キーB「アッ、テメエ!ボスニナニカシテネエダロウナ!」

電「え!?いや、その……」

キーC「イマカラボコボコニシテ……」

ホッポ「おい、やめろ」

キーC「!!ス、スミマセン」

ホッポ「……雨も上がったな」

ホッポ「……イナズマ」

電「!」

ホッポ「今日の所は、見逃してやる」

ホッポ「今日はもうカエレ」

電「は、はい……」

ホッポ「じゃあな」


ザッ ザッ


電「……」

ショキカンジャー本拠地


吹雪「ふぅ……見つからなかったね」

叢雲「まあ、恐らくあのあたりにいるから、また今度行きましょう」

漣「くぅ、あのタコヤキども……許せる!」

五月雨「許してどうするの」

電「……」

吹雪「電ちゃん?」

電「……え!?な、なんですか!?」

叢雲「どうしたのよ。様子がおかしいわよ」

五月雨「体調でも悪い?」

電「い、いえ、何でもないのです」

漣「どうしたの?足の小指箪笥の角にぶつけた?」

電「ぶつけてないのです……」

五月雨「とにかく、次に行く前に対策を練っておこうよ」

吹雪「そうだね。あの奥の手も気になるし……」

叢雲「何とか隙を作ってバズーカを撃ちこめば勝てるんじゃないかしら」

漣「とりあえず今日は終わりにしよーよ」

吹雪「うん。じゃあ、また明日ね」

電「……」

翌日

電は一人で、昨日ホッポと戦った場所へ来ていた


電「えっと……確かこのあたりだったのです」


ブゥゥゥゥゥゥン……


電「……!」

昨日と同じように、ホッポはキーたちと一緒にいた

電「やっぱり、ここにいたのです」ガサガサッ

キーA「……アッ!オマエキノウノ!」

キーB「テメエナニシニキタ!」

電「え、えっと、その……」

ホッポ「……やめろ、お前ら」

キーB「エ、デモ……」

ホッポ「……お前ら全員、どっか行ってろ」

キーC「ソ、ソンナ!ボス!」

ホッポ「いいから、行ってこい」

キーC「……ワカリマシタ」


ブゥゥゥゥゥゥン……

ホッポ「……何しに来た?」

電「……えっと、その……」

電「……なんとなく、来てみたのです」

ホッポ「はぁ?」

電「い、いや、その!何というか……」

ホッポ「……」

ホッポ「……戦いに来たのか?」

電「い、いいえ!違うのです!」

ホッポ「……そうか」

ホッポ「まあいい。座れ」

電「はい……」スッ

ホッポ「……お前は、変わってるな」

電「え?」

ホッポ「お前、私のことを敵だってわかってるだろ?」

電「それはそうですけど……」

ホッポ「なのに、こうして有利な状況にあるにもかかわらず、襲ってこない」

ホッポ「敵を倒そうとしない。だから変わってるって言ったんだ」

電「ははは、そうかもしれないのです」

ホッポ「……」

電「いつも、ここにいるのですか?」

ホッポ「ん、いつもいるわけじゃない」

電「そうなのですか?」

ホッポ「ここには、仕事で来る」

電「仕事、ですか」

ホッポ「お前ら……キーを追ってここに来たんだろ?」

電「!」

ホッポ「その時も仕事中だった」

ホッポ「……キーを追ってきたなら、仕事が何か、わかるだろ?」

電「……半分わかって、半分はわかりません」

ホッポ「……どういうことだ」

電「あなたの仕事がキーさんたちを鎮守府へ飛ばすこと……というのはわかります」

電「しかし、その目的がわかりません」

ホッポ「そうだろう。昨日も聞いてきたからな」

電「……目的は、何ですか?」

ホッポ「教えるわけないだろ」

電「はは、そうですよね」

電「では、なぜここまで来るのですか?」

ホッポ「キーたちは、あまり遠くまで飛べないんだ」

電「そうなのですか?」

ホッポ「私からあまり離れられない。遠くに行くと力が弱くなる」

ホッポ「その代わり、近いとすごい力になる」

ホッポ「ここは力と距離を考えると、ちょうどいい場所なんだ」

電「へぇ……そうだったのですね」

ホッポ「さて、私は教えたぞ」

電「え?」

ホッポ「次は、お前たちのことについて教えろ」

電「……」

ホッポ「人に聞いておいて、自分は答えない気か?」

電「……いいえ、そうではありません」

電「電も、重要なことは教えられませんが、ある程度お答えするのです」

ホッポ「……」

電「……?どうしたのです?」

ホッポ「……やっぱり変わってるな」

電「え?」

ホッポ「いや、何でもない」

ホッポ「じゃあ、お前たちの武器から出ていた炎や水……あれは何だ?」

電「あれは電たちの武器の特殊能力なのです」

電「それぞれの属性があって、それを武器にまとわせたり、放出したりできます」

ホッポ「ふーん、お前は何なんだ?」

電「雷なのです」

ホッポ「!!??」

電「だ、大丈夫ですよ!襲いませんから!」

ホッポ「うぅ、カミナリ……」

電「ホッポちゃんは、雷が苦手なのですね」

ホッポ「……笑いたかったら笑え」

電「笑いませんよ。誰だって、苦手なものはあるのです」

ホッポ「そ、そうか……?」

電「はい。電だって茄子が苦手なのです」

ホッポ「……そうか」

電「では、好きなものはありますか?」

ホッポ「好きなもの?そうだな……」

ホッポ「……アップルパイが好きだ」

電「へぇ、アップルパイですか」

電「アップルパイはとっても美味しいのです」

ホッポ「できたても美味しいが、冷めても美味しい」

ホッポ「アップルパイは奥が深い食べ物だ」

電「ははは、そうですか」

電「そういえば、キーさんたちはホッポちゃんのお友達なのですか?」

ホッポ「友達?いや……違う」

ホッポ「どっちかというと……部下」

電「部下、ですか」

ホッポ「うん。私の命令をよく聞く、部下」

ホッポ「一緒にいると楽しいけど、友達ではないと思う」

ホッポ「……私に友達は……いない」

電「……」

電「なら、電がお友達になるのです」

ホッポ「え……?」

電「電とホッポちゃんは、今からお友達なのです」

ホッポ「……お前、本気か……?」

電「はい、電はいつだって本気なのです」

ホッポ「私たちは敵同士……昨日と同じように、戦わなければならないんだぞ?」

電「わかってます……でも」

電「電は、あなたとお友達になりたいのです」

ホッポ「……」

電「……ダメでしょうか?」

ホッポ「……」

ホッポ「……そこまで、言うなら……」

電「!ありがとうなのです!」

ホッポ「じゃ、じゃあ今日はもうカエレ!」

電「はい、お邪魔しました」

ホッポ「……明日も、ここにいる」

電「……わかりました、また来るのです」


鎮守府 ショキカンジャー本拠地前


電(結構長居しちゃいましたね)

電(あまり長い間いないと、怒られちゃうのです)


ガチャッ

電「すみません、遅くな……」


四人「……」ギロッ

電「!!」

電「ど、どうしたのですか……?」

吹雪「電ちゃん……」

五月雨「一体、どこに行ってたの……?」

電「え、えっと……」

叢雲「……あんたがいなかったせいで……」

電(い、電はもしかして……)

電(取り返しのつかないことを……!?)



漣「山手線ゲーム飽きちゃったじゃーん!!」

電「……」

電「……はい?」

吹雪「いや、訓練しながら電ちゃん待ってて、それでも来なかったから山手線ゲームしてたんだけど……」

叢雲「もういいお題が見つからなくてね」

五月雨「別のゲームを模索してたところだよ」

漣「もー、罰ゲームもやりつくしちゃったよー!」

電「そ、そうなんですか、すみません……」

吹雪「まあいいよ。ほら、座って座って」

電「はい……」スッ

電(お、怒られるかと思いました……びっくりしたのです)

吹雪「さーて、じゃあ話してもらおうか」

電「え?」

吹雪「……さっきまで、何をしてたのか……」

電「……!」

五月雨「安心して。別に悪いことしてたと思ってるわけじゃないから」

叢雲「今日、どこかへ向かっているあんたを漣が目撃してね」

叢雲「方角的に、昨日言ったところへ向かってるみたいだったから」

漣「情報を売ってしまいましたぁ……」

電「……そう、ですか」

吹雪「……それで、どうしたの?」

──────────

──────

───

叢雲「ふーん、なるほどね」

電「すみません、敵に情報を渡してしまって……」

五月雨「いや、全然大したことじゃないよ」

吹雪「そうだよ。ていうか、もう見せてるから関係ないし」

漣「でも、友達になるなんてねぇ」

叢雲「そうね。もしかしたら、重要な情報を聞き出せるかもしれないわ」

五月雨「でも、もっと重要なのは……」

吹雪「うん、そうだね」

電「……?」

吹雪「……戦わなくて済むかもしれないってことだよ」

電「……!」

五月雨「私たちだって、できれば戦いたくないよ」

漣「それは電ちゃんも一緒でしょ?」

電「……はい」

叢雲「無用な戦いは、したくないからね」

吹雪「……でもね」

電「?」

吹雪「それがうまくいくかどうか……電ちゃんにかかってるの」

電「……!」

吹雪「……頑張ってね」

電「……はい、わかりました」

漣「よーし!改めて、カタンでもすっかー!」

五月雨「え、ルール知らない」

叢雲「やってるうちに何となくわかるわ」

吹雪「ていうか、何でこんなにボードゲームがあるの?」

電「……」

漣「?電ちゃん、どうしたの?」

電「……ふふ、何でもないのです」


電(……みんな、わかってくれてたのです)

電(きっと、あの子とも仲良くなれるはずです)

電(……戦いたく、ありませんからね)

翌日


ガサガサッ

ホッポ「ん、来たか」

電「来たのです」

キーA「オ、キヤガッタナコノヤロウ」

電「は、はわわ……」

キーB「キノウハワルカッタナ。ホラ、ガムクウカ?」スッ

電「あ、ありがとうございます……」

ホッポ「昨日、お前のことを話したら、わかってくれたみたいだ」

電「そうなのですか。それは良かったのです」

ホッポ「……今日は、こいつらも一緒でいいか?」

電「もちろんです。多い方が楽しいのです」

ホッポ「……友達って、何するんだ?」

電「そうですね……おしゃべりしたり、一緒に遊んだりするのです」

キーC「イツモオレラトシテルコトトカワンナイッスネ」

ホッポ「うるさい!」ドカッ

キーC「イタイッ!」

電「ははは……」

電「いつもキーさんたちと遊んでるのですか?」

ホッポ「……まあ、そうかな」

キーD「イツモシリトリトカシテルゼ!」

電「なるほど・・・では、カルタを持ってきたので、それでもしましょうか」ゴソゴソ

ホッポ「カルタ……?」

電「知りませんか?ルールはですね……」

電「では次読むのです」

電「『前門のタイガー、後門のバッファロー』……」

キーE「アッ、コレダ!」パシッ

ホッポ「ぐっ、しまった!」

電「次行くのです。『急いだヒキャクがカロウシした』……」

キーF「メノマエニアルゼ!」パシッ

ホッポ「くっ……!」

電(……漣さんから借りたカルタなのですが、何かおかしいのです)


ホッポ「ふう、なんとか勝てたぞ……」

キーE「チクショウ、ボスニマケルナンテ……」

電「お見事なのです」

電「……そういえば、コウワンさんはお姉さんなのですよね?」

ホッポ「ん?そうだ」

ホッポ「一緒に遊んでくれたり、料理を作ってくれたりする……いいお姉ちゃんだ」

ホッポ「最近は忙しくてあまり構ってくれないけど……」

電「そうなのですか……」

ホッポ「お前には、姉妹はいるのか?」

電「いますよ。お姉さんが三人いるのです」

ホッポ「三人!そんなにか!」

電「もっと姉妹が多い人もいますよ。19人姉妹とか」

ホッポ「ええ!?」

ホッポ「それは大変だな……」

電「よく部屋割りでもめてるのを見るのです」

ホッポ「お前の姉はどんな奴なんだ?」

電「そうですね……一番上の暁ちゃんは、大人のレディを目指してるけど、子供っぽいとよくからかわれますね」

電「二番目の響ちゃんは、いつもクールで……時々変わった行動をしますね。鍋をかぶったりとか」

電「三番目の雷ちゃんは、しっかり者で面倒見がいいけど、人を甘やかしすぎちゃうお姉さんです」

ホッポ「……個性が強いな」

電「はは、そうですね」

電「……でも、みんな、思いやりがあって、優しくて……」

電「頼りになる……いいお姉ちゃんたちなのです」

ホッポ「……そうか」

ホッポ「この間来た奴らの中に、お前の姉はいるのか?」

電「いいえ、居ませんよ」

電「あの四人は、みんな大事なお友達です」

電「ホッポちゃんと同じ、お友達です」

ホッポ「……友達、か……」

ホッポ「……私には、周りそうなるような存在がいなかった」

電「そうなのですか?」

ホッポ「キーたちは部下、クウボやセンスイたちは……友達というよりは、仕事仲間という感じだから」

ホッポ「それぐらいしか、居ないから……」

電「……」

ホッポ「……今まで、友達なんて必要ないと思ってきたけど……」

電「?」

ホッポ「……友達というのも、悪くないかもな」

電「……!」

ホッポ「……ん、今日はそろそろカエレ」

電「……はい、また、明日」

ホッポ「……うん」

翌日


ホッポ「くっ……これが、ババ抜き……!」

キー「ハッハー!ドウシタンデス?ボス!マダズイブンカードモッテルジャナイデスカー!」

電(……どうやってカード持ってるんでしょうか)

ホッポ「ダマレ!私が本気を出せば、このくらい……!」


ホッポ「ババ抜きでは勝てなかったよ……」

キー「コレガソクオチッテヤツカ……」

電「運が悪かっただけなのです……次は違うゲームをするのです」

ホッポ「くっ……これが、ウノ……!」

キー「ハッハー!ドウシタンデス?ボス!マダズイブンカードモッテルジャナイデスカー!」

電(……デジャヴ)

ホッポ「ダマレ!私が本気を出せば、このくらい……!」


キー「……」

ホッポ「……なんか、ごめん」

電「ドロー4の4連発は仕方ないのです……」

ホッポ「なかなか面白いな……仕事をするのも忘れてしまう」

電「仕事?この間言っていたものですか?」

ホッポ「そうだ。まあ正直、他のメンバーの仕事と比べると、重要ではない……のかな?」

電「そうなのです?」

ホッポ「多分な。詳しいことは知らないが……」

電「……」

ホッポ「よし、次は何のゲームだ?」

電「はい。次はですね……」

翌日


電「こんにちは、なのです」

ホッポ「ん、来たか。とりあえず座れ」

キーG「ボス!コイツ、ナニカモッテマスゼ!」

キーA「バクダンジャネェダロウナ!」

電「ち、違うのです!そんなもの持ってないのです!」

ホッポ「落ち着けお前ら」

電「今日は、おやつがあるのです」

ホッポ「おやつ?」

電「はい、アップルパイなのです」スッ

ホッポ「!?アップルパイ……だと……!」

電「お口に合うかわかりませんが……」

ホッポ「……お前が作ったのか?」

電「はい……頑張ったのです」

ホッポ「……」モグモグ

ホッポ「……うまい」

電「よかったのです!キーさんたちもよかったら……」

キーC「ヒャッハー!イタダクゼー!」

キーE「ウマソウナアポパイダー!」

電「はいはい、落ち着いて食べるのです」

ホッポ「……ありがとう」

電「いえいえ、どういたしまして」

ホッポ「……お前、料理もできたのか」

電「ははは……実は、結構失敗しちゃったのです」

電「その中で、出来がよかったものを……」

ホッポ「……」

ホッポ「どうして、私なんかのためにここまでする?」

電「お友達だから、です」

ホッポ「……そうか」

翌日


電「こんにち……あれ?」

キーA「ヨウ」

電「あれ?ホッポちゃんはいないのですか?キーさんもお一人だけ……」

キーA「イマ、ボスハスコシデカケテル。オレハルスバンダ」

電「出かけてる?それって、お仕事ですか?」

キーA「イヤ、チガウゼ」

キーA「ソノシゴトッテイウノハ、ボスハココカラウゴクヒツヨウハナイカラナ」

電「……キーさんたちが鎮守府へ飛んで行ってるんですよね?」

キーA「ン?ソウダゾ」

電「何やってるのです?」

キーA「アー……ソウダナ」

キーA「カンタンニイウト……トウチョウ」

電「トウチョウ……盗聴ですか?」

キーA「ウン。オマエラノカンタイノジョウキョウトカヲヌスミギキシテ、シラセル」

電「でも、あなたたちディープマリンがそれを知ってもどうしようも……」

キーA「ウン、ソウナンダケド、ソレヲマタドコカニシラセテルミタイナンダ」

電「どこかに……知らせる?」

キーA「ドコカハシランガナ」

電「……そうですか」

ガサガサッ


電「!!」

ホッポ「ん、来てたのか」

電「え、ええ」

電「どこに行ってたのです?」

ホッポ「ん、ちょっとな……」

ホッポ「……イナズマ」

電「はい?」

ホッポ「……これやる」スッ

電「……これは?」

ホッポ「……その辺で拾った石で作った、ペンダント」

ホッポ「昨日のアップルパイの……お返しだ」

電「はわわ……すごく、綺麗な石なのです……」

電「……いいのですか?」

ホッポ「……いらないんなら、いい」

電「いいえ……」

電「ありがとうございます」ニコッ

ホッポ「……こんなものしかやれなくて、ごめん」

電「いいえ。とても……とっても、うれしいのです」

ホッポ「……そうか」

ホッポ「それなら……よかった」

その日の夕刻 ショキカンジャー本拠地


吹雪「じゃあ、ずいぶん仲良くなったんだね」

電「はい!」

五月雨「本当にきれいな石だね……」

漣「これは宝石と騙れば高く売れるかも……」

叢雲「やめなさい」バシッ

漣「いったぁ……冗談だよう!」

電「このまま、戦わないで済むといいのですが……」

吹雪「……だと、いいんだけどね」

五月雨「それにしても、盗聴されてたなんて……」

漣「本当、びっくりだね」

電「艦隊情報なんて、一体誰に渡しているのでしょうか……」

叢雲「わからない?」

電「え?」

吹雪「私たちの情報を得て、得をするのは限られてるよね」

電「……まさか」

叢雲「そう……深海棲艦の可能性が高いわ」

五月雨「やっぱり、関係があるんだろうね……」

漣「ここまで来て全く関係がなかったら拍子抜けだけどね」

電「……」

吹雪「とにかく、目的がわかっただけでも一歩前進。もっと情報を集めないと」

電「そうですね……頑張ります」

翌日


ホッポ「……なあ、イナズマ」

電「はい?」

ホッポ「お前、どうして戦ってるんだ?」

電「え……?」

ホッポ「艦娘としてでも、ショキカンジャーとしてでも……どうしてだ?」

電「……」

電「……どうして、でしょうか」

ホッポ「……」

電「戦う理由……電は、ずっと考えてきました」

電「きっと……多くの人が、考えていることでしょう」

電「でも……ずっと考えても、わかりません」

電「何のために、どうして、戦っているのか……」

ホッポ「……」

電「ただ……」

ホッポ「……?」

電「ただ……一つだけ、わかっていることがあります」

電「……助けたい」

ホッポ「……」

電「戦う理由が、それだけのような気もしますし、それだけじゃない気もします」

電「ただ……それだけは、強く願っています」

ホッポ「……」

ホッポ「……そうか」

ホッポ「イナズマ」

電「はい?」

ホッポ「私と戦え」

電「!?」

電「な、何を言ってるのです!?」

ホッポ「今、確信した。私たちは戦わないといけない」

ホッポ「……何故そう思ったかはわからん」

ホッポ「でも、そう強く思うんだ」

ホッポ「私は……お前と戦わないといけないんだ」

電「でも……!」

ホッポ「私たちが敵同士である以上、いつかは戦わなければならなかったはずだ」

電「……っ」

ホッポ「……明日、他の四人を連れてここへ来い。そこで決着をつけよう」

ホッポ「それで……全て終わりだ」

電「……」

電「せっかく……お友達になれたのに……」

ホッポ「……」

ショキカンジャー本拠地


吹雪「……そっか」

電「……すみません」

叢雲「仕方ないわよ。世の中そんなに甘くないってことね」

漣「うん。電ちゃんはよくやったよくやった」ヨーシヨシヨシ

五月雨「そうそう。頑張ったよ」

電「……」

吹雪「じゃあ、明日行くとして……」

吹雪「電ちゃん、どうする?」

電「……?どうする、とは……?」

吹雪「……つらいなら、来なくてもいいんだよ」

電「……!」

五月雨「きっと……今回、戦って一番つらいのは電ちゃんだよ」

叢雲「無理はしないほうが良いわ。今回はパスするのも手よ」

漣「戦闘は気にしないで。漣たちががんばるから!」

電「……」

吹雪「……どうする?」

電「……少し……考えさせてください」

廊下


電(どうして……)

電(……どうして、こんなことに……?)

電(電はただ……)

電(……)


「電?」

電「!」

電「……司令官さん」

提督「……どうかしたのか?」

執務室


提督「なるほど……」

電「どうしたら、いいのでしょうか……?」

提督「ふむ……」

提督「……その前に、一つ聞きたい」

電「はい……?」

提督「お前は、何を助けたいんだ?」

電「それは……」

提督「もちろん味方を助けたいんだろうが……」

提督「お前の場合、敵も、じゃないか?」

電「……!」

提督「電。お前、着任したときから言ってたよな」

提督「『なるべくなら、戦いたくはない』」

提督「『戦争には勝ちたいけど、命は助けたい』って」

提督「お前は、敵も味方も……全てを助けたいんだろう?」

電「……」

提督「そう思うからお前は……戦わないためにも、そのホッポと友達になろうと思った」

提督「……違うか?」

電「……」

提督「だが、ホッポの言う通り。敵同士である以上、いつかは戦わなければならない」

提督「……そのうえで、だ」

提督「電。お前は……戦いたいのか?」

電「……」

電「……電は」

電「電は……戦いたく、ないです」

電「せっかくできた、大切なお友達を……傷つけたくないのです」

提督「……そうか」

提督「だったら、吹雪たちが言う通り、お前はこの戦いをパスするか?」

提督「そんな状態で戦っても……つらいだけだろうしな」

電「でもそれだと……!」

電「……それだと、何も……助けられないのです」

提督「……」

電「司令官さん……電は、わかっているのです」

電「戦いから逃げたら、敵どころか、味方も助けられないって……」

提督「でも戦いたくない、か……」

電「……だから、迷っているのです」

提督「だよな……」

提督「……優しいな、お前は」

電「え……?」

提督「いや……」

提督「……電。今回の戦いから逃げれば、お前はきっと、ずっと戦いから逃げ続けることになるだろう」

電「……」

提督「しっかり向き合うんだ。戦うことと……そして、お前の友達と」

電「……はい」

提督「……一つ、言っておこう」

提督「戦うことでしか、わからないこともあるんだ」

電「そう……なのですか?」

提督「ああ。だから……戦いの中で、それをつかんで来い。いいな」

電「……はい」

翌日

五人はホッポのもとへと向かっていた


吹雪「……電ちゃん、本当に大丈夫?」

電「……はい、大丈夫なのです」

叢雲「無理はしないでね」

五月雨「……そろそろだね」

漣「うん……このあたりにいるはず」

ガサガサッ


ホッポ「……来たか」

電「……」

ホッポ「イナズマから聞いているだろう。私と戦え」

吹雪「……わかった」

吹雪「みんな、行くよ!」


五人「抜錨!!」

ホッポ「行け!お前たち!」ヒュンヒュンッ

キーたち「ヒャッハーー!!」

吹雪「はぁっ!」ボォォォォォォォォ!!

五月雨「やぁーっ!」ザパァァァァァァァァ!!


吹雪と五月雨は、炎と水を放出した!


キーたち「グワーーーッ!!」

ホッポ「ひるむな!掛かれー!!」

キーたち「ラジャー!!」

吹雪「うわ、そのまま突っ込んできた!?」

ドガッ バキッ

五月雨「いたたっ!あ、あんまり効いてない!?」

吹雪「い、いや!多少は効いてるはず!もう一回行くよ!」

漣「待った!ここは漣に任せろ!」カチャッ


漣はアンカーパーツをデッキアローに取り付けた!


漣「くらえ、ファイナルベ……」

キーA「サセルカー!!」ドガッ

漣「いたぁっ!?」

キーB「コイツガイチバンキケンダ!ヤッチマエー!!」

キーたち「オー!!」ヒュンヒュンッ

ドガッ ドゴッ

漣「アイエエエ……矢が撃てないよぉ……」

ホッポ「いいぞ!そのままそいつを……!」



叢雲「漣一人に集中しすぎじゃないかしら?」

ホッポ「!!」

ドガァッ!!

ホッポ「ぐぁ……!」

キーC「ボ、ボス!」

叢雲「そら、もう一発!」ブンッ

ホッポ「くっ!」シュバッ

ホッポ「くそ、奴に集中しすぎたか……」

ホッポ「……お前ら!奥の手だ!集まってこい!」

キーたち「ラジャー!!」ワラワラ

キーたちがホッポの方へ集まっていく!

漣「うぐぐ……さ、させるか!」ギリギリ

ドガッ

漣「いてぇっ!」

キーD「フン、ザマアミヤガレ!」ピューン

漣「ま、待てコラー!」


叢雲「何のつもりかわからないけど、その前にあんたを倒せば……!」ブンッ


ガキィン!

集まってきたキーたちに、叢雲の攻撃は防がれた!


叢雲「……!」

ホッポ「よし!全員集まったな!」

キー「オー!」ワラワラ

ホッポ「エネルギー充填開始!」

シュゥゥゥゥゥゥゥ……


五月雨「な、なんかまずいよ!」

電「……電が行くのです!」ダダッ

吹雪「!ダメ!ここは下がって、回避を……」

ホッポ「エネルギー充填完了!発射準備!」


ヒュォォォォォォォ……


ホッポ「発射!!」


ビィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!

集まったキーたちから、すさまじい威力のビームが発射された!


電「!?」


ドォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!

吹雪「電ちゃん!」

ホッポ「……」

電「はぁ……はぁ……」

電(ぎ、ギリギリ避けられたのです……)

ホッポ「第二撃!用意!」


シュゥゥゥゥゥゥゥ……


電「!今のうちに!」ダダッ

ブンッ

ホッポ「させるか!」

ガキィン!

電「!?」

集まったキーたちが、ガードとなって電の攻撃を防いだ!

電「……!」グググ

ホッポ「どうしたイナズマ!?この程度ではこのガードはやぶれないぞ!」

電「くっ……」グググ

ホッポ「まだ迷っているのか!?」

電「!!」

ホッポ「戦うことに迷いがあるのか!」

電「……」

ホッポ「お前はその程度か……」

ホッポ「そんな者が、助けたいだのなんだの……」

ホッポ「笑わせてくれる!」


ガキィンッ!


電「!!」

電「うあっ……」ズザザッ

ホッポ「終わりだ!発射準備!」

電「!!」

電(この、ままだと……)

ホッポ「発……」



叢雲「ええい!」ブンッ

ホッポ「!!」

ガキィンッ!

叢雲「ほらほらほら!」シュバシュバシュバッ!

ホッポ「くっ!」ガキガキガキィン!

ホッポ(しまった!エネルギーが……!充填しなおさないと……)

吹雪「ほら、こっちこっち!」ブンッ

ホッポ「くっ!」ガキンッ!

吹雪「五月雨ちゃん!電ちゃんを今のうちに!」

五月雨「わかった!電ちゃん!」スッ

電「……」

五月雨「電ちゃん……?」

電「……」

電(どうして……戦わないといけないのでしょうか?)

電(電は……ホッポちゃんと、戦いたくないのに……)


『私たちが敵同士である以上、いつかは戦わなければならなかったはずだ』


電(敵同士、だから……)

電(……やっぱり、そうなのかもしれません)

電(これまでと同じように……戦いを避けて通ることなんて、できないのかも……)

電(……でも)

ホッポ「そこだっ!」ビュンッ

ドガッ!

叢雲「ぐあっ!」

吹雪「うっ……まだまだ!!」

電「……!」


『戦うことに迷いがあるのか!』

『そんな者が、助けたいだのなんだの……笑わせてくれる!』


電(そうだ……ここで迷ってたら……)

電(本当に……なにも助けられないのです……)

電(……敵は、助けることができないかもしれないけど……)

電(味方を……大切な、仲間を守ることができるなら……!)



電「……戦います!!」

五月雨「電ちゃん……?」

電「五月雨さん……お願いがあるのです」


叢雲「くっ……」フラッ

ホッポ「今だ!発射準備!」

叢雲「!!」

吹雪「叢雲ちゃん!」

ホッポ「発……」


電「えーーーーいっ!!!」ブンッ

ホッポ「!!」


ガキィン!!

ホッポ「イナズマ……!!」

電「まだいくのです!!」ブンッブンッ

ホッポ「ぐ……!」ガキンガキン!

ホッポ(さっきまでと違う……!これは……)

電「えーいっ!!」ブォンッ

ホッポ「!!そこだ!」ビュンッ


ドゴォ!!


電「……っ!」

ホッポ「甘いぞイナズマ!このまま……」

電「そうは……させないのです!!」カチャッ


電はアンカーパーツをハンマーに取り付けた!


ホッポ「っ!何をする気だ……!」

電「やぁっ!」ブンッ

ホッポ「無駄だ!!」


ガキィン!!

ホッポ「その程度じゃ、このガードは破れな……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

ホッポ「……?」

キーE「ボ、ボス……」

キーF「カラダガ……オモイ……!」

ホッポ「なっ……!?」



ズシィィィィィィィィィィィン!!

キーたちの周りの重力が急激に強くなり、ガードが崩れた!

ホッポ「そんな……っ!?」

電「……」


バチバチバチバチィッ!!


ホッポ「……イナズマ!」

電「ええええいっ!!」


ブォンッ

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!

ホッポ「ぐあああああああああああああああああ!!!!!」

ホッポ「ぐあ……う……」フラッ

電「みんな!今こそアレを撃つ時なのです!」

漣「よっしゃ、キタコレ!」

吹雪「よし、準備を!」


電「アンカーハンマー!」ヒュンッ

漣「デッキチェリー!」ヒュンッ

叢雲「マストランス!」ヒュンッ

五月雨「キールブレード!」ヒュンッ

吹雪「ブリッジソード!」ヒュンッ


ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!!

五人が投げた武器が空中で合体し、バズーカとなった!


五人「デストロイキャノン!」

ホッポ「く……大丈夫か、お前たち……」

キーたち「ダイジョウブデス……イマナラ、ガードクライデキマス!」

電「それくらいで防げると思わないでください!」

漣「目標捕捉!」

電「照準よし!」

叢雲「充填完了!」

五月雨「発射準備完了!」


吹雪「ってえええええええええええええええええええ!!!!!!」


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!

ホッポ「ぐっ……!こ、これは……!」ググググ

キーたち「ダメデス……タエキレマセン!」

ホッポ「こ、これまで……か……」


ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!


ホッポ・キーたち「うわあああああああああ!!」ヒューン


キラーン

漣「おー、吹っ飛んでった」

叢雲「今回もなかなか手強かったわね」

電「……」

五月雨「……電ちゃん?」

電「……いえ、何でもないのです」

吹雪「……帰ろうか」

──────────

──────

───


執務室


提督「……そうか」

電「……」

電「……司令官さん。電は、このままではいけないのでしょうか」

提督「何?」

電「今回電は……敵も助けたい、という気持ちで、ホッポちゃんと戦いたくないと思ってしまいました」

電「でも、戦いは避けられない……敵も味方も両方助けることなんてできないって、わかったのです」

電「だから……」

電「……こんな考えは、捨ててしまったほうがいいのでしょうか?」

提督「……」

提督「……戦う以上、深海棲艦やディープマリンにも、何らかの理由があるんだろう」

提督「それらを無視し、自分たちを守るために戦う……」

提督「それが戦い……それが戦争」

提督「……確かに、ただ戦うだけなら、そんな考えはいらないのかもしれない」

電「……」

提督「だがな……」

提督「そんな中にも、お前みたいなやつは必要なんだ」

電「え……」

提督「お前みたいなのがいないと、みんなただの殺戮マシーンになっちまう」

提督「やっていることは矛盾しているかもしれないけど……少しでも、敵も助けたいという気持ちがある」

提督「そういうやつが、人間の心をもたらしてくれる」

提督「……電。お前は優しさを持っている」

提督「みんな戦いの中で忘れちまうんだ。そういう優しさを」

提督「でも、お前みたいに……ずっとその優しさを忘れない奴がいると、思い出せるんだ」

提督「だからみんな、人間らしくあれる」

提督「……その優しさを、捨てる必要なんてない」

提督「お前は、お前のままでいてくれ」

電「……」

電「……じゃあ、司令官さん……」

電「いつか……敵も味方も、助けることができる日が来るのでしょうか……?」

提督「わからない……が」

提督「これだけは言える」

提督「……やるしかないんだ」

電「……」

提督「お前は逃げちゃダメだ。戦いからも……自分の気持ちからも」

提督「それが、お前の信じる道なら……それを突き進むんだ」

電「……」

提督「大丈夫だ。お前には仲間がいる」

提督「その仲間と、優しさとともに、敵も、味方も……救っていくんだ」

電「……」

提督「険しい道だ……頑張れよ」

電「……」

電「……はい!」

電(まだまだ、強くなりたい……)

電(敵も味方も……全てを助けられるように!)

電「よーし!」

電「ショキカンジャー、イエローの電!頑張るのです!」


第五話「合体技がほしい!」 艦

次回予告!

こんにちは!ショキカンジャーサブリーダーの五月雨です!
えへへ、実は私がサブリーダーなんですよ!知ってました?
色々情報は集まってきましたが……結局ディープマリンって何者なの?わからずじまい……
そういえば、戦隊モノの定番はまだ残ってますね。とてつもなく、大きいのが……

次回、第六話「ロボットがほしい!」
次回も、一生懸命、頑張ります!

スペシャルコーナー『ショキカンジャーって?ああ!』
~デストロイキャノン~


漣「さあ今回も始まりました例のコーナー」

吹雪「例の、って……」

叢雲「今回は……アレかしら?」

五月雨「でもその前に、電ちゃんの必殺技の解説入れたほうがいいんじゃない?」

漣「そですな。今回初登場だったし」

電「はい、わかったのです」

電「電のアンカーハンマーは、アンカーパーツを取り付けることで、ある特殊機能を使えるようになるのです」

電「それは……重力操作なのです」

吹雪「今回やったみたいに、殴った相手の体を重くしたりできるってこと?」

電「そうなのです。あのときガードになっていたキーさんたちにかかっている重力を強くして、ガードを崩したのです」

五月雨「大抵の敵は行動不能になるし、そうでなくても動きを鈍らせるくらいはできるよ」

叢雲「この間のコウワンの時どうして使わなかったのよ」

電「あ、あの時はまだうまく使えなかったのです!」

電「それと、このアンカーハンマー自体の重力も操作できるのです」

五月雨「重くできるの?」

電「はい。ハンマーを振り下ろす際に重力を強くすれば、より強力な攻撃ができるのです」

漣「10tオモーリみたいなもんか……」

叢雲「ただでさえ恐ろしい武器なのに、さらに凶悪になったわね……」

吹雪「怖い……」

電「どうしてなのです!?」

吹雪「それで、次の説明はこれかな?」

漣「そう!我々の必殺バズーカ、『デストロイキャノン』!」

五月雨「私たちの武器を変形させ、組み合わせることで作ることができます」

叢雲「電のハンマーが砲身になって、他の武器は軸になったり持ち手になったり……」

電「若干ハウリングキャノンに似てる気もするのです」

吹雪「それ弓部分だけじゃないの?」

叢雲「超強力な光弾を発射して、敵を仕留めるわ」

五月雨「まともに受けたらただじゃすまないね」

吹雪「ただし、軌道が読みやすく、避けるのが難しくないことから、敵の体力を十分に削ってからじゃないと撃てないね」

電「そもそも撃つと電たちの体力が奪われちゃうのです」

漣「要するに、気軽に使えないわけ。とどめに使うほかないね」

漣「ところでさ、これって撃てるのただの光弾だけなの?」

叢雲「そうじゃないの?」

吹雪「他に何があるのさ」

漣「いや、温泉卵とか守衛さんとか……」

五月雨「……なにそれ?」


今日はここまで。またそのうち
次回から割と改変部分多くなる…予定です

第六話「ロボットがほしい!」


ショキカンジャー本拠地


吹雪「えー、それでは第六回ショキカンジャー会議を始めます」

バッチリミナー バッチリミナー

吹雪「…それ、違うよね?」

漣「うん」

吹雪「ライダーだよね?」

漣「うん」

吹雪「…」

吹雪「えっと…何を話そうとしてたか忘れちゃった」

漣「まったく、何やってんだい」

叢雲「あんたのせいでしょ」

吹雪「…ああ、そうだ。夕張さんと明石さんが話があるらしいよ」

叢雲「話?」

吹雪「うん。内容は知らないけど」

五月雨「何だろう…?」

電「ショキブレスに何か問題があったのでしょうか?」

漣「使ってても問題なかったけどねぇ」

吹雪「とにかく、今から工廠に行ってみよう」

工廠


夕張「あら、来たわね」

明石「いらっしゃーい」

電「こんにちは、なのです」

叢雲「どうしたの?」

夕張「うん。実は、戦隊に必要なものを作ることになってて」

五月雨「え、必要なもの?」

明石「さて、なーんだ?」

漣「放送枠」

夕張「いや、そういうのじゃなくて」

吹雪「戦隊と言ったら、あとは…」

電「巨大ロボットとか、でしょうか…」

明石「ピンポーン。大正解」

明石「この度、私たちは巨大ロボットを作ることになりましたー」

叢雲「え、作れるの!?」

夕張「うん。ていうか、話自体はずいぶん前に出てて、少しずつ作ってたんだけど」

明石「本格的に作り始めることになって」

五月雨「でも、お二人だけで作れるんですか?」

夕張「いやあ、さすがに無理だよ」

明石「今までだって、妖精さんに協力してもらってたし」

漣「へー、そうだったんですか」

吹雪「でも、どうして今になって本格的に作ることになったんですか?」

明石「えーっと……順を追って話すね」

明石「ディープマリンが現れてから、提督は大本営にそのことを報告してたんだけど」

明石「同時に、協力を要請してたんだよね」

明石「それで、最近になって資材や物資を支援してくれるようになって」

明石「今回、技術面でも協力してくれるようになったの」

五月雨「技術面……ということは」

夕張「そう。巨大ロボットの作成に協力してくれることになったってこと」

吹雪「そんなの、よく協力してくれましたね……」

明石「うん。なんか通っちゃった」

夕張「まあ、相手は深海棲艦以上に謎だし、実際危険な存在だからね」

夕張「何が起こるかわからないし、巨大ロボくらい用意しておこう、ということに」

叢雲「はぁ、なるほどねぇ」

明石「それで、ここからが本題なんだけど」

明石「私と夕張ちゃんは、これから一か月くらい、別の場所でロボットを作るので、鎮守府にいません」

電「え、ここで作れないのです?」

夕張「やっぱり場所をとるからねぇ……」

明石「それに、協力者として優秀な艦娘や妖精さんを呼んでくれるらしいんだけど」

明石「その人たちも集まりやすいから、という理由で別の場所に」

漣「確かにあんなバカでかいものをここで作るわけにはいきませんな」

夕張「というわけで私たちはしばらくいないから、ショキブレスのメンテとかできないの」

夕張「壊したりしないように、という注意をしたかったわけ」

五月雨「なるほど。わかりました」

明石「五月雨ちゃんが一番不安なんだけどね」

五月雨「ちょ、ちょっと!どういうことですか!」

電「ところで……お二人がいないのは、艦隊としては大丈夫なのでしょうか?」

明石「ああ、大丈夫だよ。多分」

叢雲「多分て……」

夕張「今は大型作戦もないし、大丈夫だって」

明石「そうそう。そんなことよりロボットだ!」

漣「どんなロボットにするんですか?」

明石「変形合体ロボットだよ。五つのメカが合体するの」

漣「おー、王道ですな」

明石「というわけで今から出かけるから、あとはよろしく」

吹雪「はい、了解です!」

電「巨大ロボット、ですか……」

漣「うっひょー!みなぎってきましたなー!」

吹雪「一か月でできちゃうんだ……」

五月雨「本当になんなんだろうね……この謎技術」

叢雲「そんなロボットが使えたら、戦いも楽になるでしょうね」

漣「いや、巨大ロボットはホイホイ使っちゃいけないんだよねぇ」

吹雪「……そういえば、敵が巨大化したときとかにしか使わないね」

漣「本当にホイホイ使えるものじゃないだろうし」

五月雨「確かに……動かすのに莫大なエネルギーが必要そうだし」

電「動かした後の処理も大変そうなのです」

漣「しかも巨大ロボで通常サイズの敵狙っても攻撃当たりづらいとかなんとか」

吹雪「へぇー……」


「ねえ」

漣「んお?」

大井「あなたたち、ちょっといいかしら?」

叢雲「あら?」

五月雨「大井さん?」

ショキカンジャー本拠地


吹雪「えっと……どうしたんですか?」

大井「いえ……ちょっとね」

大井「以前、私が知っているディープマリンについての情報を話したけど……」

大井「今度は、あなたたちが知ってることについて教えてほしいの」

五月雨「私たちが……ですか?」

電「知ってること、と言われましても……」

漣「そんなにないよねぇ」

大井「とはいっても、最近の奴らの動向を知ってるのはあなたたちだけよ」

大井「以前とほとんど同じだとは思うけど……聞かせてほしいの」

叢雲「なるほどね……わかったわ」

吹雪「最近の動向か……でも、大井さんもいくらかは知ってますよね?」

大井「ええ。工具や資材がなくなったりするのは知ってたわ」

大井「それを聞いたときはまさかと思ったけどね」

五月雨「そうですね……とりあえず、順番に話していきましょうか」

大井「ええ、お願い」

──────────

──────

───

電「……と、こんなところなのです」

大井「……そう、わかったわ」

漣「大井さんの時と比べてどうですか?」

大井「そうね……やっぱり、ほとんど一緒ね」

大井「ただ、気になることがいくつかあるわね」

吹雪「はい?」

大井「あなたたちの話を聞く限りでは……奴ら、以前よりも力をつけているわね」

叢雲「そうなの?」

大井「ええ。コウワンも前より頑丈になってたわ」

大井「大きな変化ではないかもしれないけど、それでも一年前よりは強くなってるってことよ」

五月雨「それは厄介ですね……」

大井「あと、私が知っている中でも……まだ残っている幹部がいるわ」

吹雪「以前言ってた、隠し玉ですか?」

大井「それもあるけど、もう一人いるわね」

電「もう一人?どんな人なのです?」

大井「リトウっていう、離島棲姫そっくりな奴よ」

大井「確か……悪の科学者を自称してたわね」

漣「へー、そういやまだそういう人いなかったなぁ」

大井「主に怪人や兵器を作るのが仕事らしいけど・・・まあ、正直大したことなかったわ」

叢雲「あら、じゃああんまり問題ないのね」

漣「かぁーっ……浅はかですなー、叢雲ちゅわ~ん」

叢雲「は?」ギリギリ

漣「ぐえーっ!?」

吹雪「叢雲ちゃん、ストップストップ!」

叢雲「全く……何が浅はかなのよ」

漣「だってさー……ディープマリンって一年前より強くなってるんでしょ?」

五月雨「確かに、そのリトウさんの科学力が増しててもおかしくないよ」

大井「ええ。その可能性は高いわ」

叢雲「……言われてみれば、そうね……」

漣「これだからツンデレガールは……」

叢雲「は?」ギリギリ

漣「ぐええっ!?」

大井「それと、あなたたちがクウボと戦った時のことが気になるわね」

吹雪「え?何かありましたか?」

大井「……クウボが何しに来たのかってことよ」

電「……あ!そういえば……」

五月雨「何しに来たか知らないね……」

漣「なんか本人は海水浴とか花見とか言ってたけど」

叢雲「クウボって白雪を操って工具を盗ませてたのよね?それが関係するのかしら?」

吹雪「でもわざわざあんな鎮守府の近くまで来なくていいんでしょ?」

電「工具を運ばせるのもイーさんたちにやらせていたみたいですし……」

大井「クウボじゃないとだめなのか、クウボ以外でもいいのか……」

大井「それはわからないけど、少なくとも幹部クラスが必要なことをしていたってことよ」

五月雨「戦闘員に何か指示してたみたいですけど……」

叢雲「しかも、爆発音まで出してたわよね」

大井「だとしたら、あそこで戦闘員に何かをやらせていて……その監督をしていた可能性が高いみたいね」

大井「……というか、何でそれだけ怪しいのに調べてなかったのよ」

漣「うっ、申し訳ない……」

鎮守府のはずれ クウボとの戦闘跡


漣「と、大井さんに罵られて調査しに来ましたが」

五月雨「このあたりだよね、クウボさんがいたのって」

叢雲「もう少し森に入ったところじゃなかったかしら」

電「でもこんなところで本当に何をしていたのでしょう……?」

吹雪「確かに……ここまで来たんならいっそ攻めてくればいいのにねぇ」

漣「まぁ、もしかしたらその攻めるための準備だったのかもしれませんぞ」

五月雨「確かにその可能性も……」


ガサッ


五人「!!」

吹雪「……今の音、何?」ヒソヒソ

叢雲「動物……って感じじゃなかったわね」ヒソヒソ


カーン カーン


漣「お、解体っぽい音も聞こえてきた」ヒソヒソ

電「いえ、あれはもっと嫌な感じなのです」ヒソヒソ

五月雨「えっと……誰かが工具を使って何かしてる……っていうのは間違いないかな」ヒソヒソ

五人「……」ゴソゴソ

五人は息をひそめ、音のする方へと近づいていく


カーン カーン


叢雲「……誰かいるわね」

吹雪「……あれって」


リ級?「はー、だるいよー……」カーンカーン

リ級?「なんで私がこんなことを……」カチャカチャ

リ級に似た人物が、地面に向かって何かをしている


吹雪「今度は重巡リ級にそっくりな人だ……」

電「ということは……ディープマリンなのです?」

五月雨「その可能性が高いねぇ……」

漣「んで、あの人何やってるの?」

叢雲「工具を使って何かしてるみたいだけど……」

吹雪「ここからだとよく見えないね」

五月雨「もうちょっと近づいてみる?」スッ


ガサッ


五人「あ」

リ級?「!?だ、誰だっ!!」バッ

電「……バレちゃったのです」

漣「ちょっと~五月雨ちゅわ~ん」

五月雨「……ごめんね」

リ級?「艦娘……?くそっ、バレたか!」

リ級?「……まあ、こうなったら仕方ない」

リ級?「おい、お前ら!」

吹雪「はい?」

リー「私は秘密結社ディープマリンのリー様だ!」

リー「死にたくなかったら私の言うことを聞くんだな!」

叢雲「え、何その三下感満載のセリフ」

漣「フラグでしかないね」

リー「とりあえず……お前たちの艤装を渡してもらおうか」

電「艤装を?どうしてなのです?」

リー「お前たちが知る必要はない!いいから渡せ!」

漣「嫌に決まってんじゃん」

リー「ふんっ……まだ自分たちの立場が分かっていないようだな……」

リー「素直に従えば、命は奪わないでやる!さあ早く持ってこい!」

吹雪「話せば話すほどダメな感じになっていくねこの人……」

五月雨「とりあえず変身して戦う?」

吹雪「そうだね。じゃあみんな、準備して!」

リー「何をコソコソ……」


五人「抜錨!!」

カチッ

シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……

五人の体に、スーツが装着されていく!


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


リー「!?」

リー「な、何だ!?いきなり!」

リー「何者だ、お前ら!?」

漣「何だかんだと聞かれたら」

叢雲「答えてあげるが……って、何言わせるのよ」

リー「ま、まさかお前らがショキカンジャー……?」

吹雪「はい、そのまさかです」

リー「なんてこった……よりにもよってこんな時に……」

五月雨「一体、ここで何をしていたんですか?」

電「教えてほしいのです」

リー「こ、答える義理はない!こうなったら、お前らをぶっ倒してやる!」

リー「覚悟しろぉ!」ダダッ

電「来たのです!」

吹雪「漣ちゃ……」

漣「はいはーい」ギリギリ


バシュッ!


リー「ぐはぁっ!」グサッ

漣「ふふん。いい感じに当たったね」

リー「くっ、まだまだぁ……!」ヨロッ

リー「まだ近づけば……!」


シュバッ

叢雲「ふん、遅いわね」

リー「え?いつの間に後ろに……」


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!

叢雲が槍による強烈な一撃でリーを吹っ飛ばす!


リー「ぐああああああああ!!?」ビューン

リー「う、嘘だああああああああああ!!」


キラーン

叢雲「ふん、口ほどにもない」

電「見事に場外ホームランなのです」

叢雲「適当に小突いただけで吹っ飛んでったわ」

五月雨「すごいよ叢雲ちゃん!」

漣「ちょっとー、漣はー?」

吹雪「うんうん。漣ちゃんも反応が早くて良かったよ」ナデナデ

漣「……なんでなでられてるの?」

五月雨「それで……あの人何してたの?」

吹雪「ああ、そうだ!その辺に何か……」キョロキョロ

漣「……なんぞこれ?」


リーがいた場所には、半壊した何らかの機械が地面に埋まっていた


叢雲「何かの機械……っていうのはわかるけど」

電「何の機械なのかはわからないのです」

五月雨「しかも壊れてる……あの人はこれを修理してたってことなのかな?」

吹雪「うーん、これは詳しい人に見てもらうしかないけど……」

漣「じゃあ明石さんたちを……って」

五月雨「……もう、ロボット作りに行っちゃったよね?」

叢雲「それで……一か月いないのよね?」

五人「……」

電「……とりあえず、掘り起こして工廠まで運びましょうか」

吹雪「そうだね……二人が帰ってくるまで待とう」

翌日
五人は、昨日リーと戦った場所まで来ていた


吹雪「で、また来たわけだけど」

叢雲「昨日ああやってここに来てたってことは、今日も来るかもしれないからね」

五月雨「あのまま機械も放っておかないだろうしね」

漣「うむ、解説ご苦労」

電「……何言ってるのです?」

漣「んで、どうすんの?」

五月雨「隠れてたほうがいいかな?」

吹雪「……五月雨ちゃんが音立てちゃうから駄目だね」

五月雨「うっ……ごめん」


ガサガサッ


電「……?」

五月雨「何の音?」

叢雲「まさか……」

ガサガサッ


リー「よしっ、ここまで来たぞ」ガサガサッ

五人「……」

リー「昨日はなんか途中で見つかっちゃったけど……」

リー「今日こそはシュシュっと修理を……ん?」

五人「……」

リー「……」


五人「抜錨!」

リー「う、うわああああ!!」

数分後


リー「な、何故だ……どうしてこんなことに……」ボロッ

叢雲「さーて、色々しゃべってもらおうかしら」

リー「!?な、何をする気だ!」

吹雪「とりあえず、あなたには捕虜になってもらいます」

リー「くっ、拷問でもする気か……!」

漣「しますよ。えっぐいの」

リー「ど、どんな……?」

漣「そうですねぇ。例えば……」

漣「あなたが、中学生の時に書いた日記やポエムを音読しつつネットにさらす……とか?」

リー「うわああああああああああ!!やめろおおおおおおおおおお!!」

電「あなた、中学時代とかあったのです?」

リー「……はっ、そういえばなかった」

五月雨「えぇ……」

吹雪「とにかく、まずは司令官の所へ……」

リー「くっ……」


ガサガサッ


叢雲「……ん?また……?」


シュバッ!

五人「!?」


ガッ

リー「う、うわっ!?」

シュバッ ガサガサッ


何者かが突如現れ、リーを奪って去って行った!

五月雨「な、何?今の!」

電「わからないのです……」

吹雪「多分、あの人の味方……ディープマリンの一員だとは思うんだけど」

叢雲「……今の奴、動きからしてなかなかの手練れね」

叢雲「あのリーとかいう奴より、かなり強いと思うわ」

漣「確かに……顔がフードで見えなかった」

五月雨「え、それ関係あるの?」

漣「強キャラでそんな感じのがよくいるんだよ」

吹雪「でも……これはまずいね」

電「え?」

吹雪「敵がここで何かしようとしてるってことだよ」

叢雲「そうね……目的はよくわからないけど、あの機械で何かしようとしてるみたいね」

五月雨「機械は一応工廠に持って行ったけど、また作られる可能性高いし……」

漣「まあ普通に来られるだけでも危ないしねぇ」

電「なるほど……ではどうしましょう?」

吹雪「とりあえず、司令官に報告してここに他の人を近寄らせないようにしてもらおう」

五月雨「そうだね。一応敷地外だし、ただでさえ人はほとんど来ないけど」

叢雲「警戒するに越したことはないわ」

漣「それで、来たときはどうするん?」

電「少なくともいいことをしてるとは思えないですし、やっぱり戦うしかないと思うのです」

吹雪「そうだねぇ……」

叢雲「でも奴らが来た時、どうやってそのことを知るのよ」

五月雨「シンプルに、カメラやセンサーを設置したらどうかな」

五月雨「そのうち壊されちゃうかもしれないけど……」

漣「大丈夫っしょ。あいつら馬鹿だし。壊すにも全くバレずにやるってのも難しいだろうし」

叢雲「まあ……それがよさそうね。下手な小細工よりはいいと思うわ」

電「そうですね。とりあえず、司令官さんに報告するのです」

執務室


提督「うーむ、鎮守府近くで敵が何かしようとしている、か……」

吹雪「それで、どうですか?」

提督「ああ。あそこには近寄らないよう、全員に通達しておくよ」

提督「あと、カメラとかなら簡単に設置できるはずだ。今日中には終わるだろう」

提督「異常があった時はお前たちに知らせるようにする……が」

漣「が?」

提督「できれば、昼の間だけでもその近くにいてくれないか?」

提督「近くにいたら、すぐ対応出来るだろう」

提督「それに、何が起こるかわからん。いつの間にか、カメラが壊されてるかもしれんからな」

五月雨「はい、了解です」

提督「頼んだぞ」

叢雲「うーん……しばらく、あのあたりにいることが多くなりそうね」

電「どのくらい続くのでしょうか?」

吹雪「わからない……どうにか目的がわかればいいんだけど」

漣「えー?めんどいー」

五月雨「でも本当にあそこにしか来ないのかな?」

吹雪「どうかな……そうだといいんだけど」

叢雲「今考えても仕方ないわ。とにかく、私たちはあそこで様子を見ましょ」

電「でも……強い敵が来たらどうするのです?」

叢雲「どうするって言っても、戦うしかないじゃない」

吹雪「うーん、まあ訓練して戦力増強するしか……」

漣「……戦力ということに関して、問題があると思うんですけど」

五月雨「え?」

電「あっ、確かに……そうなのです」

吹雪「え?え?」

叢雲「そうよね……漣の言う通り、問題あるわね」

五月雨「な、何……?」

漣「……だって、吹雪ちゃんと五月雨ちゃんさぁ……」

漣「……まだ、必殺技使えないじゃん」

吹雪・五月雨「うっ……」

吹雪「そ、それはその……ごめん」

叢雲「二人とも、どうしてちゃんと訓練してるのにまだ使えないのよ?」

五月雨「わ、わからないよ……」

電「まだ武器を使いこなせてないのでしょうか……」

漣「武器になんか問題があるんじゃない?」

吹雪「いや、前に明石さんたちに見てもらったけど、問題ないはずだって……」

五月雨「電ちゃんが使えるようになったのも、ついこの間でしょ?」

五月雨「だから、武器の扱い以外で何か原因があるんじゃないかって……」

漣「うーん……原因がわからない以上は仕方ないか」

吹雪・五月雨「すみません……」

翌日

五人は、例の場所の近くで訓練をしていた


漣「そこで漣は言ってやったんですよ」バシュッ

叢雲「ほうほう」ブンッ

漣「『てめぇの敗因はたった一つ……たった一つのシンプルな答えだ』」

漣「『鎮守府近海を一人でうろついてるからだ』と」バシュバシュッ

叢雲「そりゃあイ級も納得せざるを得ないわね」ブンブンッ

漣「でしょ?そしたら大人しく帰って行ったけど、また一人で来たんだよねー」

叢雲「迷子じゃないの?それで偶然ここまで来たとか」

漣「まあそうかなー」

叢雲「っていうか、言葉通じたのね」

漣「うん。何か通じた」

吹雪「こらー、二人ともー。真面目に訓練しなさーい」

叢雲「してるわよ。雑談しながらやってるだけよ」ブンブンッ

漣「そうだよ。ほら、全部的に当たってるし」バシュバシュッ

吹雪「いや、的に一回穴空いたら当たったかどうかなんてわかんないよ……」

漣「あっ、そっか」バシュバシュッ

五月雨「今日も来るのかな?」

電「来ないのが一番なのですが……」

吹雪「でも、また一人で来るってことはないよね」

五月雨「そうだねぇ……一人だとまずいってことはわかっただろうし」

電「イーさんたちを引き連れてくるのでしょうか?」

吹雪「それくらいならまだいいんだけど……」


ジリリリリリリリリリリリリリ!!!!


五人「!!」

叢雲「これって、昨日設置したセンサーの警報……よね」

五月雨「ていうことは、誰かが……?」

吹雪「みんな、行こう!」

漣「……来てみたけど」

電「あれは……」


ジリリリリリリリリリリリリリ!!!!


ル級?「ちょっと!何よこれ!」

リー「あれ?昨日までこんなのなかったんですけど……」

ル級?「あー、もう!これどうやったら止まるのよ!」

イー「うるさくてかなわんですイー」

漣「そこのボタン押したら止まりますよー」

ル級?「え、これ?」

漣「そうそう。それ」

ポチッ

ル級?「あっ、止まった」

漣「おー、よかったよかった」

漣「イエーイ」スッ

ル級?「イエーイ」スッ


パシッ

ピシガシグッグ

漣・ル級?「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」

ル級?「ふぅ……」

ル級?「……」

ル級?「……うわぁ!誰よあんた!」

五月雨「え、遅すぎない?」

叢雲「やっぱディープマリンってバカしかいないのかしら」

リー「あー!お前たち……!」

リー「ルーさん!こいつらがショキカンジャーです!」

ルー「え!?こいつらがショキカンジャー!?」

電「今度は戦艦ル級にそっくりなのです」

吹雪「空母ヲ級もそのうち出てきそうだね」

ルー「ふむ……まあいいわ」

ルー「私の名前はルー!今からこいつらと一緒にあなたたちを打ち倒してくれるわ!」

漣「大柴さんですか?」

ルー「え!?藪からスティックに何を言うのよ!」

叢雲「ノリノリね」

五月雨「あれ?これ、今から戦うんだよね?」

吹雪「そうだけど」

電「そんな空気じゃないのです」

ルー「あーもう!とにかく、邪魔する気ならやるわよ!お前たち!」

イーたち「イー!!」ダダッ

五月雨「うわ、いっぱい来たよ!」

叢雲「あーもう……さっさと倒すわよ」

電「このくらいの数なら、大丈夫なのです!」

吹雪「みんな、準備はいい!?」

漣「いいともー!」


五人「抜錨!」

イーたち「イー!!」ダダダ

電「そーっ、れ!」ブンッ


ドゴォォォォォォォォォォォォ!!!

電がハンマーを振り回し、イーたちを打ち倒していく!


イーたち「イーーーーーーッ!!!」

リー「なっ、一撃であんな大勢を!?」

ルー「噂通り、ただ者じゃないわね……!」

イーたち「ま、前に戦った時よりも格段に強くなってるイー……!」

電「訓練の賜物なのです」

ルー「ひ、ひるむんじゃない!お前たち、行きなさい!」

ルー「あと、リーも行きなさい!」

リー「え、私もですか!?」

ルー「いいから、ほら!」

リー「うぅ……仕方ない!」ダダッ

リー「おらぁ!喰らえぇ!」ブンッ

吹雪「よっと」シュバッ

リー(!避けられ……)

吹雪「はぁっ!」ズバッ

リー「ぐあああああああ!!」

ルー「り、リー!!大丈夫!?」

リー「くっ……大丈夫、です……が……」

リー(心配するならむやみに突っ込ませるなよ……)ガクッ

ルー「リーーーーーーーー!!」

ルー「くそう、よくもリーを……!」

ルー「こうなったら、私が直々に戦ってやるわ!覚悟なさい!」ダダッ

五月雨「……え!?私!?」


ルー「とうっ!」ブンッ

五月雨「くっ!」バシッ


ルーの拳を、五月雨は刀で防いだ!

ルー「ほらほらほらぁ!」バシバシッ

五月雨「は、速い……!」バシバシッ

五月雨(イーたちよりも強い……一筋縄じゃいかない)

五月雨「……そこっ!」


ザパァァァァァァ!!!

五月雨はルーの足元めがけて水を放出した!


五月雨(これでバランスを崩せば……!)

ルー「おっと!」シュバッ

五月雨(!?避けられた……!)

ルー「甘い甘い!」ドガッ!

五月雨「うぁっ……!」ヨロッ

ルー「このままボコボコにしてやるわ!」ブンッ

五月雨「……!」




吹雪「せいっ!」ドガッ

ルー「ウワラバッ!?」ズザッ

ルーが五月雨に拳を振り上げた瞬間、吹雪が背後から一撃を加える!


五月雨「ふ、吹雪ちゃん!?」

吹雪「五月雨ちゃん、大丈夫?」

五月雨「う、うん……」

ルー「くっ……いつの間に後ろに……」

吹雪「お仲間はもういませんよ」

ルー「何っ!?」バッ


イーたち「イー……」ピクピク

リー「うーん……私のポエム……読まないで……」ピクピク


ルー「なっ、全滅なんて……!」

叢雲「ふん、あっけなかったわね」

電「束になっても、電たちには勝てないのです!」

吹雪「さあ、残るはあなただけです」チャキッ

ルー「くっ……」

ルー「こうなっては仕方ない……やってやるわ!」ダダッ

吹雪「……!」

ルー「うおおおおおお!!」ダダダダ




ズルッ

ルー「あれ?」コケッ

ルー(あ、さっきの水で足元が)

吹雪「とりゃあ!!」

ズバァァァァァァァァッ!

ルー「ぎゃあああああああああ!!」

ルー「ぐはぁ……強い……!」

吹雪「さて、あなたたちを捕虜に……」

ルー「!!て、撤退よ!あんたら!」

イーたち「イ、イー!!」ダダッ

リー「……え!?あれ!?ちょっ、置いてかないでー!!」ダダッ

叢雲「あ、待ちなさい!」

電「行っちゃったのです……」

漣「逃げ足速いなー」

吹雪「……五月雨ちゃん、大丈夫?」

五月雨「……」

吹雪「五月雨ちゃん?」

五月雨「……うん、大丈夫。ありがとう」

叢雲「じゃ、帰りましょ」

漣「何だかんだ疲れたー」スタスタ

電「お茶でも飲むのです」スタスタ

五月雨「……」スタスタ

五月雨「……はぁ……」

漣「あ、五月雨ちゃん、気を付けてー」

五月雨「え?」


ズルッ

五月雨「あ」

そして、それから────


ルー「ふはははは!!また来たわよ!」

リー「今度は作戦がある!行くぞ!フォーメーションZだ!」

「イー!」「ロー!」「ハー!」「ニー!」

叢雲「しつこい!」ドカッ!

ディープマリンは何度も攻め込み────


ルー「今日は助っ人を連れてきたわ!」

ター「ドーモ、ショキカンジャー=サン。ターです」ペコッ

漣「ドーモ、ター=サン。ショキカンジャーです」ペコッ

電「……何やってるのです?」

ター・漣「アイサツ」


漣「イヤーッ!」バシュッ!

ター「グワーッ!」グサッ!

漣「サヨナラ!」

ショキカンジャーと戦い────


リー「今日は私の相方を連れてきた!」

ネー「……」

リー「……ネー?どうした?」

ネー「……帰っていい?」

リー「え!?」


リー「ちょっ、ネー!助けて!」

ネー「……ごめん……こっちも、いっぱいいっぱい……」

リー「ええ!?」

ネー「……本当に申し訳ない……」

リー「そ、そんなぁ!」

電「えいっ!」ブンッ

リー「えっ」

その度に敗走し────


ヲー「……」

吹雪(本当に来た、ヲ級そっくりな人……)

ルー「……ヲー?どうしたの?」

ヲー「……ヲッ」

ヲー「ヲッヲッヲー」

ルー「……ふむふむ、そうなの」

吹雪「え、言ってることわかるんですか?」

ルー「いや、全然わかんない」

吹雪「えぇ……」


吹雪「はぁっ!」ズバッ

ヲー「……」

吹雪「……!?効いてない!?」

ヲー「……」プルプル

ルー「……いや、これは痛いのを我慢してるわ」

吹雪「えぇ……」


そしてなんやかんやで最初の襲撃からニ週間が経過した

ショキカンジャー本拠地


叢雲「あー、もう!何なのよあいつら!毎日のようにあそこに来て!」

電「流石に疲れるのです……」

漣「マジでたまにセンサーとか壊すし……やってらんねーぜ!」

吹雪「妖精さんたちに直してもらってるとはいえね……」

吹雪「しかし、相変わらず目的が分からない……」

叢雲「すぐに出ていかずに、ちょっと様子見したこともあったけど……」

漣「結局ほとんど何もしないんだもんよー。わからん!」

電「でも、正直……ただ単に来て戦ってるようにしか見えないのです」

吹雪「どうなんだろうね……」

五月雨「……」ボー

叢雲「……五月雨?」

五月雨「……ふぇ!?な、何!?」

叢雲「いや、何でもないけど……」

電「どうしたのです?最近ボーっとすることが多いのです」

漣「顔色も少し悪いし、疲れてるんじゃ?」

五月雨「だ、大丈夫!何でもないよ!」

叢雲「ドジることも多いし」

電「この間はジュースと間違えてタバスコ飲みそうになったのです」

漣「五月雨ちゃんがドジなのは元からだから問題ない」

五月雨「ちょ、ちょっと!漣ちゃん!」

五月雨「とにかく、何でもないから心配しないで」

叢雲「そう?ならいいけど」

漣「じゃあドミニオンでもしようか」

電「あ、帝国入れてほしいのです」

叢雲「そもそもあれ四人までのゲームじゃない……」

五月雨「……」

吹雪「……」

その夜


吹雪「……」

吹雪は、いつも五人が訓練している場所の近くに来ていた


涼風『ん?五月雨?』

吹雪『うん。最近ちょっと様子がおかしくて』

涼風『あー、確かにボーっとしてるねぇ』

吹雪『同室の涼風ちゃんなら何か知ってると思って』

涼風『うーん、そうだねぇ……』

涼風『……最近、夜に部屋をこっそり出ることが多くなったね』

吹雪『夜に?』

涼風『うん。消灯してしばらくすると、どっか行っちまうんだよ』

涼風『最初はトイレで行ってんのかと思ったけど、それにしては長い間戻ってこないみたいなんだよ』

涼風『あたいはその間に寝ちまうからそのあとは知らないけど、朝起きたら普通に戻ってるよ』

涼風『そのことについて聞こうかと思ったこともあるけど、なんだか聞きづらくてねぇ』

吹雪『……そっか』

吹雪『わかった、ありがとう』

涼風『おう!』

吹雪(私の予想だと、このあたりで……)

ブンッ ブンッ

吹雪「……!」


五月雨「はぁ……はぁ……」


ブンッ ブンッ

五月雨は、一人で刀の練習をしていた


五月雨「はっ!はっ!」

ブンッ ブンッ


吹雪「……」

吹雪(やっぱりね……)

五月雨「はぁ……はぁ……」

吹雪「……こんな時間に、何やってるの?」

五月雨「!!」

五月雨「……吹雪ちゃん」

吹雪「……訓練なら、二人でやったほうが良いんじゃない?」

五月雨「……」

吹雪「相手になるよ」

五月雨「……うん、じゃあ、お願いしようかな……」

しばらく後


吹雪「はぁ……はぁ……」

五月雨「こ、ここまでにしよう……」

吹雪「そ、そうだね……」

五月雨「ふぅー……」

吹雪「……」

吹雪「……どうして、夜中に訓練してるの?」

五月雨「……今日、なんとなく眠れなくて」

吹雪「でも、最近夜に出てることが多いって、涼風ちゃんが」

五月雨「あれ……涼風にバレてたんだ……」

五月雨「起こさないようにしてたつもりなんだけどな……」

五月雨「あはは……ダメだなぁ、私……」

吹雪「……」

五月雨「……最近、みんな強くなったよね」

吹雪「え、そう?」

五月雨「うん。強くなった」

吹雪「そうかな……五月雨ちゃんも同じくらいだと思うよ」

五月雨「いや、そういう単純なことじゃなくて……」

吹雪「?」

五月雨「……何て言ったらわからないけど……もっと、根本的で、大切なもの……」

五月雨「そういった強さが、最近みんなの中で芽生えてる気がするんだ」

吹雪「……」

五月雨「……この間だって、吹雪ちゃんに助けられたし」

五月雨「このままだと……みんなの足を引っ張って、迷惑かけちゃうと思って……」

五月雨「みんなと同じ強さは手に入らないと思ったから……少しでもみんなに近づけるよう、こうやって夜に訓練してたんだ」

吹雪「……そうだったんだ」

五月雨「……でも、全然追いつけない」

五月雨「みんな、本当に強いから」

五月雨「私なんかじゃ……ダメなのかな」

吹雪「……」

吹雪「……そんなことないと思うよ」

五月雨「……え?」

吹雪「私からしたら、五月雨ちゃんは強いよ」

五月雨「吹雪ちゃん……?」

吹雪「だって……」



ドガッ

二人「!?」

何かが破壊される音が、二人の耳に入ってきた!

吹雪「何今の!?」

五月雨「今の音……森の方からだね」

五月雨「しかも、木なんかが折られた音じゃなくて、機械が壊されたような音だったよ」

吹雪「……もしかして、カメラやセンサーが壊された!?」

五月雨「行ってみよう!」

ダダッ

五月雨「!!誰かいる!」

吹雪「あれって……!」


フード「……」

フードをかぶった何者かが、破壊されたセンサーとカメラを前にして立っていた


吹雪「この人……」

五月雨「この間、リーさんを連れて去って行った人……だね」

吹雪「……まさか、夜にセンサーを壊しに来るなんてね」

五月雨「しかも、センサーに全く引っかからずに……」

五月雨「どうする?みんなを呼んでくる?」

吹雪「その間に逃げちゃうと思うよ……」

フード「……」

五月雨「じゃあ、二人で戦うしか……?」

吹雪「それしかなさそうだね」

吹雪「……大丈夫?訓練の後だけど」

五月雨「大丈夫……戦える」

吹雪「じゃあ……行くよ!」スッ

二人「抜錨!!」

吹雪「はぁっ!」ブンッ

フード「……」バシッ

吹雪(!素手で、弾かれた……)

吹雪(でも、まだ!)

吹雪「はあああ!!」シュバババッ

フード「……」バシバシバシッ

吹雪「くっ……」

五月雨「やぁー!!」ブンッ

フード「!」ガッ


グググ……

五月雨(!……刀を素手でつかむなんて……でも!)


ザパァ!!

フード「……!」

バシィッ!!

五月雨は刀に水をまとわせ、フードの腕を弾いた!


五月雨「そこぉ!!」ブンッ

フード「!!」

シュバッ!

五月雨「!!」

五月雨の攻撃を、フードは宙返りでかわした!


五月雨「っ……」


スタッ

フワッ

宙返りした時、フードがめくれ、敵の素顔が現れた


二人「……!」

レ級?「……」

吹雪「お次はレ級のそっくりさんか……」

五月雨「これは強そうだね……」

レ級?「……」シュバッ

吹雪「!!」


ドガッ!

レ級?は吹雪に接近し、キックを喰らわせた!


吹雪「ぐあ……!」

五月雨「吹雪ちゃん!」

レ級?「……」シュバッ

五月雨(ッ!速い!)


ドガッ!


五月雨「うあぁっ!」ズザッ

吹雪「くっ……強い……」

五月雨「コウワンさんをバランス型にしたみたいな強さだね……」

レ級?「……」シュバッ

吹雪「!!」


ガキィン!

レ級?「……」

吹雪「くっ……」グググ

レ級?の背後からの攻撃を、吹雪は剣で受け止める!


バシィッ!

レ級?「……」ブンッ

吹雪「はぁっ!」


ボォォォォォォォォォォォ!!!

吹雪はレ級?の拳をはじき、すかさず剣から炎を放出した!


レ級?「!!」シュバッ


五月雨「そこだっ!」シュンッ

レ級「!?」

五月雨はレ級?が炎を避け、体勢を崩した隙をついて、背中を切りつけた!

ズバァァァァァァァァァァァッ!!!!

吹雪「よしっ!」

五月雨「当たった……!」

レ級?「……」

五月雨「……あれ?」


ブンッ!

五月雨「うわぁ!?」シュバッ

五月雨「ま、まだ来るの!?」

吹雪「効いてないわけじゃないみたいだけど、やっぱり一撃程度じゃだめか……」

五月雨(……そうだ!必殺技を使えば……!)

五月雨(あれが使えれば、きっと……!)


漣『……まだ、必殺技使えないじゃん』


五月雨(……でも私、あれからまだ一回も成功してない……)

五月雨(私なんかじゃ、やっぱり……)

五月雨「……」

レ級?「……」スッ

五月雨(っ!そうだ、このままだとやられちゃう!)

五月雨(だったら、一か八か……!)


カチャッ

五月雨はアンカーパーツを刀に取り付けた!


吹雪「五月雨ちゃん!?」

五月雨「これしかない……!やってみるよ!」チャキッ


五月雨はそのまま、刀をかまえる!

レ級?「……!」

五月雨(なんとかしないと……!)

五月雨(だからお願い……!このままじゃ……!)





五月雨「……っ」

レ級?「……」

しかし、五月雨の武器に変化は起こらなかった……

五月雨「なんで……っ!どうして……?」

吹雪「五月雨ちゃん!来るよっ!」

レ級?「……」スッ

五月雨「!?」

吹雪「……っ!」チャキッ


シュバッ ガサガサッ……

二人「……!?」

二人の予想に反し、レ級?は二人に向かってこずに、森へと消えていった

吹雪「……逃げた、のかな?」

五月雨「多分……でも、どうして……?」

吹雪「それはわからないけど……まあ、助かったんじゃないかな」

五月雨「……そっか」

吹雪「……」

吹雪「……とりあえず、センサーはまた妖精さんに頼んで修理してもらおう」

吹雪「明日のお昼にも来るだろうし……」

五月雨「……うん、そうだね」

吹雪「それで、結局何しに来たんだろう?」

五月雨「センサーとカメラを壊しに来ただけ……にしか見えないけど」

吹雪「でもそれだったら、どうして夜にわざわざ……?」

五月雨「センサーに引っかからないように動けるなら、お昼にやろうとしてることをやればいいし……」

二人「うーん……」

吹雪「……今考えても仕方ないね」

五月雨「そうだね……あんまり頭が回らないよ……」

吹雪「とにかく何かしようとしてるなら、夜も油断できない、けど……」

吹雪「毎晩ここにいるわけにはいかないね」

五月雨「え?どうして?実際私は……」

吹雪「そ、れ、が!ダメなの!」

五月雨「ええ!?」

吹雪「五月雨ちゃん、夜に訓練してるってことは、あんまり寝てないでしょ?」

五月雨「え、えっと……」

吹雪「最近ボーっとしたりするのは、睡眠不足が原因だよ」

吹雪「そんなんじゃ、戦うときに危険だし、何よりみんなに心配かけちゃうよ」

五月雨「は、はい……ごめんなさい……」

吹雪「……だから、夜の訓練、及び見張りは交代制にしよう」

吹雪「他のみんなにも言ってさ」

五月雨「え、みんなにも言うの!?」

吹雪「え、ダメ?何で?」

五月雨「だって……みんなお昼にも頑張ってるのに、夜にも見張りしてもらうってなると悪いし、それに……」

吹雪「それに?」

五月雨「……私が今まで一人で訓練してたのバレると……何か、恥ずかしいから」

吹雪「……ぷっ」

五月雨「あー!何で笑うのー!」

吹雪「あはは、ごめんごめん」

吹雪「別にいいじゃない。悪いことじゃないし」

五月雨「だって、一人で夜に訓練とか、漣ちゃんにベタだとか言われそうだし……」

吹雪「……まあ、それはそうだね」

吹雪「でも実際問題、言わないわけにはいかないでしょ?」

吹雪「今回あのレ級っぽい人が来たことも言わないといけないし」

五月雨「……うん、確かにそうなんだけどね……」

五月雨「わかったよ。じゃあ明日改めて話し合いしようか」

吹雪「うん。じゃあ今日はもう寝よう」

五月雨「そうだね……ふぅ……」

吹雪「……あっ、夜が明けそう」

五月雨「え!?もうそんな時間!?」

吹雪「あれ、そろそろ起床時間じゃ……」

五月雨「い、急いで戻らないとー!」ダダッ

吹雪「あ、五月雨ちゃん!危な……」

五月雨「あっ」コケッ

翌日
昼の襲撃の後、ショキカンジャー本拠地にて


叢雲「……最近五月雨の様子がおかしいと思ったら、そんなことしてたの」

漣「さすが五月雨ちゃん!ベタなことすんね~!」

五月雨「うぅ、やっぱり言われた……」

電「無理はしないほうがいいのです」

叢雲「そうよ。心配したわ」

五月雨「ごめんね、みんな……」

吹雪「それで……どう?」

叢雲「ええ、夜の見張りくらいならやってもいいわ。訓練も足りないと思ってたしね」

電「電ももちろんいいのです。何があるかわからないですから……」

漣「やだ!漣は夜は寝るんだ!」

吹雪「外でテント張って寝ててもいいから」

漣「マジで?じゃあいいよ」

五月雨「いいんだ……」

漣「んで、結局そのレ級さんは何しに来たわけ?」

吹雪「それがわからないんだよ。カメラとセンサーを壊しに来たことしか……」

電「本来なら、それはこちらに気付かれずにできてたわけですよね?」

五月雨「うん、偶然私たちがいたからバレたけど……」

叢雲「……もし、バレずに行えてたらどうなってた?」

吹雪「えっと、まあ今日の襲撃が気付きにくくなってたね」

漣「なんかあそこでやろうとしてることを進めてたかもね」

五月雨「センサーなしでも、私たちはそのうちに気付いたと思うけど……」

電「どっちにしろ、さらに警戒する結果になってたと思うのです」

叢雲「下手したら、本当にあそこに張り込むことになってたかもね……」

吹雪「うーん、本当に何する気なんだろ……」

五月雨「……」

五月雨「……もしかして、本当に何もする気がないんじゃ……?」

漣「んお?どういうこと?」

五月雨「あそこで何かしようとしてるってずっと思ってたけど」

五月雨「本当は何もする気はなくて、私たちに警戒心を持たせることが目的なんじゃないかな」

電「確かに、警戒は実際していますが……」

叢雲「でも、だったらなんなのよ。私たちに警戒させて何の得があるのよ?」

五月雨「うん……。だから、もしかしたら……」

五月雨「あそこで何かしようとしてるって思わせて、私たちをあそこに張り付けて」

五月雨「……いつも来る場所とは別の場所で、『本当の目的』を達成しようとしてるんじゃないかな」

四人「……!」

吹雪「……確かに、そうかも」

電「それなら、夜間にセンサーを壊そうとしてたことにも納得がいくのです」

叢雲「もしそれが本当なら……正直、効率がいいかは謎ね」

五月雨「……うん」

漣「まあそういう作戦を立てるのは悪の組織ならではだからの」

吹雪「でも仮にそうだったとしても、どうやって対処する?」

吹雪「別の場所の調査するにしても、鎮守府近くまで来てるあの人たちを放置しておけないよ」

五月雨「そうだね……どうしようか」

叢雲「二手に分かれるのはどうかしら?」

叢雲「一組は敵を倒して、もう一組はその『本当の目的』を調査するっていうの」

漣「うん、まあ無難な手ですな」

電「でも、さっき言ってたレ級そっくりな人が攻めてきたら大変なのです」

吹雪「確かにそう考えると、戦う時には五人そろってたほうがいいけど……」

五月雨「下手に動くと、敵の作戦を探ってることに気づかれそうだし……」

五人「……」

五人「……あ」

最初の襲撃から約一か月後


リー「ふぅ……毎日毎日疲れますね」ガサガサ

ルー「そういわないの。そろそろアレが完成するでしょ?」

リー「あー、そうらしいですね。リトウ様が言ってましたね」

ルー「ええ、だからもうひと踏ん張りよ」

ルー「さ、今日も奴らを呼び出すわよ」

リー「はーい」スッ


ジリリリリリリリリリリリリリ!!!

ルー「よし。あとは少し待てば……」


ガサガサッ

リー(ん、あいつら、いつもより来るの早い?)


シュバッ!

ルー「む、来たわね!」

リー「……あれ?」

ルー「覚悟しなさい!ショキカン……ジャー?」




大井「……」

ルー「あ、あれ?」

リー「だ……誰?え?ショキカンジャーは?」

大井「……」パカッ

大井「出撃!」カチッ


シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……

大井の体に、スーツが装着されていく!


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

ルー「何!?まだ味方がいたのあいつら!?」

大井「……残念だったわね。あなたたちの作戦はもうわかってるのよ」

ルー「な、なんですって!?」

大井「あの子たちは本丸を叩きに行ってるわ。あなたたちの相手は、この私よ」

リー「ル、ルーさん!逃げましょう!ここにいたらまずいですよ!」

ルー「慌てるんじゃないわよ!相手は一人、大したことないわ!」

ルー「戦闘員、行きなさい!」

イーたち「イーッ!!」ババッ

大井「……なめられたものね」チャキッ


ドカァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!

一方そのころ
これまで襲撃があった場所と真反対に位置する、鎮守府敷地外の森


???「さて……もう少しで完成ね」カチャカチャ

???「リーの動きがバレた時はどうなるかと思ったけど、なんとかこの陽動作戦でここまで来たわ」

???「ふっふっふ……私の作戦は完璧よ」

???「これが完成すれば、艦娘殲滅に大きく近づくわ……ふっふっふ」


「そうはさせません!!」

???「!?」

離島棲姫?「ショ、ショキカンジャー!?どうしてここに!?」

吹雪「離島棲姫そっくり……あなたがリトウですね!」

五月雨「毎日怪人や戦闘員たちに襲撃させて私たちの警戒を集中させるという、あなたの作戦はわかっています!」

漣「効率いいのか悪いのかよくわからない作戦しやがって!」

リトウ「な、何よ!効率とかどうでもいいのよ!」

叢雲「どうでもいいわけないでしょ」

電「ゴスロリに白衣のファッションもよくわからないのです」

リトウ「別にいいじゃない!悪の組織の女幹部でゴスロリの天才科学者で美少女!私を超えるキャラはそういないわ!」

漣「でもあんたら女幹部しかいないじゃん」

電「女幹部は、数ある幹部や怪人の中で一人二人いるから目立つのです」

叢雲「女幹部だらけじゃねぇ……」

リトウ「うっ……!私たちが地味に気にしてることを!」

吹雪「えっ、気にしてたんだ」

リトウ「でもルー達の報告では、あなたたちは常に五人で戦ってて、ここには来てなかったはず!」

吹雪「ええ、確かにそうです」

叢雲「でも私たちには、頼りになる仲間がもう一人いたのよ」

電「その人に鎮守府付近の調査を頼んで、そして昨日やっとあなたを見つけたのです」

五月雨「……あそこにあった機械と同じものをここでも作ってたみたいですが」

リトウ「うっ……」

吹雪「艦娘殲滅に近づくって……何をしようとしているんですか!」

リトウ「こ、答える義理はないわ!」

漣「答えないなら……ひっ捕らえて恥ずかしい目にあわせてやるよぉ!」

リトウ「!は、恥ずかしい目って……?」

漣「五月雨ちゃんと同じ、腋丸出しの服着せてやるよぉ!」

五月雨「……え?」

リトウ「!そ、それは恥ずかしい!」

五月雨「ええ!?」

吹雪「とにかく!あなたを捕らえて、色々と話してもらいます!」

リトウ「そうはいくものですか!出てきなさい!」パチッ


シュバッ

何者かが木陰から現れた!

五人「!!」


レ級?「……」

五月雨「あの時の……!」

リトウ「この子の名前はレー。私が作った超強い怪人よ」

リトウ「これまでもちょいちょいここに送ってたけど……まだ未完成だったから、本格的な戦闘まではさせられなかったわ」

リトウ「でも、この子はもう完成形よ。勝てるかしら?」

五月雨「……あの時より、強い……」

吹雪「……五月雨ちゃん」

五月雨「……うん、大丈夫」

吹雪「……」

吹雪「みんな、行くよ!」


五人「抜錨!!」

カチッ

シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……

五人の体に、スーツが装着されていく!


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエロー!」

五月雨「五月雨ブルー!」


吹雪「五人そろって!」

五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」

バァァァァァァァァァァァァァァン!!!

叢雲「はぁっ!」ブンッ!

レー「……」シュバッ

叢雲「……っ」

叢雲(聞いていた通り、なかなか素早いわね……)

電「えいっ!」ブンッ!

レー「……」シュバッ

電(っ!背後に……!)


ドガッ!

電「うっ……!」ズザッ

漣「コノヤロー!食らいやがれ!」バシュバシュッ

レー「っ!」シュバッ

吹雪「はぁっ!」ブンッ

レー「!!」


漣が放った矢をレーが避けた隙をついて、吹雪が剣を振り下ろす!


バシッ!

吹雪「……っ!」

しかし、片腕で剣を弾かれてしまう!

叢雲「このっ!」ブンブンッ!

吹雪「まだまだ!」ブンブンッ!

レー「……」バシバシバシッ!


レーは吹雪と叢雲による連続攻撃を、両手で弾いていく!

叢雲(くっ……二人がかりでも弾かれる……)

吹雪(……でも、今なら隙が!)チラッ


五月雨「たぁー!!」ブンッ

レー「……!」

レーの背後から、五月雨が刀を振り下ろした!

レー「……」


バッ!

吹雪「え!?」

叢雲「な!?」

シュバッ クルッ

五月雨「え!?」


スカッ

レーは吹雪と叢雲を振りほどき、宙返りで五月雨の攻撃をかわした!

レー「……」ドガッ!


五月雨の背後に着地したレーは、そのまま五月雨に蹴りを食らわせる!


五月雨「うぁっ……!」ズザザ

吹雪「五月雨ちゃん!」

五月雨「くっ……」

吹雪「五月雨ちゃん、下がって……」

五月雨「まだ……まだ!」ダダッ


五月雨は起き上がり、レーへと向かっていく!

吹雪「!?ダメ、危ない!」

五月雨「やぁーっ!」ブンッ

レー「……」シュバッ

五月雨(やっぱり避ける……でも!)スッ


ザパァァァァァァァァァァァァ!!!

レー「!」

五月雨はレーに向けて刀から水を放出した!


レー「……!」フラッ

五月雨(これで隙ができる!目もすぐには開けられない!)

五月雨「これで……!」ブンッ

レー「……」


ガッ

五月雨「!!?」

五月雨(完全に隙を突いたと思ったのに……こっちを見ずに刀を掴んできた!?)

レー「……」グイッ

五月雨「!!」


レーは五月雨ごと掴んだ刀を引き寄せ、そのまま五月雨に強烈な蹴りを叩きこむ!

ズドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!


五月雨「うわあああああああああああ!!!!」

五月雨「うっ……」ヨロッ

レー「……」スッ


レーは体勢を崩した五月雨に、追い打ちをかけようと近づいてくる

五月雨「……っ!」


五月雨(……やっぱり、私なんかじゃダメなのかな)

五月雨(私なんかが……みんなみたいに強くなるなんて無理だったのかな)

五月雨(この人に勝つなんて……できないのかな)

五月雨(いくら頑張っても……努力しても……)


五月雨「私は……弱いままなんだ……」

シュバババッ!

突如、レーに無数の矢が襲い掛かる!


レー「!!」シュバッ

五月雨「!」

漣「五月雨ちゃんから離れやがれ、このヤロー!」

五月雨「漣ちゃん……!」


レー「……っ」ダッ

レーは漣に向かって走り出す!

電「こっちなのです!」ブンッ

レー「!!」ガッ


グググ……

レーは電の攻撃を受け止めるが、電がわずかに押している!


レー「……!」グググ

叢雲「そこっ!!」ブンッ

レー「!!」


ズガァァァァァァァァァァァン!!!

叢雲「……ふぅ……ほんと、すばしっこいわね」

レー「……」


すんでのところで、レーは叢雲の攻撃を避けていた

五月雨「……」

吹雪「五月雨ちゃん、無事?」

五月雨「……ごめんね」

吹雪「え?」

五月雨「……私は、やっぱり駄目だなぁ……」

五月雨「……また、みんなに助けられて……」

吹雪「……」

吹雪「五月雨ちゃん。私たちは一人で戦ってるんじゃないんだよ」

五月雨「……っ」

吹雪「誰も……一人じゃあの人を倒せない」

吹雪「みんなで協力して倒さないといけない……」

吹雪「そして……それには、五月雨ちゃんも必要なんだよ」

五月雨「……!」

吹雪「もっと、仲間を頼っていいんだよ」

吹雪「私たちも……五月雨ちゃんを頼るから」

吹雪「みんなで、一緒に戦おう」

五月雨「……」

五月雨(……どうして忘れてたんだろう)

五月雨(私たちは一人じゃない。一人だけで戦ってるんじゃない)

五月雨(一緒に戦って、支えあって……本当の『強さ』を持って戦えるんだ)

五月雨(仲間がいるから……私は戦える)

五月雨(仲間がいるから、希望が持てる……!)


五月雨(仲間がいる限り、私は諦めちゃいけない!!)



五月雨「……ありがとう、吹雪ちゃん」

五月雨「一緒に……戦おう!!」

吹雪「……うん!」

五月雨(……あの人はかなり素早い。普通に攻撃しても避けられちゃう)

五月雨(大きな隙を作って、そこに強い一撃を与えないといけない……)

五月雨(隙を作るのに一番いいのは電ちゃんの重力操作だけど……)

五月雨(電ちゃんはどうしても攻撃が大振りになっちゃう。そのための一撃が簡単に入るとは思えない)

五月雨(……もしくは……少しの隙をついて攻撃をする……)

五月雨(『アレ』を使えば……)



吹雪『五月雨ちゃん!?』

五月雨『これしかない……!やってみるよ!』チャキッ


五月雨『なんで……っ!どうして……?』



五月雨「……っ」

五月雨「……みんな、お願い!レーに隙を作って!」

叢雲「隙って……そんなに大きな隙は作れそうにないわよ!」

五月雨「少しでいいの!少しでも隙があれば……!」

吹雪「っ!五月雨ちゃん、まさか……」

五月雨「……」コクリ

電「……了解なのです!少し足止めするくらいならできるのです!」

漣「よっしゃ!やってやるよー!」

漣「ほいほいっ!」バシュッバシュッ!

レー「……」シュバッ

漣「やっぱり避けるか!でもまだまだ!」バシュバシュッ!

レー「……!」シュバッ

電「逃がさないのです!!」ブンッ

レー「っ!!」バッ


レーは電の振り下ろしたハンマーを、間一髪のところで回避する!

レー「……」スッ

レーはそのまま電に接近し、攻撃を加えようとする!


叢雲「そこっ!」ブンッ!

吹雪「はぁっ!!」ブンッ!

レー「!?」ガッ


しかしそこへ叢雲と吹雪が横から同時に武器を振り下ろし、レーは思わず両手で武器をつかんだ!

吹雪「五月雨ちゃん!」

五月雨「うん!」カチャッ


五月雨はアンカーパーツを刀に取り付けた!


五月雨(……大丈夫!)

五月雨(みんなが作ってくれたチャンス……絶対無駄にしない!)

シュンッ

レー「!?」

五月雨「やぁーっ!!!」


五月雨は高速でレーに近づき、すれ違い様に斬りつけた!

ズバァァァァァァァァァァァッ!!


レー「……!!」

五月雨「まだまだ!!」クルッ


シュンッ

レー「っ!!」

ズバァァァァッ!!

五月雨はレーに向き直り、再び高速でレーを斬りつける!


五月雨「はぁっ!たぁっ!!」

ズバッ! ズバッ!

五月雨は何度も高速で接近し、斬撃を浴びせていく!

レー「……っ」フラッ

シュンッ

レー「!!」

五月雨「はああああああああああああああ!!!!」


ズガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!

レー「……っ」ヨロッ

五月雨「よしっ……!みんな、トドメだよ!」

吹雪「了解!!」


電「アンカーハンマー!」ヒュンッ

漣「デッキアロー!」ヒュンッ

叢雲「マストランス!」ヒュンッ

五月雨「キールブレード!」ヒュンッ

吹雪「ブリッジソード!」ヒュンッ


ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!!

五人が投げた武器が空中で合体し、バズーカとなった!


五人「デストロイキャノン!」

漣「目標捕捉!」

電「照準よし!」

叢雲「充填完了!」

五月雨「発射準備完了!」


吹雪「ってえええええええええええええええええええ!!!!!!」


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!


レー「……!!」


ドカァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!

リトウ「そ、そんな……レーが負けるなんて……」

リトウ「私の作った超強い怪人が……どうして!?」

吹雪「さて……リトウ。あなたが何をしようとしていたか、話してもらいましょうか」

リトウ「くっ……まだよ!まだ……!」スッ

リトウ「このスイッチを押せば……!」カチッ

五月雨「無駄な抵抗はやめてください!」

電「そうなのです。これ以上は……」


ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!


五人「!?」

漣「な、何事!?」

叢雲「どこから音が……」

吹雪「……!みんな、あそこ!」

四人「!!」


レー「……」

遠く離れた森の中に、巨大化したレーが現れた!

五月雨「ど、どういうこと!?」

リトウ「ふっふっふ!奥の手を残しておくのは科学者の基本よ!」

リトウ「巨大化したレーにはさすがに勝てないはずよ!覚悟なさい!ふーっはっはっは!」ダダッ

電「あ、逃げたのです!」


叢雲「くっ……あのゴスロリめ……!」

漣「倒した後に怪人が巨大化とか、マジでやってくるとか思わなかったよ!」

吹雪「ど、どうしよう!?このままじゃ……」

ズシーン…… ズシーン……


叢雲「少しずつこっちに近づいて来てる!このままだと鎮守府が危ないわ!」

電「でも、このまま戦いに行っても倒せるとは思えないのです……」

吹雪「……っ」


ピピピピピピピッ


吹雪「……?通信?」

漣「誰か間違えてボタン押しちゃった?」

吹雪「いや、自分の色のボタンが点滅してる……」

五月雨「ってことは……明石さんたちから!?」

ピッ

明石『もしもしみんな?聞こえるー?』

吹雪「明石さん!」

明石『今すぐ港まで来て!巨大ロボ使えるよ!』

五月雨「え、もう帰ってきてるんですか!?」

明石『ついさっきね!ロボのパーツ持って帰ってどうしようかと思ってたら、なんか巨大な敵が見えて……』

明石『こりゃあ早速ロボの出番でしょ?だから早く来て!』

明石『すぐに使える準備は整ってるから!』

吹雪「わ、わかりました!すぐ行きます!」



そこには赤、黒、ピンク、黄色、青の五隻の船があった!


叢雲「うわっ!なにこれっ!」

電「はわわ、大きいのです……」

明石「みんなー、こっちこっち!」

五月雨「あ、明石さん!」

吹雪「明石さん、これがもしかして……」

明石「そう、これが変形して巨大ロボ『ショキカンオー』になるよ!」

明石「さあさあそれぞれの色に乗った乗った!」

吹雪「明石さん、とりあえず操縦席まで来ました!」

明石『よーし、じゃあ早速合体だよ!』

漣「ヨッシャー!キタコレ!」

五月雨「それで、どうすれば?」

明石『全員、操縦席の右の方に大きなレバーがあるでしょ?それを同時に引いて!』

明石『それでその時、「駆逐合体!」って叫んでね』

叢雲「叫ばないとダメ?」

明石『駄目です』

吹雪「みんな、準備はいい!?」

叢雲「ええ、いいわ!」

漣「いつでも来いよ!」

電「問題ないのです!」

五月雨「うん。大丈夫だよ!」

吹雪「よし、それじゃ……」


吹雪「せー、のっ!」グイッ

五人「駆逐合体!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

ヒュォォォォォォォォォォ

五隻の船が空中で合体し、一つの巨大なロボットになる!!

ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!


五人「完成!ショキカンオー!!」

ショキカンオーコックピット


吹雪「ほ、本当にロボットになった……」

漣「うーむ、素晴らしいね!」

叢雲「って、感心してる場合じゃないわ。早くレーを倒さないと!」

電「もう結構近くまで来てるのです!」

五月雨「明石さん、操作方法は!?」

明石『その辺のレバーとかボタンを適当にガチャガチャやったら何とかなるよ!』

吹雪「えぇ……」

明石『大丈夫大丈夫!艤装操る感覚でドーンと行っちゃって!』

五月雨「は、はい……」

ドシーン…… ドシーン……


漣「おお、動いた!」

叢雲「な、なんとか上手く歩けてるみたいね」

五月雨「このままいけば……もう少しでレーと接触するね」

電「いよいよなのです……」

吹雪「……行くよ!みんな!」


ブンッ!

レー「……」

ガシィッ!

叢雲「やっぱり普通のパンチくらいは防いでくるわね……」

漣「ひるむな!もういっぱーつ!」


ブンッ!

ガシィッ

レー「……!」ググググ……


電「……!押してるのです?」

五月雨「パワーはこっちの方が上みたいだね!」

吹雪「よーしっ!このまま押し切る!」


グググググ……

レー「……!」


ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!

叢雲「よしっ!地面に倒したわ!」

吹雪「このまま追撃すれば……!」


シュバッ!

五人「!?」

倒れたレーがすぐさま起き上がり、跳びあがった!


漣「うわっ!跳んだ!?」

電「大きいのに身軽なのです……!」

レー「……」ズシィン……

レーはそのままショキカンオーを飛び越え、後ろに回り込んだ!


漣「ど、どこ行ったあいつ!?」

五月雨「後ろだよ!早く回避……」


ズドォォォォォォォォォォォォン!!!


五人「うわああああああああああああああ!!!」グラグラ

叢雲「くっ……後ろから殴りかかるなんて……」

電「早く反撃するのです!」

漣「そうだ、このロボ剣とか持ってないの!?」

五月雨「明石さん、何か武器ないんですか!?」

明石『あるよ!五月雨ちゃんの前の青いボタン押して!』

五月雨「はい!」ポチッ


ウィィィィィィィィィィン ガッシィィィィィィィィィン!!

ショキカンオーの右腕のパーツが一部変形し、剣を持った!

吹雪「よし、これで!」グイッ


ガキィィィィィンッ!!

レー「!」


叢雲「効いてるわ!追撃するわよ!」グイッ


ガキィィィィィンッ!! ガキィィィィィンッ!!

レー「……!」ヨロッ

五月雨「動きが鈍くなってきた……!」

漣「よーし!ここらで必殺技撃って決めるぞい!」

電「必殺技って……そんなのあるのです!?」

明石『あるよ!『ギガデストロイキャノン』っていうのが!』

吹雪「あるんだ!」

明石『みんなの操縦席に、ショキブレスのアンカーパーツを取り付ける台があるの!』

明石『全員同時に、アンカーパーツをそれに取り付けて!』

五月雨「わ、わかりました!」

五人「アンカーパーツ、セット!」カチャッ


ウィィィィィィィィィィン ガッシィィィィィィィィィン!!

ショキカンオーの胸部から、巨大な砲身が現れる!


レー「……!!!」フラッ


五人「ギガデストロイキャノン!!」


吹雪「ってえええええええええええええええええええええええ!!!!」


キュィィィィィィィィィィン……

ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!


レー「!!!」


ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!

吹雪「か、勝てた……」

電「よかったのです……」ホッ

叢雲「え、もしかして今後もこのロボ使うの?」

漣「現に巨大化してるから、その可能性は高いねぇ……」

五月雨「……ロボの操作の訓練も追加だね」

──────────

──────

───


五月雨「……吹雪ちゃんの言う通りだったよ」

吹雪「ん?」

五月雨「みんなで、一緒に戦う……」

五月雨「仲間全員が必要だって」

五月雨「本当に……みんながいないと無理だった」

吹雪「……もちろん、五月雨ちゃんもいなかったらダメだったよ」

五月雨「……そうかな」

吹雪「そうだよ。ちゃんと必殺技使ってくれたでしょ?」

吹雪「五月雨ちゃんがいなかったら、ああやってレーを倒すことはできなかったよ」

吹雪「これまでも……そして、これからも」

吹雪「五月雨ちゃんも……みんなも、必要だよ」

五月雨「……うん」

吹雪「だから、もう弱いなんて言わないでね」

五月雨「あはは……そうだね」

吹雪「……前も言ったけど、私は五月雨ちゃんは強いと思うよ」

吹雪「前に五月雨ちゃんが言ってた……本当の強さが五月雨ちゃんにもあると思う」

吹雪「使えなかったはずの必殺技を、諦めずに使おうとしたんだもん」

吹雪「最後まで諦めない心……それも、強さじゃないかな」

五月雨「……」

五月雨「あの時ね……私、本当は諦めそうになってたよ」

五月雨「でも、みんながいてくれたから……諦めちゃダメだって思えたよ」

五月雨「みんなが一緒に戦ってくれて……チャンスも作ってくれた」

五月雨「それを絶対に無駄にしちゃいけないって思ったんだ」

五月雨「だから、私が諦めないでいれたのはみんなのおかげ」

五月雨「みんなが……仲間がいてくれたから、私は希望を持って戦えたんだよ」

吹雪「……そっか」

五月雨「……だから、これからもよろしくね?吹雪ちゃん」

吹雪「こちらこそ、頼りにしてるよ。五月雨ちゃん」

吹雪「……一緒に頑張ろう!」

五月雨「……うん!」

吹雪「さあ、本拠地いくよ!会議始まっちゃう!」

五月雨「あ、待ってー!」

五月雨(……もっともっと、強くなりたい)

五月雨(仲間と一緒に、希望をもって戦うために!)

五月雨「よーっし!」

五月雨「ショキカンジャー、ブルーの五月雨!頑張ります!」


第六話「ロボットがほしい!」 艦

次回予告!

旧ショキカンジャーのホワイト、大井です
あの子たち、ディープマリンの幹部のほとんどを撃退したらしいけど……
まだ一人、私たちを追い詰めたアイツがいるわ
……今でも忘れられない、あの光景……
仲間がやられていく中で、何もできなかった自分と、奴が許せない
奴を見つけたら、絶対にこの手で……!


次回、第七話「更なる力!?」
次回も見てくださいね、北上さん♪

スペシャルコーナー『ショキカンジャーって?ああ!』
~ショキカンオー~


漣「えー、始まりました。『ショキカンジャーって?ああ!』 のコーナー」

吹雪「今回で五回目か……」

叢雲「早いものねぇ……」

電「今回はショキカンオーなのです?」

漣「まーその前に五月雨ちゃんの必殺技の解説ですな」

五月雨「うん、わかったよ」

五月雨「私のキールブレードにショキブレスのアンカーパーツを取り付けると、高速移動ができるようになります」

叢雲「高速って……どのくらい速いなの?」

五月雨「えっと……わかんない」

漣「レッドバスターくらいらしいよ」

吹雪「うわっ、速いなぁ……」

電「コウワンさんといい勝負なのです」

五月雨「ただ、直線移動しかできないんだよね」

電「カーブとかできないってことなのです?」

五月雨「うん。まあスピード出しながら曲がるのは難しいよね……」

吹雪「ブレーキは掛けられるから、今回みたいに何回も斬りつけることが可能だね」

叢雲「うまく使えば、攻撃以外にも使えそうね」

漣「五月雨ちゃんがドジって高速でぶつからないことを祈ろう……」

五月雨「そ、そんなことしないよ!」

吹雪「それで次は……」

叢雲「私たちの変形合体巨大ロボ、『ショキカンオー』ね」

電「電たちが乗る、五隻の船が変形合体して出来上がるのです」

五月雨「赤が胴体と頭、黒が右脚、ピンクが左脚」

五月雨「青が右腕、黄色が左腕になります」

漣「合体前の船にも攻撃機能とかついてるけど、多分使わんね」

電「コックピットにはそれぞれの席の前に、レバーやボタンがあるのです」

叢雲「それを色々ガチャガチャやって操作するわ」

吹雪「えぇ……」

五月雨「私の前にある青いボタンを押せば、剣を装備するよ」

吹雪「基本的にその剣で戦うことになるかな」

漣「その他にも色々特殊な機能があるとかないとか……」

吹雪「そして、全員がアンカーパーツを台にセットすることで、必殺技が撃てます!」

漣「その名も『ギガデストロイキャノン』!超強力なビーム砲だよ!」

電「しかし、撃つには結構なエネルギーが必要なのです」

五月雨「一回撃ったら、しばらくは撃てないね」

叢雲「デストロイキャノンと同じで、とどめで使うしかないわね」

漣「で、このロボ使った後ってどうなんの?」

吹雪「どうって?」

漣「今回戦った森とか、ぐちゃぐちゃなんじゃないかなって」

電「……環境破壊なのです?」

五月雨「……大丈夫なの?これ」

叢雲「……深く考えたらだめよ」


今日はここまで。二か月空くとか嘘やん……
一応書ききるつもりではありますが、非常にスローペースになりそうなのでいつ終わるかわかりません……
見てくれてる人も少ないと思いますが、お付き合いいただければ幸いです

ちなみに>>650の上二行はミスです。リメイク前から消し忘れてました

第七話「更なる力!?」


ショキカンジャー本拠地


吹雪「はいはい、それでは第七回ショキカンジャー会議を始めます」


……………


吹雪「……?」

漣「どったの吹雪ちゃん」

吹雪「……いや、何でもない」

漣「……」ニヤリ

叢雲(何こいつ)

五月雨「それで、今日は何を話すの?」

吹雪「うん。この間攻めてきた敵の目的について……」

叢雲「なんか変な機械設置しようとしてたのよね」

電「あれって結局何だったのです?」

吹雪「明石さんたちに何の機械なのか調べてもらったんだけどね」

吹雪「いくつか分かったことがあるらしいから、今から聞きに行こう」

工廠


漣「というわけで来たゾイ、工学部コンビ」

夕張「誰が工学部コンビだ」

大井「大体あってるじゃない」

夕張「メカニックとお呼び!」

叢雲「……って、あれ?大井さん?」

電「大井さんも来たのです?」

吹雪「うん。やっぱり前回のことで大井さんの協力が必要だってわかったからね。情報共有のためにちゃんと呼ぼうと思って」

大井「まあ、他にもちょっと用事があったしね……」

五月雨「それで、あの機械が何かわかったんですか?」

明石「ええ、まあ一応ね」

明石「なんか……ウイルスみたいなのを散布する装置じゃないかって思うんだけど」

漣「は?ウイルス?」

夕張「そう、ウイルス。ナノマシンとかかもしれないけど」

吹雪「何ですか?それ」

叢雲「具体的には何なのよ」

明石「うーん、実はね……肝心の散布する中身が入ってなくて」

夕張「結局よくわかってないのよ」

夕張「しかも、それだけにしては余分なパーツが多いし……他にも何か用途があったのかも」

電「大井さん、前の時はこんなのなかったのです?」

大井「なかったわね……装置の製作自体はしてたかもしれないけど、少なくとも見たことはないわ」

五月雨「それじゃあ、目的はほとんどわからずじまいですね……」

明石「一つ考えられるのは、単純に艦娘を弱らせるためにインフルエンザみたいなウイルスをばらまくこと」

叢雲「あー……今までの奴らの手口を考えると、十分あり得そうね」

大井「もっと凶悪なウイルスである可能性はないの?」

吹雪「確かに、最悪死に至らせるようなものとか……そういうものがあれば、それをばら撒くでしょうね」

明石「そうだね。まあ、そんな感じでバイオハザードを起こすってこと」

漣「仮にそうだったとしたら、超やばかったんじゃね?」

五月雨「うん。何とか回避できてよかったよ……」

夕張「いや、まだ油断はできないよ」

電「え、どうしてなのです?」

夕張「少なくとも、そういう何らかのウイルスだとかナノマシンだとかを持ってるってこと」

夕張「散布は止められたけど、今後の戦いで直接使われちゃったりする可能性もあるわけ」

吹雪「そうか……そのウイルス自体は無力化できてないわけですからね」

明石「ええ。だから、そのウイルスが何かによるけど……」

明石「……気を付けてね」

叢雲「……気を付けるのはいいんだけど」

明石「ん?」

叢雲「いまだに吹雪が必殺技を使えないのどういうことなのよ」

明石「うっ……」

吹雪「そうですよ!私だけいつまでたっても使えないんじゃ、いくら気を付けても戦力的に不安なんですよ!」

夕張「だ、だって原因がわからないんだもの……」

五月雨「私が使えるようになったのもついこの間ですし……単純に武器の扱いだけの問題じゃないですよね?」

電「早めにどうにかしたいところなのです」

明石・夕張「うぅ……」

大井「……いい加減白状したら?」

夕張「お、大井……」

吹雪「大井さん、何か知ってるんですか?」

大井「ええ、一応ね」

明石「わ、わかったよ、白状するよ……」

明石「本当は、どうして必殺技が使えないかは予想がついてるの」

漣「えぇ……」

明石「まず、最初に武器を作った段階で叢雲ちゃんが必殺技を使えなかったのは、敵さんが言ってた通り」

明石「単純に武器に慣れてなかったから、暴走しないようにリミッターがかかっちゃったわけ」

夕張「それは別としても、その時の戦いから武器の力不足を感じてたからさ」

夕張「武器をもっと改良しないといけないって二人で話してたんだけど……」

夕張「ちょうどその頃、戦隊パワーの解析に成功して、技術に組み込めるようになったんだよ」

電「そういえば、戦隊パワーは実在することがわかってたのです」

夕張「いやあ、みんなの持つ戦隊パワーはすごいよ……これはうまく使えば、戦力アップにつながるって思ったのよ」

五月雨「えっと、つまり……」

明石「……そう、つまり私たちは戦力増強のために武器とショキブレスを改造し!」

明石「戦隊パワーに比例して武器やスーツの性能を上げることに成功したのだぁ!!」

五人「な、なんだってーーー!!」

吹雪「つ、つまり戦隊パワーが高まればその分強くなるってことですか!?」

明石「その通り!ただし戦隊パワーの高め方は未だによくわかんないけどね!」

叢雲「そこ一番肝心なところじゃないの」

漣「んで、そのことと吹雪ちゃんが必殺技使えないウーマンになってることにどんな関係が?」

夕張「それなんだけど……必殺技を使うには、それなりにエネルギーが必要なわけ」

夕張「で、こうして戦隊パワーをエネルギーとして使うことができるようになったから……」

五月雨「……ある程度戦隊パワーが高まらないと、必殺技が使えないってことですか?」

明石・夕張「その通り!!」

五人「……」

叢雲「……事情は分かったけど……」

吹雪「よ、要するに私の戦隊パワーが必殺技を使うのに十分高まってないってことですか!?」

明石「正確には『高まったことがない』かな。一定の戦隊パワーを検知すると、リミッターは外れるからね」

明石「そうしたら、比較的小さな戦隊パワーでも使えるようになるよ。負担は少し大きいけど」

電「どちらにしても、吹雪さんの戦隊パワーが足りていないわけですね」

漣「でも何でなん?さっきよくわかんないって言ってたけど、戦隊パワーってヒーローっぽい恰好とか言動とかで高まるんでしょ?」

五月雨「装備や戦い方でそこまで差がついてるとは思えないんですけど……」

夕張「まず、装備とかで戦隊パワーが高まってるのは確かなんだけど……やっぱり、一概にそれだけで高まるとは言えないみたい」

大井「多分、直接的に装備や言動と、その……戦隊パワー?が関わってるわけではないと思うのよね」

明石「私たちもそう思うの。だから、差が付くとしたら装備とかは関係ないと思うね」

電「でも、どちらにしても吹雪さんだけ戦隊パワーが小さい理由がわからないのです」

夕張「いや……それがね」

漣「んお?」

夕張「昨日、みんなが訓練してるときに物陰からこっそりみんなの戦隊パワーを測定したんだけど……」

吹雪「そんなことできるんですか……」

夕張「結果、ほとんど差は見られなかったわ」

吹雪「え、じゃあ私だけ戦隊パワーが小さいわけじゃないってことですか?」

明石「そう。大井さんも含めて、通常戦闘時の戦隊パワーは大体同じみたい」

夕張「だから必殺技が使えないのは、また別の理由なのよ」

電「じゃあどうしてなのです?」

明石「それは……えーっと……」

叢雲「あーもう!回りくどいわね!わかってることをさっさと教えなさいな!」

五月雨「む、叢雲ちゃん落ち着いて!」

明石「ごめんごめん!結論を言うとね……」

明石「単純な話。吹雪ちゃんの必殺技だけ、要求する戦隊パワーが少しだけ大きいんだよ」

吹雪「私だけ……ですか?」

明石「そう。まあ吹雪ちゃんのはかなり無茶する技だからね……万一のことがないように少しだけ高めに設定してるのよ」

漣「要するに、吹雪ちゃんだけちょっとリミッター強め……と」

夕張「そうそう。そういうこと」

吹雪「はあ……何となく理解はできましたけど……」

明石「だから解決策は二つ。要求度を下げるか……どうにかして吹雪ちゃんの戦隊パワーを上げるか」

夕張「要求度は武器とショキブレスをちょっといじれば下げられるよ」

夕張「ただ、さっきも言った通りリミッターが強いのは負担を考えてのことだからね」

吹雪「……どうしよう」

五月雨「吹雪ちゃんのいいようにすればいいと思うよ」

電「そうなのです。吹雪さんが決めるのです」

吹雪「うーん……」

吹雪「……とりあえず、今のままでいいです。そのうち戦隊パワーも上がるかもしれないですから」

叢雲「でも、戦隊パワーがほとんど同じなら……五月雨はどうしてこの間まで使えなかったのよ」

五月雨「あっ、確かに!どうしてなんですか?」

明石「その後に戦隊パワーがみんなと同じくらいまで上がったんじゃない?」

漣「ほう、シンプルないい答えだァ……」

吹雪「……って!それ、大事なことなんじゃないんですか!?」

吹雪「それで戦隊パワーを上げる方法がわかるかもしれないんじゃ……!」

夕張「おー、そうだね。って言っても、何かわかる?五月雨ちゃん」

五月雨「いえ、正直何も……」

大井「……とりあえず、具体的な話を聞かせてもらえるかしら」

五月雨「は、はい……」

──────────

──────

───

五月雨「……なので、正直私にもよく……」

大井「……なるほどね」

夕張「大井、何かわかったの?」

大井「ええ……まあ、大したことではないけどね」

大井「やっぱりその戦隊パワーは、以前言ったように特殊な精神エネルギーである可能性が高いわ」

大井「つまり、その強さは精神に寄与するってことね」

吹雪「精神……ですか」

大井「そう。何か迷いがあったりだとか、恐怖を感じたりだとか……」

大井「精神的に不安定だったりネガティブな感情を持っていたりすると、弱くなるんじゃないかってことよ」

五月雨「なるほど……」

漣「ブレイドのライダーシステムみたいなもんか」

叢雲「じゃあ、精神が安定していれば戦隊パワーは高まるってわけ?」

大井「安定っていうか……『強い思い』を持つことがいいのかもしれないわね」

電「強い思い?」

大井「闘志を燃やす、って言ったらいいのかもしれないわね」

大井「とにかく、この戦隊パワーは精神状態によって左右するってことよ」

明石「なるほど、確かにそれは十分考えられるね」

夕張「ますますヒーローっぽくなってきたね」

吹雪「でも、そうなると戦隊パワーを高めることは簡単ではないですね……」

大井「そうね。まあ、気を張ることはないわ。あくまでも仮説だし」

電「そういえば……どうしてこんな大事なことを明石さんたちは黙ってたのです?」

五月雨「本当ですよ!必殺技についたはこの間も相談したじゃないですか!」

明石「うぐっ!そ、それは……」

夕張「武器を改造した後、戦隊パワーのことみんなに伝えるのすっかり忘れてて……」

明石「怒られると思って、今更言い出しづらくて……」

叢雲「子供かっ!?」

漣「ないわぁ……」

大井「まあ、おかげであなたたちの戦力が増強してるのは事実よ」

大井「ただでさえでディープマリンに特効とされてる戦隊パワーに比例して、装備の性能まで上がるんだもの」

吹雪「はい。確かにそれは素晴らしいですし、すごく助けられたと思います」

電「でも、大事なことはちゃんと言ってほしいのです」

大井「その通りね。ちゃんと情報は伝えるべきよ」

漣「やめてよね」

明石・夕張「本当に申し訳ない……」

五月雨「それはともかく、色々とありがとうございました」

叢雲「そうね。なんかやばそうなもの持ってるかもっていうのはわかったし」

明石「うん。もしまた何かわかったら知らせるね」

吹雪「じゃあ、私たちは訓練に行きますね」

電「大井さんはどうするのです?」

大井「私は、まだこの二人と話があるからこのまま残るわ」

吹雪「何かあるんですか?」

漣「そりゃあ裏金取引よ……」ククク

大井「そんなわけないでしょ……」

大井「……全く、さっさと教えておきなさいよ」

夕張「そんなこと言ってー。大井だってあのこと隠してるじゃない」

大井「……別に隠してるわけじゃないわ。聞かれなかったから答えただけよ」

明石「まあちゃんと完成してから知らせた方が面白いからね!」

大井「……」

夕張「それで、どんな感じ?」

大井「ええ、そうね……」

数日後

ショキカンジャー本拠地


吹雪「うーん……」ズーン

漣「どったの吹雪ちゃん。眉間にしわ寄せて」

叢雲「そうよ。かわいい顔が台無しよ」

吹雪「かっ、かわいい!?」ボンッ

五月雨「爆発したっ!?」

吹雪「なななな、なに言ってるの叢雲ちゃん!?お姉ちゃんをからかわないでよね!!」アセアセ

電「ちょろすぎるのです」

五月雨「それで、本当にどうしたの」

吹雪「いや……戦隊パワーを上げるにはどうしたらいいか本当にわからなくて」

叢雲「精神に依存するかもって言ってたじゃない」

電「強い思いを持つのです」

吹雪「そうは言っても簡単にできることじゃないよ……」

漣「そりゃあ確かに、訓練したって無理でしょうな」

吹雪「……」

漣「しかし、実際の戦いの中でなら話は別だ……君には資質がある」

漣「いつか君も戦隊パワーを上げて、必殺技を使える時が来るだろう……私はそう信じている」

吹雪「漣ちゃん……?」

漣「だから戦うしかないのだ……ジョジョ」

吹雪「誰がジョジョだ」

叢雲「言い方は変だけど、漣の言う通りよ」

吹雪「え、あんまり意味わかんなかったんだけど」

漣「要するに、今焦ってもしょうがないってことだよ。機を待つべし!」

吹雪「うーん……確かにその通りだよね……」

吹雪「……そうだよね。焦っても仕方ない。今はやるべきことを頑張ろう」

電「それがいいのです!」

五月雨「って言っても、今やるべきことって何?」

叢雲「訓練……はほぼ毎日してるけど」

漣「なんかやんないといけないことあったっけ?」

電「パッとは思いつかないのです」

吹雪「強いて言えば、そろそろ敵の情報をこちらから掴みたいかな」

五月雨「あー……確かに、敵のことについてはあんまりわかってないもんね」

叢雲「そもそもあいつらどこから湧いて出てくんのよ?特に戦闘員!」

漣「それは突っ込んじゃダメダーメ」

電「……そういえば、気になることがあるのです」

吹雪「え、何?」

電「あの時、コウワンさんはあそこで何をしていたのでしょう?」

叢雲「何って……私たちを待ち伏せしてたんじゃないの」

漣「ご丁寧にスピーカー付いた首輪をした猫まで用意して」

五月雨「その前にセンスイさんがあそこまで逃げてるから……私たちがあのあたりを調べに来ることはある程度予想できたかもね」

吹雪「でも、確かにそれだけのために来るかなっていうのはあるね……」

漣「んじゃ、あの例の採石場であの人は何かしてたわけ?」

電「確信は持てないですけど……」

五月雨「あと一応あそこ採石場じゃないよ……」

漣「でも例の採石場に似てるじゃん」

叢雲「そうね……他にやることもないし、あそこを調べてみる価値はあるんじゃないかしら」

五月雨「うん。センスイさんがあっちの方に逃げてたのは事実だし、何かわかるかもね」

吹雪「よし、じゃあ今から行ってみようか」

例の採石場(っぽいところ)


漣「ほらやっぱり似てるよ」

五月雨「そう言われても……」

電「それで、どうやって調べるのです?」

吹雪「まあ怪しいところ、違和感を感じるところがあればそれを調べるのが一番だけど……」

叢雲「とにかく手分けして色々見てみましょう。場合によっては更に奥に……」


ゴゴゴゴゴ……


叢雲「……?」

五月雨「どうしたの?」

叢雲「いえ……何か、地響きみたいな音が……」

電「地震なのです?」

叢雲「さあ……わからないけど」

漣「そういえば異常現象にありましたな、地響き」

吹雪「そういえばそうだっけ」

電「それって、まだ聞こえるのです?」

叢雲「いや……今は聞こえないわ」

漣「じゃあ気のせいだったんじゃない?」

叢雲「そうかもね……」

叢雲(気のせいねぇ……確かに聞こえたと思ったんだけど)


ゴゴゴゴゴ……


叢雲「!!」

叢雲「五月雨!!前方に飛びなさい!早く!!」

五月雨「!?」シュバッ


ボコォッ!

ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!!


突然五月雨がいた地面が隆起し、槍のように突き出した!

五月雨「な、なにこれ!?」

電「地面が突然とんがったのです!?」


ゴゴゴゴゴ……


叢雲「気を付けて!まだ来るわ!」


ボコォッ! ボコォッ!

吹雪「うわぁっ!?」シュバッ

漣「なんぞこれー!!??」シュバッ

五月雨「敵の仕業だよね!?これ!!」

叢雲「多分ね……!だからどっかにこの地面を操ってるやつがいるはずよ!」

吹雪「!!叢雲ちゃん!!」


ボコォッ!

叢雲「っ!!」

ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!

叢雲「ぐあああっ!!」ザシュッ!

電「叢雲さん、大丈夫なのです!?」

叢雲「くっ……大丈夫よ、少し腕をかすっただけ……」

五月雨「このままだとやられる……!変身しないと!」

吹雪「そうだね!みんな、いくよ!」チャキッ

四人「了解!!」チャキッ

五人「抜錨!!」

カチッ

シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン…………

五人の体に、スーツが装着されていく!


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

ゴゴゴゴゴ……

ボコォッ! ボコォッ!


吹雪「ふっ!」シュバッ

電「はわわっ!」シュバッ

漣「変身したはいいけど、どっちにしろこのままじゃジリープアー(徐々に不利)だよ!」シュバッ

五月雨「どこにいるの!?操ってる人は!」シュバッ

叢雲「それがわかったら苦労しないわよっ!」シュバッ

ボコォッ!

五月雨「うわぁっ!?」シュバッ

吹雪「こ、このままだと隆起した地面が邪魔で避けられなくなっちゃう!」

電「ハンマーで一つ一つ壊すのはキリがないのです……」

電「叢雲さん!衝撃波で何とかなりませんか!?」

叢雲「このくらいの範囲なら、なんとかなるかもしれないけど……みんなも巻き添えになるわよ!」

漣「だったら跳べばいいだろ!」

叢雲「はぁ!?」

漣「衝撃波は地面にしか走んないから、その時に漣たちはジャンプすりゃいいってこと!」

叢雲「あーもう、わかったわよ!巻き込まれないよう気を付けてよね!」

叢雲「一、二の、三!!」ブオンッ!


ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!

叢雲が地面に槍を突き刺すと、地面に衝撃波が走った!!

同時に、隆起していた地面も崩れ落ちる!


ガラガラガラガラ……

叢雲「ふぅ……何とかなったわね」

吹雪「ナイス叢雲ちゃん!」

五月雨「でも油断はできないよ!本体を叩いてないから、まだ攻撃は終わらないはず……!」

電「そうなのです!早く敵を見つけないと……!」

漣「くっそー!隠れてないで出てきやがれってんだー!!」


「……フフフ……」

五人「!!」

泊地棲姫?「話に聞いていた通り……面白い……子たちね……」


泊地棲姫に似た人物が、背後から歩いてきた


叢雲「姿を現したわね……」

泊地棲姫?「隠れてて……ごめんなさいね……」

泊地棲姫?「あなたたちと……ちょっと……遊んでみたかったから……フフフ……」

五月雨「……ディープマリンの、最後の幹部ですか?」

泊地棲姫?「ええ、そうよ……私は……ハクチ……」

ハクチ「ディープマリン、最後の幹部……」

漣「っていうことは、大井さんが言ってた隠し玉……!?」

ハクチ「あなたたち……このあたりに何かあると思って……調べに来たんでしょうけど……」

ハクチ「でも……そんなことは……気にしなくていいのよ……」

叢雲「え……?」

ハクチ「だって……あなたたち……」


ハクチ「ここで……終わりだもの……!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

五人「!!?」


地面が巨大な手の形に隆起し、襲い掛かってきた!

漣「な、なんぞこれ!?」

電「えーいっ!」ブンッ

ドゴォッ!

電「っ……ギリギリ防げましたが……」

ハクチ「フフフ……流石に……このくらいは……防ぐみたいね……」

ハクチ「でも……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

五人を取り囲むように、地面から複数の手が生えてきた!


五人「うわぁ!!?」

ハクチ「私の……能力は……ご覧のとおり……」

ハクチ「基本は……地面を……隆起させたりして……操る能力だけど……」

ハクチ「応用すると……このように……腕を生やせたり……するわ……」

ハクチ「時間をかければ……もっとすごいことも……」

吹雪「まずい……数が多すぎる」

五月雨「このまま襲われたら……」

ハクチ「フフフ……」

ハクチ「行きなさい……!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!

叢雲「でも甘いわね!衝撃波で壊せることは確認済みよ!」

漣「やっちゃえー!叢雲ちゅわーん!!」

叢雲「みんな!ちゃんと避けなさい……よっ!」ブォンッ!


ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!

ガラガラガラ……


吹雪「よし、崩れた!」

叢雲「ふふん、ざっとこんな……」

叢雲「……っ!?」

ハクチ「フフフ……」


囲んでいた大量の手が崩れると、さらにその外側を大砲のようなものが五人を囲んでいたことに気が付いた!

五月雨「な、なにこれ!?」

漣「こんなのも作れんのかよー!!」

ハクチ「当然でしょう……私は……大地を意のままに操れるのよ……」

ハクチ「さあ……撃ちなさい……!」バッ


囲んでいた大砲が、五人に向かって一斉射撃を放つ!

ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!


「うわああああああああああああああ!!」

ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……


ハクチ「……」

ハクチ「……惜しかったわね……もう少しで……仕留められたのに……」

五人「……っ」


五人は、囲まれていたはずの大砲よりも、外側に移動していた!


五月雨「はぁ……はぁ……」

電「あいたた……」

吹雪「た、助かったよ五月雨ちゃん……」

五月雨「ご、ごめんみんな……加速してもこれが精一杯で……」

叢雲「大丈夫よ……あのままじゃどっちにしろやられてたし」

吹雪(砲撃の寸前、高速移動と水の射出を利用して、みんなを弾き飛ばして脱出……あの状況じゃ、これが最善手だよね)

吹雪(とにかく助かった……)

ハクチ「まあ……この程度で終わるとは……思ってなかったけどね……」

ハクチ「あのお方が……いい加減……邪魔になって……消したくなるのもわかるわ……」

吹雪「あのお方……?」

漣「なんだ?ディープマリンのボスか?」

ハクチ「……そうよ……ディープマリンのボス……センカン様……」

ハクチ「あのお方が……あなたたちは……邪魔だっていうから……私が……消しに来たのよ……」

叢雲「ふん、そう簡単に消せるかしら?」

ハクチ「……確かに……このまま……遊んでても仕方ないものね……」

ハクチ「だから……そろそろ……」

ハクチ「お遊びは……終わりにしようかしら……」パチンッ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!

五月雨「また地響き!?しかも、さっきまでより大きい!」

電「というか、地面が揺れてるのです!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!


吹雪「ハクチ!一体何を……!」

ハクチ「フフフ……あれを……御覧なさい……」スッ

五人「……!?」


ハクチが指さした先では、遠くの小山の一部が変形し、岩石の巨人へと変化していた!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!

叢雲「何よあれ……!また巨大な敵!?」

漣「また出やがった!」

ハクチ「私が本気を出せば……あれくらいできるのよ……」

ハクチ「かなり疲れるし……時間もかかるから……前もって準備してたんだけどね……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!

ボゴォッ!!!

ズシィィィィィィィィィィィン……

岩石の巨人が完全に形作り、地面に降り立った!

電「か、完成しちゃったのです!」

ハクチ「あの子は……自律して動いて……あなたたちを潰そうとするわ……」

ハクチ「せいぜい……踏みつぶされないように……することね……」スッ

叢雲「ちょっと!逃げるつもり!?待ちなさ……」


ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!

五人「!?」

五人とハクチとの間で、地面が隆起して巨大な壁ができた!


叢雲「あーもう!邪魔よコレ!」ドカッ

五月雨「これは逃げられちゃったね……」

漣「どうする!?追う!?」


ズシィィィィィィィィィィィン…… ズシィィィィィィィィィィィン……


吹雪「いや、先にこっちをどうにかしないと!」

吹雪「明石さんたちに連絡して、ショキカンオーを呼ぼう!」

ピピピピピピピッ


明石『はい、こちら明石!』

吹雪「明石さん!緊急事態です!」

明石『わかってる!ショキカンオーでしょ!?』

五月雨「え、なんでわかったんですか!?」

明石『なんか地震起こったと思ったら、変なでっかい巨人みたいなのが遠くに見えたから!』

明石『既にそっちの方に船発進させてるよ!』

漣「さすが明石さん!仕事が早いぜ!」

電「でもここ、水がないのにどうやって船が来るのです?」

明石『実はあれ飛べるから!』

五人「うそぉ!?」

ゴォォォォォォォォォォ……

五隻の船が、五人のもとへと飛んできた!


吹雪「うわあ、本当に来たよ!」

漣「そういや合体するときに飛ぶしな」

明石『あとは前回と同じようにやってね』

明石『あ、そうそう!もしかしたら大井さんがそっち向かってるかも!』

叢雲「大井さんが?」

明石『うん。さっきまで一緒に工廠にいたんだけど、なんかその巨人みたいなのを見た途端にどこかに行っちゃって……」

明石『そっちの方に向かったのかなって』

五月雨「わかりました……」

電「大井さん……こっちに向かってるのでしょうか?」

叢雲「多分そうだろうけど……でも、巨大戦力がないのにどうするつもりかしら?」

五月雨「……ハクチさんが、狙いなんじゃないかな」

吹雪「え?」

五月雨「だって……ハクチさんって、大井さんの仇なんでしょ?」

吹雪「……!そうか、大井さんの仲間はハクチに……」

漣「でも一人で戦うなんて危険じゃん!放っておくわけには……」


ズシィィィィィィィィィィィン…… ズシィィィィィィィィィィィン……


五月雨「……でも、こっちの方も放っておけないね」

吹雪「しょうがない……大井さんとハクチのことは気になるけど」

吹雪「急いでこの巨人を倒して、大井さんを助けに行こう!」

四人「了解!」

五人「駆逐合体!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………

ヒュォォォォォォォォォォ

五隻の船が空中で合体し、一つの巨大なロボットになる!!

ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!


五人「完成!ショキカンオー!!」

その頃

例の採石場(っぽいところ)のはずれ


ハクチ「……なるほど……あんなものが……あったのね……」

ハクチ「でも……私の人形も……一筋縄では……いかないからね……」


ザッ

ハクチ「……あら……?」

大井「……」

ハクチ「あなた……さっきの子たちの……お仲間……?」

ハクチ「何の……用かしら……?」

大井「……」パカッ

大井「……出撃」カチッ


シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン…………

大井の体に、スーツが装着されていく!


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

大井「仇を……取りに来たわ」

ハクチ「……」

ハクチ「……ああ、その姿……思い出したわ……」

ハクチ「そう……あの時……逃げ帰った子ね……フフフフ……」

大井「……」ギリッ

大井「あなただけは……絶対に許さない……!」

ハクチ「それで……私に……一人で……挑もうというの……?」

ハクチ「私の力を……知っておきながら……?」

大井「……っ」

ハクチ「フフフ……素晴らしい……度胸ね……」

ハクチ「いいわ……その度胸に……応えてあげる……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

大井の周りの地面が変形し、無数の腕や大砲が大井を取り囲む!


ハクチ「……本気で……いくわよ……?」

大井「……来なさい」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


大井「……『トーピードーボム』!!」

──────────

巨人「……」ブォンッ


ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!


吹雪「うわぁっ!!」グラッ

漣「こなくそー!」グイッ


ショキカンオーは巨人に向けて剣を振り下ろす!

ガキィィィィィンッ!!


巨人「……」

叢雲「くっ……固いわね、こいつ」

電「押されてるわけではないですが、倒すのに時間がかかっちゃうのです!」

五月雨「剣じゃ厳しい……明石さん!他に装備ってないんですか!?」

明石『あるよ!』

叢雲「あるの!?」

明石『電ちゃんの前の黄色いボタンを押して!』

電「は、はいなのです!」ポチッ


ウィィィィィィィィィィン ガッシィィィィィィィィィン!!

ショキカンオーの左腕のパーツが変形し、ドリルになった!

漣「おードリル!いいですなー!」

吹雪「じゃあこれで……!」グイッ


キュィィィィィィィィ ガキィィィィィンッ!!


巨人「……」ヨロッ

五月雨「さっきより効いてる!ドリルの方が有効みたいだね……!」

漣「石にはドリルってことか!」

叢雲「このまま追撃を……」


巨人「……」ブォンッ

電「っ!?」


ズガァァァァァァァァァァァァァン!!

五人「うわああっ!?」グラグラ

電「ゆ、油断はできないのです!確かにさっきよりは良い状況みたいですが……」

吹雪「簡単には勝たせてくれないってことだね……」

叢雲「くっ……!さっさとこいつを倒さないと……!」

五月雨「……大井さん……」

漣「……」

──────────

大井「くっ……『パワーボム』!」バシュッ

ドカァァァァァァァァァン!!!

ハクチ「フフフ……無駄よ……無駄無駄……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


大井(くっ……破壊しきれない)

大井(うまく腕や大砲を破壊できても、また新しいのが生えてくる……キリがない!)

大井(やはり、ハクチ本体を狙うしか……!)スッ

大井「喰らいなさいっ!」バシュッ


ドカァァァァァァァァァン!!!

シュゥゥゥゥゥゥゥ……


大井「……!」

ハクチ「フフフ……危ない危ない……」

大井(地面を隆起させて、防御壁を……!)

ハクチ「ホラ……ホラァ……!」


ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!


大井「うああ!?」ズザザッ

ハクチ「あなたの……武器は……どちらかと言えば……サポート向け……」

ハクチ「一人で戦うには……向いてないのよ……」

大井「……っ」フラッ

ハクチ「まだ……来るの……?しつこいわねえ……」

大井「黙りなさい……!」

ハクチ「それとも……あの子たちが……来るまで……粘っているのかしら……?」

大井「……」

大井「……これは、私の戦い」

大井「あの時……一人で逃げた自分の罪を……少しでも償うための……」

大井「……だから……あの子たちを巻き込むわけには……」

ハクチ「……ふぅん……」

ハクチ「まあ……なんでもいいけど……」スッ


ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!

大井「ぐああ……っ!」ドザッ

ハクチ「……そろそろ……終わりにしようかしら……?」

大井「くっ……」

大井(まだ手はある……!まだ……)

大井(まだ……『アレ』を使うことができれば……!)スッ



ハクチ「……フフフ……」

大井「……ッ!」ビクッ

大井(……駄目ね……こんなことじゃ……)

大井(自分でわかる……今の私じゃ、『アレ』を使うためのエネルギーが足りていない……)

大井(自分で言ったもの……あの子たちが言う戦隊パワーは、精神に寄与するって……)

大井(……やっぱり、私は……)

大井(私は……あいつが怖い)

大井(死ぬのが……怖い)

大井(こんなことで……戦えるわけがないわ……)


ズドォォォォォォォォォォォォォン……

彼方では、ショキカンオーの一撃により岩石の巨人が崩れ落ちていくのが見えた


大井「……!」

ハクチ「あらあら……あっちの方では……やられちゃったみたいね……」

ハクチ「でも……あの子たちが……すぐにこっちに向かったとしても……時間がかかるわ……」

ハクチ「あなたに……助けは……来ないのよ……」

大井「……だから言ってるでしょう」

大井「これは私の戦い。あの子たちは関係ないのよ……」

ハクチ「……そう……」

ハクチ「じゃあ……そろそろ……」

ハクチ「……とどめを……刺してあげるわ……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

大井の周りを、大砲が取り囲む!


大井「……っ」

ハクチ「……フフフ……じゃあね……」

ハクチ「あなたも……一年前に殺した……あの子たちのもとへ……送ってあげるわ……!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


大井「……」

大井(……もうダメ……みたいね……)

大井(……ごめんなさい、みんな……)

大井(私は……仇を、取れなかった……)




「させるかぁーーーーーーーー!!!」


シュバババババババッ!!

突然、無数の矢が、大井を取り囲んでいた大砲を破壊した!

ズガァァァァァァァァァァァァァン!!!


大井「!?」

ハクチ「!?」

漣「大井さん、無事ですか!?」

大井「あなた……どうして……!?」

ハクチ「馬鹿な……!あそこから……こんな短時間で来れるはずが……!」

漣「へっへーん。漣一人だけ途中で抜け出して、こっちに向かってたんだよ!」

漣「まあ、あのごつごつした奴は漣一人いなくても倒せるくらい弱っちかったってことだね!」

ハクチ「くっ……そんな……そんなこと……!」ギリッ

大井「ど、どうして来たの!早く逃げなさい!」

漣「え、何で?」

大井「あいつ、とんでもなく強いのよ!知ってるでしょ!?」

大井「今からでも遅くない!逃げ……」

漣「そんな強いって知ってて、大井さんは一人で戦ってたんですか?」

大井「だって、私は……!」

大井「私は……こうでもしないと……自分を許せなくて……!」

漣「……」

漣「……大井さん、前に言いましたよね?」

大井「え……?」

漣「勇気と無謀は違う……」

漣「勝算のある戦いをしろって」

大井「……」

漣「自分で言ったことを守れないようでは、まだまだですな」

ハクチ「この……!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

漣「邪魔すんな!!」バシュバシュッ!

ズガァァァァァァァァァァァァァン!!!

ハクチ「くっ……!」

漣「……大井さん。はたから見ても、今のあなたはダメダメですよ。強がってるけど、ビビりまくりで……そんなんじゃ勝てません」

大井「な……っ」

漣「多分ですけど……一年前のあなたは、こんなダメダメじゃなかったはずです」

漣「どうしてか……わかりませんか?」

大井「……」

タッタッタ……

吹雪「漣ちゃん!大井さん!」

叢雲「何とか間に合ったみたいね……」

漣「おー、みんな乙乙。何とか勝ててよかったねー」

電「でもここからが本番なのです!」

ハクチ「また増えて……!厄介ね……!」

五月雨「覚悟してください!」

大井「……」

──────────

──────

───

一年前


大井『ふぅ……』

『どうしたのさ大井さん。元気ないじゃん』

大井『いえ……ちょっと考え事してただけよ』

『ふーん……』

大井『……』

大井『ねえ』

『ん?』

大井『……どうやったら、あなたみたいに強くなれるの?』

『え?な、なに急に!?』

大井『いえ……ただ』

大井『あなたって、私たちの中で誰よりも強いし……』

大井『どんなに強い敵が現れても、立ち向かっていくから……』

大井『……どうしてそんななのか、気になっただけよ』

『うーん、別に私そんなに強くないんだけどなぁ……』

『むしろ私は、艦隊戦での大井さんの強さの方が気になるけどね』

大井『あれは北上さんを想っているからよ!他の鎮守府で頑張ってる北上さんに会うためにも、沈むわけにはいかないのよ!」

『ははは……大井さんらしいね』

『でも、多分基本的にそれと一緒だよ』

大井『え?』

『仲間や大切な人のことを思うとさ……その人たちのために頑張らなきゃって、思えるんだよね』

『だから負けちゃいけないって思えるし、怖気づいてる暇なんてない』

『どんな敵にも立ち向かっていけるんだよ』

大井『……そうなの?』

『うん、多分そう。あんまり考えたことないけど』

『でも……まあ、その思いは直接出てくるわけじゃないんだけどね』

大井『?どういうことよ?』

『うーん、なんていうか……』

『……まず私、弱くて自分一人じゃ戦えないと思ってるんだよね』

大井『え?』

『一人で戦っても多分どうにもなんないんだよ。そしてそれは、私だけじゃないと思う』

『大井さんだって、ね』

大井『……』

『だったら、仲間と共に戦わないといけない。そして仲間の大切さに気付くんだよ』

『だから、私は大切な仲間のために頑張らないとって思う。そしてそれが「強さ」に繋がる』

『要するに、自分の「弱さ」を認めることで、何かしらの「強さ」にたどり着けるんじゃないかって、私は思うんだ』

大井『……』

『ほら、カーレンジャーのオープニングでもあったじゃん』

『自分にもある弱さを知れば、本当のヒーローって』

大井『……はぁ?』

『えぇ!?』

大井『なんだか一部よくわからなかったけど……』

『えー、残念だなぁ……』

『でも、大井さんならいつかわかってくれるって、私は信じてるよ』

大井『……そうなの……?』

『うん……いや』

『……本当は、もうわかってるのかもね』

──────────

──────

───

大井(……本当はわかってた)

大井(一人で戦っても意味がない……ただ負けるだけだって)

大井(だって、私一人では『弱い』から)

大井(そして……立ち向かうために必要なものも……わかってたはずだったのに……)


漣『死ぬのは、確かに怖い……だけど』

漣『仲間を失うのは、もっと怖い……!』

漣『漣は、大切な仲間を守りたいんです!』


大井(本当に馬鹿ね……私)

大井(あの子に偉そうに説教しておいて……自分で忘れちゃってるんだから)

大井「……あなたたち」

五人「!」

大井「……お願いがあるの」

大井「……私と一緒に……戦って」

大井「私一人じゃ……勝てないから」

五人「……」

五月雨「……当り前じゃないですか!」

叢雲「そうね。まだ借りも返せてないし」

電「そうなのです!前に電たちを助けてくれた分、お返しするのです!」

漣「ふふん、ようやく大井さんがデレたか!」

吹雪「大井さん……言われなくても、私たちは共に戦います」

吹雪「だって、私たち……」

吹雪「……仲間じゃないですか」

大井「……」

大井「……ええ、そうよね」

漣「……そうだ、大井さん。こっちからもちょーっとお願いがあるのですが?」

大井「え?」

漣「ゴニョゴニョ……」

大井「……」

漣「……駄目?」

大井「……はぁ……仕方ないわね」

大井「……今回だけよ」

ハクチ「ふん……でも……相手が何人でも……」

ハクチ「問題ないわ……少し……面倒なだけだもの……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


吹雪「よし……行くよ!みんな!!」

五人「了解!!」

デデッデデー デデッデデーン

吹雪「吹雪レッド!」

叢雲「叢雲ブラック!」

漣「漣ピンク!」

電「電イエロー!」

五月雨「五月雨ブルー!」

大井「大井ホワイト!」


吹雪「六人そろって!」

六人「ショキカンジャー!!!」

バァァァァァァァァァァァァァァン!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


大井「……あなたたち!少しだけ時間を稼いで!」

叢雲「時間稼ぎ!?」

大井「少しでいいわ!そうすれば……!」

吹雪「……わかりました!」

電「生えてきた腕や大砲を壊すくらいなら、簡単なのです!」

大井「……」

大井(今こそ、これを使うときね)ゴソッ


大井は一枚のカードを取り出した!


大井(……大丈夫、今ならできる……)

大井(『仲間』のためにも……私は、やらなくちゃいけないのよ!!)

大井「……第二改装!!」

大井は、ショキフォンの横の溝に、取り出したカードをスラッシュした!


シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……

大井のスーツが変化し、より強化されていく!


バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


大井「大井ホワイト、改二!!」

五月雨「お、大井さん!?なんですかそれ!?」

大井「『強化フォーム』とだけ言っておくわ。詳しい説明はあとで夕張たちから聞いて!」

ハクチ「何をしても……無駄よ……!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

大井「『パワーボム』!」バシュッ!


ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!

大井に迫っていた岩石の腕や大砲が一掃された!

ハクチ「なっ……!?」

叢雲「ば、爆弾の威力が上がってる!?」

漣「さすが強化フォームだぜ!」

大井「漣!」バシュッ!

漣「!」


大井はハクチに向けて爆弾を射出した!

ハクチ「!!ぼ、防壁……!」ゴゴゴ

ドカァァァァァァァァァン!!

ハクチ「あ、危ない……ギリギリ防げ……」

バシュッ!!

ハクチ「!!」


防壁が破壊された瞬間、矢がハクチへと飛んできた!

ドゴォォォォォォォォォォォォォォ!!!

ハクチ「ぐああああああああああああ!!!」

ハクチ「ぐぅ……!この程度……!」

ハクチ「こんなものでは……私は……!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

岩石でできた無数の腕や武器が六人に襲い掛かる!


大井「五月雨!叢雲!」クイッ

五月雨「!はい!」

叢雲「わかったわ!」

五月雨「やあぁーーーっ!!」


ザパァァァァァァァァァァ!

五月雨は、迫りくる腕や武器に向かって水をまき散らした!


ハクチ「その程度で……止まるとでも……!」

大井「『フロストボム』!!」バシュッ!


パリンッ カキィン……

大井が放った爆弾が破裂すると同時に、水が凍ってゆく!

ハクチ「なっ!?」

叢雲「凍ってもろくなったんなら、全部一気に壊せるわ……ねっ!」ブォンッ!


ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!

叢雲が地面に槍を突き刺し、地面に衝撃波が走らせた!!

凍っていた岩石の腕や武器は、全て粉々に砕け散った!


ガラガラガラガラ……

ハクチ「そ、そんな……そんな馬鹿な……!」

大井「吹雪!電!」

吹雪「はい!」ダダッ

電「わかったのです!」ダダッ

ハクチ「来るな……来るなぁ……!」ゴゴゴゴ……

大井「防壁なんて張ったって無駄よ!」

大井「『フレイムボム』『エレキボム!』」バシュバシュッ!


パリィンッ ボォォォォォォォォォォォォ!! バチバチバチバチバチィ!!


大井が放った爆弾が吹雪と電の武器に当たり、二人の武器が纏っていた炎と雷が更に激しくなる!

吹雪「はあああああああああああ!!」ブォンッ!

電「ええええええええええいっ!!」ブォンッ!


ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!

二人の攻撃は防壁を簡単に打ち破り、そのままハクチに直撃する!

ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!


ハクチ「ぐああああああああああああああああ!!!!!」

ハクチ「う……あ……こんな……はずじゃ……」フラッ

ザッ

ハクチ「……!」

大井「……」

ハクチ「ひ、ひぃっ……!」ダダッ

大井「逃がすか!『フリーズボム』!」バシュッ!

ベチャッ

ハクチ「……!?う、動けない……!」グググ

吹雪「これで終わりです、ハクチ!」

大井「覚悟しなさい!」

ハクチ「ま……待って……!」

電「アンカーハンマー!」ヒュンッ

漣「デッキアロー!」ヒュンッ

叢雲「マストランス!」ヒュンッ

五月雨「キールブレード!」ヒュンッ

吹雪「ブリッジソード!」ヒュンッ


ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!!

五人が投げた武器が空中で合体し、バズーカとなった!


五人「デストロイキャノン!」

大井「……もう一つ、とっておきの爆弾があるのよ」

大井「……そのとっておきを使ってあげる……光栄に思うといいわ」

ハクチ「た……助けて……!」

大井「……仲間の命を奪ったあなたの命乞いなんて……聞くと思ってる?」

ハクチ「ひぃっ……!」

大井「……終わりよ!!」

漣「目標捕捉!」

電「照準よし!」

叢雲「充填完了!」

五月雨「発射準備完了!」


吹雪「ってえええええええええええええええええええ!!!!!!」


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!


大井「『デストロイボム』!!」


ハクチ「う、うわあああああああああああああ!!!!」

ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!

大井「……」

吹雪「か、勝てた……」

叢雲「なかなかの強敵だったわね……」

五月雨「大井さん、すごかったです!」

電「本当なのです!強化フォームなんてあったのです!?」

漣「あったんなら教えてくれればよかったのにー。このこのー」グイグイ

大井「……」

漣「……?大井さん?」


バタッ

五人「!?」

──────────

──────

───

吹雪「明石さん!大井さんは大丈夫なんですか!?」

明石「うん、大丈夫大丈夫。命に別状はないよ」

明石「ただ……しばらくは目は覚まさないと思う」

叢雲「どのくらいかかりそうなの?」

明石「具体的にはわからないけど……数日……もしかしたら、一週間以上は目を覚まさないかもね」

漣「そんなに……」

五月雨「夕張さん。大井さんが『強化フォーム』って言ってたものがあったんですが……」

夕張「ええ、あれね」

夕張「とりあえずみんなには最初から説明しないといけないわね」

電「お願いするのです」

夕張「『強化フォーム』……ヒーローものではお決まりになってる物ね」

夕張「特殊な装備やエネルギーを使用して……まあ要するにパワーアップするっていうの」

夕張「そして、大井がいた旧ショキカンジャーは、それを作ってたんだって」

明石「それで、その強化フォーム……『改二』に使われるのが、この『改装設計図』っていうカード」ピラッ

吹雪「確かに、大井さんはそれを使ってましたね」

漣「それって使うと減ったりしないんですか?」

夕張「しないよ。何回でも使い放題」

明石「まあよくできてたんだけど、戦隊パワーとの連動はしてなかったからね」

明石「みんなの武器とか必殺技とか……それと同じように扱えるようにしたら、さらにパワーアップが見込めると思ったんだよ」

夕張「それで色々改造したり調節したりしつつ、大井に色々テストしてもらってたわけ」

夕張「でも、まだ調整段階で……完成はしてなかったのよ」

明石「それを無理に使っちゃったから、その分余計にエネルギーを使って、ガタが来たんだろうね」

五月雨「それで眠ってる……ってことですか」

夕張「うん、そういうこと」

叢雲「ずいぶん無茶するのね、あの人も……」

電「でも無茶してくれなかったら、電たちも危なかったのです」

吹雪「うん。大井さんがいてくれてよかった」

明石「それでね……調整はそろそろ終わるから、みんなの分も作ろうと思うんだけど」

漣「え、漣たちも改二になれるんですか?」

明石「……艦娘としての改二については提督に言ってね」

漣「チッ」

夕張「必殺技と同じように、戦隊パワーがそれなりに高まらないと使えなくなるとは思うけど……」

夕張「きっと、みんなの戦いに役立つはずだよ」

吹雪「……わかりました。お願いします」

明石「よし、じゃあ早速改造に取り掛かろう。みんな、ショキブレス渡してね」

電「はいなのです」カチャッ

五月雨「……大井さんが戦えない分、頑張らないとね」

吹雪「……うん。そうだね」

吹雪「……」

──────────

──────

───

大井「……あれ?」


大井は気が付くと、真っ白な空間に一人でいた


大井「なにこれ……夢?」

大井「えっと……たしかハクチを倒して……それから……」

大井「……思い出せないわ……」

「大井さん」

大井「!!」

「……やっぱり、わかってくれたんだね」

大井「あなたは……」

「大井さんなら、きっとわかってくれるって、信じてたから」

大井「……」

大井「……でも、私は……」

大井「……私は、忘れてしまってたのよ。あなたの言葉も……大切な、仲間を思う気持ちも……」

大井「ただ、ハクチが……ディープマリンが憎くて……でも、恐怖から動けだせなくて……」

大井「大切なことは忘れて、何もできずにいた……」

大井「……本当、私って駄目よね……」

「……」

「……でも、思い出させてくれたんでしょ?」

大井「……」

大井「……ええ」

「だったら何も問題ないよ」

「あなたには、そうして大切なことを思い出させてくれる仲間がいる」

「そんな仲間がいれば、それがまた『強さ』につながっていくからね」

「……あの子たち、本当に強いね」

大井「……そうね。あんなに成長するとは思わなかったわ」

「あの子たちだったら……もしかしたら、ディープマリンを倒せるかもね」

大井「……それは違うわ」

「え?」

大井「絶対に倒せる。あの子たちならね」

「……ふふっ、そっか」

「……でも、そのためには……あなたの力も必要だよ」

大井「私の……?」

「そう。私は言ったよね」

「『仲間と共に戦わないといけない』って」

「あなたもあの子たちの仲間なんでしょ?だから、あなたも共に戦わないといけない」

大井「……」

「別に、あの子たちの隣で戦う必要はないよ」

「場所は離れていても、できることはある。共に戦うことはできるよ」

大井「……そうね」

「……そろそろ、行かないとね」

大井「……もう行ってしまうの?」

「うん。このままだと、大変なことが起っちゃうから」

大井「大変なこと……?」

「……それは、あなたの目が覚めた時にわかると思う」

大井「……」

「それじゃあね、大井さん……」

大井「……待って」

「……?」

大井「……ずっと謝りたかった。あの時のことを……」

「……あの時逃げてっていったの私だよ?」

大井「それでも、私は……逃げた自分が許せなかった」

大井「……本当に、ごめんなさい……っ」

「……」

大井「……それで、もう一つ」

「ん?」

大井「……あなたたちは、私にとって大切な仲間よ」

大井「それは今でも変わらないわ」

「……うん、そっか」

「ありがとう、大井さん。私も同じ気持ちだよ」


「あなたと……仲間でいれて、本当に良かった」

大井(……大切な仲間のために、私は戦う)

大井(自分の弱さも、強さに変えてくれる……仲間のために)

大井(それはきっと、いつまでも変わらない)

大井「……お礼を言うのはこっちよ」

大井「……本当にありがとう。『ショキカンジャー』」


第七話「更なる力!?」 艦

次回予告!

リーダーのレッド、吹雪です
激闘の末、大井さんがしばらく戦闘不能になってしまいましたが……私たちの戦いは続きます
ディープマリンとの戦いもいよいよ大詰め。決戦の時が近づいています
でも……私には、気がかりなことが二つあります
一つは、未だに敵についてわからないことが多いこと
もう一つは……まだ、私の力が足りていないこと
強い思いを持てばいいって言われても……
私は……一体、どうしたらいいんだろう?


次回、第八話「燃える心」
次回も、よろしくお願いします!

スペシャルコーナー『ショキカンジャーって?ああ!』
~大井ホワイト改二~


漣「始まったゾ」

叢雲「……何が?」

漣「もう言わなくてもわかるでしょ?」

吹雪「……飽きたの?」

漣「ちょっと」

五月雨「えっと……ショキカンジャーの強化フォーム、『改二』の説明をします」

電「この『改装設計図』というカードを、ショキブレスやショキフォンの側部にある溝にスラッシュすることで変身するのです」

漣「みーんな改装設計図いるのかよ……勲章溶けまくりじゃん」

吹雪「……この改装設計図は別に勲章を使って作っているわけではありません」

叢雲「使ってなくなるわけでもないわ」

五月雨「変身するには、ある程度戦隊パワーを高める必要があります」

吹雪「改二になると、パワー、スピード、ジャンプ力、装甲など……全体的に性能が強化されます」

叢雲「強化にも個人差があるらしいから、どう強化されるかはやってみないとわからないわね」

電「武器も変化したりするのです」

電「ここで、具体例を挙げて説明したいのですが……」

漣「というわけで、大井さんの改二について説明します」

吹雪「大井さんまだ眠ったままなんだけど……」

漣「うん。だから我々が代わりに解説するのだ!」

五月雨「大井さんの改二の大きな特徴は、使用する爆弾の種類が増え、威力が上がることです」

吹雪「パワーボムの威力はかなり上がってたね」

叢雲「追加された爆弾について……まずは『フロストボム』よ」

電「炸裂した部分をカチコチに凍らせちゃうのです」

五月雨「私の水と組み合わせると、広範囲で凍らせられるよ」

漣「UREYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY……」

叢雲「……何言ってんの?」

漣「いや、凍らせると聞いて」

吹雪「次に『フレイムボム』と『エレキボム』」

五月雨「炸裂した部分に、炎や電気を発生させます」

電「普通に投擲してもよいのですが、電や吹雪さんの武器にぶつけることで、武器の炎や雷を強化するのです」

叢雲「つまり威力二倍ってことね」

漣「にばいにばーい」

漣「最後に『デストロイボム』!!」

吹雪「強化されたパワーボムみたいなものだね」

叢雲「凄まじい威力の爆撃を相手にお見舞いするわ」

五月雨「デストロイキャノンとどっちが強いかな?」

電「わからないのです……」

漣「試してみるか」

叢雲「は?どうやって」

漣「漣が大井さんの変身アイテム使って変身して……」

吹雪「……やめた方がいいと思うよ」

漣「やってみねえとわかんないじゃん!早速やるぞい!」パカッ

五月雨「なんで持ってるの!?」

漣「えーっと、このボタン押せばいいんだよね?んじゃ……」

漣「出撃!」カチッ



『ERROR!!』

漣「え?」

バチバチィッ!!

漣「いたぁっ!?」

四人「……」


以上です。見てくださった方、ありがとうございました
何とか年内に更新できてよかった……
ちなみに、旧ショキカンジャーのメンバーはどの艦娘とか決めてません。多分未実装艦です
スレが埋まりそうなので、次回の更新時に埋まり次第新しいのを立てると思います

エタりそう、どうしよう

すみません、エタりそうな理由をとりあえず書いておきます
後の展開について一応構想はあるのですが、書いてる途中で「これあんまり面白くないな」と思ってモチベーションが上がらないなったためです。
まあそんなこと言ったら今までのだって面白いかって話になりますが……
一応更新できるよう努力はしますし、できれば完走したいとも思っています。とりあえず話を練り直すので、お待ちください……
練り直した結果いいものができるかはわかりませんが、やるだけやろうとは思います。大変申し訳ありません

大変お待たせしました…続きができたので更新いたします。
次スレはこちらになりますので、このスレが埋まり次第そっちに行きます

【艦これ】駆逐戦隊!ショキカンジャー!!改 その2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524666985/)

第八話「燃える心」


ディープマリン アジト


コウワン「……まさか、ハクチがやられるなんてね」

ホッポ「連中、思ったよりも力をつけてるみたいだな」

センスイ「……どうするの?正直、邪魔ってレベルじゃなくなってきてるわ」

クウボ「ここまでとはね……前回の鎮守府よりもかなり厄介ね」

リトウ「本格的に潰すことを考えないと。そのための作戦は……」



「……フフフ」

クウボ「……センカン様?」

センカン「……ああ、ごめんなさいね。つい……」

センカン「あなたたちが、そんなに焦るなんて……珍しいと思ってね」

リトウ「……ただ、連中が厄介で面倒なだけですよ」

ホッポ「それ、向こうも同じこと考えてると思うぞ」

センカン「……厄介でも面倒でも、その力は確かなものね」

コウワン「ええ……しかしお任せください。我々が必ず奴らを……」

センカン「いいえ、私も動くわ」

五人「!?」

センスイ「せ、センカン様のお手を煩わせるわけにはいきません!」

クウボ「そうです!我々にお任せを……!」

センカン「そう言ってもいられない状況でしょ。いつまでもここで待っているのも飽きたわ」

センカン「それに……ショキカンジャーの『力』にも興味があるしね」

リトウ「例の『力』……ですか?」

センカン「ええ。私たちに対抗するためのあの力……」

センカン「……私たちが、利用させてもらうとしましょう」

ショキカンジャー本拠地


吹雪「……それでは、第八回ショキカンジャー会議を始めます」


ワーワー ドンドン パフパフ


吹雪「それ前もやらなかったっけ?」

漣「原点回帰」

電「会議……改めてこれからの方針の確認なのです?」

吹雪「うん、それもあるけど……漣ちゃんが何かあるって」

叢雲「は?また?」

漣「まあまあそうカッカしないで!」

五月雨「それで何なの?漣ちゃん」

漣「うむ!ズバリこちら!」


ドドン!!

漣「『それぞれの必殺技の名前を考えよう』のコーナーーーーー!!!」


四人「……」

漣「……あり?」

叢雲「……漣。あんたが空気読めないところがあるのは知ってたわ」

電「でもこれはあんまりなのです……」

漣「……え?いや、ちょ……」

吹雪「い、いや!私は気にしてないよ別に!」

五月雨「……」ジトッ

漣「え、えっとその……」

漣「ち、違うんじゃ!これは別に空気読めなかったわけでも吹雪ちゃんを煽りたかったわけでもないんじゃ!」

叢雲「じゃあ何なのよ。ボケたの?」

漣「ちがわい!」

漣「この空気!この空気がいけないのだ!」

電「……?どういうことなのです?」

漣「いくら吹雪ちゃんが自分だけ特殊能力、及び必殺技を使えず取り残されたことを気にしていると言っても!」

吹雪「い、いやだから私は別に気にして」

漣「腫れものを触るようなこの態度がいけない!」

五月雨「うーん……確かにそうだね。焦っても仕方ないって言ったのは私たちだし」

漣「でしょでしょ?」

漣「むしろ触れていくべきだと漣は思うね!吹雪ちゃんドMだから!」

吹雪「違うよっ!?」

叢雲「まあ私たちが気にしてもしょうがないわね」

電「それで、必殺技に名前をつけてみるってことですか?」

漣「うん。名前を叫ぶことでもしかしたら戦隊パワーが上がるかもしんないしね!」

吹雪「……それは否定できないね」

吹雪「わかったよ。じゃあとりあえずそれぞれの必殺技を確認しようか」

五月雨「まず叢雲ちゃんは……槍を振り回すとエネルギーがたまる特殊能力だっけ?」

叢雲「そうね。必殺技ってなると、その状態で敵を攻撃するか、強い衝撃波を地面に放つか……かしらね」

電「……あれ?そういえば叢雲さんも失敗してたのです?」

叢雲「え?……ああ、確かに最初は失敗したわね」

漣「ってことは叢雲ちゃんも吹雪ちゃんと同類なのでは?」

叢雲「……襲撃の時に何回か使ったわよ」

漣「あ、そうなの?」

叢雲「何で知らないのよ……」

漣「……さあ?」

電「漣さんは、矢がコントロールできるようになる特殊能力なのです?」

漣「うむ。複数操ることもできるゾ!」

吹雪「必殺技としては、複数の矢を放って一気に攻撃するアレになるのかな」

五月雨「複数の敵にも、単体の敵にも有効だね」

漣「まーそうだね。結構集中力いるけど」

叢雲「あんたに一番欠けてるものね」

漣「ん?なんか言った?」

叢雲「……別に」

吹雪「電ちゃんは重力操作だっけ」

電「そうなのです。と言っても、重くすることしかできないのですが……」

叢雲「ハンマーを重くしてガンッてやるのが必殺技よね」

漣「かなり痛いですよコレは」

五月雨「しかも重力操作で敵を動けなくしてからの一撃だからね……」

吹雪「……怖い」

電「そ、そんなに恐ろしい技じゃないのです!」

叢雲「五月雨は超高速移動よね」

五月雨「うん。高速で移動して、何度も敵を斬りつけるよ」

吹雪「加速してるから、一撃一撃が強くなってるのかな?」

漣「それが味方に飛ぶと考えると……必殺技使う時くらいはドジらないでよね」

五月雨「そ、そんなことしないって!気を付けるから!」

電「五月雨さんのドジは気を付けてどうにかなるものじゃないのです……」

五月雨「……それで、吹雪ちゃんの武器の特殊能力は……」

吹雪「えっと、あの時渡された説明書によると……」

吹雪「『一定時間能力二倍』……だって」

叢雲「……二倍?」

漣「……能力が?」

電「力もスピードも全部二倍なのです?」

吹雪「そうらしいよ。でもかなり体への負担は大きいらしいね」

五月雨「『かなり無茶する技』って言ってたしね」

叢雲「そりゃあ要求する戦隊パワーも大きくなるわよね……」

漣「それで、その能力から繰り出される必殺技はなんなん?」

吹雪「え?……何だろう」

叢雲「火だるまになってタックルでもする?」

五月雨「一人スーパーダイナマイト?」

吹雪「なんで!?せめて武器は使わせてよ!」

電「じゃあ強化された状態での一撃ってことでいいのです?」

吹雪「それでいいと思うよ……下手なことしたくないもん」

漣「まあ百火繚乱みたいな感じで」

吹雪「とりあえずみんなの必殺技はこんな感じだね」

五月雨「どうする?武器の時みたいにみんなそれぞれで考える?」

漣「いや、みんな自分のだけ考えよう」

電「え、どうしてなのです?」

漣「何となく」

叢雲「えぇ……」

漣「ぶっちゃけ名前全部考えるの面倒くさい」

吹雪「ちょっと発案者!」

電「ま、まあ確かに武器の時と違って全員分考えるのは少し大変なのです!ここは自分のだけ考えるのです!」

数分後


吹雪「みんなできた?」

五月雨「できたよー」

叢雲「じゃあ一斉に……」


吹雪  『ブリッジバスター』

叢雲  『強い槍撃』

漣   『†粛清†』

電   『ごっつんこ』

五月雨 『五月雨斬り』


五人「……」

吹雪「いや、予想はしてたけど……これはひどい」

叢雲「吹雪の安直すぎない?武器がブリッジソードだからって……」

吹雪「いや、叢雲ちゃんは安直ってレベルじゃないよ!やる気ゼロじゃない!」

五月雨「漣ちゃんのこれは何なの?ダガーマークついてるけど……」

漣「中二っぽいかなーって」

電「どうして戦隊で中二が出てくるのです……」

漣「ああ、小二にすべきだったか」

吹雪「そういう問題じゃなーい!」

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