キャプテン346/ロリコンソルジャー (130)


アイドルマスターシンデレラガールズのSSです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1497100536


城ヶ崎莉嘉「これって……」

佐々木千枝「揃いの衣装があったほうがいいからって、急にこれ着ることになったんだって……」

 常務に反旗を翻し、シンデレラの舞踏会を成功させるために臨んだバラエティー番組“とときら学園”。
 そのリハーサルの日。新しい仕事を前に沸くキッズアイドル達の中、カリスマJC・城ヶ崎莉嘉は、ひとり打ちのめされていた。
 莉嘉の目の前にはチャイルドスモックが鎮座。とときら学園に出演する莉嘉らキッズアイドルにあてがわれた衣装である。
 莉嘉が目指すのはカッコよく、セクシーで、みんなの憧れを一身に背負うカリスマギャル……
 それをこのスモックで得るのは完全に不可能と言ってよかった。

莉嘉「どうすりゃいいんだ……」

 莉嘉はいつまでもショックで呆然とし続けていた。
 こんな具合だったので、当然リハーサルにも身が入らずひとりNGを連発。
 虚ろな笑顔で、カメラに向かって自己紹介を繰り返す。そう、何度も。何度も。何度も……


 【リハーサル後】

武内P『別件があって、リハに顔を出せなくてすいません。少し変更があったようですが……。大丈夫でしたか』

諸星きらり「だいじょぶだったよぉ。絶対ハピハピな番組になると思うにぃ~。ああ、みりあチャンに変わるね~」

赤城みりあ「私、すごく頑張ったんだよ!ディレクターさんにもすごく元気がいいねって褒められたし!じゃあ、莉嘉ちゃんに変わるね。……はい」

莉嘉「あ……うん」

莉嘉(ホントは今Pくんと話したくないな……)

莉嘉「電話代わったよ……」

武内P『お疲れ様でした。すみません……私もまだ詳細は掴めていないのですが、どうやら演出の面で変更があったようですねが、大丈夫でしたか?』


莉嘉「……うん、アタシもバッチリだったよ」

みりあ「え?でも――」

武内P『先方に問い合わせて、内容を協議することもできますが……』

莉嘉「ううん、余計な心配しないで」

武内P『……今からでもそちらに向かいましょうか』

莉嘉「何言ってんの。こっちはアタシたちに任せて。そっち頑張って。……それじゃ」ポチー

 ※ ※ ※ ※

武内P「あっ……」プープープー

武内P「……」

武内P「神崎さん。私は別件で外れます。今日はお疲れ様でした」


 【とときら学園スタジオ】

ディレクター「いやあ~揃いの衣装があったほうがいいって話でさ~」

武内P「はあ……。しかし我々プロダクションへなんの連絡もなく、このような大きな変更をされては……」

ディレクター「大きな変更って、大げさな言い方するなあ」

武内P「とにかく、事前の説明にないことをする以上、我々に情報を共有していただかないと困ります。衣装については、まずは白紙にしていただかないと……」

ディレクター「あームリムリ。それは俺の一存では決められないよ」

武内P「しかし――」

ディレクター「第一衣装に関しては小道具係に任せきりだしね。そっちに行って話し合ってよ」

武内P「……分かりました。また伺わせていただきます」


 ※ ※ ※ ※

武内P「今回のこの……キッズアイドルの皆さん用の衣装について伺いたいことがあるのですが……」

小道具係「あー、なんかいきなり変更になっちゃってね。まあいいカンジだよね」

武内P「我々に無断でこのような変更をされては困るのですが――」

小道具係「え?いや俺ただの小道具係だよ?言われて用意しただけだからさあ」

武内P「……差支えなければ、誰の指示なのかをお聞きしても……?」

小道具係「あー……えーっと、たぶん構成作家さんだったかな?たぶんね」


 ※ ※ ※ ※

武内P「急に変更になった衣装について協議を持ちたいと考えておりまして――」

構成作家「知らん知らん。衣装なんてそんな些末なことは全部スタイリストに聞いてくれ」

武内P「……分かりました」

 ※ ※ ※ ※

スタイリスト「あー、あのスモックはいきなりねじ込まれた案件なんスよね~。だから私はよく分かんないかな~。多分大道具さんが詳しいと思いますよ」

武内P「……ありがとう、ございます」

 ※ ※ ※ ※

大道具係「いや衣装のことは大道具の僕はよく分からないですよ。AD山田が担当だったはずですよ」

武内P「……なるほど」


 ※ ※ ※ ※

AD山田「いや知らないッスね。こういうことは照明さんが詳しいッスよ。あの人長いから」

武内P「……」

 ※ ※ ※ ※

照明「分からないな~。音響に聞いてみたら?」

 ※ ※ ※ ※

音響「知るわけないでしょ。もしかしたら掃除のオバチャンなら知ってるかも。……なんてね」

 ※ ※ ※ ※

オバチャン「……?ディレクターさんならあちらですよ?」

 ※ ※ ※ ※

武内P(何かがおかしい。重大な変更があったのに誰もその詳細を知らないなんて……)

武内P(事務所から正式に話を通さなくてはいけないかもしれないな……)

武内P(モバPさんに相談しよう)ツカツカツカ

武内P(それにしても、あのスモックをねじ込んだ変態は、一体どこの誰なんだ……)ツカツカツカ


 【346プロ・モバPのオフィス】

武内P「今日は、実はお願いがあってきました」

モバP「と、言うと……?」

武内P「とときら学園の放送を延期してほしいのです」

モバP「とときら学園は、我々反常務派が結集して作り上げてきた一大プロジェクトじゃないか。そう簡単には動かせんよ。
 それとも、何か問題でも?」

武内P「我々に無断で衣装の変更がありました。現在の状況のまま撮影、放送に踏み切るわけには……」

モバP「衣装の急な変更については私も聞いたよ。しかし問題を大げさにしすぎではないのかな?我々は差し迫った危機に瀕している。常務体制という間近に迫った脅威にな。たかがアイドルの衣装の問題で全体を危険に晒すなど――」


武内P「お言葉ですが」クワッ

武内P「“たかが”ではありません。衣装はアイドルを構成する上で重要な要素です」

武内P「ともすればアイドルの個性を制限してしまいがちな常務の方針に対抗するための“とときら学園”が、それ自体アイドルの個性を潰すようなことはあってはならない。
 私たちプロデューサーは、それぞれのアイドルが個性を発揮する手助けのために存在するのです。今回の衣装変更は、認めるわけにはいかないのです」

モバP「しかし……」

武内P「……」


モバP「……」

武内P「……」

モバP「……君も言うようになったな」フッ

武内P「!」

モバP「確かに衣装の急な変更は由々しき事態かもしれないな。その変更の詳細や責任の所在が不透明なのも気になる。
 ずっと目にかけてきた大切な後輩たっての頼みだ。私から手を回して番組を延期させよう」

武内P「ありがとうございます!
……申し訳ありませんでした先ほどは大きな口を――」サイケイレイー

モバP「ただし、ひとつ条件がある」

武内P「……!」

モバP「今度うちの姪の誕生会がある。そこに君のところの神崎蘭子くんを連れてきてくれ」

武内P「……頼んでみます」

モバP「顔見せだけじゃダメだぞ。握手と、サインもだ」

武内P「……何とか、頼んでみます」


 【346プロ・レッスン室】

モバP「……」

モバP「……はあ」

モバP「アイドルの笑顔と自由が第一、何につけてもアイドルの事情が最優先、どこまでもアイドルを尊重するプロデューサーの鑑、武内P、か……」ガチャ

??「――ッ」キュッキュッキュ

??「……?ああ、モバPさん――」シュタ

モバP「いや、いい。大した用事じゃないんだ。ただ――」




モバP「 熱望 」

??「!」ピタ


モバP「 錆びつき  17  夜明け 灼熱 」

??「……」ブルブル

モバP「 9  温情  帰郷  1 」

??「アア……」プルプル

モバP「 貨物列車




 ……目覚めたか。ソルジャー」

??「……」

??「……ふひひ★」


 【夜・武内Pのオフィス】

武内P「……」カタカタ

武内P「……」クビカシゲ

武内P「……うーん」

武内P(とときら学園の一件、どうしてもひっかかる)

武内P(モバPさんに掛け合って、番組があのまま進行することは避けることができたが、根本的には何も解決していない。
 番組の制作体制の中にチャイルドスモックをゴリ押しする性的倒錯者が混じっていて、
 しかも自身の関与を完全に隠蔽できる立場にあるのだから……)

武内P「……仕方がない」PCシャットダウンー

武内P(気は進まないが、美城常務に相談しよう。変態がうろついていると分かれば、アイドルの安全が最優先だ……)ガタッ


??「……」ジー

武内P「!!」ビクッ

武内P「……どなた、ですか?」

??「……」

武内P「島村さん……いえ、渋谷さん、ですか……?すいません暗くてよく見えなくて……」

??「みりあちゃんいないじゃん」スッ

武内P「!!」ゾワッ

武内P(なんだこの覆面の女は……。これは、変質者だ!しかし社内には社員か所属アイドルしか立ち入れないはず……まさか!!)

??「みりあちゃんいないじゃん!!」ボコー

武内P「ぐっはあッッ!!」グシャー

 何かに気がついた武内P!しかし次の瞬間、覆面の女が繰り出したアッパーが、武内Pの顎を打ち砕くッッ!!


??「みりあちゃんみりあちゃんみりあちゃんみりあちゃんみりあちゃん……」ブツブツブツブツブツ

武内P「ちょっ……おまっ……やめて……ごはっ――ッッ!!」ガシッボカッドゴォ

 しかしそれだけでは終わらない!!
 マスクの女はアッパーを喰らってダウンした武内Pの巨体に素早く肉薄すると、
 何ごとかをぶつぶつと呟きながらキックとパンチを雨あられと浴びせかけるッッ!!

武内P(このパンチとキックの連携のリズム……。このリズムを知っている。そう、これはTOKIMEKI……)


 【数分後】

??「……」

武内P「」チーン

??「……」クルッ ツカツカツカ



武内P「」

武内P「……」

武内P「……行ったか」ポパプピ

武内P「……」プルルル

莉嘉『はいもしもーし☆リカだよ!実はアタシもPくんに話があって――』

武内P「城ヶ崎さん……よく聞いて下さい」ゲホッゲホッ

莉嘉『え、なに?Pくん大丈夫なの?』

武内P「346プロは、何者かに乗っ取られてしまいました。誰も信用してはいけませ――えンっ!!」グシャー

??「……」シュー


 武内Pの顔面に、女のつま先が突き刺さる!!
 覆面の女は出ていったと見せかけて、死んだふりをしていた武内Pの様子を探っていたのだ!なんという策士!!

莉嘉『なに今の音!?Pくん!?Pくん返事して!』

??「……」

莉嘉『Pくん、Pくん!』

??「……」

??「……」

??「……」

??「……★」


 【城ヶ崎家】

莉嘉「んんー……」ムー

莉嘉「こんな時、お姉ちゃんだったらどうするんだろ……」

莉嘉「最近お姉ちゃんは忙しくてあんまり家に帰ってこないし……。
 そうだ!そう言えばお姉ちゃんが出てる雑誌、今月分まだ読んでなかった!」

莉嘉「今月のお悩み相談のコーナーはっと……」パラパラ

雑誌『好評連載!カリスマギャル・城ヶ崎美嘉の人生相談!!今月のお悩みは――

 Q.私は中学ではサッカー部のマネージャーをしています。本当は選手になりたかったのですが、うちの学校には男子のサッカー部しかなかったので、仕方なくマネージャーになりました。

 今までは練習に混ぜてもらえたりしたのですが、大会が近くなってきたからか、最近ではグラウンドから追い払われてしまいます。でも私は本当は選手としてサッカーに関わりたいのです。

 こんな時、ミカちゃんならどうしますか?byサヤカ』


莉嘉「!」

莉嘉「これ、お姉ちゃんは……?」ペラペラペラー

『A.難しい質問だね……。
 大会に集中したい顧問の先生や選手たちの気持ちも分かるし、なにより部活みたいな集団行動では、周囲と妥協し、協調していくことがとても大切なことだとも思う……。

 でも!サヤカちゃんのサッカー選手になりたいという気持ちが、決して譲れない、本気のものだとしたら。
 それなら胸を張って、大きな声で、真実の川の岸辺に生えた木の如くに立って、世界に向けてこう言うんだよ。「お前がどけ」ってね♪

 それがギャルのやり方ってもんよ★byミカ』


莉嘉「お姉ちゃん……」

莉嘉「……」ウーン

莉嘉「そっか……そうだよね☆」キリッ

莉嘉「明日事務所に行ったらPくんにちゃんと話そう。遠慮してないでちゃんと言う!だってアタシのアイドル活動だもん!」

莉嘉「そうと決まれば今日はもう寝よう!……ってPくんから電話?」ピリピリピリ

莉嘉「はいもしもーし☆リカだよ!実はアタシもPくんに話があって――」


武内P『城ヶ崎さん……よく聞いて下さい』ゲホッゲホッ

莉嘉「え、なに?Pくん大丈夫なの?」

武内P『346プロは、何者かに乗っ取られてしまいました。誰も信用してはいけませ――えンっ!!』バコン!

莉嘉「うわっ!!」

『ガシャン!!ガリガリガリガリ』

『ジーーーーーー』

莉嘉「……なに!?なに!!??」

莉嘉「なに今の音!?Pくん!?Pくん返事して!」

莉嘉「Pくん、Pくん!」

莉嘉「Pくん!ねえPくん!!」プツー ツーツーツー

莉嘉「切れちゃった……」

莉嘉「いったいなんなの……」


 【翌日・346プロ】

シンデレラプロジェクト「「「プロデューサーが過労で入院!?」」」

渋谷凛「過労ってどういうこと!?」

島村卯月「プロデューサーさんは無事なんですか!?」

本田未央「どの病院にいるんですか!?」

千川ちひろ「私も詳しくは聞かされていないのですが……。昨日の夕方体調不良を訴えて、検診したところ入院という措置になったらしくて……。
 でも命に別状はないので大丈夫ですよ。ただ安静が必要なため見舞いなどは遠慮してください」

三村かな子「私たちのお仕事はどうなっちゃうんですか?」

ちひろ「皆さんのお仕事については、順次引き継ぎが行われています。とりあえず、当面の心配はいりませんよ♪」

「プロデューサー、心配です……」「いつも遅くまで残っていたから……」「このまま辞めちゃったりしないよね……」


莉嘉(過労?なにそれ……。昨日の夕方?そんなのおかしいよ……。だって電話かけてきたの夜じゃん……)

莉嘉(Pくん、やっぱり昨日何かあったんだ……。もしかして良くないことに巻き込まれているんじゃ……)

莉嘉(昨日のアヤしい電話、一体何が言いたかったの……?きらりちゃんか美波ちゃんに相談して――)

 『誰も信じてはいけない』

莉嘉(そうだ、誰にも相談できないんだ。アタシがなんとかしなくっちゃ……。Pくん、なんでアタシなの……)

莉嘉(……それだけアタシが頼りがいのある、セクシー派カリスマJCってことだよね!!
 頼られた以上は応えてみせるのがギャルの粋ってもんだよね……!アタシがなんとかガンバラないと!!)フンスフンス

ちひろ「……」ジー

ちひろ「莉嘉ちゃん、少し時間いいですか?モバPさんが莉嘉ちゃんに話があるって……」


 【モバPのオフィス】

モバP「私はね、今回武内くんが倒れたことに、責任を感じているんだよ」

莉嘉「はあ……」

モバP「今回の社内再編で、君たちシンデレラプロジェクトが苦しい立場に置かれていることは、君も知っているね?
 ……いや、シンデレラプロジェクトだけじゃない。常務体制で苦境に陥っているプロジェクトは他にもたくさんある」

モバP「彼はそれらを糾合するための、いわば旗振り役を務めていたんだよ。
 かくいう私も彼に引き寄せられたひとりでね。私は彼の熱心さに甘えて、ひとりで多くの負担を押し付けてしまった……」

莉嘉「そう……Pくんが……」

モバP「そこで、だ」スック

モバP「今回の企画、“とときら学園”……。彼が過労で倒れてまで熱心に進めてきた企画だ。絶対に成功させたい。分かるね?」

莉嘉「!!」


モバP「君も出演者として名を連ねている。これからは武内くんに代わって、私が君たちのサポートをしていく。どうか全面的に信頼して、企画の進行に協力してほしい」

莉嘉「……」

モバP「昨日のリハーサルについては私も報告を受けているよ。ちょっとした変更があって、君はそれに戸惑って何度かNGを出してしまったらしいね。
 だがここはひとつ。倒れた武内Pくんに報いるためにも、無事にとときら学園をスタートさせようじゃないか」

 『346プロは何者かに乗っ取られてしまいました』
 
 『誰も信用してはいけません』

莉嘉「アタシは……」

モバP「なにかな?」

 『「お前がどけ」ってね♪』

莉嘉「……」

莉嘉「……っ」キッ

莉嘉「昨日の夜、Pくんから電話がありました」



モバP「……」

モバP「……ほう。それで?」

莉嘉「346プロの、誰も信用するなって。だから、ゴメンナサイ」

モバP「……そうか。そうか、なるほど……。
 いきなり呼びつけて悪かったね。もう行っていい」

莉嘉「分かりました。失礼します――」

モバP「最後にひとつだけ」

莉嘉「!」

モバP「私は武内Pくんとは長い付き合いでね。
 とときら学園は、かわいい後輩と共に取り組んできた仕事ということになるんだ」

莉嘉「……そうなんですか」

モバP「だから何があってもやりとげる。――何があってもだ」


 【346プロ・エレベーター】

莉嘉(Pくんが倒れたことに何か裏があるのは間違いなさそう……。それに昨日の今日で、とときら学園の話……)ゴウンゴウン

莉嘉(何か関係あるのかな。とにかくPくんと会わなくちゃ……)チーン

莉嘉(何とかちひろさんを言いくるめて、Pくんの入院先を聞き出す?でもちひろさんも信用できるか分からないし……)ジュウゴカイデ、ゴザイマス

ドア<ウィーン

仁奈P「今度の番組が……」薫P「予算下りるかどうか……」舞P「なんとか交渉しよう……」ガヤガヤ

莉嘉「何階ですか?」

仁奈P「ああ、1階お願い」

薫P「おっ、どうも」

舞P「チャッス」


仁奈P「シンデレラプロジェクトの城ヶ崎莉嘉ちゃんだよね。昨日ぶりだね」ゴウンゴウン

仁奈P「とときら学園、頑張ろうね」チーン

莉嘉「ああー、いや。どうかなー。アハハ……」ジュッカイデ、ゴザイマス

ドア<ウィーン

雪美P「ういっす……」桃華P「失礼」小春P「ちょっとうしろ失礼」ガヤガヤ

莉嘉「……」オシアイヘシアイ




仁奈P「武内Pのことは聞いたよ」ゴウンゴウン

仁奈P「その、なんだ。お気の毒に……」チーン

莉嘉「……ありがとう、ございます」ゴカイデ、ゴザイマス

ドア<ウィーン

千枝P「……荷物大きくて悪いけど、失礼するよ」つハンガー&カバー

莉嘉「……」

莉嘉「……!」ピーン

莉嘉(ここにいるプロデューサー、全員とときら学園の出演者の……!)

莉嘉(偶然?いや……)

仁奈P「莉嘉ちゃんさあ、昨日のリハ見てたけど、なんだか調子出てなかったよねえ」ゴウンゴウン

莉嘉「……そうですね」ゴウンゴウン

 ゆっくりと降り続けるエレベーターの中、仁奈Pは未だに軽い口調を崩さない!
 しかし莉嘉には分かる……莉嘉を囲む7人のプロデューサーたち、その全員が息を殺して、身体中の筋肉を緊張させて莉嘉の様子を窺っているッ!!

仁奈P「莉嘉ちゃんのためにスタジオ借りたからさ、今から俺らと特別リハーサル、行かない?」

 最後に入ってきたプロデューサー――千枝Pが、手にしたハンガーからカバーを取り払う
 カバーの下から出てきたはチャイルドスモック。昨日のとときら学園のリハーサルで、莉嘉が袖を通したもの!!

莉嘉(なるほど。そういうこと)





莉嘉「ヤダ。アブない大人についていったらダメって、お姉ちゃんに言われてるもん」








 次の瞬間、7人のプロデューサーたちが、莉嘉に向かって飛びかかる――ッッ!!





 【346プロ・エレベーターホール】

ドア<ウィーン

仁奈P「ぐわーーッッ!!」ズザザザザザッ!!

莉嘉「フー……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

仁奈P(クッソ……、大の男を6人も……あいつら全員やられたのかよ)チラッ

薫P「」チーン

舞P「」チーン

雪美P「」チーン

桃華P「」チーン

小春P「」チーン

千枝P「」チーン


仁奈P(なんてこった。姉が姉なら妹も妹だ。アイドルってやつらはダンスやってるからか、体力だけは有り余ってやがる……)ヒヤアセタラー

仁奈P「莉嘉ちゃん……。こっちも仕事なんだ……、恨むなよ!」

 そう言うと、仁奈Pは莉嘉に向かって捨て身のタックル!全体重をP専用強化サイリウムに乗せて莉嘉に突き出す――ッ!!
 

……しかしあゝ無情。次の瞬間、莉嘉のつま先が仁奈Pの喉に突き刺ささっていた。

仁奈P「――ぐはっ……」ドウ





莉嘉「仕事?趣味でしょ」ペッ



 ※ ※ ※ ※

スピーカー<『外に逃げたぞ、追え!』

スピーカー<『管理棟!駐輪場のシャッターを下ろせ!』

莉嘉「ふんっ」チャリンチャリン

 あちこちのスピーカーから怒鳴り声が行き交う346プロ本社ビル。
 そんな中、莉嘉は失敬してきた自転車を駆り、事務所の地下駐輪場から外の道に飛び出していた。しかし――ッッ!!

小梅P『城ヶ崎莉嘉、止まれ!繰り返す、今すぐ止まれ!』バラバラバラ

 346プロ社用ヘリコプター登場!ビルの屋上から発信したヘリコプターは、ひと息でママチャリの莉嘉を追い抜き、ドアガンとして設えられた社用M134ミニガンを莉嘉のほうへ向けていた!!

小梅P「仕方がない……。これを喰らってミンチになってしまえ―――ッッッ!!!」バリバリバリバリバリバリ


 銃手シートの小梅Pが、社用ヘリコプターに設置された社用M134ミニガンを、自転車の莉嘉に向かって乱射する!!
 莉嘉に迫る7.62×52mm社用弾の弾幕!!サドルから腰を浮かせ、スプリント態勢で火線をかいくぐる莉嘉!!
 そして―――ッッッ!!!

莉嘉「うりゃっ!!」

小梅P「WWWwwwwwwwwwww??? ? ? ? ? ? ? ????? ????????wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 次の瞬間順回転で宙を舞うママチャリ!!
 莉嘉が右手のフロントブレーキに急制動をかけ、ジャックナイフ姿勢から回転の勢いと背筋力にモノを言わせ、社用ヘリに向かって投げつけたのだ!!!

小梅P「ファーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 宙を舞うママチャリが、社用ヘリコプターの尾部に激突!テールローターが破壊され、アンチトルクでゆっくりと回転を始める社用ヘリコプター!

 バランスを失い墜落を始める社用ヘリを横目で見ながら、莉嘉はその場を走り去る。
 
 城ヶ崎莉嘉はセクシー派カリスマJC。言い寄ってくる雑魚男のあしらい方なら、よくよく心得ているのだ!!




 【346プロ・モバPのオフィス】

モバP「これで全員集まったな……。みんな聞いてほしい。とときら学園の出演者のみんなに話があるんだ」

きらり「あれぇ~?でもまだ莉嘉チャンが来てないにぃ」

みりあ「それにさっき外で大きい音がしてたけど……何かあったのかな」

モバP「……そう。その件について話があって来たんだ」

モバP「君たちのお友達の……。いや、城ヶ崎莉嘉はチャイルドスモックを着ることを拒否して逃亡した。
 残念ながら、彼女は逃亡者だ。先ほどの外の騒ぎも彼女の仕業だ」

「莉嘉ちゃん……!」「ウソだよそんなの!!」「ええー!?」「そんな……」ワイワイガヤガヤ

モバP「――本当に残念だよ」

アイドルたち「「「……」」」シーン

モバP「城ヶ崎莉嘉はプロ意識の欠如した、ダメなアイドルだった。
 ……でも、君たちは違うだろう?」ジロリ


舞「ヒッ……」

仁奈「……!」ウンウン

薫「……!」コクコク

モバP「君たちは城ヶ崎君とは違い、真面目で、素直で、従順ないい子たちだ。
 間違っても城ヶ崎君に影響されるなんてことはなく、これからもとときら学園の円滑な進行に協力してほしい。
 もし城ヶ崎莉嘉君が君たちの前に姿を現したら、番組に戻るようになんとか説得してほしい。

 ……おじさんからのお願いだ」ニッコリ

仁奈「分かったでごぜーますよ!」

千枝「せっかくのお仕事だし、莉嘉ちゃんも一緒のほうが、絶対にいいですよね……!」

薫「はーい!明日の生放送も頑張りまーっ!」

みりあ「みりあ、莉嘉ちゃんにメールしてみるー!」

きらり「そうだねっ!みんなではぴはぴ!できればいっちばん!だにぃ~」

 \ワイワイガヤガヤ/

桃華「……」


 【夕方・346プロ近所の公園】

莉嘉「はあ……」ハァ

莉嘉「アタシ、勢いで飛び出してきちゃったけど、これからどうすればいいんだろ……」

??「――よう」ガムクッチャクッチャ

莉嘉「うわ!?」ビクゥッ!!

??「いや、そんなビビるなよ……」

莉嘉「ゴメンね……。あなた、同じ事務所の……」

結城晴「そ。結城晴。お前シンデレラプロジェクトの城ヶ崎莉嘉だろ。事務所中でウワサになってるぜアンタ」

晴「幼稚園の服を着るのが嫌だから、ヘリコプターぶっ壊して逃げたんだって……?」クッチャクッチャ



莉嘉「まあね☆アタシはセクシー派カリスマJCだからヘリくらい壊す、みたいな?」ジリジリ

晴「ふーん……」

莉嘉(事務所からの追っ手?プロデューサー連中なら問題なく倒せても、アイドルが相手となるとキツいかな……)ヒヤアセタラー

莉嘉「……じゃ、アタシもう行くね」ソソクサ

晴「いやいや、ちょっと待てよ」

莉嘉(やっぱりか。やるしかない)ファイティングポーズ

晴「いや、違う違う、そうじゃなくて……」ハンズアップ




晴「オレ、アンタのプロデューサーをヤったやつ、多分知ってるぜ」



莉嘉「……」ツカツカツカ

莉嘉「やったってどういう意味!?答えて!」グワングワン

晴「……やめろよ」

莉嘉「あっ、ごめん……」ピタ

晴「……座ったら?」つベンチ

莉嘉「うん……。アタシちょっとおかしかった……。ホントにごめんね。ええっと、晴ちゃん」

晴「晴でいいよ」

莉嘉「じゃあ晴クン」

晴「……まあそれでいいよ」


晴「ああ、そうそう。アンタのところのプロデューサーの話だけど」

莉嘉「……そう!やったって何?誰かに襲われたってこと!?過労で倒れたんじゃないの!?」

晴「過労?ふふ、過労って……」プププ

莉嘉「何がおかしいのよ……!」

晴「毎日スタドリ飲んでるプロデューサー連中が、過労で倒れるわけないだろ」

莉嘉「あっ、そっか……」

晴「ハア……。あんたはまだ346プロに来て日が浅いから知らないかもしれないけどさ……」

晴「ウチの事務所で不可解な転属や退職があった場合、それは全部“ロリコンソルジャー”ってやつの仕業なんだ」

莉嘉「“ロリコンソルジャー”?」


莉嘉「なにそれ?ロリコンソルジャーって……」

晴「346プロではみんな知ってる、公然の秘密みたいなものだよ。ロリコンソルジャーは事務所のお偉いさんに、スパイとして使われているアイドルってことらしいけど……。

 要はそのお偉いさんが、気に入らないプロデューサーを、脅したりボコボコにしたりして、会社から追い出すためのロリコンソルジャーなんだ」

莉嘉「そんな……そんな映画みたいな話、すぐには信じられないよ」

晴「アンタのところのプロデューサーはクソ真面目っぽかったからな。そのお陰で、お前はロリコンソルジャーとは無縁の生活を送れていたってだけだ。
 でもオレはロリコンソルジャーと会ったことがある。ヤツにはもうひとつ重要な任務があるんだ……」

莉嘉「重要な任務……?」

晴「そのお偉いさんの、仲間のプロデューサーの仕事を手伝うっていう仕事……」

莉嘉「……?」

莉嘉「まさか……っ!」


晴「そう……。オレたちアイドルが、担当プロデューサーに逆らったりすると、ロリコンソルジャーがやってきて、ヤられちまうんだ……。
 ヤダって言ったのに……、無理矢理ヘンなウサギの服着せられて……あんなの学校の奴らに知られて、もう二度と表歩けねえよ……」

莉嘉「そんな……」

晴「Pのヤツ……、あれ以来ふざけた衣装ばかり持ってきて……。でも逆らったらまたアイツが、ロリコンソルジャーが……」

莉嘉「晴クン……」

莉嘉(晴クンのお陰で分かったことはふたつ。Pくんは襲撃された被害者で、下手人がロリコンソルジャーという奴だということ。
 
 そして晴Pさんがロリコンソルジャーとつながっていて、最悪のクソ野郎だということ。
 
 ――ならやることはひとつだよね)

莉嘉「晴クン、話してくれてありがとう。じゃあ早速、行ってくるね」



晴「え?行くってどこに」

莉嘉「事務所。晴クンのプロデューサーを、二度とプロデュースができない身体にしてくる。あとロリコンソルジャーのことを聞き出す」

晴「馬鹿じゃねーの!?」

晴「さっき事務所から逃げてきたばっかりで、また戻るのかよ」

莉嘉「でも――」

晴「……別に何もするなとは言ってねーよ」ポケットゴソー

晴「こっちから呼び出せばいい」つスマホ


 【346プロ・オフィス】

晴P「ん?晴からメールだ。どれどれ……」

晴P「ダニィ!?『話したいことがある、今から会いたい。お城のような建物で待ってます』じゃと―――ッッ!?」

晴P「申し上げます!!ついに晴のやつが俺に心を開いてくれました!!!!」

晴P「晴をお城のような建物に連れ込んであ~う(^q^)すること……、それがわたくしの最大の願いでございました」

晴P「そんな積年の夢が今夜叶うというわけだぁッ!!」

晴P「ムスコが滾る……迸る……ッッ!!」

晴P「というわけで早速晴を性伐しに出かける!後に続けちひロット!!」

ちひろ「なーに言ってだこいつ」

晴P「というわけで退社しまーすwwwww」スタコラサッサ

ちひろ「ちょっ!?」


 【ラ○ホテル】

晴P「おっ、ここが約束の部屋か……。晴はまだ来てないみたいだな」

晴P「まずはシャワーでも浴びて待っているとするかwwwwwww」

晴P「うーん楽しみだなー……ってうわッッ!!」ニュッ

 次の瞬間シャワールームの中に引きずり込まれる晴P!!中で待っていたのはもちろん――ッッ!!

莉嘉「……」ゴゴゴゴゴ

晴「……変態」ボソッ

晴P「ファ!?じょじょじょじょじょじょ城ヶ崎莉嘉ッッ!????!?!?!?!??!」

晴P「もうダメだ……おしまいだぁ……」orz

晴P「殺される……カリスマギャルに殺されるぅ~~!!」


 慌てふためく晴P!!しかし莉嘉はそんな様子にも意を介さず、シャワーヘッドを振り上げる!!

莉嘉「フンッ」ボカー

晴P「ぐはっ」グシャー

莉嘉「……」ガシボカゲシ

晴P「ちょっ……顔は……えふっ……ホントにっ……ヤメッ……ッッ!」グシャボコガシボカ

莉嘉「……知っていること全部、素直に言うこと。じゃないと今の倍やるから」ゴゴゴゴゴゴゴ

晴P「……ハイ」ボロボロ


 ※ ※ ※ ※

莉嘉晴「「チャイルドスモック党?」」

晴P「……そう、我々はアイドル業界の裏側で、密かに結成された秘密結社、“チャイルドスモック党”……」ゴゴゴゴゴ

晴P「武内Pを襲撃したのは、我々チャイルドスモック党が誇るエージェント、ロリコンソルジャーというわけだぁ!」バーン

晴「エラそうにしてんじゃねーぞこのロリコン」ゲシー

晴P「あう……」ボコー

莉嘉「なんなの、チャイルドスモック党って……」


晴P「チャイルドスモック党は、『すべてのアイドルに、チャイルドスモックを』という教義の元誕生した……」ゴゴゴゴゴ

晴P「しかしアイドルという連中は何も分かっていない。普通にチャイルドスモックを渡せば、城ヶ崎莉嘉。お前のように拒否するのが普通だ」ゴゴゴゴゴ

晴P「ああ、チャイルドスモック……。この美しくも切ないフォルム……ッッ!!
 この美を拒絶するアイドルなど……とんでもないっ!!」

晴P「そこで我々は考えた。アイドルが自ら自由を手放し、担当プロデューサーに傅くように仕向けなければならないと……」ゴゴゴゴゴ

晴P「計画遂行のため、まず我々はアイドル業界に混沌をもたらした。

“生っすかサンデー”、“無尽合体キサラギ”、“怪獣キラリドン”、“幽霊戦争3D”……。
 どれも大金かけても出来上がりはアレ、日本のバラエティー特有のクソっぷりをまき散らしているゴミの中のゴミよ……」ゴゴゴゴゴ

晴「確かに……。あんなくっだらねえ映画や番組、誰が見るんだってかんじではあるな」

莉嘉「でも……。わざとクソ映画を作ろうとすれば、止めようとする人はいるはずだよ!」

晴P「確かにそのような良心的な業界人もいる。しかしそのような連中は歴史の表舞台から消えてもらってきた。
 ……そう、ロリコンソルジャーを使ってね」ニヤリ


晴「……!」

莉嘉「ひどい……」

晴P「そして今、アイドル業界は転換期に入っている。
 クソ映画の山にあきれ果て、自社のアイドルを厳しく締め付けようとしているのは、何も美城常務だけではない……」ゴゴゴゴゴ

晴P「そこで我々チャイルドスモック党の出番だ。
 我々チャイルドスモック党の息がかかったプロデューサーは、アイドルを保護するふりをして結託する」

晴P「厳しい常務体制から逃れたいアイドルたちは、我々の元に来るしかない!!」

晴P「そんなアイドルたちを受け入れ先が、チャイルドスモックの聖地!とときら学園というわけだぁッッ!!」バーン

晴「うるせえよ」ゲシー

晴P「あう……」ボコー


莉嘉「……じゃあPくんも、武内Pもチャイルドスモック党なの!?」

晴P「違う、アイツは何も知らないただの下っ端さ。
我々が衣装をチャイルドスモックに変更したのに気づいて、生意気にも抗議してきたから、消えてもらったまでのこと」フッ

晴P「まったく……何がアイドルの個性だ。
 アイドルの衣装など、このキュートでプリチーでキッチュなチャイルドスモックさえあれば事足りるというのに……。」ブツブツ

晴「……お前サイテーだな」

莉嘉(Pくん、アタシのこと気にして、そのせいで……)





晴P「――ふう、長くしゃべりすぎてしまったな。我らがボス、モバPさんは情報の流出を許さない……」

晴P「俺の生涯に悔いがあるとすれば……。晴、お前に俺のムスコをあ~う(^q^)させられなかったことだ」

晴「はあ?何言ってんだよアンタ」


 バラバラバラバラバラ……

莉嘉(ん?この音、外から……?)

晴P「ここで死んでもらうぞ城ヶ崎莉嘉!ハイル・スモック!わひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃwwwwwww(アヘ顔)」

莉嘉「!!」ダッ

 その瞬間、ラ○ホの近くまで接近していた346プロ社用ヘリコプターが、社用ハイドラ70ロケットを発射!!
 晴を抱えバスタブに飛び込む莉嘉!!炎に包まれるラ○ホ!!

莉嘉(こんなフタもないお風呂じゃ……。お姉ちゃん――ッッ!!)







莉嘉「……え?」ゴー

晴「オレたち、飛んでる……?」ゴー



 莉嘉と晴、ラ○ホのバスタブに入ったまま夜空を飛行していた!!
 
 赤いパワードスーツに身を包んだ何者かが、莉嘉と晴を湯船ごと爆炎から救いだしたのだ!!
 
 追いすがる346プロ社用ヘリコプターをリパルサー・レイ一発で撃墜すると、スーツと湯船は猛スピードで空を駆ける!!


??「……危ないところでしたわね」カチャンカチャン

晴「……お前は!?」

莉嘉「!!」







桃華「ごきげんようですわ。おふたりとも」







 続く


再開します


 【翌朝・櫻井家セーフハウス】

桃華「わたくしも346プロについて良くないウワサを耳にしまして、
調べさせたところ出るわ出るわの大騒ぎ。そこに来て莉嘉さんの騒動ですもの」

桃華「何か事件に巻き込まれているのかと思って、昨日事務所を飛び出してきましてよ。
本当に間に合ってよかったですわ」

莉嘉「本当に助かったよ……。ありがとう☆」

晴「ヤラれちまうんじゃないかって、ヒヤヒヤだったぜ……」

桃華「だいたいの話は分かりましたが、これからどうしますの?
モバPさんが全部の黒幕で、とときら学園がその野望の産物だとして、本番は今日の夕方ですのよ?」

莉嘉「何としてでも止める!今から――」

桃華「おひとりで?」

晴「オレもいるぜ」

莉嘉「晴くん……」

桃華「ふたりでも変わりありませんわ」

莉嘉「うぐっ……。でも何とか止めないと――」


莉嘉「うぐっ……。でも何とか止めないと――」

桃華「何もするなとは言ってませんわ」

莉嘉「!」

晴「!」

桃華「わたくしも協力します。
 わたくしを一番に輝かせるお洋服はドレス、アイドルの衣装が幼稚園児のお洋服に統一されるなんて、まっぴらですわ!」

莉嘉「……でも、桃華ちゃんリハーサルでは――」

桃華「それはPちゃまに土下座して頼まれたから仕方なくですわ。
でもそれも今日まで。Pちゃまがチャイルドスモック党の一員だと分かったからには、もう絶交です。それに――」



桃華「カリスマJCのためですもの。喜んで戦いますわ!」



莉嘉「桃華ちゃん……」

晴「……」

晴「……でもどうするんだよ。何か作戦はあるのか」

桃華「もちろん」ニヤ

桃華「簡単なことです。
 わたくしたちは、チャイルドスモック党のメンバーをひとり、自由に呼び出すことができるのですから。
 それを利用しない手はありませんわ」ポピプ

桃華「もしもし?Pちゃまですか?はい桃華です。今から会えませんこと?とときら学園の本番前に、確認したいことがありますの」


 【近所のビル・屋上】

桃華「Pちゃま、こちらです」フリフリ

莉嘉「……」ゴゴゴゴゴ

晴「……」ガムクッチャクッチャ゙

桃華P「ちゃま^~――って、城ヶ崎莉嘉だとォッッ!?」

桃華P「ええい、冗談ではない!モバPさんに連絡しないと――」

莉嘉「ふんっ」ゲシー

桃華P「ぐわーっ!!」コロンコロン


桃華P「くっ……。桃華、君も人が悪い。私は君をそんな風に――」

莉嘉「……」ゲシゲシゲシ

晴「ここ5階建てだぜ。落ちたら死ぬかもな」ゲシゲシゲシ

桃華P「ちょっ……やめっ……痛いッ、ほんとに……」ガシボカゲシボロ

桃華P「ちょっ、ホントに!やめて!落ちちゃう!落ちちゃうから!!」プラーン

桃華「さあPちゃま、今からモバPさんを呼び出してもらいますわよ」

莉嘉「助かりたかったら、分かってるよね」

桃華P「そんな決定権がお前たちにあるのか?私はチャイルドスモック党員!それ以上でもそれ以下でも――」

莉嘉晴桃華「「「……」」」ゲシゲシゲシゲシ

桃華P「分かりました呼び出しでもなんでもしますだから助けてくだしあ!!」プラーン


 ※ ※ ※ ※

桃華P「もしもし?はい私です。モバPさん実は……ええ、アクシデントが発生しまして。
とり急ぎ○×ビルまで来ていただけませんか?いえいえ大したことでは……はい、それでは」プラーン

桃華P「……ホラ!言いつけ通り電話したぞ!だから早く!早く助けて!!」プラーン

晴「で、次はどうすんだ?」

莉嘉「ここでモバPをボコボコにして、とときら学園を中止させる」

桃華「もう引き返せません。覚悟を決めなさいな」

晴「……わーってるよ」

桃華P「え、無視?」プラーン

晴「桃華お前、昨日のスーツ持ってきてるんだろうな。モバPがひとりで来るとは限らないんだぞ」

桃華「ええ、きちんと持ってきてますわよ。このスーツケースの中に入ってます」

莉嘉「これ……すごいよね。やっぱりスイッチポンで合体!とかできるかんじなの?」

桃華「もう、莉嘉さんったら映画やマンガの見すぎですわ。今の装着タイムは……、
 だいたい10分弱といったところかしら」フフン

莉嘉「……え?」

晴「……いやヤバいじゃん。今から着ておけよ」

桃華P「ねえちょっと。アーユークレイジー?――ん゛!?」プラーン

桃華P「うわああああああああああああああ!!!!!!!!!」ラッカー

莉嘉「!?」

晴「!?」

桃華「!?」




ロリコンソルジャー「……★」




晴「ロリコン、ソルジャー……」ガタガタ

桃華「このかたが……!?」

莉嘉「Pくんを……!」ワナワナ

晴「……くっ」キッ

晴「うらっ!」タックルー

ロリコンソルジャー「……っ!」ガシャーン

莉嘉「晴クン!……ってうわっ!!」パパパパパパパ

 折り重なるようにビルの屋上から落ちていく晴とロリコンソルジャー!!莉嘉は追おうとするも、銃弾の雨がそれを遮るッッ!!


梨沙P「……」バリバリバリ

若葉P「……」パパパパ、パパパパパパパン

南条P「……」バリバリバリバリ

莉嘉「モバPはいない!気づかれてたんだ!!」

桃華「莉嘉さん!わたくしがあの者たちの相手をしますわ!莉嘉さんは晴さんを!!」

莉嘉「……分かった!ここは任せるね!!」ヒラリ


 ※ ※ ※ ※

ロリコンソルジャー「ちっちゃいこ発見★」ドゴォ

晴「くっ、強え……」バシー

晴(オレはまたこいつに負けるのか……?)

ロリコンソルジャー「は~いこのスモックにお着換えちまちょうね~★」ギリギリ

晴「くっそ!離せ!離せよ!!」ジタバタ

ロリコンソルジャー「ちっちゃいこは、ちっちゃいままが、いいんだよ。ふひひ★」ビリビリィ

晴(くそう……、もうダメだ……)



莉嘉「晴クンから離れろーっ!!」シュバババババ(走りよってくる音)



ロリコンソルジャー「!?」



 晴を強制的に着替えさせようとしていたロリコンソルジャーに、莉嘉の全体重を乗せたタックルが炸裂!!
 地面を転がる莉嘉とロリコンソルジャー!!弾けるように立ち上がるふたり!!そして始まる高速タイマンバトルッッ!!

ロリコンソルジャー「ああ^~」ズババババッ

莉嘉「くう……っ!!」バズズズズッ

莉嘉(なにコイツ……。身長も高いし、キレも威力も、アタシ以上!?)

莉嘉(というか、というか……)

莉嘉「この動き、346プロのアイドルの動きじゃん……っ!」スパパパン

ロリコンソルジャー「ふひひ★ふひひ★」シュタタタタ


莉嘉(ダメ……このままじゃ負けちゃう!!)

晴「喰らえこのヘンタイ!」バイーン

ロリコンソルジャー「エんっ!!」グシャー

 しかしその瞬間、晴が蹴りだしたサッカーボールがロリコンソルジャーの顔面を直撃!!
 池袋晶葉謹製のどこでもボール射出ベルトが火を噴いた!!
 よろめくロリコンソルジャー!!莉嘉はその隙を逃さない!!

莉嘉「このっ!!」ボコー

ロリコンソルジャー「ごはっ★」ステーン

 莉嘉の拳が顔面に突き刺さり、もんどりうって尻もちをつくロリコンソルジャー!!
 莉嘉のパンチを受けて砕ける仮面!!そして――





莉嘉「お姉ちゃん……?」





ロリコンソルジャー「ああ^~ちびっ子のけげんそうな視線が快感なんじゃ^~」ジョワー

ロリコンソルジャー「――はっ★?!」ヒラリ\チュドーン/

 ひらりと身をかわしたロリコンソルジャー!!次の瞬間その場にリパルサー着弾!!
 続いてスーツを身にまとった桃華が降りてくる!!しかし――

莉嘉「お姉ちゃん!?お姉ちゃん!!」

晴「消えた……」

桃華「なんて逃げ足ですの……って、ああ……」

 爆炎に紛れて姿を消すロリコンソルジャー!!
 そして入れ替わるように次々とこの場に集結するハイエースa.k.a346プロ社用車!!
 仁奈P、薫Pなど、顔に青あざをつけた男たちが、社用M4や社用MP5Kを片手に続々と降りてくるッッ!!


仁奈P「莉嘉ちゃ~ん、昨日は世話になったねえ」ニヤニヤ

薫P「ったく世話かけさせやがって……」

千枝P「それじゃ、そろそろ本番だし。お着換えしましょうねえ」つチャイルドスモック

晴「おい、桃華早くそれで反撃しろよ」ヒソヒソ

桃華「バッテリー切れですわ……」ヒソヒソ

莉嘉「お姉ちゃん、嘘でしょ……」ボーゼン

莉嘉「お姉ちゃん……」


 【ハイエース車内】

莉嘉(チャイルドスモック着用)「……」

晴(チャイルドスモック着用)「……なんでオレまで」

桃華(チャイルドスモック着用)「……」

ぴにゃこら太「……」

雪美P「……」ニヤニヤ

莉嘉「……お姉ちゃんだった」

晴「お前のお姉ちゃんって……」

桃華「あの城ヶ崎美嘉さんですわよね……」

莉嘉「ロリコンソルジャーはお姉ちゃんだった……」

莉嘉「お姉ちゃん……どうして……」シクシク

桃華「莉嘉さん……」


晴「……おい、そこのお前!」

雪美P「……」ニヤニヤ

晴「莉嘉の姉貴がどうしてロリコンソルジャーなんだ!」

雪美P「いやあ~なんでやろねえ~w」ニヤニヤ

晴「こいつ……っ!!」

ぴにゃこら太「……」つP専用サイリウム<バチバチバチ

晴「ぐっ……」グヌヌ

ぴにゃこら太「……っ!!」ガッ

雪美P「アバババババババババババババ」ビリビリビリビリビリ

莉嘉晴桃華「「「!!」」」

 突如雪美Pに牙をむくぴにゃ!!それと同時に莉嘉、晴、桃華らの乗るハイエースが、そっと車列を離脱する!!
 白煙をあげて失神する雪美Pを窓から外に捨てながら、ぴにゃがついに口を開く!!

??「いや~、やっぱり着ぐるみは暑苦しいですね♪」バリバリバリントン!!

莉嘉晴桃華「「「あ、あなたは……!?」」」





千川ちひろ「皆さんここまでよく頑張ってくれました。皆さんを待っている人がいます♪」





 【某所】

ちひろ「ささっ、こちらです♪」

莉嘉「ここは……?」

晴「ダム……?」

桃華「秘密基地……ってことかしら」

ちひろ「ここで皆さんに会ってもらいたい人がいます♪」

莉嘉(……?誰だろう……)



武内P「皆さん、お待ちしていました」



莉嘉「!」

晴「!」

桃華「!」

莉嘉「……」

莉嘉「……」ワナワナ

莉嘉「……Pくん!」ダッ


 【都内某所】

美嘉「……」ボーッ

『……お姉ちゃん?』

美嘉「……」ボーッ



モバP「……」

薫P「……さっきからあの調子で」

舞P「記憶が戻りかけてきているようです」

モバP「……」ツカツカツカ

美嘉「……?」

モバP「任務報告」

美嘉「……?」ボンヤリ

モバP「……っ!」バチーン

美嘉「うっ……!」ヒリヒリ


モバP「任務報告。今すぐ」

美嘉「……あの子は誰なの?」

モバP「……お前のターゲットだ」

美嘉「アタシ……あの子のこと知ってた……。それに、『お姉ちゃん』って……」


薫P「ほら、記憶が戻りかけているんですよ」

仁奈P「何度も起こしたり戻したりを繰り返しているから……」

モバP「ならもう一度洗脳処理を施せ。“城ヶ崎美嘉”に戻れなくなっても構わん」

モバP「カリスマギャルなんて、チャイルドスモックによる蒼き清浄なるアイドル界に必要ないからな」

薫P「……了解」



薫P「……ほら大人しくしろ」電極セツゾクー

美嘉「……?」ボンヤリ

薫P「……オレを恨むなよ」スイッチオン

美嘉「……!」ビリビリビリビリビリ

美嘉「……アバババババババババババババwwwww!!!ww???!!wwwwwwww!!!?!?!?!?」ビリビリビリビリビリ

美嘉「ふひひ★ふひ、ふひひひひひひひひひひひひひ★……」ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ


 【某所】

武内P「――なるほど。そういうことでしたか……」

武内P「私も、入院しているふりをして346プロの情報を集めていましたが、城ヶ崎美嘉さんがロリコンソルジャーだったとは……」

武内P「チャイルドスモック党と、そのボスモバPの陰謀までは調べがつきましたが、そこまでは行き当たりませんでした……」

武内P「とにかく……!とときら学園を健全な番組に戻さねばなりません。まずはモバPを捕まえて――」

莉嘉「それじゃダメだよ!」

武内P「!」


莉嘉「とときら学園自体、あいつらの計画のうちなんだから。番組ごと潰さなきゃ」

武内P「しかし……!それでは現行の常務体制に反対できなく――」

莉嘉「Pくん。常務が今厳しくやってるのも、全部全部、チャイルドスモック党のせいなんだよ」

莉嘉「すべての情報を公表しよう。ここで負の連鎖を断ち切らないと。そうしないと……」

莉嘉「……そうしないと、またお姉ちゃんみたいな存在が生まれてきちゃう……」

武内P「城ヶ崎さん……」

武内P「……」チラッ

晴「……」カタスクメー

武内P「……」チラッ

桃華「わたくしは莉嘉さんについていきますわ」

武内P「……」チラッ

ちひろ「プロデューサーさん。ここはもう、仕方がありません」


武内P「……」

武内P「……」ハア

武内P「……わかりました」

莉嘉「Pくん……」パア

武内P「それでは、これを使って下さい」つマイクロチップ

莉嘉「これは?」

武内P「これは八神マキノさんに用意してもらった、コンピューターウイルスです。
スタジオの中央制御盤に差し込めば、テレビ放送をジャックすることができます」

ちひろ「ちなみに中身は“モーレツ★世直しギルティ”のMVですよ♪」

武内P「城ヶ崎さん。今からあなたがリーダーです。指揮をお願いします、……キャプテン」


 ※ ※ ※ ※

『莉嘉ー。ゴハンだよー』

『……って、莉嘉まだ泣いてるの?』

『だって、だってぇ……』グシッグシッ

『莉嘉は精一杯やったよ……。オトナになれないカブトムシだっている』

『うぅ……。ごめん、ごめんねえ……』ブワッ

『まったく、しょうがないなあ……』

『今夜は付き合うよ。ほら、こっちきな★』

『うう……お姉ちゃああん……』グスグス

『もう……リカはいつまでも子どもなんだから……』クスッ


・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

莉嘉「……お姉ちゃん」

晴「そろそろ時間だけどさ……」

晴「昔の姉貴がどうだったかは知らねえけど。今のあいつは救うべき相手じゃない。倒すべき敵だろ」

桃華「言いにくいことですけど……。もうお姉さまは莉嘉さんのことを完全に忘れてしまっているようでしたわ」

莉嘉「……思い出すよ」

晴「覚悟を決めよう。今のお前の姉貴はロリコンの変態で、妹のお前だって本気で襲ってくる危ないヤツなんだよ。
 こっちもガチで倒しにいかないとヤバい」

桃華「辛い選択ですが、手心を加えては莉嘉さんも危ないですわ」

莉嘉「お姉ちゃんはロリコンなんかじゃない」


晴「!」

桃華「!」

莉嘉「アタシのお姉ちゃん、城ヶ崎美嘉はいつだって。みんなが憧れるカリスマギャルだよ☆

……それじゃ、行こうか」

晴「……」カタスクメー

桃華「……」ヤレヤレ

晴「……ちょっと待てよ。そのスモックで行くのかよ」

莉嘉「まさか」



莉嘉「戦争は、戦闘服でやるものだよ☆」


 【346プロ・衣装保管庫】

ルーキートレーナー「~~♪」

ルキトレ「……ってファ!?!?!?」

ルキトレ「ない!……ない!!」

ルキトレ「“[カリスマちびギャル]城ヶ崎莉嘉+”の衣装がどこにもない!!」

ルキトレ「ああ……。お姉ちゃんにドヤされる~……」オーマイガッ



 【346プロ・守衛室】

ちひろ「お邪魔しま~す♪」バアン!!

警備員「ファッ!?」

警備員「ちょっと困りますよ関係ない人が勝手に入ってきちゃ――」

晴(いつものジャージ着用)「あ?(威圧)」

[カリスマちびギャル]城ヶ崎莉嘉+「……」ゴゴゴゴ

警備員「どうぞお入りください」

[ロゼ・マドモアゼル]櫻井桃華+「あら、これはどうもご丁寧に。ごめんあそばせ♪」

ちひろ「これをああして。こうして……」テキパキ

ちひろ「はい!これで全館に向けて放送ができるはずです♪」


 【モバPのオフィス】

モバP「みんな集まっ……てはないけど、仕方がないな」

モバP「さあ、そろそろスタジオに向かおうか」

薫「は~い!」

仁奈「いない人の分も頑張るでごぜーますよ!」

きらり(莉嘉ちゃん……)

スピーカー<ピーガガガ

『346プロのアイドルのみんな、聞いて!アタシはシンデレラプロジェクトの城ヶ崎莉嘉!!』

モバP「!」

きらり「!!」

みりあ「莉嘉ちゃん……!?」


 【シンデレラプロジェクト】

『昨日から、会社の人たちはアタシのことをプロ意識のないクソガキ……みたいに言っているかもしれない』

『幼稚園の服を着るのが嫌で大騒ぎするダメなアイドル、みたいにね。――でも真実は違う』

美波「これは……莉嘉ちゃん!?」

卯月「莉嘉ちゃん!?」

未央「莉嘉ちー!?」


 【プロジェクトクローネ】

『とときら学園は、ううん。346プロは、チャイルドスモック党という最悪の奴らに乗っ取られちゃったんだ……』

『モバPが奴らのリーダー。こいつらはすべてのアイドルの衣装を、チャイルドスモックに統一しようとしている』

奏「!?」

周子「ファ!?ヤバイじゃん」

唯「こうしちゃいられん」


 【エステサロン】

『奴らはいたるところにいる。とときら学園に関わっているプロデューサーは、Pくん……いや武内P以外はみんなチャイルドスモック党だった……』

『それだけじゃない。小梅Pも、晴Pも、梨沙Pも……他にも色んなPが奴らの仲間だった』

『みんなのプロデューサーもチャイルドスモック党かもしれない』

瑞樹「いかんでしょ」

早苗「シメる。いやマジで」


 【レッスン室】

『チャイルドスモック党はアブない集団なんだよ。気に入らない人はロリコンソルジャーを使って排除して……』

『……Pくんをも襲った』

トレーナー「嘘でしょ……」

アーニャ「そんな……」

凛「許せ……ぬ!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 【常務のオフィス】

『とときら学園が無事に放送されれば、奴らはさらに大きな力を持つようになる』

『常務派以外のアイドルを支配下に収めて、衣装は全部チャイルドスモックになっちゃう!!』

美城常務「なん……だと……?」

今西部長「これは大変なことだと思うよ」


 【守衛室】

莉嘉『アタシたちアイドルはプロデューサーのための着せ替え人形じゃない。
 衣装や仕事を選ぶ自由を持っているはずなんだ』

莉嘉『もちろん自由には代償が必要……。それは決して小さなものじゃない。でも払う価値は絶対にある☆』

莉嘉『アタシは自由のために戦う。たとえひとりでも。――でもッ!!』



莉嘉『ひとりじゃないって信じてる』



桃華「……素晴らしいスピーチでしたわ」パチパチ

晴「事前に練習してきたのかよ」

莉嘉「……お姉ちゃんならこう言うかなってね☆」テヘペロ


 【モバPのオフィス】

アイドル達「「「……」」」ジロリ

モバP「……」ニヤニヤ

愛梨「……騙していたんですね」

きらり「ゆう……さのばびっち!!」

ドア<ガチャ

 モバPのオフィスに入ってきたのは、ここにいるアイドルのプロデューサーたち!!
 いつもの優しい笑顔ではなく、いつになく険しい表情を浮かべている!!

仁奈「プロデューサー!この悪者を捕まえてくだせえ!!」

薫「せんせぇ!早く!!」

仁奈P「……」スチャ

薫P「……」カチャ

仁奈薫「「ヒッ」」


愛梨「担当アイドルに銃を向けるなんて……」

みりあ「莉嘉ちゃんの言っていたことは、やっぱり本当だったんだ……」

モバP「はっは。君たちアイドルはダンスやってるからな。万が一暴れられたら素手では叶わない。
 だから部下には銃や強化サイリウムを携帯させているんだよ」

モバP「さ、そろそろ第一回・とときら学園特別生放送の時間だ。
 ……下に車をまわしてあるな?」

舞P「イエッサー!」

モバP「アイドルの諸君、そろそろ移動しよう。身体に風穴を開けたくなかったら、大人しくついてきたまえ」ニッコリ

アイドル達「「「ひえ~」」」


 【守衛室】

ちひろ「駐車場からハイエースが発進しました。スタジオに向かっています。どうやら放送を強行するようですね」

莉嘉「アタシたちもスタジオに急ごう!チップを差し込んでとときら学園の放送を防がなくちゃ!」

ちひろ「そうしたいのは山々なんですが……。監視カメラの映像を見て下さい」

晴「んなっ!?」

「行くぞー!」「城ヶ崎莉嘉を引きずりだせー!」「ギャル最低!スモック最高!!」ガヤガヤ

桃華「これ、全員がチャイルドスモック党ですの?」

ちひろ「この守衛室はプロデューサー軍団に包囲されてます。突破できませーん♪」

莉嘉「なんて数……」

ドア<ガンガンガン!!

「開けろー」「逃げ場はないぞー」「大人しく投降しろー」

莉嘉「どうしよう……」

晴「急がないと、あと10数分で番組が始まっちまう!」

桃華「もう……ダメですの?」

 誰もが諦めかけたその時――ッッ!!


「ギャー!!」「タスケテー!!」「髪の毛をむしるな!毟らないで下さいホントお願いします!!」

莉嘉「!!」

晴「!!」

桃華「!!」



凛「莉嘉のスピーチ、まあ悪くないかな」ボコー

P「ギャー!!」

卯月「島村卯月、頑張ります!ブイっ!!」メツブシー

P「メガー!!」

未央「莉嘉ちーのためなら、ひと肌脱いじゃうよ!!」ハイキック

P「オアマー!!」

莉嘉「みんな!!」


唯「同じ埼玉ギャルのよしみだ!ゆいも加勢するよ!」ドカドカドカ

P「ゴハッ」

アーニャ「Трахните вас, выродки」パンパンパン

P「ウッ(絶命)」

ありす「論理的に考えた結果、皆さん側につくべきと思いやってきました」ロンパァ!

P「オンギャース」

桃華「ありすさん……プロジェクトクローネの皆さんまで……」


「逃げろー!!」「いや、あれはマジで無理。勝てない」「降参!降参しますからギャー!!」

楓「皆さんこんにちは。6代目シンデレラガールの高垣楓です」

瑞樹「大人組も参戦するわよ!!」

菜々「ナナはなんで大人組に入っているんでしょうか……」

友紀「こちとら今機嫌悪いんじゃ!誰でもいいから殴らせろ!!」

早苗「晴ちゃん!いつも通りお姉さんが助けにきたわよ!!」

晴「早苗さん……!!」


 今や346プロは上から下まで大乱闘状態!!
 すべてのアイドルとすべてのプロデューサーが入り乱れて殴り合う、禁断の内戦<シビルウォー>が勃発していたッッ!!


晴「よし!ここはオレたちに任せて、莉嘉はスタジオに行け!」

桃華「とときら学園を止められるのは莉嘉さんだけですわ!」

ちひろ「残り8分です♪」

莉嘉「そうか……そうだよね!」

莉嘉「アタシ、スタジオに行ってくる!ここは任せたよ☆」


 そして莉嘉は炎上する346プロをしり目に再びママチャリを飛ばす!!
 行き先はとときら学園の撮影、放送が行われるスタジオ!!最後の決戦の地ッッ!!


 ※ ※ ※ ※

美城常務「もうダメだ……。(ウチの会社は)おしまいだァ……」

今西部長「就活しよ」


 【スタジオ・コントロールルーム】

莉嘉「……」

美嘉「……」

莉嘉「……やっぱり最後に戦う相手はお姉ちゃんなんだね」

美嘉「……ふひひ★」

莉嘉「お姉ちゃんは自分が何をしているのか分かってないんだ」

美嘉「ちっちゃい子発見★お着換えしましょうねえ~」つスモック

莉嘉「こんなのお姉ちゃんじゃない!いつものお姉ちゃんに戻ってよ!!」

美嘉「ああ^~チビッコの悲しい視線が快感なんじゃ^~」パキパキパッキーン



莉嘉「もう時間がないの……。お姉ちゃんだからって、今は容赦しない!行くよッッ!!」ダッ

美嘉「……★」バッ

 本日二度目の姉妹対決!!莉嘉と美嘉、ふたりの拳が交差するッッ!!


 【とときら学園】

モバP「生放送だからってヘンな気を起こすんじゃないぞ」

仁奈P「袖からずっと、見張っているからな!」スチャ

アイドルたち「「「……」」」

スタッフ「そろそろ本番でーす!あと1分!!」

きらり(莉嘉ちゃん……)


 【コントロールルーム】

ちひろ『とときら学園放送開始まで残り30秒です!』

莉嘉「このっ……しぶとい!!」シュババッバババ

美嘉「ふひひひひひ★」ズババババッ

莉嘉「……これだけはやりたくなかったけど、仕方がない!」マキツキー

美嘉「ああ^~」クンカクンカ

莉嘉「秘儀!鎮静剤!!」メリメリメリ

美嘉「ロリに絞め落とされるの気持ちいいんじゃ^~」アア^~

莉嘉「落ちろっ……落ちろ!!」メリメリメリメリメリメリ

美嘉「クカッ……クカカカカッカ」グガガガガ

美嘉「きゅう……」パタリ

莉嘉「落ちたな☆」



ちひろ『残り10秒!!』

莉嘉「分かってる!今チップを差し込む!!」ゴリッ

莉嘉「――ッ!!足が……!さっきお姉ちゃんに……」

莉嘉「でも……頑張らなきゃ!!」ヨロヨロ


きらり(あと5秒……始まっちゃう!!)

莉嘉「……っ!!」ギリギリ

晴(4秒!莉嘉頼む!)

莉嘉「もうちょっとで、手が届く――ッ!」

桃華(残り3秒!莉嘉さん……!!)

莉嘉「カリスマギャルパワー、全開――ッッ!!」

モバP「……残り2秒」ニヤニヤ

莉嘉「お姉ちゃん――ッッ!!」ギリギリ

ちひろ『残り1秒!!』





莉嘉「セット、完了☆」カシャッ








『さいきっく・おいろけビーム!』





モバP「!!」カッ

仁奈P「!!」カッ

薫P「!!」カッ

小春P「!!」カッ

舞P「!!」カッ

千枝P「!!」カッ

その他プロデューサーさんたち「!!」カッ

全国のロリコン「!!」カッ

                               ヽ`
                              ´
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 サイキック・お色気ビーム炸裂!!チャイルドスモック党員たちは次々と頭部が爆発!!四散していくッッ!!
 
 アイドルとプロデューサーの、血で血を洗う戦争は終わった!!
 
 346プロで、スタジオで、邪悪な企みをその胸に抱いていたPたちは、全員がその生涯を終えたッッ!!

 アイドルたちは敢然と戦い、そして勝利した!!

 プロデューサーさんたちの魔の手から解放され、自由を取り戻したのだッッッ!!! ハレルヤ





 ……そして――



美嘉「うっ、頭が……頭が割れるように痛い★」フヒヒヒヒヒ

莉嘉「お姉ちゃんしっかりして!!」

美嘉「ふひ★……キッズアイドル発見、スモック……スモック着せなきゃ……」

莉嘉「お姉ちゃん!リカだよ!アタシが分からないの!?」

美嘉「お姉ちゃん呼び最高なんじゃ^~」タックルー

莉嘉「あうっ……」ビターン

美嘉「お姉ちゃん呼びもっと!……お姉ちゃん?妹?うっ……頭が」ズキズキ

莉嘉「お姉ちゃん……」

美嘉「……あ、うう。と、とにかくスモック着せるんじゃ^~wwwwお着換えちまちょうね^~」パキパキパッキーン

莉嘉(お姉ちゃん……)


莉嘉「……もう、好きにすればいいよ」

美嘉「ふひひ★ふひ、ふひひ★」ビリビリィ

莉嘉「だって姉妹だもん。お姉ちゃんとは戦いたくない」

美嘉「……ふひ?」ピタ

莉嘉「……今度はアタシが、最後まで付き合うよ」

美嘉「……」

莉嘉「アタシとお姉ちゃんはカリスマギャル姉妹……最後まで一緒」

美嘉「……!」


 その瞬間、モバP集団爆死の影響で倒壊するスタジオ!!
 
 そしてあゝ無情。足を負傷している莉嘉は逃げることができない!!

 
 
 しかし――ッッ!!



美嘉「……!」ガバッ

莉嘉「お姉ちゃん……」


 莉嘉を抱えて崩れゆくスタジオから脱出する、ロリコンソルジャーもとい城ヶ崎美嘉!!
 
 莉嘉は姉の腕の中、安心しきって眠りにつく

 
 
 
 
 数時間後、近くの公園のベンチでスヤスヤと眠る莉嘉が発見され、吉村と村田は病院で静かに息を引き取った。





 【数日後】

武内P「危険思想集団の蔓延、銃刀法違反、謎の爆発事件、放送テロ……」

武内P「それら影響で、346プロは登記上でも物理的にも潰れてしまいました」

武内P「しかし調べたところ、チャイルドスモック党はまだまだアイドル業界に巣食っているようです」

武内P「私はその調査に出ます。城ヶ崎さんは、あなたはこれから……」

莉嘉「アタシは違う事務所でアイドル続けるつもりだよ☆」

莉嘉「別に346プロじゃないとアイドルはできないわけじゃないしね☆」

武内P「……そうですか。それなら良かったです」

莉嘉「お姉ちゃんはまたいなくなっちゃったけど、アイドルを続けていればずっと見ていてくれると思うから……」

莉嘉「だからもうちょっとアイドル頑張ってみるよ!」

武内P「……いい、笑顔です」

武内P「それでは」サラバ



晴「行っちゃったな」

桃華「そうですわね」

莉嘉「……アタシはお姉ちゃんを探すためにまたアイドルやるけど、ふたりは別に付き合わなくてもいいんだよ?」

桃華「そうですわね……」

晴「そうだな……。

で、この事務所なんかいいんじゃね?これからオーディションなんだけど、一緒に行こうぜ」


ED: https://www.youtube.com/watch?v=lkRDzOOfO7o



 【都内某所】

??「……」

??「この雑誌……」ペラペラペラ

『カリスマギャル・城ヶ崎美嘉の人生相談!』

??「これ……」

美嘉「これが、アタシ……?」





  続かない


Thank you for reading.

城ヶ崎姉妹の語尾にしばしばついてる☆★マーク
これを眺めていたら、いつの間にかこんなSSを書き散らかしておりました

ぼくは莉嘉ちゃんだけでなくお姉ちゃんも好きです
これだけははっきりと真実を伝えたかった


 じゃあの

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