【ガルパン】みほ「本当は?」しほ「みほを愛してる」 (35)


――西住家 広間――


みほ「……遅くない?」

まほ「じきに来る」

まほ「みほ、くれぐれもお母様に失礼の無いようにな」

みほ「うん……わかってるよ」


みほ「"絶対に失礼のないように"だね」


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※東京03のパクリやで



まほ「失礼の無いように。絶対だぞ」

みほ「大丈夫だよ。それにしても、この部屋何か臭わない?」

まほ「臭う?」

みほ「なんだろう……加齢臭?」

まほ「ぶふぅっ!!」


まほ「そ、そうやってすぐふざけるの、みほの小さい頃の悪い癖だ」フキフキ

みほ「なんだか懐かしくて」テヘ

まほ「お母様に失礼だぞ、みほ」

まほ「座布団や畳に染みついた頑固な加齢臭なんて無い」

みほ「でも、お姉ちゃんだってそう思ってるでしょ?」

まほ「思ってない」

みほ「本当は?」

まほ「 超 臭 い 」


みほ「ふふっ……」プルプル

まほ「くふふ……。べ、別に小綺麗な和室だろう?」プルプル

みほ「ノリノリで言ったよね、お姉ちゃん」プルプル

まほ「みほに言わされただけだっ」プルプル

みほ「あはは。……なんだか小さい頃を思い出すね、この感じ」

まほ「……そうだな」フッ


みほ「そういやお母さん、私に会ってくれるって話になったし、小さい頃みたいに優しくなってる?」

まほ「ああ。もうみほの戦車道を認めていることを周りに話すほどだ」

まほ「みほを戦車道から遠ざけたのも、あの時の事故のような悲劇からみほを守るため」

まほ「お母様は、元よりずっと優しい人だったんだよ」ニコ

みほ「本当は?」

まほ「 ク ソ ア マ 」


まほ「だからっ……! み、みほっ……!」プルプル

みほ「くふふっ……ふふ……」プルプル

まほ「だ、だから! やめなさい、みほ!」プルプル

みほ「クソアマと会いたくないよ……! やだやだ……!」プルプル

まほ「良い人だからっ! 優しいお母様だからっ!」クフフッ

みほ「でも、あれだね。"本当は"って聞かれると、逆のこと言いたくなっちゃうよね」フフッ

まほ「もうやめよう。そろそろお母様も来る」

みほ「はい、お姉ちゃん」


ガララッ ピシャ


しほ「少し連盟の会議が長引いてしまいました」

まほ「お疲れ様です。それで、お母様」チラッ

みほ「…………」

しほ「……みほ。良く来たわね」

みほ「う、うん……」

しほ「貴女には苦労をかけてしまって――――」

まほ「お母様。その辺のことはみほも納得済み」

まほ「今日は、これからのことについて話し合いましょう」

しほ「……そうね」


しほ「――――黒森峰と大洗女子の合同演習を行いたい、と?」

まほ「はい。後継の育成のためにも、また両校の友好を示すためにも重要かと」

しほ「なぜ私に相談を?」

まほ「その際、お母様にご指導を仰げればと思います」

しほ「…………」

しほ「わかりました、いいでしょう」

しほ「但し、母親としての私情は一切挟みません」

しほ「黒森峰OGとして、若手育成の責任者として、公明正大に望みます」

まほ「ありがとうございます」

みほ「あ、そっか。お母さん、黒森峰のOGだったんだよね」

しほ「良い機会かも知れません。私が貴女たちくらいだった頃の話でもしましょうか」


まほ「そう言えば、あまり詳しくはお話を聞いたことがありませんでした」

しほ「確かこの辺にアルバムが――」ガサゴソ

しほ「ありました。これが当時の私です」スッ

[写真]

まほ「…………」

みほ「…………」

しほ「なんだか娘たちに見せると、少し恥ずかしいですね」テレ

まほ「若さの中にも凛々しさと精悍さがあります。今と変わらずお美しい」

みほ「本当は?」

まほ「 憎 た ら し い 」


しほ「」


まほ「だからみほwww それはマズイだろwww」カタパン

みほ「いたっwww お姉ちゃん肩パンやめっwww」

まほ「今じゃない絶対にwww 失礼すぎwww」プルプル

みほ「wwwwww」プルプル


しほ「憎たらしい?」ピキ


まほ「い、いえ! 可愛いらしいです! とてもキュートでプリティーで――」

みほ「本当は?」

まほ「 ド ブ ス 」


まほ「みほっwww ホントにマズいってwww」プルプル

みほ「顔www お姉ちゃん顔www」プルプル

まほ「お母様にwww 絶対言っちゃいけない奴www」プルプル

みほ「知ってるwww」プルプル



しほ「う゛お゛お゛お゛お゛お゛い゛っ゛!゛!゛!゛」バンッ!



まほ「」

みほ「」


しほ「ドブス」

まほ「えっ、いやっ、ちがっ」

しほ「私の高校生時代、ドブス?」

まほ「いえっ! 確かに可愛らしさと言うよりはクールビューティーですが、ドブスではないです!」ビシッ

しほ「ならばなぜ言った」

まほ「みっ! みほがっ! みほが"本当は"と聞くものでっ!」

まほ「つい本当のことを言ってしまうんです!」

しほ「そう。本当のことを」

まほ「あっ」


しほ「久々に聞いたわドブス……ドカベン以来かしら」プルプル

まほ「違うんです! みほが面白さを求めてくるせいなんです!」

まほ「あの場合、ドブスって言った方が絶対に面白かったんです!」

しほ「ふざけているの」

まほ「あっ」


まほ「誤解です! 誤解なんです! お母様っ!」

しほ「何が誤解なの?」

みほ「お、お母さん落ち着いて! 確かに私もドブスは言い過ぎだと思うな」

まほ「ちょっ!? それは汚いぞみほォ!?」

みほ「んでも、お姉ちゃんが言ったんだからお姉ちゃんが悪いよね?」

まほ「い、いや、私だけの責任ではないだろう!」

みほ「本当は?」

まほ「 私 が 悪 い 」


しほ「やっぱりまほが悪いのね?」

まほ「ちがっ! あの、こういうシステムなんです!」アタフタ

しほ「システム……? まほがよく分からないことを言うなんて……」

しほ「もしかして、私がみほに辛く当たったから、まほが私を恨んで……」ウルッ

まほ「いやっ! あの、お母様! よく聞いてください!」

まほ「私はお母様のことを戦車乗りとしても、1人の女性としても尊敬しています!」

まほ「みほを勘当しようとしたことだって、今思えば愛情あってのこと!」

まほ「みほに辛く当たった過去も含めて、私は理解しているつもりです!」

みほ「本当は?」

まほ「 許 さ な い 」


しほ「こ゛め゛ん゛ね゛み゛ほ゛ぉ゛ま゛ほ゛ぉ゛!゛!゛!゛」ピィィ

まほ「ゆ、許してます! お母様のこと許してますから!」オロオロ

みほ「お姉ちゃん」

まほ「なんだみほ!? 元はと言えばみほが―――」


みほ「なんだか昔みたいだね」ニコ


みほ「こうやって私がふざけて、お姉ちゃんを困らせて、お母さんを泣かせて」

みほ「それでも二人は笑顔で私を迎えてくれて」

みほ「いつからだったかな。私が引っ込み思案になっちゃったのは」

みほ「でも、またこうして、小さい頃の私たちになれた」

みほ「すごく、うれしいな」ニコ

まほ「みほ……」

しほ「……なるほど。そういうことでしたか」ハァ

みほ「えへへ」


しほ「アルバムに、こんな写真も入っていましたよ」スッ

[写真]

まほ「これは、みほが5歳の時の誕生日パーティーの」

みほ「お姉ちゃんもお母さんも私も、こんなに笑顔」

しほ「本当ね……」

まほ「本当だ……」


まほ「この日、家の中でみほと隠れんぼをしていて、夜まで見つけられずに困った」

みほ「そうだったね」

しほ「みほが誘拐されたと思って私は泣きましたね」

まほ「そんなわけないと私は言ったのに、お母様は」

みほ「それで、お姉ちゃんがⅡ号戦車の中に居る私を見つけたんだよね」

まほ「家の中限定というルールだったはずだ」

みほ「あの時の私にとっては、戦車も家だったんだもん」

まほ「屁理屈だ」

みほ「えーっ」

しほ「うふふ……」


しほ「でも、あんまりやんちゃをしてはいけませんよ。みほ」プンプン

しほ「貴女も西住の人間なら、世間に恥じない行動をとるべきです」

みほ「わかってるよ。家族以外には、こんなことしないよ」

まほ(お母様、結構傷ついたんだな……)

みほ「お母さんは、私のこと、嫌い?」

しほ「ええ。もちろんですとも」フンッ

みほ「本当は?」

しほ「……ハァ」


貴女のいたずらっぽい笑顔には、いつも私が負けていたわね

だからこそ私は貴女の母親をやめて、西住の師範となったの

貴女は私の娘ではなく、西住の人間にならなくてはいけない

この家から笑顔がなくなったのはその時から

それはそうよね、この家から"母親"が居なくなったんですもの


しほ(―――みほ。貴女はまた、私を"母親"にさせてくれるの?)

みほ「ねえ、お母さん。本当は?」

しほ「…………」ハァ



しほ「みほを愛してる。私の可愛い娘ですもの」ニコ



みほ「……えへへ」


まほ「お母様……」

しほ「まほ。今日くらいは昔みたいに、お母さんって呼んではくれないかしら?」

まほ「……うん、お母さん」

しほ「それじゃ、お父さん呼んで、みほのお帰りなさいパーティーでもやりましょうか」ニコ

まほ「えっ? お母さんが料理作るの?」

しほ「私特製ハンバーグでいいわよね? そう言えば、もう何年も作ってなかったわね……」

みほ「大丈夫だよお母さん。昔もそんなに美味しくはなかったから」

しほ「…………」ウルウル

まほ「こ、こら! みほ! お母さんが泣いちゃうだろ!」


しほ(ふふっ。違うのよ、まほ。なんだか懐かしくて、嬉しくてね……)グスッ

まほ「私はお母さんのハンバーグ、大好きだよ!」アセッ

まほ「少し固めだけど、独特な風味と肉汁のハーモニーが個性的な味を―――」

みほ「本当は?」

まほ「 美 味 し く な い 」


しほ「」







おわり

読了ありがとうございました

過去作
・ダル「本当は?」紅莉栖「岡部を愛してる」
・古泉「本当は?」ハルヒ「キョンを愛してる」
・漣「本当は?」曙「提督を愛してる」

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