杏奈「魔法美少女リリカルプリズママギカ☆アンナちゃん!」 (57)

アイドルマスターミリオンライブの杏奈と未来と静香とその仲間たちの繰り出す魔法少女系物語。

茶番。
キャラ崩壊あり。
パロディあり。
誤字脱字あるかも。
ガバガバ設定あるかも。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1496403602

この世界には数多くのアイドルが存在する。

そして何故か魔法少女も存在していた。


杏奈自宅


杏奈「ふひひ……ユリコちゃん今日もかあいいよぉ……」

ユリコ『来週も風と共に、見てくれるかな?』

杏奈「うんっ! クーラー全開で見るよ! なんなら来週とは言わず、毎日見ているよ!」

ユリコ『風よ、また私を導いてくれ!』

杏奈「杏奈も、ユリコちゃんの風に毎日導かれているよ!」

杏奈「…………」

杏奈「……ふぅ」

杏奈「今日も風の魔法使いユリコちゃん……神回だった」

杏奈「いや……存在自体が神。外れの回なんて一個もない神アニメ」

杏奈「そもそもの話。ユリコちゃんのモデルであり、声優も務めている七尾百合子さんが神そのものなんだ」

杏奈「これはもう間違いない。ユリコちゃんは神、いや女神、ヴィーナスユリコ」

杏奈「ああぁ……早く来週になってくれないかなぁ……」

杏奈「……杏奈もユリコちゃんみたいに魔法を使えるんだったら」

杏奈「今すぐ今日を来週にさせて、風の魔法使いユリコちゃんが見られるのになぁ……」

?「その願い、叶えてあげようじゃないか!」

杏奈「さてと、もう一回見よっと……」

?「そ、その願い、叶えてあげようじゃないか! 叶えてあげますよ!」

杏奈「キャーユリコちゃん、かあいいよぉー!」

?「き、聞こえていないのかな? それとも言い方が悪いのかしら……?」

?「あんまりストレートに伝えるのはいきなりどうかと思ったけど、伝わらないのなら仕方ないわね」

?「望月さん、入らせてもらうわ」ガチャ

杏奈「ウオオーユリコ―!」

?「望月杏奈! 僕が君を魔法少女に」

杏奈「さっきからうるさいっ!」ポイッ

?「まぐらっ!?」

杏奈「杏奈はね、風の魔法使いユリコちゃんを見ているのに忙しいの」

杏奈「営業マンのよう誘い方をする魔法少女のマスコット的なのに構っている暇なんてないの」

?「そ、そんなつもりは全くないのだけど……」

杏奈「あの白い営業マスコットのせいで、風の魔法使いユリコちゃんを見るまでマスコット的な存在を疑い続けたんだからね」

杏奈「その罪は重いよ」

?「そ、そうなんだ……」

杏奈「そんなことも知らないで魔法少女を杏奈にさせようとしていたの? しかも人間だし、身の危険を感じる」

?「だ、大丈夫よ。私はけして怪しい人じゃないわ」

杏奈「杏奈と初対面の人が杏奈の家にいて、という不法侵入している人をどう見たら怪しくないって思うのかな? よし通報しよう」

?「ま、待って、望月さんのお母さんから許可を取っているの。だから不法侵入じゃないわ」

杏奈「どうしてこんな怪しい人をいれるのかな……」

?「そ、それで魔法少女になってくれるかな?」

杏奈「この流れで魔法少女になると思うの?」

杏奈「……というか、本当に何者なの? 変態? え、怖いんですけど……」

?「お、怯えないで。これにはね、いろいろ事情があるの」

杏奈「事情ってどんな事情? 取りあえず名乗って」

?「あ、そうね、まだ名乗っていなかったわね」

?「では改めて……ゴホン」

?「私……じゃないわね」

静香「僕の名は最上静香!」

静香「中学生くらいの女の子を魔法少女にするためにやってきたんだ!」

静香「杏奈ちゃんよろしくね☆」

杏奈「もがみ、しずかさんっと……」ポチポチ

静香「待って、110番にかけないで! さっきも言ったけど、いろいろと事情があるの!」

杏奈「その事情って、どうせ設定でしょ」

杏奈「最上さん、なんか無理にキャラ作っている感あるし……絶対に元気キャラじゃないでしょ」

静香「キャラって言わないで!」

静香「わた、ぼ、僕はいつもこんな感じだよ!」

静香「元気で常にハイテンションで明るいのがモットー!」

静香「うるさいかもしれない僕だけど、これからよろしくね! キャハッ☆」

杏奈「うわキツ……」

静香「そこまでドン引きしなくてもいいじゃない!」

杏奈「ドン引きしない方が無理あると思うよ……」

杏奈「例えるなら」

杏奈「いい大人が、幼稚園の服を着て安直な若作りをしている感じ」

杏奈「もっと例えるならウサミンのことを言う」

静香「それ、ウサミンさんにも失礼でしょ!」

杏奈「何言っているの。ウサミンさんは周囲からきついきついとかいろんなこと言われているし」

杏奈「最近だと動画でビーマーべーべーのおもちゃにされているけど、それでもウサミンはものすごく頑張っているんだよ」

杏奈「そんな面白い人を失礼とか言ってバカにしないで」

静香「バカにしていないし、望月さんがバカにしているんじゃ……」

杏奈「とにかく、そんな人のことを信じられると思う?」

杏奈「もっとも、杏奈は百合子さんとユリコちゃんしか信じられないけど……」

静香「貴女はゆりこという人にしか信じられない制限でもかけられているの?」

杏奈「最上さんがどうして杏奈の家に来た理由が気になるけど……」

杏奈「特に知る必要はないし、ユリコちゃん見たいからさっさと帰って」

杏奈「今なら通報しないから」

静香「で、でも、さっき魔法が使えたらって言っていたじゃない」

静香「いや、言っていたわね」

杏奈「え、その発言……信じていたの? ごめんなさい」

静香「謝らないで、同情するような目で見ないで」

杏奈「そもそもの話。最上さんは魔法少女に本気でなれると思って言っているの?」

静香「もちろん! だって僕は魔法少女にさせることができるんだからね!」

杏奈「あ、これは思ってないね」

静香「そんなことないよ!」

杏奈「あと、やっぱりそのキャラやめた方が良いよ。絶対に楽になると思うから」

静香「きゃ、キャラじゃないもん! これが僕だもん!」

杏奈「無理して元気キャラ通して心配されるやつだよ。頭大丈夫って?」

静香「それは心配ではなく、貶しているでしょ」

杏奈「そして数年後に黒歴史確定……」

静香「な、ならないよ! 元々の性格が黒歴史になってたまるか!」

静香「……もうすでに後悔しているけど」

杏奈「…………」

静香「と、とにかく嘘みたいな話だけどね、本当に魔法少女になれるんだ」

静香「実際、私は」

杏奈「私?」

静香「じゃなくて、僕がこの目で見たんだから!」

杏奈「無理しなくていいよ……杏奈も魔法少女、アニメで何回も見たことあるから……」

静香「無理してなんかないわよ! それにアニメの話じゃない、本当に現実に起こってしまっているの!」

静香「そりゃあ、私だってアニメの話だけにしてほしかったわよ……」

杏奈「?」

静香「……私の幼馴染に春日未来って言う女の子がいるんだけどね」

杏奈「自慢話?」

静香「え、な、なんでそうなるの!?」

杏奈「幼馴染って……リア充かラブコメの中でしか存在しないでしょ?」

静香「そんなことないわよ」

杏奈「そして大抵が、ある日突然現れた美少女に負け、滑り台行きなのが鉄板になっているこの頃」

杏奈「最上さん、可哀想……」

静香「なんで私が将来、未来にフラれる流れになっているのよ!」

静香「それに未来は女なんだから、フラれることなんてないわ」

杏奈「恋愛なんか男は男同士で、女は女同士で付き合えばいいんだよ」

静香「良い笑顔でハッキリと意味わからないことを言わないでくれる?」

静香「話が逸れたわね」

杏奈「そしてキャラを作っていることも忘れている……」

静香「キャ、キャラじゃないって! そう、僕の話はね! 未来が本物の魔法少女になってしまったんだ!」

杏奈「ねぇ、これいつまで続くの?」

静香「も、もうすぐ終わる、わ」

杏奈「この話、意味あるの?」

静香「意味があるから説明しているのよ」

杏奈「このリアルがクソゲーの世界で、魔法少女が現実でもいるんだったら世の中はもっと素晴らしい世界に変わっていると思うよ」

静香「リアルがクソゲーみたいなのはともかく……実際にこの目で見たのは確かよ」

静香「でも世界は何一つ変わらない。魔法少女は確かに存在する」

杏奈「……最上さん、一回病院行ったら?」

静香「病院に行って魔法少女がいなくなるのなら、とっくに行っているわよ!」

杏奈「悲観的になっているけど、同情を誘っても杏奈はクールだからその手には乗らないよ」

静香「そんなつもりは一切ないわよ……」

静香「話を戻すけど、未来が魔法少女になってしまったのよ」

静香「理由はわからないけど、なってしまった事実を私は目撃している」

杏奈「ふーん……で」

静香(あ、望月さん絶対めんどくさくなっているわね)

静香「あ、そうだ」

静香「未来から魔法少女に変身するアイテム渡されていたんだわ。これで信じてもらえるかな?」

杏奈「……なにこれ?」

静香「魔法少女の変身アイテム」

杏奈「え、これ……おもちゃのマイク……ダサッ。最上さんセンスないとかドン引き……」

静香「私じゃなくて、未来よ! 未来はこれで変身したのよ!」

杏奈「こんな誰も買わないようなおもちゃのマイクが?」

静香「さあ杏奈ちゃん、これで君も魔法少女に」

杏奈「ならない」

静香「ですよね……」

杏奈「思ったんだけど誘い方が下手、そんなんじゃ相手にされないし、通報されてもおかしくないからね」

静香「ご、ごめんなさい……」

杏奈「……とはいえ、こんな子供でも嘘だとわかる話、普通しない……」

杏奈「それとも、最上さんがただのアホなだけなのかな?」

静香「でへへ、そんな褒めなくても大丈夫だってぇ!」

杏奈「……そのキャラ、合ってないからやめた方がいいよ。本気で病院に行った方が良いって言われる奴だから」

静香「そんな辛辣に言わなくても……」

杏奈「魔法少女が現実いることを想定として、そんな話をなんで杏奈に?」

杏奈「あ、わかった。いじめだ」

静香「まだ何も言ってないし、いじめなんかじゃないわよ」

杏奈「嘘だ! そうじゃなきゃ杏奈の所に来るはずがない! 外は魔境、敵だらけなんだもん!」

杏奈「外の住人からやってきた最上さんは敵! いじめに来たに間違いない!」

静香「貴女はどんな価値観で外と私を見ているのよ……」

静香「……その、実はクラスメイトのみんなにも話したんだけど、みんな信じてくれなくて」

杏奈「当たり前だと思うよ……」

静香「残っていたのが、不登校の望月さんしかいなかったから……それで」

杏奈「……当然だもん。学校なんてリア充が行くところだもん」

静香「学校は遊園地のようなところじゃないわよ」

静香「というか、アニメを見て引きこもってないで学校に行きなさいよ!」

杏奈「学校に行ったら負けだと思っている」キリッ

静香「そんなドヤ顔しても何一つ立派なことじゃないわよ」

杏奈「外に出たら負けだと思っている」ドヤァ

静香「何も変わっていないじゃないの」

杏奈「思ったんだけど、杏奈じゃなくて最上さんが魔法少女になればいいんじゃないの……?」

静香「そんな恥ずかしいコスプレするなんて嫌に決まっているでしょ」

静香「だから私の代わりになってくれる人を今探しているの」

杏奈「うわっ、最低だこの人」

杏奈「人に嫌なことを押し付ける最低ゴミ野郎だ。吐き気を催す邪悪な存在め!」

静香「そ、そこまで言わなくてもいいじゃない!」

杏奈「そういうことなら、尚更やらないよ」

杏奈「杏奈はずっとこの部屋で引きこもって、風の魔法使いユリコちゃんを見続けるんだ」

杏奈「これこそ真のリア充! 働いたら負けこそジャスティス!」

杏奈「あ、一週間早く迎える魔法があったら連れてきてね」

静香「こんな駄目人間に、最低ゴミ野郎とか吐き気とか言われたのね……」

静香「魔法が使いたいって言っていたから期待したけど……しょうがないか」

静香「未来を説得するか……もしくは強行してでも」ピロン

杏奈「今の音なに?」

静香「えっと……あ、未来からラインが来たわ」

杏奈「ライン……やはりリア充か。杏奈の敵」

静香「なんでラインだけでリア充扱いされるのよ」

杏奈「決まっているじゃん。リア充は友達がいる。友達がいるからラインをやっている証拠なんだよ」

杏奈「故に友達どころか幼馴染がいる最上さんなんか滅びてしまえばいいんだもん」

静香「別に私はリア充なんかじゃないわよ……」ピロン

杏奈「今嘘ついた音だ」

静香「いや、これもラインの音よ……って、これは!?」

杏奈「リア充なんか放って置いて、杏奈は風の魔法使いユリコちゃんを」

静香「た、たたたたた大変だよ、杏奈ちゃん!」

杏奈「……そんな思い出したようにキャラ作らなくてもいいから」

静香「忘れたわけじゃないわよ! いや、そうじゃなくて」

静香「み、未来が魔法少女となって、侵略し始めたの!」

杏奈「ユリコちゃんかあいいよぉー」

静香「アニメ見てないで、わた、じゃなくて! 僕の話を聞いて!」

杏奈「……まだこの茶番をやるの? 杏奈、茶番に付き合っている暇なんか本当はないんだけど?」

静香「茶番って言わないでよ。いや、茶番にしてほしいくらいだけど……」

静香「とにかく、望月さんも一緒に来て!」

杏奈「え、嫌です」

静香「私には時間がないんです!」

杏奈「杏奈だってないよ!」

静香「どう考えても私の方が時間ないじゃない!」

杏奈「それって杏奈がアニメを見るのは暇つぶしだと言いたいわけ?」

杏奈「これだからリア充は、アニメを汚物のような目で見る! お前は杏奈の敵だ!」

静香「違うわ、貴女の敵は私ではなく未来よ!」

杏奈「どっちも一緒だよ!」

静香「仕方がないわね……こうなったら無理矢理連れて行くしかないわね」

杏奈「でたー話が通じなければ暴力で解決する手段」

静香「暴力じゃないわよ……」

杏奈「杏奈にとっては暴力だよ。そんなこと許されると思っているの?」

静香「そこは心配いらないわ。望月さんのお母さんも無理矢理外に連れて行っていい許可も取ってあるわ」

静香「そもそも最初からそうすれば良かったのよ」

杏奈「え、ちょっと、待って。え、マジ?」

静香「嘘ついてどうするのよ。さあ、つべこべ言わずに外に行くわよ。外は魔境なんかじゃないんだから何も問題ないわ」

杏奈「問題あるよ! それに杏奈は部屋を出る時は、お花を摘む時と、アマゾンが来た時だけなの……っ!」

静香「極端過ぎるわよ、というか学校に行きなさいよ!」

杏奈「いーやーだー、助けてーユリコちゃーん……っ!」

とある公園

杏奈「……疲れた、もう帰る」

静香「まだ外に出たばかりでしょ!」

静香「しかも、そんなに歩いていないじゃない」

杏奈「杏奈にとっては……歩くことが重労働……歩くだけで杏奈の体は削られていく」

杏奈「故に……引きこもってユリコちゃんを見たい」

静香「この駄目人間……早くなんとかしないと手遅れになるわ」

杏奈「ああ……太陽の熱で溶けそう……」

静香「そう簡単に溶けないわ」

杏奈「マジレスやめて……」

静香「というか、未来がここにいるってライン来たけど、どこにいるの?」

未来「フハハハハハハハハハッ!!」

静香・杏奈「!?」

静香「み、未来!? その笑い声はともかく、どこにいるの?」

未来「ここにいるぞ!」

静香「未来っ!」

未来「そう! 静香ちゃんの幼馴染にして、魔法少女の春日未来、ただいま参上!」

静香「未来……」

静香「腕組んでドヤ顔してないで、木の上から降りてきなさい。滑って落ちたら怪我するわよ」

未来「静香ちゃん雰囲気ぶち壊さないで!」

なんか楽しそうだね
>>2
望月杏奈(14)
http://i.imgur.com/ArqHl3f.jpg
http://i.imgur.com/mA76szM.jpg

>>6
最上静香(14)
http://i.imgur.com/Ql9D02f.jpg
http://i.imgur.com/CfNZjkM.jpg

>>20
春日未来(14)
http://i.imgur.com/P63oI8q.jpg
http://i.imgur.com/Muafx9w.jpg

未来「見てよ、この魔法少女の姿。可愛いでしょ!」

静香「確かに可愛いけど……とにかく降りてきなさい。話はそこからよ」

未来「えー感想それだけなのー?」

静香「未来のために言っているのよ、本当に足を滑って地面に激突して怪我でもしたら大変なのよ! そもそも未来は昔っから」

未来「わ、わかったわかったよ! そんなお母さんみたいなこと言わないで!」

未来「降りるから、それまで帰らないでよ」

静香「わかったから早く降りなさい」

未来「うん、わかったー!」

静香「本当は帰りたいけど……しょうがないわね」

杏奈「……杏奈、帰っていい?」

静香「帰らないで、望月さんには私の代わりに魔法少女をやってもらうのだから」

杏奈「許可取ってないし、押し付けないでよ」

静香「僕は君に魔法少女になってほしいんだ! やろうよ、魔法少女!」

杏奈「ねぇ、忘れるくらいなら無駄にテンション上げずに普通に言ったらどうなの?」

未来「あー静香ちゃんの他に誰かいる!」

杏奈「ひっ」

未来「ねえ、静香ちゃん。その子なんか根暗で引きこもってそうだけど、静香ちゃんの友達?」

杏奈「……ねぇ、あの人なんなの? 会っていきなり杏奈のことバカにしたけど、畜生キャラなの?」

静香「そ、そうじゃないの。ちょっとおバカなだけで、けして望月さんに悪意はないから」

杏奈「ほ、ほんとかな……」

未来「私、春日未来。魔法少女です!」

杏奈「確かに、この時点で滲み出るおバカさがわかる……」

未来「おバカじゃないよ、魔法少女だよ!」

杏奈「…………」

未来「あれ、どしたの?」

静香「呆れて何も言えないじゃないの?」

未来「えーそうかな? 魔法少女だって言っているのに」

静香「それで呆れているのよ……」

静香「えっと……この子は望月杏奈さん。私達のクラスメイトよ」

未来「え、杏奈ってうちのクラスにいたっけ?」

杏奈(さらっと呼び捨て……っ!?)

杏奈(しかも杏奈がいないこと当然だと認識していたかのような鬼畜な発言)

杏奈(こいつ、やっぱり杏奈の敵であり、リア充だ)

杏奈(引きこもっている杏奈のことよりも、幼馴染の最上さんの方を優先するリア充畜生だ)

杏奈「と、当然だもん……なんだって杏奈は君達よりも素晴らしい日々を送っているから……」

未来「へーどんな?」

杏奈「学校に行かず、家でアニメを見る。杏奈は最高の暮らしを過ごしているのさ!」

静香「いや、学生なんだから学校に行きなさいよ」

未来「そうなんだー! 杏奈って、凄いんだー!」

静香「引きこもりの不登校なだけだから、凄くはないわよ」

未来「それで、なんで杏奈がここにいるの? 静香ちゃんを呼んだはずなんだけど……」

未来「まさか、私を置いて彼女でも作っていたの!?」

静香「飛躍し過ぎでしょ! どうしたらそんな風に思えるのよ!」

未来「でへへ……なんとなく、そうだと思った。でも良かった」

未来「静香ちゃんが彼女できたら……ちょっと嫌だなーって思ったから」

静香「全く……そんなわけないでしょ」

未来「でへへ……」

杏奈「…………」

杏奈(え、なにこの面白くないやり取り、杏奈いらなくね?)

静香「未来、聞いて」

静香「私の代わりに望月さんには魔法少女になってもらうの」

杏奈「ならないって」

静香「駄目よ。このままでは望月さんは一生引きこもりの駄目人間で終わってしまうのよ」

杏奈「杏奈、この歳で魔法少女ごっこするんだったら一生駄目人間でいいよ……」

未来「そうだよ、静香ちゃんに魔法少女になってもらうの」

未来「だから杏奈は安心して一生駄目人間でいられるよ!」

杏奈「……ねぇ、あのバカ……ぶん殴っていい?」

静香「気持ちはわかるけど、やめなさい」

杏奈「そうだね……暴力系ヒロインは嫌われる抵抗があるからね」

静香「そういうことじゃないんだけど」

未来「もう、どうして静香ちゃんは魔法少女になってくれないの? 一緒にやろうよ!」

静香「嫌よ! そんなフリフリの衣装を着て魔法少女ごっこなんか恥ずかしくてできないわよ!」

未来「大丈夫だよ。毎週日曜日に放送しているぷいきゅあも」

未来「だいたい、私達と同じ14歳だから恥ずかしがっても大丈夫だよ」

静香「アニメと現実を一緒にしないで」

杏奈「そうだよ……」

杏奈「現実はクソゲー、二次元は楽園、そしてユリコちゃんは女神」

静香「貴女はもっと現実と向き合いなさい」

杏奈「だが断る」

静香「威張らない!」

未来「静香ちゃん……どうしても魔法少女になる気はないのね」

静香「ならないわ。代わりに望月さんになってもらうから」

杏奈「杏奈もならないからね」

未来「杏奈は別にいいや」

杏奈「なる気は全くないけど、そう言われると腹が立つ……」

未来「……仕方がない、へやっ!」

静香・杏奈「!?」

未来「よっと」

杏奈「い、今……助走もなしに、滑り台の上に一瞬で移動した」

杏奈「する必要なかったけど」

静香「未来、危ないから降りてきなさい」

未来「もー雰囲気が台無しだよ! こういうのって良くあるじゃん!」

静香「そう言われても知らないわよ」

杏奈「昔の特撮はあったかもしれないけど……というか、何する気なの?」

未来「そんなの決まっているよ。静香ちゃんが魔法少女になってもらうように、ピンチにさせるの!」

杏奈「だってさ。そういうわけだから杏奈は帰るね」

静香「待ちなさい! 貴女には私の身代わりになってもらうわ」

杏奈「もはや台詞が悪役なんですけど!?」

未来「えっと……静香ちゃんをピンチにさせたい時は……」

未来「とりあえずなんか番組の後半でやられそうな敵を出すんだよね」

静香「魔法少女から悪役になってどうするのよ……」

未来「やられてしまう敵を誰に頼もうかな……」

静香「まさか、それを他人に押し付ける気なの!?」

未来「あ、そうだ! 静香ちゃんのやられる敵として杏奈やってくれない?」

杏奈「魔法少女になるよりも嫌だ」

未来「大丈夫だよ、静香ちゃんにボコボコにされるだけだから」

杏奈「何が大丈夫なのが全然わからないんですけど!?」

静香「未来、杏奈にそんなのを押し付けるのはやめなさい。迷惑でしょ」

杏奈「お前が言うな」

未来「え~……じゃあ……他に誰かやってくれないかな~」

静香「……それこそ、魔法でなんとかなるんじゃないの?」

未来「あ、そっか。流石静香ちゃん、あったま良い!」

静香「このおバカ……」

杏奈「最上さんも当たり前のように言っているけど、その解決方法はどうかと思うよ」

未来「じゃあ、さっそく」

未来「未来魔法えいっ!」

杏奈「そんなんで魔法が使えたら世の中は……えっ!?」

未来「最初の敵は、茜ちゃん一号だよ!」

杏奈「う、嘘……何もないところから、木のかぶり物をした人が現れた……」

茜ちゃん一号「アカネカネカネカネ」

杏奈「でも、ダサい!」

静香「低予算で作った着ぐるみだってことが一目でわかるわね。うちの学校の演劇部にありそう……」

杏奈「どっちかって言うと、大学生が低予算で作った特撮系だと思う……」

杏奈「クオリティが全体的に低いし、動いたらどこか取れそうだし、何よりも鳴き声が棒読み」

未来「今回の敵の参考はハロウィンパーティー・上田鈴帆Rだよ」

杏奈「ねぇ、あのおバカは何言っているの?」

静香「いや、私に聞かれてもわからないから」

未来「そして中に入っているのは野々原茜さんというご近所さんだよ」

静香「ご近所さんを巻き込まないの!」

杏奈「だからウサギがうさうさみたいな安直な鳴き声すると思ったら、一般人なんだね……」

静香「そこに納得するところじゃないと思うんだけど」

未来「大丈夫だよ、静香ちゃん。後で謝るから」

静香「今すぐに謝りなさいよ!」

未来「よし、後は静香ちゃんがピンチになればいいんだ」

未来「いっけー! 茜ちゃん一号、攻撃だー!」

茜ちゃん一号「よし、まかせっ……アカネカネ!」

静香(未来の悪ふざけに乗ってくれている……なんて良い人)

未来「まずは、目から茜ビーム!」

杏奈「ネーミングセンスダサッ!?」

静香「油断しないで。今の未来は魔法少女。当然魔法も使える」

静香「だから言った通りに目からビームが出てくるわ」

杏奈「そうかもしれないけど、真顔で言うことじゃないよね」

茜ちゃん一号「アカネカネ、アカネッ!」

杏奈「なっ!?」

杏奈「ほ、本当に目からビームを……!?」

静香「望月さん、危な」

杏奈「ガードベント」

静香「ぎゃあああああああああああっ!?」

未来「よし、静香ちゃんに当たった! ありがとう杏奈!」

杏奈「なんてことはないよ……近くに良い盾があっただけ」

静香「あ、貴女達ね……」

静香「何故か痛くはないけど、痺れるわ、ね……痺れが取れたら、覚えていなさい……」

杏奈「……近くにいた、最上さんが悪い……」

静香「フッ……ためらいなく私を盾替わりするとはね……やはり魔法少女になるべき相手は望月さんで間違いないね」

杏奈「……自分でやっといてなんだけど」

杏奈「杏奈が抱いている魔法少女は……そんな鬼畜なことはしないよ?」

未来「さー静香ちゃんはピンチだ! これで魔法少女になる気になったよね!」

静香「むしろより一層、魔法少女なんてやりたくなくなったわよ!」

未来「なんと!? まだ魔法少女になりたくないとは、静香ちゃんのポンポンコツ!」

静香「未来だけには言われたくない……」

未来「こうなったら茜ちゃん一号、やっちゃえー!」

茜ちゃん一号「アカネアカネカネ!」

杏奈(あのダサい着ぐるみは最上さんを狙っている)

杏奈(よし、今のうちに帰ろう。帰って、ユリコちゃんを見るんだ)

杏奈(杏奈は、漫画やアニメ、ラノベみたいな刺激的な日々なんかいらない)

杏奈(ネットとアニメとゲーム、そしてユリコちゃんさえあれば十分だ)

静香「ま、待ちなさい……望月さん」

杏奈「待たないよ。杏奈は暇じゃないの」

静香「見ての通り、魔法少女になれるのは望月さんしかいないの。望月さんしか戦えないのよ!」

杏奈「……いや、最上さんも無条件で魔法少女になれるとしたら、杏奈だけじゃないと思うけど……」

静香「あんな恥ずかしいのなんてなりたくない! 私の代わりに生贄になって!」

杏奈「今、生贄って言った! 生贄とか酷いこと言ったよ、この人!」

杏奈「最低だ、杏奈の日常を壊さないで!」

静香「……この際、僕の代わりになんて言わない」

杏奈「それ生贄って言った直後に言うことじゃないよね?」

杏奈「後、さりげなくキャラ思い出したよね」

静香「僕は無力でうどんが好きな人間なんだ。魔法少女になれる資格がないの」

杏奈「儚げに嘘つかないでよ……」

静香「親友である未来の暴走を私が止めたい! でも、私にはそれができない。私に止める力なんてない」

静香「だから杏奈。戦えない僕のために未来を救って、魔法少女になってこの世界を救って!」

杏奈「そんなシリアスな風に言っているけど、ぶっちゃけ茶番にしか感じられないんですけど……」

静香「どうして!?」

杏奈「敵がおバカだし、茜ちゃん一号の敵としてのクオリティがローカル以下だし」

杏奈「何よりも杏奈を魔法少女にする理由が酷過ぎる」

杏奈「アニメだったら絶対にギャク系だよ」

静香「それは……私も茶番だと思うけど……」

杏奈「やっぱり茶番だと思っていたんだ……」

未来「ちょっと茜ちゃん一号! 何しているの? 今がチャンスなんだよ!」

茜ちゃん一号「アカネー!」

静香「…………」

静香「明らかに茜ちゃん一号は空気を読んでいる。今が魔法少女になるチャンスなんだわ」

静香「でも望月さんは意地でも魔法少女になりたくない」

杏奈「それ最上さんも言えることだよ」

杏奈「最初から最上さんが魔法少女になれば、何もかも済む話だよ」

静香「違うわ。望月さんが魔法少女になれば私もしつこくお願いなんかしないわよ!」

杏奈「とにかく、杏奈は絶対にならないからね……っ!」

静香「……仕方がない。本当はこんなことしたくないんだけど」

杏奈「そ、そのダサいマイクは……っ!?」

静香「望月杏奈、これから魔法少女に強制変身をさせてもらうわ!」

杏奈「え、ちょっ、待っ……」

静香「行くわよ。ビビット・チェンジ!」

杏奈「ナーンッ!?」

未来「な、なんだ!?」

茜ちゃん一号「え、うわっ、光った!?」

未来「静香ちゃん見て! 杏奈がぷいきゅあみたいに変身しているよフンス!」

静香「未来! そんなジロジロと見ちゃいけません!」

未来「そしてあの姿を名付けるなら……聖剣覚醒・杏奈だね」

静香「魔法少女の要素どこ行ったの!?」

未来「あ、変身が終わったみたい」

杏奈「ビビ――――ット!!」

静香・未来「!?」

杏奈「大地に薫る風!」

杏奈「魔法美少女リリカルプリズママギカ☆アンナちゃん!」

静香「凄いノリノリ、だけど長い!」

杏奈「風に代わって、お仕置きよ!」

静香(さっきの名乗りといい、望月さんの好きなユリコちゃんじゃないの)

未来「こ、こっちだって!」

未来「超ウルトラハイパースーパーアルティメットネクストカイザー・ザ・未来V5」

静香「ネーミングセンスが小学生並……未来、対抗しなくてもいいからね」

未来「静香ちゃんもあんな風にかっこよく、そして可愛くなれるから一緒にやろうよ」

静香「やらない! しかも変身シーンで一瞬でも裸になるなんて絶対に嫌!」

未来「もー静香ちゃんのアンポンタン! 昔は一緒にお風呂とか入ったんだからなんも問題ないでしょ!」

静香「今と昔とでは全然違うわよ!」

未来「しょうがないなぁ……茜ちゃん一号、静香ちゃんをピンチにさせるのだー!」

茜ちゃん一号「アカネカーネ!」

静香「くっ、また目からビームを撃つ気なのね」

杏奈「静香、下がってて!」

静香「望月さん?」

杏奈「こんな茶番、終わらせる!」

杏奈「そして帰ったらユリコちゃんを見るんだ!」

静香「性格は変わっていても、根っこの部分は変わらないのね」

未来「杏奈が邪魔するなら茜ちゃん一号が容赦しないよ! やっちゃえー、茜ちゃん一号!」

茜ちゃん一号「アッカネー!」

静香「来た、ビーム!」

杏奈「そんなビーム、この剣で撃ち返すよ!」

茜ちゃん一号「なっ、おぎゃあああああああっ!?」

未来「茜ちゃん一号!?」

静香「今だ杏奈ちゃん! あのビームをくらったら数秒は痺れて動けない。 倒すチャンスよ!」

杏奈「静香! いちいちキャラ作らなくても静香は十分キャラ立っているよ!」

静香「い、いいの! 僕が勝手にやっているだけだから! ほ、ほら早くしないと反撃されるわよ」

杏奈「そうだね、茶番はもう終わりだよ!」

杏奈「ビビット・パワー!」

静香「望月さんの持っている剣が光っている……」

未来「わ、私だって、アカネちゃん一号のおでこを光らせることができるんだからね!」

静香「どういうことよ、それ」

未来「えい、おでこ光れ~!」

茜ちゃん一号「アッカネー!」

未来「どう、静香ちゃん!」

静香「どうって言われても……未来は変に対抗してないで、望月さんの必殺技をなんとかした方が良いのでは?」

未来「あ、しまった」

杏奈「もう遅いよ! これで終わりなんだからね!」

杏奈「ビビット、カリバ――――ァッ!!」

茜ちゃん一号「アッカネー!!」

ドッカーン!!!!

静香「ゲホッ、ゲホ……ちょ、み、未来!」

未来「静香ちゃん大丈夫! 怪我とかない?」

静香(私のこと心配するのならピンチにさせないでよ)

静香「……それで言いたい事はあるけど、まあいいわ」

静香「私よりも茜ちゃん一号をやってくれたご近所さんは大丈夫なの?」

静香「でっかい光の剣で真っ二つになった途端に爆発したんだけど?」

未来「あ、大丈夫だよ。ちゃんと生きているから」

茜「痛たたたた……この茜ちゃんを倒すとは、なかなかやりますな~」

静香「あれを痛いだけで済むのかしら?」

茜「よーし、未来ちゃん! ここは戦術的撤退だ!」

茜「魔法美少女リリカルプリズママギカ☆アンナちゃん!」

茜「これでこの茜ちゃんに勝ったと思わないことだね!」

茜「覚えていろよ!」

未来「待ってよ茜ちゃん!」

未来「あ、静香ちゃんまた後でね」

静香「…………」

静香「ご近所さん……未来の茶番に最後までノリノリだった。後でお礼と謝罪をしないと……」

杏奈「終わったから、杏奈帰るね」

静香「いつの間にか変身解いている」

静香「そしてローテンションも元に戻っているわね」

杏奈「……もう駄目、疲れた……ここで寝よう」

静香「も、望月さん、大丈夫!?」

杏奈「だいじょばない……部屋に出た時点でもう体力の八割失ったから……」

静香「いくらなんでも体力無さすぎでしょ」

静香「というか、引きこもっているからそんなに体力がないのよ」

杏奈「玄関まで歩く体力があれば十分だよ……」

杏奈「そう、杏奈は誰よりもエコしているの」

静香「エコでもなんでもないし、エコを便利な言葉にして使わないの」

静香「……でも、ありがとう」

静香「未来の悪ふざけを止めてくれて」

杏奈「最上さんが無理矢理魔法少女にさせたんでしょ……本当は嫌だったんだからね」

静香「ご、ごめんなさい」

杏奈「……もう、いいよ。終わったことだから」

静香「でも……」

杏奈「……じゃあ、杏奈をおんぶして家に送ってくれたらチャラにする。それでいいね」

静香「望月さん……」

杏奈「そして杏奈の下僕となって、杏奈の手と足の代わりとなってね」

静香「え?」

杏奈「そうすれば引きこもり生活が楽になるし……杏奈の理想な暮らしができる」

杏奈「そういうわけだから頼むよ、静香さん」

静香「調子に乗るんじゃないわよ!」

とある視点

桃子「…………」

桃子「なんという茶番……バッカじゃないの」

育「あ、桃子ちゃん! おーい桃子ちゃ~ん!」

桃子「育……そんな大声出さなくても聞こえているから」

育「だって、公園に桃子ちゃんがいたんだもん。声かけるよ」

育「ねぇ、公園の方を見ていたけど、何かあるの?」

桃子「別に……何もなかったよ」

育「そっか……」

桃子「ねぇ……育、魔法少女って……あ、いや、やっぱなんでもない」

育「魔法少女の話!? 今年はね、風の魔法使いユリコちゃんが一番面白いよ! この前の話が特にね」

桃子「わ、わかったから! その話は明日聞かせて!」

育「うん、わかった!」

桃子(そうだった。育に魔法少女の話をすると話が止まらなくなるんだった……気をつけよう)

育「じゃあわたし、おかあさんのおつかい頼まれたからもう行くね」

桃子「買い物中、怪しい人とか知らない人についていかないこと、わかった?」

育「もう、桃子ちゃん! わたし、そんなこともわからない子供じゃないもん!」

桃子「ごめんごめん。最近物騒だから念のためだよ」

育「全くもう……じゃあ、桃子ちゃんまた明日、学校で会おうね! バイバ~イ!」

桃子「バイバ~イ」

桃子「…………」

桃子「桃子は……あんな魔法少女なんて認めないから」

とある視点

琴葉「……魔法少女の反応が合ったから来てみたら」

恵美「いや~ビックリだね。あたし達以外にも魔法少女が存在とはね」

琴葉「ええ……」

琴葉「魔法美少女リリカルプリズママギカ☆アンナちゃんと超ウルトラハイパースーパーアルティメットネクストカイザー・ザ・未来V5」

恵美「長い長い。そこはミライとアンナで良くない?」

琴葉「え、でもちゃんと呼ばなきゃ失礼じゃないかしら?」

恵美「敵か味方かもわからない魔法少女に律儀に呼ぶ必要はないってばー」

琴葉「そ、そうね……それで恵美、私達以外にも魔法少女がいたことを確認できたけど、これからどうするの?」

恵美「んー……ま、とにかく今は様子見かな。味方なのか敵なのか見極めようじゃないか」

恵美「味方なら大歓迎。ファミレスで歓迎会やろうよ」

琴葉「じゃあ敵だったら?」

恵美「敵だとしたら……当然」

恵美「容赦なく倒すに決まっているっしょ」

琴葉「それはつまり、戦うことになるのね……」

恵美「そうだね~……ま、アタシと琴葉ならどんな相手でも負ける気なんてしないけどね」

琴葉「……恵美」

恵美「え?」

琴葉「何があっても、私が恵美の命をかけてでも守るから」

恵美「琴葉……」

恵美「その……重いよ……」

琴葉「え?」

恵美「壮絶な戦いをするわけじゃないんだからもっと気楽に行こうよ」

琴葉「で、でも恵美は、わ、私の大切な友達だから……っ!」

琴葉「もしものことがあったら……わたじっ」

恵美「わかった、わかったから泣かないの! ここ人ん家の屋根の上だから! 迷惑になるから!」

恵美(お願いだから、琴葉のためにも味方であって!)

次の日

ユリコ『風に代わってお仕置きよ!』

杏奈「やっぱユリコちゃんは最高だぜ……っ!」

杏奈「あんな茶番よりも風の魔法使いユリコちゃんが一番だよ!」

杏奈「ううん、茶番とユリコちゃんと比べる時点でおかしいんだ。昨日のことを比べるなんてユリコちゃんに失礼に値するんだ」

杏奈「そうだよ……昨日のことを思い出す度に、あの日は最悪な一日だったよ……」

杏奈「知らない人が侵入してくるし、最上さんのキャラ作りが無理矢理感あって腹が立つし」

杏奈「茶番に巻き込まれるし、茶番とはいえど、リアルに魔法少女がいる事実を目撃してしまったし」

杏奈「求めていないのに勝手に魔法少女させたし……」

杏奈「ぷいきゅあで一番やっちゃいけないのを体験した気分だよ……」

杏奈「あ、でもそういう意味では、杏奈はアニメみたいな展開が現実で体感できたんだ」

杏奈「一度は抱いたことのある、アニメのような世界。それが現実にある……」

杏奈「……でも、杏奈はそんな日々はいらない。刺激的な毎日なんか送りたくもない」

杏奈「そ杏奈はユリコちゃんだけでいい。魔法少女もユリコちゃんだけで十分……」

杏奈「それだけあれば、杏奈は幸せなんだ……」

杏奈「…………」

杏奈「……でも」

杏奈「知らない人とはいえ、同じ歳の人と久しぶりに関わった気がする……」

杏奈「迷惑だったけど……あんな日常も……たまには、悪くないの、かな……」

未来「おっはよー!!」

杏奈「!?」

未来「あ、杏奈! 本当にオタクみたいな生活しているんだね! なんだかおもしろーい!」

杏奈「な、なんでおバカがここに!?」

静香「最初に来た時も思ったけど、ちょっと散らかっているわね……一回掃除したらどうなの?」

杏奈「し、静香さんまで!?」

静香「望月さん、朝からアニメなんか見ているの?」

静香「アニメを見るよりも、朝ご飯食べたり、歯を磨いたり、寝癖を直したりと優先することがあるでしょ」

静香「そんな不健康な生活を送っていたら、いつか体壊すわよ」

杏奈「よ、余計なお世話だよ……っ!」

杏奈「といか、なんで最上さんとおバカがなんで杏奈の家に?」

未来「ねぇ、静香ちゃん。おばかさんという人も杏奈の家にいるの?」

静香「おバカは未来のことよ」

未来「私はおバカじゃないよ、春日未来だよ!」

杏奈「ああ、おバカはこれだからめんどくさい! それくらいわかれよ!」

未来「でへへ」

杏奈「さっさとここに来た理由を言って帰って!」

未来「えーこれから杏奈を連れて学校に行くのに帰るのは無理だよ」

杏奈「……は?」

静香「望月さん」

静香「魔法少女になったからには引きこもりなんて許されないわ」

杏奈「なったというか、無理矢理されたんだけど……」

静香「そういうわけだから学生でもある望月さんは、魔法少女の品格を汚さないためにも学校に通わなければいけないわ」

杏奈「そんな理不尽な!?」

静香「いや、そもそも学生が学校に行くのは当たり前なんだから理不尽でも何でもないわよ……」

静香「というか同じクラスメイトとして怠惰な生活を見過ごせないわ」

杏奈「怠惰じゃないよ。楽園だよ」

静香「他所からしたら怠惰でしかないわよ」

静香「さあ、さっさと支度して行くわよ! 望月さんのお母さんにも許可は取ってあるわ」

杏奈「いーやーだー! 学校なんて行くもんか!」

静香「わがまま言わないの! それでも魔法少女なの!?」

杏奈「うるさい、全ての元凶が! さっさと帰れ!」

杏奈「杏奈はあんなリア充なところ絶対に行くもんか、あんなところは杏奈が行っても地獄でしかない!」

静香「学校はそんなところじゃないわよ」

未来「ねえねえ、杏奈。ユリコちゃんこの前見たから別の見るね。ぽちっと」

杏奈「このおバカ、自由な行動はやめろぉ! というかこれ以上、杏奈の平穏な日常をぶち壊さないで!」

つづく

登場人物。

望月杏奈
今作の主人公。その割には原作と比べて口が悪く、引きこもりのぼっちで、不登校の駄目人間である。毎日、風の魔法使いユリコちゃんという大人気アニメを視聴する日々を送っている。そのアニメとアニメの主人公であるユリコとそのモデルである七尾百合子の大ファン。そんなある日、静香のせいで魔法少女になってしまった。魔法少女になるとONモードのようにテンション上がるが根っこの部分は変わらない。

最上静香
魔法少女に良くあるサポート役。一人称は僕で、テンションが高い明るいキャラを作っている。原作とほぼ変わりないが春日未来とは幼馴染の関係になっている。未来に魔法少女を誘われるも恥ずかしい理由で断り続けていた。自分の代わりとしてクラスメイトに頼み込もうとするもののその話を誰も信じてもらえず、不登校の杏奈に希望を託して魔法少女の代理を押し付けることにした。

春日未来
原作とほぼ変わらなに。ある日突然魔法が使えるようになり、魔法少女になった。幼馴染の静香に魔法少女を誘っても断り続けられている。

七尾百合子
アニメ、風の魔法使いユリコちゃんの主人公であるユリコのモデルであり声優も務めている。

野々原茜
ご近所さん。未来の茶番によって強制的に茜ちゃん一号という敵役にされてしまうものの、そんな茶番にノリノリで付き合ってくれる良い人である。

周防桃子
映写していないものの、眼鏡をかけた小学生。未来達の茶番に対してバッサリと切り捨てた。魔法少女のことを知っているような発言をする。

中谷育
桃子のお友達。アニメと魔法少女が大好きでそのことの話題になると早口になり永遠と語りつくす癖がある。

田中琴葉
魔法少女の一人であり恵美の仲間。未来と同じ魔法少女なのかは今のところ不明。生真面目な性格であるが、大げさに捉え、恵美から重いと言われることが多々ある。

所恵美
魔法少女の一人であり琴葉の仲間。未来や杏奈の茶番を眺めて、自分達の仲間であるかどうかを見極めようとすることになる。同時に敵であると琴葉が大げさに心配するので味方であることを願っている。

過去に書いた、未来「静香ちゃんはタラシ。間違いないね!」もよろしくお願いします。
未来「静香ちゃんはタラシ。間違いないね!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1479218971/)

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