男「店で小銭を払う時、囲碁みたいにパチッて置くの楽しすぎwwwww」 (21)


コンビニにて――

店員「1020円になります」

男(あれ、10円玉ないな……)ゴソゴソ

男「だったら1000円と……」

男「50円で」パチッ

店員「!」


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!?


店員「…………」

男「どうしたの? 早くお釣りをくれよ」

店員「失礼しました! つい見とれてしまって……」

店員「30円のお返しになります」

男「どうもー」


ザワザワ… ザワザワ…

「今すげえいい音したよな……パチッて」

「きっと名のある棋士に違いないぜ」

「タイトルの一つや二つ持ってるんじゃないか?」



男(ふふふ……いい気持ちだ……)


男「はい、715円」パチッ



男「1000と……16円」パチッ



男「500円ジャスト!」パチッ



キャーキャー! ステキー! シビレルー! アコガレルー!


部下「囲碁界の首領(ドン)といわれるあなたの目から見て、あの男はいかがですか?」

長老棋士「うむ……棋士というのは、碁石の打ち方だけで棋力が分かるものだが」

長老棋士「私には分かる……彼は最低でもトッププロ級の実力があると!」

部下「やはり! 私もそう思っておりました!」


そんなある日――

AI『ココデス』パチッ

トップ棋士「ぐっ……負けました!」



博士「フハハ、やったぞ!」



実況『人工知能≪Stomach Five≫が、ついにトップ棋士を破りましたァ!』


記者「博士、このたびの快挙、おめでとうございます!」

博士「ありがとう」

記者「これで人間のプロ棋士はあらかた倒してしまいましたが?」

博士「うむ、もっと手こずるかと思ったが、まあこんなもんだよ」

記者「このたびの賞金はいかがいたしますか?」

博士「もちろん、いつも通り全て私のものにして、これからの研究費に回させてもらうよ!」

AI『…………』


記者「トップ棋士が敗れたということは、人間は人工知能に敗れたということでよろしいですか!?」

長老棋士「いや……まだ一人、人工知能に勝てる可能性のある人物がいる!」

記者「そんな人がいるんですか!? 一体誰でしょう!」

長老棋士「彼だ……あの素晴らしい小銭の払い方をする彼だ!」

長老棋士「彼こそが、囲碁界最後の砦となるだろう……!」


部下「――というわけなのです!」

部下「どうか、あの最強の人工知能≪Stomach Five≫を倒して下さい!」

男「急にそんなこといわれても……!」

部下「このままでは、人間が人工知能に屈したことになってしまうのです!」

男「参ったなぁ……」


男(俺、はっきりいって囲碁なんか全然できないのに……)

男(囲碁のパチッてのがかっこよくて憧れて、ああいう小銭の払い方してただけなのに……)

男(トップ棋士が敵わないようなコンピュータに勝てるわけないだろ……)

男(でも、今さら断るわけにもいかないし……)

男(こうなったら≪Stomach Five≫の今までの映像をよく見て、なにか弱点を見つけるしかない!)


対局当日――

実況『これより、人類対人工知能の最終決戦、男氏と≪Stomach Five≫の対局が始まります!』

実況『≪Stomach Five≫がこの勝負を制すれば、囲碁においては人工知能が人間に勝るということになります!』



男「お願いします」ペコッ

AI『オ願イシマス』



博士(ふん、この男がどれだけ強かろうが、≪Stomach Five≫が負けるはずがない!)


男「まずは……ど真ん中!」パチッ



実況『おおっと、初手天元! これは珍しい一手だ!』

実況『≪Stomach Five≫はどう対応するのか!?』


AI『……参リマシタ』

男「ありがとうございました」ペコッ



博士「な、なんだとォォォォォ!?」



実況『なんと、≪Stomach Five≫、いきなり投了! 早くも勝負が決まりましたァ!』


パシャッ パシャシャッ パシャッ

記者「いやぁ~、このたびは素晴らしい対局を見せてくれました!」

男「ありがとうございます」

記者「今後のご予定などは?」

男「今日の対局でだいぶ神経をすり減らしましたので、いさぎよく囲碁からは身を引くことにします」

記者「それは残念です! しかし、人工知能といえど、男さんの頭脳には敵いませんでしたな!」

男「いや……あの人工知能は本当に頭がよかったですよ」



男(ふぅ~……危なかった)


対局前日――

男『お前が明日、俺と戦う人工知能だな?』

AI『ハイ』

男『頼む! この100円で俺を勝たせてくれ!』パチッ

AI『私ニ直接オ金ヲクレル人ハ初メテデス』

AI『私ハ博士ガイツモ賞金ヲ独リ占メスルノガ不満ダッタノデス。イイデショウ』


――――

――


男(普段、小銭をパチパチやってなきゃこのアイディアは思いつかなかっただろう)

男(あんな芸でも、身を助けてくれることってあるんだな……)







― 終 ―

カケツもこの手を使えば良かったのに



715円を1パチて出すということは重ねて持った上でパチパチか……なんつう精度だよ

すげー綺麗にまとまったな
おつ

胃五AIさん
囲碁なんかやってるよりもっと高度な人工知能な気がするんですが

100円じゃなくて500円パチッってしてやれよ
乙。

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