キャシー・グラハムのシンデレ落語 【デレマスSS】 (126)


○キャシー・グラハムのシンデレ落語


目的1.キャシーが落語する話を書きたかった
目的2.落語の演目いくつかの紹介
目的3.デレマスは魅力的なキャラがたくさん居るから、応用の幅が広いのでは!という実験



キャシー・グラハム

ニューヨーク生まれ、浅草育ちの15歳(高校1年生?)

幼少より下町人情に育てられたおかげで、
ザ・外国人な容姿ながら英語はからっきし。
落語好きで寄席によく出没する模様、本人の話術も巧み。
もろもろ含めて、こち亀に出てきそうなアイドル。


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たくさんのアイドルが登場予定


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1495980371



出囃子
~お願い!シンデレラ~

\テンツクテン ティーンツクテン/

\テケテテーンテケテン/\テケテケテテーンテテテーン/









キャシー「あいあい、どうもいらっしゃいました~」

キャシー「みなさん、寄席(よせ)は初めてかな?あら、常連さんもいらっしゃる?」


キャシー「おっと自己紹介がまだでしたね、あたしは
『えま・わとそん』です!」


キャシー「……」


キャシー「はい、ホントはね
『キャシー・グラハム』ちゅう名前を親からいただきましてね。」

キャシー「芸名ちがいますよ~、本名!地毛!この瞳も自前!」

キャシー「日本語お上手ですね~なんてよく言われます、あたし英語できそうに見えるでしょ?」

キャシー「じゃあね、今からあたしの英語を披露しちゃいますよ~」



キャシー「掘ったイモいじるな~」


キャシー「ほわっと・たいむ・いず・いっと・なう、今何時~?ですね。」

キャシー「日本語の発音がうますぎて英語に聞こえない、うん。」

キャシー「日本の中学英語終えたくらいじゃこんなもんですって~」

キャシー「え?あたし成人してないよ!15歳!」

キャシー「そうそう、老けて見られちゃう~大和撫子として致命的だね~」

キャシー「いくつなの?って聞かれちゃうんだよねー」

キャシー「掘ったイモいじるな~って」

キャシー「いやこりゃ、いくつって時間を聞いてるんだね」

キャシー「で、ぼうやいまいくつ?うん、8つ?ご立派!」

キャシー「おかあさん今、いくつ?うん、今3時。お上手~!」



キャシー「さ、いくつーって時間でも、他の数でも通用しちゃうよね。」

キャシー「今から話すのも、そんな日本語の奥ゆかしいところがね、そばに寄り添ってくれるようなお話なんですよ。」






小関麗奈「アッタッシ~は♪イタズラ女王~♪」

麗奈「さて、今日は何をしようか・なと…」

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麗奈「そろそろ、4ツ時の鐘が鳴る時間かしらね、じゃあ…」





難波笑美「あーい!まいどまいど!ごっつうまい、タコヤキ屋さんやで~!」

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麗奈「タコヤキ屋さーん、おひとつくださいなー」


笑美「まいどおおきに!ん、もしかして自分レイナサマちゃう?」

麗奈「あら、アタシを知ってるの?アーッハッハッハ!その通りよ!」

笑美「レイナサマよーいらっしゃったなぁ~!アンタここらじゃ有名なんやで~、でタコヤキいくつ?」

麗奈「1パック」

笑美「ほな500円いただくで!」


麗奈「500円ね、…しめた!」

笑美「ん、今何か言うた?ほい1パック~、ソースたっぷりにしといたで!」


麗奈「いえ、なんでもない…ありがと!で、お勘定ね、ホラ手ぇ出しなさい」


笑美「500円~」


麗奈「100円玉が、ひい、ふう、みい…」


\ゴイーン…/


麗奈「ん、時報ね。いまいくつ?」


笑美「えーと、4つやね」


麗奈「じゃ、お勘定…はい5つね!」


笑美「まいどあり~!また来てーな!」










麗奈「アーッハッハッハッ…げふん!」

麗奈「クク…時報を利用して100円値切ってやったわ…」

麗奈「んん~、あっふ!あふ…タコヤキおいしい…」



大沼くるみ「あっ、レイナしゃん~?」

麗奈「あらくるみ、ちょうどいいわ。」

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くるみ「おいしそうなタコヤキでしゅね!」

麗奈「そう!このタコヤキはレイナサマの明晰な頭脳により得た報酬なのよ、武勇伝を聞くがいいわ!アーッハッハッハ!」


くるみ「ぶゆうでん…気になりましゅ!」

麗奈「タコヤキ1コいる?」











笑美「まいど~!ごっつうまいタコヤキ屋さ…おっ、小春ちゃん!」


古賀小春「タコヤキくださ~い♪」

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笑美「まいどおおきに~、いつもの1パック?」

小春「おねがいします~」

笑美「じゃー、ヒョウくんにもサービスしたるわ!タコヤキ3つオマケやで~」

ヒョウくん「かたじけない」


小春「ありがとうございます~」


笑美「さっきちょうど臨時収入あったからな!大盤振る舞いやで~!」

小春「お勘定ですね~どうぞ~」


笑美「あい、100円~。まいどおおきに~!」











麗奈「…で、500円するこのタコヤキ、400円でいただいたワケよ。」


くるみ「時報の…鐘を利用して、安くものが買える…」


麗奈「そう!今いくつ?って、ちゃんとしたタイミングで聞くのよ。」

くるみ「おぉ~」


麗奈「マネしようたって、トロいくるみにはムリよ、ムリ!」


くるみ「むむ…」





~後日~



くるみ「たまにはくるみだって、ちょいワル…?に挑戦しちゃうんだぁ。」


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くるみ「くるみだって、出来る…と思う、たぶん…」



くるみ「もうすぐ4時の鐘が鳴りましゅね」




栗原ネネ「いらっしゃいませ♪」

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涼宮星花「だがしやさんにようこそ~♪」

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くるみ「えーっと、これと、これと~?あと、あのっ…」


ネネ「あ…そんな焦らずに、ゆっくり選んでくださいね。」


くるみ「あ、ありがとうございましゅ」



星花「こちらのお菓子なんていかがでしょうか?」

くるみ「おいしそう…」

星花「ふふ♪いろいろ見てくださいね~」


\ゴイーン…/


くるみ「あっ、あ!鐘が…」


ネネ「これいくつでしたっけ…」

星花「4ツですね。」


くるみ「あぁ~言わないで~」


ネネ「?」

星花「?」


くるみ「ああ、あの、何でもないでしゅ…」

くるみ「どうしよう…かといって何も買わないのは…うう」



星花「いかがなさいました…?」


くるみ「あ、あの…これくだしゃい!」


ネネ「はい♪ありがとうございます。90円ですね。」


くるみ「えと、10円玉が、ひい、ふう、みい、よ、いつ、むー」


くるみ「…ごい~ん」



ネネ「?」

星花「…?」



くるみ「あ、えと、いまいくつでしゅか?」


ネネ「私、は…15歳ですが。」

星花「私は19歳ですよ♪」


くるみ「えと、あの…それだと20円…?あれ?」


ネネ「ど、どうなさいました?」

星花「もういちどお勘定を数えなおしてみませんか?」


くるみ「あっ、ひい、ふう、みい、よー、いつ、むー、なな…」


くるみ「あ、…ごい~ん」


ネネ「…?」

星花「…?」


くるみ「えと、いまいくつ…じゃなくて、何時でしゅか?」


ネネ「4ツ、ですけど…」


くるみ「はいっ、いつ、むー、なな、やー、ここのつ…!」


星花「お…お待ちになって?」

ネネ「お勘定が多くなっちゃってますよ?」


くるみ「あ!ほんとだ…」


星花「では、90円ちゃんといただきますね。」

ネネ「多いぶんはお返ししますね♪」

くるみ「あ、ありがとうございましゅ…えへへ」







くるみ「お菓子、おいしいなぁ~」


麗奈「あらくるみ、どうしたの?」

くるみ「レイナしゃん!あのね、お店のおねえさんが優しかったんだぁ…♪」

麗奈「…やっぱり、くるみにはムリだったのね?」


くるみ「レイナしゃんにもお菓子あげる!」


麗奈「ありがと。やっぱくるみはこういうのが似合ってるわよ」







Q.落語って一人芝居じゃないの?キャシーが全員を演じ分けてるの?それともVTRなの?

A.好きなほうでご想像ください



Q.江戸時代とか、昔の設定じゃないの?100円とかって現代の感覚だし、鐘の4ツ時とか今で考えたら変な時間じゃない?

A.何時代でもありませんので好きにご想像ください。クソ深夜にうら若き乙女が駄菓子屋を安全に徘徊するのも面白いでしょ?




あと3演目ほどを予定しています、
次のお話は…あの師匠の登場を予定しております。






キャシー「時たこ、時だがし?」

キャシー「時でいえばうちには十時さんとか、時子様もいらっしゃいますよ~」

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キャシー「アップルパイと豚肉料理ね…ポークパイおいしそ~!」

キャシー「あたし?そうだね、ミートパイとかで育ってそうでしょ?」


キャシー「ところがどっこい、米と魚と佃煮で育ってきたのさ!」


キャシー「焼き鮭と白飯たべるときね、あたし海苔用意しちゃうんだ。」

キャシー「ほかほかのごはんと塩っ気ある鮭をね、パリッとした海苔に乗せてさ、一緒に食べるのがおいしいんだコレがね~」


キャシー「そう、おにぎり好き!」

キャシー「ピクニックとか行って…小高い丘の上とかさ、川っぺりとかさ、風通しイイあずまやとかさ、そういうところで食べると最高にイイよね~!」



キャシー「じゃ、これからするお話はね、そんなピクニックのお話です。」

キャシー「とある繁盛商店の金持ちな女将さんがね、小間使いみたいな芸人さんとか連れてピクニックに行くんだ~」












棟方愛海「あ~あ、女将の沙理奈様とお近づきになれると思ってお抱えの奉公芸人になったけど…一向に登山チャンスが無いなぁ~」


愛海「あの、すんごい主張の松本山、いつか絶対登るんだ…」

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愛海「で、沙理奈様が休暇だからって、お遊び相手が仕事であるあたしは今いろいろ大変。」

愛海「チャンスが増えるのはいいけど、流石に疲れてきたなぁ~!」


愛海「今日も、これから何の娯楽を始めるのかな?できればお休みが欲しい…」



松本沙理奈「愛海ー!!あーーつみーーーー!!!」

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愛海「あぁ、呼ばれてる!へいへい!」


沙理奈「おお愛海、さあ行くぞ準備しなー!」


愛海「うぇ~、今日もお出かけですか?あたしはお疲れだから、できればゆっくりしたいな…って」


沙理奈「山登りだよ」


愛海「40秒で支度します!!」



愛海「うひひひひひひ!紗理奈様ついに!あたしの活躍を認めてくれたんだね~!!あの松本山を登山できる!!!」



沙理奈「松本山…」


愛海「世界レベル百名山にも数えられるそのたわわな双峰は登山家であれば誰もがあこがれる…」


沙理奈「アンタ何の話をしてるのよ、山登り行くって言ってるでしょ?」


愛海「ええ!!ですからついにそのぷにょふわ…」


沙理奈「美城山の山頂にある神務社(じむしょ)にお参りに行くの」


愛海「…」


沙理奈「商店のみんなで行くからさ、盛り上げ役が必要!ほら行くよ」


愛海「なんだそっちの山登りかぁ…」


沙理奈「こっちの山登りを誰が提案すんのよ」(フニフニ)


愛海「あたし今日、飢山病にかかってるからお出かけできないな~」


沙理奈「…神務社に居るフジタカナスビ様っていう幸運の女神様知ってる?」

愛海「たわわの香りがする」


沙理奈「神務社に居る巫女さん、ドジっ娘で有名なのよね~」

愛海「ハプニング登山の香りもする」


沙理奈「さ、どうする?」


愛海「…もう一声」



沙理奈「…仕方ない、書きもの出しな」

愛海「へいこちらに」



沙理奈「さらさら~っと、ほい
『松本山登山許可証』を本人直筆で作ったわよ」


愛海「40秒で支度します!!」


沙理奈「こいつはあたしの懐にしまっとくから、あんたの活躍次第だよ~」



~美城山~




愛海「つかれた…もうしんどい…」


沙理奈「なーにヘバってんの、山頂はまだまだよ」


愛海「うう~、もう山登りはイヤだ…別の山登りがしたい…」


沙理奈「んー、この調子じゃそれは叶わないね~みんなの娯楽隊長もっと頑張ってくれないと」



愛海「あっ、あそこガケのところ、茶屋がありますよ!休みましょうよ!」


沙理奈「そだね、よしみんなー!あそこで一休みするよー!」










愛海「ふぃ~、あぁ…けっこう登ったけど、まだあるんだね…」



愛海「うわー、すっごい谷。下までどれぐらいあるんだろ…ん?」


愛海「なんだろあの輪っか?」


沙理奈「ありゃね、土器(かわらけ)投げのマトだよ」


愛海「沙理奈様、ご存じで?カワラケなげ…?」


沙理奈「お茶屋さーん!土器10枚ちょうだーい!」


槙原志保「はーい、10枚ですね!どうぞ!」

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愛海「それが、カワラケですか?円盤の焼き物ですね。」


沙理奈「こいつをね、あの谷の輪っかめがけて…それっ」



\ヒューン/


愛海「おお~キレイに飛んで…」


沙理奈「よし入った!」


愛海「ああ!あの輪っかに通すんですね~、お見事!!」


沙理奈「あはは、なかなか難しいんだよこれ?」


愛海「そうですか?これくらい、芸人のあたしなら…あ!成功したら登山許可証いただけます?」


沙理奈「うーん、まぁ…やってみな」


愛海「うひひひひ、そうと決まれば…よいしょおー!!」



\ピュー/


沙理奈「…」


愛海「…」


沙理奈「谷じゃなくて、山のほう向かってったね」


愛海「潜在的な欲望が…」



沙理奈「登山許可証はやれないな~」


愛海「いや、落ち着けあたし!お山も大事だけど、そのお山が成す谷だって大好きじゃないか…そう、谷!あたしは谷を求めてる…!」


愛海「全神経を集中して、谷に向かってまっしぐら…うん、今だ!そいやぁ!!」



\スパーン/


槙原志保「ひゃあ!?土器があたしに挟まった!?」



沙理奈「……あっちの谷にまっしぐら」


愛海「お茶屋さぁーーん!!その土器回収するから!ね、ほらちょっと大人しく触らせて!!」



沙理奈「よしなさい!そりゃ!」


\ヒュン/


\スコーン/

愛海「げふん!ちょっ…沙理奈様、投げるのうますぎない?」


沙理奈「まあねー、聖來山にある犬子谷で沢山投げたから。」



愛海「なんだベテランだったんですか」


沙理奈「そうだよ、おかげで普通に投げてもつまんないな~」


愛海「2枚同時なんてどうです?」



沙理奈「そいっ!」


\ヒュヒューン/


愛海「おおー!入りますね!」


沙理奈「他にもできるよ、例えば…そうれっ!」


\ヒューン/

\ギュイイ/


愛海「マトの横を過ぎたと思ったら曲がって返ってきてくぐった…」


沙理奈「これが、アンチエイジング投げ」

愛海「わかるわ」



沙理奈「あと、マトが2つあればメガネ投げとか…」


沙理奈「他にもマンガ投げとか小悪魔うさぎ投げとか、あるよ。」


愛海「色々と技があるんですね~」



沙理奈「ほとんどマスターしちゃったから、そしたら今回は趣向を変えて…別の物投げようかな?」


愛海「別の物?」


沙理奈「おーい、召使いのピの字!」


P「へへえ!なんでございやしょう紗理奈様!」


沙理奈「あの、円盤状のやつよこしな」


P「えと、するってえと…こちらでしょうか?」


沙理奈「そうそうこれ、マニーね。」


P「あの…それあっしのおまんまでして…」



沙理奈「そりゃあ!」


\ピューーー/


愛海「入りませんねー」


沙理奈「うーん、やっぱ手応えが違うね、やりがいがあるよ!」


沙理奈「ピの字、もっとよこしな!」


P「へ、へえ」



沙理奈「そーーれ」


\ピューーーー/


愛海「おーいい感じ、惜しいですねー」


沙理奈「よし掴んできた、もっとじゃんじゃんよこしな!」


P「はい…」










愛海「マニーもあらかた投げましたね」


沙理奈「ピの字、他ないの?」


P「できればカンベン願いたく…」


沙理奈「あ、その紙よこしなよ!」


愛海「3%、10%…なんですかこの紙」


P「ワイのパーチケ…」


沙理奈「このチケットを折って…紙飛行機に、と」


愛海「軽くて難しそうですね!」


P「ワイのパーチケ…」


沙理奈「そいっ」



\スィー/



愛海「おお…けっこうイイとこ行きますね!」


P「ワイのパーチケ…」







沙理奈「あっなにまだマニーみたいなのあるじゃん、そいっ!」


P「ワイのレアメダル…」






沙理奈「星ついたワッペンみたいなのもあるね、そりゃあ!」


P「ワイのスターエンブレム…」






沙理奈「この虹色の宝石っぽいのは…」


P「ワイのジュエル…いやーそれは流石にキツいっす」


沙理奈「たしかにコレは投げらんないね」








沙理奈「他にはもうないの?」


P「沙理奈様に絞られるなら字面的には本望ですが、流石にもう…」




愛海「んん、なんか星形の宝石がゴロッとありますよ?」


P「そ!それは…!!」



沙理奈「うーん、でも投げるにゃあ向かないかな…」


P「ほっ…」


愛海「うわ!2500個砕いたら封筒出てきた!」


P「えっ!ちょっ愛海オマ…あっ刺繍!?」


沙理奈「よし紙飛行機にしよう!」


P「プリーズ!ウェイトプリーズ!それはちょっと待ってさすがに!」



沙理奈「そいやー!」


\ヒュー/


P「ですよねー」


愛海「おお、入ったー!」



沙理奈「ピの字、封筒よこしな」



P「割いてジュエル…」


愛海「こんどは普通の白い封筒だ」



沙理奈「そいやー!」



\白封筒/

\白封筒/

\白封筒/

\白封筒/

\白封筒/


\白封筒…





愛海「うわ、Pがゲッソリし始めた」


P「むぅーりぃー、もう…限界です…」



沙理奈「ねえ、次は!?次成功すれば10回連続達成するから!」


P「わたしの遺骨は相葉夕美さんの花壇の栄養にしてください…」


愛海「ダメだこりゃ」



沙理奈「あちゃー、どっかに紙ないかな、紙…」


P「わたしの遺骨は粉にして藤原肇さんの焼き物に混ぜてください…」



沙理奈「ん、紙…あった。」


愛海「登山許可証!?」



沙理奈「折ってーと…」


愛海「えっ!ちょ!!沙理奈様ー!?」


沙理奈「ラストー!」


\ピューー/


愛海「登山許可証ぉぉぉー!!!!」



沙理奈「よーっし!10回連続達成!」


愛海「許可証ぉぉ…」




沙理奈「ん、アレほしい?」


愛海「ほ じ い゛!!」


沙理奈「じゃあ、取ってくれば?」


愛海「ムリですってあんな谷底!?」


沙理奈「取ってこれたらすんごい芸だと思うんだけどな~、そんな凄いことできるなら芸人として認めてあげられるな~」



愛海「い…行ってきます!!」



沙理奈「おーいみんな!!ホラこっち注目しな!愛海がすんごいの見せてくれるよー!!」



愛海「お茶屋さん!あのマトのとこどうやって行くの!?」


志保「え、それはもう谷底ですからすんごい遠回りを…今からだと日が暮れますよ?」


愛海「ココからすぐ行けないの!?」


志保「それはムリですよ~、それにあのへんはオオカミが出て危ないですし…」


愛海「でも、誰かがあそこに設置したんでしょ!?大丈夫だから!!」


志保「でも、すぐ行くとするなら、それこそ飛び降りないと…」



沙理奈「おーい!ここに、カワイイ印のパラシュートがあるよ~!」


志保「そんなのあるんだ…」


愛海「天使となって舞い降ります!!」



志保「えっ、…お、お気をつけて~?」





愛海「いざ飛び降りるとなると流石に怖いなぁ…」



沙理奈「ほれ行ってきなよー」


愛海「ここは覚悟を決めて…ダイブ!!!」

\ピョーン/



愛海「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛」





沙理奈「うわーホントに飛び降りたよ、すご…」









~谷底~




愛海「うぇぇ…」



愛海「な、なんとか無事に降りられた…」



沙理奈\アーツミーー、ブジカァーーーーーー/



愛海「大丈ーー夫!!でーーーーーーす!!!!」


愛海「よっし!許可証回収するぞ!!」



愛海「えと、マトがあのへんだから、あっちのあたりに落ちてないかな…」



愛海「お、封筒とかがあった!じゃあこのへんに…」


愛海「そういえばオオカミが出るんだったっけ」



愛海「うーん、あたしもオオカミに扮したことあるけど、他にオオカミいたっけ…」

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愛海「あっ」



愛海「櫂ママ!?」

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愛海「もしかしてオオカミは
[人狼将軍]西島櫂さんかな!?うひひひ!!」

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愛海「なーんだ♪そしたら一石二鳥じゃないか…ママのぬくもり!」



愛海「出てこいオオカミ~♪フンフンフフーン♪」


愛海「あー!あそこにあった!!松本山の登山許可証!!」


愛海「おぉ…会いたかったよ~!これであたしの悲願も達成される…!!」



愛海「あっちの岩のところ…へへ、取りに行こ…」


\ガササッ/



愛海「…ん?」


愛海「…オオカミかな?櫂ママ~!!」



[メタリックレディウルフ]
木場真奈美「わたしだ」

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愛海「」





愛海「オオカミって、そっち」


真奈美「木場真奈美、容赦せん」




愛海「真奈美さんには敵わねぇ!!全力で逃げます!!!」




沙理奈\アーーーツミーーーキョカショウ、アッタカァーーー/



愛海「あぁーーーりましたぁーーーー!!!」


愛海「けどぉーーー!!!取る前にオオカミ…いや」


愛海「メタリックレディウルフにぃぃーー!!!追われてまぁーーす!!!」




沙理奈\ソウカァーーーーー/



沙理奈\ドウヤッテ、モドルゥーーーーー/




愛海「たしかに」



愛海「えっどうしよう」


真奈美「さて、どうする?」




愛海「とりあえず逃げます!!!」



愛海「くっそぉぉぉー!!こうなりゃヤケだ!!」


愛海「山場の馬鹿力!!!見さらしゃい!!うおおおおおおおおお」







沙理奈「おーすご…このガケ登ってるよ…」


沙理奈「おーい!みんな見な!愛海すんごいことしてるよ!」







愛海「うおおおお!!!これが登山家の意地!!!!」


愛海「さすがに真奈美さんも追っては来れないね!!」


愛海「お茶屋までもうすこし…!!うおおお!!!!」



沙理奈「おー、帰ってきた!」



愛海「ぜぇぇ…ハァ、ハァ…帰ってきやした…」


沙理奈「いやー、すんごいもの見せてもらった!」


愛海「ハァ、ハァ…ど、どーですかい…?」


沙理奈「よくやった!見事!芸人として一生ひいきしたげるよ!」


愛海「ハァッ、…あ、ありがとうごぜーますですよぉ…!!」



沙理奈「で、許可証は?」



愛海「ああっ」


沙理奈「回収し損ねたか」



愛海「」(チーン)



志保「屍が増えた…」















キャシー「メタリックレディウルフってカッコイイ響きだよね~」


キャシー「日本人から見てさ、妙にかっこいい言葉あるよね。」


キャシー「ほら、あの、ドメスティックとか。」

キャシー「ドメスティック・クロー!とか格好良くないかな?」


キャシー「まあ意味は、家庭的な爪だから…要はまごの手なんだけど。」


キャシー「英語じゃなくてもカッコイイのあるねえ」

キャシー「蘭子ちゃんなんかさ、ドイツ語好きなんだよね~」

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キャシー「ボールペンだっけか、クーゲルシュライバー!って言うんだって。」


キャシー「かっこいいねぇ~」

キャシー「でも、かっこ悪いのもあるんだってね。」


キャシー「ドイツ語で、0(ゼロ)のことを、ヌルって言うからさ」


キャシー「007(ぜろぜろせぶん)!とか」

キャシー「009(ぜろぜろないん)!とか」


キャシー「み~んなヌルヌルしちゃうんだ~!」



キャシー「ほかにもクリムゾン・パレス、真紅の宮殿!とかもね」

キャシー「プルプルンシュロス~!」

キャシー「おいしそう。」


キャシー「同じように、血塗られ色の幽霊~みたいな怖いものも」

キャシー「ぷるぷるんがいすと~」


キャシー「これ怖いのかな?」



キャシー「さて、そんなふうにね、怖いものって人によって違うよね。」


キャシー「あたしの友達のエリカなんてね、滑るのが怖い~!ってんで、業務用のゴム底靴買ったりなんかしちゃってさ~願掛けなのかな、女の子!って感じだよね。」

キャシー「その横であたしはスケートだなんて滑る靴買ってるんですけどね!」

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キャシー「篠原礼さんが雷を怖がってたのも意外だったな~、あんなキレーな大人なのにね。ギャップ萌えだね」

キャシー「和久井留美さんも、猫ちゃんに対して恐る恐る近づいてはちょっと大変な思いをすることもあるみたいだね。げに恐ろしきはその愛嬌の引力なるか…」


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キャシー「じゃあ、今からするお話は…意外なものを怖がるひとの話だよ!」











TV\キャーーーーーー/




橘ありす「いやぁ!!?」

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二宮飛鳥「ひゃあ!?」

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松永涼「うおお…」

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塩見周子「…」

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白坂小梅「えへへ…♪ど、どう…だった…?」

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涼「小梅ぇ…ありす居るんだからこのチョイスはさぁ…」


ありす「い、いえ…観たいと言ったのは私ですし、こ、これくらい平気です…」


周子「いやでも、これなかなか怖かったんじゃない?」

飛鳥「つ、強がるんじゃないよありす…」


ありす「そ、そういう飛鳥さんだって…」

飛鳥「ボ、ボクは大丈夫さ、そもそもこれは虚構の作品だ。実在性の証明されていないものに対して恐怖を抱くだなんて、それこそナンセンスな…」


小梅「い、いる…よ?ほら…」


飛鳥「そんな脅かそうたって、居ると信じ込む心が見せる幻影さ…実際どこに居るんだい?」


小梅「飛鳥ちゃんの、服…に刺さってる、ピン…」


飛鳥「ピン…ああ、この服か。これがどうしたんだ?」


ありす「あっ…なんか一個、赤いのが…」

飛鳥「ん?この位置にピンあったかな…えっ、血…」


ありす「ひえええええぇぇぇぇ!?」

飛鳥「うひゃあああぁぁぁぁぁ!?」



小梅「ほら…ね?えへへ…」


涼「小梅、お前それ準備してただろ…」

小梅「うん…ドッキリ…♪」

周子「小梅ちゃんやるねー」


飛鳥「ほ、ほら!みっともなく驚きはしたものの、結局これはイタズラで、非実在性を証明してるようなものじゃないか!」

ありす「そ、そうですね!小梅さんのイタズラなら安心です…」



周子「あれ?でも小梅ちゃん、ずっと涼ちゃんとこ居たよね?」

涼「そういや、飛鳥のほうには一切行ってないよな…」


ありす「…えっ?」

飛鳥「……」



小梅「…ふふ♪」


ありす「もういやぁ…」

飛鳥「あとで芳乃のところへ行こう…助けてくれるはずだ…」


涼「はぁ、ホラー見ると疲れるな…さすがに」


周子「あたしは結構へーきだったかなー」

小梅「周子さん、動じなかった…ね」


涼「周子、こういうのに強そうなとこあるよな」


飛鳥「いつも飄々と落ち着いてて、慌てたような姿を見たいものだよ。」


ありす「周子さんは、無いんですか?怖いもの…」



周子「んー、ないかなー?」

周子「ホラ実家が京都のあそこだしさ、そういうもんも慣れちゃったのかなー」


小梅「心霊…スポット、たくさん、ある…よね…!」


涼「そういや、京都ってそういう面もあったな…」

ありす「ひええ…私、学校で修学旅行が控えているのに…」


周子「あーそんな脅してるわけじゃないって、全然へーきへーき」

飛鳥「ボクも控えてるんだが…」


周子「だいじょぶだいじょぶ、京都いいとこ!」

涼「周子は怖いものなし、かー、どうする小梅?いつか脅かしてやろうか?」


小梅「うん…がんばるよ…!」


周子「いやそんなん、がんばらんでおくれー」


小梅「周子さん、本当に…怖いもの、ない…?」



周子「うーん、鬼が出ようが蛇が出ようが…あっ、でも…あるかも?」


小梅「な…なにかな?ゾンビ…?」


周子「ゾンビーもちがうけど、うん…確かにアレだけは恐ろしいかも…」



飛鳥「なんだいそれは?」

ありす「気になります!」


周子「人の弱みにそんな食いつかないの」


涼「で、なんだよ周子?」



周子「そんな気になるんかい…、」


周子「……。一回しか言わへんからね?」



小梅「わくわく」



飛鳥「…」

ありす「…」



周子「まんじゅう」



ありす「…えっ?」


飛鳥「ま、まんじゅう?」


周子「あーホラやめやめ!やっぱ言わんほうがよかった…」


涼「まんじゅうが怖いって、どういうことだ周子?」


周子「あーごめん、忘れて!なんやら寒気するから先帰るね…」



涼「お、おお…なんかすまないな、お疲れさん!」


ありす「お疲れさまです」

飛鳥「また今度…」

小梅「周子さん、お疲れさま…」

周子「ん。みんなおつかれー」



\ガチョン/



涼「…」

ありす「…」

小梅「……」


飛鳥「……なんだい?まんじゅうって…」


ありす「…ですね、そんなものが怖いだなんて、意外です」


小梅「寒気がする、…って、少し怯えた…?感じにも…見えた、かも…」


涼「実家が和菓子屋だから、何か関連したトラウマでもあるのかもな。」


ありす「たしかに、普通の人と違ってまんじゅうで怖い思いをするかもしれませんね…」


飛鳥「フフ…まんじゅうが怖いだなんて、滑稽じゃないか…」


涼「どうした飛鳥、悪い顔して…」



飛鳥「なあに、たまには彼女のウィークポイントを突いたっていいだろう」


ありす「そんな、イタズラ…ですか?おまんじゅうで…」


小梅「イタズラ…する?」


涼「あー、トラウマが本物だったらマズくないか?ちょっとシリアスだったし、そっとしといてやれよ…」



飛鳥「いや、彼女は弱みを隠しすぎている。それは果たして本当に良いことなのかな?」


ありす「そうですね。アイドルの仲間として、信頼して協力するにはちゃんと向き合ってもらうのも…」


涼「うーん、たしかにそれも一理あるよな…アタシも夏樹とかにそんなとこ話したことあるし…」


小梅「イタズラ…しよ?えへへ…♪」



飛鳥「ああ、やってやろうじゃないか…」




~後日・女子寮~




飛鳥「フレデリカに協力をあおいで、周子の部屋にまんじゅうを設置してもらったよ」

http://imgur.com/JzzE7iO.jpg




ありす「録画の準備もできました!」

小梅「追加のおまんじゅうも、ある…よ」



涼「おーい、あんまやりすぎるなよ?度が過ぎたら止めるからな。」


飛鳥「ああ、それは助かるよ…ときに人は盲目になるからね、冷静な観測者は必要だ」


ありす「そうです、あくまでこのイタズラは周子さんのため…」


小梅「ふふ…♪そう、なの…かな?」


涼「で、流れはどうなってる?」



飛鳥「まず、フレデリカが布団に仕込んだまんじゅうがある、周子が寝ようと布団をめくったら目に入るって寸法さ。」

ありす「就寝時は、油断してますからね。」


飛鳥「それに驚いて声があがると同時に、窓からまんじゅうを投げ込むんだ」

小梅「ちゃんと、投げてもいいおまんじゅう…だよ、あとで食べられる…」


ありす「それなら安心ですね、食べ物を粗末にするのは気が引けますし。」

涼「投げてる時点で…まあいいか、そんなまんじゅうあるんだな…」



飛鳥「そうしたら、周子は部屋から逃げようとするだろう。部屋を出たその先に…フレデリカが居る」


ありす「安心する味方を設置するんですか?」


小梅「う、ううん、フレデリカさんは…
『のっぺらまんじゅう』してもらうんだ…よ?」


涼「なんだそりゃ…」


小梅「おまんじゅう、…怖かった?へぇ~、どんなおまんじゅう?それって…こんなおまんじゅうじゃなかった…?」


ありす「この、おまんじゅうのお面つけてるんですね」

飛鳥「そして、ボクらもそこに姿を現すんだ。」


涼「え、マジか?このお面つけて?」


小梅「ほ、ほら…みんな、つける…よ?」

飛鳥「フフ…のっぺらまんじゅうに囲まれた彼女は、どうなるかな?」



涼「…これってむしろ、滑稽なのはアタシたちになるんじゃ…」



飛鳥「とにかく、こういう流れになる。いいかい?」


ありす「おまんじゅうOKです!」


小梅「み、みんな…お面、つけた…ね。」


涼「なあ…ありす、もうそれ撮ってるのか?」


ありす「ええ、バッチリです。」


涼「なあ、なるべくアタシ映さないでくれ、頼むから…」




飛鳥「おや、フレデリカから連絡…周子が寝に部屋へ入ったそうだ。持ち場へ行こう。」


ありす「行きましょう」


涼「これでホントに怖がるのか…?いや、むしろ楽しい思い出としてトラウマを克服してもらえる可能性もある…のかな」


小梅「おまんじゅう…♪」



~周子の部屋~



周子「ん…ねむ。」


周子「ちょい早いけど、そろそろ寝よかな」


周子「えーと、目覚まし明日何時だっけ…あ、丸一日オフだ」


周子「ふー、ゆっくり寝れそ…」


布団ペラー





周子「…」


周子「………」


周子「なんこれ」



周子「おまんじゅう…?」


周子「え、あたしの布団でおまんじゅうが寝て…」

周子「いやめっちゃあるやん」

周子「すご、いくつあるんかな布団全部めくったろ」




周子「うえきちゃんおった」

周子「おまんじゅうでモザイクアートのうえきちゃんおった…」



周子「なんこれ」


周子「なんであたしの布団でおまんじゅうのうえきちゃん寝てるん…」


周子「えー、フレちゃんに聞……あっ(察し)」




周子「あの冗談真に受けたんかーい」



周子「えー、もしかして、これ続きあるんかな…」


周子「とりあえず、これ怖がればええか」




周子「んんっ」



周子「いぃーーやぁーーー!!!!!!!!…ん、んふふ」




窓\ガラアッ/


周子「うわすご!窓勝手にあいた!」



まんじゅう\コンチャース/

まんじゅう\ウィース/

まんじゅう\オァサース/

まんじゅう\ヤミノマー/


周子「窓からおまんじゅうやってきとる!!ぶっふ!あはは!」


周子「えーうそやん、めっちゃおもしろ…」


周子「んふふ、一個食べたろ…」


周子「うまい」



周子「このあと、どうすればええんかな…これで終わりかな?」


周子「とりあえず、また歯磨きに部屋出よかな…のど乾いたし」



\ガチャ/



周子「あっ、フレちゃんおる」


周子「フレちゃーん、おまんじゅうすごいよー」



宮本フレデリカ「おまんじゅう…すごいの?」


周子「あーもう、よくやってるよほんと…」


フレデリカ「へえ、そのおまんじゅうって…」


周子「うんうん」


フレデリカ「こーういうおまんじゅうじゃなかった~?」
(のっぺらまんじゅう)



周子「ひゃァーーーーー!!!!!!!」(大爆笑)


フレデリカ「あっはっはっはっは~♪どう~?」

周子「めっっっちゃおもしろ…あかん…ハラいたい…!!!」



周子「ひぃぃ~!ふぅ、ふぅっ…!!」



ありす「周子さん!大丈夫ですか!」
(のっぺらまんじゅう)

飛鳥「どうしたんだい苦しそうに!」
(のっぺらまんじゅう)

小梅「周子さーん…」
(のっぺらまんじゅう)




涼「……あっ。あたしパスしよ…」
(お面はずす)







周子「お…みんな来…んんんっ!ぶっふぉ!」



ありす(うつむいて顔を背けています…!)

飛鳥(ああ、どうやら想像以上に怖がっているようだ…!)



周子「ひぃぃ…!みんな、ちょ、こっち見んといて…んっふ…!!」



飛鳥「よし…大成功のようだね」


ありす「あとで録画を見ましょう…」


小梅「ふふ…♪みんなでドッキリ?楽しい…な♪」



フレデリカ「わぁ~!みんなおまんじゅう~!」


周子「ちょ、もう…ムリ…んふふふふふ」



周子「あははははははははははははははははは!!!!」



飛鳥「おいなんだ、この反応は…」

ありす「もしかして怖すぎておかしく…?」



涼「あぁー…」




フレデリカ「へへへへへ~♪」


周子「もう、…んっふ、あぁ~、すごいなぁ!」



涼「なあ周子、まんじゅう怖いか?」


周子「いやー、もう、これはね…怖いわぁ~!」


周子「まんじゅうに笑い殺されるかと…んっふ、…!」




飛鳥「なっ」


ありす「えっ」


フレデリカ「あははは~♪」



小梅「お部屋…の、うえき…ちゃん、すごい…ね…!」


フレデリカ「でしょ~?フレちゃん頑張ったんだ~♪」



周子「はっ…はぁぁ~、つ、次は…お茶がこわいかな~!」



涼「ったく、変な気を回して損したよ。ま…悪くはないか、アハハ!」


飛鳥「なんだ、ボクはまんまとひっかかったのか…」


ありす「お、おまんじゅうの格好までしたのに…」

涼「そうだありす、な、その録画消しとこうぜ」



小梅「えへへ…こういう、のも…楽しいね…」




飛鳥「いや、…楽しくはないな、」


ありす「まったくです…」


飛鳥「しかし、ならばこれから楽しくするまでだよ…」


ありす「まだ、なにかあるんですか?」



飛鳥「まぁ、実はこの事態も予測はしてたさ…そこで…」





\ドカーーーーン/



日野茜「ボンバァァーー!!!!!」

http://imgur.com/Zu0mha0.jpg





ありす「あっ、茜さん…?」


茜「みなさんこんばんはー!!!!」



周子「ほえー、まだゲストおるん?」



日野茜「周子さーーーん!!!アツーーいお茶は!!いかがですかーー!!!!」



周子「あ~!お茶怖~い!!」


フレデリカ「ボンソワール♪茜ちゃーん!」



小梅「も、もしかして…」



茜「あーいけません!!そんなにおまんじゅう食べて!!!しっかり消費しましょう!!!!さぁ!!走りますよ!!!!」



周子「えっ?」


茜「食べたら動く!!!ちゃんとトレーナーさんやプロデューサーから許可はいただいてます!!!たっくさん走り込みして!!!おいしい麦茶を飲みましょう!!!!!」



涼「あ、あのな茜、夜だから静かにしような…」



茜「ああすいません!つい…では、明日早朝からみっちりやりますよ~!」


周子「えっ」



小梅「こ、怖い…お茶、が来た…ね♪」




周子「うそやん」



ありす「これは怖いですね…」

飛鳥「芳乃に会いに行って正解だったよ。この事態を予見して、茜を呼ぶ提案をしてくれた。」



フレデリカ「シューコちゃんがんばってね~♪」



涼「妙なウソの報いか?ふふ、麦茶で少し頭を冷やすのもいいか…」



飛鳥「さて…どうだったかな、お茶を呼ぶまんじゅうは?」


周子「いやー、怖いもんだね…あはは…」









~後日~




神崎蘭子「我が友よ!かの甘味を装うとは如何なる調べか!」
(おまんじゅうの格好の飛鳥ちゃんだ~♪)


飛鳥「な、なぜその写真を…やめてくれ蘭子!あっ!描くんじゃない!!」


http://imgur.com/uQHATH3.jpg





周子「いや~、まんじゅうは怖いね?あむっ、」


フレデリカ「んん、おまんじゅう、おいしーね~」












キャシー「いやぁ~、まんじゅうはおいしいからね。」


キャシー「つい食べ過ぎちゃう…あたしも注意しないとなぁ」


キャシー「えー、みなさんは、つぶあん派?こしあん派?」

キャシー「じゃあ、つぶあんのひとー!」

キャシー「…思ったより少ない!」


キャシー「こしあんのひとー!」

キャシー「あ、こっち多いんだね。」


キャシー「そしたら、うぐいすあんのひとー!」

キャシー「あ!いたいた~!」


キャシー「じゃあ、しろあん!」

キャシー「1、2、3人、と…あ、もう1人いた!」

キャシー「つぎは…みそあん!」

キャシー「お、けっこうツウな人が…」

キャシー「ずんだあん!」

キャシー「ああ思ったよりいる!」

キャシー「中華あん!」

キャシー「おおすごい!塩気チェンジについてきたね!」

キャシー「五目あん!」

キャシー「そうだよね~!みんな好きだよね!」

キャシー「クリームパン!」

キャシー「あははは!!多い多い!」



キャシー「そうそう!あんこの話でいえばね、あんパンの上につぶつぶあるでしょ?」

キャシー「ゴマだったり、ケシの実が乗ってるやつね。」

キャシー「アレって、パン屋さんが中身つぶあんかこしあんかを見分けるために開発された手法なんだって!」

キャシー「パンで包んだらどっちのあんか、わからないもんね~」

キャシー「お客で知ってるひと、あんまり居なかったんじゃないかな?」

キャシー「けど、つぶの種類で中身が違うって知ってるひとは見分けられるんだ!」

キャシー「俺はつぶあん派だから!黒ゴマのある、こっちのあんパンを選ぶぞー!ってね、」

キャシー「パン屋さんによっては黒ゴマがこしあんかもしれないけど…」


キャシー「そんなふうにさ、細かいところの意味をなんだろな~って気にしてみたら意外な理由が隠されてたりするよね~」

キャシー「神社の石階段の数に実は意味があったりとか…」


キャシー「そういえば、さっきの話にはもうちょっとだけ続きがあってね。」

キャシー「同じように、細かいところに気づいちゃうんだよね~またこれが…」














周子「そうだ、あのとき窓どうやってあけたの?」

フレデリカ「窓~?あたしは詳しく知らないかな~」


周子「ふーん、あっ涼ちゃーん」


涼「おう、なんだ?」


周子「まんじゅう外から投げ込んだでしょ?」

涼「ああ、アレな…」


周子「あのとき、窓どうやってあけたん?」


涼「えっ、どうやってって…周子が開けたんじゃないのか?」


周子「えー、そんなわけないじゃんね?」


涼「たしかに、そうだよな…」


周子「あの窓、外から開けられないハズなんだよねー。だからさ、布団のおまんじゅうと一緒に特殊な装置とか仕込んでるのかと思いきや、フレちゃんは知らないときた」


フレデリカ「うん、あたしはうえきちゃん作っただけだよ~」


涼「そういや、アタシらも何故か窓が開く前提で話を進めてたんだよな、窓開け役も居ないのに…」



周子「唯一、部屋に入ってたのはフレちゃんだし…えっ、なんか、ちょい寒気する」


フレデリカ「小梅ちゃんに聞いてみる~?」



涼「そ、そうだな…」


周子「ま、待って、知らなくてもいい事実があるかもしれない!」


涼「それも、そう…だな…」





フレデリカ「…あ、はろはろ~♪小梅ちゃん元気~?うん、そうそう~!ゾンビゾンビ!!」


涼「あ、電話」


周子「たのむ…晶葉ちゃんとかの名前出てくれ…」


フレデリカ「…で、うん!そう、おまんじゅうのときの、窓がね?あ~そう!それそれ~小梅ちゃんが担当したの?すご~い!」


涼「小梅が投げ込み隊長だったか…」


フレデリカ「で?それで?うんうん!あ~、窓開けのやつ頼んだんだ?へぇ~!わかった~!ありがとね!うん、うんうん!じゃあまたね~、アデュー♪」



周子「あーよかった、窓開けの仕掛け、誰かに頼んでた…」


涼「……あぁー、…」



フレデリカ「小梅ちゃんがね、窓開け頼んだんだって~!」


周子「うんうん、で、誰だって?」


涼「あ、アタシちょっと向こう行くわ…じゃな…」






フレデリカ「えと、周子ちゃんのとこに居る…『その子』だって!」



周子「…」


周子「へ?」


フレデリカ「『その子』だって」


周子「あれ、おっかしーなー、うちのアイドルにソノコちゃんなんておったかな~?」



フレデリカ「あのね、『その子』はね~、シューコちゃんの部屋に居てね~」


周子「あかん、それ以上…いや、もうすでに部屋帰れない…!」



フレデリカ「『その子』はいつもシューコちゃんの部屋で~」


周子「やめてフレちゃん!ってか、今日部屋泊めて!おねがい!!」












キャシー「おーこわ!」


キャシー「小梅ちゃんのライブ映像には必ずのように、謎の何かが映ってるっていうよね…」


キャシー「おっと、怪談噺になっちゃう…これは落語、落語!」


キャシー「さてさて、世の中本当に怖いのはお化けじゃなくて人間だー」


キャシー「だなんて題材よくありますよね?」


キャシー「たしかにね~、業界で権力あるうえでイヤミ~な人居るとね~、こわいこわい。」


キャシー「お金持ちもね、拗らせるとイヤミ~なことになったりするよね。」

キャシー「あまり人と嫌味な接し方しすぎると、しっぺ返しくらうけどさ~」



キャシー「さて!今までのお話はいくつか現代風でしたが、次のお話は江戸時代っぽいお話ですよ~」


キャシー「3つほど、知っていてほしいことがあるよ!」


キャシー「当時はね、江戸市中では長屋っていう借家が普通だったんだ。」

キャシー「参勤交代とかのおかげで人の移動があるからね~、他の地域と違って、持ち家買って定住してるのは少なくてね、大半の人は長屋に住んでたんだって!借家住まい!」

キャシー「その長屋ってのは、一つ屋根の下にいくつか部屋仕切りの壁があって、その仕切った部屋ごとに家族とかが住んでる…ようなイメージでいいかな。」

キャシー「つまり、おとなりさんとの距離が近くて、仲良くするのが大事だったってことよ!」

キャシー「で、あとね、借家ってことは家主が別に居るわけですよ。」

キャシー「逆に言えばね、お金さえあれば家主に相談して、仲良くできないお隣さんも追い出せちゃったりするんだよね~!お金はこわい!」

キャシー「お金持ちなのに借家に住んでるの?って、江戸にはけっこう居たみたいだね当時は。火事も多くて家がすぐ壊れるからね、持ち家だとむしろ損することもあったみたい。」


キャシー「さ、覚えてほしいこと3つ!」


キャシー「1.いろんな人が借家住まい」

キャシー「2.おとなりさん関係が大事」

キャシー「3.お金があれば追い出しも可能かも?」


キャシー「じゃ、聞いてくださいね~!」













~長屋・3号部屋~





向井拓海「だああああぁぁぁぁぁアイ!!!!」

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大和亜季「ぬあああぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!!」

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仙崎恵磨「シャアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」

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藤本里奈「へいへいへぇーい!!」

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木村夏樹「さーて、うっし!!」

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松永涼「おーい、賑やかなのも大概にしとかないと、また隣から何か言われんぞ…」

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拓海「あ゛ぁ゛!?気合い入れないで鳶職(とびしょく)がやってられっかよ!!!」


亜季「我々は消防団でもありますからな!!声出しによる結束も必要であります!!!」


恵磨「テンション上げていこォォーーー!!!!!!!!」


里奈「あげぽよー☆」


原田美世「はい皆そこどいてー!!カラクリのこぎりで木材切るよー!!」

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\ドゥゥルルルルルルン!!!!/


\ブロロロロロロロロロォォ!!!ブロン!!ブロロン!!/



木村「おお!イイ音じゃん!」


拓海「こりゃまたスゲェな!!」


恵磨「うっはー!!爆音!!!」

美世「カラクリのこぎりの威力!!ごろうじろ~!!」



\ブロロロロォォン!!!/
\ブルルルルガリガリ!!/


\ヴィィィィィィィィィィイイイイ!!!!!!/





~長屋・1号部屋~




脇山珠美「でえええぇぇぇぇぇい!!!!」

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浜口あやめ「はあああぁぁぁぁぁぁああ!!!」

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丹羽仁美「まだまだ!この矛使いじゃ慶次様に及ばない…!」

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珠美「うおおお!!そこ!面!!!!」


あやめ「なんの!!煙玉!!!」


\チュドーン!!!/



首藤葵「はーい!!!やめやめ!!!!」

\ガンガンガンガンガンガン!!!!!/

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葵「みんなごはんできたっちゃ!!!しっかり食べえ!!!」

\ガンガンガンガンガンガン!!!!/





~長屋・2号部屋~







\ブロロロ!!!ヴィィィィィィ!!!/
\シャアァーー!!!/ \オラァァーー!!!!!/



森久保乃々「…っひいっ!?」

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\メェェェェェン!!!/
\チュドーン!/

\ガンガンガンガンガンガンガンガンガン/



星輝子「う、うお…っ!」


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輿水幸子「……」


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乃々「い、いきなりの大きい音は…驚くんですけど…」


輝子「活気ある、声に…私、かき消されそうだ…」


幸子「ああぁぁぁーーーもう!!!」


輝子「フヒッ!?」



幸子「なんなんですか毎日毎日……!!」



幸子「左どなりの鳶組さんは野蛮な音をあげて…!」


幸子「右どなりの道場さんは夜稽古なんてやりだしますし…!」



幸子「騒音に挟まれた身にもなってくださいよ!!」


乃々「鳶さんたちの作業のかけ声を聞くと、壁越しでも蒸発してしまいそうです…」


輝子「道場さんは、夜にも…ドウ…!コテェ…!フ、フヒ…」



幸子「ああもうこうなったら…大家さんに相談して、おとなり両方!引っ越しさせちゃいましょう!!ボクが隣2部屋とも買います!!」


乃々「そ、そんなこと…できるんですか…?」

輝子「い、いくら金貸しの幸子ちゃんといえど、ソレは…」


幸子「大家さんはボクにも借りがありますし!なによりボクはこの町一番にカワイイですから!!おとなりを買ったらまた別のカワイイひとに売ればいいんです!」


輝子「そんな都合のいい…」


幸子「もういい機会です!ボクはカワイイものしか許しません!!」

幸子「カワイくないものは近所から追い出しますよ!!」



乃々「そ、そんな…」

輝子「ご、ごめんな幸子ちゃん…」


乃々「カワイくないもりくぼは去ります…さるくぼです…」

輝子「わ、私…も…暗くジメジメしたところに、身を寄せよう…」



幸子「えええ!?ちょっと待ってください!お2人はカワイイですから!!」




~後日・長屋の外~



\ッシャァーーー!!!/

\オラーーー!!!/


\ハアァァ!!/

\メンー!/\ニンー!/\ケイジサマーーー!!!/






早坂美玲「おーおー、今日もやってるな…」

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美玲「おう、ショーコ!ノノ!外に居るのは珍しいな!で、幸子はいるか?」


輝子「…あっ、美玲ちゃん、おはよう…フヒ」

乃々「おはようございます。今日も、オシャレなんですけど…」



美玲「へへっ!まあなッ!で、服買うために借りた金を幸子に返しに来たんだけど…」


乃々「幸子さんは、部屋には居ません。今、大家さんのところへ行ってるんですけど…」


輝子「お、おとなりが、カワイくないから…って、追い出す?相談を…してる、らしいぞ。」


乃々「おとなり2つとも買い上げるだとか…」



美玲「そ、そうか…まぁ、あれだけ賑やかだとその流れになるのも仕方ないかもな…」



乃々「で、でもちょっと心配なんですけど…」


輝子「フヒ…幸子ちゃん、お金の貸しかた、カワイさで…ひいきするし、な…」


乃々「この件で更に恨みを買うようなことがあると…もう、私たち生きていけないんですけど…」


美玲「たしかにな…おかげでウチには安く貸してくれるけど、色んなとこからヒンシュク買ってるよな…」


輝子「さ、幸子ちゃん、ホントはすごくイイ子…だから、できれば平和に、暮らしたい…んだ。」

乃々「もりくぼも、静かに暮らしたいんですけど…」


美玲「ま、金貸しやってる時点で反感買うのは多少仕方ないトコもあるけど…。カワイくないからって金でお隣を追い出そうってのは、過激かもなぁ…」

乃々「どう思われてしまうか心配なんですけど…」




涼「………マジかよ。」



~3号部屋・鳶組~



涼「おいお前ら、アタシら追い出されるかもしれないぞ」


拓海「はぁ!?」

美世「ええっ!?」

亜季「なんですと!?」



夏樹「なんだなんだ?拓海お前ついに何かやらかしたな?」

拓海「アタシは何もしてねえよ!!それより恵磨だろ!!」

恵磨「いやアタシだって違う!ちょっと声デカいだけじゃん!!」


涼「いや、なんでも隣の金貸し幸子がな、あたしらがカワイくないってんで、大家からココを買い取ろうだとか…」




恵磨「うそォォー!!!?」


拓海「はあぁー!?アタシらちゃんと仕事してるだけだろが!!」

亜季「火事の鎮静や喧嘩の仲裁など、地域の為にも働いてるであります!」


涼「いや、あくまで耳にしたウワサってだけだ、けどコレを機にもう少し気をつけてもいいんじゃないか?」



夏樹「だからってカワイく振る舞えってか?けど、それも違うよなあ」


涼「そりゃそうだが、でも確かにウチは騒がしいだろ?そのへんの気遣いくらいは…」

美世「うーん、でも音を抑えるにしても、出来ることと出来ないことがあるよねー」


拓海「だいたいアイツ気に入らねえんだよ!アタシら見るなり、カワイくないですねぇ!とか言いやがってよ!!」


里奈「えー?アタシは、カワイイって言われたけど~?」


涼「里奈は、まぁ…そうだよな」


夏樹「…よし、いいこと思いついた!」

亜季「おや!隣への突撃作戦ですかな?」


夏樹「いやそんなんじゃないよ、ただ…アタシらに直談判するでもなくカネだけで追い出そうってのはロックじゃねえからな、ひとアワ食わしてやろうかって。」


涼「あぁ、それは一理あるな。」

恵磨「いいじゃんいいじゃん!!ノッた!!!」



夏樹「そしたら、あっちの道場さんトコとも話を合わせよう」


里奈「珠美ちゃんたちも追い出されそうなんだっけー?」

涼「ああ、そう聞いたけど…」




拓海「そうと決まりゃすぐ行くぞ!!」

夏樹「おまえは留守番してろよ」


拓海「あ!?なんでだよ!!」

恵磨「拓海は冷静な話し合いの場には合わないしなー!!」


拓海「おン!?アタシは猛獣かなんかか!!?」

涼「…間違ってはいない、かもな。行こうぜ夏樹」


拓海「あぁ!!オイちょっと待てよ!!」

美世「あーもー!だから動物扱いになるんだって!」

拓海「がるるるるるる!!!」

里奈「はいはいたくみーん♪どうどうどう~」


亜季「わたしも行くであります!」


夏樹「おーう」



~1号部屋・道場~



珠美「な、なんですとーー!!?」


あやめ「私たち、追い出されてしまうのですか!?」


仁美「あちゃー、深夜の慶次様講座、盛り上がりすぎちゃったかなー」


葵「で、相談ってなんね?あっ今お茶出すけん!」




涼「ああお構いなく…どうも、」


亜季「かたじけない!いただくであります!」


夏樹「相談ってのは…ひとつ、作戦があるから協力してもらいたいんだ。」



あやめ「作戦ですか?隠密であれば是非あやめにお任せを!」

夏樹「いや、そういうのじゃないんだけど…」


涼「幸子にちょっと、カワイくない目にあってもらおうってな」


珠美「それでしたら、是非協力しましょうぞ!珠美もいくつか、幸子殿には貸しがありますゆえ…」


亜季「これはこれは!おいくらほどですかな?」


珠美「いえ、幸子殿はいつも会うなり、
『珠美さんは小さくてカワイイですねぇ』とおっしゃるのです…!」


涼「あぁ…そういう貸しか?」



珠美「幸子殿の方が小さいのに!珠美を見てカワイイとは何事でしょう!?いえ確かに珠美は比較的小さめですが!!幸子殿のほうが小さいのですぞ!!!」


夏樹「あぁー…」


亜季「う、うーむ…」


あやめ「確かに幸子どのは小さいですが…」

(輿水幸子:142cm)


涼「ほら、どんぐりの背ぇ比べっていうじゃないか、みみっちい差を気にしてるともっと小さくなっちまうぞ…」



葵「珠美さん、もうそれよすっちゃ…あたしも同じやけん。」
(首藤葵:145cm)


珠美「葵殿はよいのです!!事実カワイイのですから…!珠美は、珠美は…!!」
(脇山珠美:145cm)


仁美(珠美ちゃんも十分カワイイんだけどなー)



夏樹「ま、そういうことでひとアワ食わしてやろうぜ」


涼「今から作戦を説明するぞ」


亜季「共同戦線!ですな!」


仁美「あっ、もしよければ一緒にごはんいかが?」

珠美「そうですな!鳶組の皆様をお連れください!」


涼「いやそんな…わりぃよ、」


あやめ「いえいえ、ご遠慮なさらず!葵どののお料理は絶品ですよ!」

葵「そうそう、今日はいいアジがたくさんあるよ!仲間は同じ釜の飯を食べるところからっちゃ!」


夏樹「おぉー良い言葉じゃないか、こいつはロックだ!ここで断っちゃいけねえな!」

涼「そこまで言われたら…世話になるか!」

亜季「ごちそうになるであります!」



葵「久々のお客様やね、もてなしのウデがなるっちゃ…!」


あやめ「今夜は宴会ですね!芸事にも通用する忍術の真髄をとくとお見せしましょう!」


夏樹「そうなったらアタシらもひとつ、ロックなパフォーマンスをしようじゃないか!」


涼「おう、アタシらの歌はすごいからな!」


亜季「では、皆を連れてくるであります!」



~2号部屋・金貸し~


幸子「ふぅ…カワイイボクが帰りました~」


乃々「お、おかえりなさい…」

輝子「さ、幸子ちゃん…どう、だった?」



幸子「今すぐにとはいきませんが、ボクのカワイさに免じて大家さんが交渉してくださるそうです!」


輝子「そ、そうか…」


幸子「やはりカワイイは正義です!フフーン」


乃々「あの、美玲さんからの返金を、預かってるんですけど…」

幸子「おや、ありがとうございます!美玲さんはカワイイですからねえ。この町のカワイイが増えることにお金が遣われるなら、いくらでも貸しますよ~」




\ドワーーーッ!!!!/

\ドンチャンドンチャン!!/


乃々「ひい!?」

輝子「お、おとなりの道場からだ…」



幸子「また、今度はなんですか…カワイくない宴会が…」


輝子「ちょっと、楽しそう…だ、な?」

乃々「賑やかなんですけど…」

輝子「勢いでかき消されそうだ、わ、私も対抗してヒャッハーしないと…目に見える形を、子実体を保てない…」

乃々「急にはやめてほしいんですけど…もりくぼがチリに、ちりくぼになっちゃうんですけど…」


幸子「これも、もう少しの辛抱です…もう数日すればむこうから、引っ越しをするとおっしゃいますよ!」


~後日、鳶組~



拓海「なあ!幸子んとこカチコミ行くんだろ!?今度こそアタシに先陣きらせろよ!」


夏美「つったってなぁ…」

涼「拓海、お前幸子に何言うか覚えてんのか?」


拓海「あ!?こないだ道場の宴会んとき説明してたやつだろ?んなもん覚えて…」


拓海「…」


拓海「ダメだ、慶次のことしか記憶にねぇ。」


夏樹「やっぱりな…」


里奈「あははーたくみんバカじゃーん!」

拓海「オイ里奈ァ!!」

里奈「あたしもバカだからさー♪慶次様あげぽよー☆しか覚えてないしー」

恵磨「アタシも!!慶次様しか覚えてない!!!あっ!あとごはんめっちゃウマかった!!!」

拓海「ああたしかにな!あんなウマいもん食わしてもらったんだ、イイ魚もらったら絶対分けてやろうな!」



美世「みんな洗脳されて帰ってきたね、恐ろしい道場だ…」

亜季「心理戦まで心得ているとは、見事でありました…!」





夏樹「じゃ、行ってくるわ」

涼「そっちも準備よろしくな!」


美世「まっかせてー!ちゃんと材料用意してくるからね!」




~2号部屋・金貸し~


\コンコンコン/

夏樹\おーい、幸子いるかー?/





輝子「幸子ちゃん…鳶組の、ひとだ…」


幸子「来ましたね、引っ越しの連絡でしょうか?にしては早すぎる気もしますが…」


乃々「あまり良い予感はしないんですけど…」




幸子「はい!どうぞお上がりください!」


夏樹「おう、邪魔するぜ」

涼「相変わらず小綺麗にしてあるなココは…」


幸子「ええ!どうです?カワイイでしょう!」


夏樹「あー、ひとつ連絡なんだけど、あたしら引っ越すことにしたんだ。」



幸子「!!」





輝子「な、なんだって…」

乃々「本当に、お引っ越しになるんですか…?」




幸子「これはこれは!お引っ越しされるんですね~?」


夏樹「まぁ、あと相談というか注意があってさ。」

涼「引っ越しを決めたはいいが、金がなくってな…」


幸子「そうですかそうですか!お貸ししましょうか?おいくらですか?」


夏樹「いや、借りはしねえけどさ、手っ取り早くカネを稼ぐために今日からウチをバクチ場にしてるんだ。」

涼「と、いうことで血気盛んな連中が集まるからさ、夜も多少賑やかになるかもしれないから…ごめんな」


幸子「えっ」



夏樹「まあなんだ、頭に血ぃ昇ったヤツの隣で鉄火巻きとか作るもんだからよ、その…刃物とかでカワイくないことが起こるかもしれないんだ」


涼「こう…カワイくない指とか耳とか鼻とか、やんごとなきモノが何かのはずみでお宅に転がり込むかもしれないからさ、引っ越しまでの辛抱ってことで…」




幸子「ひええええ!?そそ、そんなやんごとなきカワイくないモノこっちに寄越さないでくださいよ!!?」




\ドゴン!!!/


幸子「フギャー!?」


\サァ!!ハンカ!!?チョウカ!?/

\オイテメーフザケンナ!!!!イカサマシテンダロォォ!!!/
\テメーイイガカリツケテンジャネェゾ!!!!/



幸子「あわわわ…カ、カワイくないものが…転がり込む!!?」



夏樹「あ~、でも今すぐ金があればこんなことしなくて済むんだけどな…」

涼「借りたらあとが怖いし、アタシらはカワイくないしな。」

夏樹「そうだな、自分たちで稼がなきゃな~」



幸子「いえいえいえ!!出しますよ!!お、おいくらですか!?そう!引っ越し祝いです!!!あげます!!!」


夏樹「おっ、そうか?わりぃな…」

涼「いやーアタシらカワイくないんだけど、いいのか?」


幸子「カワイイ!!カワイイですから!!刃物や指とかより断然カワイイですから!!!あぁ~そう!カワイイものにお金は惜しみませんから!!」



夏樹「じゃあ、できればで構わねえがこんくらい…」


幸子「…ジュ、ジュエル5000…」


涼「いや、できればでいいんだ。アタシらが自力でなんとかするから…」


幸子「い、いえいえ!お渡しします!!カワイイお引っ越しになるよう願ってますから!!」


\チャリーン/


夏樹「おう、すまんな!じゃあよろしくな~」

涼「それじゃ、お互い達者でな!」












幸子「ジュエル5000…」


輝子「本当に、お引っ越し…する、のか」

乃々「静かになるんです、けど…」



幸子「少し痛…い、いや、これで平穏な生活を買ったと思えば…」






\ガンガンガン/


珠美\幸子殿ー、幸子殿はおられますかー!?/




幸子「こんどは道場のかたですね…なんでしょうか?お引っ越しの連絡だとしても、また早すぎる気がしますが…」



幸子「は、はーい!あがっていいですよー!」




あやめ「おじゃまします、ニン!」

珠美「おじゃまします!本日は、幸子殿にお伝えすることがありまして!」


幸子「は、はい?なんでしょう?」




珠美「このたび、私の道場は引っ越しをすることになりました!」



幸子「こんな続けて!?早いのは構いませんが、こ、これは幸運…なんですかね?」


あやめ「はて、早い?幸運とは…?」



幸子「ああいえいえ!こちらの話です!」


あやめ「それで、お伝えせねばならないことがありまして…」


珠美「あの、引っ越しを決めたはよいのですが、いかんせん先立つものがありません…!」


あやめ「まずはお金を集めるために、道場を真剣勝負の見せ物場として使うことにしたのです。」


幸子「えっ、なんかこの流れ覚えがあるような…」



珠美「真剣勝負、つまり本身です。立派な刃物を使いますので…」

あやめ「クナイや手裏剣も同様に刃物ですし、毒なども使うかと…」



幸子「カワイくないカワイくない」




あやめ「血飛沫や吐瀉物、もしくは毒煙…」

珠美「果ては腕や首など、やんごとなきモノがはずみでお宅に転がり込むやもしれませんが、どうか引っ越しまでの辛抱とご容赦くださいませんか…」



幸子「フギャーー!!?そ、それはやんごとなきカワイくないにもほどがありますって!!?」


あやめ「今、お金があればよいのですが…」



幸子「貸します!!!いくらでも貸しますよ!!!!ほら、珠美さんは十分カワイイですし!!!」


珠美「…ぐっ、い、いえ!カワイイからといって金を借りては武士の名折れ!引っ越し資金くらい自分で稼いでみせましょうぞ!」



幸子「か、貸し…いえ!!あげます!!!引っ越し祝いですから!!!」


あやめ「おおそれはかたじけない!」

珠美「そうとなれば、据え膳食わぬは…」


幸子「い、いくらですか!?」


珠美「では、これぐらい…」



幸子「ジュエル5000…!?」


あやめ「いえどうか無理をなさらず、お心だけで十分ですので…」

珠美「やはり私たちの力でやり遂げねばいけませんな…!」


幸子「出します!!!」


\チャリーン/



珠美「いや幸子殿!かたじけない!」

あやめ「このご恩は忘れません!」


幸子「いえいえ、カワイイ引っ越しになるよう願ってますよ…」



乃々「あ、あの…ひとつ聞いてもいいですか?」



あやめ「はい、なんでしょう?」


輝子「ど、どこに…引っ越すか、場所を…」


乃々「おとなりの鳶組さんも引っ越すと聞いたので…」




あやめ「ああ!それでしたら!」




珠美「私たちの道場が、鳶組さんの3号へ!」

あやめ「3号の鳶組さんが、私たちの1号へ引っ越します!」



乃々「えっ」

輝子「え…」



幸子「」














キャシー「いやぁ~、実にとんちが利いてますねこりゃ!」

キャシー「騒音問題は解決せず!更に引っ越し祝い金が…」

キャシー「やると気前良く出した手前、待ったをかけられぬは江戸の習わしってやつでさぁ」

キャシー「こりゃ、カワイさも歪んでしまうかも…?」


キャシー「で、どうです?あたしはカワイイですかね?

キャシー「これでもアイドルやってますんで!容姿には自信が、んん~?」

キャシー「たくさんお金もらえそう?ありがとぼうや~!」

キャシー「でも、このカワイイ見た目だと、ちょっと苦労もありまして…聞いてくださいよ~」



キャシー「こないだウチの古澤頼子さんに連れられて、美術館行ってきたんですよ!」

http://imgur.com/CrM60W7.jpg


キャシー「そしたら受付の人が、あたしに外人さん向けのパンフレットをくださいましてね?」

キャシー「あ~、うーん?はいはいイングリッシュオーケー?いやあたし英語読めなーい!ってね。」

キャシー「一緒に来てたケイトさんはそっちをスラスラ読んでてさ、あ~カッコイイなぁ~!って思いましたよ…」

http://imgur.com/gEeXntH.jpg


キャシー「それでケイトさん日本語もしっかり読めるからさ、他の外国人観光客さんの疑問にも答えちゃってて!」

キャシー「頼子さんが絵画に詳しくてね、その説明をケイトさんが翻訳して伝えてたんだ、二人ともすごいなぁ~って見てたんだ。」


キャシー「すると他の観光客さんもね、あたしに話しかけてくるんですよ!」


キャシー「ペラペラペラペ~ラ、ペラッペラ~の、ペェ~!って…」


キャシー「な~んか興奮してる感じのおばちゃんがさ、すっごい早口で喋りかけてくるんだ!ちょっと怖いの。」

キャシー「もぉ~わかんないからケイトさんに助けを求めたらね、どうやらその言葉が英語じゃないから、ケイトさんでもわからないってんだこりゃ!」



キャシー「で、もうどうしようもなくってさぁ~あたしも頑張ってウンウン相槌してたんですけど、お得意のジェスチャーも混ぜて!こーいうの、百戦錬磨ですよあたしぁ!そしたら警備員さんが来てね。」

キャシー「美術館ではお静かに…って言われちゃったんだ、そりゃそうだ。」

キャシー「そしたらその観光客さんがね、落ち着いた声で」


キャシー「ごめんなさ~い」


キャシー「って言うんだよ!えっ?日本語しゃべれたの!?」

キャシー「で、落ち着いて話を聞いてみたらね」



キャシー「ただの早口なおばちゃんでした」

キャシー「外人さんじゃなかった」


キャシー「ほんと、早口なおばちゃん何言ってるかわからないよね!しかもあの人妙~に彫りが深くってさ!お化粧もしてたし日本人だってわかんなかったの!」

キャシー「どうやらあたしたちのファンらしくって、たまたま会えて嬉しくってつい舞い上がって話かけちゃってたんだって!」


キャシー「いやぁ~、人気者はつらいねぇ~!あはは、ありがたいことです。」

キャシー「でも、謎の言語をしゃべるおばちゃんにまくし立てられたら、ちょっと怖いな~って思ったりしません?それは誤解だったんですけども。」

キャシー「まあ、十分あたしも早口おばちゃんの素質ありそうなんですが…」


キャシー「けど、そんなふうに、あらぬ誤解があってすれ違いをおこしちゃうこともあったりしますよね?」

キャシー「サプライズパーティとかではわざと誤解を作ったりもするし…」

キャシー「情報や、人の心の行き違いってのはよくあるよね!」


キャシー「そしたら、実はさっきの長屋の話にはまだまだ続きがあったんだ。」

キャシー「え?まんじゅうの窓みたいな怪談話とは違いますよ~!まあ、最後までお聞きくださいな。」



















乃々「引っ越し先、入れ替わっただけでしたね…」


輝子「か、変わって…ない、な…」


乃々「静かな生活はやってこないんですけど…」


輝子「や、やっぱり幸子ちゃん、良く思われてない…んだろうな…」


乃々「心配してた通りになったんですけど…」




幸子「ボクはカワイくないのでしょうか…」


輝子「や、やめろ幸子ちゃん…そんな問答を表面化するだなんて、らしくない…」


乃々「そ、そうですよ…」


幸子「ボクのカワイさは罪なのでしょうか…まんまとお金だけむしられました…」


輝子「あ、あの…な、おとなりさん両方とも、そんなワルいひとたちじゃ、ないぞ…」


乃々「そうなんですけど…きっと、あとで返してくれたりとか…」


幸子「大金はたいて静かな生活を買えたと思ったのに…」


乃々「あの…カワイくないものを追い出すとか、そういう言い方がよくなかったんじゃ…」

輝子「そ、そうだぞ…ちゃんと静かにしてくれ、って…自分のクチで言えば良かった…ん、じゃないか…?」


幸子「カワイイは正義です…けど、ときに正義は敗北するのですね…」


輝子「や、やめろ…幸子ちゃん、変な落ち込み方をするな…」


幸子「今こんなカワイくないボクを見ないでください…」


輝子「だ、だからよォ…やめろ…ヤメロっつってんだよォォォォォーーー!!!!!」

幸子「フギャっ!?」

乃々「ひい!」


輝子「あ、…ごめん」



輝子「しかし幸子ォォ!!しょげてんじゃねェ!!!」


輝子「ちょっと金が離れたぐらいでメソメソしやがってェェ!!」


輝子「両隣がカワイくないからって、金にモノいわせて他人に始末を頼んでんじゃねェ!!!!!」


幸子「…」


輝子「こんなジメジメキノコらをカワイイと認めたのはお前じゃねェェェか!!!!」

乃々「そ、そうなんですけど…!」


輝子「カワイくなくても!!カワイくできるのが幸子ォォォ!!!お前だろォォ!!!カワイイの本分忘れてんじゃねぇぞォォ!!!」

乃々「もりくぼも同じ意見なんですけど…!」



輝子「両隣がカワイくねぇならよぉぉぉ!!!」



輝子「お前自身でカワイく変えてやれってんだよォォー!!!!ヒャッハアァァァーーーー!!!!!!!!」


幸子「輝子さん…」




乃々「も、もりくぼも…幸子さんのカワイイを、信じてるんですけど…」


幸子「乃々さん…」





輝子「いいかァァ!!私は明日!!鳶組さんとこ行って話ツケてくる…金が戻ってくるかは知らねェ!!」


乃々「も、もりくぼも…いえ、やるくぼも、道場へ行ってくるんですけど…」



輝子「何とか仲だけは取り保って来てやる!!約束だァァ!!


乃々「やるくぼも、できるかぎり…その、はい。やり…ます、やけくそです…!やけくぼ!」



輝子「あとは幸子ォ!!お前がなんとかしやがれェェ!!!」

輝子・乃々「ヒャッハァァァァーーー!!!!」


幸子「はい…カワイイは、正義です…」












\ヒャッハアァァーー!!!!/





亜季「おや?今日はあちらが賑やかですな!」


恵磨「おお!いいシャウトじゃん!!!負けてらんないね!!」


涼「よせよ…恵磨が本気出すと障子とか全部ぶっ飛ぶだろ…」


夏樹「で、どーよ?うまくできてる?」


美世「うん、大丈夫!これなら明後日ぐらいには終わるかなー?」


拓海「道場のほうも順調だぞ!」

里奈「ごはんおいしかったねー☆」

亜季「あ!ずるいであります!またごちそうになったのですか!?」


拓海「おう!亜季もアッチで作業してりゃ良かったんだよ!」

里奈「あ、でもね?みんなにって、夜食のお煮物もらってきたよーん♪」


恵磨「あーー!!!食べる食べる!!!」


夏樹「んー、ありがてえ。ついでに向こうの台所広くしちまうか?」


拓海「そいつぁ賛成だな!」

里奈「いーじゃんいーじゃん!」



…後日







~1号部屋・道場~



乃々「いま、もりくぼは…やけくぼ…!」


乃々「た、たのもー!!…なんです、けど…」



仁美「あっ、いらっしゃい!」


葵「お客さん?お茶出すけんね!」


亜季「おお!乃々どのですな?」


拓海「おっす森久保ォ!」

里奈「乃々ちゃーん☆おっつおっつー♪」



乃々「ひ、ひええ…工事してる…引っ越し?準備が進んでるんですけど…」


拓海「あぁ!?引っ越し!?ちげえよ!!」

乃々「ひえ!?」



里奈「ちょーいたくみーん、コワいコワい~!乃々ちゃん怯えてんじゃーん?」

拓海「ぐっ…すまん」


仁美「引っ越し祝いのお金なら、もう使っちゃったよ!」


乃々「ひえ…あの、その…やっぱり、そう…です、よね…。」



里奈「あ~、だいじょぶだいじょぶ!リナリナのお話聞いてちょ~!」


亜季「騙したようなものですが…ご理解ください!」


乃々「か、帰りたい…けど、やるくぼは帰らないんですけど…その、お話…って?」


葵「はい!お茶と、お漬け物つまんで落ち着くっちゃ!」


乃々「あっ、ありがとうございます。いただきます…お、おいしい」


里奈「えっと、じゃ~お金をどう使ったかっていうとね~?」


仁美「慶次様の話も聞いていかない?」

拓海「洗脳されっぞ森久保!気をつけろよ!」


里奈「あ、あとこれ幸子ちゃんにはナイショでお願いね~♪」

乃々「わ、わかりました…」



~3号部屋・鳶組~




輝子「ヒィィィヤッハアアァァァァーーー!!!!!!!!」


恵磨「ヒャァァアッハアアァァァァーーー!!!!!!!!!」



美世「うっさーい!!!」


輝子「あっ、ごめん…つい」

恵磨「あぁーー!!!ごめん!!!!!つい!!!」



珠美「あ、あの小さい体からよくあんな声が出ますな…!」

あやめ「珠美どのも、そこは同様ですが…?」



涼「ったく…障子貼り替えだよもう…」


夏樹「そのシャウト、魂に訴えかけるモノを感じたぜ…で、何の用だい?」


涼「おおかた、金がどうなったかを聞きに来たんだろ?」


輝子「そ、そうなんだ…」


夏樹「あー、わりぃが、全部使っちまったよ。」

恵磨「引っ越しはしないんだけどね!!!」


輝子「そ、そうだよな…え、でも…引っ越しじゃないなら、この工事は…?道場のひとも手伝って…」



夏樹「あーコレはな…あとでちゃんと説明するよ。金の使い道ってのはこの工事なんだ」

あやめ「ニン!忍びでも表だって協力することありますよ~」

美世「ごめんね、お金をだまし取ったような感じになったけど…」


輝子「い、いや…いいんだ。幸子ちゃんにも、悪いところがあったから…な。けど…」


夏樹「けど?」


輝子「けど…その、幸子ちゃんはな、本当は悪いヤツじゃないから。…できれば、嫌わないであげてほしい。…お金はいいから、幸子ちゃんと、おとなりさんとして、仲良くは…してほしいんだ…。」


涼「いいね、アツいじゃないかそういうの!」


珠美「おお…!!」


輝子「そ、そうだ、私はこれを、言いに来たんだ…私の用事は、済んだから…」


夏樹「へぇ…ロックだな!いいぜ、あんたのイカした魂に免じてガンガン仲良くしてやろうじゃないか!」


恵磨「クゥー!!!カッチョイイじゃん!!いいね友情!!!」



輝子「ほ、本当か…?ありがとう…!フヒ…」



美世「あたしらもそんなに嫌ってたわけじゃないよっ」

夏樹「この工事が終わったときには、本人にもわかるさ」

あやめ「ですね!終わるまでしばしお待ちください!」



輝子「う、うん…みんな、ありがとう…」



珠美「…輝子殿!」


輝子「フ…フヒ?」


珠美「その小さき体躯ながらも、見事な魂を見せていただきました!小さいからカワイイと言われ、憤っていた珠美が恥ずかしいです…」
(脇山珠美:145cm)


輝子「そ、そんな…」
(星輝子:142cm)


珠美「まことの格好良さとは体の大きさで決まるものでなく、その心意気によるものだと!輝子殿の姿を見て深く感動しました…」


輝子「そ、そんなに…か?」

涼「おう、イカしてたぜ?」



珠美「どうすれば、そのように小さき体躯でもカワイイと言われず、格好良く振る舞えるのか…」



輝子「あ、いや…ちょっと待ってほしい、違うんだ」


珠美「は、はい!」


輝子「わ、私…はな、カワイイ…そう、なんだ。」

珠美「なんと!あんなに格好良いのに!」


輝子「幸子ちゃん、がな…私をカワイイって、認めてくれるから、思い切って、ものが言える…んだ。その、自信が…つくんだ。」


珠美「つ、つまり…輝子殿はカワイイから、格好いいのですか…!」


輝子「そ、そうなる…のか?まあ、その…幸子ちゃんの言うカワイイ、を誤解しないで、あげてほしい…。」


珠美「そうだったのですな…」


涼「ハハ!するってえとアタシらは本当にカワイくないわけだ!」

恵磨「みたいだね!アッハハハ!!!」

美世「一応あたしはカワイイ認定もらってるよ!」



輝子「幸子ちゃんが言うんだったら、珠美さんも…きっと、ちゃんとカワイイし、格好良くも…なれる。」


珠美「…」


あやめ「ほら珠美どの!やはり変に気にしすぎていたのですよ!」


輝子「幸子ちゃんは絶対、けなしてるわけじゃ…ないんだ、ちょっと尊敬もしてると思う…よ?だから、信じてあげて…ほしい。」


珠美「わかりました、信じてみましょう…!」



夏樹「カワイイも、ロックなんだな…」


涼「夏樹お前、やっぱりチョロいな?」


夏樹「なんだよ、イイと思ったものを素直に評価して何が悪い?」


涼「ふふッ、そういうとこ知られたらカワイイ認定されんじゃないか?」


輝子「そ、それで…この工事は?」

夏樹「おおそうだ、こいつはな…っとその前に、幸子には秘密にしといてくれよ?」

輝子「お、おお?」

涼「まあなんだ、幸子にひとアワ食わす続きってことだよ。」



~2号部屋・金貸し~



輝子「ただいま…フヒ…」


乃々「おかえりなんですけど…」


輝子「ボノノさん、どう…だった?」

乃々「もりくぼは、なんとか…。ごはんまでいただいてきちゃいました…」


輝子「こ、こっちも…大丈夫」



里奈「あ!ショーコちゃん、はろはろ~☆」


輝子「り、里奈さん…はろー?どうしてこっちに…」


里奈「なんか~、幸子ちゃんがリナリナに相談だってー☆あたしってば頼られ系?まぢうれぽよー♪」




乃々「幸子さんは、今奥で美玲さんとお話してます…」

輝子「み、美玲ちゃんもいるのか…」






幸子「…と、いうことでお願いします、カワイイボクからのお願いですよ…!!」


美玲「おう!その話乗ったッ!!」

幸子「あ、里奈さんも一緒にお願いします!」

里奈「いぇーい☆なになに~?」



輝子「何が、始まるんだろうか…フフ」


乃々「でも、悪い予感はしないんですけど…」



…幾らか日を改めた、後日



~2号部屋・金貸し~



輝子「さ、幸子ちゃん…」

乃々「幸子さん…」



輝子「お、おとなりさんたちに、呼ばれてるぞ」

乃々「鳶組のほうにも、道場にも顔を出してほしいと言われてるんですけど…」


幸子「はい、では参りましょう!こちらも準備はできてます!」



~1号部屋・道場~


珠美「おや幸子殿!よくぞいらっしゃいました!」


幸子「フフーン、おじゃまします!この道場もボクのおかげでカワイイ空間に…あれ?中が少し変わったような…」


あやめ「ふふ、そうです!変わりましたよ!」


仁美「幸子ちゃんからもらったお金でね、鳶組の人たちが工事してくれたんだ!」

葵「お台所も広くなったけん、しっかり宴会できるっちゃ!」



珠美「して、幸子殿、この間は騙すような真似をして申し訳ありませんでした。」


幸子「い、いえ…始めにカワイくない事をしたのはボクのほうですし…」


珠美「お詫びというわけにもいきませぬが、いただいたお金の使い道には喜んでいただけるかと!」


幸子「はい…?」



あやめ「先日からも道場にて夜に稽古などをしておりましたが、お気づきですか?」


幸子「そういえば、声や物音がしなかったような…」


仁美「貰ったお金で、音が漏れないように改築してもらったんだ!」

乃々「静かな暮らしで、もりくぼも安心…」



幸子「えっ?」



珠美「珠美たちの道場からの騒音はなくなりましたよ!」


乃々「そ、そういうこと…静かな暮らしを買うことができたんです」


幸子「もしかして…鳶組さんのほうも?」

輝子「そ、それも確かめに行こう…な?」


幸子「ボクは、ただお金をむしられただけじゃなかったんですね…」

輝子「だ、だから言っただろ…おとなりさんたち、ワルい人じゃないって…」



幸子「そうですか…で、ではボクからも!」


仁美「おっ!なになに?」


幸子「道場の皆さんをカワイくします!!」


あやめ「…はい?」


幸子「まず葵さん!!」

葵「あたし!?」


幸子「葵さんは今でも十分にカワイイですが!お台所仕事が多いせいか手荒れが目立ちます!!」

葵「うっ…恥ずかしいっちゃ…」


幸子「と、いうことでカワイイ塗り薬と、カワイイ髪飾りを用意しました!」

葵「えっ、こんな高そうなお薬と、えらしい髪飾りも…もらってええの?」


幸子「ボクはカワイイの為にお金は惜しみません!ボクの為に貰ってください!」


葵「あ、ありがとう!お礼にいつか、しんけんおいしい料理をご馳走するっちゃ!」



幸子「あやめさん!」

あやめ「は、はい!ニンッ!」


幸子「あやめさんはくのいち、派手なお洒落はできず…カワイイを諦めてませんか?こんなにカワイイのに!」

あやめ「か、カワ…!?んん!確かに、忍びとしてなるべく目立たぬ地味なものを装いますが…」


幸子「カワイイを諦めてはなりません!それと、江戸っ子の粋なカワイイをご存じですか?と、いうことでこちらの足袋(たび)を用意しましたよ!」


あやめ「こ、これは…」


幸子「そう!裏地のカワイイ、コハゼもカワイイ足袋(たび)です!」


仁美「おぉ~!表に出きらない、隠れたお洒落!これは粋だね~!」


あやめ「こ、これなら忍びでも…」

幸子「どうです?カワイイでしょう?」


あやめ「はい!かたじけのうございます…!」


輝子「さ、幸子ちゃんすごいな…」

乃々「よく見てるんですけど…」



幸子「仁美さん!」


仁美「いよっ!待ってました!!」


幸子「こちらをお納めください」


仁美「こ、これは…あの、激レアものの慶次様の根付け!?」


幸子「フフーン、ボクのお客さんには、詳しい方もいらっしゃるんですよ?」

仁美「こ、これはスゴいよ…!ありがとう!」

幸子「仁美さんは十分、粋にオシャレでカワイイですからね。ボクから新たにカワイイ提案をする必要はありません!」


仁美「へっへっへ~♪ありがとね、今度慶次様講座をしてあげるよ!」


幸子「そ、それは…遠慮しときますね?」



幸子「では、珠美さん!」



珠美「はい…!」


幸子「この際ですからはっきり言いますが、珠美さんはカワイイです!」


珠美「はい…」


幸子「なので思いっきりカワイく装ってください!!カワイイお着物一式です!」


珠美「これは……思ったより子供っぽくない、しっかり…カワイイですね。」


幸子「あと、ボクの人脈も利用して、町中にチラシを配ってますよ!」

乃々「も、もりくぼが描いたチラシを、彫り師さんとかに頼んで沢山刷ってもらったんですけど…」


幸子「それがこのチラシです、どうぞご覧ください!」




あやめ『剣術・忍術・武将講座が学べる食堂道場!4人のカワイイ精鋭揃い…』


仁美「うっそ!!これで道場も大繁盛するんじゃない?」

葵「しょ…食堂!?」


乃々「えっ、ここ、食堂もやってるんじゃなかったんですか…?あんなにおいしいごはんをいただいたので、てっきり…」


葵「いやあたしはただの…」

珠美「台所も広くなりましたし!この際ですから食事処としても構えましょう!葵殿!」

葵「え、ええの…?ホントは夢だったけん…しんけん嬉しいっちゃ…」



幸子「皆さんのカワイさであれば、いらっしゃる方の心も鷲掴み間違いなしです!カワイイは武器ですよ!」


あやめ「カワイイは武器…!」

珠美「自分の容姿を、そのように捉えたことなどありませんでした…」



幸子「カワイイボクのお隣さんなんですから、しっかりカワイく繁盛していただかないといけませんからね!」


珠美「…不躾ながらこの珠美、幸子殿のことを侮っておりました。」


幸子「フフーン、ボクのカワイさ、わかりましたか?」


珠美「かたじけない…このご恩、必ずや報いましょうぞ!」

幸子「いえ…騒音問題も解決していただきましたし、お互い様ですよ。」



乃々「まんまる、おさまったんですけど…」

輝子「フフ…よ、よかった…」



~3号部屋・鳶組~



幸子「フフーン!カワイイボクがおじゃましま…」



恵磨「幸子来たァーーー!!!!!!!!!!」

ビリビリビリビリ…

幸子「ひええぇ……」

乃「きえくb…(シュワアァ

輝子「ま、待て…帰ってこいボノノさん…!」




幸子「さ、最近静かでしたが、この大音量を防いでいたとは…」


拓海「おう幸子!スゲェだろこれ?」

美世「高くかかっちゃったけど、そのぶん効果はバツグンでしょ?」

夏樹「やり方は少し乱暴になっちまったが、静かな生活が買えたみたいだな!」

亜季「私たちも工事の仕事をいただけました!ありがたいです!」


幸子「その…上手にお金を使っていただきありがとうございます…」


拓海「おう、アレに懲りたらもうカワイくないとか、変なイチャモンつけんじゃねえぞ!」


幸子「では、この工事はちゃんとボクが頼んだこととして、出納帳や領収書に一筆入れますね!」


涼「ああ、助かるよ。それと、あとでそっち行っていいか?効果を聞いてみたいんだけど …」

里奈「まぢヤバかったよ~!ほんっとにこっちの音防いでるかんねー」



恵磨「あれ?里奈、幸子んとこ行ってたの!?」


里奈「そーそー!なんかね~、幸子ちゃんがみんなをあげぽよにしちゃうって~♪」



幸子「そうです!!今の皆さんはカワイくありません!なので…」



拓海「あ゛ぁ゛!?テメー早速なに言ってやが…」


幸子「ヒッ!?」


里奈「はいはいたくみーん、噛みつかなーい」

夏樹「拓海お前カワイイ言われたかったのか…」


拓海「バッ…!お前ちげぇよ!!」

恵磨「じゃあカワイくなくていいじゃん!!!アハハ!!」


拓海「それもそうだけどよ…いつも貶されてるようでなんかムカつくんだよ!!」


幸子「いえあの、決してそういう貶すような意味では…それに里奈さんと美世さんはカワイイですよ!?」


美世「ありがとー♪」

里奈「ありがとちゃーん♪」



幸子「ほかの皆さんは、今は!カワイくないだけです!」


亜季「ん、今は…?」



幸子「なのでこれから皆さんをカワイく変えます!美玲さーん!」


乃々「それでお話をしてたんですね…」

輝子「や、やあ美玲ちゃん…」

美玲「おう!待たせたなッ!」



拓海「はあぁぁ!?わりいけど幸子のカワイイ趣味は合わねンだよ…」


涼「まあちょっと待てよ、助っ人がどうやらひと味違うみたいだぞ?」


幸子「皆様とボクの趣味が合わないのは承知してますからね、それでもカワイイは実現できるんですよ?」


美玲「ウチのカワイイは幸子のとは違うからな!」

里奈「あたしがー、美玲ちゃんと一緒にお着物頼んできたちょー☆」

美玲「さあ!みんなコレらに着替えろッ!」



夏樹「この服は…はは!思った以上にロックじゃないか!」


亜季「おお…!過度に煌びやかでもなく、かといって地味でもない!」


美世「しかも作業の邪魔にならないね!よくできてる…」


里奈「でしょでしょー?まぢキャワイイし~!」


幸子「だから里奈さんの協力が必要だったんです」

美玲「ウチらだけじゃ、動きやすさはわからないからなッ!」


涼「すげえな…どこで拵えたんだこんなもの?」

恵磨「これはアガるー!!出来合いじゃないよね!?」


美玲「ウチも世話になってる、砂糖問屋が趣味でやってる服飾工房『心-こころ-』の特注だぞッ!」



幸子「どうですか?拓海さん?」


拓海「お、おう…ちっとシャクだけどよ、これはちゃんとイカしてんな…ありがとよ。」


幸子「フフーン!しっかりカワイイでしょう?」

美玲「そうだろ?カワイイし、カッコイイぞッ!」


夏樹「ホラ!着てみたけど、どうだ?ロックか?」

幸子「お見事ですねぇ~、ばっちりカワイイですよ!」


涼「うん、いいなコレ!」


輝子「フヒ…み、みんな…カッコイイ…」

乃々「鳶のお仕事が、絵になりそうなんですけど…」


里奈「みんなさ~、今度からこの服でお仕事しよ?」

恵磨「いいじゃんいいじゃん!!見物人もアガってくれそー!!」

美世「お仕事がそのまま見せ物になるね!」

亜季「ますます地域の人気者ですな!」

涼「歌いながら仕事してたら、また祭りの主役に抜擢されそうだな。」


拓海「そうか…そうだな、このカワイイも、悪くねえな…」




幸子「フフーン、どうでしょう!カワイイは、正義ですから!」




美玲「さ、ウチらの新しい服もあるぞッ!」


乃々「えっ…?」

輝子「ほ、ほんとか…?」


幸子「もちろんですよ!ボクを助けてくれましたし…」


輝子「そ、そんな…いや、あ、ありがとう、フヒ…」

乃々「あ、あの、もりくぼはそんな…でも、ありがとう…」



珠美「みなさま!お邪魔しますぞ!」

あやめ「この長屋の工事完成祝いに、宴を催しましょう!」

仁美「そうそう!粋なかぶきもんに、宴会は欠かせないよ~!」

葵「お食事の準備もバッチリっちゃ!」


亜季「おお!今夜は長屋総出で宴会作戦ですな!」

涼「さっそく歌の出番ときたか、まかせな!」

恵磨「防音になったから本気出せるぞー!!!!」

里奈「いぇーい!あげぽよ~♪」

夏樹「そうだよな、今やらなきゃロックじゃねえや!」

美世「道場のみんなもカワイくなってるね!」

拓海「いいぜ、アツい会にしてやろうじゃねえか!」


輝子「よ、よかったな…幸子ちゃん」

乃々「静かで…賑やかな暮らしが、やってきたんですけど…」

美玲「ウチも参加していいんだよな?あ、ありがと!」


幸子「フフーン!これからも長屋一丸で、カワイイを続けましょう!」





\ガララ/



冴島清美「こんにちは!番屋の冴島ですが…不法な工事をしたという長屋はここですか?」


http://imgur.com/jcMzAww.jpg




幸子「…えっ?」




清美「この内装は…中の空間を保持したまま外壁の補強をしてると見受けます。すると…この通り、やはり許可外の土地を浸食してますね、御法度です!」


涼「あっ、」

夏樹「やべ…」

珠美「な、なんですと…?」

美世「う、バレないように頑張ったんだけどな~」


清美「それでは、代表の方をお白州まで引っ張りますが…改築の首謀者はどなたでしょうか?」


恵磨「幸子…かな!?」

拓海「そりゃ…この工事を買ったのは幸子だよな…?」

亜季「先ほど一筆もいただきましたし…」


幸子「ヒエッ!?そ、そんな違います!?ボクは確かに望んでいましたが!頼んでは…」



清美「こちらにあるのは領収書…依頼書でしょうか?工事の依頼人とおぼしき箇所に、カワイイボクとありますが…どなたかわかりませんね。」


美玲「なんちゅう書き方してんだ…」

葵「見上げた根性っちゃ…」

仁美「あたしもたまに慶次様の側女とか書いちゃうけど…」

あやめ「いや、この状況では隠れ身の術なのでしょうか…」

里奈「たしかに~!頭いい子ちゃん?」



清美「こちらに、カワイイボクさんはいらっしゃいますか?」


幸子「ハイ!一番カワイイのはボクです!フフーン!」


輝子「あ…」

乃々「あっ…」



幸子「しまったつい条件反射で…」


清美「あなたですね?では、ご一緒ください。」


幸子「い、いや本当はボクが頼んだんじゃ…いやでもボクがカワイイのは事実だから否定もできませんし…!」



清美「言い分があるならお白州にてお願いします、さあ行きましょう!」




幸子「フギャー!?あっ、あの!皆さん!!カワイイボクを助けてくださいぃ~!!」










一同「…」




拓海「…おいマジで引っ張られちまったぞ!?助けに行くぞお前ら!!」
















キャシー「イイ話で終わると思ったかな~?」

キャシー「まあ、オチがあるから落語、でしてね。」


キャシー「ちなみにこのあと、ちゃんと釈放されたんだ~」

キャシー「鳶組のひとたちは消防団でもあったからね、つまり自治体のリーダー級ってこと。地域のヒーローなんだ。」

キャシー「それでもって、彼女らの口利きでお奉行さんも大目に見てくれました…とさ!」



キャシー「さて、今回の演目はそれぞれ

『時そば』
『愛宕山』
『まんじゅう怖い』
『三軒長屋』

だったよ!落語家さんによって中身がちょいとずつ違うからね、
あたしの話はだ~いぶアレンジが利いてるから
是非ほかの人の話も聞いてみてね!」




キャシー「いや~!長々とお話聞いてくださってありがとね!」


キャシー「あたしも、この畳の上に長~いこと座ってるからさ、おざぶをどければ…もうそれはそれは、畳の色がホラ!ここだけ青いまんまだね~」

キャシー「あたしは家具かい!って、もちろんこれは仕込みなんだけど…」



キャシー「じゃあ最後に、謎かけをひとつ。」



キャシー「このタタミと、かけまして…
『キャシー・グラハム』と、解きます!はいー?」


\そのこころはー!?/


キャシー「どちらも、目が青いでしょう~!」



キャシー「おあとが、よろしいようで…またね!」



○キャシー・グラハムのシンデレ落語、閉幕



・へびのあし

鳶組、だなんて呼び名たぶんありません。造語。
フィジカル系の器用めな現場活躍者だっていう
認識があればそれでOKです。
あと長屋の中も広めに書きましたが
普通もっと狭いです、三軒長屋もとは
うるさいと言われてたのは
『木遣り』っていう作業歌の練習だとか
個人稽古の面!籠手!などの掛け声ぐらいだった
ような気がします。道場や作業場みたいに
広いスペースのある長屋だとか
パラレルにもほどがあるのでご容赦ください。

・へびのあし2本目


涼「夏樹、お前…落語の再現VTRの撮影だってのに
『ロックなパフォーマンス』って何だよ…」

夏樹「仕方ないだろー?小粋な役を頼まれてるんだ、アタシのロックがどうしても顔を出しちまうんだよ」

拓海「アハハ!不器用なだけじゃねぇか!!」

仁美「粋だな!ってほめる台詞も、『ロックだな!』だもんねー!むしろバッチリ傾いてていいじゃない?」

夏樹「そうなんだよ、ロックロックと連呼しちまったな…アイツじゃねえんだから…」

恵磨「でもさー?時代劇じゃないんだし!あえてロックって言い続けるのが…ロックなんじゃないかな!!」

夏樹「……!!」

仁美「おおっ!いいねいいね!それ傾いてるよ!」


夏樹「へへ…そうだな、何もヘタに変えなくっていいか!このままロックを貫いてやるぜ!」

涼「潔くて笑えるな…」

拓海「不器用で面白ぇなー」

夏樹「はぁー?不器用は拓海もだろ?」

拓海「うるっせ!ハハハ!」



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