サシャ「スマフォイッジッテンジャネェエェ!!」(105)

・アルサシャ

・現パロ

・2人とも既に付き合ってる

アルミン「エレンごめん!」バッ

エレン「? どうしたよアルミン」

アルミン「今日の午後、3人で遊びに行く約束してたろ?」

エレン「そうだな。俺とお前とミカサとで、な」

ミカサ「……」コクコク

アルミン「そうなんだけどさ、実は急用があって行けなくなったんだ」

ミカサ「急用?」

アルミン「ミカサは僕と一緒にいたから知ってると思う。だからエレンに説明するよ」

エレン「お、おう」

アルミン「実は……」

――――

――




アルミン「えっ?サシャ、アルバイト始めたの?」

サシャ『はい!そうなんですよ~。私んちの近くにラーメン横丁があるじゃないですか?』

アルミン「あぁ、2人でよく食べに行ったよね。最近行ってないけど今でも覚えてるよ」

サシャ『覚えててくれましたか』

アルミン「忘れるわけないじゃないか。なんせ君が僕に告白してくれた大切な場所なんだから」

サシャ『ア、アルミン……///』

アルミン「あはは」クスッ

サシャ『そ、それは置いといてですね!!私達が最初のデートで食べに行ったラーメン屋さんあるでしょう?』

アルミン「あぁ……確か『巨人軒』だっけ?味は良いんだけど店員さんの活気が良すぎて……」

サシャ「何というか個性的な店でしたよね」

アルミン「うん……って、まさかサシャ。そこでアルバイト始めた訳じゃないよね?」ガタッ

サシャ『え?そこが私の勤め先ですが?』キョトン

アルミン「えええええぇえ!?」

サシャ『ちなみに、コニーも一緒です』

アルミン「ちょちょちょ!ちょっと待って!!何で数ある店の中であそこなの!?」

サシャ『何で、って……単純に味が美味しかったからですが……何か問題が?』

アルミン「問題も何も……あんな店に彼女が勤めてるなんて心配だよ!サシャがあそこの店員みたいになってたら、やだよ僕!」

サシャ『あはは、心配しないで下さいよアルミン!』

サシャ『いくら私でも、あのおかしいテンションには着いていけませんよ』

アルミン「ほ、本当?」

サシャ『本当ですって!それにアルバイトにあんな接客を求めるとは思えませんし……』

アルミン「本当の本当に大丈夫?変なテンションでお客さん困らせたりしてない?」

サシャ『そんな事言われても、まだ面接終わっただけで店には行ってませんよ』

アルミン「そ、そっか……まだ始まってないんだね……」

サシャ『……そんなに心配だったらラーメン食べに来ます?様子見も兼ねて』

アルミン「え?」

サシャ『大学で別々になって、最近ろくに会ってないじゃないですか……私、寂しいです。だから、こういう形でもアルミンに会いたいです』シュン

アルミン「サシャ……」

サシャ『今週の日曜日が私の初出勤なんです。来てくれますか?』

アルミン「……うん、分かった。じゃあ今度の日曜日、ね。一緒に会おう」

サシャ『はい!』ウフフ

サシャ『あ!それと、もし良かったらミカサ誘ってみたらどうですか?』

アルミン「ミカサを?」

サシャ『えぇ!ミカサって確か、かなりのラーメン好きじゃないですか?』

アルミン「う、うん。それはそうなんだけどさ、サシャは良いの?」

サシャ『?』

アルミン「それって僕とミカサが2人で行くって事でしょ?まるでデートみたいじゃないか……だから君は気にしないのかなー、って……」

サシャ『あはは、アルミンったら!気にするわけないじゃないですか!』

アルミン「えぇ!?」

サシャ『第一、アルミンに二股をかける度胸なんてありませんよ』

アルミン「うぅっ……それはそうだけど……!」

アルミン(舐められてるんだか誉められてるんだか……)ズーン

サシャ『それ抜きにしてもアルミンがそんな酷いことするなんて考えられませんし』

アルミン「サシャ……」

サシャ『今のだって私の気持ち考えてくれたんでしょう?私は、そういうアルミンの優しいところ大好きですよ?』ニコッ

アルミン「か、彼氏だったらこれくらい当たり前だよ……///」

アルミン(うぅ……電話越しとは言え何でこんな恥ずかしいことを平気で言えるのだろうか……告白もサシャからだったし)

サシャ『そういう訳ですから日曜日覚えておいて下さいね?』

アルミン「うん。もちろんだよ」

サシャ『それじゃあ今日も遅い事ですし切りますね?』

アルミン「うん、そうだね。おやすみ」

サシャ『えぇ、おやすみなさい!』

アルミン「……」

サシャ『……』

アルミン「……」

サシャ『……』

アルミン「……」

サシャ『……』

アルミン「……サシャ?早く通話切りなよ?」

サシャ『ア、アルミンこそ早く……』

アルミン「……」

サシャ『……』

アルミン「電話切るタイミングがお互いに見つからない事って」

サシャ『よくありますよね』


クスッ

アルサシャ「あはははは!」

サシャ『もー!アルミン!早く切って下さいよ!キリがないですよ!』クスクス

アルミン「そういうサシャこそ!僕の方からは、もう意地でも切らないよ!」

サシャ『もー……しかたありませんね!それじゃあ私が切りますね?』

アルミン「うん」クスクス


サシャ『……アルミン』

アルミン「?」

サシャ『大好きですよ!』

アルミン「///!?」

サシャ『それじゃ!』

アルミン「え?あ!ちょっと!サシャ!」


ツー…ツー…

アルミン「……!」

アルミン「もう……!何であんなに恥ずかし気もなく……これじゃあ僕がヘタレみたいじゃないか……いや、そうだけどさ。実際ヘタレだけどさ」

ツー…ツー…

サシャ「……」ドキドキ

サシャ(うぅ……!電話越しでもやっぱり緊張しちゃうもんですね///)

サシャ(……アルミンが悪いんですよ!アルミンが積極的じゃないから私がこうやって……!)

ボスッ

サシャ「……」


サシャ「『大好きだよ、サシャ』……なーんて」ボソッ


サシャ「……!」カァッ

サシャ「――アルミンのばかぁあぁああ!!!///」バタバタ


\サシャア!さっきからうるさい!/

         \何ジタバタしとるん!?/

サシャ「!? 父さんに母さん!放っといてくれんね///」



――

――――


アルミン「――というわけで、僕はミカサを誘って一緒に『巨人軒』に食べに行く事になったんだ」

エレン「おう。それは分かった」

エレン「――けどよ、俺は何でお前らカップルのノロケまで聞かされてるんだ!?」

アルミン「え?話の流れ的に話さざる得ないでしょ?」

エレン「いや、それはそうだけどよ!そんな互いの会話の一字一句を細かく説明する必要は無いだろ!よく覚えてたな!」

アルミン「サシャと話した事を、この僕が忘れる訳ないだろ!?そりゃ勿論、一字一句聞き逃さないさ!」クワッ

エレン「……まさかお前とサシャが、こんなバカップルになるとはな。当時は考えてなかったぜ……」ハァ…

アルミン「バカップルって酷いなぁ。そんなのはフランツとハンナで十分だよ」ム

ミカサ「エレン、羨ましいのなら私があなたの恋人になろう」クイクイ

エレン「は?お前は、そんなんじゃねぇだろ?ただ一緒に住んでる家族だし」

ミカサ「そんな……!昨日は家で私にあんな事しておいて!!」スンスン

エレン「何だよそれ!?///」カァッ!!

アルミン(うん。僕から見りゃ君達も十分バカップルだよ)

アルミン「はいはい、ミカサとエレンがラブラブなのは置いといて」クスクス

ミカサ「そう、アルミン!私達はラブラブ!すごく!ラブラブ!」コクコク!!

エレン「ラブラブじゃねぇし!!」

アルミン「僕は日曜日、ミカサと一緒に『巨人軒』へと向かった」

――――

――

―日曜日

ガヤガヤ…!!

アルミン「ここだね」

ミカサ「おぉ……ラーメン横丁……!こんな素敵な場所の近くに家があるなんて、サシャが羨ましい……」ソワソワ

アルミン「あはは、いっそ引っ越したらどう?」

ミカサ「それはだめ。エレンと離れてしまう」

アルミン「本当にミカサはエレン大好きだね」

ミカサ「当然。今回だって本当はエレンとも一緒に行きたかった」

アルミン「サッカーサークル(男子限定)の新人歓迎会だっけ?」

ミカサ「男子限定のサークルでなきゃ私もエレンと同じのに入ってたのに……」

アルミン「別に家に行けば会えるんだから良いじゃない。さっ、早く店入るよ」

ミカサ「かーのじょっ」フー

アルミン「ミカサ、真顔で冷やかさないで」

ガラッ


扉を開けた瞬間漂うトンコツのかおり


油でテカテカと光る床


時間が経って黄ばんだメニューの張り紙


うん。見慣れたラーメン屋の風景だ


ただ1つ。見慣れないものと言えば


サシャ「ラッシャセェエエ!!」

コニー「シャッセェェェン!!」

アルミン「」

ミカサ「ア、アルミン……!」


――この店の雰囲気に毒され、荒ぶる僕の彼女(とコニー)の姿だった

サシャ「ニメエィサマァ!!ゴアンナァアイ!!」

コニー「ニメエィサマァ!!」

アルミン「……サシャ、どうして……?あんな変なテンションには飲まれない、って言ってたじゃないか……!」

ミカサ「何かもう……目がイってるもの……!」

アルミン「それにコニーの湯切りなんて見てよ!?ほぼ『そんなの関係ネェ!!』をやってるコジマ ヨ○オ状態だよ!!」

コニー「シャアッ!シャアッ!シャアッ!」ブンッ ブンッ!!

ミカサ「で、でも落ち着いてアルミン!この程度の気合いの入り方なんてラーメン激戦区では、よくあること」

ミカサ「サシャも見てみると普通に元気なラーメン屋の姉ちゃん」

アルミン「で、でも……僕見てもまるで僕が誰なのか分かってないみたいだし……本当に大丈夫かな?」

ミカサ「うっ……!」

ミカサ(確かに……今のサシャはまるでアルミンをアルミンだと認識してない。彼氏が来たなら少なからずとも一言かけるはずだもの……)

ミカサ「と、ともかく座ろう」ストッ

アルミン「う、うん」ストッ

サシャ「ヘェイ!ゴチュウモンハァア!?」ズイッ!!

アルミン(ヘェイ!?)

コニー「ゴチュウモォォン!!」

アルミン「え、えーと……!味噌ラーメン、トッピングはコーンを『増し』で!」

サシャ「ミソォオォオ!!ヒトォツ!!」

コニー「コォン!!マシマシデェ?ヨロシイッスカァアァア!?」

アルミン「違います!『増し』です!」ガタッ

ミカサ「ニンニクラーメン、チャーシュー抜きで」

サシャ「ニンニクラァメン!!チャシュヌキィヒトッ!!」

コニー「チャアシュヌキィヒトッ!!」

アルミン「こ、怖いよミカサ……!これじゃ注文とってるっていうより脅迫されてるみたいだよ……!」ガクガク…

ミカサ「何が2人をここまで変えたのだろうか……?」

ミカサ(ていうか人格ごと変わってる気さえも……!)

――


サシャ「オマタセェ!!イタシマシタァ!!」

コニー「イタシヤシタアァァンン!!」

サシャ「コチラミソラァメン、コォンマシマシニィ!!」

アルミン「結局『増し増し』にされたぁ!?」ガーン

コニー「ニンニクラァメンデェェスッ!!」

ミカサ「チャーシュー入ってる!?抜き、って言ったのに!?」ガーン

サシャ「タラタラヌカシテンジャネェエェ!!」

コニー「ヌカシテンジャメェエェン!!」

アルミン「あれ?そういえばミカサ、チャーシュー食べなかったっけ?」

ミカサ「肉は普段からあまり食べない」

アルミン「どうして?」

アルミン(もしかしたらダイエット中とか……?)


ミカサ「肉、嫌いだもの」

アルミン「君はどこぞのファーストチルドレンか。ていうか言いたかっただけでしょ?」

ミカサ「バレたか……!」チッ

アルミン「まぁ確かにミカサは雰囲気は似てるよ、うん」

ズズズッ…

アルミン「うん……美味しい」

ミカサ「……」ハグハグ

アルミン「あれ?結局チャーシュー食べてるね」

ミカサ「肉……好きだもの……美味しい」

アルミン「……」ズズッ

アルミン(そうだよ、ここはラーメン屋なんだ。どんなに店員の態度がおかしくても、どんなにオーダーミスが酷かったとしても、満足出来たならそれで良いじゃないか……多分)


サシャ「メンアガリャシッタアァア!!」

コニー「アガリャッッッアァアァ!!」

アルミン「……そうだ」ゴソゴソ

ミカサ「? どうしたの?」

アルミン「食べ○グでレビューしようと思って。その写真撮るの」タッ タッ

カシャッ

アルミン「よし、良く撮れた」

ミカサ「アルミン、レビュアーなんてやってたのね。知らなかった」

アルミン「と言っても最近始めたばっかだけどね。押しつけがましくない程度の感想だよ」アハハ

アルミン(うーん……良く見ると角度がイマイチだな。よし、今度はもう少し後ろに椅子ひいて……)ガタッ…


ガシッ!


サシャ「……」ゴゴゴゴ

アルミン「え!?サ、サシャ!?」

アルミン(え……何で?スマホ取られた!?)アタフタ

ミカサ「サ、サシャ……?どうしたの?」


サシャ「スマフォイジッテンェジャネエェェ!!」クワッ


ポチョム


アルミン「!? あぁあ゛!?僕の携帯がぁあ!?」


コニー「イッジッテェンジャメェェェェェン!!」

ミカサ「サ、サシャ……?」オロオロ

サシャ「……」ギロ

ミカサ「え?」チュルル

ガシッ!


サシャ「チィンタラクッテンジャアネェエェエ!!」

ミカサ「!?」

コニー「クッテンジャメェェェェン!!」

ミカサ「え……えと……あの……」オドオド

アルミン(あぁあぁあ!!!やっぱりおかしいよ、このサシャ!いきなり僕のラーメンにスマホトッピングしてきたりミカサの髪の毛ワッサリ掴んだり!!こんなんだったらやっぱり、ここでのバイト止めとくんだった!)

――サシャ、休憩時間中 店裏


サシャ「はわわわ……!アルミン!本当にすみませんでしたー!!!」ドゲザー!!

アルミン「ちょ!ちょっと!やめてよサシャ!お店の制服汚れちゃうよ!」

サシャ「いえ、そんな!土下座程度じゃ許されませんよ!!だってアルミンの携帯電話、水没させて壊しちゃったんですから!!」

アルミン「い、いや。それはもう良いんだよ!食事中に携帯いじるの行儀悪いし!今思うとサシャの言う通りだったよ!」アセアセ

アルミン(うん、これはマナーを破った僕が悪いよ……まぁ、多少理不尽な気もするけど……いや、ぶっちゃけかなり理不尽……)

サシャ「違うんです!本当は、こんな事やるつもりじゃなかったんですよぉ!」

アルミン「え?じゃあやっぱりさっきのは正気じゃなかった、って事?」キョトン

サシャ「当たり前じゃないですかぁ!」ウワーン!!

アルミン「サ、サシャ!こんな所で泣かないでよ……!ほら、これハンカチ」スッ

サシャ「あっ……!すみません……ありがとうございます」スンスン

サシャ「ごめんなさい、アルミン。私……始めてのバイト先がここで嬉しくて……」

サシャ「何というかその……ハイになっちゃって……自分でも気付かない内に雰囲気に飲まれてしまったんです……」ショボーン

アルミン「あ、あぁ……そうだったんだ」

アルミン(良かった。それだけなら安心したよ)ホッ

サシャ「でもアルミンの携帯壊しちゃったのは事実です。お願いします!弁償させてください!」

アルミン「えぇ!?い、いや!良いよそんな!さっきも言った通り僕も悪い所あったし!」アセアセ

アルミン「それに、この携帯3年間ずっと替えてなかったし逆に良い機会さ」

サシャ「ほ、本当ですか?」

アルミン「本当、本当」

サシャ「そ、そうでしたか……言える立ち場じゃないですけど正直、少しホッとしてしまいました」

アルミン(まぁ……そろそろ買い替えようと思ってたし。それに水没したからって売れない訳じゃないしね)

アルミン「そういう訳だからサシャは、もう気にしなくて良いよ」

サシャ「いやいや!『そういう訳だから』じゃ済ませられませんよ!アルミンが気にしなくても私がモヤモヤするんです!」

アルミン「そ、そう?」

サシャ「はい!何でも良いので何か御詫びを!」

アルミン「うーん、参ったな……そういう風に言われたら逆に思い付かないなぁ……」

サシャ「そんな事言わないで!私、アルミンのためだったら何でもしてあげますよ?」

アルミン「!?」

アルミン「な、何でも……してあげる、って……サシャ……///」カァッ

アルミン(僕ならまだしも、盛りのついた男には誘ってるようにしか聞こえないよ!)

サシャ「? どうしましたか?本当に何でも良いんですよ?私が悪いんですから」キョトン

サシャ(急に赤くなってどうしたんでしょう?)

アルミン「……良いかい、サシャ?君ももう子供じゃないんだから大体は察してよ」

サシャ「?」

アルミン(あぁ、駄目だ……全然理解してない顔だ。これじゃ、こっちが無駄に意識してるみたいでバカみたいじゃないか///)

アルミン「はぁ……とにかく僕以外にそういう事言っちゃ駄目だからね?」

サシャ「? 分かりました」

アルミン(もう……1人でいるときのサシャが心配だなぁ……こういう事意識せずに言っちゃうんだもん)

サシャ「それはともかく、私がアルミンに何をすればいいか教えてください!」

サシャ「教えてくれるまで帰しませんよ?」

アルミン「ふ、普通立場が逆じゃない?」アセ

サシャ「こうでもしなきゃアルミン、何も頼んでくれなさそうですから」

アルミン「うーん……やって欲しい事か……」

アルミン「……」

アルミン「あっ、そうだ」


アルミン「明日の午後さ、新しく買う携帯見に行こうと思ってたんだけど、サシャ付き合ってよ」

サシャ「え?」キョトン

アルミン「あ……駄目かな?都合悪い?」

サシャ「い、いえ!そんな事ありません!むしろ空いてますけど……本当に良いんですか?」

アルミン「え?何が?」

サシャ「だって、これって実質デートでしょう?それじゃ何だか私何も損してませんし……」

サシャ「私は、てっきり『次のデートの食事は全部奢れ』とか言われのるかと思いましたよ……」

アルミン「そんなまさか!サシャじゃないんだから、そんな事頼まないよ」

サシャ「えっ!?それ、ちょっと酷くないですか!?」ガーン

アルミン「あぁ、ごめんごめん!」アハハ

サシャ「もう……!」プスー

アルミン「それにさ」

アルミン「君は、さっき『僕がサシャにして欲しい事』って言ったろ?」

サシャ「え?……あ、はい。そうですね?」

アルミン「そんな事聞かれたら君が損するような事言うわけないだろ?恋人同士だったら普通、一緒にいたいのが普通さ」

サシャ「! あっ……言われてみれば、そりゃそうですよね……私もそう答えます……///」

アルミン「だからさ、明日は僕への御詫びとか考えないで黙って付き合ってよ。それが僕のお願い」ニコッ

サシャ「うぅっ……!アルミンは何でそんなに優しいんですか……私いつも甘やかされてばかりで……///」

アルミン「僕が、そうしたいから」

サシャ「……あはは!なら仕方ありませんね。デート付き合ってあげますよ」クスッ



――

――――


アルミン「この時正直、3人で遊ぶ約束があるのをすっかり忘れてて……今日のサシャとのデート、約束しちゃったんだ……」

アルミン「本当に2人ともごめん!!」ペコリ

エレン「うーん……普通忘れるか?とツッコミたい所ではあるが……」

ミカサ「アルミンも色々あった、のでしょうがない。今日はデートを楽しんできて」ニコ

アルミン「2人とも……」

エレン「ちなみにアルミンとサシャが話してた時、お前はどこ行ってたんだ?」

ミカサ「先に帰ってた。恋人同士水入らずで話して欲しかったから」

アルミン(水入らずも何も、サシャと話すまでは、どんな顔して良いか分からないでドキドキしてたんだからね!?まぁ、会ったらいつも通りのサシャだったから良かったけど……)

エレン「ちなみに、携帯見た後は何処行く予定なんだ?」

アルミン「うーん……まぁ、言わずもがな、って感じかな?」アハハ…

ミカサ「――と、言うと……食べ歩きデートね」

アルミン「その通りです……」コク

エレン「毎回サシャのペースに付き合わされてお前も大変だなぁ」

アルミン「デート自体は嬉しいんだけどね……食に関する出費が多すぎて……」

アルミン「それこそ僕もバイト始めようか、なんて思ってるよ……」

エレン「そこまで追い込まれてたのかよ……財布が」

ミカサ「まぁ……色々と頑張って」

アルミン「うん……応援ありがとう。今日もなんとか財布をもたせてみせるよ」

ミカサ「アルミン……」ホロリ

エレン「さて、じゃあアルミンが来れなくなっちまった事だし今日はパッパと家帰る事にするか」

ミカサ「……え!?」ガーン

エレン「何だよ、ミカサ?」

ミカサ「アルミンがいなくても私がいる」

エレン「? おう、そうだな」

ミカサ「ので!予定通りどこかで遊んでから帰ろう」グイグイ

エレン「えー……お前と2人でかよ。アルミンがいるなら話は別だけどよー」

アルミン「!? エ、エレン!ちょっとはミカサの気持ちも汲んでやりなよ!」ヒソヒソ…

アルミン(本当にミカサが不敏でならない!)

エレン「何だよ、アルミンまで……」

ミカサ「……」

ミカサ(! そうだ……)

ミカサ「エレン。昨日実はサシャに掴みかけられた反動でお気に入りのTシャツに染みをつけてしまった。良ければ、新しい服を買うのを手伝って欲しい」ズイッ

アルミン(ミカサ!ナイス口実!)

エレン「はぁ?そんぐらい自分だけで見てこいよ。俺を巻き込むなよなー」

ミカサ「え?……でも、エレンにも見てほしくて……」タジタジ

エレン「面倒くせぇな……って、はっ!?」ビクッ


アルミン(エレン……!!ちゃんと空気よんで……!!!)ゴゴゴゴ

エレン(ア、アルミンの奴、凄い顔で睨んで来やがる……!!)

アルミン「……!!」

エレン(あー……もう、分かったよ……)


エレン「仕方ねぇな……面倒だが付き合ってやるよ」

ミカサ「エレン……!!ありがとう」パァッ

エレン「礼だったら、お前の後ろにいるアルミンにでも言ってくれ」ハァ…

ミカサ「アルミン?何故?」キョトン

エレン「さて、何故だろうな?」チラッ

アルミン「あはは……」ソッポムキ

――午後3時半 アルミンとサシャの待ち合わせ場所


サシャ「アルミーン!」タッタッ

アルミン「あ……サシャ!」フリフリ

トテトテ

サシャ「時間より遅れてすみませんでした!」

アルミン「仕方ないよ。用事があったんだろ?それに、まだまだ日は長いんだしさ。そんなに焦って走って来なくてもよかったのに」

サシャ「アルミンに早く会いたいって思えば焦りもしますよ」

アルミン「そ、そんなに?」

サシャ「そうですよ、早く会いたいです!それともアルミンはあれですか?私にそこまで会いたくなくて、焦らなくてもいい、と?」

アルミン「そんな訳ないでしょ。第一、会いたくもない人をデートに誘わないよ」

サシャ「あはは、そうですよね。変な事言ってすみませんでした」

アルミン「ていうか、走って疲れてない?少し休んでから出発しようか?」

サシャ「いえ、大丈夫ですよ!体力はあるので!歩いてるうちに息も整います」スクッ

アルミン「そっか」スクッ

サシャ「はい!」

テクテク…

サシャ「まず最初に携帯ショップ寄るのでいいんでしたよね?」

アルミン「うん。そしたらいつも通り歩いて、夜になったら解散しよう」

サシャ「夕食は、どこでとります?」

アルミン「それも、歩きながら適当に決めよう」

サシャ「そうですねー、流されるがままに」

アルミン「うん」

サシャ「よし!それじゃあ今日も美味しいもの一緒に食べましょうね!」

アルミン「財布が潰されない程度にね」

サシャ「勿論です!」

――携帯ショップ前


アルミン「ふう、デザインも選び終わった事だし。これでデート出かけられるね」

サシャ「えー!もっと悩んだらどうなんですか?」

アルミン「いや……僕はあれで良いかな、って。サシャも早く食べ歩きしたいでしょ?」

サシャ「そ、それはそうですが……」

サシャ「もっと明るいの選んだって良かったじゃないですか!あれじゃ渋すぎます」

アルミン「渋い、か。良いね。誉め言葉だよ」アハハ

サシャ「そうじゃなくて、アルミンにはもっと可愛いの選んで欲しかったです。似合うのに……」

アルミン「僕は『可愛い』って言われるより格好いい方が良いの!男なんだから……」

サシャ「そんな事言ったらアルミンのアイデンティティが半分崩壊しますよ」

アルミン「ちょっと酷いよ、サシャ!?」ガーン

サシャ「そうですかね?アルミンがどう思ってても、可愛いのも魅力ですよ?」

アルミン「そ、そうかな……?」

サシャ「アルミンの良いところ知ってる私に言わせればそうですよ!」

アルミン「そっか……じゃあ、ありがとね?」

サシャ「どういたしまして!」

サシャ「さぁ、という事でもっかい見に行きましょう!」ビシッ

アルミン「え……い、いや、もう良いよ。実は、あのデザインで契約しちゃってたし」

サシャ「えー!」

アルミン「そ、そんな事より向かいの公園にクレープの屋台止まってるよ?寄ってかない?」チラッ…

サシャ「行きましょう!」キラキラ

アルミン(話題反らしたのが僕とは言え、こんなに急に切り替わられると複雑だな……)

スタスタ 


サシャ「おぉー!結構種類ありますねー!」キラキラ

アルミン「サラダ挟むクレープもあるね。ヘルシーだ」

サシャ「本当ですね」

「いらっしゃいませー、ご注文は?」

アルミン「今日も結構、歩くんだからさ、軽めのやつにしといた方がお腹楽かもよ?」

サシャ「ふむ……それもそうですね。いっぱい食べたいですし」

アルミン「夕食まで余裕持たせた方が良いよ」

サシャ「分かりました!じゃあ……」


サシャ「この、フルーツチョコミックスで!」ビシッ

アルミン「え」

「かしこまりましたー」ピッピッ

サシャ「うふふ、美味しそうですー」ジュルリ

アルミン「ねぇ、ちょっと。話聞いてた?」

サシャ「え?」

アルミン「え?じゃなくて。今さっき軽めのやつにしよう、って言ったばかりだよ」

サシャ「だから、あまり重くないの選んだでしょう!」

アルミン「そ、そうなの?」

サシャ「そうですよ!本当は一番人気のアーモンドチョコクリームを2つ食べたいくらいですし!」

アルミン「ふ、2つ……」

サシャ「別に2つどころか10個でもいいですけどね」

サシャ「そんな私から言わせてみればアルミンは、いつも少食過ぎです!ちなみに何頼むつもりですか?」

アルミン「え?僕はツナコーンを頼もうと思ってて……あ、お願いします」

「かしこまりましたー」ピッ ピッ

サシャ「やっぱり何だか物足りなくないですかー?」

アルミン「僕は、これで良いの!少しお腹空かしとく位が夕食美味しくなるんだよ?」

サシャ「んー……まぁ、その通りかもしれませんが、やっぱり私は今美味しい思いをしたいんですよー」

アルミン「お腹壊しても知らないからね!」

サシャ「大げさですねー。それに、私がそうなってもアルミンは、きっと気にかけてくれる、って信じてますから」ニコッ

アルミン「……か、買いかぶり過ぎだよ///僕は、そこまで優しくないし……!」プイッ

サシャ「まったまたー」

アルミン「もう……本当だってば!」

サシャ「あはは!」

サシャ(可愛い、って言うのは、こういう事を言ってるんですが……本人は自覚ないみたいですね)

サシャ(まぁ、そこもまた可愛いんですが……)ニヤニヤ

「お待たせしましたー フルーツチョコミックスにツナコーンでーす」

アルミン「ほら、サシャ。もう来たよ」

サシャ「わー……!美味しそうですー……!」ウットリ

「サラダの方が彼氏さんのですよね?」

アルミン「は、はい!」

「どうぞ」スッ

アルミン(改めて人から彼氏って言われると、今更ながらムズ痒いな……)

「それでは、こっちのが彼女さんのですね?」スッ

サシャ「はーい!」シュビッ!!

アルミン「えーと、フルーツチョコミックスが380円で……」

サシャ「アルミンのが320円、合計700円ですね!」

アルミン「じゃ、割り勘で350円ずつで良いかな?」

サシャ「良いですよ!どうぞ」チャリン

アルミン「ん、ありがと。じゃあ僕も半分出して、と」チャリン

「700円、お預かりします」ピッ ピッ…

ガチャガチャ…

「ありがとうございましたー」

アルミン「じゃあ丁度ここ公園だし、ベンチにでも座って食べようか」

サシャ「了解です!」


スタスタ

ストッ

サシャ「このベンチ、丁度木漏れ日が落ちてきて程よい暖かさですねー」

アルミン「正に春って感じ」

サシャ「クレープもより美味しく感じられる、ってモンです!」モグモグ

アルミン「はやっ!!もう食べてたんだ」

サシャ「アルミンのツナコーンも美味しそうですね。お互い半分こしましょう!」

アルミン「良いね、実は僕もちょっとサシャの食べたいと思ってたんだ」

サシャ「やっぱり!」

アルミン「あはは……」

サシャ「はい、じゃあ」スッ

アルミン「えっ?」

サシャ「えっ?じゃなくて!あーん、してください。あーん!」

アルミン「えぇ!?ちょっとサシャ……」

サシャ「何今さら恥じらってるんですか。ていうか、こういうリアクションって普通逆でしょう」

アルミン「た、確かに……」アセ

アルミン(我ながら情けないよな……)トホホ

サシャ「さぁ、早く早く。私だって、アルミンの食べたいんですから」

アルミン「う、うん」

サシャ「はい、あーん」

アルミン「あ、あーん……///」

パクッ

アルミン「ん……美味しいね」モグモグ

サシャ「でしょう?」ウフフ

アルミン(ていうか、ここ公園だから割と僕ら目立っちゃってるよなぁ……)チラッ

ヒソヒソ…

ガヤガヤ…

アルミン(うぅっ、やっぱり……白昼堂々こんな事したら普通目立つよね……///)カァッ

アルミン「サ、サシャ。やっぱり少しこれ恥ずかしくない……?」

サシャ「良いじゃないですかぁ!こんな公園、どうせ周り見ても小学生か買い物に来てる主婦しかいませんよ」

アルミン「そ、それはそうかもだけどさ……」

サシャ「さ、そんな事より私にも早く!」アーン

アルミン「う、うん」

アルミン(口開けながら待機してるの可愛い……)

アルミン「はい、サシャ」スッ

サシャ「あーん」パクッ

サシャ「……ん~!良いですね、ツナコーン!ヘルシーでいて、しかもこんなに美味しいなんて最高です……!」ウットリ

アルミン「そうだね」

アルミン(ていうか、やっぱり
サシャもヘルシーだとか考えてるんだよね……本人に言ったら怒られるだろうから言わないけど)

アルミン「サシャさぁ、結構マメに運動とかしてるの?」

サシャ「どうしたんですか?藪から棒に」

アルミン「いや……その華奢な体のどこに食べ物が消えてるんだろうなって思って」

サシャ「華奢って言うほどですかね?一応これでも胸はある方だと思いますが……華奢ってどちらかと言うとクリスタとかじゃないですか?」

アルミン「それにしても細いと思うよ」

アルミン(ていうか今さらっとクリスタの事ディスったな。まぁ無自覚だろうけど)




クリスタ「へくちっ!!」クシュン

ユミル「? どうしたクリスタ?寒いのか?」

クリスタ「そういう訳じゃないけど……」

ユミル「春先に風邪ひく奴だっているからな。今日は早めに帰るか」ポンポン

クリスタ「そうね。ありがとユミル」





サシャ「まぁ、そうですね。軽く運動はしてますよ。朝に20分くらいジョギング」

アルミン「へぇ、やっぱり」

サシャ「流石に食べっぱなしだとお腹出ちゃいますからね。可愛い服着たりお腹いっぱい食べるには不可欠ですよ!」エヘン

アルミン「はは、サシャらしいね」クスッ

サシャ「元々、体動かすのも好きですし」

サシャ「さぁ、そんな訳で次食べに行きますよ!そこにあるアイスクリーム屋さんです!」スクッ

アルミン「えぇ!?もう?少し歩いてからにしようよ」

サシャ「食べた分運動すれば大丈夫です!」

――アイスクリームを食べ終わった後も色々と食べに行った。そう、サシャの進撃は留まる事を知らないのだ

――お団子屋

「サシャちゃん、いつも来てくれてあんがとねぇ」

サシャ「いえいえ、おばあちゃんのとこのお団子美味しいですから!何回でも来ちゃいます」

「かっかっかっ!そうかいそうかい!」

サシャ「私、三色団子2串!」

「はいよ。んで、そっちの兄ちゃんは?もしかしたら、この前言ってた彼氏かい?」

サシャ「そうです!約束通り連れて来ましたよ」

アルミン「ど、どうも」ペコリ

「ほうほう」ニヤニヤ

アルミン「ちょ、ちょっとサシャ!紹介してるんだったら先に言ってよ///」

サシャ「いやぁ。うっかりうっかり」テヘ

「そんで?兄ちゃん注文は?」

アルミン「い、いや!僕はサシャの付き添いに来ただけなのでお構いなく」

「何言ってんだいあんた!ちゃんと食いんさい!だいたいそんな細っこい体でサシャちゃん守れるんかい?せっかく来たんだ、ちゃんと太って行きんさい!」

アルミン「え、えぇ……‼︎」

サシャ「そうですよアルミン!水くさい事言わないで食べて下さい!本当に美味しいんですから」

アルミン「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」

「おうおう!」ニコニコ

アルミン「……そうだな、これが一番美味しそうだ 」

アルミン「おばちゃん、みたらし団子をひと……」

「ひとつぅ⁉︎」

アルミン「えぇ⁉︎」ビクッ

アルミン(あ、あれ?何か気に触ることでも……)

「バカ言ってんじゃないよ!男ならもっとバーンと食いな!10串だ!10串!」

アルミン「僕そんなに食べれませんよ⁉︎」ガ-ン

「グダグダ言ってんじゃない!安心しな、値段は格安だから」

アルミン「は、はぁ」

サシャ「大丈夫ですよ、アルミン。食べきれない分は私が手伝いますから」ヒソヒソ

アルミン「サシャ!ありがとう!」ヒソヒソ

アルミン(……ていうかやっぱり逆だよな。こういうのって女子の食べきれない物を男が手伝うシチュエーションだもん)ズ-ン

サシャ「アルミン?どうかしましたか?」

アルミン「い、いや!何でも」アセアセ


「あんたぁ!みたらし団子10串に三色団子2くしぃ‼︎」バッ

\あいよ!毎度ありぃ! /

――サラダバー

シャキシャキ…

アルミン「あぁー……口の中の甘ったるいのがスッキリしていく」モグモグ

サシャ「サラダバーのみの店なんてあったんですね!しりませんでした」モグモグ

アルミン「そうだね。あの後の団子屋で、おばあちゃんに『女の子に食い切れない飯押し付ける男子がどこにいるんだい!』って言われて、結局団子10串食べた僕には丁度いい店だよ……」ゲッソリ

サシャ「すみませんでした!団子屋のおばあちゃん結構頑固な所あって……良い人なんですけど」シュン

アルミン「いや、別に悪く言ってる訳じゃないよ」

サシャ「そ、そうでしたか。ありがとうございます」

アルミン「あ、サシャの食べてるそれ、青じそ凄く合うよ。かける?」

サシャ「はい!かけます!かけます!」

トプトプ 

サシャ「~♪ うーん、美味しい!」

アルミン「良かった!」

サシャ「っと……そんな事よりアルミン!見てくださいよ、これ!」ビッ

アルミン「ん?サイドメニューのポスター?」

サシャ「デザートメニューのチョコパフェ。2人一緒に頼むと100円引きですって!」

アルミン「つまり僕も頼んで食べろ、と」

サシャ「ぜひぜひ!」ズイッ

アルミン「あのね?僕はさっきの団子屋さんで甘いのは、いっぱいいっぱいなんだよ?そんな僕にチョコパフェを完食しろなんて苦行を課すのかい?」

サシャ「まぁまぁ!そういう事ならアルミンの分も食べてあげますから」

アルミン「それサシャがお得に多く食べたいだけだよね?」ジト-

サシャ「ギクゥ⁉︎」

――

スタスタ 

サシャ「アルミーン♪」

アルミン「ん~?」

サシャ「さっきは結局チョコパフェ奢ってくれてありがとうございました!お陰で2つ食べる事が出来ました!」ペコリ

アルミン「1つ頼むんだったらまだしも2つ分食べるためにお金払うのなんて今日だけだからね?」

サシャ「わかってますよー」

アルミン「本当?」ジト-

サシャ「本当です!」

サシャ「いやー、それにしても美味しかったです。絶品でした!」

アルミン「絶品?そんなに美味しかったの?」

サシャ「えぇ!甘~いパフェを口にした後のイチゴが最高のアクセント!堪りませんでしたよ!」ジュルリ

アルミン「あはは、そんなに喜んでるんなら奢ったかいがあったな」クスッ

サシャ「えへへ~ もっと奢ってくれても良いんですよ?」

アルミン「それは無理」ニコ

サシャ「えぇ~!ケチー」

アルミン「僕にもお財布事情があるの!そりゃこうやって偶になら奢ってあげるけど」

サシャ「えー!でも高校の時ライナーなんて、クリスタにデートのお金殆ど払わせなかったみたいですよー?」

アルミン「それはライナーが特別なだけ。しかもデートって言ってもユミル同伴だったやつでしょ?」

サシャ「あぁー……そう言えばそうでしたっけ?よく覚えてましたね?」

アルミン「いや、今でもライナーが電話越しに、クリスタとデートした事自慢してくるからね。正直耳にタコが出来るくらい聞いてる」

サシャ「あぁ……なるほどです……」

サシャ「ていうかソレってそもそもデートだったんですかね?」ハテ

アルミン「まぁ本人がそういうんだし……多分そうなんだと」

アルミン「ともかく。僕はライナーみたいに財布の口は緩くないからね!」

サシャ「私彼女なのにー」プス-

アルミン「彼女でも」

サシャ「ちぇー」


アルミン「さて……それはそうと日も暮れてきた。そろそろ夕食とる場所決めとかなきゃ……」

サシャ「それもそうですねー。お腹のほうもそろそろスイーツより主食の方を欲してる気がします」

アルミン「そっか」

サシャ「ところでアルミン、右手側にあんドーナツの店があるんですけど見ていきません?」

アルミン「ねぇ、サシャ。さっき僕なんて言ったか覚えてる?」

サシャ「? さっきと言いますと?」ハテ

アルミン「いや、だからさっきだよぉ!そろそろ夕食の店探そう、って言ったばかりじゃないかぁ!」

サシャ「? そりゃ夕食とる場所は探索しますが目の前に獲物(あんドーナツ)がいるに狩らないハンターはいないでしょう?」キョトン

アルミン「いやいや!今、そんなに食べちゃったら夕飯お腹に入らなくなるよ?」

サシャ「お願いします!これ買ったらもう今日の所は我慢しますからぁ!」バッ

アルミン「うーん……まぁ、そこまで言うんだったら……」

サシャ「ありがとうございます!」バッ 

アルミン「あまり多く食べないようにね?」

サシャ「分かってます、って」

アルミン「じゃあ行こうか、あそこの黄色い屋根のみせだよね?」

サシャ「いえ、アルミンはここで待っててくれて結構ですよ。私がアルミンの分も買ってきますから!」

アルミン「悪いよ!それに僕はもう食べれそうにないし……多分夕食で精一杯だよ」

サシャ「遠慮しないで下さいよ!さっきのお礼みたいなものです。それにアルミンは、持ち帰って明日にでも食べれば良いんですし」

アルミン「ま、まぁ確かにそうだけどさ」

サシャ「何個くらい食べますか?」

アルミン「うーん、そうだな……家族と一緒に食べたいから一箱お願いしたいな。ごめんね、そこまで奢ってくれるって言うんなら遠慮しないや」

サシャ「いえいえ、遠慮してくれない方が私も嬉しいですよ。了解です!」

アルミン「そっか、じゃあ頼んだよ」

サシャ「任せてください!」

アルミン「ちなみにサシャはどれくらい買うつもり?」

サシャ「私も一箱です」

アルミン「一箱⁉︎ まさか今全部食べるつもり⁉︎」

サシャ「ち、違いますよ!今少し食べて、余ったのを両親に渡すって意味ですよ!」

アルミン「あ、だよね。ごめんごめん」クスッ

サシャ「ともかく買ってきますからね!」タッ

アルミン「うん」

タッタッ…

タッタッ…


アルミン「あ、サシャ!人混みの中で走ったら危ないよ!」


サシャ「小走りですよー」タッタッ…


アルミン「もう……元気なのは良い所だけど、少しそそっかしいんだよなぁ……って、あ」

スッテンコロリン 

サシャ「アルミーン!転んじゃいましたよー!」ワ-ン


アルミン「い、言わんこっちゃない!」

アルミン「サシャー!今行くから!」

タッ

アルミン「サシャ!」バッ

サシャ「いたたー……」サスサス

アルミン「だ、大丈夫⁉︎怪我とかない?」アセアセ

サシャ「うー……ぶっけた所は少し痛いですけど幸い血は出てないです……」

アルミン「そ、そっか。良かったよ」ホッ

サシャ「うぅ……すみませんでした。気をとりなおして店行きますね」スクッ

アルミン「! 待って、サシャ」

サシャ「? どうしましたか?アルミン」

アルミン「足見て!破けてるよ!」アセアセ  

サシャ「え……?」

チラッ

サシャ「あ……本当だ!ニーソが!」ガ-ン!!

サシャ「こんな格好じゃ、あんドーナツのお店入れませんよぉ……!」

アルミン「うん……膝の部分にボッコリだものね……」

サシャ「どうしましょうか……」

アルミン「と、とりあえず洋服屋行って替えのニーソ見てくるね……って、あれ?洋服屋って言ってもどこを見れば……!」アタフタ

アルミン(女子物の下着系売り場なんて入った事ないしな……)

サシャ「ア、アルミン!それなら私も一緒に行きますよ!」

アルミン「え、でも……」

サシャ「アルミン、そもそも女子物のコーナーにいった事ないでしょうし、男子だとはいりづらいでしょう?」

サシャ「それに私はケガをしてる訳じゃないし平気ですよ」

アルミン「そ、そっか。じゃあお願いするね」

サシャ「お願いも何も私が転んだからなんですけどね」クスッ

――洋服屋

サシャ「お待たせしました、アルミン!この黒いのに決めました!」ビシッ  

アルミン「あれ?さっきまではいてたのと、あんまり変わらないね?」

サシャ「まぁ、そりゃ替えですしね」

アルミン「確かに。そりゃそうだよね。ごめんごめん」アハハ


サシャ「それはそうとしてアルミン?その今持ってる女物のワンピース何ですか?」キョトン

アルミン「あぁ、夏物だよ。流石に春先にこれは少し肌寒いでしょ」

サシャ「あはは、そうですよね――って、え……⁉︎」

アルミン「? どうしたの?」

サシャ「アルミン……今なんて?」 

アルミン「え?いや、だから春先に着るには早いだろうなぁ、って」

サシャ「……それは、つまり?」

アルミン「? つまり?」


サシャ「アルミンが着たい、って意味ですかね……?」ビクビク…


アルミン「え」

サシャ「いや、確かにですよ?私はアルミンの良い所の1つとして可愛い、という点を挙げましたが……」

アルミン「え、ちょ」

サシャ「女装するのは少し方向性違うんじゃないかなぁ、と……」ヒキッ 

アルミン「え、いや!違うよ!別に僕が着る訳じゃないよ」

サシャ「じゃあ誰のために……」


アルミン「それはサシャのために決まってるじゃないか」


サシャ「え……わ、私ですか⁉︎」

アルミン「よく考えたらさ、僕たちのデートっていつも飲食店ばっかでこういう所なかなか来なかったろ?」

サシャ「言われてみれば確かにそうですね」フム

アルミン「今日はせっかく来れたからさ、ついでに何かプレゼントしようと思ったんだ」

サシャ「アルミン……ありがとうございます!」ジ-ン

アルミン「まぁ、そうは言っても本当は何回も行こうと計画してたんだけどね?なかなか言い出せなくて」

サシャ「え?何でですか?」

アルミン「そりゃもちろん君がありとあらゆる食べ物屋に食いつくからだよ。何だか切り出し辛いじゃないか」ジト-

サシャ「え?……あ、あぁ‼︎そうだったんですか⁉︎そうとは知らずにごめんなさい!」アセアセ

アルミン「あはは」クスッ

サシャ「じゃあ私この服、試着して来ますね!」

アルミン「え!もう会計しようと思ってたところなんだけど」

サシャ「でもワンピースなんて今逃すと夏まで着る機会ありませんし。ちゃんと似合うか今アルミンに見てもらいたいです!」

アルミン「あぁ、そっか。それもそうだよね」

サシャ「まぁ実のところ、アルミンが選んでくれたのなら何でも大歓迎なんですけどね」ニコ

アルミン「サシャ……///」

サシャ「じゃあ試着室まで行きますね!……絶対に覗かないで下さいよ!」

アルミン「そ、そんな事しないよ!」カァッ

サシャ「うふふ!まぁ別に付き合ってるんだから本当はそれくらい良いんですけどねー」ニヤニヤ

アルミン「///……く、下らない事言ってないで早く着替えてきなよ!まだ夕食後もとってないんだし!」

サシャ「はいはい」クスクス

トテトテ


アルミン「……///」

アルミン「……もう!サシャのやつ変な事言うなよ!そ、そんな事言ってたら本当に覗きに行っちゃうよ?」

アルミン「……って、行かないけど。そんな事許される訳ないけど」

アルミン「……」

アルミン「……」


アルミン(……でもなぁ、サシャもああ言ってたしな……)


『別に付き合ってるんだから本当はそれくらい良いんですけどねー』


アルミン「いい……のか?」


トテトテ…


サシャ「本当にいいのに……///」

―― 同時刻・同店内 エレンとミカサ

カチャカチャ

ミカサ「エレンエレン。この帽子なんてどうだろう。似合ってるだろうか?」スチャ

エレン「……」

ミカサ「? エレン?」フリフリ

エレン「ミカサお前なぁ。今日はシャツ買いに行くだけだったんじゃねぇのか?サシャにやられたシャツの替えがあれば十分なんだろ?」

ミカサ「これは、ついで。エレンなかなかこういう所に連いて来てくれないもの」

エレン「その前に何で俺がお前の服探しに付き合わなきゃなんねぇんだ。女友達と行けよ」

ミカサ「まぁまぁ。そんな冷たい事言わないで、この帽子の感想を!」ズイッ

エレン「あー、はいはい。可愛いですよ。とてもお美しゅうございますー」テキト-

ミカサ「と、とても美しい⁉︎そうだろうか……?エレンったら褒め過ぎ……」

エレン「あ……? あー……うん」

エレン(適当に褒めてる、って事分かってねぇのかな……いや、実際可愛いけどさ。可愛いんだけどさ)

エレン(はぐらかしたのに、この反応じゃな……何だかなぁ……)

ミカサ「~♪」

エレン「……」

エレン「はぁ……」

ミカサ「? どうしたの?」

エレン「いいや。何でも」

エレン「んじゃ、とっとと帰りたいから会計済ませるぞ。ほれ、シャツと帽子よこせ」

ミカサ「いいの、エレン?私が勝手に付き合わせただけだから私が払おうと思ってたのに」

エレン「馬鹿。男が払わないとカッコつかないだろ」

ミカサ「でもエレン……先週、新作ゲーム買って財布が……」

エレン「ほ、ほっとけっての!いいから服と帽子貸せよ!」グイッ

ミカサ「あっ!」

エレン「そこで待ってろよー」


スタスタ


ミカサ「もう……本当に素直じゃない……」クスッ

ミカサ「ありがとう、エレン……」ボソッ

スタスタ

エレン「うーん……ああは言ったものの実際に財布やばいんだよな。今月はもうあまり遊べねぇな」

エレン「まぁ別に良いか。金なくても母さんいるし。ただ飯食えるし。遊ばなくても最低限生きていけるし」

エレン「とにかく今週は我慢我慢の毎日だろうなー……って、お?」チラッ


アルミン「……」


エレン「あれアルミンじゃねぇか?何で1人でこんな所いるんだ?しかもレディース売り場に。つーかサシャはどうしたんだ?」

エレン「おーい、アルミーン」フリフリ


アルミン「あ、エレン」

エレン「よっ」スタスタ

アルミン「奇遇だね、エレン達もここの店に来てたんだ。その服は?ミカサのシャツかい?」

エレン「まぁな。今から会計通してくる」

アルミン「そっか」

エレン「お前は?1人でどうしたんだよ。まさかサシャと喧嘩でもしたのか?」

アルミン「今サシャが試着中なんだ。僕が選んだやつ。別にケンカなんてしてないよ」

エレン「分かってるっつーの。ケンカは冗談だよ!」ククク

アルミン「そ、そうだよね。ごめんごめん」

エレン「でもよ、今の冗談は無しにしてもアルミン何か考え込んでなかったか?顔が結構真剣だったぜ?」

アルミン「え?僕、今そんなんだったの?」アセ

エレン「あ、いや。違ってたら悪いんだが」

アルミン「ううん、間違えじゃないよ。ちょっと考え事してた」

エレン「やっぱりそうか」

アルミン「よく分かったね、エレン」

エレン「だてに親友やってねぇよ」

アルミン「あはは、だよね。僕もたまにだけどエレンとミカサの事なんとなく分かるし」クスッ

エレン「サシャの事だろ。良かったら聞くぞ?」

アルミン「え?あぁ、うん……ありがたいけど時間は?ミカサ待たせてるだろ?」

エレン「いいんだよ、別に。買い物付き合ってやったんだから少しお前の相談に乗る位許されるだろ」

アルミン「ありがと。でもサシャもそろそろ着替え終わるかもしれないから手短に話すね」

エレン「おう」

――


エレン「は……?まだキスをした事もない?……だって⁉︎」

アルミン「ちょっとエレン‼︎声大きいって」

エレン「あ、あぁ!すまん!」

アルミン「……!」

エレン「ちょっと待てよアルミン。そんな事悩んでたのか?何でわざわざ今なんだよ。それくらいだったら後でも良いんじゃねぇのか?」

アルミン「あ、あぁ……やっぱりそう思うよね?ごめん」

エレン「いや。いつも仲の良いお前らだからキスも当然済ませてる、って思ってた分多少は驚いたけどよ」

エレン「別にそれくらいだったら後で聞くぜ?まぁ、あまりこういう事に力になれるか分からんが……」

アルミン「……さっきサシャがさ。着替えに行くときに『アルミンだったら別に覗いてくれても構わない』って言ってきたんだ」

エレン「⁉︎……お、おう。話がいきなり飛んだな」

アルミン「それでさ、僕って今までそういう事にあまり積極的じゃなかったし……まぁ自分で言うのも変だけど」

アルミン「もしかしたらサシャは僕のそういう所嫌なんじゃないかなぁ、って思っちゃってさ」

エレン「?……つまり?」


アルミン「その……色々と求めているんじゃないかなぁ、と……」

エレン「……色々、と?」

エレン「……」


エレン「あ、あぁ……成る程な。理解したよ」

エレン「色々、なぁ……」

アルミン「うぅ……///ごめん!やっぱりこんな事人に相談するもんじゃないよね!僕の思い込みかもしれないし!自意識過剰っぽいし!」

エレン「き、気にすんなよ!確かに予想の斜め上だったけど!」アセアセ

エレン(本当、意外なところで悩んでたな……)

アルミン「ありがとうエレン……」


アルミン「それじゃあ話戻すけどさ、僕たちは、まだキスさえしていないんだ。もうすぐで付き合ってから1年になるというのに!」

エレン「あぁ、もうそんなになるのか。お前らがバカップルになってから」

アルミン「だからバカップル言わないでよ」

エレン「あぁ、わり」

アルミン「何と言うかさ……僕よりどちらかと言うとサシャの方が積極的なんだよ」

アルミン「それは逆に言うと僕がサシャに寂しい思いをさせちゃってる事の表れとも取れると思うんだ」

エレン「おいおい。それは考えすぎじゃねぇか?別に露骨にそういう態度とってる訳じゃないんだろ?」アセ

アルミン「うん。確かに、考え過ぎだと言われてもしょうがないかもだけどさ、サシャってあれでいて案外口ではそう言わないし」

アルミン「だからさっきのあれも、それとなく伝えたかったのかもしれないなぁって思ったんだ」

エレン「うーむ、でもやっぱり俺からは何とも言えないよな……ぶっちゃけお前の方がサシャの事よく分かってるだろうし」

エレン「お前がそう思うんならそうなんじゃねぇか?」

アルミン「そっか……ありがとうエレン。そうだよね」

エレン「とりあえずよ、キスとか……ほら、そういう俗っぽいのは良く分らねぇけどよ。サシャに寂しい思いさせたくない、ってんなら言葉だけでも伝えられるだろ?」

アルミン「言葉、か」

エレン「あぁ。例えば今日の別れ際にでも何か気の利いた一言が出てくりゃそういう心配は拭えてやれるだろ」

アルミン「そ、それは例えばどんな……?」

エレン「そりゃシンプルにだよ。お前サシャの事好きだろ?」

アルミン「あ、当たり前だろ?」アセ

エレン「だったらそれ言えばいいだろ。『好きだ』って。少なくともお前の気持ちは伝わる」

アルミン「⁉︎ そそそそそんな!改まって言う事でもないだろう⁉︎」カァッ

エレン「いや、何赤くなってんだよ⁉︎初初しすぎるだろ!」

アルミン「で、でもさ……いきなりそう言う事言っちゃうと逆に不自然っていうか」

エレン「別に悪い事言ってる訳じゃねぇだろ?」

エレン「それに機嫌損ねた女なんて一言添えりゃ何とかなるんだし。お前たちみたいに元々仲いい奴らなら尚更だよ。実際ミカサもそんな感じだし」シラッ

アルミン「エ、エレン……その言い方だと何かタラシみたいだよ?」

エレン「人聞き悪りぃな!別にそんなんじゃねぇぞ?」アセ

アルミン「あはは、ごめんごめん」

エレン「ったく」

アルミン「まぁ、とにかくありがとうエレン。参考になったよ」

エレン「そうか、良かったぜ」

アルミン(うん。脈絡がなくても、とりあえず言わない事には始まらないもんね)

エレン「……っと、じゃあ俺はもう会計済ませてくるわ。頑張れよ?」

アルミン「う、うん!エレンも頑張ってね」

エレン「は?何をだよ?」キョトン

アルミン「ミカサの事だよ。さっきの口ぶりじゃ、やっぱり少なからずともミカサを思ってあげてるんだろ?」

エレン「ち、違ぇよ!ただあいつが機嫌悪いときの急場凌ぎだから別にそんなんじゃねぇよ!」アセ

アルミン「またまたー」

エレン「……とにかく、もう行く。じゃあな」フリフリ

アルミン「うん、また明日ね」フリフリ

――

サシャ「アルミーン」

トテトテ

サシャ「お待たせしました。試着して来ましたよ!」

アルミン「サシャ」

サシャ「えへへ~。どうですかね?客観的にみて」キメッ
 
アルミン「え……あ、あぁ。うん……」

アルミン(僕が選んだ白地に草花のプリントが入ったワンピース。ロング丈と布に映える色とりどりの花は、サシャの内にある清楚な雰囲気を引き出してくれる。そう思って選んだんだけど……)


アルミン「……」ジ-ッ


アルミン(うん……やっぱり可愛い……!なんとなく想像したのと、実際に見たのとではやっぱり違うな……)

サシャ「ちょっと、アルミン!そんなに見つめないで下さいよ!」テレテレ

アルミン「あっ……!ごめんごめん。つい……」アワアワ

サシャ「それでどうなんですか?」

アルミン「え、えっと!い、良いと思うよ!すごく!」

サシャ「良いって何がですか?どう良いか言ってもらわないと」ニコニコ

アルミン「え⁉︎そ、そのくらい察してよ!」アワアワ

サシャ「私あんまり頭良くないので分からないんですよ。ちゃんと言ってください」

アルミン「うぅっ……!」


アルミン(あぁ、今思えばこういう事だったんだろうな。言葉にして伝える、っていうのは。エレンの言う通り単純な事で)

アルミン「……か、可愛いと思うよ!本当に……!」ドキドキ

アルミン(うっ……なに今更こんなにドギマギしてるんだよ。本当の事を言うだけなのに……こんな……///)

サシャ「ふふっ!アルミンの口からそう言うってもらえて幸せです!ありがとうございますね!」ニコッ

アルミン「う、うん。でも『幸せ』か。これはまた大袈裟な言葉が出てきたね」

サシャ「まさか!全然大袈裟なんかじゃありませんよ」

アルミン「……!」

サシャ「そんな事より未だにドギマギしながら『可愛い』って褒めてくれたアルミンの方がよっぽど可愛かったですよ?」

アルミン「またからかう……」ハァ…

サシャ「からかってないですよ!褒めてるんです、わたしの愛情表現ですから!」

アルミン「あはは、そう。なら良いんだけど」クスッ  

サシャ「えぇ!」

アルミン「じゃあ僕、お金払うからワンピース着替えてきて」

サシャ「あっ、そうでしたね。それじゃあゴチになります!」パンッ‼︎

アルミン「食べ物じゃないんだから」

サシャ「えへへ。分かってますよ」

アルミン「それじゃあサシャは僕に服渡したら、店の外で待ってて。すぐ来るから」

サシャ「分かりました。それじゃあ改めてお願いします」ペコッ

アルミン「だからそんなにヘコヘコしなくて良いって!」

――店の外 とある河川敷


タッタッ

アルミン「お待たせ、会計終わったよー……って。あれ……?」

シ-ン…

アルミン「サシャは?」キョロキョロ

アルミン「おかしいな……外で待ってて、って言ったはずなのに……トイレかな?」

\おーい、アルミーン!/


アルミン「サシャの声⁉︎どこから?」キョロキョロ


サシャ「こっちですよ、アルミーン!」フリフリ

アルミン「あ、よく見たら河原のところに」


タッタッ


サシャ「すみません。店の前で待ってろ、って言われたのに」

アルミン「いや、大丈夫だよ。それよりどうしたの?川の方向に来て。繁華街はあっちの方だよ?」

サシャ「繁華街なんかより!見てくださいよ、桜が満開なんですよ!」バッ
 

脇道の眼下の河川敷、薄暗く色がかった中にただ一本の桜の木が華やかに桃色の両腕を広げていた

アルミン「わあっ……すごく綺麗だね……!」

サシャ「たまたま下を見下ろしたら見つけて。きっと目立たないから花見に来る人も少ないんですよ」

アルミン「時間的にはもう夜桜になっちゃうね」

サシャ「良いじゃないですか、夜桜」

アルミン「うん。風流だねぇ」

サシャ「どうです?たまには、お店じゃなくてこういうのは」

アルミン「? お店じゃない?」

サシャ「お花見ですよ、お花見!スーパーで何かお惣菜買って食べましょう!」

アルミン「! なるほど、良い考えだね!」

サシャ「でしょう?」

アルミン「じゃあ、早速買いに行こうか……って……?」ピタッ

サシャ「……」シン…

アルミン「サシャ?ど、どうしたの?」

アルミン(どうしたんだ?いきなり立ち止まって……)

サシャ「……」ギュッ

アルミン「……⁉︎」

アルミン(手……握られてる)

アルミン「サ、サシャ?これじゃあ買い物行きたくてもいけないよ。いきなり静かになってどうしちゃったのさ」アハハ…

サシャ「……!」ギュッ

アルミン(……?本当にどうしたんだろう?)

サシャ「アルミン……」

アルミン「う、うん」

サシャ「急で…本当に急で悪いんですけど時間をください」

アルミン「……?」

サシャ「ごめんなさい、何だか綺麗な桜をアルミンと見てると言わずにはいられない、っていうか……」
サシャ「いきなりこんな事言われても何の脈絡もないって思われるかもしれないんですが……」


サシャ「私、今すごく幸せなんです」

アルミン「……!」

サシャ「昨日アルミンが私にして欲しい事は何かって聞いたら、私と一緒にいたいって言ってくれたり……」

サシャ「わがまま言っても受け入れてくれたり」

サシャ「私の事を照れながらも可愛いって褒めてくれたりして」

サシャ「私は今、本当に幸せなんです」

アルミン「……サシャ」

サシャ「でも本当は幸せどころじゃない」

サシャ「言葉では表せないくらいにもっと……」

サシャ「それを言葉にすれば陳腐で、いっそ胸の内に留めておきたい。これは、きっとそんな気持ちです」

サシャ「アルミンにもこの感情が分かりますか?」

アルミン「……!」

サシャ「あ……!ごめんなさい!急にこんな事言われても意味わからないですよね」アワアワ

アルミン「……いや、分かるよ」

サシャ「……!」

アルミン「君が思ってるのと多分同じだ」

アルミン(そうだ、言葉にしたいけどそれを口にした瞬間、『その程度じゃない』そう言って取り消したくなるような、そんな気持ち。サシャも思ってくれてたんだ)


サシャ「そうですか。アルミンとお揃いで嬉しいです」ニコ


アルミン「こうやって綺麗な桜を一緒に見て笑い合う、それが楽しいと思う、幸せだと感じるこの気持ち。きっと君以外とは共有できない」


サシャ「でも、どうやって表現したら良いのかが分からないんです」


アルミン「……!」


サシャ「言葉だけじゃ伝わらないのにどうすれば良いのか、アルミンには分かりますか?」




僕は、それに対して「知ってる」と答えた。


いや、きっと彼女も知ってたのだろう。こんな時、どうすれば良いのか。


その証拠として次の瞬間、サシャは僕を抱き締めてきたのだから

サシャ「~~~~///」ギュッ…‼︎

アルミン「……サシャ、ずるいよ。また君から」

『好き』とか『幸せ』とか。

サシャ「……アルミンが悪いんですよ。アルミンが積極的じゃないから私がこうやって……」ボソッ 

胸の内では理解してても、相手に伝えようとすると稚拙極まる。

アルミン「まさか。僕だってそうしようと思ってたよ。ていうか君やっぱり答え分かってたじゃないか、こういう時どうすれば良いのか」

そんな時、人は自然とこうなってしまうのだろう。自然と相手に触れたいと思うんだろう。

サシャ「できればアルミンから抱き締めて欲しかったんです。私こそ、アルミンがしてくれるんだったら黙ってれば良かったですよ。少し後悔です……」

アルミン「そっか。ごめんね?」

サシャ「別に良いですよ、ただ少し不服なだけです……」プス-

アルミン「ごめんって。『こっち』は僕からするから」スッ……

サシャ「えっ……///」

サシャ(こ、こっちって……///アルミン……まさか///)




チュ

アルミン「~~~~///」

アルミン(やばい……覚悟はしてたものの、その瞬間になるとやっぱり……///)

サシャ(ア、アルミン……///)

バッ…!

アルミン「あ?あ!ごごごごめん!!!やっぱり急すぎたよね?いくら雰囲気が良かったからと言って!?」アセアセ

サシャ「い、いえ!違いますよ、そうじゃなくて!」

サシャ「た、ただ……///」

アルミン「ただ……?」

サシャ「本当にアルミンからこういう事してくれるのが初めてだったので……少しだけびっくりしちゃいまして……///」ドキドキ

アルミン「そ、そうだよね。僕も結構今、心臓バクバク」

サシャ「まぁ、とは言っても1年近く付き合ってて今まで何も無かった方が異常なんですけどね。私、少しだけ寂しかったんですからね」ジトッ


アルミン「うっ」グサッ 

アルミン(あぁぁあ!!!やっぱりサシャそこ気にしてたのか!!!ごめん!本当にごめん!!!)

アルミン「ご、ごめん……チキンでごめんなさい……!」ドヨン

サシャ「……」シン…

アルミン「うぅっ……サシャごめんって……これからは、その……色々心がけるから……!」

アルミン(……って何て宣言してるんだ僕は……でもそれでサシャが機嫌なおしてくれるなら……)

サシャ「……」

アルミン「サ、サシャ……!」

アルミン(……やっぱり寂しい思いさせてたんだ……本当にごめんね……)

サシャ「……」

アルミン「……」

サシャ「……」

アルミン「……!」

サシャ「ふふっ……!」クスッ

アルミン「⁉︎」

サシャ「あはは……!」クスクス 

アルミン「え?」

アルミン(サシャ⁉︎わ、笑ってる……!)

サシャ「あははは!!!あー……おかしい!アルミンったら真面目に落ち込んだ顔しちゃって」ケラケラ  


アルミン「え…えぇ⁉︎」

サシャ「いやですね、アルミン。私が寂しい思いしてたなんて冗談ですよ!」

アルミン「で、でも……君さっき……!」

サシャ「アルミン……」ギュッ……


アルミン「……⁉︎」


サシャ「私……分かってますから」


サシャ「アルミンが私の事、思ってくれてることなんてちゃんと分かってますから」


サシャ「アルミンが恥ずかしくて言葉にできなくても……」


サシャ「なかなか積極的になってくれなくてもです。普段のアルミン見てれば……分かりますよ」


サシャ「分かってますから……ちゃんと……アルミンは私の事好きでいてくれて、思ってくれてます。ちゃんと伝わってますよ」ニコ


アルミン「……!」


サシャ「私達は私達らしく。私たちのペースで進んでいきましょうよ」

アルミン「サシャ……」

アルミン「そうだよ……」

アルミン「そうだね……ありがとう……」ギュッ

サシャ「えっ」

アルミン「……!」ギュッ

サシャ「ちょっ、アルミン!少し力強くありません?痛いですよぉ!」ケホケホッ

アルミン「あ、あぁ⁉︎ごめん!つい……それだけ嬉しくて」パッ

サシャ「もう……意外と不器用なんですね、アルミンて」クスッ

アルミン「ははっ、確かにそうかも」

サシャ「さて!」スッ

アルミン「うわぁ、いきなり⁉︎びっくりしたぁ!」

サシャ「私達は私達らしくと決めた所で次は夕食の時間です!」

アルミン「あ、あぁ。そうだね」

アルミン(少しだけ夢見心地だったのがいきなり現実になった感じだな……)

サシャ(自分からそういう雰囲気作っておいて、こういうのあまり得意じゃないんですよね……すみませんアルミン……)


アルミン「サシャは、何食べたいの?」

サシャ「そうですねー、卵焼きに焼き魚!唐揚げなんかが入ってたらラッキーですねー……!」ジュルリ

アルミン「君は、また夜に濃いの食べるね!昼の弁当みたいなセットじゃないか!」

サシャ「まぁまぁ、食べきれなかった場合は私が食べますので」

アルミン「って、僕の弁当なの⁉︎てっきりサシャのかと……」

サシャ「何言ってるんですか!アルミンには、もっと美味しいの食べて幸せな気持ちになって欲しいんです!」

アルミン「そ、そっか。ありがとね」

サシャ「えぇ!」

アルミン(はは……いい雰囲気になった後でも結局最後はサシャのペースに巻き込まれちゃうんだね)

サシャ「さぁさぁ、ともかく店まで行きますよ!レッツゴーです!」タッ

でも、それでも好きだ。一緒にいて幸せを感じる

アルミン「あ、サシャ!暗がりで走るの危ないってば!さっきの二の舞だよ?」

サシャ「小走りですよー」

底抜けに明るくて僕の事を心から信頼してくれる、思ってくれてる

アルミン「もう……」クスッ

タッ…!


サシャ・ブラウス 彼女は僕の恋人だ。

終わりです

読んでくれた皆さんありがとうございました

無茶苦茶不粋なこと言うけど団子屋のばぁちゃんが胸糞悪い
アホほど買わせて無理矢理食わせるって

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom