ダンガンロンパ シンデレラガールズ (19)



注意事項
・アイドルが死にます
・アイドルが殺します
・アイドルの性格が著しく変貌します
・ダンガンロンパキャラは出てきません(例外なく
・ダンガンロンパの世界観とは大きく異なる場合があります
・細かいことを気にしてはいけません
・口調一人称二人称共に出来るだけ反映させますが間違っている場合は穏やかに指摘ください
・多分5番煎じくらい(希望的観測

それでも大丈夫な方はお付き合いください。



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…………。
……………………。

……う。

あたまが、いたい……。

ここは……どこだ?

オレは……なにを……。


ーー視界は暗闇で覆われていて、かなり狭い場所にオレは立ったまま閉じ込められていた。
ーー大きさから察するに、ロッカーの中だと思う。思いたい。
ーーこの中に至るまでの記憶は、ない。最後の記憶は、ダンスレッスンに向かう最中だけだ。その後の記憶は綺麗さっぱりと消えていた。

出ないと……。

ーー自然にそんな言葉が口から漏れる。当然のことだ。閉じ込められているのなら、外に出る方法を模索しないといけない。
ーー視界先は見えないが、その方向を蹴り開ける。
ーーするとあっさり、その扉は大きな音を立てて開かれた。

「う……」

ーー暗いところにいたからか、差し込む光に目が眩む。
ーー数秒ほど立ち竦んで、ようやくその蛍光灯の光に慣れる。

「ここは……更衣室か?」

ーー清閑な空気が鼻にこびりつく。
ーー十数個あるロッカーを横に並べたその場所は、見覚えのない更衣室だった。少なくともオレが所属していた事務所のトレーニングルームではないし、どうにも異様さを感じる。


「……? ロッカーが開いてる」

ーーオレが蹴り開けた物も含めて、それらはほとんどが開かれていた。たった一つを除いて。
ーーまるで……【オレ以外にもそこに閉じ込められていたかのように】。

「どういうことだ……? なんかのイベントか、またPがなんかやらかしてるのか」

ーー文句を垂れ流しながら、オレは側にあった小さなテーブルに目を向けた。
ーーそこには一枚の紙が貼り付けられていて、手書きで【多目的室に集まってください。お待ちしています】とある。

「……どこだよ」

ーーぼやきながら、オレはとりあえず外に出ようと扉に手をかける。

ガコン!

ーー……びっくりした。
ーー唯一開いてないロッカーからの音のせいで、変な声が出た。
ーー心臓がバクバクと高鳴り、ジッとそのロッカーを見つめる。

「だ、誰だ?」

ーー問いかけてみるも、返答はない。ただ、ギシギシという擦れる音が響く。
ーーどうやらロッカーの扉の調子が悪いらしく、オレの時はすんなり開いたがこちらは開きづらいようだ。
ー少し怖いが、人が入っているのなら仕方がない。手伝うしかない。

ガチャ!!

「きゃっ!」

「うわっ!」


ーー中からオレくらいの身長の奴が飛び出してきた。かなり力を入れていたらしく、オレが手伝ったせいでそのまま態勢を崩したらしい。

「いたたた……悪い、驚かせたな」

「うぅ……いえ、開けてくれてありがとうございます……」

ーーそいつは自身の額を撫でながら、苦しそうに呻く。
ーー同い年くらいの見た目だ。見覚えはない……いや、どこかで。

「お前、【橘ありす】か?」

ありす「え? ……どうして私の名前を?」

「やっぱりか。いや、見たことあるだけだ」

ーー橘ありす。
ーーオレと同じジュニアアイドルで、その人気はかなり高い。オレも負ける気はないし、負けている気もしないが、同い年としては十分にライバルと呼べるだろう。
ーー……と、Pの奴に勝手にライバル認定されていた奴だ。

晴「オレは【結城晴】だ。……あー、知ってるか?」

ありす「結城……晴……あ、はい。私のPさんが、同い年で接戦しているアイドルがいると言っていました。ライバルだとかなんとか」

晴「……裏で繋がってじゃねーかな」

ありす「はい?」

晴「なんでもねー。とりあえず、ありすは「橘です」」

ーー……ん?


晴「えーと……あり」

ありす「橘です」

晴「…………橘」

ありす「はい、なんでしょう」

晴「…………」

ーーこいつ、面倒くさそうだな。

晴「……橘はこの更衣室知ってるか? 少なくともオレの事務所のじゃないんだが」
ありす「……いえ、私の事務所でもありませんね。って、ここはどこなんですか!?」

晴「落ち着け。オレにも分かんねえが、少なくとも何かしらのイベントに巻き込まれてるな。机の上の紙を見ろ」

ありす「……多目的室?」

晴「あぁ。今からそこに行こうとしてたんだ。つっても、場所は知らないけどな」

ありす「なるほど……ドッキリでしょうか?」

晴「多分な。どっかに隠しカメラでもあると思うけど」

ーーキョロキョロと辺りを伺ってみるが、そのような視線は感じないし隠せそうなところもなかった。

ありす「ここは撮影範囲内ではない、ということでしょうか」

晴「かもな。見たところオレたちは最後だ。早めに言ったほうがいいかもな」

ありす「はい。……【15個のロッカー】ですか。私たち含めて15人、ということでいいんでしょうか」

晴「行けばわかるだろ」



ーーオレたちは慎重に更衣室を出た。恐ろしく静かな廊下に出る。明快な蛍光灯の光がひどく不安を掻き立てる。
ーー更衣室を出た先の廊下の壁に【このフロアのものと思われる地図】が貼ってあった。

晴「【多目的室】は、すぐ近くだな」

ありす「他には、【会議室】、【休憩室】、【事務室】、【談話室】……そして【更衣室】と【レッスンルーム】ですか」

晴「あと、なんか左の端の方に廊下みたいな物が伸びてんな。渡り廊下か?」

ありす「かもしれません。とりあえず、行ってみましょうか」

晴「だな」

ーー更衣室に閉じ込められたことや、机にあった張り紙、そして出た直後に目にするこの地図。
ーーなんというか、どうにも作為的なものを感じ、オレはどこかやはりドッキリであると確信していた。
ーー今思えば、それはあまりにも無防備だった。
ーーそんな甘い話、どこにもないというのに。



ーー多目的室。
ーーその扉を開けて、中に入る。
ーーそこには、俺たちの他にも不安げな顔をしたアイドルたちがいた。


「これで全員……かな?」

「……みたい、ですね。ロッカーの数も……一致していますし」

「ふん、この悪趣味な催しもようやく開始されるというわけか。早く説明してもらいたいものだ」

「うーん、台本も打ち合わせもないなんてー、本当にイベントなのかにー?」

「さぁね。というか帰っちゃダメかなー」

「私が走って見回りしましたけど! 出口は見当たりませんでした!!」

「げっ、まさに脱出ゲーム? というよりも……」

「くー! アタシたちはショッカーに攫われたのか!?」

「ショッカーはないとしても、変なことに巻き込まれてるのは確かみたいね。私に悪戯を仕掛けるなんていい度胸だわ」

「変なことってなんだろー? Pさんも関わってるのかなぁ?」

「どうじゃろなぁ。もし関わっとるとしたら、うちら全員のプロダクションが合同して行っとる企画というわけじゃな」

「そんな話は聞いたことがないのでしてー……」

「ふわぁ……」


ーーそこには、オレとありすの他にも13人の有名なアイドルが集っていた。
ーー発言した順番に名前を出していくなら、

【城ヶ崎美嘉】
【鷺沢文香】
【池袋晶葉】
【諸星きらり】
【双葉杏】
【日野茜】
【三好紗南】
【南条光】
【小関麗奈】
【赤城みりあ】
【村上巴】
【依田芳乃】
【遊佐こずえ】

ーーこの中でオレはある一人に注目した。

晴「巴もここに連れてこられたのか」

巴「おん? おぉ、最後の一人は晴か。お互い難儀なもんに付き合わされたのぅ」

晴「そうだな。にしても、台本なし打ち合わせなしにしては、随分と大掛かりなセットだよな」

巴「ほうじゃな。ちぃとばかし探索してみたが、玄関らしきもんは無し。階段も見当たらんし、窓なんぞ一切このフロアには無かったわ」

晴「窓もかよ……こりゃあ、かなりきな臭いな」

巴「監禁にしてはどうにも凝った空間じゃ。こりゃあかなりの大きな組織が動いとるぞ」

晴「怖いこと言うなよな……」

巴「うちらんとこの変態Pがどう関わっとるかは知らんが……見つけたらただじゃおかんけぇの」

晴「あぁ、俺もそのつもりだ」

ーーふと、周りの人物に目を凝らしてみた。
ーー【ありすは文香さんと茜さん】と談笑しており、【杏さんときらりさん】はソファで休んでいる。
ーー【美嘉さんとみりあ】は何か話しているし、【光と麗奈と晶葉と紗南】も何やら会議をしているようだ。
ーー【芳乃とこずえ】ぼぉっとしていて何を考えているかわからない。

巴「【それぞれ同じプロダクション】のやつと固まっとるようじゃの」


ーー巴がそう言い、オレが同意しかけたところで、それは鳴り出した。


きーん こーん かーん こーん


美嘉「え、これなに? チャイム?」

晶葉「ふむ、ようやく始まるのか?」

杏「もしくは終わらないかなー」

巴「晴……何が起きてもええように、身構えとけえよ」

晴「……おう」

ーー緊張が走る一室。
ーーそして、それはついに部屋の奥にある大きなテーブルの上に現れた。


「ぴにゃー!!!」


ーーそう、それが現れたとき、オレはまだ気づかなかった。
ーー……狂気と絶望のイベントが始まったのだと。


プロローグ前半はこれでおしまいです。

後半も近い日に書きます。よろしくお願いします。

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