【ジョジョSS】カーズ「漫画家になろう」 (28)

エシディシ『…………は?』

カーズ『エシディシ、俺は漫画家を目指すぞ』

エシディシ『……まぁ頑張れよ。頼んでくれれば俺も消しゴムかけと資料集めぐらいは手伝ってやるから』

カーズ『そうか』


カーズ『じゃなくて!もっと他に言うことはないのか?!どうして話をそこで終わらせてしまうのだ!』

エシディシ『って言われても唐突過ぎてリアクションに困るんだよ流石の俺でも!!どーしていきなりそういう発想になった!?』

カーズ『先日JOJOの息子の友人の親友だという漫画家に貸してもらった漫画に感化されてな。ついでに掲載されている雑誌の方も見てみたらいつでも新人の作品を募集しておるではないか』

エシディシ『ほうほう?』

カーズ『それで、まぁ暇潰し程度にでも何か描いてみようかと思ってな。何しろこちらには10万年生きただけの経験もある。あの岸辺露伴はスタンドとやらで他人の記憶を読み、それをネタにしているようだがな』

エシディシ『そーか、じゃ、頑張れよ。ベタ塗りぐらいはやってやるから』

カーズ『うむ』

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カーズ『違う!!そうじゃないだろうエシディシ!』

エシディシ『あん?』

カーズ『何故、そこで俺もやる!とかタッグを組もう!とかそういう発言が来ないのだ!』

エシディシ『なんだ、お前バクマン。に憧れてたのか?』

カーズ『俺がわざわざお前に報告するということは、それを聞いたお前が、また俺と道を共にするという答えを期待しておるからに決まっていよう!何故それがわからぬ!』

エシディシ『あ、そーいうことね。しかしカーズよ、1日遅かったな?』

カーズ『ほえ?』

エシディシ『お前がやっても可愛くねぇよ』


エシディシ『俺も実は漫画描いてんだよ!もちろんその岸辺露伴の連載する雑誌に投稿するためにな!道具だって一通り揃えてあるぜ!』

カーズ『なッ、何ィィィィーーーーーーーーーーーッ!?』

エシディシ『そういうわけで、今回限りは俺とお前はライバル同士ってワケだ。俺か、お前のどちらかが途中で飽きたり挫けたりしない限りな』

カーズ『何ということだ……あのエシディシが俺より先に漫画家を目指していたなど……』

エシディシ『見るか?』

カーズ『う、うむ』


カーズ『な!?何だと!?こ、これは…………ッ!』

エシディシ『どうだ!?まだ下書きが残っていてペン入れもそこそこなんだが』

カーズ『貴様、昨日何か見ただろう』

エシディシ『プリキュアを少々』

カーズ『やはりか』

カーズ『……となると、ワムウと組めばよいだけのこと。エシディシめ、1人で寂しく萌えキャラでも描いていればいいのだ。ふぇえ……とか、らめぇえええっ!とか言わせて大きなお兄さん達を悦ばせる漫画を描いていればよいのだ』

ワムウ『カーズ様!どうなされました?』

カーズ『……ワムウ』

ワムウ『はい』

カーズ『今回俺は漫画家を目指すことにした。ただの漫画家ではない。1兆部売れそうなぐらい凄い漫画家だ』

ワムウ『おお!カーズ様なら不可能では御座いませぬ!』

カーズ『うむ、それだが私も初心者なのだ。出来れば手助けをお前に……』

ワムウ『あっ、申し訳ありません!カーズ様』

カーズ『何だ』

ワムウ『既に私は来月のイベントに出す新刊の原稿があります故……残念ながら、お手伝いできません』

カーズ『来月?新刊?何だそれは』

サンタナ『同人イベントですよ、カーズ様』

カーズ『犬っころ!何だそのダンボール箱は』

サンタナ『俺のサークルの次の新刊ですけど』

ワムウ『何ッ!お前のは既に完成していたのか?!』

サンタナ『早割価格じゃなきゃ払うの嫌だから。シュトロハイムにも手伝って貰ったしな』

ワムウ『うぐぐ……』

カーズ『ワムウ!犬っころ!!その話を詳しく教えろ!』

カーズ『なるほど、その同人誌とやらを頒布し合うイベントに出ることで、アマチュア同士交流するわけだな』

ワムウ『同じジャンルのファン同士で顔を合わせるのも楽しみの1つですし、己の実力を高めるモチベーションも上がります』

サンタナ『ページ数も自分で無理なく出来る量で良いしな』

カーズ『ほほう…………』

ワムウ『カーズ様、申し訳ございませんが印刷所の〆切が明後日に迫っておりますので……』

カーズ『あぁ、止めて悪かったなワムウ。完成したら、良かったらこのカーズにも見せてくれないか』

ワムウ『はっ』

サンタナ『…………』

カーズ『…………』

サンタナ『そ、それじゃ俺はこれからコピー本と無配の準備するんで、失礼しま……』

カーズ『待てい!犬っころ!』

サンタナ『ギクッ』

カーズ『同人というものは、誰でも自由に参加出来るのか?どんなイベントでもか?』

サンタナ『そ、そうですね……』

サンタナ(カーズ様は締切ギリギリのワムウの邪魔は絶対にしない!話の流れからして俺に手伝いをさせるつもりに決まっている!)

カーズ『コミケというものならテレビで見たことがあるが、夏と冬だけじゃあないのか?』

サンタナ『いえ、別にコミケだけでなく他にも沢山イベントやってますよ。ビックサイトだけじゃなくてインテックス大阪でもポートメッセなごやでも……』

カーズ『ほほう……………………』

サンタナ(だが、俺にカーズ様の命令を無下に断る勇気は、無い!例え犬と呼ばれても、それだけは出来ない……!!)

カーズ『で?お前が作ったというのがこの漫画か?ふぅむ……』

サンタナ『あ、えっと、18禁ですけど、あまり見ないで下さいよ……』

サンタナ(ならば、命令が下る前に逃げればよいだけのこと!)

カーズ『やはり好きな本を作る方が面白そうだな。《サンタナ》、手伝え』

サンタナ『はッ…………』

カーズ『手伝え』

サンタナ『は、はい』

サンタナ『で?取り敢えず近所で行われる再来月のコミックライブに申し込みしましたが、肝心の本の内容はどうするんで?』

カーズ『今流行りの作品でよかろうなのだ。その方が売れ行きも』

サンタナ『《露骨な肋骨》!!』

カーズ『な、何をする!《輝彩滑刀》の流法!!』

サンタナ『ぐにっ』

カーズ『ゴムみたいになって躱しおった。これだから勘に触るやつだ』

サンタナ『カーズ様!初っ端から売れ行きを気にするなんてまるで同人ゴロの考えですよ!作品にも失礼です!』

カーズ『……む』

カーズ『確かに今流行りというだけでは漫画のネタになるほど詳しくもない』

サンタナ『そうでしょうが!もう、いきなり何を言いだすかと思ったら……』

カーズ『ふうむ』

サンタナ『別にオリジナルでも良いんですよ?そっちのジャンルの人口も多いんですから』

カーズ『…………あ、どうせならJOJOの孫とその親友をメインにした漫画を30ページくらい描けばよかろうなのだ!』

サンタナ『《憎き肉片》ッッッッ!!』

カーズ『なッ!貴様、主人に向かって2度も攻撃するなど!』

サンタナ『俺そういうのヤです』

カーズ『別に発酵させるかどうかはまだ言っていないのだ……』

サンタナ『中国の諺に《梨花の下で冠を正さず》ってあるじゃあないですか』

カーズ『フン』


サンタナ『それにいきなり大手ジャンルに飛び込むのも大変ですよ。ライバル達にもみくちゃにされません?』

カーズ『しかしピコ手過ぎてスペースでぽつんとしているのはどうにもつまらんではないか』

サンタナ『結局は自分の好きなモノでいいじゃあないですかもう』

カーズ『確かワムウの原稿も、《まりんとメラン》の二次創作だったな』

サンタナ『印刷部数もせいぜい50ですけど、それを一年かけて捌いているんですー』

カーズ『なるほど』

サンタナ『同人にとって1番必要な成分は愛!愛が篭っていない作品は、ファンが読めばすぐにわかりますよ』

カーズ『よし!まずは近所のとらのあなに行って研究と行こうか。フフフ待っておれい、今に目の玉が飛び出るほど凄い同人誌を作ってやるッ!!』

(書き込み規制で遅くなりました)

一方その頃。

リサリサ『JOJO、シーザー。お話があります』

ジョセフ『へいへいっと』

シーザー『JOJO貴様!先生が呼んでいるんだぞ!さっさと来ないかこのスカタン!』

リサリサ『ナチスを通じた情報網によると、ついに柱の男カーズがサークルデビューするとのことです』

シーザー『な、なんですって!?』

ジョセフ『は……?何の話?』

リサリサ『私の《エア・サプレーナ》はそこそこ名の通ったオリジュネの大手ジャンルであり、コミケでも何度かシャッター前を陣取ったことのあるサークルですが、あのカーズがサークルデビューするとなると、正面衝突は免れないでしょう』

シーザー『そんなまさか!長年描いてきた事で培われてきた先生の画力やストーリーの構成力に、あんな奴が追いつけるわけがありません!』

リサリサ『シーザー、奴らの高い知能と学習能力を侮ってはいけませんよ』

ジョセフ『えっと~~、俺も漫画は好きだけど、何なの?』

シーザー『た、確かに!ワムウのサークル《神砂嵐》や、サンタナの《メキシコに吹く熱風》も、ジャンルさえメジャーであれば中堅でもおかしくない!』

リサリサ『そう、奴らにはプロの上手い絵柄や特徴を完璧に理解、習得し、それを自分の絵として応用する事が出来るという《強味》がある!』

リサリサ『カーズはきっと、同人を始めるとなると利益優先、更には大手サークルを目指すでしょう。単にクオリティの高い本を作るだけでなく、手下の吸血鬼を使ってSNSに拡散し自分の知名度を上げたり、pixivに投稿したのならそいつらに評価させてランキングの調整も不可能ではない…………』

シーザー『先生!何か策はあるのですか!?』

リサリサ『かつて、東方projectのエロ同人を描いていた私の養父は言っていました。優れた同人誌は、その本を手に取っただけでも、そこから体内に生命エネルギーが流れ込んで来るように感じるものだと』

ジョセフ『え、ストレイツォが?』

リサリサ『私がまだストレイツォのサークルの売り子をしていた頃に話していました。伝説の同人作家であり、貴方の祖父ジョナサン・ジョースターのことを』

リサリサ『活動期間こそ短かったものの、ジョナサンの同人誌はまさに生命エネルギーに溢れ、手に取った屍生人を片っ端から倒して行き、その当時、サークル《悪の帝王》のディオを見事に打ち負かしたといいます』

シーザー『その話は父からも聞いたことがあります。父もナポリでは有名なAA職人であり、スクエニ系同人作家でしたから』

ジョセフ『』

リサリサ『残念ながら、その後エリナさんとの新婚旅行中の船の中で、ディオがジョナサンの描いた18禁同人誌をエリナさんに見せたために、彼は恥ずかしさのあまり船ごと爆死してしまいましたが……貴方たちにも、ジョナサンに匹敵する同人誌を作ることが出来るはずです』

シーザー『俺たちも、生命エネルギー《波紋》を込めた同人誌を作り、柱の男達に負けない大手サークルを作る!JOJO、わかったな!』

ジョセフ『これが、その血の宿命ってヤツか……!なんかよくわからねーけど、その《同人誌》ってヤツを作りたくなってきたぜ!シーザー!』

一方その頃。

シュトロハイム『ブワーーッハッハッハッハッ!!ナチスの印刷技術は世界一ィィィィーーーーッ!出来んことはないィィィィーーーー!』

サンタナ『うるさい』

シュトロハイム『イデデーーーッ!』

サンタナ『コピー本でも表紙は別の紙で刷りたいんだが。この《しこくてんれい》と《クリアPP加工》とどっちがいいだろう?』

シュトロハイム『おお!流石だなサンタナァ!もう原稿が出来たのか!カラーなら任せろ!フルカラーでも4色刷りといわず、16色刷りで綺麗に印刷してやるぞぉおおおお』

某日、某イベントにて。

ワムウ『ふう、結局割増価格になってしまったが何とか印刷所に送ることも出来たし、こうしてスペースにダンボールも届いている』

サンタナ『中身確認したか?表紙と中身が違うなんてことがあったらマズイぞ』

ワムウ『まさかそんなわけ……』

ワムウ『…………』

サンタナ『どうした』

ワムウ『俺が描いた《まりメラ本》が……中身だけ《遊☆戯☆王》になっている!……しかもBL18禁』

サンタナ『ブラマジと遊戯か……これはこれで』

ワムウ『何ということだ…………しかも俺のより上手い…………』


サンタナ『ワムウの顔が、汗だくで土気色だ……まなざしも……どこを見ているのか……うつろだぞ……両腕もダラリとしたまま筋肉に力がないッ!』

サンタナ『ワムウ!まだ諦めるな!イベント開始まで1時間残っているだろう!』

ワムウ『こ、これは閉じるところが回転するホッチキス……』

サンタナ『近くにキンコーズがある!そこでもう一度印刷するんだ!戦闘の天才としてカーズ様に可愛がられたお前が、ここで挫けてどうする!』

ワムウ『しかし、せっかく初めてオフセット印刷したというのに、これではあまりにも』

サンタナ『馬鹿ッ!まりメラ本なんてコミケでも見かけるか見かけないかわからないピコ手だぞ!もしも今日ここに、お前がpixivに上げたサンプルを見て楽しみにしていたマイナー趣味の一般参加者も来るかも知れないんだ!』

ワムウ『それを、落胆させるわけにはいかないか……!』

サンタナ『そうだ!マイナーカプを好む読み専にとっては、沢山あるメジャーカプ本の山より、1スペースしかないとしても目当ての本が一冊手に入る方がよっぽど嬉しい!』

ワムウ『うむ!それでは行って来るぞ!あ、それから』

サンタナ『何だ』

ワムウ『カーズ様は?』

エシディシ『あっ、ハイ。その日でお願いします。えーと、ハイ……あっ、わかりましたー』

がしゃん

エシディシ『ふぅ……ついに持ち込みの予約まで取ってしまったぜ……。《アオイホノオ》の主人公の気持ちだ』

エシディシ『あれ、今日イベントの日じゃあねぇのかな?カーズのヤツ、まだ起きてないようだが……』

カーズ『遅刻遅刻ーーーッッッッ!』

カーズ『私、カーズ!12万歳の天才!!今日は初めての同人デビューの日!なのにイキナリ寝坊しちゃって、私これからどうなるのーーーッッッ!じゃなくて翼生やして飛べばいいのか!!』

エシディシ『大丈夫かアイツ。完全に徹夜明けの最高にハイってヤツだぜ』

エシディシ『…………まいっか』

リサリサ『JOJO、シーザーは自分の本を売ることに集中なさい。スージーQ、売り子お願いします。ロギンズは頒布物の品出しを。メッシーナは……』

メッシーナ『うむ。このメモに書いてあるサークルの新刊の買い出し、そして柱の男達のサークルを偵察だな』

リサリサ『そうです。もしも奴らに変わった様子があれば報告を』

JOJO『ちと用心深すぎるのと違う~?さっきチラッとワムウやサンタナのサークル見て来たけど、島中じゃあねーか。壁サークルの《エア・サプレーナ》とは比べ物にならないぜ?搬入数も2つ桁が違うし』

リサリサ『JOJO、わかっていませんね。同人業界のシビアさを……!』

スージーQ『リサリサ様……?』

リサリサ『50年前のことです。あのジョナサン・ジョースターがオタクという名の屍生人を一瞬で気化させるほどの優れたエロ同人作家という話はしたでしょう』

ジョセフ『残念ながら』

リサリサ『ジョナサンの父、ジョージ1世もまた優れた同人作家でした。壁サークルとは行かずとも、紳士的な態度、予告した新刊は決して落とさず、そして必ず読者を満足させるボリュームの本』

ジョセフ『でもエロいんでしょう?』

リサリサ『ジョナサンも少年の頃は父の元で売り子をしていました。そこへ乱入したのが、あのディオ!』

ジョセフ&シーザー『!!』

リサリサ『同人初心者を演じていたディオは、まずジョージ1世とはホームページから接触を始め、常連の読者、そこから売り子としての参加を経て、いずれはそのサークル《ジョースター》を乗っ取ろうと目論んでいたのです』

リサリサ『その目論みはジョナサンによって阻止されましたが、ディオは……』

スッ

シーザー『それは……!石仮面!!』

リサリサ『そう、これは被って血を塗りつけると中の骨針が脳のあるポイントを貫き、それによって圧倒的な画力、ストーリー構成、台詞回しを努力せずに得ることが出来るという、絵師ならば垂涎モノのチートアイテム!これをディオは被ったのです』

シーザー『何てヤツだ……許さん!』

リサリサ『その後、ディオは自分でサークルを立ち上げ一躍有名になりましたが、それもあまりにも卑怯な手段を用いた末のことです。ジョージ1世はというと、その際のディオの策によって2度とサークル参加しないと決意するほどショックを受けました』

ジョセフ『そうか……俺の一族にはそんな因縁があったんだな……』

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