クレナイ・ガイ「惑星侵略連合の星人達が女の子の姿になってる!?」 (131)

大空大地「サイバーカードの絵柄が女の子の絵になってる!?」大空大地「サイバーカードの絵柄が女の子の絵になってる!?」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458905678/)

を書いた者です。続編ではありませんのであしからず


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1495286357


~ 某日、宇宙船内 ~


メフィラス星人ノストラ「………」



ジャグラ ス・ジャグラー(以下ジャグラー)『あなたのやり方は人間の心の善悪を問う昔ながらのやり方だ』

ジャグラー『時代はもっと進んでるんです』



メフィラス星人ノストラ(時代はもっと進んでいる、か…
        ……ならば今の時代に即した新たな侵略の方法とは、一体何なのだ…?)


メフィラス星人ノストラ「……メトロン星人タルデよ」

メトロン星人タルデ「はっ、いかがなさいましたか? 偉大なるドン・ノストラ」ツカツカ

メフィラス星人ノストラ「……タルデよ、お前はどう思う?」

メトロン星人タルデ「……と、言いますと?」

メフィラス星人ノストラ「我々の地球侵略の方法についてだ。
        ……先日、あのジャグラス・ジャグラーが口にした言葉を覚えているか?」

メトロン星人タルデ「……ええ、我々のやり方を“昔ながら”と揶揄したあの事ですね…」


ナックル星人ナグス「けっ!あんな奴の言った戯れ言などいちいち気にする必要ねェぜッ!」ツカツカ

メフィラス星人ノストラ「………」

メトロン星人タルデ「……いや、あの男が言った事にも一理ある」

ナックル星人ナグス「あっ?」

メトロン星人タルデ「科学技術の発展による生活水準の向上や、絶えず変化する地球環境の様相は、ここ数十年の内に地球人の倫理観にも大きな影響を与えている。
       過去の倫理観に沿って地球人の精神を掌握しようなどというのは、ジャグラーの言う通り時代錯誤な古いやり方なのかもしれん…」

メフィラス星人ノストラ「……ならば今日日の地球人に対し、最も有効な侵略方法とは一体何だというのだ?」

メトロン星人タルデ「それは…そうですねぇ…」

メトロン星人タルデ(今時の侵略方法……今時……はっ!)ピコーン!

メトロン星人タルデ「偉大なるドン・ノストラ。ひとつ、良い方法を思い付きました…!」

ナックル星人ナグス「あぁ? 良い方法だぁ?」

メフィラス星人ノストラ「ほう? 聞かせてみろ」

――――


メトロン星人タルデ「まずはこれを御覧下さい」ポチッ

ヴンッ


https://youtu.be/E5rQmGFS2dk


ナックル星人ナグス「…… 何だァ? この映像…」

メフィラス星人ノストラ「……メトロン星人、説明しろ」

メトロン星人タルデ「はっ。これは只今地球人共の間で流行しているアニメーション作品の一つです。
       怪獣達の力をその身に宿した美少女キャラクター達が活躍するという…まぁ、俗に言う“萌え擬人化モノ”のアニメです」

ナックル星人ナグス「怪獣達を擬人化ァ? 全く地球人共のやる事は頭のネジがトンでるぜ…」

メフィラス星人ノストラ「……それで、このアニメがお前の考える侵略作戦にどう絡んでくるというのだ?」

メトロン星人タルデ「はっ。つまりはこのアニメが示す通り、地球人共は“かわいいモノには目がない”ということなのです。
       もし…このアニメと同じように地球人の美少女風に姿を変えた怪獣が現れたとしたら、一体どうなりましょう?
       目の前にいるそれは醜い獣ではなく、か弱い少女なのです。地球人共は攻撃を行うことを躊躇ってしまうに違いありません」

メトロン星人タルデ「それは恐らく光の戦士であるウルトラマンオーブとて同じこと。
       上手くいけば、オーブに精神的ダメージを与える事も見込めます」


メフィラス星人ノストラ「……ほう…」

ナックル星人ナグス(話だけ聞くと間抜けにも程があるが……まぁ確かに少しばかりは効果があるかもな…)

ナックル星人ナグス「…んで、具体的にどうやって怪獣を小娘の姿に変えるってんだ?
       まさか怪獣に整形手術でもさせようってんじゃないだろうなァ…?」

メトロン星人タルデ「その点は心配に及ばん。秘密兵器がある」

ナックル星人ナグス「あぁ?秘密兵器だァ…?」


~ 宇宙船内のとある一室 ~


メトロン星人タルデ「偉大なるドン・ノストラ。こちらを御覧下さい」


デーン!


メフィラス星人ノストラ「……何だこりゃ?」

メフィラス星人ノストラ(……密室空間の中に巨大な装置が設置してあるが、これは一体…?)

メトロン星人タルデ「これは“セルチェンジビーム発生装置”と言って、照射した物体を思い通りの形に変身させる事が可能な特殊な光線を放つ事が出来る装置であります」

メトロン星人タルデ「ババルウ星人の変身能力を解析し開発した装置であり、有機物、無機物問わずどのような物質に対しても効果を発揮します」

ナックル星人ナグス(メトロン星人の野郎…何時の間にこんなモン船内に作りやがったんだ…)

メトロン星人タルデ「今回の作戦ではこの装置を用い、怪獣達を地球人好みの美少女に変身させるつもりです。
       ドン・ノストラの許可さえ頂ければ今すぐにでも実行致しますが、いかがなさいましょうか?」

メフィラス星人ノストラ「……よし、許可しよう。
       メトロン星人タルデよ、速やかに作戦を実行に移すのだ」

メトロン星人タルデ「ははっ!」

ナックル星人ナグス「……別に疑ってる訳じゃねーがよォ…本当にこんな装置一つで上手くいくのかよ?」

メトロン星人タルデ「動物実験の段階では既に成功している。怪獣での実証実験はまだだが……まぁ、大丈夫だろう」

ナックル星人ナグス(大丈夫だろうってコイツ…)


―――


メトロン星人タルデ「今回はこのゴモラのカードにセルチェンジビームを照射し、ゴモラを美少女風の怪獣に転化させます。
       成功すればこのカードは、萌え怪獣擬人化カードとして生まれ変わるでしょう」

メフィラス星人ノストラ「成る程。早速始めるのだ」

メトロン星人タルデ「御意に。セルチェンジビーム、照射開始」ポチッ


ズビー!


バリバリバリバリ~!!


ナックル星人ナグス「おっ!段々とカードの絵柄が変わってきてるぜ!」

メトロン星人タルデ「出力も安定している。このまま行けば…」

メフィラス星人ノストラ「………」



ズビッ……ズビビッ


ナックル星人ナグス「……おい、何か光線の出が悪くなってねーか?」

メトロン星人タルデ「おかしい……実験の段階ではこのような事はなかったのだが……―ッ!?」



バチチ…バチッ…


メフィラス星人ノストラ「どうしたメトロン星人?故障か?」

メトロン星人タルデ(エネルギー増幅炉に異常が発生!? マズイッ!
       このままでは…装置が爆発するッ!)

メトロン星人タルデ「ドン・ノストラ!至急退避をッ!」


ピカー…


メフィラス星人ノストラ「なッ!!?」


ドガーンッ!!



―――


ジャグラー「……で、皆さん揃いも揃ってそんな姿になってしまったとwwwwwww」



ナックル星人ナグス(擬人化)「笑ってんじゃねーぞこらぁ!」

http://i.imgur.com/OkRSZCR.png


メフィラス星人ノストラ(擬人化)「………」

http://i.imgur.com/AfRUypT.png


メトロン星人タルデ(擬人化)(ま…まさか爆発のショックで外に漏れ出したエネルギーの影響で、我々の方が美少女の姿になってしまうとは…)

http://i.imgur.com/ifZjvMs.png





メフィラス星人ノストラ「……メトロン星人タルデよ…」

メトロン星人タルデ「はっ!ははぁっ!申し訳ございませんドン・ノストラぁーっ!!」

メフィラス星人ノストラ「……謝罪はいい。我々が元の姿に戻る為の方法を教えろ…」

メトロン星人タルデ「……はい…元の姿に戻る為には、もう一度セルチェンジビームを浴びる他ありません…
       しかし、肝心の装置の方が爆発で大破してしまい…今すぐという訳には…」

メフィラス星人ノストラ「……修復は、可能なのか…?」

メトロン星人タルデ「それが…装置の起動に必要なマテリアルには、ババルウ星人の細胞から抽出したとある物質が必要不可欠でして…
       以前はそれをババルウ星人ババリューの身体から拝借していたのですが……その…ババリューが失踪してしまった今となっては…」

ナックル星人ナグス「なっ!? じゃああの野郎を見つけ出さない限り、俺達はずっとこの姿のままなのかよ!?」

メトロン星人タルデ「我々もババリュー以外のババルウ星人に宛がある訳ではないしな…そういう事になるだろう」

ナックル星人ナグス「なっ!!はあぁーっ!?」

メトロン星人タルデ「他に装置を直す方法がないのだ。致し方あるまい…」

ナックル星人ナグス「しか…!仕方ないじゃねーだろこらーっ!」


メフィラス星人ノストラ「―っ!いいからさっさとババリューの奴を探し出して来ーいっ!!」

メトロン星人タルデ&ナックル星人ナグス「「はっ!ははぁー!」」ビクッ!


ジャグラー「おやおや、そんな可愛らしい姿で怒鳴られても…迫力が全くないですよ?」

メフィラス星人ノストラ「ええい!うるさいうるさい!」プンプン!


メトロン星人タルデ(……ぷんぷん怒るドン・ノストラかわいい…)


~ 地球 都内某所 ~


ナックル星人ナグス「で、どうやってババルウ星人の野郎を探すつもりだ?
       異星人探知機とか秘密道具があるんならとっとと出しやがれよ」

メトロン星人タルデ「……そんな便利な道具などあるものか…
       些か時間は掛かるが、地道に聞き込みをする他あるまい」

ナックル星人ナグス「はぁ!? そんなチマチマした方法であの野郎を見つけるつもりかよ!?」

メトロン星人タルデ「奴はこの地球社会に溶け込む為に、今は地球人の姿に化けている筈だ。
       恐らく、この間の作戦で地球上に潜伏していた時の姿と、同じ姿で生活していると推測される。
       それさえ分かっていれば、聞き込みなりで奴の居場所に関する手掛かりも掴める筈だ」

ナックル星人ナグス「けっ!そんなチンタラやってる内に、ドン・ノストラが痺れを切らさなけりゃ良いがなぁ…!」

メトロン星人タルデ「………」




ザワザワ…


モブ女A「ちょっと…!あの娘達見てよ…」ヒソヒソ

モブ男A「うわ…何てダイタンな格好してんだ…」ヒソヒソ



ナックル星人ナグス「……なぁ…さっきからやたらと地球人共にチラチラ見られてねーか? 俺達…」

メトロン星人タルデ「別に…我々のような宇宙人が好奇の目で見られる事など、特別珍しいことではないだろう?」

ナックル星人ナグス「いや…そりゃあそうだけどよぉ…」

ナックル星人ナグス(何か、今までの感じとは少し違う感じがすンだが…)


モブ男B「………」ジロジロ

ナックル星人ナグス「ちっ!おら!見せもんじゃねーぞこらぁ!」ガルル!


モブ男B「あっ、すいません…」

モブ男B(……か…かわいい…!)キュン


メトロン星人タルデ「………」

メトロン星人タルデ(成る程…確かにこの姿の美貌、本物のようだな)


―――


モブキモ男(グフッ…!カワイイナァアノコタチ…!)盗撮パシャ!…パシャ!


ナックル星人ナグス(……あの野郎…!さっきから俺たちの後を着けて何かやってると思ったら!)


モブキモ男「…グフフッ…!ミエソウミエソウ…!」盗撮パシャ!…パシャ!


ナックル星人ナグス「ちっ!てめー何コソコソ俺らのこと撮ってんだよこらぁ!」ダッ

モブキモ男「エッ!!?」

ナックル星人ナグス「人様のツラを勝手に撮影するたぁイイ度胸してんじゃねーか!あぁん!?」ツカツカ

モブキモ男「ヒッ!…アノ…ソノ…トッ…トッテナイ…デス…」オロオロ

ナックル星人ナグス「嘘つけや!疚しいことしてないってンなら俺に今撮ったもの見せやがれ!」ガシッ!

モブキモ男「ヒッ!ヒイィィ!!」

ナックル星人ナグス(やれやれ…あまり目立った揉め事は起こして欲しくないのだが…)

メトロン星人タルデ「おいナックル星人、その辺にして…」


―――


モブキモ男(グフッ…!カワイイナァアノコタチ…!)盗撮パシャ!…パシャ!


ナックル星人ナグス(……あの野郎…!さっきから俺たちの後を着けて何かやってると思ったら!)


モブキモ男「…グフフッ…!ミエソウミエソウ…!」盗撮パシャ!…パシャ!


ナックル星人ナグス「ちっ!てめー何コソコソ俺らのこと撮ってんだよこらぁ!」ダッ

モブキモ男「エッ!!?」

ナックル星人ナグス「人様のツラを勝手に撮影するたぁイイ度胸してんじゃねーか!あぁん!?」ツカツカ

モブキモ男「ヒッ!…アノ…ソノ…トッ…トッテナイ…デス…」オロオロ

ナックル星人ナグス「嘘つけや!疚しいことしてないってンなら俺に今撮ったもの見せやがれ!」ガシッ!

モブキモ男「ヒッ!ヒイィィ!!」


メトロン星人タルデ(やれやれ…あまり目立った揉め事は起こして欲しくないのだが…)

メトロン星人タルデ「おいナックル星人、その辺にして…」



渋川「おいおいおい!そこのキミ!」タッタッタッ


ナックル星人ナグス「あぁ?」ギロッ

渋川「止め止め!ストップ!ストップ!
   まさかとは思うが、女の子が男相手にカツアゲか!?」

ナックル星人ナグス「ンなことてめぇには関係な……ってお前はっ!?」

渋川「えっ?」


メトロン星人タルデ「…あっ」

メトロン星人タルデ(この男…何処かで見覚えがあると思ったら、あの時の侵入者か…)(※第6話参照)



スタスタ

ジェッタ「んっ?どうしたの渋川さん?」

シン「何か事件ですか?」


ナックル星人ナグス(なっ!? コイツらまで出て来やがった…!)

メトロン星人タルデ(……この地球人達は…確かあの騒動の時この男と一緒に居た奴らだったな)


渋川「おう、お前らか。いやぁ、別に事件って程のことじゃないんだけどな…」

ジェッタ「いやぁ傍から見れば十分騒ぎだって…うぉッ!?」ビクッ

ジェッタ(何だこの娘達の格好!? 何かのコスプレ…?)

シン(な…何て破廉恥な格好なんでしょうか…!)



メトロン星人タルデ「………」

メトロン星人タルデ(……そういえば…この茶髪の若者はかつて、作戦行動中だったババルウ星人との間に交流があった筈…)


メトロン星人タルデ「………」

メトロン星人タルデ(…閃いた)ニヤッ




メトロン星人タルデ「あの…何か誤解をされているようですが、別に彼女はカツアゲをしていた訳ではありませんよ?」

渋川「えっ!?」

メトロン星人タルデ「実はそこの男性が…」


―――


渋川「いやー面目ない!お嬢ちゃんの威勢があまりにも良かったもんだから、てっきり何か善からぬ事でもしてるのかと!」

ジェッタ「てっきりじゃないよ渋川さん…こんなちっちゃい女の子が白昼堂々カツアゲなんかする訳ないじゃん!」

渋川「ああ、確かに言われてみればそうだよなぁ」


ナックル星人ナグス「ちっちゃ!ちっちゃいだとぉ…!」ワナワナ…

メトロン星人タルデ「抑えなさいナックル星人。今の貴方は彼の言う通りの姿なんですから」

ナックル星人ナグス「ぐぅ…!そもそもはテメェの失敗が原因でこんな事にぃ…!」プルプル

メトロン星人タルデ「はいはい、抑えて抑えて」ポンポン


渋川「いやー悪かったね二人とも。変な疑い掛けちゃって!」

メトロン星人タルデ「いえ、気にしないで下さい。間違いは誰にだってありますよ」ハハハ

ナックル星人ナグス(てめぇ…どの口が言ってやがんだ…!)プルプル





メトロン星人タルデ「あっ、そんな事よりも皆さん。
       少し、お聞きしたい事があるのですが…」スッ

ジェッタ(んっ?)

メトロン星人タルデ「あの、この似顔絵の方について何か知りませんか?」ペラッ


―ババルウ星人ババリュー(の人間態)の似顔絵)



ジェッタ「―ッ!? これって!まさか…馬場先輩!?」

シン「お知り合いの方ですかジェッタくん?」

ジェッタ「知ってる知ってる!間違いなく馬場先輩だよ!」



ナックル星人ナグス「お…おいメトロン星人…!」グイッ

メトロン星人タルデ「うおっ」グラッ

ナックル星人ナグス「テメェ…!奴の似顔絵をよりによってコイツらに見せるなんて、一体どういうつもりだ…!」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ「……このチャラチャラした方の男は、ババルウ星人が地球人の姿に扮して作戦を行っていた頃に、奴と交流を持っていた人物の一人だ。
       何かしら、ババルウ星人の所在に繋がる情報を聞き出せるかと思ってな」ヒソヒソ


シン「で、どうして貴女達はその方の事について聞き込みを?」

メトロン星人タルデ「ああ、それはですね…」クルッ

メトロン星人タルデ(……適当に嘘をついて誤魔化すか…)

メトロン星人タルデ「……実は私達、ついこの間悪い宇宙人に連れ去られそうになったんです…」

ジェッタ「えっ!?」

ナックル星人ナグス「はぁ!? お前何言って…」

メトロン星人タルデ「いいから話を合わせろ。これも奴を探し出す為だ」ヒソヒソ

ナックル星人ナグス「……けっ…!」



メトロン星人タルデ「……あの光景は、今でも鮮明に覚えています…
       暗い夜道の中、二人で家路を急いでいたところ…
       白くて、顔の形がコロコロ変わる宇宙人が暗闇の中から突然現れて!私達の後を追いかけて来たんです!」

シン(ほうほう、これは興味深い話ですねぇ!)

メトロン星人タルデ「私達は走ってその宇宙人から逃げたのですが…宇宙人はとても足が早くて、あっという間に追い付かれてしまいました…」

ナックル星人ナグス(……ここまで全部作り話だかんな…)

メトロン星人タルデ「宇宙人は懐から大きな銃のような物を取り出して、私達にそれを向けました…
       ……正直、内心もう駄目かと諦めかけていました……が、正にその時!
       『諦めるなッ!』という雄叫びにも似た声と共に、この似顔絵の男の人が颯爽と現れて、宇宙人を撃退してくれたんです!」

ジェッタ「……す…凄い…!」

ジェッタ(馬場先輩…!俺の知らない所でそんなカッコいい事を…!)

メトロン星人タルデ「私は、その方に感謝の言葉を述べつつ御名前を伺ったのですが…『名乗る程の者ではありません』と、彼はそそくさとその場を後にしたのです…」

ジェッタ(馬場先輩ってば…!きっと照れてたんだな!)

ナックル星人ナグス(……メトロン星人の野郎…よくもまぁこんなスラスラと口から出任せを…)


メトロン星人タルデ「私達、どうしてもその方に御礼がしたいのです。
       些細な情報でも良いので何かこの人について知っている事があったら、私達に教えて頂けないでしょうか?」

ナックル星人ナグス(……ここはメトロン星人の作り話に乗ってやるか…)

ナックル星人ナグス「おr…いや、アタシ達、出来るだけ早くソイツに会いたいんだよ!だからよ…
       ……知ってる事があンならとっとと吐いた方が、身のためだぜ? あんちゃん達…」ギロッ

メトロン星人タルデ「……ナックル星人、貴方それが人にものを頼む態度ですか?」ヒソヒソ

ナックル星人ナグス「うるせー…!俺は謙ったモノの頼み方ってのが大嫌いなんだよ…!」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ「はぁ…すいません。この子ちょっと生意気盛りなもので…口が悪くて」

ジェッタ「えっ? あぁ、いいよ別に気にしてないから!
     そっか…キミ達、それで馬場先輩の事を探してるんだね」

メトロン星人タルデ「はい…。どうやら似顔絵を見た時の反応から察するに、貴方はあの方のお知り合いのようですが… 
       もし、彼の今の所在地か連絡先が分かるのなら、教えてもらう事は出来ないでしょうか?」

メトロン星人タルデ(よし…このまま奴の居場所を聞き出すことが出来れば…!)


ジェッタ「えっ!……あっ…あのー、その事なんだけどさ…」

ナックル星人ナグス(んっ?)

ジェッタ「その…ごめん!俺も馬場先輩とはだいぶ前に会ったっきりで、先輩が今何処に居るかとか知らないんだ!」

メトロン星人タルデ「えっ!?」

メトロン星人タルデ(な…何だと!?)ガーン


ナックル星人ナグス「ほら、こんな奴らに話を聞いたところで時間の無駄だぜ…」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ「そんな…折角の手掛かりが…」ガクッ



渋川「あーあ…何か分かりやすいくらいのリアクションでショゲちゃったなぁあの娘…」

シン「よっぽどその馬場さんという方に会いたいんでしょうねぇ…」


メトロン星人タルデ「うぅ…」


ジェッタ「あっ!そうだ二人とも!
     何なら、俺達も君らと一緒に馬場先輩のこと探すのを手伝うよ!」

メトロン星人タルデ「えっ!ほ…本当ですか!?」

ジェッタ「ああ!ここで会ったのも何かの縁だしさ!協力するよ!」

ジェッタ(それに…俺も久しぶりに馬場先輩に会いたいし!)

メトロン星人タルデ「あ…ありがとうございます!どうかよろしくお願いします!」ペコッ

ナックル星人ナグス「お…おい…!よりにもよってコイツらの手を借りるつもりかよ!?
       ババルウ星人の居場所知らないんならコイツらと組む必要なんかないだろ!」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ「……手掛かりがあまりにも少ないのだ。利用出来るものは四の五の言わずに何でも利用しなければならん…
       それに、コイツらがババルウ星人を匿っているという可能性もゼロではないからな」ヒソヒソ

ナックル星人ナグス「けっ…!ああそうかい…!」ヒソヒソ


シン「……“俺達”とは聞き捨てなりませんがジェッタ君…それって僕にも手伝えという事ですか?」

ジェッタ「良いじゃないのシンさん!これも人助けと思ってさ!」

シン「いえ、協力したいのは山々なのですが…新しい発明品のアイディアが今朝浮かんだばかりでして…
   それの開発の為にも人探しに時間を割いていられるような暇は…」


メトロン星人タルデ「お願いします。シンさん」ギュッ


シン「ほッ!?」

シン(て…ててて手を握って!?)

メトロン星人タルデ「私達も無理に手伝えとは仰いません…
       でも、見るからに聡明そうな貴方の頭脳を借りることが出来れば、私達も心強いのですが…」

シン「えっ…!ええっと…!その…」


メトロン星人タルデ「………」ウルウル…


シン「……ま…まぁ良いでしょう!
   この天才松戸シン博士に掛かれば人探しの一つや二つあっという間に片付きますよ!」

メトロン星人タルデ「ありがとうございます。頼もしい限りです」ニコッ

メトロン星人タルデ(ふっ…地球の男はちょろいな)

ナックル星人ナグス(……メトロン星人…テメェその姿でいること楽しんでねーか?)


ジェッタ「よし、そうと決まれば早速ウチのオフィスに戻って情報収集開始だ!」

シン「キャップにも事情を説明しなければなりませんね」

渋川「そっか、まぁ頑張れよお前ら!俺も応援してるからな!」

シン「……渋川さんは手伝ってくれないんですか?」

渋川「あのなぁ…ビートル隊だって暇してる訳じゃないんだからな?」

ジェッタ「あー!分かってる分かってる!大丈夫だって!馬場先輩は俺達だけで何とか探すから!」

渋川「おっ、そうか」

ジェッタ(……もしビートル隊に馬場先輩が宇宙人だって事がバレたら一大事だもんなぁ…
     正直、渋川さんにはあまり協力させたくないな…)


シン「あっ、そう言えばまだ御二人には自己紹介をしていませんでしたね?」

メトロン星人タルデ「えっ?」

ジェッタ「俺の事はジェッタって呼んでね!未来のスーパーセレブの名前だから覚えておいて損はないよ!」

シン「未来のノーベル賞受賞者松戸シン博士です!以後お見知り置きを!」

ナックル星人ナグス「はぁ…」

ジェッタ「そうだ!二人は名前、何ていうの?」

ナックル星人ナグス「えっ!? な、名前…?」

メトロン星人タルデ(……名前か…本名である星人の名前を名乗る訳にはいかないしな…)

ナックル星人ナグス「ど…どうすンだよメトロン星人…!」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ「……ここはそれっぽいのを即興で決めるぞ、ナックル星人…」ヒソヒソ

ナックル星人ナグス「お…おう…」



メトロン星人タルデ「……め…メロで~す…」

ナックル星人ナグス「……な…ナナ…だ…」


ジェッタ「メロちゃんにナナちゃんかぁ…!改めてよろしくね!」

メトロン星人タルデ(おぉ…適当に本名を文字って決めた名前だったが、違和感はなかったか…)

メトロン星人タルデ「はい、こちらこそよろしくお願いいたします。ジェッタさん、シンさん」ペコリ

メトロン星人タルデ(……これで、事態が好転すれば良いのだが…)



~ 宇宙船内 ~


メフィラス星人ノストラ「全くメトロン星人の奴め!もし何の成果も上げられずにおめおめと帰って来るような事があったら…タダではおかんぞ!」

メフィラス星人ノストラ(くっ!奴のお陰でこの私がこんな小娘なんぞの姿に…!
         全く!こんな弱々しい自分の姿など見るに堪えん!)鏡チラッ

メフィラス星人ノストラ「………」

メフィラス星人ノストラ(……見るに堪えん…が……しかし…)


メフィラス星人ノストラ(……悪くは…な…)


ジャグラー「その姿はお気に召しましたかな? ドン・ノストラ…」ヌラリッ…

メフィラス星人ノストラ「ぁひゃいっ!?」ビクッ!

ジャグラー「フフッ…」ニタァ

メフィラス星人ノストラ「じゃ!ジャグラーっ!? 何時からそこに!?」

ジャグラー「いえ、だいぶ前から隣にいましたが…
      ……それにしても今の反応、まるで本物の地球人の少女のようでしたねぇ…
      もしかして、事故の影響で心までも少女のそれになってしまわれたのでは?」

メフィラス星人ノストラ「そっ!そんな訳があるか!何を馬鹿なことを…!」

ジャグラー「フフッ…気を付けて下さい。
      肉体の変化とは、時として精神面にも大きな影響を与えるものですから……では…」スタスタ

メフィラス星人ノストラ(ふんっ!ジャグラーの奴め何を戯けたことを!
        私を誰だと思っている!? 私は偉大なる頭脳を持つ悪質宇宙人!メフィラス星人ノストラだぞ!
        自らの姿形が多少変化しただけで、精神がどうにかなる私では…!)鏡チラッ

メフィラス星人ノストラ「………」


メフィラス星人ノストラ(………か……かわい……い…?)


とりあえず今日はここまで

CM
https://youtu.be/mR3-heS976w


~ SSPオフィス ~


ガラガラ

シン「ただいま戻りました~」

ジェッタ「キャップ~ちょっと話があるんだけどさぁ…」


ナオミ「あっ、二人ともおかえ……ってヴぇッ!?」


メトロン星人タルデ「お邪魔しまーす」スタスタ

ナックル星人ナグス(へぇ~…ここがコイツらのアジトか)ズカズカ


ナオミ「なッ!何なのよそのダイタンな服を着た娘達はッ!?こ…コスプレ!?
    ジェッタ!まさかアンタ、ナンパした娘をウチのオフィスに連れ込んで!」

ジェッタ「違う違う!そんな疚しいことしてないって…」

シン「えーっと…これには色々と深い事情がありましてね」

ナオミ「へぇ~…じゃあそれってどんな事情なのよ!言ってみなさいよ!」


ジェッタ「キャップ!!」ズイッ!

ナオミ「ぅえ゙っ!?」ビクッ!

ジェッタ「お願いだよ!俺達SSPの力で、この娘達の頼みを叶えてあげたいんだ!」

ナオミ「……へっ?」


メトロン星人タルデ「………」


~ ジェッタ説明中 ~


ジェッタ「という訳なんだよキャップ!」

ナオミ「成る程ねぇ……言いたいことは分かったけど、うーん…」

シン「あの…何か問題でも?」

ナオミ「えーっと…私だって手伝いたい気持ちは山々なのよ?
    でも、正直なところ今の私達に人探しに時間を割いてるような暇なんてないわよ。今月だって赤字だし…」

メトロン星人タルデ「勿論、タダで人探しを手伝えとは言いません。
       協力してもらう以上、それ相応の対価は御支払いするつもりです」

ナオミ「そんな!お金を払って貰いたいって訳じゃ…」

ジェッタ「そうだよ!俺達お金が欲しくて協力するんじゃないんだからさ!そういうのは言いっこなしだよ!」

ナックル星人ナグス(…ったくもう面倒臭ぇ奴らだなぁ…!)

メトロン星人タルデ「……しかし、タダで手伝ってもらうという訳には…」

メトロン星人タルデ(……一方的に貸しを作ってばかりというのも、面白くないのでな…)

シン「んー……あっ、そうだ!
   御二人とも、僕達の取材の仕事を手伝ってみるというのはどうでしょうか?」

メトロン星人タルデ「……は?」

ジェッタ「そうだよ!シンさんナイスアイディア!
     キャップも労働力って形なら文句ないでしょ? お金を取るって訳じゃないし!」

ナオミ「いやだからそういう問題じゃ…」

ジェッタ「ちょっと俺達の仕事を手伝ってもらうついでに、こっちも人探し手伝うだけだからさ!ね? 良いでしょ!?」ズイッ

ナオミ「……まぁ、私からは出来る範囲でしか協力は出来ないわよ?」

シン「それは承諾したという意味で捉えてよろしいのですね?」

ジェッタ「よし!流石キャップ!話が分かる!」


メトロン星人タルデ「あの…貴方達の仕事とは、一体…?」

ジェッタ「んっ? ああ!俺達“SSP”っていう、怪奇情報や未確認生物、それに宇宙人なんかの情報を専門に取り扱うサイトを運営してるんだ!」

メトロン星人タルデ(ほう…)

ジェッタ「仕事と言ってもそんなに難しい事は任せないよ!勿論二人が良いならの話だけど…」

メトロン星人タルデ「……分かりました。私の方からもお願いします」


ナックル星人ナグス「お…おい!いいのかよメトロン星人…」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ「まぁ、乗りかかった船というヤツだ。
       それに…怪現象を追跡する組織とは、宇宙人を探す我々にとっては御誂え向きではないか?」ヒソヒソ

ナックル星人ナグス「そりゃあ…そうかもしれないけどよぉ…」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ「……気が乗らないというのなら、私ひとりでやるが…」ヒソヒソ

ナックル星人ナグス「ちっ…!あ~あ!分かったやるよやりますとも…!
       俺だって、とっとと元の姿に戻りてーんだからな…!協力することがあンなら何だってやってやるよ…!」ヒソヒソ


メトロン星人タルデ「……よし、それでこそナックル星人だ。そうと決まれば…」


ガラガラガラ


メトロン星人タルデ(んっ?)


ジェッタ「あっ、お帰りガイさん」

ガイ「おう、ただいま」


メトロン星人タルデ(なっ!? この男はまさか…!クレナイ・ガイっ!?)

ナックル星人ナグス(野郎っ!何でここに!?)


ガイ「んっ? 客人か?」

ジェッタ「ああ、ガイさんにも紹介するよ!この娘達は」



ナックル星人ナグス「おいおい…!どうすんだよメトロン星人…!」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ「おっ…落ち着け…!我々の姿は今、地球人の少女の姿に変身しているのだ!正体がバレる筈など…」ヒソヒソ


ジェッタ「という訳で、皆で人探しを手伝おうって事になったんだよ!」

ガイ「成る程なぁ……んっ?」

メトロン星人タルデ(―ッ!?)


ガイ「………」ジー


ジェッタ「……ガイさん?」

ナックル星人ナグス(メッチャ見てる!メッチャ見てやがるぜこのウルトラマン!)

メトロン星人タルデ(くっ!まさか早くも我々の正体に気付いたのか!?
       ここまで来て計画が水泡に帰すなど…!)


ガイ「………」ジー

メトロン星人タルデ「……あの…何か?」

ガイ「……アンタ達…」


メトロン星人タルデ「………」ゴクリッ…


ガイ「……どっかで見たことあるような…」


メトロン星人タルデ「うっ!?」ビクッ!

ナックル星人ナグス(くそっ…!殺るしかねぇか!?)スッ


ジェッタ「ちょっとガイさ~ん!何コテコテのナンパの手段使ってるんだよ~!」

ガイ「えっ?」

シン「ガイさんも隅に置けませんね~!」

ガイ「あっ!いや、別にそんな意味で言った訳じゃ!」

ナオミ「………」ジトォ~…


ガイ「……あー…どうやら俺の勘違いだったらしい。スマン、忘れてくれ」

メトロン星人タルデ「えっ? あっ、はぁ…」

ナックル星人ナグス(……けっ、脅かしやがって…)

メトロン星人タルデ(ふぅ…ナイスだ、チャラ男とメガネくん…)


~ 昭和レトロなボロアパート ~


メトロン星人タルデ「暫くはこのアパートを我らの活動拠点とする。
       いちいち宇宙船に戻るよりも、現地に留まった方が何かと都合が良いからな」

ナックル星人ナグス(単にテメーがドン・ノストラに合わせる顔がないから、帰るに帰れねぇだけだろーが…)

ナックル星人ナグス「にしても随分と年季の入ったボロ屋だな、こりゃ……埃っぽいったらありゃしねぇぞ…
       こんなボロ屋なんかよりもっと良い塒なんて、探せばいくらでもあるだろうが?」

メトロン星人タルデ「文句を言うな。我々の活動資金にも限界があるのだ。
       今後の活動を見越すとなるとあまり無駄使いは出来ん」

ナックル星人ナグス「けっ、そうかい…」

メトロン星人タルデ「それになナックル星人…このアパートも存外悪い物件ではないぞ。
       見ろ、このベランダから一望出来る美しい夕日を…」

ナックル星人ナグス「って!やっぱりお前の趣味でここに決めたんじゃねーか!」


メトロン星人タルデ「ちなみにこのアパートは風呂無しトイレ共同だ。なので風呂に入るには近所の銭湯を利用する他ない」

ナックル星人ナグス「へっ、別に風呂の心配なんて俺達にゃどうでもいい事じゃねーか
       風呂に入らないからって星人死ぬ訳じゃねぇんだからよ」

メトロン星人タルデ「忘れたのかナックル星人? 今の我々の身体は地球人の女性のそれなのだぞ。
       風呂にも入らないようなガサツな生活を送っているようでは、地球人の社会に完璧に溶け込むことなど不可能だ。
       あのSSPの連中…ひいてはクレナイ・ガイにまで我々の素性を怪しまれる事になるだろう。そうなれば我々の計画が奴らに知られる危険性も…」

ナックル星人ナグス「けっ!はいはい分かったよ!行けばいいんだろ行けば!」


メトロン星人タルデ「よし、そうと決まれば話は早い」スッ

ナックル星人ナグス「あっ?」

メトロン星人タルデ「さぁ、今すぐ銭湯へ行くぞナックル星人。くれぐれもお風呂道具を忘れないようにな」ダッシュ

ナックル星人ナグス「お前…!地球での現地生活楽しみ過ぎだろ!?」



~ 銭湯 ~


カポーン

メトロン星人タルデ「ふぅ…地球の銭湯というものは、かくも癒されるものなのか…」

ナックル星人ナグス「………」チラッ チラッ

メトロン星人タルデ「…? どうかしたかナックル星人? 私の胸に何か付いてるか?」

ナックル星人ナグス「あっ…いや、何でもねぇが…」


メトロン星人タルデ「?」プルルンッ

ナックル星人ナグス「………」ペターン


ナックル星人ナグス(……くそっ…!何なんだよこの…心の底から沸き出る訳の分からねぇ敗北感は…!?)

メトロン星人タルデ「……?」



カポーン

メトロン星人タルデ「……しかしババルウ星人の奴、一体何処へ雲隠れしたのやら…」

ナックル星人ナグス「さぁな。……案外、灯台もと暗しってヤツで隣の男湯に居たりしてな」チラッ

メトロン星人タルデ「……馬鹿な真似はよすのだぞナックル星人。
       頼むからこれ以上無意味な騒ぎは起こさないでくれ」

ナックル星人ナグス「……へっ、冗談だよ」



――隣の男湯――


ババルウ星人ババリュー「へぶしゅッ!」ズズッ


ナックル星人ナグス「ったくあの裏切り野郎…!見付け次第即この俺が射ち殺してやるぜ!」

メトロン星人タルデ「早まるな。回収する細胞は生きた細胞でなくては意味がないのだ。殺してしまったら元も子もない」

ナックル星人ナグス「けっ…!なら細胞を取り出した後なら殺してもいいってんだな!?」

メトロン星人タルデ「……そうだな…そうなれば別に止めはしない。裏切り者の処刑はお前に任せる」

ナックル星人ナグス「へっ!そうこなくっちゃなぁ!」

ナックル星人ナグス(待ってやがれババリューの野郎!今回の件で溜まったストレスはお前で発散させてもらうぜ!)



――隣の男湯――


ババルウ星人ババリュー「へぶしゅッ!へぶしゅッ!」ズズッ



メトロン星人タルデ(……しかし、いちいちくしゃみが大袈裟で五月蝿いな…隣の男湯の客は)



~ 翌日、SSPオフィスにて ~


ジェッタ「よ~し、じゃあ撮るよ!3! 2! 1! ハイッ!」ピッ


●REC

メトロン星人タルデ「私たちを悪い宇宙人から助けてくれた、この男の人を探しています。
       この似顔絵の人に心当たりのある方は、SSP様宛に連絡を下さい」

ナックル星人ナグス「有力な情報をくれた奴には、アタシ達からも何か御礼をするぜ」

ナックル星人ナグス「ご協力の程、よろしくお願いいたします」ペコッ



ジェッタ「はいOK~♪バッチリ撮れたよ~!」ピッ

シン「あとはこの映像をSSPのサイトにアップすれば、準備はバッチリですよ!」

ナオミ「……でも、本当にこんな方法で良かったのかな? 何か悪目立ちし過ぎない?」

ジェッタ「いいのいいの!馬場先輩は悪目立ちするくらいが調度いいんだからさ!」

メトロン星人タルデ「SSPの皆様、こんな事までご協力頂いて…本当にありがとうございます」

ジェッタ「いいっていいって!俺だって馬場先輩には久し振りに会いんだからさ!」

シン「にしてもジェッタくん、今回の件に関しては何時も以上にはりきっていますね」

ジェッタ「そりゃあそうだよ!
     馬場先輩は、俺に夢を見せてくれたヒーローなんだ!
     ……だから俺…嬉しいんだ!馬場先輩が、今でも俺の知らない所で誰かの為に人助けをしているってのがさ!」

メトロン星人タルデ「……そうですか…」

メトロン星人タルデ(まぁ、その活躍というのも全部作り話なのだがな)


ナックル星人ナグス「……あーあ、アタシも早く馬場さんに会いたいなぁー」

ジェッタ「大丈夫!会えるよきっと!
     いや、俺が必ず会わせてあげるから!」

ナックル星人ナグス「おう、サンキューな」

ナックル星人ナグス(……アイツに会って、それでとっとと元の姿に戻りてェーんだよ…!)ギリッ

ナオミ「……?」

undefined


メトロン星人タルデ「それではお約束通り、私達はSSPの皆様の仕事をお手伝いさせて頂きます」

ナックル星人ナグス「まぁ…雑用でも何でもするから、構わず頼んでくれや」

ナックル星人ナグス(……あーかったりぃ…)


シン「う~ん…でも御二人に任せられる仕事となると…何がありますかね?」

ジェッタ「荷物運びを女の子二人にやらせるってのもねぇ…」

ナオミ「そもそも荷物自体そんなに持っていく事もないでしょ私達。
    撮影に使う機材だって、せいぜいハンディカムのカメラとかスマホとかだし…」

シン「う~ん…任せられる仕事が見当たりませんねぇ…」

ナックル星人ナグス(……無いなら無いで、俺は別に良いんだけどな)

メトロン星人タルデ「………」

ジェッタ「あっ!そうだ!二人ともリポーターとかやってみない!?」

メトロン星人タルデ「……リポーター…?」

ナオミ「ちょっとジェッタ!それって素人にはちょっとハードル高過ぎじゃない!?」

ジェッタ「いや!多分二人なら大丈夫だよキャップ!
     さっきの撮影の時だって、カメラを前にしても全く物怖じとかしなかったし、台詞もハキハキ喋って聞き取りやすかったしさ!
     きっと二人には素質があるんだよ!」

ナオミ「……言われてみれば、確かにそうだったわね」

ジェッタ「それに、二人ともかわいいからカメラ映りもバッチリだしね!」

シン「きっとアクセス数もうなぎ登りですよ~」

ナオミ「って、結局そっちが目的な訳!?」

シン「いえいえ滅相もない」


ジェッタ「まぁ、勿論二人がよければの話だけど、どうかな? やってみない?」

メトロン星人タルデ「……分かりました。引き受けさせて頂きます」


ナックル星人ナグス「おっ!おいメトr…メロ!」グイッ

メトロン星人タルデ「んっ?」スタスタ


ナックル星人ナグス「ほ…本気で奴らの提案を呑むつもりかよ…!?」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ「……他に出来る仕事が無いというのなら、仕方あるまい…」ヒソヒソ

ナックル星人ナグス「そ…そうは言ってもよぉ…」ヒソヒソ

ナックル星人ナグス(ああもう!何でこの俺がそんな事しなけりゃならねぇんだよー!)


ジェッタ「あれ? そういえば今日はまだガイさん来てないね。何処行ってんだろ?」




~ 都内 某公園 ~


ガイ「………」

ババルウ星人ババリュー(以下馬場先輩)「ほら、引っ掛かってた風船取ってきたぞ」スッ

男の子「わーい!ありがとうおじさん!」スタスタ

馬場先輩「もう手ェ放すんじゃねーぞー」


ガイ「……よう、どうやら元気にやってるみたいだな」スタスタ

馬場先輩「あっ…!アンタは…」

ガイ「おう、ラムネ飲むか?」カランッ


―――


ガイ「もう地球での生活は慣れたか?」

馬場先輩「ああ、お陰様でな。
     ……あれから色々とあって、今の生活に落ち着いたけどよ…
     やっぱり良いもんだな。人の為に何かをするってのは…」

ガイ「……そうか、ソイツは良かった」ニコッ

馬場先輩「へへっ…」カシュ


ガイ「……そういえば、今ジェッタ達のとこでアンタに会いたがってるっていう女の子達が、世話になってんだ」

馬場先輩「……えっ?」

ガイ「アンタ、何でも悪い宇宙人に襲われそうになっていた女の子二人を、身を挺して守ってあげたんだってな?
   助けてくれた礼がしたいって、今その娘達がお前のこと探してるんだぜ」

馬場先輩「……えーっと…」

ガイ「んっ?」




―――


ガイ「“覚えがない”?」

馬場先輩「あぁ…惑星侵略連合を抜けてから“人のために何かをしよう”って、色々とやってきたけどよォ…
     そんな、宇宙人から女の子を助けた事なんて一度もないぜ?」

ガイ「……じゃあ、あの娘達は一体…」

馬場先輩「あー…きっとアレだよ!他人のそら似ってヤツで、俺のことを他の誰かと勘違いしてるんだぜきっと!
     参ったなぁ…何か余計なことさせてるようで悪いし、今からでもその娘達に会って間違いだって知らせてやんねぇと!」

ガイ「………」

馬場先輩「……んっ? どうかしたか?」

ガイ「あの娘達に会うのは、暫く様子を見た方が良いぜ…」

馬場先輩「はぁ? 何で?」

ガイ「……いや、あくまでも俺の勘なんだがな…」

馬場先輩「?」


~ その日の夜 某所の山奥にて ~


ナックル星人ナグス「えー…ここが最近UFOの目撃情報があったという山道でぇーす」

メトロン星人タルデ「目撃者の話によりますと、夜中にこの山道で眩い光を放つ謎の円盤を目にしたという事ですが…
       我々SSP取材班は、果たしてその姿をカメラに収めることが出来るのでしょうか?」


ジェッタ(良いよ~…!良い感じだよナナちゃん!メロちゃん!)●REC

ナオミ「……ちょっと、ナナちゃんがやる気なさげに見えるんだけど…」

シン「ん~…きっと始めての事なので緊張しているのでしょう」


ナックル星人ナグス「ふぁ~…」アクビ~


ナオミ「……とてもそんな風には見えないんだけど…」



メトロン星人タルデ「あっ!アレは何でしょうか!?」

ジェッタ「えっ?」

メトロン星人タルデ「カメラッ!上に向けてください!アレです!」グイッ



UFO^フォ^~ー∮ン



ジェッタ「ウオッ!!?」

シン「ほッ!本当にUFOが飛んでますよ~ッ!!」

ナオミ「しかもこんな直ぐ側でなんて…!
    ねぇジェッタ!ちゃんとカメラ撮れてる!?」

ジェッタ「そりゃもうバッチリッ!バッチリだよキャップ!」

シン「これは大スクープですよ~!」

ナオミ(……でも、このUFO前に何処かで見たことあるような…?)


ナックル星人ナグス「…って!ありゃ俺達の船じゃねーか…!」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ「……まぁ、奴らにババルウ星人の捜索を協力してもらっている以上、こちらもそれ相応の協力をしてやらねば、フェアではないからな」ヒソヒソ

ナックル星人ナグス「いや!奴らにバレるリスクも考えろよ…!」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ(……偉大なるドン・ノストラ。御協力感謝致します…)


~ その頃 宇宙船内 ~


キャー!スゴーイ!
キャップ!アマリチカヅキスギルトキケンデスヨ!


ジャグラー「やれやれ…メトロン星人の頼みとはいえ、宇宙船の真下でああも騒がれては五月蝿くて仕方ありませんねぇ…ドン・ノストラ」


メフィラス星人ノストラ「………」ボー


ジャグラー「………」

ジャグラー(昨日からずっとあの調子で、鏡を見てはボーっとしての繰り返しだが…何なんだ一体?)


メフィラス星人ノストラ「………」ボー

メフィラス星人ノストラ(……悪質宇宙人の異名を持つ、メフィラス星人のひとりであるこの私が…今やこのようなか弱い姿に…)

メフィラス星人ノストラ(ち…地球人の生娘の肌とは、こうも弾力のあるものなのか…?)プニッ プニッ

メフィラス星人ノストラ(……じ…自分で触っていると…何だか妙な気分になるが…)

メフィラス星人ノストラ「………」

メフィラス星人ノストラ(………今の私って……もしかして……か…かわいい…?)


メフィラス星人ノストラ「………」ボー


ジャグラー「ドン・ノストラ」ズイッ

メフィラス星人ノストラ「あひゃいッ!!?」ビクッ!

ジャグラー「何やら上の空といった御様子ですが…いかがなされましたかな?」

メフィラス星人ノストラ「いっ!いきなり何だ貴様は!? 一体何時からここに居た!?」

ジャグラー「何時からって…ずっと御側に居たではありませんか…
      そういう陛下の方こそ、大丈夫なのですか? 何やら御自分の御身体に興味津々なご様子ですが…」

メフィラス星人ノストラ「なっ!何をっ!?
        いや!というか自分の身体がこうも様変わりしてしまったのだ!気にするのは当然であろうがっ!!」

ジャグラー「……まぁ、それもそうですが…」

メフィラス星人ノストラ「ええいっ!用がないのならとっとと消えろ!」


ジャグラー「……御意に…」クルッ

スタスタ…


メフィラス星人ノストラ「………」

メフィラス星人ノストラ「……なぁ、ジャグラーよ…」

ジャグラー「……何でしょうか?」ピタッ

メフィラス星人ノストラ「……今の私の姿は…その…本当にかわいいのか?」

ジャグラー「……はい?」

メフィラス星人ノストラ「あっ!いや!いいっ!何でもない!今の話は忘れろっ!」

ジャグラー「………」

ジャグラー(……何を言い出すのかと思ったら、気色の悪いことを…
      ……フッ…少し冷やかしを入れてやろうか)


ジャグラー「ええ、かわいいですよ。とっても」ニタァ…



メフィラス星人ノストラ「………そ……」


ジャグラー「……?」


メフィラス星人ノストラ「……そうか…そうなのか…!やはり今の私は…!」

メフィラス星人ノストラ「……クフッ…フフフフフフ…」


ジャグラー「………」

ジャグラー(……えっ?)


~ 翌日 ~


シン「見てくださいよキャップ!前回更新した記事のアクセス数、トンでもない事になってますよ~!」

ナオミ「ウソッ!? 何時もの倍以上じゃない!」

シン「更にアクセス数は尚も上昇中です!
   このまま行けば過去最高記録を達成するのも目じゃないですよ~!」

ジェッタ「凄い…!凄いよキャップ!ついに俺達ここまで来たんだよ!」

ナオミ「うんうん!スクープを撮った甲斐があったわね!」

シン「……いや~それがですねキャップ…
   ここまでアクセス数が伸びた要因は、どうやらスクープの内容とは別にあるようでして…」

ナオミ「えっ?」

シン「とりあえず、この記事のコメント欄を見て下さい」カチッ



『このリポーターの娘達かわいすぎww』

『何かのコスプレですか?お似合いですよ^^露出度高くてかなり良いです^^』

『ナナちゃんの腹筋prpr』



ナオミ「……えっ…」

ジェッタ「これって…」

シン「ええ、どうやらメロちゃんとナナちゃん目当てのアクセスが殆どのようでして…」

ジェッタ「……あぁ…それでこんなにアクセス数が伸びたって訳ねぇ…」

ナオミ「………」

ジェッタ「でッ!でも善かれ悪しかれウチのサイトの宣伝にはなってるんだし!結果オーライじゃない!?」

シン「そうですよ!ちゃんと今回のスクープに関する反響も少なからずありますし!
   むしろ、メロちゃんナナちゃんの起用は我々SSPにとって大きなプラスであることは明白ですよ!キャップ!」

ナオミ「……うーん…そうかもしれないけど…これって…うーん…」




ガラガラガラ

ナックル星人ナグス「ウィーッス」ズカズカ

メトロン星人タルデ「おはようございます」スタスタ


シン「おっ!早速御二人にも見てもらいましょうよ!」

ジェッタ「ねぇ見てよ二人とも!この間のスクープ記事のアクセス数、二人のお陰でこんな凄いことに!」

メトロン星人タルデ「そうですか…それは良かったですね。
       ところで、例の彼の居場所は分かりましたか?」シレッ

ジェッタ「えっ…? …あっ…ああ!馬場先輩ね!
     こっちの情報も凄い集まってるよ!」カチカチッ

メトロン星人タルデ「………」

シン「送られてきた情報を見るに、都内にある某公園での目撃証言が一番多いですねぇ…
   あっ!数分前に某駅前でそれらしい人物を見たとの情報が!」


メトロン星人タルデ「そうですか…分かりました」クルッ

ジェッタ「あっ!ちょっと待って!俺も一緒に!」

メトロン星人タルデ「いえ、ここからは私とナナとのふたりだけで行かせてもらいます」

ジェッタ「えっ?」

ナックル星人ナグス「ジェッタ君よぉ~…おめーは女心ってヤツが分かってね~なぁ~…」ポンッ

ジェッタ「……あっ、あ~あ~!成る程そういう事ね!
     OKOK!そういう事なら俺は邪魔者だね!」

メトロン星人タルデ「………」

ジェッタ「でも、俺も馬場先輩には久しぶりに会いたいからさ!
     メロちゃん達の話が諸々済んだ後でも良いから、もし馬場先輩が見つかったら俺達にも連絡頂戴!」

メトロン星人タルデ「はい、分かりました」

メトロン星人タルデ(……まぁ、それは決してあり得ない話だがな…)


~ その頃 某駅前にて ~


馬場先輩「ちょ!何なんスか一体!?」

モブ男1「アンタ、宇宙人から女の子を助けたんだって?」

モブ女2「早く名乗り出た方が良いですよ!今ネット上で凄い噂になってるんですから!」

モブ男3(有力な情報提供者には、あの娘達から直々にお礼が貰えるんだよな……ぐふふっ…!)


ガヤガヤ… ガヤガヤ…


馬場先輩「いや…だから知らないって…」


ズイッ

ガイ「おぉっ、何か凄いことになってんな…」


馬場先輩「あっ!アンタ!」

ガイ「よう、ちょっといいか?」


―――


馬場先輩「いや~マジで助かったよ!
     あのまま人混みに揉まれてたら俺…今頃どうにかなっちまってたよ!」

ガイ「……それで、本当に心当たりはないのか?」

馬場先輩「いや全然ッ!本当何もないんだって!」

ガイ「そうか。……実はな、今回の騒ぎには裏でジェッタの奴が一枚噛んでるんだ」

馬場先輩「えっ?」

ガイ「何でもアイツ、お前が人助けをしたって事がよっぽど嬉しかったらしくてな。
   それで妙に張り切っちまって…こんな目立つ形でお前の事を探したって訳だ」

馬場先輩「……そっか、そうだったのか…」



馬場先輩「……でも、誤解は誤解だからな。そこんところキッチリさせとかないと、やっぱり駄目だと思うぜ」

ガイ「………」

馬場先輩「アイツを失望させるみてーで悪いけどよ…やっぱり俺、あの女の子達に会って人違いだってことハッキリ伝えるわ…」

ガイ「……いや、ソイツは止めといた方が良いと思うぜ…」

馬場先輩「えっ…?」

ガイ「……まぁ、あくまでも俺の勘なんだがな…」ピラッ

馬場先輩「……これって…?」

ガイ「お前の事を探してるっていう、その女の子達の写真だ。
   聞き込みの時に使うからって渡されたヤツなんだが…」

馬場先輩「……この娘達…」

ガイ「どうだ? 見覚えのある顔か?」
   
ガイ(……俺には何か妙な感じがするんだが…)

馬場先輩「……いや、やっぱり始めて見る顔……んっ?」

ガイ「どうした?」

馬場先輩「いや、この娘達のこの見た目っツーか、雰囲気っツーか……何か既視感があるような気が…」

ガイ「……それってもしかして、お前が前働いてたあの組織の…」

馬場先輩「あッ!」ギクッ

馬場先輩「もしかしてこの娘達って……メトロン星人にナックル星人か!?」

ガイ「……やっぱり、惑星侵略連合の奴らか…!」

馬場先輩「いや、ハッキリそうだとは言い切れないけどよォ…
     ちょっと、面影があるかなーって感じが…」

馬場先輩「……あッ!まさかアイツら…!あの装置を使って自分達の姿を変えたのか!?」

ガイ「……あの装置…?」





~ 同時刻 某駅前にて ~


メトロン星人タルデ「ここが奴の目撃証言があった場所だな」スタスタ

ナックル星人ナグス「あの野郎ぉ…!今何処に居やがる!?」ツカツカ

メトロン星人タルデ「つい先程、SSPの公式サイトに奴の姿を目撃したという新たな書き込みがあった。
       ここからそう遠くには行っていない筈だ。周囲一帯を隈無く探すのだ…」



モブ女「ねぇねぇ、あの娘達って…」

モブ男「あっ!ひょっとしてあの動画の!?」







ガイ「………」スタスタ


―――

ガイ『セルチェンジビーム発生装置?』

馬場先輩『ああ!それを使えばどんなヤツでも俺と同じように姿形を変えられるって代物だ!
     奴ら、それを使ってこの女の子の姿に化けたのかもしれねぇ…!』

ガイ『……地球人の少女に化けたのは、俺達から正体を隠す為か…?』

馬場先輩『アイツら、そこまでして俺の事を…!』

ガイ『後の事は俺に任せておけ。アンタは奴らの正体が分かるまで暫く姿をくらませといた方が良い』クルッ

馬場先輩『お…おい!』

ガイ『何、アンタは安心して待ってろ。俺が必ず尻尾を掴んでみせる…』スタスタ

―――


ガイ(フッ…アイツには、ジェッタのヤツが色々と世話になったからな…)




ガヤガヤ… ガヤガヤ…


ガイ「んっ?」


モブ男1「あっ!あの!メロさんとナナさんですよね!? SSPの動画見ました!」

ナックル星人ナグス「お…おう…」

モブ男1(はぁ~…生で見るのは始めてだけど、やっぱりかわいいなぁ…!)


モブ女1「探してる人見つかると良いですね!応援してます!」

メトロン星人タルデ「どうも…」

モブ男2「もっ!もし良かったら俺と一緒に写真を…」

メトロン星人タルデ「あっ…別に構いませんけど…」

モブ男2「―ッシャア!!ありがとうございます!!」


モブ男3「ぼッ!僕もお願いします!」

モブ男4「俺とも是非!」

モブ女2「ファンです!サイン下さい!」


ガヤガヤ… ガヤガヤ…


ナックル星人ナグス「お…おい!これじゃあババルウ星人の野郎を探すどころじゃ!」

メトロン星人タルデ「………」

ナックル星人ナグス「おい聞いてんのかよメトロン星人!?」

メトロン星人タルデ「……ふむ…」

メトロン星人タルデ(まさか、我々が地球人にこれ程まで人気があったとは…)

メトロン星人タルデ「………」

メトロン星人タルデ(……この状況、利用出来るかもしれん…)ニヤッ



ガイ「………」

ガイ(何やってんだアイツら…)




~ それから暫くして、宇宙船内 ~


メフィラス星人ノストラ「……それで、結局ババルウ星人は見つからなかったという訳か…?」

メトロン星人タルデ「申し訳御座いません、偉大なるドン・ノストラ。
       我々が得た目撃証言はどれも確度の高い情報でしたが、いかせん集まってきた地球人共が邪魔で邪魔で…とても奴を探すどころでは…」

メフィラス星人ノストラ「………」

ナックル星人ナグス「何スカした顔で言い訳垂れてやがる!どうするつもりだテメェ!?
       このままだとまた今日みたいに行く先々で地球人共の邪魔が入るかもしれねェんだぞ!」

メトロン星人タルデ「まぁそう焦るな、ナックル星人。
       それよりも、今私は地球征服に役立つ面白い作戦を思い付いたところだ」

メフィラス星人ノストラ「……面白い作戦だと? 詳しく聞かせてみろ」


メトロン星人タルデ「はっ。先ずはこれを御覧ください」ピッ

ヴォン…


メトロン星人タルデ「これは、私とナックル星人が潜伏しているSSPという団体の公式サイトです。
       御覧の通り、私とナックル星人がリポーターを勤めた例の動画の公開を皮切りに、サイトのアクセス数は爆発的に上昇。
       今やこのサイトのアクセス数は、件の動画を上げる以前のモノとは比べ物にならない程にまで跳ね上がりました」

メトロン星人タルデ「これは、私とナックル星人の美貌に魅せられた連中からのアクセスが、局所的にこのSSPのサイトに集中したからに他なりません」

メフィラス星人ノストラ「………」

メトロン星人タルデ「更に、我々の人気はSSPのサイト内に留まらず、ネット上のあらゆる情報媒体で我々の存在に関する話題が交わされております。
       これも偏に我々の可愛さに魅了された連中が、SNS上で我々の存在を大々的に宣伝したり、
       我々の動画をSSPのサイトから他の動画サイトへ無断転載する等して積極的に外部へ情報を発信した結果といえましょう」

メトロン星人タルデ「噂によれば、私とナックル星人のファンクラブなるものまであるとか」

ナックル星人ナグス(ンなもん何時の間に出来てやがったんだ…)

メフィラス星人ノストラ「……メトロン星人よ、もしや今回の貴様の作戦というのは…」

メトロン星人タルデ「御察しの通り…今回私が考案した作戦、それは…
       この地球人共から我々に向けられた、異常なまでの人気を利用する事にあります!」

ナックル星人ナグス「ハァ?」

メフィラス星人ノストラ「………」


メトロン星人タルデ「以前私が御話しした通り、地球人とはかわいいものや美しいものに目がない動物です。
       特にそれが“絶世の美女”ともなれば…奴らの食らい付きは凄まじいもの!」

メフィラス星人ノストラ「……確かに、それは貴様らに対する地球人共の反応を見れば、一目瞭然だな…」

メトロン星人タルデ「そうなのです。美しいものや可愛いものには、人々を引き付ける求心力があります。
       そしてその求心力を利用すれば、地球人共を我々の虜にする事などそう難しい話ではありません…」

ナックル星人ナグス「地球人共を虜にするって…具体的には何をするんだよ?」

メトロン星人タルデ「フフッ…一番手っ取り早く、かつ確実に多くの地球人から支持を得ることが出来る方法がある。それは…」



      ア  イ  ド ル
メトロン星人タルデ「我々が“偶像信仰の対象”になることだっ!!」




ナックル星人ナグス「はあっ!?」


メトロン星人タルデ「以前私が御話しした通り、地球人とはかわいいものや美しいものに目がない動物です。
       特にそれが“絶世の美女”ともなれば…奴らの食らい付きは凄まじいもの!」

メフィラス星人ノストラ「……確かに、それは貴様らに対する地球人共の反応を見れば、一目瞭然だな…」

メトロン星人タルデ「そうなのです。美しいものや可愛いものには、人々を引き付ける求心力があります。
       そしてその求心力を利用すれば、地球人共を我々の虜にする事などそう難しい話ではありません…」

ナックル星人ナグス「地球人共を虜にするって…具体的には何をするんだよ?」

メトロン星人タルデ「フフッ…一番手っ取り早く、かつ確実に多くの地球人から支持を得ることが出来る方法がある。それは…」



           ア  イ  ド ル
メトロン星人タルデ「我々が“偶像信仰の対象”になることだっ!!」




ナックル星人ナグス「はあっ!?」



メトロン星人タルデ「そう!即ち我ら三人でアイドルユニットを結成するのですっ!!」

メフィラス星人ノストラ「………」


ナックル星人ナグス「あ…アイドルって!俺らがアイドルをやるのか!?」

メトロン星人タルデ「他に誰がいる?」

ナックル星人ナグス「ばっ!バっカ!出来るかそんなこと!
       そもそも地球人のヤツらに愛想振り撒いて人気者になったところで、一体俺らに何の得があるってンだよ!?」

メトロン星人タルデ「落ち着けナックル星人。
       私の計画の真の目的は、ただ単に地球人を我々の虜にする事などではない…」

メトロン星人タルデ「その先にある…大きな争いを視野に入れた作戦なのだ…!」

ナックル星人ナグス「お…大きな争い…?」

メフィラス星人ノストラ「……詳しく話してみろ、メトロン星人…」


メトロン星人タルデ「はっ。先ずは我々三人でアイドルユニットを結成し、初の宇宙人アイドルとして鮮烈なデビューを飾ります」

メトロン星人タルデ「今の我々の評判ならば、たちまちトップクラスのアイドルになれることでしょう」

メフィラス星人ノストラ「………」

メトロン星人タルデ「しかし、我々の人気が高まれば高まる程、当然その成功を疎ましく思う連中も増えていきます…」

メトロン星人タルデ「地球人のアイドルグループを従える他のプロダクションは勿論の事、我々の成功を面白くないと妬む連中や、そもそも宇宙人だという事に偏見を持つ連中…
       アイドル活動を続けていけば、様々な人間が我々に対し敵対心を持つようになることは必至…」

メトロン星人タルデ「一方で我々の味方である熱心なファン達は、逆にそんな連中のことを疎ましく思うようになるでしょう。
       中には過激なファンが暴力的な手に出ることもあるやもしれません…」

メトロン星人タルデ「そうしてやがて地球上には、我々に好意を寄せる者達…“ファン”と、敵意を持つ者達…“アンチ”との対立の図式が完成します!」

メトロン星人タルデ「そうなれば後は簡単!ファンとアンチ…お互いの陣営を我々惑星侵略連合が影ながら刺激し、対立をより激しいものとすれば…
       何れは暴力に訴える事態にまで発展し!対立はより根深いものとなります!
       更に両方に興味のない連中をも巻き込んだ最悪の事態にまで発展すれば、地球人同士の対立はより混沌を極める事となります!
       そこまで行けば我々が直接手を下さなくとも、地球人の方から勝手にお互いを滅ぼし合い、自滅してくれること間違いなしっ!!」

メトロン星人タルデ「どうですか!完璧な作戦でしょう!?」



ジャグラー「………」


メフィラス星人ノストラ「……成る程…ファンのみならず、我々に敵意を持つアンチという存在までをも利用し、地球人共の信頼関係を破壊する作戦か…」

メトロン星人タルデ「はい。何れは我々惑星侵略連合……いや、惑星侵略連合改め“惑星☆アイドル☆連合”が、
       アイドル界のみならず、地球社会のトップに君臨する事もそう難しい話ではないかと!」


ジャグラー「……ククッ…クハハハ…!」

メトロン星人タルデ「……何がおかしい? ジャグラス・ジャグラー…」

ジャグラー「いえいえ、あまりにも馬鹿馬鹿しい話に心底呆れ果てて…もう何と言えば良いのやら…」

メトロン星人タルデ「なっ!何だと!?」

ジャグラー「ドン・ノストラ。こんなセルチェンジビームで脳細胞まで変異したような奴の話なんて聞くだけ無駄です。
      もっとマトモに考えた手で地球の侵略を、延いてはウルトラマンオーブの打倒を考えた方が、身のためですよ?」


メトロン星人タルデ「きっ!貴様!言わせておけば好き勝手な事を…!」プルプル

メフィラス星人ノストラ「……確かに、ジャグラーの言うことにも一理ある」

メトロン星人タルデ「そんな!ドン・ノストラ…!」

メフィラス星人ノストラ「メトロン星人、お前の作戦は完璧なものとは言い難い。
        アイドルになった後の道のりを考えれば、作戦の成就には余りにも長い年月を掛ける必要がある。
        それはとても賢いやり方だとは思えん…」

メトロン星人タルデ「そ…それは…!」


ジャグラー(当たり前だマヌケ。
      全く…ノストラの奴も、最近の様子から女心に目覚めたのかと内心ヒヤヒヤしてたが、そんな事はなかったようで…)




メフィラス星人ノストラ「……が、しかしっ!我々がアイドルデビューしてみる価値は大いにあると思うっ!!」



ジャグラー「はあぁッ!?」


メトロン星人タルデ「ど…ドン・ノストラ…!」

メフィラス星人ノストラ「モノは試し、というヤツだ。
        作戦を遂行し、もしそれが上手く行くというのであれば…私からは何も文句はない」

メフィラス星人ノストラ「但し、装置の修理の為にもババルウ星人の捜索は引き続き行って貰うぞ。良いな?」

メトロン星人タルデ「ははっ!仰せのままに!」

メフィラス星人ノストラ「うむ…」



ジャグラー「………」

ジャグラー(……口では大層な事を振る舞ってるが…)


メフィラス星人ノストラ「……フフッ…フフッ…!」プルプル…


メフィラス星人ノストラ(アイドル…私が、アイドルに…!)ニヤニヤ



ジャグラー(心は完全に乙女心に染まってやがる…!)


ジャグラー(やはりそうか…!セルチェンジビームの影響で地球人の少女の姿になった結果…
      次第にコイツらの精神までもが、肉体の変化に引っ張られる形で…女の精神状態に染まり出しやがったんだッ!)


ナックル星人ナグス「なっ!? 結局俺達がアイドルやる流れかよ…!」

メトロン星人タルデ「そう落ち込むなナックル星人。きっとキミにも似合う筈だ」

ナックル星人ナグス「うっ…別に嬉しかねーよ!何だよアイドルって…」

メトロン星人タルデ「フフ…更に私はこの作戦を利用して、あのウルトラマンオーブを倒す算段をも立てている!」

ナックル星人ナグス「なっ!マジかよっ!?」

メトロン星人タルデ「まぁ、それについては追々説明するとしよう…
       それよりも、アイドルデビューすると決まった以上、今の我々にはアイドルをやる上での基本的なスキルが必要不可欠だ。
       これからは、ダンスのレッスンに歌唱力向上の為のボイストレーニングも行う必要がある!
       勿論、レッスンにはドン・ノストラにも参加して頂きますが、宜しいですかな?」

メフィラス星人ノストラ「フッ…地球人共の心を掌握する為には仕方あるまい…
       私もお前達と共にレッスンに励むぞ!」

メトロン星人タルデ「ご協力の程、重ね重ね恐縮であります!
       デビューの暁には、センターは勿論ドン・ノストラで決まりですので!」

メフィラス星人ノストラ「成る程…私がセンターか…!」

メフィラス星人ノストラ(フフッ…ステージ衣装も考えておかねばなぁ…!)


ジャグラー「………」ポカーン

ジャグラー(……コイツら…マジでアイドルなんかやるつもりなのか…?)


ナックル星人ナグス「………」

ジャグラー「……ナックル星人、まさか貴方も…」

ナックル星人ナグス「ばっ!馬鹿言え!俺はアイドルなんか興味ねぇっつーの!」

ジャグラー(……そうか…まぁ、流石にコイツまでは…)


ナックル星人ナグス「……けどまぁ…あのウルトラマンオーブが倒せるってんなら、乗ってやっても良いかな…」

ジャグラー「……はっ?」

ナックル星人ナグス「あーあ!本当は俺アイドルなんてこれっぽっちもやりたいだなんて思ってないんだけどなー!
       でも作戦なら仕方ないよなー!ノストラの旦那までやるんだから尚更やらない訳にはいかないよなー!」


ジャグラー「………」

ジャグラー(コイツもかーッ!!)





―それから、惑星☆アイドル☆連合の特訓の日々が始まった―


タンタンタン♪

メトロン星人タルデ「ドン・ノストラ!ステップがぎこちないですよ!」

メフィラス星人ノストラ「う…うむ!」


メトロン星人タルデ「ナックル星人!お前はいつもAメロのここの部分で振り付けを誤魔化しているな!
       歌は最悪口パクでも良いから、ダンスの振り付けはもっとしっかり覚えろ!」

ナックル星人ナグス「お…おう!」




―こうして彼女(?)達の特訓の日々は続いた…―



メフィラス星人ノストラ「ほーしーぞーらーへー かーがーやーけーメフィラ~ス♪」


メトロン星人タルデ「ローマーンースッ!!」





~ それから暫くして、SSPオフィスにて ~


シン「いや~メロちゃんとナナちゃんの協力のお陰で、ウチのアクセス数は今日も絶好調ですよ~!」

メトロン星人タルデ「いえ、私達は何も…」

シン「またまたご謙遜を~!」


ジェッタ「……でも、馬場先輩は相変わらず見つからず仕舞いだね…」

メトロン星人タルデ「見つからないものは仕方ありませんよ。気長に待ちましょう」

ジェッタ「えっ?……あっ…うん」

ジェッタ(……もしかして、馬場先輩への執着薄れてる?)


ガイ「………」

ガイ(結局、この娘達が惑星侵略連合の星人だっていうこれと言った証拠は、見付からずじまいだったな…
   ……俺とババリューの思い過ごしなら、それはそれで良いんだが…)


ナックル星人ナグス「………」

メトロン星人タルデ「……ナックル星人…」ヒソヒソ

ナックル星人ナグス「分かってる。作戦決行は今日なんだろ?」ヒソヒソ

メトロン星人タルデ「ああ…ウルトラマンオーブには、我ら惑星☆アイドル☆連合のデビューの踏み台になってもらう…!」ヒソヒソ




ガイ「………」

メトロン星人タルデ「……すいませんガイさん。ちょっとお話が…」

ガイ「……ん?」

ナックル星人ナグス「ここで話すのもアレだからよ、ちょっくら場所を移して話しがしてェんだが…」

ガイ「………」

メトロン星人タルデ「………」

ナックル星人ナグス「………」

ガイ「……ああ、分かった」



ゾロゾロ…


シン「あれ? 皆さん、どちらに行かれるのですか?」

ナックル星人ナグス「……ちょっくら買い出しに行ってきゃーっす」

メトロン星人タルデ「ガイさんには荷物運びを手伝ってもらいますね。
       あっ、買い物ついでに馬場さんの捜索も行ってきますので、帰りが遅くなっても心配しないで下さい」

ジェッタ「えっ?…あっ…ああ!行ってらっしゃい!」

ジェッタ(……もう、馬場先輩探すのもついで扱いなのかよ…)



~ 町外れのとある廃工場 ~


ガイ「……で、話ってなんだ? お二人さん…」

メトロン星人タルデ「白々しい態度はよせ、クレナイ・ガイ」

ナックル星人ナグス「もうとっくに察しは付いてんだろうが!俺達の正体についてよぉ…!」

ガイ「……まさか、そっちの方からネタばらしをしてくるとはな…」

メトロン星人タルデ「我々の要求はただ一つ…
       クレナイ・ガイ…我々と勝負しろ!」

ガイ「……やっぱりそう来たか…
   だがその前に、お前達にひとつ聞いておきたい事がある。
   何でババルウ星人ババリューの奴をそこまで執拗に追い回す? それも、地球人の女の子の姿に化けてまで…」

ナックル星人ナグス「貴様が知る必要はねぇよ!これから地獄に行く貴様にはなぁ!」ドドドド…

メトロン星人タルデ「むんっ!」ドドドド…


―メトロン星人&ナックル星人 巨大化―



ガイ「アイツら…デカくなっても女の子の姿のままか!?」

ガイ(何が目的かてんで謎だが…今はやるしかねぇ!)スッ


ピカァー…



ガイ「ウルトラマンさん!」キュピーン


《ウルトラマン》


ヘアッ!



ガイ「ティガさん!」キュピーン


《ウルトラマンティガ》


デアッ!



ガイ「光の力、お借りします!」ガシャコン!


《フュージョンアップ!》


テレテテー テレテテーテーテーテー テレテテー テレテテン


《ウルトラマンオーブ スペシュウムゼペリオン》


キュインキュインキュイーン…


ウルトラマンオーブ『俺の名はオーブ。闇を照らして、悪を討つ!』




メトロン星人タルデ「さぁ…来い!ウルトラマンオーブよ!」

メトロン星人タルデ(……ではナックル星人、手筈通りに…)

ナックル星人ナグス(あぁ…分かってるよ…!)


ウルトラマンオーブ(以下オーブ)「デヤッ!ゥルセァッ!!」パンチ!キック!

ナックル星人ナグス(おっと、最初は適当にいなしておくんだったな…)バチンッ ドゴンッ


オーブ「デュアッ!」ブンッ!ブォンッ!


メトロン星人タルデ(うむ…後は彼らの到着を待つだけだが…)



ブルル~ン キキーッ!


メトロン星人タルデ(おっ、来たか…!)


スタスタスタ

シン「宇宙人が暴れているという匿名のタレコミ情報があって来ましたが、どうやら本物のようでしたね!」

ナオミ「あっ!もうオーブが出てきて宇宙人と戦ってるところじゃない!」

ジェッタ「カメラよし。キャップ!撮影始めるよ!」ピッ


メトロン星人タルデ(撮影を開始したな!よし…)


ジェッタ「―ッ!? ちょっと待ってキャップ!
     あのオーブと戦ってる巨大宇宙人…メロちゃんとナナちゃんじゃんかッ!」

ナオミ「えッ!? そんな!どういうこと!?」

シン「只の人間が巨大化するなんて質量保存の法則の観点からしてあり得ませんッ!
   ……まさか…御二人とも宇宙人だったって事ですかぁ!?」



メトロン星人タルデ(撮影スタッフとしては些か騒がしい連中だが、まぁ良い…)
       
メトロン星人タルデ「ナックル星人、作戦通りにやるぞ…」ボソボソ

ナックル星人ナグス「あいよ…!」ボソッ


ガイ(何を企んでいるのかは知らないが…隙だらけだぜ!)

オーブ「セアッ!」パンチ


メトロン星人タルデ(避けれなくはない攻撃だが…この攻撃は、あえて受ける!)


ドゴーンッ!

メトロン星人タルデ「いやー!」バターン!!

オーブ「!?」


メトロン星人タルデ(大した攻撃ではないが、大袈裟に倒れてみせる…!)



オーブ「デュ…?」

ガイ(何だ…? 何か思った以上に吹っ飛びやがったが…)


ナックル星人ナグス「余所見をしてて良いのかぁ? オーブさんよぉ…」ボソッ

オーブ「―ッ!?」

ナックル星人ナグス「へっ…あの地球人共が邪魔で戦えないってんなら、俺が奴らを消してやっても良いンだぜぇ…?」チャキ


オーブ「デュッ!ルサァ!」キック!


ナックル星人ナグス(フッ…!安い挑発に乗りやがって!こっちの思う壺だ!)


ドゴーンッ!

ナックル星人ナグス「ぐえぇっ!」ドシーン!



オーブ「デュ…?」

ガイ(何だコイツら…いくら何でも弱過ぎやしないか…?)



メトロン星人タルデ「……い…痛いぃ…!」ポロポロ



オーブ「……?」



ナックル星人ナグス「誰か…た…す…けて…」ポロポロ



オーブ「デュ!?」


ジェッタ「な…泣いてる…!メロちゃんとナナちゃんが…!」

シン「どうして…どうして御二人とオーブがこんな事を!?」


メトロン星人タルデ「そ…そこに居るのは、SSPの皆さんですか?(棒)」

ジェッタ「メロちゃん…!どうして二人がオーブと戦ってんだよ!? 」

メトロン星人タルデ「そ…それは…」
       
ナックル星人ナグス「……今まで隠していて、ごめんな…
       ご覧の通りアタシ達…実は宇宙人だったんだ…!」

ジェッタ「えッ!?」

メトロン星人タルデ「私とナナは、星間戦争により故郷の星を失ってしまった宇宙難民なのです…
       地球には、平和に暮らすことの出来る安住の地を求めてやってきました…」

ナックル星人ナグス「アタシ達は、別に地球を侵略しに来た訳じゃないんだ!
       ただ、地球人に紛れてひっそりと暮らせれば、それで良いと思って…」

メトロン星人タルデ「それなのに…!ウルトラマンオーブは私達がこの星の人間でないという事を知った途端に!
       私達の事を宇宙から来た侵略者だと決めつけて!一方的に攻撃を仕掛けてきたのです…!」



ジェッタ「そ…そんな馬鹿な話…!」

ナオミ「嘘よ!オーブがそんな事する筈ない!」

シン「たッ!大変ですよキャップ!
   配信を見ている視聴者の方から…オーブに対する激しい怒りの声が!」



『オーブやめろ!メロちゃんとナナちゃんから離れろ!』

『失望しました…ウルトラマンオーブのファンやめます』

『オーブ死ね。氏ねじゃなくて死ね』



ジェッタ「何だよこれ…!オーブがそんな酷い事する筈ないじゃんか!」



~ その頃 現場に急行中のビートル隊 ~


キィーン!

ビートル隊隊長「各機ッ!ウルトラマンオーブに攻撃を集中せよッ!」

ビートル隊隊員「本当に良いんですか…?」

ビートル隊隊長「良いんだッ!」


ビートル隊隊長(これもメロちゃんとナナちゃんを救う為だ…!)




渋川「いや良くねーよッ!」






―――

ナオミ「皆さん落ち着いて!!きっとオーブにも何か事情が!」



『うるせー!』

『オーブ擁護するとかコイツ侵略宇宙人なんじゃねwww』



シン「駄目ですよキャップ!これでは火に油を注いでるようなものです~!」

ジェッタ「オーブとメロちゃん達が戦うなんて…!こんなの何かの間違いだろ!?」



メトロン星人タルデ「……そうです。間違いなのです…」



ジェッタ「……えっ?」


メトロン星人タルデ「オーブは勘違いをされているようですが、私達は…この地球とそこに住まう人々を心から愛しています…」

ナックル星人ナグス「住めば都ってヤツでよ……アタシ達、今じゃすっかりこの地球に惚れ込んじまったのさ…」



オーブ「デュ!デュアッ!」

ガイ(惑わされるなッ!全てコイツらの出鱈目だ!)



メトロン星人タルデ「……しかし、私達が愛するこの地球もまた、私達の故郷と同じように争いに満ち溢れているという悲しい側面があります…」

ナックル星人ナグス「このウルトラマンオーブと同じように…地球人の中にだって、何でも暴力で解決しようとする輩は大勢いるんだ…!」


ガイ(よく言うぜ…!それはお前らの事だろうが!)


メトロン星人タルデ「私達は、そんな悲しみに満ちた世界はもう見たくないのです!」

ナックル星人ナグス「この星の…ううん、この宇宙で生きる全ての人々に知ってほしいんだ!
       争いの醜さを!そして、愛することの素晴らしさを!」

メトロン星人タルデ「私達の…」



タルデ&ナグス「「歌を通じて!!」」



「「「……えっ?」」」





メトロン星人タルデ(いよいよだぞ!ナックル星人ッ!)

ナックル星人ナグス(ああ!練習の成果を見せてやるぜ…!)

メトロン星人タルデ「SSPの皆さん、貴方達にも伝えておかなければなりません。私達の、もう一つの姿を…」


ナオミ「も…もう一つの姿…?」


ナックル星人ナグス「アタシ達…実は愛と平和を伝える為に活動する“宇宙アイドル”なんだ!」


シン「うっ…」

ジェッタ「宇宙アイドル…?」


ナックル星人ナグス「そう!その名も!」



タルデ&ナグス「「“宇宙☆アイドル☆連合”!!」」テレーン!



ナオミ「……う…宇宙アイドル…?」

ジェッタ「連合…?」


オーブ「………」

ガイ(……はっ?)ポカーン




ナックル星人ナグス「黙っていて悪かったな…SSPのみんな。
       この事は、何時か必ず打ち明けようと思ってたんだけどな…」

メトロン星人タルデ「そうだ。この際だから、ついでに皆様にも紹介しておきましょうか。あの方について…」

ナックル星人ナグス「おう、そうだなメロ」


ジェッタ「“あの方”って…?」


ナックル星人ナグス「実はな、惑星☆アイドル☆連合のメンバーは、アタシ達二人だけじゃないんだ」

メトロン星人タルデ「そう。忘れてはならないメンバーがもうひとり…
       宇宙☆アイドル☆連合の代表である、私達のリーダーの存在が!」


ナオミ「メロちゃん達の…リーダー?」


メトロン星人タルデ「偉大なる宇宙アイドルであり、我々のリーダー……彼女の名は、ノストラ!」パチンッ




ピカァー…


ジェッタ「うおっ!空から一筋の眩い光が差し込んで…まるでスポットライトのように!」

ナオミ「ちょっと!アレ見て!」



メフィラス星人ノストラ「………」スゥー…



シン「ひ…光の中から巨大な女の子が降りてきますよ!」

ナオミ「あの娘が、メロちゃん達のリーダーっていう…?」




メフィラス星人ノストラ「………」スゥ…

ドシンッ


メフィラス星人ノストラ「………」



ガイ(……つまり、コイツがあの惑星侵略連合の親玉って訳か…?)


メフィラス星人ノストラ「………」



メフィラス星人ノストラ「宇宙アイドルどん☆のすとら!只今さんじょ~♪」プリッ



オーブ「………」

ガイ(……何だコイツ…)



メトロン星人タルデ「改めてご紹介しましょう。この方こそが我ら惑星☆アイドル☆連合のリーダー!ノストラちゃんです!」

メフィラス星人ノストラ「やっほ~☆みんな~ボクのことは気軽にのすちゃんって呼んでね~♪」プリッ


ナオミ「……ちょ…ちょっと変わった娘ね…」

ジェッタ「でも、かわいい…!」




メトロン星人タルデ(よし…決まった…!)グッ

メトロン星人タルデ(この私メトロン星人のクールキャラと、ナックル星人のやんちゃな元気キャラ…
       そして、ドン・ノストラのあざといぶりっ娘キャラ!3つの属性が組み合わさった我がアイドルグループに隙はない!)
       
メトロン星人タルデ(今の我々は…もはや、無敵!)



メフィラス星人ノストラ「ねぇねぇふたりとも!せっかくこうして3人が揃ったんだから、何か一曲歌おうよ~♪」

メトロン星人タルデ「そうですね。丁度カメラも回ってることですし」


ジェッタ「えっ!カメラってこれのこと!?」


ナックル星人ナグス「しゃーねーな、付き合ってやるぜ!」

メフィラス星人ノストラ「それじゃ一曲目、いっくよ~♪」



「「「SEIJINハート♪」」」



メトロン星人タルデ(ミュージック、スタート!)ピッ


― 宇宙船の外部スピーカー、電源ON ―


デデーン♪

メトロン星人タルデ「I love you何度だって~何度だって~♪」

ナックル星人ナグス「また恋に落ちてしまうたび~に♪」

メフィラス星人ノストラ「私の中~の星人が♪ ウズウズ我慢で~きない♪」






シン「凄い…!ネットでの反応がお祭り状態ですよ~!」

ナオミ「……でも…これって撮影続けててもいいのかしら…?」

ジェッタ「何言ってんだよ!今中断したら逆に視聴者からクレーム来るって!」



メフィラス星人ノストラ「はい♪ はい♪」キャピキャピ



オーブ「………」

ガイ(……何だコレ…)




~ その頃、近くの茂み ~


ジャグラー(フン、今のうちにせいぜい浮かれて踊っていろ。
      そうやって楽しんでいられるのも、残りあと僅かだがなぁ…)カチャカチャ


キュイーン…


ジャグラー「……セルチェンジビーム発生装置。貴様の協力のお陰で何とか完成に漕ぎ着ける事が出来た」
      
ジャグラー「改めて例を言うぜ? ババルウ星人ババリュー…」


馬場先輩「……ッ!」







~ 遡ること数日前 某廃墟にて~


馬場先輩『(暫く姿をくらませとけって言われてもなぁ…
     一体何時までこうして隠れてりゃ良いんだ?)』


…ガタンッ


馬場先輩『うッ!』ビクッ

馬場先輩『(何だ…!?誰か居るのか…?)』


シーン…


馬場先輩『……気のせいか…』


ジャグラー『おやおや? まさかこんな場所に潜んでいたとはなァ…』ヌッ

馬場先輩『―ッ!? アンタはッ!』

ジャグラー『よう…久しぶりだな…』ニヤッ

馬場先輩『ジャ…ジャグラーッ!?
     お前まさか!おっ…俺を捕まえに来たのか…!?』ザッ

ジャグラー『おっと、警戒する必要はないぞ? 別にお前の事を捕らえに来た訳じゃない』

馬場先輩『えっ…?』

ジャグラー『いや、むしろその逆だ。
      俺はお前を惑星侵略連合の追っ手から匿ってやろうと思ってるんだぜ?』

馬場先輩『は…はぁ!?』

ジャグラー『信用ならないか? まぁ勿論条件付きだ。
      ……お前が俺の計画に協力してくれるなら、という条件がな…』


馬場先輩『け…計画…? 一体何の…』

ジャグラー『……惑星侵略連合の連中を、元の姿に戻す…』

馬場先輩『はっ…?』

ジャグラー『お前に接触しようとしている二人の女…
      奴らの正体は、セルチェンジビームを浴びて姿を変えたメトロン星人タルデとナックル星人ナグスだ』

馬場先輩『なっ!?』

馬場先輩『(やっぱり…!あの女の子達の正体は奴らだったのか!)』

ジャグラー『それに加えてメフィラス星人ノストラも又、セルチェンジビームの影響を受けて今は地球人の少女の姿になっている。
      まぁ、元はといえば照射実験の際に起こった事故が原因で偶然そうなった訳だが…』

ジャグラー『……奴らが今、その女の姿を利用して何をやろうとしているのか…教えてやろうか?』

馬場先輩『えっ…?』

ジャグラー『連中…何でも地球人共を虜にする為に“アイドル”になる事を目指してるんだとよ…』

馬場先輩『あ…アイドル!?』

ジャグラー『あぁ…メトロン星人曰く地球を侵略する為の作戦の一環らしいが…
      ……ノストラの奴は作戦とは関係なく、本気でアイドル活動に打ち込んでいる様子だ…』

馬場先輩『はっ? あのノストラが…本気でアイドルに…? へっ、そんな馬鹿な話…』

ジャグラー『冗談だったらまだ笑えたんだがな……ノストラはマジだ』

馬場先輩『……えぇ…』



ジャグラー『他の奴らも少なからずそうだが…特に今のノストラは精神の少女化がかなり進行している。
      これ以上今の状況を野放しにしておけば…奴らの状態は更に悪化の一途を辿ることになる…』

ジャグラー『……俺には…それが我慢ならない…!』

馬場先輩『な…何で?』

ジャグラー『……見た目は確かに可愛らしい姿をしているがなァ……奴ら、中身はいい歳した野郎共なんだぞッ!
      そんなオッサン連中がキャピキャピ歌ったり踊ったりなんかしていたところで…元の奴らを知ってるこっちからしてみれば、ただただ気持ち悪いだけなんだよ…!』

馬場先輩『は…はあ…』

馬場先輩『(……まぁ、惑星侵略連合の元メンバーとして何となく気持ちは分かるな…)』

ジャグラー『そんな見るに耐えないモノを見せ付けられる前に…奴らの化けの皮を剥ぎ取ってやる…!』


馬場先輩『成る程なぁ…話はだいたい分かったけどよ、アンタは俺に何をさせたいんだ?』

ジャグラー『お前には奴らを元に戻すために必要な、セルチェンジビーム発生装置の開発に協力してもらう。
      なに、お前は細胞を少しばかり俺に提供してくれるだけで良い。装置の開発は俺の方で何とかする』

ジャグラー『その後のお前の身の安全は、この俺が保証してやる…』

馬場先輩『……そ、そうか…』



馬場先輩『……よし分かった!
     連中の計画をブッ潰すってんなら、細胞の提供だけなんてケチなこと言わずに、俺はアンタに全面的に協力するぜ!』

ジャグラー『あっ…?』

馬場先輩『どんな馬鹿げた作戦であれ…奴らが侵略目的で何か企んでるってんなら、俺は見過ごせねぇ!』

馬場先輩『それに話を聞いた以上、自分に出来る事は最大限やってみてェんだ!だから…頼む!』

ジャグラー『………』

ジャグラー『(……まぁ、コイツの変身能力には利用価値があるか…)』

ジャグラー『良いだろう。ただし作戦に関しては全面的に俺の指示に従ってもらうぞ。分かったか?』

馬場先輩『お…おうッ!』



―――


ジャグラー「……ババルウ星人、準備は出来ているな?」

馬場先輩(ババルウ星人態)「おう!何時でも良いぜ!」

ジャグラー「よし…セルチェンジビーム発生装置に火を入れる」ピッ


ゴォー…



メフィラス星人ノストラ「イェ~い♪」フリフリ



ジャグラー「……セルチェンジビーム、エネルギー充填完了…」

ジャグラー(これを喰らって…いい加減夢から目を覚ますことだな…!)

ジャグラー「セルチェンジビーム、発射…!」ポチッ


ズビー!






メトロン星人タルデ「んっ?」



ナックル星人ナグス「へっ?」



メフィラス星人ノストラ「~♪」





バリバリバリバリ~!!




「「「ぐわあぁぁァァァーッ!!?」」」







ナオミ「きゃっ!?」

ジェッタ「うわッ!何だ!?」

シン「わ…惑星☆アイドル☆連合の皆さんに謎の光線が!?」




バリッ… バリッ…



メトロン星人タルデ「……あっ…」

http://i.imgur.com/itvJyB5.png


ナックル星人ナグス「なっ…!」

http://i.imgur.com/oM3hh2J.png


メフィラス星人ノストラ「……えっ?」

http://i.imgur.com/SGpYMu4.png





ナオミ「め…メロちゃん達の姿が!?」

ジェッタ「えっ!? な…なんで!?」

シン「あッ!あれって前に森の中で僕達のことを追い掛けてきた宇宙人じゃないですか!?」



メトロン星人タルデ(ま…マズいッ!この展開は…!)



ドドドド…

馬場先輩(ババルウ星人態)「みんな聞いてくれ!」―巨大化―



シン「まっ!また別の宇宙人が!」

ジェッタ「…って!あれ!? ばッ!馬場先輩!?」



馬場先輩「それが…その姿こそが!ソイツらの本当の姿なんだッ!」


メトロン星人タルデ「貴様は…!ババルウ星人ババリューッ!」

ナックル星人ナグス「テメェの仕業だったのかッ!?」




馬場先輩「ソイツらは宇宙アイドルなんかじゃないし、そもそも女の子ですらねぇ!」ピカー


ナオミ「あっ!」

シン「あの姿は…!?」


馬場先輩(にせオーブ)「俺のこの“どんな姿にでも変身出来る能力”を応用した装置を使って美少女に化けていただけの、只の侵略宇宙人共なんだッ!」


ジェッタ「えっ…えぇッ!?」


馬場先輩「しかも…どいつもコイツも宇宙人的に見てももう結構いい歳したオッサン達だッ!」


ナックル星人ナグス「だッ!誰がオッサンだコラァ!」

メフィラス星人ノストラ(……お…オッサン…私が…?)クラッ

メトロン星人タルデ「マズい…!非常にマズい展開だ…!」

メトロン星人タルデ(ここは一旦撤退して、作戦の練り直しを…)


ナックル星人ナグス「けッ!こうなったらもうまどろっこしい作戦なんてのはナシだ!
       今から力ずくでテメェらをブッ倒してやるぜッ!」

メトロン星人タルデ「あッ!待てナックル星人ッ!まだ挽回のチャンスは…」

ナックル星人ナグス「もうどう考えても無理だろうがよッ!今からアイドル続けるなんてよォ!!」

メトロン星人タルデ「ぐっ…!ぐぬぬぬ…!」プルプル

メフィラス星人ノストラ「……アイドル……やれない…? えっ…?」



『はっ?????』

『えっ?メロちゃんがオッサン?』

『ナナちゃんダミ声過ぎワロエナイ…』

『くぁwせdrftgyふじこlp』



シン「うわっ!サイトの書き込みが惑星☆アイドル☆連合のファンの皆さんの嘆きと困惑の声で満ち溢れてますよぉ!」

ナオミ「で、でも!これでオーブも外野の声を気にせずおもいっきり戦えるわ!」

ナオミ「オーブ!頑張ってー!」



オーブ「デュアッ!」グッ


ガイ「元の姿に戻った以上、こっちも本気を出して戦えるぜッ!」キュイーン…



ガイ「タロウさん!」キュピーン


《ウルトラマンタロウ》


タァー!



ガイ「メビウスさん!」キュピーン


《ウルトラマンメビウス》


セアッ!



ガイ「熱いヤツ!頼みます!」ガシャコン!


《フュージョンアップ!》


デレデテン デレデテン デレレーデデーン
ティーン ティロリーン テレレーテーテーテーン



《ウルトラマンオーブ バーンマイト》



シュピピ! シュピピ! シュピピン!

ドシンッ!


オーブ・バーンマイト「デアッ!」


ガイ「紅に燃えるぜッ!」





ジェッタ「オーブが紅い姿に変わった!」


メトロン星人タルデ(我々が本来の姿を現した以上、もう容赦はしないという事か!?)


ナックル星人ナグス「ケッ!そんな虚仮威しが何だァ!」ダッダッダッ!



オーブ「デュッ!」グッ


ガイ「……お前達が今まで騙し、踏みにじってきた人達の想い…
   俺の怒りの炎と共に…まとめて喰らわせてやるぜッ!」



オーブ「ムゥッ…!」ブオォォ…


ガイ「ストビューム…バーストォ!!」


オーブ「ゥルスアァーッ!!」バシューン!!



ナックル星人ナグス「ンなッ!!」


ドゴァーッ!!


ナックル星人ナグス「ぐえぇ!」ドシーンッ!




メトロン星人タルデ「くっ!ドン・ノストラ!ここは一先ず撤退をッ!」

メフィラス星人ノストラ「……わ…私は…アイドル……私…は…」

メトロン星人タルデ(いかん!アイドルの夢を打ち砕かれたショックで、錯乱しておられるッ!)



馬場先輩(にせオーブ)「へへっ!オーブ!俺も手を貸すぜ!」カシュ

ガイ「よし…光線技の同時発射だ!いくぞッ!」スッ


キュイーン…


馬場先輩(にせオーブ)「おうッ!」スッ


キュイーン…



ジェッタ「おぉーッ!これぞ僕らが観たかった!二大ヒーローの合体必殺技だぁーッ!」

ジェッタ「いけぇー!オーブゥ!馬場先ぱぁーいッ!」






ガイ「ストビューム…光線ッ!」ビィーッ!

馬場先輩「にせスペリオン光線ッ!」ビィーッ!


ズビューンッ!
ズビューンッ!



メトロン星人タルデ「なッ!」

メフィラス星人ノストラ「……あっ…」



ドゴァーンッ!!



メトロン星人タルデ「ぐわァァーッ!」ドシィーンッ!!

メフィラス星人ノストラ「あぁ…!」ドシィーンッ!!





オーブ「デュアッ!」


馬場先輩(にせオーブ)「や…やったぜ…!」ピカー

(馬場先輩、変身解除)



メトロン星人タルデ「お…おのれウルトラマンオーブ…!おのれババルウ星人ババリューッ!よくも我々の計画の邪魔を…!」ムクリッ

ナックル星人ナグス「この借りは…近いうちに必ず返してやるぜ…!」

メフィラス星人ノストラ「……あ…アイドル………私の……夢ぇ……」


ピカー…


―惑星侵略連合 撤退―








馬場先輩(ババルウ星人態)「あ"~…疲れたぁ…!
             やっぱり慣れない光線は射つもんじゃねーな…!」ゼェ…ゼェ…


オーブ「………」ズシン ズシン


馬場先輩「あっ、オーブ…」


オーブ「………」スッ

馬場先輩「……えっ…?」


ガイ「ありがとう。今回ばかりは、アンタが居なかったら色々とマズかったぜ」

オーブ「デュ!」


馬場先輩「……ふっ…へへっ!」スッ


ガシッ




ジェッタ「今ッ!戦いを終えた二人のヒーローが固い握手を結びました!
     ありがとうウルトラマンオーブ!ありがとう!ババルウ星人ババリュー!」



ナオミ「……何か、ジェッタの実況いつも以上に熱が入ってたわね…」

シン「確かに熱の篭った良い実況でしたが…メロちゃん達のファンだった人達は、今頃それどころじゃないんでしょうねぇ…」



―――


ジャグラー「……ククッ…クハハハハッ!
      俺からも例を言うぜェ…オーブゥ……そしてババルウ星人ババリュー…!」

ジャグラー(ククッ…!これで心置き無く、あの男から闇のカードを奪うことが…)



バチッ…バチチッ…



ジャグラー「……んぁ?」



ピカー…



ジャグラー(―ッ!? 馬鹿な!装置がッ!)


カッ

ドガーンッ!



―――
――




~ それから数日後、SSPオフィス ~


ナオミ「うわぁ…ウチのサイト今日も炎上状態じゃない…!」

シン「あの宇宙人達に騙されていたとはいえ、元はと言えば僕達が件の動画を上げたのが騒ぎの発端ですからねぇ…
   まぁ、一時期は僕らが宇宙人とグルだったんじゃないかっていう疑いもあった位でしたけど、渋川さんの働きかけのお陰でその疑いも公に否定された訳ですし、
   ここは下手に焚き付けるような事はせず、このまま騒ぎが収まるのを待つのが良いでしょう」

ナオミ「はぁー…そんなぁ…」


ジェッタ「まぁまぁそんなに気を落とさないでよキャップ!きっと何とかなるって!」

ナオミ「……ジェッタぁ…アンタねぇ…」

ジェッタ「そりゃあ…あの二人に騙されてたってのは結構ショックだったけどさ…だからって何時までもクヨクヨしてちゃ仕方ないって!
     今回の穴は次のスクープで挽回すれば良いんだからさ!次頑張ろうよキャップ!」

ナオミ「はぁ…全く能天気なんだから…」

シン「まぁ、ジェッタくんらしいと言えばらしいですけどね」

ナオミ「……でもそうね。ジェッタの言う通り、いつまでも落ち込んでちゃいられないわよね!」

シン「そうですよ!炎上は怖いですけど、暫くは騒がれない程度に頑張りましょう!」

ナオミ「そうね!」

ジェッタ「ああ!」


ジェッタ(……そうだ、馬場先輩とは結局あの後ちゃんと話をすること出来なかったなぁ…
     俺、色々と迷惑掛けちゃった訳だし…次会う時は今回のこと謝らなきゃな)

ジェッタ「馬場先輩…今頃何処にいるんだろ…?」




~ 某公園 ~


ガイ「その後どうだ? そっちの調子は」

馬場先輩「ああ、例の女の子達の正体が侵略宇宙人だったって知れ渡ってからは、周りの連中にもあまり騒がれなくなったぜ。
     ……へっ、単に関わり合いたくないってだけの話なのかもしれねぇがな」

ガイ「………」



ビュー!


女の子「あっ!私の帽子が!」


ヒラヒラ… バサッ


女の子「うっ…えーん!えーん!」


馬場先輩「ありゃ…帽子が木に引っ掛かったちゃったのか…」ダッ


馬場先輩「よっと!」ピョン

パチッ


女の子「あっ…」

馬場先輩「ほれ、もう飛ばされないようにしっかり被っとけよ」スッ

ポスッ

女の子「うん!ありがとうおじちゃん!」クルッ

スタスタ


馬場先輩「おう!気ぃつけてな!」ヒラヒラ

ガイ「………」

馬場先輩「……けどまぁ…こうしてまた落ち着いてここの仕事も出来るようになったし、むしろ騒がしくなくなって清々したってところだな!」

ガイ「……フッ…そうか」


もしかして>>1ってセブンのssも書いてた?


―――

ガイ「じゃあ、達者でな」

馬場先輩「おう!アイツにもよろしく伝えといてくれよな!」

ガイ「ああ、あばよ」クルッ

スタスタ…



???「……行ったか…」ヌッ


ザッ… ザッ…


???「……おい、ババルウ星人ババリュー…」


馬場先輩「んっ?」


???「………」


馬場先輩「……アンタは…?」



>>119
セブンの人とは別人です


―――

ガイ「あっ、いっけね…公園に忘れ物しちまったぜ」クルッ

スタスタスタ…



ガイ「……んっ?」

ガイ(ババリューの奴…誰かと話ししてんのか? 一体誰と話してんだ?)スタスタ



???「だから!装置の修理の為にお前の細胞をもう一度俺に!」


ガイ「よう」ズイッ


???「ぁひゃいっ!!?」ビクッ!

馬場先輩「あっ…!」

ガイ「ちょっと忘れ物しちまってな。
   そっちの嬢ちゃんはババリューの知り合いか?」

馬場先輩「いやぁ…ええっと…」


???「……貴様ぁ…何で戻ってきやがったぁ…」ワナワナ


ガイ「えっ?」

馬場先輩「……あの~、この娘はその…」

???「あっ!バカ!言うなっ!」



ガイ(……この何処となく漂う邪悪な雰囲気は、まさか…)

ガイ「……アンタひょっとして…」


???「うっ!!」ビクッ!


ガイ「……ジャグラーか…?」




ジャグラー魔人態(の美少女擬人化態)「………あ……ああぁぁ…!」



馬場先輩「……ああ、何でも使ってたセルチェンジビーム発生装置が爆発した影響で、こんな姿になったとかで…」


ガイ「……ジャグラー…お前…」


ジャグラー魔人態(の美少女擬人化態)「……………」プルプル…



ガイ「……プフッ…!」


ジャグラー魔人態(の美少女擬人化態)「びゃ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙っ゙!!!」





~ 宇宙船内 ~


メフィラス星人ノストラ「誰かぼぉ~くにぃ 地球をくれませんか~……
        誰がぼぉ~くにぃ 愛を~くれませんか~……」


メトロン星人タルデ「あぁ…おいたわしやドン・ノストラ…
       あの一件以来すっかり傷心なされて…」

ナックル星人ナグス「はぁー…ったくどうすンだよこの状況…」

メトロン星人タルデ「ドン・ノストラの精神状態が回復するまで、暫くはこのまま様子見だろう…
       ただ、ドン・ノストラの場合誰よりも真剣に宇宙アイドルを目指していたばかりに、我々よりも症状はかなり深刻なようだが…」

ナックル星人ナグス「全く…元の姿に戻れたから結果オーライって訳にもいかねェな…
       ッたく、この俺が本気でアイドルなんかやろうとしたなんて…どうかしてたとしか思えねェぜ」

メトロン星人タルデ「それはまぁ、十中八九セルチェンジビームの影響だろう」

       



ナックル星人ナグス「ハァー……このままウチの頭が精神病んだままとか言ったら、洒落になんねェぞ…」
       
メトロン星人タルデ「……何ならもう一度装置の修理を試みて、それが成功したら美少女の姿に戻り再びトップアイドルを目指すという手もあるが…」

ナックル星人ナグス「ゼッテェーにやんねェーからなッ!!」



メフィラス星人ノストラ「せめて下さい歌唱の許可を……」ポロロンッ



ー完ー





CM

https://youtu.be/MBCWfFq0H7M

https://youtu.be/jJN5X1EMVZY


テレー♪


ガイ「ウルトラヒーロー大研究!」

ガイ「今日のヒーローは、この人だ!」



《ウルトラマンエックス・サイバーゴモラちゃんアーマー装備》



ガイ「前作、『大空大地「サイバーカードの絵柄が女の子の絵になってる!?」大空大地「サイバーカードの絵柄が女の子の絵になってる!?」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458905678/)』
   で、エックスさんがサイバーゴモラちゃんのアーマーを使用した姿だ。
   擬人化ゴモラの特徴でもあるスクール水着の形をしたアーマーで、これを装備するとエックスさんの変態度が格段にアップするんだ!」



ガイ「そして次に紹介するのは!」



《惑星☆アイドル☆連合!》



ガイ「メフィラス星人ノストラを始めとした3人の宇宙人達が、美少女の姿になったのを良いことにアイドルグループを結成しやがった!
   姿は美少女だが中身はオッサンだ!皆は、その可愛らしい見た目に騙されるなよ!」


ガイ「次回も観てくれよな!」





これにて今作は終わりです。最後まで御付き合い頂きありがとうございました。


作者のウルトラ的な過去作達(一部除く)もよろしければどうぞ



グドン「おらッ!しゃぶれよッ!」テイルレッド「や…やだぁ…!」
グドン「おらッ!しゃぶれよッ!」テイルレッド「や…やだぁ…!」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1414292223/)


グドン「ホモプレイも悪かないよなァ…」総二「あっ…アッー!」
グドン「ホモプレイも悪かないよなァ…」総二「あっ…アッー!」 - SSまとめ速報
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テイルレッド「黄金騎士?」牙狼(レオン)「ツインテール…?」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419701425/)


大空大地「サイバーカードの絵柄が女の子の絵になってる!?」
大空大地「サイバーカードの絵柄が女の子の絵になってる!?」 - SSまとめ速報
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