少女「わたしはわるくない」 (56)


「わたしってかわいいよね♡中学生さんじょー」という写真付きの痛々しいスレッドが、ある掲示板にたてられた。

そんなことないよ~ というレスから おっさん○ねや まで

様々なレスがそのスレに寄せられた。そしてそのスレに荒らしもきたせいかわずか一晩にして1000まで埋まった。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1495270789


語尾にheartをつけて見ているこっちが恥ずかしくなるほどのぶりっこ口調でレスをするのがその>>1の特徴だった。

インパクトがあり過ぎる>>1だったので覚えてる人も多く
なにが彼女、もしくは彼をそこまでさせるのか…と考える人も少なくはなかった。



一部を除いて誰もがその>>1をおっさんだと思っていた


しかし>>1は本当に少女だった。おっさん顔の。
そして>>1は痛い勘違いをしていた



自分は可愛いのだ、と。


>>1は不登校だった。
中学2年生から中学3年生の今まで。


もう受験の年になったのに>>1はあまり危機感がなかった。

頭の片隅でどうせどうにかなるだろ~と軽く考えていたからだ。

だから学校にも行く気になれなかったし、勉強もあまりしなかった。

ご飯たべてきます


>>1は自分に楽なことばっかり考えていた。


楽な道に見える道ほど辛く苦しい道になることも知らないで。


いつものように>>1はネットで暇をつぶした

電気もつけず暗い部屋でまとめを見ながらお菓子を食べてる>>1の姿は人生の負け組という感じがした










まとめから次々に別のサイトに飛び続けてると、ある文字が>>1の目に飛び込んできた


それは>>1のトラウマをよみがえらせる>>1にとって最悪な文字だった

「ラブレター回し読みされたったwwwwww」


あらあらしくパソコンを閉じると、>>1は枕に顔をうずめながら言葉にならない声を出し始めた。


思い出したくもない忌々しい記憶を>>1は思い出してしまった

すんません眠いんで寝ます…



>>1は雪も降る寒い日に必死になって校内で探し物をしていた

思いを込めたラブレター。それを本人に手渡す前に落としてしまったのだ

アレを誰かに見られたら大変だった。

半ば泣きながら探していても見つからなかった

>>1は諦めて家に帰った



食欲がなかった。何を食べてもサラダを食べてる感じだった


夜もあの事で頭がいっぱいだった。しかし眠気には勝てない。
いつのまにか寝てしまっていた。




>>1は重い足を引きずって登校した。朝食べたものが胃の中で気持ち悪く感じられた
今にも吐きそうだった。





教室に入るとみんなの視線が集まった。

一瞬、あの事も忘れて私が可愛いからみんな見てんのかしら、と馬鹿な期待を>>1はしてしまい、
一応ニコッと笑ってみると

教室のどこからかクスッとあまり感じのよろしくない笑い声がした

それが>>1の地獄の始まりだった


なんでわたしなんだろうと>>1は思った



あの日から何かをするごとにどこからか笑い声が聞こえ始め
時には「きっもー」という声や「大好きでちゅwwwwww」などというからかいの声がするようになっていた。


からかわれるだけならまだしもアレの内容をふざけ口調で真似されるのが我慢ならなかった




それでも>>1はまだ学校に通っていた。
シングルマザーの母に小言や嫌味をネチネチ言われたくなかったからだ。


他人に馬鹿にされる毎日

そんな辛い日々でも家に帰ればネットがある

ネットをしていれば嫌なことも忘れて笑っていられる。

ネットは>>1にとってかけがえのない物になっていた。


しかし人間には限界があるもので


その日から1ヶ月たったある日



あと最低1年は馬鹿にされる…、ということに気づき
なにもかも嫌になり学校に行くのをやめた



学生の一年なんてあっという間だが

いつの時代も

耐え忍ぶ一年は非常に長く感じられるのだ









それからというもの、なにもかもがどうでもよくなり

風呂に入らず、着替えもせず、不規則な時間に寝るなど

不衛生な生活をしていた

では


もはや女を捨ててると言っても過言ではない

そんな中であのスレだ。自分の顔をさらすなんて常人では決してできない。

自分の顔によっぽど自信がない限り

すごい
ナス色になった

おお!すごい!

あ、下げながら色つけることもできるんだ
パー速すご


>>1は叩かれたことに納得がいかなかった

なにより「おっさんじゃんww乙ww」と言われたことがショックでならなかった。



動揺しながらも

「どうしてよ~?私可愛いでしぉ?」とレスすると

「おっさんもういいよ」「きも」「うせろ」などと>>1を擁護するレスはひとつもなかった

>>1は泣きながらスレを閉じた


翌日スレを覗きに行くと

スレが埋まっていた。半分くらいはスクリプト荒しだったが。

1000までいったのにちっとも嬉しくなかった。

夜のテンションと妙な自信で顔なんて晒すもんじゃないと>>1は痛感した。



ふと、スレの写真をじっくり見てみると>>1はあることに気が付いた

あれ?私って…不細工じゃね?と。

鼻も広がってるし、目も小さいし、唇も分厚いし、顔もニキビでテカテカ

昨日は夜のテンションでイケてるーと思ったが、冷静になって見てみると

自分の顔はとんでもなく不細工だったことに気付いた。気付いてしまった。







>>1はすぐさまその写真を消した

 


少女(>>1)「不細工、ハハ。不細工かぁ」

少女「私、ぶさいくだったんだ」

少女「誰も私をかわいいと言ってくれなかったのは、不細工だったからなんだ」

少女「照れていたから、じゃないんだ」

少女「なんで、なんで…こんなスレ立てちゃったのかな?」

少女「もう、本当の本当にどうでもいい」

少女「不細工なら生きている意味ないもん」


少女「…」

少女「いい天気」

少女「久しぶりに外にでも出ようかな」

少女「あ、マスクは装備しておこう。サングラスはちょっと危ない人に見えるからやめておこう」

少女「よし。準備完了」

少女「ロープ、買ってこよう」


少女「…イッテキマス」ガチャ



少女は外に出た。少女にすれ違う人すれ違う人誰もが顔をしかめた。
少女のその顔を見てしかめたのではない。少女の臭いに顔をしかめたのだ。



ホー○センターでロープを買って家に帰る途中、男子高校生達とすれ違った。

少女「…」

男子高生達「ギャハハ」


とてもたのしそうな表情をした男子高校生達をみると、なぜだか苛立ちが
胸に宿った。まぁそんな男子高校生達も少女のその臭いで顔をしかめたが。




男子高生1「あの人臭くね?」

男子高生2「風呂入ってんのかな…」

少女「っせー!!テメェらみたいなくずしねよ!!人を嘲笑って何が楽しいんだよ!!」

気付いたら少女はそう怒鳴っていた。周りにいた人たちは突然の怒鳴り声に驚いて足を止めた。

少女「あっ…えっと…」カァァァァア

少女は顔を真っ赤にしながらその場から逃げ出した


少女「ハァハァ フー …やっと家に着いたわ」ガチャ

少女「もう、最悪!知らない人にあいつらがダブって怒鳴っちゃった!」

少女「…ま、いっか。もう会うことないだろうし」


少女「さぁ、さっそく」カサカサ

少女「いや、待てよ」

少女「…そうだ!あいつらの個人情報ネットにばらまいちゃおうww」

少女「私が消える前にあいつらに復讐してやる」ポチッ ウィーン

30分後

少女「よし、思いつく限り私を馬鹿にしたやつの個人情報書き込んでやったぞ」

少女「これでアイツらがすこしでも痛い目にあえばいいww」


少女「あとは…書き込みボタンをクリックするだけ」

少女「でも本当にこんなことしてもいいのかな…」

少女「いやいや、あんな奴ら痛い目にあえばいいんだ!」

少女「わたしはわるくない」


少女「…」モゾモゾ

少女「…ちょっと、トイレ行こう」

少女「トイレで気持ちを落ち着かそ」

5分後

ジャー

少女「ふーすっきしした」テクテク

少女「さて…」ガチャ

少女「…押すか押さないか」

少女「あーもう!ゆうきでなっ…ムグッ」

少女「!?」

?「声を出すな」

その声と共に少女の首に何かヒヤッとしたものがあてられた。



頭が恐怖色に染まった
一気に心拍数があがりなんだか苦しくなってくる
どうしてよりによってこんなことになるのだろうか。


?「声を出したらどうなってるか分かるだろう、な?」ヒタッヒタッ

少女「…」

?「よし。ちょっと立てや」

少女「…」スクッ

?「…」スッ

?「オラァッ!」

ドゴッ

少女「!」ガンッ

急に殴られ、勢い余って壁に激突した
いままで味わったことのない痛みだった


?「…」ガッガッガッドゴッ

少女「…ッア」

?「…」

少女「ウゥッ…」

?「wwwwwwww」ガッガッガッ

?「昔さぁ…おれよ
てめぇみてぇな糞ブス女に毎日いじめられてたんだよ」ドスッ ガッガッ

?「そいつはいつもいつもマスクしててさー、ブスのくせに私はかわいいんだとか勘違いしてるような女だったんだよ」ゴッ

?「マジキッモい!くせに!同性の味方だけ多かった!」ゲシッゲシッゲシッ

?「俺はよくわかんねぇりゆうでソイツらにいじめられたよ」

?「財布とった犯人に仕立て上げられたり、」ガシッ

?「昼食にごみ虫いれられたり、よ!」ゲシッ

?「そしてついには!ラブレターが回し読みされた!」ガッ ドゴッ!

?「あれだけは我慢がならなかった!あいつら勝手に人のバッグから盗みやがってッ!」ゲシッ


?「…」

?「お前自身に何の恨みもないが」

?「これは復讐のためだ」

?「母親にとって子供は何よりの宝物だからな」

?「それを失ったらどうなるかな?」

?「きっと絶望の淵に立たされるだろうなww」

?「ハハハッハハハ」


グサッ


少女の胸に鋭い痛みが走った。
犯人は狂ったように笑いながらその場を去る。




復讐、と犯人は言っていた。

復讐とは、さっき私がやろうとしていたことだろうか。

復讐というならならなんでその人に直接やらないのだろう?


薄れゆく意識の中ふわりとその疑問が私を包んでいった

>>49絶望の淵に立たされるじゃなくて絶望の淵に突き落とされる)

ふろはいってきま

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ある教室の休み時間

男1「ハハハハ。やめろってー」

男2「バカかっつーのw」ドンッ

男1「うわっ!」ドガッ

男1「イッテー…」

男2「あはは!勢いよく机にぶつかったなwどんくせーw」

男1「あ、ヤベーやっちまったw勢いで机倒しちまったよw(テメェが押したからだろーが。うぜーな。コイツしねばいいのに)」

男2「ハハハハwばっかでーw」

男1「ハハ」


時計はもうすぐで2時をさそうとしていた


男2「…やべ!あと3分で授業始まんじゃん!」

男1「うわ やべっ 急がねーと!次理科実験室だったよな!」

男2「ああ っとその前に男1は倒した机、元に戻しとけよなw」

男1「…男2も手伝ってくれよーw」

男2「やだよ。時間ねーし。それにお前がやったんじゃん。俺はかんけーないし、じゃあな」タタッ


キンコンカーンコン


男1「あー鳴っちまった」

男1「……なんでおれがやんなきゃいけねーんだよ。アイツが悪いのに」ガタゴト

男1「まったくなんであんな奴が先輩にもてるんだ、顔だけのくせに…」クシャ

男1「ん?なんか踏んだ」

男1「手紙か。男2宛て?…それにハートマークのシール」カサカサ

男1「なになに?いつもみてました。素敵なあなたが大好きです。おっさん少女より…」

男1「ってラブレターじゃねーか!しかもよりによってこいつからw」

男1「あ、そうだwこれきっかけに男2からかえるじゃんw広めてやろw」

男1「日頃の恨みもこれで晴らせそうだw」



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ねます

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雨の降る中、母は車で病院に向かっていた

母「あーめんどくさいわねぇ」

母「この糞忙しい時に娘が重体?…だかなんだか知らないけど電話してくるんじゃないわよ」

母「あんな子なんか正直どうでもいいっつーのに」

母「はぁ、あの不登校児…」

母「…」

母「…なんかねむくなってきたわ」

母「…」

母「…」ウトウト

その時、人が車にとびだしてきた
いや、飛び出していたのは車の方だった。
信号を母は見ていなかったのだ

母「!」

キキーッ

母はブレーキを掛けたが間に合わなかった

母「だ、大丈夫ですか!」ガチャ

衣類はズタズタでその人間は血まみれでたおれていてピクリとも動かなかった



母「ひっ…」

母はなんだか怖くなって逃げてしまった

ひかれた人間が娘を不登校にした原因ということも知らないで


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