モバP「教会の?」 南条光「お手伝いだ!」 (9)

P「教会って、クラリスさんの所のか?」

光「うん! お仕事の無い週末だけだけどね!」

P「まあ、クラリスさんも今はオフの時だけだしな。でも、偉いじゃないか。なかなかできる事じゃないよ」

光「そうかな? 困ってる人を助けるのは、ヒーローとして当然だ!」

P「はは、そうだな。手伝いって、どんな事をしてるんだ?」

光「どんなって、普通のお手伝いだよ。草むしりしたり、ご飯作ったり、洗濯物干したり……」

P「草むしりはともかく、後ろ二つはできるのか?」

光「なっ、できるぞ! 特に洗濯は、この前のお仕事でもやったじゃないか!」

P「ああ、そうだっけ。……次、俺も一緒に行っていい?」

光「ん? いいと思うけど……何で?」

P「いや、ほら、大丈夫だと思うんだけど、万が一ね。迷惑かけてないかなーって」

光「失礼な! もう14歳だよ!? お手伝いぐらいできるよ!」

P「ああ、ごめんごめん。まあ、単純に興味があるだけだよ」

光「ならいいけど。クラリスさんに言っとくね。週末に大掃除があるらしいから、そのお手伝い」

P「ああ、わかった、ありがとう。……教会まで一緒に行くか? 迷子にならないで行けるか?」

光「もーっ! 怒るよ!?」

P「いや、もう怒ってるじゃ……悪かったって、痛い、叩くな」


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―――週末―――

クラリス「まあまあ、ようこそプロデューサー様。申し訳ございません、何のお構いもできなくて……」

P「いえいえ、こっちが無理を言って押し掛けたようなものですから、どうかお気遣いなさらないよう……」

光「プロデューサー! クラリスさんも! 二人でペコペコしてないで手伝ってよー!」

P「おっと、悪い。運ぶの手伝うよ。クラリスさん、こっちの箱は?」

クラリス「ええと、これは古着ですね。全て出してしまうので、表にお願いします」

光「クラリスさん、食器は全部終わったよ! 他に何か運ぶ物ある?」

クラリス「ありがとうございます、光さん。今のところは大丈夫なので、子供たちと遊んでいていただけますか? ふふっ、みんな、光お姉ちゃんと遊びたいって、ずっと楽しみにしていたんですよ」

光「了解! アタシを求める声が聞こえる……! 今行くぞーっ!」

P「こら光、走るな! 転ぶぞ! ……聞いちゃいないか」

クラリス「うふふ、光さんはいつも元気いっぱいで、見ていてこちらも元気になるようですね」

P「ええ、本当に。あんなんだから、子供受けもいいでしょう? 趣味も近いし」

クラリス「はい、男の子も女の子も隔てなく、とても仲良く遊んでいて……思わず、嫉妬しそうになってしまいます」

P「はは、それは怖い。まあでも、それがあいつの目指す理想でもありますからね」

クラリス「理想、ですか?」

P「ほら、あいつ、ヒーロー好きでしょう? 小学生の時は男の子に交じって遊んでたらしいんですけど、やっぱり中学生にもなると難しいらしくて」

クラリス「あらまあ、それは……」

P「男でも女でも、好きな物が同じ同士で仲良く遊べたら。自分がその「好き」になれたら、って。それがあいつの、アイドルとしての一つの目標なんですよ」

クラリス「あら……ふふ、でしたら、もう叶っているかもしれませんね」

P「ええ、そう思います」


光「プロデューサー! ちょっと来てくれー!」

P「お、どうした光。あんまり走るなよ、転ぶぞ」

光「あ、クラリスさん! プロデューサー借りていい?」

クラリス「ええ、どうぞ。……ちゃんと返してくださいね?」

光「うん、わかった! ほらプロデューサー、こっち! 早く!」

P「俺の意向は無視かい。……わかったから、引っ張るなって」

光「ほら、この部屋。入って入って!」

P「何だよ、押すな。入るから」

少女「おじさんが、お姉ちゃんたちのプロデューサーさん?」

P「お兄さん、な。そうだけど、なんだい?」

少年「ホントかなあ? クラリスお姉ちゃんは、カッコイイ人って言ってたけど、教頭先生みたいな頭だよ」

P「オウコラ少年、次それ言ったら泣くぞ。いい大人が声上げて泣くからな」

少女「コラ! 人の悪口言っちゃダメってクラリスお姉ちゃんが言ってたでしょ! 謝んなさい!」

P「教頭先生みたいな頭のどこが悪口だよオラァン!」

少年「ごめんなさい」

P「あら素直。うんうん、そういう子、お兄さん好きだよ」

少年「え!? ……ご、ごめんなさい!」

P「なぜ謝る!? ……いや、まあいい、わざわざ呼んだって事は、俺に何か用があるんだろう?」

少女「あ、はい! えっと、プロデューサーさんにお礼が言いたくて……」

P「お礼?」

少年「うん。クラリスお姉ちゃんをアイドルにしてくれて、ありがとうございますって」

少女「今のクラリスお姉ちゃん、すっごい楽しそうなの。アイドルの事とかいろいろお話してくれて、私もアイドルになりたくなっちゃうくらい」

少年「アイドルになれたのは、プロデューサーさんのおかげだって、クラリスお姉ちゃんが言ってたから」

少年少女「「クラリスお姉ちゃんをアイドルにしてくれて、ありがとうございます」」

P「……ああ、うん。どういたしまして。光ー、光どこー? ちょ、代わって」

光「はいはい、交代。二人とも、ちゃんとお礼言えた?」

少女「言えた! ありがとう、光お姉ちゃん!」

少年「お姉ちゃん、次ナイスマンごっこしよーよ」

光「あー、うん。もうちょっとだけ待っててくれる? アタシはちょっと、ヒーローの仕事があるんだ」

少女「そうなの?」

少年「そうなんだ! 行ってらっしゃい!」

光「ああ、行ってくる!」

―――

光「大丈夫? プロデューサー」

P「ぐずっ……お、おお゙、光が……どうじた?」

光「泣いてるんじゃないかと思ってさ。アタシも初めて来たとき泣いたし」

P「いや、あれはズルいよ、泣くよ。うゔぅ、クラリスさんスカウトして良かった……プロデューサーやってて良がっだぁ……」

光「アタシにもさ、言ってくれたんだ。クラリスさんと一緒にアイドルやってくれてありがとう、って。あの子達、本当にクラリスさんの事好きなんだね」

P「まあな、俺のアイドルだからな。そりゃもう大人気だよ」

光「アタシもクラリスさんの事好きだよ。優しいし、お姉ちゃんみたいだ」

P「は? 俺の方がクラリスさん好きだし。俺のお姉ちゃんだし」

光「え、そこ張り合う? いや、負けないぞ! 絶対アタシの方がクラリスさん好きだよ!」

P「ほう、やるか小娘」

光「受けて立つ!」

P「お弁当忘れた俺に自分のパン半分分けてくれたクラリスさんマジ天使!」

光「横断歩道渡れなくて困ってるお婆さんの手を引いてあげてた!」

P「事務所のソファで仮眠してるのを起こしたら『ふぇ、ご飯…?』って! マジたまらん!」

光「外人さんに道案内してあげてた! 外国語喋れるのカッコいい!」

P「でもつい最近までwi-fiをウィーフィーって言ってた! 超キュート!」

クラリス「あのー……」

少女「好き嫌いはいけませんって言うのに、ゴボウ嫌いなんだよ!」

少年「正直あんまり歌上手くないよ!」

P「ばっか君たちそこが可愛いんだろうが! 知ってる? 遠くの物見るとき、ちょっと額に皺寄ってぐぬぬって感じになってるの。写真見る?」

少女「見たい!」

少年「僕も!」

クラリス「あの、プロデューサー様?」

P「よしよし、素直なのはいい事だ。ちょっと待てよ、今……」

クラリス「その命、神に返しなさい!」

P「グワーッ!!」

少年少女「「お兄ちゃーん!?」」

光「あ、それこの前あげたベルト! 使ってくれてるんだ!」

クラリス「ふふ、こういう時くらいは……ね?」


―――

クラリス「……それで、一緒になって騒いでいたと?」

P「いやあ、つい盛り上がってしまって……申し訳ない」

クラリス「いくらなんでも言い過ぎですよ。私だって、その……恥ずかしいです」

P「しんだ」

クラリス「え?」

P「ああ、いや、何でもない。で、何だっけ、おひるごはん?」

クラリス「はい、昼食の用意ができましたので、食堂へどうぞ。光さんたちは先に行っていますから」

―――

光「……でね、この前も……でさ……あ、プロデューサーさん、遅いよ! もうシチュー無くなっちゃうよ?」

P「俺の分取っておいてくれる優しさが好き。で、何、まだクラリスさんの話?」

光「うん、今、クラリスさんがLMBGの練習見に来てくれた時の話を……」

クラリス「あぁぁああの、光さん、その辺で……光さんだって、ご自分の話をされたら恥ずかしいでしょう?」

光「アタシは、自分に恥じるような事は何も無い!」

P「言い切ったよ、かっけえ」

クラリス「……でしたら、今度は光さんの話をしましょうか」

光「へ?」

P「乗った」

クラリス「まず、何と言ってもその瞳ですよね。透き通った蒼、と言いますか……とても美しいと思います」

P「髪も凄い綺麗だよな。緑髪、なんて言葉があるけど正にそれ」

クラリス「外見だけではなく、心もとても美しいものを持っています。この前、お母さんとはぐれた小さい子を……」

P「あ、それ知ってる。ちょうど見てたわ。迷子の世話してたんだって、カッコいいんだよ。ほらこれ、写真」

クラリス「まあまあ、キリっとして……とても、素敵。確かこの後に……」

P「そうそう、LIVEがあって。凄かったなあ、ワイヤーアクション。物怖じせずにやるんだから、大したもんだよ。なあ、光」

光「うう、そこまで褒められると恥ずかしいけど……でも、嬉しいな! ありがとう、二人とも!」

クラリス「……負けました」

P「勝てんわこりゃ」

光「ええっ、勝ち負けあるの? クラリスさんは大好きだし、プロデューサーさんは大事な相棒だし……褒められたら、そりゃ嬉しいよ!」

P「これですよ。どうですかクラリスさん」

クラリス「そうですね、100点です」

P「もう一度求めてみるか、光を」

光「ん?」

P「お前、俺の妹になれ」

光「急に何言い出すの!? やだよ!」

P「失恋は、最高の暗闇だ……」

光「だって、プロデューサーは相棒だし……お、お兄ちゃん?って言うのも、恥ずかしい……」

クラリス「でしたら、私の妹でしたらいかがでしょうか? 」

光「クラリスさんまで!?」

クラリス「日毎のんびりアイドル活動をしつつ、空いた時間で困ってる人々に救いの手を差し伸べる……いかがですか? 今ならお姉ちゃんの添い寝もついてきますよ?」

光「うぐっ、それは魅力的だけど……いや、クラリスさんはクラリスさんだっ! アタシはもう、迷わない!」

クラリス「あらあら残念、じゃあ、昼食を食べて、お掃除再開しましょうか。いい天気ですから、シーツもよく乾いてそうですね」

光「あっ、シーツを畳むのは任せてくれ! この前の仕事でやったんだ!」

クラリス「ふふ、じゃあお願いしましょうか。ほら、プロデューサー様も、起きて食べてしまってくださいね」

P「……クラリスさんがあーんってしてくれたら起きる」

光「ごちそうさま! 食器片付けてくるね!」

クラリス「ありがとうございます。少し休んだら、掃除の続きをしましょうか」

光「はーい! いい天気だし、お昼寝とかしたら気持ちよさそうだな!」

クラリス「でしたら、不要物の中にシートがありますので、どうぞ使ってくださいね」

光「え? クラリスさんも一緒に行こうよ」

クラリス「私は書棚の整理をして置きたいのですけど……私にしか読めない本もありますから」

光「でもさ、さっき言ってたじゃないか。添い寝してくれるんでしょ? ……お姉ちゃん」

この後めちゃくちゃ添い寝した

終わり

なに!? 光クラリスとは南条光とクラリスの事ではないのか!? みたいな感じで。

根底が「困ってる人を助ける」だから相性はいいんじゃないかな。増えろー…増えろよー…

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