海未「バーチャルリアリティ」 (26)

ガチャ

海未「御機嫌よう」

シーン

海未「誰も居ないみたいですね」

シーン

海未「遅いですね…ん?」



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海未「誰かの忘れ物?メガネでしょうか?ゴーグル?」



海未「いやいや、こんなメガネを掛けてる人が居るわけないですね」



海未「ですが…他に用途が思いつかない…」



海未「…勝手に掛けるのは良くないですよね?」



海未「何でしょう?無性に掛けたくなってしまいました」



カチャ

海未「…真っ暗ですね」



海未「外しましょう…一体私は一人で何をしているのでしょうか…」

ポチッ

海未「あれ?今…何かを押した感触が」

シーン

海未「え?こ、ここはどこですか?え?どこ?外国?」

シーン ズトッ

海未「え?なんの音…」

ゾンビ「ウォォォォ」

海未「い、いやぁぁぁぁぁぁ」

カチャ

海未「はあ…はあ…はあ…今のは一体…」

シーン

海未「まさか…でも、それ以外考えられないですよね…」

カチャ

ゾンビ「ウォォォォォ」

海未「キャアアア」

カチャ

海未「やっぱり…このメガネを掛けると目の前の風景が一気に変わって…一体どうなっているのでしょう?」

海未「…なんか…驚きすぎて喉が渇いてしまいました…このメガネは気になりますが…取り敢えず飲み物を買いに行きましょう」

ガチャ

海未「はあ…何故今日に限って水筒を忘れてしまったのか…」

ガチャ

凛「…海未ちゃんどうしたんだろ?廊下まで騒ぎ声が聞こえるから何かしてると思ったけど海未ちゃん一人だったんだ?部室から出てきたの海未ちゃんだけだったもんね」

シーン

凛「あれ?これなんだろう?ゴーグルかな?」

シーン

凛「なんか映画に出てきそうだにゃ」

シーン

凛「勝手に触ったら怒られるかな…少しなれいいよね?」

カチャ

凛「あれ?ここどこ?」

ズチャ ズチャ ズチャ

凛「な、なんの音?」

ゾンビ「ウォォォ」

凛「ニャァァァ」

ゾンビ「ウォォォォ」

凛「こ、来ないで…怖いにゃぁぁぁぁ」ダッ

バン

凛「痛っ。何かに当たったにゃ。何もないのに壁に当たったにゃ。え?どう言うこと?」

ゾンビ「ウォォォ」

凛「ま、また来たにゃ~」ズゴー

カチャ

凛「痛っ…痛にゃ…あれ?部室?…どうして?あっ!そうだ!ゴーグル…転んでゴーグルが外れたから…きっとそうにゃ。あのゴーグルを掛けたら目の前が変な街になってたもん」

凛「凄い…凄いにゃ…未来だにゃ~」

『星空凛さん。至急職員室まで』

凛「あ!宿題提出するの忘れてたにゃ…もっと遊びたかったけど…まあ、いいや」

ガチャ

シーン

ガチャ

絵里「あら?まだ誰も来てないのかしら?」

シーン

絵里「なんか随分と部室が散らかってるんだけど…全くだらしないわね」

絵里「はあ…どうせ穂乃果か凛でしょうけど…世話がやけるわね」テキパキ



絵里「ふう。綺麗になったわ。それにしても皆んな遅いわね…ふわぁ~少し…眠くなっちゃったわ…………」



ガチャ

希「お疲れさん~。あら?えりちだけやん?しかも寝てるし」

絵里「ZZZ」

希「えりちー?おーい?飽きないなぁ。ん?なんやろこれ?」

絵里「ZZZ」

希「これってあれやない?VRやっけ?誰のやろ?」

絵里「ZZZ」

希「えりちのかな?」

絵里「ZZZ」

希「…」

カチャ

ゾンビ『ウォォォ』

希「うわっ。結構リアルやなぁ。これ絶対にえりちのやないね」

カチャ

凛「はあ…散々な目にあったにゃ」

ガチャ

希「…」そろ~り

凛「…希ちゃんなにしてるの?寝てるの絵里ちゃんだよね?」

希「しぃー。凛ちゃん。えりちが起きちゃうやん」

凛「…あっ!なるほど」

希「え?理解したん?」

凛「その魔法のゴーグルを寝てる絵里ちゃんに着けて起きた時の反応を見るんでしょ?」

希「魔法のゴーグル?」

凛「うん」

希「まあ、そんなところやね」

30分後

絵里「…ん…ふぁ~…気付いたら結構寝ちゃってたのね…ん?…ここ…どこ?」

凛「ぷっ…くくっ…」

希「あかんよ凛ちゃん…くっ…声出したらバレちゃうやん…ぷっ」ヒソヒソ

絵里「誰?誰かいるの?」

希「ぷっ…くくっ」

凛「ふふっ…ププッ」

絵里「誰も居ないの?え?どこなのここ?秋葉?じゃないわよね?ねえ?誰かのイタズラなんでしょ?私が寝てる間に運んだんでしょ?ねえってば」

希「ウチ、いい事考えた」ヒソヒソ

凛「え?何々?」ヒソヒソ

希「聞こえますか、絢瀬絵里?」

絵里「え?誰?」

希「あなたは今、10年の眠りから覚めたのです」

絵里「は?何を言ってるの?」

希「この街の有様をちゃんと受け止めてください。今人類は滅亡の危機に晒されているのです」

絵里「な、何をふざけた事を言ってるの?だいたいあなたは誰よ?姿を現しなさいよ」

希「今は訳あって姿を晒すわけにはいきません。ただ、私はあなたの味方です。お願いします。この世界を救って下さい」

絵里「え?世界を救うって?」

希「…」

凛「ぷっ」

絵里「ねえ?ちょっと?返事をしてよ」

ズチャ ズチャ ズチャ

絵里「え?」

ゾンビ「ウォォォォォ」

絵里「イヤァァァァ」ダッ

希「あっ!走り出した!凛ちゃんフォローして」ヒソヒソ

凛「任せるにゃ」

ガチャ

絵里「イヤァァァァ」

希「何やってるの凛ちゃん?えりち廊下に出て行っちゃったやん」

凛「だってあのままだと扉にぶつかる勢いだったし」

希「取り敢えず追いかけなきゃ」

絵里「はあ…はあ…はあ…随分走ったと思ったけど…」

「あの人何やってるのかしら?」

「疲れてるのかな?」

ザワザワ

絵里「はあ…はあ…それにしても…私が10年眠ってた?そんな事有り得ないけどこの街のさびれ具合を見たら妙に説得力あるし…10年って私27歳じゃない…亜里沙だって24歳よね?高校留年かしら…ってそんな事言ってる場合じゃ………皆んなは…どうなってるのかしら?」

真姫「ちょっと、絵里?何やってるのよ!凄い騒ぎよ」

絵里「え?この声は?」

真姫「何言ってるの?って言うか何着けてるのよそれ?」

絵里「真姫?真姫よね?何処にいるの?良かった…無事で。10年振りだとは思えないわ」

真姫「え?絵里…大丈夫?」

絵里「ごめんなさい。ちょっと混乱してて…」

ゾンビ「ウォォォ」

絵里「イヤァァァァ。ゾ、ゾンビィィィィ」

真姫「はあ?誰がゾンビよ!!」

絵里「イヤァァァァ」

真姫「な、何なのよ」

凛「真姫ちゃーん」

真姫「凛?希?」

希「えりち来なかった?」

真姫「悲鳴あげながらあっちに走って行っちゃったんだけど」

凛「え~どうして捕まえてくれなかったの?」

希「このままだとその内えりちが怪我しちゃうよ。早く追いかけないと」

凛「そうだね」

真姫「本当になんだったのよ」

絵里「はあ…はあ…はあ…大分走ったつもりでも全然進んでないし…27歳の体ってこんなに重いのね…10年間も寝てたんだし当たり前か…もう疲れたわ…」

ゾンビ「ウォオォ」

絵里「ゾンビがもうあそこまで来てる…人間極限状態になると恐怖も消え失せるのね…もう無理だわ…逃げ切れない」

穂乃果「絵里ちゃん?」

絵里「…穂乃果の声が聞こえた気がするわ」

穂乃果「え?」

絵里「穂乃果は…無事なのかしら?」

穂乃果「えっと…」

絵里「穂乃果の声の幻聴が聞こえるなんて…いよいよ本当に最期なのね」

穂乃果「絵里ちゃん大丈夫?」

絵里「10年前のあの時も穂乃果は私に手を差し伸べてくれたのよね…穂乃果?私、あなたの手に救われたのよ?本当に幸せだったわ…グズっ…また、あの頃に戻りたい…また…亜里沙と…お婆様やお父さんやお母さんと…グス…μ’sの皆んなに会いたい…会いたいよ…」

穂乃果「絵里ちゃん…」

ゾンビ「ウォォォォォ」

絵里「もっと…皆んなと…穂乃果…助けて…」

穂乃果「絵里ちゃん…大丈夫だよ…穂乃果はいつだって絵里ちゃんの味方だから」ギュ

絵里「ああ…暖かいわ…まるで本当に穂乃果が居る様だわ」

ゾンビ「ウオオオオ」

絵里「…さよなら」

海未「大丈夫ですよ、絵里」

ガチャ

絵里「え?」

海未「あなたは助かりました」

絵里「こ、ここは?学校?」

穂乃果「海未ちゃん?」

絵里「どう言うこと?」

海未「事情はこの二人がよく知っています」

凛「ごめんなさい」

希「なさい」

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絵里「なるほど…良かったぁ」

希「あのね?ほんのちょっとイタズラのつもりが」

凛「絵里ちゃんが走り出すから…」

海未「あなた達にはこれからもっと恐ろしい事を体験させてあげますから。現実世界で」

凛「ひいっ」

希「お手柔らかに…」

海未「所で絵里はともかく何故穂乃果まで泣いてるのですか?」

穂乃果「いやぁ…絵里ちゃんが悲しそうにするから」


部室

にこ「このVRどうしたのよ?」

ことり「なんかテスト版らしいんだけど…感想をってお母さんが」

花陽「凄いリアルだよね」

にこ「こんなんじゃ将来アイドルなんてVRで充分だってなりそうで怖いわよね」

花陽「そ、そうだね」

ことり「そうならない為にも頑張らなくっちゃね?」

にこ「ま、にこがVRなんかに負けるはずないけどね」






ー完ー

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