サターニャ 「あれ、もしかして……」 (26)

サターニャ (ラフィエルっていつも私にちょっかい出してくるけど、よく考えたらどうでもいい相手に普通はそこまで絡んだりしないわよね)

サターニャ (ラフィエルって上部では誰にでも愛想が良さそうだけど、それはあくまで自分の居場所を確保する手段の一つみたいな感じだろうし)

サターニャ (じゃあなんで私には所構わずちょっかい出してくるのかしら……まさか……)

ラフィエル「あれ、サターニャさんボーッとしてますけど、もしや寝不足ですか?」ニコニコ

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サターニャ (ほらまた私に絡んできた……試してみようかしら)

サターニャ「べつに、ちょっとあんたのこと考えてたのよ」

ラフィエル「え?今なんておっしゃいましたか」

サターニャ「だから、あんたのこと考えてたらボーッとしちゃったの」

ラフィエル「はひっ」ドキッ

ラフィエル (さ、サ、サターニャさんが私のことを……)

ラフィエル (これは何かの冗談でしょうか……いいえ落ち着くのです白羽=ラフィエル=エインズワース、ここはいつもの私らしく平常心で対応しましょう)

ラフィエル「へ、へー珍しいですね?サターニャさんが私のことを考えるなんてー」

サターニャ「そう?私けっこうあんたのことばっかり考えてるけど」サラッ

ラフィエル 「~~っ!?」ズキュン

ラフィエル (まさかの追い打ちが!ダメです、なんだか今日のサターニャさん、いつもと違う気が……ああ、私いま顔が赤い自信しかないです)

ラフィエル「あ、あの、私も毎日サターニャさんのこと考え」ハッ

サターニャ「!」

ラフィエル「えっと、わ、私、そろそろ教室に戻りますねっ」スタスタ

サターニャ「あっ」

サターニャ (まさかあそこまで動揺するなんて……予想以上ね)

サターニャ (それはさておき、今まで私に散々いじわるしてきたんだから、今度は私がラフィエルのこと導いてあげようじゃない、くく、見てなさいよ……)ニヤリ

◇◇◇

ラフィエル「はぁ」

ラフィエル (さっきはサターニャさんが変なことを言うので思わず調子が狂ってしまいました~)

ラフィエル (まさか、私がサターニャさんに向ける好意にとうとう気付いて……っ)

ラフィエル (いや、あのサターニャさんですよ?気付いてるはずがありません、さっきのはたまたまサターニャさんの天然さが無意識に核心を突いただけのことでしょう)

ラフィエル (でも、危うく嬉しすぎてサターニャさんにデレてしまうところでした……今日のところは本調子じゃないので、このまま真っ直ぐ帰ったほうが賢明ですね)

サターニャ「あ、ラフィエルなに急いで帰ろうとしてるのよ!」

ラフィエル「ゎ、さ、サターニャさん?!」ビクッ

サターニャ「なによ、あんたさすがに驚きすぎじゃない?」

ラフィエル「い、いえ、サターニャさんが学校帰りに私に話しかけてくるなんて初めてだったので……」

サターニャ「そうだったかしら?まあいいわ、それよりこのあとって何か用事ある?」

ラフィエル「用事……ですか、今日は特に何もないので真っ直ぐ帰宅しようかと……」

サターニャ「ならちょうどいいわ、ちょっと行きたいところがあるから私に付き合いなさいよ!」

ラフィエル「えっ、このあとですか……えっと」

サターニャ「なんか乗り気じゃなさそうね……やっぱりあんたじゃなくてヴィネットを誘ってみるわ」

ラフィエル「それはダメです!私がサターニャさんにお伴します!むしろ私以外この世界でサターニャさんのお伴にふさわしい相手なんていませんよ!」カッ

サターニャ「ぅえ、あ、うん」

サターニャ (うわあ、必死すぎて面白い)

◇◇◇

ラフィエル「あの、サターニャさん、これは一体……」ドキドキ

サターニャ「ん?どうかした?」

ラフィエル「いえ、その……やっぱりなんでもありませんっ!」カァァ

ラフィエル (ああ、まさかサターニャさんがいきなり私の手を繋いでくるなんてっ、しかも、恋人繋ぎだなんて……!なんですかこの状況は……)

サターニャ「それにしてもラフィエルの手って柔らかくて気持ちいいわね」ギュ-

ラフィエル「っ、サターニャさん、そんなに強く握られるとさすがに痛いです~」

サターニャ「んあ、ごめん、もっと優しくするわ」

ラフィエル (ああ、もう夢でもなんでもいいです……私ひょっとしたらこっちに来てからこんなに幸せな気持ちになったの初めてかもしれません)ホワン

サターニャ (ふっふっふ、効いてる効いてる)

サターニャ (私が手を繋いだときのラフィエルの反応……たまらないわねっ!優秀な天使を導くこの快感……クセになりそうだわ……!)

サターニャ (さて、まだまだ悪魔的誘惑は続くんだから!どこまで平常心を保ってられるか見ものね)

◇◇◇

サターニャ「ラフィエルは何か気になるのある?」

ラフィエル「んー、私はジャンルにはこだわらないのでサターニャさんが気になってる作品が観たいです」ニコニコ

サターニャ「ん、そうね、じゃあ気になってた旧作のやつを借りてくるわ!ちょっと待ってなさい!」

ラフィエル (サターニャさんが映画が観たいと言うので映画館に行くのかと思ったら、レンタルDVDショップTATSUYAに到着しましたっ)

ラフィエル (映画館も素敵ですけど、外だと人の目があるのでサターニャさんとあんまり……いちゃいちゃできないでしょうし、むしろこっちのほうが正解ですね!)キャ

◇◇◇

ラフィエル「さ、サターニャさんっ、この映画って……まさか……!!」ガクブル

サターニャ「あー、確か突然変異した巨大カエルが東京を壊滅させるパニック映画だったわねー」ニヤリ

巨大カエル『ゲコゲコ!!!』バァン

ラフィエル「いやあああ!さっ、サターニャさんわざとですか!?わざとこれを選んだんですかー!?」ギュ-

サターニャ「ちょ、ラフィエル、あんたが抱きついてくると前が見えないんだけどー!」

ラフィエル「サターニャさんのばかっ!」ギュ-

サターニャ「うっ、しょうがないわね……ほら、そのままここに座っていいわよ」ポンポン

ラフィエル「えっ、サターニャさんの前に……こう、ですか……絶対テレビ側の方は向きませんよ?」

サターニャ「私はちゃんと観たいのよー!もうちょっとで終わりそうだし、それまで大人しくくっついてなさいっ」ナデナデ

ラフィエル (サターニャさんと……対面、座位……しかもさりげなく頭なでなでって……今日私このあと死ぬんでしょうか?それでも後悔はしないくらい幸せですけど)ドクン...ドクン...

サターニャ (うっ、さすがの私もちょっと恥ずかしいわね……ていうかラフィエルの髪サラサラですごく良い匂いがする……特にこの首筋のあたりが)クンクン

ラフィエル「んっ……サターニャ……さんっ……くすぐったいです……はぁんっ……!」

サターニャ「んー、だって良い匂いがするし、それに……あんたって抱き心地が最高なんだもん、やめろって言われても無理よ」ハムッ

ラフィエル「ひゃんっ、ダメ……そんな、耳はずるいです……んんっ」ゾクゾク

サターニャ (ああ……どうしよう、予想以上に反応が良いからつい調子に乗っちゃったけど……まさかラフィエルがこんなに可愛く見えるなんてーーー!!)ドクン...ドクン...

サターニャ (これ以上はなんか取り返しがつかない気が……でも、あとちょっとだけ意地悪してみたい……なんなのこの気持ちは……っ)

サターニャ「ラフィ……エル……」ドサッ

ラフィエル「っ!?」

ラフィエル (ああ、サターニャさんに押し倒されてしまいました……さすがにこれは……でも……)

ラフィエル「サターニャ……さん……」

サターニャ (ラフィエルが焦点の合わない瞳で私のことを見てる……なんで私は天使に、しかもラフィエル相手にこんなに……あーもう、心臓の音が……すごくうるさいっ)ドクン...ドクン...

ラフィエル「はあっ……はあっ……」ドキドキドキ

サターニャ「はあっ……はあっ……」ドキドキドキ

ラフィエル (サターニャさんも……こんな真剣な顔するんですね……サターニャさんは私のこと……どう思ってるんでしょうか……)

ラフィエル「サターニャさん……一つお聞きしても良いですか……?」

サターニャ「……大体わかるけど、なによ……言ってみなさい」

ラフィエル「はいっ……サターニャさんは、私のこと……お嫌いですか?」

サターニャ「……うん、大嫌い」

ラフィエル「っ……!」

ラフィエル「そう……ですよね……私、サターニャさんにいつも、いじわるなことばっかり、して……サターニャさんに嫌われるのも当然ですよね、っ……」ポロ...ポロ

サターニャ「……なんて、言うわけないじゃない」

サターニャ「なんかね、私、あんたのこと好きみたい」

ラフィエル「え……??」

サターニャ「うまく言えないけど、いつも私にちょっかい出してくるあんたのこと最初はよくわからなかった、なんで私なんかに付きまとうんだろうって……でもあんたの気持ちが今日なんとなくわかった気がしたのよ」

サターニャ「好きな相手にはちょっかい出したくなるってこと」

サターニャ「それに、悪魔が対立関係である天使と友達以上の関係になるなんて、見方によってはかなりの悪魔的行為だと思わない?」ニヤリ

ラフィエル「うぅ……サターニャさん……私……私も、サターニャさんのことが好ーーー」チュ

ラフィエル「んんっ?!」

サターニャ「ふふ、スキありよ!」

ラフィエル「さ、サターニャさん……」カァァ

サターニャ「あんたが私のこと、大好きってことくらい最初からお見通しよ!」

ラフィエル「え、えええ!?じゃあ、全部わかってて……サターニャさん、ひどい悪魔ですね」

サターニャ「なーっはっはっは!当たり前じゃない!我こそは大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェル!あんたの忠誠心を認めて私の恋人になることを特別に許可するわ、だから」

ラフィエル「だから」

サターニャ「私以外の悪魔にちょっかいだしたら、許さないわよ」ニコッ

ラフィエル「うふふ、そこに関しては安心してください、私はサターニャさん以外の悪魔を導く気は一切ないですから」テカァ

サターニャ (あ、ひょっとして私……とんでもないことをしてしまったんじゃ……)

サターニャ (でも、まあ)

ラフィエル「サターニャさん、これからもずっとサターニャさんのそばに居させてください」

サターニャ (なんか今、すごく気分が良いから別にいいわーーーーー)クスッ

これはある自称大悪魔と



悪魔に魅入られた天使の物語



これから彼女たちが
どんな軌跡を描いていくのかは



まだ誰も知らないーーーー。



*happy end*

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