叢雲と呼び名 (20)

駄文、誤字脱字などあるかもしれませんが、
どうか温かい目でお付き合いおねがいします。

短めに終わるつもりです。

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日の傾いた執務室で、俺と秘書官は書類とにらめっこをしていた。
ふと横に目を向けるとそこには、夕日に照らされて朱く染め上げられた銀髪を顔に数本垂らし、
真剣な表情で、少し吊り上がった切れ長の目を机に落とす秘書官がいた。

俺の視線に気が付いたのか叢雲はこちらを振り返った。

「なによ。」

「真っ赤に染まるお前の髪があまりに綺麗で見蕩れていたよ。」

「アナタねぇ・・・
さっさとそれ片付けないとまた残業するはめになるわよ。」

そう言って彼女は視線を戻した。

そこで俺はふと疑問に思ったことを口にした。

「なぁ叢雲さん、お前いつから俺の事あんたって呼ばなくなったっけ。」

「はぁ?」

大層呆れた声が返ってきた。

「アナタとはもう4年の付き合いになるけど、相変わらず記憶力ないわね。」

「さーせん。」

「アナタが、口調なおせって言ったからこうしてるんでしょ。」

叢雲はぶっきらぼうに答えながらもペンを動かす。

「そんなこと言ったっけ。」

「覚えてないならそれでいいのよ。」

「大事なことなのに何も覚えてないのね。」

小声でそう付け足すのが聞こえた。
彼女の口調が少し荒いのは出会った頃からだし。
俺自身その程度気にする質でもない。
なのにわざわざ俺がそんなこと注意するのだろうか。

「やっぱ思い出せねぇな。気にすると気になって仕方ねぇから教えてくれよ。」

「いやよ、アナタが覚えてないなら私がわざわざ教える必要はないわ。」

相変わらず頑なな娘だ。それならこっちだって

「もういい。そんなに頑固に教えないならお前とは話したくない。」

そういって席を立つと大げさにかかとを鳴らして執務室をでた。

「ちょ、あんた書類どうするのよ!!」

叢雲の叫び声を背中に浴びながら甘味処に足を運ぶ。

もちろん口を聞きたくないなど嘘である。
しかしこうすることで戻った時に叢雲が少しでもオロオロするさまが楽しめるって寸法だ。

間宮につくと夕暮れ時も相まって店に人はおらず、中では二人の女性がテーブルを拭いたりと閉店準備にいそしんでいた。

「よぉ」

「あら、提督。もうそろそろ店じまいですよ。」

「悪いね間宮さん、茶だけ飲んだら出てくよ。」

「でしたら、あったかい緑茶を準備しますね。」

そう言ってポニーテールを揺らしながら給糧艦間宮は奥へと引っ込んでいった。

ほどなくして湯飲みを盆にのせて間宮が戻ってきた。

「叢雲さんと喧嘩でもしましたか。」

さすが叢雲と同じだけの付き合いだ。すぐに見抜かれた。

「大したことじゃねぇんだけどさ。」

熱い緑茶をちびりと飲みながら答えた。

「叢雲が俺のこと、アンタって呼ばなくなったからなんでだって聞いたら教えてくれなくてよ。」

まぁたまに戻るんだけどな。

「んー。」

指を口に当てて間宮は少し思案すると、

「理由はなんとなくわかるかも知れません。」

「お、じゃあ教えてくれよ。」

「それはできません。」

そういってにっこり微笑んだ。

「でもヒントだけなら教えてあげます。」

「じゃあそれで!」

「ヒントは3年前の春ですね。」

3年前、そんな昔覚えてねぇぞ。

「もう少し何かねぇのか。」

「それはご自分で考えてください。
さぁ、早くそれを飲んで叢雲さんにごめんなさいしに行きましょう。」

間宮にせかされながら茶を飲みつつ俺は考えた。
3年前にあった出来事と言えば思いつくのは一つだが、どうしてそれが叢雲の俺に対する呼び方にかかわってくるんだ。

執務室の前に戻り、ぬぐい切れない疑問を抱きながらドアを開けた。

「アナタ、どこ行ってたのよ。」

むすっとした表情で叢雲が迎えてくれた。

「茶しばいてきただけだ。」

そう言って椅子に座ると叢雲がまだ何か言いたげな目をしながらちらちらとこちらの様子を窺っていた。

「なぁ、お前の呼び方が変わったのってケッコンが関係してるのか。」

「やっと思い出したのね。」

「いや、びみょー。」

叢雲がわかりやすくため息をつくと、

「アナタが俺の嫁になるんだからもう少しおしとやかにしろって言うからじゃない。」

そう言えばそんなことも言ったっけ。

「でもお前口調は変わってないよな。」

「・・・別にいいでしょ。」

少し言いよどみながら叢雲は机の上の書類にじっと目を向けていた。

嫁になるんだから、ケッコンカッコカリ、口調は変わってないのに2人称だけ変わった。
俺のなかである仮説が浮かび上がった。

「もしかしてお前の言うあなたってケッコンしてるからそう呼んでるのか?」

「なっ・・・!」

バッとこちらを振り返ると叢雲がパクパクと口を開けながら普段見せない表情を見せていた。

「うっさいわね、さっさと書類片付けなさいよ。」

その後小さく”あなた”とつぶやく声が聞こえた。

「はいはい、わかってますよ。お前。」

そう言って横を見ると耳まで夕日より真っ赤に染め上げた俺の嫁がそこにはいた。

遅くなりましたが艦これ4周年おめでとうございます。
ケッコン3周年を迎え、叢雲ツンデレ可愛い、アナタって呼ばれたいって衝動だけで書きました。

駄文お付き合いいただきありがとうございます。
HTML化依頼出してきます。

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