シンジ「高校受験…?」アスカ「私は大学出てるから関係ないわね」 (274)

ミサト「あなたもよ」
アスカ「はああ!?」
ミサト「ちょっち生々しい話だけど、要はパイロットをネルフの目の届く所に置いておきたいようね」
アスカ「なら私がネルフの職員になればいいじゃない!中学の授業でも簡単すぎてイライラしてるのに今度は高校に行けっていうの!?」
シンジ「古文とかの成績そんなに良くなかったじゃないか」ボソッ
アスカ「当たり前でしょ!何が楽しくて大昔の日本人の日記なんて読まなくちゃいけないわけ!?」
ミサト「喧嘩しないの。そういうと思ってアスカが職員になれないか掛け合ってみたけれど、私の一存じゃどうにもならないわ」
アスカ「そんなぁ~…」

スレ立て初めてなのでグダグダです、ご注意ください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1494724605

ミサト「というわけで二人には高校受験をしてもらいます、私もできることはするから、分からないことがあったらなんでも聞いてちょうだい」
シンジ「わかりました」
アスカ「はあーい…」

ミサト「じゃあ私は仕事だからよろしく~、全く土日でもお構いなしなんだから」

シンジ「ミサトさんは話が急だよね…」
アスカ「私は認めないわよ、大学で学士取ったのよ、今更高校なんて」
シンジ「僕に言わないでよ…それにアスカ、なんだかんだ中学楽しそうにしてたじゃないか」
アスカ「そ、それは…まあ、全く楽しくなかったというと嘘になるけど…」

シンジ「でも全く考えてなかったな…高校」
アスカ「ネルフの目が届く高校なんてあるのかしら」
シンジ「正直どこにいても目はあるよね」
アスカ「あいつら風呂とトイレ以外どこでも見張ってるわよ」
シンジ「そうだね(この前ネルフのトイレにカメラ見つけたのは黙っておこうかな…)」

アスカ「はあ…私ならそう苦労することもないけど面倒ね…」
シンジ「僕は正直まずいよ、放課後にネルフに呼び出されたりして宿題やるのもやっとだよ」
アスカ「ほんとにノロマね、もっとちゃちゃっとできないの?」
シンジ「ごめん…(アスカが掃除洗濯料理のうち一つでもしてくれればできるんだけど)」
アスカ「…で?どこに行くの?高校」

シンジ「うーん…この辺だと有名なのは公立のA高とかB高とか、私立ならk高にl高かな」

アスカ「行けるの?」

シンジ「それは…わからないや」

アスカ「あんまり変なとこ行かないでよね、私も行くことになるんだから」

シンジ「え? 同じ学校じゃないとだめなの」

アスカ「?…わ、忘れなさい!どこでも好きなところに行けばいいじゃない!」

シンジ「はいはい…」

アスカ「だいたい私、高校行くなんて決めてないわよ!」

シンジ「そうでした…とりあえず、新学期の面談で話すことになりそうだね」

リツコ「あの話、どうなったの」

ミサト「高校に行ってほしいって伝えたわ、ネルフの都合だって嘘も少し混ぜたけど」

リツコ「そこまで高校にこだわる必要はあるのかしら。シンジ君は中卒になってしまうからわかるけど、アスカは大学卒業どころかユーロ空軍の軍人じゃない」

ミサト「そうだけど…」

ミサト「アスカが中学校に行ってから、だんだん変わってくるのが分かったわ。彼女、同世代と話す機会が足りなかったのよ」

リツコ「老婆心ね」

ミサト「うるさいわね、まあ否定はしないわ…シンジも友達ができたし、笑顔が増えた。アスカもそう。私達にはできないことよ」

リツコ「そこまで言うなら私は何も言わないわ、好きにしてちょうだい」

ミサト「はーい。あ、リツコ、今夜空いてる?」

リツコ「あんた、なんでそう急に誘うのよ。空いてるけど」

ミサト「ラッキー!」

リョウジ「なあに、昔からじゃないか」

ミサト「げっ、いつからいたの」

リョウジ「俺もたまたま今日は暇なんだ、付き合うぜ」

ミサト「どうせいつも暇じゃない、元スパイさん」

リョウジ「はは、今は待機中、君の秘密を盗み出す機会を伺っているところさ」

ミサト「何言ってるのよバカ!」

時は進んで二者面談

担任「碇、お前はどうしたい?」

碇「高校に行きたいことしか決まってないです…ごめんなさい」

担任「なに、そう気に病むな。今から決めてるやつなんて半分もいない。ただ一つ言っておく」

碇「はあ」

担任「行けるところより、行きたいところだ。結局通うのは自分だ、あとでつまらなくなって退学、なんてならないためにも、自分が行きたいところに行け」

シンジ「色々考えてみます」

担任「そうしろ、碇の実力なら選択肢はある。悩むのが大切だ。しばらく普通に勉強して、また考えが浮かんだら話してくれ、いくらでも相談に乗ろう」

シンジ「ありがとうございます」

シンジ(ためになったけど、少しも決まらないや…アスカはどうするんだろう)


担任(シンジとアスカは同じクラスなので同一人物)「式波はどうするんだ?」

アスカ「保護者に行けと言われました」

担任「自分の希望は?」

アスカ「特にありません」

担任「そうか…確かに式波は行く必要ないもんな」

アスカ「知ってるんですか?」

担任「多少はね。他言は無用だ」

アスカ「…私、自分がどうしたいのか分かりません」

担任「なるほど」

担任「先生としては行くのがおすすめだ、なんといっても楽しいからな。まあ自分のことだ。ゆっくり考えろ」

アスカ「はい」


アスカ「ぜんっぜん参考にならないじゃない!何よ楽しいって!」

トウジ「お、先生、来たぞ」

アスカ「シンジまだいたの?」

シンジ「うん、二人につかまっちゃってさ」

ケンスケ「なんだよよそよそしいなあ、進路の話に花を咲かせてたんじゃないか」

アスカ「馬鹿みたい、自分のことくらい自分で決めたら?」

シンジ「アスカ、そこまで言わなくても」

トウジ「そういう式波は決まっとるんか?」

アスカ「わ、私はもう決めたわ、あんたたちと違って計画的なのよ」

トウジ「どこ?」

アスカ「あんたたちには関係ないでしょ!私もう行くから」スタスタ

ケンスケ「そんなまずい話題なのかな…?」

シンジ「さあ…」

トウジ「あーあ白けちまった。ゲーセン行くぞゲーセン」

ケンスケ「そんな調子でどうなるやら」

トウジ「う、うるさい、息抜きじゃ息抜き」

シンジ「ただいまー」

ミサト「おかえりシンジくーん えびちゅ飲む?あ、やっぱりだめぇーこれ私のー」

シンジ「…飲み過ぎですミサトさん」

アスカ「どうにかしてほしいわ」

ミサト「二人とも、なにか決まった?」

アスカ「そういうのは素面でやりなさいよ…」

シンジ「いや、今までその…使徒とかエヴァとかそんなことばっかりだったから…正直何も決められなくて」

ミサト「そうよねー…まあ悩んでちょ、それが青春だー」グヒグビ

シンジ「無責任だ…」アスカ「無責任ね…」

コメントありがとうございます、なにぶん勉強不足なので指摘バシバシお願いします

あと100%北海道人なので関西弁がキツイです。標準語ももしかしたら訛りがあるかもしれません…

シンジ「ミサトさんはアテにならないね」

アスカ「そうね…いいとこ行ってるはずなんだけど、飲んだくれじゃ話にならないわ」

ミサト「シンジくんおかわりぃ~」

シンジ「何本目ですか…あ、冷蔵庫にもうないです」

ミサト「うそ~ん、よく探してみてえ?」

シンジ「ないものはありません(僕が買ってきた食材以外ビールしか入ってないのにどこを探せって言うんだよ…)」

ミサト「仕方がないわねえー、シンジくん買ってきて?」

シンジ「僕は高校受験をする年です」

ミサト「ああー、ホントだ、ごめんごめん…コンビニ行ってくるわー、すぐ戻るからー」ガチャン

シンジ(ごめん第三新東京市民のみなさん…僕が未成年であるばかりにミサトさんを野に放ってしまった)

シンジ「はあ…結局みんな自分で考えろとか、悩むのが大事だとか行ってすこしも取り合ってくれない」

アスカ「うじうじしてきもちわるーい」

シンジ「だって仕方がないだろ…そんなこと考える暇も余裕もなかったんだ…エヴァに乗れって言われて、言われるままに使徒を倒してきたんだ…それなのに突然将来とか自分で考えろとか言われてもどうしようもないじゃないか…」

アスカ「もっとスパッと行きなさいよ、日本男児とやらなら。バカシンジ」

シンジ「そう言われても…」

アスカ「あんたの愚痴なんて聞きたくないわ、具体的な案を出しなさいよ案を」

アスカ「…あ、やっぱり今のナシ」

シンジ「なんだよ今度は」

アスカ「お腹空いた、ご飯作って」

シンジ「はいはい(また考える暇がなくなっていく)」

ミサト「たっだいまあ~!わあ、いい匂いがする!」

シンジ「おかえりなさいミサトさん、今日は僕が帰るのが遅くてそんなに手は込んでないですよ」

アスカ「えー!なにそれ!信じられない!」

シンジ「アスカが早く作れっていったんじゃないか…」

ミサト「いいのいいの、シンジくんが作ったご飯全部美味しいから!いっただっきまーす!」プシュ

シンジ(そう言っても結局最初はえびちゅじゃないか…アスカみたいに怒らないだけマシかな)

アスカ「…手抜きにしてはまあまあね」モグモグ

シンジ「具材を切って袋入りの料理の素と炒めるだけだから不味くなりようがないよ」

アスカ「日本人ってやけに手抜きに手が込んでるわね…」

ミサト「それで二人とも、なにか手がかりはつかめたのかしらん?」

シンジ「まず将来やりたいことがなくて…(今までなんとなく生きてきたからなあ)」

アスカ「私は将来もなにもユーロ空軍のエースパイロットだから、そこの辺は心配しなくていいわね」

ミサト「そうかあー…私は最初から決まってたからその点楽だったわ」

シンジ「何になりたかったんですか?ネルフってそんなに昔からあるわけじゃないですよね」

ミサト「(さすがに本当のことはシンジくんには言えないわね…)研究職かな、大雑把に言えば」

シンジ「いいなあ…やりたいことがあるって」

ミサト「やっぱりやりたいことがあると話は早いわねー、技術者ならその手の学校、デザインならその手の学校、官僚さんとかならとりあえず行ける一番いいところ、とか。でも、中3が全員考えて選んでるわけでもないから、大雑把でいいのよ」

シンジ「大雑把に…」

ミサト「そう、大雑把。なりたい自分とか、やりたいこととか」

シンジ「分かりました、考えてみます…」

アスカ「迷ったらいいとこ行っとけばいいのよ、お金はあるんでしょ?」

ミサト「中学校で必要なお金はネルフから下りてたから、たぶん高校もそうなるはず。私立でも公立でも好きなところに行っていいのよ」

シンジ「はい…ごちそうさまでした」

ミサト「あら、早いのね」

アスカ「それしか食べないからいつまでもなよなよしてんのよ!」

ミサト「アスカはよく食べるのに太らなくて羨ましいわ…」

アスカ「全部エネルギーになってるのよ、おかわり」

シンジ「はい…」

ミサト「そうよ、大雑把。なりたい自分、やりたいこと。それが見えたら自然と逆算できるの」

シンジ「ありがとうございます…」

アスカ「ほんとにないの?やりたいこと」

シンジ「まだ考えつかないや…」

ミサト「ゆっくり考えなさい、としか言えないのが辛いところね…」

シンジ「ごちそうさまです」

ミサト「あら、早いのね」

シンジ「ちょっと色々考えてみます…」

27番失投です、黙殺してください

風呂

シンジ(なりたい自分…やりたいこと…)

シンジ(だめだ、ちっとも考えつかないや…だいいち僕が知ってる職業なんて教師とネルフ職員くらいじゃないか…)

シンジ(先生は向いてなさそうだし、銃を持つ仕事もなあ…ミサトさんたちにはお世話になったけど、やりたいというのも違う気がする)

シンジ(この一年くらい、みんなが色々考えてた時期に僕はエヴァに乗っていた…世界を救うには僕しかいないって言い聞かされて乗った…)

シンジ(使徒との戦いのあとに残ったのは無気力な自分…これじゃあちっとも変わらない。エヴァに乗る前と何も変わってない…結局大人の言いなりになってきただけだ…)

シンジ(たしかに友達はできた、レイもアスカも僕と話してくれるようになったし…トウジもケンスケも、みんな大切だ)

シンジ(でも僕にはなりたい自分がない…なりたい自分ってなんだろう…そもそも自分なんて今ここにしかいないじゃないか…)

リビング

アスカ(いつまでお風呂入ってるのよバカシンジ、お湯が冷めちゃうじゃない)

アスカ「シンジー、早くでてこーい」
……
アスカ「おーい!バカシンジ!」

風呂シンジ「わ、わあ!ごめん、今上がる!」バシャーン

アスカ「なにぼけっとしてるんだか…」

ミサト「悩める年頃なのよ」

アスカ「ドイツじゃ小学校卒業である程度自分で決めるのよ、むしろ遅すぎるほうよ」

ミサト「お国柄ってやつね…アスカも見守って上げてちょうだい、その辺は先輩でしょ?」

アスカ「私?なんでバカシンジの面倒見なくちゃならないのよ、勝手にすればいいじゃない!」

ミサト「あら、シンジくんと同じ学校に行きたくないの?一緒に考えてあげなきゃ」

アスカ「それとこれとは別よ!」

ミサト「ふーん、一緒がいいんだ」ニヤニヤ

アスカ「……!! もう知らない!」

ミサト(こんな単純な誘導尋問でも成功するのね…)

風呂

アスカ(なによ…ミサトのやつ私をからかって…)

アスカ(今に始まったことじゃないしいいか…いやよくない!)バシャン

アスカ(別の学校に行ったら色々面倒だわ、ネルフも大変だしシンジに荷物をもたせたりできないじゃない、高校ってなんかやけに荷物重そうだし遠そうだし。そうよ、これは便宜なのよ)

アスカ(あれ…そういえばレイはどうするんだろう、まさかシンジと同じ学校…?)

アスカ(なんでシンジが出てくるのよ!レイと関係ないじゃない!あー、なんか最近思考が思い通りに行かないわ、落ち着けアスカ…)ブクブク

アスカ「上がったわよー…ミサトは?」

シンジ「アスカが風呂から上がったら起こしてって言って部屋に消えたよ」

アスカ「うええ、めんどくさ…ミサトー!上がったわよ!」

部屋ミサト ハーイ

アスカ「まったく…で、何見てるの?」

シンジ「これ? この前やった適性検査みたいなやつ」ペラ

アスカ「あー、質問がだ~って並んでたやつね、面倒だから全部一番にマークしてやったけど、真面目にやったの?」

シンジ「(そんな勇気は僕にはないよ…)これによると僕はアナライザー…アナライザー?」

アスカ「分析ってことでしょ、パソコンでいろいろ分析するんじゃない?」

シンジ「そうみたい、だけど実感わかないや」

アスカ「本当に考えなしねー」

シンジ「自分でもそう思うよ…」

アスカ「ま、色々考えてみれば?」

シンジ「アスカまでそれを言わないでよ…なんかプレッシャーに感じ始めたよ…」

アスカ「考えてみれば~?」

シンジ「わざとやってるだろ」

アスカ「うん」

シンジ「肯定されると返しづらいよ…いいや、今日は宿題やって寝よう」

ケンスケ「進路希望調査、なんて書いた?」
トウジ「おお、気になるところやな、お前先に言え」
ケンスケ「なんでだよ、お前から言えよ」
トウジ「お前から」
ケンスケ「じゃあいいよ、二人で同時に言うぞ」
トウジ「ちゃんと言えよ」
トウジ ケンスケ「「せーの」」
トウジ ケンスケ ………
トウジ ケンスケ「「言わないんかい!」」

アスカ「何馬鹿なことやってんの?」

ヒカリ「人と比べることでもないよ、そもそも」

トウジ「お、いいんちょはどうしたんや」

ヒカリ「今言ったばかりでしょ!もう…隠すことでもないけど」

トウジ「で?どこなんや」

ヒカリ「k高校とか…考えてみたり」

ケンスケ「やっぱりそうか!流石といったところだ」

トウジ「k高校か、すごいな」

ケンスケ「お、トウジも勉強頑張らなきゃいけませんなあ」

トウジ「なんで同じとこ行く前提なんじゃ!アホ!」

ヒカリ「自分の事だから自分で考えなよ…アスカは?」

アスカ「ぜーんぜん考えてない、そもそもどこでも行けるし」

ケンスケ「また嫌味な言い方」

トウジ「ほんと。嫌味じゃないシンジで口直しや。シンジ、お前はどうなんや」

シンジ「いや…自分が何をしたいのかわからなくて…とりあえず知ってる高校を書いただけだよ」

トウジ「そんなに深く考えんな、行けるとこ行っときゃええやないか、お前頭悪くないし」

ケンスケ「誰かと違ってね」

トウジ「なんか言ったか?」

ケンスケ「なにも? でもシンジが頭いいのは本当だぜ、この前の考査の社会の点数みた?93点」

シンジ「あれは先生が言ってたことを覚えただけで…」

ケンスケ「それが出来れば苦労はないさ!世の中の学生は先生の話を聞くことすらできないんだぞ!」

ヒカリ「あなた達はできなさすぎです」

アスカ「そうよ、本能のまま寝るなんて馬鹿のやることよ」

トウジ「仕方がないやろ…体がそうなってるんだから…」

ヒカリ「まったく…困るのは自分なんだからね」

トウジ「百も承知じゃ…シンジ、よく考えろ、お前なら将来俺達がなれないような高給取りになれる」

シンジ「高給取り…別にお金がほしいわけじゃないんだけどな…」

トウジ「かあー!ほんま無欲な奴だな!少し分けてやりたいわ」

ケンスケ「だいぶ分けても大丈夫さ」

トウジ「なんか言ったか?」

ケンスケ「なーにも」

帰り道

シンジ「全然わからないや…」

アスカ「とりあえず勉強しておけばいいんじゃない?」

シンジ「結局そうか…好きでもないんだけどな」

アスカ「やらなくていいならみんなやらないわよ、私はやるけど」

シンジ「どういうこと?」

アスカ「周りに自分より頭がいい人がたくさんいるなんて耐えられないわ」

シンジ「そうなんだ…」

アスカ「シンジは悔しくないの?」

シンジ「うーん…別に…」

アスカ「本当に無欲ね…」

マリ「お、久しぶりーお二人さん」

アスカ「げ、コネメガネ」

マリ「さしずめ進路に悩む二人の青少年ってところかな?」

シンジ「そんなところです…悩んでるのは僕だけですけど」

マリ「たしかに考える暇もなかったもんねー」

シンジ「そういえばマリさんは大学生…でしたっけ?」

マリ「いや?わたしはもう卒業してるよー」

アスカ「あんた何歳なの?」

マリ「乙女の歳を聞かないの。で、何に悩んでるのかな」

シンジ「自分のやりたいこととかそういうのが全然なくて…適当に選んじゃ良くないと思うんですけど…」

マリ「あー、なるほどねえ、やっぱりその年じゃわからないよねー」

シンジ「はい…」

マリ「そんなに考えなくても、行けるとこ行っとけばいいんじゃない?」

シンジ「先生に行けるところより行きたいところって言われて…」

マリ「まあ先生はそう言うよね…高校見てみたりした?」

シンジ「いや、それはまだ…」

マリ「使徒と一緒だよ、まず体動かして、目で見なくちゃ。考えるのはそれから」

アスカ(こいつそんないきあたりばったりな戦い方してたわけ?よくここに立っていられるわね)

シンジ「そうか…ありがとうございます」

アスカ(納得しちゃうんだ)

マリ「オープンキャンパス?説明会?そういうの言いってみなよ、夏くらいにあるでしょ」

シンジ「わかりました、アドバイスしてくれてありがとうございます」

マリ「いやいや、こんなの誰でも言えるよー、じゃあ私はこれからネルフだからー」

アスカ(反対方向じゃない…なんなのこいつ?)

マリ「あ、あと姫、素直にならないと損だよ」

アスカ「は、はあ?」

マリ「じゃねー」

シンジ「説明会か…」

アスカ「たしかに一理あるわね」

シンジ「やりたいこともわからないのに今度は通いたい高校を考えなくちゃいけないなんて…」

アスカ「いいじゃない、どっちか決まれば両方大きく前進よ」

シンジ「そうかな…」

アスカ「本当にぱっとしないんだから…しっかりしなさいよね」

シンジ「ごめん…」

アスカ「今は苦手科目のことでも考えてなさい、数学なんとかするんでしょ?あと小説も苦手なんだっけ?」

シンジ「アスカこそ、古文なんとかしなくちゃね」

アスカ「ふん!人の心配するなら自分の心配しなさいよね!」

机に向かうシンジ
シンジ(数学やっぱり苦手だなあ…何が楽しくてxの値なんか求めるんだろう、xだってそっとしてほしいときがあるはずじゃないか)

x(うるせえ、とっとと求めやがれ。スッキリした数になってやるから頑張れよ)

シンジ(わかったよ…そこまで言うなら…)
……

47分の13(ほら、すっきりした)

シンジ(やっぱり嘘じゃないか…数学は嫌いだ…)

47分の13(馬鹿いえ、分母も分子も素数じゃねえか。この問題考えたやつはわかってるぜ)

アスカ「シンジー、勉強教えてあげよっか」

シンジ「あ、アスカ?驚かせないでよ」

アスカ「そう?普通に話しかけただけじゃない」

シンジ「それがびっくりするんだよ…でも特に分からないところはないよ」

アスカ「はあ?どこかあるでしょ、どこか」

シンジ「わざわざみつけるほどのものでも…じゃあ、これ教えてよ。出来たけどいまいち納得行かないんだ」

アスカ「どれ?」

シンジ「145番だよ(なんでわざわざ後ろから覗き込むんだよ…近いよ…)」

アスカ「ふうん、二次関数か」

シンジ「わかる…?」

アスカ「あったりまえよ…で、どこがわからないの」

シンジ「えっと…ここになんでa+1が代入できるのか分からないんだ(近い…なんかいい匂いする)」

アスカ「ん…あー、あんた図が間違ってるのよ」

シンジ「図?(だめだ、ちゃんと考えないと)」

アスカ「問題解くためにグラフとか描くでしょ、それよ。あんたが描いた図だとここ離れちゃってるけど、本当は接してる。計算してみなさい」

シンジ「…あ、本当だ」

アスカ「計算ができてもそもそも間違った図を描いていたら意味がないのよ、バカシンジ」

シンジ「はい…」

アスカ「とくにくっつく離れるは大事。グラフは正確に描くこと。いい?」

シンジ「がんばります…」

アスカ「それにしても変な計算の仕方」

シンジ「計算って?」

アスカ「ほら、これ割り算でしょ?ドイツじゃこんなふうに書かないわ」

シンジ「国によるのかな」

アスカ「多分そうなのね…こういうときドイツと日本は違う国だって実感するわ…」

シンジ「他にはそんなに感じないの?」

アスカ「まあ、そろそろ慣れたってとこかしら。部屋の仕切りが薄っぺらくて鍵一つかけないとか最初は信じられなかったけど…そういうものって思えばそう思えてくるから不思議なものね」

シンジ「ドイツか…行ってみたいな」

アスカ「何よ突然」

シンジ「僕、日本を出たことがないんだ」

アスカ「そうなの?つまんなーい」

シンジ「気にしてるんだからやめてよ…とにかく、行ってみたい。アスカが育った国にちょっと興味があるんだ」

アスカ「そう…じゃあ来れば?」

シンジ「連れてってくれるの?」

アスカ「英語が話せるようになったらね、あんたの通訳なんてやりたくないもの」

シンジ「ありがとう」ニコッ

アスカ「う、うん(なんでこんなことで心底から嬉しそうにできるのよ…ずるい…)」

アスカ「で、他にはないの?」

シンジ「うん、今はないかな」

アスカ「タダで教えてもらおうって気じゃないでしょうね」

シンジ「な、なんだよ、アスカから教えてあげるって言ってきたんじゃないか」

アスカ「別に金取ろうって言ってんじゃないのよ、ちょっと聞きたいことがあるだけ」

シンジ「聞きたいこと?」

アスカ「別にあんたに聞かなくてもわかるんだけど、一応ネイティブに意見を聞いとこうと思ってね、ここなんだけど」キョウカショペラ

シンジ「古文…?僕古典日本語のネイティブじゃないよ」

アスカ「1000年くらい大して違わないわよ」

シンジ「1000年たてば流石に違うよ…で、どこ?(質問したいなら最初から聞いてくればいいのに)」

アスカ「この和歌を訳してこいって言われたんだけどさっぱりなのよ」

「玉の緒よ 絶えねば絶えね ながらえば 忍ぶることの 弱りもぞする」
式子内親王

シンジ「宿題?」

アスカ「いや、ヒカリがアスカにぴったりだからって教えてきたのよ。でも意味がわからなくて」

シンジ「なんか見たことある歌だな……」

アスカ「調べるのはナシよ、面白くないから」

シンジ「…あ」

アスカ「わかった!?」

シンジ「百人一首だ。百人一首に入ってるよこの歌」

アスカ「百人一首って、かるたに使うやつ?」

シンジ「そうそう」

アスカ「で、意味は?」

シンジ「えーと…(ヒカリさんも意地悪だなあ、僕がこの歌の意味を教えたら絶対とばっちりを食らうよ……)」

アスカ「早く言いなさいよ」

シンジ「(言わないほうが怒られる…ええい!)私の命よ、絶えるなら絶えてしまえ、生きながらえていると、私の気持ちを隠す力が弱くなって、ばれてしまいそうだから」

アスカ「……つまりどういうこと?」

シンジ「これ以上生きてたら恋心がバレるからいっそ死んだほうがマシってことだよ」

アスカ「…どこが私にぴったりなのよ!こんな歌!好きなのになんで隠すの?馬鹿じゃないの?」

シンジ「昔の女の人は自分から言えない立場だったんだよ…きっと…(想像から外れたけどとりあえず助かったかな)」

アスカ「明日ヒカリにもっとピッタリの歌教えろって言ってやるんだから!」

シンジ「はは、そうだね…(もっとえげつない恋の歌教えられるだけだよ…)」

シンジ(でも待てよ、ヒカリさんがこういうからかい方をするってことは、アスカに好きな人でもいるのかな)

シンジ(誰だろう…いや、いると決まったわけでもないけど…ああ、なんでこんなに気になるんだよ、アスカが誰を好きになろうと勝手じゃないか…)

アスカ「シンジ!なにぼーっとしてんのよ!」

シンジ「わっ、ごめんアスカ」

アスカ「しっかりしてよね…私お風呂はいるから」

説明会にて

シンジ「k高校、やっぱりうちの中学より大きいなあ」

アスカ「当たり前じゃない、そんなしょぼい高校誰も行きたがらないわよ」

シンジ「そうだね…えーと、体育館に行けばいいのかな」

アスカ「うわあ…この暑い日に体育館…私達よりによって制服じゃない…」

シンジ「仕方がないよ、私服で来るわけにも行かないし…それにしてもこの校舎ややこしいなあ」

アスカ「停電したらかの日のネルフみたいになりそうね」

シンジ「あはは…あの時は参ったなあ…」

アスカ「今となっては思い出よ、あ、ここから体育館にいける」

シンジ「本当だ」

k高教師「えー、当校の特長としては……」

アスカ「あづい…」

シンジ「真面目に聞こうよ…」

アスカ「あとでアイス買いなさいよ…」

シンジ「自分で買いなよ」

アスカ「けちぃ」

k高教師「国指定の科学教育プログラム、sspに指定されており…」

シンジ「ssp?」

アスカ「んー…すーぱーさいえんすプログラム?」

シンジ「そうみたい…どんな制度なんだろう」

アスカ「それをいま説明してるんでしょうが…」

シンジ「ごめん…暑くて頭が回らないや…」

>>あ、そうですよね(違和感に気づけなかった
>>全くその通りです(ry

ほんと呼び方って人間関係出ますよねー…公私で呼び分けたり途中から変えたり機嫌で変わったり気を抜けません…にわかが露呈していますが完走はしますので生暖かく見守ってください

学校説明会 廊下

アスカ「暑かった…」

シンジ「うん…」

アスカ「で、どうよ」

シンジ「まだ一校目だし、なんとも…校舎がややこしいけどきれい…くらいかな」

アスカ「はあ?それだけ?この私にご足労願っておきながらそれだけって言うの?」

シンジ「ごめん…(暑さで気が触れてるんだ)」

アスカ「まあいいわ、一通り校舎を回って見るわよ、それでも同じ感想だったら棒についてるアイスからハーゲン○ッツに格上げだからね」

シンジ「僕が買うのは決定なんだね…」

>>51
仕事の時に爆睡しちゃダメだぞ。朝まで頑張って書くのは立派なもんだからな。

k高生「こんにちはー、そこの二人、陸上部見てかない?」

シンジ「へ、あ、はい」

アスカ「こいつ走れそうに見えます?他を当たったほうがいいですよ」

シンジ「あ、アスカ(エヴァでなら音速出せるのにな…肉体の檻は残酷だ)」

k高生「初心者でも大会出られるくらいになるんだよ、俺も高校で始めたけどこの前入賞出来たんだ」

アスカ「キョーミありません」シンジ「ちょっとなら…」

アスカ「マジ?」

k高生「ってことでちょっとこの男の子借りるね、他の部活も色々あるから彼女は時間つぶしてて」

アスカ「かっ、彼女」//

シンジ「ごめん、しばらく見てくるよ(日本語は二人称で彼女って言ったりするんだよアスカ…)」
……
k高生「なあ、シンジくんっていったっけ?」

シンジ「はい」

k高生「彼女超かわいいじゃん、ハーフか何か?」

シンジ「彼女じゃないです(ほんとにガールフレンドの方だった)」

k高生「じゃそのうちってことだ、性格きつそうだから一緒に住んだら大変だぞー、ははは、同棲なんて話が早すぎるな」

シンジ「ははは…」

k高生「はい、ここが活動場所」

シンジ「走ってますね(外暑い)」

k高生「その通り!陸上部だからね。週一日休み、土日は午後か午前だけって感じでやってるよ」

シンジ「ハードですね…」

k高生「慣れだよ慣れ、今は部活がないと体がむずむずする。陸上の経験は?」

シンジ「いや、特には…」

k高生「よし、ものは試しだ、部員について走ってみよう!」

シンジ「え、ええ」

>>53
ありがとうございます、努力はしますが完全に昼型人間でしかも受験生(高3)なのでどこまでやれるか…

シンジ(結局グラウンド一周させられた…アスカどこ行ったかな…)

シンジ(部活見学には興味ないのかな…それとも文化系には興味があるのかな…)

シンジ(とりあえず文化系回ってみよう)

シンジ(茶道部…アスカは正座苦手そうだしいないかな)

シンジ(pc研…覗いてみたけどいない)

シンジ(文芸部にもいないし吹奏楽部にもいなかった)

シンジ(科学部?何するんだろう)
………

シンジ(全部回ったけどいないや…)

アスカ「あ、いた」

シンジ「あ、アスカ、どこにいたの?」

アスカ「自販機で飲み物買って飲んでただけだけど?」

シンジ「そ、そう…」ガックシ

アスカ「やけに遅かったけどあんたこそ何してたの?」

シンジ「ちょっと陸上部以外も見てたんだ(探し回ってたなんて言えない)」

アスカ「そ、もう全部見た?」

シンジ「うん、一通り」

アスカ「そろそろいい時間だし、昼でも食べる?午後からは別の学校見に行くんだよね」

シンジ「うん、l高に行くつもりだよ」

アスカ「じゃ行こ」

ファミレス

シンジ「k高校はどうだった?」パスタクルクル

アスカ「まぁまぁじゃない? 市内最難関だけあって流石に生徒も利口そうだわ」パスタクルクル

シンジ「うん、僕もそう思った」モグモグ

アスカ「自分は頭いいっていう嫌味な感じもなくていいわね、市内で一番だと他の学校と比べたりしなくていいから心に余裕があるのかしら、それはそれで嫌味だけど」モグモグ

シンジ「そうだね…僕の成績だとだいぶ頑張らなくちゃ入れないけど(結局なんでも嫌味なんじゃないか…)」

アスカ「入りたいなら勉強する、それだけよ」

シンジ「ただ、入ったら勉強大変そうだね…」

アスカ「本当よ、なんで一年から受験受験なの?私は大学行かないから正直そこは鬱陶しいわ」

シンジ「ごめん…」

アスカ「なんでシンジが謝るの?バーカ」

l高

シンジ「すごいや…」

アスカ「この校舎金かかってるわねえ、ジオフロントには見劣りするけど、建て替えたばかりなんだわきっと」

シンジ「そうだね…(あんな物騒なところに通学したくないよ…)」

アスカ「さあ、行くわよ」

説明会
l高教師「l高校は来たるグローバル社会に対応するために、海外交流を活発に行っており、留学などにも強力な支援を…」

アスカ「日本人は英語教育が大好きね」

シンジ「そうだね…英語を勉強しないとほとんど日本人としか話せないからかな」

アスカ「不便な民族」

シンジ「仕方がないよ…」

アスカ「k高ほどじゃないけど暑い…」

シンジ「冷房がまだ効いてるね、校舎が新しいからかな」

廊下

アスカ「しっかし廊下も広いわねー」

シンジ「校舎には相当力を入れてるんだね」

アスカ「…留学、行きたいんだっけ?」

シンジ「うーん…たしかに行きたいけど、ドイツは留学先にあるかな…英語圏じゃないし」

アスカ「はあ?どういうことよ、アメリカとかイングランドに劣ってるっていうの?」

シンジ「僕に詰め寄らないでよ…日本の教育方針が英語よりなだけで他意はないよ…」

アスカ「ふん、何がグローバルよ、結局米英に擦り寄ってるだけじゃない!」

シンジ「そうなのかな…」

アスカ「そうよ!まあドイツもドイツでEUで気を遣って英語を話してるから残念ながら情けなさじゃ引けを取らないわね」

シンジ「どうしてなの?」

アスカ「ドイツは第二次世界大戦でやらかしたって認識が強すぎてドイツ語を話すのも憚るようになったのよ、情けないことにね」

シンジ「そうなんだ…(現代史で習ったことってこんなところにも関係してるんだな…日本人はそこの辺を考えなさすぎなのかもしれないや)」

アスカ「ただ希望は捨てないわ、イングランドがEUから脱退した今、英語を第一言語にしてる国はもうないわ。ドイツ人は胸張ってドイツ語を話せばいいのよ」

部室棟(文化)前

シンジ「この学校は部室棟があるんだね」

アスカ「面白い構造ね」

シンジ「一通り見てみようか」

アスカ「いいわよ、すぐ見られそうだし」
……

アスカ「なんかぱっとしなーい」

シンジ「運動部のほうが盛んみたいだから、そういうことなのかな…僕はぱっとしないとは思わなかったけど」

アスカ「さ、あっちと違ってすっきりしてるからもう見る必要もないでしょ」

シンジ「そうだね、生徒の雰囲気も部室棟でだいたい分かったし、そろそろ出ようか」

アスカ「アイスアイスー」

シンジ「それは忘れてほしかったな…」

トウジ「お!夫婦で高校の下見ですか」
ケンスケ「にくいねえ~」

シンジ アスカ「「そんなんじゃない!!」」

トウジ「ぴったりじゃのう」

シンジ「勘弁してよ…二人も見に来てたんだね」

トウジ「そうや、お前ら午前はどこいってたんや」

アスカ「k高校」

ケンスケ「わーお」

シンジ「見に行っただけだよ、まだ行けるかもわからないんだ」

トウジ「ワシら見に行っても悲しくなるだけやから行ってないわ」

ケンスケ「そういうこと」

トウジ「それよりこれから暇か?ゲーセンいこうやゲーセン」

アスカ「あんた口を開けばゲーセンゲーセンって、そんなに行って飽きないわけ?」

トウジ「飽きるわけないわ。シンジ、どうや」

シンジ「付き合うよ」

ピリリリリリ ピリリリリリ
シンジ「電話?」

[葛城ミサト]

シンジ「ごめん、ちょっと出るね」

ミサト『もしもし、シンジ君、今どこ?』

シンジ「l高校にいますけど、どうしましたか」

ミサト『ちょーっとまずいことになったわ、すぐにネルフに来て。アスカもそこにいる?』

シンジ「はい、います、けどどういうことですか」

リツコ『ミサトちょっと貸して…リツコよ、初号機から原因不明の異常シグナルが検出された。危険域ではないけど見過ごせないわ、念のために零号機から弐号機のパイロット三人を召集します』

シンジ「わかりました、すぐ向かいます」

リツコ『車を向かわせているわ、校門で待機して』

シンジ「わかりました」

アスカ「どういうこと?」

シンジ「ネルフにすぐ来いって。車が迎えに来るらしいからすぐ校門に行くよ」

アスカ「今度は何よ!まったく!」

トウジ(めんどくさいことになってるなあ)
ケンスケ(ゲーセンはお流れだね)

シンジ「とにかく行こう、トウジ、ケンスケ、ごめん!」

トウジ「落ち着いたら誘ってや」

ケンスケ「僕たちは暇人だからね」

(ID変わってるけど中の人変わってません)

車の中

アスカ(なんでこんなにすぐ車が来るのよ…やっぱりガチガチに監視されてるじゃない…エリートパイロットの宿命かしら…)

シンジ「初号機の様子がおかしいってリツコさんが言ってた…」

アスカ「おかしいってどういうこと? システムは完全に停止されてるはず」

シンジ「僕には分からないよ…」

アスカ「……」

シンジ「いつもこうだ…急に呼び出されてああしろこうしろって…」

アスカ「また始まった」

シンジ「……だってそうじゃないか」

アスカ「そういうの今回で終わりにするんじゃなかったの?自分の意志で、自分の未来を決めるんじゃなかったの?……ばっかみたい、いつまでもうじうじして」

シンジ「ごめん…」

アスカ「……しっかりやりなさいよ、バカシンジ」

シンジ「うん」

アスカ「あんたがいないと…高校行っても面白くないから」

シンジ「…ありがとう」

青葉「初号機のシンクロ率4.3,4.33,4.36、依然として上昇中」

ミサト「どうなってるの…パイロットもダミーシステムもなしにシンクロを…」

リツコ「MAGIの応答は」

息吹「全て一致で原因不明を返しています」

リツコ「一体どうなっているの…こんな話聞いたことも想定したこともない…」

ゲンドウ「初号機に緊急拘束1番から15番、パイロットが到着するまで動かさせるな。各省への通達はまだだ」

日向「緊急拘束1番から15番、初号機に使用します」

日向「零号機から弐号機までパイロット到着、エントリープラグ内に待機中」

ゲンドウ「零号機と弐号機にエントリープラグ挿入、接続後に初号機にエントリープラグを挿入」

ミサト「初号機は状況さえ分かりません、危険です!」

ゲンドウ「問題ない、やれ」

リツコ「放置してシンクロ率が一定に達すれば暴走する可能性が高いわ、パイロットを載せるしか方法はない」

ミサト「……エントリープラグ挿入」

日向「零号機及び弐号機エントリープラグ挿入」

日向「1次コンタクト成功、2次コンタクト成功。A10神経接続両者問題なし、シンクロ率零号機40.6%、弐号機41% システムオールグリーン」

ミサト「初号機以外は問題なしか…初号機もエントリープラグ挿入」

日向「エントリープラグ挿入、1次コンタクト成功、2次コンタクト成功、A10神経接続正…シンクロ率に異常発生、急激に上昇します」

ミサト「シンクロ率を30%にカット」

伊吹「だめです、信号受け付けません!」

青葉「シンクロ率50,61,74…駄目です止まりません」

ミサト「状況中止、エントリープラグ排出!言わんこっちゃない…!」

伊吹「信号拒絶!通信回線全て切断、パイロットとのコンタクト消失」

リツコ「取れるデータをすべて集めて!」

青葉「了解」



アスカ「シンジ!バカシンジ!回線繋ぎなさいよ!」

レイ「本部とも通信が途絶しているわ、指示を待ちなさい」

アスカ「うるさい!」

ミサト「二人とも、初号機が拘束を解かないように押さえつけて」

アスカ「ああもう、了解!」
レイ「了解」

日向「シンクロ率、上昇停止。88%で安定」

ミサト「止まった…?」

リツコ「未だ危険な域ね」

伊吹「通信回復を試みていますがまだ繋がりません!」

青葉「システムに異常なし、シンクロ率以外は極めて正常」

ミサト「手詰まりね…」

シンジ(ここは…そうか、エントリープラグか)

シンジ(入った途端にシンクロ率が上がって…それからどうなったんだろう)

シンジ(たぶん外のみんなは大騒ぎだ…でもなんだか僕はそういう気がしない…むしろ落ち着いている)

シンジ(心が軽くなるような…何だか眠くなってきた)

シンジ(たぶん後で怒られるなあ…でも…もう少し母さんと一緒にいたい…)

シンジ(母さん…)

アスカ「……やけに静かね」

レイ「一時的に安定しているだけ。油断しないで」

アスカ「わかってるわよ!エコヒイキ!」

ミサト「コンタクトは?」

伊吹「だめです」

ミサト「こうなると変化がないのが逆に怖いわ…一体何が起こっているの…」

青葉「パターン青は検出されず、使徒の類ではありません。シンクロ率に変化なし」

アスカ(何やってるのよシンジ…!)

シンジ(…本当に少し寝ちゃった)

シンジ(母さんがいたら、進路のこととかいろいろ相談するんだけどな…ははは、これまで死ぬ思いをしてきたのに今はこんなこと考えてる)

シンジ(母さん…僕はどうすればいいんだろう)

シンジ(なりたい自分、やりたいこと…)

シンジ(そんなに急に言われても分からないよ…)

シンジ(母さんはどうしてエヴァの研究をしたんだろう…)

シンジ(……答えてはくれないんだね、母さん)

シンジ(でもいいんだ…母さん…母さんに抱きしめられる子供ってきっとこんな感覚なんだ)

シンジ(15歳にもなって子供っぽいかな…まあいいや)

シンジ(ありがとう…母さん)

シンジ(でもそろそろ行かなきゃ)

シンジ(母さんに頼ってばかりじゃだめなんだ、自分で見つけるって友達と約束したんだ)

シンジ(行ってくるね、母さん)


ユイ「ふふ…頼もしい子」

アスカ(もうかれこれ一時間…エヴァに乗って全く動かないってのも変な感覚ね…何やってるのよシンジは…)

青葉「シンクロ率急速に下降!80,73,61.7、下降止まりません」

ミサト「どういうこと……?」

ゲンドウ「強制射出はまだだ、様子を見ろ」

青葉「シンクロ率40.8%で安定。プラグ深度20、精神汚染レベル安全域」

伊吹「コンタクト回復!パイロットの生存を確認」

ミサト「シンジ君!大丈夫なの!?」

シンジ「なんとか…」

アスカ「シンジ!」

シンジ「ごめんアスカ…僕は大丈夫だよ」

ミサト「システムの異常は」

日向「ありません」

シンジ「ごめんなさいミサトさん、迷惑を…」

ミサト「何言ってるのシンジくん、危険な状態だったのよ、謝らなければいけないのはこっち…初号機、エントリープラグ排出」

日向「初号機エントリープラグ排出」

ミサト「零号機と弐号機は所定の位置に戻ってからエントリープラグ排出、これをもって状況を終了します」

アスカ(結局なんだったのかしら…)

ネルフ 或る廊下

ゲンドウ「大丈夫か」

シンジ「うん…母さんと会ってきたんだ」

ゲンドウ「ユイと…?馬鹿げたことを言うな」

シンジ「……」

ゲンドウ「冬月、この件はエントリープラグ内のドライブのシステム異常で処理しろ」

冬月「何が起こったにせよ、似たようなものだからな、問題もないだろう」

ゲンドウ「ああ」

ゲンドウ(なぜシンジには姿を見せるのだ…ユイ……)

葛城ミサト宅

シンジ「ただいま」

アスカ「…おかえり」

シンジ「…ごめん」

アスカ「バカ」ギュッ

シンジ「あ、アスカ」

アスカ「なんであんたはいつもこうなのよ…暴走したり取り込まれたり…心配してもしきれないじゃない…!」ギュウウ

シンジ「ごめん、少し苦し…」

アスカ「しばらくこうされてなさい…この私を心配させた罰よ…」

シンジ(アスカ…)

ミサト(なんでだろ、すごく鍵を開けて家に入っちゃいけない感じがするわ…どうして…?……あ、えびちゅ買うの忘れてるじゃない、私のバカ)

ミサト(えびちゅだけじゃない気がするけど…まあいいか)

寝落ちしたので更新がおかしなことになってしまいました
とりあえず更新終わり、日中は不定期になります

第壱中学校 教室 昼休み

トウジ「考査やな」

ケンスケ「考査だよ、二週間後」

シンジ「中3は3月の考査がないから、定期考査はあと二回だね」

トウジ「あと二回もあるんかいな」

アスカ「簡単すぎてあくびが出るわ」

トウジ「」ムカッ

ヒカリ「秋からは実力テストもあるし、模試なんかもあるから忙しくなってくるね」

トウジ「」チーン

ヒカリ「定期考査が終わったら夏休みだし、頑張ろう?(どうせ模試と宿題があるけど)」

トウジ「」フッカーツ

シンジ「夏は受験の天王山って言うし、頑張らなきゃね」

アスカ「何それ、どうせ一年中夏じゃない」

シンジ「慣用句に文句つけないでよ…」

ケンスケ「暑い夏にへこたれずに勉強に勤しんだ者が合格への切符を掴む!ってことなんだろうね」

アスカ「へえー」

トウジ「……おいおいおいおい、範囲長すぎやろ、こんなん二週間じゃどうにもならへんわ」

ケンスケ「だから三週間前から考査の準備しとけって先生が言ってたわけだ…僕はやってないけど」

ヒカリ「平常点もあるしちゃんとしなよ…」

トウジ「あー聞こえない聞こえない」

帰り道

シンジ「何回やってもテストは憂鬱だよ…」

アスカ「楽しいもんじゃないってのは認めるわ」

シンジ「トウジも言ってたけど、範囲が広すぎるよ…あの一件のあと三日もエヴァの調整で授業出てないし……」

アスカ「なるようになるわよ」

シンジ「はあ…」

アスカ「ノート見せてあげる」

シンジ「いいの?」

アスカ「減るもんじゃないし」

シンジ「ありがとう」

アスカ「内容は保証しないわ」

シンジ「えっ」

アスカ「冗談よ、ちゃんと書いてあるわ」

葛城ミサト宅

アスカ「数学国語…社会英語に理科、これで全部だから」

シンジ「ありがとう…多いね」

アスカ「3日だから仕方がないでしょ、あとはよろしく」

シンジ(はあ…三日だからざっと18コマじゃないか…憂鬱だ)

シンジ(理科からやろう…)カリカリ

『酸…水に溶けると電離して水素イオンを生じる』
『アルカリ…水に溶けると電離して水酸化物イオンを生じる』

シンジ(字、きれいだな…)

『舐めてんの?Broensted-Lowry くらい一緒に扱ったらどうなのよ』

シンジ(うわあ…きれいな字できついこと書くなあ……ぶ、ぶろ?なんとかさんとろーりー?なんのことだろう…)

黒服(ブレンステッドとローリーは独自の酸塩基理論を考え出した人物である。高校化学の内容だ)

『酸性水溶液にとける金属…マグネシウムリボン、亜鉛……書くのめんどくさ』

シンジ(面倒くさがらないでよ!僕は知らないんだよ!というか『書くのめんどくさ』って書くほうが面倒だよ!…教科書見よう)

『水酸化ナトリウムにとける金属…アルミニウム、亜鉛など限られた金属』
『希塩酸にも水酸化ナトリウムにも溶けない金属…金、銀、銅など』
『いずれの場合も水素を発生しながら溶ける』

シンジ(なるほど…ちょっと覚えればなんとかなりそうだ)

『中和…酸性水溶液とアルカリ性水溶液を混ぜると互いの性質を打ち消し合い、水と塩(えん)が発生する 例 塩酸と水酸化ナトリウム→水と食塩』
『しおかえんか紛らわしい!』

シンジ(ははは…たしかに。ドイツ語はどうなってるんだろう)

『つまんない』

シンジ(つまんない?授業のことかな)

『早く戻ってこい なんで三日もかかるの』

シンジ(よく分からなくなってきた)

『あいつのハンバーグ食べたい』

シンジ(あいつのハンバーグ…ミサトさんハンバーグ作らないし僕のことかな)

シンジ(じゃあ、こういうこと?)

『つまんない 早く戻ってこい なんで三日もかかるの あいつのハンバーグ食べたい』

シンジ(アスカ…そんなにハンバーグが食べたいなら早く言ってくれればいいのに…)

シンジ(それにしてもノートに思ってること書きすぎだよ…よほど暇だったんだろうな…)

シンジ(って、こんなことしてる場合じゃないよ、まだどっさり残ってるじゃないか…)カリカリ

シンジ(今日はハンバーグにしよう)

リビング

シンジ「今日はハンバーグにしてみました」

アスカ「いただきまーす」ニコニコ

シンジ(喜んでくれてる?)

ミサト「いっただきまーす」プシュ ゴクゴク カアアー!

シンジ(こっちはよくわからないや)

アスカ「中々ね」モグモグ

シンジ「ありがとう」

ミサト「100%天然の肉みたいだわ…さすがシンちゃんね…」モグモグ

シンジ「色々調べて工夫してみたんです、たしかそれは8割人造肉ですよ」

アスカ「8割!?……見直したわ…」

シンジ(見損なわれた覚えはないけど嬉しいな)
……

アスカ「ごちそうさま」

ミサト「ごちそうさま。本当にその手の仕事もありなんじゃないかってくらいよねー、シンちゃんの料理」

アスカ「否定できないわね…美味しかった…」

シンジ「今度からは食べたいものがあったら言ってよ、アスカの好きな食べ物とかわからないからさ」

アスカ「? 今度からってどういうこと?」

シンジ「え、ノートに書いてあったでしょ、ハンバーグ食べたいって。ああいうの言ってくれたらうれしいなって」

アスカ「……」

アスカ「!!!!」ガタンッ

シンジ「あ、アスカ?」

アスカ「なんでもない!」ピシャッ

ミサト「あー…シンちゃん余計なこと言ったかも」

シンジ「ど、どういうことですか」

ミサト「日記とか走り書きってプライベートなものだから、そっとしておいてあげたほうがよかったりするのよ」

シンジ「気をつけます…」

ミサト(小声)「あと、もう少し乙女心を勉強したほうがいいかもね」

シンジ「はい… ?」

ミサト(この反応だと分かってないわね……大人になるための頑張りどころよ、頑張ってシンちゃん)

部屋

アスカ(見られた見られた見られた…!なんで消さないで渡しちゃったのよ私のバカ!)

アスカ(…というかなんでこんなに取り乱してるのよ私は…ちょっと落書きを見られただけじゃない)

アスカ(自分でもわからない…変なの…)

シンジ「アスカ…?」

アスカ「何」

シンジ「さっきはごめん」

アスカ「別に気にしてない」

シンジ「そっか…」

アスカ(なんで私はこんな反応しかできないわけ…?)

シンジ「ノートありがとう、とても助かった」

アスカ「暇人パイロットはこれくらいしかすることがないのよ」

シンジ「そんな…」

シンジ(怒らせちゃったかな…)

リビング

シンジ(まだ国語が残ってる…もう10時半だし今日中に終わらせるのは諦めようかな…)

シンジ(見るだけ見ておくか…)

『思いつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを』

シンジ(洞木さん、またアスカに恋歌を教えこんで…)

シンジ(えーと…夢だとわかったら覚めなかったのに…っていう歌だっけ)

シンジ(教えてあげたいけどさっき怒らせちゃったばっかりだし…)

シンジ(礼の言葉と一緒に書けば大丈夫かな、たぶん大丈夫)

『好きな人のことを思いながら眠りについたので、夢に出てきたのだろうか。夢とわかっていたら、覚めないようにするのに』
『ノート貸してくれてありがとう あと、今回はごめん』

本日更新終了です
支援やご指摘ありがとうございます!

アスカ(暗い…何も見えない…)

アスカ(床冷たい…)

アスカ(なんでこんなところにいるのよ、私)

アスカ(一人ぼっちだし…)

アスカ(どうして私は独りなの)

アスカ(勉強して大学に飛び級したし、厳しい訓練積んでパイロットにもなった)

アスカ(日本に来てエヴァに乗って使徒を倒して…)

アスカ(いつだって評価されることをしてきた…)

アスカ(なのに…誰も振り向いてくれない)

アスカ(最後はひとり…)

アスカ(さむい…)

SOUND ONLY

アスカ(?)

SOUND ONLY
『アスカ、行こう』

アスカ「誰…?」

SOUND ONLY
『僕だよ、シンジだよ』

アスカ「シンジ…?」

シンジ「ほら、手を取って」

アスカ(目の前にいる!?)

アスカ「で、でも、私の手、冷たい…」

シンジ「ずっと繋いでれば温かくなるよ」

アスカ「う、うん」

アスカ(あったかい…)

シンジ「行こう、こんな所アスカに似合わないよ。ほら、立って」

アスカ「シンジ…」

シンジ「ん?」

アスカ「なんでここまで来てくれたの…?」

シンジ「困っている人を見過ごせない…っていうのは建前かな…」

シンジ「本当は…僕、アスカのことが」

シンジ「アスカー? そろそろ起きないと時間が」

アスカ(…夢?)

アスカ「もう起きてる!」

アスカ(夢か…)

シンジ「あと、ノートありがとう!まだ国語が写し終わってないけど、学校あるから一回返すね」

アスカ「はーい」

アスカ(ほんとだ、国語のノートに付箋がついてる)

アスカ(一日でここまで進めるとはなかなかやるわね…)パラパラ

アスカ(ん)

『好きな人のことを思いながら眠りについたので、夢に出てきたのだろうか。夢とわかっていたら、覚めないようにするのに』
『ノート貸してくれてありがとう あと、今回はごめん』

アスカ(……)

アスカ(そっか…そういうことか…)

アスカ(私…シンジのことが…何よ、簡単じゃない)

アスカ(ありがとう、ヒカリ。やっと分かったわ、自分の気持ち)

アスカ「おはよ」

シンジ「おはよ(怒ってない…?)」

アスカ「テストまで二週間切ったけど、どう?」

シンジ「ノートは写せたからスタートラインには立てたかな…」

アスカ「提案があるの」

シンジ「提案?」

アスカ「定期考査って面白くないじゃない?」

シンジ「そりゃ面白くはないけど…」

アスカ「賭けよ」

シンジ「かけって、お金を賭けたりとかの賭け?」

アスカ「そう、点数の合計が低かったほうが何でも一つ言うことを聞くの」

シンジ「何でも!?」

アイス「そうよ」

シンジ(だ、だめだ、何でもなんていう言葉は危険すぎる…第一アスカが勝つに決まってるじゃないか…そうだ、これはアスカのアイス調達計画だ、騙されるな)

シンジ(牽制しないと)

シンジ「お金とかは嫌だよ…?」

アスカ「そんなこと頼まないわよ」

シンジ(いつもいろいろ買わせようとしてくるじゃないか…待てよ…金銭じゃないとすれば…)

シンジ(そうだ!ムカついたときに僕を叩いてストレス発散にする気だ!これはアスカのストレス発散計画だ!)

シンジ「痛いのはやめてよ」

アスカ「そんな暴力的に見える?」

シンジ(見えるよ…というか初対面の日に足払いとか飛び蹴り食らってるよ…)

シンジ「じゃあ、いいよ(金銭も暴力もないとくれば、そんなにひどいことはなさそうだしいいかな)」

アスカ「じゃ決まり!忘れたとか言ったらただじゃおかないわよ!」

シンジ(そういうのを暴力的というんだ)

ミサト「おはよー」

シンジ「おはようございます」

アスカ「おはよ!」

ミサト(アスカ、妙に機嫌がいいわね…昨日はあんなんだったのに何があったの…?)

考査一週間前

アスカ「調子はどう?」

シンジ「まあまあかな…」

アスカ「私は絶好調よ、勝利は私のものね」

シンジ「僕も負けないよ」

シンジ(僕のバカ…!なんで勝負を受けたんだろう…アスカのことだから金銭と暴力以外にも僕の知らない悪辣なことを知っているに決まってるじゃないか…!)

シンジ(想像しただけで恐ろしいよ…だから、是が非でも負けるわけには行かないんだ…!逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ)カリカリカリ

アスカ(な、何よこの気迫…私が勝つのはわかりきってるのにどうしてこんなに…?)

アスカ「…ま、まあ、せいぜい頑張りなさい」

シンジ「…アスカもね」

ミサト(考査の勉強ってこんなに殺伐としたものだったかしら…)

考査3日前

シンジ「」カリカリカリカリカリカリカリカリ

シンジ(NaOHをHClに入れて中和…NaOHをHClに入れて中和…)

アスカ「」カリカリカリカリカリカリカリカリ

アスカ(負けない…シンクロ率で負けてテストでも負けるわけには行かない…!こんなの戦闘機のマニュアルに比べたら絵本も同然なんだから…!)

ミサト(うわあ…私の大学受験を思い出すわ…ここまでじゃなかったと思うけど)

ミサト「あの、シンちゃん、晩御飯は…」

シンジ「すみません、考査が終わったらとびきり手をかけるので今はレトルトで我慢してください」カリカリカリカリカリカリ

ミサト(ATフィールド全開ね…)

考査前日

シンジ「」カリカリカリカリカリカリカリカリカリ

アスカ「メイジジダイニホンハフコクキョウヘイヲカカゲ…」ブツブツブツブツ

ミサト(シンジはとにかく書いて覚えるタイプでアスカは声に出すタイプ…暗記の仕方もいろいろね…)

ミサト(二人とも付け焼き刃じゃ太刀打ちできない国数英をコツコツ済ませて、最後の数日で理科社会を詰め込む算段ね…セオリー通りだわ)

ミサト(この子達一体何時間勉強してるのかしら…怖くて計れないけど…)

シンジ(アスカも本気だ…僕も本気で応えなきゃ)

アスカ(何よ、あいつ本気じゃない、バカシンジに気力で負けるわけには…)

ミサト「二人とも、前日は程々にして早く寝たほうが…」

シンジアスカ「」ギロリ

ミサト「ひっ」

シンジアスカ「………」トケイチラッ

シンジ「お風呂入れるね」

アスカ「先入っていいわよ」

ミサト(よかった…人の心は残っていたのね)

決戦、第壱中学校

(考査当日)(考査は一日日程)

一時間目 国語
シンジ(苦手じゃない教科だ、行ける…!)

アスカ(古文は出題文をすべて品詞分解して暗記済みよ…!)

レイ(……)

トウジ「ああー、難しかったわ。シンジ、大問2の六番なんて書いた?」

シンジ「ごめん、次の時間の勉強しなくちゃ」

トウジ「お、おう…」

二時間目 理科

シンジ(反応式の組み立てなんてもう飽きるほどやったよ!)

アスカ(大学で化学取ってた私を舐めるなあ!)

レイ(……)

三時間目 英語

放送『What a hell are you doing!?(てめえなにしてやがる!)』
放送『It's not your bussines, get out!!(お前には関係ない、失せろ!)』

シンジ(なんでこんなにリスニングが物騒なんだよ…)

アスカ(リスニングは楽勝だと思ってたらこいつらの英語日本語訛りがきつすぎるじゃない!発音の練習しなさいよ!)

レイ(……)

4時間目 数学

シンジ(できる…できるぞ…苦手だけどこれまでとは比べ物にならないほどやってきたんだ…!)

アスカ(らーっくしょう!)

レイ(……)

昼休み

シンジ「」モグモグモグ
アスカ「」モグモグモグ

レイ「」モグモグ

ケンスケ「あいつら何かに取り憑かれてるよ」

トウジ「間違いない」

五時間目 社会

シンジ(日本の歴史なんだ…3/4ドイツ人には負けないよ…!)

アスカ(教科書はすべて暗記済みよ…ドイツの血のほうが多いからって侮らないでほしいわ…!)

レイ(……)

試験監督「そこまで、後ろから用紙を回してくれー。みんなお疲れ様ー」

シンジ(終わった…)

アスカ(これで終わり…)

帰り道

シンジ「終わったね…」

アスカ「ええ、終わったわ…」

シンジ「どうだった…?」

アスカ「やることはやった…」

シンジ「僕も…」

アスカ「楽しかったって言ったら…変?」

シンジ「いや、僕も楽しかった」

アスカ「この一週間私たちバカみたいに勉強してた…いや、ただのバカね」

シンジ「でも、頑張ればこんなに何かに没頭できるんだってわかった気がするよ。底力っていうのかな」

アスカ「そうね…しばらくペンを持ちたくないから本当に底力ね…」

シンジ「どっちが勝つのかな」

アスカ「私が勝つわ」

シンジ「やっぱりそうなのかな…」

アスカ「でも、努力は互角だった」

シンジ「そうだね」

アスカ「引き分けにしたいところだけど、契約は守ってもらうわよ」

シンジ「もちろん」

アスカ「早く返ってこないかなー」

シンジ「明日から返ってくるよ」

アスカ「げ、それはそれで何か嫌」

シンジ「…まあ、今は忘れようよ。今日はハンバーグにするから、買い物に寄ってこう」

アスカ「私を荷物持ちにするつもり?」

シンジ「いや、嫌ならいいんだけど…」

アスカ「……付き合うわ。あんまりたくさん買い込まないでよね」

シンジ「ほどほどにするよ」

葛城宅

ミサト「二人とも、考査お疲れ様!」

シンジ「ありがとうございます」

アスカ「ありがと」

ミサト(良かった…やっといつも通りだわ…)

シンジ「ハンバーグ作るので、待っててください」

ミサト「やったー!シンちゃんのハンバーグ!」

アスカ「わ、私も手伝う」

シンジ「え、いいよ(どういう風の吹き回しだろう)」

ミサト「いいじゃない、手伝ってもらったら?(アスカ攻めるわね…)」

シンジ「えっと…じゃあ…僕が野菜を切るから、種を混ぜてくれるかな」

アスカ「たね?」

シンジ「ハンバーグの生地だよ」

アスカ「そ、それは知ってるわよ、で、どうすればいいの?」

シンジ(絶対知らなかったよね…)

シンジ「材料が揃うまでは暇かな」

アスカ「はーい」

ミサト(微笑ましい微笑ましい)プシュ
……

シンジ「じゃあこれを混ぜて」

アスカ「けっこうグロテスク…」グチャ グチャ

シンジ「ミンチした肉だからね」

ミサト(中々言うわね…使徒に比べたらグロさはマシってことなのかしら)

アスカ「どう?」グチャ

シンジ「もうすこしかな」

アスカ(正直飽きた…)グチャ グチャ


アスカ「もういい?」

シンジ「うん、もう大丈夫だよ」

アスカ(けっこう大変…)

アスカ「手ぬるぬる…」

シンジ「食器用の洗剤で洗うといいよ」

シンジ「あ、ハンバーグの形作ったりしたい?」

アスカ「いや…一番大事そうだし譲るわ…」

シンジ「わかった」

シンジ「できました」

アスカ「!!」

シンジ「前より美味しくなってればいいんですけど、どうぞ」

アスカ「いただきます」

ミサト「いただきまーす」

アスカ「」パク

アスカ「!!!」

アスカ「おいしい!」

ミサト「自分で作ると美味しいって言うのよー、あら、ほんとに美味しい」

シンジ(自分で作ったら美味しいって聞くけど、作りすぎて分からなくなっちゃった)

アスカ「ミサトは作ってないでしょ」

ミサト「そうだけど、ほんとに美味しいわ」

シンジ「よかった」

アスカ「今日のテストの英語、あのリスニングひどすぎよ!」

シンジ「でもちょっと面白かったよ」

アスカ「What a hell are you doing!!」

シンジ(うわ、発音すごいや)

シンジ「It's not your business,get out!」

ミサト(本当にそういうテストだったの…?)

アスカ「発音はまあまあね」

シンジ「まあまあ…」

アスカ「発音が上手いと聞く方も上手になるらしいから頑張ることね。私は完璧だけど」

シンジ「頑張ります…」

シンジ「そうだ、あの数学の最後の問題、何て数字になった?」

アスカ「えーと、38分の17?」

シンジ「ほんと?合ってたかも」

アスカ「あんなの簡単よ」

ミサト(一時はどうなるかと思ったけど、終わってみればいいものじゃない)

考査後2日目 放課後の教室

シンジ「まさか二日で全部帰ってくるとは思わなかったよ」

アスカ「そうね…かなり早いわ」

シンジ「合計点は出した?」

アスカ「出したわ…」

シンジ「文句なしだよ」

アスカ「小細工なんてしないわ」

シンジ「アスカから言ってよ」

アスカ「シンジから言いなさいよ」

トウジ(楽しそうやな)

シンジ「せーので言おうよ」

ケンスケ(こだわるなあ)

アスカ「いいわ…せーの、のあとに言うわよ」

シンジアスカ「「せーの!」」

シンジ「483点」アスカ「483点」

シンジ「……?」
アスカ「?」

シンジ「483点?」

アスカ「あんたも483点?」

シンジ「うん」

シンジアスカ「………」

シンジアスカ ガックシ

トウジ(その点数でなんで落ち込むんや)
ケンスケ(理解に苦しむよ)

シンジ「まさか同じになるとは…」

アスカ「なんて偶然よ…」

シンジ「じゃあ…勝負は引き分けってことで」

アスカ「そうね…同点とあらば仕方がないわ」

トウジ(なんやこいつら、勝負してたんか?)
ケンスケ(アイスでも賭けてたんだろう、いかにも式波が考えそうなことだ)

アスカ「…あ、エコヒイキ、まだいたの」

レイ「ええ」

アスカ「ちなみにあんた何点だったのよ」

レイ「487点」

シンジ「…………」

アスカ「…………」

シンジ「帰ろっか」

アスカ「帰るわよ」

担任「夏休み前だからな、進路相談をやるぞ。この前のテストの結果とか受験のことについて話すから、質問とか相談があれば考えとけ」


シンジ「って言ってたけど、どうしよう」

アスカ「そうよ、あんた結局志望校決めたの?」

シンジ「いや、それが…」

アスカ「あんたバカァ? 一番大事なところじゃないのよ!」

シンジ「ごめん…」

アスカ「何も考えてこなかったわけじゃないでしょうね」

シンジ「なんとなくはあるんだけど…決めかねてるんだ…」

アスカ「ほんっと優柔不断ね」

シンジ「否定はしないよ…」

アスカ「で、なんとなくの案はどうなってるの?」

シンジ「k高校に…いけたらいいかなって…」

アスカ「やめといたほうがいいわ」

シンジ「やっぱりそうかな…成績も届いてないし…」

アスカ「違う」

シンジ「え?」

アスカ「行きたいなあ、なんて生易しい考えで受かるほどk高はカンタンなの?行きたい、じゃなくて行く、なのよ」

シンジ「そっか…そうだね…」

アスカ「ま、まだ決めてないみたいだしこれ以上言わないけど、秋頃にそんなこと言ってたらぶっ飛ばすわよ」

シンジ「気をつけます…」

アスカ「それで、どうしてk高なの?」

What the hell!?
友人に指摘されて気づきました
地獄は一つしかないのでTHEをつけるのが正しいようです。文法ミスには気をつけよう!

シンジ「入るのは大変そうだけど、ちょっと気になることがあるんだ」

アスカ「気になること?」

シンジ(どうしよう、アスカに言っても大丈夫かな…)

アスカ「何よ、言えないことなの?」

シンジ「そうじゃなくて…」

アスカ「じゃあ言いなさいよ」

シンジ(きっと大丈夫…)

シンジ「この前のとき、お母さんに会ったんだ」

アスカ「どういうこと?」

シンジ「うーん、会ったというか、存在を感じたというか」

アスカ「てっつがくぅー」

シンジ(哲学の本場生まれのくせに哲学のハードル低すぎるよ…)

シンジ「僕のお母さん、科学者だったんだ」

シンジ「だった、っていうか、だったらしい、って感じなんだけど」

アスカ「そうね」

シンジ(アスカが自分のお母さんのこと思い出さないように話を続けないと…)

シンジ「エヴァの研究をしてたみたいなんだ」

アスカ「そうでしょうね」

シンジ「なんでエヴァの研究なんかしたんだろうって思うこともあった。両親がエヴァの研究なんてしてなければ、今ごろふつうに両親と暮らしてたのかなって」

アスカ「うん」

シンジ「エヴァの中にいるとき、どうして母さんは科学者になったのって聞いてみた…答えてはくれなかったけどね」

シンジ「そのときはそれ以上には考えなかったんだけど」

シンジ「やっぱり僕は母さんがエヴァを研究してた理由が気になるんだ」

アスカ「私は気にならないけどね」

シンジ「それは人それぞれだよ…僕は今母さんをとても誇りに思う。父さんも、よくわからないところばっかりだけど、大切な仕事をしてるんだ」

シンジ「僕は母さんと父さんのことをもっと知りたい。家庭はめちゃくちゃになったし、今までたくさん辛い思いをしてきたけど…いや、だからこそかも知れない、もっと知りたいんだ」

アスカ「へえ…」

シンジ「そのためには、科学をやるのが一番いいと思うんだ。父さんと母さんがやってたし、エヴァだって科学の結晶だ…そもそも科学は好きだし」

アスカ「血は争えないってわけね…それでk高校なわけ?SSPとやらがあるし、理系の難関大にも行けるし」

シンジ「そう…なるのかな」

アスカ「なんだ、しっかり考えてるんじゃない」

シンジ「でも、行きたいって気持ちばかりで成績が追いついてないんだ…」

アスカ「バーカ、そんなんで諦めてたら人生やってけないわよ、行くったら行くのよ。担任も言ってたでしょ、行けるところより行きたいところだーって」

シンジ「ありがとう…そうだよね」

アスカ「そういうこと」

シンジ「真剣にk高校を考えてみるよ」

アスカ「よろしい!」

今日は更新終わりです
ペースが遅くて申し訳ありませんが、必ずや完走します

担任「はい、夏休みになりますが、皆さんちゃんと勉強してください、後悔しても夏休み最後ですから。あと事件事故に巻き込まれたり起こさないように。今起こすとなかなか面倒ですから。じゃあ日直、号令」

シンジ「起立」

シンジ「礼」

トウジ「っしゃあ!夏休みや!」

ケンスケ「待ち望んだぞ!」

トウジ「ゲーセン行こか」

ケンスケ「もちろんさ!」

アスカ「あいつらほんとにゲームセンター好きね」

シンジ「並々ならぬ愛を感じるね」

アスカ「最後の夏休みを楽しんでやろうっていう気概が感じられるわ」

シンジ「あ、そうか、これ最後の夏休みだ…なんか実感わかないや」

アスカ「今までほとんどネルフに休み潰されてるから実質初めてなのよ、私たちにとっては。だから実感がないんだわ。遊び尽くして私達の夏休みを取り戻すのよ!」

シンジ「たしかにね…」

シンジ「でも、僕は勉強しないと…」

アスカ「あんたバカぁ? 遊ばないで何が夏休みよ!それに息抜きを上手く取り入れるものが受験を制するのよ!」

シンジ(絶対遊ぶための方便じゃないか…)

アスカ「この前の考査のノリで夏休み中過ごすつもり?」

シンジ「う、それは…(色々持たない)」

アスカ「そういうこと。詰めすぎるとカエルのお父さんみたいに破裂しちゃうわよ」

シンジ(あの話にそんな教訓はないよ…)

シンジ「わかったよ、少しは遊ぶよ」

アスカ「そうこなくっちゃあ!」

夏休み初日

シンジ「遊ぶ、とは言ったけど」

シンジ「何して遊ぶの?」

アスカ「そうね……」

アスカ「夏祭りとか…プールとか…ゲームとか…肝試しとか…お泊りとか…」

シンジ(バッチリじゃないですか)

アスカ「とにかく思いつくままに遊ぶのよ!」

シンジ「そんなに遊んで大丈夫かな…」

アスカ「そのために今から勉強するのよ!課題なんて二日で終わらせてやるわ!」

シンジ(二日は無茶じゃないかな…)

アスカ「」カリカリ

シンジ「」カリカリ

ミーンミーンミーン ミーンミーン
ツクツクボーシ ツクツクボーシ
チリンチリン

シンジ「……」

アスカ「……」

アスカ「飽きた」

シンジ「うん」

アスカ「考査のときはあんなにやってたのにどうして…?」

シンジ「夏休みだからかな」

アスカ「何よそれ、理由になってないじゃない」

シンジ「そうかな?なんていうか…後回しにしたい気持ちが湧いてくるよ」

アスカ「確かにそうね、まだ一ヶ月あるという事実がここまで私を怠惰にさせるとはね…」

シンジ「一ヶ月って、やっぱり長いよね」

アスカ「ええ、長いわ」

シンジ「でも課題を終わらせなきゃ遊べないよ」

アスカ「課題が終わっても模試があるし、受験勉強もあるわよ」

シンジ「ひどいや…」

アスカ「ま、なんとかなるわよ」

シンジ「そうだね…」

アスカ「結局、目の前の課題を終わらせないことには…」ムムム

シンジ「いい方法、ないかな…」

アスカ「そういえば、結局考査は引き分けだったじゃない(エコヒイキに負けたけど)」

シンジ「同点だったからね(綾波に負けたけど)」

アスカ「正直不完全燃焼なのよ」

シンジ「うん」

アスカ「先に課題を終わらせたほうが勝ち……どう?」

シンジ「えっと…(どうしよう、あまり気が進まないよ…またあんな非人間的な状態に身を置くのは…)」

アスカ「たぶんほんとにニ、三日で終わるわよ。二日で肩の荷を一つ下ろせるのよ、魅力的じゃない?」

シンジ(確かに魅力的だ…アスカに言われて気づいたけど、僕今まで夏休みらしいことしてこなかったし…)

>>123
皆呼んで人海戦術。
集中力維持は難しいから 逆に締める人を入れる?

>>123 さんのレスへの回答にかえて

ネルフ 昼休み

ミサト「中学校は今日から夏休み…羨ましいわー」

リツコ「でもあなた、宿題溜めそうなタイプね」

ミサト「半分あたり」

リツコ「残り半分は?」

ミサト「人海戦術よ。みんなで分担してやって、最後に写し合うの。やっぱり私、作戦発案の天才ね」

リツコ「そうかしら?人海戦術とやら、そこまでいい方法には見えないわ」

ミサト「何よ」

リツコ「本来なら自分の頭脳への貴重なインプットになる時間を大幅に削って、何も残らない単なる機械労働におきかえているだけじゃない」

ミサト「そうだけど、その分空いた時間は自由よ。自分の勉強もできる」

リツコ「空き時間も怪しいわね、その方法だとお迎えテストは高確率で追試。結局追試の勉強をするはめになるのよ」

ミサト(たしかに私お迎えテストは追試にかかってばっかりだったわ…)

ミサト「でも、夏休みは貴重な完全なる自由時間よ、あとで少し追試の勉強が必要になっても、手に入れる価値はあるわ」

リツコ「そこまで言うなら好きにすればいいわ」

ミサト「なによ、煮え切らないわね」

リツコ「そもそもこんな話、大人がする話じゃないもの」

ミサト(ノリノリで話してたくせに…)

リョウジ(真の強者は何食わぬ顔で宿題を放置し、完璧な計画のもと最後の数日間で全てにカタをつける…お迎えテスト対策も織り込み済みの高度な作戦…そこに気づかないミサトはまだまだだな)

リョウジ(そこが可愛いんだけどな)

間違えました>>125さんでした

アスカ「どう?」

シンジ「でも、僕が家事とかやってる分不利じゃないか」

アスカ「その間はゲームでもしてるわよ」

シンジ(手伝ってほしいな……)

シンジ「それなら、まあ…」

アスカ「じゃあ決まりよ!」

シンジ「今度こそアスカに勝つよ」

アスカ「あんたの泣き顔が目に浮かぶわ!」

シンジ「」カリカリカリカリカリ

シンジ(またこんな勝負に乗っちゃった…でも課題の速さなら!)

アスカ「」カリカリカリカリカリ

アスカ(この前できなかったこと、今度こそしてやるわ!)

ミサト「ただいまー ……」

シンジ「」カリカリカリカリカリカリ
アスカ「」カリカリカリカリカリカリ

ミサト(やっと普通に戻ったと思ったのに…)

シンジ(ごめんミサトさん…これは男の戦いなんだ…!相手は女だけど…!)

アスカ(よく確認したらシンジの苦手な数学が一番時間掛かりそうじゃない!チャ~ンス!)

ペンペン「クアッ!クアッ!(勉強はいいけど、晩飯の手抜きは勘弁してくれ、ずっと缶詰だと野生が抜けちまう)」

ミサト「あ、ごめんごめん、いま晩御飯あげるからね」

ミサト(それにしても暑いわー…二人の熱気のせいね。ちょっともったいないけどエアコンの温度下げよ、二人も暑いだろうしバチも当たるまい)ピッ

エアコン「」

ミサト「は?」ピッ ピッ

ミサト「うそ」ピッ ピッ

ミサトの脳内ネルフ
ミサト「設定温度20、パイロットの快適さを最優先!」
伊吹「だめです!信号受け付けません!」
青葉「葛城邸温度上昇、止まりません。まずいぞ…」
日向「エアコンディショナ、完全に沈黙」
ミサト「白旗でもあげようかしら」

ミサト「壊れたわ…」

シンジ「あちゃー…(よし!アスカは僕よりは暑さが苦手だ!チャンス!)」

アスカ「何とかしてよ!(さっきから暑いのは気のせいじゃなかったのね…)」

ミサト「とりあえず業者に電話しとくから、それまではアイスとか水風呂で持ちこたえてちょうだい(私はえびちゅを飲む口実ができたわ)」

更新終わりコール忘れて寝てしまいました、真の敵はやはり自分です

アスカ「……」カリカリ…カリ…

シンジ「…」カリカリカリ…

アスカ「あづいー」ツクエニベター

シンジ「流石に暑いね…」

アスカ「アイス食べたい」

シンジ「でも、冷蔵庫にはもうないよ」

アスカ「買ってきて…」

シンジ「嫌だよ…外に出たら蒸し焼きになることくらいわかるだろ…」

アスカ「知ってるわよ、だから行ってきて」

シンジ「遠回しにひどいこと言ったな!」

アスカ「…仕方がないわね、じゃんけんで負けたほうが行く、いい?」

シンジ「いいよ」

アスカ「じゃーんけーん」


シンジ(やっぱり僕が行くことになるんだ…)

シンジ(暑い…日光も道路の照り返しも気温も湿度も最悪だよ…)

シンジ(一年中こんなだし今更なんだって話だけど…慣れても好きにはならないなあ)

シンジ(冬にならないかなあ…でも、小説でしか見たことないや)

シンジ(雪が一面に降って…子どもたちは雪玉を作って投げ合う)

シンジ(どんな感じなのかな…想像もつかない…父さんは知ってると思うけど聞くのも気が進まないや…くだらないことを聞くな、とか言われそうだし)

シンジ(一年中冬になっちゃった地域もあるみたいだし、行けばいいといえばそれまでだけど)

シンジ(この街に雪が降るところ、いつか見てみたいな…)

シンジ(エヴァなら地軸をもとに戻せないかな)

シンジ(…何考えてるんだろ、そんなの無理に決まってるのに)

シンジ(そうこうしてるうちにコンビニだよ)

店員「いらっしゃいませー」

シンジ(はあ、やっと涼しい)

シンジ(冬か…)

アスカ「生き返る!」

シンジ「暑いと余計美味しいね」

アスカ「エアコンの故障もたまにはいいわね」

シンジ「それはどうかな…」

アスカ「あー、美味しかった!」

シンジ「食べ終わった途端に暑さが…」

アスカ「そういうこと言わないでよ!今涼しい気分だったのに!」

シンジ「31度あるね」

アスカ「やめなさいって言ってるでしょ!ああー暑い……」

シンジ「さ、勉強始めようかな」

アスカ「こんな暑い中?」

シンジ「アスカに勝ちたいからね」

アスカ「うっ…」

シンジ「」カリカリカリ

アスカ「なんでそんなに暑いの平気なのよ!」

シンジ「日本生まれ日本育ちだからね」カリカリカリ

アスカ「ドイツだって暑いときゃ暑いわよ!」

シンジ「湿気があるとないとじゃ大違いだよ」カリカリカリ

アスカ「ああもう!いいわよ、やってやるわよ!」

シンジ(アスカ、目に見えて効率が落ちてる…これは勝機だぞ…)

シンジ(でも、たまに水分補給しないと熱中症で倒れそう…アスカは意地張って水飲まなさそうだから僕から飲まないと)

シンジ(だめだ…日本人でも限界だよ…)

アスカ「あつい…」パタパタ

シンジ(胸元を掴んでパタパタするのやめてくれないかな…目のやり場に困るよ…)

アスカ(めっちゃ見てるじゃない、ちょろいわね)

シンジ「…アスカ、風呂に水張らない?」

アスカ「水風呂ってわけ?」

シンジ「それは流石に水道代がかさむし、足をつけるくらいにしたらどうかな」

アスカ「涼しそうね、いいわよ」

シンジ「じゃあ入れてくるよ」

アスカ(チャ~ンス!)

本日更新終わりです

アスカ「ちょっと待ちなさい」

シンジ「ん?」

アスカ「水道代は関係なくないかしら、あとで追い焚きすればいいじゃない」

シンジ「追い焚きは熱効率がそんなに良くないから、ガス代がかさんじゃうよ…かと言って張り直すのももったいない」

アスカ「って言ったってせいぜい数円数十円の話じゃないのよ。ケチ!」

シンジ「」ピキ

シンジ「アスカ、今の日本がどういう状況にあるか知ってる?」

アスカ「どういうことよ」

シンジ「化石燃料はセカンドインパクト後に高騰が進んで今じゃセカンドインパクト前の6倍近いし、常に供給不足なんだ。まあ、第三新東京に限れば不足してないけどね。いまでも燃料を確保できなくて計画停電を実施してる町だって日本にはあるんだ」

アスカ「し、知ってるわよ(なんで私説教されてるの…?というか知らなかった…)」

シンジ「それに水道代。海が真っ赤っかになっているせいで河川も色は付かないまでも、そのままで飲むのは良くないくらいに汚染されてるんだ。それを安心して飲めるようにするためにいくらかかると思う?」

アスカ「さ、さあ…」

シンジ「流石に処理に掛かるコストはわからないから水道代を教えてあげるよ。セカンドインパクト前の5倍になったよ。それに梅雨を失った日本は慢性的に水不足なんだ、少し暑いからって風呂の水をまるまる張り替えるなんて…第三新東京の市民として…」

アスカ「分かった、分かったわよ!足が浸かるだけでいいから説教をやめなさい!(なんでインフラ高騰でこんなに話熱くなれるの?余計暑くなるじゃない)」

シンジ「分かってくれると嬉しいよ」

シンジ(本当のところは全部張っちゃうと長時間アスカに占領されちゃうからだけどね)

シンジ「そろそろいいかな」

アスカ「どうかなー」チャプ

アスカ「冷たっ」

シンジ「流石につめたいね」チャプ

アスカ「でも、気持ちいい」

シンジ「はあ…」

アスカ「ふう…」

アスカ「足首だけじゃ物足りなくなってくるわね」バシャバシャ

シンジ「ちょっと、裾が濡れるよ」

アスカ「気化熱でちょうどよくなるでしょー」バシャバシャ

シンジ「風邪引いても知らないよ」

アスカ「引かない引かない…えい!」バシャ

シンジ「冷たっ!」

アスカ「ふふん」

シンジ「冷たいよアスカ、ズボンにかけないでよ」

アスカ「えいえい」バシャバシャ

シンジ「…もうどうなっても知らないよ」バシャバシャ

アスカ「わっ!冷たい!何すんのよ!」

シンジ「先にやったのはそっちだろ!」バシャバシャ

アスカ「負けるか!」バシャバシャ

シンジ「水だ!水をもっとよこせ!」ジャグチヒネリ-

アスカ「水道代とか言ってたの誰よ!」

シンジ「知らないよ!」バッシャア

アスカ「バカっ、顔にかかったじゃない!」

シンジ「まだまだ行くよ!」バシャバシャ

アスカ「くぉんのバカシンジ!」バッシャ-

ワイワイ ヤイヤイ バシャバシャ

シンジ(ハッ…僕は何をしてたんだっけ)

アスカ「はぁ…はぁ…」ビッショリ

シンジ(そうだ、我を忘れて水掛け合ってたんだった…)

シンジ「ご、ごめん」ビッショリ

アスカ「別に?私もかけまくったし」

シンジ「そうだね…」

シンジ(どうしよう、アスカのTシャツが体に張り付いてすごいことになってるよ…)

シンジ(体の線くっきり出てるし、下着も透けてるし…息上がっててなんかあれだし…いや、見ちゃだめだ見ちゃだめだ、アスカに殺される)

アスカ「何見てんのよバカシンジ」ジト-

シンジ「み、見てませんよ!?」

アスカ「嘘ついても無駄よ、シャワー浴びるから出てけエロシンジ!」ゴチン

シンジ「ご、ごめんなさいい!」ドタドタ

アスカ(まったく…目が泳ぎまくりなのよ…本当中学生男子って猿ね……でも計画は成功よ、シンジは私の体に釘付けだったわ!)

アスカ(さて、早くシャワー浴びちゃおう…)ヌギヌキ

アスカ(……あ)

アスカ(着替え忘れた)

シンジ(こんなにびしょ濡れになるなら最初からシャワーにすればよかったよ…)フキフキ

シンジ(アスカに怒られちゃったし…)

シンジ(アスカの体、きれいだったな……いやいや何を考えてるんだ僕は)ブルブル

アスカ「シンジ…?」

シンジ「わ、びっくりした」

アスカ「着換え忘れたんだけど…タオル扉の前に置いてくれない?」

シンジ「う、うん…ここに置いとくね」ドキン

アスカ「着替えが終わるまで玄関でポストとにらめっこしてなさい、見たら[ピーーー]」

シンジ「は、はい」

アスカ(私としたことが…不覚だわ)フキフキ ソデトオシ-

シンジ(すごく気まずい…)

アスカ「いいわよ」

シンジ「うん」

アスカ「…少しは涼しくなったわね」

シンジ「そうだね(頭が熱いよ)」

アスカ「勉強するかー、気温もマシになってきたし」

シンジ「うん」

アスカ「」カリカリカリ

シンジ「」カリカリカリ

アスカ(シンジ、やけにチラチラ見てくるわね…)

シンジ(なんで下着みたいな服着てるんだよ…あんなことのあとだから全然集中できないよ…)

アスカ(効果てきめんね…あまりやっても下品な女になっちゃうから、あくまでたまにしか使えないけど)

アスカ「どうしたの?」

シンジ「な、なんでもないよ」

アスカ「ふーん」

アスカ(目が泳ぐ泳ぐ…この調子なら課題を先に終わらせるのは私が先ね…あれ、なんか鼻がむずむずする)

アスカ「へっくし」

シンジ「大丈夫?風邪引いてない?」

アスカ「ちょっと水浴びたくらいで風邪引いててエヴァのパイロットが務まりますか…へっくし」

シンジ「今日は早く寝たほうがいいんじゃない」

アスカ「何言ってんのよ、課題やるにきまってるじゃない。あんたこそ徹夜でもしないと私に負けるわよ?」

シンジ(大丈夫かな…)

課題を先に終わらせるのはのくだり日本語がおかしくなってしまいました、ニホンゴムズカシイネ

翌日

アスカ「さむい…あついけどさむい…」

シンジ「え、今日も32度はあるよ」

アスカ「そうなの…?」

シンジ(あー…風邪引いたんだ…言わんこっちゃない…)

シンジ「熱測ってみて」つ温度計

アスカ「うーん……」

『37.2℃』

シンジ「微熱かな」

アスカ「私の平熱35.5℃…普通に熱…」

シンジ「あちゃー…風邪だね」

アスカ「頭がふわふわする」

シンジ「薬出すから座ってて」

アスカ「はい…」

アスカ(こんなはずじゃ…こんなはずじゃ…)

シンジ「はい」

アスカ「」コクコク

シンジ「水分取って、休んで、そうしたら2日もしないで治るよ」

アスカ「はーい……」

シンジ「面倒くさくてもちゃんと飲みなよ、熱中症になったら大変だから」

アスカ「うん、ありがと…」

アスカ(完全に負けた…私ペンも持てないわ…)

シンジ(どうしよう…やっぱり同居人が風邪引くと放っておけないよ…前アスカが風邪引いたときはどうしてたっけ…)

シンジ(アスカはあんまり風邪引かないから結構前かもしれない)

前アスカが風邪を引いたとき

アスカ「」ムスーッ

シンジ「だ、大丈夫?…顔、赤いよ」

アスカ「気のせいじゃない?」ギロ

シンジ「う、うん…」

アスカ「私寝てるから」


シンジ(そうだ…あの時まだ打ち解けてなかったんだ…参考にならないや)

シンジ(でも、前よりは打ち解けてくれたってことなのかな?)

シンジ(ためだだめだ、今は何をしてあげられるか考えなきゃ…)

シンジ(アスカが必要としてるもの…逆にしたら怒りそうなこと…)

シンジ(課題進めたら怒りそうだな…やめておこう)

シンジ(やっぱり食べ物と飲み物かな…体に優しいもの買ってこなくちゃ)

シンジ「アスカ?風邪にいい食べ物買って来ようと思うんだけど、何かほしいものある?」

アスカ「うう……ハーゲンダッツ…」

シンジ(病人だからって…ドイツの血が求めてるのかな…)

黒服(着眼点はいいが甘いなサードチルドレン、ハーゲンダッツのようにな。ハーゲンダッツ、つまりH?agen-Dazsはドイツ語っぽい響きをしているがアメリカの製品だ。創業者がゲルマン語族言語っぽい響きを求めたらしい)

シンジ「…わかったよ、ハーゲンダッツも買ってくる。他には?」

アスカ「それだけ…」

シンジ「行ってきます、喉乾く前に水分飲んでね」

アスカ(一緒にいてくれるだけでいいんだけど…優しさは受け取っておくわ…)

シンジ「ただいまー、アスカ、大丈夫だった?」

アスカ「10分15分でどうにもならないわよ…」

シンジ「よかった、でも気をつけてね」

アスカ「はーい…」

シンジ「アイスとかももの缶詰あるけど、食べる?」

アスカ「もも?なんでももの缶詰なの」

シンジ「うーん…よくわからないけど風邪引いた人によく食べさせるんだ」

アスカ「食べる…」

シンジ「待っててね、今開けるから」ギリリ ギリリ ギリリ パカッ

シンジ「起きられる?」

アスカ「うん…」ノソノソ

シンジ「はい、どうぞ」

アスカ「……」

シンジ「…?桃好きじゃなかった?」

アスカ「食べさせて」

シンジ「えっ」

アスカ「だるい、手動かすのめんどい」

シンジ「やっぱりアスカただの風邪じゃないよ、いまミサトさんに電話してから病院に…」

アスカ「そんな大事じゃないわよ、精神的にめんどくさいだけ」

シンジ(じゃあ自分で食べようよ…)

アスカ「ほら、早く」アーン

シンジ(よくわからないなあ…)

アスカ「ん」パクッ

アスカ(うへへ)

アスカ「…実に甘ったるいわね」

シンジ「だから風邪引いた人に食べさせるのかもね」

アスカ(今の状況を言ってるのよ、バカシンジ)

アスカ(たまには風邪引いてみるのもいいものね…)

アスカ「あーん」

シンジ「はい(ツバメの親になった気分…?)」

アスカ「ん」パクッ

アスカ(でも焦るな私、水掛け事件のときみたいにことを急ぐとまた失敗する…まあ、今回は怪我の功名ってやつだけど)

アスカ(だいいち急いでも何もいいことはないわ、シンジは受験生だし、私のせいで腑抜けになったら本末転倒じゃない)

アスカ(他の女に取られないように…でもガツガツしすぎてもだめ…)

アスカ(使徒と戦うほうがずっと簡単じゃない…)

シンジ「?どうしたの」

アスカ「なんでもない、次ちょうだい」

シンジ「はいはい…」

アスカ(でもやっぱりこの状況は美味しいわね)

本日更新ここまでです

ミサト「ただいまー、アスカ大丈夫?」

アスカ「うーんなんとか…てかなんで知ってるの」

ミサト「シンちゃんがメールくれたから」

『アスカが平熱プラス2度くらいの熱を出しました、おそらく風邪ですがひどくなったら病院に連れていきます』


アスカ(まめなやつ…)

ミサト「あ、桃の缶詰じゃない。懐かしいわー、私も小さいとき風邪引いたらお母さんが買ってきてくれたのよ」

ミサト「ひと切れ貰っていい?」

シンジ「だめですよミサトさん、これは病人のために買ってきたものです」

アスカ「別にいいわよ一切れくらい」

(シンジに食べさせてもらえないももなんて…)

ミサト「やった!久しぶりねーこれ」パクッ

ミサト「ふふふー」

ミサト「あれ、なんでシンちゃんがスプーン持ってるのかしら」

アスカ(やばい)

シンジ「ああ、これですか、アスカがだるいから食べさせてくれって言われて」

ミサト「へえ~」

アスカ(恥ずかしい…なんで事細かに説明するのよ…それにミサトすごいにやにやしてこっち見てくるのやめなさいよ…)

翌朝

シンジ「調子はどう?」

アスカ「んー、マシ」

シンジ「熱下がったのかな」

アスカ「うん、微熱だった。少しだるいけどもう大丈夫」

アスカ(意外と早く治ったわね…これがももの缶詰の威力なの…?)

シンジ「よかった」

アスカ「その…看病してくれてありがと」

シンジ「え?うん、でも当然のことだよ」

アスカ「感謝してるんだから素直に受け取りなさいよ」

シンジ「ごめん、ありがとう」

アスカ「よし」

アスカ「…そうだ、もう勝負するのやめない?」

シンジ「え、なんで?」

アスカ「勝ったら命令すること決めてたんだけど、やっぱりいいやってなった」

シンジ(助かった…僕の身体と精神は守られたんだね…)

シンジ「僕はいいけど、本当にいいの?いまアスカのほうが進んでるよ」

アスカ「え?あんた昨日やってないの?」

シンジ「病人の横で勉強はどうかなって…一応勝負だし…」

アスカ(なんというスポーツマンシップ)

シンジ(僕も命が惜しいからね)

アスカ「うん、でもやっぱりいい」

シンジ「そっか、じゃあ勝負はやめようか」

アスカ「そうしましょ…あれ疲れるのよ」

シンジ「そうだね…体は疲れないけど心が張り詰めるよ」

アスカ(これでいいの…急ぎすぎては全部を失う…牛歩戦術よ…少し違うけどまあいいわ)

シンジ「そういえば模試っていつだっけ」

アスカ「げ、忘れてた…8月10日だったはず」

シンジ「今日は… 30日だから、あと10日くらいだね」

アスカ「めんどくさいわね…」

シンジ「僕、真面目に受けたことないしどうしよう」

アスカ「どういうこと?」

シンジ「志望校も何もなかったし、対策とかもしないで適当に受けてたから」

アスカ「それなら私もそうだわ」

シンジ「それに全範囲から出るんたよね?どうやって対策すればいいんだろう…」

アスカ「そのための過去問じゃない、夏休み前に二回分くらい配られたやつ」

シンジ「できるかなあ…」

アスカ「できちゃうなら模試受ける必要ないわよ」

シンジ「そうだよね…」

アスカ「さて、エアコンはまだ直ってないから家じゃやりたくないわね」

シンジ「いつ直るんだろうねこれ…」

アスカ「さあ?修理業者次第よ」

シンジ「今週中には来るらしいからまだ良かったね」

アスカ「日が昇りきって蒸し地獄になる前に脱出するわよ」

シンジ「図書館とか?」

アスカ「歩いていける距離に大きいのがあったはず」

シンジ「でも、熱まだ少しあるよ」

アスカ「大丈夫よ、こんな微熱体調の変化にも入らないわ」

シンジ(ほんとかな…でも元気になってるみたいでよかった)

アスカ「そうと決まったらさっさと行くわよ、準備した準備した」

ネルフ 司令室

冬月「どうした碇、将棋盤など引っ張り出して。とうとう暇を持て余したか」

ゲンドウ「ああ…」

冬月「私も暇だ、相手をしよう」
………

ゲンドウ「判を押す仕事ばかりでどうもつまらん」パチッ

冬月「同感だな…ゼーレの老人たちもやけに静かだ」パチッ

ゲンドウ「奴らにも夏休みがあるというのかね」パチッ

冬月「まさか…当人は動いていないようでいて目や手を巡らせるのが彼らのやり方だ」パチッ

ゲンドウ「そうだな…しかし夏休みか…」パチッ

冬月「四季は消えても、夏休みという言葉が持つ力はそう簡単には消えない」パチッ

ゲンドウ「そのようだ」パチッ

冬月「……そういえば、息子は中3になったそうだな」パチッ

ゲンドウ「どうでもいいことだ」パチッ

冬月「少しは気にかけてやったらどうかね…」パチッ

ゲンドウ「私には関係ない」パチッ

冬月「世の父親は、それこそ息子に無関心であるようでいて、陰ながら支えてやる存在、違うかね」パチッ

ゲンドウ「…あくまで一般論だ」パチッ

冬月「…二歩だ」

ゲンドウ「すまない、やり直しても…」

冬月「やり直しは効かんよ、何事もそうだ」

ゲンドウ「……」

第弐図書館

シンジ「ここかな…?」

アスカ「しっかし面白くない街よね」

シンジ「どういうこと?」

アスカ「施設とか区画の名前が面白くないのよ、第壱だの第弐だの、東だの西だのでちっとも面白くないわ」

シンジ「仕方がないよ…ここ、歴史がある街じゃなくて使徒迎撃翌用の要塞だもん…」

アスカ「それでもやりようはあるじゃない、昔の名前を使うとか」

マリ「どうしてか教えてあげようか?」

シンジ「うわっ」

マリ「こんちわー」

アスカ「コネメガネ、あんたいっつも街うろついてんのね…」

マリ「人に言われる筋合いはないよー、私が君たちに外で会うとき、君たちもまた外に出ているんだから」

シンジ(ニーチェかよ…)

アスカ(ニーチェじゃない…)

マリ「ま、私は避暑地を求めてやってきただけ。本も読みたくなったしね。本題に戻ろう」

マリ「当初は昔の地名とか通りの名前とか残そうって言う案もあったんだけど、これが揉めたんだなー。新しく区画を作るから地名を跨いだりするんだけど、そうしたらここはこっちの名前がいいとかいいやこっちだとかねー」

マリ「他にもこの名前はマイナーすぎるとかこの名前は歴史が云々とか…ようは話がまとまらない」

マリ「第三新東京はとにかく時間がない中建設されてたから、そういう揉め事に付き合う余裕もなかったってわけだ」

シンジ「なるほど…」

アスカ「よく知ってんのね、まるで当事者みたい」

マリ「当事者が書いた本の受け売りだからねー」

アスカ「ふうん…」

シンジ「すごいですね、マリさん」

マリ「褒めても何も出ないぞー、あはは。暑いから図書館入ろ」

アスカ(あんたが引き止めたんじゃない…)

アスカ(結局なんだったの…?)

シンジ「あれ、図書館なのにみんな喋ってる」

アスカ「エントランスホールってとこね」

シンジ「そういうことか」

アスカ「じゃあ、自習スペースに入る前に確認するわよ」

シンジ「う、うん」ゴクリ…

アスカ「本番の練習になるように、試験時間50分は忠実に守ること。もちろん辞書、参考書はナシ」

シンジ(うわ…大変だ…)

アスカ「一回分終わったら家で答え合わせよ」

シンジ「はい…」

アスカ「あ、お昼ごはんどうしよう」

シンジ「この辺で食べる?」

アスカ「多分それだと席が埋まるのよね…ま、少し早めに行けば何とかなるでしょ」

シンジ「そうだね」

アスカ「じゃあ入るわよ」

シンジ「緊張してきた…」

アスカ『声出せないから筆談』

シンジ『ひそひそ話してる人すらいないね』

アスカ『マナーがなってる』

アスカ『まずは数学』

シンジ(げ…)

アスカ『嫌いそうだから先に終わらせてあげる はじめ!』

シンジ(ほんとにこれ五十分で解けるのかな…)

シンジ(えっと…まずざっと目を通してできそうな問題から)ペラッ…ペラッ

シンジ(…よし、一周したぞ)

シンジ(これじゃだめじゃないか!…アスカはこれできるのかな)

シンジ(すごい勢いで鉛筆を走らせてる…負けるもんか)

シンジ(なんだ、最初は数学の問題って言うより計算問題だ…これは慎重にやれば解ける)カリカリ

シンジ(検算して…あれ?違う数字が出たぞ)

シンジ(間違えたのは最初の方?検算?確かめないと)

シンジ(ああーこんがらがる!……あった、ここだ!)ケシケシ

シンジ(これで多分大丈夫…けど、問一でこんなにテンパってちゃどうしようもないよ!)

シンジ(落ち着け…)

アスカ(シンジのやつ焦ってる焦ってる!)チラッ

問ニ『よそ見は行けないぜ、お嬢さん』

アスカ(あ…数字が合わない)

本日更新おわりです

第弐図書館 三時半ごろ

シンジ(やっと終わった…いつもの勉強とは違う疲れが…)ゲッソリ

アスカ『終わったし帰るわよ』

シンジ『本借りていい?』

アスカ「んー…」

アスカ『早くしろ』

シンジ「」コクコク

シンジ(勉強の合間に本を読むくらい許されるよね)

アスカ(私も何か借りようかな…本当はドイツ語が一番読みやすいんだけど、さすがに英語くらいよね…)

アスカ(あ…そうだ)


シンジ(これなら貸し出し期限の二週間後まで持つぞ…ちょっと借り過ぎかな)

シンジ「貸し出しお願いします」

司書「かしこまりました、図書カードをどうぞ」

シンジ「はい」

ピッ

司書「こちらお返しします」

シンジ「はい(アスカも何か借りるのかな?)」

undefined

おっと失礼

アスカ(えーと…あった)

「源氏物語 やさしい現代語訳」

アスカ(最近わかってきたのよ、私が古文苦手なのは平安貴族のノリが分からないからなんだわ)

アスカ(源氏物語って有名だし、これで勉強すれば…)パラパラ

『※方違えといって、占いで障りがあると出た方角に用事がある際に、その方角を避けて遠回りをしたりしました』

アスカ(何それ、結局同じところに行くなら何も変わらないじゃない)

アスカ(…でも解説までついてるとはあつらえ向きじゃない。これにしよう)

司書「貸出券を拝見します」

アスカ「…あ。私まだ作ってないです」

司書「発行いたしますか?」

アスカ(シンジの使わせてもらうのが早いけど…まあいいわ、どうせこれから使うし)

アスカ「お願いします」

司書「なにか住所とお名前を確認できるものはございますか?」

アスカ「えーと、はい」

司書「ね、ねるふの…?」パチクリ

アスカ(あ、いつものクセでネルフのID出しちゃった)

アスカ「ごめん、今のナシ。こっちで」

司書「だ、第壱中学校の式波・アスカ・ラングレーさんでよろしいですか?」

アスカ「はい」

司書「住所と電話番号はこちらでよろしいですか?」

アスカ「はい」

司書「大変申し訳ございません、氏名欄に姓と名前の二つだけとなっておりまして、どのようにすればよろしいでしょうか」

アスカ「姓は式波、名前はアスカで」

司書「かしこまりました、少々お待ちください」
……

司書「お待たせいたしました、こちら貸出券になります。そちらの本は貸出でよろしいですか?」

アスカ「お願いします」

シンジ「やっとついたー…」

アスカ「家についても冷房効いてないのがここまで地獄だとはね…」

シンジ「アスカは何か借りたの?」

アスカ「秘密」

シンジ「秘密…」

アスカ「さ、アイス食べましょ」

シンジ「うん」

アスカ「あー、おいしかった」

シンジ「この調子だとエアコン直るまでに何個買うことになるんだろう…」

アスカ「別にいいんじゃない?私達のお金じゃないし」

シンジ「そうだけど…あんまりアイスばっ狩りも体に良くないよ」

アスカ「エアコンで冷風ガンッガン効かせるのも体によくなんかないわよ」

シンジ「そうだけど…」

アスカ「さーて、採点の時間といきますか」

シンジ「」ドキィ

アスカ「解きっぱなしで済ませるほど甘くはないわよ、ほら、解答用紙出しなさいよ」

シンジ(もうどうでもいいや…)

アスカ「今回は特別に私が丸付けしてあげるわ!」

シンジ(絶対間違ってるところをあげつらうつもりだ)
……

アスカ「あーあー、ここで間違っちゃったかー」ペケ

シンジ(やっぱり…)

アスカ「あー、ここ惜しいわねー」ペケ

シンジ(なんでそんなに楽しそうなの…)

アスカ「あ、ここは合ってる」マル

シンジ「え、ほんと?」

アスカ「少し合ってただけでそんなに喜ばないでよ、情けないわね」

シンジ「ご、ごめん…」

アスカ「んーとここは…中間点かなー」サンカクイッテン

シンジ(苦痛だ…)

アスカ「なるほど…わかったわ、シンジのだいたいの状況が」

シンジ「というと…?」

アスカ「順番に言うわよ」

シンジ(逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ…)

アスカ「数学。計算ミス多い、テンパりすぎ。前やったところ忘れてる。例えば空間図形」

シンジ「」グサッ

アスカ「国語。まあまあ」

シンジ(ほっ)

アスカ「理科。まあまあ。でも忘れてるところあるでしょ」

アスカ「社会。さすが得意なだけあるわ」

シンジ(あれ…?)

アスカ「英語。長文はいいけど文法がてんでだめ」

シンジ(最後は落とすんだ…)ガックシ

アスカ「ちなみに合計は300点中195点。六割と七割の間くらいね」

シンジ「それってどういう感じなの…?」

アスカ「これで受けたら間違いなく落ちるわよ」

シンジ「だよね…」

アスカ「つまり数学よ、す う が く」

シンジ「はい…」

アスカ「そうねえ…シンジはこれから毎朝5問解くまで朝ごはん食べちゃだめ!」

シンジ「ええー!」

アスカ「数学は一日やめたら鈍るのよ、それくらい当然よ」

シンジ「自分はやらないからってひどいや…」

アスカ「空間図形を中心にやってれば、本番の模試じゃまあまあ取れるんじゃない?」

シンジ「そうかな…」

アスカ「あんた次第だけどね」

シンジ「頑張ります…」

夏休み某日

アスカ「結局まだ何も遊んでないじゃない!」

シンジ「模試があったからね…なんだかんだネルフでエヴァの起動実験もしたし」ペラッ

シンジ(僕はこうしてゆっくり本が読めるだけで結構幸せだったりする)

アスカ「結局ネルフに邪魔されるのよねえ…でもいいわ、私達には夏祭りがある!」

シンジ「たしかその日は起動実験」

アスカ「なああんですってええ!!」

シンジ「じょ、冗談だよ…ミサトさんが頼み込んでずらしてくれたんだ…」

アスカ「なんだ、よかった…って、ミサトが掛け合ってくれなかったら私達ほんとに起動実験だったってこと!?」

シンジ「たぶん…」

アスカ(許さないわ…)

シンジ「夏休みかあ、いつぶりだろう」

アスカ「みんな行くもんじゃないの?」

シンジ「正直変わり映えはないしね」ペラッ

アスカ「ほんとは一緒に行く友達がいなかっただけでしょ、寂しいやつ」

シンジ「ひどいなあ、僕にも友達くらいいたよ!」

アスカ「じゃあなんで行かないの?」

シンジ「あんまり変わりばえしないし…金魚すくいが得意とか、そういうのがあれば楽しいんだろうけど」

アスカ「とにかく今年は行くのよ!この美少女と一緒に夏祭りに行けることを感謝しなさい!」

シンジ(自分で言うんだ…)

×シンジ「夏休みかあ、いつぶりだろう」
○シンジ「夏祭りかあ、いつぶりだろう」

シンジ「そういえば、何着ていくの?」

アスカ「折角だし浴衣とか着てみたいわね」

シンジ「浴衣か…買うか借りるかしないといけないね」

アスカ「もう少し早く考えておくべきだったわね…」

ミサト「おはよーふたりとも、なんの話?」

シンジ「おはようございます」

アスカ「おはよ。夏祭りの浴衣の話よ」

ミサト「夏祭り…もうそんな時期か…」

シンジ「明後日なので急いで買ったほうがいいかなと思うんですけど、浴衣ってちょっと高いので…」

アスカ「ミサト…?」

ミサト(言わなくてもわかるわよ、つまり買えって言いたいのね)

ミサト(んー…二人には使徒やらエヴァやらで中学生らしいことあんまりさせてあげられなかったし…この前お給料上がったし…まあいいか)

ミサト「いいわよ、朝ごはん食べたら早速行きましょう」

アスカ「ほんと!?ミサトやるう!」

シンジ「でも、仕事は…あ、今日は土曜日か」

ミサト「中学生諸君は曜日感覚がすっかり狂ってるわね。そうよ、今日は土曜日。私は休み」

シンジ「じゃあ、僕朝ごはんつくります」

本日更新終了です

某商業施設

ミサト「多分ここが一番色々置いてあるわ」

アスカ「すごい!」

ミサト「アスカは浴衣だとして、シンちゃんは…甚平もいいし浴衣もいいわね。どうする?」

シンジ「甚平かな…楽そうだし」

アスカ「何楽しようとしてんのよ!手間を惜しむな!」

シンジ「でも…歩きづらそうだし」

ミサト「意外とそうでもないわよ?走るのはなかなか厳しいけど。試してみたら?」

シンジ「はい」
……

アスカ「柄がありすぎて決まんなーい」

店員「浴衣をお探しですか?」

アスカ「ええ、夏祭り用で」

店員「そうですね…こちらですとか、こちらなんか人気ですが」

アスカ「うーん…」

店員「何か希望はありますか?」

アスカ「浴衣初めてなのよ…来てみたはいいけど正直お任せしたい気分」

店員「うちは品揃え多いですからね。えーと、今風のと古典的なものだとどちらがお好みですか?」

アスカ「うーん…古典的なほうかな…」

アスカ(今風ってあそことかのやけに派手なフリフリしたやつでしょ?私が着たいのはもっとオーソドックスなやつなのよ)

店員「そうですね、それですと…」ジーッ

アスカ(見られてるわね…)

店員「赤なんか似合いそうですね」

アスカ(当ててきたわね私のパーソナルカラー)

店員「これとか、これとか…こんなのもいいかな…」ヒョイッ ヒョイッ ヒョイッ…

アスカ(すごい、どんどん選んでく)

店員「どうですか?」

アスカ(5つも並べられてどうって言われても…)

店員「私はこれがおすすめです」

アスカ「この柄は…あ、金魚?」

店員「はい、金魚のシルエットが散りばめられています」

アスカ(かわいい…たまに黒いのが混じってるのはなんだろう)

店員「試着してみますか?」

アスカ「そうするわ」

ミサト「お、アスカ試着室に行ったわよ。あの店員できるわね」

シンジ「そうですね…」

ミサト「さーてこっちも頑張らなきゃ。どれが似合うかなーん」

ミサト「…これは?」

シンジ「ちょっと派手な気が…」

ミサト「じゃこれは?」

シンジ「ちょっと派手かな…」

ミサト「これなんか」

シンジ「うーん…」

ミサト(そんなに派手かしら…?)

ミサト「やっぱりあの店員さんの手を借りましょうか」

シンジ「そうですね」

アスカ「浴衣って着るの面倒ね…」

店員「最近の着物は帯が進化したりしてだいぶ楽になりましたよ」

アスカ「へえー」

店員「はい、完成」

アスカ「おお…」

アスカ(結構いいかも?)

店員「彼氏さんにも見せてきますか?」

アスカ「かっ、彼氏じゃないわよ!」

店員「まだってことですね、じゃあこの浴衣で落としちゃいましょう。気持ち小股で歩いてくださいね」

アスカ「いや、そういうことじゃ!っととと」

アスカ(早速転びそうになったわ…)

ミサト「あ、出てきた」

シンジ(だいぶおっかなびっくり歩いてるな…)

アスカ「…どう」

シンジ「いい…んじゃないかな」

シンジ(かわいい)

アスカ「もっと具体的に言えないわけぇ?」

シンジ「えっと…すごく似合ってて…可愛いと思うよ」

アスカ「な、何よ、結局漠然としてるじゃない!」///

ミサト(嬉しそうねアスカ)

店員「私はすごくお似合いだと思いますよ、他のも見ながら決めていきましょう」

アスカ「はーい」

ミサト「あ、そのあとこっちの子の浴衣も選んでくれませんか?なかなか決まらなくて」

店員「かしこまりました」

物語は新劇場版破ラストシーンでの破滅的事象がなんとか収まり、使徒からの攻撃も今のところないという状態を考えています

そのためアスカは式波で、トウジはパイロットではなく、マリが登場します

しかし式波アスカと惣流アスカの性格を描き出せるほどの力は到底持ち合わせていないので、「精神崩壊していない」「母親への強烈なトラウマはない」「加持に好意を持っていない」くらいに考えていただけるとありがたいです

アスカ「ミサトー、私これに決めた」

ミサト「やっぱり最初のにしたのね、いいと思うわ」

アスカ「ふふん」

店員「じゃあ次はこの男の子ですね」

シンジ「お、お願いします…」

店員「んー…」ジーッ

シンジ(緊張するなあ…)

店員「女の子の浴衣に合わせることも考えて…」ヒョイッ ヒョイッ ヒョイッ

ミサト(どんどん選ぶわね…適当にやってるんじゃないとしたら相当のものだわ…)

シンジ「あの…あんまり派手じゃないのがいいんですけど…」

店員「たしかに女の子の方もけっこう落ち着いた柄ですから、それに合わせたほうががいいかもしれません」

店員「こんなのはどうでしょう」

ミサト(紺に白の線が散りばめられたやつ…あ、私がさっき断られたやつじゃない)

シンジ「うーん…ごめんなさい、どれがいいのかわからなくて…」

ミサト(店員なら断らないのね…)

店員「まだ決めなくてもいいんですよ、こっちなんかも合うと思います、お客様肌が白いので」

シンジ「あ、ありがとうございます」

店員「ちょっと試着してみましょう」

シンジ「あ、でも、僕」

店員「大丈夫です、男性の店員をお呼びしますので」

男店員が出てきたので今までの店員を女店員と改称

男店員「こんな感じになりますね」

シンジ(いいのか悪いのかわからないや…)

男店員「やっぱり難しいですよね、浴衣選び」

シンジ「そ、そうですね」

男店員「こだわりがないなら、彼女のに合うように選ぶのが手っ取り早いかなー」

シンジ「あ、えっと、あれは彼女じゃなくて…」

男店員「違った?でも一緒にお祭り行くんでしょ?大して変わらないって」

シンジ「は、はあ…」

シンジ(やっぱりそうみえてるのかな…)

男店員「さ、彼女の意見を伺ってみましょう」

シンジ「だから彼女じゃ…」
……

アスカ「ふーん、いいんじゃない?」

シンジ(ちっとも具体的じゃないじゃないか…)

シンジ「ミサトさんはどう思いますか?」

ミサト「私?いいんじゃない、若さと落ち着きがいいカンジで合ってるわ」

女店員「お姉さんわかりますか?落ち着きすぎて時代劇みたいになっても女の子と合いませんからね」

男店員「さ、ふたりとも並んでみて」

シンジ「は、はい」

ミサト(眩しいわー…)

シンジ「あの…ミサトさん?」

ミサト「これにしましょ。二人共似合ってるわ」

アスカ「やった!」

シンジ「ありがとうございます」

男店員「お姉さんは浴衣はお持ちですか?」

ミサト「残念ながら持ってるの、飽きちゃったらまたお世話になるわ」

女店員「ではレジまでお進みください、浴衣はそのまま着て行かれますか?」

アスカ「そうする!」

シンジ(着替えるの大変だからよかった)

夏祭り当日

アスカ「夏祭りよ!」

シンジ「人、多いね」

アスカ「あったりまえじゃない、みんな楽しみにしてるんだから」

シンジ「はぐれないようにしないとね」

アスカ「ちゃんと付いてきなさいよね!」

シンジ「そういえばミサトさんは?一緒に来てたよね」

アスカ「どうせどっかで酒飲んでるでしょ、それより早く行くわよ!」

シンジ「あ、ちょっと、アスカ」
……

ミサト(頑張るのよ、アスカ)

ミサト(人混みに紛れて手を繋いじゃえばあとは流れよ!)

ミサト「しっかしビール一杯にこの値段か…とほほ…」

加持「高い高いと言いながら酒を飲む、それも祭りの楽しみだと思わないか?」

ミサト「あんたも来てたの…」

加持「囃子につられて出てきちまったのさ」

リツコ「私も忘れないでほしいわね」

ミサト「なによ、約束もしないのにみんな揃っちゃって」

加持「静かなバーもいいけど、ちょっと声張り上げるくらいのこういう場も悪くないだろ?」

ミサト「まあ、そうね」

加持「じゃ、乾杯」

ミサト「乾杯」リツコ「乾杯」

すみません今日は更新終わりです
リアルが立て込んでいました

ガヤガヤガヤガヤ ワイワイワイワイ

アスカ「シンジ、あれやるわよ!」

シンジ「あれって、金魚すくい?」

アスカ「そう!」

シンジ「あとにした方がいいかも」

アスカ「早く行かないと金魚いなくなっちゃうわよ、私あの黒いのがほしいんだから」

シンジ「出目金のこと?あれはすくうの難しいから大丈夫だよ」

アスカ「そうなの?」

シンジ「重いからね。それに、早くやりすぎると袋の中で金魚が弱っちゃうから、家で飼いたいなら最後にした方がいいかな」

アスカ「なるほど…」

アスカ(じゃあ…)

アスカ「射的とか!」

シンジ「いいと思うよ」

アスカ「何よ煮え切らないわね!おじさん、私やります!」

射的屋「一回300円二回で500円、どうする?」

アスカ「二回も必要ないわ、一回よ!」

射的屋「お、威勢がいいねえ、はい玉5つ」

シンジ「威力ないからから同じとこ狙わないと倒れてくれないよ」コソコソ

アスカ「わかってるわよ、豆鉄砲の扱いは心得てるわ」コソコソ

シンジ(確かにエヴァのライフルはほとんど効かないからね…ミサトさんもあんなもの持たせてひどいや…)

アスカ(少し身をせり出して、よく狙って…)

パン

アスカ(えっ、思ったよりひどい。重力に負け過ぎじゃない)

アスカ(でも掴めたわ…次は当てる!狙いはお菓子がもらえる参番の札!)

パン カッ

アスカ(よし、あと三回当てれば!)

パン カッ

射的屋(おお…なかなかやるな…ただあと二回で倒れるかな?)

パン カッ

アスカ「あと一発…」

シンジ(見物人が集まってきた…なんか居づらい)

アスカ「ふぅ…」

アスカ(エヴァの照準システムがなくても当たるってこと、証明してやるわ!)

パンッ パタッ

アスカ「いよっしゃあ!」

シンジ「おめでとう」

見物人男「おめでとう」

射的屋「おめでとう」

見物人女「おめでとさん」

アスカ「いえーい!」ピース

射的屋「5発で倒すなんて久しぶりだよ、はい、これ景品のお菓子」

ミサト「なんか賑やかね」

加持「誰か射的でも成功したんだろうさ」
……

アスカ「ねえシンジ、私あれ食べたい!」

シンジ「僕に言わなくても、自分で買えばいいじゃないか」

アスカ「一緒にいないとすぐはぐれちゃうでしょ…いたっ」

アスカ(誰よ足踏んだの!あ、やばいはぐれそう)

シンジ「大丈夫?」

アスカ「大丈夫…でもはぐれそうだし、ほら」

シンジ「へ?」

アスカ「手」

シンジ「手?」

アスカ「ああもうわからずや!こうすんのよ!」パシッ

シンジ(手を握ってきた!?)

アスカ「これならはぐれないでしょ」

シンジ「う、うん…」

シンジ(アスカの手、僕のより細いんだ…殴られてばっかりだから気付かなかった)

アスカ「お腹空いた、お好み焼きたべたい」

シンジ「…うん、わかった」

シンジ(やっと人が少ないところに来られた)

アスカ「悪くないわね」モグモグ

シンジ「ちょっと高いけどね」モグモグ

アスカ「雰囲気に金払ってんのよ」モグモグ

シンジ「そうだね」

アスカ「次は何しようか」

トウジ「お、夫婦で縁日かいな」

ケンスケ「いやーんな感じ!」

ヒカリ「こら、囃し立てない」

シンジ「あはは…」

アスカ「なにヘラヘラしてんのよ、否定しなさいよ!」

シンジ「否定するだけ無駄だよ…」ボソッ

トウジ「じゃ、ワシら邪魔したらあかんから行くわ、楽しめよシンジー」

ケンスケ「じゃあねー(お前もヒカリ連れてきてるだろうが!)」

ヒカリ「人が多いから気をつけてね」

シンジ「うん、ありがとう」

アスカ(冷やかしにきただけ…?暇なやつら)

アスカ「はあー、だいぶ遊び尽くしたわね」

シンジ「財布が薄くなってきたよ…」

アスカ「美味しいものも食べたし」

シンジ「たこ焼きに綿飴、チョコバナナとフランクフルト、りんごあめ…結構食べたね」

アスカ「まだまだ食べられるわよ」

シンジ「お金のほうが先になくなるよ」

アスカ「型抜き?とかで増やせばいいじゃない」

シンジ「客がお金を安定して稼げるなら店なんて出さないよ…かなり難しいんだ」

アスカ「ふーん」
……

マリ「どうだおっさん!文句あるか!」

型抜き屋「うーん…だめだこりゃ、いちゃもんの付け所がねえ、ほら、二千円持ってけ」

マリ「いよっしゃー!」

型抜き屋「それにしてもお嬢ちゃん、なんでこんなにうまいんだい」

マリ「ははは!何十年やってると思ってんの!」

マリ(口が滑った、まあいいか)
……

シンジ「花火もあるし、そろそろ金魚すくいに行こうか」

アスカ「あ、忘れてた、行くわよ!」

アスカ「あ、黒いのちゃんといる!」

シンジ「そうだね」

金魚すくい屋「やってくかい?」

アスカ「もちろんよ!」

金魚すくい屋「はい、これポイ」

シンジ「あ、それ持ち方が逆だよ」

アスカ「へ?」

シンジ「くるって裏返して」

アスカ「はい」クルッ

シンジ「そうそう」

アスカ「いくわよ…」

アスカ(狙うは黒いの…デメキンよ!)

アスカ「おりゃ!」ポシャ

シンジ「あちゃー」

アスカ「……なにこれ弱すぎでしょ!欠陥品よ!」

シンジ「そういう遊びだよ…」

金魚すくい屋「残念、でも一匹あげるよ」

アスカ「ほんと!じゃあデメキン!」

金魚すくい屋「デメキンはちょっと難しいなあ…赤いので我慢してくれないかい」

アスカ「はーい…」

アスカ「シンジ!もう一回!」

シンジ「…あ、もうお金がない」

アスカ「ウッソでしょ!?そんなに使ってないわよ、」

シンジ(使ったよ…)

シンジ「正確には一回分だけあるよ」

アスカ「じゃあ出しなさいよ!…あ、でも…」

アスカ(私じゃたぶん黒いのは取れないわね…)

アスカ(悔しいけど、シンジに頼ってみるべきか)

アスカ「…私の仇、取りなさいよ」

シンジ「大げさだよアスカ、そもそもそんなにうまくないし」

アスカ「私よりマシでしょ、ほら」

シンジ「…お願いします」

金魚すくい屋「まいど。はい、ポイね」

シンジ(出目金か…狙ったことがないから難しいぞ)

シンジ(ポイをそっと水面に入れて出目金を待つ…)

シンジ(よし、来た来た)

シンジ(引きつけて引きつけて…一気にすくい上げる!)

パシャッ

アスカ「おお!」

金魚すくい屋「…やるなあ」

シンジ「あはは、本当は何匹かすくえるんだけど、出目金狙ったからもう破れちゃった」

アスカ「それでもすごいわよ!ありがとシンジ!」

シンジ「そんなすごいことでもないよ」

金魚すくい屋(眩しいねえ)

金魚すくい屋「はい、出目金おめでとさん」

シンジ「ありがとうございます。あとすみません、花火を見るので水多めに入れてもらえませんか?」

金魚すくい屋「あいよー」

アスカ「よし、花火見に行くわよ!」

シンジ「あー…それなんだけど」

アスカ「なに?」

シンジ「尋常じゃないくらい混むから、家に戻ってベランダから見たほうがいいと思う」

アスカ「でも、もう始まっちゃうじゃない」

シンジ「三分のニくらいは見られるよ、それに金魚弱っちゃうし」

アスカ(うーん…ほんとは河川敷がいいけど、シンジと二人きりで見られるのも一つの利点ね)

アスカ「わかったわ、そうしてあげる」

シンジ「じゃあ、帰ろっか」

アスカ「でもあんまり早く歩けないわね」

シンジ「音だけで見る花火もいいものだよ」

アスカ「音で見る…?」

帰り道

アスカ「楽しかったわね」

シンジ「うん…最近いろいろ根詰めてたから、いい息抜きになったよ」

アスカ「ほーら、息抜き大事でしょ」

シンジ「そうみたい」

バン

アスカ「…始まったわね」

シンジ「うん」

バンバン

アスカ「…こんなに楽しかったのって久しぶりかも」

シンジ「よかった」

アスカ「来年も来るわよ、もちろんk高生としてね」

シンジ「はは…頑張るよ」

アスカ「…ん」

シンジ「え?」

アスカ「何回も言わせないでよ、手」

シンジ「う、うん」

シンジ(人混みでもないのになんでだろう)

アスカ(シンジの手、あたたかい)

アスカ「…今日はありがと」

シンジ「ありがとう…でも僕そんなことしたかな」

アスカ「黙って感謝されときなさい」

シンジ「はいはい」

アスカ「はいは一回!」

シンジ「はいはい」

アスカ「ん~!」ゲシゲシ

シンジ「いたた、サンダルなんだから痛いよアスカ!」

アスカ「コケにした罰よ!」

葛城宅 ベランダ

シンジ「ほら、見えるでしょ」

アスカ「あのビルがちょっと邪魔ね、ネルフに頼んで引っ込めて貰おうかしら」

シンジ「そんなことできるわけないじゃないか…」

アスカ「ま、いっか」

バン バララララ

アスカ「火薬の正しい使い方よね…花火って」

シンジ「そうだね…」

アスカ「使徒が来るたびに自走砲に戦車にミサイルって並べてさ、少しも効かないってわかってるのに。いっそ花火でも打ち上げればいいのよ」

シンジ「少し不謹慎じゃないかな…」

アスカ「まあね…」

シンジ「………」

アスカ「………」

シンジ(花火の音だけが耳に入ってくる)

シンジ(いつもなら沈黙に耐えかねてどっちかが話しかけるところだけど、不思議と気まずくない)

シンジ(アスカも同じなのか気になって顔を覗いてみたら、少しだけ僕を見てまた空に目を戻した)

シンジ(つまらないことを聞くなって感じだ)

シンジ(この世界で最も平和な火薬の炸裂がアスカの横顔を照らしている)

シンジ(今まで僕たちの顔を照らしてきたのは、ライフルの銃口の光とか、使徒の光線とか、プラグ内の警告とか…そんなのばっかりだった)

シンジ(やっと普通の人間に戻れた気がした。僕もアスカも日常の光を顔に受けられるようになったんだ)

シンジ(僕にとって、使徒との戦いは、このときにようやく終わりを告げたのかも知れない)

アスカ「…なんで花火じゃなくて私ばっかり見てるのよ」

シンジ「…アスカ」

シンジ(僕はアスカの名前を呼んだ。僕たちは見つめあった。少し経ってひときわ大きい花火が開いたときに、アスカは口を開いた)

アスカ「やっと気づいたか、バカシンジ」

シンジ「ごめん」

シンジ(アスカは僕の首に腕を回した。僕はアスカの肩に手を添えた)

シンジ(触れたか触れていないかわからないくらいだったけど、確かに二人の唇が重なった)

アスカ「……… はあ」

シンジ(使徒との戦いは終わった。次は自分と戦うことになる。未来の自分を決める戦い。今まで避けてきた戦い)

シンジ(でも僕は今までみたいに一人じゃない。少なくとも二人だ)

アスカ「…高校に入るまでは隠そうって思ってたんだけどね……腑抜けになったら許さないわよ」

シンジ「頑張るよ」

アスカ「少し心配よ」

シンジ「大丈夫だよ…たぶん」

アスカ「シンジ」

シンジ「なに?」

アスカ「その…もう一回…」

シンジ「…うん」

シンジ(さっき桶に移しておいた金魚たちが、僕達の暑苦しい熱帯夜を幾分ましにしてくれていた)

某日

シンジ(夏休みあと何日かな…課題はやったけどもっと頑張らなきゃ…)

カシャン

シンジ(ん、なんか来たかな)

『○○模試 成績表 碇 シンジ様』
『○○模試 成績表 式波 アスカ様』

シンジ(来ちゃった…)ドキドキ

シンジ(偏差値とか合格可能性とか出ちゃうんだよね…)

シンジ(アスカが来る前に見ちゃおうかな…)

シンジ(…いや、それもなあ…)

アスカ「シンジー、何玄関でごそごそしてんのよ、夜逃げ?」

シンジ「夜逃げは朝にはしないよ…模試の結果が届いてたんだ」

アスカ「模試…?ああ、模試の結果!早く見るわよ!」

ミサト「朝から元気ねー、お、模試の結果かしら」

シンジ「あんまり期待しないでくださいよ…」

シンジ「…アスカ先に開けなよ」

アスカ「なによ、怖気づいてるの?」ニヤニヤ

シンジ「お、怖気づいてなんかいないよ」

アスカ「じゃあさっさと開けなさいよ」ペリペリ

シンジ「うん…」ペリペリ

アスカ「合格可能性80%!」

ミサト「あら、すごいじゃない、どれ見せて…うわあ、英語の点数たっか…」

アスカ「当たり前よ、アメリカ国籍でもあるんだから」

シンジ(この結果…微妙だな…)

アスカ「で、シンジは?」

シンジ「65%…」

ミサト「k高校でしょ、十分すごいじゃない!」

シンジ「うーん、でも…」

アスカ「何しけた面してんのよ、見せなさい!」バッ

アスカ「ふうん…悪くはないけど…良くもないわね」

ミサト(はっきり言うのね…)

シンジ「僕、これで大丈夫かな…」

アスカ「あんたバカぁ?なんとかするんでしょうが」

ミサト「k高って言ったら全国有数の進学校じゃない…65%でもかなりのものよ」

シンジ「範囲が広すぎてどこをどうやったらいいか…」

アスカ「そりゃあ、苦手なところからやるしかないでしょう。ね、ミサト」

ミサト「そうね、正攻法だわ」

シンジ「頑張ります…」

シンジ(そうだ、僕はここに行って科学者になるために勉強するって決めたんだ。諦めるなんて言語道断だ…それにアスカを裏切っちゃだめだ)

ミサト「先生に見せて勉強法とか聞いてみるといいんじゃない?第壱中、けっこう合格者出してるらしいわよ」

シンジ「分かりました、そうしてみます…じゃあ、朝ごはん作りますね」

アスカ「私も手伝うー」

ミサト(シンちゃん、進路のことを話題にしてるときの目つきが変わった気がするわ…なりたい自分を見つけられたのかしら、ならいいんだけど)

ミサト(なりたい自分か…本当は私が言える立場でもないんだけどね…今まで私はそんなこと考えてこなかったもの)

ミサト(使徒への復讐…セカンドインパクトの真実…そればかり考えてきたわ)

ミサト(セカンドインパクトがなかったらどんな人間になってたんだろう、私……いや、考えても無駄ね)

アスカ「夏休みもあと3日になったわ」

シンジ「一ヶ月もあったのにね」

アスカ「遊ぶわよ!」

シンジ「でもお祭りも行ったし、プールも行ったし、買い物も行ったし、徹夜でゲームもしたし、あと僕は本たくさん読んだし…他に何があるの?」

アスカ「あんたバカぁ?日本人なら絶対やらなきゃいけないイベントっちゅうもんがあるでしょうが!」

シンジ(そんなの冠婚葬祭くらいだよ…)

シンジ「なに?それ」

アスカ「き、も、だ、め、し!」

シンジ(嫌な予感がする)

アスカ「流石に二人でやっても面白くないから、三バカとヒカリも連れて行くわ」

シンジ「他のパイロットのみんなは?」

アスカ「エコヒイキとコネメガネとナルシスホモ?」

シンジ(改めて聞くとひどいあだ名だよ…僕はナナヒカリだっけ…お米か何かかよ…)

シンジ「そうそう、人数が多いほうが楽しいかなって」

アスカ「あいつらかー…まあいいわ、人数が多いほうがいいのはそのとおりね」

シンジ「起動実験のときに声かけてみよう。トウジたちには僕が言うからアスカは洞木さんに」

アスカ「ああもう、いちいち指図するな!」

シンジ「ごめん…」

アスカ「まあいいわ、やっておいてあげる」

※ナルシスホモはドラマCDから引用、新劇場版では出てきていないけど釈してください

中の人の定期考査が12日後に控えていることが友人の指摘で発覚したため、二週間強更新が極端に少なくなります…一日一レスくらいになってしまうかもしれません。その間エヴァ雑談などでしのいでください…申し訳ない

肝試し当日 21時

アスカ「ようし!これだけ集まれば十分ね!」

(相田、鈴原、洞木、綾波、真希波、渚、保護者役に葛城、加持)

シンジ(集めてみるとかなり大所帯だな…こんなに集めたら怖くなくなっちゃいそう)

アスカ「二人一組で行くからクジを引きなさい!」
……

鈴原洞木 式波碇 真希波渚 綾波相田 葛城加持

シンジ(なにこれ、クジ引いたとは思えないほどドンピシャじゃないか…)

アスカ(くじを引かせる技ってもんがあるのよ…ふふふ)

アスカ「この道をずーっと進んで、祠にある札を持ち帰ってもらいます」

アスカ「お化け屋敷じゃないからギブアップなんてないわよ!お札を諦めて帰ってきてもいいけどみんなの笑いものね」

ミサト「こらこら、緊急時は帰ってくるしかないじゃない」

アスカ「ま、まあ、それは別よ」

トウジ「はよ始めようぜー、日が昇っちまうわ」

アスカ「じゃあ、鈴原たちから。はい懐中電灯」

トウジ「当たり前や!…ってちっさ!こんなんで何照らせ言うんやお前は」ピカ

アスカ「昼みたいに明るくしても興ざめよ」

トウジ「なるほど…まあ確かにそうやな。委員長、行くで」

洞木(二子山本当に暗いじゃない…ホイホイ来た私が馬鹿だったわ…うう…)

ミサト「いつの間にこういう場を仕切るようになったのかしらね、アスカ。前は教室でも家でもずっと一人だったらしいのに」

加持「仕切りたがりは元々じゃないか?まあ、何かしらの変化はあると思うが」

トウジ「なんや、全然怖くないやないか」

ヒカリ「す、鈴原、もう少しゆっくり歩いて…」

トウジ「なんや、怖いんか?」ニヤニヤ

ヒカリ「正直…すこし…」

トウジ「…しゃーねえな、もう少しゆっくり歩いたるわ」

ヒカリ「う、うん」

ガサガサ

ヒカリ「ひっ!」ギュッ

トウジ「うおっ!…って裾掴んでんのお前かいな」

ヒカリ「あ、ごめん」パッ

トウジ「…別に掴んでてもええで」

ヒカリ「いいの…?」

トウジ「減るもんでもねえし、はよ行くぞ」

ヒカリ(鈴原の背中、大きい…)

アスカ「お、鈴原洞木ペアが帰ってきた」

トウジ「楽勝楽勝」

ヒカリ「怖かったぁ……」

ケンスケ(嘘つけ絶対楽しかっただろ…)

アスカ「次は私達ね!行くわよバカシンジ」

シンジ「うん…」
……


シンジ「アスカ…あんまり急がなくても」

アスカ「一本道でどうやって迷うって言うのよ」

シンジ「でも…獣道とかさ…」

アスカ「そんなのあってもわかるわよ」

シンジ「それもそうかな」

アスカ「…正直そこまで怖くないわね」

シンジ「エヴァに乗って戦うのに比べたらね…」

アスカ「ネルフが停電したときもこんな感じだったわね」

シンジ「アスカの言うとおりに行ってたらいつまでも着かなかったね」

アスカ「余計なことを思い出すな!そもそもあんなへんちくりんな作りしてるネルフが悪いのよ!」

シンジ「ごめんなさい…」

ガサガサ

シンジ「!」

アスカ「何びびってんのよバカシンジ。大したもんじゃないわよ」

シンジ「そうかな…?まあいいか」

マリ「肝試し肝試しー!」ザッ ザッ

カヲル「肝試しなのに、怖がったりしないんだね」

マリ「だって怖くないもん」

カヲル「怖くないのに楽しいのかい?」

マリ「夜ってワクワクするんだよねー、しない?」

カヲル「昼と夜は等価値なんだ。僕にとってはね」

マリ「つまんないのー」

カヲル「つまらなくはないさ。昼も夜も面白い」

カヲル(周囲にリリンがいる…けど、危害を加えるつもりはなさそうだし放っておいてもいいか)

ケンスケ「流石に暗いなあ…綾波、怖くないの?」

レイ「分からない」

ケンスケ(掴みどころがないなあ)

ケンスケ「祠、見えてきたよ」

レイ「そう」

ケンスケ(つれないなあ…それにこいつ、制服以外の服持ってないのか?虫に刺されまくりそうだぜ)

ミサト「私達まで行く必要あるのかしら?」

リョウジ「いいじゃないか、たまには童心に返ってこういうのも」

ミサト「童心ねえ…」

リョウジ「ははは、何十年前の話かな」

ミサト「うっさい、まだ十数年前よ」

リョウジ「はいはい」

ミサト「…ここ、色々あったわね」

リョウジ「そうだなあ、もう少し西に行けば初号機がどーんと倒れ込んだところだし、向こうにはヤシマ作戦の狙撃ポイントがある」

ミサト「私達、無理させちゃってるのね…」

リョウジ「ああ…でもそれも一段落さ。これからはそれぞれがそれぞれの道を歩く」

ミサト「それぞれの道…」

リョウジ「ま、ちょっとカッコつけすぎたかな。中3なんてそう気負う時期でもないだろ」

ミサト「そうかしら…私、シンジ君に将来のこととか色々考えなさいって言っちゃってる…」

リョウジ「もちろん将来のことについて考えるのは悪いことじゃない、悩むことが大事で、答えなんか二の次さ」

ミサト「そうだといいんだけど」

リョウジ「お、祠だ。しっかし不気味だなあ」

ミサト「出そうね」

リョウジ「よせよ、そういうこと言った途端に出てきたり…」

ガサガサ!

ミサト「ひいっ!!」

リョウジ「誰だ!」バッ

ミサト(あ、こういうときは抱き寄せてくれるんだ)

黒服「…銃まで向けないでください、加持さん」

リョウジ「どういう風の吹き回しだ?」

黒服「…司令からの命令です。チルドレンの動向を探れとの」

リョウジ「じゃあ俺達のときにわざわざ脅かすなよ…」

黒服「申し訳ない、私まで童心に返ってしまいました」

リョウジ「ははは、お仕事ごくろーさん。ミサト、行こう」

ミサト「う、うん」
……

ゲンドウ(全てはシナリオ通りに…)

冬月(本当にシナリオに関係があるというのか?碇……)

アスカ「あー楽しかった!」

シンジ「山はなかなか怖かったね…」

トウジ「へっ、少し暗いだけやないか」

ケンスケ「で、これからどうするの?」

アスカ「ネルフでお泊り会よ!」

シンジ「ええっ」

マリ「マジ?使用許可下りんの?」

アスカ「下りたのよそれが」

カヲル「お泊り会はいいね、リリンが生み出した文化の…」

アスカ「うっさいだまれナルシスホモ。パイロットの親交を深める合宿に友人が三人紛れ込むだけ、かんたんな話よ」

カヲル(極みくらい言わせて欲しかったな)

シンジ「なんでもありだね…」

ミサト「アスカ会社の経費でなんでも落とせるタイプね」

リョウジ「先が怖いな、ははは」

アスカ「余計なお世話よ!」

ネルフ 某会議室(和室)

トウジ「ワシがまだ5歳くらいのときやった…」

シンジ(自然と怖い話大会が始まった)

トウジ「夏休みには決まってばあちゃんちに帰省してたんやが」

ヒカリ「やめようよ…」

トウジ「まあまあ、そんなに怖い話ちゃうから」

マリ「ほんとに怖いところになったら私が耳塞いであげるからさ」

ヒカリ「ほ、ほんと?真希波さん、ありがとう」

マリ「なーんのなんの」

トウジ「ばあちゃんはワシに会うと一通り話した後にいつもこう言うんや、『あの部屋は入っちゃだめだからね』」

シンジ(結構話すのうまいかも)

トウジ「ワシは言うこと聞くような子供じゃなかったんやけど、どうしてかその言いつけだけは守っとった」

シンジ(この前だっていいつけを破ってケンスケとエヴァを見に出てきたじゃないか)

トウジ「でもなんやろな、魔が差したいうのか迷子になったのか忘れちまったけど、その部屋の前を通ってしもたんや」

アスカ「迷うほど広いの?あんたの家」

トウジ「話の腰をおるな式波、まあ、田舎やからな、部屋の数数えるのが面倒なくらいはあるで」

シンジ(町の名士の家だったりするのかな)

トウジ「ほら見い、どこまで話したか忘れたやろが」

シンジ「行っちゃだめって言われた部屋があったってところまでかな」

トウジ「せや、そこや。でな、ある時ワシはトイレに行きたくなった」

トウジ「せやけどトイレの場所もややこしいんや、いつもならすぐ誰かに聞くんやけど、そんときのワシは切羽詰まってたから聞きもせずにドタバタと走り回ってた」

ヒカリ「…」フルフル

マリ「だーいじょうぶだって」

トウジ「そしたらなんの因果やろなあ、来てしまったんや」

一同「…」ゴクリ

トウジ「あの部屋の前に」

トウジ「ワシは気づいてなかったんやけどな」

トウジ「だからその部屋の戸を開けてしもたんや」

トウジ「たしかワシはこう聞いた」

トウジ『すまん、トイレどこにあるか教えてくれや』

男『……………』

女『………………』

トウジ「見たことのないおっさんとおばさんやったけど、ワシを無視しよったんや」

トウジ「でもワシは気づくべきだった、部屋にいた二人は声は出てないけど口がぱくぱく動いてたんや」

ヒカリ「やめて…」

マリ(めっちゃ抱きつかれるんですけど)

トウジ「ワシは更に聞いた」

トウジ『おい、トイレはどこにあるか教えてくれや!』

男『……………?』

トウジ「男はワシに気づいてゆっくり顔をこっちに向けてきた。ワシはこれはアカンと思った。顔は人間なんやがどこかおかしい。すぐに気づいた、奴ら目があるはずのところに何もなかったんや」

男『…!…!!』

トウジ「そしたら男がすごい剣幕で机をバン!と叩いて」

ヒカリ「ひっ」ビクッ

シンジ(しばらく声を低くして喋ってからいきなり大きい声を出す…なかなか心得ている)

トウジ「ワシは恐ろしくなって戸をびしゃっと閉めて来た道を走った。しばらくして親戚のおばさん見つけるまで狂ったように走り回った」

おばさん『トウジ、どないしたんや』

トウジ『……!!…!』

トウジ「腰抜かしそうになったわ、声が出ないんや」

トウジ「これはあいつらのが移ったんちゃうかと不安になって、縁側から駆け出して池に映った自分の顔を見た」

トウジ「そこにあるはずの目ン玉が…」

トウジ「…あとはよう覚えとらん、池に突っ込んで気失ってたらしいからな」

トウジ「ま、ワシはこの通り目もあるし喋れるから問題なしなんやけど」

トウジ「あとから聞いたらその部屋は昔仏間だったらしい」

一同 ゾゾ-

トウジ「おしまい」

トウジ「次は誰が話すんや」

ヒカリ「も、もうやめない…?早く寝たほうがいいよ…」

アスカ「まだまだ夜は始まったばかりよ!」

ケンスケ「たしかに、こんな時くらい夜更かししてもバチは当たるまいよ」

ヒカリ「うう…」

マリ「はーいはーい、ワンコくんがいいと思いまーす」

シンジ「え、僕!?」

アスカ「いいわね、なんかお化けとか引き寄せそうだし」

シンジ「そんなことないよ…」

アスカ「他に怖い話できる人いる?」

レイ(恐怖…わからない)

マリ(怖い思いなんてしないなあ)

カヲル(恐怖…まだまだ僕は理解が足りない)

ケンスケ(滑ったら嫌だしやめとこ)

ヒカリ(無理無理無理)

シーン……

アスカ「ほらね?」

シンジ「なんでそうなるんだよ!アスカが話せばいいだろ!」

アスカ「私ぃ?怖いものなんてないわよ」

シンジ(嘘だ…指摘してもキレるだけだから言わないけど)

シンジ「はあ…分かったよ。怖くないかもしれないけど、変なことがあったから話すよ」

更新途絶えてごめんなさい

シンジ「この前IDカードを更新するためにリツコさんに会いに行ったんだ」

マリ「なんであんなに頻繁に変えるのかなあ」

アスカ「セキュリティよセキュリティ」

シンジ「そうしたら丁度廊下でリツコさんに会ったんだ」

リツコ『シンジ君、ちょうど良かったわ。はいこれ、新しいIDカード』

シンジ『ありがとうございます』

リツコ『くれぐれも落としたりしないように。MAGIが生成した特殊な暗号が使ってあるから再発行も面倒なのよ』

シンジ『そうなんですか…』

リツコ『ミサトはこれまで二回紛失しているけどね』

シンジ(らしいな…)

アスカ「それ本当?だっらしないわねえ」

トウジ「いい年して困ったやっちゃなあ」

ケンスケ「お前だって生徒手帳この前無くしかけてたじゃないか」

トウジ「黙っとれ」

シンジ「とにかく、僕はリツコさんに新しいIDをもらったんだ」

シンジ「これだよ」

『碇 シンジ』

トウジ「見せないでもわかるわ」

シンジ「その後ミサトさんに用事があったのを思い出して、ミサトさんが居そうなところに行ったんだ」

シンジ「途中で職員の方に聞いたりしながら、ミサトさんを見つけた」

ミサト『あらシンジ君、どうしたの?』

シンジ『あの、これ、よかったら皆で食べてください』

ミサト『ん、なんじゃこりゃ……ああ、シンちゃんこの前作ってたお菓子ってこれだったのね』

シンジ『いつもお世話になっているので』

マリ「マメだねワンコ君」

ケンスケ「なんでリツコさんに渡さなかったんだ?」

シンジ「ちょっと私用では話しかけづらいというか…」

ミサト『おいしい!』

シンジ『リツコさんもどうぞ』

リツコ『ありがたく頂いておこうかしら』

定期考査今日で終わりました。明日から更新ペース上げていきたいと思います

トウジ「何が怖い話やねん、ただクッキーあげてるだけやないか」

ケンスケ「話の腰を折らない」

シンジ「いいんだよ、そんな大した話じゃないし…そうしたらリツコさんがこう言ったんだ」

リツコ『そうだ、忘れないうちに渡しておくわね、新しいIDカードよ』

シンジ『あれ、でもさっき廊下で』

リツコ『私はずっとここにいたけど? はい、これ』

シンジ『…ありがとうございます』

シンジ「少し怖くなっちゃって、その後すぐにネルフから出たんだ」

トウジ「それ…本当の話か?」

シンジ「うん…ほら」

『碇シンジ #4836211』
『碇シンジ #2945732』

アスカ「ちょっ、それホントなの?」

マリ「マジ?見せて」ピッ

シンジ「あっ」

マリ「ん~…偽造には見えない」

アスカ「あんたが見てわかる偽造なんて誰がするのよ」

マリ「私の観察眼を侮るなかれ~」

ケンスケ「…それ、使えるの?」

シンジ「…うん」

シーン…

ケンスケ「リツコさんが間違えて二度渡しちゃったって線は?」

シンジ「ミサトさんならともかく、リツコさんに限ってそんなことは…っていうか」

トウジ「ていうか、なんや?」

シンジ「一回目にリツコさんとすれ違った廊下は結構長いんだ」

アスカ「…それが何か?」

シンジ「リツコさんが僕にカードを渡したあと、リツコさんは僕と逆の方向に行ったんだ」

ケンスケ「気味悪いなあ」

ヒカリ「真希波さん、耳塞ぐのそろそろお願い… 」

マリ「面白いとこじゃん、もう少し聞きなよ」

ヒカリ「うう…」

シンジ「僕に会わずにミサトさんがいた部屋に行くには、かなり向こうに行ってから別の道を使うことになるんだけど、ダッシュしても結構きついと思う」

ケンスケ「推理小説みたいでおもしろきなってきた」

シンジ「でもリツコさんは僕に二度目会ったとき、息一つ切らさないで椅子に座ってた」

トウジ「辻褄が合わへんっちゅーことやな」

シンジ「うん…それにリツコさんはたしか飲みかけのコーヒーカップを机に置いてたんだ。状況的にも少し前から部屋にいたとしか思えなくて…」

カヲル「良く覚えてるんだね、そんなに細かいところまで」

シンジ「え?うん、リツコさんの体の動きがそれくらいだったから目に入ったのかも」

アスカ「わかったわ!この事件の真相が!」

シンジ「いきなり大きい声出さないでよ…夜だよ…?」

アスカ「シンジ、それ作り話でしょう」

シンジ「…どうしてそう思うの?」

ヒカリ(あれ…なんか怖くない方向にそれ始めた)

マリ(ほら、聞いといてよかったでしょ)

アスカ「ふつうミサトがいた部屋への別ルートとか、リツコが飲みかけのコーヒー持ってたとか、そんなことまで覚えてる?都合が良すぎるのよ」

レイ「ネルフの者なら構内図は把握しておくべき」

アスカ「っ、あんなの覚えられるわけ無いでしょ!」

レイ「ごめんなさい」

アスカ「…で、どうなのよ。どうせそのカードは更新されて用済みになったカードとかなんでしょ?」

シンジ「少し盛ったところもあるよ。コーヒーのくだりとか」

アスカ「ほーらやっぱり!」

シンジ「アスカ、ちょっとついてきて」

アスカ「?いいけど」

アスカ「部屋の外に連れ出して何するつもり?監視カメラはどこにでもあるわよ」

シンジ「そういうことじゃなくて…IDカードを会議室の鍵に挿して、使えるか試してみるんだよ」

アスカ「なーるほどね、片方使えないのがわかるだけだと思うけど」

シンジ「こっちが一回目に会ったときにもらったカード」シュッ

ピッ

アスカ「使えるわね」

シンジ「一回ロックしてから…」シュッ

ピッ

アスカ「………ほんとにカード変えた?」

シンジ「アスカもやってみなよ」
……

シンジ「何回やっても変わらないよ…」

アスカ「おかしい、おかしい、両方使えるなんてそんなはずは…」シュッ ピッ ガチャ シュッ ピッ ガチャ

シンジ「僕も試したけど、やっぱり両方使えるんだ」

アスカ「じゃ、じゃあ、リツコが二人いたっていうのは…?」ゾクゾク

シンジ「…どうだろうね」

リツコ「二人共、こんなところで何を…」

アスカ「で、出たあああああああああ!!!!」

シンジ「わっ、アスカ痛い痛い首が、締ま、」

リツコ「何をしているの…?」

シンジ「すみません、新しいカードと前のカードがどっちかわからなくなってただけです」

リツコ「そう、ならいいけど。あんまり夜更かししないことね」

アスカ「……シンジ」

シンジ「何?」

アスカ「今のリツコ、本物なのかしら」

シンジ「…ふっ」

アスカ「な、なにがおかしいのよ」

シンジ「ごめん、もう無理…はははは」

ピッ ガチャ

アスカ「え、ど、どういうことよ」

シンジ「ありがとう綾波、これ返すよ」

レイ「ええ」

アスカ「え?え?」

レイ「」シールペリペリ

『綾波レイ #2945732』

アスカ「うっそでしょ!?」

シンジ「く、くらいから…はは、気づかなかったんだね、あはは」

マリ「にゃははは、一杯食わされたね姫え」

カヲル「なるほど…」

トウジ「へん、そんなとこやと思っとったわ」

ケンスケ(僕にどういうことや?って耳打ちしてきたこと、忘れてないからね)

今日は更新終わりです

男子の部屋

トウジ「なんやかんや面白かったわ」

ケンスケ「やっぱりこういうのはワクワクするよ」

シンジ「修学旅行以来だね」

カヲル「僕はいなかったけどね」

トウジ「せやな」

ケンスケ「トウジ夜中に起きてトイレ行ってたよな」

トウジ「バカ、なんでそんなことばっかり覚えてるんや」

ケンスケ「他にも色々あるよ」

トウジ「黙っとれ…」

シンジ「まだ11時だね」

トウジ「お? 優等生のシンジ君がなかなかワルなこと言うとるで」

シンジ「中3だよ? 少しは夜更かしもするよ」

男子の部屋

ケンスケ「つまりまだ寝るつもりはないと」

シンジ「こういうときくらいはね」

トウジ「渚、キョーミないかもしれんけど付き合ってもらうで」

カヲル「構わないよ、僕はそんなに寝なくてもいい質なんだ」

トウジ「やっぱり夜に集まって話す話といえば…」

ケンスケ「いえば…?」

女子の部屋

ヒカリ「恋バナでしょう」

マリ「おーいいねえ」

アスカ「でも四人しかいないわよ」

ヒカリ「私はアスカの話が聞きたいな(この鈍感娘に恋を仕込むのは苦労したんだから…報酬があってもいいよね)」

アスカ「わ、わたしぃ?」

マリ「わーい、姫の恋バナ」

アスカ「わ、私そんなに話すことない」

ヒカリ「そんなにってことは少しはあるんでしょう?」ニコニコ

アスカ「うっ…」

マリ「早く話したほうが楽になれるよ」

アスカ「私が悪事を働いたみたいに言うな!」

マリ「恋って罪だからねえ」

アスカ「知るかっ、あんたから話しなさいよ」

マリ「私の恋バナはエヴァの話になっちゃうよ」

アスカ「つまんなーい、この女つまんなーい」

ヒカリ「えっと…喧嘩しないで…? レイはどう?」

レイ「恋…わからない」

アスカ「ほら、こう言うに決まってるでしょ」

ヒカリ「アスカ…?」

マリ「早く言っちゃいなよほらほら」

アスカ「ああもうわかったわよ!話す!」

ヒカリ「碇くんとはどうなの」ボソッ

アスカ「な!? まだ言ってないでしょう!」

ヒカリ「わかるよ」

マリ「バレバレだよん」

アスカ「…話すこと無くなったわ、はい次」

ワイワイ ワイワイ

アスカ「…わかったわ…どっから話せばいいのよ」

ヒカリ「告白はどっちから!」

アスカ「んー…」

ヒカリ「どっちどっち」

アスカ(あれ…どっちになるんだろうあれは…シンジは私の名前呼んだだけだし…私も告白ってまでのことは…)

アスカ(まあ、シンジってことにしておいてあげるか…見つめられてドキドキしたし)

アスカ「シンジから好きだって」

ヒカリ「すてき!」

マリ「ワンコくんでもやるときゃやるってことだ!」

アスカ「ま、まあ、そんなところかな」

アスカ(やばい嘘なのにめっちゃ恥ずかしい)

ヒカリ「その…どこまで行ったの?」

アスカ「プールとか行ったけど?」

ヒカリ「へ?」

アスカ「は?」

マリ「あー、姫には耳慣れない日本語か」

マリ「手を繋ぐ、キスをする、ディープキスをする、体を重ねる、どこまでしたのってこと」ミミウチ

アスカ「なっ、」

ヒカリ「そ、そんなに赤くならなくても…」

アスカ「手は、繋いだわ」

ヒカリ「キスは!」

アスカ「…してない(したって言ったらなんて言われるかわかったもんじゃないわ)」

マリ「嘘だ~」

ヒカリ「してそう」

アスカ「私に聞く意味ないじゃない!」

申し訳ありません、今度は学校祭が近いのです…

マリ「で?で?」

アスカ「言うか!」

ヒカリ「うーん、じゃあ、シンジ君のどこが好き?」

マリ「直球だねー」

アスカ「………うーん」

マリ「え、その反応は不味くない姫?まさかもう冷めちゃった?」

アスカ「ちょっと考えてるだけじゃない!」

マリ「考える必要があるなら先が思いやられますなあ」

アスカ「うっさい!」

ヒカリ「でも、適当に答えたくないって気持ちもわかるなー」

アスカ「そうよ…そうねえ…」

アスカ(シンジの好きなところ)

アスカ(真面目に考えたことなかったわね)

アスカ(私、バカシンジのどこが好きなんだろう)

アスカ(どんくさいし、背はそんなに高くないし、イケメンというほどでもないし、そもそも文化が違う)

アスカ(初めて会ったときはエヴァのパイロットだなんて少しも思わなかった。なんというか、覇気がないのよね)

アスカ(でも気づいたら目の端にあいつがいた)

アスカ(いつ頃から?)

マリ「うわあ…ガチで考えだした…」

ヒカリ「まあまあ、大事だと思うよ」

マリ「じゃ幕間にヒカリの話を」

ヒカリ「幕間扱いしないでよ!」

マリ「あ、やっぱり話あるんだあ」

ヒカリ「~~!!」

アスカ(いつから…いつから…)

アスカ(あの夢のときより前から、シンジのこと目で追ってたかもしれない…)

アスカ「あ」

マリ「わあお、びっくりした」

最終使徒戦

ミサト『なんなの…これは…』

リツコ『正に規格外、といったところね』

冬月『虎の子、というわけか』

ゲンドウ『ああ』

シゲル『体高は今までの使徒の…三倍はあります』

マコト『強羅防衛線を突破!』

ミサト『エヴァンゲリオン零号機、初号機、弐号機、6号機、8号機の出撃許可を求めます』

ゲンドウ『許可する』





マリ『全部出すとは気前がいいにゃ』

アスカ『図体がでかいだけじゃない!私一人で十分よ!』

シンジ(無理だろ…)

ミサト『作戦を確認するわよ。6、8号機はライフルで使徒の撹乱。初号機はポジトロンライフルでコアを狙撃。弐号機、零号機は初号機を守って』

アスカ『なんで私がシンジのお守りなのよ!』

シンジ『仕方がないだろ、経験者僕しかいないんだから』

アスカ『…もう!』

リツコ『ポジトロンライフルは威力倍増、冷却時間短縮、コンパクトアンド軽量化の意欲作よ』

リツコ『耐熱シールドも強化済み。ラミエルの荷電粒子砲でも1分は耐えられる。でも過信はしないで』

マリ『わーお、ライフルについてるグレネードランチャーって本当にN2グレネードなんだ』

リツコ『威力をかなり縮小してあるけど、今回の使徒は質量がやけに軽いから効果が見込めるわ』

アスカ『ハリボテじゃない!』

使徒 オオオオオオオ

マリ『やっぱりでけえー!』ダダダダダダ

マリ『ライフルじゃやっぱり効かないにゃ』

カヲル『無機物じゃATフィールドは貫けないってことだよ』

使徒 オオオオオ!!

マリ『おっと危ない!…うわあ、地面にクレーターが…』

アスカ『さっさと撃ちなさいよシンジ!』

レイ『集中が乱れる。黙って』

アスカ『照準が合ったらポチッとするだけなのに集中もなにも…はいはい静かにします』

シンジ(今だ!)カチッ

キイイイイイイン

マリ『うひゃー、おっかないおっかない』

ミサト『ヒューズ交換、弐号機と零号機シールド展開!6、8号機はN2グレネードで追撃!』

シゲル『陽電子砲使徒に命中!』

ミサト『お願い効いて…!』

マリ『あらよっと』バン

使徒 オオオオオオオオオオ

マコト『目標に高エネルギー反応!』

ミサト『アスカ、レイ、備えて!』

アスカ『ぐっ…!』レイ『っ…』

アスカ『何よこれ…!こんなに熱いなんて聞いてない…!』

ミサト『頑張ってアスカ!踏ん張って!』

アスカ『言われなくても!』

ミサト『シンジ君!次の射撃を!』

シンジ『はい!』

リツコ『まずいわ、荷電粒子砲が止まない。シールドが溶けてしまう』

ミサト『マリ!もう一発グレネード!』

マリ『贅沢なことで!』バン

ミサト『よし、止まった!』

シンジ(アスカとレイにいつまでも守ってもらうことはできない…はやく決着をつけるんだ!)カチッ

キイイイイイイイン

マコト『命中!』

シゲル『エネルギー反応持続、形象崩壊、起こりません』

ミサト『どうして…?コアに命中していないの?』

マコト『いえ、全部真芯に当たっています』

ミサト『どういうこと?』

マコト『この使徒、コアが13あります』

ミサト『じゅ、じゅうさん!?』

リツコ『十三番目の使徒だからかしら。随分と洒落込んでるわね』

シゲル『陽電子砲、あと11発が砲身と電力の限界です』

ミサト『2つコアを壊したから…一発も外せないってワケね…シールドは』

マヤ『予想より耐久性が低下。あと三発受ける前に交換が必要です』

ミサト『新しいシールド射出準備』

マコト『了解』

アスカ『聞いた?一発も外せないんですってね!』

シンジ『聞いたよ』

アスカ『外したら許さない…わよ!』

シンジ『…頑張るよ』

アスカ『でもやっぱりこれきっつい…!』

シンジ『ごめん』

アスカ『別にあんたに言ってない…ビームが終わる!シンジ!』

マリ『あーあー、これ第三新東京でやってたらジオフロントの天井ぬけちゃうね、さっすが人間のヤケクソn2兵器!』

カヲル『窮鼠猫を噛む、だね』

マリ『なんか違うような…まあいいや』

マリ『ミサト、あと何発でこの使徒倒れんの?』

ミサト『あと三つまで来たわ。警戒はそのまま!』

マリ『合点!』バン

アスカ『あとみいいいっつ!』

シンジ『カウントしなくてもわかるよ』

アスカ『こうでもしないとやってられないのよ…!ほら!』

シンジ『』カチッ

アスカ『あとふたああああつ!』

ミサト『持ちこたえて!レイ!アスカ!』

マリ『私達の相手もちょっとはしろってえの!』バン

使徒 オオオオオオオオオオオオオオオ

シュルシュルシュル ガシッ

マリ『うわっ!』

ミサト『どうしたのマリ!?』

シンジ『いつかの使徒の鞭だ!』

リツコ『荷電粒子砲といい鞭といい、懐かしい攻撃方法ね』

マリ『私まだいなかったじゃん!いたたたたたた、プログレッシブナイフで切れない…!』

ミサト『対処法も同じってことね』

カヲル『任せて』

マリ『わわわ、こっちに銃を向けるなあ』

カヲル『撃ちはしないよ。銃剣でなんとかする』

マリ『たしかになんとかなりそう…あ、ミサト、使徒の顔が分裂してる!』

ミサト『なんですって!分裂ってことは…イスラフェル!?』

リツコ『違う、顔が分裂したのは最初の使徒よ!何か撃ってくる!』

ミサト『アスカ、レイ!気をつけて!』

アスカ『気をつけろって盾構えて突っ立ってるだけの私に何ができるってのよ!……わっ!』

マコト『第二の顔から発砲!』

シゲル『まずい、盾の表面温度限界突破!エヴァ零号機と弐号機の表面装甲温度異常上昇!』

アスカ『そろそろ…しゃれにならなーい!!』

ミサト『マリ、カヲル!止めて!』

マリ『けほっけほっ…ごめんむり……っ!』

カヲル『マリ、苦しいと思うけど我慢していて。僕はあいつを止める』

マリ『苦しいけど…頑張る…!(やばい、痛みと窒息で意識飛びそう)』

カヲル『悪いね、でもこうするしかないんだ』バン

マヤ『N2グレネード、使徒に迎撃されました!効果ありません!』

ミサト『第二の顔をそんなことにまで…!』

シゲル『荷電粒子砲止まりません!シールド耐熱限界突破!』

アスカ『限界突破!? っ…!』

アスカ(熱い熱い熱い熱い熱い!)

SYSTEM DOWN! Q1137

シンジ「えっ」

マヤ『陽電子砲システムダウン! 砲身の歪みが限界を超えた模様です!』

マコト『エヴァ弐号機の装甲過熱、パイロットの意識レベル低下!』

ミサト『パイロットの保護が先よ!アスカ、レイ、荷電粒子砲を躱して!』

アスカ『んなことできたらやってるわ…!体が動かないのよ…!』

シンジ『ごめんアスカ、レイ!』

アスカ『わっ!』レイ『っ』

ミサト『初号機が弐号機と零号機を突き飛ばした!?』

シンジ『ごめんミサトさん、何度目の命令違反か分からないけど……!黙って見てるのはもう嫌なんだ…!A.T.フィールド全開っ!』

ミサト「アスカ、レイ、今のうちに!」

アスカ「言われなくても!」バッ

マリ「っはあ!はあ!やっと外れた!ありがとう」

カヲル「礼には及ばないよ、それより」

マリ「いつまでもビーム撃ってると、プレイヤーに嫌われるにゃー!」
バン

リツコ「バカ、近すぎる!」

マリ「にゃー!たーまやー!」

アスカ「シンジ、行くわよ!」

ミサト「待ちなさい、今のあなた達には攻撃手段がないのよ!」

アスカ「あるわ!シンジ、あの音楽忘れてないでしょうね」

シンジ「音楽?」

アスカ「あんたバカぁ? コアが2つであんたとわたしよ、あれしかないじゃない!」

シンジ「ああ、ユニゾン」

アスカ「行ける?というか行くしかないわよ」

シンジ「そう簡単には忘れないよ」

アスカ「ってことで、ミュージックスタート!」

シンジ(あの時と違ってビームとか出てくるけど大丈夫かな…?)

アスカ「余計なこと考えるな!」

シンジ「お見通しか!」

マリ「ありゃー、なんだか楽しそう」

使徒 オオオオオオ! ビシュッ

シンジ アスカ「よっ! はっ!」

ミサト「打ち合わせもしていないのにパーペキじゃない!」

リツコ「二人のシンクロ率は40%以上ね」

使徒 オオオオオオオオオオ!

アスカ「避けるわよ!」

アスカ シンジ「よっと!」

アスカ(ヤバイ、水田だ!)

アスカ「こんなところに水田作ったバカはでてこーい!!……っ!」

マコト「弐号機左上腕に被弾!装甲侵徹、神経破断!」

アスカ「ったたたた」

シンジ「アスカ!」

マリ「時間稼ぎは任せるにゃ!コード反転裏モード!」

アスカ「まだまだ!!」スック…ヨロッ

シンジ「無茶言うなよ!そんな状態でユニゾンがうまく行くわけ無いでしょ!」

アスカ「他に方法があるわけ?それにこんなのかすり傷よ!」

シンジ「かすり傷なわけ…!あ、そうか」

シゲル「初号機、プログレッシブナイフ装備。何をするつもりだ」

シンジ「…っ」グサッ

ミサト「左腕に刺した!?」

ゲンドウ「自傷行為なら家でやってもらいたいものだな」

冬月「ああ、しかしあそこまで深く差し込むとは、なかなか男ではないかね」

シゲル「神経破断!」

リツコ「どうやら自傷行為ではなさそうね」

アスカ「何してんの!あんたまでケガしてどうすんのよ!」

シンジ「アスカの左手が使えないなら、僕も使えなければいいんだ。これでまたユニゾンができるよ」

アスカ「バカ!それなら神経カットとか他にあるでしょ!」

シンジ「同じ痛みじゃなきゃだめなんだ」

アスカ「でも…!」

シンジ「それに、こんなの擦り傷、でしょ?」

アスカ「…バカ。強がりに決まってんじゃない」

シンジ「知ってる。ほら、行こう」

アスカ「二人で地獄行きになっても知らないわよ!」ダッ

シンジ「二人で行くならどこでも!」ダッ

アスカ シンジ「はあああああああああ!!」

ミサト「走り始めた!」

シゲル「初号機、弐号機、シンクロ率が共に急上昇!ともに70%!」

ミサト「シンクロ率までシンクロし始めたわね」

リツコ「お互いのエヴァが共鳴してるんだわ」

ミサト「ありえるの、そんなこと!?」

リツコ「人にできてエヴァにできないことはないってことよ」

アスカ「これで!」グンッ

シンジ「終わりだ!」バッ

アスカシンジ「はあああああああああ!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴ

マヤ「初号機と弐号機のつま先がコアを捉えました!」

バキ…

マリ「おーい、だいじょぶ?」

アスカ「…っは」

マリ「ニヤニヤして、何思い出してたの?好きになったきっかけとか?」

アスカ「な、なんでもいいじゃない」

マリ「聞かせて聞かせてー、お姉さんに隠し事なんて良くないにゃ~」

アスカ「血縁的にも精神的にもお姉さんなんかじゃない!」

アスカ(私って呆れるほど単純ね…完全にあのあとからじゃない)

アスカ(あのときのシンジの顔、しばらく覚えてそう)ニヘラ

ヒカリ「あ、またニヤニヤしてる!」

マリ「自分だけ楽しみやがってこのこの!」

アスカ「ちょっ、やめなさいよ、どこさわってんのよ!」

マリ「お?お?ワンコくんにはもうこんなことされちゃったのかな?」モミモミ

アスカ「あんたにはっ!関係ないでしょっ!」

アスカ(正直されてる、これよりすごいこと)

面倒事があらかた片付きましたので、またペース上げます。約束をしては破りしては破りで申し訳ありません

もはや見てくださっている方がどれだけいらっしゃるかも分かりませんが、完結を目指します。読んでくださっている方、特に励ましのコメントをかけてくださる方には本当に頭が下がります…

シンジ「…そういえば、二人は将来のこととか考えてるの?(話題を変えないと…これ以上喋らされたら自分からあることないこと白状しちゃいそうだ…)」

トウジ「おいおい、そういう話はご法度って最初に言ったやろが」

シンジ「いや、その、高校とか大学がどうとかじゃなくて、もっと先のこと」

トウジ「…まあそれならええわ」

シンジ「トウジは?」

トウジ「なーんも考えとらん。継ぐ家業もないし、なりたい職業なんてないし」

シンジ「やっぱりそうだよね…」

トウジ「なんやその言いぐさは、やっぱりお前は考えなしやね~って言いたいんかコラ」

シンジ「ち、ちがうよ、職業とかまで決まってる人ってすくないよねって」

トウジ「ほんとかあ?ほんとにそういう意味かぁ?」

シンジ「信じてよ…」

ケンスケ「シンジだけに?」

トウジ「………」

シンジ「………」

トウジ「何か言いました?」

ケンスケ「何も」

トウジ「なんかしょーもないダジャレ崩れみたいなのが聞こえた気がしたんやが気のせいかのう」

ケンスケ「気のせいだね」

シンジ「ケンスケは?何かある?」

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ケンスケ「やっぱり僕はミリタリーが好きだからね、仕事も何かしら掠ってるのにつけたら嬉しいね」

トウジ「自衛隊にでも入るんか?」

ケンスケ「こんなやせっぽちが入ったら自衛隊の弱体化は必至さ…そうじゃなくて、戦史の研究とか。第二次世界大戦とか、まだまだ分かってないことが多いんだ」

トウジ「第二次世界大戦?お前この前エヴァ見てはしゃいでたやろ」

ケンスケ「それはそれ、これはこれ。それにエヴァの研究なんてそれこそエリート中のエリートしか無理だよ」

ケンスケ「で、そういうシンジは?」

シンジ「うーん…研究者とか…なりたいかな…」

トウジ「おいおい、お前さっき決まってる人少ないよねって言っといて、自分は決まってるやないか」

シンジ「そうなんだけど、大学の教授とか、なるのがとても難しいらしいんだ…もしなれなくて、普通の会社員とかになっても僕は幸せなのかなって不安になったりする」

トウジ「可愛い嫁さんいるんだから幸せに決まってるやろ」

ケンスケ「でも完全に尻に敷かれるぜ、こいつ」ヒソヒソ

トウジ「アスカの尻なら敷かれてもいいとか思ってそうやないか、やっぱり幸せとちゃうか?」ヒソヒソ

シンジ「二人とも!」

トウジ「悪い悪い、でもお前がならなかったら誰がなるんや」

ケンスケ「そうそう、この学年で一番なりそうだよ、シンジは」

シンジ「買いかぶり過ぎだよ…」

トウジ「ええかシンジ!」ズイッ

シンジ「な、なんだよいきなり」

トウジ「お前はまだ中学も三年生や、中学三年のときからワシは科学者になるって確信してるやつがいると思うか? そんなんアホかナルシストかアインシュタインくらい頭がいいやつしかおらんわ」

シンジ「うん…ありがとう」

ケンスケ「そうだよ、不安になるのも分かるけど、もう少し楽観的でいたほうがいい」

シンジ「楽観的でいるのは苦手なんだ…」

ケンスケ「ミサトさんから少し分けてもらったらどう?」

一同「ははははははははは」

アスカ「隣うるさいわね」

ハハハハハハ ワイワイ

マリ「見回りの先生がいないからって調子乗ってるなあ」

アスカ「」…ピキ

アスカ「」ドン

男子一同「!?」

アスカ「…やれやれ」

シンジ「隣の部屋女子だよね」

トウジ「絶対アスカや」

ケンスケ「大丈夫かなあ、ジオフロント」

一同「クククククク」

指定模試 第二回 結果返却

アスカ「ふーん」ペラッ

シンジ「ど、どうかな…」

アスカ「まあまあね」

シンジ「まあまあ…」

アスカ「凡ミスが減ってるのがいいわね、数学とか、解き方がわかれば最後まで得点できるようになってきたじゃない」

シンジ「そ、そうかな…」

アスカ「ま、解き方がわからない問題もあるようだけど?」

シンジ「」ギク

アスカ「公式忘れちゃ仕方がないわよねー、中点連結定理忘れてたでしょ、ここ」

シンジ「ちゅ、中点れんけ…?」

アスカ「あんたバカぁ? 中点連結定理も知らないで受験しようとしてるわけぇ!?」

シンジ「あ、ああ、今思い出したよ」

アスカ「じゃあ言ってみ」

シンジ「え、えーと…中点が…こう…」

アスカ「やっぱりわかってないじゃない!」

シンジ「ごめんなさい…」

アスカ「はい、今日から3日間で3年間の公式覚え直し!」

シンジ「み、3日間で!?」

アスカ「あったりまえでしょ、3年間かけるわけにはいかないもの」

シンジ「それでもさあ、一週間とかあるでしょ!?3日間は無理だよ!」

アスカ「だーめ。あんたには一刻の猶予もないのよ。あんた、合格可能性今どれくらいよ?」

シンジ「な、73%…」


アスカ「ちょっとは上がったけどまだまだよ、確実に受かるようにならなきゃ受験させないんだから」

ミサト「ただいまー、なんか騒がしいわね」

アスカ「騒がしいもラミエルもないわよ! みてよシンジの模試!」バッ

ミサト「どれどれ…んー…(私こんな点数取ったことないわ…)」

アスカ「ダメダメなのよ!」

ミサト「えー、でも73パーでしょ?いい線いってるじゃない」プシュ グビグビ

アスカ「だめよ!10回受験したら3回落ちるじゃない!」

シンジ「受験は一回だよ…」

ミサト「アスカはこの数字、低いと思う?」プハ- エビチュアイシテル

アスカ「低すぎよ」

ミサト「何パーセントなら満足?」

アスカ「これくらい」

式波 アスカ 様

合格可能性 第三新東京k高校 98%

ミサト「」絶句
シンジ「」絶句

アスカ「ね?」

ミサト「そ、そうね…確実に受かるわねこれは…」

アスカ「そういうこと。だからシンジ、せめて9割超えないと高校浪人させるわよ!」

シンジ「高校で浪人なんてありえないよ!」

アスカ「あ、そ、日本のことはよく知らないわ。それが嫌なら3日間で公式覚えきりなさい」

シンジ「結局そうなるんだ…」

ミサト「シンちゃん、がんばってー」

アスカ「覚えるまで寝かせないから」

ミサト「」ブフォッ ワタシノエビチュガッ

アスカ「なんか変なこと言った?」

ミサト「いえ、何も(きっと大人が汚れてるだけなのよ)」

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